JP2015179936A - 携帯電話 - Google Patents

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Abstract

【課題】効果的に軟骨伝導を利用した携帯電話を提供する。【解決手段】一部側面に連続する上面壁と、正面壁、背面壁および側面壁との間に振動吸収材を設けるとともに、上面壁の内側に軟骨伝導振動源を貼り付け、両角部を軟骨伝導部とする携帯電話を提供する。携帯電話の上部両角の一対の軟骨伝導部に振動伝導体を介して軟骨伝導振動源の振動を伝達し、振動吸収材により振動伝導体を正面壁に接触しないよう支持するとともに、振動伝導体の振動を正面壁に伝達するか否かを切換える切換部を設けた携帯電話を提供する。軟骨伝導部に伝達する音声信号の周波数特性を音声信号の言語に基づいて決定する。周波数特性の手動変更後所定時間は自動変更を無効とする。表示部の表示言語切換、位置検知、着信音声分析等により波数特性を自動変更する。【選択図】図231

Description

本発明は、携帯電話に関する。
携帯電話の分野では、高騒音下でも明瞭に送受話可能な携帯電話を提供するため骨伝導スピーカを採用し、この骨伝導スピーカとともに外耳道閉塞手段を備えた携帯電話が提案されている。(特許文献1)一方、骨伝導スピーカの使用方法として耳珠に当接される振動面を耳珠との当接する圧力を手動操作により調節することにより、外部騒音の大きさに合わせて軟骨導経由の音声情報と気導経由の音声情報の伝達比率を変更することも提案されている。(特許文献2)さらに、骨伝導の振動源として圧電素子を用いることも提案されている。また、携帯電話のための送受話装置としては、通話網を介して音声通話可能な通信機器と無線通信可能に接続され、通話相手と通信機器を介して音声通話可能な無線通信機能付ヘッドセットが提案されている。(特許文献3)さらに、携帯電話などから無線通信部に送られてきた映像情報をレンズに表示するディスプレイ部や骨伝導イヤホンとマイクロフォンを有したオーディオ部が設けられた眼鏡型インターフェース装置も提案されている。(特許文献4)また、携帯電話等携帯端末のためのイヤホンも種々提案されている。
特開2003−348208号公報 特許4541111号公報 特開2006−86581号公報 特開2005−352024号公報
しかしながら携帯電話に関しては、さらに検討すべき課題が多い。
本発明の課題は、上記に鑑み、より効果的に軟骨伝導を利用した携帯電話を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明は、正面壁と、背面壁と、一部側面に連続する上面壁と、側面壁とを有し、前記上面壁と前記正面壁、前記背面壁および前記側面壁との間に振動吸収材を設けるとともに、前記上面壁の内側に軟骨伝導振動源を設け、前記上面壁における一部側面に連続する両角部を軟骨伝導部とすることを特徴とする携帯電話を提供する。これによって 気導音の発生を抑制した軟骨伝導携帯電話がコンパクト機構により実現される。
具体的な構成によれば、前記正面壁、前記背面壁、前記上面壁及び前記側面壁は硬質材料からなる。他の具体的な構成によれば、前記軟骨伝導振動源は圧電バイモルフ素子である。また他の具体的な構成よれば、前記軟骨伝導振動源は前記上面の内側に貼り付けられている。
本発明の他の特徴によれば、正面壁と、携帯電話の上部両角にそれぞれ配置される一対の軟骨伝導部と、前記一対の軟骨伝導部に振動を伝える振動伝導体と前記振動伝導体に支持される軟骨伝導振動源と、前記振動伝導体を前記正面壁に接触しないよう支持する振動吸収材と、前記振動伝導体の振動を前記正面壁に伝達するか否かを切換える切換部とを有することを特徴とする携帯電話が提供される。これによって、コンパクトな構成により効気導音の発生の少ない軟骨伝導携帯電話が提供されるとともに、必要に応じ通常の携帯電話に要求される気導音を発生させることが可能となる。
具体的な構成によれば、前記軟骨伝導部は、耳軟骨と近似する音響インピーダンスを有する。他の具体的な特徴によれば、前記切換部は携帯電話外部から操作可能である。
具体的な構成によれば、前記一対の前記軟骨伝導部を連結する弾性体より成る連結部を有し、前記振動伝導体は前記連結部にも支持される。また他の具体的な構成によれば、前記振動伝導体は携帯電話の筐体上辺部から浮いている。
本発明の他の特徴によれば、軟骨伝導部を有し、前記軟骨伝導部に伝達する音声信号の周波数特性を音声信号の言語に基づいて決定することを特徴とする携帯電話が提供される。これによって、言語に対応した携帯電話が提供できる。具体的な特徴によれば、音声信号の周波数特性を電気回路によって変更する。他の具体的な特徴によれば、音声信号の周波数特性をメカ的に変更する。
他の具体的な特徴によれば、音声信号の周波数特性の変更を手動操作および自動手段により行うことが可能であるとともに、手動操作による変更を自動手段による変更よりも優先する。これによってユーザの意図に反した動作を防止した携帯電話が提供できる。より具体的な特徴によれば、手動操作による変更が行われてから所定時間は自動手段による変更を無効とする。
他の具体的な特徴によれば、表示部を有し、言語に基づいて表示部の表示言語を切換えるとともに、周波数特性の近似する言語においては表示言語が切換えられても前記軟骨伝導部に伝達する音声信号の周波数特性は変化させない。これによって表示言語の変更および周波数特性の変更を合理的に行うことができる。他の具体的な特徴によれば、表示部を有し、表示部の表示言語の切換えに基づいて前記軟骨伝導部に伝達する音声信号の周波数特性を自動的に変化させる。これによって、ともに言語に関連する表示言語の変化に基づいて周波数を自動変更できる。
他の具体的な特徴によれば、位置検知部を有し、検知される位置に基づいて前記軟骨伝導部に伝達する音声信号の周波数特性を自動的に変化させる。これによって携帯電話の存在する言語圏に基づいて周波数を自動変更できる。
他の具体的な特徴によれば、着信音声分析部を有し、着信音声分析部により推定される言語に基づいて周波数を自動変更できる。
上記のように、本発明によれば、より効果的に軟骨伝導を利用した携帯電話が提供される。
本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例1を示す斜視図である。(実施例1) 右耳使用状態と左耳使用状態の機能を示す実施例1の側面図である。 実施例1のブロック図である。 図2の実施例1における制御部の動作のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例2を示す斜視図である。(実施例2) 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例3を示す斜視図である。(実施例3) 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例4を示す斜視図である。(実施例4) 実施例4のブロック図である。 実施例4の耳栓骨導効果に関連する構成を示す要部概念ブロック図である。 図8の実施例4における制御部の動作のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例5を示す斜視図である。(実施例5) 図11の実施例5における制御部の動作のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例6を示す斜視図であり、(A)は正面斜視図、(B)は背面斜視図、(C)は背面斜視図(B)のB−B切断面における断面図である。(実施例6) 図13の実施例6における制御部の動作のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例7を示す斜視図であり、(A)は正面斜視図、(B)は背面斜視図、(C)は背面斜視図(B)のB−B切断面における要部断面図である。(実施例7) 図15の実施例7における制御部の動作のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例8を示す斜視図であり、(A)は正面斜視図、(B)は背面斜視図、(C)は背面斜視図(B)のB−B切断面における断面図である。(実施例8) 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例9を示す斜視図であり、(A)は正面斜視図、(B)は背面斜視図、(C)は背面斜視図(B)のB−B切断面における断面図である。(実施例9) 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例10を示す斜視図である。(実施例10) 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例11を示す斜視図である。(実施例11) 右耳使用状態と左耳使用状態の機能を示す実施例11の側面図である。 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例12を示す斜視図である。(実施例12) 図22の実施例12における制御部の動作のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例13を示す斜視図である。(実施例13) 本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例14を示す斜視図である。(実施例14) 本発明の実施の形態に係る実施例15のシステム構成図である。(実施例15) 本発明の実施の形態に係る実施例16のシステム構成図である。(実施例16) 実施例16のブロック図である。 実施例17のブロック図である。(実施例17) 図29の実施例17における送受話ユニットの制御部の動作のフローチャートである。 実施例18における送受話ユニットの制御部の動作のフローチャートである。(実施例18) 本発明の実施の形態に係る実施例19のシステム構成図である。(実施例19) 本発明の実施の形態に係る実施例20のシステム構成図である。(実施例20) 本発明の実施の形態に係る実施例21の要部側面図である。(実施例21) 本発明の実施の形態に係る実施例22の上面図である。(実施例22) 本発明の実施の形態に係る実施例23のブロック図である。(実施例23) 本発明の実施の形態に係る実施例24のシステム構成図である。(実施例24) 本発明の実施の形態に係る実施例25のブロック図である。(実施例25) 実施例25の要部断面図である。 図19における実施例10の変形例を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る実施例26の斜視図である。(実施例26) 図41の実施例26のブロック図である。 図42の実施例26における制御部の動作に関するフローチャートであり、図10を援用してそのステップS42の詳細として示される。 本発明の実施の形態に係る実施例28の斜視図および断面図である。(実施例28) 実施例28の第1変形例および第2変形例を示す断面図である。 実施例28の第3変形例および第4変形例の断面図である。 本発明の実施の形態に係る実施例29およびその変形例を示す斜視図である。(実施例29) 本発明の実施の形態に係る実施例30の斜視図および断面図である。(実施例30) 本発明の実施の形態に係る実施例31の縦断面図および横断面図である。(実施例31) 実施例31の第1変形例および第2変形例を示す断面図である。 携帯電話に用いるのに適した圧電バイモルフ素子として構成された本発明の実施の形態に係る実施例32の斜視図である。(実施例32) 本発明の実施の形態に係る実施例33およびその変形例の透視斜視図である。(実施例33)。 実施例33およびその変形例の外観斜視図である。 本発明の実施の形態に係る実施例34の透視斜視図である。(実施例34) 本発明の実施の形態に係る実施例35に関する透視斜視図である。(実施例35) 本発明の実施の形態に係る実施例36に関する透視斜視図である。(実施例36) 本発明の実施の形態に係る実施例37に関する透視斜視図である。(実施例37) 本発明の実施の形態に係る実施例38に関する断面ブロック図である。(実施例38) 実施例38における携帯電話への軟骨伝導振動源固着の様子を示す背面透視図および断面図である。 図58の実施例38における制御部3439の動作のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る実施例39およびその各種変形例の断面図である。(実施例39) 本発明の実施の形態に係る実施例40およびその各種変形例の断面図および要部透視斜視図である。(実施例40) 本発明の実施の形態に係る実施例41の断面図である。(実施例41) 実施例41の種々の変形例の断面図である。 本発明の実施の形態に係る実施例42に関する断面図である。(実施例42) 本発明の実施の形態に係る実施例43に関する断面図である。(実施例43) 本発明の実施の形態に係る実施例44に関する断面図である。(実施例44) 本発明の実施の形態に係る実施例45に関する断面図である。(実施例45) 本発明の実施の形態に係る実施例46に関する斜視図および断面図である。(実施例46) 本発明の実施の形態に係る実施例47に関する斜視図および断面図である。(実施例47) 本発明の実施の形態に係る実施例46の変形例に関する斜視図および断面図である。 本発明の実施の形態に係る実施例48に関する斜視図および断面図である。(実施例48) 実施例48のおよびその変形例の要部拡大断面図である。 本発明の実施の形態に係る実施例49およびその変形例に関する斜視図および断面図である。(実施例49) 本発明の実施の形態に係る実施例50に関する一部断面図を混在させたブロック図である。(実施例50) 本発明の実施の形態に係る実施例51に関する一部斜視図を混在させたブロック図である。(実施例51) 本発明の実施の形態に係る実施例52に関する断面図および内部ブロック図である。(実施例52) 図77の実施例52に関する斜視図および断面図である。 図69の実施例46に基づいて構成された携帯電話の実測データの一例を示すグラフである。 耳の側面図および断面図であって、耳の構造の詳細と本発明の携帯電話との関係を示すものである。 本発明の実施の形態に係る実施例53のブロック図である。(実施例53) 本発明の実施の形態に係る実施例54のブロック図である。(実施例54) 本発明の実施の形態に係る実施例55の斜視図および断面図である。(実施例54) 図83の実施例55のブロック図である。 図83の実施例55における携帯電話における振動エネルギーの分布を説明するための側面図である。 本発明の実施の形態に係る実施例56の斜視図および断面図である。(実施例56) 本発明の実施の形態に係る実施例57のブロック図である。(実施例57) 本発明の実施の形態に係る実施例58の斜視図および断面図である。(実施例58) 本発明の実施の形態に係る実施例59の斜視図および断面図である。(実施例59) 本発明の実施の形態に係る実施例60の斜視図および断面図である。(実施例60) 本発明の実施の形態に係る実施例61の斜視図および断面図である。(実施例61) 本発明の実施の形態に係る実施例62の斜視図および側面図である。(実施例62) 図93の実施例62のブロック図である。 図92の実施例62およびその変形例におけるコードレス受話器の側断面図である。 本発明の実施の形態に係る実施例63の断面図である。(実施例63) 本発明の実施の形態に係る実施例64の斜視図、断面図および上面図である。(実施例64) 本発明の実施の形態に係る実施例65の斜視図、断面図および上面図である。(実施例65) 本発明の実施の形態に係る実施例66の斜視図、断面図および上面図である。(実施例66) 本発明の実施の形態に係る実施例67の斜視図および断面図である。(実施例67) 本発明の実施の形態に係る実施例68に関する断面図である。(実施例68) 本発明の実施の形態に係る実施例69のシステム構成図および使用説明図である。(実施例69) 実施例69のブロック図である。 本発明の実施の形態に係る実施例70の斜視図である。(実施例70) 実施例70のブロック図である。 本発明の実施の形態に係る実施例71の斜視図および断面図である。(実施例71) 実施例71のブロック図である。 本発明の実施の形態に係る実施例72に関するブロック図である。(実施例72) 実施例72におけるチャージポンプ回路への給電制御のタイミングチャートである。 実施例72におけるアプリケーションプロセッサの動作のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る実施例73に関する斜視図である。(実施例73) 実施例73における種々のテレビ電話モードを示す斜視図である。 実施例73におけるテレビ電話処理を示すフローチャートである。 図112のステップS376の詳細を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る実施例74に関するブロック図である。(実施例74) 本発明の実施の形態に係る実施例75に関するブロック図である。(実施例75) 本発明の実施の形態に係る実施例76に関するブロック図である。(実施例76) 本発明の実施の形態に係る実施例77に関するブロック図である。(実施例77) 本発明の実施の形態に係る実施例78に関する正面および側面の断面図である。(実施例78) 本発明の実施の形態に係る実施例79に関する正面および側面の断面図である。(実施例79) 本発明の実施の形態に係る実施例80に関する正面および側面の断面図である。(実施例80) 本発明の実施の形態に係る実施例81およびその第1変形例と第2変形例に関する側面の断面図である。(実施例81) 本発明の実施の形態に係る実施例82に関するブロック図である。(実施例82) 図122の実施例82におけるアプリケーションプロセッサのフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る実施例83に関する斜視図である。(実施例83) 図124の実施例83の変形例を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る実施例84に関する斜視図および断面図である。(実施例84) 図126の実施例84のブロック図である。 図126の実施例84の変形例の断面図である。 図128の実施例84の変形例のブロック図である。 本発明の実施の形態に係る実施例85およびその変形例に関する斜視図および断面図である。(実施例85) 本発明の実施例86に関するブロック図である。(実施例86) 図131の実施例86に関する圧電バイモルフ素子、耳軟骨、及び、圧電バイモルフ素子への駆動出力の周波数特性をイメージ的に示すグラフである。 図131の実施例86における制御部のフローチャートである。 図131の実施例86の変形例を示す斜視図である。 本発明の実施例87に関するブロック図である。(実施例87) 本発明の実施例88に関する斜視図および断面図である。(実施例88) 図136の実施例88における通話状況を説明する側面図である。 図136の実施例88の変形例を示す断面図である。 本発明の実施例89のシステム構成図である。(実施例89) 本発明の実施例90のシステム構成図である。(実施例90) 本発明の実施例91に関する断面図およびブロック図である。(実施例91) 本発明の実施例92のシステム構成図である。(実施例92) 実施例92の変形例を示すための耳の側面図である 本発明の実施例93の背面図およびブロック図である。(実施例93) 本発明の実施例94の背面断面図およびブロック図である。(実施例94) 本発明の実施例95のブロック図である。(実施例95) 本発明の実施例96の斜視図および断面図である。(実施例96) 図147の実施例96の携帯電話部分のブロック図である。 図148の実施例96の制御部の機能を示すフローチャートである。 本発明の実施例97の正面斜視図である。(実施例97) 図150の実施例97の制御部機能を示すフローチャートである。 図151のステップS554およびステップS560の詳細を示すフローチャートである。 本発明の実施例98に関する断面図およびブロック図である。(実施例98) 実施例98の実測値を示す表である。 図114および図115に示す実施例74および実施例75に採用可能な昇圧回路部およびアナログ出力アンプ部の組合せ回路の詳細を示す回路図である。 本発明の実施例99のシステム構成図である。(実施例99) 図156の実施例99の種々の変形例における耳掛け部の側面図である。 本発明の実施例100の斜視図および断面図である。(実施例100) 図158に示す実施例100の圧電バイモルフの構造の詳細を示す模式断面図および回路図である。 図158の実施例100における圧電バイモルフモジュールの量産のための構成を説明する断面図である。 本発明の実施例101に関するブロック図である。(実施例101) 図161に示す実施例101の第1変形例のブロック図である。 図161に示す実施例101の第2変形例のブロック図である。 図161の実施例101の特徴を図155の回路に応用した場合の一部省略詳細回路図である。 本発明の実施例102に関するブロック図である。(実施例102) 実施例102におけるアプリケーションプロセッサ機能を示すフローチャートである。 実施例102の周波数特性をイメージ的に示すグラフである。 本発明の実施例103に関する斜視図および断面図である。(実施例103) 図168(D)に示す実施例103の要部拡大断面図である。 本発明の実施例104に関する斜視図および断面図である。(実施例104) 本発明の実施例105に関するブロック図である。(実施例105) 図171の実施例105の拡張システムブロック図である。 図171の実施例105における携帯電話の制御部のフローチャートである。 図171の実施例105におけるヘッドセットの制御部のフローチャートである。 本発明の実施例106に関するブロック図である。(実施例106) 図175の実施例106におけるマイクの指向性の方向および指向性の鋭さの自動調整のイメージを説明するための模式図である。 図175の実施例106における携帯電話の制御部のフローチャートである。 本発明の実施例107に関する斜視図および断面図である。(実施例107) 「フレッチャー・アンド・マンソンの等ラウドネス曲線」のグラフである。 図87を援用する図178の実施例107におけるアプリケーションプロセッサのフローチャートである。 本発明の実施例108およびその変形例に関する断面図である。(実施例108) 本発明の実施例109の模式図である。(実施例109) 本発明の実施例110の模式図である。(実施例110) 本発明の実施例111の模式図である。(実施例111) 本発明の実施例112の模式図である。(実施例112) 本発明の実施例113の模式図である。(実施例113) 本発明の実施例114の模式図である。(実施例114) 本発明の実施例115の模式図である。(実施例115) 本発明の実施例116の模式図である。(実施例116) 本発明の実施例117の模式図である。(実施例117) 図190の実施例117の概念斜視図である。 本発明の実施例118の断面模式図である。(実施例118) 本発明の実施例119の模式図およびブロック図である。(実施例119) 本発明の実施例120の模式図である。(実施例120) 本発明の実施例121の模式図である。(実施例121) 本発明の実施例122の模式図である。(実施例122) 本発明の実施例123の模式図である。(実施例123) 本発明の実施例124の断面図である。(実施例124) 図198の実施例124の要部拡大断面図およびブロック図である。 図199の実施例124の制御部のフローチャートである。 本発明の実施例125の要部拡大断面図およびブロック図である。(実施例125) 本発明の実施例126の要部拡大断面図およびブロック図である。(実施例126) 本発明の実施例127の要部拡大断面図およびブロック図である。(実施例127) 本発明の実施例128のシステム構成図である。(実施例128) 図204に示す実施例128のシステムブロック図である。 実施例128における携帯電話の機能を示すフローチャートである。 本発明の実施例129のシステム構成図である。(実施例129) 本発明の実施例130の模式図である。(実施例130) 本発明の実施例131の模式図である。(実施例131) 本発明の実施例132の模式図である。(実施例132) 本発明の実施例133の模式図である。(実施例133) 本発明の実施例134のシステム構成図である。(実施例134) 図212の実施例134の通話姿勢の説明図である。 図212と実施例134の他の通話姿勢の説明図である。 実施例134のシステムブロック図である。 実施例134における腕時計型送受話装置の機能を示すフローチャートである。 本発明の実施例135のシステム構成図である。(実施例135) 実施例135のID名札型送受話装置の拡大正面図である。 実施例135の異なる表示状態におけるID名札型送受話装置の拡大正面図である。 実施例135のシステムブロック図である。 実施例135におけるID名刺型送受話装置制御部のフローチャートである。 本発明の実施例136の斜視図および断面図である。(実施例136) 本発明の実施例137およびその変形例に関する断面図である。(実施例137) 本発明の実施例138の斜視図および断面図である。(実施例138) 本発明の実施例139の斜視図および断面図である。(実施例139) 本発明の実施例140の斜視図および断面図である。(実施例140) 本発明の実施例141の斜視図および断面図である。(実施例141) 本発明の実施例142の斜視図および断面図である。(実施例142) 本発明の実施例143の斜視図および断面図である。(実施例143) 本発明の実施例144の模式図である。(実施例144) 本発明の実施例145の斜視図、断面図、上面図および側面図である。(実施例145) 本発明の実施例146の斜視図および上面図である。(実施例146) 本発明の実施例147のブロック図である。(実施例147) 図233の実施例147におけるアプリケーションプロセッサのフローチャートである。 本発明の実施例148の斜視図および上面図である。(実施例148)
