JP6044029B2 - 伸展構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、たとえば、人工衛星のアンテナ、太陽電池パネル、サンシールド、ソーラセイル、デオービットの構造材等、宇宙空間で伸展させて使用するような伸展構造物に関し、特に形状記憶樹脂を用いて伸展させるものに関する。
従来から、この種の伸展構造物に使用する材料として、形状記憶樹脂を用いることが提案されている。すなわち、予め伸展形状を記憶させた状態で、ガラス転移温度以上に加熱して折り畳んだコンパクトな形状として宇宙空間に運搬し、宇宙空間でガラス転移温度以上に加熱して伸展形状に復帰させるものである。
しかし、形状記憶樹脂をどのように構成するか、具体的な構造については提案されていない。
特開2007−268940号公報
本発明の目的は、形状記憶樹脂を用いて収納形態から伸展形態に確実に形状復帰させ得る伸展構造物を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、中空断面構造の筒状のマスト本体を備えた伸展構造物であって、前記マスト本体が中空断面を折り畳むための折り目部を有し、折り目部を展開して筒状構造とする伸展形態と、折り目部を折り畳んで扁平断面とする収納形態と、をとることが可能で、前記マスト本体の、前記折り目部と折り目部以外の部分のうち、少なくともいずれか一方を、形状記憶樹脂を備えた形状記憶部とし、前記伸展形態を予め記憶した状態で折り目部にて折り畳んで収納形態とし、形状記憶樹脂のガラス転移点以上に加熱することで収納形態から伸展形態に形状復帰可能としたもので、
前記マスト本体は、複数の長尺のマスト材と、該マスト材の側縁を連結する連結材とによって構成され、連結材が折り目部を構成することを特徴とする。
収納形態は、折り目部を折り畳んだ扁平断面形状のマスト本体を巻き取った巻き取り形態とすることができる。
スト材は樹脂を繊維性基材にて強化した繊維強化樹脂によって構成され、マスト材を形状記憶部とする場合には樹脂を形状記憶樹脂とすることが好適である。
繊維性基材は三軸織物組織とすることができる。
マスト本体は、折り目部を含め、全体が形状記憶樹脂を繊維性基材にて強化した繊維強化樹脂によって構成してもよい。
た、マスト本体の伸展形態への形状回復には、外力による伸展手段を使用可能としてもよい。
本発明によれば、マスト本体の、折り目部と折り目部以外の部分のうち、少なくともいずれか一方を、形状記憶樹脂を備えた形状記憶部とするという簡単な構成で、熱を加えるだけで、自立的に収納形態から伸展形態に確実に移行させることができる。
また、形状復帰する過程が緩やかに進行するので、伸展時に衝撃力が発生せず、搭載した人工衛星等に影響を与えない。
収納形態を巻き取り形態としておけば、スムースに伸展形態とすることができる。
特に、マスト本体を、複数のマスト材に分割し、マスト材を連結する連結材部分を折り目部とすることで、マスト材の屈曲性を考慮する必要がなく、材料選定の制約がない。
マスト材として、繊維性基材に樹脂を被覆した複合材によって構成することで、軽量で強度の高いマスト本体を構成することができ、三軸織物組織とすることで、変形が偏りにくく、荷重分散性がよいので、記憶した形状にも復帰しやすい。
マスト本体全体を繊維性基材に形状記憶樹脂を被覆した複合材によって構成すれば、構造をより単純化できる。
また、マスト本体の伸展形態への形状回復に、外力による伸展手段を使用すれば、伸展形態に確実に移行可能である。
