本発明の一実施形態によるアンテナ切り替え受信システムについて、図面を参照して説明する。図1は、HEMS(Home Energy Management System)等と称されるエネルギー管理システムを示す。HEMSとは、宅内の家電機器等を通信ネットワークで接続し、配電盤や家庭用発電設備などと共に統合制御することで、省電力化のための情報提示や自動制御を行うシステムである。HEMS100は、HEMSコントローラ101と、各種の家電機器102と、太陽光発電機103と、燃料電池104と、蓄電池105と、電気自動車106と、情報処理端末107と、分電盤108等によって構成される。分電盤108には、電力計測通信装置108aが内蔵されている。分電盤108は、屋外のスマートメータ109と接続される。スマートメータ109は、電力会社からそれぞれのユーザー宅に提供され、送電線から分電盤108に給電を行い、また分電盤108内の主幹電力を測定する。また、電力会社のサーバ110から各ユーザー宅に各種の情報(例えば、節電の要請など)が、スマートメータ109及び電力計測通信装置108aを経由してHEMSコントローラ101に入力される。電力計測通信装置108aとスマートメータ109とは、有線又は無線にて接続される。電力計測通信装置108aは、分電盤108の外部に設けられ、分電盤108と有線等にて接続される形態であってもよい。スマートメータ109は、他の家屋のスマートメータ109及び電力会社のサーバ110等と無線又は有線によって接続され、スマートメータネットワークを構成する。
HEMSコントローラ101は、無線式の省エネルギー制御装置であり、上述したネットワークの中核となって各種機器の制御を司る。HEMSコントローラ101と家電機器102、太陽光発電機103、燃料電池104、蓄電池105、電気自動車106、情報処理端末(モニタ装置)107及び分電盤108等(以下、家電機器102等とする)とは、有線又は無線によって双方向の通信が確立される。各機器は、別の機器を介してHEMSコントローラ101と接続される構成であってもよい。例えば、燃料電池104は、分電盤108の電力計測通信装置108aと有線にて接続され、電力計測通信装置108aは、HEMSコントローラ101と無線にて接続されていてもよい。この場合、燃料電池104とHEMSコントローラ101との間において、電力計測通信装置108aを経由して有線及び無線によって双方向の通信が確立される。
図2は、HEMS100におけるHEMSコントローラ101と、各種の家電機器102の概略構成を示す。HEMS100を構成する各種機器において、無線通信を行う機器、例えばHEMSコントローラ101及び家電機器102等のそれぞれには、対応する送信システムと受信システムが搭載されている。この受信システムとして適用されるのが、本発明の一実施形態によるアンテナ切り替え受信システム1であり、対応する送信システムとして適用されるのが、本発明の送信システム70である。すなわち、HEMSコントローラ101の送信システム70が機能する場合、家電機器102等のアンテナ切り替え受信システム1が機能して、無線信号の送受信が行われる。一方、家電機器102等の送信システム70が機能する場合、HEMSコントローラ101のアンテナ切り替え受信システム1が機能して、無線信号の送受信が行われることになる。なお、図2は、HEMSコントローラ101と家電機器102の構成について例示しているが、家電機器102に替えて電力計測通信装置108a等の機器を適用してもよい。
図3はアンテナ切り替え受信システムを示す。アンテナ切り替え受信システム1は、受信器2と複数のアンテナA,B等によって構成される。受信器2は、アンテナ切替部3と、RFIC4と、CPU5と、メモリ6等によって構成されている。
アンテナ切替部3は、CPU5から出力された制御信号に応じて、2つのアンテナA,Bのうち、無線信号を受信するアンテナを切り替える。RFIC4は、RF部(受信レベル検出部)41と、復調部42と、同期確立部43と、プリアンブル検出部(ビット列検出部)44と、ユニークワード(UW)検出部(ビット列検出部)45等を有する。すなわち、RF部41、復調部42、同期確立部43、プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45等の回路は、1つのICチップに統合され、実装される。
RF部41は、いずれかのアンテナA又はBを用いて受信した無線信号をダウンコンバートし、ベースバンド信号を抽出する。RF部41が無線信号を受信する際には、一般的にAFC(Automatic Frequency Control)が実行され、送受信間の周波数誤差が除去される。その場合、アンテナ切替部3によってアンテナが切り替えられた後の所定時間は、AFCが解除されてもよい。アンテナ切替前に受信した妨害波の影響を回避して、プリアンブル及びユニークワードを正確に検出し、パケットロスを低減するためである。また、RF部41は、いずれかのアンテナA又はBを用いて受信した無線信号の受信レベルを検出する。受信レベルの検出には、例えばRSSI(Received Signal Strength Indication)が用いられる。RF部41によって検出された受信レベルに関する信号は、CPU5の信号処理部51に入力され、無線信号の品質の検出に用いられる。復調部42は、RF部41によって抽出されたベースバンド信号を復調する。同期確立部43は、復調されたベースバンド信号のビット同期を確立する。
プリアンブル検出部44は、同期確立部43によって同期が確立されたベースバンド信号を検索し、プリアンブルのビット列を検出する。プリアンブルのビット列の具体例としては、01が交互に繰り返されるビット列(以下、01交番とする)が挙げられる。プリアンブル検出部44には、既知のプリアンブル(送信システムから送信されるプリアンブルと同一)のビット列が予め設定され記憶されている。プリアンブルは、ベースバンド信号のビット列と予め記憶しているビット列との一致度を評価することにより検出される。両者が完全に一致したとき、プリアンブルを検出したと判断される。また、例えば、プリアンブルが01交番で構成される場合、所定ビットにおいて連続して01交番が一致したとき、プリアンブル検出部44は、プリアンブルを検出したと判断してもよい。この場合、プリアンブルの検出タイミングは、その都度異なる可能性がある(図4等参照)。さらにまた、予め記憶しているプリアンブルのビット列に対するベースバンド信号のビット列の誤り率が所定値以下となったとき、プリアンブルを検出したと判断してもよい。この場合であっても、予め記憶しているプリアンブルのビット列と実質的に同一のビット列がベースバンド信号から検出されたとみなすことができるからである。
