以下、本発明の実施の形態における振動発生器用ホルダを用いた振動発生器について説明する。
振動発生器は、マグネットを保持する振動子が筐体に対して変位可能に、筐体に支持されている構造を有している。振動子の近くには、コイルが配置されている。振動子は、筐体に対する位置及び姿勢のうち少なくとも一方を変化させるための磁場を発生させる。振動発生器は、コイルの励磁に応じて振動子を往復運動させることで振動力を発生する、いわゆるリニアタイプのものである。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における振動発生器を示す平面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。
図1においては、振動発生器1の部品レイアウトが容易に理解できるように、本来フレーム20の上面によって隠れているホルダ50などが、部分的に実線で表示されている。
以下の説明において、振動発生器1について、図1で示される座標のX軸方向を左右方向(原点から見てX軸で正となる方向が右方向)、Y軸方向を前後方向(原点から見てY軸で正となる方向が後方向)ということがある。また、図2のZ軸方向(図1のXY平面に垂直な方向)を上下方向(原点から見てZ軸で正となる方向が上方向)ということがある。
[振動発生器1の全体構造]
図1に示されるように、振動発生器1は、大まかに、両面基板(回路基板の一例)10と、フレーム(筐体の一例)20と、底板30と、コイル40と、ホルダ50とを有している。ホルダ50は、本実施の形態において、4つの柱状体(固定部の一例)51(51a,51b,51c,51d)と、4つのアーム部53(53a,53b,53c,53d)と、1つの振動子保持部(以下、単に保持部ということがある。)55とを有している。保持部55には、マグネット60と、ヨーク70とで構成された振動子80が保持されている。
振動発生器1は、全体として、上下の寸法が比較的小さい薄型の略直方体形状に形成されている。振動発生器1は、例えば、左右方向、前後方向のそれぞれの外形寸法が10ミリメートル〜20ミリメートル程度しかない、小型のものである。振動発生器1は、前後左右の側面及び上面がフレーム20により構成され、両面基板10により底面が覆われた、箱形の外形を有している。
本実施の形態において、フレーム20及びヨーク70は、例えば鉄などの軟磁性体である。
両面基板10は、両面にパターンが設けられたプリント配線基板である。両面基板10の上面の中央部には、2つの端子11,12が設けられている。端子11,12は、両面基板10の底面に設けられたパターン(図示せず)に導通している。端子11,12には、コイル40の巻回端部がはんだを用いて接続されており、両面基板10の底面のパターンを介して、コイル40に通電可能に構成されている。なお、コイル40の巻回端部の接続方法については、はんだに限定されず、抵抗溶接やレーザ溶接といった工法で端子11,12とコイル40の巻回端部とを接続してもよい。
底板30は、両面基板10の上面の略全域を覆うように、長方形の板状に形成されている。底板30と両面基板10とは、例えば粘着シートや接着剤などを介して、互いに固定されている。換言すると、両面基板10は、底板30に沿うように接続されている。底板30の中央部には、2つの端子11,12が上方に露出するように、開口部31が設けられている。底板30の4辺には、4つの接合部33(33a,33b,33c,33d)が形成されている。図2に示されるように、各接合部33は、底板30から略90度上方に曲げられて形成されている。各接合部33は、底板30の両面基板10上の部位と共に、L字形状の断面をなしている。各接合部33は、その外側面がフレーム20の側部内面に接触するように形成されている。底板30は、振動子80に対してコイル40よりも離れた位置に配置されている。すなわち、底板30は、フレーム20と共に振動子80やコイル40などを覆っている。
本実施の形態において、底板30は、非磁性材料を用いて構成されている。底板30は、例えば非磁性ステンレス鋼など、非磁性の金属材料を用いて構成されている。なお、底板30は、金属材料を用いたものに限られず、例えば樹脂製であってもよい。
フレーム20は、全体として、底面部が開口する直方体形状を有している。フレーム20は、例えば鉄板を絞り加工することにより形成されている。平面視で、フレーム20の角部(各側面間の部位)は、R面状部分を挟んで繋がっている。図2に示されるように、フレーム20は、両面基板10の上方から両面基板10の上面を覆うように配置される。フレーム20は、各側面の内面が、底板30の各接合部33の側面に接触するようにして、各接合部33に対して接着又は溶接などがされることで、底板30に固定されている。換言すると、底板30は、フレーム20に取り付けられている。なお、フレーム20は、接合部33にはめ込まれたり、その他の方法を用いたりして、底板30に固定されていたりしてもよい。
このように、振動発生器1は、フレーム20で囲まれた構造を有するので、周囲の磁場等に影響されにくい。また、振動発生器1内の磁束が外部に漏れにくく、外部の機器や回路などに影響が及ぶことが防止される。
また、振動発生器1は、フレーム20と底板30とで箱形に囲まれているので、振動発生器1自身の剛性が高くなる。したがって、振動発生器1は、確実に振動を発生することができる。また、振動発生器1は、外部機器等への取り付け作業時において取り扱いやすいものとなる。
コイル40は、例えば導線を巻回してなる、全体として楕円形で平板状の空芯コイルである。すなわち、コイル40は、巻回軸方向の寸法が、巻回軸方向に直交する方向の寸法よりも小さい薄型コイルである。なお、コイル40は、金属箔を巻回したものをスライスしてなるものであったり、シートコイルを積層したものであったりしてもよい。また、コイル40は、平面視で、円形や、四角形形状などの多角形形状を有していてもよい。
図2に示されるように、コイル40は、巻回軸方向が上下方向となるようにして、底板30の上面に配置されている。図1に示されるように、コイル40は、平面視で、振動発生器1の中央部に、後述するように振動子80に対して面対向に配置されている。コイル40と底板30とは、絶縁されている。コイル40の2つの巻回端部は、共にコイル40の内側から開口部31を介して両面基板10の上面側に配線され、端子11,12に接続されている。
ホルダ50は、マグネット60及びヨーク70と共に、インサート成形により一体成形されている。すなわち、ホルダ50と振動子80とは、一体成形されている。本実施の形態において、柱状体51、アーム部53、及び保持部55は、弾性体(樹脂の一例)を用いて一体成形されている。弾性体としては、例えば、熱に強いフッ素系やシリコン系のゴムを用いることができる。このようなゴムを用いてホルダ50を形成することにより、振動発生器1の耐熱性を向上させることができる。弾性体はこれに限られず、種々のものを用いることができる。
[ホルダ50及び振動子80の構造]
図3は、ホルダ50を示す斜視図である。
図3において示されているホルダ50は、保持部55にマグネット60及びヨーク70が取り付けられていない状態を示すものである。すなわち、本実施の形態において、ホルダ50は、マグネット60及びヨーク70で構成される振動子80と共に一体成形されているものであるが、図3においては、この部位について、振動子80は示されず、弾性体により構成されているホルダ50部分のみが示されている。
各柱状体51は、高さ方向が上下方向となる円柱形状を有している。各柱状体51の高さは、フレーム20の内部の上下方向の寸法よりもやや小さくなっている。
図1に示されるように、4つの柱状体51は、それぞれ、平面視でホルダ50の四隅となる位置に配置されている。柱状体51は、フレーム20の側面のR面状部分に、それぞれ配置されている。
図1及び図2に示されるように、振動子80は、水平面(図1においてXY平面)に平行となる板形状を有している。振動子80は、平面視で各辺が前後方向又は左右方向に対して平行な略長方形形状に形成されている。
図1に示されるように、振動子80は、平面視でホルダ50の中央部、すなわち振動発生器1の中央部に配置されている。図2に示されるように、振動子80は、コイル40と略平行に、コイル40に対して面対向に配置されている。
マグネット60は、永久磁石であり、薄型の直方体形状を有している。マグネット60は、例えば、コイル40に対向する底面側部分において、N極とS極とが前後方向に分かれるように2極に着磁されている。ヨーク70は、マグネット60の上面を覆うように取り付けられた、平面視で長方形の磁性板である。ヨーク70の上面は、フレーム20の上面の内面に対面するようにして配置されている。ヨーク70は、左右の辺から部分的にそれぞれ左右方向に突出する耳部71,72を有している。ヨーク70とマグネット60とは、例えばスポット溶接や接着により、互いに接合されて、一体の振動子80を構成している。ヨーク70及びマグネット60が接合されている状態で、これら振動子80とホルダ50とがインサート成形により一体に成形されている。ヨーク70の上面には、突起部75a,75bが設けられている。
