JP6046159B2 - 熱間等方圧加圧キャニスタのための端板、熱間等方圧加圧キャニスタ、および熱間等方圧加圧法 - Google Patents

熱間等方圧加圧キャニスタのための端板、熱間等方圧加圧キャニスタ、および熱間等方圧加圧法 Download PDF

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Description

技術の背景
本開示は、一般に熱間等方圧加圧に関する。本開示の一定の態様はキャニスタおよび熱間等方圧加圧のための方法に関する。
熱間等方圧加圧は、しばしば「HIP」と省略されて言及される製造工程であり、大型のシリンダを含み、これに限定されないが、大型の粉末冶金物品に用いられている製造過程である。熱間等方圧加圧は、従来、粉末キャニスタの中に金属および合金の粉末を粉末キャニスタ鍛造圧体に固めて、圧縮鍛錬して、円筒形やその他のビレット形状にするために用いられている。熱間等方圧加圧工程によって、金属の機械的特性とその後の鍛造およびその他の工程の作業性が改善される。
典型的な熱間等方圧加圧工程には、粉末化した金属および/または粉末化した合金(「冶金粉末」)を、粉末とそれを囲む加圧媒体との間の圧力障壁として機能する柔軟な膜または密封したキャニスタの中に詰め込むことが含まれている。加圧媒体は液体、またはより一般的なものとしては、アルゴンのような不活性ガスがある。キャニスタが使用される熱間等方圧加圧工程では、粉末充填済みキャニスタが加圧室に置かれ、キャニスタの中の冶金粉末が金属結合を形成する温度まで加熱される。室は加圧され、高圧および高温で維持される。キャニスタが変形し、キャニスタ内部の冶金粉末が圧縮される。等方圧加圧の利用により、冶金粉末全体を通じて均等な成形加圧が可能となり、固化成形物中で均質な密度分布が得られる。
熱間等方圧加圧キャニスタは、キャニスタ内部に入れる冶金粉末から所望の圧縮形状を形成するための円筒状あるいはその他所望する形状にすることができる。従来の熱間等方圧加圧キャニスタの設計の1つが、図1Aのキャニスタ100として略図的に示されており、それは1つの円筒形スチール製壁部と平坦なあるいは段付きの端板を含んでいる。図1Bは、熱間等方圧加圧キャニスタ100の一部の中心軸を通る断面の略図的表示である。熱間等方圧加圧キャニスタ100には、本体部102および本体部102の各端部に溶接ビード106によって固定される平坦な端板104が含まれている。充填ステム108は、端板104を介して固定され、本キャニスタ100に冶金粉末が充填され、本キャニスタ100から空気が排出されるように構成されている。ひとたび、キャニスタ100に冶金粉末が充填され、空気がキャニスタ100から排気されると、キャニスタ100は密閉される。密閉は、充填ステム108を圧着するか、またはキャニスタ100の内部と外部環境を遮断するその他の手段によって達成される。本本体部102、端板104、充填ステム108は、通常、軟鋼もしくはステンレス鋼から製造される。
従来の熱間等方圧加圧キャニスタの設計には、いくつかの欠点がある。例えば、従来の円筒形熱間等方圧加圧キャニスタの製造後に、その内部を清掃することが難しい。また、従来の円筒形熱間等方圧加圧キャニスタでは、冶金粉末が充填ステムを介して本キャニスタ内に入った後では、それを水平に動かすのが困難となり、冶金粉末をキャニスタ内に完全に充填することができない場合がある。いくつかの熱間等方圧加圧キャニスタの設計は、キャニスタ充填の改善および排気効率の向上のために複数の充填ステムを含んでいる。しかしながら、追加的な充填ステムを含めるとことは、経費を増大させ、熱間等方圧加圧中に起こりうるキャニスタ故障の個所を増やし、しかも通常、真空排気効率はほんの少ししか改善されない。端板を介して充填ステムを固定する溶接部(および端板を本キャニスタ本体に固定する)は、局所的なひずみによって、熱間等方圧加圧固化中に非常に大きな応力下に置かれることになり、粉末充填の問題対処のために複数の充填ステムを含めることは、熱間等方圧加圧固化中の結合不良の危険性を増大させることになる。また、複数の充填ステムを含む従来のキャニスタ設計では、すべてのステムが冶金粉末で充填されていることを確保し、しかも固化中のステム崩壊を防止するために、熱間等方圧加圧中に反転させなければならず、それによって、作業員の危険性が増大し、一部損傷の機会が作り出されることになる。
したがって、改良された熱間等方圧加圧キャニスタ設計の必要性がある。そのような設計は、本キャニスタ上に追加的な充填ステムを含む必要がなく、従来のキャニスタ設計に関連する粉末充填問題を対処することが好ましい。
本開示の非限定的な態様の1つは、熱間等方圧加圧キャニスタの端板に関するものである。本端板は、中央領域と、中央領域から放射状に延在し端板の外周近くの角部で終了する主領域とを備えている。角部がキャニスタの本体部と嵌合するように構成された外周リップを含んでいる。端板の厚さが中央領域から角部にかけて増加して、テーパ角を画定している。角部の内表面が半径に囲まれた部を含み、それにより主領域がリップに滑らかに移行している。
本開示のもう1つ別の非限定的な態様は、熱間等方圧加圧粉末材料のためのキャニスタに関するものである。熱間等方圧加圧キャニスタは、円形の第1の端部と円形の第2の端部とを含む円筒本体部を備えている。第1の端板が本体部の円形の第1の端部に溶接される。第2の端板が本体部の円形の第2の端部に溶接される。第1の端板は、中央領域と中央領域から放射状に延在し、第1の端板の外周近くの角部で終了する主領域とを備えている。角部がキャニスタの本体部の円形の第1の端部と嵌合するように構成された外周リップを含んでいる。第1の端板の厚さが中央領域から角部にかけて増加してテーパ角を画定している。角部の内表面が半径に囲まれた部を含み、それにより主領域がリップに滑らかに移行している。第1の端板は、さらに充填ステムを備えており、それを通じて、粉末が熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積に導入される。
