以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る実施形態に関する概略正面図であり、図2は、図1に示す実施形態に関する概略側面図である。リング状食品成形装置1は、成形位置にシート状の外皮材を搬入する搬入部2、内材を吐出部4に供給する供給部3、成形位置に配置されたシート状の外皮材の中央部分を囲むように内材をリング状に吐出する吐出部4と、成形位置の下方に配置された内側成形部材50を備えるとともにリング状の内材の内側を通過するように内側成形部材50を移動させて外皮材の中央部分を内材の内周面に沿うように成形する内側成形部5と、外皮材の中央部分を通過した状態の内側成形部材50の周囲に配置された封着部材である上段シャッタ60及び下段シャッタ61を備えるとともに内側成形部材50に向かって上段シャッタ60及び下段シャッタ61を閉じる方向に動作させることで外皮材の周縁部分を寄せ集めて内側成形部材50の周囲の外皮材の中央部分に封着して内材を外皮材で包み込む封着部6、及び、成形されたリング状食品を内側成形部5から移送して搬出する搬出部7を備えている。この例では、後述するように、下段シャッタ61上にシート状の外皮材を載置して成形するようにしており、下段シャッタ61上が成形位置となっている。
成形に用いる内材としては、例えば、粒餡や漉し餡等の豆類の餡、カスタードクリーム、ジャム、チョコレートクリーム、肉ペースト、スポンジ生地、すり身、豆腐ペースト、野菜ペースト、カレーペースト、クリームチーズ等のペースト状の食材が挙げられる。こうしたペースト状の食材には、粒状の固形食材を混ぜ込んで構成することもできる。混ぜ込む粒状の固形食材としては、例えば、大栗、アーモンド、マカダミア・ナッツ、ブルーベリー等の果実類、リンゴやオレンジ等の果肉の角切り、甘納豆、乾燥フルーツ、金時豆、ナッツ類の粒状物、ウィンナ、角切り肉、角切りジャガイモ、角切りニンジン等の加工食材といったものが挙げられる。また、成形に用いる外皮材としては、例えば、菓子パン生地、食パン生地、中華饅頭生地、デニッシュパン生地、ドーナツ生地、ピザ生地、ベーグル生地といった発酵生地が挙げられる。発酵生地以外でも、パイ生地、餃子・小龍包生地、団子・餅生地等の生地を使用することもできる。
搬入部2は、シャトルコンベヤからなり、シート状の外皮材を搬送する搬送ベルト20、搬送ベルト20を移動させる駆動プーリ21、並びに、シャトル動作を行う一対の従動プーリを備えている。一対の従動プーリは、搬送ベルト20の搬送方向に移動して、搬送ベルト20を吐出部4の下方まで延長させるように動作する。そして、搬送ベルト20を吐出部4の下方に延長した状態で外皮材を搬送して、上段シャッタ60及び下段シャッタ61の開口領域に設定された成形位置に搬入するようになっている。
なお、搬入部2の搬送方向上流側には、外皮材を所定の厚さで略円形状に整形する整形機構が配置されており、整形されたシート状の外皮材が搬入部2に移送されるようになっている。
供給部3は、筺体10の上部に設けられており、ペースト状の食材等からなる内材を収容するホッパ30、ホッパ30内の内材を供給管32に圧送するベーンポンプ31を備えている。供給管32は、吐出部4に接続されており、可撓性を有する管材が用いられ、後述する吐出部4の上下動に対して柔軟に対応することができるようになっている。
吐出部4は、供給管31が接続された吐出管40、吐出管40を支持する支持フレーム41、吐出管41の円形の吐出口を開閉する円板状の開閉部材42を備えている。開閉部材42の上端部には、開閉部材42の中心軸に沿って駆動ロッド43が固定されており、駆動ロッド43は、駆動モータ44に接続されている。駆動モータ44は、載置板45上に固定されており、載置板45に形成された開口を通して駆動ロッド43が取り付けられている。そして、回転手段である駆動モータ44を回転駆動することで、開閉部材42を吐出管40内で回転させることができる。回転手段としては、駆動モータ以外に回転エアシリンダ等のアクチュエータを用いることができる。
