JP6037853B2 - クラスタ型多段圧延機及びクラスタ型多段圧延機の操作方法 - Google Patents
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Description
クラスタ型多段圧延機では、圧延中に圧延材の板厚制御を行っている場合が多い。例えば、特許文献1に開示された板厚制御方法などが利用される。この制御方法で算出されたギャップ量に基づいて、ワークロール間のキャップを変更するに際しては、圧延材の下側中央に配備されたバックアップロールを上下に移動させるための油圧圧下装置を駆動させる。
圧延材の破断トラブルが発生した場合、非特許文献1の図10のような12段多段圧延機の場合、油圧圧下装置を可及的速やかに作動させ、下側中央に配備されたバックアップロールを下方に下げ、ワークロール間のギャップを大きくし、圧延材がワークロールに噛み込んでいる状況を解除するようにする(圧延材の急速開放を行う)。この圧延材の急速開放により、板破断時の圧延機へのダメージを低減乃至は無くすことができるようになる。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、圧延材の急速開放のワークロール間ギャップを大きくし、また開放速度も速める事により、圧延材の破断時における圧延機へのダメージを可及的に低減でき、且つ板破断片の処理を容易にするクラスタ型多段圧延機及びクラスタ型多段圧延機の操作方法を提供することを目的とする。
本発明に係るクラスタ型多段圧延機は、圧延材を圧延するワークロールと、該ワークロールを支持するバックアップロールとを有するクラスタ型多段圧延機であって、 前記ワークロールを通る上下ライン上に存在するバックアップロールを前記上下ラインに沿ってシフト可能とすると共に、前記上下ライン上に存在するバックアップロールより、圧延方向に沿って上流側及び下流側に配備されたバックアップロールを水平方向にシフト可能とするロールギャップ位置制御機構を有していて、前記圧延材の破断時に、ワークロールを圧延材から離反する方向に移動させるべく、前記上下ライン上に存在するバックアップロールを前記ワークロールから離反するように前記上下ラインに沿ってシフトさせ、且つ圧延方向に沿って最も上流側のバックアップロールと最も下流側のバックアップロールとが水平方向で且つ離反方向にシフトするように前記ロールギャップ位置制御機構を動作させる開放手段と、が設けられていることを特徴とする。
好ましくは、前記ロールギャップ位置制御機構は、長手方向にくさび形状を有し且つバックアップロールの軸心方向に沿って配備されたウエッジ部材と、前記ウエッジ部材の基端側に設けられ、当該ウエッジ部材をバックアップロールの軸心方向に沿って出退させる駆動部と、を有しているとよい。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係るクラスタ型多段圧延機1(以降、単に多段圧延機と呼ぶこともある)を示したもので、12段圧延機となっている。
各ワークロール3は、複数(2つ)の中間ロール4で支持され、中間ロール4は、最外側に位置する複数(3つ)のバックアップロール5で支持されている。言い換えるならば、図1に示すように、中間ロール4及びバックアップロール5は、ワークロール3,3を中心として葡萄の房のように扇状に広がった配置(クラスタ型)とされている。なお、ここでいう最外側は、ワークロール3から最も離れた位置にあるという意味である。
前述した一対のワークロール3,3間を上流側(図1の左側)から下流側(図1の右側)に向けて圧延材2が通過しその厚み方向に圧延される。ワークロール3の入側及び出側のそれぞれに、圧延パスラインに沿って圧延材2を円滑に案内するためのストリップガイド機構8が設けられている。
この図に示すように、バックアップロール5aは、長尺状の第1支持体11に沿った形で第1支持体11に軸支持部6を介して回転自在に支持されている。この第1支持体11の裏面側(バックアップロール5aとは反対側)は、バックアップロール5aの軸心方向に沿った傾斜面12とされている。この傾斜面12と所定間隔をおいて、長尺の平板状に形成され且つミルハウジング7に固定された第2支持体13が配備されている。第1支持体11(第1支持体11の傾斜面12)と第2支持体13との間には、長手方向にくさび形状をしたウエッジ部材14(くさび部材14)が、バックアップロール5aの軸心方向
に沿って出退自在となっている。ウエッジ部材14の両面には摺動抵抗を低下させ高速にウエッジ部材14を移動させるためにスライドニードルベアリング18を配置する。
図4に示すように、本実施形態のロールギャップ位置制御機構10を動作させた場合、一点鎖線で示すように約5秒でギャップ量が4mm増大する(4mm開放される)ようになる。この際、従来から備えられている油圧圧下装置9を単独で作動させるようにすると、破線で示す如く、約0.5秒でギャップ量が1mm増大するようになる。そこで、この
ロールオフセット機構10と油圧圧下装置9とを同時に動作させるようにすると、約5秒で5mmの急速開放が実現できるようになり、圧延材2の破断時における圧延機へのダメージを可及的に低減できるようになる。
図5の例では、ロールギャップ位置制御機構10を動作させた場合、一点鎖線で示すように約5秒でギャップ量が6mm増大する(6mm開放される)ようになる。この際、従来から備えられている油圧圧下装置9を単独で作動させるようにすると、破線で示す如く、約1秒でギャップ量が2mm増大するようになる。そこで、このロールオフセット機構10と油圧圧下装置9とを同時に動作させるようにすると、約5秒で8mmの急速開放が実現できるようになり、圧延材2の破断時における圧延機へのダメージを確実に低減できるようになる。