本開示のさらにもう1つ別の非限定的な態様は、熱間等方圧加圧粉末材料のための方法に関するものである。本方法は、円形の第1の端部と円形の第2の端部とを含む円筒本体部を備えている熱間等方圧加圧キャニスタを提供することを含んでいる。第1の端板が本体部の円形の第1の端部に溶接される。第2の端板が本体部の円形の第2の端部に溶接される。第1の端板は、中央領域と中央領域から放射状に延在し、第1の端板の外周近くの角部で終了する主領域とを備えている。角部がキャニスタの本体部の円形の第1の端部と嵌合するように構成された外周リップを含んでいる。第1の端板の厚さが中央領域から角部にかけて増加してテーパ角を画定している。角部の内表面が半径部を含み、それにより主領域がリップに滑らかに移行している。第1の端板は、さらに充填ステムを備えており、それを通じて、粉末が熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積に導入される。少なくとも1つの冶金粉末が、充填ステムを介して熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積に導入される。充填ステムを介して熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積から空気が排出される。充填ステムは、外部環境から内部体積を密閉するために圧着され、それによって熱間等方圧加圧キャニスタが熱間等方圧加圧される。
本開示のさらにもう1つ別の非限定的な態様は、熱間等方圧加圧冶金粉末によって形成されるビレットに関するものである。熱間等方圧加圧されたビレットは、熱間等方圧加圧中に形成される少なくとも1つの実質的に平坦な端面を備えている。実質的に平坦な端面により、熱間等方圧加圧後のビレットの端面の機械加工の必要性が減少または排除される。非限定的な実施形態の1つにおいては、ビレットがニッケル基超合金を含んでいる。
本明細書に記載されている製造方法および製造物品の特徴および利点については、以下の添付図面を参照することで理解を深めることができる。
平坦な端板を含む従来の円筒形の熱間等方圧加圧キャニスタの略図である。 図1Aの従来の円筒形の熱間等方圧加圧キャニスタの一部領域の断面略図であり、その断面は縦軸に沿って、端板とキャニスタ本体の一部を貫通している。 アーチ状の端板を含む熱間等方圧加圧キャニスタの一部領域の断面略図である。 従来の平坦な端板を含む冶金粉末が充填された熱間等方圧加圧キャニスタの一部領域に熱間等方圧加圧中に発生した応力を表示している。 本開示による熱間等方圧加圧キャニスタのテーパ状の端板の非限定的な実施形態の断面略図である。 図4Aに示されているテーパ状の端板の角部領域の細部表示である。 本開示による熱間等方圧加圧キャニスタのテーパ状端板の実施形態の一部領域における熱間等方圧加圧中に発生した応力を表示している。 本開示による熱間等方圧加圧キャニスタの非限定的な実施形態の断面略図である。 本開示による熱間等方圧加圧法の非限定的な実施形態の工程フロー図式である。 本開示による熱間等方圧加圧冶金粉末により形成された実質的に平坦な端面を含む缶状のビレットの非限定的な実施形態の断面略図である。 本開示による熱間等方圧加圧キャニスタ用の円筒形のAISIT−304ステンレススチール製の端板の非限定的な実施形態の断面詳細図である。 図9Aの点線円で囲まれた部分の拡大図である。 本開示によるRR1000ニッケル基超合金粉末を固結するために使用された熱間等方圧加圧処理の非限定的な実施形態の温度時間グラフである。 本開示によるRR1000ニッケル基超合金粉末を固結するために使用された熱間等方圧加圧処理の非限定的な実施形態の圧力時間グラフである。 本開示の非限定的な実施形態による熱間等方圧加圧キャニスタの写真である。
閲覧者は、本開示による以下の非限定的な実施形態の詳細な記述を思慮するときには、前述の記述とその他の真価を認めるであろう。
本明細書に開示されているいくつかの実施形態の記述によっては、開示されている実施形態の明確な理解にふさわしい要素、特徴および様態のみを示すために単純化されており、明確化のために、その他の要素、特徴および様態が削除されていることが理解されるべきである。当業者は、開示されている実施形態の本記述を考慮して、開示されている実施形態のうち特定の実施および適用にはその他の要素および/あるいは特徴が必要とされる場合があると認識するであろう。しかしながら、そのようなその他の要素および/あるいは特徴については、当業者が開示された実施形態の本記述を考慮すれば、容易に確かめられ、実施されることから、すなわち、開示されている実施形態の完全な理解が必要とされていないことから、そのような要素および/あるいは特徴は本明細書では提示されていない。したがって、本明細書に明記されている本記述は、実施形態の単なる例示および実例であり、請求項によってのみ定義される本発明の範囲を制限するためのものではないことを理解すべきである。
非限定的な実施形態についての本記述においては、動作例または別段の表記がない限り、数量または特徴を表示するあらゆる数字は、「約」という意味によって、あらゆる場合において修正されるものとして理解すべきである。したがって、これと逆の指摘がなければ、以下の記述に明記されている数字的変数は近似値であり、本開示に従った主題の中で得られる所望の特性に応じて変化する場合がある。少なくとも、および請求項の範囲に対する均等論の適用に制限を試みるわけではなく、本明細書に提供されている数字的変数は、少なくとも報告されている有効桁数の数字に鑑み、および一般的な端数処理により解釈されるべきである。
また、本明細書で引用されている数的範囲は、そこに組み込まれているあらゆる部分範囲を含むことが意図される。例えば、「1」から「10」の範囲は、引用されている最低数値である1と引用されている最大数値である10との間(およびそれらの数値を含む)のあらゆる部分範囲を含んでいることが意図され、すなわち1以上の最小値および10以下の最大値を有している。本明細書で引用されているいかなる最大の数的制限もそこに組み込まれているそれより小さい数字をすべて含んでおり、いかなる最小の数的制限についてもここに組み込まれているあらゆるそれより大きい数字を含んでいることが意図される。したがって、本出願人は、特許請求の範囲を含め、本明細書に明示的に引用されている範囲内に組み込まれているあらゆる部分範囲を明示的に引用するために、本開示を修正する権利を保留する。すべてのこのような範囲は本来的に本明細書に開示されるためのものであり、組み込まれたあらゆる部分範囲の修正は、米国特許法第112条の第1項および米国特許法第132条(a)の要件に従うものである。
