JP6036291B2 - 表示装置、表示システム、および、表示装置の制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、手軽に利用することが可能な装置により、ユーザーの視機能に対してより効果的な刺激を与えられるようにすることを目的とする。
本発明によれば、頭部装着型の表示装置により装着者に画像を視認させることにより、装着者の注視点の遠近方向への移動を促すので、設置場所の確保が容易で手軽に利用可能な表示装置を利用して、装着者の視機能に効果的な刺激を与えて、視機能の改善や疲労回復を図ることができる。また、表示する画像を変更することも容易であるため、装着者を飽きさせず、より効果的な刺激を与えることができる。
本発明によれば、装着者が表示画像と外景とを重ねて視認することが可能であり、外景の視認性を調整可能であるため、装着者は外景を見ながら視機能の改善や疲労回復を図ることができる。装着者が外景を視認できることから装着者の心理的抵抗をより一層低減することができ、より手軽に本発明の装置を利用することができる。さらに、外景の見え方を利用することで装着者に不自然な印象を与えることなく視機能に刺激を与えることができる。
本発明によれば、装着者の左右の輻輳角を所定の輻輳角に導くことにより、装着者の輻輳角調整機能に刺激を与えることができ、視機能の改善や疲労回復を図ることができる。
本発明によれば、装着者の左右の輻輳角の変化を促すことにより、装着者の輻輳角調整機能に対し、より効果的に刺激を与えることができ、視機能の改善や疲労回復を図ることができる。
本発明によれば、立体画像と平面画像とを視認させることにより、多彩な表示を行うことが可能となり、より効果的に刺激を与えることができる。
本発明によれば、注視対象の表示要素の変化により、装着者の視機能に対し様々な刺激を与えることができる。
本発明によれば、装着者の視線方向を記憶することにより、装着者に対する効果に関する情報を記憶し、解析することができる。これにより、例えば継続して装置を使用する場合に装着者の視線方向の記録に基づいて画像の内容を変更する等、より効果的に刺激を与えることができる。
本発明によれば、頭部装着型の表示装置により装着者に画像を視認させることにより、装着者の注視点の遠近方向への移動を促すので、設置場所の確保が容易で手軽に利用可能な表示装置を利用して、装着者の視機能に効果的な刺激を与えて、視機能の改善や疲労回復を図ることができる。また、表示する画像を変更することも容易であるため、装着者を飽きさせず、より効果的な刺激を与えることができる。
本発明によれば、装着者が表示画像と外景とを重ねて視認することが可能であり、この外景の視認性が調整されているために注視点の移動が促されるので、装着者は外景を見ながら視機能の改善や疲労回復を図ることができる。装着者が外景を視認できることから装着者の心理的抵抗をより一層低減することができ、より手軽に本発明の装置を利用することができる。さらに、外景の見え方を利用することで装着者に不自然な印象を与えることなく視機能に刺激を与えることができる。さらにまた、装着者の視線方向を記憶することにより、装着者に対する実際の効果に近い情報を得ることができる。これにより、例えば継続して装置を使用する場合に装着者の視線方向の記録に基づいて画像の内容を変更する等、より効果的に刺激を与えることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る頭部装着型表示装置の外観図である。
頭部装着型表示装置HMは、ユーザー(装着者)の頭部に装着される頭部装着型表示装置であり、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)と呼ばれる。本実施形態の頭部装着型表示装置HMは、ユーザーが、虚像を視認すると同時に外景も直接視認可能な光学透過型の頭部装着型表示装置である。
右光学像表示部26および左光学像表示部28は、それぞれユーザーの右眼および左眼の眼前に位置し、ユーザーの眉間に対応する位置で相互に接続されて一体となっている。右光学像表示部26の端部ERからは右保持部21が延伸し、左光学像表示部28の端部ELからは左保持部23が延伸している。
右保持部21の基端部には右表示駆動部22が内蔵され、左保持部23の基端部には左表示駆動部24が内蔵される。これら右表示駆動部22および左表示駆動部24により、頭部装着型表示装置HMはユーザーの右眼と左眼の各々に画像を視認させる。