支持フレーム41には、エアシリンダ46が固定されており、エアシリンダ46の駆動ロッドは、上方に延設されて載置板45の端部に接続されている。そのため、エアシリンダ46を駆動することで、載置板45を上下方向に移動させるようになり、載置板45の上下方向の移動に伴って駆動モータ44、駆動ロッド43及び開閉部材42が上下方向に移動するようになる。したがって、エアシリンダ46を動作させることで、吐出管40の吐出口を開閉部材42が開閉するようになり、また、開閉部材42を吐出口との間に所定間隔を空けた状態で開くように設定することで、両者の間に形成された円環状の隙間から内材をリング状に吐出することができる。
なお、吐出部4において、内材をリング状に吐出する場合、上述した例以外の方法で行うこともできる。例えば、小径の複数の吐出口をリング状に配列しておき、複数の吐出口から同時に吐出することで、吐出した内材が外皮材の上面にリング状に配列されてリング状に吐出することもできる。
図1に示す例では、吐出部4は、吐出管40を上下動させる移動機構を備えている。支持フレーム41の筐体10側に延設された作動部41aが筺体2の内面に取り付けられており、作動部41aは、筺体2の内面に上下方向に沿って固定されたレールに摺動可能に取り付けられている。作動部材41aの側面にはラックが固定されており、作動部41aの上下方向の移動範囲に対応して筺体2には開口部が形成されており、開口部を作動部41aが貫通して支持フレーム41が上下方向に移動可能に取り付けられている。筺体2の内面には、駆動モータ47を固定する固定台が設けられており、駆動モータ47の駆動ギアが作動部41aのラックに噛み合うように設定されている。そして、駆動モータ47を回転駆動することで、駆動ギアと噛み合うラックが上下動するようになり、ラックとともに作動部41a及び支持フレーム41が上下動することで吐出部4全体が上昇及び下降の動作を行うようになる。
吐出管40の吐出口の周囲には、成形位置にセットされた外皮材を押える押え部材48が軸方向に摺動可能に取り付けられている。この例では、押え部材48は、リング状でフランジ状に外方に突出するように形成されており、吐出管40の外周面が小径に形成された段差部に嵌め込まれて軸方向に摺動可能に取り付けられている。そして、吐出管40の周囲には、押え部材48を吐出口に向かって付勢するバネ部材が設けられており、後述するように、吐出管40が下方に移動する際に押え部材48を外皮材に圧接した状態でバネ部材が圧縮されるようになり、押え部材48により外皮材を押えた状態で保持するようになっている。
開閉部材42の下面には、成形位置にセットされた外皮材の中央部分に切込みを形成する刃部材8が取り付けられている。刃部材8は、後述するように、開閉部材42が上下動することで、外皮材の中央部分に切込みを形成して内側成形部材50が通過しやすくする脆弱処理部として機能するようになっている。
なお、脆弱処理部は、外皮材の中央部分に内側成形部材が通過しやすくするように脆弱部分を形成することができればよく、脆弱部分としては、上述した切込みを形成する以外に、例えば、孔部を形成したり、厚さを薄くした部分を形成するようにしてもよい。また、脆弱部分を形成する場合に、吐出部4とは別体に脆弱処理部を設けることもできる。例えば、内側成形部材50の上面に刃部材を取り付けておき、開閉部材42が刃部材に当接することで、外皮材の中央部分に切込みや孔部を形成することもできる。また、成形位置に外皮材を搬入する前の外皮材の整形工程で脆弱処理を行うようにしてもよい。
内側成形部5は、吐出部4の下方に吐出口と対向配置された内側成形部材50、内側成形部材50を支持固定する基台51、内側成形部材50の周囲に配置されたリング状の受け部材52を備えている。内側成形部材50は、外周面に内側成形面とともに封着部6の上段シャッタ60及び下段シャッタ61が封着する際の開口領域の形状に合わせて封着面が形成されている。この例では、内側成形部材50の上部に上側封着面及び下側封着面が段差状に形成されており、上側封着面が上段シャッタ60の封着時の開口領域に対応し、下側封着面が下段シャッタ61の封着時の開口領域に対応して形成されている。そして、下側封着面の下側部分に内側成形面が形成されている。
