以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、本実施形態にかかる内燃機関10の構成について、図1〜図8を参照しながら説明する。なお、本実施形態の内燃機関10は自動車の内燃機関であるが、これは一例であり、本発明は、建設機械、鉄道車両、モーターボート、可搬式発電機、農林業機械などの内燃機関にも適用される。
本実施形態にかかる内燃機関10は、図1に示したように、シリンダ20とそのシリンダ20内を移動するピストン30とによって形成される燃焼室40と、燃焼室40に連通するとともに相互に連通する主換気通路110及び2つの副換気通路140と、主換気通路110に連通する吸気通路120及び排気通路130と、が形成されたシリンダヘッド100と、主換気通路110を開閉することにより燃焼室40への給排気と燃焼室40の密閉を切り替える主弁200と、主弁200に沿って移動した位置に応じて主換気通路110と吸気通路120又は排気通路130との連通を切り替える切り替え弁300と、2つの副換気通路140の各々に設けられ、副換気通路140を開閉することにより、燃焼室40への吸気量を変更する副弁400と、を備えて構成される。各副弁400の吸気方向は、燃焼室40に所定の渦流を発生するように、燃焼室40の中心方向から所定の渦流K方向にずれている。なお、本実施形態では、副換気通路140及び副弁400は2つであるが、3つ以上でもよい。
以下、本実施形態にかかる内燃機関10の各構成要素について、図2及び図3を参照しながら説明する。
シリンダ20には、図2に示したように、ピストン30が嵌め合わされており、シリンダ20とシリンダ20内を移動するピストン30によって浅皿形の燃焼室40が形成される。シリンダ20には、さらに、燃焼室40内に燃料を噴射する、後述する燃料噴射弁50と、燃料噴射弁50から噴射された燃料に対して、燃焼室40内の複数の点で火種を生成する、後述するレーザー点火栓90とが設けられる。なお、本実施形態では、燃焼室40は浅皿形としたが、この例に限定されるものではなく、深皿形としてもよく、また他の形態としてもよい。
(シリンダヘッド100)
シリンダヘッド100は、図2に示したように、シリンダヘッド100の中央に円筒形状の主換気通路110が形成されており、主換気通路110は燃焼室40に連通している。この主換気通路110を介して燃焼室40が換気される。主換気通路110は、シリンダヘッド100に1つ設けられ、主弁200によって開閉される。
また、シリンダヘッド100には、図2(a)に示したように、燃焼室40内へ新気を取り込むための吸気通路120と、燃焼後のガスを排気するための排気通路130が形成されている。吸気通路120と排気通路130は主換気通路110に連通している。吸気通路120と排気通路130は、主換気通路110に沿って設けられており、主換気通路110の長さ方向において、吸気通路120が、燃焼室40に近い側に、排気通路130が遠い側にそれぞれ上下に並んで配置されている。
なお、この吸気通路120と排気通路130の位置は一例である。例えば、吸気通路120と排気通路130を主換気通路110の円周方向における他の位置に設けるなど、適宜設定することができる。吸気通路120と排気通路130は切り替え弁300によって開閉される。
このように、1つの主換気通路110を介して吸気と排気が行われるため、従来の4弁を備えた燃焼室において、吸気側と排気側とで生じていた温度差が生じない。よって、従来の燃焼室において吸気弁の周りで生じていたエンドガス低温による煤の発生が抑制される。
さらに、シリンダヘッド100には、図2(b)に示したように、主換気通路110を挟んで、主換気通路110の半径方向における対称位置に2つの副換気通路140が形成されている。副換気通路140は、主換気通路110と燃焼室40とを連通している。また、副換気通路140は、吸気通路120と燃焼室40とを連通している。副換気通路140は、副弁400によって開閉される。副換気通路140の燃焼室40への出口は、シリンダ20の外周付近に配置されている。
副換気通路140の燃焼室40への出口付近は、主換気通路110の外周とシリンダ20の外周との間に向かって、出口に近づくにつれてシリンダの外周側から中心方向に近づくように傾斜した空気流動生成形状141に形成されている。これにより、副弁400が開弁時に、副換気通路140から燃焼室40に吸入される空気は、主換気通路110の外周とシリンダ20の外周の間を流れる渦流Kを発生する。
このように、渦流Kは主換気通路110の外周を流れるため、燃料Pと空気の混合が燃焼室40全体に均等にできて、燃焼に偏りがなくなる。このため、急激な局所的な爆発燃焼を抑制し、局所的な部分での燃焼の高温化を抑制することができる。よって、窒素酸化物などの有害排出物の大気放出を低減することが可能である。
なお、本実施形態では、空気流動生成形状141によって発生する渦流Kは、主換気通路110の外周とシリンダ20の外周の間の方向に発生するようにしたが、この例に限定されない。例えば、燃焼室の中心方向からずれた方向であれば、本実施形態よりもより主換気通路110やシリンダ20の外周側に向いていてもよい。
また、シリンダヘッド100の中心には、図3に示したように、後述する主弁200、主弁電磁駆動装置240、切り替え弁300、切り替え弁電磁駆動装置340が配置される上ケース900、中ケース920及び下ケース940が設けられている。中ケース920及び下ケース940はシリンダヘッド100に固定されており、上ケース900は、中ケース920に連結されている。
上ケース900は、ケース固定フランジ901を介してフランジ取り付けボルト903及びフランジ取り付けナット905によってシリンダヘッド100に固定されている。上ケース900の上端にはブリーザオーリング906を介してブリーザ907が取り付けられる。
上ケース900には、後述する主弁上円盤板永久磁石242に対向する位置に、上ケースクッション磁石902が設けられている。上ケースクッション磁石902は、後述する主弁上円盤板永久磁石242と同極であり、上ケース900と後述する主弁円盤板241との衝突を防止する。
中ケース920には、後述する主弁下円盤板永久磁石244に対向する位置に、中ケースクッション磁石922が設けられている。中ケース920は、中ケースオーリング924を介して上ケース900とシリンダヘッド100に取り付けられる。中ケース920がシリンダヘッド100に取り付けられることによって、後述する電磁石上ケース346、電磁石345、電磁石下ケース347が中ケース920に組み付けられる。
下ケース940は、シートパッキン944を介してシリンダヘッド100に取り付けられる。下ケース940には、後述する切り替え弁下円盤板永久磁石343に対向する位置に、下ケースクッション磁石942が設けられている。下ケースクッション磁石942と切り替え弁上円盤板永久磁石343は同極であり、下ケース940と後述する切り替え弁円盤板342との衝突を防止する。
また、シリンダヘッド100の主換気通路110の半径方向における対称位置に、図4に示したように、副弁400が配置される副弁上ケース960及び副弁下ケース980が設けられている。
副弁上ケース960は、ケース固定フランジ964を介してフランジ取付けボルト966によってシリンダヘッド100に固定されている。副弁上ケース960の上端には、ブリーザオーリング968を介してブリーザ969が取り付けられる。
副弁上ケース960には、後述する副弁上円盤板永久磁石442に対向する位置に、上ケースクッション磁石962が設けられている。上ケースクッション磁石962は、副弁上円盤板永久磁石442と同極であり、副弁上ケース960と後述する副弁円盤板441との衝突を防止する。
副弁下ケース980は、シリンダヘッド100にはめ込まれる。副弁下ケース980には、後述する副弁下円盤板永久磁石443に対向する位置に、副弁下ケースクッション磁石982が設けられている。副弁下ケースクッション磁石982と副弁下円盤板永久磁石443は同極であり、副弁下ケース980と後述する副弁下円盤板441との衝突を防止する。
なお、上ケースクッション磁石902、中ケースクッション磁石922、下ケースクッション磁石942及び副弁下ケースクッション磁石982は永久磁石である。
