以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る実施形態に関する概略正面図であり、図2は、その概略側面図である。包被食品成形装置1は、筺体2、複数種類の食材をそれぞれ供給する供給部3a及び3b、供給された複数種類の食材を組み合せて内材を吐出して外皮材に配置する吐出部4、吐出部4を上下動させる移動部5、外皮材の縁部を押える押圧部6、外皮材を搬入する搬入部7、外皮材に内材を配置した状態で外皮材の周縁部を寄せ集めて封着する封着部8、及び、外皮材を支持するとともに成形品を搬出する支持部9を備えている。
内材として組み合せる食材としては、従来より用いられているペースト状食材や固形食材が挙げられ、ペースト状食材に固形食材を混ぜ込んだ混合食材も用いることができる。ペースト状食材としては、例えば、粒餡や漉し餡等の豆類の餡、豆腐ペースト、野菜ペースト、カレーペースト、クリームチーズ等が挙げられる。また、固形食材としては、例えば、大栗、アーモンド、マカダミア・ナッツ、ブルーベリー等の果実類、リンゴやオレンジ等の果肉の角切り、甘納豆、乾燥フルーツ、金時豆、ナッツ類の粒状物、ウィンナ、角切り肉、角切りジャガイモ、角切りニンジン等の加工食材といったものが挙げられる。
成形に用いる外皮材としては、例えば、パン生地、中華饅頭生地、デニッシュパン生地、ドーナツ生地等が挙げられる。
供給部3a及び3bは、筺体2の上部に並列配置して設けられており、2種類の食材をそれぞれ供給する。供給部3aは、食材を収容するホッパ10a、ホッパ10a内の食材を供給管12aに圧送するベーンポンプ11aを備えている。供給管12aは、可撓性を有する管材からなり、吐出部4に接続されている。そのため、後述する吐出部4の上下動に対して柔軟に対応することができるようになっている。供給部3bは、供給部3aと同様に、ホッパ10b、ベーンポンプ11b及び供給管12bを備えている。そして、供給部3a及び3bは、吐出部4に供給管12a及び12bを介してそれぞれ食材を供給する。2種類の食材の組合せとしては、例えば、2種類の異なるペースト状食材を組み合せて供給したり、ペースト状の食材に大粒の固形食材を混ぜ込んだ混合食材と別のペースト状食材とを組み合わせて供給することができる。
吐出部4は、供給管12a及び12bが接続された吐出管13、吐出管13を支持する支持フレーム14、吐出管13内に挿入された円柱状の開閉部材15を備えている。開閉部材15の上端部には、開閉部材15の中心軸に沿って駆動ロッド16が固定されており、駆動ロッド16は、駆動モータ17に接続されている。駆動モータ17は、載置板18上に固定されており、載置板18に形成された開口を通して駆動ロッド16が設けられている。そして、回転手段である駆動モータ17を回転駆動することで、開閉部材15を吐出管13内で回転させることができる。回転手段としては、駆動モータ以外に回転エアシリンダ等のアクチュエータを用いることができる。
支持フレーム14上には、エアシリンダ19が固定されており、エアシリンダ19の駆動ロッドは、上方に延設されて載置板18の端部に接続されている。そのため、エアシリンダ19を駆動することで、載置板18を上下方向に移動させるようになり、載置板18の上下方向の移動に伴って駆動モータ17、駆動ロッド16及び開閉部材15が上下方向に移動するようになる。したがって、エアシリンダ19を動作させることで、吐出管13内を開閉部材15が上下方向に摺動するようになり、開閉手段として機能する。