基台51は、支持フレーム53に一端部が回動可能に軸支されており、支持フレーム53に取り付けられた回動モータ54により反転動作を行うようになっている。受け部材52は、バネ部材55を介して基台51に取り付けられており、内側成形部材50に対して上下動可能となるよう設定されている。
支持フレーム53は、筐体10側に延設されて、筺体2の内面において上下方向に沿って固定されたレールに摺動可能に取り付けられている。支持フレーム53の筐体10内の部分にはラックが固定されており、支持フレーム53の上下方向の移動範囲に対応して筺体2には開口部が形成されており、開口部を支持フレーム53が貫通して上下方向に移動可能に取り付けられている。筺体2の内面には、駆動モータ56を固定する固定台が設けられており、駆動モータ56の駆動ギアが支持フレーム53のラックに噛み合うように設定されている。そして、駆動モータ56を回転駆動することで、駆動ギアと噛み合うラックが上下動するようになり、ラックとともに支持フレーム53が上下動することで内側成形部5全体が上昇及び下降の動作を行うようになる。また、内側成形部5が上昇する際に、受け部材52を所定位置の高さで停止させるストッパ部材が筐体10に固定されている。
封着部6は、封着部材である複数のシャッタ片を有する上下2段の上段シャッタ60及び下段シャッタ61を備えている。上段シャッタ60及び下段シャッタ61の間には、必要に応じて中心部に円形の開口が形成された平板状の受け部材を挿入してもよい。上段シャッタ60及び下段シャッタ61は、吐出管40の下方に配置されており、後述するシャッタ片により形成される開口領域の中心が吐出管40の中心軸とほぼ一致するように筺体2に取り付けられている。
上段シャッタ60を駆動する駆動ロッド63は、筺体2に形成された開口を貫通して筺体2の内部に固定された駆動モータ64に連結されている。同様に、下段シャッタ61を駆動する駆動ロッド65は、筺体2に形成された開口を貫通して筺体2の内部に固定された駆動モータ66に連結されている。
図3は、上段シャッタ60の一例を示す概略構成図であり、図3(a)は、シャッタ片側からみた概略図を示しており、図3(b)は、シャッタ片側とは反対側からみた概略図を示している。上段シャッタ60は、六角形のプレート状に形成され中央部分が開口している枠体60aを備えており、枠体60aの一方の面側の各角部には、6枚のシャッタ片60bが回動可能にそれぞれ軸支されている。シャッタ片60bが取り付けられた側とは反対側の他方の面側には、各シャッタ片60bの回動軸に対応して6枚のフランジ60cがそれぞれ取り付けられている。6枚のフランジ60cは、リンク部材60dによりそれぞれ直列に連結されており、1枚のフランジ60cには駆動ロッド63が連結されている。そして、駆動ロッド63を駆動モータ64により軸方向に移動させることで、各フランジ60cが連動して回動するようになる。図3では、各シャッタ片60bが開いた状態となっており、各シャッタ片60bに囲まれた開口領域が形成されるようになる。
図4は、各シャッタ片60bが閉じる方向に回動した状態に関する概略図である。駆動モータ63の駆動回転により各シャッタ片60bが反時計回りに回動することで、各シャッタ片60bに囲まれた開口領域が縮小して、後述するように、内側成形部材50の外周面に形成された内側成形面との間で、外皮材の中央部分と周縁部分とを封着するようになる。下段シャッタ61についても上段シャッタ60と同様の構成を備えており、上段シャッタ60及び下段シャッタ61は、互いのシャッタ片側が対向するように重ね合わせて配置されるとともに互いに連結されており、筺体2に設けられた取付部材62に支持固定されている。