(主弁200)
主弁200は、図3に示したように、主換気通路110の長さ方向に移動して主換気通路110を開閉する主弁本体210と、主弁本体210を駆動する後述する主弁電磁駆動装置240と、を主に備えて構成されている。
主弁本体210は、前述のように、主換気通路110の長さ方向に移動して主換気通路110を開閉するものである。主弁本体210が主換気通路110を開放する面積は従来の4弁のものに比べて約1.7倍拡大できる。よって、吸入体積効率が向上するため、エンジンの回転速度高くすることができる。このため、エンジンの小型高出力化が可能になる。さらに、体積効率が向上するため、ポンピング損失が低減し、熱効率が向上する。
主弁本体210は、図3に示したように、長尺な棒状の主弁ステム211と主弁ステム211の下端に円錐状に広がった主弁円錐状閉塞部212とを備えて構成されている。
主弁ステム211はシリンダヘッド100の下から主換気通路110を挿入されて、下ケース940、中ケース920及び上ケース900内に、主換気通路110の長さ方向に移動可能に支持されて配置されている。主弁ステム211の先端には肩部を構成して軸径が小さくなった取り付け部211aが形成されている。
主弁円錐状閉塞部212は燃焼室40内に配置されている。主弁円錐状閉塞部212は、主弁本体210が主換気通路110の長さ方向に移動すると、主換気通路110を開閉するようになっている。本実施形態では、主弁本体210は、耐熱セラミック材料で構成されるが、これに限定されず、例えば、SUH3(マルテンサイト系耐熱鋼)などのような耐熱鋼などでもよい。主弁ステム211の上端は主弁電磁駆動装置240に連結されている。
主弁ステム211及び主弁円錐状閉塞部212は中空に形成されており、中空部には金属ナトリウムが封入されている。このような構成により、主弁本体210は、すべて忠実の主弁本体に比べて重量が15パーセント軽くなる。また、燃焼の際の主弁本体210の温度が800℃から600℃に低下する。
(主弁電磁駆動装置240)
主弁電磁駆動装置240は、図3に示したように、主弁ステム211の上端に連結されている。主弁電磁駆動装置240が駆動することにより、主弁本体210を主換気通路110の長さ方向に移動して主換気通路110を開閉させる。
主弁電磁駆動装置240は、図3に示したように、主弁ステム211に主弁円盤板固定スペーサ248を介して間隔をあけて設けられる主弁上円盤板241及び主弁下円盤板243と、主弁上円盤板241に取り付けられる主弁上円盤板永久磁石242と、主弁下円盤板243に取り付けられる主弁下円盤板永久磁石244と、主弁上円盤板241及び主弁下円盤板243との間に配置される複数の電磁石245と、電磁石245を収容する電磁石上ケース246及び電磁石下ケース247と、を主に備えて構成される。
主弁上円盤板241及び主弁下円盤板243は、磁気受けである。主弁上円盤板241及び主弁下円盤板243は、図5に示したように、円盤状の形状をしており、主弁上円盤板241には複数の主弁上円盤板永久磁石242が、また、主弁下円盤板243には複数の主弁下円盤板永久磁石244が、主弁上円盤板241及び主弁下円盤板243の軸心を中心として円周方向に嵌り合って構成されている。
複数の主弁上円盤板永久磁石242及び複数の主弁下円盤板永久磁石244のうちの2個〜数個は、完全な軸中心から若干ずらして配置され、磁気抵抗(リラクタンス)に角度依存性を持たされている。このような構成により、電磁石245の回転磁界の極と、主弁上円盤板永久磁石242及び主弁下円盤板永久磁石244の極との吸引・反発によって、主弁上円盤板永久磁石242及び主弁下円盤板永久磁石244の角度の磁気エネルギーが最小になる向きにトルクが生じる。これにより、主弁上円盤板241及び主弁下円盤板243は軸方向に移動しながら回転する。よって、主弁200が開くときに主弁本体210がほんの少しだけ回転するため、楽に開くことができる。また、主弁上円盤板241及び主弁下円盤板243の回転は、主弁上円盤板永久磁石242及び主弁下円盤板永久磁石244の角度の磁気エネルギーが最小になる向きにトルクが生じることによって発生するだけであるため、回転し続けることはない。
主弁上円盤板永久磁石242は上ケースクッション磁石902と対向する位置に、主弁下円盤板永久磁石244は中ケース920の中ケースクッション磁石922と対向する位置に取り付けられている。さらに、主弁上円盤板241及び主弁下円盤板243には、主弁上円盤板永久磁石242及び主弁下円盤板永久磁石244と交互に主弁円盤板通風口249が形成されている。
弁上円盤板永久磁石242及び主弁下円盤板永久磁石244は、ネオジウム鉄ホウ素合金製(NeFB磁石)によって構成されている。弁上円盤板永久磁石242及び主弁下円盤板永久磁石244は、図5(b)に示したように、扇形部242a、244aから円筒状部242b、244bが突出した形状である。弁上円盤板永久磁石242及び主弁下円盤板永久磁石244は、主弁上円盤板241及び主弁下円盤板243の嵌合孔241a、243aに嵌め合わされると、扇形部242a、244aが電磁石245方向に突出し、円筒状部242b、244bが上ケース900の方向に突出する。
電磁石245は、図6に示したように、電磁石上ケース246と電磁石下ケース247との間に配置される。また、電磁石245は、円周方向に弁上円盤板永久磁石242及び主弁下円盤板永久磁石244と同数配置される。
電磁石上ケース246及び電磁石下ケース247には、図6(a)、(c)に示したように、円周方向に電子石245と交互に電磁石ケース通風口246a、247aが設けられる。
電磁石245は、図6(b)に示したように、鉄心245−1と鉄心245−1に巻き付けられる銅線245−2によって構成されている。鉄心245−1は、アモルファス金属によって構成されており、弁上円盤板永久磁石242及び主弁下円盤板永久磁石244の扇形部242a、244aとほぼ同様の扇形の形状をしている。このような扇形の形状の鉄心245−1に銅線245−2が巻き付けられることにより、電磁石245が構成される。このように構成された複数の電磁石245は、ドーナツ型に配置され、円の中心に主弁ステム211がストロークできるように配置される。鉄心245−1が外ケース245に固定される。
ここで、鉄心245−1を構成するアモルファス金属について説明する。アモルファス金属は、結晶構造のない金属の総称であり、溶けた金属を急冷することで非結晶構造が実現される。アモルファス金属を鉄心245−1に使用すると、鉄損と呼ばれる損失が従来の電磁鋼板(珪素鋼板)の約1/10と小さくなる。しかし、薄くて硬いアモルファス金属で鉄心245−1を構成する場合、プレス加工などで複雑な形状にすることは困難である。そこで、本実施形態では、電磁石固定子と主弁ステム211のストローク軸方向、すなわち、アキシャル方向でN極とS極を受け取る構造のアキシャルギャップ方式を採用する。この方式にすると、鉄心245−1と稼働ロッド241の軸方向が同一断面形状の柱体となる。すなわち、薄くて硬いアモルファス金属を短冊状に切断して、扇形の鉄心245−1の構造とすれば、アモルファス金属を鉄心245−1の構造に加工することができる。
このように、鉄心245−1をアモルファス金属で構成すると鉄損が小さくなるため、主弁電磁駆動装置240を小型化したり、駆動力を大きくしたりすることができる。
次に、主弁200と主弁電磁駆動装置240のシリンダヘッド100への組み付け構造について説明する。主弁200は、シリンダヘッド100の下から挿入されている。主弁ステム211の取り付け部211aに主弁下円盤板243が挿通されており、主弁下円盤板243の上部に主弁円盤板固定スペーサ248が組み付けられる。主弁円盤板固定スペーサ248に主弁電磁駆動装置240が挿通されており、中ケース920に電磁石下ケース247、電磁石245、電磁石上ケース246が組み付けられる。
主弁ステム211に主弁上円盤板241を主弁円盤板固定金具250によって取り付ける。主弁上円盤板241は主弁円盤板固定スペーサ248上に載置される。主弁円盤板固定金具250に主弁円盤板固定ピン252が挿入されて、固定ピン止め輪254で固定される。上ケース900が電磁石上ケース246上に取り付けられ、上ケース900にはブリーザオーリング904を介してブリーザ906が取り付けられる。