図1は本発明の実施の形態1に係る伸展構造物の一例を示すもので、(A)は記憶された伸展形態の概略斜視図、(B)は(A)の伸展構造物の長手方向と直交方向の断面図、(C)は概略分解斜視図、(D)は伸展構造物のロール状の収納形態を示す斜視図、(E)は(D)の収納形態における伸展構造物の長手方向と直交方向の断面図である。 図2(A)は図1のマスト本体のマスト材の組織構造を示す一部破断平面図、(B)は(A)の縦糸と横糸の重なり部分の部分拡大断面図である。 図3は、図1の伸展構造物の利用概念を示す図である。 図4は本発明の実施の形態2に係る伸展構造物の一例を示すもので、(A)は記憶された伸展形態の概略斜視図、(B)は(A)の伸展構造物の長手方向と直交方向の断面図、(C)は概略分解斜視図、(D)、(E)はマスト材が湾曲する状態の説明図、(F)は伸展構造物のロール状の収納形態を示す斜視図、(G)は収納形態における連結材の部分拡大断面図である。 図5は本発明の実施の形態3に係る伸展構造物の一例を示すもので、(A)は記憶された伸展形態の概略斜視図、(B)は概略分解斜視図、(C)は伸展構造物のロール状の収納形態を示す斜視図、(D)は収納形態における伸展構造物の長手方向と直交方向の断面図である。 図6は図1の伸展構造物の他の分割構成例を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係る伸展構造物を示す図である。
すなわち、この伸展構造物1は、中空断面構造の筒状のマスト本体10を備え、マスト本体10が中空断面を折り畳むための折り目部12を有し、折り目部12を展開して筒状構造とする伸展形態と、折り目部12を折り畳んで扁平断面とする収納形態と、をとることが可能となっている。以下、必要に応じて、伸展形態のマスト本体10については、符号の末尾にEを付加し、収納形態のマスト本体10については、符号の末尾にWを付加して説明する。
この実施の形態では、伸展形態が中空円筒形状であり、収納形態がマスト本体10をロール状に巻いた巻き取り形態である。折り目部12は、マスト本体10の長手方向と直交方向断面の周方向長さを2分するように、中空円筒の中心軸に対して対称的に2箇所に設けられ、扁平に折り畳み可能となっている。
マスト本体10は、折り目部12を境にして2分割された2枚の長尺のマスト材20と、マスト材20の側縁を全長にわたって連結する長尺の連結材30とによって構成され、連結材30が折り目部12を構成するようになっている。連結材30は、マスト材20に
対して接着固定されている。連結材30の固定は、接着固定に限らず、熱溶着でもよいし、種々の手段によって固定することができる。
本発明は、折り目部12を構成する連結材30と、折り目部以外の部分であるマスト材20のうち、少なくともいずれか一方について形状記憶樹脂を備えた形状記憶部Mとするもので、この実施の形態では、マスト材20を形状記憶部Mとし、連結材30は形状記憶機能を有していない。連結材30は屈曲変形可能な材料であればよく、繊維強化プラスチックでもよいし、樹脂フィルムでもよい。
マスト材20の記憶形状は、マスト本体10の中空円筒形状の伸展形態時の形状であり、各マスト材20,20は断面半円形状の直線的に延びる長尺体である(図1(C)参照)。
また、収納形態のマスト本体10Wは、各マスト材20、20は扁平に圧潰され、2つのマスト材20,20が重なり合った状態でロール状に巻き取られた形状である。連結材30も二つ折り形態でロール状に巻き取られた形態となる。
図2は、マスト材20の組織構成を示している。
マスト材20は、形状記憶樹脂26の中に炭素繊維等によって構成される繊維性基材21を入れて強化した複合材(TFRP)によって構成され、この例では、繊維性基材21として三軸織物組織が使用されている。三軸織物組織は、互いに直交する縦軸と横軸を想定すると、縦軸に対して互いに逆方向に30°で交差する2本の経糸22,23と、横軸方向に延びる一本の横糸24とを交互に絡ませた構成で、六角形状の織り目が形成されている。
この例では、繊維性基材21の基材組織としては、三軸織物組織に限定されるものではなく、二軸織物組織でもよいし、四軸以上の多軸織物組織でもよい。また、織物組織に限定されるものではなく、種々の基材を用いることが可能である。さらに、基材21の繊維についても、炭素繊維に限定されるものではなく、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維等、ボロン繊維、金属繊維等種々の繊維を利用可能である。
