しかし、従来技術では、脚部が固定された状態から伸縮自在な状態として、固定装置を解放するために、固定装置がねじ式の締付け構造であることにより、この締付け構造が解放する方向に固定装置を何度も回動させて固定状態を解放する必要があった。そして、脚部の長さを調製した後は、固定装置の締付け構造が固定される方向に再び回動させて固定状態とする必要があったため、一つの固定装置を開放して再度固定するまでに必要な動作が複数あり、手間がかかるものであった。
さらに、一本の脚部が複数段の連結部を備える場合、すべての連結部を解放し、また固定する作業は非常に時間のかかる作業となり、せっかく購入した三脚等が使用されずに放置される原因ともなっていた。また、このような問題には一脚や、譜面台の脚部においても同様に存在するものであった。
そこで、上記課題を解決する手段として本発明に係る伸縮制御装置は、筒状の大径管状脚体と、該大径管状脚体の先端側開口に挿入されて軸方向に沿って出入することにより前記大径管状脚体に対して伸縮可能に連結されてなる小径管状脚体と、の連結部に設けられてなる伸縮制御装置であって、前記大径管状脚体の先端部外周面に固定されてなる固定基端部と、前記固定基端部よりも拡径して前記小径管状脚体の外周面との間に収容空間を形成してなる拡径収容部とを備える筒状部材と、前記筒状部材の拡径収容部の拡径部を、軸方向に沿って外部から先端方向に向かって前記収容空間まで貫通してなる貫通孔と、前記収容空間において、前記筒状部材の内周面が、先端側から基端側に向かうに従って縮径するように傾斜する傾斜面を有してなる縮径部と、前記収容空間内に収納され、前記筒状部材の内周面に対して軸方向に滑らかに摺動可能な滑動部、前記縮径部に対して基端方向に差し込まれると楔止めされる径方向厚さ、及び、前記縮径部において楔止めされた状態において前記小径管状脚体の外周面に圧着可能な圧着面を備える駒と、前記筒状部材の先端面に設けられてなる環状のバネ受け板と、前記バネ受け板の内側底面と前記駒の先端面との間に設置され、前記駒を押上げ可能な力で基端方向に付勢する駒押上げバネと、前記筒状部材の固定基端部の外周面に沿って装着され、軸方向に摺動可能であると共に、前記貫通孔に挿通可能な解放爪が形成されてなる解放部材とを備え、前記解放爪は、前記解放部材を先端方向に摺動させることにより楔止めされた前記駒に押し当たると共に前記駒を前記縮径部から解放可能に形成されてなることを特徴とする。
以下、駒が縮径部において楔止めされた状態を、伸縮制御装置の固定状態という場合がある。一方、駒が縮径部において楔止めされた状態から解放された状態を、伸縮制御装置の解放状態という場合がある。
駒は、小径管状脚体の周囲に複数配置することによって伸縮制御装置の固定状態を小径管状脚体の周面に対して均一に保つことができる。また、駒は小径管状脚体の周面を囲うように環状に形成されると共に、一部に欠損部が形成されてなるC字型環状であることによって、楔止めされる際に径が小さく変形し、圧着面が小径管状脚体の外周面に密着可能な形態を有するものであってもよい。
また、本発明に係る伸縮制御装置は、前記筒状部材の収容空間の内周面に、前記駒の滑動部を嵌め込み可能な幅に形成されると共に、前記傾斜面を備えてなる複数のガイド溝が軸方向に沿って設けられてなるものであっても好ましい。
ガイド溝が形成されて、当該ガイド溝に駒が嵌め込まれることによって駒が周方向にずれ動くことを防止することができる。ガイド溝は、駒の滑動部を嵌め込む幅を有していれば良いが、駒全体を嵌め込むことが可能な幅に形成されれば駒が周方向にずれ動く動作をより効果的に抑制することができるので好ましい。
ガイド溝は、収容空間の内周面において、複数形成されてなることが好ましく、周方向に対して等間隔に間隙を設けて3か所以上形成されてなることがより好ましい。3か所以上のガイド溝を等間隔に形成して、それぞれに駒を設置することで、縮径部において楔止めされた3つ以上の駒が、小径管状脚体の外周面を周方向に対して均等に支持することができる。
また、本発明に係る伸縮制御装置は、前記解放部材を前記筒状部材に対して基端方向に付勢してなる押上げバネと、前記押上げバネによって押し上げられた前記解放部材を係止する係止部材とを備えるものであっても好ましい。
ここで、前記係止部材によって係止された解放部材の前記解放爪の先端は、前記縮径部において楔止めされた状態の前記駒の基端面よりも基端側となる位置にあることが望ましい。駒の解放が必要ない場合には押し上げバネが解放爪を駒に触れさせない位置に保持することによって、縮径部において楔止めされてなる駒を不意に開放してしまうことを防止できるためである。
押上げバネによって押し上げられた解放部材を手で掴んで、先端方向へ移動させて解放爪を駒に当接させ、さらに解放爪で駒を先端方向に押し下げることによって必要なときに駒を縮径部から解放させることができる。また、駒を解放した後に解放部材を解放爪が縮径部に楔止めされていた駒に当接する前の位置まで基端方向へ戻せば、解放された駒も、駒押上げバネが基端方向へ押し戻すことにより、駒の基端が縮径部の傾斜面と接する位置まで自動的に戻すことができる。
さらに、本発明に係る伸縮制御装置は、前記駒が前記縮径部で楔止めされた状態において、前記解放部材の基端部が前記筒状部材よりも基端側に延出してなるものであっても好ましい。
