以下、実施例について図面を用いて説明する。
なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。また、以下の説明において、上下左右の方向は図1中に示す上下左右の方向を基準とし、前後の方向は図2中に示す前後の方向を基準とする。
≪冷蔵庫の全体構成≫
まず、本発明の実施形態に係る開扉装置を説明する前に、本実施形態に係る開扉装置を備える冷蔵庫の全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態における冷蔵庫の正面図である。
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、上方から、冷蔵室2と、左右に並べた製氷室3及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5と、野菜室6と、を有している。なお、一例として、冷蔵室2及び野菜室6は、およそ3〜5℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。
冷蔵室2は、左右に分割された、前方側(図1の紙面手前側)に観音開きの、いわゆるフレンチ型の冷蔵室扉2a(第一の扉)及び冷蔵室扉2b(第二の扉)を備えている。冷蔵室扉2a,2bはヒンジ17a及びヒンジ17bのまわりに回動する。左右の冷蔵室扉2a,2b同士の隙間を閉鎖するために、冷蔵室扉2aの冷蔵室扉2bに近接した辺に沿って、回転仕切18が設けられている。その構成は後に詳しく説明する。
製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、及び野菜室扉6aを備えている。なお、以下の説明において、左右の冷蔵室扉2a,2b、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、及び野菜室扉6aのそれぞれは、単に扉2a、扉2b、扉3a、扉4a、扉5a、及び扉6aと称せられる場合がある。
また、冷蔵室(第一の貯蔵室)2に隣接する製氷室3及び上段冷凍室4を、第二の貯蔵室と称する場合があり、製氷室扉3a及び上段冷凍室扉4aを、第三の扉と称する場合がある。また、下段冷凍室5及び野菜室6を、第三の貯蔵室と称する場合があり、下段冷凍室扉5a及び野菜室扉6aを、第四の扉と称する場合がある。
冷蔵庫1は、扉2a、扉2b、扉3a、扉4a、扉5a、扉6aのそれぞれの開閉状態を検知する扉センサ(図示省略)と、これらの扉2a,2b,3a,4a,5a,扉6aの少なくともいずれかが開放していると判定された状態が所定時間(例えば、1分間以上)継続された場合に、使用者にその旨を報知するブザー62と、冷蔵室2、上段冷凍室4、下段冷凍室5等の温度設定をする温度設定器(所定の操作部、表示部等を備える図1に示すコントロールパネル40等を備えている。
また、第一の扉2aには、第一の扉開スイッチ48aが設けられ、第二の扉2bには、第二の扉開スイッチ48bが設けられている。
また、扉2a、扉2b、扉3a、扉4a、扉5a、扉6aの前面には、光透過性の部材であるガラス板がそれぞれ配置されている。ガラス板の固定は、各扉端部の枠部材で支持する構成や、扉内部の発泡ウレタンと固着する構成を採用することができる。
次に図2は、図1のA−A断面を模式的に示す側断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫1の庫外と庫内は、内箱10aと外箱10bとの間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。また、冷蔵庫1の断熱箱体10は複数の真空断熱材14を実装している。
庫内は、温度帯の異なる上下方向に配置された複数の貯蔵室が、断熱仕切壁11a、11bで断熱的に区画されている。即ち、上側の断熱仕切壁11aにより、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室2と、冷凍温度帯の貯蔵室である上段冷凍室4及び製氷室3(図1参照)とが隔てられている。また、下側の断熱仕切壁11bにより、冷凍温度帯の貯蔵室である下段冷凍室5と、冷蔵温度帯の貯蔵室である野菜室6とが隔てられている。
扉2a,2bの庫内側には複数の扉ポケット13が設けられている。また、冷蔵室2は複数の棚12により縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に設けられた扉4a,5a,6aの後方に、収納容器4b,5b,6bがそれぞれ設けられている。そして、扉4a,5a,6aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器4b,5b,6bが引き出せるようになっている。図1に示す製氷室3にも同様に、扉3aの後方に、収納容器(図2中、符号3bで表示)が設けられ、扉3aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器3bが引き出せるようになっている。
図2に示すように、扉2a,2b,3a,4a,5a,6aは、その周囲にドアパッキン15が設けられており、各扉2a,2b,3a,4a,5a,6aを閉じた際、冷蔵庫1の前面の開口周縁部と密着することで貯蔵空間(冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び野菜室6)の内部を閉塞して密閉し、これらの貯蔵空間から外部への冷気の漏れを防止している。
図2に示すように、冷却器7は、下段冷凍室5の略背部に設けられた冷却器収納室8内に配置されている。冷却器7は、冷却器配管7dに多数のフィン(図示省略)が取り付けられて構成され、冷却器配管7d内の冷媒と空気との間で熱交換することができるようになっている。