本明細書で使用されている文法的な冠詞「1つの(one)」、「a」、「an」、および「the」は、別段の指摘がない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を含んでいることが意図される。したがって、本明細書で使用されている冠詞については、その冠詞の文法的な対象物のうちの1つまたは1つ超(すなわち、少なくとも1つ)を示している。事例として、「部材」は、1つ以上の部材であり、したがって、本明細書の実施形態の実施において、1つを超える部材が考えられ、それが用いられるか、もしくは使用されることがある。
本開示には、様々な実施形態の記述が含まれている。本明細書に記載されているすべての実施形態は例示であり、例証であり、しかも非限定的であることを理解すべきである。したがって、本発明は、様々な例示、例証、および非限定的な実施形態によって制限を受けない。むしろ、本発明は、特許請求の範囲によってのみ定義され、本開示の中で明示的にあるいは本来的に記述されあるいは本開示によって別段で明示的または本来的に支持されているあらゆる特徴を引用して、修正される場合がある。
前述のように、従来の熱間等方圧加圧キャニスタ設計にはいくつかの欠点がある。従来のキャニスタ設計に関連する熱間等方圧加圧工程中の困難性に加えて、従来の熱間等方圧加圧キャニスタを使用して形成されたビレットに欠点がある場合がある。例えば、ビレットのひずみ速度依存性亀裂により、熱間等方圧加圧で製造されたある種のニッケル基超合金ビレットを鍛造することが難しくなる場合がある。本発明人は、鍛造中のビレット亀裂が、熱間等方圧加圧キャニスタの隣接域、すなわち端板がキャニスタの本体部に移行する場所で形成されたビレットの鋭角な角部で生じることを観測した。アーチ型またはドーム形状の端板を提供することで、この亀裂現象を軽減することができる。図2は、ドーム形状の端板112を含む例示的な熱間等方圧加圧キャニスタ110の断面略図である。本発明人は、ドーム形状端板の高強度により、ドームは熱間等方圧加圧中に平坦にならず、固結体の端面が平坦な表面になることが妨げられ、最終的には固結ビレット上に凹状端面が生じると判断した。熱間等方圧加圧後の鍛造のような後工程では、平坦な端面を有するビレットが必要となる。従って、凹状端面は機械的に平坦にされなければならない。これにより、材料の大きな損失が生じ、比較的安価なスチール合金の熱間等方圧加圧については許容できるかもしれないが、ニッケル基超合金およびその他の非常に高価な合金の場合には費用が掛かることがある。さらに、ドーム状の端板の製造は、端板材料の必要量と関連する機械加工経費により、費用が掛かる。
熱間等方圧加圧工程中に、冶金力は固結され、高温と等方圧加圧の適用を通じて完全な密度まで高密度化される。熱間等方圧加圧キャニスタは固結中に崩壊する。熱間等方圧加圧中には、キャニスタ上のひずみは全体的に均一であるが、角部のようなキャニスタの一部領域は、より高い応力下にあり、局所的に高いひずみ下にある。例えば、もし端板がキャニスタ本体に移行する場所である角部領域で、熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積が冶金粉末によって完全に充填できなければ、その領域の局所的なひずみの度合いは激しくなり、結合不良ひいては冶金粉末の不完全な焼きしまりの原因となる場合がある。
図3は、従来の平坦な上部端板を含む冶金粉末充填済みの円筒形の熱間等方圧加圧キャニスタの一部領域で熱間等方圧加圧中に知見し計算されたひずみ水準(単位はパスカル)を表示している。図3は平坦な端板の角部を示しており、そこは端板がキャニスタの本体部の円形の端部と嵌合している場所であり、高い応力水準と局所的に高いひずみが経験されている。同図はまた、角部領域で知見された高い応力が、熱間等方圧加圧中にキャニスタ内に形成されたビレットの角部の範囲に移行していることを示している。熱間等方圧加圧中の固結ビレットの角部が受ける応力が、すえ込み鍛造中やその他の固結後工程中にビレットの割れを生じさせる場合がある。
本開示の1つの態様は、熱間等方圧加圧中にキャニスタが変形するときに熱間等方圧加圧キャニスタの角部領域における応力集中を減少させる熱間等方圧加圧キャニスタの端板設計に関するものである。図4Aは、本開示の非限定的な実施形態による円形の端板210の中心を通る断面略図である。端板210は外面212と内面214を備えている。内面214は、熱間等方圧加圧キャニスタの内表面の一部領域を形成し、そこに端板210が固定される。外面214は、熱間等方圧加圧キャニスタの外表面の一部領域を形成している。端板210は、また中央領域216を備えており、そこは非限定的な実施形態の中では通常、一定の厚さ(すなわち、本実施形態では、外面212と内面214との間の距離は、通常中央領域216では一定である。)である。ある非限定的な実施形態では、中央領域216の一定の厚さは、約0.25インチから約1インチ、または約0.5インチの範囲内にある。いくつかの非限定的な実施形態では、外面212に沿って計測された中央領域216の直径が、約0.25インチから約1インチ、または約0.5インチの範囲内にある。いくつかの非限定的な実施形態では、中央領域216が、端板210を通る穴を含んでおり、その穴は外面212と内面214の間を通過し、熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積へ達することを可能にしている。
引き続き図4Aに表示されているように、端板210は、さらに中央領域216から放射状に延在し、円形の端板210の円形の縁部222の周辺まで完全に延在して角部220で終了する主領域218を含む。いくつかの非限定的な実施形態では、端板210の外面212の直径が、約1インチから約30インチの範囲内、もしくは約5インチから約25インチ、あるいは約20.6インチの範囲内にある。図4Aに示されているように、中央領域216から主領域を介して角部220まで端板210の厚さが増加している。端板210の中央からの距離が増加するにしたがって主領域218の端板210の厚さが増加し、テーパ角θを画定する。ある端板210の非限定的な実施形態では、テーパ角が、約3度から約15度の範囲内、もしくは約5度から約10度、または約8度の範囲内にある。図4Aに示されている端板210の非限定的な実施形態では、外面212は、実質的に平坦であり、テーパ角が縁部222の方向に外面212から離れる内面214の下方向の傾斜により形成される。
