JP6044492B2 - Mo含有海綿鉄およびMo含有還元鉄粉の製造方法 - Google Patents

Mo含有海綿鉄およびMo含有還元鉄粉の製造方法 Download PDF

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本発明は、Mo含有海綿鉄およびMo含有還元鉄粉の製造に係り、特に粉末冶金用鉄粉として好適なMo含有還元鉄粉を製造する方法に関する。
従来、粉末冶金用鉄粉として用いられる海綿鉄は、サガーと呼ばれる耐熱容器内に円筒状を呈するように、酸化鉄を、固体還元剤に挟まれるように充填し、その耐熱容器をトンネル炉等に装入して加熱することにより、酸化鉄を粗還元して製造されている。
この海綿鉄は、Fe分が90〜97質量%であり、さらに高純度化のため粗粉砕されて、90メッシュ以下の粗還元鉄粒子とされ、水素で代表される非酸化性雰囲気中で仕上げ還元されて、最終的にFe分が99.5質量%以上の高純度の還元鉄粉とされる。一般に、酸化鉄としては、鉄鉱石やミルスケールが使用され、固体還元剤としては、コークス等の炭素質粉と石灰粉との混合物が使用されている。
また、海綿鉄を仕上げ還元して得られる還元鉄粉は、一般に、粒子形状が不規則形状でまた多孔質であり、成形性や焼結性に優れるため、粉末冶金用原料として、アトマイズ鉄粉とともに使用されている。
ここで、鉄基焼結体の前段となる粉末冶金用鉄基粉末成形体は、一般に、鉄基粉末に対し、銅粉、黒鉛粉などの合金用粉末と、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤とを混合して鉄基粉末混合粉とし、これを金型に充填して加圧成形することにより製造される。そして、鉄基粉末は、成分に応じて、鉄粉(例えば純鉄粉等)や、合金鋼粉等に分類される。また、製法による分類では、アトマイズ鉄粉や、上述した還元鉄粉等があり、これらの分類における鉄粉という単語は、合金鋼粉を含む広い意味で用いられる。
上述したような、通常の粉末冶金工程で得られる粉末冶金用鉄基粉末成形体の密度は、6.8〜7.3Mg/m3程度が一般的である。そして、この鉄基粉末成形体は、その後に焼結処理が施されて鉄基焼結体とされ、さらに必要に応じてサイジングや切削加工などが施されて、粉末冶金製品とされる。また、さらに高い強度が必要な場合は、焼結後に浸炭熱処理や光輝熱処理が施されることもある。
ここに、従来から、原料粉の段階で、合金元素を加えた粉末として、
(1)純鉄粉に各合金元素粉末を配合した混合粉、
(2)完全に各元素を合金化した予合金鋼粉、
(3)純鉄粉や予合金鋼粉の表面に、各合金元素粉末を部分的に拡散させた拡散付着合金鋼粉
等が知られている。
上記(1)に示した純鉄粉に各合金元素粉末を配合する混合粉は、純鉄粉並みの高圧縮性を確保できるという利点がある。しかしながら、各合金元素粉末の偏析が大きいため、特性のばらつきが大きく、また、合金元素がFe中に十分に拡散せず、不均質組織のままとなって効果的な基地強化を達成できないという問題があった。
このために、上記純鉄粉に各合金元素粉末を配合した混合粉は、近年の特性安定化、高強度化の要求に対応できずに、その使用量が減少してきている。
また、上記(2)に示した各元素を完全に合金化する予合金鋼粉は、溶鋼をアトマイズして製造するものであって、均質組織による基地強化が達成できるものの、固溶硬化作用による圧縮性低下が課題となっている。
さらに、上記(3)に示した拡散付着合金鋼粉は、純鉄粉や予合金鋼粉に各元素の金属粉末を配合し、非酸化性または還元性の雰囲気の下で加熱して、純鉄粉や予合金鋼粉の表面に各金属粉末を部分的に拡散接合して製造することから、上記(1)の鉄基混合粉および上記(2)の予合金鋼粉の良い点を組み合わせることができる。
したがって、合金元素の偏析を防止しながら、純鉄粉並みの高圧縮性を確保できると同時に、部分的な合金濃化相が分散する複合組織となるため、基地強化の可能性があり、高強度用の拡散付着合金鋼粉として開発が行われている。
このように、粉末冶金製品の強度、靭性を向上させるためには高合金化が考えられる。しかしながら、この合金化には、素材となる合金鋼粉が硬化して圧縮性が低下し、加圧成形における設備負担が増大するという問題が生じる。また、合金鋼粉の圧縮性の低下は、焼結体の密度低下を引き起こして高強度化を相殺することになる。すなわち、粉末冶金製品の強度、靭性を向上させるためには、圧縮性の低下を極力抑えつつ、焼結体を高強度化する技術が求められる。
