JP6045197B2 - 発泡性エアゾール製品 - Google Patents

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本発明は、整髪剤などとして用いられるフォーム状組成物を噴出する発泡性エアゾール製品に関するものである。
発泡性エアゾール製品は、スパウトが装着されたバルブ付き容器に、界面活性剤などを含有する原液及び液化石油ガスなどの噴射剤を充填したものが一般的である。使用時に、発泡性エアゾール製品から噴射剤と共に噴出させた原液は、泡(フォーム)となる。
上記のようなフォームは、洗顔料や毛髪化粧料として用いられる。例えば、特許文献1には、高級脂肪酸塩、シリコーン、及びポリウレタンを配合原料とし、整髪剤、トリートメントなどの毛髪化粧料に用いられるフォーム状組成物が開示されている。そして、このフォームは、同文献の記載によれば、伸びが良く毛髪に均一な皮膜を形成して、毛髪に良好なハリ、コシ及びボリューム感を与え、ゴワつかず、しなやかさ付与の特徴を有するものとされている。
特開2009−280527号公報
ところで、原液に含有させる界面活性剤の量を多くした場合には、フォームの木目細かさや原液の乳化安定性が向上する傾向にある反面、フォームが消え難くなる。このような消え難いフォームが求められることもあるが、その一方で、フォームの用途によっては、消え易さが求められる場合がある。
本発明は、上記事情に鑑み、消え易さを向上させたフォームを噴出する発泡性エアゾール製品の提供を目的とする。
本発明者等が鋭意検討を行った結果、高級脂肪酸系アニオン界面活性剤を含有する原液、及び噴射剤を容器に充填して製造される発泡性エアゾール製品において、その原液に所定のヒドロキシ酸エステルをも配合すれば、その容器から噴出されるフォームの消え易さが向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る発泡性エアゾール製品は、原液及び噴射剤が充填された容器を有するものであって、前記原液が、(a)高級脂肪酸系アニオン界面活性剤、並びに(b)乳酸と一価アルコールとのエステル、及びリンゴ酸と一価アルコールとのジエステルから選ばれた一種又は二種以上のヒドロキシ酸エステルを含有するものであることを特徴とする。
本発明に係る発泡性エアゾール製品の使用において、前記原液及び噴射剤を前記容器から噴出させて生じたフォームを、毛髪に塗布して用いると良い。上記の通り原液はヒドロキシ酸エステルを含有するから、フォームの毛髪へのなじみが良好となる。
前記(a)高級脂肪酸系アニオン界面活性剤を構成する高級脂肪酸の炭素数は、14以上20以下が良い。炭素数が14以上であると、整髪剤などの洗い流さない使用態様で用いられるフォームによる皮膚への刺激の抑制に良く、炭素数が20以下であると、フォームの感触を柔らかくするのに良い。
前記原液は、(c)ノニオン界面活性剤を含有するものが良い。(c)ノニオン界面活性剤を(a)高級脂肪酸系アニオン界面活性剤と含有させることにより、原液の乳化及び当該乳化の安定性が良好となる。
本発明に係る発泡性エアゾール製品によれば、この製品における容器に充填される原液が(a)高級脂肪酸系アニオン界面活性剤と共に所定の(b)ヒドロキシ酸エステルを含有するものであるから、容器から噴出させて生じるフォームが消え易いものとなる。
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る発泡性エアゾール製品は、原液と噴射剤が充填された容器を有するものである。
(原液)
本実施形態の発泡性エアゾール製品における原液は、水相に油相を分散させたO/Wエマルションであって、(a)高級脂肪酸系アニオン界面活性剤、及び(b)ヒドロキシ酸エステルを必須成分とする。また、実使用上許容されるのであれば、公知の原液に配合されている原料と同じものを配合して、任意成分としても良い。なお、原液における水の量は、例えば70質量%以上である。
(a)高級脂肪酸系アニオン界面活性剤(以下、「成分(a)」と称することがある。)
成分(a)は高級脂肪酸のアニオンであり、当該アニオンの一種又は二種以上を原液に含ませるために、高級脂肪酸塩、並びに/又は、高級脂肪酸及びこれを中和するアルカリを配合する。
上記高級脂肪酸は、炭素数12以上の一価のカルボン酸である。その炭素数は、14以上20以下が良い。炭素数が14以上であると、皮膚に感じる刺激の抑制に良く、炭素数が20以下であると、フォームの感触を柔らかくするのに良い。
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の直鎖状飽和脂肪酸;イソステアリン酸等の分枝状飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸等の直鎖状不飽和脂肪酸が挙げられる。起泡性を高めるには、直鎖状飽和脂肪酸が良い。
原液に成分(a)を含ませるために用いる高級脂肪酸塩の形態としては、例えば、アルカリ金属塩、アミン塩である。そのアルカリ金属塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などである。また、アミン塩は、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩、ジイソプロパノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などである。
