JP6036370B2 - 樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents
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Description
植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体から選ばれる少なくとも1種のポリエステル樹脂と多官能エポキシ化合物とリグニンとの反応生成物を含む樹脂組成物である。
前記多官能エポキシ化合物の含有量が前記ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下であり、前記リグニンの含有量が前記ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下である請求項1に記載の樹脂組成物である。
前記植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体における植物由来ポリオレフィンテレフタレート/イソフタレートの重合比(モル比)が97.5/2.5以上99.7/0.3以下である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物である。
前記多官能エポキシ化合物が、エポキシ化植物油である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物である。
前記リグニンの重量平均分子量が、1000以上5000以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物である。
植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体から選ばれる少なくとも1種のポリエステル樹脂と多官能エポキシ化合物とリグニンとの反応生成物を含む樹脂成形体である。
前記多官能エポキシ化合物の含有量が前記ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下であり、前記リグニンの含有量が前記ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下である請求項6に記載の樹脂成形体である。
前記植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体における植物由来ポリオレフィンテレフタレート/イソフタレートの重合比(モル比)が97.5/2.5以上99.7/0.3以下である請求項6又は請求項7に記載の樹脂成形体である。
前記多官能エポキシ化合物が、エポキシ化植物油である請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂成形体である。
前記リグニンの重量平均分子量が、1000以上5000以下である請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の樹脂成形体である。
請求項2に係る発明によれば、多官能エポキシ化合物の含有量がポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下の範囲外であり、又は、リグニンの含有量がポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下の範囲外である樹脂組成物に比べ、機械的強度を満たしつつ、優れた難燃性を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物となる。
請求項3に係る発明によれば、ポリエステル樹脂として石油由来ポリエステル樹脂を適用した樹脂組成物に比べ、引張強度が向上した樹脂成形体が得られる樹脂組成物となる。
請求項4に係る発明によれば、多官能エポキシ化合物がエポキシ化植物油でない場合に比べ、機械的強度が向上した上、優れた難燃性を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物となる。
請求項5に係る発明によれば、リグニンの重量平均分子量が1000以上5000以下の範囲外である樹脂組成物に比べ、機械的強度を満たしつつ、優れた難燃性を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物となる。
請求項7に係る発明によれば、多官能エポキシ化合物の含有量がポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下の範囲外であり、又は、リグニンの含有量がポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下の範囲外である樹脂成形体に比べ、機械的強度を満たしつつ、優れた難燃性を有する樹脂成形体となる。
請求項8に係る発明によれば、ポリエステル樹脂として石油由来ポリエステル樹脂を適用した樹脂成形体に比べ、引張強度が向上した樹脂成形体となる。
請求項9に係る発明によれば、多官能エポキシ化合物がエポキシ化植物油でない場合に比べ、機械的強度が向上した上、優れた難燃性を有する樹脂成形体となる。
請求項10に係る発明によれば、リグニンの重量平均分子量が1000以上5000以下の範囲外である樹脂成形体に比べ、機械的強度を満たしつつ、優れた難燃性を有する樹脂成形体となる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリエステル樹脂と多官能エポキシ化合物とリグニンとの反応生成物を含む。
一方、ポリエステル樹脂と多官能エポキシ化合物との反応生成物を含む樹脂組成物を用いて樹脂成形体を成形すると、その成形体は、柔軟性が高まるため得られる樹脂成形体の機械的強度が向上する傾向にあるが、その度合いは小さく、実用上充分ではない。
また、多官能エポキシ化合物とリグニンとの反応生成物を含む樹脂組成物を用いて樹脂成形体を成形すると、その成形体は、リグニンの配合量を高くすることで優れた難燃性(例えばUL94規格におけるV−0程度)が付与される一方で、柔軟性が著しく抑制されて機械的強度が低下する傾向にある。