また、頭部装着型表示装置HMの前面において右光学像表示部26と左光学像表示部28の境目部分には、カメラ61が配置されている。カメラ61の位置は頭部装着型表示装置HMの前面のほぼ中央であり、ユーザーの左右の眼の中間位置となっている。
カメラ61は、静止画像の間欠撮影または動画像を撮影して撮影画像データを出力する。なお、本実施形態においてカメラ61は、1つのデジタルカメラとして例示するが、複数のデジタルカメラからなるステレオビデオカメラを採用してもよい。
画像表示部20の左表示駆動部24は、LED等の光源と拡散板とを有する左バックライト222、左バックライト222の拡散板から発せられる光の光路上に配置される透過型の左LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)242、および、左LCD242を透過した画像光Lを導くレンズ群等を備えた左投写光学系252を備えている。
左投写光学系252は、左LCD242から射出された画像光Lを並行状態の光束にするコリメートレンズによって構成される。左投写光学系252を経た画像光Lは左導光板262に入射する。左導光板262は画像光Lを反射する複数の反射面が形成されたプリズムであり、画像光Lは左導光板262の内部において複数回の反射を経て左眼LE側に導かれる。そして、左眼LEの眼前に位置する面262Aで反射した画像光Lは左眼LEに向けて右光学像表示部26から射出され、この画像光Lが左眼LEの網膜に像を結び、ユーザーに画像を視認させる。
なお、左投写光学系252と左導光板262とを総称して「導光部」とも呼ぶ。この導光部は、画像光を用いてユーザーの眼前に虚像を形成する限りにおいて任意の方式を用いることができ、例えば、回折格子を用いても良いし、半透過反射膜を用いても良い。
このため、頭部装着型表示装置HMは、画像光Lの光量を変化させることにより、外景の視認性を変化させることができる。画像光Lの光量を変化させる方法としては、例えば、光源である右バックライト221および左バックライト222が発する光量を変化させる方法と、右LCD241および左LCD242における光の透過性を変化させる方法とがあり、どちらの方法を採用してもよいし、いずれか一方のみであってもよい。
右LCD241および左LCD242における光の透過性は、右LCD241および左LCD242の各画素の表示色の明度により決定される。従って、右LCD241および左LCD242に表示する画像の色調(明暗)を全体的に変化させることにより、各画素における光透過性を調整できる。この調整は、画像の色調を変化させる画像処理技術により実現可能である。
画像表示部20と制御装置10とは、接続部40を介して各種信号の伝送を行う。右コード42、左コード44、および本体コード48には、例えば、金属ケーブルや、光ファイバーを採用することができる。
点灯部12は、LED等からなるインジケーターを備え、頭部装着型表示装置HMの動作状態(例えば、電源のON/OFF等)を、その発光状態によって通知する。タッチパッド14は、ユーザーの指による接触操作を検出して、検出内容に応じた信号を出力する。十字キー16は、上下左右方向に対応するキーであり、押下操作に応じた信号を出力する。電源スイッチ18は、頭部装着型表示装置HMの電源状態を切り替えるスイッチである。
制御装置10は、入力情報取得部110と、記憶部120と、電源130と、制御部140と、通信インターフェイス185と、送信部(Tx)51、52と、を備える。前述の各部はバス(図示省略)により相互に接続されている。
表示制御部190は、右表示駆動部22および左表示駆動部24を制御する制御信号を生成する。具体的には、表示制御部190は、制御信号により、右LCD制御部211による右LCD241の駆動ON/OFFや、右バックライト制御部201による右バックライト221の駆動ON/OFF、左LCD制御部212による左LCD242の駆動ON/OFFや、左バックライト制御部202による左バックライト222の駆動ON/OFF、などを個別に制御することにより、右表示駆動部22および左表示駆動部24のそれぞれによる画像光の生成および射出を制御する。例えば、表示制御部190は、右表示駆動部22および左表示駆動部24の両方に画像光を生成させたり、一方のみに画像光を生成させたり、両方共に画像光を生成させなかったりする。
表示制御部190は、右LCD制御部211と左LCD制御部212とに対する制御信号を、送信部51および52を介してそれぞれ送信する。また、表示制御部190は、右バックライト制御部201と左バックライト制御部202とに対する制御信号を、それぞれ送信する。