さらにまた、本発明に係る伸縮制御装置は、前記筒状部材において、前記固定基端部と前記収容空間との間であって前記大径管状脚体の先端側に隣接する部分が、がたつき防止部に形成され、前記がたつき防止部は、中央内周面が前記小径管状脚体の外周面との間に隙間を形成してなる凹溝部と、基端部及び先端部は前記凹溝部よりも径方向内方に突出してなる基端側壁部及び先端側壁部とを備え、前記がたつき防止部の前記基端側壁部と前記小径管状脚体との間に挟持され、環の一部が外周面から内周面にかけて欠損してなる欠損部を有するC字型環状に形成され、外周面が基端から先端に向かって拡径する傾斜面からなる第一係合面に形成され、さらに、内周面が前記小径管状脚体の外周面と平行な面からなる第一接触面に形成されてなる第一環状くさび体と、前記凹溝部において前記小径管状脚体の外周面に沿って装着され、前記第一環状くさび体を基端方向に付勢する付勢バネと、が設けられてなり、前記第一環状くさび体の第一係合面と接する前記基端側壁部の内周面は、基端から先端へ向かって拡径する傾斜面からなる第一被係合面に形成されてなるものであっても好ましい。
付勢バネは、先端を前記がたつき防止部の前記先端側壁部の内面に当接させて前記第一環状くさび体を基端方向に付勢するものであってもよい。
これにより、短縮された小径管状脚体が大径管状脚体に対して軸方向に対して傾く方向に生じるがたつきを防止することができる。なお、小径管状脚体を引き伸ばした場合にも、付勢バネが第一環状くさび体を基端方向に付勢する力によって第一環状くさび体を第一被係合面と小径管状脚体との間に留めると共に、がたつき防止効果を発揮させることができる。
また、前記筒状部材において、前記固定基端部と前記収容空間との間であって前記大径管状脚体の先端側に隣接する部分が、がたつき防止部に形成され、前記がたつき防止部は、中央内周面が前記小径管状脚体の外周面との間に隙間を形成してなる凹溝部と、基端部及び先端部は前記凹溝部よりも径方向内方に突出してなる基端側壁部及び先端側壁部とを備え、前記がたつき防止部の前記先端側壁部と前記小径管状脚体との間に挟持され、環の一部が外周面から内周面にかけて欠損してなる欠損部を有するC字型環状に形成され、外周面が先端から基端に向かって拡径する傾斜面からなる第二係合面に形成され、さらに、内周面が前記小径管状脚体の外周面と平行な面からなる第二接触面に形成されてなる第二環状くさび体と、前記凹溝部において前記小径管状脚体の外周面に沿って装着され、前記第二環状くさび体を先端方向に付勢する付勢バネと、が設けられてなり、前記第二環状くさび体の第二係合面と接する前記先端側壁部の内周面は、先端から基端へ向かって拡径する傾斜面からなる第二被係合面に形成されてなるものであっても好ましい。
付勢バネは、基端を前記がたつき防止部の前記基端側壁部の内面に当接させて前記第二環状くさび体を先端方向に付勢するものであってもよい。
これにより、引き伸ばされた小径管状脚体が大径管状脚体に対して軸方向に対して傾く方向に生じるがたつきを防止することができる。なお、小径管状脚体を短縮した場合にも、付勢バネが第二環状くさび体を先端方向に付勢する力によって第二環状くさび体を第二被係合面と小径管状脚体との間に留めると共に、がたつき防止効果を発揮させることができる。
また、前記第一環状くさび体及び第二環状くさび体の両方が前記がたつき防止部と前記小径管状脚体との間に挟持されても好ましい。この場合、がたつき防止部の基端側壁部及び先端側壁部の内周面はそれぞれ第一被係合面及び第二被係合面に形成されてなり、前記付勢バネが、前記第一環状くさび体と前記第二環状くさび体との間に装着されると共に、前記第一環状くさび体及び前記第二環状くさび体を互いに軸方向に離間させる方向に付勢してなる。
このように第一環状くさび体及び第二環状くさび体の両方が設けられてなることにより、小径管状脚体を短縮させた場合、引き伸ばした場合のいずれの場合にも、小径管状脚体が大径管状脚体に対して軸方向に対して傾く方向に生じるがたつきを防止することができる。
また、バネ受け溝が、前記バネ受け板の内周面を先端から基端に向かって拡径する傾斜面からなる第三被係合面、及び当該第三被係合面に対向する前記小径管状脚体の外周面部分によって形成され、前記バネ受け溝には、環の一部が外周面から内周面にかけて欠損してなる欠損部を有するC字型環状に形成され、外周面が先端から基端に向かって拡径する傾斜面からなる第三係合面と、内周面が前記小径管状脚体の外周面と平行な面からなる第三接触面とを有してなる薄板状の環状体からなる先端環状くさび体が嵌め込まれてなり、前記駒押上げバネが、前記先端環状くさび体の基端面と前記駒の先端面との間に設置されるものであっても好ましい。
これにより、小径管状脚体と大径管状脚体との連結部から前記収容空間よりも遠い先端側で、引き伸ばされた小径管状脚体が大径管状脚体に対して軸方向に対して傾く方向に生じるがたつきを防止する効果を発揮し、前記一対の環状くさび体よりもさらに強力に小径管状脚体のがたつきを防止することができる。
さらに、本発明は、上記いずれかの前記伸縮制御装置を備えてなることを特徴とする三脚、一脚、もしくは譜面台であっても好ましい。
駒の滑動部は、駒の外側面が筒状部材の内周面に対する摩擦抵抗が低い面として形成されても好ましく、また、前記駒に設けられたボールベアリングの回転面の一部が、前記筒状部材の内周面と対向する前記駒の外側面から突設され、前記回転面が小径管状脚体の軸方向に沿って回転可能に構成されてなることがより好ましい。前記外側面から突設した前記ボールベアリングの一部が筒状部材の内周面に当接して回動することによって、筒状部材の内周面に対して駒を滑らかに摺動させることができる。
駒を、縮径部から解放された状態から縮径部に差し込まれた固定状態とするためには、小径管状脚体を基端方向へ押し込むことにより、小径管状脚体の外周面に圧着面を密着させた駒が小径管状脚体と共に基端方向へ移動し、縮径部に差し込まれて圧着面を小径管状脚体の外周面に圧着させることにより楔止めさせることにより実現される。そして、駒が縮径部に深く差し込まれるためには、滑動部の摩擦抵抗は低いほど好ましい。滑動部が前記ボールベアリングによって構成されれば、滑動部の傾斜面に対する摩擦抵抗を十分に低くすることができるので、駒を縮径部により深く差し込んで圧着面の小径管状脚体に対する保持力を十分に高めることができる。ボールベアリングは、駒の内部に設置されてもよく、また、側面に露出して設置されてもよい。
