JP6031625B1 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】配合される樹脂成分本来の物性を維持しつつ、優れた導電性を安定して発現しうる樹脂組成物及び成形体を提供する。【解決手段】[1]超高分子量ポリエチレン樹脂(A)、該(A)成分と非相溶の樹脂(B)、及び導電性物質(C)を含有する樹脂組成物であって、該(A)成分と該(B)成分とが相分離構造を形成し、該(C)成分がアルミニウムドープ酸化亜鉛のみからなるものを除くか、又は該(B)成分が粘度平均分子量[g/mol]が50万以上100万未満の高密度ポリエチレン樹脂であるものを除き、該(C)成分は該(A)成分からなる相又は該(B)成分からなる相のいずれか一方の相に存在し、該(C)成分が存在する相が連続相である樹脂組成物、及び、[2]上記樹脂組成物を含む成形体である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び成形体に関する。
超高分子量ポリエチレンは、熱可塑性樹脂の中でも機械強度、耐衝撃性、耐摩耗性、及び摺動性が高い材料として知られており、さらに、食品に対する安全性も有している。そのため、超高分子量ポリエチレンを含む樹脂組成物の成形体は食品や医薬品分野の製造装置等にも用いられる摺動部材として有用である。さらに当該樹脂組成物に帯電防止性能を付与することで、埃等の付着を防止し、衛生面にも優れた成形体を提供することができる。
例えば特許文献1には、透明性が高く、ヘイズが低く、かつ導電性が高い薄膜を形成しうる、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子が開示されている。特許文献2には、超高分子量ポリエチレンと導電性金属酸化物等の導電性粉末の乾式混合物を成形して得られる半導電性超高分子量ポリエチレン成形品が開示されている。
また、2種以上の非相溶の樹脂成分を用いて相分離構造を形成することで、樹脂組成物中に帯電防止剤を安定に分散させ、帯電防止性能を高める方法も検討されている。例えば特許文献3には、所定の体積固有抵抗率を有するポリマーからなる永久帯電防止剤(A)と、表層用ポリオレフィン樹脂(B)とを含む帯電防止樹脂組成物(C)からなり、表層用ポリオレフィン樹脂(B)を海部分とし、永久帯電防止剤(A)を島部分とする海島状の相分離構造を有する帯電防止層を積層した帯電防止性ポリオレフィンフィルムが開示されている。また特許文献4には、非相溶性の熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂から選ばれる樹脂及び/又はエラストマーから選ばれる二成分系のいずれか一方に、シリカ系、金属酸化物系等の充填剤を含む共連続構造体が開示されている。
特開2012−062219号公報 特開2011−121992号公報 特開2006−247934号公報 特開2010−155953号公報
しかしながら通常、樹脂組成物に導電性物質などを添加すると、該樹脂組成物に用いられる樹脂成分本来の性能が損なわれ、得られる成形体の機械強度や成形加工性等が低下しやすいという問題がある。これに対し特許文献1〜4には、導電性物質を含む樹脂組成物において、樹脂成分本来の性能の維持と、導電性との両立については開示がなく、課題の示唆もない。
特許文献2に開示された成形品に用いられる導電性粉末は、帯電防止性能を付与するためには一般に添加量を多くする必要があり、当該導電性粉末を高充填した成形品の機械物性は大幅に低下することが予想される。したがって特許文献2に開示された成形品は摺動部材としては適していない。
特許文献3に開示された帯電防止性ポリオレフィンフィルムでは、帯電防止層において海島構造を利用しているが、該帯電防止層は帯電防止剤を島部分に存在させたフィルム状の成形体であり、射出成形等の、より広範な成形方法に対応した樹脂組成物への応用は困難である。
特許文献4に開示された共連続構造体は、充填剤として導電性物質を用い、該導電性物質を連続相(海)に存在させることが記載されている。しかしながら当該連続相はいずれも非晶性の樹脂からなるため、当該共連続構造体の機械強度は低いことが予想され、耐久性や耐摩耗性等が要求される機械部品等の部材には適していないと考えられる。
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、樹脂組成物に配合される樹脂成分本来の特性を維持しつつ、優れた導電性を安定して発現しうる樹脂組成物、及びこれを成形して得られる成形体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するにあたり本発明者らは、特定の成分を配合した、所定の相分離構造を有する樹脂組成物を用いることで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記[1]〜[15]に関する。
[1]超高分子量ポリエチレン樹脂(A)、該(A)成分と非相溶の樹脂(B)、及び導電性物質(C)を含有する樹脂組成物であって、該(A)成分と該(B)成分とが相分離構造を形成し、 該(C)成分がアルミニウムドープ酸化亜鉛のみからなるものを除き、且つ、該(C)成分は該(A)成分からなる相又は該(B)成分からなる相のいずれか一方の相に存在し、該(C)成分が存在する相が連続相である、樹脂組成物。
[2]超高分子量ポリエチレン樹脂(A)、該(A)成分と非相溶の樹脂(B)、及び導電性物質(C)を含有する樹脂組成物であって、該(A)成分と該(B)成分とが相分離構造を形成し、該(B)成分が粘度平均分子量[g/mol]が50万以上100万未満の高密度ポリエチレン樹脂であるものを除き、該(C)成分は該(A)成分からなる相又は該(B)成分からなる相のいずれか一方の相に存在し、該(C)成分が存在する相が連続相である、樹脂組成物。
[3]前記(C)成分が存在する相が前記(B)成分からなる連続相である、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記相分離構造が前記(B)成分からなる連続相中に前記(A)成分からなる非連続相が分散された海島構造である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[5]前記樹脂組成物からなる成形体の表面を顕微鏡観察した際に観測される、前記(C)成分が存在しない相の面積SAと前記(C)成分が存在する相の面積SBとの関係がSA>SBである、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[6]前記樹脂組成物中の前記(A)成分と前記(B)成分との合計を100質量%とした場合、前記(C)成分が存在する相を形成する成分の含有量が5質量%以上、40質量%以下である、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7]前記(B)成分が高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、及びパラフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[8]前記(B)成分が低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、及びパラフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上である、上記[2]に記載の樹脂組成物。
[9]前記(C)成分が金属ドープ酸化亜鉛(アルミニウムドープ酸化亜鉛のみからなるものを除く)、ポリエーテル鎖含有シリコーン系化合物、イオン性高分子有機化合物、非イオン性高分子有機化合物、イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[10]前記(C)成分が金属ドープ酸化亜鉛、ポリエーテル鎖含有シリコーン系化合物、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上である、上記[2]に記載の樹脂組成物。
[11]前記樹脂組成物中の前記(C)成分の含有量が2〜20質量%である、上記[1]〜[10]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[12]前記樹脂組成物からなる成形体のASTM D792に準拠して印加電圧100Vで測定した表面抵抗値が1013Ω/cm未満である、上記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[13]前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する粉体状混合物を加熱圧縮成形又は押出成形する工程を有する、上記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
