JP6047473B2 - 水素・酸素発生装置 - Google Patents
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Description
このような水の電気分解を利用した水素ガスの製造方法は、電気分解に投入する電力量の調整により製造する水素ガスの発生量や圧力を容易に調整することができ、高圧水素ガスを比較的容易に製造可能であることから従来広く行われている。
また、この種のガス製造方法には、例えば、下記特許文献1に示すように固体高分子電解質膜で陽極側と陰極側とが仕切られた固体高分子電解質膜ユニットを備えた水電解モジュールが広く用いられており、該水電解モジュールの陽極側に水を循環供給しつつ電気分解をさせるタイプの水素・酸素発生装置が広く用いられている。
なお、水素ガスに対しては、十分な乾燥状態であることが一般に求められるため、通常、水電解モジュールで発生させた水素ガスは、気液分離されて水が除去された後、さらに除湿される。
このようなことから、従来の水素・酸素発生装置は、前記水素ガスから水を除去する気液分離器を備えており、該水素・酸素発生装置には、前記気液分離器で水を除去した後の水素ガスに含まれている水蒸気を凝縮器で除去する除湿装置や、該除湿装置を通過して得られた一次除湿ガスに含まれている水蒸気を吸着剤で除去して二次除湿ガスを得るための吸着塔などがさらに備えられたりしている。
また、その製造に要する材料コストを削減してコストダウンを図る意味においても小型化が求められている。
また、本発明者は、セパレータから単に水を外部放出させようとするとガスの漏洩を防止しつつ水だけを選択的に放出させることが困難であるため、ドレントラップによる排水機構を組み合わせることが水素・酸素発生装置の小型化に特に有効となることを見出して本発明を完成させるに至ったものである。
従って、前記セパレータは、単なる重力分離を行うだけの従来の気液分離器に比べてより確実に気液分離を行うことができる。
即ち、前記セパレータは、小型のものであっても除湿装置に向けて気体を移動させる経路に水が混入することを抑制させ得る。
また、本発明の水素・酸素発生装置は、このセパレータへ水が導入される勢いや当該水に作用する重力などにより該セパレータからドレントラップへの水の移動が自然移動となるように第二配管部によってセパレータとドレントラップとが連通されている。
従って、セパレータ内の水を速やかにドレントラップに移動させうる。
そのため、セパレータ内に水を貯留させるための大きな容積を確保させる必要性が低く当該セパレータを小型化させ得るとともに該セパレータからの水の溢流を防止するための水位センサーの設置を省略させ得る。
また、本発明においては、除湿装置よりも上流側の配管部やセパレータとドレントラップとが第三配管部によって連通されているため、セパレータとドレントラップとの間に圧力バランスを確保させ得る。
即ち、セパレータからの水の流入経路とは別に、ドレントラップからの気体排出経路を確保しておかないと、セパレータからドレントラップへの水の移動が良好にならないおそれがあるところ、本発明においては第三配管部によりドレントラップからの気体排出経路が確保されている。
また、水電解モジュールの運転温度が高く、高温の水素ガスが水電解モジュールから排出されているような場合、ドレントラップに入る水が高温であるため、ドレントラップ自体が高温になり、水電解モジュールの運転温度が低い場合に比べてドレントラップから排出される水素ガスに同伴する水蒸気が増加する。そのため、ドレントラップから第三配管部に流入する水素ガスには、多くの水蒸気が含まれるおそれがあるが、本発明においては、前記第三配管部がドレントラップを除湿装置よりも上流側に連通させるべく備えられているため、水蒸気を多く含んだ水素ガスがドレントラップから第三配管部に排出された場合にも当該水素ガスに含まれている水蒸気を前記除湿装置で除去することができる。
このことから本発明によれば、水素ガスを乾燥状態にさせるという要望を損なうおそれを抑制しつつ小型化が容易な水素・酸素発生装置を提供し得る。
本発明の好適な態様として、フロート式のドレントラップを採用した場合には、該フロート式ドレントラップが、通常、特別な制御を必要としていないことから水素・酸素発生装置の小型化に特に有効となる。
ここでは、水電解装置での電気分解による分解生成ガスの内、水素ガスのみを有効利用し、酸素ガスを大気放出させるように構成された水素・酸素発生装置を例に本発明の実施形態について説明する。