駒の縮径部に対して基端方向に差し込まれると楔止めされる径方向厚さとは、駒における滑動部から圧着面までの径方向の最大厚さが、前記縮径部における前記傾斜面の先端から小径管状脚体の外周面までの径方向の隙間よりもわずかに薄く、かつ、前記縮径部の基端における前記傾斜面の基端から小径管状脚体の外周面までの径方向の隙間よりもわずかに厚く形成されてなることをいうものであることが好ましい。駒における滑動部から圧着面までの最大厚さがこのような厚さであることにより、駒は、縮径部に対して基端方向に差し込まれることによって、小径管状脚体の外周面と傾斜面との間に挟持されて楔止め可能となり、所望の長さに引き伸ばされた状態の小径管状脚体を保持することができるからである。
また、前記駒が前記縮径部で楔止めされた状態において、前記解放部材の基端部が前記筒状部材よりも基端側に延出してなることを特徴とするものであってもよい。
例の1として、2段の連結部を有する脚体に、2つの伸縮制御装置をそれぞれの連結部に取り付け、各伸縮制御装置の解放部材の基端部が、駒が前記縮径部で楔止めされた状態において前記筒状部材よりも基端側に延出してなることで、基端側の伸縮制御装置の解放部材を掴んで脚体の先端を基端方向に押し縮めて解放状態とした後、脚体を短縮させると、基端側の伸縮制御装置のバネ受け板の先端面を、先端側の伸縮制御装置の解放部材の基端面に当接させて当該解放部材を押し下げることができる。そして、さらに脚体を短縮させれば、当該解放部材の解放爪が、駒を縮径部から解放させることにより、先端側の伸縮制御装置に触れて操作することなく、当該先端側の伸縮制御装置を解放状態とすることができる。
また、前記バネ受け板の先端面において、前記バネ受け板の先端面において、前記解放部材の基端面から延ばした仮想の垂直線と交わる位置から、先端方向に突設されてなる突設部が設けられ、前記突設部は、前記小径管状脚体の中心軸を中心とした前記解放部材の内径を直径とする円より小さい範囲には設置されないことを特徴とするものであってもよい。突設部は、解放部材が前記押上げバネによって押し上げられた状態で前記係止部材によって係止されるものである場合、解放部材が係止された状態の解放爪の先端から、楔止めされた状態の駒の基端までの長さより長く形成される。
例の2として、2段の連結部を有する脚体に、2つの伸縮制御装置をそれぞれの連結部に取り付け、各伸縮制御装置に前記突設部が設けられてなることで、基端側の伸縮制御装置の解放部材を掴んで脚体の先端を基端方向に押し縮めて解放状態とした後、脚体を短縮させると、基端側の伸縮制御装置の突設部を先端側の伸縮制御装置の解放部材の基端面に当接させて当該解放部材を押し下げることができる。そして、さらに脚体を短縮させれば、当該解放部材の解放爪が、駒を縮径部から解放させることにより、先端側の伸縮制御装置に触れて操作することなく、当該先端側の伸縮制御装置を解放状態とすることができる。
前記例の1及び例の2で説明した先端側の伸縮制御装置に触れずに解放状態にできる効果は、複数段の連結部を有する脚体に、3つ以上の伸縮制御装置をそれぞれの連結部に取り付けても発揮することができる。
駒は、熱可塑性樹脂からなることが好ましく、より好ましくはポリアセタール樹脂からなる。また、大径管状脚体、及び小径管状脚体は、カーボンファイバーと樹脂との複合材料から構成されてなるものが好ましく、また、金属から構成されてなるものであってもよい。金属としてはアルミニウム、若しくは鉄であることが好ましい。
縮径部の傾斜面、第一、第二、及び第三係合面、並びに第一、第二、第三被係合面の小径管状脚体の外周面に対する角度は、45°以下であることが好ましい。駒が縮径部において楔止めされた状態を強固に保持するため、また、第一環状くさび体、第二環状くさび体、及び先端環状くさび体が、それぞれ第一、第二、第三被係合面と小径管状脚体との間に嵌合された状態を強固に保持するための構造を構成しやすいからである。また、縮径部の傾斜面の前記角度は4°〜20°であることが好ましい。4°よりも小さい角度では楔止めされた駒が強固に固定されすぎて保持状態を解除できない可能性がある。また、縮径部の傾斜面の前記角度が20°よりも大きい角度では、縮径部において楔止めされた駒が小径管状脚体を十分に保持するための力を確保することが難しくなる可能性がある。
本発明によれば、小径管状脚体を大径管状脚体から引き伸ばす際には、伸縮制御装置に触れて操作することなく、小径管状脚体を掴んで先端方向に引っ張るだけで即座に引き伸ばすことができる。
さらに、小径管状脚体を大径管状脚体中へ短縮させる際には、解放部材と小径管状脚体とを左右の手で掴んで、互いの手が近づく方向に力を加えるだけで素早く短縮作業を行うことができる。
駒の滑動部をボールベアリングによって構成することによって、圧着面の小径管状脚体に対する保持力を十分に高めることができる。
さらにまた、一本の脚部が複数段の連結部を有する場合であっても、駒が縮径部で楔止めされた状態において、解放部材の基端部が筒状部材よりも基端側に延出してなることにより、各連結部に本発明に係る伸縮制御装置を設ければ、最も基端側の伸縮制御装置の解放部材を掴んで脚部の先端を基端方向へ押し縮めることにより、基端側の伸縮制御装置から先端側の各伸縮制御装置の固定状態を順次解放させながら、一動作で脚部の短縮作業を行うことができる。