図3に示されるように、保持部55は、内部に振動子80が配置される略方形の孔部55aを形成する方形枠形状を有している。ここで、保持部55には、左右方向側方に出っ張る2つの張出部55b,55cが形成されている。図2に示されるように、ヨーク70は、張出部55b,55cのそれぞれに耳部71,72が埋入するようにして、マグネット60と共に配置されている。このような構造を有することにより、振動子80は、保持部55から脱落しにくくなるように構成されている。
4つのアーム部53は、それぞれ、保持部55の各角部と、その角部に最も近い柱状体51とを接続するようにして形成されている。各アーム部53は、左右方向に延びる梁状に形成されている。図2に示されるように、アーム部53の幅方向(前後方向)の寸法は、縦方向(上下方向)の寸法よりも小さくなっている。各アーム部53は、弾性体により形成されているため、前後方向に撓みやすくなっている。なお、各アーム部53の幅方向の寸法と縦方向の寸法との関係は、これに限定されない。各アーム部53の幅方向の寸法は、縦方向の寸法と等しくてもよいし、縦方向の寸法よりも大きくてもよい。
このように4つのアーム部53がそれぞれ前後方向に撓みやすく形成されていることにより、振動子80は、柱状体51に対して、主に前後方向に変位可能である。すなわち、振動子80は、水平面に略平行な方向に変位可能に、アーム部53によって支持されている。
ホルダ50は、4つの柱状体51のそれぞれがフレーム20に固定されていることにより、フレーム20に取り付けられている。これにより、フレーム20とは別に一体成形されたホルダ50によって、振動子80がフレーム20に対して変位可能に支持された、振動発生器1の基本構造が構成されている。
振動発生器1において、コイル40は、振動子80をフレーム20に対して往復運動させるための磁場を発生する。すなわち、コイル40に電流が流れると、コイル40が励磁し、上下方向に磁場が生じる。磁場が生じると、マグネット60がこの磁場の影響を受けて反発・吸引の力が生じる。磁場の方向及びマグネット60の磁極の配置に応じて、振動子80に前方又は後方へ変位させる力が作用する。そのため、振動子80は、各アーム部53を撓ませながら、前後方向のいずれかに変位する。したがって、コイル40に交流が流されることにより、その交流に応じて、振動子80は、平面視で、フレーム20に対して、前後方向に往復直線運動を行う。これにより、振動発生器1が振動力を発生する。
交流の電流値が小さくなり、磁場が弱くなったり磁場がなくなったりすると、アーム部53の復元力により、振動子80は平面視で振動発生器1の中央部に戻ろうとする。このとき、アーム部53は弾性体であるところ、アーム部53で消費されるエネルギは比較的大きくなる。したがって、振動は速やかに減衰される。
本実施の形態において、底板30が非磁性材料を用いて構成されているので、振動子80と底板30との間に、マグネット60による磁気吸引力は発生しない。振動子80は、コイル40が発生させた磁場に応じて、スムーズに、効率良く変位する。したがって、振動発生器1を、より薄型化でき、かつ、適正に動作させることができる。
[ホルダ50のフレーム20への取付構造]
ところで、本実施の形態において、柱状体51は、フレーム20に設けられた係合部21(21a,21b,21c,21d)に係合することで、フレーム20に取り付けられている。これにより、ホルダ50は、フレーム20に容易に取り付け可能に構成されている。
図4は、図1のB−B線におけるフレーム20の断面図である。図5は、図4のC−C線におけるフレーム20の断面図である。
本実施の形態において、図5に示されるように、係合部21は、平面視でフレーム20の隅部にそれぞれ設けられている。4つの係合部21のそれぞれは、第1の爪部22(22a,22b,22c,22d)と、第2の爪部23(23a,23b,23c,23d)との2つの爪部22,23を有している。
図4に示されるように、各係合部21において、2つの爪部22,23は、それぞれ、フレーム20の側面の一部にU字状(コ字状)の切り欠きが設けられ、切り欠きの内部がフレーム20の内側に向けて押し込まれることにより形成されている。したがって、各爪部22,23は、フレーム20と一体に成形されている。各爪部22,23がこのようにして形成されることにより、フレーム20の側面には、部分的に空隙25(25a,25b,25c,25d)が設けられている。
本実施の形態において、爪部22,23は、柱状体51の形状に対応する形状に形成されている。すなわち、柱状体51は円柱状であるところ、爪部22,23は、柱状体51の側周面に沿うような形状に形成されている。図5に示されるように、各係合部21は、平面視で、爪部22,23とフレーム20の側面間のR面状部分とにより、その係合部21に配置される柱状体51の外周面のうち半周以上の部分を囲むように形成されている。
フレーム20にホルダ50を配置するとき、まず、4つの柱状体51が、4つの係合部21にはめ込まれる。これにより、各柱状体51が係合部21の爪部22,23間に挟まれた格好となる。換言すると、各柱状体51は、側周面が係合部21の爪部22と爪部23とにより把持された状態となる。このように柱状体51と係合部21が係合することで、柱状体51がフレーム20に固定され、ホルダ50がフレーム20に取り付けられる。
各爪部22,23は、各柱状体51がそれぞれ係合部21にはめ込まれた状態で、柱状体51にかしめられる。例えば、図5に矢印で示されるように、例えば係合部21dについて、第1の爪部22dが、前方向(図5において下方向)に押し込まれ、第2の爪部23dが、右方向(図5において右方向)に押し込まれる。このように爪部22,23がかしめられることにより、各柱状体51に爪部22,23が食い込み、柱状体51がより強固にフレーム20に固定される。
従来の振動発生器は、筐体に取り付けられた板ばねを使用して振動子を支持するものである。例えば板ばねが筐体にねじを用いて取り付けられているものなどにおいては、板ばねの筐体側への取り付け部分の構造が複雑になるという問題があった。そのため、振動発生器の組立て工数が複雑化し、部品点数も多くなり、振動発生器の製造コストが増大する。このような問題は、振動発生器の小型化、薄型化の要求が高まるのに伴い、より顕著なものになっている。すなわち、振動発生器の小型化に伴い、構成部品も小型化されるため、ねじ留めやかしめに代えてスポット溶接などの取り付け方法を用いる必要があり、部品間の取り付け部の構造が複雑化する。例えば、板ばねと筐体との取り付け部などにスポット溶接を施す場合、スポット溶接を行った部位は、比較的衝撃力に対して脆くなる。そのため、振動発生器の信頼性を高く保つために、多くの箇所を溶接する必要があり、製造に手間がかかる場合がある。このような問題に対して、従来見られるような、バネ部とフレームの枠部とを一体成形した構造では、上記のようなバネ部と筐体の接合方法についての問題はそもそも発生しない。しかしながら、この場合、筐体に用いられる素材は、バネ部と一体成形することが可能なものに限られるという問題がある。
このような問題に対して、本実施の形態では、柱状体51を含むホルダ50が一体成形されており、ホルダ50は、柱状体51が係合部21にはめ込まれることで、フレーム20に対して取り付けられている。ホルダ50をフレーム20に容易に取り付けることができ、部品点数も少なく抑えられるので、振動発生器1の製造コストを低減できる。また、ホルダ50及びフレーム20はそれぞれ一体に形成されているので、ホルダ50とフレーム20との取り付け部は、脆くなることはない。したがって、振動発生器1の衝撃に対する信頼性を高めることができる。ホルダ50のフレーム20への取り付けに、ねじなどの別の部材を要することがないので、振動発生器1の小型化、薄型化、軽量化を進めることができる。
従来見られるような、振動子を支持するバネ部と筐体とが樹脂により一体成形される構造を用いた場合には、バネ部と筐体とを同素材とせざるを得なくなるという素材選択上の問題がある。しかしながら、本実施の形態では、ホルダ50とフレーム20とは、別部材で構成されているので、部品点数が少なくなる。また、容易に組立て可能な簡素な構造としながら、フレーム20の材質を適宜選択できる。したがって、例えば別途磁気回路や磁気シールドとして機能する部材などを設けることなく、フレーム20がその役割を果たすように構成することができる。
ホルダ50は、柱状体51と、アーム部53と、振動子保持部55とが弾性体により一体成形されて構成されている。したがって、部品点数を低減し、かつ、ホルダ50を容易に製造することができる。本実施の形態では、マグネット60及びヨーク70がホルダ50と共にインサート成形されているので、振動子80を保持した状態のホルダ50を容易に構成することができ、振動発生器1の製造工程をさらに簡素化できる。
係合部21は、フレーム20の側面の一部に切り欠きを設けて爪部22,23を形成することで、フレーム20と一体に形成されている。したがって、部品点数をより少なくすることができ、製造コストをさらに低減することができる。
ホルダ50のフレーム20への取付構造は、円柱状の柱状体51を2つの爪部22,23で把持したものである。したがって、振動発生器1の構造を簡素化しつつ、柱状体51を確実にフレーム20に位置決めし、ホルダ50のフレーム20への取り付け精度を高めることができる。柱状体51に対して、爪部22,23がかしめられている構造を有するので、ホルダ50がフレーム20により強固に取り付けられる。