インターフェイス180は、制御装置10に対して、コンテンツの供給元となる種々の外部機器OAを接続するためのインターフェイスである。インターフェイス180は、頭部装着型表示装置HMの外部の機器OAに有線接続される各種コネクターおよびインターフェイス回路、および/又は、外部の機器OAと無線信号を送受信する無線通信部およびインターフェイス回路を備えている。インターフェイス180は、例えば、USB規格に準拠したインターフェイス、メモリーカード用インターフェイス、無線LANやBluetooth(登録商標)規格に準拠した無線通信インターフェイス、その他の近距離無線通信インターフェイス等を備えることができる。機器ОAとしては、例えば、パーソナルコンピューターPCや携帯電話端末、ゲーム端末等がある。また、インターフェイス180にアナログ信号を入力するコネクター等を設けてもよい。
右表示駆動部22は、受信部(Rx)53と、右バックライト(BL)制御部201および右バックライト(BL)221と、表示素子として機能する右LCD制御部211および右LCD241と、右投写光学系251とを備える。
受信部53は、送信部51から入力される信号を受信する。右バックライト制御部201は、受信部53に入力された制御信号に基づいて、右バックライト221を駆動する。右LCD制御部211は、受信部53に入力されたクロック信号と、垂直同期信号と、水平同期信号と、右眼用の画像データとに基づいて、右LCD241を駆動する。右LCD241は、複数の画素をマトリクス状に配置した透過型液晶パネルであり、右LCD制御部211により駆動されて各種画像を描画する。
なお、右バックライト制御部201、右LCD制御部211、右バックライト221、および右LCD241を総称して右側の「画像光生成部」と呼び、左バックライト制御部202、左LCD制御部212、左バックライト222、および左LCD242を総称して、左側の「画像光生成部」と呼ぶ。また、右保持部21および左保持部23を総称して単に「保持部」と、右表示駆動部22および左表示駆動部24を総称して単に「表示駆動部」と、右光学像表示部26および左光学像表示部28を総称して単に「光学像表示部」とも呼ぶ。
そして、これら表示駆動部と、画像光生成部とによって本発明の表示手段が構成される。表示手段には、光学像表示部を含んでもよいし、導光部を含んでもよい。
以下の説明では、頭部装着型表示装置HMによりユーザーが視認する虚像を「画像」と呼ぶ。この画像は、右LCD241、左LCD242に形成される画像がユーザーの網膜に結像して認識されるものである。また、頭部装着型表示装置HMがユーザーに虚像を視認させることを「表示」と呼ぶ。
制御部140は、訓練画像表示制御部191を備えている。訓練画像表示制御部191は、記憶部120に記憶された訓練画像データ123を取得して、表示制御部190に出力することにより、右LCD241および左LCD242によって視機能刺激画像を表示させる。視機能刺激画像としては、後述するように、静止画像および動画像があり、視差を有する左眼用の画像(左画像)と右眼用の画像(右画像)との組み合わせからなる立体画像を表示できる。訓練画像表示制御部191は、ユーザーに視認させる画像を選択し、画像を適宜切り替えて右LCD241および左LCD242によって表示させる。
視線検出部189は、頭部装着型表示装置HMを装着したユーザーの視線方向を検出するためのハードウェアであり、例えば、ユーザーの眼に赤外線を照射して眼球を赤外線により撮影する赤外線カメラ、或いは、眼球運動に関連する角膜−網膜電位等の電気的測定を行う測定器が挙げられる。視線検出部189は、画像表示部20の内側、すなわち右眼RE、左眼LE側に設けられ、右眼REと左眼LEの各々について、視線方向を検出するための撮影または測定を実行する。視線方向検出部192は、視線検出部189を用いて、ユーザーの視線方向を検出する。具体的には、視線検出部189が赤外線カメラで構成される場合、視線方向検出部192は、視線検出部189の撮影画像データを解析して瞳孔と角膜反射とを検出することにより、視線方向を算出する。また、視線検出部189が角膜−網膜電位等の電気的測定を行う測定器で構成される場合、視線方向検出部192は、測定値から視線移動以外の成分を除く処理等を行って、視線方向を算出する。