同様に、前記バネ受け板の先端面において、前記解放部材の基端面から延ばした仮想の垂直線と交わる位置から、先端方向に突設されてなる突設部が設けられ、前記突設部は、前記小径管状脚体の中心軸を中心とした前記解放部材の内径を有する円より小さい範囲には設置されない構成を備えることによって、最も基端側の伸縮制御装置の解放部材を掴んで脚部の先端を基端方向へ押し縮めることにより、基端側の伸縮制御装置から先端側の各伸縮制御装置の固定状態を順次解放させながら、一動作で脚部の短縮作業を行うことができる。
また、前記いずれの一動作による脚部の短縮作業においても、最も基端側の伸縮制御装置の解放部材を掴んで脚部の先端を基端方向へ押し縮めれば、基端側の伸縮制御装置から先端側の各伸縮制御装置の固定状態を順次解放状態とするため、一本の脚部に設けられた伸縮制御装置の数に関係なく、短縮作業に必要な力は一つの伸縮制御装置を解放するために必要な力で行うことができる。このため、力の弱い者であっても本発明に係る複数の伸縮制御装置を備えた脚部の短縮作業を容易に行うことができる。
前記筒状部材と前記小径管状脚体の外周面との間に一対の環状くさび体と付勢バネとを備えることによって、大径管状脚体の軸に対して小径管状脚体が傾く方向にがたつきを生じることを防止できる。
さらに、バネ受け板の内周面に設けたバネ受け溝に先端環状くさび体が嵌め込まれてなり、前記駒押上げバネが、前記先端環状くさび体の基端面と前記駒の先端面との間に設置されてなることにより、小径管状脚体と大径管状脚体との連結部から前記収容空間よりも遠い先端側で、引き伸ばされた小径管状脚体が大径管状脚体に対して軸方向に対して傾く方向に生じるがたつきを防止する効果を発揮し、前記一対の環状くさび体よりもさらに強力に小径管状脚体のがたつきを防止することができる。
さらにまた、バネ受け板の内周面に設けたバネ受け溝に先端環状くさび体が嵌め込まれてなることによって、先端環状くさび体を常に小径管状脚体の外周面に密着した状態に保つことができるため、小径管状脚体の伸縮によって外部から微小な埃や粉塵が収容空間に侵入することを防止することができる。この効果により、収容空間中に侵入した埃などが駒の圧着面と小径管状脚体の外周面との間に挟み込まれて、圧着面が小径管状脚体を保持する力が低下することを防止できる。
以下、本発明に係る実施の形態を、図を参照しながら詳しく説明する。
本発明に係る伸縮制御装置1は、図1、2に示すように、筒状の大径管状脚体2と、該大径管状脚体の先端側開口に挿入されて軸方向に沿って出入することにより前記大径管状脚体2に対して伸縮可能に連結されてなる小径管状脚体3との連結部に設けられてなる。
なお、図1、3において、矢印Vの示すX方向は大径管状脚体2及び小径管状脚体3の先端側を示す方向であり、以下、先端方向という。矢印Vの示すY方向は大径管状脚体2及び小径管状脚体3の基端側を示す方向であり、以下、基端方向という。また、矢印Wの示す方向は径方向を示す。
図3に示すように、筒状部材4は、大径管状脚体2の先端部外周面6に対して固定基端部5の内周面を接着により固定すると共に、大径管状脚体2の先端部から先端方向へ延出して、小径管状脚体3の外周面の一部を覆う。図5に、筒状部材4の斜視図を,図7に、固定基端部5及び内壁部10の斜視図を示す。また、図8に、筒状部材4を先端から見た底面図を示す。
筒状部材4は、図3に示すように、固定基端部5から先端方向へ延出した部分が径方向に肉厚な肉厚部7に形成されてなる。さらに、肉厚部7から先端方向に連続して形成されてなる拡径収容部8は、肉厚部7よりも径方向外方に拡径して形成されてなり、小径管状脚体3の外周面との間に収容空間9を形成してなる。
本実施の形態において、図9に示すように、肉厚部7は径方向に2分割されて、固定基端部5から先端方向に連続してなる内壁部10と、拡径収容部8から基端方向に連続してなる外壁部11とが着脱可能に螺合されてなる。肉厚部7が2分割された構成であることによって、伸縮制御装置1における固定基端部5及び内壁部10を除く他の部材を分解して保守点検作業を容易に行うことができる。一方、内壁部10と外壁部11とを螺合することによって、筒状部材4を大径管状脚体2に安定して固定することができる。
図3,6に示すように、拡径収容部8が筒状部材4の中央部分で拡径してなる拡径部12の周壁基端面36には、軸方向に沿って外部から先端方向に向かって収容空間9まで貫通してなる貫通孔13が形成されてなる。
収容空間9を構成する筒状部材4の拡径収容部8の内周面14には、軸方向に沿って複数のガイド溝15が形成されてなる。収容空間9には、ガイド溝15において先端側から基端側に向かうに従って縮径するように傾斜する傾斜面16を有する縮径部17が形成されてなる。それぞれのガイド溝15には駒18が嵌め込まれて収容空間9に収納されてなる。
図10〜12に示すように、駒18は、基端面31、先端面28、径方向の外側面19、径方向の外側面19に設けられてなる滑動部20、及び径方向の内側面に圧着面23を備える。
駒18は、図11(a)の底面図に示すように、内側半部18aに対して外側半部18bの左右幅が窄まった形状に形成されてなる。外側半部18bが左右幅の窄まった形状に形成されてなることにより、ガイド溝15の幅も駒18の内側半部18aが収まる幅は必要なく、外側半部18bを嵌め込むことができる幅であれば駒18が収容空間内において小径管状脚体3の周方向にずれ動く動作を抑制することができる。これにより、ガイド溝15の幅を狭く形成できる分、拡径収容部8の厚みを確保できるため、ガイド溝15を形成しても楔止めされた駒18からの径方向外側への応力に対する変形を抑制するための強度を保つことができる。
