JP6030479B2 - 音声出力装置 - Google Patents
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しかし、補聴器の小型化や性能の向上により、耳穴式や耳かけ式の小型の補聴器には、テレコイルが付いていない例が多い。したがって、特許文献1の手法は、利用できる場合が限られてしまうという問題があった。
しかし、例えば、大音量に設定された携帯電話端末等を、難聴者が補聴器を装用した状態で誤って使用してしまうと、補聴器から出力される音量が大きすぎてしまうという問題があった。この場合、補聴器装用状態であるか、未装用状態であるかによって、音量の調節を行う等の操作が必要であり、従来の携帯電話端末等は、利用者にとって使い難いものであった。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
図1は、本発明による音声出力装置である携帯電話端末100の第1実施形態を示す図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
以下の説明では、図1中で見えている側の面を表面と呼び、見えていない側の面を裏面と呼ぶ。
また、図1中には、それぞれが直交するX軸、Y軸、Z軸の直交座標を示した。
本実施形態の保護パネル101は、タッチパネルとして構成されており、携帯電話端末100の各種情報を表示する表示部としての機能と、数字や文字入力、各種選択等を行うときに操作される操作部としての機能とを有している。
携帯電話端末100は、上述した構成の他、制御部511と、検出部512と、磁気センサ513と、記憶部514と、設定部515と、通信部551と、駆動回路部552とを備えている。
本実施形態では、磁気センサ513は、補聴器内の音声出力のための部位(スピーカードライバーとしてダイナミック型やマグネチック型、バランスドアーマチュア型等)が音声を出力するために備えるコイル及び/又は磁石が発生する磁気(磁界)を検出する。
図3中において、破線は、補聴器601が発生する磁力線を示している。
発着信時に、磁気センサ513は、補聴器601が発生する磁界を検出する。具体的には、図1に示した、レシーバー面をXY軸とするZ軸方向の磁力の「方向」と「大きさ」を主に計測する。
発着信が行われたときには、制御部511から検出部512を呼び出し、検出部512は、磁気センサ513で検出した磁力の「方向」と「大きさ」の検出結果を制御部511へ伝える。磁力が地磁気より非常に大きい場合は、制御部511は、利用者Hが補聴器を装用していると判断する。
一方、磁力が地磁気程度の大きさの場合は、制御部511は、補聴器未装用と判断する。
具体的には、制御部511は、補聴器が検出された(補聴器を装用していると判断した)ときには、「補聴器装用モード」の設定を記憶部514から呼び出して、駆動回路部552へ指示する。
一方、制御部511は、補聴器が検出されなかった(補聴器未装用と判断した)ときには、「補聴器未装用モード」の設定を記憶部514から呼び出して、駆動回路部552へ指示する。
記憶部514は、補聴器装用状態で聞き取りやすい音を出力する「補聴器装用モード」と、補聴器未装用状態の難聴者に聞き取りやすい音を出力する「補聴器未装用モード」との少なくとも2つの音響特性の設定を記憶する。
「補聴器装用モード」は、補聴器を装用している場合に適する音響特性で音声出力部104から音声を出力させる。すなわち、「補聴器装用モード」で出力される音声は、通常の聴力を有する人が聞き取りやすい音響特性(音量、周波数特性)の通常の音声である。
一方、「補聴器未装用モード」は、補聴器を未装用の難聴者が聞き取りやすい音声を出力させるモードである。この「補聴器未装用モード」では、音源の音声データに対して駆動回路部552により音声処理を行う。また、「補聴器未装用モード」として保存されるのは、左右のうちよく使う耳側の音響設定とするとよい。「補聴器未装用モード」における具体的な音声処理については、後述する。
設定部515は、「補聴器装用モード」と「補聴器未装用モード」のそれぞれについて、音量設定やイコライジング、ダイナミックレンジ圧縮等の音響特性の詳細な設定を受け付ける。どのような音響特性が利用者にとって適切であるのかは、利用者によって異なるので、設定部515では、利用者からの操作入力にしたがって、各モードでの音声処理についてのカスタマイズが可能となっている。カスタマイズされた「補聴器装用モード」又は「補聴器未装用モード」の設定内容は、記憶部514に記憶される。