このように構成された主弁電磁駆動装置240は、銅線245−2に電流を流すと、電流の流れる方向に応じて、鉄心245−1の両端にN極とS極の磁極が発生する。鉄心245−1に発生した磁極と弁上円盤板永久磁石242及び主弁下円盤板永久磁石244の磁極とで吸引と反発を同時に行い、主弁ステム211を電流を流した方向に応じて鉄心245−1に対してアキシャルギャップ方向にストロークさせる。弁上円盤板永久磁石242と上ケースクッション磁石902との同極の組み合わせで反発を起こさせ、主弁ステム211のストローク端の衝撃を吸収する。
(切り替え弁300)
切り替え弁300は、図2(a)に示したように、主換気通路110の長さ方向に移動して吸気通路120と排気通路130を開閉する切り替え弁本体310と、切り替え弁本体310を駆動する後述する切り替え弁電磁駆動装置340と、を主に備えて構成されている。
切り替え弁本体310は、図2(a)に示したように、主換気通路110の長さ方向に移動して吸気通路120と排気通路130を開閉するものである。切り替え弁本体310は、吸気通路120と排気通路130を閉塞する通路閉塞部311と、一端が通路閉塞部311に連結しており、主弁ステム211に沿って移動する切り替え弁ガイドバー312とを備えて構成されている。本実施形態では、切り替え弁本体310は、耐熱セラミック材料で構成されるが、これに限定されず、例えば、ステンレス鋼などでもよい。
通路閉塞部311は、円筒状の形状をしており、円筒状の周面によって吸気通路120と排気通路130を閉鎖する。通路閉塞部311が、吸気通路120を開くときには、排気通路130が閉じられる。逆に通路閉塞部311が、吸気通路120を閉じるときには、排気通路130は開かれる。
切り替え弁ガイドバー312は中空に構成されており、切り替え弁ガイドバー312の中空には、主弁200の主弁ステム211が軸方向に相対移動可能に挿通して配置される。また、切り替え弁ガイドバー312の上端には、切り替え弁電磁駆動装置340が連結される。
切り替え弁電磁駆動装置340の主な構成は、主弁電磁駆動装置240と軸方向において逆向きに配置されている構成である以外は、図5及び図6に示した主弁電磁駆動装置240と同様の構成である。
すなわち、切り替え弁電磁駆動装置340の切り替え弁上円盤板341、切り替え弁上円盤板永久磁石342、扇形部342a、円筒状部342b、切り替え弁下円盤板343、切り替え弁下円盤板永久磁石344、扇形部344a、円筒状部344b、電磁石345、鉄心345−1、銅線345−2、電磁石上ケース346、電磁石ケース通風口346a、電磁石下ケース347、電磁石ケース通風口347a、切り替え弁円盤板固定スペーサ348は、主弁電磁駆動装置240の主弁上円盤板241、主弁上円盤板永久磁石242、扇形部242a、円筒状部242b、主弁下円盤板243、主弁下円盤板永久磁石244、扇形部244a、円筒状部244b、電磁石245、鉄心245−1、銅線245−2、電磁石上ケース246、電磁石ケース通風口246a、電磁石下ケース247、電磁石ケース通風口247a、主弁円盤板固定スペーサ248と同様である。
また、切り替え弁電磁駆動装置340の主な作用も、主弁電磁駆動装置240と同様の構成である。よって、ここでは、主弁電磁駆動装置240と同様の構成及び作用については説明を省略し、相違する点のみ説明することとする。
次に、切り替え弁300と切り替え弁電磁駆動装置240のシリンダヘッド100への組み付け構造について説明する。切り替え弁300は、中ケース920の下から挿入されている。切り替え弁ガイドバー312の先端に肩部を構成して軸径が小さくなった取り付け部312aに切り替え弁下円盤板343が挿通されて、切り替え弁円盤板固定スペーサ348で押さえられる。下ケース940に電磁石上ケース346、電磁石345及び電磁石下ケース347が組み付けられる。切り替え弁上円盤板341が切り替え弁円盤板固定スペーサ348上に載置され切り替え弁円盤固定ナット350で固定される。電磁石上ケース346が中ケースオーリング924を介してシリンダヘッド100に組み付けられる。
このように構成された切り替え弁電磁駆動装置340は、銅線345−2に電流を流すと、電流の流れる方向に応じて、鉄心345−1の両端にN極とS極の磁極が発生する。鉄心345−1に発生した磁極と切り替え弁上円盤板永久磁石342及び切り替え弁下円盤板永久磁石344の磁極とで吸引と反発を同時に行い、切り替え弁ガイドバー312を電流を流した方向に応じて鉄心345−1に対してアキシャルギャップ方向にストロークさせる。切り替え弁下円盤板永久磁石344と中ケースクッション磁石922との同極の組み合わせで反発を起こさせ、切り替え弁ガイドバー312のストローク端の衝撃を吸収する。また、切り替え弁本体310は、前述の主弁本体210と同様に、軸方向に移動しながら回転する。よって、切り替え弁300が開くときに切り替え弁本体310がほんの少しだけ回転するため、楽に開くことができる。
(副弁400)
副弁400は、前述のようにシリンダヘッド100に2つ設けられており、副換気通路140を開閉することで、従来のスロットル弁に相当する絞り効果を得るようにしたものである。副弁400は、図4に示したように、副換気通路140の長さ方向に移動して副換気通路140を開閉する副弁本体410と、副弁本体410を駆動する後述する副弁電磁駆動装置440と、を主に備えて構成されている。なお、副弁400は、1つの燃焼室40に対して、複数個、例えば2〜3個設けることにより、低負荷運転がより円滑になり、且つポンピング損失を低減できるので、熱効率が向上する。
副弁400は、前述のように、副換気通路140の長さ方向に移動して副換気通路140を開閉するものである。副弁400は、主弁200よりも小型であり、シリンダヘッド100の高さよりも若干低くなるように構成されている。副弁本体410は、長尺な棒状の副弁ステム411と副弁ステム411の下端に円錐状に広がった副弁円錐状閉塞部412とを備えて構成されている。
副弁円錐状閉塞部412は燃焼室40内に配置されている。副弁ステム411は主換気通路110を貫通して、副弁ケース430内に副換気通路140の長さ方向に移動可能に支持されて配置されている。副弁円錐状閉塞部412は、副弁本体410が副換気通路140の長さ方向に移動すると、副換気通路140を開閉するようになっている。本実施形態では、副弁本体410は、耐熱セラミック材料で構成されるが、これに限定されず、例えば、SUH3(マルテンサイト系耐熱鋼)などのような耐熱鋼などでもよい。
副弁本体410は、上端に連結される副弁電磁駆動装置440で駆動する。副弁電磁駆動装置440の主な構成は、図6〜図8に示した主弁電磁駆動装置240と同様であるが、副弁電磁駆動装置440は主弁電磁駆動装置240よりも小型に構成されている。
すなわち、副弁電磁駆動装置440の副弁上円盤板441、副弁上円盤板永久磁石442、扇形部442a、円筒状部442b、副弁下円盤板443、副弁下円盤板永久磁石444、扇形部444a、円筒状部444b、電磁石445、鉄心445−1、銅線445−2、電磁石上ケース446、電磁石ケース通風口446a、電磁石下ケース447、電磁石ケース通風口447a、副弁円盤板固定スペーサ448は、主弁電磁駆動装置240の主弁上円盤板241、主弁上円盤板永久磁石242、扇形部242a、円筒状部242b、主弁下円盤板243、主弁下円盤板永久磁石244、扇形部244a、円筒状部244b、電磁石245、鉄心245−1、銅線245−2、電磁石上ケース246、電磁石ケース通風口246a、電磁石下ケース247、電磁石ケース通風口247a、主弁円盤板固定スペーサ248と同様であるが、主弁電磁駆動装置240のものよりも小型に構成されている。
また、副弁電磁駆動装置440の主な作用も主弁電磁駆動装置240と同様である。ここでは、主弁電磁駆動装置240と同様の構成及び作用については説明を省略し、相違する点のみ説明することとする。