このような構成とすることにより、本実施形態に係る樹脂組成物は、機械的強度を満たしつつ、優れた難燃性を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物となる。
その理由は不明であるが、以下のことが推測される。
そして、上記反応から遅れて、多官能エポキシ化合物の反応残渣であるエポキシ基とリグニンの水酸基とが反応して結合すると考えられる。
つまり、これらが反応した反応生成物は、架橋されたポリエステル樹脂に、リグニンが偏在せずに分散された状態で結合した反応生成物となるため、配合されたリグニンが少量の反応生成物であったとしても、樹脂組成物に含まれた場合に優れた難燃性の樹脂成形体を実現すると考えられる。
加えて、該反応生成物は、上述のようにポリエステル樹脂とリグニンとの両方が多官能エポキシ化合物のエポキシ基に反応し、未反応のエポキシ基が少ない反応生成物となるため、樹脂組成物に含まれた場合に柔軟性が維持されて機械的強度が満たされた樹脂成形体を実現すると考えられる。
ポリエステル樹脂は、脂肪族系ポリエステル樹脂、芳香族系ポリエステル樹脂のいずれであってもよい。
なお、ポリエステル樹脂は、ヒドロキシカルボン酸縮合体、ジオールとカルボン酸との重縮合体等であってもよい。
具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリブチレンナフタレート等、及びこれら2種以上の共重合体等が挙げられる。
なお、植物由来のポリエステル樹脂とは、植物由来の原料を用いたポリエステル樹脂である。但し、原料の一部に石油由来の原料を用いてもよい。
植物由来のポリエステル樹脂は、これらの中でも、リグニンとの相溶性の観点から、ポリ乳酸、及び植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体から選ばれる少なくとも1種であることがより望ましい。
ポリエステル樹脂は、ポリ乳酸、及び植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体から選ばれる少なくとも1種であることにより、樹脂成形体の引張強度が向上した樹脂組成物が得られる傾向にあると考えられる。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により行われる。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー社製、HPLC1100を用い、東ソー製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行われる。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作製した分子量校正曲線を使用して算出される。
多官能エポキシ化合物は、エポキシ基を2以上有する化合物であればよいが、エポキシ基の数が2以上4以下であることがよく、3が望ましい。
エポキシ基の数は、2以上であることにより、ポリエステル樹脂及びリグニンの双方との反応を実現し、柔軟性、難燃性といった効果を奏すると考えられる。
また、エポキシ基の数は、4以下であることにより、未反応のエポキシ基が残存し難くなり、樹脂成形体の柔軟性が実現され易くなる傾向にあると考えられる。
これらの中でも、得られる樹脂成形体の柔軟性を高めて衝撃強度を向上させる観点から、剛直な芳香環を有さず、柔軟性を持つアルキル鎖を有している、脂肪族系のエポキシ化合物がよい。
脂肪族系のエポキシ化合物としては、例えば、エポキシ化植物油、トリエポキシグルコール、アルキレン-1,6-ジエポキシ等が挙げられ、エポキシ化植物油が望ましい。
エポキシ化植物油は、天然に産する植物油をエポキシ化剤で酸化させることによって得られるものであり、具体的には、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化オリーブ油が挙げられ、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油が望ましく、リグニンとの相溶性の観点から、エポキシ化大豆油がより望ましい。
リグニンは、樹木の約25%を占める架橋構造の高分子であって、不規則かつ複雑なポリフェノールの化学構造をしており、ヒドロキシフェニルプロパンを基本単位とした骨格と多くのフェノール性水酸基とを有している。
リグニンは、木材から抽出されるリグニンであれば特に限定されるものではない。
リグニンを抽出する材料としては、リグニンを含んでいれば特に制限はなく、ブナ等の広葉樹、スギ、マツ、ヒノキ等の針葉樹、米穀、麦わら、アカシア、ヤナギ、ポプラ、とうもろこし、竹、ユーカリ、稲ワラ、バガス、サトウキビ、エリアンサス等が挙げられる。
これらの中でも、リグニンを製造する方法としては、分子量(重量平均分子量、数平均分子量)を調整しやすく、製造工程も簡便であることから、水蒸気爆砕法が望ましい。
ここで、水蒸気爆砕法とは、高温高圧の水蒸気による加水分解と圧力とにより、材料となる樹木を破砕し、リグニンを、有機溶媒に溶解させて水のみを使用してセルロース成分、ヘミセルロース成分から分離し取得する方法を言う。
リグニンの重量平均分子量は、1000以上であることにより、上述したヒドロキシフェニルプロパンを基本単位とした骨格、水酸基といったリグニン特有の構成が充分に含まれることとなるため、柔軟性が維持されて機械的強度を満たす樹脂成形体が得られる樹脂組成物を実現すると考えられる。
また、リグニンの重量平均分子量は、5000以下であることにより、燃焼した場合の炭化層が粗くなることを抑制する傾向にあるため、機械的強度を満たしつつ、優れた難燃性を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物を実現すると考えられる。
なお、リグニンの重量平均分子量は、上述したポリエステル樹脂の測定方法と同様にして測定する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、リグニンの含有量が、ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下がよく、2.5質量部以上30質量部以下が望ましく、3質量部以上20質量部以下がより望ましい。