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例1を示す斜視図である。図1において、携帯電話1は、表示部5等を有する上部7と、テンキーなどの操作部9および操作者の口から発音される音声をひろうマイク等の送話部23を有する下部11からなり、上部7がヒンジ部3によって下部11の上に折り畳み可能に構成される。上部7には、操作者の耳に音声を伝えるイヤホン等の受話部13が設けられ、下部11の送話部23とともに電話機能部を構成している。また、上部7には、携帯電話1をテレビ電話として利用する場合において表示部5を見ている操作者の顔を写すことができるとともに、自分撮りの際にも利用されるテレビ電話用内側カメラ17が配置されている。さらに、上部7には、携帯電話1が通話のために耳に当接していることを検知するための近接センサを構成する一対の赤外光発光部19、20および耳からの赤外反射光を受光する共通の赤外光近接センサ21が設けられている。なお、図1では図示しないが、上部7の背面には背面カメラが設けられており、携帯電話1の背面側にあって表示部5でモニタされる被写体を撮影することができる。
上部7にはさらに、内側(耳に当たる側)の上部角において、耳珠の接触するための圧電バイモルフ素子等からなる右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26が設けられている。これらの右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26は、携帯電話外壁から突出してデザインを害さないよう構成されるが、携帯電話外壁の角に設けられることにより、効果的に耳珠に接触する。これによって、受話部13からの音声による受話と併せて、耳珠の軟骨からの骨伝導にて受話が可能となる。なお、上記特許文献2に開示されているように、耳珠は、耳乳様突起、外耳口後部軟骨面、耳珠およびもみ上げ部等の耳軟骨構成の中で最も大きな聴感が得られるとともに押し付け圧力を増大させたときの低音部の上昇が他の位置よりも大きくなることが知られている。この知見については特許文献2に詳述されているのでこれを参照することができる。
携帯電話1は、これを右耳に当てたとき図1において時計方向に若干回転し、図1において右下がりの状態となる。そしてこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に右耳用軟骨伝導振動部24を設けることにより、振動部を携帯電話外壁から突出させることなく右耳用軟骨伝導振動部24を自然に右耳の耳珠に接触させることができる。この状態は、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。なお、受話部13は右耳用軟骨伝導振動部24近傍にあるので、耳珠軟骨経由の音声情報と外耳道経由の音声情報がともに耳に伝わることになる。このとき、異なった発音体と経路により同じ音声情報が伝えられることになるので、お互いが打ち消しあうことがないよう、両者間の位相調整が行われる。
一方、携帯電話1を左耳に当てたときは、携帯電話1が図1において反時計方向に若干回転し、図1において左下がりの状態となる。そして、右耳の場合と同様にして、携帯電話耳側上端の傾斜下側角に左耳用軟骨伝導振動部26が設けられている状態となり、左耳用軟骨伝導振動部26を自然に左耳の耳珠に接触させることができる。この状態が、通常の通話状態に近い姿勢であること、および受話部13が左耳用軟骨伝導振動部26近傍にあって耳珠軟骨経由の音声情報と外耳道経由の音声情報がともに耳に伝わるので、両者間の位相調整が行われることは、右耳の場合と同様である。
なお、上記近接センサにおける一対の赤外光発光部19、20は時分割で交互に発光しているので、共通の赤外光近接センサ21はいずれの発光部からの赤外光による反射光を受光しているのか識別可能であり、これによって右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26のいずれが耳珠に当たっているのか判断可能である。これによって、携帯電話1がいずれの耳で使用されているかが判別でき、耳珠が当接している方の振動部を振動させて他方をオフとすることが可能である。しかしながら、携帯電話1の耳への当て方や耳の形の個人差にはバラツキがあるので、実施例1では、さらに後述のように加速度センサを内蔵し、この加速度センサによって検知される重力加速度によって、携帯電話1がどちらに傾いているのかを検知して、傾斜下側角にある方の振動部を振動させて他方をオフとするよう構成している。以上の右耳使用および左耳使用については、各使用状態に即した図示により再度説明する。
上部7にはさらに、環境騒音を拾うよう外側(耳に当たらない背面側)に配置され、かつ右耳用軟骨伝導振動部24と左耳用軟骨伝導振動部26の振動の伝導防止手段が施された環境騒音マイク38が設けられる。この環境騒音マイク38はさらに操作者の口から発音される音声を拾う。環境騒音マイク38が拾った環境騒音および操作者自身の声は波形反転された上で右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26にミキシングされ、受話部13経由の音声情報に含まれる環境騒音および操作者自身の声をキャンセルして通話相手の音声情報を聞き取りやすくする。この機能の詳細は後述する。
図2は、右耳用軟骨伝導振動部24と左耳用軟骨伝導振動部26の機能を示す携帯電話1の側面図であり、図2(A)は、右手に携帯電話1を持って右耳28を当てている状態を示す。一方、図2(B)は、左手に携帯電話1を持って左耳30に当てている状態を示す。なお、図2(A)は、顔の右側面から見た図であり、図2(B)は、顔の左側面から見た図なので、携帯電話1はそれぞれ背面側(図1の裏側)が見えている。なお、携帯電話1と右耳28および左耳30との関係を図示するため、携帯電話1は一点鎖線にて示している。
図2(A)に示すように、携帯電話1は、これを右耳28に当てたとき図2において反時計方向(図1と裏表の関係)に若干傾き、図2において左下がりの状態となる。そして右耳用軟骨伝導振動部24はこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に設けられているので、これを自然に右耳28の耳珠32に接触させることができる。すでに述べたように、この状態は、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。一方、図2(B)に示すように、携帯電話1は、これを左耳30に当てたとき図2において時計方向(図1と裏表の関係)に若干傾き、図2において右下がりの状態となる。そして左耳用軟骨伝導振動部26はこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に設けられているので、これを自然に左耳30の耳珠34に接触させることができる。この状態においても、右耳28の場合と同様、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。
図3は、実施例1のブロック図であり、同一部分には図1と同一番号を付し、必要のない限り、説明は省略する。携帯電話1は、記憶部37に記憶されるプログラムに従って動作する制御部39によって制御される。記憶部37はまた、制御部39の制御に必要なデータを一時記憶するとともに、種々の測定データや画像も記憶することができる。表示部5の表示は制御部39の制御に基づき表示ドライバ41の保持する表示データに基づいて行われる。表示部5は表示用バックライト43を有しており、周囲の明るさに基づいて制御部39がその明るさを調節する。
受話部13および送話部23を含む電話機能部45は、制御部39の制御下にある電話通信部47により、無線電話回線に接続可能である。スピーカ51は、制御部39の制御により着信音や種々の案内を行うとともにテレビ電話時の相手の声を出力する。このスピーカ51の音声出力は、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26から出力されることはない。テレビ電話の際は、軟骨伝導振動部が耳に当てられる可能性がないからである。また、画像処理部53は、制御部39に制御されてテレビ電話用内側カメラ17および背面主カメラ55によって撮像される画像を処理し、これらの処理結果の画像を記憶部37に入力する。
上記のように、近接センサにおける一対の赤外光発光部19、20は制御部39の制御に基づき時分割で交互に発光している。従って、共通の赤外光近接センサ21によって制御部39に入力される赤外反射光は、いずれの発光部からの赤外光による反射光識別可能である。制御部39は赤外光発光部19、20の両者から反射光が検知されるときは、これらを相互比較し、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26のいずれが耳珠に当たっているのか判断する。さらに加速度センサ49は、検知される重力加速度の向きを検知する。この検知信号に基づき、制御部39は、携帯電話1が図2(A)および図2(B)のいずれの状態で傾いているのか判断し、図2で説明したように傾斜下側角にある方の振動部を振動させて他方をオフとする。
携帯電話1はさらに、制御部39からの音声情報に位相調整を行い、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26に伝達するための位相調整ミキサー部36を有する。より詳細に説明すると、この位相調整ミキサー部36は、受話部13から発生して外耳道から鼓膜経由で伝わる音声情報と右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26から発生して耳珠軟骨経由で伝わる同じ音声情報がお互い打ち消しあうことがないよう、制御部39から受話部13に伝達される音声情報を基準にして、制御部39からの音声情報に位相調整を行い、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26に伝達する。なお、この位相調整は、受話部13と右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26との間の相対調整なので、制御部39から右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26に伝達される音声情報を基準にして、制御部39から受話部13に伝達される音声情報の位相を調整するよう構成してもよい。この場合、スピーカ51への音声情報も受話部13への音声情報と同位相で調整する。
なお、位相調整ミキサー部36は上記のような受話部13からの音声情報と右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26からの同じ音声情報がお互い打ち消しあうことがないようにする第1の機能を有する他、環境騒音マイク38との協働による第2の機能を有する。この第2の機能では、環境騒音マイク38が拾う環境騒音および操作者自身の声が位相調整ミキサー部36によって波形反転された上で右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26の音声情報にミキシングされ、これによって、受話部13経由の音声情報に含まれる環境騒音および操作者自身の声をキャンセルして通話相手の音声情報を聞き取りやすくする。なお、このとき、受話部13からの音声情報と右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26からの音声情報の伝達ルートの違いにかかわらず環境騒音および操作者自身の声が効果的に打ち消されるよう、第1の機能に基づく位相調整も加味してミキシングが行われる。
図4は、図2の実施例1における制御部39の動作のフローチャートである。なお、図4のフローは主に右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示しており、一般的な携帯電話の機能等、図4のフローに表記していない制御部39の動作も存在する。図4のフローは、携帯電話1の操作部9による主電源のオンでスタートし、ステップS2で初期立上および各部機能チェックを行うとともに表示部5における画面表示を開始する。次いでステップS4では、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26の機能をオフにしてステップS6に移行する。ステップS6では、メール操作やインターネット操作、その他諸設定並びにダウンロード済のゲームなど電波を使わない操作(以下、「非通話操作」と総称する)の有無をチェックする。そしてこれらの操作があればステップS8に進んで非通話処理を実行し、ステップS10に至る。なお、非通話操作では、携帯電話1の上部7における受話部13や右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26の機能を耳に当てて行う機能を想定していない。一方、ステップS6で非通話操作が検知されないときは直接ステップS10に移行する。
ステップS10では、携帯電波による通話が着信中であるか否かのチェックを行う。そして通話着信中でなければステップS12に進み、携帯電話1からの通話発呼に対する相手からの応答が有ったか否かチェックする。そして応答が検知されるとステップS14に進む。一方、ステップS10で携帯電波による通話が着信中であることが検知されたときはステップS16に移行し、携帯電話1が開かれているかどうか、つまり上部7が下部11に重なって折り畳まれている状態から図1のように開かれた状態になっているかをチェックする。そして携帯電話1が開かれていることが検知できなければステップS10に戻り、以下、ステップS10とステップS16を繰り返して携帯電話1が開かれるのを待つ。なおこの繰り返しで携帯電話1が開かれないまま通話の着信が終了すればフローはステップS10からステップS12に移行する。一方、ステップS16で携帯電話1が開かれていることが検知されるとステップS14に進む。ステップS14では、送話部23および受話部13をオンしてステップS18に移行する。ステップS18では通話がテレビ電話か否かをチェックし、テレビ電話でなければステップS20に移行してこの時点で通話が断たれているか否か確認して通話断でなければステップS22に移行する。
ステップS22では、赤外光近接センサ21が耳の当接を検知しているか否かチェックし、当接の検知があればステップS24に進む。一方、ステップS22で、赤外光近接センサ21が耳の当接を検知しないときはステップS14に戻り、以下、ステップS14およびステップS18から22を繰り返してステップS22における近接センサの検知を待つ。ステップS24では、加速度センサ49の検知信号に基づき、図2(A)に示すような右耳通話状態の傾斜が生じているかどうかチェックする。そして該当すればステップS26に進み、右耳用軟骨伝導振動部24をオンしてステップS28に移行する。一方、ステップS24で、右耳通話状態の傾斜が生じていることが検知できないときは、加速度センサ49の検知信号が図2(B)に示すような左耳通話状態傾斜を検出していることを意味するからステップS30に進み、左耳用軟骨伝導振動部26をオンしてステップS28に移行する。
なお上記図4のフローの説明では、赤外光近接センサ21が検出する赤外反射光が赤外光発光部19によるものか20によるものかを問わずステップS24に進み、ステップS24では加速度センサ49の信号により右耳通話状態傾斜であるか否かの検知を行うよう説明した。しかしながら、赤外光近接センサ21によっても右耳通話状態傾斜であるか否かの検知が可能なので、ステップS24において加速度センサ49の信号に代え、赤外光発光部19の発光タイミングにおける赤外光近接センサ21の出力が赤外光発光部20の発光タイミングにおけるものより大きければ右耳通話状態傾斜と判断するよう構成してもよい。また、ステップS24において、加速度センサ49の信号と赤外光発光部19、20の発光タイミングにおける赤外光近接センサ21の出力比較結果とを総合して右耳通話状態傾斜であるか否かの判断をするよう構成してもよい。
ステップS28では通話状態が断たれか否かをチェックし、通話が断たれていなければステップS24に戻って、以下ステップS28で通話断が検知されるまでステップS24からステップS30を繰り返す。これによって通話中の右耳通話状態と左耳通話状態の間の携帯電話1の持ち替えに対応する。一方、ステップS28で通話断が検知されるとステップS32に移行し、オン状態にある右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26および受話部13ならびに送話部23をオフしてステップS34に移行する。一方、ステップS12で通話発呼応答が検知されないときは直ちにステップS34に移行する。また、ステップS18でテレビ電話であることが検知されたときはステップS36のテレビ電話処理に移行する。テレビ電話処理では、テレビ電話用内側カメラ17による自分の顔の撮像、スピーカ51による相手の声の出力、送話部23の感度切換、表示部5における相手の顔の表示などが行われる。そして、このようなテレビ電話処理が終了すると、ステップS38に進んでスピーカ51および受話部13ならびに送話部23をオフしてステップS34に移行する。また、ステップS20において通話断が検知されたときもステップS38に移行するがこのときは元々スピーカ51がオンされていないので受話部13と送話部23をオフしてステップS34に移行する。
ステップS34では、主電源のオフ操作の有無がチェックされ、オフ操作があればフローを終了する。一方、ステップS34で主電源オフ操作が検知されないとき、フローはステップS6に戻り、以下ステップS6からステップS38を繰り返す。以上のように、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26は、携帯電話1が開かれていないとき、携帯電話1が通話状態にないとき、通話状態であってもテレビ電話通話であるとき、および通常通話状態であっても携帯電話1が耳に当てられていないときにおいてオンになることはない。但し、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26が一度オン状態となったときは、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26とのオンオフ切り換えを除き、通話断が検知されない限り、これがオフとなることはない。
図5は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例2を示す斜視図である。実施例2においてもその構造に共通点が多いので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例2の携帯電話101は、上部と下部に分離された折り畳み方ではなく、可動部のない一体型のものである。従って、この場合における「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
また、実施例1では、携帯電話1が折りたたまれたとき、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26は上部7と下部11の間に挟まれたて収納された形となるのに対し、実施例2では右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26が常に携帯電話101の外壁に露出している形となる。実施例2においても、図3の内部構造および図4のフローチャートが基本的に流用可能である。但し、上記の構造の違いに関連し、図4のフローチャートのステップS16が省略され、ステップS10で通話着信中であることが確認されたときは直接ステップS14に移行する。
図6は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例3を示す斜視図である。実施例3においてもその構造に共通点が多いので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例3の携帯電話201は、上部107が下部に111に対してスライド可能な構造のものである。実施例3の構造では、上部107を下部111に重ねた状態では、上下関係はなくなるが、実施例3における「上部」とは携帯電話201を伸ばした際に上に来る部分を意味するものとする。
実施例3では、図6のように上部107を伸ばして操作部9を露出させた状態でフル機能が使用可能であるとともに、上部107を下部111に重ねて操作部9が隠れる状態とした場合でも着信応答や通話などの基本機能が使用可能である。実施例3でも、図6のように携帯電話201を伸ばした状態および上部107を下部111に重ねた状態のいずれにおいても、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26が常に携帯電話201の外壁に露出している形となる。実施例3においても、図3の内部構造および図4のフローチャートが基本的に流用可能である。但し、上記のように実施例3は、上部107を下部111に重ねた状態でも通話可能であるので、実施例2と同様にして、図4のフローチャートのステップS16が省略され、ステップS10で通話着信中であることが確認されたときは直接ステップS14に移行する。