さらに、駒18の内側半部18aは外側半部18bよりも幅広に形成されてなるため、内側半部18aの内側面に形成された圧着面23の面積を広く確保することができ、駒18が小径管状脚体3を保持するための面積を大きくすることができる。
駒18は、その径方向の外側面19に、内周面14に対して軸方向に滑らかに摺動可能な滑動部20を備えており、本実施の形態において、滑動部20は、駒18の内部に設けられたボールベアリング21の回転面21aの一部が、駒18の外側面19から突設するように設置されて構成されてなる。回転面21aは小径管状脚体3の軸方向に沿って回転可能である。ボールベアリング21の回転面21aが内周面14に当接して滑らかに回動することによって、駒18は、縮径部17から解放された状態において、内周面14に対して滑らかに摺動するこができる。
駒18の外側面19の基端側部分は、駒18が縮径部17に差し込まれる際に傾斜面16に突き当らないよう外側から内側へ傾斜した逃げ面が形成されてなる。圧着面23は、小径管状脚体3の外周面22と密着するために、図11(a)に示すように、凹曲面に形成されてなる。ボールベアリング21は、回転体21bの中心部に回転軸21cが設けられてなり、回転軸21cが駒18の内部で軸支されてなる。
また、駒18は、滑動部20から圧着面23までの径方向の最大厚さである、ボールベアリング21の回転面21aの最外部から圧着面23までの径方向の厚さが、ガイド溝15に嵌め込まれた状態で縮径部17に対して先端方向から基端方向に差し込まれると楔止めされる厚さを有する。駒18は、収容空間9における縮径部17に対して基端方向に差し込まれることによって、小径管状脚体3の外周面22と傾斜面16との間に挟持されて楔止め可能となり、当該楔止めされた駒18が、所望の長さに引き伸ばされた状態の小径管状脚体3を保持することができる。
駒18の径方向の内周面は、縮径部17において楔止めされた状態において小径管状脚体3の外周面22に圧着可能な圧着面23に形成されてなる。本実施の形態においては、駒18が熱可塑性樹脂であるポリアセタール樹脂からなり、大径管状脚体2及び小径管状脚体3がカーボンファイバーと樹脂との複合材料によって形成されてなることによって、楔止めされた駒18の小径管状脚体3に対する十分な圧着効果を期待することができる。
また、本実施の形態において筒状部材4の拡径収容部8はアルミニウムで形成されてなる。拡径収容部8が金属で形成されてなることによって、駒18から受ける径方向外方への応力によって生ずる変形を抑えることができるからである。アルミニウムで形成することによって、他の金属よりも軽量化を図ることもできる。
筒状部材4の先端面には、図13〜15に示す構造を有するバネ受け板24がネジ25によってネジ止めされてなる。バネ受け板24の内側底面26にはバネ受け溝27が軸中心に対して円環状に形成されてなる。バネ受け溝27に先端部が嵌め込まれて駒18の先端面28との間に設置された駒押上げバネ29は、駒18を、押上げ可能な力で基端方向に付勢する。
解放部材30は、図16〜19に示すように、基端及び先端が解放された円筒形状に形成されてなり、図3及び図4に示すように、前記筒状部材4の拡径収容部8の周面に沿って軸方向に摺動可能に装着されてなる。また、解放部材30は、基端側半部30aは一重壁の円筒形状に形成され、先端側半部30bは円筒形状のカバー部35の内側に貫通孔13に挿通可能な幅に形成された解放爪32aを有する二重壁の円筒形状に形成されてなる。
解放爪32aは、円筒形状の壁に複数の切り込み32bが周方向に対して互いに離間して形成されてなり、当該切り込み32bと切り込み32bとの間の爪部分が貫通孔13に挿通可能な幅に形成されてなる。解放爪32aは、解放部材30を先端方向に摺動させることによって楔止めされた駒18の基端面31に当接可能な長さに形成され、駒18に解放爪32aを当接させた状態からさらに解放部材30を先端方向へ摺動させることで、解放爪32aで駒18を先端方向に押し下げることによって必要なときに駒18を縮径部17から解放させることができる。
カバー部35は、図18に示すように、基端側半部30aと先端側半部30bとの境界部から径方向外方に張り出してなる張出部33を備え、張出部33から先端方向に向かって延出し、解放爪32aとの間に空間34を形成してなる。カバー部35は、図3に示すように、筒状部材4の拡径収容部8よりも僅かに大きい内径を備えてなり、空間34の先端は解放されてなる。また、筒状部材4の拡径収容部8の周壁基端面36は空間34に入り込んだ状態にあり、周壁基端面36によって先端側が閉塞された空間34には、図3,4に示すように押上げバネ37が設置されてなる。押上げバネ37は、周壁基端面36及び張出部33の内面38に当接し、解放部材30を基端方向に付勢してなる。
一方、解放部材30の基端側半部30aの内周面には、図18に示すように、基端側が拡径してなる係止段差39が形成されてなる。筒状部材4の固定基端部5の外周面には、図3,4に示すように、係止段差39の拡径側の解放部材30の内径よりわずかに小さい外径を備える係止リング40がムシネジ401によって取り付けられてなる。係止リング40は解放部材30の係止部材として機能するものであり、図3に示すように、係止段差39が係止リング40と当接することによって、押上げバネ37によって基端方向に押し上げられた解放部材30は係止リング40によって係止される。なお、係止リング40は大径管状脚体2の外周面に取り付けられてなるものであってもよい。
