JP6046457B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
該固形分成分は、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂とを含有し、
該溶媒成分は、グリコールエーテルを溶媒成分100質量%中に13質量%以上、50質量%以下含有し、
該塗布層は、ポリエステルメラミン樹脂を主たる構成成分とし、
該塗布層の厚みが100nm以上、5μm以下であって、
積層フィルムを150℃60分で熱処理する前後のヘイズ変化量ΔHzが1.0%以下である、積層フィルム。
2. 上記1に記載の積層フィルムを製造するに際して、
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、固形分成分と溶媒成分とからなる塗液を塗布、乾燥、硬化して塗布層を形成する製造方法であって
該固形分成分は、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂とを含有し、
該溶媒成分は、グリコールエーテルを溶媒成分100質量%中に13質量%以上、50質量%含有する、製造方法。
3. 上記乾燥の温度が100〜200℃で、時間が10秒〜2分である、上記2に記載の製造方法。
本発明の積層フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片方の面に、塗布層を有するものである。
以下、本発明を構成する各構成成分について詳述する。
本発明におけるポリエステルフィルムは、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよいが、機械的特性や熱的特性の点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
本発明における塗布層は、ポリエステルメラミン樹脂を主たる構成成分としてなる塗布層である。ここで「主たる構成成分」とは、塗布層の質量を基準として50質量%以上がポリエステルメラミン樹脂からなる態様を指す。本発明においては、かかる構成の採用、および後述する特定の溶媒成分の採用によりΔヘイズを低減することができる。Δヘイズ低減の観点から、塗布層中におけるポリエステルメラミン樹脂の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
なお、本発明においてポリエステルメラミン樹脂とは、後述するポリエステル樹脂とメラミン樹脂とを混合して、反応、硬化して得られた樹脂を指す。
ポリエステルメラミン樹脂を構成するポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価ヒドロキシ化合物成分とからなるポリエステルである。かかる多価カルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸に由来する成分を挙げることができる。また、5−Naスルホイソフタル酸等のスルホン酸塩基を有するジカルボン酸に由来する成分を共重合成分として含むと、得られるポリエステル樹脂が熱水或いは溶剤に溶解し易くなるため好ましい。また、多価ヒドロキシ化合物成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA・アルキレンオキシド付加物等に由来する成分を挙げることができる。ポリエステル樹脂は、これらの多価カルボン酸成分と多価ヒドロキシ化合物成分とからなる共重合ポリエステルであることが、塗布層とポリエステルフィルムとの密着性を高く適切なものにすることができるため好ましい。
かかるポリエステル樹脂は常法により製造することができる。
本発明におけるメラミン樹脂としては、例えばメチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチル化尿素メラミン樹脂等を用いることができる。ポリエステル樹脂に対するメラミン樹脂の混合比率は、ポリエステル樹脂の合計量100質量部に対してメラミン樹脂を10〜200質量部の比率で混合することが好ましい。より好ましくは20〜100質量部、さらに好ましくは30〜50質量部、特に好ましくは40〜45質量部である。混合比率がこの範囲にあることで、後述する塗布層の緻密性をより高くすることができるためか、オリゴマー析出抑制効果により優れる。
本発明においては、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂との架橋反応の触媒として、例えばパラトルエンスルホン酸ソーダ等の酸性触媒を使用できる。
本発明における塗布層は、上述したポリエステル樹脂とメラミン樹脂とから形成されるポリエステルメラミン樹脂を主たる構成成分とするものであるが、その他の成分として、上記ポリエステル樹脂およびメラミン樹脂以外のバインダー樹脂を含有することができる。かかるバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエ−テル樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができ、特にアクリル樹脂が好ましい。
本発明における塗布層においては、本発明が規定するオリゴマー封止効果を実現できる範囲においては、無機微粒子、有機微粒子、光増感剤、レベリング剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、染料等を加えることができる。
本発明における塗布層の厚みは、0.1μm以上、5μm以下である。これによりオリゴマー析出抑制効果を高くすることができる。かかる観点から、好ましくは0.15μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、また、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.8μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.3μm以下である。厚みが0.1μm未満であるとオリゴマー析出抑制の向上効果が低くなる傾向にある。他方5μmを超える塗布層は、均一な膜を得難くなる傾向にあり、塗布外観が悪くなる傾向にあり、光学用途に適さなくなる。
以下、本発明に用いられるポリエステルフィルムの製造方法について一例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。
まず、十分に乾燥したポリエステルをTm+10℃ないしTm+30℃(ただし、Tmはポリエステルの融点)の温度で溶融し、シート状に押出し、冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとする。次いでこれを予熱した後、TgないしTg+70℃の温度(ただし、Tgはポリエステルのガラス転移温度)で縦方向に好ましくは2.5〜5.0倍、さらに好ましくは3.0〜4.0倍で延伸する。そして、好ましくは縦延伸の後、横延伸の前に、易接着層を形成するための塗液を塗布して易接着層を形成することができる。次いでステンターに投入し、予熱した後、TgないしTg+70℃の温度で横方向に好ましくは2.5〜5.0倍、さらに好ましくは3.0〜4.0倍で延伸した後に、(Tg+60℃)〜Tmの温度で熱固定し、好ましくは熱収縮率を調整するために熱弛緩処理することによって、ポリエステルフィルムを得ることができる。
本発明の積層フィルムは、塗布層を形成するための塗液(以下、単に塗液と呼称する場合がある。)を、ポリエステルフィルム上の積層したい側の表面に塗布し、乾燥し、硬化することにより得ることができる。