図A4と図4Bに表示されているように、角部220は、熱間等方圧加圧キャニスタの円筒形の本体部(ここでは示されていない)の円形の面部と嵌合するために構成された形状を有する縁部リップ224を含んでいる。角部220は、半径状の内表面領域226を含んでおり、それによって、中央領域218が縁部リップ224に向かって滑らかに移行(すなわち、鋭角な稜部や角部がない移行)する。端板210のいくつかの非限定的な実施形態では、半径状の内表面領域226が、約0.5インチから約3.0インチ、または約2.0インチの範囲内の半径を有する円形の断面を有することがある。しかしながら、内表面領域226の半径は、一般的に熱間等方圧加圧キャニスタの大きさによって決められることは理解されるであろう。角部220の半径状の内表面領域226は、図5に示されならびに後述されるが、端板上の角部領域およびキャニスタの垂直壁にかけて応力を拡散させる働きをする。そうでない場合には、固結したビレットは高い残存応力を有する鋭角な角部を含むことがある。鋭角な角部を含む熱間等方圧加圧ビレット端面部の一部が、ビレットの鍛造加工またはその他の加工の前に、機械で取り除かれなければならず、結果的に高価な合金金属の無駄になってしまう。
本開示による熱間等方圧加圧キャニスタの端板に関して、半径状の内表面領域226は、円形の断面を有する必要はなく、主領域218から縁部リップ224に向かって円滑に移行し、熱間等方圧加圧中に角部220で知見される応力を拡散させる断面形状であればよいと理解すべきである。湾曲した内表面領域226のその他の可能性のある断面の非限定的な事例として、例えば、円形および楕円形の形状が含まれる。
本開示による非限定的な実施形態において、端板210の縁部リップ224は、端板210の縁部の周辺まで延在した面取り部228を含んでいる。面取り部228は、端板210を熱間等方圧加圧キャニスタの本体部(示されていない)に固定するための溶接ビード(示されていない)を受け入れるように構成されている。非限定的な実施形態の1つにおいて、面取り部228は、約0.125インチから約0.25インチの範囲内の面取り幅を有し、約30度から約60度、または約45度の範囲内の面取り角を形成するために、端板210の軸に対して角度をなしている。
本開示による非限定的な実施形態の1つにおいて、端板210は、さらに少なくとも1つの充填ステム230を備えている。少なくとも1つの充填ステム230は、端板210に固定され、熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積に粉末材料を導入できるように構成されている。充填ステム230は、また熱間等方圧加圧固結の前に、熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積からガスを除去することを可能にしている。非限定的な実施形態において、1基の充填ステム230が、端板210の中央領域216を介して形成された穴の周辺に溶接されている。1基の充填ステム230が図4Aの端板210の中央領域に示されているが、端板中の他の位置にも1基以上の充填ステムを配置することが可能であり、充填ステムは端板の中央位置に含まれる必要はない。そのような各充填ステムは、端板が固定される熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積との流体連通を提供すべきである。
端板210の非限定的な実施態様の1つにおいて、端板210は1基のみの充填ステム230を含んでいる。キャニスタに冶金粉末を充填する効率を高めるために、従来の端板には複数の充填ステムが使用されている。冶金粉末は、粉末を使ったキャニスタの振動積込中に、円錐状に残ってしまう傾向にある。この傾向により、充填ステムを介して熱間等方圧加圧キャニスタに冶金粉末を導入して、それを水平方向外側に移動させて、キャニスタの全体領域にまで充填させることが困難になる。テーパ角を含むように設計された端板210は、冶金粉末を熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積に完全に充填する可能性を向上させている。端板210の角部220の内表面領域226の半径状部もまた、内部体積への冶金粉末の完全な充填をより確実にする一助となっている。テーパ状の設計と端板210の半径状の内表面領域によって、熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積の外側稜部にまで冶金粉末の流入が促進され、冶金粉末とキャニスタ内部壁部との間の間隙がなくなることがより確実となる。
端板210の単一充填ステム230のような熱間等方圧加圧キャニスタ上に1基のみの充填ステムを含むことは、充填中または熱間等方圧加圧中にキャニスタを裏返す必要性を排除する。単一充填ステムキャニスタ設計は、冶金粉末の位置測定のための侵入棒としても活用できる。従来の複数ステム熱間等方圧加圧キャニスタ端板を使った場合には、これが不可能となり、熱間等方圧加圧前にキャニスタを物理的に裏返さなければならない。キャニスタの重量とキャニスタの損傷の危険性により、冶金粉末が充填された大型の熱間等方圧加圧キャニスタを裏返すことは難しい。さらに、各充填ステムは必然的にキャニスタを通過する追加的な地点となり、熱間等方圧加圧工程中の加圧時にキャニスタ故障となる恐れのある追加的な地点となる。