冷却器7の上方には、庫内送風機9(例えば、モータ駆動するファン)が設けられている。冷却器7で熱交換して冷やされた空気(以下、この冷やされた低温の空気を「冷気」という)は、庫内送風機9によって冷蔵室送風ダクト22、野菜室送風ダクト25、製氷室送風ダクト26a、上段冷凍室送風ダクト26b及び下段冷凍室送風ダクト27を介して、冷蔵室2、野菜室6、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5の各貯蔵室へ送られるようになっている。
冷却器7の下方には、除霜手段である除霜ヒータ35が設置されており、除霜ヒータ35の上方には、除霜水が除霜ヒータ35に滴下することを防止するために、上部カバー(図示せず)が設けられている。
冷却器7及びその周辺の冷却器収納室8の壁に付着した霜の除霜(融解)によって生じた除霜水は、冷却器収納室8の下部に備えられた樋32に流入した後に、排水管33を介して機械室50に配された蒸発皿34に達し、圧縮機51や凝縮器(図示せず)の熱により蒸発させられ、冷蔵庫1の外に排出されるようになっている。
図2に示すように、冷蔵庫1の天井壁上面の前面、すなわち扉2a,2bに隣接して開扉装置60が設けられている。開扉装置60は、第一の扉2aと第二の扉2bとにそれぞれ対応した突出部材61a、61bを備えている。突出部材61a、61bは、開扉装置60本体に収納された状態から第一の扉2a、第二の扉2b側に向けてそれぞれ突出するように動作し、突出部材61aによって第一の扉2aの上端近傍を押し、突出部材61bによって第二の扉2bの上端近傍を押すことにより、それぞれ扉を押し開く。
なお、第一の扉2a及び第二の扉2bの前面にそれぞれ設けられた第一の扉開スイッチ48a及び第二の扉開スイッチ48aは、開扉装置60の駆動指令を検知する手段であるため、以下では「検知手段」と称する場合がある。
図2に示すように、冷蔵庫1の天井壁の上面側には、制御部として、CPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御部である制御基板41が配置されている。冷蔵庫1には、冷蔵室2の温度を検出する冷蔵室温度センサ44、野菜室6の温度を検出する野菜室温度センサ45、冷凍温度帯室(製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5)の温度を検出する冷凍室温度センサ46、冷却器7の温度を検出する冷却器温度センサ47等の温度センサが設けられ、検出した温度が制御基板41に入力されるようになっている。
また、制御基板41は、扉2a,2b,3a,4a,5a,6aの開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示省略)、扉2aに設けられた前記のコントロールパネル40(図1参照)、扉2a,2bに設けられた前記の左開扉スイッチ48a(図1参照)、及び前記の右開扉スイッチ48b(図1参照)と接続されている。
制御基板41は、前述のROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機51のON/OFFや回転速度の制御、冷蔵温度帯室冷気制御手段20及び冷凍温度帯室冷気制御手段21を個別に駆動するそれぞれの駆動モータ(図示省略)の制御、庫内送風機9のON/OFFや回転速度の制御、庫外送風機(図示せず)のON/OFFや回転速度等の制御、扉開放状態を報知するアラーム(図示せず)のON/OFF、開扉装置60の動作、等の制御を行うことにより、冷蔵庫全体の運転を制御することができるようになっている。
図3は冷蔵庫の制御ブロック図である。図において、41は制御基板であり、第一の扉開スイッチ48a、第二の扉開スイッチ48b、下段冷凍室扉開スイッチ48c、野菜室扉開スイッチ48dなどの各扉開スイッチの入力、製氷室扉開検出スイッチ3b、上段冷凍室扉開検出スイッチ4bなどの各扉開閉検知手段の入力、開扉装置60への動作指令、ブザー62への出力等を制御する。40は冷蔵庫1の第一の扉2aの表面に設置されたコントロールパネルであり、冷却温度の変更や急速冷凍の運転停止などを切り替える入力部40bおよび、設定された冷却温度や急速冷凍の運転状態、各扉の開放状態等を示す表示部40aとで構成される。
第一の扉2a及び第二の扉2bの前面は、光透過性のガラス板でそれぞれ構成されており、このガラス板の背面の所定位置に、静電容量式のタッチ検知スイッチを接触又は近接して配置している。この構成により、タッチ検知スイッチの検知範囲内でガラス板の前面から使用者が触れることで、上述した冷蔵庫の諸機能を切り換えることができる。
≪扉開放の制御フロー≫
図4は、本発明の実施形態における単独扉開放入力と複数扉開放入力時の動作を示すフローチャートである。すなわち、冷蔵室扉(第一の扉2a、第二の扉2b)を、開扉装置60で開放する場合の動作の一例を示すフローチャートである。
第一の扉開スイッチ48a及び第二の扉開スイッチ48bである扉開スイッチ(検知手段)の入力待ちS100にて、第一の扉開スイッチ48aまたは第二の扉開スイッチ48aの入力を待つ。スイッチ入力、すなわち検出手段の検知があった場合、開扉装置60にて冷蔵室扉を開放する動作が可能である状態であるか否かを判断する。例えば、第一の扉2aに隣接する製氷室扉3aを開けて氷を取り出している最中であったり、第二の扉2bに隣接する上段冷凍室4を開けて貯蔵物を取り出している最中であったりする際に、扉開スイッチ(第一の扉開スイッチ48aまたは第二の扉開スイッチ48a)の入力があった場合、冷蔵室扉(第一の扉2a、第二の扉2b)が開放されると安全性の面で好ましくない。そのため、冷蔵室扉(第一の扉2a、第二の扉2b)に隣接する製氷室扉3aや冷凍室上段扉4aが開放中は、冷蔵室扉(第一の扉2a、第二の扉2b)の開扉装置60による開放動作を禁止する。また、開扉装置60による開放動作を禁止する場合、使用者に扉開スイッチ(第一の扉開スイッチ48aまたは第二の扉開スイッチ48a)の操作は受け付けたが開放動作しない旨を示すため、S109にてブザー62を出力(例えば0.1[s]ON、0.1[s]OFF、0.1[s]ON)する。なお、ブザーに限らず、音声ガイドによる報知、照明手段による報知、コントロールパネル40の表示部40aによる報知等、使用者が認識可能なあらゆる構成の報知手段を採用することができる。
