JP6038712B2 - 回転―直線運動変換装置 - Google Patents

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    • H02K41/031Synchronous motors; Motors moving step by step; Reluctance motors of the permanent magnet type

Description

本発明は、磁気を用いた回転―直線運動変換装置に関する。
従来、一般的に用いられる回転―直線運動変換装置としては、いわゆるボールねじ機構を応用した装置を用いる。ボールねじ機構を用いた回転―直線運動変換装置は、ボールとねじ溝間の摩擦が生じるため、騒音や振動が発生し易く長寿命化が難しい。また、ボールねじ機構を用いた回転―直線運動変換装置は、経年変化による騒音や振動の増加を抑えるために、また、ボールの摩耗を最小限にするために、グリスを注入するなど定期的なメンテナンスを必要とする。ボールねじ機構を用いた回転―直線運動変換装置は、グリスの飛散やメンテナンス性を考慮しなければならないため、その設置場所が制限され、設計の自由度も奪われる。
近年、ボールねじ機構を用いた回転―直線運動変換装置が宿命的に持つ、上記のような数々の欠点を解消できる、たとえば磁気を用いた非接触の回転―直線運動変換装置に関する技術が注目を浴びつつある。
下記の特許文献1は、非接触の磁気ラック&ピニオン機構を備えて回転運動を直線運動に変換できる磁気式動力伝達装置を開示している。特許文献1の磁気ラック&ピニオン機構は、外周面に所定ピッチで螺旋状に構成した永久磁石を備える軸状部材、当該軸状部材の永久磁石と対向するように、内表面に同ピッチで並設した永久磁石を備える一対の支持プレートを有する。磁気ラック&ピニオン機構は、対向する軸状部材の永久磁石と支持プレートの永久磁石との間に発生する磁気吸引力によって、軸状部材の回転運動を支持プレートの直線運動に変換させる。磁気吸引力は、対向する永久磁石の数によって異なり、対向する永久磁石の数が多いほど大きい。磁気吸引力が大きければ、磁気ラック&ピニオンにおける許容推力も大きくなる。
また、下記の特許文献2は、非接触の磁気減速機構を備えて回転運動を直線運動に変換できるアクチュエータを開示している。特許文献2の磁気減速機構は、平面に凹凸部が所定間隔で交互に配置された磁性材からなるベース、当該ベースの平面に対向するベース対向面と内部空間との間に磁気回路が形成されたドライブヘッド、ドライブヘッドの内部空間内に回転可能に挿入された永久磁石を有する。この磁気減速機構は、永久磁石によりドライブヘッド、ベースを通る閉磁界を形成している。閉磁界は、ドライブヘッドの磁気回路部分とベースの凸部が対向している部分を通る磁束によって、磁気回路の経路、ベースの平面に沿って形成される。この磁気減速機構は、磁石を回転させて発生する回転磁界(閉磁界である)によって、水平方向の推力(磁界の復元力である)が得られ、磁石の回転運動をベースに直線運動(特許文献1では、ベースが固定であるため、直線運動を実際にするのは移動可能なドライブヘッドとなる)に変換させる。
回転磁界の推力は、磁界強度(磁束密度、単位面積当たりの磁力線の数)によって異なる。回転磁界の推力は磁界強度が大きいほど大きい。回転磁界の推力が大きければ、回転磁石の駆動軸とベースとの間で伝達できる許容推力は大きくなる。したがって、大きな許容推力を生成するためには、移動磁界を形成する磁力線の単位面積当たりの数を多くする必要がある。
特開2008−215429号公報 特開2007−215264号公報(第11頁、第10図、)
上記特許文献1に記載されている磁気式動力伝達装置は、軸状部材および支持プレートの両方に永久磁石を配設するため、直線運動する支持プレートの移動距離(ストローク)が長い場合、永久磁石の数を多く配設するか、永久磁石間のピッチを広げる必要がある。永久磁石の数を多く配設すると、軸もたわみ易くなり、位置決めの精度が悪くなってしまう。現状は、低コスト・高精度の磁気式動力伝達装置が求められているので、ストロークが長い場合、特許文献1に記載された発明を採用できない。
なお、永久磁石間のピッチを広げると、支持プレートの永久磁石と対向する軸状部材の永久磁石の数が少なくなり、磁気ラック&ピニオン機構における許容推力が低下する。より大きい許容推力を得たい場合にも、特許文献1に記載されている発明を採用できない。
また、特許文献2に記載されている磁気減速機構は、ドライブヘッドの磁気回路部分とベースの凸部とが対向している部分を通る磁力線の数により、閉磁界の磁界強度が決まる。ドライブヘッドの磁気回路部分において、ベースの凸部と対向していない部分を通る磁力線も存在するが、その磁力線は、上記閉磁界の磁界強度にはほとんど寄与していない。
したがって、特許文献2に記載されている磁気減速機構において、許容推力をより大きくするためには、ドライブヘッドの磁気回路部分とベースの凸部との対向面積を大きくしなければならないため、磁気減速機構は必然的に大型化する。現状では、磁気減速機構の小型化が求められているため、特許文献2に記載された発明を採用することができない。
なお、小型のままでドライブヘッドの磁気回路部分とベースの凸部との対向面積を大きくしようとすると、必然的にベースの凸部のピッチは大きくなる。ピッチが大きくなると、同じ距離内で配置できるベースの凸部の数が少なくなるため、磁気減速機構の増減速比は大きくできない。したがって、より大きな増減速比を実現したい場合にも、特許文献2に記載された発明を採用できない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低コスト、高精度、小型でありながらより大きな許容推力および広範囲の増減速比が実現できる回転―直線運動変換装置の提供を目的とする。
上記の目的を達成するための本発明に係る回転―直線運動変換装置は、円筒状の磁石ロータ、直線状のレール、ティース列および磁石列を備える。
円筒状の磁石ロータは着磁が径方向の磁石列を備える。直線状のレールは複数の凹凸を備える。ティース列は、前記磁石ロータと前記レールとの間で前記磁石ロータの磁石列の磁束を通過させる。磁石列は、前記磁石ロータの磁石列の磁束を前記レールの凹凸に向けて整列させるため前記レールの延在方向に着磁される。前記レールの延在方向に着磁された磁石列は、隣接する磁石の同極性面を前記延在方向で向い合わせて形成した。
本発明に係る回転―直線運動変換装置によれば、磁石列は、隣接する磁石の同極性面を、レールの延在方向に向い合せてあるため、駆動ヘッドとレールとの間で受け渡しする磁束のほとんどが整列された状態で流れるため、漏れ磁束が減少する。
本発明に係る回転―直線運動変換装置によれば、低コスト、高精度、小型でありながらより大きな許容推力および広範囲の増減速比が実現できる。
実施形態1に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。 図1の回転―直線運動変換装置に形成される閉磁界の説明図である。 図1の回転―直線運動変換装置の運動変換の説明図である。 実施形態2に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。 図4の回転―直線運動変換装置に形成される閉磁界の説明図である。 図4の回転―直線運動変換装置の運動変換の説明図である。 実施形態3に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。 実施形態4に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。 実施形態5に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。 実施形態6に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。 実施形態7に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。 実施形態8に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。 図12の磁石ロータが0度位置における閉磁界の説明図である。 図12の磁石ロータが45度位置における閉磁界の説明図である。 図12の磁石ロータが90度位置における閉磁界の説明図である。 図12の磁石ロータが135度位置における閉磁界の説明図である。 図12の磁石ロータが180度位置における閉磁界の説明図である。 本発明に係る回転―直線運動変換装置の応用例を示す図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明に係る回転―直線運動変換装置の構成および動作を、[実施形態1]から[実施形態8]に分けて説明する。なお、各図に示した部材の説明において同一の部材には同一の符号を付し、同一の部材の重複する説明は省略する。また、各図に示した部材間の寸法比率は、説明の都合上誇張してある場合があり、実際の寸法比率とは異なる場合がある。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。図2は、図1の回転―直線運動変換装置に形成される閉磁界の説明図である。図3は、図1の回転―直線運動変換装置の運動変換の説明図である。以下に、本実施形態に係る回転―直線運動変換装置の構成および動作について説明する。
[回転―直線運動変換装置の構成]
図1は本実施形態に係る回転―直線運動変換装置の構成図であり、回転―直線運動変換装置をその磁石ロータの回転軸方向に対して直交する方向に切断したときの断面を示す。なお、図1に記載してある白矢印の向きは永久磁石の着磁方向であり、矢印の矢方向がN極を、矢印の基方向がS極を示す。
回転―直線運動変換装置60は、駆動ヘッド30およびレール40を有する。駆動ヘッド30は、磁石ロータ10およびティース列20を備える。磁石ロータ10は、駆動ヘッド30の円筒状の内部空間とギャップ15が形成されるように、駆動ヘッド30の内部に同心状に配置する。ティース列20は、レール40に対してギャップ25が形成されるように、駆動ヘッド30の内部空間からレール40に向かって蛸足状に延設する。駆動ヘッド30とレール40とは、ティース列20を介して対向配置してあり、レール40の延在方向に相対移動できる。本実施形態では、駆動ヘッド30が移動できないように固定してあり、磁石ロータ10は、駆動ヘッド30内において回転自在に支持してある。
磁石ロータ10は、着磁が径方向の2つの半円状の永久磁石14a、14bから構成される磁石列12を備える。永久磁石14aは、内周側がS極に外周側がN極に着磁してあり、永久磁石14bは、内周側がN極に外周側がS極に着磁してある。このため、磁石ロータ10は、図面の表示位置において、上側がN極で下側がS極となる2極を有することになる。
なお、図1では、2つ割りの半円状の永久磁石14a、14bを例示したが、半分の領域の外側がN極で残りの半分の領域の外側がS極となるように着磁した1つの環状の永久磁石を用いても良い。