プリアンブル検出部44がプリアンブルを検出した旨の信号は、ユニークワード検出部45、CPU5等に入力される。当該信号が、プリアンブル検出部44からCPU5に出力され、CPU5を経由してユニークワード検出部45等に入力される構成であってもよい。
ユニークワード検出部45は、同期確立部43によって同期が確立されたベースバンド信号を検索し、ユニークワードのビット列を検出する。ユニークワード検出部45には、既知のユニークワード(送信システムから送信されるユニークワードと同一)のビット列が予め設定され記憶されている。ユニークワードは、ベースバンド信号のビット列と予め記憶しているビット列との一致度を評価することにより検出される。両者が完全に一致したとき、ユニークワードを検出したと判断してもよいし、予め記憶しているユニークワードのビット列に対するベースバンド信号のビット列の誤り率が所定値以下となったとき、ユニークワードを検出したと判断してもよい。後者の場合であっても、予め記憶しているユニークワードのビット列と実質的に同一のビット列がベースバンド信号から検出されたとみなすことができるからである。ユニークワード検出部45がユニークワードを検出した旨の信号は、CPU5の信号処理部51等に入力される。なお、上述した既知のプリアンブル及びユニークワードは、対応する送信システムとの間で共有され、このプリアンブル及びユニークワードが付与されたパケットが送信システムから送信される。
変調部46は、CPU5によって生成されたベースバンド信号を変調し、RF部41に出力する。変調部46から出力されたベースバンド信号は、RF部41によって処理され、アンテナ切替部3を介していずれかのアンテナA又はBから無線信号として送信される。変調部46等を有効に機能させることにより、アンテナ切り替え受信システム1は、対応する通信機器に対して、後述するACK応答信号や、ダイバーシチ機能をオン又はオフにする旨を通知等の各種の無線信号を送信することができる。このとき、アンテナ切り替え受信システム1は、一時的に送信システム70として機能する。従って、HEMSコントローラ101及び家電機器102等の各機器は、独立した送信システム70とアンテナ切り替え受信システム1を備える必要はない。すなわち、アンテナ切り替え受信システム1の有する送信機能を適宜有効にすることにより、送信システム70を構築してもよい。
CPU5は、信号処理部(受信レベル検出部)51と、アンテナ制御部52等を有し、アンテナ切り替え受信システム1の制御を司る。CPU5が、プリアンブル検出部44又はユニークワード検出部45等の代わりにプリアンブル又はユニークワードを検出する構成であってもよい。この場合、RFIC4からプリアンブル検出部44又はユニークワード検出部45等が省かれる。信号処理部51は、RF部41、同期確立部43、プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45等から入力された信号について、各種の処理を行う。例えば、信号処理部51は、RF部41から入力される受信レベルを表す信号から無線信号の品質を検出する。このとき、信号処理部51は、RF部41から入力される受信レベルを表す信号に演算処理を施して、無線信号の品質の判断指標となる数値を算出する。より具体的には、信号処理部51は、RF部41から入力される受信レベルについてアンテナ毎に各パケット内での平均値を算出する。アンテナ制御部52は、信号処理部51よって算出された受信レベルの平均値を評価して、ペイロードを受信するアンテナを選択し、アンテナの切り替え要否を判断し、アンテナ切替部3に対してアンテナの切り替えのための制御信号を出力する。
メモリ6は、CPU5の動作に用いられる情報を記憶する。例えば、メモリ6は、パケットの受信時にCPU5によってなされたアンテナ選択に関する情報をアンテナを特定するためのIDと関連づけて記憶する。より具体的には、メモリ6は、ペイロードを受信するアンテナとしてアンテナ制御部52によって選択された回数をアンテナ毎に記憶する。また、メモリ6は、信号処理部51によって検出された受信レベルの平均値RA及びRBをアンテナ毎に記憶してもよい。また、メモリ6は、ユニークワード検出部45が第1ユニークワードを検出する際に算出した誤り率をアンテナ毎に記憶してもよい。メモリ6の記憶容量には制限があるので、最も古い情報が最新の情報に順次更新される。このようなアンテナ選択に関する情報は、その後に送信されるパケットを受信する際にアンテナを切り替えるか否かを判断するときに、必要に応じて利用される。
なお、本実施形態は、アンテナ切替部3によって2つアンテナを切り替えて無線信号を受信する構成であるが、アンテナの個数は3つ以上であってもよい。
図4乃至図7は、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システム1によって切り替えられるアンテナと、各アンテナによって受信される信号と、その受信レベルの推移を示す。1つのパケットは、複数対のプリアンブル及びユニークワードとその後に続けて送信されるペイロード等によって構成される。本実施形態においては、2種類のユニークワードUW1(第1ユニークワード)及びユニークワードUW2(第2ユニークワード)が送信システムから送信される。
ユニークワードUW1は、アンテナ切り替え受信システム1がペイロードを受信するアンテナを選択するために用いられる。ユニークワードUW2は、ペイロードの先頭を検出する(すなわち頭出しをする)ために用いられる。ユニークワードUW1の前に送信されるプリアンブルとユニークワードUW2の前に送信されるプリアンブルとは、同一のビット列で構成されていてもよく、異なるビット列で構成されていてもよい。一方、プリアンブル、ユニークワードUW1及びユニークワードUW2は、それぞれ誤って検出されないように、互いに相関値の低いビット列によって構成される。