扉開動作が可能である場合、S103にてスイッチ入力、すなわち検知手段で検知された内容により、スイッチ入力された扉のみを単独で開放するか、両方の扉を開放するかを判断する(判断方法についての詳細は後述する)。単独で扉を開放する入力を検知したと判断した場合は、使用者に単独で扉を開放する旨を示すため、S104にてブザー62を出力(例えば0.1[s]ON)し、S106にてスイッチ入力された扉(例えば第一の扉開スイッチ48aの入力を検知した場合、第一の扉2a)のみを開放し、再びS100の扉開スイッチ入力待ちに戻る。一方、S103にて複数の扉(第一の扉2a及び第二の扉2b)を開放する入力を検知したと判断した場合は、S105にて複数の扉を開放する旨を示すブザー62を出力(例えば0.8[s]ON)し、S106にて先ずスイッチ入力された扉(例えば第一の扉開スイッチ48aの入力を検知した場合、第一の扉2a)を開放した後、S108にてもう一方の扉(第二の扉2b)を開放し、再びS100扉開スイッチ入力待ちに戻る。
この様に、冷蔵室扉を開放する前に単独で扉を開放するか、両方の扉を開放するかの違いを、予め使用者にブザー62の鳴り方の違いで報知してから開放動作を行うため、使用者が報知の内容から開放動作の内容を判断可能であり、使用者の意図と異なる操作入力を検知した場合でも、扉の開放動作に入ることを予め使用者に認識させることができ、安全性を高めることができる。
なお、報知手段としては、コントロールパネル40の表示部40aに配置された照明手段(図示せず)や、第一の扉2a、第二の扉2bそれぞれに設置された照明手段(図示せず)で使用者に報知してもよい。
≪扉開放検知手段の構成≫
次に、扉を単独で開放するか、複数の扉を開放するかの検知手段について説明する。
図5aは、本発明の実施形態における冷蔵室扉に配置された検知スイッチを示す図である。すなわち、第一の扉開スイッチ48aおよび第二の扉開スイッチ48bに対応する部分にそれぞれ配置された各検知スイッチの配置を示す図である。
図5bは、本発明の実施形態における冷蔵室扉に配置された操作表示部を示す図である。すなわち、第一の扉開スイッチ48aおよび第二の扉開スイッチ48bの位置(操作する位置)をそれぞれ示すために第一の扉2aおよび第二の扉2bの表面にそれぞれ表示された操作表示部201を示す図である。
図5cは、本発明の実施形態における冷蔵室扉に配置された検知スイッチ及び操作表示部の位置を示す図である。すなわち、操作表示201部と検知スイッチa,b,c,dの位置を重ねて検知スイッチを透視した概略図である。
図5aでは、第一の扉開スイッチ48aに配置された各検知スイッチの配置を説明する。なお、第二の扉開スイッチ48bについては、第一の扉開スイッチ48aと左右対称に配置した構成であるため、説明を省略する。
検知手段である扉開スイッチ48(第一の扉開スイッチ48a又は第二の扉開スイッチ48bであって、図5aから図5cでは第一の扉開スイッチ48aとして説明)は、静電容量式の4つのタッチ式スイッチ(検知スイッチaから検知スイッチd)が基板上に直線状に配置されており、第一の扉2aの組み込み状態で左右方向に並んで配置されている。
第一の扉2aの前面は、光透過性のガラス板で構成されており、このガラス板の背面に検知スイッチa,b,c,dを有する基板が配置されている。
なお、検知スイッチa,b,c,dの配置は左右方向に限るものではなく、第一の扉2aの組み込み状態で上下方向や斜め方向に配置する構成であってもよい。また、基板上に直線状に配置した構成に限らず、曲線状や、上下又は左右の並列配置であってもよい。また、第一の扉開スイッチ48aと第二の扉開スイッチ48bとを左右対称に配置した構成に限らず、一方の検知スイッチは複数を左右方向に配置して、他方の検知スイッチは複数を上下方向に配置した構成とするような、非対称な配置であってもよい。さらに、左右に配置した扉に限らず、上下に配置した扉にそれぞれ検知スイッチを配置した構成であってもよい。また、回転扉に検知スイッチを配置した構成に限らず、引き出し式の扉に検知スイッチを配置した構成であってもよい。
図5bに示すように、第一の扉2aを構成するガラス板の前面には、使用者に検知手段の場所を認識させるために、検知スイッチa,b,c,dに対向する前面に操作表示部201を配置する。なお、この操作表示部201は、図5cのごとく、検知スイッチa,b,c,dの前方をほぼ覆う外形か、または検知スイッチa,b,c,dよりもやや内側に配置した形状である。
ここで、操作表示部201を検知スイッチa,b,c,dの領域よりも大きく配置した場合、検知スイッチa,b,c,dの検知範囲以外にも操作表示部201が含まれてしまい、検知スイッチa,b,c,dが検知しないことで、動作不良であるとの誤解を招くおそれがある。そこで、本実施形態では、検知スイッチa,b,c,dの検知範囲内に操作表示部201を配置している。
操作表示部201は、第一の扉2aの前面を構成する光透過性のガラス板の表面又は裏面にシルク印刷、スクリーン印刷、レジスト等の処理で、ガラス板前面から視認可能な状態で表示している。
本実施形態では、操作表示部201を所定の幅を有する横長の線形状としているが、これに限定されず、検知スイッチa,b,c,dの配列に合わせて縦長、円形、ドット、文字又は記号等、あらゆる形状を採用することができる。
また、操作表示部201は、常時外部から視認可能な構成や、非操作時は視認されず操作時に照明手段で照射して浮かび上がらせる構成を採用することができる。
冷蔵室扉(第一の扉2a)前面からは、少なくとも操作時に操作表示部201が見える状態であるため、使用者はこの操作表示部201を目印に扉開の操作を行う。なお、第二の扉2bに配置された第二の扉開スイッチ48bも同様の構造である。