上記本発明の種々の特徴の実施は上記の実施例に限られるものではなく、他の実施形態においても実施可能である。例えば、上記実施例では、持ち替えや使用者が変わることによる右耳使用時および左耳使用時の両者に対応するため、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26を設けているが、軟骨伝導の際には右耳のみまたは左耳のみの使用を前提とする場合は軟骨伝導振動部を一つにしてもよい。
また、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26は本来右耳および左耳の耳珠にそれぞれと当接することを前提に設けられているが、特許文献2に開示されているように、耳乳様突起や外耳口後部軟骨面など耳珠以外の耳軟骨構成においても軟骨伝導は可能なので、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26の両者を例えば右耳使用時において右耳軟骨の適当箇所を同時に押し付けて使用してもよい。この意味で、2つの軟骨伝導振動部24および26は必ずしも右耳用および左耳用に限るものではない。この場合は、実施例のように2つの軟骨伝導振動部24および26のいずれか一方のみをオンするのに代えて、両者を同時にオンする。
さらに、上記実施例では、受話部13および右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26を同時にオンするようにしているが、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26をオンするときは受話部13をオフするよう構成してもよい。この場合、音声情報の位相調整は不要となる。
図7は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例4を示す斜視図である。実施例4においてもその構造に共通点が多いので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例4の携帯電話301は、実施例2と同様にして上部と下部に分離された折り畳み方ではなく、可動部のない一体型のものである。また、GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)機能を備えた大画面表示部205を有するいわゆるスマートフォンとして構成されている。実施例4においても、「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。なお、実施例4においては、テンキーなどの操作部209は大画面表示部205上に表示され、大画面表示部205に対する指のタッチやスライドに応じてGUI操作される。
実施例4における軟骨伝導振動機能は、圧電バイモルフ素子等からなる軟骨伝導振動源225と振動伝導体227を有する軟骨伝導振動ユニットが担う。軟骨伝導振動源225は、振動伝導体227の下部に接触して配置され、振動伝導体227にその振動を伝える。軟骨伝導振動源225は、実施例1から3と同様にして携帯電話外壁(図7では正面)から突出してデザインを害さないよう構成されるが、軟骨伝導振動源225の振動が振動伝導体227により側方に伝達され、その両端224および226を振動させる。振動伝導体227の両端224および226は耳珠と接触する携帯電話301の上部7の内側角に位置するので、実施例1から3と同様にして携帯電話外壁から突出することなく効果的に耳珠に接触する。このように、振動伝導体227の右端部224および左端部226はそれぞれ、実施例1でいう右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26を構成する。なお、振動伝導体227はその右端224および左端226だけで振動するのではなく全体で振動しているので、実施例4では、携帯電話301の内側上端辺のどこを耳軟骨に接触させても音声情報を伝達することができる。このような軟骨伝導振動ユニットの構成は、振動伝導体227によって軟骨伝導振動源225の振動を所望の位置に導けるとともに、軟骨伝導振動源225そのものを携帯電話301の外壁に配置する必要がないので、レイアウトの自由度が高まり、スペースに余裕のない携帯電話に軟骨伝導振動ユニットを実装するのに有用である。
実施例4は、さらに2つの機能が追加されている。ただ、これらの機能は実施例4に特有のものではなく、実施例1から3にも適用可能である。追加機能の一つは、軟骨伝導振動部の誤動作を防止するためのものである。実施例1から4のいずれにおいても、赤外光発光部19および20と赤外光近接センサ21により携帯電話が耳に当てられたことを検知しているが、例えば実施例1において携帯電話1の内側を下にして机等においた場合近接センサの検知があるので、携帯電話1が耳に当てられたものと誤認し、図4のフローのS22からステップS24に進むおそれがある。そしてステップS24で検知される右耳通話状態傾斜にも該当しないので、フローがステップS30に進み左耳用軟骨伝導振動部26が誤ってオンになる可能性がある。軟骨伝導振動部の振動エネルギーは比較的大きいので、このような誤動作があると、机との間で振動騒音を生じる可能性がある。実施例4ではこれを防止するため、加速度センサ49により水平静止状態を検知し、該当すれば、軟骨伝導振動源225の振動を禁止するよう構成している。この点の詳細については後述する。
次に、実施例4における二つ目の追加機能について説明する。本発明の各実施例は、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26(実施例4では、振動伝導体227の右端部224または左端部226)を右耳または左耳の耳珠に接触させることにより音声情報を伝えるが、接触圧を高めて耳珠で耳穴を塞ぐことによって耳栓骨導効果を生じ、さらに大きな音で音声情報を伝えることができる。さらに耳珠で耳穴を塞ぐことにより環境騒音を遮断されるので、このような状態での使用は、不要な環境騒音を減じて必要な音声情報を増加させる一挙両得の受話状況を実現し、例えば駅騒音下での通話等に好適である。耳栓骨導効果が生じているときは、声帯からの骨導による自分の声も大きくなるとともに左右の聴感覚バランスが崩れる違和感を生じる。実施例4では、このような耳栓骨導効果発生中の自分の声の違和感を緩和するため、送話部23から拾った自分の声の情報の位相を反転させて軟骨伝導振動源225に伝え、自分の声をキャンセルするよう構成している。この点の詳細についても後述する。
図8は、実施例4のブロック図であり、同一部分には図7と同一番号を付す。また、実施例1から3と共通する部分が多いので対応する部分にはこれらの各部と同一の番号を付す。そして、これら同一または共通部分については、特に必要のない限り、説明を省略する。実施例4では、電話機能部45を若干詳細に図示しているが、構成は実施例1から3と共通である。具体的に述べると、図8の受話処理部212とイヤホン213が図3の受話部13に相当し、図8の送話処理部222とマイク223が図3の送話部23に相当する。一方、図7の軟骨伝導振動源225と振動伝導体227は、図8で軟骨伝導振動ユニット228としてまとめて図示している。送話処理部222は、マイク223から拾った操作者の音声の一部をサイドトーンとして受話処理部212に伝達し、受話処理部212は電話通信部47からの通話相手の声に操作者自身のサイドトーンを重畳してイヤホン213に出力することによって、携帯電話301を耳に当てている状態の自分の声の骨導と気導のバランスを自然な状態に近くする。
送話処理部222は、さらにマイク223から拾った操作者の音声の一部を音質調整部238に出力する。音質調整部238は、軟骨伝導振動ユニット228から出力して蝸牛に伝えるべき自分の声の音質を耳栓骨導効果発生時に声帯から体内伝導で蝸牛に伝わる操作者自身の声に近似した音質に調整し、両者のキャンセルを効果的にする。そして、波形反転部240はこのようにして音質調整された自分の声を波形反転して位相調整ミキサー部236に出力する。位相調整ミキサー部236は、押圧センサ242の検知する押圧が所定以上で携帯電話301により耳穴が耳珠で塞がれている状態に該当するときは、制御部239からの指示により波形反転部240からの出力をミキシングして軟骨伝導振動ユニット228を駆動する。これによって、耳栓骨導効果発生中の過度の自分の声がキャンセルされ、違和感の緩和が図られる。このとき、サイドトーン相当分の自分の声はキャンセルせずに残すようキャンセルの程度が調節される。一方、押圧センサ242の検出する押圧が所定より低い場合は、耳穴が耳珠で塞がれておらず耳栓骨導効果が生じていない状態に該当するので、位相調整ミキサー部236は制御部239の指示に基づき、波形反転部240からの自声波形反転出力のミキシングを行わない。なお、図8において、音質調整部238と波形反転部240の位置は逆転して構成してもよい。さらに、音質調整部238および波形反転部240は、位相調整ミキサー部236内の機能として一体化してもよい。
図9は、実施例4において右の耳珠に携帯電話301が当てられている状態を示す要部概念ブロック図であり、耳栓骨導効果発生中の自分の声のキャンセルについて説明するものである。また、図9は、押圧センサ242の具体的実施例についても図示しており、軟骨伝導振動部225が圧電バイモルフ素子であることを前提に構成されている。なお、同一部分については図7および図8と同一番号を付し、特に必要のない限り、説明を省略する。
図9(A)は、耳珠32が耳穴232を塞がない程度に携帯電話301が耳珠32に当てられている状態を示す。この状態では、受話処理部212からの通話相手の音声情報に基づき位相調整ミキサー部236が軟骨伝導振動部225を駆動している。押圧センサ242は、位相調整ミキサー部236と軟骨伝導振動部225を結ぶ信号線に現れる信号をモニタしており、振動伝導体227への押圧に応じて加えられる軟骨伝導振動部(圧電バイモルフ素子)225への歪に基づく信号変化を検知するよう構成される。このように、耳珠32に接触することにより音声情報を伝える軟骨伝導振動部225を圧電バイモルフ素子で構成すると、その圧電バイモルフ素子自体を耳珠32への押圧を検出するための押圧センサとしても兼用することができる。押圧センサ242は、さらに、位相調整ミキサー部236と受話処理部212を結ぶ信号線に現れる信号をモニタしている。ここに現れる信号は、耳珠32への押圧の影響を受けないので、押圧判定のための参照信号として利用することができる。
上記のように、図9(A)では耳珠32が耳穴232を塞がない状態にあり、押圧センサ242の判定する押圧が小さいので、この判定に基づき、制御部239は波形反転部240からの波形反転自声を軟骨伝導振動部225にミキシングしないよう位相調整ミキサー部236に指示する。一方、図9(B)は、矢印302の方向に携帯電話301が耳珠32をより強く押し、耳珠32が耳穴232を塞いでいる状態を示す。そして、この状態では、耳栓骨導効果が発生している。押圧センサ242は、所定以上の押圧の増加検出に基づいて耳穴232が塞がれたものと判定し、この判定に基づいて制御部239は波形反転部240からの波形反転自声を軟骨伝導振動部225にミキシングするよう位相調整ミキサー部236に指示する。以上のようにして、耳栓骨導効果発生中の自声の違和感が緩和される。逆に、押圧センサ242によって、図9(B)の状態から所定以上の押圧の減少が検出されると、図9(A)のように耳穴232が塞がれない状態になったものと判定され、波形反転自声のミキシングが停止される。なお、押圧センサ242は、押圧の絶対量および押圧の変化方向に基づいて、図9(A)と図9(B)の間の状態遷移を判定する。なお、両者の声がない無音状態においては、押圧センサ242は耳には聞こえない押圧モニタ信号を直接骨伝導振動部225に直接印加することで、押圧を検知する。
図10は、図8の実施例4における制御部239の動作のフローチャートである。なお、図10のフローは図4における実施例1のフローと共通するところが多いので、対応部分には同一のステップ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。図10も、主に軟骨伝導振動ユニット228の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示している。従って、図4の場合と同様、一般的な携帯電話の機能等、図10のフローに表記していない制御部239の動作も存在する。図10において図4と異なる部分は太字で示しているので、以下これらの部分を中心に説明する。
ステップS42は、図4のステップS6およびステップS8をまとめたもので、ステップS42の非通話処理の中に、非通話操作なしで次のステップに直行する場合も含めて図示しているが、その内容は図4のステップS6およびステップS8と同じである。また、ステップS44は、図4のステップS10およびステップS12をまとめたもので、相手側からの着信であるか自分からの発信であるかを問わず両者間の通話状態の有無をチェックするステップとして図示しているが、その内容は、図4のステップS6およびステップS8と同じである。なお、実施例4では携帯電話301を開閉する構成はないので、図4のステップS16に相当するステップは含まない。
ステップS46は、実施例4における一つ目の追加機能に関するもので、携帯電話301が所定時間(例えば、0.5秒)手持ち状態から離れて水平状態で静止しているかどうかをチェックする。そして、ステップS22により近接センサの検知があったときに、ステップS46でこのような水平静止状態でないことが確認された場合に初めてステップS48に移行し、軟骨伝導振動源225をオンする。一方、ステップS46で水平静止状態が検知されたときはステップS50に進み、軟骨伝導振動源225をオフしてステップS14に戻る。なお、ステップS50は後述するフローの繰り返しにおいて、軟骨伝導振動源225がオンの状態でステップS46に至り、水平静止状態が検知されたときに対応するもので、軟骨伝導振動源225がオフの状態でステップS50に至ったときはなにもせずにステップS14に戻る。
ステップS52は、実施例4における二つ目の追加機能に関するもので、携帯電話301を耳珠32に強く押し当てて耳穴232を塞ぐことによる耳栓骨導効果が生じているかどうかをチェックするものである。具体的には図9に示したように押圧センサ242による所定以上の押圧変化の有無およびその方向によりこれをチェックする。そして耳栓骨導効果が生じる状態であることが検知されたときはステップS54に進み、自分の声の波形反転信号を軟骨伝導振動源225に付加してステップS58に移行する。一方、ステップS52で耳栓骨導効果が生じない状態であることが検知されたときはステップS56に移行し、自分の声の波形反転信号の軟骨伝導振動源225への付加をなくしてステップS58に移行する。ステップS58では通話状態が断たれか否かをチェックし、通話が断たれていなければステップS22に戻って、以下ステップS58で通話断が検知されるまでステップS22およびステップS46からステップS58を繰り返す。これによって通話中の耳栓骨導効果の発生および消滅に対応する。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、図10における実施例4のフローチャートでは、図4の実施例1のフローチャートにおける右耳用軟骨伝導振動部24と左耳用軟骨伝導振動部26との切り換えの構成がないが、実施例10の軟骨伝導振動ユニット228の構成として実施例1のような右耳用軟骨伝導振動部24と左耳用軟骨伝導振動部を採用し、ステップS22およびステップS46からステップS58のループの繰り返しの中で、耳栓骨導効果の発生および消滅への対応に加え、図4のステップS24からステップS26に準じた機能による右耳通話状態と左耳通話状態の間の携帯電話の持ち替えへの対応も併せて行うよう構成してもよい。また、図10の実施例4における水平静止状態のチェックと軟骨伝導振動ユニット228のオフ機能を、実施例1から実施例3に追加することも可能である。さらに、実施例1から3において、実施例4のような軟骨伝導振動ユニット228を採用することも可能である。
図11は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例5を示す斜視図である。実施例5は図7の実施例4を基本にしており、その構造の大半は共通なので、対応する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。また、説明を省略する部分は図示の煩雑さを避けるため番号自体の付与も省略しているが、図面上共通する部分の機能および名称は図7と共通である。なお、詳細構成については、図8および図9における実施例4のブロック図を基本的に援用する。実施例5が実施例4と異なる第1点目は、携帯電話401において、いわゆるタッチパネル機能(テンキーなどの操作部209が表示されている大画面表示部205に指で触れ、そのタッチ位置検知やスライド検知でGUI操作する機能)をオフにする設定が可能になっているとともに、このタッチパネル機能がオフ設定されているときのみ有効となるプッシュ・プッシュボタン461を備えている点である。タッチパネル機能のオフ設定は、タッチパネル自体の操作により行うことできるとともに、タッチパネル機能のオンへの復帰設定は、プッシュ・プッシュボタン461を所定時間以上長押しすることで可能である。また、プッシュ・プッシュボタン461は、これが有効になっているとき、1回目の押下で通話を開始するとともに、通話中において2回目の押下を行うことで通話を切断する機能(オンもオフもプッシュで行うオルタネートスイッチ機能)を有する。なお、上記プッシュ・プッシュボタン461の1回目の押下は、特定の相手への発呼の際、または着信への応答の際に行われ、いずれの場合も、これによって通話が開始される。
実施例5が実施例4と異なる第2点目は、実施例5が、携帯電話401と、これを収納するためのソフトカバー463との組合せにより機能するよう構成されていることである。なお、図11では、構成説明の都合上、ソフトカバー463が透明であるかのような図示をしているが、実際にはソフトカバー463は不透明であり、図11のように携帯電話401をソフトカバー463に収納した状態で携帯電話401が外から見えることはない。
上記プッシュ・プッシュボタン461の機能は、携帯電話401がソフトカバー463に収納されている状態において、ソフトカバー463の上からプッシュ・プッシュボタン461を押下することでも可能である。さらに、ソフトカバー463は、携帯電話401の軟骨伝導振動源225と振動伝導体227を有する軟骨伝導振動ユニット228と連動し、携帯電話401がソフトカバー463に収納されている状態において通話が可能なよう構成される。以下、これについて説明する。
ソフトカバー463は、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する弾性材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造、または、透明梱包シート材などにみられるような一層の空気泡群を合成樹脂の薄膜で分離密封した構造など)によって作られており、携帯電話401が収容されたときに軟骨伝導振動源225からの振動を伝える振動伝導体227がその内側に接触する。そして、携帯電話401を収納したままでソフトカバー463の外側を耳に当てることにより、ソフトカバー463の介在で振動伝導体227の振動が広い接触面積で耳軟骨に伝達される。さらに、振動伝導体227の振動によって共振するソフトカバー463の外面からの音が外耳道から鼓膜に伝わる。これによって、軟骨伝導振動源225からの音源情報を大きな音として聞くことができる。また、耳に当てられているソフトカバー463が外耳道を塞ぐ形となるので環境騒音を遮断することもできる。さらに、ソフトカバー463を耳に押し当てる力を増すと外耳道がほぼ完全に塞がれる結果となり、耳栓骨導効果によって軟骨伝導振動源225からの音源情報をさらに大きな音として聞くことができる。なお、ソフトカバー463を介した検知となるが、実施例4と同様にして、軟骨伝導振動源225による押圧力検知に基づき、耳栓骨導効果が生じている状態では、送話部23(マイク223)からの自声信号への波形反転信号付加が行われる。
携帯電話401がソフトカバー463に収容されたままの通話状態では、ソフトカバー463に伝えられた振動伝導体227の振動が送話部23にも伝わり、ハウリングを起こす可能性がある。その対策として振動伝導体227と送話部23の間の音響伝導を遮断するため、ソフトカバー463にはソフトカバー本体とは音響インピーダンスが異なる絶縁リング部465が両者間に設けられている。この絶縁リング部465は、ソフトカバー本体の材料と異なる材料を一体成型するかまたは接合して形成することができる。また、絶縁リング部465は、同じ材料で成型されたソフトカバー463の外側または内側に音響インピーダンスの異なる層を接合して形成してもよい。さらに、絶縁リング部465は、振動伝導体227と送話部23の間に複数介在させて絶縁効果を高めてもよい。
また、ソフトカバー463は、携帯電話401を収納したままの状態での通話を可能とするため、送話部23(マイク223)の近傍が音声の気導を妨げないマイクカバー部467として構成される。このようなマイクカバー部467は、例えばイヤホンカバーなどのようなスポンジ状構造をとる。
図12は、図11の実施例5における制御部239(図8流用)の動作のフローチャートである。なお、図12のフローにおいて、図10のフローと共通する部分には同一のステップ番号を付し、説明を省略する。図12も、主に軟骨伝導振動ユニット228の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示している。従って、図10等と同様にして、実施例5でも、一般的な携帯電話の機能等、図12のフローに表記していない制御部239の動作も存在する。
図12のフローでは、ステップS62に至るとタッチパネルが上記で説明した操作によりオフ設定となっているか否かチェックし、オフ設定でなければステップS64に移行し、プッシュ・プッシュボタン461の機能を無効にしてステップS66に移行し、ステップS34に至る。ステップS66で通常処理として示している部分は、図10のステップS14、ステップS18からステップS22、ステップS32、ステップS36、ステップS38およびステップS42からステップS58(つまり、ステップS44とステップS34の間の部分)を一括してまとめたものである。換言すればステップS62からステップS64に移行する場合、図12のフローは図10と同様の機能を実行する。
一方、ステップS62でタッチパネルオフ設定が行われていることが検知されると、フローはステップS68に移行し、プッシュ・プッシュボタン461の機能を有効にしてステップS70に進む。ステップS70では、タッチパネルの機能を無効にしてステップS72でプッシュ・プッシュボタン461の1回目の押下の有無を検知する。ここで押下の検知がない場合は直接ステップS34に移行する。一方、ステップS72でプッシュ・プッシュボタン461の1回目の押下が検知されると、ステップS74に進み、携帯電話401がソフトカバー463に収納されているか否か検知する。この検知は、例えば近接センサを構成する赤外光発光部19、20および赤外光近接センサ21の機能により可能である。
ステップS74でソフトカバー463への収納が検知されると、フローはステップS76に進み、送話部23をオンするとともに受話部13をオフする。さらにステップS78で軟骨伝導振動源225をオンしてステップS80に進み、携帯電話401を通話状態とする。また既に通話状態であればこれを継続する。一方、ステップS74でソフトカバー463への収納が検知されない場合はステップS82に移行して送話部23および受話部13をともにオンし、さらにステップS84で軟骨伝導振動源225をオフしてステップS80に進む。ステップS80に後続するステップS86では、耳栓骨導効果処理を行ってステップS88に移行する。ステップS86における耳栓骨導効果処理は、図10のステップS52からステップS56をまとめて図示したものである。
