JP6041754B2 - 活性エネルギー線硬化型組成物およびそれを用いた防虫忌避・抗菌用フィルム - Google Patents
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Description
(A)防虫忌避および抗菌活性成分として、花椒、ウワウルシ、ソヨウ、桃の葉、唐辛子、オオバク、ジュウヤク、生姜およびクジンの各抽出物、および、
(B)活性エネルギー線硬化型ニス
を含んでなる、活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
本発明において使用する植物は、いずれも生薬として知られているものである。
本発明において、各植物ないし生薬(抽出原料)からの抽出物の調製は、いずれも常法を組み合わせることにより実施することができる。抽出に際しては、抽出原料は、細かく細断ないし粉砕してから使用することが好ましい。抽出は、抽出原料を、適当な抽出溶媒に浸漬し、常圧ないし加圧下、加温ないし加熱(常温〜溶媒の沸点の範囲)する方法等によって実施することができる。
植物抽出物の調製にあたり、原料として使用する植物(生薬)の使用割合(重量基準)は、花椒、ウワウルシ、ソヨウ、桃の葉、オオバク、ジュウヤクおよび生姜についてはそれぞれ等量(基本量)ずつであること、唐辛子は基本量の1.5倍量であること、クジンは基本量の2.5倍量であることが好ましいが、それぞれ、かかる量を基準として±20重量%の範囲で変動させることができる。
活性エネルギー線硬化型ニス(B)とは、紫外線や可視光線などの活性エネルギー線の照射によって硬化物を形成する性質を備えたニスをいい、通常、感光性モノマー(40〜68重量%)、感光性樹脂(30〜40重量%)、光重合開始剤(1〜10重量%)、シリカ(1〜10重量%)、その他この分野で通常使用される適宜の添加剤を含有するものである。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、植物抽出物(A)と活性エネルギー線硬化型ニス(B)を混合することにより調製することができる。かかる混合の割合は、所望の防虫忌避・抗菌効果を発揮し、かつ活性エネルギー線硬化型組成物のフィルム表面への充分な硬化が達せされる限り、特に限定されるものではないが、通常、植物抽出物の使用割合が、活性エネルギー線硬化型ニス(B)に対し、約5〜40重量%の範囲である。具体例としては、例えば、植物抽出物(A)として、本明細書の実施例に記載のものを使用する場合、該植物抽出物の好ましい使用割合は、活性エネルギー線硬化型ニス(B)に対し、約10〜30重量%の範囲である。
こうして得られた活性エネルギー線硬化型組成物を、フィルムに塗布し、これに活性エネルギー線を照射することにより、本発明の防虫忌避および/または抗菌用フィルムとすることができる。
本発明に使用するフィルムの材質としては、特に限定はなく、防虫忌避および/または抗菌が要求される対象物を包装するものとして相応しくない性質を有するものでない限り、いずれの材料から構成されるフィルムであっても好適に使用することができる。そのような材料としては、例えば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン(例えば、ユポ(登録商標)など)、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、パルプ(例えば、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプなど)などが挙げられる。
本発明において、活性エネルギー線とは、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化できる電磁波であれば特に限定されず、具体的には、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線などが挙げられる。
本発明において、フィルムへの活性エネルギー線硬化型組成物の塗布、活性エネルギー線照射による硬化、および硬化層の定着等の一連の工程は、常法により実施することができ、例えば、活性エネルギー線が紫外線である場合、UV硬化型印刷機(例えば、岩崎鉄工株式会社製のLR25)を用いて、好適に実施することができる。この場合の紫外線の波長は、約100〜約400nmの範囲のものであり、照射の強度は、1.4〜3.0KJ/cm2の範囲のものである。
花椒:中国産の花椒
ウワウルシ:日本薬局方「ウワウルシ」、堀江生薬株式会社)
ソヨウ:日本薬局方「蘇葉」、株式会社ウチダ和漢薬)
桃の葉:桃の葉(タンザク、中国産)、堀江生薬株式会社)
唐辛子:国産の唐辛子粉末
オオバク:日本薬局方「オオバク」、株式会社ウチダ和漢薬)
ジュウヤク:日本薬局方「ジュウヤク」、堀江生薬株式会社)
生姜:日本薬局方「生姜」、株式会社ウチダ和漢薬)
クジン:日本薬局方「クジン」、株式会社ウチダ和漢薬)
活性エネルギー線硬化型ニス:UVグロスOPニスCP−3(株式会社 T&K TOKA社製)
花椒200g、ウワウルシ200g、ソヨウ200g、桃の葉200g、唐辛子300g、オオバク200g、ジュウヤク200g、生姜200gおよびクジン500gを水20リットルに浸し、約50〜60℃の温度に加熱して、時々攪拌しながら3日間煮て、その後室温まで冷ました。こうして得た液を、さらし(玉川晒(水素晒 綿100%)、共同組合関西ファッション連合 0−26)5層を重ねて濾すようにした濾過装置にてろ過した。一方、クエン酸ナトリウム200g、ソルビン酸カリウム200g、デヒドロ酢酸ナトリウム200g、エリソルビン酸ナトリウム200g、塩化ナトリウム500gを水2リットルに溶解し、約40〜50℃の温度で約2時間加熱し、その後室温まで冷ました。こうして得た液を、上記と同じ濾過装置にてろ過した。こうして得た二つのろ液を合わせたのち、時々攪拌しながら、さらに1日半の間、40〜50℃の温度に保ち、余分な水分を蒸発させ、その後、20〜30℃の温度になるまで冷まして、植物抽出物約1800gを得た。