≪単独扉開放検知≫
次に、図6a、図6b、図6c、図6dに、単独で扉を開放する場合の検知パターンを示す。図6aは、本発明の実施形態における単独で扉を開放するかを判断する検知パターンであって、複数の検知スイッチの一つが検知した例を示す図である。図6bは、本発明の実施形態における単独で扉を開放するかを判断する検知パターンであって、隣接する二つの検知スイッチが検知した例を示す図である。図6cは、本発明の実施形態における単独で扉を開放するかを判断する検知パターンであって、隣接する三つの検知スイッチが検知した例を示す図である。図6dは、本発明の実施形態における単独で扉を開放するかを判断する検知パターンであって、複数の検知スイッチの全てが検知した例を示す図である。
検知スイッチa、b,c,dの何れか一つ、又は隣接する複数の検知スイッチが所定時間(例えば0.08[s])以上、所定時間(例えば1[s])未満の入力を検知し、後述の複数の扉を開放する検知が成立しなかった場合、入力が行われた側の扉を単独で開放する。なお、所定時間(例えば0.08[s])以上としたのは、検知スイッチ入力時のチャタリングやノイズ等による誤動作を防止するためである。また、所定時間(例えば1[s])未満としたのは、使用者が意図せずに長時間、検知スイッチa,b,c,dの少なくともいずれかに触れてしまった場合の入力を無効とするものである。図6aでは、検知スイッチaのみを検知した場合を示す。図6bでは、隣接する検知スイッチaおよび検知スイッチbの検知が同時に発生した場合を示す。図6c及び図6dは、指先ではなく肘や腕等で広範囲に検知スイッチに触れた場合であって、図6cでは、隣接する検知スイッチb,c,dが同時に検知した場合の例を示し、図6dでは、隣接する検知スイッチa,b,c,dが同時に検知した場合の例を示している。図6a、図6b、図6c、図6dで示した何れの場合も、単独での扉の開放が入力されたものとして検知する。なお、図6dの様に全ての検知スイッチが検知している場合は、使用者が意図せずに入力しているものと判断して、入力を無効とする構成であってもよい。
≪複数扉開放検知≫
次に、図7a,図7b,図7cは、複数の扉を開放する場合の検知手段(検知スイッチa,b,c,d)の検知パターンを説明する図である。図7aは、本発明の実施形態における複数の扉を開放するかを判断する検知パターンであって、隣接する三つの検知スイッチが一の向きに順次検知した例を示す図である。図7bは、本発明の実施形態における複数の扉を開放するかを判断する検知パターンであって、隣接する三つの検知スイッチが図7aとは他の向きに順次検知した例を示す図である。図7cは、本発明の実施形態における複数の扉を開放するかを判断する検知パターンであって、隣接する二つの検知スイッチが一の向きに順次検知した例を示す図である。
図7aから図7cでは、使用者が指を各検知スイッチa,b,c,dの並び方向になぞる様に動かす操作(各検知スイッチを並び方向に順次検知する構成)を示している。ここで、なぞるという表現の動作に限定されず、使用者が指や手を扉前面のガラス板に接触又は所定距離に近接させてから、所定方向にその指や手を移動させる動作であれば、本実施形態の検知パターンに含まれるものとする。例えば、操作表示部201のいずれかの部分を指や手でタップした後、そのまま指や手を離さずに所定範囲で動かすフリック動作やスワイプ動作が含まれる。また、指や手で操作表示部201のいずれかの部分の前方を遮り、そのまま指や手を所定範囲で動かす動作が含まれる。
図7aでは、検知スイッチaから一の向き(右向き)に、検知スイッチb、検知スイッチcの順に隣接する三つ以上の検知スイッチが入力を順次検知した場合、入力があったことを判定し、複数の扉(第一の扉2a及び第二の扉2b)を同時又は順次開放する。
図7bは、検知スイッチcから前述の一の向きとは逆の向き(左向き)に、検知スイッチb、検知スイッチaの順に操作した場合の例である。この場合も、隣接する三つ以上の検知スイッチが入力を順次検知しているため、入力があったことを判定し、複数の扉(第一の扉2a及び第二の扉2b)を同時又は順次開放する。
図7cは、スイッチbからスイッチcに順次検知した場合を示す。この場合、検知距離が短く、使用者が単独の扉開放を意図しているにもかかわらず、操作している指や手が滑ったり、位置がずれたりしたことが想定されるため、複数の扉を開放する入力は無効と判断する。そして、検知手段(第一の扉開スイッチ48aまたは第二の扉開スイッチ48a)への入力を検知した扉(第一の扉開スイッチ48aが検知した場合は第一の扉2a、第二の扉開スイッチ48bが検知した場合は第二の扉2b)を単独で開放する。
なお、複数の検知スイッチa,b,c,dのうち、検知を要する検知スイッチの数を少なくとも三つ以上としたのは、操作性を考慮したことによる。すなわち、複数の検知スイッチa,b,c,dに対向する操作表示部201の端から端までの全てを指でなぞらなくても、入力があったものと認識させることで、使い勝手を向上させるためである。一方、誤操作防止を優先する場合は、複数の検知スイッチa,b,c,dの全てを検知した場合に、複数の扉の開放入力があったものと認識させる構成としてもよい。
≪扉の単独・複数開放判定フロー≫
次に、図8に基づいて、扉を単独で開放するか複数を同時又は順次開放するかを判断する制御フローを説明する。図8は、本発明の実施形態における単独扉開放入力と複数扉開放入力を決定する条件を示すフローチャートである。すなわち、使用者のスイッチ操作の仕方により、扉を単独で開放する操作をしたか、または指や手を各検知スイッチa,b,c,dの並び方向になぞる様に動かす操作(各検知スイッチを並び方向に順次検知して複数の扉を開放する操作)をしたか、または誤操作であったかの判断を行う一例を示すフローチャートである。
