JP6041754B2 - 活性エネルギー線硬化型組成物およびそれを用いた防虫忌避・抗菌用フィルム - Google Patents

活性エネルギー線硬化型組成物およびそれを用いた防虫忌避・抗菌用フィルム Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物およびそれを用いた防虫忌避・抗菌用フィルムに関し、より詳しくは、防虫忌避および抗菌活性成分として特定の植物抽出物を使用した活性エネルギー線硬化型組成物、該組成物からなる硬化物の層を有する防虫忌避・抗菌フィルム、ならびに、該フィルムにより防虫忌避および/または抗菌処理された対象物および該フィルムによる防虫忌避および/または抗菌の方法に関する。
従来から、防虫忌避作用や抗菌作用を謳った植物抽出物は知られている(特許文献1)。
しかし、このような抽出物を用いて、防虫忌避や抗菌目的で使用するためのシート(フィルム)を製造した例は知られていない。その理由としては、(1)これら抽出物が、前記シートの製造に使用するには、不溶性異物の量や、場合によっては透明度などにおいて充分に満足のいく品質のものではなかったので、防虫忌避・抗菌シートとしては、特に、衛生面の印象が尊ばれる食品等の包装に使用する防虫忌避・抗菌シートとしては、不向きと考えられていたこと、(2)前記シートを製造するには、植物抽出物を、何らかの手段をもってして、シートから容易には剥がれ落ちない態様でシートに塗布する必要があるが、そのための簡便かつ効率的な手段が具体的に知られていなかったこと、特に、植物抽出物の塗布にあたりこれを何らかの媒体と混合する場合には、植物抽出物とそのような媒体との相溶性が問題となるところ、相性のよい組合せとして、どのような原料を使用した植物抽出物を用い、かつ、どのような媒体を用いればよいか、十分な情報がなかったことなどが考えられる。
特開2003−321315号公報
本発明は、防虫忌避・抗菌シート、特に、食品等の包装に使用する防虫忌避・抗菌シートとしても使用するに足る、植物抽出物を活性成分として使用した、防虫忌避・抗菌用フィルム、および、これに関連する技術を提供しようとするものである。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の植物(生薬)を原料とする植物抽出物を活性成分として使用し、かつ、該植物抽出物を活性エネルギー線硬化型ニスとともに用いれば、上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(A)防虫忌避および抗菌活性成分として、花椒、ウワウルシ、ソヨウ、桃の葉、唐辛子、オオバク、ジュウヤク、生姜およびクジンの各抽出物、および、
(B)活性エネルギー線硬化型ニス
を含んでなる、活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
また、本発明は、フィルムの少なくとも一方の面に、前記活性エネルギー線硬化型組成物からなる硬化物の層を有する、防虫忌避および/または抗菌用フィルムに関する。
前記フィルムは、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびナイロンから選択される一の材料から構成される単層フィルムであるか、または、同種もしくは異種の該単層フィルムを積層した多層フィルムであることが好ましい。
また、本発明は、前記フィルムで包まれた、防虫忌避および/または抗菌処理された対象物に関する。
さらに、本発明は、前記フィルムを使用することを含んでなる、防虫忌避および/または抗菌の方法に関する。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、フィルムに塗布し、活性エネルギー線を照射することで、簡便かつ効率的に、前記活性エネルギー線硬化型組成物からなる硬化物の層を有する、防虫忌避および/または抗菌用フィルムを製造することができるので、商業的に極めて有用である。
また、このようにして得られる、本発明のフィルムは、優れた防虫忌避および抗菌活性を示す。したがって、本発明のフィルムは、防虫忌避および/または抗菌の目的で、様々な用途に使用することができ、特に、該フィルムで対象物を包むことにより、容易に、該対象物を防虫忌避および/または抗菌処理することができる。
さらに、フィルムとして透明度の高いものを使用すれば、該フィルムで包んだ対象物の状態を外部から容易に観察、確認できるため、保存状態を随時確認する必要のある対象物(例えば、食品)の包装用フィルムとして、好適に使用することができる。