上述したような、圧縮性を維持しつつ焼結体を高強度化する技術としては、焼入性を改善するNi,CuおよびMo等の合金元素を鉄基粉末に添加することが一般的に行われている。この目的に対して有効な元素として、例えば特許文献1では、Moを圧縮性が損なわれない範囲(Mo:0.1〜1.0質量%)で鉄粉に予合金元素として添加し、さらにこの鉄粉の粒子表面にCuとNiを粉末の形で拡散付着させることによって、圧粉成形時の圧縮性と焼結後の部材の強度を両立させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、鉄鋼粉表面に2種類以上の合金元素、特にMoとNi、あるいはさらにCuを拡散付着させた高強度焼結体用の粉末冶金用合金鋼粉が提案されている。
この技術では、さらに、各拡散付着元素について、粒子径:44μm以下の微粒粉に対する拡散付着濃度が、その鉄鋼粉全体に対する拡散付着濃度の0.9〜1.9倍の範囲内に収まるように制御することが提案されており、この比較的広い範囲への限定によって焼結体の衝撃靭性が確保されるとされている。
他方、Moを主たる合金元素として、NiやCuを含まないMo系合金鋼粉もこれまで提案されている。例えば、特許文献3では、自己拡散速度の速いFeのα単一相を形成して焼結を促進させるために、フェライト安定化元素であるMoを1.5〜20質量%の範囲で予合金として含む合金鋼粉が提案されている。この合金鋼粉は、加圧焼結という工程に粒径分布等を適合させることにより、高密度の焼結体が得られるとされ、また拡散付着型の合金元素を用いないことで、均質で安定した組織が得られるとされている。
同様に、Moを主たる合金元素とする粉末冶金用合金鋼粉として、特許文献4に開示の技術がある。この技術は、Mnを1.0質量%以下、あるいはさらにMoを0.2質量%未満、予合金として含有する鉄基粉末の表面に、Mo:0.2〜10.0質量%を拡散付着させた合金鋼粉を提案するものである。鉄基粉末は、アトマイズ鉄粉を用いても、また還元鉄粉を用いても良く、平均粒径は30〜120μmとするのが好適であるとされている。そして、この合金鋼粉は、圧縮性に優れるだけでなく、高密度かつ高強度の焼結部品を得ることができるとされている。
特公昭63−66362号公報 特開昭61−130401号公報 特公平6−89365号公報 特開2002−146403号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載された技術では、NiやCuを必須の添加成分とするが、NiやCuは、近年の環境対応やリサイクル性の観点からは不利な元素であり、できるだけ使用を避けることが望ましい。
また、特許文献3に記載された技術では、Mo添加量が1.8質量%以上と比較的高く、圧縮性が低いので、高い成形密度が得られないという欠点がある。このため、通常の焼結工程(加圧せず1回焼結)を適用した場合は低い焼結密度のものしか得られず、十分な強度、靭性が得られないという問題があった。
さらに、特許文献4に記載された技術で製造されたMo含有合金鋼粉は、Moをアトマイズ鉄粉あるいは還元鉄粉と混合し、熱処理することで製造するため、鉄粉の表面にしかMoが存在しないので、焼結体におけるMoの分布が偏ってしまい、結果的に、焼結体の十分な強度、靱性が得られないという問題が残されていた。
すなわち、発明者らの研究では、上記した特許文献1〜4に記載のいずれの合金鋼粉を用いた焼結体でも、強度と靭性を高いレベルで両立させるのは困難であることが分かった。
本発明は、上記した現状に鑑み開発されたもので、上記した従来技術の問題を有利に解決するために、鉄粉内でのMoの分布を均一にすることで、十分な強度と靱性を有する焼結体を得ることができる、Mo含有海綿鉄およびMo含有還元鉄粉の製造方法を提案することを目的とする。
発明者等は、上記した課題を解決し、上記目的を達成するために、海綿鉄の生成工程について鋭意検討した。その結果、酸化鉄が還元されて海綿状の鉄が生成する際に、酸化鉄とMoとを併せて存在させることが、Mo含有鉄粉におけるMoの均一分散性に極めて有利であることを見いだした。