また、本実施形態においては、陽極側を水が循環供給される水循環極として用いられている水素・酸素発生装置を例にして説明する。
前記水素・酸素発生装置100は、水電解モジュール10の前記陰極側10bから発生する水素ガスが導入され、該水素ガスに含まれている水が当該水素ガスから分離除去されるセパレータ2と、該セパレータ2から排出される前記水が導入されるドレントラップ3と、前記セパレータ2から排出される水素ガスがさらに冷却されて除湿された水素ガス(以下、「一次除湿ガス」という)が生成される一次除湿装置4と、該一次除湿ガスがさらに除湿されて二次除湿ガス(乾燥水素ガス)が生成される二次除湿装置5とを有している。
ここで、以下においては特段の断りがない限りにおいて「ドレントラップ」との用語は、セパレータ2から排出される水が導入される「ドレントラップ3」を意味するものとし、凝縮器の後段に配された「ドレントラップ6」については「第二ドレントラップ6」と称して呼び分けることとする。
なお、以下においては、水電解モジュール10からこのセパレータ2までの間の第一配管部L1を上流側第一配管部L11と称し、セパレータ2から一次除湿機4までの間の第一配管部L1を下流側第一配管部L12と称することがある。
図2に例示のセパレータ2は、中空円筒状の容器本体21が竪置き状態で備えられており、該容器本体21は、その天井壁部21aに近い側壁部21bの2箇所、及び、底壁部21cの1箇所にそれぞれ開口を有する以外が密閉状態となっている。
なお、側壁部21bの2箇所の開口は、中空円筒状の容器本体21の周方向に180度離間するように設けられている。
そして、前記セパレータ2は、容器本体21の前記側壁部21bの開口の一方に対して前記上流側第一配管部L11を構成する管体が接続され、他方の開口に対して前記下流側第一配管部L12を構成する管体が接続されている。
さらに、前記セパレータ2は、容器本体21の前記底壁部の開口に対して前記第二配管部L2を構成する管体が接続されている。
前記導入管23は、容器本体21の側壁部に接続された上流側第一配管部L11の管体に続けて容器本体21の中央部に伸びるように設けられ、その先端が閉塞端となっているとともに該閉塞端の手前において下方に向けて開口した開口部23aが形成されている。
また、前記排出管24も下流側第一配管部L12の管体に続けて容器本体21の中央部に伸びるように設けられ先端が閉塞端となっているとともに該閉塞端の手前において上方に向けて開口した開口部24aを備えている。
該網目状部材22は、上下方向に延在する形で容器本体内に収容されており、その上端が前記導入管23の開口部23aに接続され、下端が容器本体21の底壁部の開口に接続されている。
即ち、セパレータ2は、上流側第一配管部L11から導入した水素ガスが、前記導入管23の先端に衝突して下降流へと転流し、網目状部材内を下降しつつ当該網目状部材22の外部へ網目を通じて放出されるように構成されている。
なお、網目状部材22で水が取り除かれた水素ガスは、前記排出管24の開口部24を通じて下流側第一配管部L12への排出されることになる。
上流側第一配管部L11からセパレータ内に導入した水素ガスを衝突させるための部材として、じゃま板を採用する場合には、当該じゃま板はパンチングメタルなどのように貫通孔が穿設されたものであってもスリットなどが設けられたものであってもよい。
即ち、前記じゃま板は、衝突後の水素ガスを下流側第一配管部に向けて当該じゃま板を迂回して通過させ得るように貫通孔等が設けられていないものであっても、網目状部材22と同様に水素ガスを衝突させるとともに当該水素ガスを透過させるべく貫通孔やスリットが設けられたものであっても良い。
また、前記網目状部材22は、それまでよりも高温の水素ガスが上流側第一配管部L11により導入された場合などにおいて、当該水素ガスに水蒸気となって含まれている水を、その表面において凝縮させて捕捉することができる点においても従来の気液分離器に比べて好適である。
これらの内、フロート式ドレントラップやタイマー式ドレントラップは電磁弁式ドレントラップに比べて複雑な制御を必要とせず、しかも、フロート式ドレントラップは、フロートの浮沈状態のみで自動的に弁機構の開閉が行われ実質的に制御を要しない点において好適である。
この点においてタイマー式ドレントラップは、セパレータ2からの水の導入状況によって当該ドレントラップ内の最大貯水量が大きく変動する可能性がある。
その一方でフロート式ドレントラップは、通常、セパレータ2からの水の導入状況に関係なくドレントラップ内の水位が一定以上になることがない。