次に、副弁400と副弁電磁駆動装置440のシリンダヘッド100への組み付け構造について説明する。副弁本体410は、シリンダヘッド110の下から挿入されている。副弁本体410に副弁下ケース980が取り付けられ、副弁下ケース980の上に副弁円盤板固定スペーサ448が載置される。副弁下ケース980に電磁石下ケース447、電磁石445、電磁石上ケース446が組み付けられる。副弁上円盤板441が副弁円盤板固定スペーサ448上に載置され、副弁円盤固定ナット450で固定される。副弁上ケース980が電磁石上ケース446上に取り付けられ、副弁上ケース980は、前述のように、ケース固定フランジ964を介して、フランジ取り付けボルト966によってシリンダヘッド100に取り付けられる。副弁上ケース980にはブリーザオーリング984を介してブリーザ986が取り付けられる。
このように構成された副弁電磁駆動装置440は、銅線445−2に電流を流すと、電流の流れる方向に応じて、鉄心445−1の両端にN極とS極の磁極が発生する。鉄心445−1に発生した磁極と副弁上円盤板永久磁石442及び副弁下円盤板永久磁石444の磁極とで吸引と反発を同時に行い、副弁ステム411を電流を流した方向に応じて鉄心445−1に対してアキシャルギャップ方向にストロークさせる。副弁下円盤板永久磁石444と副弁下ケースクッション磁石982との同極の組み合わせで反発を起こさせ、副弁ステム411のストローク端の衝撃を吸収する。また、副弁本体410は、前述の主弁本体210と同様に、軸方向に移動しながら回転する。よって、副弁400を開くときに副弁本体410がほんの少しだけ回転するため、楽に開くことができる。
副弁400の作用について、図2を参照しながら説明する。吸気のときに副弁400が開かれると、図2(a)中矢印に示したように、副換気通路140を介して燃焼室40に流入する。副換気通路140には空気流動生成形状141が形成されているため、副換気通路140から燃焼室40に流れ込んだ空気は、図2(b)に示したように、燃焼室40内で主換気通路110の外周とシリンダ20の外周の間を流れる渦流が発生する。このため、後述のように、急速燃焼が助成される。また、急速燃焼の実現で、燃焼時間が短縮すると異常燃焼を回避できるので、圧縮比を大きくでき、内燃機関10の熱効率が向上する。
さらに副弁400には、以下のような機能がある。すなわち、エンジンの始動時に、副弁400によって燃焼室40の減圧(デコンブという)をすることにより、始動負荷を軽減することができる。
また、エンジン停止時に、副弁400によって燃焼室40の減圧をすることにより、スタータピニオンとリングギヤの噛み合い位置を不規則にすることができる。
さらに、ピストンピンの上死点において、副弁400によって燃焼室40の減圧圧縮ができるため、ピンにかかる衝撃荷重が緩和できる。よって、ピストン、ピストンピン、コンロッド、クランクピンなど部品の耐久性向上が期待できる。
(燃料噴射弁50)
燃料噴射弁50は、燃焼室40に燃料を噴射するものであり、図7に示したように、シリンダヘッド100の互いに180°離れた位置に2つ設けられている。各燃料噴射弁50の位置は、図8(b)に示したように、それぞれが2つの副換気通路140のどちらか一方の近くに配置されている。この各燃料噴射弁50の位置は、副換気通路140から燃焼室40に流れ込む空気の上流側である。
燃料噴射弁50は、図8(b)に示したように、主換気通路110の外周に沿って、噴射方向が2方向に分かれるように燃料Pを噴射する。なお、本実施形態では、燃料噴射弁50は、燃料Pの噴射方向が2方向に分かれるようになっているが、この例に限定されない。例えば、燃料Pの噴射方向は、1方向でもよいし、3方向以上でもよい。
燃料噴射弁50から燃焼室40に噴射される燃料Pは、図8(a)中矢印Bに示したように、燃焼室40の下方に向かって噴射される。噴射された燃料Pは、図8(b)に示したように、主換気通路110の外周に沿って2方向に分かれて流れる。
(レーザー点火栓90)
レーザー点火栓90は、燃焼室40内の複数の点で火種を生成するものであり、図9に示したように、シリンダヘッド100の互いに180°離れた位置に2つ設けられている。レーザー点火栓90の位置は、図10(b)に示したように、副換気通路140と燃料噴射弁50の間に配置されている。各燃料噴射弁50の位置は、副換気通路140から燃焼室40に流れ込む空気の上流側である。
レーザー点火栓90は、図10(b)に示したように、下流に配置される副換気通路140から発生する渦流Kの方向に向かってレーザー光Lを放射する。なお、本実施形態では、レーザー点火栓90は、1方向にレーザー光Lを放射するが、この例に限定されない。例えば、レーザーの放射方向は、2方向以上でもよい。
レーザー点火栓90から燃焼室40に放射されるレーザー光Lは、図10(a)に示したように、上下方向においては、燃焼室40の下方に向かって放射される。また、左右方向においては、レーザー光Lの方向は、図10(b)に示したように、渦流Kに乗って流れる燃料Pに向かって放射される。
本実施形態では、燃焼室40に設けられる燃料噴射弁50と図示していない吸気マニホルドに設けられる吸気マニホルド噴射弁により燃料を噴射する構成となっている。ここでは、これら2つの噴射弁を用いた作用について説明する。燃料噴射弁50は、20MPa位の高圧で燃焼室40に直接燃料を噴射する。燃料噴射弁50は、このように噴射された燃料が、ノズルで微細化される際に気化熱により周りの熱を奪う冷却作用を利用して、圧縮比を高くしても冷却により温度が低く押さえられるようにしている。これにより、ノッキング発生を抑制できるので熱効率が良くなる。このように、燃焼室40では、高中速域では燃料噴射弁50からの燃料噴射で希薄燃焼する。
しかし、燃料噴射弁50の燃焼の方法は、希薄燃焼が主体で熱効率を良くしているため、低中速域では希薄燃焼では燃料に火が点かず失火し易くなる。一方、吸気マニホルド噴射弁80は、吸気マニホルド60内に7MPa位の圧力で燃料を噴射する。このように噴射された燃料は、確実に火が点く理論空燃比で空気と混合されて燃焼室40に送り込まれることにより、特に低速域で燃焼が安定する。このように、燃焼室40では、高中速域では燃料噴射弁50からの燃料噴射で希薄燃焼し、低速では、吸気マニホルド噴射弁80からの燃料噴射で燃焼が安定する。
よって、燃料噴射弁50と吸気マニホルド噴射弁の両方を用いる構成では、燃料噴射弁50のみで低速から高速までの全域をカバーする場合に比べて、全域スムーズな燃焼ができ、燃料噴射弁50と吸気マニホルド噴射弁で適宜細かい燃料供給調整ができるので熱効率が大変良くなる。なお、本実施形態では、吸気マニホルド及び吸気マニホルド噴射弁を用いる構成を例にとって説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。例えば、吸気マニホルド及び吸気マニホルド噴射弁を設けず、燃料噴射弁50のみを用いる構成としてもよい。
以上説明したように、本実施形態の内燃機関10は、副換気通路140と、副換気通路140が発生する渦流Kの上流側に配置される燃料噴射弁50及びレーザー点火栓90により構成されるセットが、互いに180度離れた位置に2つ配置されている構成となる。よって、燃焼室40は2分割されて燃焼させることができる。
(主弁電磁駆動装置240の駆動装置500)
次に、各電磁駆動装置の駆動装置について説明する。まず、主弁電磁駆動装置240の駆動装置500について、図11を参照しながら説明する。主弁電磁駆動装置240の駆動装置500は、図11に示したように、バッテリ510と、昇圧回路520と、クランク角度センサ530と、エンジン回転センサ540と、通電制御回路550と、主弁閉じ回路580と、主弁起動回路560と、主弁保持回路570と、キャパシタ充電回路590と、キャパシタ600と、を備えて構成される。
バッテリ510は、12Vの電圧であり、昇圧回路520は、バッテリ510の12Vの電圧を60Vに昇圧する。
クランク角度センサ530は、検出したクランク角度を通電制御回路550に送信する。クランク角度センサ530としては、例えば、アブソリュウトエンコーダが用いられる。アブソリュートエンコーダは絶対角を検出するので、ピストン30の位置も検出することができる。
エンジン回転センサ540は、エンジン回転数を検出し、検出したエンジン回転数を通電制御回路550に送信する。検出したエンジン回転数は比較演算に用いられる。
