JP6032734B2 - しわ改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は、しわ改善剤に関する。
皮膚は、表面から順に表皮、真皮、皮下組織からなる3層構造を有している。真皮もまた3層構造を有し、表皮突起間に食い込んだ乳頭層、その直下に存在する乳頭下層、さらにその直下に存在する網状層からなる。乳頭層における線維部分は疎であり、毛細血管や細胞成分に富んでいる。乳頭下層もその線維部分は疎であり、乳頭層と同じく毛細血管や細胞成分に富み、その成分は乳頭層とほぼ同じである。網状層は真皮の大部分を占める層であるが,線維成分が密な結合組織である。
真皮を構成する成分は、線維性組織を形成する間質成分と、その産生細胞などから構成される細胞成分である。間質成分の大部分はコラーゲン線維であり、そのほかに弾性線維や細網線維が間質成分に含まれる。細胞成分として、線維芽細胞やマクロファージ、マストセルなどが存在する。
ところで、真皮におけるコラーゲン線維や弾性線維の減少や変性が老化に伴うしわやたるみの原因の一つと考えられている。コラーゲン線維は、皮膚の力学的な強度を保つ支持組織として重要であり、線維の走行に沿って働く張力に対しては抵抗が強い。これに対し、弾性線維はきわめて弾力性に富み、皮膚の弾力性をつくり出す線維である。弾性線維は真皮の深部にいくほど太くなり、網状層ではコラーゲン線維束の間にほぼ均等に散在し、表皮に対して平行に存在する。乳頭層に近づくにつれ線維は細くなり、表皮に対して垂直に存在するようになる。
Fibrillin (フィブリリン)は、身体の様々な部位の結合組織に存在する細胞外マイクロフィブリルを構成する主要な糖タンパクで、皮膚を引っ張ると通常より伸びやすいという症状を呈するMarfan syndrome(マルファン症候群)で遺伝子変異や量の減少が報告されている(非特許文献1)。ヒトではフィブリリン1、フィブリリン2、フィブリリン3の3種類が知られており、どれも弾性線維の主要な構成要素であるが、フィブリリン1は弾性線維の構造支持、フィブリリン2が弾性線維の会合の初期段階の調整に関与するといわれている(非特許文献2)。弾性線維は、このフィブリリンを構成成分として多数の弾力線維成分が重合して形成されるマイクロフィブリルに、エラスチンの分子であるトロポエラスチンが集合配列し、さらにリジルオキシダーゼにより分子間が架橋された不溶性の線維である。いわゆる皮膚の老化現象(いわゆる光老化)として観察される日光性弾力線維症では、この弾性線維が破壊され、定常状態において弾性線維の構成成分であるフィブリリンのmRNAの発現レベルに変化が観察されており(非特許文献3)、光老化においてフィブリリンは減少するとの報告もある。(非特許文献4)。すなわち、フィブリリンのmRNAの発現の高まりによりフィブリリンが産生されると、真皮中の弾性繊維が増加して不溶性線維が増加することによって、皮膚の弾性力が維持され又は皮膚の弾性力が回復すると考えられる。従って、フィブリリンの産生促進が、皮膚のしわやたるみの予防や、しわやたるみの改善に寄与し得ることが期待される。
例えば、特許文献1には、α−S2カゼイン前駆物質中に含まれる特定のアミノ酸配列を含むペプチドが、線維芽細胞におけるフィブリリンの産生を刺激して、皮膚のしわやたるみ、皮膚の損傷部位の再生の遅延を改善し、あるいは歯周病の予防乃至治療に効果を発揮することが開示されている。また、特許文献2には、デスチオビオチン化合物がフィブリリン1の産生促進を通じて抗エラスターゼ活性を亢進させることにより、エラスチン線維の再生を助長して、エラスチンを含む組織において弾力性を改善させることが開示されている。
ところで、皮膚の健康や機能の低下を予防あるいは改善に寄与することを目的としたホオズキ属植物の抽出物を含む外用組成物が、特許文献3〜6に開示されている。例えば、特許文献3には、ホオズキ属(Physalis)植物の抽出物(全草又は茎葉の使用)を含む外用組成物が皮膚の機能の低下を予防あるいは改善する効果に優れていることが記載されている。特許文献4には、ホオズキ属植物の一種である苦職(Physalis angulata)の抽出物(全草の使用)がエラスターゼ活性阻害を示し、当該エラスターゼ活性阻害作用により皮膚の張りや弾力が保持されることが記載されている。さらに、特許文献5には、ストレスを負荷したトマチロ(Physalis philadelphica)の抽出物(全草の使用)が細胞外プロテアーゼの阻害作用を示し、また、特許文献6には、Physalis minima(葉の使用)の抽出物が線維芽細胞中のG6PDH活性を刺激して、それぞれ皮膚の老化を妨げることが記載されている。