まず、扉開スイッチ(検知手段)入力待ち(S200)にて、第一の扉開スイッチ48aまたは第二の扉開スイッチ48aの入力を待つ。スイッチ入力、すなわち検知手段の検知があった場合(S201のYES)、各変数を初期化する(S202)。ここで、各変数とは、タイマA(前述のスイッチ入力時のチャタリングやノイズ等による誤動作を防止する時間、実施例では0.08[s])、タイマB(長時間、検知スイッチa乃至dの少なくともいずれかに触れてしまった場合の入力を無効とする時間、実施例では1[s])をセットする。また、隣り合う検知スイッチが同時に検知したことを判定するための隣接スイッチ同時検知回数を0に初期化する。タイマA時間が終了する前(実施例では0.08[s]経過前)(S204のNO)に、全てのスイッチ入力がOFFになった場合(S203のYES)は、スイッチ入力時のチャタリングやノイズ等による誤操作と判断し、誤操作を確定する(S209)。タイマA時間以上スイッチ入力が継続していた場合(S204のYES)、隣り合う検知スイッチが並び順に同時入力を検知する隣接スイッチ同時検知が発生したか否かを判定する(S207)。その結果、隣接スイッチ同時検知がなし(S207のNO)、かつタイマB時間(実施例では1[s])経過前(S208のNO)に、全てのスイッチ入力がOFF(指や手が離された)(S205のYES)の条件が満たされた場合は、扉を単独で開放する動作を確定する(S210)。
そして、操作された扉開スイッチを有する扉を扉開装置60によって開放する(第一の扉開スイッチ48aが操作された場合は第一の扉2a、第二の扉開スイッチ48aが操作された場合は第二の扉2b)。
タイマB時間(実施例では1[s])が経過した場合(検知スイッチがずっと検知していた場合)(S208のYES)は、意図しない操作と判断し、誤操作を確定する(S209)。
隣り合う検知スイッチが並び方向に同時に検知する隣接スイッチ同時検知があったと判断した場合(S207のYES)、タイマC(検知スイッチa乃至dの入力制限時間、実施例では5[s])をセットし(S213)、隣接スイッチ同時検知回数を更新する(1を加える)(S214)。この時点では、隣接スイッチ同時検知回数=1であるため、S215の隣接スイッチ同時検知回数の判定(実施例では2回以上)はNOとなる。新たなスイッチ入力が有るまでに(S211がNOの間)、全てのスイッチ入力がOFF(指や手が離された)(S216のYES)になるか、タイマCが終了(実施例では5[s]経過)(S217のYES)した場合は、扉を単独で開放する動作が確定する(S210)。
新規のスイッチ入力があった場合(S211のYES)、S212にて隣り合うスイッチが並び方向に同時に検知する隣接スイッチ同時検知が発生したか否かを判定する。ここでは、複数の検知スイッチのうちすでに入力を検知した検知スイッチに隣接する未検知の検知スイッチへの入力を検知した場合をいう。隣接スイッチ同時検知がない場合(S212のNO)、単独での扉開放を確定する(S210)。
隣接スイッチ同時検知があった場合(S212のYES)、再びタイマC(スイッチ順検知時における、検知スイッチa乃至dの入力制限時間、実施例では5[s])をセットし(S213)、隣接スイッチ同時検知回数を更新する(1を加える)(S214)。この時点で隣接スイッチ同時検知回数=2となるため、S215の隣接スイッチ同時検知回数の判定(実施例では2回以上)はYESとなり、複数の扉の同時又は順次開放が確定する(S218)。
また、扉の開放入力をキャンセルしたい場合、複数の検知スイッチを並び方向の一の向きになぞる動作をした後に、そのまま一の向きと反対の向き、すなわち、なぞった位置を戻るように検知スイッチをなぞる動作をする。これにより、入力がキャンセルされたと判定するように構成してもよい。
≪検知スイッチによる検知動作≫
次に、図9に基づいて検知スイッチによる検知動作について説明する。図9は、本発明の実施形態における検知スイッチの検知動作を示す図である。パターン1ではスイッチaのみONしている。指を図示右方向に移動すると(パターン2)、新規に検知スイッチbがONとなり、検知スイッチaおよび検知スイッチbが共にON、すなわち隣り合う検知スイッチ同士の同時ONが発生する。更に指を図示右方向に移動すると(パターン3)、検知スイッチbのみがONとなる。
更に指を図示右方向に移動すると(パターン4)、新規に検知スイッチcがONとなり、検知スイッチb及び検知スイッチcがON、すなわち再び隣り合う検知スイッチ同士の同時ONが発生する。この時点で、複数扉開が確定する。パターン3の後、指が逆方向(図示左方向)に移動し、再びパターン1に戻った場合、検知スイッチ入力の移動方向が「順次」ではなくなるため、不成立となる。また、右方向(順方向)であっても、パターン4を経ずに検知スイッチcのみONになった場合(パターン5)、検知スイッチc及び検知スイッチdが共にONになった場合(パターン6)、及び三つ以上の隣り合う検知スイッチがONになった場合(パターン7)等も、検知スイッチの検知が「順次」ではないため、扉の複数開放の入力は不成立となる。なお、図8において、S207の前でS212の様に新規スイッチ入力を判定しないのは、最初から隣接スイッチ同時検知が発生していた場合を考慮したものである。
≪扉の開放動作と検知スイッチの検知動作≫
使用者が検知手段を直接又は近傍を指や手でなぞる向き(複数の検知スイッチが順次検知した向き)によって、複数の扉が開放する順番を異なるように設定してもよい。例えば、図7aの様に、一端側から他端側(左から右の向き)に順次、検知スイッチが検知した場合、第一の扉2a(左側の冷蔵室扉)を開放し、次に第二の扉2b(右側の冷蔵室扉)を開放する。一方、図7bの様に、他端側から一端側(右から左の向き)に順次、検知スイッチが検知した場合、第二の扉2b(右側の冷蔵室扉)を開放し、次に第一の扉2a(左側の冷蔵室扉)を開放する。
すなわち、検知手段48を構成する左右方向の検知スイッチa,b,c,dの配置と、左右の回転扉(第一の扉2a,第二の扉2b)の配置とを対応させて、先に開きたい扉側から後に開きたい扉側の向きに検知手段48をなぞる操作入力により、扉の開く順序を選択することが可能である。