移動部5は、吐出部4の支持フレーム14が固定された作動部材20を備えており、作動部材20は、筺体2の内面に取り付けられている。作動部材20は、筺体2の内面に上下方向に沿って固定されたレールに摺動可能に取り付けられており、作動部材20の側面にはラックが固定されている。作動部材20の上下方向の移動範囲に対応して筺体2には開口部が形成されており、開口部を通して作動部材20に支持フレーム14が固定されている。筺体2の内面には、駆動モータ22を固定する固定台が設けられており、駆動モータ22の駆動ギア21が作動部材20のラックに噛み合うように設定されている。そして、駆動モータ22を回転駆動することで、駆動ギア21と噛み合うラックが上下動するようになり、ラックとともに作動部材20及び支持フレーム14が上下動することで吐出部4全体が上昇及び下降の動作を行うようになる。
押圧部6は、支持フレーム14に取り付けられており、吐出管13の先端部のノズルの周囲に配置されるリング状の押え部材23を備えている。押え部材23は、支持板24に固定されており、支持板24には上面にエアシリンダ26の駆動ロッド25が固定されている。エアシリンダ26は、支持フレーム14に固定されており、駆動ロッド25を上下方向に前進及び後退させるように動作する。そのため、押え部材23は、吐出管13の周囲に配置された状態で上下方向に移動するようになる。押え部材23は、上方に移動する場合に、供給管12a及び12bが吐出管13に接続されているため、供給管12a及び12bの接続位置が上限位置となるが、供給管12a及び12bに当接する部分を供給管12a及び12bのサイズに合わせて上側だけ切り欠くことで、さらに上方に移動可能に設定することもできる。
図3は、吐出部4及び押圧部6に関する一部拡大側面図であり、図3(a)が開閉部材15の上昇した状態に関する側面図で、図3(b)が開閉部材15の下降した状態に関する側面図である。吐出管13は、円筒状に形成されており、その下端部は、外周縁を切り欠いてノズル13aが形成されている。開閉部材15は、吐出管13に挿入された部分15aが円柱状に形成されて吐出管13の内径とほぼ同じかわずかに小さい外径に設定されており、中間部分にリング状の一対のシール部材15bが取り付けられている。また、開閉部材15の下端は平面状の先端面15cが形成されている。
図3(a)に示すように、エアシリンダ19が駆動して載置板18が上昇すると、載置板18に取り付けた駆動モータ17の駆動ロッド16に固定された開閉部材15が吐出管13内を上方に移動し、先端面15cが吐出管13の供給管12a及び12bとの連通口より上方に位置するようになる。そのため、連通口が開いて供給管12a及び12b並びに吐出管13が連通し、供給管12a及び12bから吐出管13内に食材が供給可能となる。この場合、供給管12a及び12bとの連通口からノズル13aの吐出口までの食材の流通路に開閉部材15が存在せず、供給管12a及び12bのそれぞれの連通口から2種類の食材をスムーズに流通させることができる。
また、図3(b)に示すように、エアシリンダ19の駆動停止により載置板18が下降すると、開閉部材15が吐出管13内を下方に移動し、先端面15cがノズル13aの吐出口とほぼ面一となる位置に設定され、吐出管13の供給管12a及び12bとの連通口及びノズル13aの吐出口が閉鎖されるようになる。
搬入部7は、シャトルコンベヤからなり、シート状の外皮材を搬送する搬送ベルト27、搬送ベルト27を移動させる駆動プーリ28、並びに、シャトル動作を行う従動プーリ29及び30を備えている。従動プーリ29及び30は、搬送ベルト27の搬送方向に移動して、搬送ベルト27を吐出部4の下方まで延長させるように動作する。なお、搬入部7の搬送方向上流側には、外皮材を所定の厚さで略円形状に整形する整形機構が配置されており、整形されたシート状の外皮材が搬入部7に移送されるようになっている。
封着部8は、シャッタ手段として、上下2段のシャッタ31及び32を備えており、シャッタ31及び32の間には、中心部に円形の開口が形成された平板状の受け部材33が挿入されている。シャッタ31及び32は、吐出管13の下方に配置されており、後述するシャッタ片により形成される開口の中心が吐出管13の中心軸とほぼ一致するように筺体2に取り付けられている。また、受け部材33についてもその中心部に形成された開口の中心が吐出管13の中心軸とほぼ一致するように配置されている。