[14]上記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
[15]電子部材搬送システム内のレール若しくはガイド、食品搬送システム内のレール若しくはガイド、又は医薬錠剤スライダーである、上記[14]に記載の成形体。
本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物に配合される樹脂本来の特性を維持しつつ、優れた導電性を安定して発現する。本発明の樹脂組成物は超高分子量ポリエチレン樹脂を含有することから、該樹脂組成物を含む成形体は、機械強度、耐衝撃性、耐摩耗性、及び摺動性が高く、かつ安定した帯電防止性能を有する。当該成形体は、中でも帯電防止性能と摺動性とを両立する観点から、各種摺動部材、例えば、燃料電池等の電子部品搬送システム内のレールやガイド、食品分野の搬送システム内のレールやガイド、医薬分野等の錠剤スライダー等への適用が期待できる。
実施例2で得られた成形体の光学顕微鏡写真である。
[樹脂組成物]
本発明の第一態様の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)、該(A)成分と非相溶の樹脂(B)、及び導電性物質(C)を含有し、該(A)成分と該(B)成分とが相分離構造を形成し、該(C)成分がアルミニウムドープ酸化亜鉛のみからなるものを除き、且つ、該(C)成分は該(A)成分からなる相又は該(B)成分からなる相のいずれか一方の相に存在し、該(C)成分が存在する相が連続相であることを特徴とする。
本発明の第二態様の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)、該(A)成分と非相溶の樹脂(B)、及び導電性物質(C)を含有し、該(A)成分と該(B)成分とが相分離構造を形成し、該(B)成分が粘度平均分子量[g/mol]が50万以上100万未満の高密度ポリエチレン樹脂であるものを除き、該(C)成分は該(A)成分からなる相又は該(B)成分からなる相のいずれか一方の相に存在し、該(C)成分が存在する相が連続相であることを特徴とする。
以下の記載において、「本発明の樹脂組成物」とは、本発明の第一態様及び第二態様の樹脂組成物の両方を指すものとする。また本発明において「導電性」とは、印加電圧100Vで測定した表面抵抗値が1013Ω/cm未満であることをいう。
また、上記導電性については、上記表面抵抗値に加え、印加電圧100Vで測定した体積固有抵抗値[Ω・cm]が1013Ω・cm未満であることが好ましい。
樹脂組成物及び成形体についてのこれらの評価は、ASTM D792に基づき、任意の大きさの試験片を作成して測定する。特に、体積固有抵抗値に関しては、厚さ5mm以上の成形体を用いて測定した値が1013Ω・cm未満であることが望ましい。
本発明の樹脂組成物は、上述の超高分子量ポリエチレン樹脂(A)(以下「(A)成分」ともいう)と該(A)成分と非相溶の樹脂(B)(以下、「(B)成分」又は単に「非相溶樹脂(B)」ともいう)とが相分離構造を形成している。当該相分離構造は、海島構造でも共連続構造でもよい。
本明細書において海島構造とは、相分離構造ドメインのうちの1種が連続相(海)を形成しており、他のドメインが非連続相(島)を形成している相分離構造のことをいう。また本明細書において共連続構造とは、相分離構造ドメインのうちの2種の樹脂が連続相を形成している相分離構造のことを指すものとする。本発明の樹脂組成物においては、安定した導電性を発現する観点から、相分離構造が海島構造であることが好ましい。
さらには、本発明の樹脂組成物は、導電性物質(C)(以下「(C)成分」ともいう)を含有し、該(C)成分は(A)成分からなる相又は(B)成分からなる相のいずれか一方の相に存在し、該(C)成分が存在する相が連続相であることを特徴とする。例えば、前記相分離構造が(B)成分からなる連続相中に(A)成分からなる非連続相が分散された海島構造である場合、(C)成分は、実質的に(B)成分からなる連続相のみに存在する。
超高分子量ポリエチレン樹脂(A)と非相溶樹脂(B)とが相分離構造を形成していることは、例えば光学顕微鏡や電子顕微鏡などの顕微鏡を用いて観察することができる。また(C)成分が存在する相については、例えば、電子顕微鏡写真をマッピングすることにより判断できる。
上記特徴を有する本発明の樹脂組成物が、該樹脂組成物に配合される樹脂本来の特性を維持しつつ、優れた導電性を安定して発現しうる理由については次のように考えられる。
本発明に用いる超高分子量ポリエチレン樹脂(A)及び非相溶樹脂(B)は、互いに相溶しないため、相分離構造を形成することができる。そして、導電性物質(C)が(A)成分からなる相又は(B)成分からなる相のいずれか一方の相に存在し、かつ、(C)成分が存在する相が非連続相ではなく連続相であることで、(C)成分の含有量を低減しても高い導電性を安定して発現できる。
前記(C)成分が存在する相は、前記(B)成分からなる連続相であることが好ましい。例えば、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)に比して、溶融粘度がより低い非相溶樹脂(B)を用いると、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)及び非相溶樹脂(B)を含む粉体状混合物を圧縮成形等において加熱した際には、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)に比して、溶融粘度がより低い非相溶樹脂(B)が先に溶融して、相分離構造における連続相を形成する。したがって溶融した連続相中に、導電性物質(C)を選択的に存在させることができるためである。
さらに、該相分離構造は、(B)成分からなる連続相中に(A)成分からなる非連続相が分散された海島構造であることがより好ましい。海島構造における連続相が(B)成分からなる相であると、上記理由から、該連続相に(C)成分を選択的に存在させることが容易であるためである。また、(C)成分の含有量を低減しても高い導電性を発現させる観点からは、(C)成分が存在する相を形成する成分の含有量は少ない方が好ましい。そのため海島構造における連続相が(B)成分であると、樹脂組成物中の(A)成分の含有量が多くなるので、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)本来の優れた機械強度、耐衝撃性、耐摩耗性、摺動性等を維持することが容易になるためである。
また、樹脂組成物中の(C)成分が存在する連続相を形成する成分の含有量を少なくすれば、該連続相中の導電性物質(C)の濃度を高められるので、導電性物質(C)の含有量を低減しても高い導電性を安定して発現できるため、より好ましい。
上記観点から、本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物からなる成形体の表面を顕微鏡観察した際に観測される、(C)成分が存在しない相の面積SAと(C)成分が存在する相の面積SBとの関係がSA>SBであることが好ましい。該(C)成分が存在する相の面積SBが、もう一方の相の面積SAより小さければ、該(C)成分が存在する相中の(C)成分の濃度を高められるので、(C)成分の含有量を低減しても高い導電性を安定して発現できる。この観点から、SBの面積比は、SAとSBとの合計を100%とした場合、50%未満であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下である。また、上記SBの面積比が5%以上であることが好ましく、より好ましくは10%以上である。これにより、相分離構造中で、連続相を安定して形成することができる。
上記面積比は、例えば、マイクロスコープ(HIROX製)などの光学顕微鏡を用いて成形体表面を観察した画像を、分析ソフトを利用して、画像のコントラストから求めることができる。具体的には、例えば、相分離構造が海島構造である場合、島部分(海で囲まれた部分)の面積を算出し、全体の面積と島部分の面積の差から海部分の面積を求め、海島の比率を算出することができる。
一例として例えば、前述のような製造方法を取る際において、本発明の樹脂組成物では多量の導電性物質を含有させる必要がないため、該樹脂組成物に配合される樹脂本来の特性を維持しつつ、優れた導電性を付与することが可能となる。