ステップS88では、プッシュ・プッシュボタン461の2回目の押下の有無を検知する。そして検知がなければフローはステップS74に戻り、以下プッシュ・プッシュボタン461の2回目の押下が検知されない限りステップS74からステップS88を繰り返す。そして通話中におけるこの繰り返しの中で携帯電話401がソフトカバー463に収納されているかどうかが常にチェックされるので、使用者は、例えば環境騒音が大きく受話部13では音が聞き取りにくいときは通話途中で携帯電話401がソフトカバー463に収納することにより、環境騒音を遮断したり、耳栓骨導効果によりさらに音を聞き取りやすくしたりする等の対応をとることができる。
一方、ステップS88でプッシュ・プッシュボタン461の2回目の押下が検知されるとフローはステップS90に移行し、通話を切断するとともにステップS92で全ての送受話機能をオフし、ステップS34に至る。ステップS34では主電源がオフかどうかチェックしているので、主電源オフ検出がなければフローはステップS62に戻り、以下ステップS62からステップS92およびステップS34を繰り返す。そしてこの繰り返しの中で、既に説明したタッチパネルの操作によるタッチパネルオフ設定またはプッシュ・プッシュボタン461の長押しによるオフ設定の解除への対応がステップS64により行われるので適宜通常処理との切り替えを行うことができる。
図13は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例6を示す斜視図である。図13(A)は図7と同様の正面斜視図であるが、後述のように実施例6は携帯電話機能を備えたデジタルカメラとして構成されているため、図7とは90度回転させ、デジタルカメラとしての使用状態の角度で図示している。図13(B)は、その背面斜視図(デジタルカメラとしてみた場合は正面斜視図)であり、図13(C)は、図13(B)におけるB−B切断面における断面図である。
実施例6も図7の実施例4を基本にしており、その構造の大半は共通なので、対応する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。また、説明を省略する部分は図示の煩雑さを避けるため番号自体の付与も省略しているが、図面上共通する部分の機能および名称は図7と共通である。なお、詳細構成については、図8および図9における実施例4のブロック図を基本的に援用する。実施例6が実施例4と異なる第1点目は、携帯電話501が携帯電話機能を備えたデジタルカメラとして構成されることである。すなわち、図13(B)に示すように、背面主カメラの撮像レンズとして高い光学性能を備えたズームレンズ555を採用している点である。なお、ズームレンズ555は、使用時においては図13(B)に一点鎖線で示す状態に突出するが、不使用時において携帯電話501の外面と同一平面をなす位置まで後退するいわゆる沈胴式のレンズ構成をとっている。また、被写体が暗いときに補助光を投射するストロボ565およびシャッタレリーズボタン567を備えている。また、携帯電話501は右手でカメラを構えるのに適したグリップ部563を有している。
実施例6が実施例4と異なる第2点目は、このグリップ部563が、実施例5におけるソフトカバー463と同様にして、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造)によって作られており、グリップ感を良好にするのに適した弾性を備えることである。そして、実施例4の配置とは異なり、グリップ部563の裏側に軟骨伝導振動源525が配置されている。図13(C)の断面から明らかなように軟骨伝導振動源525はグリップ部563の裏面に接触している。
従って、グリップ部563を耳に当てることにより、グリップ部563の介在で軟骨伝導振動源525の振動が広い接触面積で耳軟骨に伝達される。さらに、軟骨伝導振動源525の振動によって共振するグリップ部563の外面からの音が外耳道から鼓膜に伝わる。これによって、軟骨伝導振動源525からの音源情報を大きな音として聞くことができる。また、実施例5と同様にして、耳に当てられているグリップ部563が外耳道を塞ぐ形となるので環境騒音を遮断することもできる。さらに、実施例5と同様にして、グリップ部563を耳に押し当てる力を増すと外耳道がほぼ完全に塞がれる結果となり、耳栓骨導効果によって軟骨伝導振動源525からの音源情報をさらに大きな音として聞くことができる。なお、グリップ部563を介した検知となるが、実施例5と同様にして、軟骨伝導振動源525による押圧力検知に基づき、耳栓骨導効果が生じている状態では、マイク等の送話部523からの自声信号への波形反転信号付加が行われる。
また、実施例4と異なり、送話部523は、図13(B)に明らかなように、携帯電話501の正面ではなく端面に設けられている。従って、受話部13を耳に当てて通話をするときも、裏側のグリップ部563を耳に当てて通話をするときも、送話部523が共通に使用者の声を拾うことができる。なお、受話部13を有効にするか軟骨伝導振動源525を有効にするかは切換ボタン561で設定を切換えることができる。また、ズームレンズ555が図13(B)に一点鎖線で示す状態に突出している状態ではグリップ部563を耳にあてて通話をするのに不適なので、このような状態で切換ボタンが操作され、軟骨伝導振動源525を有効にする設定がなされたときは自動的にズームレンズ555を沈胴させ、この沈胴が完了するまで切換の実行を保留する。
図14は、図13の実施例6における制御部239(図8流用)の動作のフローチャートである。なお、図14のフローにおいて、図10のフローと共通する部分には同一のステップ番号を付し、説明を省略する。図14も、主に軟骨伝導振動ユニット228の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示している。従って、図10等と同様にして、実施例6でも、一般的な携帯電話の機能等、図14のフローに表記していない制御部239の動作も存在する。
図14のフローでは、ステップS104に至ると通話開始操作が行われたかどうかチェックする。そして操作がなければ直ちにステップS34に移行する。一方、通話開始操作が検知されるとステップS106に進み、切換ボタン561により軟骨伝導設定がなされているかどうかチェックする。そして軟骨伝導設定であればステップS108でズームレンズ555が突出しているかどうかチェックする。この結果ズームレンズ555の突出がなければステップS110に移行し、送話部523をオンするとともに受話部13をオフし、ステップS112で軟骨伝導振動源525をオンしてステップS46に移行する。
一方、ステップS106で軟骨伝導設定が検知されないときはステップS114に移行し、送話部523および受話部13を共にオンし、ステップS116で軟骨伝導振動源525をオフしてステップS118に移行する。さらに、ステップS106で軟骨伝導設定が検知されたときでもステップS108でズームレンズ555が突出していることが検知された場合は、ステップS111に移行し、ズームレンズ555の沈胴を指示してステップS114に移行する。なお既に沈胴が開始されている場合は、その継続を指示する。後述のように、ステップS106からステップS116は通話状態が断たれない限り繰り返される。このようにして、ステップS106での軟骨伝導設定検知に従ってステップS111で沈胴が指示され、沈胴が開始したあとは、沈胴が完了してステップS108でズームレンズ555の突出が検知されなくなるまで、ステップS110には移行せずステップS114およびステップS116の状態が維持される。
ステップS112に後続するステップS46からステップS56は図10と共通なので説明を省略する。ステップS54またはステップS56からステップS118に移行すると通話状態が断たれたかどうかのチェックが行われ、通話断が検知されない場合はフローがステップS106に戻り、以下、ステップS106からステップS118およびステップS46からステップS56が繰り返される。これによって、使用者は、例えば環境騒音が大きく受話部13では音が聞き取りにくいとき、通話途中で切換ボタン561を操作して軟骨伝導設定に切換えることにより、環境騒音を遮断したり、耳栓骨導効果によりさらに音を聞き取りやすくしたりする等の対応をとることができる。また、このときズームレンズ555が突出状態にあれば自動的に沈胴させられる。
図15は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例7を示す斜視図である。実施例7の携帯電話601は、実施例1と同様にして上部607がヒンジ部603によって下部611の上に折り畳み可能に構成される。図15(A)は図1と同様の正面斜視図であるとともに、図15(B)は、その背面斜視図である。また、図15(C)は、図15(B)におけるB−B切断面における要部断面図である。実施例7の構造の大半は実施例1と共通なので、対応する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。また、説明を省略する部分は図示の煩雑さを避けるため番号自体の付与も省略しているが図面上共通する部分の機能および名称は図1と共通である。なお、概観は実施例1と共通であるが内部の詳細構成については、図8および図9における実施例4のブロック図を基本的に援用する。
実施例7が実施例1と異なる第1点目は、図15(B)に示すように上部607のヒンジ近傍側において広い面積の軟骨伝導出力部663が設けられている点である。この軟骨伝導出力部663は、実施例5におけるソフトカバー463や実施例6におけるグリップ部563と同様にして、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造)によって作られており、携帯電話601外壁に異物が衝突するのを保護するのに適した弾性を備えることである。そして、実施例1の配置とは異なり、軟骨伝導出力部663の裏側に軟骨伝導振動源625が配置されている。図15(C)の断面から明らかなように軟骨伝導振動源625は軟骨伝導出力部663の裏面に接触している。
従って、携帯電話601を折り畳み、軟骨伝導出力部663を耳に当てることにより、軟骨伝導出力部663の介在で軟骨伝導振動源625の振動が広い接触面積で耳軟骨に伝達される。さらに、軟骨伝導振動源625の振動によって共振する軟骨伝導出力部663の外面からの音が外耳道から鼓膜に伝わる。これによって、軟骨伝導振動源625からの音源情報を大きな音として聞くことができる。また、実施例5および実施例6と同様にして、耳に当てられている軟骨伝導出力部663が外耳道を塞ぐ形となるので環境騒音を遮断することもできる。さらに、実施例5および実施例6と同様にして、軟骨伝導出力部663を耳に押し当てる力を増すと外耳道がほぼ完全に塞がれる結果となり、耳栓骨導効果によって軟骨伝導振動源625からの音源情報をさらに大きな音として聞くことができる。なお、軟骨伝導出力部663を介した検知となるが、実施例5および実施例6と同様にして、軟骨伝導振動源625による押圧力検知に基づき、耳栓骨導効果が生じている状態では、マイク等の送話部623からの自声信号への波形反転信号付加が行われる。
実施例7が実施例1と異なる第2点目は、図15(A)に示すように、送話部623が、携帯電話601の下部611の正面ではなく下部611の下端面に設けられている点である。従って、携帯電話601を開いて受話部13を耳に当てて通話をするときも、携帯電話601を閉じて軟骨伝導出力部663を耳に当てて通話をするときも、送話部623が共通に使用者の声を拾うことができる。なお、携帯電話601を軟骨伝導切換対応設定にしておいた場合、携帯電話601を開いたとき受話部13が有効になるとともに携帯電話601を閉じたとき軟骨伝導振動源625が有効になるよう自動的に切換わる。一方、軟骨伝導切換対応設定をしない場合は、軟骨伝導振動源625が自動的に有効になることはなく、携帯電話601の開閉にかかわらず通常の送話受話が機能する。
図15(B)の背面斜視図から明らかなように、携帯電話601の背面には、背面主カメラ55、スピーカ51および背面表示部671が設けられる。さらに、携帯電話601の背面には、軟骨伝導切換対応設定が行われていて携帯電話601が閉じられているとき有効となるプッシュ・プッシュボタン661が備えられている。プッシュ・プッシュボタン661は、実施例5と同様にして1回目の押下で通話を開始するとともに、通話中において2回目の押下を行うことで通話を切断する機能を有する。なお、上記プッシュ・プッシュボタン661の1回目の押下は、特定の相手への発呼の際、または着信への応答の際に行われ、いずれの場合も、これによって通話が開始される。
図16は、図15の実施例7における制御部239(図8流用)の動作のフローチャートである。なお、図16のフローにおいて、図14のフローと共通する部分には同一のステップ番号を付し、説明を省略する。図16も、主に軟骨伝導振動ユニット228の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示している。従って、図14等と同様にして、実施例7でも、一般的な携帯電話の機能等、図16のフローに表記していない制御部239の動作も存在する。
図16のフローでは、通話が開始されてステップS122に至ると軟骨伝導切換対応設定がなされているかどうかチェックする。そしてステップS122で軟骨伝導切換対応設定が確認されるとステップS124に進み、携帯電話601が開かれているかどうか、つまり上部607が下部611に重なって折り畳まれている状態から図15のように開かれた状態になっているかどうかをチェックする。そして携帯電話601が開かれておらず上部607が下部611に重なって折り畳まれている状態であることが確認されるとステップS110に移行し、送話部623をオンするとともに受話部13をオフし、ステップS112で軟骨伝導振動源625をオンしてステップS46に移行する。このようにして、携帯電話601が折り畳まれている状態で軟骨伝導出力部663による受話が可能となる。
一方、ステップS122で軟骨伝導切換対応設定が検知されないときは携帯電話601が折り畳まれているか否かを問うことなくステップS114に移行し、送話部623および受話部13をとともにオンし、ステップS116で軟骨伝導振動源625をオフしてステップS118に移行する。さらに、ステップS106で軟骨伝導切換対応設定が検知されたときにおいてステップS124で携帯電話601が開かれていることが確認されたときも、ステップS114に移行する。
図16のフローも、ステップS118において通話状態が断たれたかどうかのチェックが行われ、通話断が検知されない場合はフローがステップS122に戻り、以下、ステップS122、ステップS124、ステップS114からステップS118およびステップS46からステップS56が繰り返される。このようにして、軟骨伝導切換対応設定を予めしておいた場合、使用者は、例えば環境騒音が大きく受話部13では音が聞き取りにくいとき、通話途中で携帯電話601を折り畳み、軟骨伝導出力部663による受話に切換えることにより、環境騒音を遮断したり、耳栓骨導効果によりさらに音を聞き取りやすくしたりする等の対応をとることができる。
以上の実施例5から6の特徴をまとめると、携帯電話は、軟骨伝導振動源と、軟骨伝導振動源の振動を耳軟骨に導く伝導体とを有し、この伝導体が弾性体として構成されるか、または、複数個所で耳軟骨に接する大きさもしくは耳軟骨に接して外耳道を塞ぐ大きさを有するか、または、少なくとも耳朶に近似する面積を有するか、または耳軟骨の音響インピーダンスに近似する音響インピーダンスを有する。そして、これらの特徴のいずれかまたはその組合せにより、軟骨伝導振動源による音情報を有効に聞くことができる。また、これらの特徴の活用は、上記の実施例に限るものではない。例えば、上記実施例に開示した材質、大きさ、面積、配置および構造の利点を活用することにより、伝導体を弾性体とせずに本発明を構成することも可能である。
図17は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例8を示す斜視図である。実施例8は、図13の実施例6と同様、携帯電話機能を備えたデジタルカメラとして構成されており、図13と同様にして、図17(A)正面斜視図、図17(B)は、背面斜視図、図17(C)は、図17(B)におけるB−B切断面における断面図である。実施例8は、図13の実施例6と構造の大半は共通なので、対応する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。
実施例8が実施例6と異なるのは、図17(C)の断面から明らかなように軟骨伝導振動源725がグリップ部763内部に埋め込まれている点である。グリップ部763は、図13の実施例6と同様、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造)によって作られており、グリップ感を良好にするのに適した弾性を備える。なお、内部の詳細構成は、実施例6と同様、図8および図9における実施例4のブロック図を基本的に援用する。
図17(C)におけるフレキシブル接続線769は、グリップ部763内部に埋め込まれている軟骨伝導振動源725と、図8の位相調整ミキサー部236などの回路部分771とを接続するものである。図17(C)断面図に示すような軟骨伝導振動源725のグリップ部763内部への埋め込み構造は、軟骨伝導振動源725およびフレキシブル接続線769をグリップ部763にインサートした一体成型によって実現可能である。また、グリップ部763をフレキシブル接続線769および軟骨伝導振動源725を境として二体に割り、グリップ部763をフレキシブル接続線769および軟骨伝導振動源725を挟んで両者を接着することによっても実現できる。
実施例8において、グリップ部763を耳に当てることによりグリップ部763の介在で軟骨伝導振動源725の振動が広い接触面積で耳軟骨に伝達されること、軟骨伝導振動源725の振動によって共振するグリップ部763の外面からの音が外耳道から鼓膜に伝わること、耳に当てられているグリップ部763が外耳道を塞ぐ形となるので環境騒音を遮断すること、および、グリップ部763を耳に押し当てる力を増すと外耳道がほぼ完全に塞がれる結果となり耳栓骨導効果によって軟骨伝導振動源725からの音源情報をさらに大きな音として聞けることは、実施例6と同様である。また、軟骨伝導振動源625による押圧力検知に基づき、耳栓骨導効果が生じている状態では、マイク等の送話部523からの自声信号への波形反転信号付加が行われることも、実施例6と同様である。なお、実施例8では、軟骨伝導振動源725がグリップ部763に埋め込まれているので、押圧力増加によるグリップ部763の歪みに伴う軟骨伝導振動源725の歪みにより耳栓骨導効果が生じている状態が検知される。
実施例8において軟骨伝導振動源725をグリップ部763のような弾性体内部に埋め込む意義は、上記のように良好な音伝導を得ることに加え、軟骨伝導振動源725への衝撃対策とすることにある。実施例8において軟骨伝導振動源725として用いられる圧電バイモルフ素子は衝撃を嫌う性質がある。ここにおいて、実施例8のように軟骨伝導振動源725を周囲から包むように構成することにより、携帯電話701の剛構造にかかる衝撃に対する緩衝を図ることができ、常に落下等のリスクに晒される携帯電話701への実装を容易にすることができる。そして、軟骨伝導振動源725を包む弾性体は単に緩衝材として機能するだけでなく、上記のように軟骨伝導振動源725の振動をより効果的に耳に伝える構成として機能する。
図18は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例9を示す斜視図である。実施例9の携帯電話801は、実施例7と同様にして上部807がヒンジ部603によって下部611の上に折り畳み可能に構成される。そして図18において、図15と同様にして、図18(A)は正面斜視図、図18(B)は背面斜視図、図18(C)は図18(B)におけるB−B切断面における断面図である。図18の実施例8は、図15の実施例7と構造の大半は共通なので、対応する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。
実施例9が実施例7と異なるのは、図18(C)の断面から明らかなように軟骨伝導振動源825が軟骨伝導出力部863と内部緩衝材873に挟まれている点である。この軟骨伝導出力部863は、実施例7における軟骨伝導出力部663同様、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造)によって作られており、携帯電話801外壁に異物が衝突するのを保護するのに適した弾性を備える。また、内部緩衝材873は、緩衝を目的とする弾性体であれば任意の材料により構成できるが、軟骨伝導出力部863と同じ材料とすることも可能である。なお、内部の詳細構成は、実施例7と同様、図8および図9における実施例4のブロック図を基本的に援用する。
図18(C)の断面に示すように、軟骨伝導出力部863と内部緩衝材873の間には、軟骨伝導振動源825とフレキシブル接続線869が挟まれている。このフレキシブル接続線869は、実施例8と同様、軟骨伝導振動源825を図8の位相調整ミキサー部236などの回路部分871に接続するものである。これら軟骨伝導振動源825とフレキシブル接続線869を軟骨伝導出力部863と内部緩衝材873の間に挟む構造は、軟骨伝導出力ユニット875内にまとめられており、このような軟骨伝導出力ユニット875が携帯電話801の上部807にはめ込まれている。
実施例9においても、軟骨伝導出力部863を耳に当てることにより軟骨伝導出力部863の介在で軟骨伝導振動源825の振動が広い接触面積で耳軟骨に伝達されること、軟骨伝導振動源825の振動によって共振する軟骨伝導出力部863からの音が外耳道から鼓膜に伝わること、耳に当てられている軟骨伝導出力部863が外耳道を塞ぐ形となるので環境騒音を遮断すること、および、軟骨伝導出力部863を耳に押し当てる力を増すと外耳道がほぼ完全に塞がれる結果となり耳栓骨導効果によって軟骨伝導振動源825からの音源情報をさらに大きな音として聞けることは、実施例7と同様である。また、軟骨伝導振動源825による押圧力検知に基づき、耳栓骨導効果が生じている状態では、マイク等の送話部623からの自声信号への波形反転信号付加が行われることも、実施例7と同様である。なお、実施例9では、軟骨伝導振動源825がともに弾性体である軟骨伝導出力部863と内部緩衝材873の間に挟まれているので、実施例8と同様にして、押圧力増加による軟骨伝導出力部863の歪みに伴う軟骨伝導振動源825の歪みにより耳栓骨導効果が生じている状態が検知される。
実施例9において、軟骨伝導振動源825が、ともに弾性体である軟骨伝導出力部863と内部緩衝材873の間に挟まれている構造の意義は、上記のように良好な音伝導を得ることに加え、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源825への衝撃対策とすることにある。つまり、実施例8と同様にして、軟骨伝導振動源825を周囲から弾性体で包むように構成することにより、携帯電話801の剛構造にかかる衝撃に対する緩衝を図ることができ、常に落下等のリスクに晒される携帯電話801への実装を容易にすることができる。そして、軟骨伝導振動源825を挟む弾性体は単に緩衝材として機能するだけでなく、少なくとも外側の弾性体を耳軟骨と音響インピーダンスが近似する材料で成型することにより、上記のようにより軟骨伝導振動源825の振動をより効果的に耳に伝える構成として機能する。
図19は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例10を示す斜視図である。実施例10の携帯電話901は、実施例4と同様にして、可動部のない一体型のものであり、GUI機能を備えた大画面表示部205を有するいわゆるスマートフォンとして構成されている。そしてその構造に共通点が多いので、対応する部分には実施例4と同一の番号を付し、説明を省略する。なお、実施例4と同様にして実施例10でも、「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