上述した例では、6枚のシャッタ片を有するシャッタについて説明したが、シャッタ片の枚数に特に制限はなく、成形するリング状食品の形状に合わせて適宜設定することができる。また、シャッタ片の開閉動作については、シャッタ片の回動動作以外の例えば直進動作によって開閉動作を行うこともでき、外皮材の周縁部分の寄せ集め及び封着ができればよく特に限定されない。また、シャッタ片の形状及びシャッタ片の駆動機構についても、外皮材の周縁部分を寄せ集めて内材を包み込むように成形することができ、内側成形部材との間で外皮材の中央部分及び周縁部分を封着することが可能であれば、上述した例以外の公知の形状及び駆動機構を用いることができ、特に限定されない。
搬出部7は、成形品を搬出する搬送ベルト70を備えており、搬送ベルト70は、内側成形部5で成形された成形品が移送されて載置される載置台71及び成形品が搬出される搬出台72の間に張架されるとともに駆動プーリ73に巻回されて張設されている。そして、載置台71に張架された搬送ベルト70上に成形品が載置された後駆動プーリ73を駆動することで、成形品を搬出台72に搬送し、次の工程に成形品を搬出することができる。
図5から図16は、リング状食品成形装置の成形動作に関する説明図であり、装置の側面からみた各動作過程での概略断面図を示している。図5では、搬入部2によりシート状の外皮材Fが搬送ベルト20に載置されて上段シャッタ60及び下段シャッタ61の開口領域に設定された成形位置に搬入される。吐出部4は、上方の待機位置に設定されており、開閉部材42は、吐出管40の吐出口を閉鎖した状態に設定されている。そのため、吐出管40内に内材Gが充填した状態となっている。封着部6の上段シャッタ60は、外皮材Fが収まるように開いた状態に開口しており、下段シャッタ61は、外皮材Fを載置可能となるように開口領域を縮小した状態に設定されている。搬入部2は、上段シャッタ60の開口領域まで搬送ベルト20を延長させて外皮材Fを搬入して、外皮材Fが下段シャッタ60の開口領域を覆うように載置する。内側成形部5は、下降した待機位置に設定されている。
図6では、上段シャッタ60は、シャッタ片を閉じる方向に動作させて、外皮材Fの周縁部分を中心に向かって押圧するように位置調整する。こうしたシャッタ片による位置調整により、外皮材Fの中心が上段シャッタ60の開口領域の中心とほぼ一致する外形に形成されるようになる。そのため、後述するように、外皮材Fの周縁部分を封着する際の生地量がほぼ均一になるように調整することができる。また、下段シャッタ61は、シャッタ片を開く方向に動作させて、外皮材Fの中央部分を下段シャッタ61の開口領域に落とし込むようにし、外皮材Fの周縁部分が下段シャッタ61に配置された状態で中央部分が窪んだ状態に形成する。その際に、下段シャッタ61の開口領域は、外皮材Fの中央部分の窪んだ部分の開口サイズが吐出管40の外径サイズとほぼ一致するかわずかに大きくなるように設定される。
図7では、吐出部4全体が下降し、押え部材48が下段シャッタ61のシャッタ片上に載置された外皮材Fの周縁部分に当接して外皮材Fを挟持した状態になる。また、吐出管40の先端部分が外皮材Fの中央部分の窪んだ部分に挿入して、開閉部材42を下降させことで外皮材Fの窪んだ部分を押し拡げるようにする。その際に、開閉部材42の下面に取り付けられた刃部材8が外皮材Fに当接した状態となる。
図8では、吐出部4がさらに下降して、内側成形部材50の先端面が外皮材Fの中央部分の窪んだ部分に下方から当接した状態に設定される。押え部材48は、外皮材Fの周縁部分に当接した状態で吐出管40に対して摺動するようになり、吐出管40がさらに下方に移動して挿入される。そのため、開閉部材42の下面に取り付けられた刃部材8と内側成形部材50との間に外皮材Fの中央部分が挟持された状態となり、刃部材8が外皮材Fに押し込まれて切込みが形成されるようになる。
図9では、開閉部材42を下方に移動させて吐出管40の吐出口から離間させることで、吐出口との間に円環状の隙間が形成されて吐出管40内の内材Gがリング状に吐出されるようになる。そして、内材Gを吐出させながら吐出部4を上昇させることで、吐出された内材Gは、下段シャッタ61のシャッタ片の下側で外方に向かって押し拡げるように作用して外皮材Fを膨出させるようになる。下段シャッタ61のシャッタ片が吐出管40の周囲の外皮材Fに近接した状態に設定されているので、内材Gがシャッタ片と吐出管40の間を上昇することはほとんどない。吐出管40が上昇する際に、押え部材48は、外皮材Fの周縁部分に当接した状態のまま保持されるようになる。