なお、画像表示部20に、視線検出部189を構成する赤外線カメラまたは測定器を、右眼REと左眼LEのいずれか一方側に対応する位置にのみ設けてもよく、この場合、視線方向検出部192は、右眼REと左眼LEのいずれか一眼の視線方向を算出する。また、視線方向検出部192は、ユーザーの右眼REと左眼LEの各々の視線方向を算出して、これら各眼の視線方向を出力してもよいし、右眼REと左眼LEについて算出した視線方向に基づき、例えば各眼の視線方向の中間方向を求める等の処理を行って、両眼の視線方向として一つの視線方向を求め、出力してもよい。本実施形態では、視線方向検出部192が右眼REと左眼LEの各々の視線方向を出力する場合について説明する。
訓練画像表示制御部191は、記憶部120に記憶された訓練設定データ125に基づいて、訓練画像データ123により表示可能な画像の中から、表示させる画像を選択する。訓練設定データ125は、頭部装着型表示装置HMがユーザーに対し提供可能な訓練の種類と、訓練のレベルと、各訓練で表示する画像とを対応づけたデータである。この訓練設定データ125に基づき、訓練画像表示制御部191は、実行する訓練の種類およびレベルに対応した画像を選択できる。ここで、訓練のレベルとは、刺激の強度または難易度に相当する指標であり、画像の変化に対し、ユーザーの視機能が追従しやすいかどうかを表す。
そして、訓練画像表示制御部191は、実行した訓練の内容(訓練の種類、訓練のレベル、表示させた画像等)に関する情報と視線追従成績とを対応づけて、訓練履歴データ129として記憶部120に記憶させる。すなわち、訓練履歴データ129は、ユーザーが頭部装着型表示装置HMにより過去に受けた訓練の内容と、その際の視線追従成績とを示すデータである。訓練履歴データ129は、複数のユーザーに対応して、ユーザー毎に実行した訓練に関する情報と視線追従成績とを含んでいてもよい。
図4および図5は、頭部装着型表示装置HMを用いた訓練の例を示す説明図であり、図4(A)および図5(A)はユーザーの視線方向を示す模式図であり、図4(B)〜(D)および図5(B)〜(C)は視覚訓練用の画像、すなわち視機能刺激画像の例を示す。なお、図5(B)および(C)には画像の上下方向の中心と左右方向の中心とを示す補助線(一点鎖線)を付しているが、この補助線は実際の画像に含まれない。
ユーザーに対して表示する画像は、例えば図4(B)〜(D)に示す画像351のように、ランドルト環を用いてもよい。また、他の図形、記号、文字、写真等を用いることも可能である。画像351を表示した場合、ユーザーの視線方向R1、L1はランドルト環を注視する方向となる。訓練画像表示制御部191は、視線方向検出部192が検出した視線方向に基づき、視線方向R1、L1が同じ方向を向いているか否か、すなわちユーザーが無限遠のランドルト環を注視しているか否かを判定し、視線追従成績として記憶させる。
画像354に矢印で示すように、ランドルト環が周回移動する場合、ユーザーの眼球は、ランドルト環の移動に伴って回転する。画像354の内容により、ユーザーの眼の運動について、速度や方向を変化させることができる。画像354で、ランドルト環の移動形態は回転に限定されず、上下、左右、斜め方向の往復移動やランダムな移動など、様々な移動態様とすることができる。また、ランドルト環の移動の速度を適宜変更することも可能である。ユーザーは、画像354のランドルト環を眼で追うことで、眼球をゆっくり動かしたり、速く動かしたり、周回するように或いは一方向に往復するように動かしたりする。これにより、ユーザーの外眼筋(上斜筋、上直筋、下斜筋、下直筋、内直筋、外直筋)に緊張と弛緩の刺激を与えることにより、眼球運動機能の向上や、眼筋のストレッチ効果による疲労の回復を図ることができる。
また、図5(C)に示す画像356は、右眼RE用の画像356A(右画像)と左眼LE用の画像356B(左画像)とにより構成され、左右の画像356A、356Bの間の視差は、画像355A、355B間の視差より大きい。これらの画像355、356を表示した場合、ユーザーには注視対象のランドルト環が近接側の位置C2にあるように見え、視線方向R1、L1が近位置側に誘導される。また、画像の視差が大きいほど、より近い側に視線方向R1、L1が誘導される。
画像355を注視する場合のユーザーの左眼LEの輻輳角をθ1、右眼REの輻輳角をθ3で示す。また、画像356を注視する場合のユーザーの左眼LEの輻輳角をθ2、右眼REの輻輳角をθ4で示す。画像355と画像356とを切り替えて表示する場合、注視点が遠近方向に変化し、左眼LEの輻輳角はθ1からθ2に変化し、右眼REの輻輳角はθ3からθ4に変化する。このように、表示する視機能刺激画像を変化させることで、視機能刺激画像を注視するユーザーの眼の輻輳角を変化させることができ、視機能に刺激を与えることができる。また、輻輳角は注視対象の位置によっても変化する。例えば、左右の画像の視差を変化させずに、注視対象のランドルト環の表示位置を左側に移動させれば、左眼LEの輻輳角は小さくなり、右眼REの輻輳角は大きくなる。このため、視差を変化させる場合の輻輳角の変化(例えば、θ1からθ2、θ3からθ4への変化)と組み合わせることで、輻輳角を様々な態様で変化させることができ、変化の大きさも任意に調整できる。従って、ユーザーの視機能に効果的に刺激を与えることができる。