ユニークワードUW1は、いずれのタイミングでアンテナA,Bが切り替えられても受信できるように、各アンテナに対して2回ずつ送信される。すべてのユニークワードの前には、プリアンブルが送信される。また、4度目のユニークワードUW1の後であって、ユニークワードUW2の直前に送信されるプリアンブルの前には、ダミーデータが送信される。なお、2度目以降のプリアンブル及びダミーデータの先頭には、必要に応じてアンテナの切替待ち時間を付与するためのデータが挿入されてもよい。
アンテナ切り替え受信システムは、アンテナA,Bを所定の周期(例えば、プリアンブル及びユニークワードUW1の送信周期の2倍の周期)で切り替えながら、送信システムから送信される無線信号を受信する。受信した信号は、上述したようにRF部41によってダウンコンバートされ、復調部42によって復調され、同期確立部43によってビット同期が確立される。そして、プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出され、ユニークワード検出部45によってユニークワードUW1が検出される。
上述したように、いずれのタイミングでアンテナA,Bが切り替えられてもプリアンブル及びユニークワードUW1を受信できるように、各アンテナに対して2回ずつ、プリアンブルとユニークワードUW1が送信される。本実施形態においては、2つのアンテナが使用されるので、図4乃至図7に示すように、プリアンブルとユニークワードUW1が4回ずつ送信される。このように、アンテナ切り替え受信システムに搭載されるアンテナ数の2倍のプリアンブル及びユニークワードUW1が送信される。また、最初にユニークワードUW1が検出されるまでは、各アンテナはプリアンブル及びユニークワードUW1の送信周期の2倍の周期で切り替えられる。
図4及び図5は、アンテナA及びBによってユニークワードUW1が検出されたときのアンテナ切り替え動作等を示す。受信信号のうち、実線部分が各アンテナによって受信された信号である。なお、以下の説明では、便宜上、プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45が最初にプリアンブル及びユニークワードUW1を検出したとき、無線信号を受信していた(アクティブであった)アンテナをアンテナAとする。図4はアンテナAで受信した無線信号の受信レベルがアンテナBで受信した無線信号の受信レベルよりも高い場合、図5はアンテナBで受信した無線信号の受信レベルがアンテナAで受信した無線信号の受信レベルよりも高い場合をそれぞれ示す。
図4及び図5において、1度目に送信されたプリアンブルは、その受信中にアンテナが切り替えられて検出できず、2度目に送信されたプリアンブルがアンテナAによって受信され、プリアンブル検出部44によって検出される。プリアンブルが検出されると、RF部41によって受信レベルの検出が開始される。その後、受信レベルは、所定のサンプリング周期で検出される。また、プリアンブルに続けて送信されるユニークワードUW1がユニークワード検出部45によって検出される。受信レベルの検出は、ユニークワードUW1が検出されるまで継続され、検出された受信レベルに関する情報は、信号処理部51に逐次記憶される。信号処理部51は、記憶した受信レベルからその平均値(RAとする)を算出する。
ユニークワードUW1が検出されると、その旨の信号がユニークワード検出部45から出力され信号処理部51に入力される。ユニークワードUW1が検出された旨の信号は、信号処理部51からアンテナ制御部52に転送され、アンテナ制御部52は、アンテナ切替部3にアンテナを切り替える旨の指令を出力し、アンテナがアンテナBに切り替えられる。その後、3度目に送信されたプリアンブルがアンテナBによって受信され、プリアンブル検出部44によって検出される。プリアンブルが検出されると、アンテナAのときと同様に、受信レベルが所定のサンプリング周期で検出され、ユニークワードUW1が検出される。アンテナBでの受信レベルに関する情報は、上述したアンテナAでの受信レベルに関する情報と区別して信号処理部51に逐次記憶され、信号処理部51は、記憶した受信レベルからその平均値(RBとする)を算出する。なお、本願では、受信レベルの平均値RA及びRBを、単に受信レベルと記載することもある。
信号処理部51によって算出されたRA及びRBは、アンテナ制御部52に入力される。アンテナ制御部52は、信号処理部51によって算出されたRAとRBを比較してより高い信号品質が得られるアンテナを、ペイロードを受信するアンテナとして選択する。
図4においては、アンテナAでの受信レベルがアンテナBでの受信レベルよりも高くRA>RBであるため、アンテナAで受信した無線信号の品質がアンテナBで受信した無線信号の品質よりも高いと考えられる。そこで、アンテナ制御部52は、信号処理部51によって算出されたRAとRBを比較してより受信レベルが高いアンテナAを、ペイロードを受信するアンテナとして選択する。これにより、アンテナは、再びアンテナAに切り替えられ、当該パケットを受信し終えるまでアンテナAに固定される。従って、4度目に送信されたプリアンブル、ユニークワードUW1及びダミーデータがアンテナAによって受信され、その後のプリアンブル、ユニークワードUW2及びペイロードもアンテナAによって受信される。
図5においては、アンテナBでの受信レベルがアンテナAでの受信レベルよりも高くRB>RAであるため、アンテナBで受信した無線信号の品質がアンテナAで受信した無線信号の品質よりも高いと考えられる。そこで、アンテナ制御部52は、信号処理部51によって算出されたRAとRBを比較してより受信レベルが高いアンテナBを、ペイロードを受信するアンテナとして選択する。これにより、アンテナは、当該パケットを受信し終えるまで切り替えられることなくアンテナBに固定される。従って、4度目に送信されたプリアンブル、ユニークワードUW1及びダミーデータがアンテナBによって受信され、その後のプリアンブル、ユニークワードUW2及びペイロードもアンテナBによって受信される。