上段のシャッタ31を駆動する駆動ロッド34は、筺体2に形成された開口を貫通して筺体2の内部に固定された駆動モータ35に連結されている。同様に、下段のシャッタ32を駆動する駆動ロッド36は、筺体2に形成された開口を貫通して筺体2の内部に固定された駆動モータ37に連結されている。
図4は、シャッタ31の一例を示す概略構成図であり、図4(a)は、シャッタ片側の概略図を示しており、図4(b)は、シャッタ片側とは反対側の図を示している。シャッタ31は、矩形のプレート状で中央部分が開口している枠体31aを備えており、枠体31aの四隅には、4枚のシャッタ片31bが回動可能にそれぞれ軸支されている。シャッタ片31bが配置された側とは反対側には、各シャッタ片31bの回動軸に4枚のフランジ31cがそれぞれ取り付けられている。4枚のフランジ31cは、リンク部材31dにより連結されており、1枚のフランジ31cには駆動ロッド34が連結されている。そして、駆動ロッド34を駆動モータ35により軸方向に移動させることで、フランジ31cが連動して回動するようになる。図4では、各シャッタ片31bが開いた状態となっており、各シャッタ片31bに囲まれた開口領域が形成されるようになる。
図5は、各シャッタ片31bが回動して閉じた状態に関する概略図であり、図5(a)は、シャッタ片側の概略図を示しており、図5(b)は、シャッタ片側とは反対側の図を示している。駆動モータ35の駆動回転により各シャッタ片31bが反時計回りに回動して先端部分が突き当り、閉じた状態になる。こうして、シャッタ31は、図4及び図5に示す開閉動作を行う。下段のシャッタ32についても上段のシャッタ31と同様の構成を備えており、同様にシャッタ片の開閉動作を行うようになっている。シャッタ31及び32は、互いのシャッタ片側が対向するように重ね合うように配置され、互いのシャッタ片の間に受け部材33を挟持した状態で筺体2に取り付けられている。
上述した例では、4枚のシャッタ片を有するシャッタについて説明したが、図6に示すように、6枚のシャッタ片を有するシャッタを用いることもできる。図6では、六角形状の枠体31a’の一方の面側に6枚のシャッタ片31b’が回動可能に取り付けられており、他方の面側にシャッタ片31b’に対応してフランジ31c’及びリンク部材31d’が取り付けられている。そして、シャッタ31と同様に、駆動モータ35’を回転駆動することで、フランジ31c’に連結された駆動ロッド34’を軸方向に移動させてシャッタ片31b’を開閉動作させるようになっている。
支持部9は、成形品を搬出する搬送ベルト38を備えており、搬送ベルト38は、従動プーリ39及び40に張架されるとともに駆動プーリ41に巻回されて張設されている。そして、搬送ベルト38の従動プーリ39側は、シャッタ32の下方に延設されており、受け部材33の開口のほぼ直下の位置に支持部材42が設けられている。支持部材42は、搬送ベルト38の上側の下面に当接するように配置されている。
支持部材42は、作動フレーム43に固定されており、作動フレーム43は、筺体2の内面に取り付けられた作動部材44に固定されている。作動部材44は、筺体2の内面に上下方向に沿って固定されたレールに摺動可能に取り付けられており、作動部材44の側面にはラックが固定されている。作動部材44の上下方向の移動範囲に対応して筺体2には開口部が形成されており、開口部を通して作動部材44に作動フレーム43が固定されている。筺体2の内面には、駆動モータ45を固定する固定台が設けられており、駆動モータ45の駆動ギア46が作動部材44のラックに噛み合うように設定されている。