また、図1では、磁石ロータ10の極数が2である場合を例示したが、磁石ロータ10は、後述する実施形態に示すように、極数2の場合以外に、極数がM(Mは偶数)であっても良い。
磁石ロータ10は、たとえば、電磁鋼板、ケイ素鉄、炭素鋼、電磁ステンレス、圧粉磁心、アモルファス磁心などの磁性体を金型で打ち抜いて形成する。
ティース列20は、磁石ロータ10の磁石列12からの磁束を、レール40に向けて通過させる。また、ティース列20は、レール40を通過してきた磁束を、磁石ロータ10の磁石列12に向けて通過させる。ティース列20には、ティース内の磁束が磁石ロータ10の磁石列12またはレール40のどちらか一方だけに向けるように、磁石ロータ10の1極当たりに割当てられるティース数が9個の形状および長さが異なるティース24a、24b、…が形成してある。
ティース24a、24b、…の末端は、磁石ロータ10の周方向に相互連結させて一つの円筒状の内部空間となるように形成してある。末端間の連結部は、隣り合うティースとの間で磁束が流れないように、磁石ロータ10の径方向に薄く形成する。ティース24a、24b、…の先端は、レール40の延在方向にティースピッチがTとなるように形成してある。
ティース列20のティースピッチTは、磁石ロータ10を回転させまたはレール40を移動させたときに、他方を移動または回転させることができるように、磁石ロータ10の1極当たりに割当てられるティース数Mt、後述する磁石列52の磁石ピッチPを考慮して設定する。具体的には、下記の式1に示す関係を満たすようなティースピッチTを形成する。
T=(2・P)+k・(P/Mt) (k=±1) … (式1)
ここで、Pは磁石列52の磁石ピッチ
Mtは磁石ロータ10の1極当たりに割当てられるティース数
図1では、上述したように磁石ロータ10の1極当たりに割当てられるティース数Mtは9である。したがって、k=−1とした場合、ティース列20に形成すべきティースピッチTは式1により(P・17/9)となり、k=+1とした場合、ティース列20に形成すべきティースピッチTは(P・19/9)となる。図1の回転―直線運動変換装置60では、ティース列20の先端のティースピッチTを(P・17/9)に形成してある。
なお、図1では、ティース列20が磁石ロータ10を中心に左右対称となる構造を例示したが、ティース列20の構造はこれに限らず、左右非対称構造にすることもできる。
また、図1では、ティース列20が磁石ロータ10の全周に形成してあるが、後述する実施形態に示すように、少なくとも磁石ロータ10の極性の異なる磁極にティース数が均等に割当てられるように、周方向の一部だけにティース列20を形成しても良い。
ティース列20は、磁石ロータ10と同様に、たとえば、電磁鋼板、ケイ素鉄、炭素鋼、電磁ステンレス、圧粉磁心、アモルファス磁心などの磁性体を金型で打ち抜いて形成する。
レール40には、その延在方向にピッチがPである凹部が形成してある。それぞれの凹部には、レール40の延在方向に着磁された永久磁石54a、54b、…が内蔵される。したがって、永久磁石54a、54b、…の磁石ピッチもPとなる。凹部に永久磁石54a、54b、…が内蔵すると、レール40はその延在方向に永久磁石54a、54b、…と磁性体部44a、44b、…が交互に配置される。
レール40は、着磁がその延在方向の磁石列52を備える。磁石列52はレール40を通過しようとする磁束を整列させる。磁石列52によって、レール40を通過しようとする磁束のほとんどが整列された状態で通過するため、漏れ磁束が減少する。磁石列52は、隣接する永久磁石54a、54aの同極性面(N極側)を、磁性体部44aを介してその延在方向に向い合せてあり、また、隣接する永久磁石54b、54bの同極性面(S極側)を、磁性体部44bを介してその延在方向に向い合せてある。磁石列52の永久磁石の着磁方向は、矢印の矢方向がN極を、矢印の基方向がS極を示す。したがって、磁性体部44aにはN極を向い合せた2つの永久磁石54aが配置され、磁性体部44bにはS極を向い合せた2つの永久磁石54bが配置される。
レール40には、N極の永久磁石54aが向い合せに挟まれている磁性体部44aと、S極の永久磁石54bが向い合せに挟まれている磁性体部44bとが、その延在方向に交互に配置される。したがって、レール40には、S極とN極が交互に配置された磁極が形成される。
レール40は、磁石ロータ10およびティース列20と同様に、たとえば、電磁鋼板、ケイ素鉄、炭素鋼、電磁ステンレス、圧粉磁心、アモルファス磁心などの磁性体を金型で打ち抜いて形成する。
[回転―直線運動変換装置の動作]
(閉磁界の形成)
まず、回転―直線運動変換装置60で形成される閉磁界Hについて説明する。図2は図1の回転―直線運動変換装置に形成される閉磁界の説明図である。なお、図2に示す矢線は磁力線を示し、矢線の矢方向は磁力線の方向を示す。
図2に示すように、磁石ロータ10内には、永久磁石14bから永久磁石14aに向かう磁束φが、磁石ロータ10の円筒を二分するように分布する。磁石ロータ10の永久磁石14aからの磁束φは、末端が永久磁石14aに割当てられているティース24a、24b、…を介して、レール40を通過しようとする。レール40内に流入した磁束φは、末端が永久磁石14bに割当てられているティース24a、24b、…と対向しあう磁性体部44a、44bの領域に向けて、整列して流れる。レール40内を通過した後の磁束φは、末端が永久磁石14bに割当てられているティース24a、24b、…を介して、磁石ロータ10の永久磁石14bに流入する。このようにして、磁石ロータ10、ティース列20、レール40をループする閉磁界が形成される。
図2に示す位置では、ティース列20の上半分側のティース24a、24b、…が永久磁石14aに割当てられ、ティース列20の下半分側のティース24a、24b、…が永久磁石14bに割当てられている。このため、形成される閉磁界Hも、反時計回り方向に流れる閉磁界グループと、時計回り方向に流れる閉磁界グループと、左右に分かれて分布する。ただし、磁石ロータ10の回転位置によって、永久磁石14a、14bに割当てられるティース24a、24b、…が変わる。このため、反時計回り方向に流れる閉磁界グループを構成するティース24a、24b、…、または、時計回り方向に流れる閉磁界グループを構成するティース24a、24b、…は一意的ではない。
ティース24a、24b、…を通過する磁束φは、磁石ロータ10の回転位置に応じて、その磁力線の数や流れる方向が変化する。磁力線の数や流れ方向が変化すると、磁石ロータ10、ティース列20、レール40をループする閉磁界Hも変化する。また、閉磁界Hが変化されると、磁界の復元力が働き、閉磁界Hのバランスを取ろうとする。この磁界の復元力は、レール40に対して水平方向への推力として働き、レール40と駆動ヘッド30との間の相対移動を実現する。したがって、磁石ロータ10の回転運動を、レール40または駆動ヘッド30の直線運動に変換することができる。磁石ロータ10の回転位置と磁束φの流れとの関係については、後述する実施形態8でより詳細に説明する。
以下、レール40内の磁束φについて、より具体的に説明する。
レール40には、永久磁石14aに割当てられているティース24a、24b、…を介して永久磁石14aから磁束φを受け入れる受入領域Aが存在する。レール40には、また、永久磁石14bに割当てられているティース24a、24b、…を介して永久磁石14bに磁束φを引き渡す引渡領域Bが存在する。レール40内で、磁束φは受入領域Aから引渡領域Bに流れる。図2では、レール40の両側が磁束φの受入領域Aとなっており、レール40の中央側が磁束φの引渡領域Bとなっている。このため、レール40内の磁束φはレール40の両側から中央側に向けて流れる。
レール40の磁性体部44aには、レール40の延在方向の両側から2つの永久磁石54aのN極側を向い合せに対峙させて配置してある。また、レール40の磁性体部44bには、レール40の延在方向の両側から2つの永久磁石54bのS極側を向い合せに対峙させて配置してある。このため、レール40の受入領域Aでは、永久磁石14aからの磁束φを強制的に磁性体部44aに導くことができる。また、レール40の引渡領域Bでは、永久磁石14bへの磁束φを強制的に磁性体部44bから引き渡すように導くことができる。永久磁石54a、54bの磁力によって、レール40内の磁束φを強制的に磁性体部44a、44bに導くことができるため、駆動ヘッド30とレール40とで磁束φを受け渡す場合、漏れ磁束をほとんどなくすことができる。
このように、磁石列52は、駆動ヘッド30とレール40との間で受け渡す磁束φを、磁性体部44a、44bに向けて整列させる。磁石列52は、磁束φのほとんどを磁性体部44a、44bに向けて整列して流せるので、漏れ磁束をなくすことができ、磁束φを有効に推力に変換させることができる。
以上のように、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60では、レール40の磁石列52によって閉磁束が磁性体部44a、44bに効率的に誘導されるため、駆動ヘッド30とレール40との間の漏れ磁束が減少できる。また、駆動ヘッド30とレール40との磁気結合力が高められ、許容推力を向上できる。さらに、閉磁束の有効利用が図られ、駆動ヘッドが小さくできるので、小型でありながら大きな許容推力が実現できる。また、駆動ヘッド30とレール40間の磁束の受渡しは、金型で打ち抜かれたティース列20によって行われるので、永久磁石14a、14bの着磁精度に依存せずに、駆動ヘッド30とレール40との相対移動において、高い位置決め精度が得られる。
(増減速の原理)
次に、図2に示すように、磁石ロータ10、ティース列20およびレール40に閉磁束が形成された状態で、磁石ロータ10を回転させた場合、レール40がどのように移動するのかを説明する。
図3は、回転―直線運動変換装置60の運動変換の説明図である。
ここで、
磁石ロータ10の極数をM(Mは偶数)、
磁石ロータ10の直径をD、
円周率をπ、
磁石列52の磁石ピッチをP、
係数k=1または−1とおき、
さらに、
磁石ロータ10の回転速度をF、
磁石ロータ10の周速度をVr、
レール40の移動速度をVmとする。
磁石ロータ10の周速度Vrは、
Vr=F・π・D、
と、レール40の移動速度Vmは、
Vm=k・F・M・P、 (k=±1)
と、表すことができる。
したがって、磁石ロータ10の周速度Vrとレール40の移動速度Vmとの速度の関係は下式で表すことができる。
Vm/Vr=(k・M・P)/(π・D) (k=±1) … (式2)
すなわち、磁石ロータ10が1回転すると、レール40がN・P移動する。なお、磁石ロータ10は駆動ヘッド30の内部空間内に支持してあるため、磁石ロータ10の周速度Vrは、駆動ヘッド30の移動速度でもある。
式2を見ると、磁石ロータ10の周速度Vrとレール40の移動速度Vmは違いがあり、駆動ヘッド30とレール40との間で増減速できることを示している。なお、符号が逆になる場合には、磁石ロータ10からみてレール40が逆方向に移動することを意味する。