通電制御回路550は、ソフトウエアとデータマップが内蔵されている。通電制御回路550は、エンジン回転数とクランク角度の信号を受け取ると、最適通電時期と最適通電時間を演算して、結果の数値分だけ電磁石に電流を流し、電磁気を有機して電磁力を生成する。
主弁電磁駆動装置240への通電開始から稼働ロッド441のストローク終了までの通電の時間は、通電制御回路550に予めタイマーで設定されている。また、稼働ロッド441のストローク位置が保持されるための通電の命令は、通電制御回路550が、クランク角度とエンジン回転数に基づいて演算した最適通電時期と最適通電時間に基づいて行われる。
キャパシタ600は、バッテリ510より昇圧回路520で、例えば12Vから60Vに昇圧された高電圧化で、キャパシタ充電回路590を介して充電される。
次に、(1)主弁起動時、(2)主弁保持時、(3)主弁閉じ時の制御の流れを説明する。
(1)主弁起動時(図11(a))
電圧12Vのバッテリ510の電源を昇圧回路520で60Vに昇圧する。これにより、主弁200の開弁と最大リフト位置まで通電制御回路の演算時間分だけ、60Vで通電される。主弁200の開弁時は大きな力が必要なため、バッテリ510とは別にキャパシタ放電回路からの電源分も加わって、大きな電量が供給される。
主弁起動回路560は、電磁石245の上がN極、下がS極の方向に電流を流す。最接近の極は反発し、主弁200は、急峻に開き、ストローク途中から吸引方向に吸引されて、全ストロークする。主弁200は、全ストローク位置で、主弁下円盤板永久磁石244が中ケースクッション磁石924と同極により反発し、磁気クッションを誘発する。よって、主弁下円盤板242と中ケース920との衝撃を吸収し、激突せず接触しない。
(2)主弁保持時(図11(b))
12Vのバッテリ510電源が主弁保持時間だけ通電制御回路550に通電される。通電制御回路550は通電時間を演算し、通電制御回路550から主弁起動回路560に演算時間分だけ通電する。主弁開弁保持時は、大きな力が必要ないため、バッテリ510の電源からのみの電力供給となる。主弁保持回路570は、電磁石245の上がN極、下がS極の方向に電流を流し続け、磁気を保持する。この間、キャパシタ600は、昇圧回路520で60Vに昇圧された高電圧下で充電される。
(2)主弁閉じ時(図11(c))
主弁保持回路570の通電時間が終了すると、主弁閉じ回路580が作動する。主弁閉じ回路580は、電磁石245の上がS極、下がN極の方向に電流を流す。12Vのバッテリ510電源が主弁閉じ時間だけ通電制御回路550に通電される。通電制御回路550は通電時間を演算し、通電制御回路550から主弁閉じ回路580に演算時間分だけ通電する。この通電は、次の主弁起動回路560が作動するまで継続される。
主弁200が着座するときは、全ストローク位置で、主弁上円盤板永久磁石242が上ケースクッション磁石902と同極により反発し、磁気クッションを誘発する。よって、主弁上円盤板241と上ケース900との衝撃を吸収し、激突せず接触しない。主弁200は、シリンダヘッド100に設けられた主弁シート71に十分な電磁力で押し付けられる。この間キャパシタ600は昇圧回路520で60Vに昇圧された高電圧下で充電される。
(切り替え弁電磁駆動装置340の駆動装置700)
次に、切り替え弁電磁駆動装置340の駆動装置700について、図12を参照しながら説明する。切り替え弁電磁駆動装置340の駆動装置700は、図12に示したように、バッテリ710と、クランク角度センサ730と、エンジン回転センサ740と、通電制御回路750と、切り替え弁排気側回路760と、切り替え弁排気側回路770と、を備えて構成される。
バッテリ710、クランク角度センサ730、エンジン回転センサ740、及び通電制御回路750は、主弁電磁駆動装置240の駆動装置500のバッテリ510、クランク角度センサ530、エンジン回転センサ540、及び通電制御回路550と同様の構成であるため、説明を省略する。
切り替え弁排気側回路760は、電磁石345の上がN極、下がS極の方向に電流を流す。また、切り替え弁排気側回路770は、電磁石345の上がS極、下がN極の方向に電流を流す。
次に、(1)切り替え弁排気側時、(2)切り替え弁吸気側時の制御の流れを説明する。
(1)切り替え弁排気側時(図12(a))
切り替え弁排気側時は、大きな力が必要でないため、バッテリ710からの電力供給となる。12Vのバッテリ710電源が切り替え弁排気側時間だけ通電制御回路750に通電される。通電制御回路750は通電時間を演算し、通電制御回路750から切り替え弁排気側回路760に演算時間分だけ通電する。
切り替え弁排気側回路760は、電磁石345の上がN極、下がS極の方向に電流を流し続け、磁気を保持する。切り替え弁300が着座するときは、全ストローク位置で、切り替え弁下円盤板永久磁石346が下ケースクッション磁石742と同極により反発し、磁気クッションを誘発する。よって、切り替え弁下円盤板343と下ケースクッション磁石742との衝撃を吸収し、激突せず接触しない。切り替え弁300は、シリンダヘッド100に設けられた切り替え弁シート72に十分な電磁力で押し付けられる。
(1)切り替え弁吸気側時(図12(b))
切り替え弁吸気側時も、切り替え弁排気側時と同様に大きな力が必要でないため、バッテリ710からの電力供給となる。12Vのバッテリ710電源が切り替え弁吸気側時間だけ通電制御回路750に通電される。通電制御回路750は通電時間を演算し、通電制御回路750から切り替え弁吸気側回路770に演算時間分だけ通電する。
切り替え弁吸気側回路770は、電磁石345の上がS極、下がN極の方向に電流を流し続け、磁気を保持する。切り替え弁300が着座するときは、全ストローク位置で、切り替え弁上円盤板永久磁石343が上ケースクッション磁石902と同極により反発し、磁気クッションを誘発する。よって、切り替え弁上円盤板342と上ケース900との衝撃を吸収し、激突せず接触しない。吸気側はシリンダヘッド100に切り替え弁シート72は設けられておらず、切り替え弁300は、切り替え弁上円盤板永久磁石343と上ケースクッション磁石902との反発する磁気空間で、少し浮いた状態となっている。
(副弁電磁駆動装置440の駆動装置800)
次に、副弁電磁駆動装置440の駆動装置800について、図13を参照しながら説明する。副弁電磁駆動装置440の駆動装置800は、図13に示したように、バッテリ810と、クランク角度センサ830と、エンジン回転センサ840と、通電制御回路850と、副弁閉じ回路860と、副弁開き回路870と、を備えて構成される。
バッテリ810、クランク角度センサ830、エンジン回転センサ840、及び通電制御回路850は、主弁電磁駆動装置240の駆動装置500のバッテリ510、クランク角度センサ530、エンジン回転センサ540、及び通電制御回路550と同様の構成であるため、説明を省略する。
副弁閉じ回路860は、電磁石345の上がS極、下がN極の方向に電流を流す。また、副弁開き回路870は、電磁石345の上がN極、下がS極の方向に電流を流す。
次に、(1)副弁閉じ時、(2)副弁開き時の制御の流れを説明する。
(1)副弁閉じ時(図13(a))
副弁閉じ時は、大きな力が必要でないため、バッテリ810からの電力供給となる。12Vのバッテリ810電源が切り替え弁排気側時間だけ通電制御回路850に通電される。通電制御回路850は通電時間を演算し、通電制御回路850から副弁閉じ回路860に演算時間分だけ通電する。
副弁閉じ回路860は、電磁石345の上がS極、下がN極の方向に電流を流し続け、磁気を保持する。副弁400が閉じるときは、全ストローク位置で、副弁上円盤板永久磁石443が副弁上ケースクッション磁石962と同極により反発し、磁気クッションを誘発する。よって、副弁上円盤板442と副弁上ケース960との衝撃を吸収し、激突せず接触しない。副弁400は、シリンダヘッド100に設けられた副弁シート73に十分な電磁力で押し付けられる。
(1)副弁開き時(図13(b))
副弁開き時も、副弁閉じ時と同様に大きな力が必要でないため、バッテリ810からの電力供給となる。12Vのバッテリ810電源が切り替え弁排気側時間だけ通電制御回路850に通電される。通電制御回路850は通電時間を演算し、通電制御回路850から副弁開き回路870に演算時間分だけ通電する。