形状記憶樹脂26としては、ポリウレタンなどの形状記憶ポリマー材料から構成される樹脂組成物である。形状記憶性のあるポリウレタンとしては、例えば2官能及び3官能の液状イソシアネートと、2官能のポリオールと、活性水素基を含む2官能の鎖延長剤とを官能基のモル比で、イソシアネート:ポリオール:鎖延長剤=5.0〜1.0:1.0:2.0〜0.1にて調製した樹脂組成物が挙げられる。また、他の樹脂組成物としては、2官能及び3官能のイソシアネートと、平均分子量100〜550のポリオールとを、官能基のモル比でイソシアネート:ポリオール=0.9〜1.1:1.0にて含むものが挙げられる。
もちろん、形状記憶樹脂20は、このようなウレタン系の樹脂に限定されるものではなく、ポリノルボルネン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、アクリル系、合成ゴム系等種々の材料を使用できる。
一方、連結材30としては、折り目部12を構成するので、耐屈曲性があり、マスト材20と同等の強度を有する柔軟な複合材が利用される。接着性を考慮して、シート形態のウレタン系の繊維強化プラスチックシートが好ましい。
また、図示例では、連結材30をマスト材20の全長にわたって連結する構成となっているが、マスト材20の全長にわたって接着する必要はなく、部分的に連結するような構成でもよい。
図3は、上記伸展構造物1の利用概念図である。
形状記憶樹脂は、ガラス転移温度(Tg)より高い場合にはゴム状態、ガラス転移温度
(Tg)以下ではガラス状態である。
この形状記憶樹脂の特性を利用し、あらかじめ、ガラス転移温度以下の温度で、伸展形態のマスト本体10Eの形状を成形して記憶させておく。具体的には、各マスト材20.20を、ガラス転移温度以下の温度で直線的に延びる断面半円形状の長尺体として成形し、この断面半円形状のマスト材20,20を連結材30、30によって連結して、伸展形態のマスト本体10Eを成形する(図3の(I)参照)。
次いで、マスト本体10を、マスト材20を構成する形状記憶樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱し、マスト材20の形状を自由に変化させる。この例では、連結材30の折り目部12が左右側縁に位置するようにしてマスト本体10を圧潰し、マスト本体10をロール状に巻き取った収納形態とする(図3の(II)参照)。この成形は、張力を掛けて単純に巻き取るだけで、簡単にマスト本体10の断面形状を圧潰させることができる。もちろん、マスト本体を圧潰させながら巻き取るようにしてもよい。
次に、ガラス転移温度(Tg)以下に冷却し、収納形態のマスト本体10Wの形状を固
定する(図3の(III)参照)。
収納形態のマスト本体10Wを衛星等に組み込み、ロケットにて軌道上へ輸送し、宇宙空間で、ガラス転移温度以上に加熱すれば、記憶された伸展形態となる。
収納形態のマスト本体10Wは、形状記憶樹脂のガラス転移点を越えると、連結材30を支点にしてマスト材20,20が徐々に円弧状に湾曲して立体的に膨らむと共に、徐々に直線的に延びていき、巻き取り形態が徐々に弛んで巻き戻され(図3の(VI)参照)、時間をかけて一次元的に伸びた伸展形態のマスト本体10Eに移行する(図3の(V)参照)。
伸展構造物1としては、従来から、弾性復元力で強制的に伸展させるような構造も知られているが、弾性復帰するような構造では、伸展構造物が取り付けられる宇宙構造物に衝撃が作用して振動するおそれがある。これに対して、本発明のように形状記憶樹脂による形状復帰機能を利用すれば、伸展形態への移行が徐々に進行するので、宇宙空間で伸展させた際に、人工衛星等の船体に衝撃が作用しない。また、その速度は加熱する際の供給熱量によって制御することも可能である。