図6の例に示すように、ロールオフセット機構10を動作させた場合、一点鎖線で示すように約2秒でギャップ量が6mm増大する(6mm開放される)ようになる。油圧圧下装置9の速度は、図5の場合と同じとしていて、破線で示す如く、約1秒でギャップ量が2mm増大する。そこで、このロールオフセット機構10と油圧圧下装置9とを同時に動作させるようにすると、約2秒で8mmの急速開放が実現できるようになり、圧延材2の破断時における圧延機へのダメージを確実に低減できるようになる。
なお、図1では、バックアップロール5a,5bを水平方向で且つ離反方向にシフトさせるロールギャップ位置制御機構10と、下側中央のバックアップロール5cに設けられた油圧圧下装置9とを同時に動作させることを例示したが、ロールギャップ位置制御機構10を圧延材2の上側に位置するバックアップロール5d,5eに設けるようにしてもよい。すなわち、シフトさせるバックアップロールを、圧延材2より下方側のバックアップロール5a〜5cとしてもよく、圧延材2より上方側のバックアップロール5d〜5fとしてもよい。シフトさせるバックアップロールを、圧延材2より下方側のバックアップロール5a〜5cと圧延材2より上方側のバックアップロール5d〜5fとの両方としてもよい。
また、圧延材2よりも下方のバックアップロール5及び圧延材2よりも上方のバックアップロール5の両方(2式)にロールオフセット機構10を設置することで、ギャップ量を4〜16mm 程度開放することができる。 この2式のロールギャップ位置制御機構10に併せて油圧圧下装置9を作動させることで、ギャップ量を5〜18mm程度開放することができる。
5を水平方向で且つ離反方向にシフトさせることによっても、圧延材2の急速開放が確実に行うことができ、圧延材2の破断時における圧延機へのダメージを可及的に低減できるようになる。
[第2実施形態]
図7には、本発明に係るクラスタ型多段圧延機の第2実施形態を示している。
図7に示す第2実施形態のクラスタ型多段圧延機においても、圧延中の圧延材2が破断したりするトラブルが発生した際には、ロールギャップ位置制御機構10を作動させ、速やかに、上側中央のバックアップロール5を上方へ移動させるようにする。すると、中間ロール4が離反するように移動し、この中間ロール4の下部に配置された状態のワークロール3は、上方に(圧延材2から離れるように)移動することが可能になりワークロール間ギャップを広げる事ができる。同時に、下側中央のバックアップロール5の油圧圧下装置9も速やかに駆動させ、下側中央のバックアップロール5を下方に向けて移動させるようにすると、速やかなギャップ開放(2〜4mm程度のギャップ開放)が実現されることとなる。
ところで、第2実施形態の変形例として、下側中央のバックアップロール5cの下方側に、ウエッジ部材14を配備するようにして、上側中央に配備されたバックアップロール5fに、板厚制御を行うためにギャップ量を変更する油圧圧下装置9を設けるようにしても、略同じ動作、略同じ作用効果を奏することになる。
2 圧延材
3 ワークロール
4 中間ロール
5 バックアップロール
6 軸支持部
7 ミルハウジング
8 ストリップガイド装置
9 油圧圧下装置
10 ロールギャップ位置制御機構
11 第1支持体
12 傾斜面
13 第2支持体
14 ウエッジ部材
15 駆動部
16 サーボ弁
17 位置センサ
18 スライドニードルベアリング
Claims (5)
- 圧延材を圧延するワークロールと、該ワークロールを支持するバックアップロールとを有するクラスタ型多段圧延機であって、
前記ワークロールを通る上下ライン上に存在するバックアップロールを前記上下ラインに沿ってシフト可能とすると共に、前記上下ライン上に存在するバックアップロールより、圧延方向に沿って上流側及び下流側に配備されたバックアップロールを水平方向にシフト可能とするロールギャップ位置制御機構を有していて、
前記圧延材の破断時に、ワークロールを圧延材から離反する方向に移動させるべく、前記上下ライン上に存在するバックアップロールを前記ワークロールから離反するように前記上下ラインに沿ってシフトさせ、且つ圧延方向に沿って最も上流側のバックアップロールと最も下流側のバックアップロールとが水平方向で且つ離反方向にシフトするように前記ロールギャップ位置制御機構を動作させる開放手段と、
が設けられていることを特徴とするクラスタ型多段圧延機。 - 前記ロールギャップ位置制御機構を、圧延材より下方側のバックアップロール又は上方側のバックアップロールに配設することを特徴とする請求項1に記載のクラスタ型多段圧延機。
- 前記ロールギャップ位置制御機構は、長手方向にくさび形状を有し且つバックアップロールの軸心方向に沿って配備されたウエッジ部材と、前記ウエッジ部材の基端側に設けられ、当該ウエッジ部材をバックアップロールの軸心方向に沿って出退させる駆動部と、を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のクラスタ型多段圧延機。
- 圧延材を圧延するワークロールと、該ワークロールを支持するバックアップロールとを有するクラスタ型多段圧延機の操作方法であって、
前記ワークロールを通る上下ライン上に存在するバックアップロールを前記上下ラインに沿ってシフト可能に配設すると共に、前記上下ライン上に存在するバックアップロールより、圧延方向に沿って上流側及び下流側に配備されたバックアップロールを水平方向にシフト可能に配設しておき、
前記圧延材の破断時にワークロールを圧延材から離反する方向に移動させるべく、前記上下ライン上に存在するバックアップロールを前記ワークロールから離反するように前記上下ラインに沿ってシフトさせ、且つ圧延方向に沿って最も上流側のバックアップロールと最も下流側のバックアップロールとを水平方向で且つ離反方向にシフトさせることを特徴とするクラスタ型多段圧延機の操作方法。 - 前記シフトさせるバックアップロールを、前記圧延材より下方側のバックアップロール及び/又は上方側のバックアップロールとしていることを特徴とする請求項4に記載のクラスタ型多段圧延機の操作方法。
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