保存前の検体1および2の状態を示したものである。 13日間保存後の検体1および2の状態を示したものである。 接種直後の比較例の試験菌液について、寒天平板培養法により培養した後の状態を示したものである。 培養後(35℃、24時間)の比較例の試験菌液について、寒天平板培養法により培養した後の状態を示したものである。 培養後(35℃、24時間)の実施例の試験菌液について寒天平板培養法により、培養した後の状態を示したものである。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の構成成分である、植物(生薬)からの抽出物および活性エネルギー線硬化型ニスについて説明する。
(植物(生薬))
本発明において使用する植物は、いずれも生薬として知られているものである。
花椒は、カホクザンショウ(華北山椒、Zanthoxylum bungeanum)といい、東アジア原産のミカン科サンショウ属の低木である。本発明で用いる部位は、果皮であり、健胃、鎮痛、駆虫作用などがあるとされている。
ウワウルシ(Arctostaphylos uva-ursi)は、別名クマコケモモともいい、ツツジ科クマコケモモ属の常緑低木である。但し、ウラシマツツジ(Arctous alpinus var. japonicus)もクマコケモモと呼ばれることがあるが別の植物である。本発明で用いる部位は、開花期の葉であり、尿路消毒作用や利尿作用などがあるとされている。
ソヨウ(蘇葉)は、中国南部原産の一年草であるシソ科シソ(Labiatae Perilla frutescens Britton var. acuta Kudo)またはその近縁植物の葉および枝先をいう。防腐・殺菌作用などがあるとされている。
桃の葉は、バラ科のモモ(桃、Prunus persica)の葉であり、別名、桃葉ともいう。ボウフラ殺虫作用などがあるとされている。
唐辛子(とうがらし、蕃椒)は、中南米を原産とする、ナス科トウガラシ属(Capsicum)の果実をいう。健胃、発汗作用などがあるとされている。
オオバク(黄柏)は、ミカン科キハダ属の落葉性高木であるキハダ(Phellodendron amurense)の周皮を除いた樹皮を乾燥したものである。腸内殺菌などの作用があるとされている。
ジュウヤク(重薬、十薬、Houttuyania cordata)は、別名ドクダミともいい、日本、中国、東南アジア、ヒマラヤなどを原産とする、ドクダミ科の多年草である。本発明で用いる部位は、開花期の地上部である。利尿作用、動脈硬化予防作用などがあるとされている。
生姜(しょうきょう)は、ショウガ科(Zingiberaceae)の多年草ショウガ(Zingiber officinale Roscoe)の根茎を乾燥したものをいう。鎮痛、鎮痙、発汗などの作用があるとされている。
クジン(苦参)は、マメ科(Leguminosae)の多年草であるクララ(Sophora flavescens)の根を、そのまままたは周皮の大部分を除いた上で、切って干したものをいう。抗真菌作用などがあるとされている。
本発明においては、以上の植物(生薬)を原料とし、植物抽出物(A)を調製する。
(植物抽出物の調製)
本発明において、各植物ないし生薬(抽出原料)からの抽出物の調製は、いずれも常法を組み合わせることにより実施することができる。抽出に際しては、抽出原料は、細かく細断ないし粉砕してから使用することが好ましい。抽出は、抽出原料を、適当な抽出溶媒に浸漬し、常圧ないし加圧下、加温ないし加熱(常温〜溶媒の沸点の範囲)する方法等によって実施することができる。
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール;酢酸エチル等のエステル;エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレンアルコール、グリセリン等のグリコール類;ジエチルエーテル、石油エーテル等のエーテル;アセトン、酢酸等の極性溶媒;ベンゼン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素などを挙げることができるが、これらのうち、水またはアルコール(低級アルコールまたはグリコール類)が好ましく、特に水が好ましい。これらの溶媒は、単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