図6は、2度目に送信されたプリアンブル等がアンテナAによって受信され、プリアンブル検出部44等によって検出され、アンテナBに切り替えられた後、3度目に送信されたプリアンブルがプリアンブル検出部44によって検出されなかった場合を示す。2度目に送信されたユニークワードUW1が検出されると、その直後にアンテナBに切り替えられるので、3度目に送信されたプリアンブルは、実質的に先頭からアンテナBによって受信される。従って、アンテナBによって受信された無線信号からプリアンブル等を検出するために必要な最小時間は、一組のプリアンブルとユニークワードUW1が送信される時間に等しい。よって、3度目に送信されたプリアンブル等が検出されなかった場合、4度目に送信されたプリアンブル等をアンテナBで受信してもよいし、図6に示すように直ちにアンテナをアンテナAに切り替えてもよい。前者の場合は、アンテナBを用いてプリアンブル等を検出する機会が2度得られるので、アンテナBでの受信レベルを検出できる機会が増加し、アンテナの選択をより一層適正に行えるようになる。後者の場合は、ダミーデータの長さを短く設定して、パケットに占めるペイロードの割合を増加させることができる。ダミーデータの長さを短く設定できる理由は、以下の通りである。例えば、アンテナAで4度目のユニークワードUW1を最初に検出した場合(図7参照)、アンテナをアンテナBに切り替えてダミーデータを受信することとなる。このとき、前者のようにアンテナBを用いてプリアンブル等を2度に亘って検出するように構成すると、プリアンブル及びユニークワードUW1の2周期分のダミーデータが必要とされる。一方、後者のようにアンテナBを用いてプリアンブル等を検出する機会を1度に制限することより、プリアンブル及びユニークワードUW1の1周期分のダミーデータで済むからである。
後者の場合、アンテナBによって受信された無線信号からプリアンブル等が検出されなかったことから、その信号品質はペイロードを受信するために十分なものではないと考えられる。また、RB=0とも考えることができる。従って、アンテナ制御部52は、十分に高い信号品質が得られるアンテナAを、ペイロードを受信するアンテナとして選択し、アンテナは、再びアンテナAに切り替えられ、当該パケットを受信し終えるまでアンテナAに固定される。RB=0と考えた場合も、同等の動作が実行される。また、アンテナBでプリアンブルは検出できても、UW1を検出できなければ上記と同様にアンテナAに切り替える。以後の動作は、図4と同様である。
図7は、4度目に送信されたプリアンブル等がアンテナAによって受信され、当該パケット内で最初のプリアンブル等としてプリアンブル検出部44等によって検出された場合を示す。この場合、4度目に送信されたユニークワードUW1が検出された後、アンテナBに切り替えられダミーデータが受信される。
ダミーデータとは、プリアンブルとは異なるビット列で構成されたデータであり、再びアンテナBからアンテナAに切り替える際の時間的な猶予をアンテナ切り替え受信システム1に付与するために、送信システムから送信される。従って、ダミーデータのデータ長は、プリアンブルのデータ長とユニークワードUW1のデータ長の和と同等以上に設定される。
ダミーデータは、プリアンブル並びにユニークワードUW1及びUW2とは、互いに相関値の低いビット列によって構成される。プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45がダミーデータをプリアンブル並びにユニークワードUW1及びUW2と誤って検出しないようにするためである。ダミーデータとプリアンブルの相関値、ダミーデータとユニークワードUW1の相関値及びダミーデータとユニークワードUW2の相関値が最も低くなるように各ビット列が設定されているのが望ましい。しかしながら、プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45による誤検出を防止できる程度に上記相関値が低ければ、すなわち上記相関値が所定値未満であれば、実用上の問題は生じない。
図7に示すように、アンテナBによってダミーデータが受信された場合、プリアンブル検出部44によってプリアンブルが、ユニークワード検出部45によってユニークワードUW1が検出されることはない。また、2度目に送信されたプリアンブル等は、アンテナBによって受信されていながら、プリアンブル検出部44等によってプリアンブル等が検出されなかったことから、アンテナBで受信した信号の品質は高くないものと考えられる。従って、アンテナ制御部52は、十分に高い信号品質が得られるアンテナAを、ペイロードを受信するアンテナとして選択し、アンテナは、再びアンテナAに切り替えられ、当該パケットを受信し終えるまでアンテナAに固定される。以後の動作は、図4と同様である。
図8は、ダイバーシチ機能を有効(オン)にしたダイバーシチオンモードにおけるアンテナ切り替え受信システム1の動作を示す。まず、ユニークワードUW1を検出する前段階において、アンテナA,Bは、所定周期で交互に切り替えられる(#1)。アンテナを切り替える所定周期は、例えばプリアンブル及びユニークワードUW1の2回分の周期である。アンテナが切り替えられると、プリアンブル及びユニークワードUW1のビット列の検出がリセットされる(#2)。プリアンブル及びユニークワードUW1のビット列の検出がリセットされるとは、ビット列の検出を中止し、最初のビットから検出を再開する処理をいう。このとき、ユニークワード検出部45が検出すべきビット列として、ユニークワードUW1が設定される。すなわちユニークワードUW1の検出が開始される。プリアンブル検出部44及びユニークワード検出部45が、ビット列の検出をリセットするのは、以下の理由による。すなわち、RFIC4は、アンテナ切替部3から入力された受信信号のうち、どの部分がいずれのアンテナで受信されたのかを認識できないため、プリアンブル及びユニークワードを受信したアンテナを誤ってしまうことを防止するためである。例えば、ユニークワードのビット列の終端近傍でアンテナAからアンテナBに切り替えられた場合、ビット列の大部分をアンテナAで受信しているにも関わらず、最後の部分を受信したアンテナBによってビット列の全体が受信されたと誤認してしまうことを防止するためである。