このような背景技術の下、本願発明者らは、係るホオズキ属植物の抽出物の作用に着目して研究を進めたところ、ホオズキ属植物の抽出物がフィブリリン1の産生促進活性を有することを見いだし、その活性本体は5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)であることを突き止めた。
5−HMFはフルクトースが加熱されて生成する化合物として知られており、例えば梅肉などグルコースやフルクトース分子を含む天然物を加熱あるいは調理した場合に5-HMFが生成する。
しかしながら、これまでのところ、5−HMF及びその誘導体が血流改善効果を有することが特許文献7に、5−HMF及びその誘導体が抗がん作用を有することが特許文献8に、5−HMF及びその誘導体がヘリコバクターに対する抗菌作用を有することが特許文献9に、また5−HMFが免疫抑制作用を有することが特許文献10に、5−HMFが抗炎症作用や抗アレルギー作用を示すことが特許文献11にそれぞれ記載されているものの、5−HMF及びその誘導体がフィブリリン1の産生を促進し、肌の張りやしわの改善に寄与することについての報告は知られていない。
特表2005−531539号公報 特表2011−507866号公報 特開2002−212089号公報 特開2002−179581号公報 特開2008−520588号公報 特表2003−530419号公報 特開平11-228561号公報 特開2006−206489号公報 特開平11−001429号公報 特開平02−085211号公報 特開2010−248107号公報
Aoyama T et al. J. Clin. Invest. 94: 130-137, 1994 Zhang H et al. J. Cell Biol. 129: 1165-1176, 1995 Bernstein et al., Journal of Investigative Dermatology, 103, 182-186, 1994 Rachel E.B. et al., Journal of Investigative Dermatology, 112, 782-787, 1999
本願発明は、フィブリリン1の産生を促進して皮膚の弾性を高め、皮膚のしわやたるみの予防や改善に寄与する外用組成物を提供することを目的とする。
本発明は、化学式1に示すフルフラール誘導体をフィブリリン1の産生促進剤として利用することを特徴としている。
本発明によると新規なフィブリリン1の産生促進剤及びしわやたるみの改善に有効な皮膚外用剤が提供される。
図1はシマホオズキ果実抽出物によるフィブリリン1産生遺伝子(m-RNA)の発現量を示すグラフである。 図2はシマホオズキ果実抽出物の分画方法を示す図である。 図4はシマホオズキ果実抽出物の各分画画分におけるフィブリリン1産生遺伝子(m-RNA)の発現量を示す図である。 図4はシマホオズキ果実抽出物を含む組成物によるしわ改善作用を示す図である。 図5はシマホオズキ果実抽出物を含む組成物によるしわ改善作用を示すグラフである。 図6はシマホオズキ果実抽出物を含む組成物による乳頭突起改善作用を示す画像である。
本発明のフィブリリン1の産生促進剤は、化学式1に示すフルフラール誘導体からなる群から選ばれる1又は2以上の化合物を有効成分とする。本明細書において、フルフラール誘導体とは、フルフラール骨格又はテトラハイドロフルフラール骨格を有する化合物を意味し、化学式1のR1〜R4は化学式1中に示された置換基を有する。本発明においては、化学式1に示すフルフラール誘導体の中でも、R4がアルデヒド基であるフルフラール及びその誘導体又はR4がヒドロキシメチル基であるフランが好ましい。
フィブブリン1は弾性線維を構成する成分の1つであり、フィブブリン1の生産が弾性線維の構築を促す。従って、本発明に係るフィブブリン1の産生促進剤をヒト、特に皮膚に適用した場合、皮膚のしわやたるみ、失われた張りの改善、しわやたるみの予防や張りの維持が期待される。また、皮膚のしわやたるみの改善のみならず、皮膚の損傷を伴う疾患の改善や歯周病の予防や治癒が期待される。
また、本発明のフィブブリン1の産生促進剤は、シマホオズキの果実の抽出物を有効成分とする。シマホオズキ(Physalis Peruviana)はホオズキ属に属する植物であって、本発明においてはシマホオズキの果実の抽出物が用いられる。抽出に使用される溶媒は5−HMFを抽出できる溶媒であればよく、親水性溶媒又は親油性溶媒の何れでもよい。溶媒は、例えば、水やエタノール、メタノール、プロピルアルコール(直鎖及び分岐鎖を問わない)、ブタノール(直鎖及び分岐鎖)、アセトン、ヘキサン、アセトニトリルであり得る。また、2種以上の溶媒の混液でもよい。多量の5−HMFを含む抽出物を得るためには、親水性溶媒が好ましい。親水性溶媒なる用語は、当業者が用いる通常の意味で用いられ、水及び水と混合可能な有機溶媒である。有機溶媒は、例えば、メタノールであり、エタノールであり、プロピルアルコールであり得る。また、親水性溶媒は、好ましくは水と混合可能な有機溶媒であり、水とエタノールやメタノールの混液が望ましい。