本発明人は、例えば、端板210に含まれているテーパ状の構成を含む端板設計が、追加的な便益を提供する可能性のあることを発見した。そのような便益の1つが、熱間等方圧加圧時の歩留まりの向上の可能性である。従来の平坦な端板を含む熱間等方圧加圧キャニスタを使用して、凹状の端面を有する熱間等方圧加圧ビレットを生産すると、鍛造前に機械加工で平坦な面にしなければならない。本開示による端板の実施形態では、平坦な端面を有するビレット、あるいは少なくとも従来の平坦な端板を使って製造されたビレットよりも平坦な(凹部が少ない)ビレットを生産することができる。従って、本明細書で熟考されている端板とキャニスタの設計の実施形態を利用することで、アップセット鍛造前の熱間等方圧加圧ビレット上に平坦な端面を提供するための熱間等方圧加圧後の機械加工の必要性の減少または排除が可能となる。熱間等方圧加圧後の機械加工の必要性を減少させることで、経費と時間が減少し、そしてまた、一部欠陥の原因となりうる加工工程の必要性を排除することができる。本明細書の端板設計はまた、平坦な端板を使用する場合に比べ、固結が側面の動きに関与する度合いが強くなるために、熱間等方圧加圧ビレットの角部領域の強度を高めることができる。
テーパ状の内面と半径状の内表面を含む角部とを含む本明細書で熟考されている端板とキャニスタの設計の実施形態を利用することで、キャニスタの内部の清浄度を向上することもできる。冶金粉末製品の仕様によっては、熱間等方圧加圧工程中のキャニスタ内表面に非常に高い清浄度が必要とされる場合がある。本明細書に開示されている端板設計の中に、清掃中および水あるいは粉末洗浄中にキャニスタの内部体積からの排水が容易になるものがあることが分かっている。
熱間等方圧加圧キャニスタの端板は通常、最終部分の洗浄性を向上させるために、電解研磨される。テーパ状の内面と半径状の内表面を含む角部とを含む本明細書で熟考されている端板は、より均等に電解研磨されることが観測されている。本開示による端板の一部の実施形態のテーパ状でしかも半径状の内表面が、キャニスタの洗浄度を向上させ、加工効率を高めている。
本開示によるいくつかの端板実施形態の追加的な利点は、テーパ状で半径状の表面を含む設計が熱間等方圧加圧固結中の端部表面のくぼみを減少させることである。端板のテーパ状のドーム形状および丸い角部が、角部領域の強度を増し、固結が側面の動きに関与する度合いが強くなる。生成された平坦端部固結ビレットは、その後の成形処理中のアップセット鍛造が容易になる。
端板210のような本開示によるいくつかの端板実施形態の角部の半径状内表面が、熱間等方圧加圧固結中に熱間等方圧加圧キャニスタの端板と本体部との間の溶接結合部上に生じる応力集中を減少させている。図1Aおよび1Bに示されているように、従来の平坦な端板の角部は、通常熱間等方圧加圧キャニスタの本体部の端部に直接溶接されている。図3に示されているように、従来の設計における溶接継ぎ目には応力が集中し、熱間等方圧加圧キャニスタの振動積込中またはその後の熱間等方圧加圧固結中に、溶接部の断裂およびキャニスタの割れが生じる場合がある。
図5は端板210の方法で構築された端板を含む熱間等方圧加圧キャニスタによって知見され計算された応力を表示している。図5は、端板の半径状の角部の応力が集中せず、むしろ図3で検討されている従来の平坦な端板の角部に見られる応力の集中に比べて、広く空間的に分布していることを示している。さらに、図5で検討されている実施形態における溶接継ぎ目(端板の面取り部における縁稜部上に位置する)の周辺では、高いレベルの応力の集中がない。従って、半径状の内表面を含むテーパ状の内面および角部を含む本開示による端板実施形態は、端板角部における応力集中を減少させ、その代わりに、固結ビレットに応力を配分し、端板とキャニスタ本体部との間の溶接継ぎ目領域における応力の集中を減少させ、そして、平坦なまたはより平坦な端面を有し、ビレット上に平坦な端面を提供するための鍛造前の機械処理の必要性を削減または排除する熱間等方圧加圧ビレットを提供することを可能にするものと考えられる。
いくつかの非限定的な実施形態において、本開示による端板は低炭素鋼、軟鋼、またはステンレス鋼から構成あるいはこれを備えるものである。特定の実施形態においては、本開示による端板はAISI T−304ステンレス鋼(UNS S30400)で製造されている。その他の非限定的な実施形態では、本開示による端板は、限定されていないが、ALLOY 600(UNS N06600)、ALLOY 625(UNS N06625)、およびALLOY 718(UNS N07718)から選択された合金のようなニッケル基超合金から構成あるいはこれを備えるものである。しかしながら、本開示による端板は、熱間等方圧加圧キャニスタ内に含まれる冶金粉末と相性がよく、熱間等方圧加圧工程での使用に適切な特性を有している金属または合金で製造することができることを理解すべきである。非限定的な実施形態では、端板の少なくとも1つの一部が電解研磨され、電解研磨仕上げ部を有しており、これによって、熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積の粉末充填性が促進され、洗浄性が向上する。もう1つ別の非限定的な実施形態においては、本開示による端板の表面の粗さが約125RMS(二乗平均平方根)を超えていない。端板の内表面の面の粗さを減少するために有効な技術であれば、キャニスタの内部体積の粉末充填性および/あるいは洗浄性を高めることができる。
本開示により作られた端板は、一般的に円形および熱間等方圧加圧キャニスタの円筒形の本体部に適合するように構成される場合がある。しかしながら、本開示による端板は、提供されることになる熱間等方圧加圧キャニスタの本体部に適合するために設計されるあらゆる形状にすることができる。全体的な形状に関係なく、本開示によるそのようないずれの端板の実施形態も、本明細書に記述されているテーパ状の内面および/あるいは角部の半径状の内表面という特徴を実施することになる。
図6に表示されているように、本開示の別の態様は粉末材料を熱間等方圧加圧するキャニスタに関するものである。図6は、本開示による熱間等方圧加圧キャニスタ300の非限定的な実施形態の断面を描写している。キャニスタ300は、例えば円筒状あるいはその他の適切な形状を有する本体部302を備えている。キャニスタ300は、本明細書に記述されているテーパ状の内面と半径状の内表面を含む角部を含んで、本開示により作られた第1の端板304を備えている。端板304は、本体部302の円形の第1の端部306に溶接される。端板304は、例えば、前述の図4Aおよび図4Bに示されている端板210の設計を有することができる。端板304は、キャニスタ300の引き上げおよび移動をはかどらせるために構成された少なくとも1基の吊金具307を含めることができる。