図10では、開閉部材42が回転しながら上昇して吐出口を閉じるとともに吐出部4が上昇し、同時に内側成形部5が上昇するようになる。吐出部4を上昇させると、開閉部材42に付着している内材Gが引き上げられて角(ツノ)状に突き出るようになるが、開閉部材42を回転させながら上昇させることで、こうした内材Gの角状の突出を抑止することができる。
図11では、吐出部4がさらに上昇して待機位置に戻るとともに、内側成形部5の上昇により外皮材Fの中央部分に内側成形部材50の上部が当接して持ち上げるようになる。その際、リング状に吐出された内材Gの内側に内側成形部材50の上部が挿入されるように持ち上げられる。そして、外皮材Fに形成された切込みfに対応した部分が内側成形部材50の上面に当接するようになる。
図12では、内側成形部5がさらに上昇して内側成形部材50の上部が切込みfを拡げるように外皮材Fの中央部分を持ち上げるようになり、同時に上段シャッタ60及び下段シャッタ61のシャッタ片を閉じる方向に動作させて外皮材Fの周縁部分を中心に向かって寄せ集めるように移動させる。
図13では、内側成形部5がさらに上昇して内側成形部材50の上部が拡がった切込みfを通過して突出させることで、外皮材Fの中央部分を拡径してリング状の内材Gの内周面に密着するように持ち上げる。その際に、受け部材52がストッパ部材57に当接して所定位置に停止した状態となり、内側成形部材50が上昇して受け部材52から突出するようになる。その際に、受け部材52を支持するバネ部材55は圧縮した状態に設定される。
そして、内側成形部材50の外周面に形成された上側封着面50a及び下側封着面50bがそれぞれ上段シャッタ60及び下段シャッタ61のシャッタ片に対向する位置に配置される。そのため、内側成形部材50に向かって上段シャッタ60及び下段シャッタ61のシャッタ片を閉じる方向に動作させることで、上側封着面50a及び下側封着面50bの外周に持ち上げられた外皮材Fの中央部分に各シャッタ片の押圧面により寄せ集められた外皮材Fの周縁部分を確実に重ね合わせることができる。
そして、上側封着面50aは、上段シャッタ60の封着時の開口領域に合わせた形状に形成されており、下側封着面50bは、下段シャッタ61の封着時の開口領域に合わせた形状に形成されているため、上側封着面50aと上段シャッタ60の各シャッタ片との間に外皮材Fの中央部分及び周縁部分を隙間なく密着させることができ、下側封着面50bと下段シャッタ61の各シャッタ片との間に外皮材Fの中央部分及び周縁部分を隙間なく密着させることができる。
図14では、上段シャッタ60及び下段シャッタ61の各シャッタ片の押圧面を内側成形部材50の上側封着面50a及び下側封着面50bに向かって押圧させることで、外皮材Fの中央部分及び周縁部分が確実に封着され、リング状の内材Gを外皮材Fで包み込む封着動作が行われる。受け部材52は、封着動作の際に内材Gを包み込んだ外皮材Fを下方から支持して安定した封着動作が行われるようになる。こうして、外皮材Fの封着部分以外の部分がダメージをほとんど受けることなく内材Gを外皮材Fで確実に包み込むことができる。
図15では、上段シャッタ60及び下段シャッタ61を開く方向に動作して各シャッタ片を上側封着面50a及び下側封着面50bから離間させるとともに内側成形部5をさらに上昇させる。内側成形部5の上昇に伴い内側成形部材50がさらに内材Gの内側に突出して内側成形面50cが挿入されて押し拡げられる。その際に、下段シャッタ61の開口領域を内側成形面50cに合わせて開いた状態に設定しておくことで、リング状食品の内側の穴部の形状を内側成形面50cに沿った形状に安定して成形することができる。
図16では、内側成形部5が下降して受け部材52がストッパ部材57から離間するようになり、受け部材52はバネ部材55により上方に移動するように付勢される。そのため、成形品Hを支持しながら内側成形部材50に対して受け部材52が上昇し、成形品Hを内側成形面50cから離間させて受け部材52上に載置した状態に設定する。