なお、ホルダ50への振動子80の取付構造すなわちホルダ50へのマグネット60及びヨーク70の取付構造は、インサート成形に限られるものではない。例えば、一体成形されたホルダ50に、互いに溶接などにより接合されたマグネット60及びヨーク70を組み込み、接着などを行った構造を有していてもよい。また、ホルダ50とヨーク70を一体形成し、その後、ヨーク70部分にマグネット60を取り付けるようにしてもよい。
[ヨーク70の構造]
振動子80は、下方に配置されたコイルが発生する磁界の影響を受けて運動するところ、上下方向に変位したり、水平面から傾いたりすることがある(その意味で、振動子80の運動は厳密には水平面内で行われるものではない。しかしながら、振動子80の上下方向への変位の量や姿勢変化の量は比較的に小さい。そのため、以下、このような振動子80の運動を、巨視的に見て、「水平方向に運動する」と表現することもある。)。また、振動発生器1に外部から力が加えられた場合などにおいて、振動子80がフレーム20に対して上下方向に変位することがある。振動発生器1は、薄型構造を有しており、フレーム20と振動子80の上面との間隔が比較的狭くなっている。そのため、このように振動子80がフレーム20に対して上下方向に変位したり傾いたりすると、振動子80の上部が、フレーム20の上面の内面に接触することがある。
本実施の形態においては、振動子80がフレーム20に対して上下方向に変位したり傾いたりしたときに、ヨーク70の上面の2つの突起部75a,75bがフレーム20に当接するように構成されている。
図1に示されるように、突起部75a,75bは、ヨーク70の上面からフレーム20の上面の内面に向けて突出するように設けられている。突起部75a,75bのそれぞれは、振動子80の中央を通り振動子80の運動方向である前後方向に垂直な平面(ZX平面に平行な平面)に対して互いに対称となる2箇所に、設けられている。また、突起部75a,75bのそれぞれは、振動子80の中央を通りYZ平面に平行な平面上の2箇所に位置している。すなわち、本実施の形態において、突起部75aは、振動子80の上面の左右中央部後方に設けられている。突起部75bは、振動子80の上面の左右中央部前方に、突起部75aと対称となる位置に設けられている。
図6は、図1のB−B線におけるヨーク70の側断面図である。
図6に示されるように、本実施の形態において、各突起部75a,75bは、上方(図6において右方向)に凸となる曲面形状を有している。換言すると、突起部75a,75bのそれぞれは、フレーム20の上面の内面に向けて凸の曲面形状を有している。各突起部75a,75bの表面形状は、例えば、略球面形状(図6に示される断面において略円弧形状)となるように形成されている。各突起部75a,75bは、プレス加工や板金加工により、平板状のヨーク70から上方に押し出されることにより形成されている。すなわち、各突起部75a,75bは、ヨーク70の他の部分と一体に形成されている。なお、各突起部75a,75bは、このような構造のものに限られない。例えば、各突起部75a,75bは、ヨーク70の本体とは別体に形成された部材をヨーク70の上面に取り付けることなどにより設けられていてもよい。また、各突起部75a,75bは、ヨーク70の上面に別の液状部材(例えば、エポキシ系樹脂材や、溶融した金属など)を盛り、それを硬化又は凝固させることなどにより形成されていてもよい。
このように、本実施の形態においては、ヨーク70の上面に突起部75a,75bが設けられていることにより、振動子80がフレーム20に接近しても、まず突起部75a又は突起部75bがフレーム20に接触する。フレーム20に接触する部位は突起部75a,75bに限られるので、フレーム20に接触する面積が限られる。したがって、振動子80のうち突起部75a,75bがフレーム20に接触したとき、振動子80に作用する摩擦力は小さくなり、振動子80の動作に及ぶ影響は小さくなる。適正に動作可能な振動発生器1を、より薄型化することができる。また、振動子80に作用する摩擦力を小さくすることができるので、振動発生器1の消費電力を低減できる。振動子80の動作が、フレーム20に接触することにより阻害されるのを防止することができ、振動子80をスムーズに動作させることができる。
各突起部75a,75bは、振動子80の運動方向(振動方向)について対称的に配置されている。したがって、振動子80の振動時において、振動子80がフレーム20に接触するとき、確実に、突起部75a,75bがフレーム20に接触し、その他の部位がフレーム20に接触しにくくなる。したがって、振動子80がフレーム20に接触することで振動子80の動作に及ぶ影響を、確実に小さくすることができる。
各突起部75a,75bは、フレーム20の上面の内面に向けて凸の球面形状を有しているため、各突起部75a,75bとフレーム20とは、点接触で互いに接触する。したがって、振動子80に作用する摩擦力を確実に小さくすることができ、確実に、振動子80を動作させることができる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態における振動発生器の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第2の実施の形態においては、主に、振動子がウエイトを有している点と、フレキシブルプリント基板を用いている点とが、第1の実施の形態と異なる。
図7は、第2の実施の形態における振動発生器201を示す平面図である。図8は、図7のE−E線断面図である。
図7においては、図1と同様に、本来フレーム20の上面によって隠れているホルダ250などが、部分的に実線で表示されている。また、図7において、基板210(図8などに示す。)の図示は省略されている。
振動発生器201は、主に、ホルダ50に代えてホルダ250を有している点と、両面基板10に代えてそれとは構造が異なる基板210を有している点とにおいて、第1の実施の形態の振動発生器201とは異なる構造を有している。
図7に示されるように、ホルダ250は、ホルダ50と同様に、4つの柱状体51と、4つのアーム部53とを有している。また、ホルダ250は、振動子保持部55とは形状が異なる振動子保持部(以下、保持部ということがある。)255を有している。振動子保持部255には、マグネット60と、ウエイト281,282と、ヨーク270とが取り付けられている。すなわち、第2の実施の形態において、マグネット60と、ウエイト281,282と、ヨーク270とで、振動発生器201の振動子280が構成されている。
図8に示されるように、基板210は、フレキシブルプリント基板(FPC)であって、底板230を挟むように配置されている。換言すると、基板210は、底板230の両面のそれぞれの一部分を覆うように配置されている。底板230は、本実施の形態において、平板形状を有している。底板230は、フレーム20の底面側の部位にはめ込まれて、フレーム20に固定されている。底板230の右側の端縁部(周縁部の一部の一例)には、切り欠き部235が設けられている。これにより、底板230がフレーム20に固定された状態で、切り欠き部235が設けられている部分で振動発生器201の内部と外部とが連通している。
底板230は、例えば非磁性ステンレス鋼などの非磁性材料を用いて構成されている。金属材料であるフレーム20及び底板230によって振動発生器201が囲まれているので、振動発生器201がより取り扱いやすくなり、振動発生器201の耐久性も上昇する。
基板210は、底板230の上面に沿うように配置される上面部216と、底板230の底面に沿うように配置される底面部217とを有する。上面部216と底面部217との間は、折り返し部218となる。上面部216は、コイル40と底板230との間に挟まれるようにして配置されている。基板210は、切り欠き部235に位置する折り返し部218において、底面部217が底板230の底面に沿うように、折り返されている。基板210は、例えば底板230などに接着されて固定されている。
図9は、ホルダ250を示す斜視図である。図10は、ホルダ250を示す平面図である。
図9において、ホルダ250は、図3と同様に、マグネット60、ヨーク270、及びウエイト281,282の図示を省略して示されている。また、図10において、ヨーク270の図示は省略されている。
図9に示されるように、ホルダ250の保持部255は、孔部255aと、孔部255b,255cとが設けられている。孔部255aには、マグネット60が取り付けられる。孔部255b,255cは、孔部255aの左右両側部に、孔部255aが設けられている部位から左右に張り出すように設けられている。孔部255b,255cは、それぞれ、平面視で前後方向が長辺となる長方形形状を有している。孔部255aと孔部255bとの間の部位、及び孔部255aと孔部255cとの間の部位には、保持部255の上面から窪むように、弾性体が形成されている。これにより、孔部255a,255b,255cが互いに仕切られている。
図10に示されるように、孔部255b,255cのそれぞれには、ウエイト281,282が取り付けられている。ホルダ250は、振動子280の中央部を通る左右方向に垂直な平面について対称な形状を有している。すなわち、ウエイト281,282は、互いに同型状を有している。
図11は、基板210を示す展開図である。