(活性エネルギー線硬化型組成物1)
活性エネルギー線硬化型ニス1リットルに、上記で得た植物抽出物200gを、攪拌下、少しずつ加えた。こうして得た混合物を、1日半、時々攪拌しながら、20〜30℃の温度に保ち、余分な水分を蒸発させることにより、活性エネルギー線硬化型組成物1を得た。
植物抽出物の添加量を250gに変更し、新たにイソプロピルアルコール70gを追加した以外は、活性エネルギー線硬化型組成物1の調製と同様に処理して、活性エネルギー線硬化型組成物2を得た。
(防虫忌避・抗菌用フィルム1)
厚さ約50μm、幅約21.8cmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムをロール状に巻いたものを、UV硬化型印刷機(岩崎鉄工株式会社製のLR25)にかけた。ここにおいて、該フィルムへの塗布物としては、通常使用するインクの代わりに、上記で得た活性エネルギー線硬化型組成物1を使用した。かかる処理により、該フィルム上に、該組成物からなる硬化層(厚さ約5μm)を形成させた、本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム1を得た。なお、UV照射の強度は、約2.75KJ/cm2であった。
厚さ約90μm、大きさ約50mm×50mm(正方形)のポリエチレンフィルムの上に、パルプからなる層を設けて二層フィルムとした上で、該二層フィルムのパルプ側表面に、上記で得た活性エネルギー線硬化型組成物2を塗布して自然乾燥することにより、本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム2を得た。該フィルムの厚みは、約300μmであった。
4−1.防虫忌避・抗菌用フィルム1について
(方法)
市販の一房のバナナを準備し、1本ずつ、計2本を房から切り離した。上記で得た防虫忌避・抗菌用フィルム1の硬化層を有する面を内側にして、同フィルムからなる袋を作成し、その中に、1本のバナナを入れた(検体1)。他の1本のバナナは、市販の食品用ラップで包んだ(検体2)。こうして準備した2本のバナナの状態を図1に示す。なお、図1に示す、本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム1は、透明性に優れ、食品などを包装した場合に、内容物の状態が容易に確認できるという優れた特徴をも有するものである。
検体1および検体2を、それぞれダンボール箱に入れて、室温で、13日間保存し、保存後のそれぞれの状態を比較した。結果は、図2記載のとおりある。
JIS Z 2801:2010「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」の記載(主に、「5 試験方法」)に準じて、本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム2について、抗菌力試験を行った。
試験に用いた試験片、カバー用フィルムおよび試験菌液は、下表記載のとおりである。但し、試験菌液中の菌株は、Escherichia coli ATCC 43895(大腸菌、血清型O157:H7、ベロ毒素IおよびII型産生株)のみとした。また、試験片は清浄化を行わずに試験に供した。
接種直後の比較例の試験菌液、並びに、接種後培養(35℃、24時間)した後の実施例および比較例の試験菌液について、所定の方法(寒天平板培養法)に従い、それぞれ、試験片1cm2あたりの生菌数を測定した(n=3)。結果は、下表および図3〜5記載のとおりである。
抗菌活性値(R)=(Ut−U0)−(At−U0)=Ut−At
U0:接種直後の比較例の試験菌液についての生菌数(/cm2)の対数値(平均値)
Ut:培養後(35℃、24時間)の比較例の試験菌液についての生菌数(/cm2)の対数値(平均値)
At:培養後(35℃、24時間)の実施例の試験菌液についての生菌数(/cm2)の対数値(平均値)
Claims (6)
- (A)防虫忌避および抗菌活性成分として、花椒、ウワウルシ、ソヨウ、桃の葉、唐辛子、オオバク、ジュウヤク、生姜およびクジンの各抽出物、および、
(B)活性エネルギー線硬化型ニス
を含んでなる、活性エネルギー線硬化型組成物であって、
前記活性エネルギー線硬化型ニスに対する前記抽出物の重量比が10〜30重量%である活性エネルギー線硬化型組成物。 - 前記抽出物を調製するに際して使用した花椒、ウワウルシ、ソヨウ、桃の葉、唐辛子、オオバク、ジュウヤク、生姜およびクジンの各重量比が以下の範囲内である、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
花椒:80〜120重量部
ウワウルシ:80〜120重量部
ソヨウ:80〜120重量部
桃の葉:80〜120重量部
唐辛子:120〜180重量部
オオバク:80〜120重量部
ジュウヤク:80〜120重量部
生姜:80〜120重量部
クジン:200〜300重量部 - フィルムの少なくとも一方の面に、請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型組成物からなる硬化物の層を有する、防虫忌避および/または抗菌用フィルム。
- 前記フィルムが、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびナイロンから選択される一の材料から構成される単層フィルムであるか、または、同種もしくは異種の該単層フィルムを積層した多層フィルムである、請求項3記載の防虫忌避・抗菌用フィルム。
- 請求項3または4記載の防虫忌避・抗菌用フィルムで包まれた、防虫忌避および/または抗菌処理された対象物。
- 請求項3または4記載の防虫忌避・抗菌用フィルムを使用することを含んでなる、防虫忌避および/または抗菌の方法。
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