以下、本発明の樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
<超高分子量ポリエチレン樹脂(A)>
本発明の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)を含有する。該(A)成分を含有することで、本発明の樹脂組成物は、(A)成分が本来有する優れた機械強度、耐衝撃性、耐摩耗性、及び摺動性を発現できる。
本発明に用いる超高分子量ポリエチレン樹脂(A)の粘度平均分子量[g/mol]は、得られる成形体の機械的強度や摺動性の観点から、好ましくは100万以上、より好ましくは300万以上、さらに好ましくは400万以上である。また、粘度平均分子量が高いと溶融粘度が高くなるので、例えば、粘度平均分子量が高い(A)成分と、該(A)成分よりも溶融粘度の低い非相溶樹脂(B)とを用いると、該(A)成分と該(B)成分との相分離構造を容易に形成することができる。また、(A)成分の粘度平均分子量[g/mol]は、成形性の観点から、好ましくは1100万以下、より好ましくは1060万以下、さらに好ましくは950万以下である。
なお本発明において、粘度平均分子量は、下記で表されるMargolieの式にて求められる値である。
M=5.37・104[η]1.49
上記式において、Mは粘度平均分子量[g/mol]、[η]は固有粘度(単位:[dl/g])を示す。
市販の超高分子量ポリエチレン樹脂としては、例えばティコナ社製の超高分子量ポリエチレン「GUR」、旭化成ケミカルズ(株)製の「サンファインTM」、三井化学(株)製の「ハイゼックスミリオン」などを用いることができる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
<非相溶樹脂(B)>
本発明の樹脂組成物は、前記(A)成分とは非相溶の樹脂(B)を含有する。本発明において「非相溶」とは、互いに相溶せずに相分離構造を形成しうることをいう。本発明に用いる非相溶樹脂(B)は、前記(A)成分と相分離構造を形成しうる樹脂であれば特に制限なく用いることができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、固体ワックス等が挙げられる。樹脂組成物の成形性、及び相分離構造を容易に形成できる観点からは、熱可塑性樹脂又は固体ワックスが好ましい。
本発明の第一態様の樹脂組成物に用いられる(B)成分としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン以外のエチレン系共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、イオン架橋性エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等)、ポリプロピレン系樹脂、あるいはこれらの変性樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;パラフィン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;テフロン(登録商標)樹脂;等が挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
成形性、及び、得られる成形体の機械強度や摺動性、摩耗性の観点から、本発明の第一態様の樹脂組成物に用いられる(B)成分としては、ポリオレフィン系樹脂及びパラフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、及びパラフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、高密度ポリエチレン樹脂がさらに好ましい。
本発明の第一態様の樹脂組成物の(B)成分として用いられる高密度ポリエチレン樹脂は、好ましくは粘度平均分子量[g/mol]が20万以上100万未満である。(B)成分の粘度平均分子量が20万以上であれば樹脂組成物の成形性が良好であり、かつ、(A)成分との相分離構造を形成しやすくなる。また、該粘度平均分子量が100万未満であれば(A)成分との相分離構造を形成しやすい。
(B)成分である高密度ポリエチレン樹脂の粘度平均分子量が上記範囲であれば、該高密度ポリエチレン樹脂は前記(A)成分よりも粘度平均分子量が低いことから、溶融粘度も(A)成分より低い。このため、圧縮成形等において加熱した際、(A)成分に比して溶融粘度が低い高密度ポリエチレン樹脂が先に溶融して相分離構造における連続相を形成することができ、かつ、後述する導電性物質(C)を、溶融した連続相中に選択的に存在させることができる。
上記観点から、該高密度ポリエチレン樹脂の粘度平均分子量[g/mol]は、好ましくは25万以上、より好ましくは30万以上であり、好ましくは90万以下、より好ましくは80万以下、特に好ましくは65万以下である。
第一態様の樹脂組成物の(B)成分として用いられる市販の高密度ポリエチレン樹脂としては、例えばティコナ社製の高密度ポリエチレン「GHR8110」、旭化成ケミカルズ(株)製の「サンファインSH800」、三井化学(株)製の「ハイゼックス」等が挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物においては、前述したように(A)成分と(B)成分とが相分離構造を形成する。当該相分離構造は、安定した導電性を発現する観点から、(B)成分からなる連続相中に(A)成分からなる非連続相が分散された海島構造であることが好ましい。また溶融粘度の非常に高い(A)成分が非連続相を形成し、(A)成分に比べ溶融粘度の低い(B)成分が連続相を形成して安定した相分離構造を形成するためには、(A)成分と(B)成分との粘度平均分子量差は大きい方が好ましい。
上記観点から、本発明の第一態様の樹脂組成物において、(B)成分として高密度ポリエチレン樹脂を用いる場合には、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)と高密度ポリエチレン樹脂との粘度平均分子量差は、通常80万[g/mol]以上、好ましくは300万[g/mol]以上であり、より好ましくは300万[g/mol]以上、更に好ましくは500万[g/mol]以上であり、海島構造を形成する点から、好ましくは1000万[g/mol]以下である。
また上記観点から、(A)成分と(B)成分の粘度平均分子量の組み合わせは、好ましくは(A)成分が300万〜1060万[g/mol]でかつ(B)成分が25万〜90万[g/mol]の範囲、より好ましくは(A)成分が400万〜1060万[g/mol]でかつ(B)成分が30万〜80万[g/mol]の範囲、さらに好ましくは(A)成分が500万〜950万[g/mol]でかつ(B)成分が30万〜65万[g/mol]の範囲である。
本発明の第一態様の樹脂組成物の(B)成分として用いられる低密度ポリエチレン樹脂(以下「LDPE」ともいう)又は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下「LLDPE」ともいう)としては、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体が挙げられる。ここでエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示できる。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量としては、エチレン−α−オレフィン共重合体中の全単量体単位に対して、通常、2モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは3〜30モル%、さらに好ましくは5〜25モル%である。
また、該エチレン−α−オレフィン共重合体は、α−オレフィン以外の単量体に基づく単量体単位を含有していてもよい。該単量体としては、例えば、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。該単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体中の全単量体単位を100モル%とした場合、20モル%以下であり、15モル%以下であることがより好ましい。
当該低密度ポリエチレン樹脂及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、JIS K6922−1,2に準拠して測定される密度が0.910〜0.940g/cmであることが好ましい。また、JIS K6922−2に準拠して測定される、温度190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが0.5〜100g/10分であることが好ましく、2.5〜70g/10分であることがより好ましい。