実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60の場合、
磁石ロータ10の極数がM=2、
係数k=−1であるので、
M=2、k=−1を式2に代入すると、
Vm/Vr=−2・P/(π・D)となる。
したがって、駆動ヘッド30が移動できないように固定した場合、磁石ロータ10が1回転すると、レール40は−2・P移動する。図面での黒矢印は、それぞれ磁石ロータ10の回転方向およびレール40の移動方向を示している。
以上が、実施形態1に係る回転−直線運動変換装置60の構成および動作である。上述したように、磁石ロータ10を回転またはレール40を移動させた場合には、駆動ヘッド30とレール40との間で形成されていた閉磁界Hのバランスが崩れ、そのバランスを保つように、駆動ヘッド30とレール40とは相対移動する。閉磁界Hのバランスを取る作用によって、式2に示したような駆動ヘッド30、レール40の速度の関係が得られる。
以上のように、本実施形態に係る回転―直線運動変換60では、レール40は着磁がその延在方向の磁石列52を備え、磁石列52はレール40を通過しようとする磁束φを整列させるので、漏れ磁束の極小化、大きな許容推力および広範囲の増減速比が実現できる。
〔実施形態2〕
次に、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160について説明する。図4は、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。図5は、図4の回転―直線運動変換装置に形成される閉磁界の説明図である。図6は、図4の回転―直線運動変換装置の運動変換の説明図である。
図4に示すように、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160は、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60と比較して、磁石列152がレール140に内蔵されず、ティース列120に内蔵されていることで相違する。
[回転―直線運動変換装置の構成]
回転―直線運動変換装置160は、駆動ヘッド130、レール140を有する。駆動ヘッド130は、磁石ロータ110とティース列120を備える。磁石ロータ110は、駆動ヘッド130の円筒状の内部空間とギャップ115が形成されるように、駆動ヘッド130の内部に同心状に配置する。ティース列120は、レール140とギャップ125が形成されるように、駆動ヘッド130の内部空間からレール140に向かって蛸足状に延設する。駆動ヘッド130とレール140とは、ティース列120を介して対向配置してあり、レール140の延在方向に相対移動できる。本実施形態では、駆動ヘッド130が移動できないように固定してあり、磁石ロータ110は、駆動ヘッド130内において回転自在に支持してある。
磁石ロータ110は、着磁が径方向の2つの半円状の永久磁石114a、114bから構成される磁石列112を備える。永久磁石114aは、内周側がN極に外周側がS極に着磁してあり、永久磁石114bは、内周側がS極に外周側がN極に着磁してある。このため、磁石ロータ110は、図面の表示位置において、上側がS極で下側がN極となる2極を有することになる。磁石ロータ110のその他の構成は実施形態1と同一である。
ティース列120には、ティース内の磁束が磁石ロータ110の磁石列112またはレール140のどちらか一方だけに向かうように、磁石ロータ110の1極当たりに割当てられるティース数が24個の、形状および長さが異なるティース124a、124b、…が形成してある。
ティース124a、124b、…の末端は、磁石ロータ110の周方向に相互連結させて一つの円筒状の内部空間となるように形成してある。末端間の連結部は、隣り合うティースとの間で磁束が流れないように、磁石ロータ110の径方向に薄く形成する。
ティース124a、124b、…の先端は、レール140の延在方向にティースピッチがPとなるように形成してある。それぞれのティース124a、124b、…の間には、レール140の延在方向に着磁された永久磁石154a、154b、…が内蔵される。したがって、永久磁石154a、154b、…の磁石ピッチもPとなる。ティース124a、124b、…の間に永久磁石154a、154b、…を内蔵すると、ティース124a、124b、…の先端はレール140の延在方向に永久磁石154a、154b、…と磁性体部126a、126b、…が交互に配置される。
ティース列120は、着磁がレール140の延在方向の磁石列152を備える。磁石列152はティース列120を通過しようとする磁束を整列させる。磁石列152によって、ティース列120を通過しようとする磁束のほとんどが整列された状態で通過するため、漏れ磁束が減少する。磁石列152は、隣接する永久磁石154a、154aの同極性面(N極側)を、磁性体部126aを介してレール140の延在方向に向い合せてあり、また、隣接する永久磁石154b、154bの同極性面(S極側)を、磁性体部126bを介してレール140の延在方向に向い合せてある。磁石列152の永久磁石の着磁方向は、矢印の矢方向がN極を、矢印の基方向がS極を示す。したがって、磁性体部126aにはN極を向い合せた2つの永久磁石154aが配置され、磁性体部126bにはS極を向い合せた2つの永久磁石154bが配置される。
ティース列120の先端には、N極の永久磁石154aが向い合せに挟まれている磁性体部126aと、S極の永久磁石154bが向い合せに挟まれている磁性体部126bとが、レール140の延在方向に交互に配置される。したがって、ティース列120の先端には、S極とN極が交互に配置された磁極が形成される。
なお、図4では、ティース列120が磁石ロータ110を中心に左右対称となる構造を例示したが、ティース列120の構造はこれに限らず、左右を非対称構造にすることもできる。
また、図4では、ティース列120を磁石ロータ110の全周に形成してあるが、後述する実施形態に示すように、少なくとも磁石ロータ110の極性の異なる磁極にティース数が均等に割当てられるように、周方向の一部だけにティース列120を形成しても良い。
ティース列120は、磁石ロータ110と同様に、たとえば、電磁鋼板、ケイ素鉄、炭素鋼、電磁ステンレス、圧粉磁心、アモルファス磁心などの磁性体を金型で打ち抜いて形成する。
レール140は、磁石ロータ110の磁石列112からの磁束を、ティース列120の磁性体部126aを介して通過させる。また、レール140は、レール140の磁束を、磁性体部126a、126bを介して磁石ロータ110の磁石列112に向けて通過させる。レール140には、その延在方向に沿ってピッチがTである磁気歯142を形成してある。磁気歯142は、ティース列120の磁性体126aを通過してきた磁束のほとんどを取り入れる。
レール140に設ける磁気歯142の磁気歯ピッチTは、磁石ロータ110を回転させまたはレール140を移動させたときに、他方を移動または回転させることができるように、磁石ロータ110の1極当たりに割当てられるティース数Mpおよび磁石列152の磁石ピッチPを考慮して設定する。具体的には、下記の式3に示す関係を満たすような磁気歯ピッチTを有する磁気歯142を形成する。磁気歯142と磁気歯142との間は凹部となるが、このままでは駆動ヘッド130またはレール140が移動するときに凹部内に渦流が生じ、空気抵抗が生じる。空気抵抗を低減させるためには、凹部に接着剤や樹脂充填剤などの非磁性体を充填することが望ましい。
T=(2・P)+k・(2・P/Mp) (k=±1) … (式3)
ここで、Pは磁石列152の磁石ピッチ
Mpは磁石ロータ110の1極当たりに割当てられるティース数
図4では、上述したように磁石ロータ110の1極当たりに割当てられるティース数Mpは24である。したがって、k=−1とした場合、レール140に形成すべき磁気歯142の磁気歯ピッチTは式3により(P・23/12)となり、k=+1とした場合、レール140に形成すべき磁気歯142の磁気歯ピッチTは(P・25/12)となる。図4の回転―直線運動変換装置160では、レール140に磁気歯ピッチTが(P・23/12)の磁気歯142が形成してある。
レール140は、磁石ロータ110およびティース列120と同様に、たとえば、電磁鋼板、ケイ素鉄、炭素鋼、電磁ステンレス、圧粉磁心、アモルファス磁心などの磁性体を金型で打ち抜いて形成する。
<回転―直線運動変換装置の動作>
(閉磁界の形成)
図5は図4の回転―直線運動変換装置に形成される閉磁界Hの説明図である。なお、図5に示す矢線は磁力線を示し、矢線の矢方向は磁力線の方向を示す。
図5に示すように、磁石ロータ110内には、永久磁石114aから永久磁石114bに向かう磁束φが、磁石ロータ110の円筒を二分するように分布する。磁石ロータ110の永久磁石114bからの磁束φは、末端が永久磁石114bに割当てられているティース列120を介して、レール140の磁気歯142を通過しようとする。レール140内に流入した磁束φは、末端が永久磁石114aに割当てられているティース124a、124b、…と対向しあう磁気歯142の領域に向けて、整列して流れる。レール140内を通過した後の磁束φは、末端が永久磁石114aに割当てられているティース124a、124b、…を介して、磁石ロータ110の永久磁石114aに流入する。このようにして、磁石ロータ110、ティース列120、レール140をループする閉磁界Hが形成される。
図5に示す位置では、ティース列120の上半分側のティース124a、124b、…が永久磁石114aに割当てられ、ティース列120の下半分側のティース124a、124b、…が永久磁石114bに割当てられている。このため、形成される閉磁界Hも、反時計回り方向に流れる閉磁界グループと、時計回り方向に流れる閉磁界グループと、左右に二分して分布する。ただし、磁石ロータ110の回転位置によって、永久磁石114a、114bに割当てられるティース124a、124b、…が変わる。このため、反時計回り方向に流れる閉磁界グループを構成するティース124a、124b、…、または、時計回り方向に流れる閉磁界グループを構成するティース124a、124b、…は一意的ではない。
ティース124a、124b、…を通過する磁束φは、磁石ロータ110の回転位置に応じて、その磁力線の数や流れる方向が変化する。磁力線の数や流れ方向が変化すると、磁石ロータ110、ティース列120、レール140をループする閉磁界Hも変化する。また、閉磁界Hが変化されると、磁界の復元力が働き、閉磁界Hのバランスを取ろうとする。この磁界の復元力は、レール140に対して水平方向への推力として働き、レール140と駆動ヘッド130との間の相対移動を実現する。したがって、磁石ロータ110の回転運動を、レール140または駆動ヘッド130の直線運動に変換することができる。磁石ロータ110の回転位置と磁束φの流れとの関係については、後述する実施形態8でより詳細に説明する。