そして、駆動モータ45を回転駆動することで、駆動ギア46と噛み合うラックが上下動するようになり、ラックとともに作動部材44及び作動フレーム43が上下動することで支持部材42が上昇及び下降の動作を行うようになる。後述するように、封着部8において成形動作を行う際に支持部材42が搬送ベルト38とともに上昇して外皮材を支持し、外皮材に内材が包み込まれた成形品を搬送ベルト38上に載置した状態で支持部材42を下降させて搬送ベルト38を駆動することで、成形品を搬出することができる。
図7は、包被食品成形装置の制御に関するブロック構成図である。制御部100は、供給部3a及び3bの供給制御を行い、供給部3a及び3bの吐出部4への供給タイミング及び供給量を調整して、後述するように、複数種類の食材を所望の組み合せとなるように供給する。また、吐出部4、移動部5及び押圧部6の動作制御を行い、受け部材33上に載置された外皮材に食材を所望の組み合せで内材として所定量吐出して配置する。また、搬入部7及び封着部8の動作制御を行い、外皮材を受け部材33上に搬入するとともに搬入された外皮材の位置調整を行う。また、封着部8及び支持部9の動作制御を行い、食材を組み合せた内材が配置された外皮材の周縁部を寄せ集めて内材を包み込むように封着して成形し、成形品を搬出する。
図8から図15は、包被食品成形装置の成形動作に関する説明図であり、装置の側面からみた動作過程における概略断面図を示している。図8では、搬入部7によりシート状の外皮材Fが受け部材33上に搬入される。吐出部4及び押圧部6は、上方の待機位置に設定されており、開閉部材15は、吐出管13内を下降した状態に設定されている。そのため、開閉部材15により吐出管13の供給管12a及び12bへの連通口は閉鎖されている。そして、供給管12a内は、固形食材を含むペースト状の食材G1が充填された状態となっており、供給管12b内は、食材G1とは異なるペースト状の別の食材G2が充填された状態となっている。また、吐出管13の下端部のノズル13aは、開閉部材15の先端面15cにより閉鎖されて、ノズル13aの吐出口と先端面15cとがほぼ面一となるように設定されている。そして、押え部材23は、上方に移動した待機位置に設定されている。
また、封着部8のシャッタ31及び32は、シャッタ片31b及び32bが開いた状態に設定されており、受け部材33の円形の開口33aが露出した状態となっている。そのため、搬入部7は、受け部材33の開口33aの上方まで搬送ベルトを延長させて外皮材Fを搬入して、外皮材Fが開口33aを覆うように載置する。支持部材42は、下降した待機位置に設定されている。
図9では、開閉部材15が吐出管13内を上方に移動して、先端面15cが供給管12a及び12bとの連通口よりも上方に設定され、吐出管13が供給管12a及び12bと連通状態となる。そして、開閉部材15の上方移動のタイミングで供給管12aに食材G1が圧送されるとともに供給管12bに食材G2が圧送されて、供給管12a及び12bから吐出管13内に食材G1及びG2がほぼ同じ供給タイミングで流入するようになる。また、押え部材23は、下降してノズル13aよりも下方の作動位置に設定される。また、シャッタ31は、シャッタ片31bを閉じる方向に動作させて、外皮材Fの周縁部を中心に向かって位置調整する。こうしたシャッタ片31bによる位置調整により、後述するように、押え部材23が外皮材Fの周縁部を押圧する範囲の生地量が調整されて、外皮材Fの周縁部を封着する際の生地量を調整することができる。
図10では、吐出部4及び押圧部6全体が下降して、押え部材23が外皮材Fの周縁部に当接して、受け部材33の開口33aの周囲との間で外皮材Fを挟持した状態になる。また、吐出管13内には供給管12a及び12bから食材G1及びG2が流入して、開閉部材15の先端面15cとノズル13aとの間の空間を充填するようになる。この場合、食材G1及びG2は、吐出管13内を軸方向に2つに区分して組み合わされた状態で充填されており、両者の供給量の調整によって区分した範囲が調整されるようになる。