切り替えにおいてアクティブとされたアンテナで、無線信号を受信し、プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検索される(#3)。プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されると(#4においてYES)、受信レベルの検出が開始される(#5)。このときに無線信号を受信しているアンテナをアンテナAとする。受信レベルは所定のサンプリング周期で検出され、その値は信号処理部51に逐次記憶される(#12においても同様)。#4において、プリアンブルの検出は、#2においてビット列の検出をリセットした後、第1所定時間に亘って継続され、第1所定時間内にプリアンブルが検出されない場合は(#4においてNO)、#1に戻る。ここで第1所定時間とは、プリアンブル及びユニークワードUW1の2周期に相当する時間であり、#2においてビット列の検出をリセットした後、計数を開始する。プリアンブルの検出後、ユニークワードUW1が検出されると(#6においてYES)、受信レベルの検出が終了される(#7)。#6において、ユニークワードUW1の検出は、#2におけるビット列検出のリセット後から起算された第1所定時間に亘って継続される。第1所定時間内にユニークワードUW1が検出されない場合は(#6においてNO)、受信レベルの検出が終了され、#1に戻る。
アンテナAでの受信レベルの検出が終了されると、信号処理部51は、記憶した受信レベルから平均値(RA)を算出し(#8)、アンテナ制御部52は、アンテナをアンテナBに切り替える(#9)。アンテナが切り替えられると、#2と同様に、プリアンブル及びユニークワードUW1のビット列の検出をリセットする(#9A)。そして、切り替え後のアンテナBで無線信号を受信し、プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検索される(#10)。プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されると(#11においてYES)、受信レベルの検出が開始される(#12)。#11において、プリアンブルの検出は、#9Aにおいてビット列の検出をリセットした後、第2所定時間に亘って継続され、図6又は図7に示すように、第2所定時間内にプリアンブルが検出されない場合は(#11においてNO)、#19に移行する。アンテナBでは十分な信号品質が得られないと判断できるからである。ここで第2所定時間とは、プリアンブル及びユニークワードUW1の1周期に相当する時間であり、#9Aにおいてビット列の検出をリセットした後、計数を開始する。プリアンブルの検出後、ユニークワードUW1が検出されると(#13においてYES)、受信レベルの検出が終了される(#14)。#11において、ユニークワードUW1の検出は、#9Aにおいてビット列の検出がリセットされた後から起算された第2所定時間に亘って継続される。第2所定時間内にユニークワードUW1が検出されない場合は(#13においてNO)、受信レベルの検出が終了され、#19に移行する。アンテナBでは十分な信号品質が得られないと判断できるからである。
アンテナBでの受信レベルの検出が終了されると、信号処理部51は、記憶した受信レベルから平均値(RB)を算出し(#15)、アンテナ制御部52は、信号処理部51によって算出された受信レベルの平均値RAとRBを比較する(#16)。
図5に示すように、RA<RBの場合は(#17においてYES)、アンテナ制御部52は、ペイロードを受信するアンテナとしてアンテナBを選択する。すなわち、アンテナをアンテナBに固定したまま(#18)、ビット列の検出をリセットする(#20)。このとき、ユニークワード検出部45が検出すべきビット列として、ユニークワードUW2が設定される。すなわちユニークワードUW2の検出が開始される。一方、図4に示すように、RA>RBの場合は(#17においてNO)、ペイロードを受信するアンテナとしてアンテナAを選択する。すなわち、アンテナをアンテナAに切り替えて(#19)、#20に移行する。
選択されたアンテナA又はBで無線信号を受信し、プリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されると(#21においてYES)、ユニークワードUW2の検出に移行する(#22)。ユニークワード検出部45によってユニークワードUW2が検出されると(#22においてYES)、ペイロードの頭出しが完了したことになり、以後ペイロードを受信する(#23)。受信したペイロードは、信号処理部51によって処理される。なお、#21において、プリアンブルの検出は、#20においてビット列の検出をリセットした後第3所定時間に亘って継続され、第3所定時間内にプリアンブル検出部44によってプリアンブルが検出されない場合(#21においてNO)は、#1に戻る。ここで第3所定時間とは、プリアンブル及びユニークワードUW1の2周期と、ダミーデータと、プリアンブル及びユニークワードUW2の1周期とを加えた時間に相当し、#20においてビット列の検出をリセットした後、計数を開始する。また、#22において、ユニークワードUW2の検出は、#20におけるビット列検出のリセット後から起算された第3所定時間に亘って継続される。第3所定時間内にユニークワード検出部45によってユニークワードUW2が検出されない場合(#22においてNO)は、#1に戻る。
#23において、ペイロードの受信が完了すると、アンテナ制御部52は、選択したアンテナのIDをメモリ6に記憶させる(#24)。これにより、メモリ6には、アンテナ制御部52によって選択されたアンテナのIDが、今回受信したパケットから遡って所定回数分記憶される。アンテナ制御部52は、メモリ6を参照して、アンテナ毎に選択された回数を計数できるので、実質的に、各パケットにおいて選択された回数がアンテナ毎にメモリ6に記憶されることになる。この選択されたアンテナに関する情報がダイバーシチ機能を有効にするか又は無効にするか、の判断に活用される。なお、#24における選択されたアンテナのIDの記憶動作は、全てのパケットについて実行する必要はなく、適宜間引かれていてもよい。
アンテナ制御部52は、メモリ6を参照して、各アンテナが選択された回数に、所定回数以上の偏りがあるか否かを判定する(#25)。ここでは、所定回数以上連続していずれかのアンテナが選択されているとき、選択された回数に偏りが生じていると判定してもよい。判定の閾値として適用される回数は、例えば、アンテナ切り替え受信システム1及び送信システム70が設置される場所の通信環境等に応じて適宜定めればよい。