図17では、内側成形部5の回転モータ54を回転駆動して、基台51を回動させて反転させることで、受け部材52が上下逆となるように反転して成形品Hが下方の搬出部7に落下する。その際に、成形品Hも反転して載置台71上に落下し、封着部分が下側となるように載置された状態となる。その後、搬送ベルト70を搬送動作させて成形品Hを搬出する。
図18は、図11から図13に示す工程における外皮材Fの状態を上方から見た平面図及び断面図である。この例では、刃部材8は、開閉部材42の中心から放射状に板状の刃片が複数立設して構成されており、図11に示す工程に対応する図18(a)では、刃部材8により中心から放射状に複数の切込みfが形成されている。図6に示すように、外皮材Fの位置調整を行っているため、切込みfの集中する中心が位置調整された外皮材Fのほぼ中心となる。図12に示す工程に対応する図18(b)では、切込みfの中心に内側成形部材15が挿入されるように外皮材Fが持ち上げられるため、1つ1つの切込みfが開くように押し拡げられて持ち上げられるようになる。図13に示す工程に対応する図18(c)では、内側成形部材15が拡げられた切込みfに挿入されてさらに拡げられていき、切込み部分が内側成形部材15の外周面に密着した状態で持ち上げられるようになる。こうして、外皮材Fの切込みf以外の部分が強制的に引き伸ばされることなく拡げられるようになり、外皮材Fが受けるダメージを最小限に抑えることができる。なお、脆弱部分となる切込みの形状、位置及び数は、外皮材の材料特性、形状、厚さ等に応じて適宜設定することができる。
図19は、図16に示す工程で成形された成形品Hに関する外観斜視図(図19(a))及び図17に示す工程で載置された成形品Hに関する外観斜視図(図19(b)である。成形品Hは、外皮材Fの周縁部分及び中央部分が確実に封着されて内材Gを包み込んで成形されており、外皮材Fの内部に含まれる空気がほとんどない状態で成形される。パン生地等を外皮材Fに用いた成形品Hの場合、成形後に焼成されてドーナツ等に仕上げられるが、成形品Hの内部に空気が含まれていると焼成の段階で内部の空気が膨張して外皮材Fが破裂して不良品となってしまう。そして、ほぼ同じ厚さの外皮材Fで内材Gが包み込まれているため、内材Gが内部で偏った位置に内蔵されることがなく、均一な品質に仕上げることができる。
また、パン生地等の発酵生地では、発酵処理により生地が膨張するため、成形品の内側の穴部が小さいと、発酵により埋まってしまうが、内側成形部材により内側の穴部を無理なく大きくきれいに仕上げることができるので、発酵処理後においても確実にリング状となった食品に成形することが可能となる。また、成形品Hは、封着部分が底面となるように成形されるので、内材Gの吐出により膨出した外皮材Fの綺麗な外表面が表出した状態に仕上げることができる。
以上説明した例では、吐出部4全体を上下動させて、吐出管40の吐出口を成形位置の外皮材Fに対して接近又は離間するようにしているが、封着部6を上下動させて、成形位置の外皮材Fを吐出管40の吐出口に接近又は離間させるようにすることもできる。
図20は、吐出部4を筐体10に固定するとともに封着部6に上下動機構を取り付けて上下動させる変形例に関する側面図である。この例では、吐出部4を支持する支持フレーム41が筺体10に固定されている。また、封着部6の上下二段シャッタを支持する取付部材62は、筺体2の内面に上下方向に沿って固定されたレールに摺動可能に取り付けられた作動部材67に固定されており、作動部材67の側面にはラックが固定されている。作動部材67には、シャッタを駆動する駆動モータ64及び66を固定した支持板69が連結部材を介して取り付けられており、上下二段シャッタ及び駆動モータが一体で上下動するようになっている。筺体2の内面には、駆動モータ68を固定する固定台が設けられており、駆動モータ68の駆動ギアが作動部材67のラックに噛み合うように設定されている。そして、駆動モータ68を回転駆動することで、駆動ギアと噛み合うラックが上下動するようになり、ラックとともに作動部材67が上下動して上下二段シャッタ及び駆動モータが上昇又は下降動作を行うようになる。こうして、封着部6を上下に移動させて成形位置の外皮材Fを吐出管40の吐出口に対してに接近又は離間させるように動作させることができる。