図11において、基板210は、上面部216、底面部217、及び折り返し部218が平面状に展開されている状態である。図11に示されるように、基板210の上面部216には、2つのパッド211,212が設けられており、底面部217には、2つのパッド211a,212aが設けられている。パッド211及びパッド211aと、パッド212及びパッド212aとは、それぞれ、互いに同電位となるように、配線パターンを介して接続されている。上面部216のパッド211,212には、コイル40の巻回端部が接続されている。底面部217のパッド211a,212aは、振動発生器201が回路上などに実装される場合の電極となる。
図7に示されるように、ヨーク270は、振動子280の上面のうち、マグネット60と、ウエイト281,282とが設けられている部分とを覆うように形成された、一枚の磁性板である。本実施の形態において、マグネット60及びヨーク270と、ウエイト281,282とで構成される振動子280は、インサート成形によりホルダ250と共に一体成形されて、ホルダ250の保持部255に保持されている。
図12は、ヨーク270を示す平面図である。図13は、図12のF−F線断面図である。
図12に示されるように、ヨーク270には、4つの突起部275(275a,275b,275c,275d)が設けられている。図13に示されるように、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、各突起部275は、フレーム20の上面の内面に向けて(上方、Z方向に)凸となる球面形状を有している。
各突起部275は、ヨーク270上において、対称的に配置されている。すなわち、図7に示されるように、突起部275a,275bのそれぞれは、振動子280の中央を通り振動子280の運動方向である前後方向に垂直な第1平面(ZX平面に平行な平面)に対して互いに対称となる2箇所に設けられている。突起部275a,275bのそれぞれは、振動子280の中央を通りYZ平面に平行な第2平面上の2箇所に位置している。他方、突起部275c,275dは、第2平面に対して互いに対称となり、第1平面上に位置する、2箇所に設けられている。すなわち、本実施の形態において、突起部275aは、振動子280の上面の左右中央部後方に設けられている。突起部275bは、振動子280の上面の左右中央部前方に、突起部275aと対称となる位置に設けられている。突起部275cは、振動子280の上面の右側前後中央部に設けられている。突起部275dは、振動子280の上面の左側前後中央部に、突起部275cと対称となる位置に設けられている。
第2の実施の形態において、振動発生器201は、基本的には第1の実施の形態と同様の構成を有しているので、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。第2の実施の形態では、振動子280にウエイト281,282が設けられており、ウエイト281,282が振動子280の往復運動に伴って変位する。そのため、振動力の発生量を大きくすることができる。アーム部53の大きさ、長さや、弾性体の材質にかかわらず、必要とする振動力を容易に調整することができる。なお、ウエイト281,282としては、比較的比重が大きい金属を用いればよいが、これに限られるものではない。
また、第2の実施の形態においては、FPCである基板210が用いられている。したがって、両面基板を用いる場合と比較して、振動発生器201の上下方向の寸法を削減することができる。また、底板230の形状も単純なものにすることができる。
底板230に切り欠き部235が設けられているので、基板210が筐体外側にはみ出すことがなく、基板210を確実に保護することができる。
第2の実施の形態においても、ヨーク270に突起部275が設けられているので、振動子280が適正に運動できるような状態を維持しつつ、振動発生器201を薄型化することができる。ヨーク270には、ウエイト281,282が設けられた左右方向に対応する位置に突起部275c,275dが設けられている。したがって、ウエイト281,282が設けられていることにより慣性力が大きくなり、振動子280がフレーム20に接触しやすい構造であっても、突起部275c,275dがフレーム20に接触するので、確実に振動発生器201を動作させることができる。
底板230は、非磁性材料を用いて構成されているので、第1の実施の形態と同様に、振動子280と底板230との間隔が狭くても、振動子280の動作が妨げられることはない。したがって、底部が底板230でカバーされた、耐久性の高い、薄型の振動発生器201を提供することができる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態における振動発生器の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第3の実施の形態においては、主に、コイルが複数設けられている点が、上述の第1の実施の形態や第2の実施の形態とは異なる。
図14は、第3の実施の形態における振動発生器401を示す平面図である。図15は、図14のG−G線断面図である。
図14においては、図1と同様に、本来フレーム20の上面によって隠れているホルダ450などが、部分的に実線で表示されている。また、図14において、ホルダ450の4つの柱状体51のフレーム20による保持構造の図示は省略されている。第3の実施の形態においても、フレーム20によるホルダ450の保持構造は、上述の第1の実施の形態と同様である。
振動発生器401は、ホルダ50に代えてホルダ450を有しており、振動子480にウエイト481〜484が含まれる点で、第1の実施の形態の振動発生器1とは異なっている。また、振動発生器401は、2つのコイル440a,440bを有している点で、第2の実施の形態の振動発生器201とも異なっている。振動発生器401は、振動子480を左右方向に往復運動させて振動を発生させるように構成されている。
図15に示されるように、基板410は、第2の実施の形態の基板410と同様に、フレキシブルプリント基板であって、底板430を挟むように配置されている。底板430は、例えば非磁性ステンレス鋼などの非磁性材料を用いて構成されている。底板430も、第2の実施の形態の底板230と略同様に構成されている。すなわち、底板430は、フレーム20の底面側にはめ込まれて、フレーム20に固定されている。底板430の右側の端縁部には、切り欠き部435が設けられている。基板410の上面部416は、コイル440a,440bと底板430との間に挟まれるようにして配置されている。基板410は、切り欠き部435に位置する折り返し部418において、その底面部417が底板430の底面に沿うように、折り返されている。これにより、底板430の両面のそれぞれの一部分が、基板410により覆われている。
図16は、ホルダ450及び振動子480を示す斜視図である。図17は、図16の分解斜視図である。
図16に示されるように、ホルダ450は、ホルダ50と同様に、4つの柱状体51と、4つのアーム部53とを有している。第3の実施の形態では、各アーム部53は前後方向が長手方向になるように形成されている。これにより、振動子480は、左右方向に振動可能となっている。
図17に示されるように、ホルダ450は、振動子保持部55とは形状が異なる振動子保持部(以下、保持部ということがある。)455を有している。保持部455には、マグネット460と、マグネット460の左右に配置されたウエイト481,482とが納められている。保持部455の上面には、ヨーク470が取り付けられている。ヨーク470は、保持部455から前後方向に張り出すように形成されている。ヨーク470のうち保持部455から張り出した部分の下側に、ウエイト483,484が取り付けられている。すなわち、第3の実施の形態において、マグネット460と、ウエイト481,482,483,484と、ヨーク470とで、振動発生器401の振動子480が構成されている。振動子480を構成する各部材は、互いに接着されたり、溶着、溶接されたり、インサート成形などの方法により接合されたりして、全体として一体に構成されている。
ホルダ450は、振動子480の中央部を通り左右方向に垂直な第3平面(YZ平面に平行な平面)、及び振動子480の中央部を通り前後方向に垂直な第4平面(ZX平面に平行な平面)について、それぞれ対称となる形状を有している。ウエイト481,482は、互いに同型状を有している。また、ウエイト483,484は、互いに同型状を有している。
ヨーク470は、全体として平板形状であり、保持部455の上面の略すべてを覆うように形成されている。図17に示されるように、ヨーク470の左右両側部近傍には、ウエイト481,482に対応する位置に、孔部471a,471bが形成されている。ウエイト481,482のそれぞれの上面には、上方に突出する突出部481a,482aが形成されている。突出部481a,482bは、それぞれ孔部471a,471bにはまり込むように形成されている。すなわち、ウエイト481,482は、それぞれ、突出部481a,482bが孔部471a,471bにはめ込まれた状態で、ヨーク470に固定されている。