例えば、第一の扉開スイッチ48aの操作によって、第一の扉2aを先に開いてから、第二の扉2bを開きたい場合は、第一の扉開スイッチ48aを左から右になぞるように操作する(図7a参照)。また、第一の扉開スイッチ48aの操作によって、第二の扉2bを先に開いてから、第一の扉2aを開きたい場合は、第一の扉開スイッチ48aを右から左になぞるように操作する(図7b参照)。
一方、第二の扉開スイッチ48bの操作によって、第一の扉2aを先に開いてから、第二の扉2bを開きたい場合は、同様に、第二の扉開スイッチ48bを左から右になぞるように操作する(図7a参照)。また、第二の扉開スイッチ48bの操作によって、第二の扉2bを先に開いてから、第一の扉2aを開きたい場合も同様に、第二の扉開スイッチ48bを右から左になぞるように操作する(図7b参照)。
これにより、使用者の利き手や使用者と冷蔵庫との位置関係によらず、単一の操作で複数の扉のいずれかを単独で開くか、複数の扉を開くかを選択可能であり、さらに複数の扉を開く場合、複数の扉の開く順序まで選択可能であり、使い勝手を向上した操作性を得ることができる。
≪複数扉開放検知の他の実施例≫
図10a,図10b,図10c,図10d,図10e,図10fは、複数の扉を開放する場合の他の検知スイッチの動作の一例を説明する図である。図10aは、本発明の実施形態における複数の扉を開放するかを判断する検知パターンであって、隣接しない二か所の検知スイッチが同時に検知した例を示す図である。図10bは、本発明の実施形態における複数の扉を開放するかを判断する検知パターンであって、隣接する二か所の検知スイッチと、該二か所の検知スイッチと隣接しない検知スイッチとが、同時に検知した例を示す図である。図10cは、本発明の実施形態における複数の扉を開放するかを判断する検知パターンであって、隣接する二か所の検知スイッチが同時に検知した例を示す図である。図10dは、本発明の実施形態における複数の扉を開放するかを判断する検知パターンであって、隣接する三か所の検知スイッチが同時に検知した例を示す図である。図10eは、本発明の実施形態における複数の扉を開放するかを判断する検知パターンであって、隣接する検知スイッチが複数か所で同時に検知した例を示す図である。図10fは、本発明の実施形態における複数の扉を開放するかを判断する検知パターンであって、複数の検知スイッチの全てが検知した例を示す図である。
図10a,図10b,図10cでは、複数の検知スイッチa,b,c,dのうち、二箇所の検知スイッチを同時に検知した操作について示したものである。隣り合わない検知スイッチが同時に所定時間以上(例えば0.5[s])、所定時間未満(例えば1[s])入力を検知した場合、二か所の検知スイッチが同時に入力された操作を有効と判断する。
図10aに示すように、検知スイッチbを隔てて検知スイッチaと検知スイッチcの入力を検知した場合は、二か所の検知スイッチが同時に入力されたと判断する。この場合、複数の扉を同時又は順次開放する。
図10bも同様に、入力の無い検知スイッチbを挟んで、検知スイッチa,c,dが検知しているため、二か所の検知スイッチが同時に入力されたと判断して、複数の扉を同時又は順次開放する。
図10c及び図10dは、検知スイッチa、検知スイッチb、検知スイッチcのように、隣接する複数の検知スイッチが連続して入力を検知した場合である。この場合、使用者が意図せずに肘等が検知スイッチに触れたことが想定されるため、複数の扉の開放操作の入力は無効と判断する。この場合、入力を検知した検知手段を有する扉を単独で開放するか、安全性を考慮してこの扉の単独での開放も禁止する。
図10eは、四つ全ての検知スイッチの入力を検知した状態となるため、図10fに示すように、意図せずに腕等が触れたような入力があったものと想定して、複数の扉の開放操作の入力を無効と判断する。この場合も、入力を検知した検知手段を有する扉を単独で開放するか、安全性を考慮してこの扉の単独での開放を禁止する。
図示はしないが、複数の扉を開放する場合の検知スイッチの他の動作として、単一の検知スイッチによる複数回検知を採用してもよい。これは、所定時間(例えば1[s])以内に所定時間(例えば0.3[s])の入力が複数回(2回)、単一の検知スイッチで検知した場合、複数回の入力操作が成立したと判断する動作である。この場合、検知手段を構成する検知スイッチは一つで済むため、コスト低減が可能である。
また、単一の検知スイッチで構成された検知手段を複数の扉のいずれか一つに配置して、1回の入力があった場合、検知手段を設けた扉を単独で開放し、複数回の入力が所定時間にあった場合、検知手段を設けていない扉を開放し、さらに異なる入力(例えば所定時間の長押し入力)を検知した場合、複数の扉を同時又は順次開放する構成も可能である。
この場合、扉毎に検知手段を設ける必要がなく、さらにコスト低減が可能である。
≪複数扉順次開放動作≫
次に、図11を参照して複数の扉を順次開放する際の動作について説明する。図11は、本発明の実施形態における複数の扉を順次開放する場合のフローチャートである。
本実施形態では、冷蔵室扉である第一の扉2aと第二の扉2bの両方に対する開放入力を、開扉装置60への駆動指令を検知する検知手段48a(又は検知手段48b)で検知した場合、第一の扉2aと第二の扉2bを順次開放する。すなわち、第一の扉2a又は第二の扉2bのいずれか一方の扉を開放した後に、他方の扉を開放する。この場合、第一の扉2aと第二の扉2bは隣接した扉であるが、使用者から第一の貯蔵室2を閉じている第一の扉2aと第二の扉2bの両方の開放入力を受け付けているので、第一の扉2a及び第二の扉2bの順次開放動作を継続する。
一方、第一の扉2aと第二の扉2bの両方の開放入力を受け付けて、第一の扉2aと第二の扉2bのいずれか一方を開放している際に、第一の貯蔵室(冷蔵室2)に隣接する第二の貯蔵室(製氷室3又は上段冷蔵室4)の第三の扉(製氷室扉3a又は上段冷凍室扉4a)が開放された場合、第一の扉2aと第二の扉2bのうち次に開放する予定の扉の開放動作は行わない。