図4A、図4B、および図6に表示されているように、熱間等方圧加圧キャニスタ300は、図4Aおよび図4Bを参照して、外面212、内面214、および中央領域216を備えた端板304を含んでいる。非限定的な実施形態において、中央領域216は均一な厚さとなる場合がある。特定の非限定的な実施形態においては、中央領域216の均一な厚さは、約0.25インチから約1.00インチ、または約0.5インチの範囲内にすることができる。非限定的な実施形態では、中央領域216の直径は、約0.25インチから約1.00インチ、または約0.5インチの範囲内にすることができる。もう1つ別の非限定的な実施形態では、中央領域216は、端板の穴を画定している。1つの非限定的な実施形態では、第1の端板304は、熱間等方圧加圧キャニスタ300の円筒形の本体部302の円形の端部と嵌合するために円形とすることができる。しかしながら、上述のように、本開示による端板は、熱間等方圧加圧キャニスタの特定の本体部の形状と嵌合するために適切となるあらゆる一般的な形状を有することができる。
引き続き図4A、図4B、および図6に表示されているように、第1の端板210、304は、さらに、中央領域216から放射状に延在し、かつ端板の円形の縁部222の周りの角部220で終了する主領域218を含んでいる。非限定的な実施形態の1つによれば、第1の端板304は、約1.0インチから約30インチの範囲内、もしくは約5インチから約25インチ、または約20.6インチの範囲内の直径を有することができる。外面212は実質的に平坦であるが、端板210の厚さは中央領域216から角部220にかけて増加し、それによってテーパ角θが画定されている。いくつかの非限定的な実施例形態では、テーパ角は、約3度から約15度の範囲内、もしくは約5度から約10度、または約8度の範囲内にすることができる。角部220は、本体部302の円形の第1の端部と嵌合するために構成された縁部リップ224を含んでいる。角部220は、主領域218と縁部リップ224との間を滑らかに移行するために、半径状の内表面226を有している。いくつかの非限定的な実施形態において、半径状部分は、約0.5インチから約3.0インチ、または約2.0インチまでの半径となる。
本開示による非限定的な実施形態において、端板210、304の縁部リップ224は、面取り部228を含んでいる。面取り部228は、熱間等方圧加圧キャニスタ300の本体部302に端板210,304を溶接するための溶接ビードを受け入れるために構成されている。1つの非限定的な実施形態では、面取り部228は、約0.125インチから約0.25インチの面取り長さ、ならびに約30度から約60度、または約45度の範囲内の面取り角を備えることができる。
いくつかの非限定的な実施形態において、本開示による端板、充填ステム、キャニスタ本体部は、低炭素鋼、軟鋼、またはステンレス鋼で構成され、またはこれを備えている。特定の実施形態においては、本開示による端板、充填ステム、キャニスタ本体部は、AISI T−304ステンレス鋼(UNS S30400)で製造されている。その他の非限定的な実施形態においては、本開示による端板は、限定されていないが、ALLOY 600(UNS N06600)、ALLOY 625(UNS N06625)、およびALLOY 718(UNS N07718)のようなニッケル基超合金で構成され、またはこれを備えている。しかしながら、本開示による端板は、充填ステム、およびキャニスタは、熱間等方圧加圧キャニスタ内に含まれる冶金粉末と相性がよく、熱間等方圧加圧工程での使用に適切な特性を有している金属または合金で製造することができることを理解すべきである。
図7に表示しているように、本開示の追加的な態様は、冶金粉末を熱間等方圧加圧する方法400に関するものである。この方法は本開示による設計を有する熱間等方圧加圧キャニスタを提供すること402を備えている。例えば、前述のように、熱間等方圧加圧キャニスタは図6に示されている設計とすることができる。1つの非限定的な実施形態においては、熱間等方圧加圧キャニスタは、円形の第1の端部と円形の第2の端部とを含む円筒形の本体部を含むことができる。第1の端板が円筒形の本体部の円形の第1の端部に溶接される。第1の端板は、中央領域と、中央領域から放射状に延在し、かつ端板の円形の縁部の周りの角部で終了する主領域を含んでおり、主領域の角部は、キャニスタ本体部と嵌合するために構成された縁部リップを含んでいる。端板の厚さは、中央領域から角部にかけて増加して、テーパ角を画定し、角部の内表面は半径部を含んでおり、それによって、主領域が縁部リップに滑らかに移行している。充填ステムが、第1の端板に取り付けられ、キャニスタの内部体積との流体連通を可能にするように構成されている。第2の端板が、円筒形の本体部の円形の第2の端部に溶接される。再び図7に表示されているように、方法400は、充填ステムを介してキャニスタに、例えば、ニッケル基超合金粉末のような、少なくとも1つの冶金粉末を配置すること404を備えている。空気が充填ステムを介してキャニスタから排出される406。十分な量の空気がキャニスタから排出された後で、キャニスタを密閉するために、充填ステムは圧着され408、もしくは密閉される。空気排出済のキャニスタ内の冶金粉末は、熱間等方圧加圧ビレットを提供するために従来の手法により、熱間等方圧加圧される410。