第一態様の樹脂組成物の(B)成分として用いられる市販のLLDPEとしては、例えば日本ポリエチレン(株)製の「ノバテックLL」シリーズ及び「UJ790G」、(株)プライムポリマー製の「エボリュー」シリーズ等が挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
また、本発明の第一態様の樹脂組成物の(B)成分として用いられるパラフィン系樹脂としては、パラフィン系ワックスが好ましい。パラフィン系ワックスとしては、ノルマルパラフィンを主成分とするものや、分岐又は環式パラフィンを主成分とするものが挙げられる。パラフィン系ワックスの分子量は、好ましくは1000未満、より好ましくは500以上、1000未満である。パラフィン系ワックスの融点は、好ましくは110℃以下、より好ましくは90℃以下である。
市販のパラフィン系樹脂としては、日本精蝋(株)製のパラフィン系ワックス「LUVAX2191」等が挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
本発明の第二態様の樹脂組成物に用いられる(B)成分としては、粘度平均分子量[g/mol]が50万以上100万未満の高密度ポリエチレン樹脂を除き、第一態様の樹脂組成物に用いられる(B)成分と同様の樹脂が挙げられる。中でも、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、及びパラフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂及びパラフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
<導電性物質(C)>
本発明の樹脂組成物は、帯電防止性能を付与する観点から、導電性物質(C)を含有する。該(C)成分は、所望の導電性を発現できる物質であれば特に制限なく用いることができ、常温で固体でも液体でもよく、また、有機物質又は無機物質のいずれでもよい。但し、本発明の第一態様の樹脂組成物に用いられる(C)成分は、アルミニウムドープ酸化亜鉛のみからなるものを除く。
本発明の第一態様の樹脂組成物に用いられる(C)成分としては、例えば、金属、金属酸化物、金属又は金属酸化物で被覆された粒子、無機金属塩化合物、カーボン系材料、変性シリコーン材料、イオン性有機化合物、非イオン性有機化合物、導電性高分子、イオン性液体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
本発明の(C)成分として用いられる金属としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、鉄、パラジウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
本発明の(C)成分として用いられる金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、金属ドープ酸化スズ、及び金属ドープ酸化亜鉛などが挙げられる。金属ドープ酸化スズとしては、例えばアンチモンドープ酸化スズ(ATO)が挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、金属酸化物としては金属ドープ酸化亜鉛が好ましい。金属ドープ酸化亜鉛は導電性が高いため、樹脂組成物中の含有量を低減することができる。また、酸化亜鉛は抗菌作用を有することから、本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体は食品や医薬品分野の製品にも適用できる。
金属ドープ酸化亜鉛に用いられる金属としては、酸化亜鉛へのドープが可能であり、かつ導電性を有するものであれば特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウム等の第13族元素;ゲルマニウム、スズ等の第14族元素;鉄等が挙げられる。
上記の中でも、良好な分散性の点から、本発明の第一態様の樹脂組成物に用いられる金属ドープ酸化亜鉛としてはガリウムドープ酸化亜鉛単独、又はアルミニウムドープ酸化亜鉛及びガリウムドープ酸化亜鉛の組み合わせが好ましい。
金属ドープ酸化亜鉛の金属ドープ量は、所望の導電性を発現することができれば特に制限はないが、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.05〜0.5質量%である。
本発明の(C)成分として用いられる金属又は金属酸化物で被覆された粒子としては、コア粒子の表面を、前記金属又は金属酸化物で被覆した粒子が挙げられる。コア粒子としては、樹脂粒子などの有機粒子、セラミックス粒子などの無機粒子のいずれでもよい。
無機金属塩化合物としては、金属ケイ酸塩、金属チタン酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属過塩素酸塩、アルカリ金属スルホン酸塩、アルカリ金属カルボン酸塩、テトラフルオロホウ酸の金属錯体、ヘキサフルオロリン酸の金属錯体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
カーボン系材料としては、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
(C)成分が金属、金属酸化物、金属又は金属酸化物で被覆された粒子、無機金属塩化合物、又はカーボン系材料である場合、その形状としては、連続相に均一に存在させる観点から、粒子状であることが好ましい。粒子の粒径としては10nm以上、100μm未満のものを用いることができるが、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)の粉末の粒径よりも小さいことが好ましい。従って通常、該粒子の粒径は50μm以下であり、中でも10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、6μm以下であることがさらに好ましい。ここでいう粒子の粒径とは、体積平均径である。
本発明に用いる上記(C)成分が粒子状である場合、その嵩比容積は、高い導電性を安定して発現する観点からは大きい方が好ましく、通常、100〜2000[ml/100g]のものを用いることができる。中でも、(C)成分の分散性及び導電性発現の観点から、当該嵩比容積は200〜1000[ml/100g]が好ましく、200〜900[ml/100g]がより好ましい。
粒子状の(C)成分が空間的に占有する体積、すなわち導電性粒子の嵩比容積が高いと、高い導電性を安定して発現することができる。そのため本発明の樹脂組成物においては、相分離構造を利用することに加えて、嵩比容積の高い(C)成分を用いることにより(C)成分の含有量をさらに低減することができる。上記嵩比容積は、10MPa圧粉体の100gあたりの容積である。
また、粒子状の(C)成分の比表面積は、高い導電性を安定して発現する観点から比表面積が大きい方が好ましく、通常、1m/g以上、100m/g以下のものを用いることができる。樹脂組成物への分散性及び凝集性の観点からは、当該比表面積は4〜60m/gが好ましく、導電性、及び樹脂組成物の色調への影響を少なくする観点から、4〜50m/gがより好ましい。
上記比表面積は、BET法により測定される値である。
本発明の(C)成分として用いられる変性シリコーン材料としては、導電性の観点から、一部をイオン性基又は導電性非イオン性基で変性した変性シリコーン材料が好ましく、例えば、ポリエーテル鎖含有シリコーン系化合物を挙げることができる。当該ポリエーテル鎖としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシドが好ましい。
ポリエーテル鎖含有シリコーン系化合物としては、ポリエーテル鎖含有シリコーン系界面活性剤;ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなどのポリオルガノシロキサンの側鎖をポリエーテルで変性した化合物;などが挙げられる。上記ポリオルガノシロキサンのオルガノシロキサン単位数には特に制限はなく、好ましくは2〜300、より好ましくは2〜50の範囲である。
優れた導電性を発現させる観点から、本発明の(C)成分として用いられる変性シリコーン材料は、HLBが5以上であることが好ましく、8〜20であることがより好ましい。