本発明において、かかる塗液は、固形分成分と溶媒成分とからなる。ここで固形分成分は、上述した塗布層を形成する成分である。より具体的には、本発明における塗液は、溶媒成分に、固形分成分としてのメラミン樹脂とポリエステル樹脂、好ましく添加される触媒やバインダー樹脂、および任意に添加してもよいその他の添加剤を添加し、混合した溶液である。各成分の添加にあたっては、粉体等の固体として添加してもよいし、固体を適当な溶媒を用いて溶液あるいは分散体の態様としたものを添加してもよい。
塗液の固形分濃度としては、1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%がさらに好ましい。塗液の固形分濃度が上記の範囲にあることで、オリゴマー析出抑制効果を塗布層で均一に発現することができる。
本発明においては、上記のような特定の溶媒を採用した上で、同時に上記のごとく好ましい塗液の固形分濃度および乾燥条件を採用することを、本発明が規定するオリゴマー抑制効果を得るための特に好ましい達成方法として挙げることができる。
(ヘイズ)
本発明における積層フィルムのヘイズは、好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.7%以下、特に好ましくは0.5%以下である。また、150℃1時間の熱処理前後でのヘイズ変化量(Δヘイズ)は、好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.2%以下である。ヘイズおよびΔヘイズがこの範囲にあるとクリア感が十分であり、様々な光学用途基材に適する。
なお、ヘイズの測定方法については、JISK7361−1に準じて測定することができる。
フィルムを長手方向2mm、幅方向2cmに切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)にて包埋した。包埋されたフィルムをミクロトーム(LEICA製ULTRACUT UCT)で幅方向に垂直に切断、5nm厚の薄膜切片にした。透過型電子顕微鏡(日立S−4300)を用いて、加速電圧100kVにて観察撮影し、写真から塗布層の厚みを測定した。
フィルムは任意に取り出した3枚について、スガ試験機(株)製のヘイズメーターHCM−2B(JIS K7136に準拠)を用いて測定を行った。この3枚の平均値を処理前ヘイズ(単位:%)とした。
熱処理は、上記で測定した3枚のフィルムを150℃1時間の乾燥機中に入れ、取り出し室温まで冷却後、測定を行い、3枚の平均値を熱処理後のヘイズ(単位:%)とした。
Δヘイズは下記式で算出した。
Δヘイズ(%)=熱処理後ヘイズ−熱処理前ヘイズ
<基材フィルムおよび易接着層>
基材となるポリエステルフィルムとして、易接着層を有する、厚み38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。
ここで、易接着層は、以下の構成成分からなる。
ポリエステル:ジカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸65モル%/イソフタル酸30モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている。Tg=80℃、数平均分子量Mn13000。
架橋剤:メチルメタクリレート30モル%/2−イソプロペニル−2−オキサゾリン30モル%/ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリレート10モル%/アクリルアミド30モル%で構成されている。Tg=50℃。
微粒子:シリカフィラー(平均粒子径100nm)(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスZL)
脂肪族ワックス:カルナバワックス(中京油脂(株)製、商品名:セロゾール524)
界面活性剤:ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成社製、商品名:ナロアクティーN−70)
得られた塗液を、フィルムの製造工程(常法の逐次二軸延伸PETフィルムの製造工程)において、縦一軸延伸工程の後、横延伸工程の前において両面にインラインコーティングすることにより、ドライ厚み0.15μmの易接着層を両面に形成した。
基材フィルムには、固有粘度0.65dl/g(o−クロロフェノール中35℃)のポリエチレンテレフタレートを、縦方向に105℃で3.4倍、横方向に125℃で4.0倍で延伸し、温度220℃で10秒間熱固定して得られた二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた。なお、かかる二軸延伸ポリエステルフィルムには、実質的に粒子が含有されていない(10ppm以下)。
ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社 バイロン240、数平均分子量15,000)を70質量部(固形分重量部)、メラミン樹脂(三和ケミカル株式会社 ニカラックNS−11)30質量部(固形分重量部)、パラトルエンスルホン酸の50質量%イソプロピルアルコール溶液5質量部を混合し、次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を、最終的な塗液において溶媒成分100質量%中に15質量%となるよう添加し、トルエンで希釈して固形分濃度15質量%の塗布層を形成するための塗液を得た。
ロールコーターを用いて、上記で得られたポリエステルフィルムの両表面に、乾燥・硬化後の膜厚みが250nmとなるように、上記で得られた塗布層を形成するための塗液を均一に塗布し、150℃で1分間の条件で乾燥・硬化させ積層フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
PGMEAの添加量および塗布層の厚みを表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様の方法にて積層フィルムを得た。評価結果を表1に示す。
Claims (3)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、グリコールエーテルを含有する固形分成分と溶媒成分とからなる塗液を塗布、乾燥、硬化して形成されてなる塗布層を有する積層フィルムであって、
該固形分成分は、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂とを含有し、
該溶媒成分は、グリコールエーテルを溶媒成分100質量%中に13質量%以上、50質量%以下含有し、
該塗布層は、ポリエステルメラミン樹脂を主たる構成成分とし、
該塗布層の厚みが100nm以上、5μm以下であって、
積層フィルムを150℃60分で熱処理する前後のヘイズ変化量ΔHzが1.0%以下である、積層フィルム。 - 請求項1に記載の積層フィルムを製造するに際して、
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、固形分成分と溶媒成分とからなる塗液を塗布、乾燥、硬化して塗布層を形成する製造方法であって
該固形分成分は、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂とを含有し、
該溶媒成分は、グリコールエーテルを溶媒成分100質量%中に13質量%以上、50質量%含有する、製造方法。 - 上記乾燥の温度が100〜200℃で、時間が10秒〜2分である、請求項2に記載の製造方法。
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