抽出時間は、抽出原料および抽出溶媒の種類、抽出温度等の諸条件により異なるが、抽出溶媒として抽出原料に対して約10倍量(8〜12倍量)の水を使用し、抽出温度として50〜60℃の温度を採用する場合、通常2〜3日程度である。当業者であれば、このような情報から、抽出時間を含む諸条件を決定することが可能である。
抽出は、原料毎に行ってもよいし、複数の原料を用いる場合には、適宜まとめて行ってもよい。
こうして得られる溶媒抽出物は、ろ過、遠心分離等によって固形物を除いておくことが好ましい。ろ過を行う場合には、例えば、濾過装置として、さらし数層(例えば、4〜6層程度、好ましくは5層程度)で濾すように作製した濾過装置でろ過することができる。この場合、さらしとしては、市販のさらし、例えば、玉川晒(水素晒 綿100%、共同組合関西ファッション連合 0−26)などを、好適に使用することができる。
さらに、溶媒抽出物は、余分な抽出溶媒を留去すべく加熱することが好ましい。当該加熱の具体例としては、例えば、抽出溶媒として水を使用する場合、溶媒抽出物を40〜50℃の温度で1日〜2日程度維持することが挙げられる。このようにして、植物抽出物を調製することができる。
本発明の植物抽出物には、さらに、この分野で通常用いられる添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、pH調整剤(例えば、クエン酸ナトリウムなど)、保存料(ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(エリソルビン酸ナトリムなど)、アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、その他塩類(塩化ナトリウム)などが挙げられる。これら添加剤の配合量は、本発明の効果に実質的に影響を与えない範囲で適宜決定される。
植物抽出物に、添加剤を配合する場合、該添加剤は、予め溶媒に溶解(この際、所望により、40〜50℃で、約2時間加熱する)した上で、上記の濾過装置でろ過しておくことが望ましい。この場合、こうして得たろ液を、上記溶媒抽出物のろ液と混合し、以下、同様の工程に付すことができる。添加剤の溶解に使用する溶媒としては、上記の抽出溶媒を使用することができる。
(使用割合)
植物抽出物の調製にあたり、原料として使用する植物(生薬)の使用割合(重量基準)は、花椒、ウワウルシ、ソヨウ、桃の葉、オオバク、ジュウヤクおよび生姜についてはそれぞれ等量(基本量)ずつであること、唐辛子は基本量の1.5倍量であること、クジンは基本量の2.5倍量であることが好ましいが、それぞれ、かかる量を基準として±20重量%の範囲で変動させることができる。
(活性エネルギー線硬化型ニス)
活性エネルギー線硬化型ニス(B)とは、紫外線や可視光線などの活性エネルギー線の照射によって硬化物を形成する性質を備えたニスをいい、通常、感光性モノマー(40〜68重量%)、感光性樹脂(30〜40重量%)、光重合開始剤(1〜10重量%)、シリカ(1〜10重量%)、その他この分野で通常使用される適宜の添加剤を含有するものである。
本発明においては、上記活性エネルギー線硬化型ニスのうち、上記植物抽出物との相溶性に優れるもの、すなわち、混合した際に両者が分離せず均一な混合物(溶液、分散液などを含む)となるものであれば、いずれのものをも好適に使用することができるが、そのような活性エネルギー線硬化型ニスの具体例としては、例えば、UVグロスOPニス CP−3(株式会社 T&K TOKA社製)、ダイキュア R OPニス GG、ダイキュア アビリオ OPニス ダイキュア アビリオ、ダイキュア アビリオ OPニス HG、ダイキュア RTX OPニス RC、ダイキュア セプターDT OPニス HB、ダイキュア ニューZ OPニス NW、ダイキュア WL OPニス H、ダイキュア WL OPニス L−T2、UVカルトン Cウェット OPニス、UVカルトン CウェットSL OPニス、ダイキュア RX OPニス T−DPY、ダイキュア WLマット OPニス AK、ダイキュア WLマット OPニス YF、ダイキュア アビリオ マット OPニス(以上、いずれもDICグラフィックス株式会社製)などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型ニスは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