非限定の略図による事例が図8に示されているように、本開示によるもう1つ別の態様は、本開示による方法の非限定的な実施形態に従って製造された熱間等方圧加圧粉末金属部分またはビレット500に関するものである。図8は、本開示による変形したキャニスタ502に未だに詰められているビレット500の断面を描写している。ビレット500は少なくとも1つの実質的に平坦な端面504を備えている。非限定的な実施形態においては、熱間等方圧加圧粉末金属ビレット500は、ニッケン基超合金を備えている。機械加工および/または酸洗いによりキャニスタ502の撤去後、例えば、ビレット500は、アップセット鍛造あるいはその他のビレット加工の前に、平坦な端面504にするためのさらなる機械加工をほとんどあるいはまったく必要としない。もう1つ別の非限定的な実施形態においては、熱間等方圧加圧粉末金属ビレット500は、冶金分野の当業者にとっては周知の組成であるROLLS Royce RR1000合金、ALLOY 10合金および低炭素ASTROLOY合金のうちの少なくとも1つを含んでいる。当技術分野で周知のように、RR1000は、重量パーセントで、次のようなわずかな組成を有している:Ni55%、Cr14.5%、Co16.5%、Mo4.5%、残りはNi。ALLOY 10は米国特許第6,890,370号に開示されており、本明細書の参照にそのまま組み込まれている。ALLOY 10は、重量パーセントで、次のような組成範囲を有している:Co14.0〜18.0%、Cr10.0〜11.5%、Al3.45〜4.15%、Ti3.60〜4.20%、Ta0.45〜1.5%、Nb1.4〜2.0%、C0.03〜0.04%、B0.01〜0.025%、Zr0.05〜0.15%、Mo2.0〜3.0%、W+Re4.5%,残りはNi。好ましい実施形態においては、ALLOY 10のMo/(W+Re)比は0.25から0.5の範囲内となる。別の実施形態においては、ALLOY 10がレニウムを含んでいないときには、Mo/(W)比が0.25から0.5の範囲内となる。当技術分野で周知のように、低炭素ASTROLOYは、重量パーセントで、次のような組成を有している:Al3.85〜4.14%、B0.015〜0.0235%、C0.020〜0.040%、Cr14.0〜16.0%、Co16.0〜18.0%、Mo4.50〜5.50%、Ni52.6〜58.3%、Ti3.35〜3.65%。
以下の事例は、本発明の範囲を制限することなく、さらに非限定的な実施形態においては、実施形態を記述している。当業者は、以下の事例の変形が、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲内で可能であることが分かるであろう。
実施例1
図9Aおよび図9Bの図式に従って2つの熱間等方圧加圧キャニスタが作られた。端板は3.5インチのAISI T−304ステンレス鋼板を機械加工して作られた。端板は、実質的に表面の欠陥はなく、表面の粗さは125RMSであった。端板の1つは直径1.002インチの1つの中央の穴を含むように機械加工された。各端板の重量は161ポンドであった。
実施例2
本開示の実施形態に従った熱間等方圧加圧キャニスタは次のように製造された。厚さ0.5インチ幅62.75インチのAISI T−304ステンレス鋼板がサブマージアーク溶接によって、外径24.28インチを有する円筒形のキャニスタ本体が形成された。すべての溶接作業が米国機械学会ボイラー・圧力容器基準に従って行われた。溶接された側部継目が溶接完全性を確認するためにX線検査された。実施例1の端板は、熱間等方圧加圧キャニスタを形成するために、ステンレス鋼製円筒部の各端部にTIG溶接された。端板のうち1つの中心に、1インチの穴が1つ開けられたが、第2の端板はそのままで、穴は開けられなかった。熱間等方圧加圧キャニスタに粉末を導入し、そこからガスを取り出すための充填ステムを提供するために、外径1.5インチ内径1.0インチ長さ13インチのT−304ステンレス鋼円筒が穴の縁部に溶接された。
実施例3
実施例2の熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積は、研磨布(フラップホイール、)で完全に洗浄され、脱イオン水ですすぎ落され、充填ステムを介してパージされた。キャニスタの内壁は、その後、電気化学的処理を使用して電解研磨され、脱イオン水ですすぎ落され、乾燥された。乾燥後、熱間等方圧加圧キャニスタに、5471.5ポンドのRR1000合金粉末が充填された。粉末充填済みの熱間等方圧加圧キャニスタは、脱ガス炉に置かれ、1Torr未満の圧力まで脱気し、その後充填ステムはキャニスタを密閉するために圧着された。キャニスタは、その後熱間等方圧加圧炉に置かれた。熱間等方圧加圧炉はアルゴンガスで加圧され、図10Aの温度時間グラフおよび図10Bの圧力時間グラフに従って加熱された。熱間等方圧加圧キャニスタが崩壊し、キャニスタ内の粉末が固形ビレットに固結する。熱間等方圧加圧後に、熱間等方圧加圧キャニスタおよび中にあった固結されたビレットが熱間等方圧加圧炉から取り出され、室温になるまで冷却された。図11は熱間等方圧加圧工程が終了した後の固結したRR1000合金ビレットを含む熱間等方圧加圧キャニスタの写真である。
実施例4
熱間等方圧加圧後に、実施例3で製造された固結ビレットを含む熱間等方圧加圧されたキャニスタは室温まで冷却される。キャニスタは、分解されRR1000合金を外に出すために、塩化水素または硫酸で酸洗することができる。合金ビレットの端部は、同じ手法で従来の熱間等方圧加圧されたキャニスタを使った熱間等方圧加圧工程で製造されたビレットの端部と比べより平坦になっている。
本記述は、本発明の明確な理解に関係する本発明の態様を説明していると理解すべきである。ある態様は当業者にとっては明白であり、従って、本記述を簡単にするために、本発明の理解を深めることにならないことについては開示されていない。本発明の限られた数の実施形態のみが本明細書に記載されているが、当業者であれば、上述の記載を考慮すれば、本発明についての多くの部分的改造および変形が利用できることが分かる。そのような部分的改造および変形は上述の記載および以降の特許請求の範囲に入っていることが意図される。

Claims (22)

  1. 熱間等方圧加圧キャニスタの端板であって、
    中央領域と、
    前記中央領域から放射状に延在し、前記端板の外周近くの角部で終了する主領域と、を備え、前記角部が前記キャニスタの本体部と嵌合するように構成された外周リップを含み、
    前記端板の厚さが前記中央領域から前記角部にかけて増加してテーパ角を画定し、
    前記角部の内表面が半径部を含み、それにより前記主領域が前記外周リップに滑らかに移行することを特徴とする端板。
  2. 実質的に平坦な外面と、
    内面と、をさらに備え、前記テーパ角が、前記中央領域からの距離が増すに従って、前記主領域の前記外面と前記内面との間の距離が増すことにより画定される、請求項1に記載の端板。
  3. 前記外周リップが、前記端板を熱間等方圧加圧キャニスタの本体部に溶接するための溶接ビードを受け入れるように構成された面取り部を備える、請求項2に記載の端板。