原液に成分(a)を含ませるために用いる高級脂肪酸の中和用アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アミン(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンなど)が挙げられる。
本実施形態の原液における成分(a)の量は、成分(a)を高級脂肪酸として換算したときに、0.5質量%以上5.0質量%以下が良く、1.0質量%以上4.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。0.5質量%以上であると、フォーム形成に好ましく、5.0質量%以下であると、フォームを柔らかくするのに好適である。
(b)ヒドロキシ酸エステル(以下、「成分(b)」と称することがある。)
乳酸と一価アルコールとのエステル(以下、「成分(b1)」と称することがある。)、及びリンゴ酸と一価アルコールとのジエステル(以下、「成分(b2)」と称することがある。)から選ばれた一種又は二種以上が、成分(b)として本実施形態における原液に含まれる。原液に界面活性剤を多く含ませると、フォームが固く、消え難くなる傾向があるが、成分(b)の含有により、その傾向が抑えられる。
成分(b1)を原液が含有する場合には、一種又は二種以上の成分(b1)を原液が含有すると良い。成分(b1)を構成するための一価アルコールは、直鎖状飽和アルコール又は分枝状飽和アルコールであるとよく、これら飽和アルコールの炭素数は、例えば6以上であり、12以上20以下であると良い。成分(b1)の例としては、例えば、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルドデシルが挙げられる。
成分(b2)を原液が含有する場合には、一種又は二種以上の成分(b2)を原液が含有すると良い。成分(b2)を構成するための一価アルコールは、直鎖状飽和アルコール又は分枝状飽和アルコールであるとよく、これら飽和アルコールの炭素数は、例えば6以上であり、12以上20以下であると良い。成分(b2)の例としては、例えば、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジエチルヘキシルが挙げられる。
本実施形態の原液における成分(b)の量は、成分(a)などの界面活性剤を多くすることによるフォームの柔軟性低下を抑制するために適宜設定した量であると良く、通常は、5.0質量%以下であると良く、0.1質量%以上2.0質量%以下が好ましく、0.2質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。成分(b)を5.0質量%以下にすることで、フォームの過剰な柔軟化を抑えることができ、成分(b)を0.1質量%以上にすることで、フォームの消え易さ、柔軟性、髪へのなじみに好適である。
任意成分
上記の通り、本実施形態の原液には、公知の原液に配合されている原料を配合して、成分(a)、(b)以外の成分として含ませても良い。そのような原料としては、公知の整髪剤に配合されるアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、多価アルコール、エステル油、油脂、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤などが挙げられる。
ノニオン界面活性剤(以下、「成分(c)」と称することがある。)の一種又は二種以上を本実施形態の原液に含有させることは、原液の乳化を安定化させるのに好適である。成分(c)としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。成分(c)の原液における量は、適宜設定されるべきものであるが、例えば0.3質量%以上5.0質量%以下である。
高級アルコールの一種又は二種以上を本実施形態の原液に含有させることは、フォームを木目細かくするのに好適である(後記直鎖状飽和アルコールを用いるのが、特に好適である。)。高級アルコールとして炭素数16以上22以下の一価アルコールを原液に含有させると良く、そのような高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;オクチルドデカノール、イソステアリルアルコールなどの分枝状飽和アルコールが挙げられる。高級アルコールを原液に配合する場合、その原液における量は、フォームを伸ばし易さを良好にするには、3.0質量%以下が良く、2.0質量%以下が好ましい。
pH
本実施形態の原液の20℃におけるpHは、成分(a)による乳化安定性と起泡性を高めるために、7.0以上が良く、7.5以上9.0以下が好ましく、8.0以上8.8以下がより好ましい。
(噴射剤)
噴射剤は、原液をフォームとして噴出させるために容器に充填するものである。
本実施形態の噴射剤は、公知の発泡性エアゾール製品に充填される噴射剤から選定した一種又は二種以上であると良い。その噴射剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタンなどを主成分とする液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガスが挙げられる。容器への噴射剤の充填量は、原液と噴射剤の全量に対して1質量%以上15%以下が良く、3質量%以上12質量%以下が好ましい。1質量%以上15質量%以下にすることで、起泡性とフォームの木目細かさが良好となる。