図11では、吐出部4及び押圧部6全体がさらに下降するとともに押え部材23が外皮材Fを受け部材33との間で挟持した状態のままでわずかに上昇する。そのため、ノズル13aが受け部材33の開口33a内に進入して開口33aよりも下方の位置まで下降するようになる。そして、ノズル13aが外皮材Fに当接し、ノズル13aまで充填された食材G1及びG2が外皮材Fに密着した状態となって、外皮材Fと食材G1及びG2との間に空気が入らないように食材G1及びG2がノズル13aから下方の外皮材Fに向かって吐出される。
図12では、開閉部材15が下方に移動して先端面15cがノズル13aの下端の吐出口とほぼ面一の状態に設定される。そのため、吐出管13の供給管12a及び12bとの連通口が閉鎖されるとともにノズル13aも閉鎖された状態となる。そして、吐出管13内に残留している食材G1及びG2は、組み合わされた状態で所定量ずつ内材としてノズル13aから吐出されるようになる。外皮材Fは、吐出された食材G1及びG2を収容するように窪んだ状態となり、収容された食材G1及びG2は、ノズル13aの吐出口及び先端面15cよりも下方に充填された状態となる。そのため、外皮材F上に吐出された食材G1及びG2は、受け部材33の開口33aよりも下方の位置まで空気の入らない状態で充填されるように配置される。また、ノズル13aと開閉部材15の先端面15cがほぼ面一の状態となることで、大粒の固形部材が含まれる場合でも、ノズル13aの下端の吐出口より上方に突出することがなくなり、後述するシャッタによる封着の際に固形食材が支障とならずにスムーズに封着することができる。
また、支持部材42は、内材Gが外皮材Fに吐出されるのに合わせて上方に移動し、外皮材Fの下方に窪んだ部分に当接して支持する。
なお、上述したノズル13aの下降動作及び支持部材42の上昇動作は、外皮材F並びに食材G1及びG2の特性や成形品のサイズ等に応じて適宜調整することができる。例えば、外皮材Fが柔らく伸びのある生地の場合には、吐出した食材G1及びG2により外皮材Fがある程度窪むため、ノズル13aを外皮材Fが深く窪むように下降させる必要はないが、外皮材Fが硬めの生地で吐出した食材G1及びG2により窪まない場合には、ノズル13aを下降させて外皮材Fを深く窪ませ、ノズル13aを上昇させながら食材G1及びG2を吐出することで、開口33aよりも下方の位置まで食材G1及びG2を空気の入らない状態で配置することができる。そして、支持部材42は、外皮材Fが窪んだ状態に変形するのに合わせて上昇位置や上昇タイミングを設定すればよい。
図13では、吐出部4及び押圧部6全体が上昇するとともに開閉部材15を回転させる。吐出部4を上昇させると、開閉部材15の先端面15cに付着している内材Gが引き上げられて角(ツノ)状に突き出るようになるが、開閉部材15を回転させながら上昇させることで、こうした食材G1及びG2の角状の突出を抑止することができる。
また、上段のシャッタ31が閉じる方向に動作して受け部材33に載置された外皮材Fの周縁部を中心に向かって寄せ集めるようにする。その際に、外皮材Fに配置された食材G1及びG2は、受け部材33の載置面とほぼ同じ高さまでに収容されており、固形食材が含まれる場合でも固形食材が突出していないので、外皮材Fの内側にほぼ隙間の無い状態で周縁部を寄せ集めることができる。シャッタ31は、完全に閉じることなく外皮材Fの周縁部が密着した状態となるまで閉じる方向に動作する。
図14では、上段のシャッタ31の閉じる方向への動作に続いて下段のシャッタ32が閉じる方向に動作して、受け部材33の下方において寄せ集められた外皮材Fの周縁部をシャッタ片32bにより封着して成形品Hを得る。そして、図15では、支持部材42が下方に移動して、搬送ベルトを搬送制御して成形品Hを搬出する。