本発明は、上記した知見に基づいて、さらに検討が加えられ完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.酸化鉄を、固体還元剤とともに耐熱容器に充填して加熱したのち、還元して海綿鉄とするに当たり、
上記耐熱容器に充填前の酸化鉄に対してMo含有粉末を混合して、前記酸化鉄粉末と前記Mo含有粉末とからなる混合粉とすると共に、該Mo含有粉末の混合を、該Mo含有粉末のMo換算質量と該酸化鉄のFe換算質量との合計量に対する該Mo換算質量が0.2〜10質量%の範囲で行うMo含有海綿鉄の製造方法。
2.前記1に記載の製造方法で得られるMo含有海綿鉄を、さらに粉砕したのち、還元性雰囲気中で仕上げ還元してMo含有還元鉄粉とすることを特徴とするMo含有還元鉄粉の製造方法。
本発明に従う粉末冶金用合金鋼粉によれば、NiやCuを用いる必要がなく、かつ圧縮性が高いので、通常の焼結法であっても、安価で高強度と高靭性を兼ね備えた焼結材を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明では、耐熱容器に、酸化鉄とMo含有粉末との混合物(以下、酸化鉄混合粉ともいう)および固体還元剤を充填する。この充填手順は常法に従えば良いが、たとえば、円筒状のサガーと呼ばれるSiC製の耐熱容器に、固体還元剤層に挟まれるように酸化鉄とMo含有粉末の混合物層を充填するのが好ましい。本発明では、酸化鉄として、ミルスケールあるいは鉄鉱石粉末が好適である。
Mo含有粉末としては、Moの純金属粉末をはじめとして、酸化Mo粉末、あるいはFeMo(フェロモリブデン)粉末などのMo合金粉末が有利に適合する。また、Moの化合物としては、Mo炭化物、Mo硫化物、Mo窒化物などを用いてもよい。
混合されるMo含有粉末のMo換算質量は、このMo換算質量と、混合される酸化鉄のFe換算質量との合計量に対する比率で、0.2〜10質量%の範囲とする。Mo含有粉末のMo換算質量比率が、0.2質量%未満では、Moの焼き入れ性向上効果が少なく、焼結体の強度向上効果も少ない一方で、Mo含有粉末のMo換算質量比率が、10質量%を超えると、焼き入れ性向上効果は飽和し、むしろ焼結体の組織の不均一性が高まるため、高い強度と靱性が得られなくなるからである。
従って、Mo含有粉末の混合は、このMo含有粉末のMo換算質量と混合される酸化鉄のFe換算質量との合計量に対し、Mo換算質量が0.2〜10質量%の比率で行うものとする。
一方、固体還元剤は、海綿鉄を製造する際に用いられるものであれば、特に制限はないが、石灰粉(CaCO3)と炭素質粉(C)との混合物を使用するのが好ましい。
ここで、石灰粉は、平均粒径が小さいほど短時間で分解し、CO2ガスの発生量を高めると同時に、プドワール反応を促進させることにもなって、還元反応の促進に有利となる。従って、石灰粉の平均粒径は、250μm以下とするのが好ましい。ここで、本発明における平均粒径とは、JIS Z 2510の乾式ふるい分けによる粒度試験方法で測定されるものである。なお、石灰粉の混合量は、固体還元剤の合計量(石灰粉と炭素質粉との合計量)に対し、5〜30質量%とするのが好ましい。
また、炭素質粉は、コークスあるいは無煙炭を用いるのが好ましく、これらの混合したものを使用しても何ら問題はない。なお、炭素質粉の平均粒径は小さいほど還元反応が促進される。このため、炭素質粉の平均粒径は、10mm以下とするのが好ましい。さらに、炭素質粉の混合量は、固体還元剤の合計量に対し、70〜95質量%とするのが好ましい。
上記したように、酸化鉄混合粉と固体還元剤とが充填された耐熱容器は、ついでトンネル炉等の加熱炉に装入されて、加熱される。なお、加熱条件は常法を用いることができるが、加熱温度は1000℃以上1300℃以下とするのが好ましい。
加熱温度が1000℃未満では、酸化鉄の還元が十分進まず、生成する海綿鉄の純度が低下する一方で、1300℃を超えると、粗還元と同時に進行する海綿鉄の焼結が過度に進んで硬くなり、その後の粗粉砕での電力消費量が増加したり、粉砕工具の損耗が著しくなったりと、製造コストが増加するからである。このため、加熱温度は1000〜1300℃の範囲とするのが好ましい。より好ましくは、1050〜1200℃である。