解放部材30がこのような構造を有することにより、解放部材30は、外部から力が加えられていない通常状態においては、図3に示すように、係止リング40で係止された位置を定位置Kとして固定されている。使用者がカバー部35を掴んで解放部材30を先端方向へ摺動させると、図4に示すように、カバー部35が筒状部材4の拡径収容部8の外周面に沿いながら解放爪32aを貫通孔13から収容空間9の内部へ挿入させることができる。使用者がカバー部35を離すと、解放部材30は押上げバネ37の力によって図3に示す前記定位置Kまで自動的に戻る。
ここで、解放部材30が図3に示す定位置Kにある状態において、解放爪32aは、縮径部17で楔止めされた状態の駒18には当接せず、駒18の基端面31と解放爪32aの先端との離間距離Lを確保できる長さに形成されてなる。また、定位置Kから、図4に示す押上げバネ37が最も縮んだ状態となるまでの長さL1は前記離間距離Lよりも長い長さを有する。
小径管状脚体3を大径管状脚体2中へ挿入して短縮させる際には、解放部材30と小径管状脚体3とを左右の手で掴んで、互いの手が近づく方向に力を加えると、解放部材30が定位置Kから先端方向に摺動し、解放部材30に設けられた解放爪32aの先端が前記駒18の基端面31に押し当たることによって、図4に示すように、楔止めされた状態の駒18を縮径部17から解放させることができる。続けて小径管状脚体3を基端方向に押し込むと、小径管状脚体3を大径管状脚体2中へ挿入させることができ、短縮作業を行うことができる。
短縮作業を完了させようとする際には、解放部材30から手を離し、解放部材30を掴んでいた手で大径管状脚体2を掴み、小径管状脚体3を基端方向へ押し込めば、図3に示すように、小径管状脚体3と共に駒18が再び縮径部17に差し込まれて楔止めされるので、小径管状脚体3を短縮された状態で保持することができる。駒18は、解放部材30からの応力がなくなれば、駒押上げバネ29によって駒18の基端が縮径部17の傾斜面16と接する位置まで自動的に押し上げられると共に圧着面23が小径管状脚体3と接した状態となるので、解放部材30から手を放した後、小径管状脚体3を僅かに押し込めば、駒18は縮径部17に差し込まれて楔止めされる。
縮径部17において楔止めされた状態の駒18は、傾斜面16から径方向内方に向かって受ける押圧力によって、圧着面23が小径管状脚体3の外周面22と圧着され、さらに、先端方向から駒押上げバネ29によって基端方向へ押し上げられている。このため、駒18は、小径管状脚体3の先端が鉛直下方に向けられただけでは、縮径部17から解放されて抜け落ちない。
一方、小径管状脚体3を大径管状脚体2から引き伸ばす際には、小径管状脚体3を掴んで先端方向に引っ張れば、圧着面23を小径管状脚体3の外周面22に密着させた駒18が小径管状脚体3とともに先端方向へ移動することによって、縮径部17から解放されて小径管状脚体3を即座に引き伸ばすことができる。また、小径管状脚体3を引き伸ばしている最中にも、駒18を、駒押上げバネ29によって、駒18の基端が縮径部17の傾斜面16と接する位置、もしくは傾斜面16に接する位置の近傍位置に押し上げられた状態に維持させることができるため、小径管状脚体3を所望の位置まで引き伸ばした後、小径管状脚体3を僅かに押し込めば、駒18は縮径部17に差し込まれて楔止めされる。楔止めされた駒18は小径管状脚体3を大径管状脚体2に対して固定するため、伸縮制御装置1によれば所望の長さに引き伸ばされた小径管状脚体3を即時に固定することができる。小径管状脚体3を引き伸ばして所望の長さで固定する作業を行う際に、使用者は伸縮制御装置1に直接触れて操作する必要もない。
伸縮制御装置1は、図3に示すように、筒状部材4において、固定基端部5と収容空間9との間であって大径管状脚体2の先端側に隣接する部分が、がたつき防止部50に形成される。がたつき防止部50は、中央内周面が小径管状脚体3の外周面22との間に隙間51を形成してなる凹溝部52と、凹溝部52よりも径方向内方に突出してなる基端側壁部53及び先端側壁部54とを備えてなる。
がたつき防止部50の基端側壁部53と小径管状脚体3との間に挟持された第一環状くさび体41aは、図20〜図22に示すように、環の一部が外周面から内周面にかけて欠損してなる欠損部411aを有するC字型環状に形成され、外周面が基端から先端に向かって拡径する傾斜面からなる第一係合面43aに形成され、さらに、内周面が前記小径管状脚体の外周面と平行な面からなる第一接触面44aに形成されてなる。第一係合面43aと接する基端側壁部53の内周面は、基端から先端へ向かって拡径する傾斜面からなる第一被係合面45aに形成されてなる。
がたつき防止部50の先端側壁部54と小径管状脚体3との間に挟持された第二環状くさび体41bは、図20〜図22に示すように、環の一部が外周面から内周面にかけて欠損してなる欠損部411bを有するC字型環状に形成され、外周面が先端から基端に向かって拡径する傾斜面からなる第二係合面43bに形成され、さらに、内周面が前記小径管状脚体の外周面と平行な面からなる第二接触面44bに形成されてなる。第二係合面43bと接する先端側壁部54の内周面は、先端から基端へ向かって拡径する傾斜面からなる第二被係合面45bに形成されてなる。
付勢バネ42は、小径管状脚体の外周面に沿って装着されて、隙間51において第一環状くさび体41aと第二環状くさび体41bとの間に収められてなる。付勢バネ42の基端を第一環状くさび体41aに当接させると共に、先端を第二環状くさび体41bに当接させて、第一環状くさび体41a及び第二環状くさび体41bを互いに軸方向に離間させる方向に付勢してなる。
第一係合面43a及び第一被係合面45aは、小径管状脚体3の外周面22に対して同じ傾斜角度に形成されてなる。また、第二係合面43b及び第二被係合面45bは、小径管状脚体3の外周面22に対して同じ傾斜角度に形成されてなる。