伸展させた後は、ガラス転移温度(Tg)以下に冷却して、運用状態に供する(図3の(VI)参照)。
このように、単純な加熱により、予め記憶させた伸展形態に回復可能であり、構成を簡素化できる。
マスト本体10の加熱については、特に図示しないが、マスト材20に面状ヒータを被覆積層するようにしてもよいし、マスト材20を構成する基材自体に電流を流してジュール熱によって発熱させてもよい。また、太陽熱を利用して加熱するようにしてもよいし、化学熱を利用してもよいし、ガスを利用してもよく、種々の加熱方法を採用可能である。
また、マスト材20,20の表面には、各種コーティング層を被覆しておくことが好ましい。
本実施の形態では、マスト材20が三軸織物組織の繊維性基材21で補強されているので、荷重分散性がよいので、変形が偏りにくく、記憶した形状にも復帰しやすい。また、積層する必要が無いので、重量に対する強度が大きい。また、適度な空隙があるので、柔軟で変形しやすい。さらに、繊維性基材10自体をヒータとして利用するので、加熱機構が簡単な構造で済む。
実施の形態2
図4は、本発明の実施の形態2に係る伸展構造物を示している。
この実施の形態2の伸展構造物201も、実施の形態1と同様に、中空断面構造の円筒状のマスト本体210を備えている。マスト本体210は、中空断面を折り畳むための折り目部12を有し、折り目部12を展開して筒状構造とする伸展形態と、折り目部12を折り畳んで扁平断面とする収納形態と、をとることが可能となっている。
マスト本体210は、折り目部212を境にして2分割された2枚の長尺のマスト材220と、マスト材220の側縁を全長にわたって連結する長尺の連結材230とによって構成され、連結材230が折り目部212を構成するようになっている。
この実施の形態では、折り目部221となる連結材230を、形状記憶樹脂を備えた形状記憶部Mとし、マスト材220は形状記憶機能を有していない。この実施の形態2は、マスト材220はガラス繊維強化プラスチック(GRFP)等の繊維強化プラスチックによって構成される。
マスト材220は、この実施の形態では、自由状態で直線的に延びる弾力性を備えた可撓性の長尺シート材で、長手方向と直角方向断面が直線形状となっている。
これに対して、連結材230は、伸展形態では、マスト材220,220の両側縁が互いに平行方向に向くように、折り目部212が展開状態で固定される。
連結材230には、撓んだマスト材220,220が平面形態に戻ろうとする弾性復元力によって、連結材230,230を屈曲させる方向のモーメントが作用する。連結材230の曲がり具合は、マスト材220,220から作用する曲げモーメントと、連結材230自体の曲げ剛性に応じて屈曲度合いが決まるが、連結材230の曲げ剛性をマスト材220,220と同程度としておけば、ほぼ同等の撓み状態となり、断面円形状態の中空円筒形態となる。
曲げ剛性がマスト材220,220よりも小さいと、連結材230の曲がり具合がマスト材220よりも大きく変形し、断面形状が紡錘形状となる。また、曲げ剛性がマスト材よりも大きいと、連結部230の曲がり具合が小さくなるので、同党の曲げ剛性としておくことが好適である。
収納形態とする場合は、この連結材230、230を、折り曲げ部212に沿って180°折り曲げた形状で固定する。
連結材230を折り曲げることにより、各マスト材220,220は元の平面形態に弾性復帰し、2枚のマスト材220.220が重なり合った扁平な二重帯形態となる。この二重帯形態のマスト本体210を、ロール状に巻いて収納形態とする。
連結材230の構造として、この実施の形態では、発泡構造の形状記憶樹脂を備え、形状記憶発泡体を表面層によって挟み込むサンドイッチ構造となっており、大きな形状変化を得るような構造としている。
発泡構造の形状記憶樹脂としては、ポリウレタンフォームを用いることができる。ポリウレタンフォームとしては、発泡剤およびシロキサン−オキシアルキレンブロック共重合体を含む整泡剤の存在下で、ポリイソシアネートと、ポリオールと、鎖延長剤及び/又は