抽出は常法により行われる。例えば、シマホオズキの果実を前記溶媒に浸漬し、室温で数時間から数日放置する方法が例示される。また、抽出時に加温、加熱してもよい。得られた抽出液は、必要に応じて、目的とする5−HMFを吸着しない樹脂、例えば芳香族系の合成吸着剤と接触させて不要な成分が除去され得る。当該芳香族系の合成吸着剤として、例えば、ダイアイオン(商標名:三菱化学株式会社)HP-20やHP-21、セパビーズ(商標名:三菱化学株式会社)SP-825LやSP-850が例示される。また目的とする5−HMFを吸着する樹脂、例えばODSのような合成吸着剤と抽出液を接触させ、その後吸着剤から吸着成分を溶出させる濃縮操作も行い得る。この際、吸着成分を溶出させるための溶媒は、水とエタノールとの混液、好ましくは10〜50%(v/v)のエタノール水溶液であり、さらに望ましくは10%(v/v)エタノール水溶液である。また、5−HMFを溶出する前に、水で不要な成分を除去しておくことが望ましい。前記合成吸着剤との接触は、合成吸着剤に目的とする成分(5−HMF又は不要な成分)が吸着される方法であれば如何なる方法でもよく、例えば、抽出液に合成吸着剤を投入して攪拌する方法、合成吸着剤を充填したカラムに抽出液を通液する方法が例示される。また、ろ過や遠心分離などの適当な方法により、抽出液と接触させた合成吸着剤は抽出液と分離される。
本発明に係る抽出物は、例えば液体(抽出液)であり、抽出液を濃縮したエキスであり、凍結乾燥などの手法により粉末状にした固体でもあり得る。
得られた抽出物や前記化合物はフィブリリン1の産生促進剤、すなわち、投与されたヒトにおいてフィブブリン1の産生を促進させるために用いられる。また、当該抽出物及び/又は前記化合物を有効成分とする組成物の製造のために用いられる。当該組成物は例えば皮膚のしわやたるみの防止や改善に用いられる。また、歯周病の予防や治療など、弾性線維の構築に基づき病態の改善や予防が期待される疾患のための組成物として提供される。
当該組成物は有効量の前記抽出物及び/又は前記化合物と、製剤化のために必要な成分を含む。組成物は外用組成物及び内服用組成物、注射用組成物のいずれでもよく、またその剤型も問われない。外用組成物の剤型は、例えば、クリームであり、軟膏であり、硬膏であり、ローションであり、乳液であり、液剤であり得る。内服用組成物は、例えば、錠剤であり、散剤であり、顆粒剤であり、液剤であり、シロップ剤であり得る。注射用組成物は、例えば、注射剤であり、点滴剤であり得る、これらの組成物は、製剤化のために必要な成分とともに常法により製造される。製剤化に必要な成分として、例えば、外用組成物のために、各種水性基剤や油性基剤などが、内服用組成物のために、各種賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、コーティング剤などが、注射用組成物のために、注射用精製水などが例示される。また、必要に応じてpH調製剤や着色剤、安定剤、酸化防止剤なども用いられる。
本発明の組成物は有効量の抽出物又は化合物を含む。組成物中の配合量は適用される人の性別、体重、年齢、症状、剤型などによって適宜変更しうるものであるが、組成物中の下限量は、例えば、組成物1g又は1ml中、0.001μgであり、0.01μgであり、0.1μgであり、1μgであり、5μgであり、10μgであり、0.1mgであり、0.5mg、1mgであり得る。また、その上限量は、999mgであり、500mgであり、100mgであり、50mgであり、10mgであり、5mgであり、2mgであり得る。また、抽出物中の5−HMF及び/又はその他の化合物の含有量(総量)は、抽出物1g中1μg以上であり、10μg以上であり、0.1mg以上であり、1mg以上であり、5mg以上であり、10mg以上であり、50mg以上であり得る。
次に本発明について実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されることがないのはもちろんである。
(1)シマホオズキ果実抽出物のFibrillin-1産生促進活性