判定の結果、選択された回数に偏りがなければ(#25においてNO)、アンテナの切り替えすなわちダイバーシチ機能が必要であると判断でき、#1に戻る。一方、選択された回数に偏りが生じていると判定されば(#25においてYES)、その通信環境において、選択された回数の多かったアンテナが無線信号の送受信に適合しており、ダイバーシチ機能が不要であると判断できる。そこで、アンテナ制御部52は、選択された回数の多かったアンテナに固定することによりダイバーシチ機能を無効(オフ)にして、次のパケットの受信に備える(#26)。なお、ダイバーシチ機能をオフにしたダイバーオフモードにおけるアンテナ切り替え受信システム1によるパケットの受信動作については、図11を参照し、後述する(以下の変形例においても同様である)。
以上のように、本実施形態のアンテナ切り替え受信システム1によれば、ユニークワード検出部45が、同時に複数種類のユニークワードを待ち受ける必要がない。すなわち、図8中、#6及び#13においてはユニークワードUW1のみを、#22においてはユニークワードUW2のみをそれぞれ待ち受けて検出すればよいので、ユニークワード検出部45の処理負担が大幅に軽減される。近年のICは、CPUには及ばないものの多機能化が推進されており、このような単一のユニークワード待ち受けて検出する処理は、RFIC4に備えられている機能を利用することにより実現できる。これにより、RFIC4が備えるビット列検出機能を用いてユニークワード検出部45を構成しながら、正確に信号品質の高いアンテナを選択することができる。また、CPU5が、プリアンブル検出部44又はユニークワード検出部45等の代わりにプリアンブル又はユニークワードを検出する構成であっても、CPU5の処理負担が軽減されることに変わりはない。従って、高スペックなCPU5を用いることなく、簡素かつ安価な構成で、マルチパスフェージングによるレベル変動の影響を低減できるようになる。また、CPU5の処理能力をビット列検出以外の他の機能に振り分けることができ、コストアップを伴うことなく、多機能なアンテナ切り替え受信システム1を構築できる。
また、アンテナ制御部52に選択されたアンテナによってユニークワードUW2を受信してペイロードの先頭ビットを検出するので、ペイロードの頭出しを適正に行うことができる。また、アンテナ制御部52に選択されたアンテナに固定したままペイロードが受信されるので、品質の高いペイロードの信号を取得できる。
また、アンテナ制御部52は、メモリ6に記憶されているアンテナ選択に関する情報について統計的な処理を行い、その後にアンテナを切り替えるか否かを判断する。その結果、アンテナの切り替えが不要と判断できるときにはアンテナを固定したまま、ダイバーオフモードで、その後に送信されるパケットを受信する。これにより、アンテナの切り替え頻度を削減して、アンテナ制御部52の動作を簡素化でき、アンテナ制御部52として適用されるCPU5に要求されるスペックを下げ、さらなるコストダウンを図ることができる。また、アンテナ切り替え受信システム1の消費電力の低減を図ることができる。
また、アンテナ制御部52は、上記アンテナ選択に関する情報として、過去に送信されたパケットを受信する際に各アンテナが実際に選択された回数を用い、統計的な処理により、上記回数に所定回数以上の偏りがあるか否かを判定する。従って、ダイバーシチ機能の必要性を適切に判断することができる。
(変形例1)
図9は、ダイバーシチ機能を有効にしたダイバーシチオンモードにおけるアンテナ切り替え受信システム1の動作の変形例を示す。この変形例においては、アンテナ選択に関する情報として、各アンテナでの受信レベルを用いる点で、図8に示した動作例とは異なる。各アンテナでの受信レベルは、第1ユニークワードUW1の検出時に、ユニークワード検出部45によって検出され(#5,#6,#7及び#12,#13,#14)、メモリ6には、それらの平均値RA及びRBが記憶される。
すなわち、#23において、ペイロードの受信が完了すると、アンテナ制御部52は、受信レベルの平均値RA及びRBをメモリ6に記憶させる(#23A)。これにより、メモリ6には、今回受信したパケットから遡って所定回数分の受信レベルがアンテナ毎に記憶されることになる。このアンテナ毎に過去に検出された受信レベルがダイバーシチ機能を有効にするか又は無効にするか、の判断に活用される。なお、#23Aにおける受信レベルの記憶動作は、全てのパケットについて実行する必要はなく、適宜間引かれていてもよい。
アンテナ制御部52は、メモリ6を参照して、アンテナ毎に受信レベルが所定の閾値以上であった回数を検出する(#23B)。ここで受信レベルと比較される閾値は、第2ユニークワードUW2及びペイロードを十分に受信可能であると考えられる受信レベルの値である。そして、いずれのアンテナについても検出した回数が所定回数を超過してなければ(#23CにおいてNO)、アンテナの切り替えすなわちダイバーシチ機能が必要であると判断でき、#1に戻る。一方、いずれかのアンテナについて検出した回数が所定回数を超過していれば(#23CにおいてYES)、その通信環境において、検出された回数の多かったアンテナが無線信号の送受信に適合しており、ダイバーシチ機能が不要であると判断できる。そこで、アンテナ制御部52は、ダイバーシチオフモードに移行して、次のパケットの受信に備える(#26)。
なお、#23Cにおいて、判定の閾値として適用される回数は、例えば、アンテナ切り替え受信システム1及び送信システム70が設置される場所の通信環境等に応じて適宜定めればよい。また、いずれかのアンテナでの受信レベルが所定回数以上連続して上記閾値以上であるとき、アンテナ制御部52は、ダイバーシチ機能が不要であると判断し、#26に移行してもよい。なお、ダイバーシチ機能の必要性を判断するにあたっては、各アンテナ毎の受信レベルの標準偏差等を考慮してもよい。
本変形例においては、アンテナ選択に関する情報として、実際に各アンテナを介して受信した無線信号の受信レベルを用いるので、ダイバーシチ機能の必要性を適切に判断することができる。
(変形例2)