架橋剤と、を含むフォーム原料を反応させて得られる形状記憶ポリウレタンフォームが挙げられる。
もちろん、形状記憶樹脂としては、ウレタン系の樹脂に限定されるものではなく、ポリノルボルネン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、アクリル系、合成ゴム系等種々の材料を使用できる。
この実施の形態2の伸展構造物201の利用形態も、図3に示した実施の形態1と全く同様であり、ガラス転移温度以下の温度で、ガラス状態で任意の形状、この例では、連結
材230を平面形態の形態に成形しておく。次いで、ガラス転移温度以上の温度で、自由に形状を変化させる。この例では、連結材230を屈曲させ、マスト本体210を扁平な形状とし、この扁平状態で巻き取って、ロール状の収納形態210Wとする。
次いで、ガラス転移温度(Tg)以下に冷却し、マスト本体210Wを巻き取り形にて
固定する。
この巻き取り形態のマスト本体210Wを衛星等に組み込み、ロケットによって軌道上へ輸送し、宇宙空間で、ガラス転移温度以上に再加熱し、連結材230を屈曲した形態から記憶された180度開いた展開形態とする。
すなわち、ロール状に巻かれたマスト本体210Wを、ガラス転移点を越えるまで加熱すると、屈曲形態の連結材230は徐々に180°まで開いて展開形態に形状復帰する。
形状復帰する過程で、マスト材220が徐々に円弧状に湾曲して巻かれたロール形状が弛んでいき、自動的に巻き戻されて伸展していく。連結材230が完全に形状復帰して展開形態となると共に直線状に伸長すると、連結された各マスト材220,220は、ほぼ半円形状まで湾曲し、マスト本体210Eは中空円筒形状の伸展形態となる。
伸展した後は、ガラス転移温度(Tg)以下に冷却し、運用状態にする。冷却については、宇宙空間では加熱を停止すればよい。
このように、この実施の形態では、加熱する部分が、連結材230のみであるので、加熱面積が少なくて済む。
なお、上記実施の形態では、マスト材と連結材のいずれか一方を、形状記憶樹脂を有する形状記憶部Mとしたが、両方について形状記憶部Mとすることができる。
また、上記各実施例では、マスト本体を2つのマスト材に分割した2分割構成であるが、3分割以上に分割することも可能である。その場合でも、すなわち、閉断面構造で、折り目部を介して平坦にできるような形態をとることができる。要するに、折り目で折り畳んで平面的な形態にすることが可能で、さらに折り目を開いて立体的な形態とすることが可能な構造とし、折り目の開閉に形状記憶樹脂の形状復帰機能を利用する構成となっていればよい。
たとえば、図6(A)〜(C)は実施の形態2を例にとった3分割構成の例、図6(D)〜(F)は実施の形態2を例にとった4分割構成の例であり、連結材30を形状記憶樹脂によって構成することにより、2分割構成の場合とまったく同様に開閉することができる。この場合、連結材230については、少なくとも180°対向する位置にある一対の連結材230について形状記憶樹脂によって構成すればよい。
もちろん、3分割以上の構成で、マスト材のみについて形状記憶部としてもよいし、マスト材と連結材の両方を形状記憶部としてもよい。また、マスト材の一部、あるいは連結材の一部を形状記憶部としてもよく、要するに、形状記憶部を適切に選定することにより、折り目部212を折り畳んで収納形態とし、展開させて中空円筒形状の伸展形態に復帰させることができる。
さらに、マスト材を分割構成とせず、連結材を用いないで、一つの繊維補強樹脂材によって円筒状のマスト本体を構成するようにしてもよい。この場合には、三軸織物が屈曲するので、屈曲に強い材料であればよい。
実施の形態3
図5は、本発明の実施の形態3に係る伸展構造物を示している。