(活性エネルギー線硬化型組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、植物抽出物(A)と活性エネルギー線硬化型ニス(B)を混合することにより調製することができる。かかる混合の割合は、所望の防虫忌避・抗菌効果を発揮し、かつ活性エネルギー線硬化型組成物のフィルム表面への充分な硬化が達せされる限り、特に限定されるものではないが、通常、植物抽出物の使用割合が、活性エネルギー線硬化型ニス(B)に対し、約5〜40重量%の範囲である。具体例としては、例えば、植物抽出物(A)として、本明細書の実施例に記載のものを使用する場合、該植物抽出物の好ましい使用割合は、活性エネルギー線硬化型ニス(B)に対し、約10〜30重量%の範囲である。
なお、植物抽出物に添加する添加剤は、活性エネルギー線硬化型組成物の調製に先立ち、予め植物抽出物に添加しておく以外に、活性エネルギー線硬化型組成物を調製する際に、添加してもよい。特に、添加にあたり予め溶媒に溶解しておく必要のない添加剤(例えば、アルコールなど)は、活性エネルギー線硬化型組成物調製の段階で、好適に添加することができる。
(防虫忌避および/または抗菌用フィルムの調製)
こうして得られた活性エネルギー線硬化型組成物を、フィルムに塗布し、これに活性エネルギー線を照射することにより、本発明の防虫忌避および/または抗菌用フィルムとすることができる。
(フィルムの材質)
本発明に使用するフィルムの材質としては、特に限定はなく、防虫忌避および/または抗菌が要求される対象物を包装するものとして相応しくない性質を有するものでない限り、いずれの材料から構成されるフィルムであっても好適に使用することができる。そのような材料としては、例えば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン(例えば、ユポ(登録商標)など)、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、パルプ(例えば、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプなど)などが挙げられる。
上記材料から構成されるフィルムは、単一の材料から構成される単層のフィルムであってよく、あるいは、同種もしくは異種の該単層フィルムを積層した多層フィルムであってもよい。多層フィルムの一の具体例としては、例えば、ポリエチレンフィルムの上にパルプからなる層を積層した二層フィルムが挙げられる。
該フィルムの厚さは、特に限定はないが、対象物を包むのに使用する場合には、通常、0.25μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
(活性エネルギー線)
本発明において、活性エネルギー線とは、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化できる電磁波であれば特に限定されず、具体的には、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線などが挙げられる。
(塗布・照射等)
本発明において、フィルムへの活性エネルギー線硬化型組成物の塗布、活性エネルギー線照射による硬化、および硬化層の定着等の一連の工程は、常法により実施することができ、例えば、活性エネルギー線が紫外線である場合、UV硬化型印刷機(例えば、岩崎鉄工株式会社製のLR25)を用いて、好適に実施することができる。この場合の紫外線の波長は、約100〜約400nmの範囲のものであり、照射の強度は、1.4〜3.0KJ/cm2の範囲のものである。
このようにして得られる本発明のフィルムは、優れた防虫忌避・抗菌作用を有するため、このような効果が要求される対象物(好ましくは、食品等)を防虫忌避および/または抗菌する目的に使用することができる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例に用いた素材等)
花椒:中国産の花椒
ウワウルシ:日本薬局方「ウワウルシ」、堀江生薬株式会社)
ソヨウ:日本薬局方「蘇葉」、株式会社ウチダ和漢薬)
桃の葉:桃の葉(タンザク、中国産)、堀江生薬株式会社)
唐辛子:国産の唐辛子粉末
オオバク:日本薬局方「オオバク」、株式会社ウチダ和漢薬)
ジュウヤク:日本薬局方「ジュウヤク」、堀江生薬株式会社)
生姜:日本薬局方「生姜」、株式会社ウチダ和漢薬)
クジン:日本薬局方「クジン」、株式会社ウチダ和漢薬)
活性エネルギー線硬化型ニス:UVグロスOPニスCP−3(株式会社 T&K TOKA社製)
1.植物(生薬)抽出物の調製