本実施の形態において、マグネット460の形状は第1の実施の形態のマグネット60と略同様であるが、マグネット460の着磁態様はマグネット60のそれとは異なっている。すなわち、マグネット460は、単極に着磁されているものである。マグネット460の底面側は、S極とN極とのいずれか一方に着磁されている。
ヨーク470には、マグネット460の4つの頂点に対応する部位のそれぞれから、上下方向に延びるように、張出部473a〜473dが形成されている。張出部473aは、振動子480の左後部に設けられている。張出部473bは、振動子480の右後部に設けられている。張出部473cは、振動子480の左前部に設けられている。張出部473dは、振動子480の右前部に設けられている。これらの張出部473a〜473dは、平面視で保持部455から前方又は後方に張り出している。ウエイト483は、その左右両側部上面が張出部473a,473bに接合されて、ヨーク470に固定されている。ウエイト484は、その左右両側部上面が張出部473c,473dに接合されて、ヨーク470に固定されている。ウエイト483の上面には、張出部473aと張出部473bとの間にはまるように、隆起部483aが形成されている。ウエイト484の上面には、張出部473cと張出部473dとの間にはまるように、隆起部484aが形成されている。各隆起部483a,484aは、ウエイト483,484の上面から、ヨーク470の厚みと略同じ高さだけ隆起している。これにより、振動子480の上下方向の寸法を増加させたり、大型化させたりすることなく、振動子480の重量を増加させることができる。
図18は、基板410を示す展開図である。
図18において、基板410は、上面部416、底面部417、及び折り返し部418が平面状に展開されている状態である。図18において、コイル440a,440bが搭載される位置は、それぞれ、太い2点鎖線で示されている。
コイル440a,440bは、左右方向すなわち振動子480の運動方向に対応する方向に互いに隣り合うように配置されている。コイル440aは、振動発生器401の左側(図18において下側)に配置されており、コイル440bは、振動発生器401の右側(図18において上側)に配置されている。図14に示されるように、コイル440a,440bは、互いに、上記第3平面に対して対称となる位置に配置されている。
図18に示されるように、基板410の上面部416には、それぞれパッド411a,411bと、パッド412a,412bとが設けられている。パッド411aは、コイル440aが配置されている位置の中央に設けられている。パッド411bは、コイル440bが配置されている位置の中央に設けられている。パッド412a,412bのそれぞれは、コイル440a,440bの後方に配置されている。基板410の底面部417には、2つのパッド413a,413bが設けられている。パッド411aとパッド413aとは、互いに同電位となるように、配線パターンを介して接続されている。パッド411bとパッド413bとは、互いに同電位となるように、配線パターンを介して接続されている。パッド412aとパッド412bとは、互いに同電位となるように配線パターンを介して接続されている。パッド412a,412bは、例えば、接地電位に接続されている。パッド411a,412aには、コイル440aの巻回端部が接続されている。パッド411b,412bには、コイル440bの巻回端部が接続されている。底面部417のパッド413a,413bは、振動発生器401が回路上などに実装される場合の電極となる。
振動発生器401は、パッド413a,413bを介して2つのコイル440a,440bにそれぞれ異なる向きの電流が流されることで駆動される。すなわち、マグネット460は単極に着磁されているので、2つのコイル440a,440bが交互に互いに異なる極性に励磁するのに伴い、振動子480が、左右方向に運動を行う。
図14などに示されるように、ヨーク470は一枚の磁性板である。第3の実施の形態においても、ヨーク470には、突起部475a,475b,475c,475dが設けられている。
図19は、ヨーク470を示す平面図である。図20は、図19のH−H線断面図である。
図19に示されるように、ヨーク470には、4つの突起部475(475a,475b,475c,475d)が設けられている。突起部475aは、張出部473aに設けられている。突起部475bは、張出部473bに設けられている。突起部475cは、張出部473cに設けられている。突起部475dは、張出部473dに設けられている。図20に示されるように、第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、各突起部475は、フレーム20の上面の内面に向けて(上方、Z方向に)凸となる球面形状を有している。
各突起部475は、ヨーク470上において、対称的に配置されている。すなわち、突起部475a,475bのそれぞれは、振動子480の運動方向である左右方向に垂直である上記第3平面について互いに対称となる2箇所に設けられている。同様に、突起部475c,475dのそれぞれも、第3平面について互いに対称となる2箇所に設けられている。突起部475aは突起部475cに対して、突起部475bは突起部475dに対して、それぞれ上記第4平面について対称となっている。
第3の実施の形態において、振動発生器401は、基本的には、振動子480にウエイト481〜484が含まれている点、及びFPCである基板410が用いられている点で第2の実施の形態と同様の構成を有しているので、第2の実施の形態と同様の効果が得られる。すなわち、両面基板を用いる場合と比較して、振動発生器401の上下方向の寸法を削減することができる。また、ウエイト481〜484が設けられているため、振動力の発生量を大きくすることができ、必要とする振動力を容易に調整することができる。なお、ウエイト481〜484としては、比較的比重が大きい金属を用いればよいが、これに限られるものではない。
第3の実施の形態においては、2つのコイル440a,440bを用いた簡素な構造で、振動子480が駆動される。この場合、いずれか一方のコイル440a,440bに確実に振動子480を移動させることができる。効率良く、高い駆動力をもって振動子480を運動させることができるので、振動発生器401をより高性能化することができる。
ヨーク470の4つの角部の近傍それぞれに突起部475が設けられているので、振動子480が適正に運動できるような状態を維持しつつ、振動発生器401を薄型化することができる。振動子480がどのような姿勢をとっても、より確実に、振動子480とフレーム20との間の接触範囲を小さくすることができる。
第3の実施の形態においても、底板430は、非磁性材料を用いて構成されているので、振動子480と底板430との間隔が狭くても、振動子480の動作が妨げられることはない。したがって、耐久性の高い、薄型の振動発生器401を提供することができる。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態における振動発生器の基本的な構成は、第2の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第4の実施の形態においては、主に、ホルダのフレームへの取付構造が、上述の第2の実施の形態や、第1、第3の実施の形態とは異なる。
図21は、第4の実施の形態における振動発生器501を示す平面図である。図22は、図21のJ−J線断面図である。
図21においては、図1と同様に、本来フレーム520の上面によって隠れているホルダ550などが、部分的に実線で表示されている。また、図21や図22において、ホルダ550に本来保持されているマグネットなどや、それにより構成される振動子の図示は省略されている。フレキシブルプリント基板や、その上に配置されているコイルの図示も、同様に省略されている。このような図示が省略されている部分の構造については、第4の実施の形態においても、上述の第2の実施の形態と同様である。
振動発生器501は、第2の実施の形態の振動発生器201と比較して、次の点が異なっている。すなわち、振動発生器501は、ホルダ250に代えて、ホルダ550を有している。また、フレーム20に代えて、フレーム520を有している。そのほかの構造は、振動発生器501と振動発生器201とで略同様である。例えば、マグネット60やウエイト281,282、及びヨーク270などは、ホルダ250に設けられるのと同様にして、ホルダ550に保持されている。振動発生器501は、このようにして第2の実施の形態と同様にして構成される振動子を前後方向に往復運動させて、振動を発生させるように構成されている。
第4の実施の形態において、ホルダ550のフレーム520への取付構造は、次のように構成されている。すなわち、図22に示されるように、ホルダ550は、4つの柱状体(固定部の一例)551(551a,551b,551c,551d)を有している。各柱状体551は、ホルダ250における各柱状体51に対応する位置に設けられている。柱状体551がフレーム520に後述のように固定されることで、ホルダ550は、フレーム520に支持されている。
図23は、第4の実施の形態におけるホルダ550を示す平面図である。