ティース列120とレール140との間における磁束φの流れについて、より具体的に説明する。
磁石ロータ110の永久磁石114bからレール140に向かう磁束φは、2つの経路からティース列120の先端の磁性体部126aを通過する。
1つの経路は、ティース列120から一旦永久磁石154aに入り永久磁石154aに誘導されて磁性体部126aからレール140の磁気歯142に至る第1の経路であり、もう1つの経路は、ティース列120から直接磁性体部126aに入り磁性体部126aからレール140の磁気歯142に至る第2の経路である。磁束φ1は第1の経路を経てレール140の磁気歯142に至る。磁束φ2は第2の経路を経てレール140の磁気歯142に至る。
ティース列120の磁性体部126aには、レール140の延在方向の両側から2つの永久磁石154aのN極側を向い合せに対峙させて配置してある。また、ティース列120の磁性体部126bには、レール140の延在方向の両側から2つの永久磁石154bのS極側を向い合せに対峙させて配置してある。このため、永久磁石114bから磁性体部126aに磁束φ1を導くことができ、また、永久磁石114bから磁性体部126bに入ってレール140の磁気歯142に至る、漏れ磁束となってしまいそうな磁束φ2を、永久磁石154bの磁力によって強制的に磁性体部126aに導くことができる。
このように、磁石列152は、ティース列120を通過しようとする磁束φ1、φ2を磁性体部126aに向けて整列させる。磁石列152は、ティース列120を通過しようとする磁束のほとんどを磁性体部126aに向けて整列して通過させるので、漏れ磁束をなくすことができ、磁束を有効に推力に変換させることができる。
レール140には、永久磁石114bに割当てられているティース124a、124b、…を介して永久磁石114bから磁束φ1、φ2を受け入れる受入領域Aが存在する。レール140には、また、永久磁石114aに割当てられてあるティース124a、124b、…を介して永久磁石114aに磁束φ1、φ2を引き渡す引渡領域Bが存在する。レール140内で、磁束φ1、φ2は磁束φ3に収束して受入領域Aから引渡領域Bに流れる。図5では、レール140の中央側が磁束φ1、φ2の受入領域Aとなっており、レール140の両側が磁束φ1、φ2の引渡領域Bとなっている。このため、レール140内の磁束φ3はレール140の中央側から両側に左右に二分するように分布する
レール140から磁石ロータ110の永久磁石114aに向かう磁束φ3は、2つの経路からティース列120の先端の磁性体部126a、126bを通過する。
1つの経路は、磁気歯142から一旦永久磁石154aに入り永久磁石154aに誘導されて磁性体部126aから永久磁石114aに至る第3の経路であり、もう1つの経路は、磁気歯142から直接磁性体部126bに入り永久磁石114aに至る第4の経路である。磁束φ1は第3の経路を経て磁石ロータ110の永久磁石114aに至る。磁束φ2は第4の経路を経て磁石ロータ110の永久磁石114aに至る。なお、磁石列112の永久磁石114aと114bとの境目の両側に位置する隣り合うティース124a、124b、…には、レール140を通過せず、直接永久磁石154a、154の磁力によって、ループ磁束φLが形成し得る。
このように、磁石列152は、駆動ヘッド130とレール140との間で受け渡す磁束を、磁性体部126a、126bに向けて整列させる。磁石列152は、磁束のほとんどを磁性体部126a、126bに向けて整列して流せるので、漏れ磁束をなくすことができ、磁束を有効に推力に変換させることができる。
以上のように、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160では、磁石列152によって閉磁束が磁性体部126a、126bに効率的に誘導されるため、駆動ヘッド130とレール140との間の漏れ磁束が減少できる。また、駆動ヘッド130とレール140との磁気結合力が高められ、許容推力を向上できる。さらに、閉磁束の有効利用が図られ、駆動ヘッドが小さくできるので、小型でありながら大きな許容推力が実現できる。また、駆動ヘッド130とレール140間の磁束φの受渡しは、金型で打ち抜かれたティース列120によって行われるので、永久磁石114a、114bの着磁精度に依存せずに、駆動ヘッド130とレール140との相対移動において、高い位置決め精度が得られる。
(増減速の原理)
次に、図5に示すように、磁石ロータ110、ティース列120およびレール140に閉磁束が形成された状態で、磁石ロータ110を回転させた場合、レール140がどのように移動するのかを説明する。
図6は、回転―直線運動変換装置160の運動変換の説明図である。
ここで、
磁石ロータ110の極数をM(Mは偶数)、
磁石ロータ110の直径をD、
円周率をπ、
レール140の磁気歯142の磁気歯ピッチをT、
係数k=1または−1とおき、
さらに、
磁石ロータ110の回転速度をF、
磁石ロータ110の周速度をVr、
レール140の移動速度をVtとする。
磁石ロータ110の周速度Vrは、
Vr=F・π・D、
と、レール140の移動速度Vtは、
Vt=−k・F・M・T/2、 (k=±1)
と、表すことができる。
したがって、磁石ロータ110の周速度Vrとレール140の移動速度Vtとの速度の関係は下式で表すことができる。
Vt/Vr=(−k・M・T/2)/(π・D) (k=±1) … (式4)
すなわち、磁石ロータ110が1回転すると、レール140がN・T/2移動する。なお、磁石ロータ110は駆動ヘッド130の内部空間内に支持してあるため、磁石ロータ110の周速度Vrは、駆動ヘッド130の移動速度でもある。
式4を見ると、磁石ロータ110の周速度Vrとレール140の移動速度Vtは違いがあり、駆動ヘッド130とレール140との間で増減速できることを示している。なお、符号が逆になる場合には、磁石ロータ110からみてレール140が逆方向に移動することを意味する。
実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160の場合、
磁石ロータ10の極数がM=2、
係数k=−1であるので、
M=2、k=−1を式4に代入すると、
Vt/Vr=T/(π・D)となる。
したがって、駆動ヘッド130が移動できないように固定した場合、磁石ロータ110が1回転すると、レール140はT移動する。図面での黒矢印は、それぞれ磁石ロータ110の回転方向およびレール140の移動方向を示している。
以上が、実施形態2に係る回転−直線運動変換装置160の構成および動作である。上述したように、磁石ロータ110を回転またはレール140を移動させた場合には、駆動ヘッド130とレール140との間で形成されていた閉磁界のバランスが崩れ、そのバランスを保つように、駆動ヘッド130とレール140とは相対移動する。閉磁界のバランスを取る作用によって、式4に示したような駆動ヘッド130、レール140の速度の関係が得られる。
以上のように、本実施形態に係る回転―直線運動変換160では、ティース列120の先端の間に着磁がレール140の延在方向の磁石列152を備え、磁石列152はティース列120を通過しようとする磁束を整列させるので、漏れ磁束の極小化、大きな許容推力および広範囲の増減速比が実現できる。
〔実施形態3〕
次に、実施形態3に係る回転―直線運動変換装置260について説明する。図7は、実施形態3に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。図面での黒矢印は、それぞれ磁石ロータ210の回転方向、レール240の移動方向を示している。
図7に示すように、回転―直線運動変換装置260は、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60と比較して、ティース列が磁石ロータの全周に形成されず、周方向の一部にだけに形成していることで相違する。
回転―直線運動変換装置260は、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60をコンパクトさせたものであるとも言える。
<回転―直線運動変換装置の構成>
回転―直線運動変換装置260は、駆動ヘッド230、レール240を有する。駆動ヘッド230は、磁石ロータ210、ティース列220を備える。磁石ロータ210は、駆動ヘッド230の円筒状の内部空間とギャップ215が形成されるように、駆動ヘッド230の内部に同心状に配置する。ティース列220は、レール240とギャップ225が形成されるように、駆動ヘッド230の内部空間からレール240に向かって蛸足状に延設する。駆動ヘッド230とレール240とは、ティース列220を介して対向配置してあり、レール240の延在方向に相対移動できる。磁石ロータ210は、駆動ヘッド230内において回転自在に支持してある。
磁石ロータ210は、着磁が径方向の4つの半円状の永久磁石214a〜214dから構成される磁石列212を備える。永久磁石214a、214cは、互いに対向配置してあり、内周側がN極に外周側がS極に着磁してある。永久磁石214b、214dは、互いに対向配置してあり、内周側がS極に外周側がN極に着磁してある。このため、磁石ロータ210は、図面の表示位置において、上、下側がS極で、左、右側がN極となり、周方向にS極とN極が交互に形成される4極を有することになる。磁石ロータ210のその他の構成は、実施形態1と同一である。
ティース列220には、磁石ロータ210のN極に割当てられるティース数と磁石ロータ210のS極に割当てられるティース数が同数となるように、磁石ロータ210の周方向の一部だけにティース224a、224b、…が形成してある。本実施形態では、ティースの長さが短くなるように、レール240に近い側の周方向に磁石ロータ210の1極当たりに割当てられるティース数が6個のティース224a、224b、…が形成してある。ティースが短いと、ティース内の磁気抵抗も小さくなる。ティース列220のその他の構成は、実施形態1と同一である。
レール240は、着磁がその延在方向の磁石ピッチがPである磁石列252を備える。磁石列252はレール240を通過しようとする磁束を整列させる。磁石列252によって、レール240を通過しようとする磁束のほとんどが整列された状態で通過するため、漏れ磁束が減少する。磁石列252は、隣接する永久磁石254a、254aの同極性面(N極側)を、磁性体部244aを介してその延在方向に向い合せてあり、また、隣接する永久磁石254b、254bの同極性面(S極側)を、磁性体部244bを介してその延在方向に向い合せてある。レール240のその他の構成は、実施形態1と同一である。
[回転―直線運動変換装置の動作]
回転―直線運動変換装置260で形成される閉磁界Hは図示しないが、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60と同様に、磁石ロータ210、ティース列220、レール240をループする閉磁界Hが形成される。本実施形態の場合、ティース列220が周方向のレール240の近い側に形成してあるので、磁石ロータ210内の磁束も周方向のレール240の近い側を通過する。