シマホオズキ果実(Physalis Peruviana Fruit)の乾燥物120gに50%(v/v)エタノール水溶液1200gを加え、室温下で6日間抽出し、ろ過後、ろ液を回収した。ろ液をエバポレーターにて減圧乾固し、溶媒を取り除いた。その結果、乾燥質量で13.4gのシマホオズキ果実抽出物を得た。シマホオズキ果実抽出物の1%(w/v)水溶液を調整し、合成吸着剤(商品名DIAION HP20)を充填したカラムに通した。カラムに吸着されることなくカラムを通過した液をエバポレーターにて減圧乾固し、溶媒を取り除き、乾燥重量で11.0gの固形分を得た。この抽出固形分の1gに、49gの蒸留水と50gの1,3-ブチレングリコールを加えて、試料溶液とした。この結果、図1に示すように、シマホオズキの果実の抽出物に、フィブリリン1の産生促進作用が認められた。なお、この抽出物は約0.65%(6.5mg/g)の5−HMFを含む。
(Fibrillin-1産生促進活性の測定)
ヒト真皮線維芽細胞4×104Cells/mLを10% FBS含有DMEMに分散し24well plateの各wellに500μLずつ播種した。37℃,5%CO2下で3日間インキュベート後、培地を除去し、PBS(-)で洗浄した。450μLのDMEM(10%FBS)と培地交換を行い、上記で得られた試料溶液(終濃度で抽出物を5000ppm含む)を含むDMEM培地を50μL添加した。1時間後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN)でTotal RNAを回収した。回収したTotal RNAはPrimeScript(商標名) RT Reagent Kitを用いてcDNAに逆転写し、real time PCRに供した。real time PCRはPower SYBR(商標名) Green PCR Master Mixを用いて7500 Real Time PCR Systemで行い、Fibrillin-1 mRNA及びGAPDH mRNAの発現促進活性を測定した。コントロール群として試料溶液の代わりに50W/W%の1,3-ブチレングリコール水溶液を用いて同様の試験を行った。Real Time PCR用プライマー及びPCR条件をそれぞれ表1、表2に示す。Fibrillin-1 mRNAの発現量の変化は、コントロール群のFibrillin-1 mRNAのCt値をGAPDHのCt値で補正した値を1とし、それに対する相対量として産生促進活性(mRNA発現度:ratio/control)として求めた。
(2)シマホオズキ果実抽出物の分画
次に、図2に示す分画操作に従い、フラクションFr.-AからFr.-Eまでの分画画分を得た。すなわち、上記(1)で得たシマホオズキ果実抽出物(合成吸着剤通過後の固形分)を90%(v/v)アセトニトリル水溶液に溶解し、溶液をエバポレーターにて減圧乾固し、溶媒を取り除き、2.8gの乾燥重量を得た。次に90%アセトリトリル水溶液により抽出して得た固形分2.8gを5.6mLの蒸留水で溶解し、ODSを充填したカラムに通した。その後、カラムに、水、10%(v/v)エタノール水溶液、50%(v/v)エタノール水溶液で順次溶出した。また、10%(v/v)エタノール水溶液の溶出画分については、HPLCにおける溶出時間によって順次フラクションB(Fr.-B:r.t.14min付近に現れるピーク部分)、フラクションC(Fr.-C:r.t.18min付近に現れるピーク部分)、フラクションD(Fr.-D:22min付近に現れるピーク部分)に分画した。以下にHPLCの条件を示す。
(HPLC条件)
Column:CHEMCOBOND 5-ODS-W size6.0×150(6A)
Flow Rate:1.0 mL/min、Column Oven:30℃
Wavelength for UV detection:210nm
各画分を、終濃度でシマホオズキ果実抽出固形分100ppm中の濃度となるようにDMEM培地に溶解してそれぞれ試料を調製して、上記の条件でFibrillin-1の発現促進活性をELISA法により測定した。また、各分画を含まない試料をコントロールとした。その結果を図3に示す。フラクションD(Fr.-D)に強いフィブリリン1の産生促進作用が見いだされた。
(3)Fr.-D中に含まれる活性成分の構造決定
上記フラクションDに含まれる活性成分について、IR(赤外分光法)、NMR(核磁気共鳴分光法)、UV(紫外分光法)により構造決定を行った。その結果、次に示すピークが観察され、フラクションDの成分は5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)であると構造決定された。
UV:(MeOH)λMax 284nm
IRKBrcm-1 :3400(OH)、2850(CHO)、1670(C=O)
1H-NMR(DMSO-d6)δ、300MHz:
4.5(2H, s, -CH 2 -)、6.6(1H, d, J=3.6, -CH2-C=CH-)、
7.5(1H, d, J=3.6-CH=C-CHO)、9.5(1H, s, -CHO)
13C-NMR(DMSO-d6):56、110、125、152、162、178
シマホオズキ果実抽出物を含む下記の外用組成物(約0.0003%の5−HMFを含む。)を作製し、しわ改善効果を確認した。8名のパネラー(26才〜57才の男性)に、当該組成物の適量を朝晩各1回、1ヶ月間、顔に塗布してもらった。その結果を図4及び図5に示す。また、7名のパネラー(26才〜57才の男性)において、共焦点レーザー生体顕微鏡(vivascope)を用いて乳頭突起の状態変化を観察した。その結果を図6に示す。シマホオズキ果実抽出物を含む組成物を使用した場合には目の周囲のしわが改善され、対照に比べて目の周囲のしわの数は70%程度に減少した。また、乳頭突起の状態についても、1ヶ月間の使用により、大きさや分布が不均一だった乳頭突起が改善し、肌のつやがよくなった。
表4に示す化合物について、フィブリリン1の産生促進活性について調べた。シマホオズキエキス中に含まれるHMFの濃度と同じ濃度の各化合物を含む試料溶液を調製し、実施例1に記載の方法に準じてフィブリリン1の産生促進活性を測定した。その結果を表3に示した。これによると、下記に示す化合物はフィブリリン1の産生促進活性を示し、特にフルフラール誘導体及びテトラヒドロフルフリルアルコールに高い産生促進活性が認められた。
以下に、本発明に係る組成物を作製した。
<処方例1> 化粧水 (質量%)
シマホオズキ果実抽出物(固形分) 0.05
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.0.) 1.5
1,3−ブチレングリコール 5.0
グリセリン 3.0
防腐剤・酸化防止剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
<処方例2> クリーム (質量%)
5−HMF 0.0005
ミツロウ 2.0
ステアリルアルコール 5.0
ステアリン酸 8.0
スクワラン 10.0
自己乳化型グリセリルモノステアレート 3.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.0.) 1.0
プロピレングリコール 5.0
水酸化カリウム 0.3
防腐剤・酸化防止剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
<処方例3> 乳液 (質量%)
シマホオズキ果実抽出物(固形分) 0.02
スクワラン 8.0
ワセリン 2.0
ミツロウ 0.5
ソルビタンセスキオレエート 0.8
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.0.) 1.2
カルボキシビニルポリマー 0.2
プロピレングリコール 0.5
水酸化カリウム 0.1
エタノール 7.0
防腐剤・酸化防止剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
<処方例4> 美容液 (質量%)
5−メチル−2−フルフラール 0.0003
リン酸L−アスコルビルマグネシウム 0.5
ソルビット 4.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.5
POEモノラウリン酸ソルビタン 0.4
寒天 1.0
ネイティブジェランガム 0.5
トリメチルグリシン 1.0
防腐剤 適 量
pH調整剤 適 量
(pH8.0に調整)
精製水 残 部
合 計 100.0
<処方例5> パック剤 (質量%)
シマホオズキ果実抽出物(固形分) 0.2
酢酸ビニル樹脂エマルジョン 15.0
ポリビニルアルコール 10.0
ホホバ油 3.0
グリセリン 5.0
酸化チタン 8.0
カオリン 7.0
エタノール 5.0
香料 適 量
防腐剤・酸化防止剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
<処方例6> 軟膏 (質量%)
シマホオズキ果実抽出物(固形分) 0.1
レゾルシン 0.5
パラジメチルアミノ安息香酸オクチル 4.0
ブチルメトキシベンゾイルメタン 4.0
ステアリルアルコール 18.0
モクロウ 20.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 0.3
ワセリン 33.0
香料 適 量
防腐剤・酸化防止剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