このようなことからも本実施形態において採用するドレントラップ3は、フロート式のものが好ましい。
一方で、設置スペースなどの関係上その方が好ましいようであれば、ドレントラップ3とセパレータ2とは、相対的な高低差を設けずに配置してもよい。
このような態様について、図2を参照しつつ説明すると、図2に例示のドレントラップ3は、セパレータ2と同様に中空円筒状の容器本体31が竪置き状態で備えられており、該容器本体31が、セパレータ2の容器本体21に横並びに配置されている。
該ドレントラップ3は、その容器本体31に対して、底壁部に近い側壁部に前記第二配管部L2を構成する管体が接続されており、該第二配管部L2を通って前記セパレータ2から移動した水によって内部のフロート32が浮上するように構成されている。
そして、ドレントラップ3は、前記フロート32が所定以上に浮上した際に弁機構33が自動的に開弁状態となり、下部排水口に接続された前記第四配管部L4を通じて水を排出し得るように構成されている。
なお、当該ドレントラップ3は、開弁状態となった位置よりもさらに下位の位置に前記フロート32が達した時点で前記弁機構33を閉弁状態へと変化させるように構成されている。
従って、ドレントラップ3の開弁状態における排水を過度に良好なものとすると水とともに水素ガスを放出してしまうおそれがある。
ただし、ドレントラップ3は、通常、内部容積に占める水の収容容積比率を大きく確保することができるため、第二配管部L2や第三配管部L3を通じてセパレータ2などから水素ガスが供給されることをある程度制約させるか、又は、前記第四配管部L4の水の流通状態をある程度制約させることで排水完了までに要する時間を一定以上確保させることができ水素ガスの意図せぬ放出を抑制することができる。
このようにドレントラップ3からの水素ガスの漏洩は、セパレータ2からドレントラップ3への気体の流入やドレントラップ3からの排水に対して所定の調整を行うことで抑制することができる。
従って、ポンプや該ポンプへの給電機構などを省略することができる点においても本実施形態の水素・酸素発生装置100は、小型化に適したものであるといえる。
従って、仮にセパレータ2の内部の圧力がドレントラップ3の内部の圧力よりも低くなるような圧力変動が生じた場合でも第三配管部L3(及び、上流側第一配管部L11)を通じてドレントラップ3とセパレータ2との間に圧力バランスを保たせることができ第二配管部L2に存在する水がセパレータ側に逆流することが抑制される。
しかも、本実施形態においては、第三配管部L3が下流側第一配管部L12ではなく上流側第一配管部L11に接続されているために、ドレントラップ3からの水蒸気がセパレータ2で気液分離された水素ガスに混入してしまうおそれをより効果的に抑制させることができる。
特に、水電解装置1がジュール熱などによって高温となっている場合には、水素ガスも高温(例えば、60℃〜80℃)となって絶対湿度が高い状態になることが考えられる。
このことから本実施形態の水素・酸素発生装置100は、セパレータ2の後段側に前記一次除湿装置4を配置し、該一次除湿装置内で水素ガスを十分に冷却して該水素ガスよりも絶対湿度の低い一次除湿ガスが得られるようにしている。
本実施形態の水素・酸素発生装置100は、前記のように水電解装置1の陽極側を水が循環供給される水循環極となっている。
そのため、水素・酸素発生装置100は、前記水電解モジュール10の陽極側(陽極室)に供給する前記水を貯留する給水タンク7と、該給水タンク7から前記水電解装置1の前記陽極側に前記水を供給するための給水経路となる第七配管部L7とを有し、該給水経路の途中に設けられた定量ポンプP1(以下「循環ポンプP1」ともいう)によって前記水電解モジュール10の流入口に水を連続供給しうるように構成されている。
そして、本実施形態の水素・酸素発生装置100は、前記水電解モジュール10において単位時間当たりに電気分解される水の量よりも多くの水を前記定量ポンプP1によって水電解モジュール10に供給し得るように構成されており、前記水電解モジュール10の陽極側の前記排出口からは、前記酸素ガスと多量の水とが気液混合水の状態となって排出されるように構成されている。
即ち、水素・酸素発生装置100には、該返送経路と前記給水経路とを通って前記水電解装置1と前記給水タンク2との間を水が循環する循環経路が形成されている。
この給水タンク7は、前記循環経路において循環する水の一次貯留を行うとともに前記気液混合水を導入して気液分離を行う気液分離器としての役割をも担っており、本実施形態の水素・酸素発生装置100は、当該給水タンク7の上部から気液分離された酸素ガスを大気放出させるための第九配管部L9を有している。