市販の変性シリコーン材料としては、信越シリコーン(株)の「KF−351A」、「KF−352A」、「KF−353」、「KF−354L」、「KF−355A」、「KF−615A」、「KF−945」、「KF−640」、「KF−642」、「KF−643」、「KF−644」、「KF−6020」、「KF−6204」、「X−22−4515」、「KF−6011」、「KF−6012」、「KF−6015」、「KF−6017」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズジャパン社の「TSF4452」、「SilwetL−7605」等のポリエーテル変性シリコーンオイルや、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズジャパン社の「SilwetL−77」、「Silwet Hydrostable」シリーズ等のポリエーテル鎖含有シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
本発明の(C)成分として用いられるイオン性有機化合物としては、低分子化合物及び高分子化合物のいずれも用いることができる。イオン性低分子有機化合物としては、カチオン性、アニオン性、及び両性イオン性の各種界面活性剤が挙げられる。例えば、アルキルアミン類、第4級アンモニウム塩類などのカチオン性界面活性剤;脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸類、アルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルアリール硫酸エステル塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などのアニオン性界面活性剤;及びアルキルベタイン類、アミンオキサイド類などの両性イオン性界面活性剤などが挙げられる。
本発明の(C)成分として用いられるイオン性高分子有機化合物としては、イオン性基を有する高分子有機化合物が挙げられる。例えば、4級アンモニウム塩類としては、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート共重合体、4級アンモニウム塩基含有マレイミド共重合体;スルホン酸類としてはポリスチレンスルホン酸ソーダ;ベタイン類としてはカルボベタイングラフト共重合体;などが、それぞれ挙げられる。その他、上記イオン性低分子有機化合物を高分子量化したポリマーも用いることができる。
市販のイオン性低分子有機化合物としては、ミヨシ油脂(株)製のカチオン性界面活性剤「ダスパー125B」、「ダスパー1400B」、「ダスパー324DS」、「ミヨコール324」、「ミヨコール368」、「ミヨコールQX−33N」、アニオン性界面活性剤「ダスパー802D」、「ダスパー902D」、「ダスパー802DS」、ミヨシ油脂(株)製の両性イオン性界面活性剤「ダスパーAL−1」等が挙げられる。
また、市販のイオン性高分子有機化合物としては、大成ファインケミカル(株)製の4級アンモニウム塩基含有アクリル系ポリマー「1SX」シリーズ、三井・デュポンポリケミカル(株)製のアニオン性ポリマー「エンティラAS」シリーズの「SD100」、「MK400」、「MK153」、住化カラー(株)製のスルホン酸系ポリマー「キノプラス」等が挙げられる。
本発明の(C)成分として用いられる非イオン性有機化合物としては、低分子化合物及び高分子化合物のいずれも用いることができる。非イオン性低分子有機化合物としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシアルキレン誘導体類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類、アルキルアルカノールアミド類等の界面活性剤が挙げられる。これらの中でもアルキルアルカノールアミド類が好ましく、脂肪酸モノアルカノールアミド及び脂肪酸ジアルカノールアミドからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、脂肪酸ジアルカノールアミドがより好ましく、脂肪酸ジエタノールアミドがより好ましい。
脂肪酸モノアルカノールアミドとしては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド等が挙げられる。
脂肪酸ジアルカノールアミドとしては、ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジイソプロパノールアミド、ステアリン酸ジイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジイソプロパノールアミド等が挙げられる。これらの中でも、ラウリン酸ジエタノールアミド及びステアリン酸ジエタノールアミドからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
また、本発明の(C)成分として用いられる非イオン性高分子有機化合物としては、ポリアルキレンオキシド、ポリエーテルエステルアミド、エチレンオキシド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート共重合体、ポリエーテルブロックとポリオレフィンブロックとを有するブロック共重合体等が挙げられる。
市販の非イオン性有機化合物としては、ミヨシ油脂(株)製の非イオン性界面活性剤「アミコールCDE−1」、「アミコールCDE−70」、「アミコールLDE」、「アミコールCDE−G」、「アミコールCDE−2」、「アミコールCMEA」、「アミコールSME」、「アミコールCM−10」、「アミコールLMIP」、「アミコールLMIP−70」、「ダスパーK−200」、「ダスパーS−120L」、花王(株)製の非イオン性界面活性剤「エレクトロストリッパーTS−2B」、三洋化成工業(株)製の非イオン性帯電防止ポリマー「ペレスタット300」、「ペレスタット230」、「ペレスタットHC250」、「ペレクトロンPVH」、「ペレクトロンPVL」、「ペレクトロンHS」、BASFジャパン(株)製の非イオン性帯電防止ポリマー「イルガスタットP16」、「イルガスタットP20」、「イルガスタットP18FCA」、「イルガスタットP22」等が挙げられる。
変性シリコーン材料、イオン性有機化合物、及び非イオン性有機化合物に関しては、前述のように低分子化合物、高分子化合物のいずれも使用可能であり、用途及び要求特性に応じて適宜選択できる。添加量が少なくても優れた導電性を発現する観点からは低分子化合物が好ましく、樹脂組成物及び成形体表面へのブリードアウトが起こり難く、安定した導電性を維持する観点からは高分子化合物が好ましい。なお、低分子化合物と高分子化合物とを併用することも可能である。
本発明の(C)成分として用いられる導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾールなどが挙げられる。
本発明の(C)成分として用いられるイオン性液体は、室温(25℃)で液状を呈する溶融塩であり、例えば、イミダゾリウム系、ピリジニウム系、4級アンモニウム系、4級ホスホニウム系などのカチオン性物質と、カウンターイオンであるCl、Br、Iなどのハロゲンイオン、SO4 2−、NO3 、ClO4 、BF4 、PF6 、各種スルホン酸イオンやCOOなどのなどの酸基イオンなどのアニオンとが結合した溶融塩が挙げられる。
上記(C)成分は、1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。但し本発明の第一態様の樹脂組成物に用いられる(C)成分は、アルミニウムドープ酸化亜鉛のみからなるものを除く。
上記(C)成分の中でも、本発明の第一態様の樹脂組成物に用いられる(C)成分としては、優れた導電性を発現する観点、及び、食品又は医薬分野に適用する観点からは、金属酸化物、変性シリコーン材料、イオン性有機化合物、及び非イオン性有機化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、金属ドープ酸化亜鉛(アルミニウムドープ酸化亜鉛のみからなるものを除く)、ポリエーテル鎖含有シリコーン系化合物、イオン性高分子有機化合物、非イオン性高分子有機化合物、イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、非イオン性界面活性剤がさらに好ましく、アルキルアルカノールアミド類がよりさらに好ましく、脂肪酸ジアルカノールアミドがよりさらに好ましい。