回転―直線運動変換装置260は、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60と比較して、閉磁界Hを形成する磁力線の数が少なくなるが、ティースの短いティース列220だけを延設するため、小型でありながら大きい許容推力を提供できる。
回転―直線運動変換装置260の増減速の原理は、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60の増減速の原理と同一である。
回転―直線運動変換装置260は、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60と同様に、着磁がレールの延在方向の磁石列はレールを通過しようとする磁束を整列させるので、漏れ磁束の極小化、大きな許容推力および広範囲の増減速比が実現できる。
さらに、回転―直線運動変換装置260は、ティースの短いティース列だけを利用して閉磁界を形成するので、より小型でありながら大きい許容推力を提供できる。
〔実施形態4〕
次に、実施形態4に係る回転―直線運動変換装置360について説明する。図8は、実施形態4に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。図面での黒矢印は、それぞれ磁石ロータ310の回転方向、レール340の移動方向を示している。
図8に示すように、回転―直線運動変換装置360は、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160と比較して、ティース列が磁石ロータの全周に形成されず、周方向の一部にだけ形成していることで相違する。
回転―直線運動変換装置360は、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160をコンパクトさせたものであるとも言える。
回転―直線運動変換装置360は、実施形態3に係る回転―直線運動変換装置260の技術的思想を取り入れ、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160に適用させたものである。
<回転―直線運動変換装置の構成>
回転―直線運動変換装置360は、駆動ヘッド330、レール340を有する。駆動ヘッド330は、磁石ロータ310、ティース列320を備える。磁石ロータ310は、駆動ヘッド330の円筒状の内部空間とギャップ315が形成されるように、駆動ヘッド330の内部に同心状に配置する。ティース列320は、レール340とギャップ325が形成されるように、駆動ヘッド330の内部空間からレール340に向かって蛸足状に延設する。駆動ヘッド330とレール340とは、ティース列320を介して対向配置してあり、レール340の延在方向に相対移動できる。磁石ロータ310は、駆動ヘッド330内において回転自在に支持してある。
磁石ロータ310は、着磁が径方向の4つの半円状の永久磁石314a〜314dから構成される磁石列312を備える。永久磁石314a、314cは、互いに対向配置してあり、内周側がN極に外周側がS極に着磁してある。永久磁石314b、314dは、互いに対向配置してあり、内周側がS極に外周側がN極に着磁してある。このため、磁石ロータ310は、図面の表示位置において、上、下側がS極で、左、右側がN極となり、周方向にS極とN極が交互に形成される4極を有することになる。磁石ロータ310のその他の構成は、実施形態2と同一である。
ティース列320には、磁石ロータ310のN極に割当てられるティース数と磁石ロータ310のS極に割当てられるティース数が同数となるように、磁石ロータ310の周方向の一部だけにティース324a、324b、…が形成してある。本実施形態では、ティースの長さが短くなるように、レール340に近い側の周方向に磁石ロータ310の1極当たりに割当てられるティース数が13個のティース324a、324b、…が形成してある。ティースが短いと、ティース内の磁気抵抗も小さくなる。
ティース列320は、着磁がレール340の延在方向の磁石ピッチがPである磁石列352を備える。磁石列352はティース列320を通過しようとする磁束を整列させる。磁石列352によって、ティース列320を通過しようとする磁束のほとんどが整列された状態で通過するため、漏れ磁束が減少する。磁石列352は、隣接する永久磁石354a、354aの同極性面(N極側)を、磁性体部326aを介してレール340の延在方向に向い合せてあり、また、隣接する永久磁石354b、354bの同極性面(S極側)を、磁性体部326bを介してレール340の延在方向に向い合せてある。ティース列320のその他の構成は、実施形態2と同一である。
レール340は、磁石ロータ310の磁石列312からの磁束を、ティース列320の磁性体部326aを介して通過させる。また、レール340は、レール340の磁束を、磁性体部326a、326b介して磁石ロータ310の磁石列312に向けて通過させる。レール340には、その延在方向に沿ってピッチがTである磁気歯342が形成してある。磁気歯342は、ティース列320の磁性体326aを通過してきた磁束のほとんどを取り入れる。レール340のその他の構成は、実施形態2と同一である。
<回転―直線運動変換装置の動作>
回転―直線運動変換装置360で形成される閉磁界Hは図示しないが、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160と同様に、磁石ロータ310、ティース列320、レール340をループする閉磁界Hが形成される。本実施形態の場合、ティース列320が周方向のレール340の近い側に形成してあるので、磁石ロータ310内の磁束も周方向のレール340の近い側を通過する。
回転―直線運動変換装置360は、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160と比較して、閉磁界Hを形成する磁力線の数が少なくなるが、ティースの短いティース列320だけを延設するため、小型でありながら大きい許容推力を提供できる。
回転―直線運動変換装置360の増減速の原理は、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160の増減速の原理と同一である。
回転―直線運動変換装置360は、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160と同様に、着磁がレールの延在方向の磁石列はティース列を通過しようとする磁束を整列させるので、漏れ磁束の極小化、大きな許容推力および広範囲の増減速比が実現できる。
さらに、回転―直線運動変換装置360は、ティースの短いティース列だけを利用して閉磁界を形成するので、より小型でありながら大きい許容推力を提供できる。
〔実施形態5〕
次に、実施形態5に係る回転―直線運動変換装置460について説明する。図9は、実施形態5に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。図面での黒矢印は、それぞれ磁石ロータ410の回転方向、レール440aおよび440bの移動方向を示している。
図9に示すように、回転―直線運動変換装置460は、同一構成の2つの実施形態3に係る回転―直線運動変換装置260が1つの磁石ロータを共用して、2つ駆動ヘッドを1つの駆動ヘッドに合体させたものであるとも言える。このため、回転―直線運動変換装置460は、磁石ロータを中心にティース列が上下対称構造に構成されている。
<回転―直線運動変換装置の構成>
回転―直線運動変換装置460は、駆動ヘッド430、レール440a、レール440bを有する。駆動ヘッド430は、磁石ロータ410、ティース列420を備える。磁石ロータ410は、駆動ヘッド430の円筒状の内部空間とギャップ415が形成されるように、駆動ヘッド430の内部に同心状に配置する。ティース列420は、磁石ロータ410を中心に上下二分されたティース列420aと420bから構成される。ティース列420aは、レール440aとギャップ425aが形成されるように、駆動ヘッド430の内部空間からレール440aに向かって蛸足状に延設する。ティース列420bは、レール440bとギャップ425bが形成されるように、駆動ヘッド430の内部空間からレール440bに向かって蛸足状に延設する。レール440a、440bは、互いに並行となるように、駆動ヘッド430の上下両側に配置する。駆動ヘッド430とレール440aとは、ティース列420aを介して対向配置してあり、レール440の延在方向に相対移動できる。駆動ヘッド430とレール440bとは、ティース列420bを介して対向配置してあり、レール440の延在方向に相対移動できる。本実施形態では、駆動ヘッド430が移動できないように固定してあり、磁石ロータ410は、駆動ヘッド430内において回転自在に支持してある。
磁石ロータ410、ティース列420aおよび420b、レール440aおよび440bの構成は、それぞれ実施形態3の磁石ロータ210、ティース列220、レール240の構成とそれぞれ同一である。
<回転―直線運動変換装置の動作>
回転―直線運動変換装置460で形成される閉磁界Hは図示しないが、磁石ロータ410、ティース列420a、レール440aをループする閉磁界H1と、磁石ロータ410、ティース列420b、レール440bをループする閉磁界H2とに二分される。二分された閉磁界H1、H2は、互いに独立し磁束が混ざらない。このため、閉磁界H1、H2は、実施形態3に係る回転―直線運動変換装置260で形成される閉磁界と実質的に同視できる。したがって、回転―直線運動変換装置460の動作原理および増減速原理は、実施形態3に係る回転―直線運動変換装置260の動作原理および増減速原理と同一である。
回転―直線運動変換装置460の場合、駆動ヘッド430とレール440a、440bとの相対移動関係は、同一構成の2つの実施形態3に係る回転―直線運動変換装置260により独立に回転―直線運動変換する場合と同視できる。このため、駆動ヘッド430を移動できないように固定した場合、駆動ヘッド430に対するレール440a、440bの相対移動は、同速度逆方向となる。
回転―直線運動変換装置460は、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60と同様に、着磁がレールの延在方向の磁石列はレールを通過しようとする磁束を整列させるので、漏れ磁束の極小化、大きな許容推力および広範囲の増減速比が実現できる。
さらに、回転―直線運動変換装置460は、駆動ヘッドが上下対称構造で、駆動ヘッドの上下側における2つのレールの磁石ピッチも等しいので、駆動ヘッドに相対して、上下側の2つのレールを同速度逆方向に同時移動させることができる。したがって、たとえば、左右に逆方向に定距離を移動させたい開閉装置などに、実施形態5に係る回転―直線運動変換装置460を適用することができる。