設定部515は、例えば、上下キーに10段階の音量の設定ができ、その内、下5段階では、補聴器装用モードとなり、上5段階では、補聴器未装用モードとなって、それぞれのモード内での音量設定を受け付けるように表示と操作入力の受け付けを行う。また、設定部515は、左右キーによって、右キーを押せば右耳の音響特性の設定を呼び出し、左キーでは左耳用の設定を呼び出すことを行ってもよい。なお、図4中の操作キーは、表示部に表示されたものであり、タッチパネル操作によって、実現される操作部であるが、実際の操作部材にこれらの機能を割り当ててもよい。
これに対して、補聴器未装用モード時には、駆動回路部552は、アンプ557による信号の増幅率を大きくし、イコライザ部554及びダイナミックレンジ圧縮部555を機能させる。
図5は、補聴器装用状態と補聴器未装用状態とを併せて示したオージオグラムである。
この図5の例は、ハーフゲイン法で補聴のためのゲインを与えた補聴器の場合であるが、聞き取りやすい音量には、周波数によって差があることがわかる。
難聴者は、様々な聞こえの周波数特性を持つため、各々の聞こえ特性に合わせた高度な周波数イコライジング(例:10バンドEQ機能)を施す事により、より聞こえやすい音声伝達が可能となる。よって、この難聴者用のイコライジングは、利用者個々に合わせた設定値とすることが望ましい。
また、音声出力部104に圧電素子からなる振動子を用いる場合には、圧電素子は、2〜4KHzの周波数帯の出力が大きい特性をもっている。必要以上に出力されているこれらの帯域をイコライジング処理で抑制することで周波数特性を向上させながら、音漏れとして耳に付きやすい2〜4kHzの周波数帯域の出力を抑制することができる。
難聴者は、小さい音が聞こえづらく、反面大きな音は健聴者と変わらない程度に聞こえる特性を持つ場合が多い。つまり、単に大音量にしても逆にうるさく不快に感じてしまう場合がある。そこで、本実施形態では、ダイナミックレンジ圧縮部555により小さい音を大きくし、大きい音は小さい音よりも増幅しないダイナミックレンジ圧縮処理を行う。ダイナミックレンジ圧縮処理は、例えば周波数帯域毎に(例えば低域、中域、高域に三分割して)、それぞれ異なるダイナミックレンジ圧縮を行うことで、様々な難聴の聞こえのタイプに対応できる。本実施形態では、先に示した図2に示すように、低域用ダイナミックレンジ圧縮部555aと、中域用ダイナミックレンジ圧縮部555bと、高域用ダイナミックレンジ圧縮部555cとの3つのダイナミックレンジ圧縮部が設けられている。
第2実施形態の携帯電話端末100は、検出部512が行う補聴器の検出の手法が異なる他は、第1実施形態と同様である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
そこで、第2実施形態の検出部512は、検出対象の補聴器に予め取り付けた磁気発生手段、例えば小型の永久磁石が発生する磁気を検出することにより、補聴器を検出する。補聴器に小型の永久磁石を貼付けることにより、さらに強力な磁界を発生させることができ、さらに精度よく補聴器の装用を検出できる。
そこで、第2実施形態の検出部512は、携帯電話端末100が左の補聴器に近づいているのか、右の補聴器に近づいているのかを判断可能としている。
具体的には、左の補聴器に貼り付ける磁石と、右の補聴器に貼り付ける磁石とで、表側を向く極がそれぞれ異なるように、磁石を左右それぞれの補聴器に貼り付ける。磁石の補聴器への貼り付けは、例えば、両面テープ等を用いることができる。そして、制御部511は、検出部512により検出した磁気の磁力線の向きにより、左の補聴器を検出しているのか、右の補聴器を検出しているのかを判断する。
図6に示すように、左右を識別させるため左右の補聴器には極を逆にして磁石701L,701Rを貼り付ける。そうすることで音声出力装置を耳に当接させた際に磁気センサを通る磁力線は地磁気より強力であり、左右の補聴器装用耳で磁力の方向が反対方向になる。なお、携帯電話端末100の磁気センサ513の配置位置としては、携帯電話端末100の使用時に補聴器に貼り付けた磁石に近くなる位置、すなわち、耳あて部分(音声出力部104)の近傍に配置することが好ましい。
補聴器では、通常の会話による音声等が適切に聞き取れるように調整されている。しかし、利用者の難聴の程度によっては、例えば片方の耳については補聴器のみでは、十分に聞き取れないという場合もある。そのような場合には、補聴器だけでは補えない分を補うような音響特性となるように、一方の耳の補聴器について、他方の耳の設定とは異なる設定とすることが有効である。
図7は、第3実施形態の携帯電話端末100の内部構成の概略を示すブロック図である。