副弁開き回路870は、電磁石345の上がN極、下がS極の方向に電流を流し続け、磁気を保持する。副弁400が開くときは、全ストローク位置で、副弁下円盤板永久磁石446が副弁下ケースクッション磁石982と同極により反発し、磁気クッションを誘発する。よって、副弁下円盤板445と副弁上ケース960との衝撃を吸収し、激突せず接触しない。副弁400は、シリンダヘッド100の副弁シート73に十分な電磁力で押し付けられる。
以上、本実施形態の内燃機関10の構成について説明した。次に、内燃機関10の動作を、図14及び図15を参照しながら説明する。本実施形態において、内燃機関10は(1)吸入工程、(2)圧縮工程、(3)(爆発)膨張工程、(4)排気工程を1サイクルとする燃焼サイクルで動作する。各工程における内燃機関10の動作について、以下に詳述する。
(1)吸入工程
吸入工程においては、まず、図14(a)に示したように、副弁電磁駆動装置440を駆動して、副弁本体410を下降させて副換気通路140を開放する。このとき、切り替え弁300は吸気通路120を閉じている。主弁200は前の燃焼サイクルの排気工程で既に主換気通路110を開いている。
よって、副換気通路140のみから燃焼室40内に空気が吸入されるため、以下のように燃焼室40に下流が発生する。すなわち、副換気通路140から燃焼室40に吸入される空気は、図14(b)に示したように、空気流動生成形状141を介して吸入される。このため、燃焼室40で渦流Kが発生する。この渦流Kは、燃焼室40を2分割した2つの領域X、Yに対して、それぞれ発生する。
副弁400によって副弁換気通路140を開放しただけでは、燃焼室40への空気の吸入量が足りないため、次に、図15(a)に示したように、切り替え弁電磁駆動装置340を駆動して、切り替え弁本体310を上昇させて吸気通路120を開放する。よって、主換気通路110からも燃焼室40に吸気される。
切り替え弁300が吸気通路120を開閉するタイミングと副弁400が副換気通路140を開閉するタイミングは、エンジンの回転が遅いと、最初に開く副弁400の開き期間は長くなり、切り替え弁300が吸気通路120を開く期間は短くなる。一方、エンジンの回転が速いと、最初に副弁400が開くと直ぐに切り替え弁300が吸気通路120を開き、充分な空気を燃焼室40内に充填する。
吸気工程における切り替え弁300と副弁400の制御は、従来のエンジンの吸気弁のリフト量を可変した場合に相当する。すなわち、切り替え弁300が吸気通路120を開閉するタイミングと副弁400が副換気通路140を開閉するタイミングの制御は可変リフト量制御の機能と同じである。
主換気通路110、吸気通路120及び副換気通路140が開放された状態で、ピストン駆動機構31によりピストン30が上死点から下降していく。これにより燃焼室40の内圧が負圧になるため、吸気通路120、主換気通路110及び副換気通路140を通って燃焼室40内に新気が吸い込まれる。副換気通路140から吸い込まれる新気は燃焼室40で渦流Kとなる空気流動を発生するため、この空気流動によって急速燃焼が助成される。
そして、ピストン30が下死点まで移動した時点で、吸入工程が終了する。吸気工程の終了後、引き続き圧縮工程に移行する。
(2)圧縮工程
圧縮工程においては、圧縮比を可変にする場合、図15(b)に示したように、主弁電磁駆動装置240が駆動して、主弁本体210を上昇させて主換気通路110が閉塞する。また、切り替え弁電磁駆動装置340が駆動して、切り替え弁本体310を下降させて吸気通路120を閉塞するとともに、排気通路130を開放する。そして、圧縮比を可変にする場合で、大きめの圧縮比を得る場合は、ピストン30が圧縮を始める直前に、図14(b)に示したように、副弁本体410が下降して副換気通路140を開放する。これにより、燃焼室40の減圧が行われる。
圧縮比をさらに小さくしたい場合は、主弁200を閉じるタイミングを遅らせる。このように、主弁200と副弁400の開くタイミングを制御することで、広範な実圧縮比が可変となる。
ピストン30が下死点から上死点まで上昇して、燃焼室40の空気を圧縮すると、燃焼室40の空気は高温になる。仮に、燃焼室40の実圧縮比を可変にせず、高圧縮比固定だと、高負荷時にノッキング回避のために遅角点火するため、効率を高めることができない。すなわち、熱効率が最高になる圧縮比は、低負荷時は大きく、高負荷時は小さいため、負荷に合わせて最適な圧縮比が得られれば、熱効率を向上することができる。
また、減圧した空気圧を吸気通路120に導く。これにより、吸気通路120内に空気が蓄積され、吸気工程時に過給効果を持たせて、熱効率向上が計られる。ピストン30が上死点に達するより前に、第2電磁駆動装置440への通電が停止し、副弁本体410が副弁バネ220の弾性力により上昇し、副換気通路140が閉塞される。圧縮工程が終了すると、(爆発)膨張行程に移行する。
(3)(爆発)膨張工程
(爆発)膨張工程においては、図14(c)に示したように、主弁200は主換気通路110を閉塞した状態を、また、切り替え弁300は吸気通路120を閉塞した状態を維持している。副弁400は、副弁電磁駆動装置440が駆動して上昇し、副換気通路140を閉塞する。燃焼室40では、図14(c)に示したように、圧縮工程において圧縮されて高温となった、吸気時に生成された空気の渦流Kに対して、燃料噴射弁50が、高圧の燃料Pを噴射する。
噴射された燃料Pは、微細な噴霧となり、燃料Pの気化熱で、高温となった圧縮空気から熱を奪い、圧縮始温度を下げる。したがって、燃焼温度も低下するので、最高燃焼温度が低下して、NOx生成量が低下する。また、各燃料噴射弁50が噴射した燃料Pは、渦流Kの流れに乗って拡散しながら、燃焼室40の2つの領域X、Yで渦流の空気と充分に混合される。
次に、図15(c)に示したように、領域X、Yでそれぞれ拡散した燃料Pに対して、各レーザー点火栓90からレーザー光Lが照射される。照射されたレーザー光Lはレンズで集光される。燃焼室40の空気は、圧縮工程で圧縮されて高温・高圧となっているため、レーザー光Lの集光部にプラズマ熱が発生する。高エネルギーのプラズマ熱は火種(火炎核)を生成する。これにより、燃焼室40内の燃料が燃焼する。このとき、レーザー光Lの集光位置を瞬時に調整することで、複数の点で火種が生成される。
燃焼室40内での燃焼は、燃焼室40の2つの領域X、Yでそれぞれ行われるため、燃料Pは急速に燃焼する。燃焼は、燃焼室40を1つの領域で燃焼する場合に比べて半分で完了する。したがって、高圧縮比でもノッキングを抑えることが出来るので、熱効率が向上する。
また、燃焼室40は、主弁換気通路110を通って吸気される冷気によって主換気通路110の周りを冷却するため、この分の温度が低減する。さらに、主弁200が、前述のように、中空部に金属ナトリウムが封入されたことによって、温度が800℃から600℃に低下するため、自己着火によるノッキング発生が抑制され、高温圧縮比化で熱効率が向上する。さらに、このような構成により、シリンダヘッド100の温度上昇が抑えられるため、ヘッド冷却放熱量が減少し、ラジエータが小型化できる。
燃焼室40では燃料の燃焼により、燃焼ガスが膨張し、ピストン30が、図14(d)に示したように、下死点まで押し下げられる。ピストン30の下降に伴って、燃焼室40の圧力が低下する。燃焼行程が終了すると、排気工程に移行する。
(4)排気工程
排気工程においては、まず、図15(d)に示したように、主弁電磁駆動装置240が駆動して、主弁本体210を下降させて主換気通路110を開放する。また、切り替え弁300は吸気通路120を閉塞した状態を維持する。ピストン30は、下死点から上死点まで上昇し、燃焼ガスが主換気通路110と排気通路130を通って燃焼室40から押し出される。主弁200は、十分必要な燃焼ガス排出量通過の開弁面積が確保されているため、燃焼ガスが主換気通路110から十分に排気される。
主弁200が開いた後の排気工程終了付近で、図14(d)に示したように、副弁電磁駆動装置440が駆動して、副弁本体410を下降させて副換気通路140を開放する。このときの副弁400の開き力は小さい。副弁400が開くと、副換気通路140から燃焼ガスを吸気通路120に循環させる内部EGRを行う。吸気通路120内で酸素含有量が希薄になった燃焼ガスと新気が混合し、EGRができる。このようにできたEGRと外部からのクールドEGR(熱いガスを冷却した排気ガス)とを合わせて多量のEGRができる。