以上説明した例では、封着部8に上下二段のシャッタを用いているが、図16に示すように、受け部材の上方にのみシャッタを配置した上一段シャッタでも外皮材Fを寄せ集めて封着することができる。図16は、上段のシャッタ31のみを受け部材33の上方に配置しており、図16(a)に示すように、シャッタ31を開口した状態で受け部材33上に外皮材Fを投入して外皮材F上に食材G1及びG2を組み合せた内材を配置し、図16(b)に示すように、シャッタ31を閉じる方向に動作させて外皮材Fの周縁部を寄せ集めて食材G1及びG2を組み合せた内材を包み込むように封着する。
また、図17に示すように、受け部材の下方のみシャッタを配置した下一段シャッタでも外皮材Fを寄せ集めて封着することができる。図17は、下段のシャッタ32のみを受け部材33の下方に配置しており、図17(a)に示すように、受け部材33上に外皮材Fを投入して外皮材F上に食材G1及びG2を組み合せた内材を配置し、図17(b)に示すように、シャッタ32を閉じる方向に動作させて外皮材Fの周縁部を寄せ集めて食材G1及びG2を組み合せた内材を包み込むように封着する。このように、外皮材及び内材の特性や成形品のサイズ等に基づいてシャッタの方式を適宜選択すればよい。
図18は、成形品Hに関する正面図(図18(a))及び断面図(図18(b))である。成形品Hは、大粒の固形食材を含むペースト状食材G1と別のペースト状食材G2を組み合せた内材を外皮材Fで包み込むように成形されており、外皮材Fの内部に含まれる空気がほとんどない状態で成形される。パン生地等を外皮材Fに用いた成形品Hの場合、成形後に焼成されて餡パン等に仕上げられるが、成形品Hの内部に空気が含まれていると焼成の段階で内部の空気が膨張して外皮材Fが破裂して不良品となってしまう。
図18に示す例では、食材G1及びG2の供給タイミングをほぼ同時に設定しているので、食材G1及びG2は、縦方向に区分されて組み合わされた状態の内材として成形されている。図19は、食材G1及びG2の供給タイミング及び供給量を調整して組み合せ状態を変化させた場合を例示している。図19(a)では、食材G2を先に所定量供給した後食材G1を供給することで横方向に区分されて組み合わされた状態の内材となっている。図19(b)では、食材G2の供給量を食材G1よりも多くしてほぼ同じ供給タイミングで供給することで、食材G2の割合が多い状態で縦方向に区分されて組み合わされている。図19(c)では、食材G1及びG2の供給タイミングをずらして食材G2の方を早く供給開始するとともに供給量を多くすることで、斜め方向に区分されて組み合わされた状態の内材となっている。
このように、複数種類の食材の供給タイミング及び供給量を調整する供給制御を行うことで、食材を様々に組み合わせて内材を構成することができる。そのため、バラエティに富んだ食感を楽しめる食品を成形することが可能となる。
本実施形態では、成形の際に外皮材Fの内部に空気が入る隙間の形成を回避するために、吐出部4のノズル13aをシャッタ31及び32の封着位置である受け部材33の開口33aに近接した位置で吐出動作を完了して開閉部材15の先端面15cでノズル13aを完全に閉鎖した状態としている。そのため、シャッタの封着位置までに食材G1及びG2がほぼ収容されて、大粒の固形食材が含まれている場合でも固形食材の突出していない状態に確実に設定することができ、外皮材Fを空気の入る隙間がほぼない状態で封着することが可能となる。
なお、吐出部4は、ノズル13aの下降位置を調整することができるため、生地や内材の特性及び成形品のサイズに合わせて位置調整し、所定量の内材を外皮材で空気の入らない状態で確実に包み込むようにすることができる。例えば、ノズル13aの下降位置を下げ過ぎると、シャッタの封着位置との間に隙間が生じて外皮材を封着する際に空気が入りやすくなり、ノズル13aの下降位置を上げ過ぎると、封着の際に内材Gが封着部分から漏出するようになるため、ノズル13aを最適な下降位置に調整することで、食材に大粒の固形食材が含まれている場合でも確実に外皮材で包み込んで成形することができる。