実施例10が実施例4と異なるのは、圧電バイモルフ素子等からなる軟骨伝導振動源925が軟骨伝導振動源となるとともに、気導によって鼓膜に伝わる音波を発生する受話部の駆動源を兼ねている点である。具体的に述べると、実施例4と同様にして、軟骨伝導振動源925の上部に接触して携帯電話上辺に振動伝導体227が配置されている。さらに、軟骨伝導振動源925の前方には、実施例7と同様にして耳軟骨と音響インピーダンスが近似する材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造)によって作られた軟骨伝導出力部963が配置されている。また、後述のように軟骨伝導出力部963は気導によって鼓膜に伝わる音波を発生するための受話部を兼ねるので実施例10では、実施例4のような受話部13の別設はない。
以上の構成により、まず、軟骨伝導振動源925の振動は振動伝導体227により側方に伝達され、その両端224および226を振動させるので、そのいずれかをこれを耳珠に接触させることによって軟骨伝導で音を聞くことができる。また、実施例4と同様、振動伝導体227はその右端224および左端226だけで振動するのではなく全体で振動している。従って、実施例10でも、携帯電話901の内側上端辺のどこを耳軟骨に接触させても音声情報を伝達することができる。そして、通常の携帯電話と同様にして軟骨伝導出力部963の一部が外耳道入口正面にくるような形で携帯電話901を耳に当てたときには、振動伝導体227が耳軟骨の広範囲に接触するとともに、軟骨伝導出力部963が耳珠等の耳軟骨に接触する。このような接触を通じ、軟骨伝導によって音を聞くことができる。さらに、実施例5から実施例9と同様にして、軟骨伝導振動源925の振動によって共振させられる軟骨伝導出力部963の外面からの音が外耳道から音波として外耳道から鼓膜に伝わる。このようにして、通常の携帯電話使用状態において、軟骨伝導出力部963は気導による受話部として機能することができる。
軟骨伝導は、軟骨への押圧力の大小により伝導が異なり、押圧力を大きくするとより効果的な伝導状態を得ることができる。これは、受話音が聞き取りにくければ携帯電話を耳に押し当てる力を強くするという自然な行動を音量調節に利用できることを意味する。そしてこのような機能は、例えば取扱説明書によって使用者に説明しなくても、使用者が自然な行動を通じて自ずからその機能を理解することができる。実施例10において、軟骨伝導振動源925の振動を剛体である振動伝導体227と弾性体である軟骨伝導出力部963の両者が同時に耳軟骨に接触可能であるよう構成したのは、主に剛体である振動伝導体227の押圧力の調節を通じ、より効果的に音量調節を行うことを可能にするためである。
本発明の実施は、上記の実施例に限るものではなく、上記した本発明の種々の利点は、他の実施形態においても享受できる。例えば、実施例10において軟骨伝導振動源925と軟骨伝導出力部963の組合せを気導による受話部専用として機能するよう構成する場合は、軟骨伝導出力部963の配置されている位置に、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する材料以外のスピーカとして好適な共振体を配置することができる。この場合でも、実施例10において、圧電バイモルフ素子等からなる軟骨伝導振動源925が軟骨伝導振動源となるとともに、気導によって鼓膜に伝わる音波を発生する受話部の駆動源を兼ねるという特徴とその利点を享受できる。
図20は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例11を示す斜視図である。実施例11の携帯電話1001は、実施例4と同様にして、可動部のない一体型のものであり、GUI機能を備えた大画面表示部205を有するいわゆるスマートフォンとして構成されている。そしてその構造に共通点が多いので、対応する部分には実施例4と同一の番号を付し、説明を省略する。なお、実施例4と同様にして実施例11でも、「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
実施例11が実施例4と異なるのは、右耳用振動部1024および左耳用振動部1026が、携帯電話1001の正面ではなく、それぞれ側面1007、および図示の関係で番号を省略している反対側の側面、に設けられていることである。(なお、右耳用振動部1024および左耳用振動部1026の配置が図7の実施例4に対して左右逆になっていることに注意)機能的には、実施例4と同様にして、実施例11においても右耳用振動部1024および左耳用振動部1026は、それぞれ振動伝導体1027の両端部として構成されており、振動伝導体1027の下部には圧電バイモルフ素子等からなる軟骨伝導振動源1025が接触して配置され、振動伝導体1027にその振動を伝える。これによって、軟骨伝導振動源1025の振動が振動伝導体1027により側方に伝達され、その両端1024および1026を振動させる。振動伝導体1027の両端1024および1026は、携帯電話1001の側面(例えば1007)の上端部分を耳にあてたとき耳珠と接触するよう配置されている。
また、マイク等の送話部1023は、右耳用振動部1024および左耳用振動部1026のいずれが耳珠に当てられた状態であっても使用者によって発音される音声を拾うことができるよう、携帯電話1001の下面に設けられている。なお、実施例11の携帯電話1001は、大画面表示部205を観察しながらのテレビ電話のためのスピーカ1013が設けられており、マイク等の送話部1023はテレビ電話の際には感度の切換えが行われ、大画面表示部205を観察中の使用者によって発音される音声を拾うことができる。
図21は、右耳用振動部1024と左耳用振動部1026の機能を示す携帯電話1001の側面図であり、図示の方法は図2に準じる。但し、図20で説明したように、実施例11では右耳用振動部1024および左耳用振動部1026がそれぞれ携帯電話1001の側面に設けられている。従って、実施例11において携帯電話1001を耳に当てる際には、図21に示すように携帯電話1001の側面が耳珠に当てられる。つまり、図2のように携帯電話1の表示部5の面が耳珠に当てられるのではないので、大画面表示部205が耳や頬に当たって皮脂などで汚れることがなくなる。
具体的に述べると、図21(A)は、右手に携帯電話1001を持って右耳28の耳珠32を当てている状態を示し、携帯電話1001において右耳28に当てられているのと反対側の側面が見えているとともに、断面が図示されている大画面表示部205の表面は頬とほぼ直角になって顔の下後方を向いている。この結果、上記のように大画面表示部205が耳や頬に当たって皮脂などで汚れることがなくなる。同様に、図21(B)は、左手に携帯電話1001を持って左耳30の耳珠34に当てている状態を示し、この場合でも図21(A)と同様にして、大画面表示部205が頬とほぼ直角になって顔の下後方を向いており、大画面表示部205が耳や頬に当たって皮脂などで汚れることがなくなる。
なお、図21のような使用状態は、例えば図21(A)の場合、携帯電話1001を右手で持って大画面表示部205を観察している状態からそのまま手を捻らずに携帯電話1001を移動させて右耳用振動部1024を耳珠32に当てることにより実現する。従って携帯電話1001を持ち換えたり手を捻ったりすることなく、肘と手首の角度を若干変化させるという右手の自然な動きで大画面表示部205の観察状態と右耳用振動部1024を耳珠32に当てる状態の間の遷移が可能である。なお、上記では説明の単純化のため、図21の状態は大画面表示部205が頬とほぼ直角になっているものとしたが、手の角度や携帯電話1001を耳に当てる姿勢は使用者が自由に選択することができるので、大画面表示部205が頬の角度は必ずしも直角である必要はなく、適度に傾いていてよい。しかしながら、実施例11の構成によれば、右耳用振動部1024および左耳用振動部1026がそれぞれ携帯電話1001の側面に設けられているので、どのような姿勢でこれらを耳珠32または34に当てたとしても、大画面表示部205が耳や頬に当たって皮脂などで汚れることはない。
なお、実施例11では、大画面表示部205が頬の方向を向いて隠れることがなくなる結果、通話先などの表示内容が前後の他人に見える可能性がある。従って実施例11ではプライバシー保護のため、右耳用振動部1024または左耳用振動部1026が耳に当てられている状態では通常表示からプライバシー保護表示(例えば無表示)への切換えが自動的に行われる。その詳細については後述する。
図22は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例12を示す斜視図である。図22(A)は、後述する取っ手1181が突出していない状態、図22(B)は、取っ手1181が突出している状態をそれぞれ示す。実施例12の携帯電話1101は、実施例11と同様にして、軟骨伝導用振動部1124が携帯電話1101の側面(図22で見て左側の側面であり、図示の都合上隠れた面となるので番号を付与せず)に設けられている。なお、実施例12は、携帯電話としては、実施例11と同様の可動部のない一体型のものをベースにしており、GUI機能を備えた大画面表示部205を有するいわゆるスマートフォンとして構成されている。そしてその構造に共通点が多いので、対応する部分には実施例11と同一の番号を付し、説明を省略する。なお、実施例11と同様にして実施例12でも、「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
実施例12が実施例11と異なるのは、後述する取っ手1181に関する構成の他、軟骨伝導用振動部1124が携帯電話1101における図22で見て左の片側の側面に設けられている点である。また、耳に当てられるのは、左側の側面に限られるので、マイク等の送話部1123も、図22に示すように携帯電話1101の左側面寄りの下面に設けられている。なお、実施例12においても、大画面表示部205を観察しながらのテレビ電話の際には、送話部1123の切換えが行われ、大画面表示部205を観察中の使用者によって発音される音声を拾うことができる。
実施例12では、図22のように大画面表示部205が見えている状態から実施例11と同様にして軟骨伝導用振動部1124を右耳の耳珠に当てることができる。一方、軟骨伝導用振動部1124を左耳の耳珠に当てるには、携帯電話1101が裏向くように持ち換えることにより軟軟骨伝導用振動部1124が左耳に対向するようにすることができる。このような使用は図22(A)のように取っ手1181を突出させない状態でも可能である。
次に取っ手の機能について説明する。図21のように大画面表示面205が頬とほぼ直角になるような角度で軟骨伝導用振動部1124を耳に当てる際の一つの自然な持ち方は、大画面表示部205が設けられている携帯電話1101の表面および背面を親指および他の四指で挟む形であるが、このとき大画面表示部205に指がタッチする状態となるので、誤動作の可能性があるとともに通話中の比較的長時間かつ強い接触による指紋汚れのおそれがある。
そこで、実施例12では、大画面表示部205への指のタッチを防止しつつ携帯電話1101の保持を容易にするため、必要に応じ、図22(A)の状態から図22(B)の状態に取っ手1181を突出させ、この取っ手1181を保持に利用することができるよう構成している。これによって図22(B)の状態では取っ手1181および携帯電話1101の本体端部を親指および他の四指で挟むことが可能となり、大画面表示部205にタッチすることなく容易に携帯電話1101を保持することができる。また、突出量が比較的大きくなるよう構成する場合には、取っ手1181を握って携帯電話1101を保持することも可能である。なお、図22(A)の状態の場合と同様、携帯電話1101が裏向くように保持することにより、軟骨伝導用振動部1124を左耳の耳珠に当てることも可能である。
図22(A)から取っ手1181を突出させるには、突出操作ボタン1183を押すことにより、取っ手のロックが外れ、若干突出するのでこれを引き出すことにより図22(B)の状態とすることができる。図22(B)の状態ではロックがかかるので、取っ手1181を持って軟骨伝導用振動部1124を耳珠に押し付ける際にも支障がない。取っ手1181を収納するには、図22(B)の状態で突出操作ボタン1183を押せばロックが外れるので、図22(A)の状態にとなるよう取っ手1181を押し込めばロックがかかる。
図23は、図22の実施例12における制御部239(図8流用)の動作のフローチャートである。なお、図23のフローは、図14のフローと共通する部分が多いので該当部分には同一のステップ番号を付し、説明を省略する。図23も、主に軟骨伝導振動ユニット228の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示している。従って、図14等と同様にして、実施例12でも、一般的な携帯電話の機能等、図23のフローに表記していない制御部239の動作も存在する。図23において図14と異なる部分は太字で示しているので、以下これらの部分を中心に説明する。
図23のフローでは、ステップS104に至ると通話開始操作が行われたかどうかチェックする。そして操作がなければ直ちにステップS34に移行する。一方、通話開始操作が検知されるとステップS132に進み、取っ手1181が突出状態にあるかどうかチェックする。そして突出状態になければステップS134に進み、軟骨伝導用振動部1124が耳軟骨に接触している状態にあるかどうかチェックする。そして接触状態が検知されるとステップS136に進む。なお、ステップS132において取っ手1181が突出状態にあることが検知されると直ちにステップS136に移行する。
ステップS136では送話部1123をオンするとともにステップS138で軟骨伝導用振動部1124をオンする。一方、ステップS140ではスピーカ1013をオフする。次いでステップS142に進み、大画面表示部205の表示をプライバシー保護表示とする。このプライバシー保護表示は、プライバシー情報を含まない所定の表示とするかまたは無表示状態とする。なお、この時点では大画面表示部205自体をオフすることなく表示内容のみを変更する。このような表示制御を行った後、ステップS52に移行する。なお、ステップS136からステップS142において、既に目的の状態となっている場合はこれらのステップでは結果的に何もせずステップS52に至る。
一方、ステップS134で軟骨伝導用振動部1124が耳軟骨に接触している状態にあることが検知されないときは、ステップS144に移行し、送話部1123をオンするとともに、ステップS146で軟骨伝導用振動部1124をオフする。一方、ステップS148ではスピーカ1013をオンする。次いでステップS150に進み、大画面表示部205の表示を通常表示とする。このような表示制御を行った後、ステップS118に移行する。なお、ステップS144からステップS150においても、既に目的の状態となっている場合はこれらのステップでは結果的に何もせずステップS118に至る。
ステップS142に後続するステップS52からステップS56、ステップS118およびステップS34、ならびにステップS150に後続するステップS118およびステップS34は、図14と共通なので説明を省略する。なお、ステップS118に移行すると通話状態が断たれたかどうかのチェックが行われ、通話断が検知されない場合はフローがステップS132に戻り、以下、ステップS132からステップS150およびステップS52からステップS56が繰り返される。これによって、取っ手1181の出し入れまたは軟骨伝導用振動部1124の接触非接触により、軟骨伝導用振動部1124とスピーカ1013の切換えおよび表示の切換えが自動的に行われる。また、軟骨伝導用振動部1124がオンとなっている状態では、耳栓骨伝導効果の有無に基づく自声波形反転信号付加の有無の切換えが自動的に行われる。
なお、上記のステップの繰り返しにおいて、大画面表示部205の表示がステップS142において最初にプライバシー保護表示に変わってから所定時間が経過したかを判断するステップおよび所定時間経過があったときに省電力の目的で大画面表示部205自体をオフするステップをステップS142とステップS52の間に挿入してもよい。このとき、これに対応して、ステップS148とステップS150の間に大画面表示部205がオフになっているときこれをオンするステップを挿入する。また、図23のフローは、ステップS132を省略することにより、図20の実施例11にも採用することができる。
図24は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例13を示す斜視図である。図24(A)は、後述する送受話ユニット1281が携帯電話1201と一体化している状態、図24(B)は、送受話ユニット1281が分離されている状態をそれぞれ示す。実施例13の携帯電話1201は、図24(A)の状態において軟骨伝導用振動部1226が携帯電話1201の側面1007に配置された状態となっている。この点では、実施例11および実施例12と同様である。なお、実施例13は、携帯電話としては、実施例11および実施例12と同様の可動部のない一体型のものをベースにしており、GUI機能を備えた大画面表示部205を有するいわゆるスマートフォンとして構成されている。そしてその構造に共通点が多いので、対応する部分には実施例12と同一の番号を付し、説明を省略する。なお、実施例11および実施例12と同様にして実施例13でも、「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
実施例13は、図24(A)の状態では、軟骨伝導用振動部1226および送話部1223が図24で見て右側に配置されていることを除き、実施例12の図22(A)と同様の構成である。但し、図24のように大画面表示部205が見えている状態からは、軟骨伝導用振動部1226は左耳の耳珠に当てられる。そして、軟骨伝導用振動部1226を右耳の耳珠に当てるには、携帯電話1201が裏向くように持ち換えることにより軟骨伝導用振動部1226が左耳に対向するようにする。
実施例13が、実施例12と異なるのは、軟骨伝導用振動部1226および送話部1223を含む送受話ユニット1281が図24(B)のように携帯電話1201から分離できる点である。送受話ユニット1281の携帯電話1201からの着脱は、着脱ロックボタン1283を操作することにより可能である。送受話ユニット1281はさらに、電源部を含む軟骨伝導用振動部1226および送話部1223のための制御部1239、および送受話操作部1209を有する。送受話ユニット1281はまた、携帯電話1201と電波1285で無線通信可能なBluetooth(登録商標)などの近距離通信部1287を有し、送話部1223から拾った使用者の音声および軟骨伝導用振動部1226の耳への接触状態の情報を携帯電話1201に送信するとともに、携帯電話1201から受信した音声情報に基づき軟骨伝導用振動部1226を振動させる。
上記のようにして分離した送受話ユニット1281は、ペンシル型送受話ユニットとして機能し、軟骨伝導用振動部1226を自由に持って右耳または左耳の耳珠に接触させることにより通話が可能である。また、耳珠への接触圧を高めることで耳栓骨導効果を得ることもできる。また、分離させた状態の送受話ユニット1281は、軟骨伝導用振動部1226の長軸周りのいずれの面または先端を耳に当てても、軟骨伝導により音を聞くことができる。さらに、送受話ユニット1281は、通常は図24(A)のようにして携帯電話1201に収納して適宜図24(B)のように分離させる使用方法の他、図24(B)のように分離させた状態で、例えば携帯電話1201は内ポケットやカバンに収納するとともに、送受話ユニット1281はペンシルのように胸の外ポケットに挿しておき、発呼および着信時の操作および通話は送受話ユニット1281のみで行うような使用法も可能である。なお、軟骨伝導用振動部1226は、着信のバイブレータとして機能させることもできる。
実施例13のようなペンシル型の送受話ユニット1281は、収納部を有する専用の携帯電話1201との組合せで構成する場合に限るものではない。例えば、Bluetooth(登録商標)などによる近距離通信機能を有する一般の携帯電話のアクセサリとして構成することも可能である。
図25は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例14を示す斜視図である。図25(A)は、後述する送受話ユニット1381が携帯電話1301に収納されている状態、図25(B)は、送受話ユニット1381が引き出されている状態をそれぞれ示す。実施例14の携帯電話1301は、図25(A)の状態において軟骨伝導用振動部1326が携帯電話1301の側面1007に配置された状態となっている。この点では、実施例11から実施例13と同様である。なお、実施例14は、携帯電話としては、実施例11から実施例13と同様の可動部のない一体型のものをベースにしており、GUI機能を備えた大画面表示部205を有するいわゆるスマートフォンとして構成されている。そしてその構造に共通点が多いので、対応する部分には実施例13と同一の番号を付し、説明を省略する。なお、実施例11から実施例13と同様にして実施例14でも、「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
実施例14も、図25(A)の状態では、実施例13の図24(A)と同様の構成である。実施例14が、実施例13と異なるのは、図25(B)に示すように、送受話ユニット1381が無線ではなく有線で携帯電話1301と交信する点である。送受話ユニット1381の携帯電話1301からの着脱は、実施例13と同様にして着脱ロックボタン1283を操作することにより可能である。送受話ユニット1381においては、軟骨伝導用振動部1326と送話部1323の間および送話部1323と携帯電話1301の間がそれぞれケーブル1339で接続されている。なお、図25(A)の収納状態においては、ケーブル1339の内、軟骨伝導用振動部1326と送話部1323の間の部分は側面1007の溝内に収納されるとともに、送話部1323と携帯電話1301の間の部分は送話部1323を収納する際、スプリングによって携帯電話1301内部に自動的に巻き取られる。なお、送話部1323には、発呼および着信時の操作のためのリモコン操作部が備えられている。以上のようにして、実施例14では、送話部1323から拾った使用者の音声および軟骨伝導用振動部1326の耳への接触状態の情報が有線で携帯電話1301に送信されるとともに、携帯電話1301から有線で受信した音声情報に基づき軟骨伝導用振動部1326が振動させられる。
図25(B)のように引き出された送受話ユニット1381は、軟骨伝導用振動部1326の部分が耳珠に触れるよう外耳道入口の下部軟骨に引っ掛けて使用する。そしてこの状態で送話部1323が口の近くに位置するので使用者の声を拾うことができる。また、軟骨伝導用振動部1326の部分を持って耳珠への接触圧を高めることで耳栓骨導効果を得ることもできる。さらに、送受話ユニット1381は、通常は図25(A)のようにして携帯電話1301に収納して適宜図25(B)のように引き出す使用方法の他、図25(B)のように送受話ユニット1381を引き出した状態で、例えば携帯電話1301は内ポケット等に収納するとともに、送受話ユニット1381の軟骨伝導用振動部1326を耳に引っ掛けたままとしておくような使用法も可能である。なお、軟骨伝導用振動部1326は、実施例13と同様にして、着信のバイブレータとして機能させることもできる。