このように、訓練画像表示制御部191は、立体画像を表示することにより、ユーザーの視線を遠近方向に誘導する訓練を行うことができる。また、注視点を移動させる位置を、近位置と遠位置との間で段階的に変化させることもでき、所定の範囲で往復するように注視点を移動させれば、より高い効果が期待できる。
この訓練では、表示する立体画像を切り替えて、ユーザーの注視点を誘導する注視対象の大きさを段階的に変化させて、難易度を調整することもできる。さらに、ユーザーの視線を移動させる範囲の大きさ、すなわち近位置と遠位置との間の距離を変えることで、レベルを変えてもよい。言い換えれば、表示する画像の視差の大きさによりレベルを変えてもよい。また、ユーザーの視線を移動させる速度により、レベルを変えてもよい。
図6は、外景の視認性を調整する動作の説明図であり、(A)は外景の視認性を高める例を示し、(B)は外景の視認性を低くした例を示す。図中の符号VAは、頭部装着型表示装置HMを装着したユーザーの視野(視界)を示し、DAは画像表示部20による表示可能領域を示す。表示可能領域DAは、画像光Lにより画像が視認される範囲を指し、右LCD241および左LCD242の表示可能範囲、右バックライト221および左バックライト222のサイズ、右投写光学系251、左投写光学系252、右導光板261、および左導光板262の光学特性等により決定される。本実施形態では視野VAのほぼ中央に矩形の表示可能領域DAが存在する。頭部装着型表示装置HMは、表示可能領域DAの中において画像を表示できる。
そこで、表示可能領域DAに表示される画像の視認性を一定に保持するため、訓練画像表示制御部191は、表示する画像の視差に応じて画像調整部193を制御し、画像光Lを増減させる。具体的には、近位置側の視差を有する画像を表示する場合、訓練画像表示制御部191は、画像調整部193により画像光Lを低下させて、図6(A)に示すように外景の視認性を高める。この図6(A)の例では、表示可能領域DAの全体における画像光Lを低下させ、ランドルト環の他に外景が見える。また、遠位置側の視差を有する画像を表示する場合、訓練画像表示制御部191は、画像調整部193により画像光Lを高めさせて、図6(B)に示すように外景の視認性を低下させる。また、訓練画像表示制御部191は、表示する画像の視差の大きさに応じて、画像光Lの調整量を変化させてもよい。
また、訓練画像表示制御部191は、上述した各訓練の実行中に、視線方向検出部192の機能によりユーザーの瞬きを検出し、瞬きの頻度が所定の水準より低下した場合に、注意を促す音声の出力やメッセージの表示を行ってもよい。
図7(A)〜(D)に示す画像361〜364は、注視対象としてランドルト環を有する画像であり、ランドルト環が視認されるサイズが異なっている。画像361〜364のうち、どの画像を明瞭に視認できたかによって、ユーザーの視機能を簡易的に測定できる。明瞭に視認できたか否かの判定は、ユーザーの入力操作に基づいて行う。例えば図7(E)に示すように、制御装置10が備える十字キー16に、図中矢印で示すように上下左右の入力を割り当てる。この場合、訓練画像表示制御部191は、十字キー16の画像を表示して入力方法を案内してもよい。訓練画像表示制御部191は、画像361〜361を表示する際に、十字キー16の操作により入力された方向を検出し、入力された方向と表示中のランドルト環の開口方向とが一致するか否かを判定する。一致した場合には、ユーザーが明瞭に画像を視認していると判定し、ランドルト環がより小さく視認される画像に切り替えて表示する。
図8(A)に例示するように、訓練設定データ125には、頭部装着型表示装置HMが実行する訓練の種別と、各訓練におけるレベルと、各レベルで表示する画像とが対応づけられている。例えば、ユーザーの視線を上下左右に誘導する種別Cの訓練のレベルは1〜5の5段階であり、レベル1では、注視対象を5秒間で表示可能領域DA内を1周させる動画像が表示され、レベル2では注視対象を3秒間で1周させる動画像が表示されるよう設定されている。また、無限遠視をさせる種別Aの訓練、および、注視点を遠近方向に誘導する訓練についてはレベル毎のランドルト環の大きさが設定されている。