より詳しくは、前記水補給装置8は、定量ポンプP2が設けられた第十配管部L10を通じて給水タンク7に水を補給すべく水素・酸素発生装置100に備えられている。
例えば、前記セパレータ2や前記ドレントラップ3に接続されている前記第一配管部や第二配管部などをはじめとして、全ての配管部(L1〜L10)については、金属管や合成樹脂管などの管体や継手といった一般的な配管形成用部材によって形成させることができ、管体や継手のサイズや材質については、流通させる水やガスの種類や量によって適宜選択可能である。
そして、本実施形態の水素・酸素発生装置100は、セパレータ2を小型化させることが容易で、且つ、ドレントラップ3からの排水のための制御も複雑ではないことから当該制御のための機器類の設置も省略させることができる。
なお、本実施形態においては、酸素側が大気圧である場合について記述しているが、本発明は、酸素側が高圧に維持された水素・酸素発生装置にも適用することができる。
まず、前記給水経路に配した循環ポンプP1によって給水タンク7から水を前記水電解装置1に供給し、該水電解モジュール10での電気分解による分解生成ガスとして前記陽極側10aに酸素ガスを発生させるとともに前記陰極側10bに水素ガスを発生させる。
ここで、前記陽極側において水の循環経路を形成させつつ前記電気分解を継続的に実施させ前記水電解モジュール10から発生する酸素ガスと多量の水とを含んだ気液混合水を前記給水タンク7に返送させ、該給水タンク7で気液分離を実施させる
このセパレータ2では、水素ガスから分離・集合させた水を前記第二配管部L2を通じてドレントラップ3に自然移動させつつ水分を除去した水素ガスを一次除湿装置4に供給すべく下流側第一配管部L12に向けて排出する。
そしてドレントラップ3では、当該ドレントラップ自体が有する機能を利用し、所定以上に水が貯留された場合に自動的に水を排出させる。
一方で前記水素ガスについては、これを一次除湿装置4の凝縮器で冷却することにより凝縮水の形で水分を除去して一次除湿ガスとし、該一次除湿ガスを第五配管部L5を通じて吸着塔などに供給して該吸着塔でさらに除湿・乾燥させ、最終的な製品ガス(乾燥水素ガス)とすることができる。
そして、このことにより凝縮器や吸着塔での負荷が軽減され、効率良く製品ガスを形成させることができる。
2 セパレータ
3 ドレントラップ
4 一次除湿装置(凝縮器)
L1 第一配管部
L2 第二配管部
L3 第三配管部
L4 第四配管部
100 水素・酸素発生装置
Claims (3)
- 固体高分子電解質膜によって仕切られた陽極側と陰極側との内の陽極側に水が供給され、該水が電気分解されて分解生成ガスとして陰極側に水素ガスを発生させるとともに陽極側に酸素ガスを発生させる水電解モジュールが備えられ、
該水電解モジュールの前記陰極側からは、前記固体電解質膜を通過して前記陽極側から移動した水を含む水素ガスが発生され、
該水素ガスを除湿する除湿装置、
該除湿装置と前記水電解モジュールとを接続し、前記除湿装置への前記水素ガスの移動経路となる第一配管部、
前記第一配管部の途中に設けられ、該第一配管部を通じて移動する前記水素ガスに含まれている前記水が水素ガスから分離されるセパレータ、
該セパレータで分離された水が前記セパレータから導入されるドレントラップ、及び、
前記セパレータから前記ドレントラップへの前記水の移動経路となる第二配管部、がさらに備えられており、
前記セパレータは、当該セパレータに水素ガスを導入する前記第一配管部よりも水素ガスの流速を低下させるべく水素ガスの流路の断面積が第一配管部よりも広く形成されており、且つ、第一配管部から導入された水素ガスが衝突される部材を備え、
前記ドレントラップは、セパレータからの前記水の移動が自然移動となるように前記第二配管部によって前記セパレータと連通されており、且つ、前記第二配管部とは別の第三配管部によって前記セパレータ又は前記第一配管部と連通されていることを特徴とする水素・酸素発生装置。 - 前記セパレータよりも上流側の第一配管部と前記ドレントラップとが前記第三配管部によって連通されている請求項1記載の水素・酸素発生装置。
- 前記ドレントラップは、フロートが所定位置以上に浮上することで開弁状態となって水が自動的に排出されるフロート式ドレントラップである請求項1又は2記載の水素・酸素発生装置。
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