実施例14のような有線イヤホン型の送受話ユニット1381は、収納部を有する専用の携帯電話1301との組合せで構成する場合に限るものではない。例えば、外部イヤホンマイク接続端子を有する一般の携帯電話のアクセサリとして構成することも可能である。
以上の各実施例に示した種々の特徴は、必ずしも個々の実施例に特有のものではなく、それぞれの実施例の特徴は、その利点が活用可能な限り、適宜、他の実施例の特徴と組み合わせたり、組み替えたりすることが可能である。
また、以上の各実施例に示した種々の特徴の実施は、上記の実施例に限るものではなく、その利点を享受できる限り、他の実施例でも実施可能である。例えば、実施例11から実施例14における表示面に対する側面への軟骨伝導用振動部の配置は、軟骨伝導により耳珠から音声情報を伝える構成であることにより、耳珠への接触を容易にし、音情報の伝導ポイントを耳珠とすることができるため、耳で聞くという従来からの電話に近似した違和感のない傾聴姿勢を実現するものである。また、軟骨伝導による音声伝達は、気導の場合のように外耳道口の前に閉空間を形成する必要がないので側面への配置に適している。さらに、軟骨伝導により音情報を伝導させるため、振動体の振動により気導を生じる割合が少なく、幅の狭い携帯電話の側面に軟骨伝導用振動部を配置しても、外部への実質的な音漏れを伴うことなしに使用者の外耳道内に音を伝えることができる。これは、軟骨伝導においては、気導音として外耳道内に音が入るのではなく、音エネルギーが軟骨に接触することによって伝達され、その後耳の組織の振動によって外耳道の内部で音が生成されるからである。従って、実施例11から実施例14における軟骨伝導用振動部の採用は、音漏れによって隣にいる人に受話音が聞こえて迷惑をかけたりプライバシーが漏れたりする恐れなしに、表示面に対する側面に音情報出力部を配置する上でも効果が大きい。
しかしながら、音声情報を聞く際の耳や頬の接触による表示面の汚れを防止することができる利点を享受するという点から見ると、表示面に対する側面への配置は、配置される音声情報出力部が軟骨伝導振動部である場合に限るものではない。例えば、音声情報出力部を気導によるイヤホンとし、これを表示面に対する側面に設けるよう構成してもよい。また、音声情報出力部を耳の前の骨(頬骨弓)または耳の後の骨(乳突部)または額にあてる骨伝導振動部とし、これを表示面に対する側面に配置するよう構成してもよい。これらの音声情報出力部の場合でも、表示面に対する側面への配置によって、音声情報を聞く際に表示面が耳や頬に接触することがなくなるのでその汚れを防止できる利点を享受可能である。そして、これらの場合においても、イヤホンや骨伝導振動部の配置が片側の側面に限る場合は、実施例12から実施例14のようにマイクについても表示面に対する側面に配置することができる。また、実施例11から実施例14と同様にして、図21のような姿勢でイヤホンを耳に当てて通話をする際、または骨伝導振動部を耳の前後の骨に当てて通話をする際において、表示面をプライバシー保護表示とすることにより、プライバシー情報を含む表示が前後または左右の他人に見えるのを防止することができる。
図26は、本発明の実施の形態に係る実施例15のシステム構成図である。実施例15は携帯電話のための送受話ユニットとして構成されており、携帯電話1401とともに携帯電話システムをなす。実施例15は、実施例13において図24(B)のように送受話ユニット1281が携帯電話1201から分離された状態のシステム構成と共通するシステム構成となっているので、共通する部分には共通する番号を付し、特に必要ない限り説明を省略する。なお、携帯電話1401は、実施例13の携帯電話1201と同様にして、送受話ユニットとの組合せで用いるべく特別に構成される場合に限るものではなく、例えば、Bluetooth(登録商標)などによる近距離通信機能を有する一般の携帯電話として構成される場合であってもよい。この場合、送受話ユニットは、実施例13と同様にして、このような一般の携帯電話1401のアクセサリとして構成されることになる。これらの2つの場合についての詳細については後述する。
実施例15が、実施例13と異なるのは、送受話ユニットが実施例13のようなペンシル型ではなく、ヘッドセット1481として構成される点である。送受話ユニット1481が、圧電バイモルフ素子等を有する軟骨伝導用振動部1426および送話部1423を有すること、軟骨伝導用振動部1426および送話部1423のための電源部を含む制御部1439を有すること、および送受話操作部1409を有することについては、実施例13に準じる。さらに、送受話ユニット1481が、携帯電話1401と電波1285で無線通信可能なBluetooth(登録商標)などの近距離通信部1487を有し、送話部1423から拾った使用者の音声をおよび軟骨伝導用振動部1426の耳への接触状態の情報を携帯電話1401に送信するとともに、携帯電話1401から受信した音声情報に基づき軟骨伝導用振動部1426を振動させることについても、実施例13に準じる。
次に、実施例15特有の構成について説明すると、ヘッドセット1481は、耳掛け部1489により右耳28に取り付けられる。ヘッドセット1481は、弾性体1473によって保持される可動部1491を有し、軟骨伝導用振動部1426はこの可動部1491によって保持されている。そして、ヘッドセット1481が耳掛け部1489により右耳28に取り付けられた状態において、軟骨伝導用振動部1426が耳珠32に接触するよう構成される。なお、弾性体1473は、可動部1491を耳珠32の方向に屈曲させることを可能とするとともに、軟骨伝導用振動部1426への緩衝材としても機能し、ヘッドセット1481にかかる機械的衝撃から軟骨伝導用振動部1426を保護する。
図26の状態において通常の軟骨伝導による音情報の聴取が可能となるが、環境騒音で音情報が聞き取りにくい時は、可動部1491を外側から押すことによってこれを屈曲させ、軟骨伝導用振動部1426をより強く耳珠32に圧接することによって耳珠32が耳穴を塞ぐようにする。これによって、他の実施例でも説明した耳栓骨導効果が生じ、さらに大きな音で音声情報を伝えることができる。さらに耳珠32で耳穴を塞ぐことにより環境騒音を遮断することができる。また、可動部1491の屈曲状態の機械的検知に基づいて送話部1423から拾った自分の声の情報の位相を反転させて軟骨伝導用振動部1426に伝え、自分の声をキャンセルする。その効用等は他の実施例で説明したので詳細は割愛する。
図27は、本発明の実施の形態に係る実施例16のシステム構成図である。実施例16も、実施例15と同様にして携帯電話1401のための送受話ユニットをなすヘッドセット1581として構成されており、携帯電話1401とともに携帯電話システムをなす。実施例16は、実施例15と共通点が多いので、共通する部分には共通する番号を付し、特に必要ない限り説明を省略する。なお、携帯電話1401は、実施例15でも説明したとおり、特別に構成される場合および一般の携帯電話として構成される場合のいずれであってもよい。これら2つの場合については後述する。
実施例16が、実施例15と異なるのは、可動部1591全体が耳軟骨と音響インピーダンスが近似する弾性材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造)によって作られていることである。また、圧電バイモルフ素子等を有する軟骨伝導用振動部1526は、実施例8と同様にして可動部1591の内部に埋め込まれている。このような構成により、可動部1591は、それ自身の弾性により軟骨伝導用振動部1526を含んで耳珠32側に屈曲させられることが可能となっている。なお、簡単のため図示を省略しているが、軟骨伝導用振動部1526と制御部1439などの回路部分は、図17(C)におけるフレキシブル接続線769と同様の接続線により接続されている。
実施例16では、図27の状態において可動部1591が耳珠32に接触しており、軟骨伝導用振動部1526からの音情報は可動部1591の弾性材料を介した軟骨伝導により耳珠32に伝導される。この構成による効用は、実施例5から実施例10で説明したものと同様である。さらに、環境騒音で音情報が聞き取りにくい時は、可動部1591を外側から押すことによってこれを屈曲させ、軟骨伝導用振動部1526をより強く耳珠32に圧接することによって耳珠32が耳穴を塞ぐようにする。これによって、実施例15と同様にして耳栓骨導効果が生じ、さらに大きな音で音声情報を伝えることができる。耳珠32で耳穴を塞ぐことにより環境騒音を遮断することができることも実施例15と同様である。また、可動部1591の屈曲状態の機械的検知に基づいて送話部1423から拾った自分の声の情報の位相を反転させて軟骨伝導用振動部1526に伝え、自分の声をキャンセルできることも実施例15と同様である。
さらに、実施例16では、軟骨伝導用振動部1526が可動部1591の内部に埋め込まれているため、可動部1591を構成する弾性材料は、ヘッドセット1581にかかる機械的衝撃から軟骨伝導用振動部1526を保護するとともに可動部1591自体への機械的衝撃からも軟骨伝導用振動部1526を保護する緩衝材として機能する。
図28は、実施例16のブロック図であり、同一部分には図27と同一番号を付す。また、ブロック図の構成は実施例4と共通する部分が多いので対応する部分にはこれらの各部と同一の番号を付す。そして、これら同一または共通部分については、特に必要のない限り、説明を省略する。なお、実施例16において、図28の受話処理部212とイヤホン213は、図27の受話部13に相当し、図28の送話処理部222とマイク223が、図27の送話部23に相当する。実施例4と同様にして、送話処理部222は、マイク223から拾った操作者の音声の一部をサイドトーンとして受話処理部212に伝達し、受話処理部212は電話通信部47からの通話相手の声に操作者自身のサイドトーンを重畳してイヤホン213に出力することによって、携帯電話1401を耳に当てている状態の自分の声の骨導と気導のバランスを自然な状態に近くする。
図28における実施例16のブロック図が図8における実施例4のブロック図と異なるのは、図8における実施例4の携帯電話301が、図28の実施例16において携帯電話1401と送受話ユニットをなすヘッドセット1581に分けられていることである。つまり、図28は、実施例16において、携帯電話1401がヘッドセット1581との組み合わせで用いるべく特別に構成される場合のブロック図に該当する。
具体的に述べると、図28においては、位相調整ミキサー部236の出力がBluetooth(登録商標)などによる近距離通信部1446により外部に無線送信される。近距離通信部1446は、また、外部マイクから無線で受信した音声信号を送話処理部222に入力する。さらに、他の実施例では図示と説明を省略していたが、図28では携帯電話1401全体に給電する蓄電池を有する電源部1448を図示している。
一方、ヘッドセット1581の構成は、携帯電話1401の近距離通信部1446と電波1285で交信する近距離通信部1487を有するとともに、ヘッドセット1581全体に給電する電源部1548を有する。電源部1548は、交換可能な電池または内蔵の蓄電池により給電を行う。また、ヘッドセット1581の制御部1439は、送話部(マイク)1423で拾った音声を近距離通信部1487から携帯電話1401に無線送信させるとともに、近距離通信部1487で受信した音声情報に基づき、軟骨伝導振動部1526を駆動制御する。さらに、制御部1439は、操作部1409による着信受信操作または発呼操作を近距離通信部1487から携帯電話1401に伝達する。屈曲検知部1588は、可動部1591の屈曲状態を機械的に検知し、制御部1439は、この屈曲検知情報を近距離通信部1487から携帯電話1401に伝達する。屈曲検知部1588は、例えば屈曲角度が所定以上に達した時メカ的にオンとなるスイッチで構成することができる。携帯電話1401の制御部239は、近距離通信部1446で受信した屈曲検知情報に基づき位相調整ミキサー部236を制御し、送話部(マイク)1423から送話処理部222に伝達された自分の声に基づく波形反転部240の信号を受話処理部212からの音声情報に付加するか否かを決定する。
図29は、図27の実施例16において、携帯電話1401を一般の携帯電話として構成するとともに、ヘッドセット1581をそのアクセサリとして構成した場合のブロック図であり、図28との混乱を避けるため、実施例17として説明する。図29は、図28と共通する構成が多いので、同一部分には図28と同一番号を付し、特に必要のない限り、説明を省略する。
上記のように、図29における実施例17では、携帯電話1601は、Bluetooth(登録商標)などによる近距離通信機能を有する一般の携帯電話として構成されている。具体的には、近距離通信部1446は、マイク223から入力されるのと同様の外部マイクからの音声情報を送話処理部222に入力するとともに、イヤホン213に出力するのと同様の音声情報を外部に出力する。そしてこれら近距離通信部1446を通じて外部との間で入出力される音声情報と内部のマイク223およびイヤホン213との切換えは、制御部239によって行われている。以上のようにして、図29の実施例17では、図28の実施例16における音質調整部238、波形反転部240および位相調整ミキサー部236の機能はヘッドセット1681側に移されている。
上記に対応して、図29の実施例17におけるヘッドセット1681では、以下の点において図28における実施例16と構成が異なっている。位相調整ミキサー部1636には、ヘッドセット1681の制御部1639の制御により近距離通信部1487で受信した受話音声情報が入力されるが、さらに波形反転部1640からの音声情報も入力可能なように構成される。そして位相調整ミキサー部1636は、必要に応じ、波形反転部1640からの音声情報を受信した受話音声情報にミキシングして軟骨伝導振動部1626を駆動する。より詳細に説明すると、送話部(マイク)1423から拾った操作者の音声の一部が音質調整部1638に入力され、軟骨伝導振動部1626を含む軟骨伝導振動ユニット1628から蝸牛に伝えるべき自分の声の音質を耳栓骨導効果発生時に声帯から体内伝導で蝸牛に伝わる操作者自身の声に近似した音質に調整し、両者のキャンセルを効果的にする。そして、波形反転部1640はこのようにして音質調整された自分の声を波形反転し、必要に応じ、位相調整ミキサー部1636に出力する。
具体的なミキシング制御について説明すると、位相調整ミキサー部1636は、屈曲検知部1588の検知する可動部1591の屈曲角度が所定以上に達し、これによって押される耳珠で耳穴が塞がれる状態に該当するときは、制御部1639からの指示によって波形反転部1640からの出力をミキシングして軟骨伝導振動ユニット1628を駆動する。これによって、耳栓骨導効果発生中の過度の自分の声がキャンセルされ、違和感の緩和が図られる。このとき、サイドトーン相当分の自分の声はキャンセルせずに残すようキャンセルの程度が調節される。一方、屈曲検知部1588が所定以上の屈曲を検知しないときは、耳穴が耳珠で塞がれておらず耳栓骨導効果が生じていない状態に該当するので、位相調整ミキサー部1636は制御部1639の指示に基づき、波形反転部1640からの自声波形反転出力のミキシングを行わない。なお、実施例4と同様にして、図29の実施例17においても、音質調整部1638と波形反転部1640の位置は逆転して構成してもよい。さらに、音質調整部1638および波形反転部1640は、位相調整ミキサー部1636内の機能として一体化してもよい。なお、制御部1639が操作部1409による着信受信操作または発呼操作を近距離通信部1487から携帯電話1601に伝達する点は、実施例16と同様である。
図28および図29のブロック図は、図27のシステム図の構成だけでなく、図26の実施例15のシステム図にも適用可能である。また、屈曲検知部1588を図8におけるような押圧センサ242に読み替えれば、図24の実施例13または図25の実施例14にも適用可能である。但し、実施例13に読み替える場合、図24(A)のように送受話ユニット1281が携帯電話1201に合体させられた場合において両者を直接接続する接点部を携帯電話1201および送受話ユニット1281に設ける。図24(A)の状態においては、近距離通信部による携帯電話1201と送受話ユニット1281との間の無線通信交信は、このような接点部を介した通信に自動的に切換わる。また、実施例14に読み替える場合、近距離通信部に代えて両者を有線で接続するコネクタ接点を携帯電話1301および送受話ユニット1381に設ける。
図30は、図29の実施例17におけるヘッドセット1681の制御部1639の動作のフローチャートである。図30のフローは、操作部1409による主電源のオンでスタートし、ステップS162で初期立上および各部機能チェックを行う。次いでステップS164では、携帯電話1601との間の近距離通信接続を指示してステップS166に移行する。なお、ステップS164の指示に基づいて近距離通信が確立されると、以後主電源がオフされない限り、ヘッドセット1681は携帯電話1601と常時接続状態となる。ステップS166では、携帯電話1601との間の近距離通信が確立したかどうかチェックし、確立が確認されるとステップS168に移行する。
ステップS168では、携帯電話1601からの着信信号が近距離通信を通じて伝達されたか否かのチェックを行う。そして着信があればステップS170に進み、軟骨伝導振動部1626が着信振動するよう駆動する。この着信振動は可聴域の周波数としてもよいが、耳珠32でバイブレーションを感じることができる振幅の大きい低周波域の振動としてもよい。次いでステップS172では、電話を掛けてきた側の発呼中止操作などによって着信信号が停止したかどうかチェックし、停止がなければステップS174に進んで操作部1409による受信操作があったかどうかチェックする。そして受信操作があればステップS176に移行する。一方、ステップS174で受信操作がなければフローはステップS170に戻り、以下、軟骨伝導振動部1626の着信振動が停止するか受信操作が行われるかしない限り、ステップS170からステップS174のループが繰り返される。
一方、ステップS168で着信信号が検知されない場合はステップS178に移行し、操作部1409によって登録済みの通話先へのワンタッチでの発呼操作が行われたかどうかチェックする。そして発呼操作が検知されるとステップS180に進み、発呼操作が携帯電話1601に伝達されて発呼が行われ、これに対する相手からの応答により電話接続が成立した旨の信号が携帯電話1601から伝達されたか否かチェックする。そしてステップS180で電話接続の成立が確認されるとステップS176に移行する。
ステップS176では、軟骨伝導振動部1626を音声情報の受話のためにオンするとともに、ステップS182でマイク1423を送話のためにオンしてステップS184に移行する。ステップS184では、可動部1591の所定角度以上の屈曲が検知されたかどうかチェックする。そして、屈曲が検知されたときはステップS186に進み、自分の声の波形反転信号を軟骨伝導振動部1626に付加してステップS188に移行する。一方、ステップS184で所定角度以上の屈曲が検知されないときはステップS190に移行し、自分の声の波形反転信号の軟骨伝導振動部1626への付加をなくしてステップS188に移行する。ステップS188では通話状態が断たれた旨の信号を携帯電話1601から受信したか否かをチェックし、通話が断たれていなければステップS176に戻って、以下ステップS188で通話断が検知されるまでステップS176からステップS188を繰り返す。これによって通話中の可動部1591の屈曲に基づく耳栓骨導効果の発生および消滅に対応する。
一方、ステップS188で通話断の信号が携帯電話1601から受信されたことが検知されたときはステップS192に進み、軟骨伝導振動部1626による受話をオフするとともにマイク1423による送話をオフしてステップS194に移行する。ステップS194では、無通話状態が所定時間以上続いているかどうかチェックし、該当すればステップS196に移行する。ステップS196では、近距離通信部1487の待ち受け状態の維持に必要な最低レベルまでクロック周波数を落とすなどの省電力待機状態への移行を行うとともに携帯電話1601からの着信信号受信または操作部1409の発呼操作に応答して近距離通信部1487を通常通信状態に復帰させるための割り込みを可能にする処理を行う。そしてこのような処理の後ステップS198に移行する。一方、ステップS194で所定時間以上の無通話状態が検知されないときは直接ステップS198に移行する。なお、ステップS166で近距離通信の確立が確認できないとき、またはステップS178で発呼操作を検知しないとき、またはステップS180で電話接続の成立が確認できないときは、いずれも直接ステップS198に移行する。
ステップS198では、操作部1409により主電源がオフされたかどうかをチェックし、主電源オフが検知された場合はフローを終了する。一方、主電源オフが検知されない場合、フローはステップS166に戻り、以下主電源のオフがない限り、ステップS166からステップS198を繰り返して、ヘッドセット1681の種々の状態変化に対応する。
なお、図30のフローは、図27のシステム図の構成だけでなく、図26の実施例15のシステム図にも適用可能である。また、ステップS184の「屈曲検知」を図10のステップS52におけるような「耳栓骨導効果」発生状態の有無検知に読み替えれば、図24の実施例13または図25の実施例14にも適用可能である。
図31は、図30の実施例17において屈曲検知をメカ的なスイッチにより行っていたものに代え、これをソフト的に行うよう構成したヘッドセットの制御部のフローチャートであり、図30との混乱を避けるため、実施例18として説明する。また、図31においては、図30と共通するステップについては同一のステップ番号を付し、特に必要のない限り、説明を省略する。そして図31において異なる部分を太枠および太字で示し、これらの部分を中心に説明する。具体的に述べると、実施例18では、軟骨伝導振動部1626が圧電バイモルフ素子であることを前提とし、図9における実施例4に準じて位相調整ミキサー部1636と軟骨伝導振動部1626を結ぶ信号線に現れる信号をモニタし、可動部1591の屈曲または屈曲からの復帰の瞬間の操作衝撃に基づく歪によって軟骨伝導振動部(圧電バイモルフ素子)1626に現れる信号変化を検知するよう構成される。そしてこの信号変化をソフト的に処理することにより屈曲状態を検知するようにしている。
以上の前提に基づき、図31において図30と異なるところを説明すると、まずステップS200は、図30のステップS170からステップS174、ステップS178およびステップS180をまとめて図示したものであり、内容的には同じものである。そして着信に対する受信操作または発呼に対する相手の応答に基づいて電話接続が成立するとステップS176に移行するとともに、電話接続がなければステップS198に移行する。
ステップS202からステップS210が屈曲検知に関するステップであり、ステップS182からステップS202に至ると、まず軟骨伝導振動部1626の入力端子(位相調整ミキサー部1636と軟骨伝導振動部1626を結ぶ信号線)に現れる信号をサンプリングする。そしてステップS204では、同じタイミングで制御部1639から位相調整ミキサー部1636に向かう軟骨伝導部駆動出力を同じタイミングでサンプリングする。次いでステップS206では、これらのサンプリング値の差を演算し、ステップS208では、演算された差が所定以上かどうか検知する。この機能は、図9における押圧センサ242の機能に対応するが、図9の押圧センサ242では押圧状態が継続して検知されるのに対し、図27のシステムでは屈曲または屈曲からの復帰の瞬間の操作衝撃により屈曲状態の変化を捉える。