ホルダ550の各柱状体551には、穴部552(552a,552b,552c,552d)が設けられている。図22に示されるように、各穴部552は、各柱状体551の上面から下面に貫通するように形成されている。各穴部552は、平面視で各柱状体551の中央部にその中心が位置するようにして形成されている。各穴部552は、円筒形状を有している。各穴部552は、振動子の運動方向すなわち前後方向に対して垂直な方向である上下方向が、深さ方向となるように形成されている。換言すると、各穴部552は、略水平に配置された板形状の振動子に対して略垂直な上下方向に沿って形成されている。
図24は、第4の実施の形態におけるフレーム520を示す底面図である。図25は、図24のK−K線断面図である。
図24に示されるように、フレーム520には、底面視でその四隅のそれぞれに配置された、ポール521(521a,521b,522c,522d)が設けられている。4つのポール521のそれぞれは、円柱形状を有するピンである。各ポール521は、ホルダ550の4つの穴部552に対応する位置に配置されている。図25に示されるように、各ポール521は、その長手方向が、上下方向となるように、すなわち振動子の運動方向に対して略垂直となる方向となるように配置されている。各ポール521は、フレーム520の本体の天面(図25において下側となる部分)に形成された圧入孔522(522a,522b,522c,522d)にその上端部が圧入されて、下方に突出するように、フレーム520に立設されている。各ポール521は、フレーム520の本体の天面から、柱状体551の上下方向の寸法よりもわずかに短い程度の寸法だけ、突出している。各ポール521は、例えば鉄などの金属製であるが、これに限られるものではなく、例えば樹脂を用いて成形されたものであってもよい。
図22に示されるように、ホルダ550は、各穴部552に上方から各ポール521、522,523,524がはまり込むようにして、フレーム520に取り付けられている。ホルダ550がフレーム520に配置された状態で、ホルダ550の下方から底板230が配置される。これにより、ホルダ550が、ポール521から抜脱されないようにして、フレーム520に保持される。ホルダ550は、予めマグネット等が取り付けられている状態で、フレーム520に取り付けられる。
ここで、各穴部552は円筒形状であり、各ポール521は円柱形状である。第4の実際の形態では、ホルダ550の取付構造において、穴部552にポール521が差し込まれていることで、各柱状体551は、各ポール521の中心軸まわりの回転ができるような状態で、フレーム520に対して固定されている。換言すると、各柱状体551は、各穴部552の中心軸が各ポール521に対して変位しないようにして、平面視でフレーム520に固定されている。各柱状体551は、各ポール521まわりに回転可能であるため、前後方向に振動子が変位する際、各柱状体551が各ポール521まわりに若干回転する。これにより、振動子の変位に応じて振動子に加わる復元力を小さくでき、振動をより効率良く、スムーズに発生させることができる。
第4の実施の形態では、このように柱状体551がポール521にはまるようにして、ホルダ550がフレーム520に取り付けられている。したがって、上述の実施の形態のような、柱状体551を保持するための切り欠き部を、フレーム520の側面に設ける必要がない。フレーム520に孔部を設ける必要がないので、振動発生器501を、フレーム520と底板230とで囲まれた略密閉構造にすることができる。したがって、振動発生器501の内部へのちりやほこり等のイブの混入を防止することができ、振動発生器501の信頼性を向上させることができる。また、比較的複雑な柱状体551のかしめ工程などは必要ではなく、穴部552にポール521がはまるようにして、ホルダ550をフレーム520に容易に取り付けることができる。
そのほか、振動発生器501は、第2の実施の形態における振動発生器201と同様の構成を有している。したがって、第4の実施の形態においても、第2の実施の形態において得られる効果と同様の効果が得られる。
なお、第4の実施の形態において、ポールのフレームへの取付構造は、上述のような圧入によるものに限られない。ポールは、フレームに、溶接、接着、その他ねじなどを用いた結合方法により、取り付けられていてもよい。
図26は、第4の実施の形態の第1の変型例に係る振動発生器に用いられるフレーム620を示す底面図である。図27は、フレーム620の側面図である。図28は、図26のL−L線断面図である。
図27においては、フレーム620の背面(後方の面)が、図27における下方がフレーム620の上方(Z軸で正になる方向)となるようにして示されている。すなわち、図27は、図28と同方向から見た図面である。
図26に示されるように、フレーム620は、4つのポール(突起部の一例)621(621a,621b,621c,621d)を有している。各ポール621は、上述のフレーム520におけるポール521と同じ位置に配置されている。図27に示されるように、フレーム620の本体の上面(図27において下側の部分)のうち、ポール621が配置されている部位には、他の部分よりも一段下方に落ち込んだ段差部623(623a,623b,623c,623d)が設けられている。
図28に示されるように、各ポール621の上端部には、直径が、各ポール621の胴部の直径よりも大きい、フランジ形状の頭部622(622a,622b,622c,622d)が設けられている。頭部622は、その上下方向の高さが、フレーム520の上面から段差部623の上面までの段差の高さよりも小さくなる程度に構成されている。
各ポール621は、各段差部623に形成された孔部(図示せず)にフレーム620の上方から下方に差し込まれて、頭部622が段差部623に引っかかるようにして、フレーム620に取り付けられている。各ポール621は、頭部622の周囲が段差部623に溶接されることで、フレーム620に対して固定されている。頭部622が設けられていることにより、各ポール621が下方へ突出する寸法を精度良く管理することができ、精密な構造の振動発生器を容易に製造することが可能になる。
このようにポール621がフレーム620に溶接により固定されていることにより、ポール621のフレーム620への取付強度を向上させることができる。したがって、振動等に対するポール621の取付構造の耐久性を向上させることができる。フレーム620には、段差部623が設けられているので、溶接箇所がフレーム620の上面から上方に突出することを防止できる。
フレーム620には、ホルダ550が取り付けられて、振動発生器が構成される。ここで、柱状体551の上下方向の寸法は、段差部623が設けられていることを考慮して設定されていればよい。ホルダ550の他の部分は、上述と同様に構成されていればよい。
なお、フレーム620には、段差部623は設けられていなくてもよい。また、ポール621には、頭部622が設けられていなくてもよい。
第4の実施の形態において、ホルダの柱状体に設けられる穴部は、有底の穴であってもよい。この場合、フレームに設けられるポールの長さが短くなるように構成されていてもよい。
図29は、第4の実施の形態の第2の変型例に係る振動発生器の構成を示す側断面図である。
図29に示される断面図は、図22に示されている断面に対応する断面におけるものである。図29においても、本来振動発生器に設けられているはずのフレキシブルプリント基板やコイル等の部材の図示は省略されている。
図29に示されるように、この振動発生器のフレーム625は、長手方向すなわち上下方向の長さが短いポール626b,626cを有している。フレーム625の本体は、フレーム620の本体と同様に、段差部623が形成されているものである。フレーム625は、フレーム620と同様に、各ポール626b,626cをフレーム625の本体に差し込んだうえで両者を溶接することで構成されている。
フレーム625には、ホルダ650が取り付けられている。ホルダ650は、基本的には、ホルダ550と同様の構成を有している。ホルダ650は、有底の穴部652b,652cが形成された柱状体651b,651cを有している点で、ホルダ550とは異なる。
なお、図29においては、ポール626についてポール626b,626cのみが示されており、穴部652、柱状体651についてそれぞれ穴部652b,652c、柱状体651b,651cのみが示されている。しかしながら、フレーム625には、ポール626、柱状体651、及び穴部652は、上述の振動発生器501と同様に、それぞれ、合計4つずつが設けられている。
本変型例において、ホルダ650の各穴部652は、その下部において、底部653(653b,653cなど)で塞がれている。このように各穴部652が有底の筒形状であるので、ホルダ650は、容易に成形可能となる。すなわち、ホルダ650の成形時において、樹脂が、各柱状体651の全体に回り込みやすくなる。したがって、いわゆる樹脂の回りもれを防止することができ、容易に、ホルダ650を成形可能となる。特に、樹脂を流し込むためのゲートの位置を、各柱状体651の付近に設けることで、この効果をより確実に得ることができる。
第4の実施の形態において、各ポールの、フレームの本体への取付構造は、上述のようなものに限られない。例えば、各ポールには、フレームの本体に当接するフランジ部が設けられていてもよい。
図30は、第4の実施の形態の第3の変型例に係る振動発生器に用いられるフレーム525を示す側断面図である。