以上説明した例では、2種類の食材をそれぞれ供給部から供給し吐出部内において組み合せて内材としているが、3種類以上の食材をそれぞれ供給部から供給し吐出部内において組み合せて内材とすることもできる。また、移動部5により吐出部4及び押圧部6全体を上下動させて、ノズル13aを受け部材33の開口33aに接近又は離間するようにしているが、移動部5により封着部8を上下動させて、受け部材33の開口33aをノズル13aに接近又は離間させるようにすることもできる。
図20から図24は、包被食品成形装置の別の実施形態の成形動作に関する説明図であり、装置の側面からみた動作過程における概略断面図を示している。この例では、開閉部材15の内部に食材を流通させる管路15dが形成されており、管路15dの一方の端部は、連通口と対向する側面である外周面に開口した流入口となっており、他方の端部は、先端面15cの中心部に開口した流出口となっている。そして、開閉部材15が下降してその先端面15cがノズル13aの下端の吐出口とほぼ面一の状態に設定された場合に、管路15dの外周面の流入口の位置は、供給管12bの連通口と対向配置されて、管路15dと供給管12bとが連通するように設定されている。開閉部材15に管路15dを形成した以外の構成は、図8から図13に示す構成と同様であるので、説明を省略する。また、外皮材の搬入動作、押圧動作及び封着動作、成形品の支持動作及び搬出動作については、図8から図13で説明した動作と同様であるので、説明を省略する。
図20では、開閉部材15は、吐出管13内を下降した状態に設定されている。そのため、開閉部材15により吐出管13の供給管12aへの連通口は閉鎖されており、供給管12bは、管路15dと連通した状態に設定されている。そして、供給管12a内は、固形食材を含むペースト状の食材G1が充填された状態となっており、供給管12b内は、食材G1とは異なるペースト状の別の食材G2が充填された状態となっている。供給管12b内の食材G2は、供給停止状態のため管路15d内へは圧送されることはない。また、吐出管13の下端部のノズル13aは、開閉部材15の先端面15cにより閉鎖されて、ノズル13aの吐出口と先端面15cとがほぼ面一となるように設定されている。
図21では、開閉部材15が吐出管13内を上方に移動して、先端面15cが供給管12a及び12bとの連通口よりも上方に設定され、吐出管13が供給管12a及び12bと連通状態となる。そして、開閉部材15の上方移動のタイミングで供給管12aに食材G1が圧送されて、供給管12aから吐出管13内に食材G1が流入するようになる。その間、供給管12b内の食材G2は、供給停止状態が継続しており、吐出管13内に食材G2は流入しない。
図22では、吐出部4及び押圧部6全体が下降して、押え部材23が外皮材Fの周縁部に当接して、受け部材33の開口33aの周囲との間で外皮材Fを挟持した状態になる。また、吐出管13内には供給管12aから食材G1のみが所定量流入する。食材G1の流入量は、後から食材G2が吐出される量を考慮して設定される。
図23では、開閉部材15が下方に移動して先端面15cがノズル13aの下端の吐出口とほぼ面一の状態に設定される。そのため、吐出管13の供給管12aとの連通口が閉鎖されるとともにノズル13aも閉鎖された状態となる。そして、吐出管13内に残留している食材G1は、外皮材Fに向かって吐出され、外皮材Fは、吐出された食材G1を収容するように窪んだ状態となる。一方、開閉部材15が下降して供給管12bと管路15dが連通した状態となるタイミングで食材G2の供給が開始され、食材G2が管路15d内を圧送されて先端面15cに形成された流出口から吐出される。そのため、既に吐出された食材G1に食材G2が重ね合わされた状態で内材が構成されるようになる。そして、外皮材Fが窪んだ状態で収容された食材G1及びG2は、ノズル13aの吐出口及び先端面15cよりも下方に充填された状態となる。そのため、外皮材F上に吐出された食材G1及びG2は、受け部材33の開口33aよりも下方の位置まで空気の入らない状態で充填されるように配置される。また、ノズル13aと開閉部材15の先端面15cがほぼ面一の状態となることで、大粒の固形部材が含まれる場合でも、ノズル13aの下端の吐出口より上方に突出することがなくなり、後述するシャッタによる封着の際に固形食材が支障とならずにスムーズに封着することができる。