ステップS208で両サンプリング値に所定以上の差が発生していることが検知されるとステップS210に移行する。ステップS208の段階では、両サンプリング値に所定以上の差が屈曲によって生じたか屈曲からの復帰によって生じたかはわからない。しかしステップS210では、差の発生履歴に基づいて、軟骨伝導振動部1626がステップS176でオンされてから後、差の発生が奇数回目であったかどうかチェックする。そして奇数回目であればステップS186に移行するとともに、偶数回目であればステップS190に移行する。可動部1591の屈曲または屈曲からの復帰は必ず交互に起こるので上記のようにして操作衝撃があるたびに自声波形反転信号を付加するか否かを切換える。なお、万一誤動作により差のカウントが逆転したときは操作部1409により差の発生履歴をリセットすることができる。
ステップS212は、図30のステップS194およびステップS196をまとめて図示したものであり、内容的には同じものである。以上のようにして、実施例18では、実施例4などと同様にして、軟骨伝導振動部1626自体のセンサ機能を利用して可動部1591の屈曲検知を行うことにより、耳栓骨導効果の発生状態を判断している。なお、図31のフローは、図27のシステム図の構成だけでなく、図26の実施例15のシステム図にも適用可能である。また、実施例5から10のように軟骨伝導振動部が弾性体で保持されている場合において、耳栓骨導効果の発生状態において軟骨伝導振動部の歪が継続しない場合にも図31の耳栓骨導効果発生検知方式を採用することができる。
図32は、本発明の実施の形態に係る実施例19のシステム構成図である。実施例19も携帯電話のための送受話ユニットとして構成されており、携帯電話1401とともに携帯電話システムをなす。実施例19では、図32に示すように送受話ユニットが眼鏡1781として構成されている。実施例19は、実施例15と共通するシステム構成となっているので、共通する部分には共通する番号を付し、特に説明を行わない場合その構成は実施例15と共通であるものとする。なお、実施例19においても、携帯電話1401は、送受話ユニットをなす眼鏡1781との組合せで用いるべく特別に構成される場合、および近距離通信機能を有する一般の携帯電話として構成される場合のいずれであってもよい。後者の場合、眼鏡1781は、実施例15と同様にして、携帯電話1401のアクセサリとして構成されることになる。
実施例19では、図32に示すように可動部1791が眼鏡1781のツルの部分に回転可能に取り付けられており、図示の状態において、軟骨伝導用振動部1726が右耳28の耳珠32に接触している。可動部1791は、これを使用しない場合、一点鎖線1792に示すように眼鏡1781のツルに沿う位置に回転退避させることができる。この退避状態においても、軟骨伝導用振動部1726は低周波で振動させることが可能であり、これによって眼鏡1781のツルの振動を顔で感じることで着信を知ることができる。また、眼鏡1781のツルの前方部分には、送話部1723が配置されている。また、眼鏡1781のツルの部分には電源部を含む制御部1739が配置され、軟骨伝導用振動部1726および送話部1723の制御を行っている。さらに眼鏡1781のツルの部分には、携帯電話1401と電波1285で無線通信可能なBluetooth(登録商標)などの近距離通信部1787が配置され、送話部1723から拾った使用者の音声を携帯電話1401に送信するとともに、携帯電話1401から受信した音声情報に基づき軟骨伝導用振動部1726を振動させることを可能にしている。なお、眼鏡1781のツルの後方端部には送受話操作部1709が設けられている。この位置は、眼鏡1781のツルが耳28の後の骨(乳突部)に当たる部分なのでこれに裏打ち状態で支えられることになり、眼鏡1781を変形させることなくツルの表側から押圧などの送受話操作を容易に行うことができる。なお、上記の各要素の配置は上記に限るものではなく、例えば全ての要素またはその一部を適宜可動部1791にまとめて配置してもよい。
可動部1791は、その途中において弾性体1773が介在しており、環境騒音で音情報が聞き取りにくい時において、可動部1791を外側から押してこれを屈曲させ、軟骨伝導用振動部1726をより強く耳珠32に圧接することによって耳珠32が耳穴を塞ぐようにするのを容易にしている。これによって、他の実施例でも説明した耳栓骨導効果が生じ、さらに大きな音で音声情報を伝えることができる。また、可動部1791の屈曲状態の機械的検知に基づいて送話部1723から拾った自分の声の情報の位相を反転させて軟骨伝導用振動部1726に伝え、自分の声をキャンセルする。これらは実施例15と共通である。
なお、図28および図29のブロック図は「ヘッドセット」を「眼鏡」と読み替えることにより実施例19に適用可能である。また、図30および図31のフローチャートも実施例19に適用可能である。
図33は、本発明の実施の形態に係る実施例20のシステム構成図である。実施例20も携帯電話のための送受話ユニットとして構成されており、携帯電話1401とともに携帯電話システムをなす。実施例20は、図32の実施例19と共通するシステム構成となっているので、共通する部分には共通する番号を付し、特に必要がないかぎり説明省略する。なお、実施例20においても、実施例19と同様にして、携帯電話1401は、送受話ユニットをなす眼鏡1881との組合せで用いるべく特別に構成される場合、および近距離通信機能を有する一般の携帯電話として構成される場合のいずれであってもよい。後者の場合、眼鏡1881は、実施例19と同様にして、携帯電話1401のアクセサリとして構成されることになる。
実施例20が実施例19と異なるのは、軟骨伝導用振動部1826が眼鏡1881のツルが耳28の付け根に当たる耳掛け部1893内に設けられている点である。この結果、軟骨伝導用振動部1826の振動は耳28の付け根の軟骨の外側1828に伝達され、外耳道口周囲の軟骨を介して外耳道内壁から気導音を発生して鼓膜に伝達されるとともに、一部が軟骨を通じて直接内耳に伝達される。眼鏡1881のツルが当たる耳28の付け根の軟骨の外側1828は内側の外耳道口に近く、外耳道口周囲軟骨から外耳道内部への気導発生および軟骨を通じて直接内耳への伝導に好適である。
耳掛け部1893にはさらに耳朶の裏側に当たる部分に耳押検知部1888が設けられている。耳押検知部1888は、外部騒音が大きい時にこれを遮蔽するため手の平を耳28に当てることによって耳朶が押される状態を機械的に検知し、制御部1739は、この耳押検知情報を近距離通信部1787から携帯電話1401に伝達する。耳押検知部1888は、例えば耳朶裏側によって押された時メカ的にオンとなるスイッチで構成することができる。携帯電話1401の制御部239(図28の構成援用の場合)は、近距離通信部1446で受信した屈曲検知情報に基づき位相調整ミキサー部236を制御し、送話部(マイク)1723から近距離通信部1446を介して送話処理部222に伝達された自分の声に基づく波形反転部240の信号を受話処理部212からの音声情報に付加するか否かを決定する。なお、この耳栓骨導効果発生時の対策に関する構成は、実施例19と同様にして、図29を援用して構成することも可能である。
図34は、本発明の実施の形態に係る実施例21の要部側面図である。実施例21も携帯電話のための送受話ユニットとして構成されており、実施例20と同様にして携帯電話1401(図示省略)とともに携帯電話システムをなす。実施例21は、図33の実施例20と類似するシステム構成となっているので、共通する部分には共通する番号を付し、特に必要がないかぎり説明を省略する。具体的に述べると、実施例20の送受話ユニットが専用眼鏡として構成されているのに対し、図34の送受話ユニットは、通常の眼鏡のツルの耳掛け部1900に取り付け可能な眼鏡アタッチメント1981として構成されている点が異なる。その他の構成は、図33の実施例20と共通である。なお、実施例21においても、実施例20と同様にして、不図示の携帯電話1401は、送受話ユニットをなす眼鏡アタッチメント1981との組合せで用いるべく特別に構成される場合、および近距離通信機能を有する一般の携帯電話として構成される場合のいずれであってもよい。後者の場合、眼鏡アタッチメント1981は、実施例20と同様にして、携帯電話1401のアクセサリとして構成されることになる。
眼鏡アタッチメント1981は、種々のサイズや形状の耳掛け部1900に被せることが可能なフリーサイズの弾性体カバーとして成型されており、その一端の開口から耳掛け部1900が挿入されたとき、軟骨伝導用振動部1926が耳掛け部1900の上側に接触する。この接触は直接でも良いが、眼鏡アタッチメント1981の弾性体の皮膜を介してでもよい。この目的のためには、弾性体として、その音響インピーダンスが耳軟骨のそれに近似する材質のものを選択するのが望ましい。上記のような直接または間接の接触によって、軟骨伝導用振動部1926の振動が耳掛け部1900に伝達され、その振動が耳28の付け根の軟骨の外側に伝達されるので、実施例20と同様にして、外耳道口周囲の軟骨を介して外耳道内壁から気導音を発生してこれが鼓膜に伝達されるとともに、一部が軟骨を通じて直接内耳に伝達される。
実施例20において眼鏡1881に設けられていた送話部1723、制御部1739、近距離通信部1787、送受話操作部1709および耳押検知部1888は、図34の実施例21では、それぞれ眼鏡アタッチメント1981内に配置されるが、その機能は共通なので説明を省略する。なお、図示しないが、例えば右の耳掛け部1900に眼鏡アタッチメント1981を被せた場合、左の耳掛け部用として、外形、材質および重量が同じ弾性体で成型されたダミーカバーを提供し、これを被せることで眼鏡装着時における左右のバランスを保つことを可能とする。なお、眼鏡アタッチメント1981およびダミーカバーは弾性体により成型されるので、若干の変形によりそれぞれ左右の耳掛け部のいずれにも任意に装着可能なように構成できる。例えば、上記とは逆に、眼鏡アタッチメント1981を左の耳掛け部に被せるとともに、ダミーカバーを右の耳掛け部に被せることができる。従って、右耳用および左耳用にそれぞれ眼鏡アタッチメント1981を品揃えする必要がなくなる。
図35は、本発明の実施の形態に係る実施例22の上面図である。実施例22も携帯電話のための送受話ユニットとして構成されており、実施例21と同様にして携帯電話1401(図示省略)とともに携帯電話システムをなす。実施例22は、図34の実施例21に類似するシステム構成となっているので、共通する部分には共通する番号を付し、特に必要がないかぎり説明を省略する。実施例22の送受話ユニットも、実施例21と同様にして、通常の眼鏡における種々のサイズや形状の耳掛け部1900に被せることが可能なフリーサイズの弾性体カバーとして成型された眼鏡アタッチメント2081として構成される。
図35の実施例22が図34の実施例21と異なるのは、実施例21において片方の耳掛け部1900に被せられる眼鏡アタッチメント1981内に集中して配置されていた送受話ユニットの各構成要素が、左右の耳掛け部1900に分散させられていることである。具体的に述べると、実施例22の眼鏡アタッチメント2081は、右側弾性体カバー2082、左側弾性体カバー2084およびこれらを有線で通信可能に繋ぐグラスコード兼用ケーブル2039によって構成され、これらに送受話ユニットの各構成要素が、分散配置される。なお、説明の都合上、それぞれ弾性体カバー2082を右耳用、弾性体カバー2084を左耳用とするが、これら一対の弾性体カバーを左右逆にそれぞれ耳掛け部1900に被せることが可能である。
上記の基本構成において、右側弾性体カバー2082には、軟骨伝導用振動部1926、送受話操作部1709および耳押検知部1888が配置される。これによって、実施例21と同様にして軟骨伝導用振動部1926の振動が耳掛け部1900を介して外耳道口周囲の軟骨に伝達され、外耳道内壁から気導音を発生してこれが鼓膜に伝達されるとともに、一部が軟骨を通じて直接内耳に伝達される。
一方、左側弾性体カバー2084には、送話部1723、制御部1739、及び、近距離通信部1787が配置される。グラスコード兼用ケーブル2039は、デザイン的には眼鏡をはずしたときにこれを首に掛けるためのグラスコードとなり、機能的には、右側弾性体カバー2082および左側弾性体カバー2084に分散配置された送受話ユニットの各構成要素を結ぶ配線が通っている。また、グラスコード兼用ケーブル2039により右側弾性体カバー2082と左側弾性体カバー2084を繋ぐことにより、眼鏡から外した時に片方が紛失することを防止する。
図36は、本発明の実施の形態に係る実施例23のブロック図である。実施例23は、実施例19または実施例20と同様にして、携帯電話のための送受話ユニットとして構成された眼鏡2181を含み、携帯電話1401(図示省略)とともに携帯電話システムをなす。また、実施例23は、実施例22と同様にして、送受話ユニットとしての各構成要素が、右ツル部2182および左ツル部2184に分散配置される。個々の構成要素およびその機能は、図29における実施例17のブロック図および図35における実施例22の上面図におけるものに準じて理解できるので、共通する部分には共通する番号を付し、特に必要がないかぎり説明を省略する。実施例23も、右ツル部2182に配置された軟骨伝導振動部1826の振動が耳28の付け根の軟骨の外側に伝達され、これが外耳道口周囲の軟骨を振動させることによって外耳道内壁から発生する気導音が鼓膜に伝わるとともに、軟骨伝導の一部が軟骨を通じて直接内耳に伝達される。
図36の実施例23は、さらにレンズ部2186において携帯電話1401から受信した三次元(3D)映像を可視化するための構成を有する。眼鏡2181のレンズ部2186には眼鏡本来の右レンズ2110および左レンズ2114が設けられており、通常の眼鏡として機能する。さらに、近距離通信部1787が携帯電話1401から3D画像情報を受信すると、制御部1639は3D表示駆動部2115にその表示を指示し、3D表示駆動部2115はこれに基づいて、右表示部2118および左表示部2122にそれぞれ右目用画像および左目用画像を表示させる。これらの画像は結像レンズおよびハーフミラーなどからなる右目導光光学系2129および左目導光光学系2141によりそれぞれ右目および左目の網膜に結像させられ、3D画像の鑑賞が可能となる。この3D画像は、右レンズ2110および左レンズ2114から網膜に入る生の画像に合成または重畳された形で見えることになる。
図37は、本発明の実施の形態に係る実施例24のシステム構成図である。実施例24も携帯電話のための送受話ユニットとして構成されており、携帯電話1401とともに携帯電話システムをなす。実施例24の送受話ユニットは補聴器等に採用される耳掛けユニット2281として構成されているが、この点を除き図33の実施例20と共通するシステム構成となっているので、共通する部分には共通する番号を付し、特に必要がないかぎり説明省略する。なお、実施例24においても、実施例20と同様にして、携帯電話1401は、送受話ユニットをなす耳掛けユニット2281との組合せで用いるべく特別に構成される場合、および近距離通信機能を有する一般の携帯電話として構成される場合のいずれであってもよい。後者の場合、耳掛けユニット2281は、実施例20と同様にして、携帯電話1401のアクセサリとして構成されることになる。
実施例24では、軟骨伝導用振動部2226が耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部に当たる位置に配置されている。この結果、実施例20と同様にして、軟骨伝導用振動部2226の振動は耳28の付け根の軟骨の外側1828に伝達され、外耳道口周囲の軟骨を介して外耳道内壁から気導音を発生して鼓膜に伝達されるとともに、一部が軟骨を通じて直接内耳に伝達される。耳28の付け根の軟骨の外側1828はいずれもその内側の外耳道口に近く、外耳道口周囲軟骨から外耳道内部への気導発生および軟骨を通じて直接内耳への伝導に好適である。なお、実施例24のように送受話ユニットを耳掛けユニット2281とし構成する場合は、耳28の付け根の軟骨の外側1828に接触させるための軟骨伝導用振動部2226の配置の自由度が大きいので、送受話ユニット構成上の実装レイアウトおよび振動伝達効果を勘案した最適の位置に軟骨伝導用振動部2226を配置することができる。従って、実施例24においても、実施例20と同様にして、耳28の付け根の軟骨の外側1828の上部に軟骨伝導用振動部2226が当たる配置を採用してもよい。
耳掛けユニット2281には、実施例20の眼鏡1881の場合と同様にして、送話部1723、制御部1739、近距離通信部1787、送受話操作部1709および耳押検知部1888が設けられているが、その機能は共通なので説明を省略する。なお、実施例24の耳掛けユニット2281の場合、送話部1723は耳の前方に配置される。
図38は、本発明の実施の形態に係る実施例25のブロック図である。実施例25は、眼鏡型機器のツルの耳掛け部に軟骨伝導用振動部2324及び2326を配置し、耳28の付け根の軟骨の外側に振動を伝える点では実施例20から実施例23と共通するが、携帯電話の送受話ユニットではなく、3Dテレビの観賞眼鏡2381として構成されており、3Dテレビ2301とともに3Dテレビ鑑賞システムをなす。実施例25はステレオオーディオ情報を鑑賞できるようになっており、右ツル部2382に配置された右耳用軟骨伝導振動部2324の振動が接触部2363を介して右耳の付け根の軟骨の外側に伝達され、これが外耳道口周囲の軟骨を振動させることによって外耳道内壁から発生する気導音が右鼓膜に伝わるとともに、軟骨伝導の一部が軟骨を通じて直接右内耳に伝達される。同様にして、左ツル部2384に配置された左耳用軟骨伝導振動部2326の振動が接触部2364を介して左耳の付け根の軟骨の外側に伝達され、これが外耳道口周囲の軟骨を振動させることによって外耳道内壁から発生する気導音が左鼓膜に伝わるとともに、軟骨伝導の一部が軟骨を通じて直接左内耳に伝達される。
なお、鑑賞眼鏡2381は、通常の眼鏡を掛けている人でもその上から装着できるよう構成されており、この場合、右耳用軟骨伝導振動部2324および左耳用軟骨伝導振動部2326の振動は接触部2363および2364を介して直接接触している左右の耳の付け根の軟骨にそれぞれ伝達されるとともに、通常の眼鏡の左右のツルの耳掛け部にもそれぞれ伝達され、この耳掛け部を介して間接的にも耳の付け根の軟骨に伝達される。接触部2363および2364は裸眼の人が直接、鑑賞眼鏡2381を装着する場合にも、通常の眼鏡の上から装着する場合にも耳の付け根の軟骨への好適な軟骨伝導を生じる形状に構成される。これについては後述する。
3Dテレビ2301は、制御部2339の制御に基づきステレオオーディオ信号部2331から音声信号を発生させ、赤外通信部2346はこの音声信号を赤外線2385により鑑賞眼鏡2381の赤外通信部2387に伝達する。鑑賞眼鏡2381の制御部2339は、受信した音声信号に基づき右オーディオ駆動部2335および左オーディオ駆動部2336から左右の音声信号を出力させ、右耳用軟骨伝導振動部2324および左耳用軟骨伝導振動部2326を振動させる。以上の赤外通信部2387、制御部2339、右オーディオ駆動部2335、左オーディオ駆動部2336、後述のシャッタ駆動部2357、右シャッタ2358および左シャッタ2359は、電源部2348とともに眼鏡主部2386に配置されている。
一方、3Dテレビ2301は、制御部2339の制御に基づき、ビデオ信号部2333のビデオ信号を表示ドライバ2341に送り、液晶表示部等からなる3Dスクリーン2305に3D画像を表示させる。制御部2339は、さらに3D画像表示と同期して3Dシャッタ同期信号部2350から同期信号を発生させ、赤外通信部2346はこの同期信号を赤外線2385により鑑賞眼鏡2381の赤外通信部2387に伝達する。鑑賞眼鏡2381の制御部2339は、受信した同期信号に基づいてシャッタ駆動部2357を制御し、右シャッタ2358および左シャッタ2359を交互に開く。これによって、3Dスクリーン2305に交互に表示される右目用画像2360および左目用画像2362が同期して右目および左目に入射するようになる。このように、実施例25では、軟骨伝導振動部駆動用のステレオ音声信号および3Dシャッタ同期信号が赤外通信部2346および2387間の赤外通信により伝達される。これらの両信号は時分割または合成により並行して送信される。なお、これらの通信は赤外線通信に限るものではなく、他の実施例のように近距離無線通信によってもよい。
図39は、上記実施例25の要部断面図であり、右ツル部2382の断面を、通常の眼鏡を掛けた上から鑑賞眼鏡2381を装着した状態において図示するものである。図39(A)は実施例25に関する右ツル部2382の断面であり、図39(B)はその変形例の断面を示す。まず、図39(A)について説明すると、右ツル部2382の下方の耳28に掛かる部分には、接触部2363が設けられている。この接触部2363は、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する弾性体からなり、右耳用軟骨伝導振動部2324はその中に包まれた形で右ツル部2382に保持されている。また接触部2363の断面は、図39(A)に明らかなように通常眼鏡のツルの耳掛け部2300が嵌まり込むための溝が設けられている。これによって、鑑賞眼鏡2381の右ツル部2382と通常の眼鏡のツルの耳掛け部2300の確実な接触が図られるとともに、接触部2363の弾性により右ツル部2382と耳掛け部2300の接触部分が振動によりビリつくのを防止する。そして図39(A)の状態において、右耳用軟骨伝導振動部2324の振動は接触部2363を介して直接接触している右の耳28の付け根の軟骨の外側1828に伝達されるとともに、通常の眼鏡の右のツルの耳掛け部2300に伝達され、この耳掛け部2300を介して間接的にも耳28の付け根の軟骨の外側1828に伝達される。
一方、裸眼の人が直接、鑑賞眼鏡2381を装着する場合には、接触部2363全体が直接右の耳28の付け根の軟骨の外側1828に接触し、右耳用軟骨伝導振動部2324の振動を伝達する。接触部2363の外側は面取りされているので、この場合でも、右ツル部2382は違和感なく耳28に掛けられる。
次に、図39(B)の変形例では、その断面図から明らかなように、右ツル部2382の下方の耳28に掛かる部分には、図39(A)と同様にして接触部2363が設けられている。そして図39(A)と同様にして、接触部2363は耳軟骨と音響インピーダンスが近似する弾性体からなり、右耳用軟骨伝導振動部2324はその中に包まれた形で右ツル部2382に保持されている。図39(B)に明らかなように。変形例では接触部2363の断面形状が異なっていて溝の代わりに凹斜面が設けられ、これによって、鑑賞眼鏡2381の右ツル部2382は通常の眼鏡のツルの耳掛け部2300の外側において耳28に掛かるようになり両者の確実な接触が図られるとともに、接触部2363の弾性により右ツル部2382と耳掛け部2300の接触部分が振動によりビリつくのを防止する。そして図39(B)の状態において、右耳用軟骨伝導振動部2324の振動は接触部2363を介して直接接触している右の耳28の付け根の軟骨の外側1828に伝達されるとともに、通常の眼鏡の右のツルの耳掛け部2300に伝達され、この耳掛け部2300を介して間接的にも耳28の付け根の軟骨の外側1828に伝達される。
一方、裸眼の人が直接、鑑賞眼鏡2381を装着する場合には、接触部2363全体が直接右の耳28の付け根の軟骨の外側1828に接触し、右耳用軟骨伝導振動部2324の振動を伝達する。接触部2363の外側は図39(B)の変形例の場合でも面取りされており、鑑賞眼鏡2381を直接装着する場合でも、右ツル部2382は違和感なく耳28に掛けられる。図39(B)に明らかなように、軟骨伝導では、眼鏡のツルの内側にある顔の骨ではなく、眼鏡のツルの下方または外側の耳軟骨との接触が肝要であり、接触部の形状はこの目的のために決定される。