リグニンの含有量は、2質量部以上であることにより、優れた難燃性を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物を実現すると考えられる。
リグニンの含有量は、50質量部以下であることにより、得られる樹脂成形体が堅くて脆いため、目的とする機械特性を実現し難くなると考えられる。また、リグニンの含有量は、50質量部以下であることにより、柔軟性が維持されて機械的強度を満たす樹脂成形体が得られる樹脂組成物を実現すると考えられる。
多官能エポキシ化合物の含有量は、2質量部以上であることにより、ポリエステル樹脂との反応性低下を抑制すると考えられる。また、多官能エポキシ化合物の含有量は、50質量部以下であることにより、柔軟性が顕著になることによる硬度の低下を抑制すると考えられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、その他の添加剤として難燃剤を添加してもよい。
難燃剤としては、難燃剤として公知のものが用いられ、例えば、リン系、シリコーン系、含窒素系、硫酸系、無機水酸化物系等の難燃剤が用いられる。
上記リン系難燃剤としては、縮合リン酸エステル、リン酸メラミン、リン酸アンモニウム、リン酸アルミニウムなどが、上記シリコーン系難燃剤としては、ジメチルシロキサン、ナノシリカ、シリコーン変性ポリカーボネートなどが、上記含窒素系難燃剤としては、メラミン化合物、トリアジン化合物などが、上記硫酸系難燃剤としては、硫酸メラミン、硫酸グアニジンなどが、上記無機水酸化物系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
リン系難燃剤の市販品としては、大八化学製のPX−200、PX−202、CR−741、ブーテンハイム製のTERRAJU C80、クラリアント社製のEXOLIT AP422、EXOLIT OP930等が挙げられる。シリコーン系難燃剤の市販品としては、東レダウシリコーン製のDC4−7081等が挙げられる。含窒素系難燃剤の市販品としては、ADEKA製のFP2200等が挙げられる。硫酸系難燃剤の市販品としては、三和ケミカル製のアピノン901、下関三井化学製のピロリンサンメラミン、ADEKA製のFP2100等が挙げられる。無機水酸化物系難燃剤の市販品としては、堺化学工業製のMGZ3、MGZ300、日本軽金属製B103ST等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記各成分の混合物を溶融混練することにより製造される。
尚、混合や溶融混練の手段としては公知の手段が用いられ、例えば、二軸押出し機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形して得られる。つまり、本実施形態に係る樹脂成形体は、ポリエステル樹脂と多官能エポキシ化合物とリグニンとの反応生成物を含有する。
具体的に本実施形態に係る樹脂成形体は、例えば、本実施形態に係る樹脂組成物を成形機により成形することにより得られる。なお、成形機による成形方法は、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーテイング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などが挙げられる。
この際、シリンダ温度としては、170℃以上240℃以下とすることが望ましく、180℃以上210℃以下とすることがより望ましい。また、金型温度としては、40℃以上110℃以下とすることが望ましい。
−リグニンA−
竹チップを10L耐圧容器に入れ、4MPaの水蒸気を圧入し、5分間保持した。その後バルブを急速に開放し、爆砕処理物を得た。得られた水蒸気爆砕処理物を水で洗浄し、洗浄水のpHが6以上になるまで洗浄を繰り返した。その後真空乾燥して水分を除去し、得られた乾燥物500gにアセトン5000mlを加え、3時間撹拌した。
その後濾過にて繊維状浮遊物を取り除き、得られた濾液のアセトン除去し、リグニンAを得た。
リグニンAの重量平均分子量を既述の方法にて測定した結果、2250だった。
ひのきチップを10L耐圧容器に入れ、3MPaの水蒸気を圧入し、4分間保持した以外はリグニンAと同様にしてリグニンBを得た。
リグニンBの重量平均分子量は1050だった。
スギチップを用いた以外はリグニンAと同様にしてリグニンCを得た。
リグニンCの重量平均分子量は4920だった。
竹チップを10L耐圧容器に入れ、8MPaの水蒸気を圧入し、20分間保持した以外はリグニンAと同様にしてリグニンDを得た。
リグニンDの重量平均分子量は960だった。
竹チップを10L耐圧容器に入れ、2MPaの水蒸気を圧入し、2分間保持した以外はリグニンAと同様にしてリグニンEを得た。
リグニンEの重量平均分子量は5150だった。
(樹脂組成物の作製)
表1に示す組成に従って、ポリエステル樹脂、リグニン、多官能エポキシ化合物及びその他添加剤を、2軸混練装置TEX41SS(東芝機械社製)に添加し、表1に示すシリンダ温度にて混練を実施し、樹脂組成物1〜38を得た。
樹脂組成物1〜38から、射出成形機(日精樹脂工業製、NEX150)を用いて、ISO多目的ダンベル試験片(試験部長さ100mm、幅10mm、厚み4mm)と、UL試験片(試験部長さ125mm、幅13mm、厚み0.5mm、1.6mm)と、を作製した。射出成形機の条件は、シリンダ温度250℃、金型温度40℃とした。
化合物11:植物由来ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体(BCB80、ブラスケム社製)、重合比(ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート)=98.5/1.5
化合物12:ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体(TRN−8580FC、帝人化成社製)、重合比(ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート)=98/2
化合物13:ポリ乳酸(テラマックTE2000、ユニチカ(株)製)
化合物14:ポリエチレンナフタレート(TN8065S、帝人(株)製)