また、上述した例では、封着部6のシャッタとして上下二段シャッタを用いているが、成形位置で外皮材を載置する受け部材を設けることで上段又は下段に1段のシャッタのみを配置して封着動作を行うようにすることもできる。シャッタとしては、複数の成形品を同時に成形することができる多連タイプのシャッタを用いることもできる。例えば、図21に示すように、吐出部4A〜4D、内側成形部5A〜5D及び封着部6A〜6Dを並列配置して成形位置を4箇所設定し、シャッタ片や駆動モータ等の部品を共通化して4つの成形品を同時に成形する4連タイプの装置構成とすることもできる。4連タイプ以外にも、2連を並列した2連ダブルタイプ、4連を並列した4連ダブルタイプ、6連を並列した6連ダブルタイプといったように、様々な多連タイプに簡単に増設することができる。こうした多連タイプの装置を用いることで、複数の成形品を同時に成形して生産性を格段に向上させることが可能となる。
上述した実施形態では、内側成形部材50をリング状の内材Gの内側に突出させて上段シャッタ60及び61により外皮材Fの周縁部分を寄せ集めて内側成形部材50の周囲の外皮材Fの中央部分と封着するようにしているが、上段シャッタ60及び61により外皮材Fの周縁部分を寄せ集めた後に内側成形部材50を内材Gの内側に突出させて外皮材の中央部分を寄せ集められた周縁部分と封着させることで、成形することもできる。
図22は、外皮材の周縁部分を寄せ集めた後に外皮材の中央部分と封着する別の実施形態に関する動作説明図である。本実施形態では、図1に示す装置構成で外皮材の脆弱処理を行わないため、刃部材8は設けられていない。そして、上段シャッタ60及び下段シャッタ61が外側成形部として機能し、上段シャッタ60及び下段シャッタ61の各シャッタ片が外皮材の周囲に配置された外側成形部材として、外皮材の周縁部分を寄せ集めるように移動させることで内材を外皮材で包み込むように成形する。内側成形部5は、成形位置の下方に配置された内側成形部材50をリング状の内材の内側を通過するように移動させて外皮材の中央部分を内材の内周面に沿うように成形するとともに寄せ集められた外皮材の周縁部分と封着させる。
この例では、図5から図10に示す動作工程と同様に、内材Gをリング状に吐出して、図11に示すように外皮材の中央部分に配置する(図22(a))。次に、上段シャッタ60及び下段シャッタ61を閉じる方向に動作させて外皮材Fの周縁部分を中心に寄せ集めて内材を包み込むように成形し、周縁部分を集めて密着させた状態に設定する(図22(b))。そして、上段シャッタ60及び下段シャッタ61を開く方向に動作させながら、内側成形部5を上昇させて内側成形部材50が内材Gの内側に突出するように移動させる(図22(c))。内側成形部材50が上方に移動することで、外皮材Fの中央部分が押し上げられて、寄せ集められた外皮材Fの周縁部分に密着した状態となる。そして、下段シャッタ61を内側成形部材50の外周面に近接した状態となるように閉じる方向に動作させ、内側成形部材50をさらに上昇させることで、内側成形部材50と下段シャッタ61のシャッタ片との間に挟持された外皮材の周縁部分と密着した状態の中央部分が封着されるようになり、外皮材の封着部分より内側部分が切断される。上段シャッタ60及び下段シャッタ61の開口領域内に突出するように内側成形部材50を上昇させることで、外皮材の中央部分と周縁部分を封着した状態で内側成形を行う(図22(d))。このように、外皮材の種類によっては、脆弱処理を行うことなく内側成形部材50で孔部を内側成形して封着することでリング状食品を確実に成形することができる。
図22で説明した実施形態についても図1に示す実施形態と同様に、図20及び図21に示すように、装置構成を変更して機能の追加及び変更が可能であり、様々な用途や食材に対応可能な汎用性を備えている。