この伸展構造物301も、中空円筒構造のマスト本体310を備えた構造で、伸展形態が中空円筒形状であり、収納形態がマスト本体310をロール状に巻いた巻き取り形態である。
マスト本体310は、実施の形態1と同じ断面半円形状の長尺のマスト材20と、マスト材20の外に被覆されて一体的に連結する可撓性の連結チューブ330とによって構成
される。各マスト材20,20は、半円形状の周方向両端部同士が当接して円形断面を構成しており、周方向両端が当接する位置にて、連結チューブ330が折曲可能であり、この位置が折り目部312となる。
この実施の形態3では、実施の形態1と同様に、マスト材20、20が形状記憶部Mで、連結チューブ330は形状記憶機能を有していない。連結チューブ330は屈曲自在の材料であればよく、繊維強化プラスチックでもよいし、樹脂フィルムでもよい。
マスト材20の構成は、実施の形態1と同様に三軸織物を基材として強化した繊維強化ポリマーであり、実施の形態1と同じであり、説明は省略する。
マスト本体310の収納形態では、マスト材20、20が扁平な形状となると共に、連結チューブ330が折り目部312にて二つ折り形態で屈曲し、2つのマスト材20,20が重なり合い、連結チューブ330に被覆された状態でロール状に巻き取られた形態である。
次にこの実施の形態3の伸展構造物の利用形態について説明する。
この伸展構造物301も、図3に示した実施の形態1と同様に、あらかじめ、ガラス転移温度以下の温度で、伸展形態のマスト本体310の形状を成形して記憶させておく。具体的には、各マスト材20、20を、ガラス転移温度以下の温度で直線的に延びる断面半円形状の長尺体として成形し、この断面半円形状のマスト材20,20外周に連結チューブ330に被覆して一体的に連結し、伸展形態のマスト本体310Eを成形する。
次いで、マスト本体310を、マスト材20を構成する形状記憶樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱し、マスト材20の分割位置である折り目部312にて、連結チューブ330を折り曲げて圧潰させ、マスト本体310Wをロール状に巻き取った収納形態とする。この実施の形態でも、張力を掛けて単純に巻き取るだけで、簡単にマスト本体310の断面形状を圧潰させることができる。もちろん、マスト本体310を圧潰させながら巻き取るようにしてもよい。
次いで、ガラス転移温度(Tg)以下に冷却し、巻き取り形態のマスト本体310Wの
形状を固定する。
伸展形態のマスト本体310Eへの移行は、マスト材20、20の形状記憶樹脂のガラス転移点以上に加熱することによってなされる。ガラス転移点を越えると、連結チューブ330に被覆された状態で、マスト材20、20が徐々に円弧状に湾曲して立体的に膨らむと共に、徐々に直線的に延び、巻き取り形態が徐々に弛んで巻き戻され、時間をかけて一次元的に伸びた伸展形態のマスト本体310Eとなる。
伸展させた後は、ガラス転移温度(Tg)以下に冷却して、運用状態にする。
このように、本実施の形態3においても、単純な加熱により、予め記憶させた伸展形態に形状復帰可能であり、構成を簡素化できる。特に、この実施の形態3では、接着等の接合工程が不要であり、被覆だけで一体的に連結することができる。
また、加熱構造についても、実施の形態1、2と同様に、連結チューブ330に面状ヒータを積層するようにしてもよいし、化学熱、ガス、ジュール熱、太陽熱等を利用して加熱することができる。
なお、上記各実施の形態では、収納形態を巻き取り形態としているが、収納形態は巻き取り形態に限定されず、たとえば、扁平に潰しただけの長尺体のままの形態であってもよいし、直線状の平面的な形状ジグザグ形状に収納する形態でもよく、種々の収納形態とすることができる。要するに、折り目部にて折り畳み可能となる構造であればよい。
また、本発明では、立体的な中空筒形状として円筒形状を例にとって説明したが、円筒形状に限らず、たとえば、楕円筒形状や、非円形の異形断面の筒形状とすることが可能であり、また、三角筒、四角筒等の多角筒形状とすることも可能である。また、角形と丸を