副弁400の開閉を副弁電磁駆動装置440によって個別に制御できるため、部分負荷時に最適な量のEGRを調整することができる。よって、部分負荷時のポンピングロスが低減し、熱効率が向上する。また、酸素量希薄空気での燃焼により燃焼温度を下げることが可能になるため、大気への放出ガス中のNOx成分量が低減するので、後処理装置の負担軽減が可能になる。
以上の(1)〜(4)の4つの工程により、1つの燃焼サイクルが終了する。本実施形態では、主弁200、切り替え弁300及び副弁400の制御を各弁に設けた主弁電磁駆動装置240、切り替え弁電磁駆動装置340、副弁電磁駆動装置440で個別に行うことができるので、各弁の開閉のタイミングを自在に制御できる。
次に、排気工程で、主弁200と副弁400が作動するときの荷重の大きさについて、図16を参照しながら説明する。主弁200は、図16に示したように、開き始め期間A1の荷重が非常に大きい。主弁200は、一旦開くと、開き状態保持期間A2の荷重は、開き始めに比して小さい。一方、副弁400は、開き始め期間から開き状態保持期間までの全期間Bにわたって弁荷重はほぼ一定である。
次に、エンジンの始動時と停止時の副弁400の動作について説明する。
エンジンの始動時には、副弁400を開放して燃焼室40を減圧(これをデコンブという)し、無負荷状態でフライホイールを回転させ、すぐに副弁400を閉塞する。これにより、エンジンの始動時の負荷を軽減することができる。
また、通常、エンジン始動時には、始動モータのスターターピニオンをフライホイールの外側に取り付けられたリングギヤに押し付けて、エンジンを始動する。このため、エンジン停止時には、従来のエンジンでは、始動モータのスターターピニオンとフライホイールの外側に取り付けられたリングギヤの噛み合い位置が、4気筒なら2箇所、6気筒なら3箇所の常に決まった位置に噛み合って止まる。よって、エンジン始動時には、フライホイールをリングギヤに押し付けて行うが、常に同じ位置が押し付けられることになる。
このため、特にリングギヤが片減りして、早い時期に噛み合いが悪くなる。よって、リングギヤの耐久寿命が低下して早期交換が必要となり、メンテナンスコストが高騰する。しかし、本実施形態では、エンジン停止時に、副弁400を開いて燃焼室40の減圧をするため、スターターピニオンとリングギヤの噛み合い位置が不規則になる。よって、前記問題が解決される。
また、エンジン停止時にピストン30が圧縮上死点に達する場合、フライホイールの回転エネルギーが小さくなり、従来のエンジンでは圧縮越えができなくなる。また、圧縮圧でピストン30が撥ね返されるため、撥ね返りながらピストン30と連接棒の慣性質量が停止すると、ピストン30と連接棒を締結するピストン・ピンとピン受け面に大きな衝撃が加わり、ピストン30と連接部尾のピン受け面が損傷し、耐久性が低下してメンテナンス費用が高騰する。
これに対して、本実施形態では、エンジンの停止時に、副弁400を開放して燃焼室40を減圧する。これにより、ピストン圧縮上死点で燃焼室40の圧が抜けてフリーの状態でピストン停止位置を不規則にする。このため、エンジンの停止時におけるピストン・ピンの衝撃が緩和されて、部品の耐久性を向上させることができる。
なお、本実施形態において、アイドリング時や極低負荷運転時は、副弁400が副換気通路140を閉塞した状態で、燃料噴射弁50から噴射される燃料51の量を少なく調整する。また、本実施形態の内燃機関10をハイブリッド車に用いる場合は、アイドリング時や極低負荷運転時は、内燃機関10の作動を停止する。
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、シリンダヘッド100の中央に配置される主弁200により、必要十分な吸気空気量通過の開弁面積が確保される。そして、各副弁400は燃焼室40の2の領域ごとに、吸気によって燃焼室40に所定の渦流Kを発生するため、急速燃焼が助成される。また、急速燃焼の実現で、燃焼時間が短縮すると異常燃焼を回避できるので、圧縮比を大きくでき、内燃機関10の熱効率が向上する。
また、燃焼室40への燃料Pの噴射方向は、燃焼室40の中心方向から所定の渦流方向にずれているため、2つの領域の渦流Kが衝突しない。よって、渦流Kの乱れを防止することができる。
また、主弁200、切り替え弁300及び副弁400が、電磁力で調整されるようにしたことにより、各弁の開閉のタイミングをそれぞれ独立して自在に制御することができる。電磁力を発生させる電磁石245、345、445の鉄心に、鉄基のアモルファス金属が用いられるため、鉄損が小さくなり、電磁駆動装置を小型化したり、駆動力を大きくしたりすることができる。このため、副弁400を備えることによる内燃機関40の大型化を最小限に抑えることができる。
さらに、円盤板241、243、341、343、441、443の永久磁石242、244、342、344、442、444と、ケース900、920、940に設けたクッション磁石902、922、942との間で、磁気クッションが行われるため、円盤板241、243、341、343、441、443とケース900、920、940との衝撃を吸収し、激突せず接触しない。
円盤板241、243、341、343、441、443及び電磁石ケース246、247、346、347、446、447に、通風口246a、247a、346a、347a、446a、447aが設けられるため、風損抵抗を軽減することができる。
また、主弁200、切り替え弁300及び副弁400の各弁を電磁駆動装置240、340、440に直接連結して駆動するため、各弁の駆動機構が簡単な構成となり、コストを抑えることができる。さらに、各弁を駆動するために、従来用いられていたばねやロッカアームを用いなくてもよいため、全高を下げることができる。
また、主弁電磁駆動装置240にキャパシタ600を備えるようにしたことにより、電磁駆動装置240を駆動するバッテリ510のエネルギーを削減することができる。このため、エンジン駆動発電機の負荷が軽減され、内燃機関10の熱効率が向上する。
さらに、副弁400の開閉を副弁電磁駆動装置440によって個別に制御できるため、排気工程終了付近で、副弁400を開き、副換気通路140から燃焼ガスを吸気通路120に循環させる内部EGRを行い、部分負荷時に最適な量のEGRを調整することができる。よって、部分負荷時のポンピングロスを低減することによって、内燃機関10の熱効率を向上することができる。さらに、内燃機関10単体での大気放出ガスを後処理なしで、さらにクリーンにすることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図17〜図22を参照しながら説明する。本実施形態の内燃機関1010は、主弁1200及び切り替え弁1300の構成が第1の実施形態の主弁200及び切り替え弁300と異なるものであり、その他、シリンダ20、ピストン30、燃焼室40、燃料噴射弁50、レーザー点火栓90、シリンダヘッド100、副弁400、弁駆動装置500、駆動装置700、800などの構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、本実施形態では、燃料噴射弁50の燃料噴射方向は、エンジン回転数にかかわらず1方向のみであってもよい。また、燃料噴射弁50の燃料噴射方向は、第1の実施形態と同様に2方向に分かれるようになっていてもよく、3方向以上に分かれるようになっていてもよい。
本実施形態では、図17及び図18に示したように、電磁石A1902が上ケース1900に配置される。電磁石A1902は上ケースカバー1910にカバー取付けボルト1991で固定される。上ケースカバー1910にはブリーザ1907が取り付けられる。上ケース1900は、ケース固定フランジ1901を介してフランジ取り付けボルト1903及びフランジ取り付けナット1905によってシリンダヘッド100に固定されている。