頭部装着型表示装置HMの電源がオンの状態で、制御装置10のタッチパッド14や十字キー16に対する操作により、訓練開始が指示されると(ステップS11)、訓練画像表示制御部191は、訓練履歴データ129および訓練設定データ125を参照して、今回の訓練で実行する内容を決定する(ステップS12)。
訓練画像表示制御部191は、記憶部120から訓練画像データ123を読み出し、ステップS12で決定した内容に対応する画像のデータを取得し(ステップS13)、表示制御部190により表示を開始させる(ステップS14)。また、視線方向検出部192は、訓練画像表示制御部191の制御による表示開始に合わせて、ユーザーの視線方向の検出を開始し、訓練画像表示制御部191は視線方向検出部192が検出した結果の記録を開始する(ステップS15)。
続いて、訓練画像表示制御部191は、ステップS14〜S16で実行した訓練の結果により、次回から実行する訓練のレベルを変更する必要があるか否かを判定する(ステップS18)。すなわち、レベルを変更する条件が達成されたか否かを判定する。図8(B)の例では、各種別の訓練について、一つのレベルで2日間連続して視線追従成績が○であった場合には、難易度が一段階高いレベルに移行する。このように、訓練画像表示制御部191は、過去に実行していた訓練のレベルおよび視線追従成績を加味して、レベル変更の有無を判定する。判定基準やレベル変更の規則に関する情報は、訓練設定データ125に含まれている。
また、訓練画像表示制御部191は、視機能刺激画像として、視差を有する左画像と右画像とにより構成される立体画像と、同一の左画像と右画像とにより構成される平面画像とを表示させることができ、多彩な表示を行って、より効果的に刺激を与えることができる。
また、訓練画像表示制御部191は、ランドルト環等の注視対象の表示要素が時間の経過とともに移動する画像を表示可能であるため、装着者の視機能に対し様々な刺激を与えることができる。
また、装着者の視線方向を検出する視線方向検出部192と、視機能刺激画像を表示した際に検出された装着者の視線方向を訓練履歴データ129として記憶する記憶部120とを備えるので、装着者に対する効果に関する情報を得て、解析できる。これにより、例えば継続して装置を使用する場合に装着者の視線方向の記録に基づいて画像の内容を変更する等、より効果的に刺激を与えることができる。
上記実施形態の頭部装着型表示装置HMは、左右のバックライト221、222と、左右のバックライト制御部201、202と、左右のLCD241、242と、左右のLCD制御部211、212とを備える画像光生成部を用い、画像光生成部が生成した光を右導光板261及び左導光板262によりユーザーの眼に導く構成とした。
これに対し、MEMSミラーを用いた走査光学系を採用してもよい。すなわち、画像表示素子として、信号光形成部と、信号光形成部が射出する光を走査するMEMSミラーを有する走査光学系と、走査光学系により走査される光によって虚像が形成される光学部材とを備えてもよい。この構成では、信号光形成部が射出した光がMEMSミラーにより反射され、光学部材に入射し、光学部材の中を導かれて、虚像形成面に達する。MEMSミラーが光を走査することにより、虚像形成面に虚像が形成され、この虚像をユーザーが眼で捉えることで、画像が認識される。この場合の光学部品は、例えば上記実施形態の右導光板261及び左導光板262のように、複数回の反射を経て光を導くものであってもよく、虚像形成面は、面262Aのようにハーフミラー面となっていてもよい。
Claims (14)
- 頭部装着型の表示装置であって、
画像光を出力して画像を視認させ、装着者の左目に視認される画像と右目に視認される画像とを独立して表示可能な表示手段と、
前記表示手段によって、前記装着者の左目に視認される左画像と右目に視認される右画像とを有する視機能刺激画像を表示させることにより、前記装着者の注視点を遠近方向に移動させる訓練を実行する表示制御手段と、を備え、
前記視機能刺激画像は、前記左画像と前記右画像とを異なる画像とすることにより、装着者の注視点の遠近方向への移動を促す画像であり、
前記表示制御手段は、前記視機能刺激画像により誘導される前記注視点までの距離を表示すること、
を特徴とする表示装置。 - 請求項1記載の表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記視機能刺激画像を表示する前、または表示中に、前記訓練の内容や目的を案内する表示を行うこと、を特徴とする表示装置。 - 請求項1または2記載の表示装置であって、