組み合わせた中空筒形状とすることもできる。
また、マスト本体の伸展形態への形状回復に、外力による伸展手段を使用、併用するようにしてもよい。
すなわち、マスト本体の動きとして、(i)断面の動きと、(ii)長手方向の動きがある。
(i)断面の動きは、記憶した中空断面形状を折り畳んで扁平になったものが、中空断面状態に戻る動きとなる。
(ii)長手方向の動きとしては、扁平にさせたマスト本体を、さらにロール状等に収納した収納形態とし、このロール状形態がマスト状形態に戻る(さらに中空状態まで戻る)。
この内、(ii)は、図1(D)の収納形態のマスト本体10Wが、伸びるような動きである。
この長手方向の動きを、材料の形状回復で行うこともできるが、材料の形状回復でない外力(モータによる送り出しや巻取り)を用いる動作、あるいは形状回復力と併用することを想定したものである。外力のみで伸展させる場合は、(i)の断面の動きとして、材料
特性から扁平にさせたマスト本体(伸展した形態)を、外力(モータなど)で巻取って宇宙に輸送する。その後、外力でこれを送り出し、長く伸ばした後で(もしくは伸ばしながら)、形状回復させて中空状態に戻す。伸展手段としては、特に図示しないが、たとえば、マスト本体を巻き取る巻き取りリールをモータによって回転駆動し、送り出し、巻き取り動作を行うように構成すればよい。
さらに、伸展手段の外力と形状回復力を併用する場合は、図3に示した形状回復力のみによる伸展に加えて、モータ等の外力を加え、外力+材料の形状回復力で伸展させることとなる。
なお、本発明の形状記憶複合材は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはもちろんである。
1,201,301 伸展構造物
10,210,310 マスト本体
10E,210E,310E マスト本体(伸展形態)
10W,210W,310W マスト本体(収納形態)
12,212、312 折り目部
20,220 マスト材
26 形状記憶樹脂
21 繊維性基材、22、23 経糸、24 横糸
30,230,330 連結材
M 形状記憶部

Claims (6)

  1. 中空断面構造の筒状のマスト本体を備えた伸展構造物であって、
    前記マスト本体が中空断面を折り畳むための折り目部を有し、該折り目部を展開して筒状構造とする伸展形態と、折り目部を折り畳んで扁平断面とする収納形態と、をとることが可能で、
    前記マスト本体の、前記折り目部と折り目部以外の部分のうち、少なくともいずれか一方を、形状記憶樹脂を備えた形状記憶部とし、前記伸展形態を予め記憶した状態で折り目部にて折り畳んで収納形態とし、形状記憶樹脂のガラス転移点以上に加熱することで収納形態から伸展形態に形状復帰可能としたもので、
    前記マスト本体は、複数の長尺のマスト材と、該マスト材の側縁を連結する連結材とによって構成され、連結材が折り目部を構成することを特徴とする伸展構造物。
  2. 収納形態は、扁平断面形状の第2形態のマスト本体を巻いた形態であり、記憶された第1形態に形状復帰させることにより一次元的に伸びた伸展形態となる請求項1に記載の伸展構造物。
  3. マスト材は繊維性基材に樹脂を被覆した複合材によって構成され、マス材を形状記憶部とする場合には樹脂を形状記憶樹脂とする請求項1又は2に記載の伸展構造物。
  4. 繊維性基材は三軸織物組織である請求項に記載の伸展構造物。
  5. マスト本体は、折り目部を含めて全体が繊維性基材に形状記憶樹脂を被覆した複合材によって構成されている請求項1乃至のいずれかの項に記載の伸展構造物。
  6. 前記マスト本体の伸展形態への形状回復には、外力による伸展手段を使用可能である請求項1乃至のいずれかの項に記載の伸展構造物。
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