小径管状脚体3を大径管状脚体2中へ挿入して短縮させると、小径管状脚体3の外周面22が第一環状くさび体41aの第一接触面44aを基端方向へ擦り上げる。同時に、第一環状くさび体41aが欠損部411aを狭めさせて縮径しながら、第一係合面43aと第一被係合面45aとが強固に密着すると共に、第一環状くさび体41aの第一係合面43aが第一被係合面45aを径方向外方へ押し広げる方向へ力を加える。このとき、筒状部材4は、固定基端部5において大径管状脚体2と固定されているために第一被係合面45aは第一係合面43aから受ける力によっても押し広げられることはないので、第一環状くさび体41aを、筒状部材4のがたつき防止部50と小径管状脚体3との間に強く嵌合された状態とすることができる。第一環状くさび体41aを筒状部材4のがたつき防止部50と小径管状脚体3との間に強く嵌合された状態とすることにより、大径管状脚体2の軸に対して小径管状脚体3が傾く方向にがたつきを生じることを防止できる。
なお、小径管状脚体3を大径管状脚体2中へ挿入して短縮させる際には、第二環状くさび体41bが第二被係合面45bから脱離しないように、付勢バネ42が第二環状くさび体41bを先端方向へ押し下げるように力を加える。
さらに、小径管状脚体3を大径管状脚体2から引き伸ばすと、小径管状脚体3の外周面22が第二環状くさび体41bの第二接触面44bを先端方向へ擦り下げる。これにより、上記小径管状脚体3を大径管状脚体2中へ挿入して短縮させた際の第一環状くさび体41aの場合と同様に、第二環状くさび体41bが欠損部411bを狭めさせて縮径しながら、第二環状くさび体41bの第二係合面43bががたつき防止部50の第二被係合面45bと強固に密着し、第二環状くさび体41bを、筒状部材4のがたつき防止部50と小径管状脚体3との間に強く嵌合された状態とすることができる。第二環状くさび体41bを筒状部材4のがたつき防止部50と小径管状脚体3との間に強く嵌合された状態とすることにより、小径管状脚体3を大径管状脚体2から引き伸ばした場合にも、大径管状脚体2の軸に対して小径管状脚体3が傾く方向にがたつきを生じることを防止できる。
なお、小径管状脚体3を大径管状脚体2から引き伸ばす際には、第一環状くさび体41aが第一被係合面45aから脱離しないように、付勢バネ42が第一環状くさび体41aを基端方向へ押し上げるように力を加える。
なお、前記第一環状くさび体41aと第二環状くさび体41b、図25及び図27に示すように、いずれか一方のみががたつき防止部50に設置されてなるものであってもよい。
がたつき防止部50に第一環状くさび体41aのみが設置されてなる場合、図25に示すように、付勢バネ42は、先端をがたつき防止部50の先端側壁部54の内面に当接させて第一環状くさび体41aを基端方向に付勢する。
これにより、短縮された小径管状脚体3が大径管状脚体2に対して軸方向に対して傾く方向に生じるがたつきを防止することができる。
一方、がたつき防止部50に第二環状くさび体41bのみが設置されてなる場合、図27に示すように、付勢バネ42は、先端をがたつき防止部50の基端側壁部53の内面に当接させて第二環状くさび体41bを先端方向に付勢する。
これにより、引き伸ばされた小径管状脚体3が大径管状脚体2に対して軸方向に対して傾く方向に生じるがたつきを防止することができる。
ここで、小径管状脚体3の基端近傍の外周面には対向して形成されてなる固定用穴47が形成されてなる。そして、2枚の半円筒形状の湾曲板部材48,48が互いに向き合った状態で、湾曲板部材48の内側面に形成されてなる固定用突部49を固定用穴47に嵌め込まれ、装着されてなる。小径管状脚体3の周面に沿って装着されてなる。小径管状脚体3を引き伸ばし続けると、湾曲板部材48の先端が第一環状くさび体41aの基端に当接することにより、小径管状脚体3の抜け落ちを防止することができる。
また本実施の形態において、伸縮制御装置1がこのような構造を有することにより、一本の脚部Tが図23に示すような複数段の連結部を有する場合に各連結部に伸縮制御装置1を設けた場合、解放部材30の基端における内径D1は、基端方向に隣の位置に設けられた伸縮制御装置1のバネ受け板24の外径D2よりも小さく形成されてなる。さらに、解放部材30が定位置Kにある状態において、駒18の基端面31と解放爪32aの先端との離間距離Lよりも、解放部材30の基端から、筒状部材4の基端までの距離L2の方が長くなるように、解放部材30の基端部130が筒状部材4よりも基端側に延出してなる。なお、係止リング40が大径管状脚体2の外周面に取り付けられてなる場合、前記距離L2は解放部材30の基端から、係止リング40の基端までの距離をいう。
図23には、伸縮制御装置1の分解斜視図を示す。
伸縮制御装置1がこのような構造を有することにより、一本の脚部Tが図23に示すような複数段の連結部を有する場合であっても、駒18が縮径部17で楔止めされた状態において、図3に示すように、解放部材30の基端部130が筒状部材4の固定基端部5よりも基端側に延出してなるので、各連結部に伸縮制御装置1を設けることで、引き伸ばされた状態の脚部Tを一動作で短縮させることができる。
図24を参照しながら当該一動作による短縮作業を説明する。図24には、一本の脚部Tが、基端側から段階的に径が細く形成された管状脚体T1〜T4によって複数段の連結部を有している。最も基端側の管状脚体T1の径が最も太く、先端側の管状脚体が基端側の管状脚体の管の内部に出入り可能に連結され、最も先端側の管状脚体T4が最も細く形成されてなる。管状脚体T1の基端には三脚等の雲台などと接続可能な連結部Eが設けられてなり、管状脚体T4の先端には石突部Sが設けられてなる。そして、各管状脚体の連結部には、本発明に係る伸縮制御装置1A〜1Cが設けられてなる。