加熱によって固体還元剤から発生したCOガスにより、酸化鉄が還元され、酸化鉄の一次粒子の表面から鉄ウィスカーが成長し、それが絡み合うことによって海綿状構造になる。この鉄ウィスカーの成長と同時に、Moの鉄ウィスカーへの拡散が進行する。
加熱後、海綿鉄と固体還元剤とを分離して取り出す。取り出された海綿鉄は、仕上げ還元のため、90メッシュ以下程度にまで粉砕され、海綿鉄粒子となる。ついで、海綿鉄粒子は、還元性雰囲気の仕上げ還元炉中で仕上げ還元され、さらに粉砕されて、Mo含有還元鉄粉となる。
なお、Mo含有還元鉄粉の残部は鉄および不純物である。Mo含有還元鉄粉に含有される不純物としては、C、O、N、S等が挙げられるが、これらはそれぞれ、質量%で、C:0.02%以下、O:0.3%以下、N:0.004%以下、S:0.03%以下であれば特に問題はない。なお、Oは0.25質量%以下がより好ましい。
上記したMo含有還元鉄粉を原料として焼結体を製造する場合、黒鉛などの炭素粉末は、高強度化に有効であるので、加圧成形に先立ち、C換算で0.1〜1.0質量%を添加し、混合する。上記したC換算量は、混合後の合金鋼粉混合粉に対する質量比率である。
なお、目的に応じて特性を改善するための添加材を添加できることはいうまでもない。例えば、焼結体の強度を改善する目的で、Cu粉やNi粉の添加や、焼結体の切削性を改善する目的で、MnSなどの切削性改善用粉末の添加が例示される。
ここで、Cuは、鉄基粉末の固溶強化、焼入れ性向上により、焼結部品の強度を高める有用元素である。またCu粉は、焼結の際に溶融して液相となり、鉄基粉末の粒子を互いに固着させる作用もある。しかしながら、添加量が0.5%に満たないとその添加効果に乏しく、一方4.0%を超えると、焼結部品の強度向上効果が飽和するばかりでなく、切削性の低下を招く。したがって、Cu粉は0.5〜4.0%の範囲が好ましい。より好ましくは1.0〜3.0%の範囲である。なお、Cu粉の平均粒径は、50μm以下が好ましい。
また、Ni粉は、環境に影響を与えない程度、すなわち、鉄基合金粉末全体(100%)に対する比率で、0.5〜5%の範囲とすることが好ましい。他方、MnSなどの切削性改善用粉末は、従来公知の添加量、すなわち、鉄基合金粉末全体(100%)に対する比率で、0.1〜1%程度で良い。
さらに、本発明の粉末冶金用合金鋼粉を用いて焼結体を製造する際に好適な成形条件、焼結条件について説明する。
本発明の粉末冶金用合金鋼粉を用いた加圧成形に際しては、他に、粉末状の潤滑剤を混合することができる。また、金型に潤滑剤を塗布あるいは付着させて成形することもできる。いずれの場合であっても、潤滑剤として、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸リチウムなどの金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミドなどのアミド系ワックスおよびその他公知の潤滑剤のいずれもが好適に用いることができる。なお、潤滑剤を混合する場合は、粉末冶金用合金鋼粉:100質量部に対して、0.1〜1.2質量部程度とすることが好ましい。
本発明の粉末冶金用合金鋼粉を加圧成形するに際しては、400〜1000MPaの加圧力で行うことが好ましい。というのは、加圧力が400MPaに満たないと得られる成形体の密度が低くなって、焼結体の特性が低下する一方で、1000MPaを超えると金型の寿命が短くなって、経済的に不利になるからである。なお、加圧の際の温度は、常温(約20℃)〜約160℃の範囲とすることが好ましい。
また、本発明の粉末冶金用合金鋼粉の焼結は、1100〜1300℃の温度域で行うことが好ましい。というのは、焼結温度が1100℃に満たないと焼結が進行しなくなって、焼結体の特性が低下するからであり、一方、1300℃を超えると焼結炉の寿命が短くなって、経済的に不利になるからである。なお、焼結時間は10〜180分の範囲とすることが好ましい。
得られた焼結体には必要に応じて、浸炭焼入れ、光輝焼入れ、高周波焼入れおよび浸炭窒化処理等の強化処理を施すことができるが、強化処理を施さない場合であっても、本発明に従う粉末冶金用合金鋼粉を用いた焼結体は、従来の焼結体(強化処理を施さないもの)に比べて強度および靭性が改善されている。なお、各強化処理は常法に従って施せば良い。