  4. 少なくとも1つの充填ステムをさらに備え、前記端板が熱間等方圧加圧キャニスタの本体部に固定されるときに、前記少なくとも1つの充填ステムが熱間等方圧加圧キャニスタの内部体積との流体連通を可能にするように構成される、請求項2に記載の端板。
  5. 前記端板が1基の充填ステムのみを含む、請求項4に記載の端板。
  6. 前記端板が低炭素鋼、軟鋼、およびステンレス鋼のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の端板。
  7. 前記端板の少なくとも一部が電解研磨仕上げを備える、請求項2に記載の端板。
  8. 前記端板が熱間等方圧加圧キャニスタの円筒本体部と固定されるように構成される、請求項2に記載の端板。
  9. 粉末材料を熱間等方圧加圧するためのキャニスタであって、
    円形の第1の端部と円形の第2の端部とを含む円筒本体部と、
    前記円筒本体部の前記円形の第1の端部に溶接される第1の端板であって、
    中央領域と、
    前記中央領域から放射状に延在し、前記端板の外周近くの角部で終了する主領域と、を備え、前記角部が前記本体部と嵌合するように構成された外周リップを含み、
    前記端板の厚さが前記中央領域から前記角部にかけて増加してテーパ角を画定し、
    前記角部の内表面が半径部を含み、それにより前記主領域が前記外周リップに滑らかに移行する、第1の端板とし、
    前記円筒本体部の前記円形の第2の端部に溶接される第2の端板と、を備えるキャニスタ。
  10. 前記第1の端板が、
    実質的に平坦な外面と
    内面と、をさらに備え、前記テーパ角が、中央領域からの距離が増すに従って、前記主領域の前記外面と前記内面との間の距離が増すことにより画定される、請求項9に記載の粉末材料を間等方圧加圧するためのキャニスタ。
  11. 前記第1の端板の前記外周リップが、前記第1の端板を前記キャニスタの前記円筒本体部の前記円形の第1の端部に溶接するための溶接ビードを受け入れるように構成された面取り部をさらに備える、請求項9に記載の粉末材料を熱間等方圧加圧するためのキャニスタ。
  12. 前記第1の端板が少なくとも1つの充填ステムをさらに備え、前記第1の端板が前記キャニスタの前記円筒本体部の前記円形の第1の端部に溶接されるときに、前記少なくとも1つの充填ステムが前記キャニスタの内部体積との流体連通を可能にするように構成される、請求項9に記載の粉末材料を熱間等方圧加圧するためのキャニスタ。
  13. 前記第1の端板が1基の充填ステムのみを含む、請求項12に記載の粉末材料を熱間等方圧加圧するためのキャニスタ。
  14. 前記第1の端板が低炭素鋼、軟鋼、およびステンレス鋼のうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項9に記載の粉末材料を熱間等方圧加圧するためのキャニスタ。
  15. 前記第1の端板の少なくとも一部が電解研磨仕上げを備える、請求項9に記載の粉末材料を熱間等方圧加圧するためのキャニスタ。
  16. 前記第2の端板が、
    中央領域と、
    前記中央領域から放射状に延在し、前記端板の外周近くの角部で終了する主領域と、を備え、前記角部が前記キャニスタの本体部と嵌合するように構成された外周リップを含み、
    前記端板の厚さが前記中央領域から前記角部にかけて増加してテーパ角を画定し、
    前記角部の内表面が半径部を含み、それにより前記主領域が前記外周リップに滑らかに移行する、請求項9に記載の粉末材料を熱間等方圧加圧するためのキャニスタ。
  17. 粉末材料を熱間等方圧加圧する方法であって、
    熱間等方圧加圧用のキャニスタであって、
    円形の第1の端部と円形の第2の端部とを含む円筒本体部と、
    前記円筒本体部の前記円形の第1の端部に溶接される第1の端板であって、
    中央領域と、
    前記中央領域から放射状に延在し、前記端板の外周近くの角部で終了する主領域と、を備え、前記角部が前記キャニスタの本体部と嵌合するように構成された外周リップを含み、
    前記端板の厚さが前記中央領域から前記角部にかけて増加してテーパ角を画定し、
    前記角部の内表面が半径部を含み、それにより前記主領域が前記外周リップに滑らかに移行する、第1の端板と、
    前記第1の端板に取り付けられる充填ステムであって、前記キャニスタの内部体積との流体連通を提供する、充填ステムと、
    前記円筒本体部の前記円形の第2の端部に溶接される第2の端板と、を備える、キャニスタを提供することと、
    前記充填ステムを介して前記キャニスタに少なくとも1つの冶金粉末を配置することと、
    前記充填ステムを介して前記キャニスタから空気を排出することと、
    前記キャニスタを密閉するために前記充填ステムを圧着することと、
    熱間等方圧加圧ビレットを提供するために前記キャニスタを熱間等方圧加圧することと、を含む、方法。
  18. 前記キャニスタの前記第1の端板が、
    実質的に平坦な外面と、
    内面と、を備え、前記テーパ角が、前記中央領域からの距離が増すに従って、前記主領域内の前記外面と前記内面との間の距離が増すことにより画定される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記キャニスタの前記第1の端板の前記外周リップが、
    前記第1の端板を前記キャニスタの前記円筒本体部の前記円形の第1の端部に溶接するための溶接ビードを受け入れるように構成された面取り部をさらに備える、請求項17に記載の方法。
  20. 前記冶金粉末がニッケル基超合金粉末である、請求項17に記載の方法。
  21. 前記冶金粉末がROLLS Royce RR1000合金粉末、ALLOY 10合金粉末、および低炭素ASTROLOY合金粉末のうちの1つである、請求項17に記載の方法。
  22. 前記第2の端板が、
    内面をさらに備え、前記テーパ角が、前記中央領域からの距離が増すに従って、前記主領域の前記外面と前記内面との間の距離が増すことにより画定される、請求項16に記載の粉末材料を熱間等方圧加圧するためのキャニスタ。
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