化合物21:リグニンA、重量平均分子量2250
化合物22:リグニンB、重量平均分子量1050
化合物23:リグニンC、重量平均分子量4920
化合物24:リグニンD、重量平均分子量960
化合物25:リグニンE、重量平均分子量5150
化合物31:エポキシ化大豆油(W100−EL、DIC社製)、エポキシ基数3
化合物32:エポキシ樹脂(エピコート828、ジャパンエポキシレジン社製)、エポキシ基数2
化合物33:エポキシ化亜麻仁油(商品名VIKOFLEX9000、アルケマ社製)、エポキシ基数3
化合物41:縮合リン酸エステル(CR−741、大八化学工業(株)製)
化合物42:水酸化アルミニウム(ハイジライトH−310、昭和電工(株)製)
得られた試験片について、以下の項目で評価した。結果は表2に示す。
−シャルピー衝撃強度−
上記で作製したISO多目的ダンベル試験片をノッチ加工し、ISO179−1に従って耐衝撃試験装置(東洋精機社製、DG−5)によりノッチ付シャルピー衝撃強度(kJ/m2)を評価した。なお、シャルピー衝撃強度は、測定値が大きい程、強度が高い。
上記で作製したISO多目的ダンベル試験片を用い、ISO527−1に従って引張試験を実施し、引張破断歪(%)を測定した。なお、耐引張強度は測定値が大きい程、高い。
上記で作製したUL試験片(厚み0.8mm、1.6mm)を用い、UL−94の方法でUL−Vテストを実施して難燃性を評価した。
評価基準は、難燃性が高い方から順にV−0、V−1、V−2であり、V−2より劣る場合、即ち試験片が延焼してしまった場合をV−notと示した。
多官能エポキシ化合物の含有量がポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下である実施例5〜7は、類似の組成で多官能エポキシ化合物の含有量が上記範囲外である実施例12、13に比べ、機械的強度を低下させることなく、優れた難燃性を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物となっている。
リグニンの含有量がポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下である実施例7〜9、28、29は、類似の組成でリグニンの含有量が上記範囲外である実施例10、11、に比べ、機械的強度を低下させることなく、優れた難燃性を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物となっている。
ポリエステル樹脂として、植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体を用いた実施例7及びポリ乳酸を用いた実施例21は、ポリエステル樹脂を1種類使用する類似の組成で、ポリエステル樹脂として石油由来のポリエステル樹脂であるポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体を用いた実施例20及びポリエチレンナフタレートを用いた実施例22に比べて、引張破断歪が大きい樹脂成形体が得られる樹脂組成物となっている。
多官能エポキシ化合物として、エポキシ化大豆油を用いた実施例7及びエポキシ化亜麻仁油を用いた実施例31は、エポキシ樹脂を用いた実施例27に比べ、機械的強度(シャルピー衝撃強度及び引張破断歪)が向上した上、難燃性にも優れた樹脂成形体が得られる樹脂組成物となっている。
リグニンの重量平均分子量が1000以上5000以下である実施例7、23及び24は、リグニンの重量平均分子量が上記範囲外である実施例25、26に比べ、機械的強度を低下させることなく、優れた難燃性を有する樹脂成形体が得られる樹脂組成物となっている。
Claims (10)
- 植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体から選ばれる少なくとも1種のポリエステル樹脂と多官能エポキシ化合物とリグニンとの反応生成物を含む樹脂組成物。
- 前記多官能エポキシ化合物の含有量が前記ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下であり、前記リグニンの含有量が前記ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体における植物由来ポリオレフィンテレフタレート/イソフタレートの重合比(モル比)が97.5/2.5以上99.7/0.3以下である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記多官能エポキシ化合物が、エポキシ化植物油である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記リグニンの重量平均分子量が、1000以上5000以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体から選ばれる少なくとも1種のポリエステル樹脂と多官能エポキシ化合物とリグニンとの反応生成物を含む樹脂成形体。
- 前記多官能エポキシ化合物の含有量が前記ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下であり、前記リグニンの含有量が前記ポリエステル樹脂100質量部に対して2質量部以上50質量部以下である請求項6に記載の樹脂成形体。
- 前記植物由来ポリオレフィンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体における植物由来ポリオレフィンテレフタレート/イソフタレートの重合比(モル比)が97.5/2.5以上99.7/0.3以下である請求項6又は請求項7に記載の樹脂成形体。
- 前記多官能エポキシ化合物が、エポキシ化植物油である請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
- 前記リグニンの重量平均分子量が、1000以上5000以下である請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
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