〔実施形態6〕
次に、実施形態6に係る回転―直線運動変換装置560について説明する。図10は、実施形態6に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。図面での黒矢印は、それぞれ磁石ロータ510の回転方向、レール540aおよび540bの移動方向を示している。
図10に示すように、回転―直線運動変換装置560は、同一構成の2つの実施形態4に係る回転―直線運動変換装置360が1つの磁石ロータを共用して、2つ駆動ヘッドを1つの駆動ヘッドに合体させたものであるとも言える。このため、回転―直線運動変換装置560は、磁石ロータを中心にティース列が上下対称構造に構成されている。
回転―直線運動変換装置560は、実施形態5に係る回転―直線運動変換装置460の技術的思想を取り入れ、実施形態4に係る回転―直線運動変換装置360に適用させたものである。
<回転―直線運動変換装置の構成>
回転―直線運動変換装置560は、駆動ヘッド530、レール540a、レール540bを有する。駆動ヘッド530は、磁石ロータ510、ティース列520を備える。磁石ロータ510は、駆動ヘッド530の円筒状の内部空間とギャップ515が形成されるように、駆動ヘッド530の内部に同心状に配置する。ティース列520は、磁石ロータ510を中心に上下二分されたティース列520aと520bから構成される。ティース列520aは、レール540aとギャップ525aが形成されるように、駆動ヘッド530の内部空間からレール540aに向かって蛸足状に延設する。ティース列520bは、レール540bとギャップ525bが形成されるように、駆動ヘッド530の内部空間からレール540bに向かって蛸足状に延設する。レール540a、540bは、互いに並行となるように、駆動ヘッド530の上下両側に配置する。駆動ヘッド530とレール540aとは、ティース列520aを介して対向配置してあり、レール540の延在方向に相対移動できる。駆動ヘッド530とレール540bとは、ティース列520bを介して対向配置してあり、レール540の延在方向に相対移動できる。本実施形態では、駆動ヘッド530が移動できないように固定してあり、磁石ロータ510は、駆動ヘッド530内において回転自在に支持してある。
磁石ロータ510、ティース列520aおよび520b、レール540aおよび540bの構成は、それぞれ実施形態4の磁石ロータ310、ティース列320、レール340の構成とそれぞれ同一である。
<回転―直線運動変換装置の動作>
回転―直線運動変換装置560で形成される閉磁界Hは図示しないが、磁石ロータ510、ティース列520a、レール540aをループする閉磁界H1と、磁石ロータ510、ティース列520b、レール540bをループする閉磁界H2とに二分される。二分された閉磁界H1、H2は、互いに独立し磁束が混ざらない。このため、閉磁界H1、H2は、実施形態4に係る回転―直線運動変換装置360で形成される閉磁界と実質的に同視できる。したがって、回転―直線運動変換装置560の動作原理および増減速原理は、実施形態4に係る回転―直線運動変換装置360の動作原理および増減速原理と同一である。
回転―直線運動変換装置560の場合、駆動ヘッド530とレール540a、540bとの相対移動関係は、同一構成の2つの実施形態4に係る回転―直線運動変換装置360により独立に回転―直線運動変換する場合と同視できる。このため、駆動ヘッド530を移動できないように固定した場合、駆動ヘッド530に対するレール540a、540bの相対移動は、同速度逆方向となる。
回転―直線運動変換装置560は、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160と同様に、着磁がレールの延在方向の磁石列はティース列を通過しようとする磁束を整列させるので、漏れ磁束の極小化、大きな許容推力および広範囲の増減速比が実現できる。
さらに、回転―直線運動変換装置460は、駆動ヘッドが上下対称構造で、駆動ヘッドの上下側における2つのレールの磁石ピッチも等しいので、駆動ヘッドに相対して、上下側の2つのレールを同速度逆方向に同時移動させることができる。したがって、たとえば、左右に逆方向に定距離を移動させたい開閉装置などに、実施形態6に係る回転―直線運動変換装置560を適用することができる。
〔実施形態7〕
次に、実施形態7に係る回転―直線運動変換装置660について説明する。図11は、実施形態7に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。図面での黒矢印は、それぞれ磁石ロータ610の回転方向、レール640aおよび640bの移動方向を示している。
図11に示すように、回転―直線運動変換装置660は、異なる構成の2つの実施形態3に係る回転―直線運動変換装置260が1つの磁石ロータを共用して、2つの駆動ヘッドを1つの駆動ヘッドに合体させたものであるとも言える。
回転―直線運動変換装置660は、実施形態5に係る回転―直線運動変換装置460と比較して、磁石ロータを中心にティース列が上下非対称構造に構成されていることで相違する。
<回転―直線運動変換装置の構成>
回転―直線運動変換装置660は、駆動ヘッド630、レール640a、レール640bを有する。駆動ヘッド630は、磁石ロータ610、ティース列620を備える。磁石ロータ610は、駆動ヘッド630の円筒状の内部空間とギャップ615が形成されるように、駆動ヘッド630の内部に同心状に配置する。ティース列620は、ティース列620aと620bから構成される。ティース列620aは、レール640aとギャップ625aが形成されるように、駆動ヘッド630の内部空間からレール640aに向かって蛸足状に延設する。ティース列620bは、レール640bとギャップ625bが形成されるように、駆動ヘッド630の内部空間からレール640bに向かって蛸足状に延設する。
レール640a、640bは、互いに並行となるように、駆動ヘッド630の上下両側に配置する。駆動ヘッド630とレール640aとは、ティース列620aを介して対向配置してあり、レール640の延在方向に相対移動できる。駆動ヘッド630とレール640bとは、ティース列620bを介して対向配置してあり、レール640の延在方向に相対移動できる。磁石ロータ610は、駆動ヘッド630内において回転自在に支持してある。
磁石ロータ610、レール640aおよび640bの構成は、それぞれ実施形態3の磁石ロータ210、レール240の構成とそれぞれ同一である。
ティース列620aには、磁石ロータ610の1極当たりに割当てられるティース数Mtaが5である形状および長さが異なるティース624a、624b、…が形成してある。また、ティース列620bには、磁石ロータ610の1極当たりに割当てられるティース数Mtbが6である形状および長さが異なるティース624a、624b、…が形成してある。
ティース列620aのティースピッチTaおよびティース列620bのティースピッチTbは、それぞれ式1に示す関係を満たすと同時に、下記の式5に示す関係を満たすようにティースピッチTa、Tbを形成する。
Tb<2・P<Ta (Tb<Ta) … (式5)
ここで、Pは磁石列652aおよび磁石列652bの共通なる磁石ピッチ
図11では、上述したように磁石ロータ10の1極当たりに割当てられるティース列620aのティース数Mtaは5であり、磁石ロータ10の1極当たりに割当てられるティース列620bのティース数Mtbは6である。したがって、ティース列620aについては、式1において、k=+1とし、ティースピッチTaを(P・11/5)に形成し、ティース列620bについては、上述した式1において、k=−1とし、ティースピッチTbを(P・11/6)に形成してある。ティース列620aおよび620bのその他の構成については、実施形態3と同一である。
<回転―直線運動変換装置の動作>
回転―直線運動変換装置660で形成される閉磁界Hは図示しないが、磁石ロータ610、ティース列620a、レール640aをループする閉磁界H1と、磁石ロータ610、ティース列620b、レール640bをループする閉磁界H2と2つに分けられる。2つに分けられた閉磁界H1、H2は、互いに独立し磁束が混ざらない。このため、閉磁界H1、H2は、実施形態3に係る回転―直線運動変換装置260で形成される閉磁界と実質的に同視できる。したがって、回転―直線運動変換装置660の動作原理も、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60の動作原理と同一である。
実施形態7に係る回転―直線運動変換装置660の場合、磁石ロータ610の周速度Vrとレール640aの移動速度Vm1との関係は、
磁石ロータ610の極数がM=4、
係数k=+1であるので、
M=4、k=+1を式2に代入すると、
Vm1/Vr=+4・P/(π・D)となる。一方、磁石ロータ610の周速度Vrとレール640bの移動速度Vm2との関係は、
磁石ロータ610の極数がM=4、
係数k=−1であるので、
M=4、k=−1を式2に代入すると、
Vm2/Vr=−4・P/(π・D)となる。
したがって、駆動ヘッド630が移動できないように固定した場合、磁石ロータ610が1回転すると、レール640aは+4・P移動し、レール640bは―4・P移動する。磁石ロータ610からみて、レール640a、640bは同方向に同じ距離分移動することとなる。したがって、駆動ヘッド630に対するレール640a、640bの相対移動は、同速度同方向となる。
また、レール640a、640bが移動できないように固定した場合、磁石ロータ610を回転すると、駆動ヘッド630がレール640a、640bの間で1方向に相対移動できる。この場合、上下面では磁気吸引力が相殺されるので、駆動ヘッド630の相対移動時にレール640a、640bへの負担が軽減され、摩擦が少なくなり、より高精度な位置決めが可能となる。
回転―直線運動変換装置660は、実施形態1に係る回転―直線運動変換装置60と同様に、着磁がレールの延在方向の磁石列はレールを通過しようとする磁束を整列させるので、漏れ磁束の極小化、大きな許容推力および広範囲の増減速比が実現できる。
さらに、回転―直線運動変換装置660は、上述した式1および式5に示す関係を同時に満たすようにティース列のティースピッチを設定し、駆動ヘッドの上下側における2つのレールの磁石ピッチが等しいので、駆動ヘッドに相対して、上下側の2つのレールを同速度同方向に同時移動させることができる。したがって、駆動ヘッドの上下面で磁気吸引力が相殺されるので、駆動ヘッドの相対移動時にレールへの負担が軽減され、摩擦が少なくなり、より高精度な位置決めが可能となる。
〔実施形態8〕
次に、実施形態8に係る回転―直線運動変換装置760について説明する。図12は、実施形態8に係る回転―直線運動変換装置の構成図である。図面での黒矢印は、それぞれ磁石ロータ710の回転方向、レール740aおよび740bの移動方向を示している。