(a)各伸縮制御装置1A〜1Cが固定状態にある脚部Tのうち最も基端側の伸縮制御装置1Aの解放部材30Aを掴んで脚部Tの先端部、例えば、石突部Sを基端方向へ押し縮めれば、伸縮制御装置1Aを解放状態にできる。そして、(b)伸縮制御装置1Aの解放部材30Aを掴んだ状態でそのままさらに脚部Tの石突部Sを基端方向へ押し縮め続けると、管状脚体T1の内部に管状脚体T2が収容されていく。そして、管状脚体T2が外部から見えなくなるまでT1に収容されると、(c)伸縮制御装置1Aのバネ受け板24Aの先端面に、伸縮制御装置1Bの解放部材30Bの基端部130Bが押し当てられる。バネ受け板24Aが、解放部材30Bを押し下げることによって伸縮制御装置1Bの解放爪が駒を縮径部から解放して当該伸縮制御装置1Bを解放状態とすることができる。
(d)伸縮制御装置1Aの解放部材30Aを掴んだ状態でそのままさらに脚部Tの石突部Sを基端方向へ押し縮め続けると、管状脚体T2の内部に管状脚体T3が収容されていく。さらに脚部Tの石突部Sを基端方向へ押し縮め続けると、(e)伸縮制御装置1Bの場合と同様に伸縮制御装置1Cも解放状態とすることができる。(f)伸縮制御装置1Cが解放状態とされたことによって、石突部Sが設けられている最も細い管状脚体T4を管状脚体T3の内部へ収容されば、短縮作業は完了する。
このようにして、最も基端側の伸縮制御装置1の解放部材30を掴んだ状態で脚部Tの先端を基端方向へ押し縮め続ければ、脚部Tに設けられた全ての伸縮制御装置1の固定状態を順次解放状態としながら、一動作で脚部Tの短縮作業を行うことができる。
また、当該一動作による脚部Tの短縮作業において、最も基端側の伸縮制御装置1の解放部材30を掴んで脚部Tの先端を基端方向へ押し縮めれば、基端側の伸縮制御装置1から先端側の各伸縮制御装置1の固定状態を順次解放状態とするため、一本の脚部Tに設けられた伸縮制御装置1の数に関係なく、短縮作業に必要な力は一つの伸縮制御装置1を解放するために必要な力で行うことができる。このため、力の弱い者であっても短縮作業を容易に行うことができる。
さらに、第二の実施形態として、図25、26に示すように、バネ受け板124の内周面を、先端から基端に向かって拡径する傾斜面からなる第三被係合面45cとなるように形成した。これにより、バネ受け板124を筒状部材4に取り付けた際に、第三被係合面45cと小径管状脚体3の外周面部分22aとによってバネ受け溝127が形成される。
バネ受け溝127には、図20〜図22に示すように、環の一部が外周面から内周面にかけて欠損してなる欠損部411cを有するC字型環状に形成され、外周面が先端から基端に向かって拡径する傾斜面からなる第三係合面43cと、内周面が小径管状脚体3の外周面部分22aと平行な面からなる第三接触面44cとを有してなる薄板状の環状体の先端環状くさび体41cが嵌め込まれてなる。
第三係合面43c及び第三被係合面45cは、小径管状脚体3の外周面部分22aに対して同じ傾斜角度に形成されてなる。
そして、先端環状くさび体41cの基端面46と駒18の先端面28との間に設置された駒押上げバネ29は、駒18を、押上げ可能な力で基端方向に付勢する。
小径管状脚体3を大径管状脚体2から引き伸ばすと、小径管状脚体3の外周面22が先端環状くさび体41cの第三接触面44cを先端方向へ擦り下げる。これにより、上記小径管状脚体3を大径管状脚体2中へ挿入して短縮させた際の環状くさび体41aの場合と同様に、先端環状くさび体41cの第三係合面43cがバネ受け溝127の第三被係合面45cと強固に密着し、先端環状くさび体41cを、バネ受け板124と小径管状脚体3との間に強く嵌合された状態とすることができる。
先端環状くさび体41cをバネ受け板124と小径管状脚体3との間に強く嵌合された状態とすることにより、小径管状脚体3を大径管状脚体2から引き伸ばした場合にも、大径管状脚体2の軸に対して小径管状脚体3が傾く方向にがたつきを生じることを防止できる。特に、小径管状脚体3を大径管状脚体2から引き伸ばした場合には、小径管状脚体3と大径管状脚体2との連結部における、小径管状脚体3からの大径管状脚体2に対する軸に対して傾く方向に作用する応力が大きくなるため、先端環状くさび体41cを装着することにより、収容空間9の基端側及び先端側の大きく離れた2点でのがたつき防止効果を発揮し、効果的に小径管状脚体3のがたつきを防止することができる。さらに、第一環状くさび体41a、第二環状くさび体41b、及び先端環状くさび体41cをすべて設ければ、3点でのがたつき防止効果を発揮し、2点の場合よりもさらに高いがたつき防止効果を発揮することができる。
なお、小径管状脚体3を大径管状脚体2中へ挿入して短縮させる際には、先端環状くさび体41cが第三被係合面45cから脱離しないように、駒押上げバネ29が先端環状くさび体41cを先端方向へ押し下げるように力を加える。これにより、小径管状脚体3を短縮した場合にも、駒押上げバネ29が先端環状くさび体41cを第三被係合面45cと小径管状脚体3との間に留めると共に、がたつき防止効果を発揮させることができる。
伸縮制御装置1を用いれば、図27に示すように、一本の脚部Tが複数の連結部を有する多段の三脚Rであっても設置と収納が従来と比較しても格段に容易であり、使用が容易な三脚Rを実現することができる。また同様に、伸縮制御装置1が複数の連結部を有する多段の脚部に設けられた一脚であっても設置と収納が従来と比較しても格段に容易となる。さらにまた、伸縮制御装置1が複数の連結部を有する多段の脚部に設けられた譜面台であっても設置と収納が従来と比較しても格段に容易となる。