図30に示される断面図は、図25に示されている断面に対応する断面におけるものである。
図30に示されるように、フレーム525の基本的な構成は、上述のフレーム520と同様である。フレーム525は、フレーム520と比較して、フランジ部527(527a,527d)が形成されているポール526(526a,526d)を有している点で異なっている。なお、図30においては、ポール526及びフランジ部527についてそれぞれポール526a,526d、フランジ部527a,527dのみが示されている。しかしながら、ポール526及びフランジ部527は、上述の振動発生器501と同様に、それぞれ、合計4つずつが設けられている。
フランジ部527は、ポール526の上端部から、フレーム525の本体の厚み分だけ、若干下方に下がった位置に形成されている。フランジ部527は、ポール526の胴部の直径より若干大きな直径を有している。
このようにポール526にフランジ部527が形成されていることにより、ポール526は、フランジ部527がフレーム525の内側からフレーム525の本体の天面に当接するまで圧入孔522に圧入されて、取り付けられている。これにより、フレーム525の本体の天面から、ポール526の下端部までの距離を容易に管理することができ、振動発生器を容易に、高精度で組み立てることができる。
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態における振動発生器の基本的な構成は、第3の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第5の実施の形態においては、主に、ホルダのアーム部部分の構造が、上述の第3の実施の形態を始め、各実施の形態とは異なる。
図31は、第5の実施の形態における振動発生器701を示す平面図である。図32は、振動発生器701のホルダ750及び振動子480を示す分解斜視図である。
図31においては、図1と同様に、本来フレーム20の上面によって隠れているホルダ750などが、部分的に実線で表示されている。また、図31において、フレキシブルプリント基板や、その上に配置されているコイルの図示も、同様に省略されている。このような図示が省略されている部分の構造については、第5の実施の形態においても、上述の第3の実施の形態と同様である。例えば、フレーム20によるホルダ750の保持構造は、上述の第1の実施の形態と同様である。
振動発生器701は、ホルダ450とは一部の構成のみが異なるホルダ750を有している。ホルダ750には、振動子保持部455に、マグネット460、ヨーク470、及びウエイト481〜484が保持されて構成された、振動子480が設けられている。また、ホルダ750は、4つの柱状体51がフレーム20に保持されて、フレーム20に取り付けられている。これらの点において、ホルダ750は、第3の実施の形態のホルダ450と同様である。すなわち、振動発生器701は、図31には図示されない2つのコイルが励磁されて、振動子480を左右方向に往復運動させて振動を発生させる。
図32に示されるように、第5の実施の形態において、ホルダ750の4つのアーム部53には、それぞれ、スリット754(754a,754b,754c,754d)が形成されている。各スリット754は、各アーム部53の長手方向に沿って形成されている。すなわち、各スリット754は、前後方向が長手方向となるようにして形成されている。これらの4つのスリット754のそれぞれは、互いに、同一形状である。
図31に示されるように、各スリット754は、平面視で各アーム部53の幅方向中央部に形成されている。各スリット754の上下の端部は、一方が柱状体51に近接し、他方が保持部455(第5の実施の形態においては、特に、保持部455のうちウエイト471a,471bを保持する部位)に近接するように形成されている。すなわち、各スリット754は、各アーム部53の長手方向の略全域にわたり、形成されている。各スリット754は、各アーム部53の上面から下面まで貫通している。これにより、各アーム部53は、スリット754を挟み、左右の2つの梁状部位に分かれているといえる。
なお、スリット754は、例えば次のようにして形成されていればよい。すなわち、ホルダ750の一体成形を行うときに、スリット754を形成するための形状を有する金型を用いて、ホルダ750の離型時にスリット754を有するアーム部53が成形されているようにしてもよい。また、先にホルダ750の一体成形を行った後の工程において、スリット754が形成されていないアーム部53にスリット754を形成するための加工を施すようにしてもよい。
振動発生器701は、大まかに、上述の振動発生器401と同様に構成されているので、基本的には上述の第3の実施の形態と同様の効果が得られる。第5の実施の形態においては、アーム部53にスリット754が形成されていることにより、さらに、次のような効果が得られる。
すなわち、振動子480の変位量が同一であるとき、アーム部53にスリット754が設けられていると、設けられていない場合と比較して、アーム部53の各部分がより均一に変形する。したがって、アーム部53が破損しにくくなり、ホルダ750が高寿命化する。
また、スリット754の形状や位置等を変更することにより、振動発生器701の振動特性を容易に変更できる。例えば、スリット754の幅の形成することで、振動子480の振幅量を容易に変更できる。換言すると、第5の実施の形態においては、所望の振動特性に合わせて、スリット754の幅等を設定すればよい。
なお、スリット754の形状は、これに限られるものではない。例えば、スリット754の幅が略ゼロであり、アーム部53に単に切れ込みが入れられることにより形成されるものであってもよい。
第5の実施の形態において、スリットには、補強板が挿入されていてもよい。
図33は、第5の実施の形態における第1の変型例に係る振動発生器801を示す平面図である。
図33においては、図31と同様に、各構成要素の図示が部分的に省略されている。本変型例に係る振動発生器801では、上述のホルダ750と同様に、各アーム部53にスリット854(854a,854b,854c,854d)が形成されているホルダ850が設けられている。ホルダ850は、さらに、4つの補強板859(859a,859b,859c,859d)を有している。振動発生器801において、これ以外の部分の構成は、上述の第5の実施の形態の振動発生器701と同じである。
図34は、振動発生器801のホルダ850及び振動子480を示す斜視図である。図35は、ホルダ850及び振動子480を示す分解斜視図である。
図34に示されるように、各補強板859は、ホルダ850の柱状体51及びアーム部53に対応するようにして配置されている。各補強板859は、支持部857(857a,857b,857c,857d)と、挿入部858(858a,858b,858c,858d)とを有している。
図35に示されるように、支持部857は、各柱状体51の直径よりもやや小さい直径を有する円形の板状である。なお、支持部857の形状は円形に限られない。また、支持部857は、板状のものに限られない。
挿入部858は、略長方形に形成された板形状を有している。挿入部858は、その一部で、支持部857に接続されている。本変型例において、補強板859は、挿入部858と支持部857とを1枚の金属板から打ち抜き、支持部857部分に対して挿入部858部分を90度折り曲げることにより形成されている。挿入部858は、予めホルダ850のアーム部53に形成されたスリット854に挿入可能な厚み及び大きさを有している。
図36は、ホルダ850の補強板859の配置部分を拡大して示す図である。図37は、ホルダ850の側面図である。
図37においては、ホルダ850の左側を示す側面図が示されている。
図36に示されるように、補強板859は、ホルダ850に取り付けられて用いられる。補強板859は、挿入部858がスリット854の内部に挿入され、かつ、支持部857が柱状体51の上面に配置されるようにして、ホルダ850に取り付けられている。図37に示されるように、挿入部858は、アーム部53の上下方向の寸法よりも若干上下方向の寸法が大きくなるように形成されている。挿入部858は、アーム部53の上下に若干量だけはみ出すようにして、スリット854の内部に配置されている。
ここで、図36に示されるように、スリット854は、上述のホルダ750のスリット754とは異なり、若干柱状体51に食い込むような位置まで形成されている。そして、挿入部858は、その柱状体51側の端縁部が柱状体51部分に食い込むようにして、スリット854に挿入されている。すなわち、挿入部858の柱状体51側の端縁部は、振動子480の運動時にそれほど変形しない位置に配置されている。
また、スリット854は、挿入部858の振動子480側の端縁部(図36において上方の端縁部)が位置する位置よりも、振動子480により近づく位置まで、長く形成されている。すなわち、挿入部858の振動子480側の端縁部と、スリット854の振動子480側の端縁部とは、隙間854sを挟んで、若干離れている。