本発明の第二態様の樹脂組成物に用いられる(C)成分としては、第一態様の樹脂組成物に用いられる(C)成分と同様の物質が挙げられる。但し、第二態様の樹脂組成物における(C)成分は、アルミニウムドープ酸化亜鉛のみからなるものでもよい。アルミニウムドープ酸化亜鉛は、アルミニウムと酸化亜鉛から構成されているため、食品衛生面や人体への安全性の点でより好ましい。
本発明の第二態様の樹脂組成物に用いられる(C)成分としては、優れた導電性を発現する観点、及び、食品又は医薬分野に適用する観点からは、金属酸化物、変性シリコーン材料、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、金属ドープ酸化亜鉛、ポリエーテル鎖含有シリコーン系化合物、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、金属ドープ酸化亜鉛及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、アルミニウムドープ酸化亜鉛及び脂肪酸ジアルカノールアミドからなる群から選ばれる1種以上がよりさらに好ましい。
<各成分の含有量>
本発明の樹脂組成物において、該(A)成分と該(B)成分との合計を100質量%とした場合、該(A)成分と該(B)成分のうち前記(C)成分が存在する相を形成する成分の含有量は、5質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。該(C)成分が存在する相を形成する成分の含有量が5質量%以上であれば、(C)成分が存在する連続相を安定して形成することができる。また該成分が40質量%以下であれば、(C)成分が存在する連続相における(C)成分の濃度が高くなり、導電性が良好である。上記観点から、該樹脂組成物中の(C)成分が存在する相を形成する成分の含有量は、該(A)成分と該(B)成分との合計を100質量%とした場合、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは13質量%以上であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは27質量%以下である。
本発明の樹脂組成物においては、(C)成分が存在する相を形成する成分の含有量を所定の範囲とすることにより、(C)成分の濃度が低い場合にも安定した導電性を発現することができる。
前述したように、(C)成分が存在する相は(B)成分からなる連続相であることが好ましい。この際、該(A)成分と該(B)成分との合計を100質量%とした場合、(B)成分の含有量が、好ましくは5質量%以上、40質量%以下である。すなわち、本発明の樹脂組成物において(A)成分の含有量が多くなるので、超高分子量ポリエチレン樹脂が本来有する、機械強度、耐衝撃性、耐摩耗性、及び摺動性を発現できる。
また本発明の樹脂組成物中の(A)、(B)成分の合計含有量は、当該樹脂成分(A)、(B)本来の特性を付与する観点から、好ましくは80〜98質量%、より好ましくは85〜96質量%である。
本発明の樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、好ましくは2〜20質量%である。当該含有量が2質量%以上であれば所望の導電性を付与しやすく、20質量%以下であれば、樹脂組成物の成形性及び機械物性の低下を避けることができる。樹脂組成物の成形性及び機械物性の観点からは、当該含有量は15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、6質量%以下がよりさらに好ましい。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、他の各種樹脂添加剤を配合することができる。具体的には例えば、潤滑剤;色調整剤としてシリカなど;着色剤として有機又は無機着色剤など;安定剤としてヒンダードフェノール系などの酸化防止剤、銅系、リン系、硫黄系などの熱安定剤、光安定剤(UV吸収剤)など;難燃剤として無機系難燃剤、ハロゲン系、リン系の難燃剤、滴下(ドリップ)防止剤としてのフッ素樹脂など;物性改良剤として造核剤、耐衝撃性改良剤、発泡剤など;成形性、加工性改良剤として可塑剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤など;強化材としてガラス繊維等の強化フィラ−、有機系、高分子系の強化フィラ−、その他無機系充填剤など;が挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
中でも、色調を調整する観点、成形性、離型性、切削性及び研磨性向上の観点から、潤滑剤、色調整剤、及び着色剤から選ばれる1種以上を配合することが好ましく、潤滑剤を配合することがより好ましい。
〔潤滑剤(D)〕
本発明の樹脂組成物は、さらに潤滑剤(D)を含有することが好ましい。潤滑剤(D)を含有することによって、樹脂組成物の成形性、離型性、切削性及び研磨性の向上が期待できる。
本発明に用いる潤滑剤(D)としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系等の固体潤滑剤が挙げられる。中でも、成形性の点から、ポリオレフィン系ワックス及びフッ素系ワックスからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポリオレフィン系ワックスがより好ましい。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
またポリオレフィン系ワックスは、粘度平均分子量が1,000〜10,000[g/mol]であることが好ましい。粘度平均分子量の測定方法は前述の(A)、(B)成分と同じである。
ポリオレフィン系ワックスの具体例としては、ポリエチレンワックスである三井化学(株)製「エクセレックス」、三井化学(株)製「ハイワックス」、クラリアント社製「リコワックス」等が挙げられる。
当該(D)成分を用いる場合には、本発明の樹脂組成物における(D)成分の含有量は、得られる成形体の機械物性を維持する観点、及び成形性、離型性、切削性、研磨性の観点から、好ましくは0.1〜10質量%であり、1〜5質量%がより好ましい。
〔色調整剤〕
本発明の樹脂組成物は、さらに色調整剤を含有してもよい。これにより、樹脂組成物を製造する際に生じる若干の変色を抑制し、均一で安定した淡色(白色)の着色がなされる。したがって、さらに他の着色剤を添加し、所望の(濃色の)色調を有する樹脂組成物、及びこれを含む成形体を提供することができる。
色調整剤としては、上記性能を付与することができる物質であれば特に制限はないが、色調整の観点、及び樹脂組成物中における分散性の観点から、白色微粒子であることが好ましく、シリカがより好ましい。
なお、本発明に用いるシリカは、石英のような結晶性シリカだけでなく、ケイ酸をゲル化したシリカゲル(SiO純度99.5%以上)のような非結晶性シリカをも含む。
中でも二酸化珪素(SiO)の純度が高い方が、得られる樹脂組成物の適用用途が広がり、また淡色の着色効果が顕著となるので好ましい。
本発明に用いる色調整剤の平均2次粒子径は所望する樹脂組成物となるよう、適宜選択して決定すればよいが、通常、0.1〜50μmである。色調整剤の平均2次粒子径がこの範囲にあることにより、樹脂組成物の製造において混合が容易であり、凝集等の発生による分散性の低下がなく、均一な着色効果が期待できる。中でも好ましい色調整剤の平均2次粒子径は、1〜10μmである。
本発明に用いる色調整剤として、市販のシリカを用いることもできる。市販のシリカとしては、例えば、富士シリシア化学(株)製の「サイリシア350」、「サイリシア730」や、エボニック(株)製の「アエロジル」等が挙げられる。これらは1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
色調整剤を用いる場合には、本発明の樹脂組成物における色調整剤の含有量は、通常、0.1〜10質量%であり、0.5〜5.0質量%が好ましい。色調整剤の配合量が0.1質量%以上であれば均一な着色効果が得られ、10質量%以下であれば色調整剤の分散性や機械物性が低下しない。
〔着色剤〕
本発明の樹脂組成物は、さらに着色剤を含有してもよい。着色剤は、顔料及び染料等を、用途及び着色目的に応じて適宜選択することができる。顔料と染料とは併用してもよい。
顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも用いることができる。