図12に示すように、回転―直線運動変換装置760は、異なる構成の2つの実施形態4に係る回転―直線運動変換装置360が1つの磁石ロータを共用して、2つの駆動ヘッドを1つの駆動ヘッドに合体させたものであるとも言える。
回転―直線運動変換装置760は、実施形態6に係る回転―直線運動変換装置560と比較して、磁石ロータを中心にティース列が上下非対称構造に構成されていることで相違する。
回転―直線運動変換装置760は、実施形態7に係る回転―直線運動変換装置660の技術的思想を取り入れ、実施形態4に係る回転―直線運動変換装置360に適用させたものである。
<回転―直線運動変換装置の構成>
回転―直線運動変換装置760は、駆動ヘッド730、レール740a、レール740bを有する。駆動ヘッド730は、磁石ロータ710、ティース列720を備える。磁石ロータ710は、駆動ヘッド730の円筒状の内部空間とギャップ715が形成されるように、駆動ヘッド730の内部に同心状に配置する。ティース列720は、ティース列720aと720bから構成される。ティース列720aは、レール740aとギャップ725aが形成されるように、駆動ヘッド730の内部空間からレール740aに向かって蛸足状に延設する。ティース列720bは、レール740bとギャップ725bが形成されるように、駆動ヘッド730の内部空間からレール740bに向かって蛸足状に延設する。
レール740a、740bは、互いに並行となるように、駆動ヘッド730の上下両側に配置する。駆動ヘッド730とレール740aとは、ティース列720aを介して対向配置してあり、レール740の延在方向に相対移動できる。駆動ヘッド730とレール740bとは、ティース列720bを介して対向配置してあり、レール740の延在方向に相対移動できる。磁石ロータ710は、駆動ヘッド730内において回転自在に支持してある。
磁石ロータ710の構成は、それぞれ実施形態4の磁石ロータ310と同一である。
ティース列720aには、磁石ロータ710の1極当たりに割当てられるティース数Mtaが13である形状および長さが異なるティース724a、724b、…が形成してある。また、ティース列720bには、磁石ロータ710の1極当たりに割当てられるティース数Mtbが15である形状および長さが異なるティース724a、724b、…が形成してある。
ティース列720aは、着磁がレール740aの延在方向の磁石ピッチがPaである磁石列752aを備える。ティース列720bは、着磁がレール740bの延在方向の磁石ピッチがPbである磁石列752bを備える。磁石列752a、752bはティース列720を通過しようとする磁束を整列させる。磁石列752a、752bによって、ティース列720を通過しようとする磁束のほとんどが整列された状態で通過するため、漏れ磁束が減少する。磁石列752a、752bは、隣接する永久磁石754a、754aの同極性面(N極側)を、磁性体部726aを介してレール740a、740bの延在方向に向い合せてあり、また、隣接する永久磁石754b、754bの同極性面(S極側)を、磁性体部726bを介してレール740a、740bの延在方向に向い合せてある。ティース列720a、720bのその他の構成は、実施形態2と同一である。
レール740aは、磁石ロータ710の磁石列712からの磁束を、ティース列720aの磁性体部726aを介して通過させる。また、レール740aは、レール740aの磁束を、磁性体部726a、726b介して磁石ロータ710の磁石列712に向けて通過させる。レール740aには、その延在方向に沿ってピッチがTである磁気歯742aが形成してある。磁気歯742aは、ティース列720aの磁性体726aを通過してきた磁束のほとんどを取り入れる。
レール740bは、磁石ロータ710の磁石列712からの磁束を、ティース列720bの磁性体部726aを介して通過させる。また、レール740bは、レール740bの磁束を、磁性体部726a、726b介して磁石ロータ710の磁石列712に向けて通過させる。レール740bには、その延在方向に沿ってピッチがTである磁気歯742bが形成してある。磁気歯742bは、ティース列720bの磁性体726aを通過してきた磁束のほとんどを取り入れる。
レール740a、740bに設ける磁気歯742a、742bの磁気歯ピッチTは、式3に示す関係を満たすと同時に、下記の式6に示す関係を満たすように形成する。
2・Pb<T<2・Pa … (式6)
ここで、Pbは磁石列752bの磁石ピッチ
Paは磁石列752aの磁石ピッチ
図12では、上述したように磁石ロータ710の1極当たりに割当てられるティース列720aティース数Mpaは13であり、磁石ロータ710の1極当たりに割当てられるティース列720bティース数Mpbは15である。したがって、ティース列720aについては、式3において、k=−1とし、磁気歯ピッチTと磁石列752aの磁石ピッチPaとの関係は、T=Pa・24/13となる。また、ティース列720bについては、式3において、k=+1とし、磁気歯ピッチTと磁石列752bの磁石ピッチPbとの関係は、T=Pb・32/15となる。レール740a、740bのその他の構成は、実施形態2と同一である。
<回転―直線運動変換装置の動作>
回転―直線運動変換装置760で形成される閉磁界Hは、磁石ロータ710、ティース列720a、レール740aをループする閉磁界H1と、磁石ロータ710、ティース列720b、レール740bをループする閉磁界H2と2つに分けられる。2つに分けられた閉磁界H1、H2は、互いに独立し磁束が混ざらない。このため、閉磁界H1、H2は、実施形態4に係る回転―直線運動変換装置360で形成される閉磁界と実質的に同視できる。したがって、回転―直線運動変換装置660の動作原理も、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160の動作原理と同一である。
実施形態8に係る回転―直線運動変換装置760の場合、磁石ロータ710の周速度Vrとレール740aの移動速度Vt1との関係は、
磁石ロータ710の極数がM=4、
係数k=−1であるので、
M=4、k=−1を式4に代入すると、
Vt1/Vr=+2・T/(π・D)となる。一方、磁石ロータ710の周速度Vrとレール740bの移動速度Vt2との関係は、
磁石ロータ710の極数がM=4、
係数k=+1であるので、
M=4、k=+1を式2に代入すると、
Vt2/Vr=−2・T/(π・D)となる。
したがって、駆動ヘッド730が移動できないように固定した場合、磁石ロータ710が1回転すると、レール740aは+2・T移動し、レール740bは―2・T移動する。磁石ロータ710からみて、レール740a、740bは同方向に同じ距離分移動することとなる。したがって、駆動ヘッド730に対するレール740a、740bの相対移動は、同速度同方向となる。
また、レール740a、740bが移動できないように固定した場合、磁石ロータ710を回転すると、駆動ヘッド730がレール740a、740bの間で1方向に相対移動できる。この場合、上下面では磁気吸引力が相殺されるので、駆動ヘッド730の相対移動時にレール740a、740bへの負担が軽減され、摩擦が少なくなり、より高精度な位置決めが可能となる。
回転―直線運動変換装置760は、実施形態2に係る回転―直線運動変換装置160と同様に、着磁がレールの延在方向の磁石列はティース列を通過しようとする磁束を整列させるので、漏れ磁束の極小化、大きな許容推力および広範囲の増減速比が実現できる。
さらに、回転―直線運動変換装置760は、上述した式3および式6に示す関係を同時に満たすようにティース列のティースピッチを設定し、駆動ヘッドの上下側における2つのレールの磁石ピッチが等しいので、駆動ヘッドに相対して、上下側の2つのレールを同速度同方向に同時移動させることができる。したがって、駆動ヘッドの上下面で磁気吸引力が相殺されるので、駆動ヘッドの相対移動時にレールへの負担が軽減され、摩擦が少なくなり、より高精度な位置決めが可能となる。
以下、図13〜17を参照して、磁石ロータ710の回転位置に応じて形成される閉磁界Hの変化について説明する。図13〜17に示すように、磁石ロータ710を図13に示す位置から反時計回り方向に0度から180度まで45度単位で回転させた場合、磁石ロータ710の各回転位置における閉磁界Hの形状および磁束の流れ方向は異なる。図面において、マークYは磁石ロータ710の現在の回転位置を示すために、また、基準線I−Iはレール740a、740bの相対移動距離を示すために、仮に表示させたものである。
図13は、磁石ロータ710が0度位置における閉磁界の説明図である。図面に表示されている位置において、磁石ロータ710は、上、下側がS極で、左、右側がN極である。したがって、磁石ロータ710、ティース列720a、レール740aをループする閉磁界H1、磁石ロータ710、ティース列720b、レール740bをループする閉磁界H2は、次のように磁束を流す。
閉磁界H1の磁束は、図面の両側に位置するティース列720a介して磁石ロータ710のN極からレール740aの受入領域に流入する。また、図面の中央側に位置するティース列720aを介してレール740aの引渡領域から磁石ロータ710のS極に磁束を取り入れる。
閉磁界H2の磁束は、図面の両側に位置するティース列720b介して磁石ロータ710のN極からレール740bの受入領域に流入する。また、図面の中央側に位置するティース列720bを介してレール740bの引渡領域から磁石ロータ710のS極に磁束を取り入れる。
図14は、磁石ロータ710が45度位置における閉磁界の説明図である。図面に表示されている位置において、磁石ロータ710は、左上、右下側がS極で、左下、右上側がN極である。したがって、磁石ロータ710、ティース列720a、レール740aをループする閉磁界H1、磁石ロータ710、ティース列720b、レール740bをループする閉磁界H2は、次のように磁束を流す。
閉磁界H1の磁束は、図面の左半分側に位置するティース列720a介して磁石ロータ710のN極からレール740aの受入領域に流入する。また、図面の右半分側に位置するティース列720bを介してレール740bの引渡領域から磁石ロータ710のS極に磁束を取り入れる。
閉磁界H2の磁束は、図面の右半分側に位置するティース列720b介して磁石ロータ710のN極からレール740bの受入領域に流入する。また、図面の左半分側に位置するティース列720bを介してレール740bの引渡領域から磁石ロータ710のS極に磁束を取り入れる。
なお、駆動ヘッド730が移動できないように固定してある場合、式4により、レール740a、740bは基準線I−Iの位置に相対して、それぞれ図面の右側へT/4移動してある。
図15は、磁石ロータ710が90度位置における閉磁界の説明図である。図面に表示されている位置において、磁石ロータ710は、左、右側がS極で、上、下側がN極である。したがって、磁石ロータ710、ティース列720a、レール740aをループする閉磁界H1、磁石ロータ710、ティース列720b、レール740bをループする閉磁界H2は、次のように磁束を流す。