<処方例7> クリームファンデーション (質量%)
シマホオズキ果実抽出物(固形分) 0.05
タルク 5.0
セリサイト 8.0
酸化チタン 5.0
色顔料 適 量
モノイソステアリン酸ポリグリセリル 3.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.5
イソノナン酸イソトリデシル 10.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
酸化防止剤 適 量
防腐剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
<処方例8> 日焼け止め化粧料 (質量%)
2−ヒドロキシメチルフラン 0.0002
酸化チタン 10.0
酸化亜鉛 10.0
PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.5
ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.5
シクロペンタシロキサン 20.0
ジメチコン 10.0
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 0.5
セチルジメチコン 0.25
グリチルレチン酸エステル 0.05
メチルグルセス−20 1.0
1,3−ブチレングリコール 10.0
塩化ナトリウム 適 量
酸化防止剤 適 量
防腐剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
<処方例9> パウダーファンデーション (質量%)
テトラヒドロフルフリルアルコール 0.001
タルク 43.0
カオリン 18.0
マイカ 8.0
酸化亜鉛 10.0
酸化チタン 5.0
着色顔料 適 量
ステアリン酸マグネシウム 6.0
流動パラフィン 4.0
白色ワセリン 1.0
グリチルレチン酸ステアリル 0.05
セレシン 1.0
ミリスチン酸イソプロピル 1.5
防腐剤・酸化防止剤 適 量
香料 適 量
本発明による新規なフィブリリン1産生促進剤が提供される。これにより、肌の張りやしわの改善に寄与する外用組成物やフィブリリン1が関与する各種疾病の治療に貢献し得る新規な医薬組成物が提供される。

Claims (10)

  1. 化学式1に示すフルフラール誘導体からなる群から選ばれる1又は2以上の化合物を有効成分とするフィブリリン1の産生促進剤
  2. シマホオズキの果実の親水性溶媒による請求項1に記載の少なくとも1以上の化合物を含む抽出物を有効成分とするフィブリリン1の産生促進剤。
  3. 前記化合物は、5−ヒドロキシメチルフルフラールである請求項2に記載のフィブリリン1の産生促進剤。
  4. 親水性溶媒を用いてシマホオズキの果実から抽出液を得る工程と、前記抽出液を芳香族系合成吸着剤と接触させる工程と、その後に前記芳香族系合成吸着剤と抽出液を分離する工程と、前記芳香族系合成吸着剤が分離された抽出液を取得する工程を含む方法により得られた抽出物を含むフィブリリン1の産生促進剤。
  5. フィブリリン1の産生促進剤の製造方法であって、
    親水性溶媒を用いてシマホオズキの果実から抽出液を得る工程と、前記抽出液を芳香族系合成吸着剤と接触させる工程と、その後に前記芳香族系合成吸着剤と抽出液を分離する工程と、前記芳香族系合成吸着剤が分離された抽出液を取得する工程とを、
    含む方法。
  6. 化学式1に示すフルフラール誘導体からなる群から選ばれる1又は2以上の化合物を有効成分とするしわやたるみの改善用組成物。
  7. 0.0003%(質量)以上の前記化合物を含む請求項6に記載のしわやたるみの改善用組成物。
  8. しわやたるみの改善用組成物の製造方法であって、
    化学式1に示すフルフラール誘導体からなる群から選ばれる1又は2以上の化合物、シマホオズキの果実の親水性溶媒による化学式1に示すフルフラール誘導体からなる群から選ばれる1又は2以上の化合物を含む抽出物の少なくとも何れかを配合することを特徴とする製造方法。
  9. 親水性溶媒を用いてシマホオズキの果実から抽出液を得る工程と、その後に前記抽出液を芳香族系合成吸着剤と接触させる工程と、前記芳香族系合成吸着剤と接触させた抽出液を取得する工程を含む方法により得られた抽出物を含有せしめる請求項8に記載の製造方法。
  10. 0.0003%(質量)以上の前記化合物を含有せしめる請求項8又は9に記載の製造方法。
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