なお、DMEを噴射剤として用いる場合には、起泡性とフォームの弾力性を高めるため、LPGを併用するのが良い(この場合の噴射ガス全量におけるLPGの量は、30質量%以上が良く、50質量%以上がより好ましい。)。また、原液が酸性になると乳化が不安定になる傾向があるから、炭酸ガスなどの原液のpHを低下させるガスを充填する場合には、多量に含ませない方が良い。
(用途)
公知の発泡性エアゾール製品と同様の用途に、本実施形態の発泡性エアゾール製品を使用すると良い。整髪剤原料として公知のものを原液に配合した場合には、整髪剤用途に使用すると良い。例えば特開2012−56850号公報にも開示されている様に、パーマネントウェーブ処理によってウェーブ形状が付与された乾燥毛髪に塗布して用いれば、ウェーブ形状が明確となる。このように本実施形態の発泡性エアゾール製品によるフォームを毛髪に塗布したときには、成分(a)及び(b)を原液が含むから、毛髪へのフォームのなじみが良い。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
実施例及び比較例の発泡性エアゾール製品を製造し、これら製品から噴出させたフォームについての「消え易さ」と「髪へのなじみ」を評価した。詳細は、以下の通りである。
(発泡性エアゾール製品)
原液(詳細は後記)と、噴射剤であるLPGとを充填した実施例及び比較例の発泡性エアゾール製品を製造した。その充填における原液:噴射剤の質量比は、93:7とした。また、充填後の25℃での製品からの噴射圧を確認したところ、0.3MPaであった。
原液の調製は、70〜80℃で原料を配合した水相(水の配合量は、原液における55質量%程度)に、70〜80℃で原料を配合した油相を混合し、更に、水とメチルイソチアゾリノンを添加することにより行った。原液調製に用いた原料は、下記表1〜4の通り、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、プロピレングリコール、高級脂肪酸(ミリスチン酸及びイソステアリン酸の併用)、乳酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸イソステアリル、乳酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ミリスチルアルコール、PEG−4、ミツロウである。また、原液を100質量%としたときの原料の配合濃度は、下記表1〜4の通りである。
(フォームの「消え易さ」の評価)
実施例及び比較例の発泡性エアゾール製品のいずれかから噴出させたフォームを、両手の平の間で挟み、そのときのフォームの消え易さを比較評価した。ここでは、下記表1に示す実施例1及び比較例1a〜1dにおける比較では比較例1aを基準とし、下記表2に示す実施例2a〜2dにおける比較では実施例2aを基準とし、下記表3に示す実施例3a〜3bにおける比較では実施例3aを基準とし、下記表4に示す実施例4a〜4dにおける比較では実施例4bを基準とした。評価基準は、次の通りとした。
○:基準よりも柔軟性があり、消え易いフォームであった。
―:基準と同等の柔軟性、消え易さのフォームであった
×:基準より柔軟性がなく、消え難いフォームであった。
(フォームの「髪へのなじみ」の評価)
実施例及び比較例の発泡性エアゾール製品のいずれかから噴出させたフォームについて、毛髪に塗布したときのなじみを評価した。ここでは、上記「フォームの『消え易さ』の評価」と同様の比較を行った。評価基準は、次の通りとした。
○:基準よりも、フォームの消失が早く、髪へのなじみが良かった。
―:基準と同等の髪へのなじみであった。
×:基準よりも、フォームの消失が遅く、髪へのなじみが劣っていた。
下記表1〜4に、発泡性エアゾール製品の製造で使用した原液における原料の配合比と共に、同製品によるフォームを評価した結果を示す。
表1においては、成分(b)を含有する実施例1は、成分(b)を含有しない比較例1a〜1dよりも、全ての評価結果が良好であったことを確認できる。

Claims (4)

  1. 原液及び噴射剤が充填された容器を有する発泡性エアゾール製品であって、
    前記原液が、(a)高級脂肪酸系アニオン界面活性剤、並びに(b)乳酸と一価アルコールとのエステルを含有するものであり、
    前記原液における前記(a)高級脂肪酸系アニオン界面活性剤の量は、高級脂肪酸として換算したときに、0.5質量%以上5.0質量%以下であり、
    前記原液における前記(b)乳酸と一価アルコールとのエステルの量は、0.1質量%以上5.0質量%以下であり、
    前記原液及び噴射剤を前記容器から噴出させて生じるフォームが、毛髪に塗布する整髪剤として用いられることを特徴とする発泡性エアゾール製品。
  2. 前記(a)高級脂肪酸系アニオン界面活性剤を構成する高級脂肪酸の炭素数が、14以上20以下である請求項1に記載の発泡性エアゾール製品。
  3. 前記原液が、(c)ノニオン界面活性剤を含有するものである請求項1又は2に記載の発泡性エアゾール製品。
  4. 前記原液が、高級アルコールを含有するものである請求項1から3のいずれか1項に記載の発泡性エアゾール製品。
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