主弁電磁駆動装置1240は、図17及び図19に示したように、主弁上円盤板1241に両端開放の主弁上円盤板永久磁石1242が埋め込められ、電磁石A1902と電磁石B1245間で電磁力を生成する。主弁下円盤板1243は主弁円盤板固定スペーサ1248を介して主弁上円盤板1241に挟まれロックナット1250で固定される。ロックナット1250は図示していないねじ溝部に緩み止めの金具が挿入されて緩まない構造である。
主弁下円盤板1243には、片端開放の主弁下円盤板永久磁石1244が埋め込められる。主弁下円盤板1243の背面は空気ばね室1990のピストンを形成する。
切り替え弁電磁駆動装置1340は、図17及び図20に示したように、電磁石C1345が中ケース1920と下ケース1940の間に電磁石C上ケース1346と電磁石C下ケース1347を介して配置される。切り替え弁上円盤板1341と切り替え弁下円盤板1343が電磁石C1345を挟むように切り替え弁円盤板固定スペーサ1348を介してロックナット1350で固定される。
切り替え弁上円盤板1341と切り替え弁下円盤板1343には、片端開放の切り替え弁上円盤板永久磁石1342と切り替え弁下円盤板永久磁石1344とが埋め込まれている。切り替え弁上円盤板1341の背面は、空気ばね室1990のピストンを形成する。切り替え弁上円盤板1341と主弁下円盤板1243の背面との間で、空気ばね室1990が構成される。
空気ばね室1990へは圧縮空気が送り込まれ、図21に示したように、空気ばね室逆止弁1992で封じ込められて空気ばねとなる。空気ばね室1990へ送り込まれる圧縮空気の圧力は、主弁1200と切り替え弁1300が戻る力と関係する。高い圧縮圧は各弁の着座衝撃が大きくなり、耐久性が悪くなる。一方、低過ぎると各弁の着座力が足りずにガスが漏れる。従って、適切な圧力の圧縮空気が空気ばね室1990へ送り込まれる。また、空気ばねを構成する上部の主弁本体1210を支える主弁下円盤板1243と中ケース1920との隙間には空気漏れを防ぐ上部シール1996が配置される。さらに、下部の切替弁ガイドバー1312を支える切り替え弁上円盤板1341と中ケース1920との隙間には空気漏れを防ぐ下部シール1998が配置される。
下ケース1940と切り替え弁ガイドバー1312の摺動部には、潤滑油が補給されて、摩耗及び焼き付きが防止される。図17及び図18に示したように、下ケース1940と切り替え弁ガイドバー1312との間にガイドシール1994が配置されて、潤滑油が燃焼室40側へ流れ込まないよう調整される。切り替え弁ガイドバー1312の内側と主弁ステム1211との間は、主弁ステム1211の摺動部にセラミックがコーティングされて、無給油で摩耗と焼き付きを防止する。
副弁1400は、図22に示したように、第1の実施形態の副弁400と同様の構成であるため、説明を省略する。
次に、主弁1200及び切り替え弁1300の動作について説明する。まず、主弁1200の動作について、図23を参照しながら説明する。
(1)通電制御回路550からの電気指令により主弁1200が開弁し、開弁が保持される場合。(図23(a))
通電指令通電動作は、予め設定した弁開き時期・開き期間などのデータに基づいて行われる。主弁1200の開弁時に主弁起動回路560より電磁石A1902及び電磁石B1245にキャパシタ600からの補助電力を加えて大電力が通電される。よって、電磁石A1902及び電磁石B1245と主弁上円盤板永久磁石1242及び主弁下円盤板永久磁石1244との間に電磁力が生成される。この電磁力によって主弁本体1210が稼働して開く。
この主弁本体1210の稼働によって空気ばね室1990で空気が圧縮され、電磁石B1245へ供給される電力が主弁起動回路560から主弁保持回路570に切り替わる。よって、主弁上円盤板永久磁石1242と電磁石B1245との間で斥力と空気ばね圧がバランスし、主弁1200の開いた状態が保持される。
(2)通電制御回路550からの電気指令により主弁1200が閉弁する場合。(図23(b))
通電指令通電動作は、予め設定した弁開き時期・開き期間などのデータに基づいて行われる。主弁閉じ回路580より電磁石A1902及び電磁石B1245に通電される。よって、電磁石A1902及び電磁石1245に磁力が生成されて空気ばね室1990の戻りで主弁本体1210が着座する。空気ばね室1990の戻りエネルギーは磁気クッション力より逆流してくる電力をキャパシタ充電回路590に取り込み、キャパシタ600を充電する。
また、主弁保持回路570の作動時は、キャパシタ600はバッテリ510より昇圧回路520で昇圧した電圧にてキャパシタ充電回路590より充電される。バッテリ510の充電は別途図示していない発電機により行われる。
次に、切り替え弁1300の動作について、図24を参照しながら説明する。
(1)通電制御回路750からの電気指令により切り替え弁1300が吸気通路120を開弁する場合。(図24(a))
通電指令通電動作は、予め設定した弁開き時期・開き期間などのデータに基づいて行われる。図24(a)に示したように、切り替え弁吸気側回路770より電磁石C1345に電力が通電される。よって、電磁石C1345と切り替え弁上円盤板永久磁石1342及び切り替え弁下円盤板永久磁石1344との間に電磁力が生成される。この電磁力によって切り替え弁本体1310が稼働して吸気通路120が開く。
この切り替え弁本体1310の稼働によって切り替え弁電磁駆動装置1340の上部の空気ばね室1990の空気が圧縮され、切り替え弁上円盤板永久磁石1342と電磁石C1345との間で斥力と空気ばね圧がバランスし、切り替え弁1300の吸気通路120を開いた状態が保持される。
(2)通電制御回路750からの電気指令により切り替え弁1300が排気通路130へ移動して吸気通路120を閉弁する場合。(図24(b))
通電指令通電動作は、予め設定した弁開き時期・開き期間などのデータに基づいて行われる。切り替え弁排気側回路760より電磁石C1345に通電される。よって、電磁石C1345に磁気が生成されて空気ばね室1990の戻りで主弁本体1210が着座する。空気ばね室1990の戻りエネルギーは磁気クッション力より逆流してくる電力をキャパシタ充電回路590に取り込み、キャパシタ600を充電する。
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、必要最小限の開弁開き力が得られる。また、空気ばねによる戻り回生でエネルギー効率が向上する。さらに、空気渦流方向に沿って1方向噴射で良好な燃費が得られる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、燃焼室への燃料の噴射方向は、燃焼室の中心方向から所定の渦流方向にずれている構成としたが、本発明はこの例に限定されない。
また、上記実施形態では、主弁、切り替え弁及び副弁は、電磁力で調整される構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、カムとロッカアームとを備えた駆動装置で駆動してもよい。
また、上記実施形態では、電磁駆動装置の電磁石の鉄心にアモルファス合金を使用する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば電磁鋼板でもよい。
また、上記実施形態では、永久磁石が配置される円盤板を、弁ステム又は切り替え弁ガイドバーに取り付ける構成としたが、本発明はこれに限定されない。
主弁の円盤板の永久磁石は、ネオジウム鉄ホウ素合金製(NeFB磁石)である構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、フェライト磁石もよい。
切り替え弁の永久磁石及び副弁の永久磁石は、フェライト磁石である構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ネオジウム鉄ホウ素合金製(NeFB磁石)でもよい。円盤板の永久磁石と、電磁石ケースに設けた永久磁石との間で、磁気クッションが行われる構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、磁気クッションと同等な作用を備えたものであれば、他の構成でもよい。
円盤板及び電磁石の電磁石ケースに、通風口が設けられる構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、開口が設けられていない構成としてもよい。