まず、前述のいずれかの構成で、複数の扉の開放入力を検知手段48a(又は検知手段48b)で検知するまで、順次開放操作検出待ちを行う(図11のステップS300)。
順次開放操作検出待ち(S300)で、複数の扉の開放入力を検出すると、これから扉を開放しようとする第一の貯蔵室(冷蔵室2)に隣接する第二の貯蔵室(製氷室3又は上段冷蔵室4)の第三の扉(製氷室扉3a又は上段冷凍室扉4a)の開閉状態を判断する(ステップS301)。この判断は、第三の扉(製氷室扉3a又は上段冷凍室扉4a)に設けた扉開閉検知手段(製氷室扉開検出スイッチ3b又は上段冷凍室扉開検出スイッチ4b)の検知信号に基づいて判断する。扉開閉検知手段によって第三の扉(製氷室扉3a又は上段冷凍室扉4a)が開放されていた場合(ステップS301のNO)、順次開放操作検出待ち(ステップS300)に戻る。
製氷室扉開検出スイッチ3bと上段冷凍室扉開検出スイッチ4bのどちらも開放されていなければ(ステップS301のYES)、第一の扉2aの開放動作(S302)を行う。なお、図11では先に第一の扉2aを開放しているが、これに限らず先に第二の扉2bを開放する構成であってもよく、検知手段48aと検知手段48bのいずれから両扉を開放する入力操作がされたかによって、適宜、開放する順序を変更可能である。
第一の扉2a(又は第二の扉2b)の開放動作(ステップS302)が終了したら、第二の扉2bの開放動作を行う前に、製氷室扉開検出スイッチ3bと上段冷凍室扉開検出スイッチ4bの検知状態を判断し、第三の扉(製氷室扉3a又は上段冷凍室扉4a)が開放していたら(ステップS303のNO)、第二の扉2b(又は第一の扉2a)の開放動作を行わず、順次開放操作検出待ち(ステップS300)に戻る。製氷室扉開検出スイッチ3bと上段冷凍室扉開検出スイッチ4bのどちらも第三の扉(製氷室扉3a及び上段冷凍室扉4a)の開放を検知していなければ(ステップS303のYES)、第二の扉2b(又は第一の扉2a)の開放動作(ステップS304)を行う。第二の扉2bb(又は第一の扉2a)の開放動作(ステップS304)が終了したら、再度、順次開放操作検出待ち(ステップS300)に戻る。
また、第一の貯蔵室(冷蔵室2)に隣接しない第三の貯蔵室(下段冷凍室5又は野菜室6)の第四の扉(下段冷凍室扉5a又は野菜室扉6a)の開閉状態を、ステップS301とステップS303の段階で判断しないのは、第一の貯蔵室2に隣接する貯蔵室ではないためである。すなわち、第一の貯蔵室(冷蔵室2)の第一の扉2a又は第二の扉2bの一方を開扉装置60で開放している際に、第三の貯蔵室(下段冷凍室5又は野菜室6)の第四の扉(下段冷凍室扉5a又は野菜室扉6a)が開放されたとしても、第二の扉2b又は第一の扉2aのうち他方の開放動作を継続する。これは、開扉装置60で開放しようとする第一の貯蔵室2の扉(第一の扉2a又は第二の扉2b)に隣接しない第三の貯蔵室(下段冷凍室5又は野菜室6)の扉(下段冷凍室扉5a又は野菜室扉6a)であれば、使用者の操作する手指の位置は第一の扉2a又は第二の扉2bから離れていることが想定されるため、開扉装置60による開放動作を優先して支障がなく、安全性を考慮した上で使い勝手を向上するためである。
このように、第一の扉と第二の扉を有する第一の貯蔵室と、前記第一の貯蔵室に隣接する第二の貯蔵室と、前記第二の貯蔵室を開閉する第三の扉と、前記第一の扉と前記第二の扉を開放する開扉装置と、前記開扉装置への駆動指令を検知する検知手段と、前記第三の扉の開閉状態を検知する扉開閉検知手段と、を備え、前記第一の扉と前記第二の扉を順次開放する駆動指令を前記検知手段で検知した場合、前記第一の扉と前記第二の扉のいずれか一方の開放動作の間に前記第三の扉が開放されたときは、前記第一の扉と前記第二の扉のうち他方の扉の開放動作を停止する。これにより、使用者によって扉開装置による扉の開放動作の途中で、隣接する貯蔵室の扉が開放された場合は、扉の順次開放動作を失念してしまったり、扉が順次開放されることに気づかなかったりした状況にあると想定し、開扉装置による開放動作を停止させるので、使い勝手と安全性を向上することができる。
また、前記第一の貯蔵室に隣接しない第三の貯蔵室と、該第三の貯蔵室を開閉する第四の扉と、を備え、前記第一の扉と前記第二の扉を順次開放する駆動指令を前記検知手段で検知した場合、前記第一の扉と前記第二の扉のいずれか一方の開放動作の間に前記第四の扉が開放されたときでも、前記第一の扉と前記第二の扉のうち他方の扉の開放動作を継続する。これにより、安全性を考慮した上で使い勝手を向上することができる。
次に、第一の貯蔵室(冷蔵室)2の第一の扉2aと第二の扉2bを開扉装置60で順次開放する際に、第一の貯蔵室2に隣接しない第三の貯蔵室(下段冷凍室5又は野菜室6)の扉開スイッチ(下段冷凍室扉開スイッチ48c又は野菜室扉開スイッチ48d)が操作された場合、第三の貯蔵室の第四の扉(下段冷凍室扉5a又は野菜室扉6a)の開放動作よりも、第一の貯蔵室2の第一の扉2aと第二の扉2bの開放動作を優先する。これは、第一の扉2aと第二の扉2bを開放する開扉装置60は共通の電動要素にて駆動され、第四の扉(下段冷凍室扉5a又は野菜室扉6a)はそれぞれ図示しない個別の電動要素を有する第四の扉開装置にて開放されるためである。
すなわち、第一の扉2aと第二の扉2bを開扉装置60で順次開放する動作の途中に、第四の扉の開放指令があった場合、第四の扉を開放する別体の第四の扉開装置に駆動を切り替えるよりも、共通の電動要素で駆動している開扉装置60にて第一の扉2aと第二の扉2bの順次開放動作を優先して、第四の扉開装置は駆動しないか開扉装置60の駆動が終了した後に駆動する構成とすることで、必要以上に駆動電流の切り替えが頻繁に行われないようにして、扉の開放動作を効率的に行うためである。