前記装着者に対して実行した訓練の内容に関する情報を含む履歴データを記憶する記憶部を備え、
前記表示制御手段は、前記記憶部に記憶された前記履歴データに基づいて、実行する訓練の内容を決定すること、を特徴とする表示装置。 - 請求項3記載の表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記訓練を実行した後に、次回に実行する訓練の内容を決定し、決定した内容を含むように前記履歴データを更新すること、を特徴とする表示装置。 - 請求項3または4記載の表示装置であって、
前記装着者の視線方向を検出する視線検出手段と、
前記表示手段により前記視機能刺激画像を表示した際に前記視線検出手段により検出された前記装着者の視線方向に基づいて前記装着者の成績を判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段により判定された成績を含む前記履歴データを前記記憶部に記憶すること、を特徴とする表示装置。 - 請求項5記載の表示装置であって、
前記履歴データは、複数の前記装着者について、前記装着者毎に、前記訓練の内容を示す情報と前記成績とを含むデータであること、を特徴とする表示装置。 - 請求項5または6記載の表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記視線検出手段により検出される視線方向に基づき注視点までの距離を推定し、推定した距離と、前記表示手段により表示中の前記視機能刺激画像が視認される場合の標準的な距離との差を表示すること、を特徴とする表示装置。 - 請求項1から7のいずれか一項記載の表示装置であって、
前記表示手段は、外景と前記画像を重ねて視認させるシースルー型の表示手段であり、前記外景の視認性を調整可能であることを特徴とする表示装置。 - 請求項1から8のいずれか一項記載の表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記装着者の左目と右目の輻輳角を所定の輻輳角とする前記視機能刺激画像を、前記表示手段によって表示させることを特徴とする表示装置。 - 請求項9記載の表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記装着者の左目と右目の輻輳角を経時的に変化させる前記視機能刺激画像を、前記表示手段によって表示させることを特徴とする表示装置。 - 請求項1から10のいずれか一項記載の表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記視機能刺激画像として、視差を有する前記左画像と前記右画像とにより構成される立体画像と、同一の前記左画像と前記右画像とにより構成される平面画像とを前記表示手段により表示させることを特徴とする表示装置。 - 請求項1から11のいずれか一項記載の表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記視機能刺激画像として、注視対象の表示要素が時間の経過とともに移動する画像を表示可能であることを特徴とする表示装置。 - 頭部装着型の表示装置と、前記表示装置に画像を供給する画像供給装置とを有する表示システムであって、
前記表示装置は、
画像光を出力して画像を視認させる表示手段と、
前記画像供給装置から供給される、装着者の注視点の遠近方向への移動を促す視機能刺激画像を前記表示手段により表示させることにより、前記装着者の注視点を遠近方向に移動させる訓練を実行する表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記視機能刺激画像により誘導される前記注視点までの距離を表示することを特徴とする表示システム。 - 頭部装着型の表示装置の制御方法であって、
装着者の左目に視認される画像と右目に視認される画像とを独立して表示可能な表示手段により、
前記装着者の左目に視認される左画像と右目に視認される右画像とを有し、前記左画像と前記右画像とを異なる画像とすることにより、装着者の注視点の遠近方向への移動を促す視機能刺激画像を表示させて、前記装着者の注視点を遠近方向に移動させる訓練を実行し、
前記視機能刺激画像により誘導される前記注視点までの距離を表示し、
前記表示手段により前記視機能刺激画像を表示した際に前記装着者の視線方向を検出し、
検出した前記装着者の視線方向を記憶すること、
を特徴とする表示装置の制御方法。
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