図10は、ダイバーシチ機能を有効にしたダイバーシチオンモードにおけるアンテナ切り替え受信システム1の動作の別の変形例を示す。この変形例においては、アンテナ選択に関する情報として、各アンテナでの誤り率を用いる点で、図8に示した動作例及び図9に示した変形例とは異なる。各アンテナでの誤り率は、第1ユニークワードUW1の検出時に、ユニークワード検出部45によって検出され(#6及び#13)、信号処理部51のレジスタ等に記憶された後、メモリ6に移動される(#24A)。既に述べたように、ユニークワードは、ベースバンド信号のビット列と予め記憶しているビット列との一致度を評価することにより検出され、一致度は完全一致に加え、誤り率が所定値以下となったことをもって、両ビット列が一致したとみなされる。この変形例においては、後者の一致度の評価手法が適用される。
#23において、ペイロードの受信が完了すると、アンテナ制御部52は、各アンテナでの誤り率をメモリ6に記憶させる(#24A)。これにより、メモリ6には、今回受信したパケットから遡って所定回数分の誤り率がアンテナ毎に記憶されることになる。このアンテナ毎に過去に検出された誤り率がダイバーシチ機能を有効にするか又は無効にするか、の判断に活用される。なお、#24Aにおける誤り率の記憶動作は、全てのパケットについて実行する必要はなく、適宜間引かれていてもよい。
アンテナ制御部52は、メモリ6を参照して、アンテナ毎に誤り率が所定の閾値未満であった回数を検出する(#24B)。ここで誤り率と比較される閾値は、第2ユニークワードUW2及びペイロードを十分に受信可能であると考えられる誤り率の値である。そして、いずれのアンテナについても検出した回数が所定回数を超過してなければ(#24CにおいてNO)、アンテナの切り替えすなわちダイバーシチ機能が必要であると判断できし、#1に戻る。一方、いずれかのアンテナについて検出した回数が所定回数を超過していれば(#24CにおいてYES)、その通信環境において、検出された回数の多かったアンテナが無線信号の送受信に適合しており、ダイバーシチ機能が不要であると判断できる。そこで、アンテナ制御部52は、ダイバーシチオフモードに移行して、次のパケットの受信に備える(#26)。
なお、#24Cにおいて、判定の閾値として適用される回数は、例えば、アンテナ切り替え受信システム1及び送信システム70が設置される場所の通信環境等に応じて適宜定めればよい。また、いずれかのアンテナでの誤り率が所定回数以上連続して上記閾値未満であるとき、アンテナ制御部52は、ダイバーシチ機能が不要であると判断し、#26に移行してもよい。なお、ダイバーシチ機能の必要性を判断するにあたっては、各アンテナ毎の誤り率の標準偏差等を考慮してもよい。
本変形例においては、アンテナ選択に関する情報として、実際に各アンテナを介して第1ユニークワードUW1を検出した際の誤り率を用いるので、ダイバーシチ機能の必要性を適切に判断することができる。
図11は、ダイバーシチ機能をオフしたダイバーシチオフモードにおけるアンテナ切り替え受信システム1によるパケットの受信動作を示す。この動作は、図8乃至図10中#26において、実行する処理に相当する。
アンテナ制御部52は、ダイバーシチ機能が不要であると判断したとき、良好な通信を行えるアンテナに固定し(#31)、送信システム70にダイバーシチ機能をオフした旨の信号を送信する(#32)。良好な通信を行えるアンテナとは、アンテナ制御部52によって選択された回数等の多かったアンテナ、又は受信レベルが閾値以上であった回数若しくは誤り率が閾値未満であった回数が所定回数を超過していたアンテナである。#32において、ダイバーシチ機能をオフにした旨の通知(アンテナを固定した旨の通知)は、送信システム70との間で設定された所定時間内になされる。そして、ビット列の検出がリセットされ(#33)、ユニークワードUW2の検出が開始される。#33乃至#36のユニークワードUW2の検出及びペイロードの受信動作は、図8乃至図10に示した#20乃至#23と同様である。
#36において、ペイロードの受信が完了すると、アンテナ制御部52は、ダイバーシチ機能の必要性について、再度検証する(#37)。例えば、#31において、アンテナを固定した後、送信システム70との間で設定された所定時間経過後又は所定数のパケットを受信後は、一時的にダイバーシチ機能を有効にした方がよいと考えられる。アンテナ切り替え受信システム1及び送信システム70を取り巻く通信環境が変化している可能性があるからである。また、ユニークワードUW2の検出中又はペイロードの受信中における受信レベルが低下して、所定の閾値未満となった場合等も、ダイバーシチ機能の有効にした方がよいと考えられる。このような検証の結果、ダイバーシチ機能をオンにする必要があると判断されなければ(#37においてNO)、#33に戻り、ダイバーシチオフモードを維持しながら、次のパケットの受信に備える。一方、ダイバーシチ機能をオンにする必要があると判断されれば(#37においてYES)、図8乃至図10に示したダイバーシチオンモードに復帰して、次のパケットの受信に備える(#38)。
通信環境が急変した場合等にあっては、アンテナを固定した状態では受信レベルが急激に低下し、プリアンブル又はユニークワードUW2を検出できないことがある。このような場合、アンテナ切り替え受信システム1は、ダイバーシチオンモードに復帰し、その後のパケットを受信する。
すなわち、#34又は#35において、プリアンブル又はユニークワードUW2を検出できない場合(#34又は#35においてNO)、ダイバーシチ機能をオンにする旨の信号を送信システム70に送信し(#39)、ダイバーシチ機能をオンにする(#38)。#39において、ダイバーシチ機能をオンにする旨の通知(アンテナの切り替え動作を再開した旨の通知)は、送信システム70との間で設定された所定時間内になされる。送信システム70にダイバーシチ機能をオンにする旨を通知する理由は、以下の通りである。例えば、図12において後述するように、ダイバーシチ機能をオフにしていたことに伴い、送信システム70が第1ユニークワードUW1を送信しない場合が考えられる。そのような場合、アンテナ切り替え受信システム1と送信システム70との間で適切な連携を図り、第1ユニークワードUW1の送信を復活させるために、送信システム70にダイバーシチ機能をオンにする旨を通知する必要があるからである。なお、#37において、ダイバーシチ機能をオンにする必要があると判断できる程度に受信レベルが低下している場合にも、所定時間内に送信システム70にダイバーシチ機能をオンにする旨を通知した後、ダイバーシチ機能をオンにする(#38)。