有機顔料としては、例えばカラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists社発行)において顔料に分類されている化合物であればよい。例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のイエロー系顔料;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメント2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177等のレッド系顔料;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6等のブルー系顔料;C.I.ピグメントバイオレット23:19、C.I.ピグメントグリーン36;等が挙げられる。
無機顔料としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、白雲母、リトポン、アルミナ白、モリブデン白、鉛白(炭酸亜鉛)、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、シリカ三酸化アンチモン、燐酸チタン、炭酸鉛、水酸化鉛、塩基性モリブデン酸亜鉛、塩基性モリブデン酸カルシウム、酸化亜鉛/二酸化チタン複合酸化物、酸化アルミニウム/酸化マグネシウム複合酸化物、酸化カルシウム/酸化ジルコニウム複合酸化物等の白色無機顔料;等が挙げられる。
染料としては特に限定はなく、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists社発行)において染料に分類されている化合物であればよい。例えば、赤色や青色、緑色、黄色、橙色、紫色、茶色、黒色の水溶性の酸性染料や含金属染料、塩基性染料、カチオン染料、直接染料、反応染料、及び水不溶性の分散染料や硫化染料、建染染料等が挙げられる。該染料は、有機染料、無機染料のいずれでもよい。
上記着色剤は1種を単独で用いることもでき、任意の割合で2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物における着色剤の含有量は、通常、0.001〜1質量%であり、好ましくは0.01〜0.5質量%である。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物の製造方法は任意であり、従来公知の方法を適宜選択することができる。中でも、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)、非相溶樹脂(B)及び導電性物質(C)、並びに必要に応じその他の成分を混合し、得られた粉体状混合物を、加熱圧縮成形又は押出成形する工程を有する方法が好ましい。この方法により、本発明の特徴である相分離構造を有する樹脂組成物を容易かつ工業的に安価に製造できる。
超高分子量ポリエチレン樹脂(A)、非相溶樹脂(B)及び導電性物質(C)の混合方法は任意であるが、均一に混合する観点から、例えば粉体状の(A)、(B)及び(C)成分をタンブラーミキサーやヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドする方法が挙げられる。又は、上記成分を適当な溶媒(例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素やその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類)に添加し、溶液状態ないしは不溶解成分を含む懸濁状態で混合したのち溶媒を除去する溶液混合法を用いることもできる。
得られた粉体状混合物の成形方法は任意であるが、加熱圧縮成形又は押出成形方法として、一般的な加熱圧縮成形又はラム押出成形を用いることができる。成形温度は160〜240℃、成形圧力は5〜30kg/cmの範囲で成形可能である。特に樹脂成分の熱劣化による変色の観点から、成形温度は低い方が望ましい。
上述した製造方法において、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)に比して、溶融粘度がより低い非相溶樹脂(B)を用いると、ドライブレンドされた2種の樹脂成分(A)、(B)は、その溶融粘度の差によって圧縮成形等において加熱された際、超高分子量ポリエチレン樹脂(A)に比して非相溶樹脂(B)が先に溶融して連続相を形成し、溶融後の該連続相中に導電性物質(C)を選択的に存在させることができる。このため、導電性物質(C)の含有量を低減しても十分な導電性が安定して発現する。また、当該含有量の低減と相まって非連続相となった超高分子量ポリエチレン樹脂(A)が存在することによって、本発明の樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン樹脂本来の機械強度、耐衝撃性、耐摩耗性、及び摺動性の発現が可能となる。
[成形体]
本発明の成形体は上記樹脂組成物を含むものであり、上記樹脂組成物を成形して得られる。当該成形体は導電性を有することから帯電防止性能を有し、かつ、使用する樹脂成分が本来有する特性を維持できる。特に、本発明の成形体は(A)成分として超高分子量ポリエチレン樹脂を含有することから、超高分子量ポリエチレン樹脂本来の高い機械強度、耐衝撃性、耐摩耗性、及び摺動性を有する。そのため当該成形体は、中でも帯電防止性能と摺動性とを両立する観点から、各種摺動部材への適用が期待できる。
本発明の成形体の具体的な用途としては、例えば、電子部材搬送用途として、燃料電池などの電子部材搬送システム内のレールやガイド、食品搬送機用途として、食品搬送システム内のレールやガイド、スターホイール、搬送スクリュー、ネックガイド、コンベアローラーや原料投入シュートなどのスライダー材やスクレイパーなどが挙げられる。また、医薬系の用途として錠剤類のスライダーなど;前記以外の物品の搬送材、レール、ガイド材、または搬送ローラーなど;埃塵の静電気による付着防止効果の点から、日常生活用品の搬送装置ガイドレールなど;にも使用可能である。これらの中でも、本発明の成形体は、電子部材搬送システム内のレール若しくはガイド、食品搬送システム内のレール若しくはガイド、又は医薬錠剤スライダーであることが好ましい。
本発明の成形体を摺動部材に適用すると、樹脂製の成形体であること、及び安定した永久帯電防止性能が発現されることによって、埃等の付着が抑制され、搬送物を静電気や堆積した埃や塵等で汚染や損傷することなく搬送できことが期待される。また、高い耐摩耗性を有することから長い製品寿命が期待され、さらには部品交換や清掃などのメンテナンスの低減が見込まれる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない範囲において、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各種測定及び評価は下記方法により行った。
<粘度平均分子量の測定>
粘度平均分子量は、下記で表されるMargolieの式から求めた。
M=5.37・104[η]1.49
上記式において、Mは粘度平均分子量[g/mol]、[η]は固有粘度(単位:[dl/g])を示す。
<相分離構造の観察>
実施例で得られた樹脂組成物の成形体を光学顕微鏡で観察し、相分離構造の有無、及び、導電性物質(C)がいずれの相に存在しているかについて確認した。
観察の結果、実施例で得られた成形体はいずれも相分離構造((B)成分からなる連続相中に(A)成分からなる島状の非連続相が分散された海島構造)を形成しており、かつ、(C)成分は(B)成分からなる連続相に存在していることが確認された。
<相分離構造における各相の面積比>
光学顕微鏡(マイクロスコープ(HIROX製))を用いて各例の樹脂組成物の成形体表面を観察し、観察画像のコントラストから、分析ソフトを利用して、(C)成分が存在しない相の面積SAと(C)成分が存在する相の面積SBとの比を求めた。なお、実施例においてはいずれもSA>SBであった。
<表面抵抗値及び体積固有抵抗値の測定>
実施例及び比較例で得られた成形体を機械加工して板状試験片を作製し、抵抗率計((株)エーディーシー製「アドバンテストR8340A」)を用いて、印加電圧100Vにおける抵抗値をASTM D792に準拠して測定した。
試験片の大きさは任意だが、実施例5−7及び9−10、比較例1−3は、100mm×100mm×5mmの板状試験片を、実施例1−4及び8は、100mm×100mm×8mmの板状試験片を用意し、測定した。
印加電圧100Vで測定した表面抵抗値が1013Ω/cm未満であれば導電性が良好であることを示す。また、印加電圧100Vで測定した表面抵抗値が1013Ω/cm未満でかつ体積固有抵抗値が1013Ω・cm未満であれば導電性が特に良好であることを示す。