主原料の酸化鉄粉末とMo含有粉末とを混合した混合粉:250kgと、副原料の固体還元剤:190kgを、円筒状サガー(SiC製耐熱容器)(φ:400mm×高さ:1800mm)に、副原料の固体還元層が主原料の酸化鉄混合粉層を挟むように充填した。
酸化鉄粉末は、ミルスケール粉末(平均粒径:90μm)および鉄鉱石粉末(平均粒径:90μm)を使用した。また、Mo含有粉末は、金属Mo粉末(平均粒径:10μm)、酸化Mo粉末(平均粒径:5μm)およびFeMo粉末(平均粒径:25μm)を使用した。上記した酸化鉄粉末およびMo含有粉末を、表1に示す混合比率で混合し主原料とした。なお、ミルスケール粉末は、熱間圧延工程で発生したスケールを乾燥し粉砕した粉末を使用した。
また、副原料である固体還元剤は、石灰粉(平均粒径:80μm)およびコークス(平均粒径:85μm)の混合物とした。石灰粉15質量%、コークス85質量%とし、予め均一に混合しておいたものを使用した。なお、本実施例における平均粒径は、JIS Z 2510の乾式ふるい分けによる粒度試験方法で測定した。
ついで、主原料および副原料を充填した耐熱容器(サガー)を、加熱炉(還元炉)に装入し、SiC製のサガー蓋をしたのち、1100℃まで昇温した。なお、昇温時間は20hとして保持時間を44hとし、保持後冷却した。続いて、得られた海綿鉄を、90メッシュ以下まで粗粉砕し、露点:40℃の水素雰囲気中で900℃×1hの仕上げ還元を施したのち、粉砕してMo含有還元鉄粉とした。
ここで、試料No.7の海綿鉄は、海綿鉄に酸化Mo粉末をMo換算で0.8質量%添加・混合し、同様の条件で仕上げ還元することによって、Mo含有還元鉄粉とした。
かかる手順を経て得られたMo含有還元鉄粉に対して、黒鉛:0.5質量%を添加し、合金鋼粉混合粉とした。ついで、この合金鋼粉混合粉:100質量部に対しエチレンビスステアリン酸アミドを0.6質量部添加し、V型混合機で15分間混合した。その後、密度7.0g/cm3に加圧成形して長さ:55mm、幅:10mm、厚さ:10mmの成形体を作製した。
この成形体に焼結を施して、焼結体とした。この焼結は、プロパン変成ガス雰囲気中にて、焼結温度:1130℃、焼結時間:20分の条件で行った。
かくして得られた焼結体を、引張試験用に平行部径:5mmの丸棒引張試験片に加工した。また、シャルピー衝撃試験用には、得られた焼結体を、焼結したままの形状で、カーボンポテンシャル:0.8mass%でガス浸炭(保持温度:870℃、保持時間:60分)した後、焼入れ(60℃、油焼入れ)と焼戻し(180℃、60分)を行ったものを用いた。
これらの焼結体をJIS Z 2241で規定される引張試験およびJIS Z 2242で規定されるシャルピー衝撃試験によって引張強さ(MPa)および衝撃値(J/cm2)を測定した。それぞれの測定結果を、表1に併せて示す。
Figure 0006044492
表1に示したとおり、発明例と比較例の引張強さおよび衝撃値を比べると、発明例はいずれも、引張強さ:1000MPa以上であって衝撃値:14.0J/cm2以上を示し、強度と靭性を高いレベルで両立できたのに対し、比較例は、いずれも衝撃値が14.0J/cm2未満であって、引張強さと衝撃値の少なくともいずれかにおいて、発明例に比べて劣っていた。

Claims (2)

  1. 酸化鉄を、固体還元剤とともに耐熱容器に充填して加熱したのち、還元して海綿鉄とするに当たり、
    上記耐熱容器に充填前の酸化鉄に対してMo含有粉末を混合して、前記酸化鉄粉末と前記Mo含有粉末とからなる混合粉とすると共に、該Mo含有粉末の混合を、該Mo含有粉末のMo換算質量と該酸化鉄のFe換算質量との合計量に対する該Mo換算質量が0.2〜10質量%の範囲で行い、
    主原料である該混合粉と副原料である前記固体還元剤とからなる原料を耐熱容器に充填して加熱する、Mo含有海綿鉄の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法で得られるMo含有海綿鉄を、さらに粉砕したのち、還元性雰囲気中で仕上げ還元してMo含有還元鉄粉とすることを特徴とするMo含有還元鉄粉の製造方法。
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