ダイバーシチオフモードにおいて、以上のように動作するアンテナ切り替え受信システム1によれば、アンテナ制御部52は、ダイバーシチ機能をオフにする旨すなわちアンテナを固定した旨を、対応する送信システム70に通知する。また、アンテナ制御部52は、ダイバーシチ機能をオンにする旨すなわちアンテナの切り替え動作を再開した旨を、対応する送信システム70に通知する。これにより、送信システム70との間で、適切な連携を図り、ダイバーシチ機能を有効に発揮させてその後に送信されるパケットを受信できるようになる。
図12は、アンテナ切り替え受信システム1に対応する送信システム70の動作を示す。
このうち、#51乃至#54の処理は、当初のアンテナ切り替え受信システム1におけるダイバーシチオンモードに対応するダイバーシチ対応モードで動作している状態を示す。#55乃至#58の処理は、アンテナ切り替え受信システム1におけるダイバーシチオフモードに対応するダイバーシチ非対応モードで動作している状態を示す。なお、送信システム70の構成は、プリアンブル、ユニークワード及びペイロードを順次送信する通常の送信システムと同様である。
送信システム70は、複数の第1ユニークワードUW1及び単一の第2ユニークワードUW2を順次送信した後(#51、#52)、ペイロードを送信する(#53)。ペイロードの送信が完了すると、アンテナ切り替え受信システム1から送信されるオフ通知を、所定時間に亘って受信する(#54)。このオフ通知とは、図11の#32におけるダイバーシチ機能をオフにする旨の信号である。オフ通知を受信しなかった場合は(#54においてNO)、#51に戻り、ダイバーシチ対応モードで動作している状態を継続し、次のパケットを送信する。
一方、オフ通知を受信した場合(#54においてYES)、#55に移行し、ダイバーシチ非対応モードで、次のパケットを送信する。すなわち、複数の第1ユニークワードUW1を送信することなく、単一の第2ユニークワードUW2及びペイロードを順次送信する(#55、#56)。ペイロードの送信が完了すると、アンテナ切り替え受信システム1から送信されるオン通知を、所定時間に亘って受信する(#57)。このオン通知とは、図11の#39におけるダイバーシチ機能をオンにする旨の信号である。オン通知を受信した場合(#57においてYES)、#51に戻り、ダイバーシチ対応モードで動作している状態に復帰する。
また、#57においてオン通知を受信しなかった場合は(#57においてNO)、アンテナ切り替え受信システム1のダイバーシチ機能の必要性について、検証する(#58)。例えば、#54において、オフ通知を受信した後、所定時間経過後又は所定数のパケットを受信後は、ダイバーシチ機能を有効にした方がよいと考えられる。また、アンテナ切り替え受信システム1がパケットを受信後に定期的に返信するACK(ACKnowledgement)応答等の応答信号を受信しなかった場合も、ダイバーシチ機能を有効にした方がよいと考えられる。
このように、アンテナ切り替え受信システム1のダイバーシチ機能をオンにする必要があると考えられる場合は、(#58においてYES)、#51に戻り、ダイバーシチ対応モードで動作している状態に復帰する。一方、ダイバーシチ機能をオンにする必要があると考えられない場合は、(#58においてNO)、#55に戻り、ダイバーシチ非対応モードで動作している状態を維持する。
以上のように動作する本送信システム70によれば、アンテナ切り替え受信システム1の動作に連携して、ダイバーシチ対応モード又はダイバーシチ非対応モードで適切に動作できる。例えば、アンテナ切り替え受信システム1が、ダイバーシチ機能をオフにしている場合、送信システム70は、ダイバーシチ非対応モードで動作して、複数の第1ユニークワードUW1等の送信を省略する。これにより、送信システム70の消費電力を大幅に低減できる。この効果は、送信システム70が電池によって駆動される機器に搭載される場合に、特に有効となる。また、送信システム70が送信する無線信号のパケット長が短縮されるので、通信効率(電波の利用効率)が向上する。また、アンテナ切り替え受信システム1が、ダイバーシチ機能をオンにしている場合、送信システム70は、ダイバーシチ対応モードで動作して、複数の第1ユニークワードUW1等の送信を再開する。これにより、アンテナ切り替え受信システム1のダイバーシチ機能が有効に作用し、良好な通信状態を維持することができる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られない。少なくともアンテナを切り替えながらユニークワード検出部45が複数のユニークワードUW1のうちいずれかのユニークワードUW1を検出したとき、信号処理部51は、受信レベルを検出し、アンテナ制御部52がアンテナを切り替えた後、切り替えたアンテナでの受信レベルも検出し、アンテナ制御部52は、アンテナ毎に検出された受信レベルの差が所定の閾値以上である場合にのみ、受信レベルの高いアンテナを選択して、その後のペイロードを受信するように構成されていればよい。そして、アンテナ制御部52は、メモリ6に記憶されているアンテナ選択に関する情報について統計的な処理を行い、その後に送信されるパケットを受信する際にアンテナを切り替えるか否かを判断するように構成されていればよい。
また、本発明は、種々の変形が可能である。例えば、各アンテナによって受信した信号の品質は、受信レベルの平均値を算出することなく、ある時点での受信レベルに基づいて検出するものとしてもよい。例えば、各アンテナでプリアンブルを検出した時点、プリアンブルの検出から所定時間の経過後又はユニークワードUW1を検出した時点の受信レベルに基づいて信号品質を検出してもよい。この場合、信号処理部51の処理負担、すなわちCPU5の処理負担がより一層軽減される。なお、この場合は、図9中#23Aにおいて、メモリ6には、ある時点での受信レベルがアンテナ毎に記憶され、#23Bにおいて、記憶された受信レベルが閾値と比較される。
また、各アンテナによって受信した信号の品質は、受信レベルの他、予め記憶しているユニークワードのビット列に対するベースバンド信号のビット列の誤り率等によっても検出することができる。
また、本発明のアンテナ切り替え受信システム1及び送信システム70は、HEMS100に限られることなく、「切り替えダイバーシチ」を用いた他の無線システムにも広く適用可能である。