<引張特性>
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物の成形体を機械加工して試験片を作製し、引張試験を行った。引張伸び及び引張強度(n=5)はJIS K7161−2に準拠して測定した。
実施例1(樹脂組成物及び成形体の製造及び評価)
超高分子量ポリエチレン樹脂(A1)(ティコナ社製「GUR4150」)88.3g、高密度ポリエチレン樹脂(B1)(ティコナ社製「GHR8110」)22.1g、導電性物質(C1)として非イオン性帯電防止ポリマー(三洋化成工業(株)「ペレクトロンPVL」)6.0g、潤滑剤として高密度ポリエチレン系ワックス(三井化学(株)製「ハイワックス200PF」3.6gをヘンシェルミキサーで混合した。得られた粉体状混合物120gを成形型に投入し、温度230℃、圧力28kg/cmで圧縮成形することにより、白色の板状の成形体を得た。
得られた成形体を機械加工して試験片を作製し、前述の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2〜10
樹脂組成物の組成を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂組成物及び成形体を作製し、前述の評価を行った。結果を表1に示す。
また、実施例2で得られた成形体の切片を前述の方法で光学顕微鏡観察した写真を図1に示す。実施例2で得られた成形体は海島構造を形成しており、かつ導電性物質(C)が、連続相(海)を形成する高密度ポリエチレン樹脂(B)相中に存在していることが確認された。また、画像のコントラストからそれぞれの相((C)成分が存在しない(A)相の面積SA、及び(C)成分が存在する(B)相の面積SB)の面積比を算出したところ、SAが70.5%、SBが29.5%であり、SA>SBであることが確認された。
比較例1〜3
樹脂組成物の組成を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂組成物及び成形体を作製し、前述の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、表1に示す各成分は以下の通りである。
<超高分子量ポリエチレン樹脂(A)>
(A1):超高分子量ポリエチレン樹脂(ティコナ社製「GUR4150」、粘度平均分子量920万[g/mol])
<非相溶樹脂(B)>
(B1):高密度ポリエチレン樹脂(ティコナ社製「GHR8110」、粘度平均分子量61万[g/mol])
(B2):パラフィン系樹脂(日本精蝋(株)製「LUVAX2191」、分子量700)
(B3):直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製「UJ790G」、密度0.928g/cm、MFR50g/10分
<導電性物質(C)>
(C1):非イオン性帯電防止ポリマー(三洋化成工業(株)「ペレクトロンPVL」、ペレット状)
(C2):ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越シリコーン(株)製「KF353」、ポリジメチルシロキサンの側鎖をポリエーテルで変性した非反応性シリコーンオイル)
(C3):ポリエーテル鎖含有シリコーン系界面活性剤(モメンティブ・パフォーマンス・ジャパン製「silwet L−77」、ポリアルキレンオキシド変性ヘキサメチルトリシロキサン)
(C4):非イオン性界面活性剤(ミヨシ油脂(株)製「アミコールLDE」、ラウリン酸ジエタノールアミド)
(C5):非イオン性界面活性剤(花王(株)製「エレクトロストリッパーTS−2B」、ステアリン酸ジエタノールアミド)
(C6):アルミニウムドープ酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製「バゼットCK」標準品、ドープ量:0.1質量%、嵩比容積(カタログ値):700〜850ml/100g)、比表面積(BET、カタログ値):30〜50m/g)
(C7):ガリウムドープ酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製「バゼットGK」、ドープ量:0.1質量%、嵩比容積(カタログ値):>850ml/100g、比表面積(BET、カタログ値):30〜50m/g)
<潤滑剤>
高密度ポリエチレン系ワックス(三井化学(株)製「ハイワックス200PF」)
<着色剤>
緑色顔料:上原産業社製緑色顔料
本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物に配合される樹脂本来の特性を維持しつつ、優れた導電性を安定して発現する。本発明の樹脂組成物は超高分子量ポリエチレン樹脂を含有することから、該樹脂組成物を含む成形体は、機械強度、耐衝撃性、耐摩耗性、及び摺動性が高く、かつ安定した帯電防止性能を有する。当該成形体は、中でも帯電防止性能と摺動性とを両立する観点から、各種摺動部材、例えば、搬送レールやガイド等、特に食品分野の搬送システム内のレールやガイド、医薬分野等の錠剤スライダー等への適用が期待できる。

Claims (8)

  1. 超高分子量ポリエチレン樹脂(A)、該(A)成分と非相溶の樹脂(B)、及び導電性物質(C)を含有する樹脂組成物であって、
    該(A)成分と該(B)成分とが相分離構造を形成し、
    該(C)成分が酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化インジウム、酸化インジウム錫、金属ドープ酸化スズ、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ゲルマニウムドープ酸化亜鉛、スズドープ酸化亜鉛、及び鉄ドープ酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種、又は、これらとアルミニウムドープ酸化亜鉛とからなる群から選ばれる2種以上を併用した金属酸化物、金属、金属又は前記金属酸化物で被覆された粒子、無機金属塩化合物、変性シリコーン材料、イオン性有機化合物、非イオン性有機化合物、導電性高分子、及びイオン性液体からなる群から選ばれる1種以上であり、且つ、該(C)成分は(B)成分からなる連続相に存在し、
    前記樹脂組成物中の前記(A)成分と前記(B)成分との合計を100質量%とした場合、該(B)成分の含有量が5質量%以上、40質量%以下であり、前記樹脂組成物中の該(C)成分の含有量が2〜20質量%である、樹脂組成物。
  2. 前記相分離構造が前記(B)成分からなる連続相中に前記(A)成分からなる非連続相が分散された海島構造である、請求項に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂組成物からなる成形体の表面を顕微鏡観察した際に観測される、前記(C)成分が存在しない相の面積SAと前記(C)成分が存在する相の面積SBとの関係がSA>SBである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(B)成分が高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、及びパラフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記(C)成分がガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ゲルマニウムドープ酸化亜鉛、スズドープ酸化亜鉛、及び鉄ドープ酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種、又は、これらとアルミニウムドープ酸化亜鉛とからなる群から選ばれる2種以上を併用した金属ドープ酸化亜鉛ポリエーテル鎖含有シリコーン系化合物、イオン性高分子有機化合物、非イオン性高分子有機化合物、イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂組成物からなる成形体のASTM D792に準拠して印加電圧100Vで測定した表面抵抗値が1013Ω/cm未満である、請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
  8. 電子部材搬送システム内のレール若しくはガイド、食品搬送システム内のレール若しくはガイド、又は医薬錠剤スライダーである、請求項に記載の成形体。
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