図24では、吐出部4及び押圧部6全体が上昇するとともに開閉部材15を回転させる。吐出部4を上昇させると、開閉部材15の先端面15cに付着している内材Gが引き上げられて角(ツノ)状に突き出るようになるが、開閉部材15を回転させながら上昇させることで、こうした食材G1及びG2の角状の突出を抑止することができる。
また、上段のシャッタ31が閉じる方向に動作して受け部材33に載置された外皮材Fの周縁部を中心に向かって寄せ集めるようにする。その際に、外皮材Fに配置された食材G1及びG2は、受け部材33の載置面とほぼ同じ高さまでに収容されており、固形食材が含まれる場合でも固形食材が突出していないので、外皮材Fの内側にほぼ隙間の無い状態で周縁部を寄せ集めることができる。シャッタ31は、完全に閉じることなく外皮材Fの周縁部が密着した状態となるまで閉じる方向に動作する。
以上説明したように、吐出された食材G1に重ねて食材G2を吐出して組み合わせることで、安定した状態で複数種類の食材を組み合せることができる。また、開閉部材を回転することで、管路に連通する供給管を選択することができ、食材の重ね合せを適宜変更することが可能となる。また、1つの吐出部において複数種類の食材を重ねるように吐出動作を行うことが可能となり、食材毎に吐出部を設けることなく簡単な装置構成で効率よく成形動作を行うことができる。
図25は、包被食品成形装置の別の実施形態の成形動作に関する説明図であり、装置の側面からみた動作過程における概略断面図を示している。この例では、吐出部4の吐出管13’内に配置された開閉部材15’が棒状の支持ロッドの先端部に弁体15e’が取り付けられて構成されている。そして、吐出管13’の下端のノズル13a’に弁体15e’が嵌合又は離間することで、開閉動作が行われる。吐出管13’及び開閉部材15’以外の構成は、図8から図13に示す構成と同様である。図25(a)では、開閉部材15’が上昇して弁体15e’が開いた状態に設定されており、供給管12a及び12bから食材G1及びG2が吐出管13’内に流入している。そして、吐出管13’内には、食材G1及びG2が軸方向に区分されて充填されている。図25(b)では、ノズル13a’から食材G1及びG2が所定量だけ外皮材Fに向かって吐出された後開閉部材15’が下降して弁体15e’によりノズル13a’が閉鎖される。食材G1及びG2が組み合わされて内材として吐出されて外皮材Fに配置される。
以上説明した例では、弁体の開閉により複数種類の食材を組み合せて吐出することができるので、短時間で吐出動作を行うことができる。
また、上述した例では、封着部8のシャッタとして上下2段のシャッタを用いているが、図15及び図16に示すように、受け部材の上方又は下方に1段のシャッタのみを配置して封着動作を行うようにすることもできる。シャッタとしては、複数の成形品を同時に成形することができる多連タイプのシャッタを用いることもできる。例えば、図26に示すように、4枚のシャッタ片を有するシャッタを2つ並列して同時に動作させる2連タイプのもの、図27に示すように、6枚のシャッタ片を有するシャッタを2つ並列して同時に動作させる2連タイプのもの、といった2連タイプのシャッタを用いることで、2つの成形品を同時に成形して生産性を向上させることができる。そして、3連タイプ、4連タイプといった多連タイプも容易に構成することが可能で、特に限定されない。また、シャッタに使用するシャッタ片の枚数についても4枚又は6枚のシャッタ片を用いるものを例示したが、これ以外の枚数のシャッタ片を用いたシャッタでもよく特に限定されることはない。