また、第一の扉2aと第二の扉2bの一方を開扉装置60にて単独で開放する動作中に、検知手段48a又は検知手段48bから第一の扉2aと第二の扉2bの他方の扉に対する開放指令と、下段冷凍室扉開スイッチ48c又は野菜室扉開スイッチ48dから第四の扉(下段冷凍室扉5a又は野菜室扉6a)に対する開放指令と、が同時又は所定時間内にあった場合、第一の扉2aと第二の扉2bの他方の扉に対する開放指令を優先する。これは、開扉装置60は共通の電動要素で駆動されているため、そのまま開扉装置60の駆動を継続することで、第四の扉を開放する別体の第四の扉開装置に駆動を切り替えるよりも、駆動電流の切り替えが頻繁に行われないようにして、扉の開放動作を効率的に行うためである。なお、この場合は第四の扉開装置は駆動しないか開扉装置60の駆動が終了した後に駆動する構成を採用することができる。
以上の実施例で説明した本発明によれば、さらに以下の効果を奏することができる。
すなわち、複数の扉と、前記扉を開放する開扉装置と、前記開扉装置への駆動指令を検知する検知手段と、を備え、前記検知手段の検知パターンは、前記複数の扉のいずれかを単独で開放する場合と、前記複数の扉を同時又は順次開放する場合と、を異なるように設定する。これにより、扉を単独で開放するか複数開放するかを一回の操作で選択可能であるため、ユーザビリティの高い冷蔵庫を提供できる。
また、前記検知手段は、複数の検知スイッチを並べて配置した構成であって、前記複数の検知スイッチのいずれかが検知した場合、前記開扉装置で前記複数の扉のいずれかを単独で開放して、前記複数の検知スイッチの並び方向に該複数の検知スイッチが順次検知した場合、前記開扉装置で前記複数の扉を同時又は順次開放する。これにより、使用者は検知手段への簡単な入力操作の変更だけで、扉を単独で開放するか複数開放するかを一回の操作で選択できるため、ユーザビリティの高い冷蔵庫を提供できる。
また、前記複数の検知スイッチの並び方向の一の向きに順次検知した場合と、該一の向きと逆の向きに順次検知した場合と、によって前記開扉装置による前記複数の扉の開放する順番が異なるようにする。これにより、使用者は簡単な操作によって、複数の扉の開き順を選択して複数の扉を開放できる。
また、前記検知手段は、所定時間に複数回の入力を検知した場合、前記複数の扉を同時又は順次開放する。これにより、単一の検知スイッチで検知手段を構成した場合でも、扉の単独開放か複数開放かを選択することが可能である。
また、前記検知手段は、複数の検知スイッチを並べて配置した構成であって、該複数の検知スイッチのうち隣接する検知スイッチ以外が同時に検知した場合、前記複数の扉を同時又は順次開放する。これにより、使用者はタッチの操作手段を変更するだけで、簡単に扉の単独開放か複数開放かを選択することが可能である。
また、前記検知手段は前記複数の扉の一つ又は複数に設けられて、前記複数の扉を同時又は順次開放する場合、前記駆動指令を検知した前記検知手段が設けられた前記扉を開放した後、他の扉を開放する。これにより、使用者が操作した手や指に近い扉、すなわち、使用者が注意を惹きやすい側の扉を先に開放するため、使用者が見ていなかったり注意していなかったりした扉が先に開くことを抑制して、安全性やユーザビリティを高めることができる。
また、前記複数の扉のいずれかが開放状態の場合、前記検知手段が検知しても前記開扉装置で前記扉を開放しない。これにより、使用者が検知手段に意図せずに触れてしまった場合でも、使用者の意図に反して扉が開放することを防止して、安全性やユーザビリティを高めることができる。
また、前記検知手段で検知した際に、前記扉を開放できない状態の場合は、前記扉を開放しないことを報知する非開放報知手段(一例として、ブザー、音声ガイド、照明手段のいずれか又はこれらの組み合わせ)を有する。これにより、使用者からの扉の開放入力は冷蔵庫側で受け付けているものの、何らかの条件、例えば他の扉が開放していたり、入力エラーが生じていたりする場合であって、開放動作を無効としていることを使用者が認識することができ、検知手段が故障であるとの誤認を防止することができる。
また、前記複数の検知スイッチが同時に全て検知した場合、前記開扉装置で前記扉を開放しない。これにより、清掃のため検知手段に触れてしまった場合でも、使用者の意図に反して扉が開放することを防止して、安全性やユーザビリティを高めることができる。
また、前記検知手段で検知した際に、前記複数の扉のいずれかを単独で開放する場合と前記複数の扉を同時又は順次開放する場合とで、異なる報知手段による報知(一例として、ブザーの回数、音階、長さの変更、音声ガイド、照明手段の照明パターンの変更)をする。これにより、使用者は扉がどのような開放動作をするかを扉の開放動作以前に把握することができ、使用者が意図する入力が認識されたか否かを予め確認することができ、安全性やユーザビリティを高めることができる。
なお、扉は、観音式の扉を例に説明したが、引き出し式の扉、観音式と引き出し式の扉の組み合わせにも適用可能である
また、検知スイッチは、タッチセンサ式に限ったものではなく、タクト式スイッチにも適用可能である。
本発明によれば、複数の扉を開放する装置を有する冷蔵庫において、前記扉開放装置で前記扉を単独で開放するか複数を同時又は順次開放するかを選択可能な入力手段を有しているため、例えば冷蔵室に観音開き式の扉が存在する冷蔵庫において、冷蔵室扉の左右2つの扉を開ける場合でも、一回の操作で両方の扉が開放される。そのため、簡単なひとつの操作で扉の開放動作を選択して入力することができる。この場合、使用者が物を手に持っている場合でも、扉を単独又は複数を容易に開放することができるので、使い勝手の良い冷蔵庫を提供できる。
なお、本実施例の開扉装置又は扉の開放動作は、冷蔵庫に限らず、複数の扉を備えた構造体に適用することができる。例えば、建造物の扉や窓、システムキッチンの収納扉、自動車のドアやウインドウ、ドアや蓋や窓等を備えた家庭用電気製品、ドアや蓋や窓等を備えた医療機器、ドアや蓋や窓等を備えた事務機器、各種ラックやキャビネットの扉等、あらゆる構造体に適用することができる。