閉磁界H1の磁束は、図面の中央側に位置するティース列720aを介して磁石ロータ710のN極からレール740aの受入領域に流入する。また、図面の両側に位置するティース列720aを介してレール740aの引渡領域から磁石ロータ710のS極に磁束を取り入れる。
閉磁界H2の磁束は、図面の中央側に位置するティース列720b介して磁石ロータ710のN極からレール740bの受入領域に流入する。また、図面の両側に位置するティース列720bを介してレール740bの引渡領域から磁石ロータ710のS極に磁束を取り入れる。
なお、駆動ヘッド730が移動できないように固定してある場合、式4により、レール740a、740bはそれぞれ図面の右側へT/2移動してある。
図16は、磁石ロータ710が135度位置における閉磁界の説明図である。図面に表示されている位置において、磁石ロータ710は、左下、右上側がS極で、左上、右下側がN極である。したがって、磁石ロータ710、ティース列720a、レール740aをループする閉磁界H1、磁石ロータ710、ティース列720b、レール740bをループする閉磁界H2は、次のように磁束を流す。
閉磁界H1の磁束は、図面の右半分側に位置するティース列720aを介して磁石ロータ710のN極からレール740aの受入領域に流入する。また、図面の左半分側に位置するティース列720aを介してレール740aの引渡領域から磁石ロータ710のS極に磁束を取り入れる。
閉磁界H2の磁束は、図面の左半分側に位置するティース列720b介して磁石ロータ710のN極からレール740bの受入領域に流入する。また、図面の右半分側に位置するティース列720bを介してレール740bの引渡領域から磁石ロータ710のS極に磁束を取り入れる。
なお、駆動ヘッド730が移動できないように固定してある場合、式4により、レール740a、740bはそれぞれ図面の右側へ3・T/4移動してある。
図17は、磁石ロータ710が180度位置における閉磁界の説明図である。図面に表示されている位置において、磁石ロータ710は、左、右側がN極で、上、下側がS極である。したがって、磁石ロータ710、ティース列720a、レール740aをループする閉磁界H1、磁石ロータ710、ティース列720b、レール740bをループする閉磁界H2は、次のように磁束を流す。
閉磁界H1の磁束は、図面の両側に位置するティース列720aを介して磁石ロータ710のN極からレール740aの受入領域に流入する。また、図面の中央側に位置するティース列720aを介してレール740aの引渡領域から磁石ロータ710のS極に磁束を取り入れる。
閉磁界H2の磁束は、図面の両側に位置するティース列720b介して磁石ロータ710のN極からレール740bの受入領域に流入する。また、図面の中央側に位置するティース列720bを介してレール740bの引渡領域から磁石ロータ710のS極に磁束を取り入れる。
なお、駆動ヘッド730が移動できないように固定してある場合、式4により、レール740a、740bはそれぞれ図面の右側へT移動してある。
<本発明に係る動力伝達装置の応用例>
次に、上述してきたような構成を有する回転―直線運動変換装置の応用例を簡単に説明する。
図18は、本発明に係る回転―直線運動変換装置の一つの応用例を示す図である。
図に示すように、回転―直線運動変換装置860(たとえば実施形態8の構成)は、内部にモータなどの動力発生機、または、発電機Geなどが磁石ロータ810と接続される動力入出力部870を有する。
回転―直線運動変換装置860の磁石ロータ810、ティース列820、動力入力力部870は、結合部品880により結合されて1つの駆動ヘッド830を構成する。結合部品880の両端部には、2つのスライドブロック890が取り付けられ、それぞれのスライドブロック890にはスライドレールの頭部が埋め込まれている。
回転―直線運動変換装置860のレール840a、840bは、2つのスライドレールの頭部とそれぞれスライドできるように接続されている。本応用例ではさらに、レール840a、840bが同じ方向にしか移動できないように、1つの結合部品881でレール840a、840bを結合させている。レール840a、840bが互いに同じ方向へ移動させる必要がない場合、結合部品881を無くしてもよい。
回転―直線運動変換装置860は、動力入出力部870が外部のモータなどから動力を受ける場合、モータにより回転される磁石ロータ810の回転運動を、駆動ヘッド830またはレール840a、840bの直線運動に変換できる。また、回転―直線運動変換装置860は、動力入出力部870が外部の発電機Geなどに動力を出力する場合、駆動ヘッド830またはレール840a、840bの直線運動を磁石ロータ810の回転運動に変換できる。
本発明に係る回転―直線運動変換装置860は、このように結合部品880、スライドブロック890、スライドレール等を用いて、モータまたは発電機Geなどに取付けて使用する。
10 磁石ロータ、
12 磁石列、
14a、14b 永久磁石、
15 ギャップ、
20 ティース列、
24a、24b ティース、
25 ギャップ、
26a、26b 磁性体部、
42 磁気歯、
60 回転―直線運動変換装置。

Claims (17)

  1. 着磁が径方向の磁石列を備える円筒状の磁石ロータと、
    複数の凹凸を備える直線状のレールと、
    前記磁石ロータと前記レールとの間で前記磁石ロータの磁石列の磁束を通過させるティース列と、
    前記磁石ロータの磁石列の磁束を前記レールの凹凸に向けて整列させるため前記レールの延在方向に着磁された磁石列と、を備え、
    前記レールの延在方向に着磁された磁石列は、隣接する磁石の同極性面を前記延在方向で向い合わせて形成したことを特徴とする回転―直線運動変換装置。
  2. 前記レールの延在方向に着磁された磁石列は、前記レールの凹凸の凹部に収納したことを特徴とする請求項1に記載の回転―直線運動変換装置。
  3. 前記レールの凹凸の凸部は磁性体部であり、
    前記ティース列の一方の末端は前記磁石ロータの周方向に相互連結させて前記磁石ロータを収容する円筒状の内部空間を形成し、他方の末端は一定のピッチで枝分かれし各ティースの先端が前記レールの凹凸に向けて対峙していることを特徴とする請求項1に記載の回転―直線運動変換装置。
  4. 前記ティース列の一方の末端の各ティースの連結部は、隣り合うティースの間で磁束が流れないように前記磁石ロータの径方向の厚みを薄くしたことを特徴とする請求項3に記載の回転―直線運動変換装置。
  5. 前記レールの延在方向に着磁された磁石列は、前記一定のピッチで枝分かれした各ティース間に収納したことを特徴とする請求項3または4に記載の回転―直線運動変換装置。
  6. 前記レールは、前記磁石ロータを中心に、平行または交差する方向に複数設けたことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の回転―直線運動変換装置。
  7. 前記磁石ロータは、前記ティース列の一方の末端が形成する円筒状の内部空間内で、回転自在に支持されることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の回転―直線運動変換装置。
  8. 前記ティース列の他方の末端の各ティース列の先端は、前記レールの凹凸に対して一定のギャップを有していることを特徴とする請求項3から7のいずれかに記載の回転―直線運動変換装置。
  9. 前記レールは、その延在方向に往復移動自在に支持されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の回転―直線運動変換装置。
  10. N極(Nは偶数)の磁石ロータと、
    前記磁石ロータの周囲に一定のギャップを介して、少なくとも2極以上に対向するティース列によって構成される駆動ヘッドと、
    前記磁石ロータの回転軸と直交する方向に移動可能な、磁石列を内蔵したレールと、を備え、
    前記レールは、前記磁石ロータの回転軸と平行する面で、一定のギャップを介して前記ティース列に対向し、
    前記駆動ヘッドと前記レールが相対移動運動を行なうことを特徴とする回転―直線運動変換装置。
  11. N:磁石ロータの極数、Mt:磁石ロータ1極当りのティース数、P:磁石列の磁石ピッチ、D:磁石ロータの直径、F:磁石ロータの回転速度、Vr:磁石ロータの周速、Vm:レールの移動速度、T:ティース列ピッチとすると、
    各ティースのピッチは、T=(2・P)+k・(P/Mt)、
    係数k=+1 もしくは −1
    で表され、
    磁石ロータの周速とレールの移動速度の比(減速比)が
    Vm/Vr= (k・N・P)/(π・D)で表されることを特徴とする請求項10に記載の回転―直線運動変換装置。
  12. 前記レールが前記磁石ロータの両側に配置されたことを特徴とする請求項10または11に記載の回転―直線運動変換装置。
  13. 前記磁石ロータの両側に配置された2つの前記レールの磁石列の各磁石ピッチが等しくPであり、
    それぞれに対向する2つのティース列ピッチをTa、Tb、(Ta>Tb)と置くとき、
    Tb< 2・P < Ta
    の関係が成立することを特徴とする請求項12に記載の回転―直線運動変換装置。
  14. N極(Nは偶数)の磁石ロータと、
    前記磁石ロータの周囲に一定のギャップを介して、少なくとも2極以上に対向する、磁石列を備えたティース列によって構成される駆動ヘッドと、
    前記磁石ロータの回転軸と直交する方向に移動可能なレールと、を備え、
    前記レールは、前記磁石ロータの回転軸と平行する面で一定のギャップを介して、前記ティースに対向し、
    前記駆動ヘッドと前記レールが相対移動運動を行なうことを特徴とする回転―直線運動変換装置。
  15. N:磁石ロータの極数、Mp:磁石ロータ1極当りのティース数、P:磁石列の磁石ピッチ、D:磁石ロータの直径、F:磁石ロータの回転速度、Vr:磁石ロータの周速、Vt:レール移動速度、T:ティース列ピッチとすると、
    各ティースのピッチは、T=(2・P)+k・(2・P/Mp)、
    係数k=+1 もしくは −1
    で表され、
    磁石ロータの周速とレールの移動速度の比(減速比)が
    Vt/Vr=(−k・N・T/2)/(π・D)で表されることを特徴とする請求項14に記載の回転―直線運動変換装置。
  16. 前記レールが前記磁石ロータの両側に配置されたことを特徴とする請求項14または15に記載の回転―直線運動変換装置。
  17. 前記磁石ロータの両側に配置された2つの前記レールのティースピッチが等しくTであり、
    それぞれに対向する2つのティース列ピッチをPa、Pb、(Pa>Pb)と置くとき、
    2・Pb < T < 2・Pa
    の関係が成立することを特徴とする請求項16に記載の回転―直線運動変換装置。
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