花椒200g、ウワウルシ200g、ソヨウ200g、桃の葉200g、唐辛子300g、オオバク200g、ジュウヤク200g、生姜200gおよびクジン500gを水20リットルに浸し、約50〜60℃の温度に加熱して、時々攪拌しながら3日間煮て、その後室温まで冷ました。こうして得た液を、さらし(玉川晒(水素晒 綿100%)、共同組合関西ファッション連合 0−26)5層を重ねて濾すようにした濾過装置にてろ過した。一方、クエン酸ナトリウム200g、ソルビン酸カリウム200g、デヒドロ酢酸ナトリウム200g、エリソルビン酸ナトリウム200g、塩化ナトリウム500gを水2リットルに溶解し、約40〜50℃の温度で約2時間加熱し、その後室温まで冷ました。こうして得た液を、上記と同じ濾過装置にてろ過した。こうして得た二つのろ液を合わせたのち、時々攪拌しながら、さらに1日半の間、40〜50℃の温度に保ち、余分な水分を蒸発させ、その後、20〜30℃の温度になるまで冷まして、植物抽出物約1800gを得た。
2.活性エネルギー線硬化型組成物の調製
(活性エネルギー線硬化型組成物1)
活性エネルギー線硬化型ニス1リットルに、上記で得た植物抽出物200gを、攪拌下、少しずつ加えた。こうして得た混合物を、1日半、時々攪拌しながら、20〜30℃の温度に保ち、余分な水分を蒸発させることにより、活性エネルギー線硬化型組成物1を得た。
(活性エネルギー線硬化型組成物2)
植物抽出物の添加量を250gに変更し、新たにイソプロピルアルコール70gを追加した以外は、活性エネルギー線硬化型組成物1の調製と同様に処理して、活性エネルギー線硬化型組成物2を得た。
3.防虫忌避・抗菌用フィルムの調製
(防虫忌避・抗菌用フィルム1)
厚さ約50μm、幅約21.8cmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムをロール状に巻いたものを、UV硬化型印刷機(岩崎鉄工株式会社製のLR25)にかけた。ここにおいて、該フィルムへの塗布物としては、通常使用するインクの代わりに、上記で得た活性エネルギー線硬化型組成物1を使用した。かかる処理により、該フィルム上に、該組成物からなる硬化層(厚さ約5μm)を形成させた、本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム1を得た。なお、UV照射の強度は、約2.75KJ/cm2であった。
(防虫忌避・抗菌用フィルム2)
厚さ約90μm、大きさ約50mm×50mm(正方形)のポリエチレンフィルムの上に、パルプからなる層を設けて二層フィルムとした上で、該二層フィルムのパルプ側表面に、上記で得た活性エネルギー線硬化型組成物2を塗布して自然乾燥することにより、本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム2を得た。該フィルムの厚みは、約300μmであった。
4.評価
4−1.防虫忌避・抗菌用フィルム1について
(方法)
市販の一房のバナナを準備し、1本ずつ、計2本を房から切り離した。上記で得た防虫忌避・抗菌用フィルム1の硬化層を有する面を内側にして、同フィルムからなる袋を作成し、その中に、1本のバナナを入れた(検体1)。他の1本のバナナは、市販の食品用ラップで包んだ(検体2)。こうして準備した2本のバナナの状態を図1に示す。なお、図1に示す、本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム1は、透明性に優れ、食品などを包装した場合に、内容物の状態が容易に確認できるという優れた特徴をも有するものである。
(抗菌活性)
検体1および検体2を、それぞれダンボール箱に入れて、室温で、13日間保存し、保存後のそれぞれの状態を比較した。結果は、図2記載のとおりある。
同図から明らかなとおり、検体1は、13日間保存後も、茶色の斑点(いわゆる、シュガースポット)が現れた、程よく熟した状態であったが、検体2は、全体に黒ずんで、中味も軟らかく、変色していた。このことより、本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム1が、優れた抗菌活性を有することがわかる。
4−2.防虫忌避・抗菌用フィルム2について
JIS Z 2801:2010「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」の記載(主に、「5 試験方法」)に準じて、本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム2について、抗菌力試験を行った。