なお、支持部857の中央部には、円形の穴が形成されている。この穴は、例えば次のような場合に必要となるものである。すなわち、第4の実施の形態のように、ホルダの柱状体にフレーム側のポールがはまり込むようにして柱状体がフレームに固定される場合がある。この場合において、補強板859を設ける場合、補強板859は、ポールが支持部857の穴を貫通するようにして配置される。このような支持部857の穴は、これ以外の場合(例えば補強板859がホルダ850に取り付けられて用いられるような場合)には、設けられていなくてもよい。
第5の実施の形態において、補強板859は、振動子480の運動時に保持部455が柱状体51に対して変位するのに伴って、アーム部53と共に撓む。挿入部858は、一端部が柱状体51により保持されることで片持ち梁のようにして配置されている。したがって、保持部455が左右に変位すると、各挿入部858は、振動子480側の端部が最も左右方向に変位するようにして撓む。
ここで、上述のように、挿入部858とスリット854との間には隙間854sが設けられている。したがって、保持部455の変位に伴い挿入部858とアーム部53とが共に撓んでも、挿入部858がスリット854の端縁部に強く接触することがない。したがって、挿入部858がスリット854に食い込むなどしてアーム部53が破損するというような不具合の発生は防止される。
このように、本変型例によれば、スリット854に挿入部858を挿入した状態で振動子480を保持させることができる。スリット854が設けられているアーム部53は、スリット854が形成されていない場合のものと比較して、それ自体の剛性や強度は低下している。スリット854に、適切な厚み、寸法を有する挿入部858を挿入することで、アーム部53の剛性を適正に保ち、振動子480の変位量が適切になるように設定できる。また、振動発生器801が駆動されていないときに、振動子480に加わる重力や衝撃などによりアーム部53が撓むことを防止できる。
なお、補強板は、柱状体51とフレーム20の天面との間に支持部857が挟まれることで上下方向の位置が固定されるものに限られない。補強板は、柱状体51に別の方法で固定されていてもよい。また、補強板は、柱状体とは別に、フレーム20や底板230などに固定されていてもよい。
第5の実施の形態において、アーム部にスリットを設けた構造に代えて、アーム部が複数の樹脂を用いて成形された構造を有するホルダが採用されていてもよい。
図38は、第5の実施の形態における第2の変型例に係る振動発生器のホルダ950を示す平面図である。
第2の変型例において、振動発生器は、上述のホルダ750に代えて、ホルダ950を有している。この振動発生器のうち、ホルダ950以外の構成は、上述の第5の実施の形態と同様である。
図38において示されているホルダ950は、保持部455に、振動子480が取り付けられていない状態を示すものである。すなわち、本変型例において、ホルダ50は、マグネット460及びヨーク470などで構成される振動子480と共に一体成形されているものであるが、図38においては、この部位について、振動子480は示されず、弾性体により構成されているホルダ950部分のみが示されている。
図38に示されているように、ホルダ950は、ホルダ750のそれと同じ保持部455及び4つの柱状体51を有している。ホルダ950において、保持部455と各柱状体51とは、上述のホルダ750とは構成が異なるアーム部953(953a,953b,953c,953d)を有している。
本変型例において、各アーム部953は、2色成形で形成されている。図38において、2色成形で形成されている部分を、斜め格子線で印をつけて示す。
図39は、図38のM−M線断面図である。
図39に示されるように、アーム部953は、第1の樹脂954aと、第2の樹脂954bとの2色成形により形成されている。保持部455と柱状体51とは、例えば、第1の樹脂954aで、アーム部953と一体に形成されている。第2の樹脂954bは、第1の樹脂954aよりも硬度が低いものである。
アーム部953は、第1の樹脂954aを用いて形成された部分の外側を、第2の樹脂954bで覆うようにして形成されている。換言すると、本変型例において、各アーム部953は、第1の樹脂954aを用いて形成された芯部分を有している。その芯部分の外側は、第2の樹脂954bによりコーティングされている。
各アーム部953の内部の材質には、硬度が比較的高い第1の樹脂954aが用いられている。したがって、各アーム部953の剛性や強度が確保され、各アーム部953は、芯がしっかりとしたものとなる。また、第1の樹脂954aのまわりは、比較的柔らかい材質である第2の樹脂954bで覆われている。これにより、アーム部953にひびが入ったり、傷付いたりしにくくなる。したがって、アーム部953の寿命を長くすることができ、振動発生器の信頼性を向上させることができる。
なお、各アーム部953における樹脂の配置は、上述のものに限られない。例えば、ホルダ950の形状によって、比較的応力が集中しやすい箇所に、比較的柔らかい材質の樹脂が配置されるようにすることにより、アーム部953の寿命を長くすることができる。
[その他]
上述の各実施の形態やその変型例における特徴点を、適宜組み合わせて振動発生器を構成してもよい。例えば、上述の第2の実施の形態から第5の実施の形態に係る振動発生器においては、フレキシブルプリント基板に代えて、第1の実施の形態のような、ガラスエポキシ基板などの両面基板が用いられていてもよい。なお、このように両面基板を用いる場合、振動発生器の製造コストを低減できる。
上述の第2の実施の形態から第5の実施の形態などにおいて、底板の切り欠き部には、R面取り部が設けられていてもよい。面取り部は、例えば、切り欠き部が形成されていることによりできるエッジ部分に設けられていればよい。これにより、FPCである基板が切り欠き部において折り曲げられても、基板にストレスが掛かりにくくなり、基板の破損等をより確実に防止することができる。
フレームは鉄に限られず、他の素材を用いて構成されていてもよい。例えば、ホルダとは別体に構成された樹脂製であってもよい。フレームは、上面又は底面が設けられておらず、平面視でホルダの周囲を囲むようなものであってもよい。フレームは、平面視で正方形であってもよい。
回路基板は設けられていなくてもよい。底板は、フレームの底部の全面を覆わず、フレームの底部の一部のみに配置されていてもよい。
ヨークに設けられる突起部の数は、4でもよいし、奇数であってもよい。突起部の表面は、球面形状に限られず、また、曲面形状に限られない。突起部を、限られた面積の部位がフレームの内面に接触するように形成することにより、上述のような効果を得ることができる。
柱状体の数やアーム部の数は、それぞれ2つ以上であればよい。柱状体は、円柱形状でなくてもよく、多角柱形状であってもよい。ホルダは、一体成形されたものではなく、複数の部材を組み付けて構成されたものであってもよい。
ホルダのフレームへの取付構造は、柱状体とそれを挟むような2つずつの爪部が係合するものや、柱状体の穴部にポールがはまり込むものに限られない。ホルダのフレームへの取付構造は、ホルダ側の他の形状の固定部と、フレームに形成された係合部とが係合するものであればよい。例えば、フレームに穴状の係合部が形成されており、その係合部にホルダ側の突起部が嵌装されることで、ホルダがフレームに取り付けられるようにしてもよい。
ホルダは、単色成形されるものに限られない。例えば、柱状体及び保持部と、アーム部とを、互いに異なる素材を用いて、2色成形により一体成形したものであってもよい。
ホルダへの振動子の取付構造すなわちホルダへのマグネット及びヨークの取付構造は、インサート成形に限られるものではない。例えば、ホルダの成形とは別の工程において、一体成形されたホルダに、互いに溶接などにより接合されたマグネット及びヨークを組み込み、接着などを行った構造を有していてもよい。また、ホルダとヨークを一体形成し、その後、ヨーク部分にマグネットを取り付けるようにしてもよい。
ウエイトは、マグネットの中央部などに配置されていてもよい。マグネットのうち、振動子が移動するための力の発生にそれほど影響がない部分にウエイトを配置すればよい。これにより、振動子を小型化しつつ、大きな振動力を発生できる振動発生器を構成することができる。
コイルが、振動を利用する機器のメイン基板などに取り付けられており、そのコイル実装済みのメイン基板に、ホルダが取り付けられたフレームを取り付けることで、振動子が駆動可能な振動発生器が構成されていてもよい。換言すると、他の機器の基板上に搭載されているコイルを用いて、振動発生器が構成されていてもよい。
上記のようなホルダの構成は、上記のような振動発生器用のホルダに限られず、広く適用可能である。すなわち、ホルダは、フレームに支持される部分に対して、マグネットが設けられた可動子(上述の実施の形態において振動子となる部分)がアーム部を介して変位可能となるように、構成される。このようなホルダは、磁気を利用して駆動されるアクチュエータや、可動子を適宜所定の向きに変位させたりして用いる装置など、他の様々な装置において利用することができるものである。このような振動発生器とは異なる装置においても、ホルダを上記のように構成することで、上述と同様の効果を得ることができる。例えば、ホルダのヨーク部分に突起部を設けることにより、可動子とフレームとが接触しうる部位を限定でき、装置を適正に動作可能にすることができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。