第3実施形態の携帯電話端末100は、検出部512に加速度センサ516が追加され、これに伴って検出部512が行う補聴器の検出の手法が異なる他は、第1実施形態と同様である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
なお、加速度センサ516のサンプリング周波数が高い場合は、静的な重力加速度を安定して検出するために、手ぶれによる高周波成分を低減させるローパスフィルタを通して安定させることが好ましい。
発着信時に、加速度センサ516は、携帯電話端末100に作用している加速度を検出する。具体的には、図1に示した、レシーバー面をXY軸とするX軸方向の加速度の「方向」と「大きさ」を主に計測し、制御部511に伝える。なお、これと同時に、第1実施形態と同様に、磁気センサ513は、補聴器が発生する磁界の検出を行い、制御部511に伝える。
図8に示すように、携帯電話端末100を左耳にかざす場合と右耳にかざす場合とでは、X軸における加速度の方向が反対になっている。
この加速度の向き及び磁気検出の結果に基づいて、制御部511は、補聴器を装用しているか否か、及び、携帯電話端末100が左耳にあてがわれているのか、右耳にあてがわれているのかを判断する。
なお、この図8に示す例では、利用者が頭を起こしている状態にあることを前提としている。
なお、制御部511がどのように動作するのかは、利用者が自らの補聴器の装用状況に応じて設定部515により設定した設定内容によって、適宜変更される。
(1)各実施形態において、携帯電話端末100は、補聴器未装用モード時には、増幅率を大幅に高める他、イコライジング、及び、ダイナミックレンジの圧縮処理を行う例を挙げて説明した。しかし、補聴器未装用モード時の音声処理は、一例を示したに過ぎず、様々な処理形態とすることができる。例えば、単純に音量を大きくするだけとしてもよい。
101 保護パネル
102 操作キー
103 マイク
104 音声出力部
110 筐体
511 制御部
512 検出部
513 磁気センサ
514 記憶部
515 設定部
516 加速度センサ
551 通信部
552 駆動回路部
554 イコライザ部
555 ダイナミックレンジ圧縮部
555a 低域用ダイナミックレンジ圧縮部
555b 中域用ダイナミックレンジ圧縮部
555c 高域用ダイナミックレンジ圧縮部
556 アウトプットパワーコントローラ
557 アンプ
601 補聴器
701L 磁石
701R 磁石
Claims (3)
- 音声を出力する音声出力部と、
前記音声出力部から出力する音声の音響特性について、少なくとも2つ以上の音響特性の設定を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された音響特性を用いて前記音声出力部を駆動する駆動回路部と、
検出対象の補聴器から検出される磁気により補聴器を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に応じて、前記駆動回路部が用いる音響特性を変更するように制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検出部が検出する磁気の大きさ及び/又は磁力線の方向に基づいて、前記検出部が検出した補聴器が左右どちらの耳に使用されている補聴器であるのかを判断することを特徴とする音声出力装置。 - 請求項1に記載の音声出力装置において、
当該音声出力装置に作用する加速度を検出する加速度センサを備え、
前記制御部は、前記加速度センサが検出する加速度の大きさ及び/又は加速度の方向を加味して、前記検出部が検出した補聴器が左右どちらの耳に使用されている補聴器であるのかを判断することを特徴とする音声出力装置。 - 音声を出力する音声出力部と、前記音声出力部から出力する音声の音響特性について、少なくとも2つ以上の音響特性の設定を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された音響特性を用いて前記音声出力部を駆動する駆動回路部と、検出対象の補聴器から検出される磁気により補聴器を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に応じて、前記駆動回路部が用いる音響特性を変更するように制御する制御部と、を備えた音声出力装置における音声出力方法であって、
前記制御部は、前記検出部が検出する磁気の大きさ及び/又は磁力線の方向に基づいて、前記検出部が検出した補聴器が左右どちらの耳に使用されている補聴器であるのかを判断することを特徴とする音声出力方法。
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