(方法)
試験に用いた試験片、カバー用フィルムおよび試験菌液は、下表記載のとおりである。但し、試験菌液中の菌株は、Escherichia coli ATCC 43895(大腸菌、血清型O157:H7、ベロ毒素IおよびII型産生株)のみとした。また、試験片は清浄化を行わずに試験に供した。
(抗菌活性)
接種直後の比較例の試験菌液、並びに、接種後培養(35℃、24時間)した後の実施例および比較例の試験菌液について、所定の方法(寒天平板培養法)に従い、それぞれ、試験片1cm2あたりの生菌数を測定した(n=3)。結果は、下表および図3〜5記載のとおりである。
表2から明らかなとおり、接種直後の生菌数が、培養後(35℃、24時間)には、比較例で大幅に増えた一方、本発明の実施例では大幅に減少していた。したがって、本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム2が優れた抗菌活性を有することが明らかである。
本発明の防虫忌避・抗菌用フィルム2について、抗菌活性値を以下の式に従い算出したところ、3.6(試験菌:大腸菌(O157:H7))であった。

抗菌活性値(R)=(Ut−U0)−(At−U0)=Ut−At

0:接種直後の比較例の試験菌液についての生菌数(/cm2)の対数値(平均値)
t:培養後(35℃、24時間)の比較例の試験菌液についての生菌数(/cm2)の対数値(平均値)
t:培養後(35℃、24時間)の実施例の試験菌液についての生菌数(/cm2)の対数値(平均値)
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物からなる硬化物の層を有する、防虫忌避および/または抗菌用フィルムの製造に有用である。また、このようにして得られる、本発明のフィルムは、防虫忌避および/または抗菌の目的で、様々な用途に使用することができ、特に、該フィルムで対象物を包むことにより、容易に、該対象物を防虫忌避および/または抗菌処理することができる。さらに、フィルムとして透明度の高いものを使用すれば、該フィルムで包んだ対象物の状態を外部から容易に観察、確認できるため、保存状態を随時確認する必要のある対象物(例えば、食品)の包装用フィルムとして、好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. (A)防虫忌避および抗菌活性成分として、花椒、ウワウルシ、ソヨウ、桃の葉、唐辛子、オオバク、ジュウヤク、生姜およびクジンの各抽出物、および、
    (B)活性エネルギー線硬化型ニス
    を含んでなる、活性エネルギー線硬化型組成物であって、
    前記活性エネルギー線硬化型ニスに対する前記抽出物の重量比が10〜30重量%である活性エネルギー線硬化型組成物
  2. 前記抽出物を調製するに際して使用した花椒、ウワウルシ、ソヨウ、桃の葉、唐辛子、オオバク、ジュウヤク、生姜およびクジンの各重量比が以下の範囲内である、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
    花椒:80〜120重量部
    ウワウルシ:80〜120重量部
    ソヨウ:80〜120重量部
    桃の葉:80〜120重量部
    唐辛子:120〜180重量部
    オオバク:80〜120重量部
    ジュウヤク:80〜120重量部
    生姜:80〜120重量部
    クジン:200〜300重量部
  3. フィルムの少なくとも一方の面に、請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型組成物からなる硬化物の層を有する、防虫忌避および/または抗菌用フィルム。
  4. 前記フィルムが、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびナイロンから選択される一の材料から構成される単層フィルムであるか、または、同種もしくは異種の該単層フィルムを積層した多層フィルムである、請求項記載の防虫忌避・抗菌用フィルム。
  5. 請求項または記載の防虫忌避・抗菌用フィルムで包まれた、防虫忌避および/または抗菌処理された対象物。
  6. 請求項または記載の防虫忌避・抗菌用フィルムを使用することを含んでなる、防虫忌避および/または抗菌の方法。
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