以上のように、実施例20から実施例25は、軟骨伝導振動部2324の振動が耳の付け根の軟骨の外側に伝達され、これが外耳道口周囲の軟骨を振動させることによって外耳道内壁から発生する気導音が鼓膜に伝わるとともに、軟骨伝導の一部が軟骨を通じて直接右内耳に伝達される。従って、眼鏡を通常の状態で掛けるだけで耳軟骨外側との接触により良好な伝導が得られる。これに対し、従来の骨伝導による場合、眼鏡のツルの内側の部分で耳の前または後の骨を強く挟み込む必要があり、苦痛を伴うとともに長時間の使用に耐えないものであった。本発明ではこのような問題はなく、通常眼鏡と同様の使用感で快適に音声情報を聞くことができる。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、図34における実施例21の説明においては、他方のツルの耳掛け部にダミーカバーを被せるものとしているが、図34の構成を一対用意し、左右のツルの耳掛け部にそれぞれ被せるようにすれば、図38の実施例25のようにステレオオーディオ信号を聞くことが可能となる。このとき両者間を無線通信で結ぶことも可能であるが、図35の実施例22のようにグラスコード兼用ケーブルで結ぶことも可能である。なお、グラスコードの特徴に関しては、実施例21において図34の構成およびダミーカバーの間をグラスコードで連結して紛失を防止するようにしてもよい。また、上記ステレオ化の特徴に関しては、図36の実施例23も上記と同様にして構成要素を左右のツルに振り分けず、必要な構成要素を2組用意して左右のツル部にそれぞれは位置するよう構成すれば、映像を3Dにするだけでなく図38の実施例25のようにステレオオーディオ信号を聞くことも可能となる。このとき、実施例25を参考にして、左右の構成の一部(例えば、少なくとも制御部や電源)を適宜共通にすることができる。
上記の実施例では、携帯電話およびその送受話ユニット、または3Dテレビ鑑賞眼鏡を例にとって本発明の効用を説明しているが、本発明の利点はこれに限るものではなく、他の実施においても活用することができる。例えば、上記に説明した本発明の種々の特徴は、補聴器への実施においても有効なものである。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は個々の実施例に限られるものではなく、その特徴の利点を享受できる限りこれを変形した種々に実施例において実施可能である。例えば、図40は、図19における実施例10の変形例を示す斜視図である。この変形例においても、図19と同様にして、圧電バイモルフ素子等からなる軟骨伝導振動源925が軟骨伝導振動源となるとともに、気導によって鼓膜に伝わる音波を発生する受話部の駆動源を兼ねる。但し、図40の変形例では、軟骨伝導振動源925自身が携帯電話901の側方に伸びており、その右端224および左端226を振動させる。従って、図19と同様にして、そのいずれかをこれを耳珠に接触させることによって軟骨伝導で音を聞くことができる。また、軟骨伝導振動源925は右端224および左端226だけで振動するのではなく全体で振動している。従って、図19と同様にして、携帯電話901の内側上端辺のどこを耳軟骨に接触させても音声情報を伝達することができる。なお、軟骨伝導振動源925の前方において、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する材料によって作られた軟骨伝導出力部963が配置されている点は図19と同様である。
また、図36の実施例23については、次のような変形例が可能である。すなわち、実施例23では、送話部1723を通常の気導マイクで構成しているが、これに代えて送話部1723を骨導マイク(骨導の接触型マイクまたはピックアップ)で構成すれば騒音下で雑音を拾わずに送話者の音声を選択的に拾うことが可能となる。さらに、周囲に迷惑をかけない小声で音声を送話することも可能となる。眼鏡のツルは、一般に、耳の前の骨(頬骨弓または、頬骨弓の上の側頭骨の一部)または耳の後の骨(側頭骨乳様突起)に自然に接触している。したがって、図36を援用すれば、骨導の接触型マイクで構成した送話部1723を眼鏡の左ツル部2184における上記のような骨との接触部に配置することにより、骨導で送話者の音声を拾うことが可能となる。また、図36のようにして、軟骨伝導振動部1826と骨導の接触型マイクで構成した送話部1723を左右のツル部2182及び2184に振り分けることにより、軟骨伝導振動部1826からの振動を骨導の接触型マイクが拾うことを防止することができる。
なお、図36の実施例23または上記のような変形例において、レンズ部2186から3D表示関連の構成を省略して右レンズ2110および左レンズ2114のみとした通常の眼鏡構成とすることも可能である。
一方、図38の実施例25についても、次のような変形例が可能である。すなわち、実施例25は鑑賞眼鏡2381として構成されているので、ステレオオーディオ情報の音源は3Dテレビ2301にあり、赤外通信部2387によって受信した音声信号に基づき右耳用軟骨伝導振動部2324および左耳用軟骨伝導振動部2326が振動させられる。しかしながら、これに代えて、ステレオオーディオ情報の音源部となるステレオオーディオ信号部およびこれにデータを提供する音声メモリを図38の眼鏡主部2386または右ツル部2382および左ツル部2384の一方または両者に振り分けて内蔵させるよう構成すれば、本発明を独立した携帯型音楽プレーヤーとして構成することができる。図38を援用してこのような変形例の構成を理解するには、上記のステレオオーディオ信号部およびこれにデータを提供する音声メモリは制御部2339に含まれるものとする。なおこの変形例の場合、3Dテレビ2301との連携は不要なので、図38において、眼鏡主部2386には右シャッタ2358、左シャッタ2359およびシャッタ駆動部2357に代えて、図36の実施例23におけるような通常眼鏡の右レンズおよび左レンズを配置する。
また、上記のように眼鏡主部2386に右レンズおよび左レンズを配して通常眼鏡とした変形例の場合、制御部、オーディオ駆動部、赤外通信部、および電源部等、図38において眼鏡主部2386に配置されている各構成要素については、図36の実施例23のように、適宜、右ツル部および左ツル部に振り分け配置することにより眼鏡主部2386の大型化を防止するようにしてもよい。なお、変形例における赤外通信部2387は、パソコンなどの外部の音源データ保持装置から音源データを入力する等の機能を担う。赤外通信部2387はまた、手元のリモコン等により、右耳用軟骨伝導振動部2324および左耳用軟骨伝導振動部2326による音量調節を行ったり、左右の振動出力のバランスを調節したりするための無線通信部として機能させることができる。さらに、携帯型音楽プレーヤーが携帯電話と連携するときは、携帯電話の音声情報を受信することもできる。また、この場合、携帯型音楽プレーヤーに気導マイクまたは骨導マイクを設ければ、携帯型音楽プレーヤーを携帯電話の外部送受話装置として機能させることもできる。
以上のような眼鏡主部2386と右ツル部2382および左ツル部2384への構成要素の配置の工夫は、上記の変形例に限るものではない。例えば、図38の実施例25における鑑賞眼鏡2381そのものの場合であっても、制御部2339、赤外通信部2387、電源部2348、右オーディオ駆動部2335および左オーディオ駆動部2336を右ツル部2382および左ツル部2384に適宜振り分け配置してもよい。
図41は、本発明の実施の形態に係る実施例26の斜視図であり、携帯電話として構成される。実施例26の携帯電話2401は、図40に示す実施例10の変形例と同様にして、可動部のない一体型のものであり、GUI機能を備えた大画面表示部205を有するいわゆるスマートフォンとして構成されている。そしてその構造に共通点が多いので、対応する部分には図40と同一の番号を付し、説明を省略する。なお、実施例10およびその変形例と同様にして実施例26でも、「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
実施例26が図40に示す実施例10の変形例と異なるのは、軟骨伝導振動源925の振動が大画面表示部205のタッチパネル機能におけるタッチ操作のフィードバック感触を作る振動源として兼用されている点である。具体的に述べると、軟骨伝導振動源925とそれより下部にある構成(大画面表示部205)との間には、ビニール系、ウレタン系などの振動隔離材2465が設けられており、音響インピーダンスの差等により軟骨伝導による音声信号が大画面表示部205等に容易には伝わらないよう構成される。その一方で、大画面表示部205をタッチすることでそのタッチパネル機能による何らかの入力が受け付けられた時、これをタッチした指にフィードバックするため、軟骨伝導振動源925が可聴域以下の低周波で振動させられる。そしてその振動周波数は振動隔離材2465の共振周波数と実質的に一致する周波数が選択されているので、軟骨伝導振動源925の振動により振動隔離材2465が共振し、これが大画面表示部205に伝えられる。このように音声領域の振動を防止する振動隔離材2465は、フィードバック用低周波振動にとっては振動伝達材として機能する。これによって大画面表示部205をタッチしている指に低周波振動が伝わり、タッチ入力が受け付けられたことを知ることができる。なお、タッチ操作自体の衝撃とそれに応答するフィードバック振動が混同されることを防止するため、軟骨伝導振動源925はタッチの瞬間から所定の遅延を設け、タッチ衝撃が収まってからフィードバック振動させられる。
なお、実施例26では、操作ボタン2461が設けられ、大画面表示部205のタッチパネル機能をオンオフする操作等に用いられる。また、実施例26では、図示の単純化のため、図40に示す実施例10の変形例に設けられていた軟骨伝導出力部963が省略した構成としているが、これを設けることは任意である。
図42は、実施例26のブロック図であり、同一部分には図41と同一番号を付して説明を省略する。また、図42のブロック図の構成は、図8における実施例4のブロック図と共通点が多く、また図9における要部概念ブロック図の構成を援用することができるものなので、図8と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。
なお、図42の大画面表示部205には、タッチパネル2468、および制御部2439に制御されてこのタッチパネル2468を駆動するタッチパネルドライバ2470が図示されているが、これは実施例26特有のものではなく、大画面表示部205がタッチパネル機能を有する他の実施例と共通であり、他の実施例では煩雑を避けるため図示を省略していただけである。なお、図42において、軟骨伝導振動源925およびタッチパネル2468の部分にそれぞれ振動隔離材2465を図示しているが、これはブロック図の図示スペースの都合でそのような描写になっているだけであって振動隔離材2465は同じものであり、これが分離されて軟骨伝導振動源925およびタッチパネル2468の位置にそれぞれ設けられるという意味ではない。つまり、図42で示しているのは、軟骨伝導振動源925の低周波振動により振動隔離材2465が共振し、これがタッチパネル2468に伝達されるという趣旨である。
図42に示すように、実施例26では、振動隔離材2465の共振周波数と実質的に一致する周波数の駆動信号を発生する低周波源2466が設けられており、制御部2439は、タッチパネルドライバ2470が指のタッチを感知して入力を受け付けた時、所定の遅延を経て低周波源2466からの低周波出力を指示する。位相部調整ミキサー部2436は、通話状態において電話機能部45からの信号に基づいて軟骨伝導振動源925を駆動するが、タッチパネル2468を操作する非通話操作状態のとき電話機能部45からの信号を遮断し、その代わりに低周波源2466からの信号に基づいて軟骨伝導振動源925を駆動する。なお、通話状態においては、位相調整ミキサー部2436は低周波源2466からの信号を遮断している。
実施例26における図42の制御部2439の機能は、図10の実施例4のフローチャートを援用できる。そして実施例26の特徴である軟骨伝導振動源925のタッチ操作フィードバック感触振動源への兼用は、図10のステップS42の詳細機能として理解できる。
図43は、上記のとおり、図10のステップS42の詳細を示すものであり、フローがスタートすると、まずステップS222で非通話操作が行われたかどうかチェックする。このステップは、図4の実施例1におけるステップS6と同様のものであって、メール操作やインターネット操作、その他諸設定並びにダウンロード済のゲームなど電波を使わない操作等の非通話操作の有無をチェックするものである。そしてこれらの操作があればステップS224に進んでタッチパネル2468が不感状態にあるか否かチェックする。そして不感状態になければステップS226で軟骨伝導振動源925を含む軟骨伝導振動部をオンする。一方、ステップS224でタッチパネル2468が不感状態にあることが検知された場合は、非通話操作が操作ボタン2461によるものであったことを意味するので、ステップS228に移行し、操作に対応するボタン設定処理を行う。次いでステップS230で、ボタン操作によりタッチパネル2468が有効設定になったかどうかをチェックし、該当すればステップS226に移行する。なお、ステップS222で非通話操作が検知されなかった場合、またはステップS230でタッチパネル2468の有効設定が検知されなかった場合はいずれも直ちにフローを終了する。
ステップS226で軟骨伝導振動部がオンとなると、フローはステップS232に進み、位相調整ミキサー部2436を制御して電話機能部45からの出力を絶つとともにステップS234で低周波源2466の出力を軟骨伝導振動源925に接続してステップS236に至る。ステップ236ではタッチパネル操作の有無をチェックし、操作があれば、ステップS238に進んで操作に従った応答処理を行う。そしてステップS240に進んで所定の遅延時間(例えば0.1秒)をおいて置き、ステップS242に移行する。ステップS242では、低周波源2466から低周波を所定時間(例えば0.5秒)出力し、操作した指に操作感触をフィードバックしてステップS244に進む。
ステップS244では、最後のタッチパネル操作後の所定時間(例えば3秒)以上タッチパネル2468が無操作状態となったかどうかチェックし、該当しなければステップS236に戻る。以下、所定時間内にタッチパネル2468の操作が続く限りステップS236からステップS244を繰り返してタッチパネル入力および軟骨伝導振動源925による操作感触フィードバックを継続する。
一方、ステップS244で所定時間以上タッチパネル2468が無操作状態となったことが検知されると、ステップS246に移行して軟骨伝導振動部をオフし、さらに ステップS248で位相調整ミキサー部2436を制御して電話機能部45からの出力を軟骨伝導振動源925に接続するとともにステップS250で低周波源2466の出力を絶ち、ひとまずフローを終了する。以下、図10に従って、フローが実行され、図10のステップS44で通話が検知されなければ直ちにステップS34に移行し、さらに主電源がオフでなければフローがステップS42に戻るので図43のフローが再開する。従って、タッチパネルの操作中に所定時間が経過してステップ244から図43のフローが終了したとしても再度速やかにステップ236に至り、タッチパネル入力および軟骨伝導振動源925による操作感触フィードバックを継続することができる。
本発明の実施は上記の実施例に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、実施例26における振動隔離材2465は、共振周波数の振動を伝えるバンドパスフィルタ的な機能を有する材質に限らず、音声信号領域にある電話機能部45からの所定周波数以上の振動を遮断するとともにこれより低い周波数領域にあるタッチ操作フィードバック用の低周波源2466の振動を伝達するローパスフィルタの機能を有する材質であってもよい。
次に、実施例26における図41から図43を援用して、本発明の実施例27について説明する。なお、この場合、図42における「タッチパネル2468」は「モーションセンサ2468」に、「タッチパネルドライバ2470」は、「モーションセンサドライバ2470」に、それぞれ読み替えるものとする。実施例27は、実施例26のように、軟骨伝導振動源925を大画面表示部205のGUI機能におけるタッチ操作に兼用する場合において、これをタッチ感触のフィードバック用の低周波出力素子として利用するだけでなく、携帯電話2401へのタッチを検知する衝撃入力素子としても利用するよう構成したものである。この目的のため、実施例27においては、軟骨伝導振動源925を圧電バイモルフ素子で構成する。圧電バイモルフ素子を衝撃入力素子として兼用するための具体的構成は、図9で説明した実施例4のブロック図、および図31で説明した実施例18のフローチャートを援用して構成することができる。
より具体的に説明すると、実施例27における大画面表示部205のGUI機能は接触型のタッチパネルではなく、上記のように大画面表示部205近傍の指の動きを非接触で検知するモーションセンサ2468を利用して構成される。そして、非接触で選択した機能の決定のための指のタッチ(マウス等の「クリック」に相当)を検知する衝撃センサとして圧電バイモルフ素子から成る軟骨伝導振動源925の衝撃検知機能が利用される。より具体的に述べると、例えば大画面表示部205上でのスクロールやアイコンの選択を非接触の指の動きの検知で行うとともに、「クリック」操作に該当する携帯電話2401へのタッチ衝撃を圧電バイモルフ素子の兼用により検知することで操作の「決定」または「エンター」を行う。なお、このときのタッチは大画面表示部205上ではなく、携帯電話外壁の任意の場所でよいので、大画面表示部205に指紋を残さず「クリック」操作を行うことができる。
なお、図41を援用する実施例27における振動隔離材2465は、音声信号領域にある電話機能部45からの振動を遮断するとともに、伝達可能なバンドパスフィルタ領域またはローパスフィルタ領域における衝撃振動成分を圧電バイモルフからなる軟骨伝導振動源925に伝達する。軟骨伝導振動源925が指のタッチ衝撃を検知したあと、所定の遅延時間を置いて低周波源2466から低周波を発生させて軟骨伝導振動源925を振動させ、タッチした指にフィードバックを行う点は実施例26と共通である。そして、この場合は圧電バイモルフ素子を入力素子としての機能と出力素子としての機能に切り換える必要があるが、この切り換えは上記の遅延時間を利用して行われる。
本発明の実施は上記の実施例に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、実施例27のような非接触型のモーションセンサにおけるクリック衝撃の検知には、圧電バイモルフ素子の衝撃検知機能に代えて図42における加速度センサ49を利用してもよい。また、加速度センサ49の機能と圧電バイモルフ素子の衝撃検知機能の両者を適宜組み合わせて併用してもよい。
また、実施例26および実施例27における軟骨伝導振動源925の低周波振動源としての兼用の特徴は、指へのタッチ感触フィードバックを目的とするものに限らず、携帯電話2401への着信を無音で通知するバイブレータへの兼用を目的とすることも可能である。この場合、当然ながら、軟骨伝導振動源925への低周波源2466の振動信号導入はタッチ検知ではなく、着信信号に応答して行われ、その際には遅延は必要でなく、振動信号の導入は比較的長時間(例えば2秒)断続的に(例えば0.5秒の振動停止期間を挟んで)繰り返される。
以上の各実施例に示した種々の特徴は、必ずしも個々の実施例に特有のものではなく、それぞれの実施例の特徴は、その利点が活用可能な限り、適宜、他の実施例の特徴と組み合わせたり、組み替えたりすることが可能である。例えば、実施例26または実施例27のような特徴を備えた携帯電話のための外部送受話ユニットとして、上記に図38の実施例25の変形例として説明した眼鏡型のステレオの携帯型音楽プレーヤーを組み合わせることが可能である。この場合、音楽プレーヤーに内蔵する音源からのステレオ再生を楽しめるとともに、携帯電話の音源からオーディオ信号を受信してステレオ再生を楽しむことができる。そして、眼鏡型携帯型音楽プレーヤーに内蔵される気導マイクまたは骨導マイクによりフリーハンドで携帯電話による通話を行うことができる。
図44は、本発明の実施の形態に係る実施例28に関するものであり、図44(A)はその上端側の一部を示す斜視図であるとともに、図44(B)は、図44(A)のB−B断面を示す断面図である。実施例28は、携帯電話2501として構成され、図7に示す実施例4と同様にして、軟骨伝導振動源2525の振動が振動伝導体2527に伝わり、その両端部がそれぞれ右耳珠または左耳珠に接触することにより軟骨伝導により音を聴取できるようになっている。なお、図44の実施例28においても、「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
図44の実施例28が図7に示す実施例4と異なるのは、軟骨伝導振動源2525と振動伝導体2527を携帯電話2501に保持するための保持構造である。軟骨伝導振動源2525に音声信号を入力するための構成等は実施例1から実施例27に準じたものを適宜採用することができるので、図示と説明を省略する。実施例28の軟骨伝導振動源2525は圧電バイモルフ素子として構成される(以下、「圧電バイモルフ素子2525」と称する)が、図44(B)のように、圧電バイモルフ素子2525は、金属板2597の両側にそれぞれ圧電セラミックス板2598、2599が貼り合わされ、その周囲を樹脂で固めた構造となっている。そしてその構造上、図44(B)に示すY−Y’方向に振動する。従って圧電バイモルフ素子2525の樹脂表面ではY−Y’方向の振動成分が大きく、X−X’方向の振動成分が小さくなっている。
上記のような圧電バイモルフ素子2525の構造を前提とし、実施例28の保持構造では、図44(B)の断面図からわかるように、保持体2516により振動成分の小さい、X−X’方向から圧電バイモルフ素子2525を挟むようにしている。なお、保持体2516と圧電バイモルフ素子2525の間は接着剤により接合されており、保持体2516は携帯電話2501に剛体的に結合されている。一方、圧電バイモルフ素子2525のY−Y’方向については、図44(B)では右側となる内面側と保持体2516の間にはギャップ2504が設けられ、圧電バイモルフ素子2525におけるY−Y’方向の自由振動を許すとともに振動成分が保持体2516に伝わりにくいようにしている。また、圧電バイモルフ素子2525のY−Y’方向における図44(B)では左側となる外面側には振動伝導体2527が剛体的に接着剤で接合されている。そして、携帯電話2501は、振動伝導体2527を露出させるための開口部2501aを有している。そして、振動伝導体2527と保持体2516および携帯電話2501の開口部2501aとの間はビニール系、ウレタン系などの弾性体からなる振動隔離材2565で埋められ、振動伝導体2527のY−Y’方向の自由振動を許すとともに圧電バイモルフ素子2525の振動成分が保持体2516および携帯電話2501に伝わりにくいようにしている。なお、上記において、ギャップ2504についても、振動隔離材2565と同様の弾性体で埋めるよう構成してもよい。
以上のような保持構造により、携帯電話2501を持つ手の力が剛体的に振動伝導体2527に加わることになり、右耳珠または左耳珠への接触およびその圧力を容易にコントロールすることができる。また、振動伝導体2527のY−Y’方向の自由振動を許す構造となっているので、振動伝導体2527が効率よく振動してその振動が耳軟骨に伝わるとともに、振動伝導体2527の振動が携帯電話2501に伝わって不要な気導を生ずるのを効果的に防止することができる。
図45は、図44の実施例28の変形例に関する断面図である。図45(A)は第1変形例の断面図であって、図44(B)に準じて図示し、共通部分には共通の番号を付している。同様にして、図45(B)には第2変形例の断面図を示す。図45(A)に示す第1変形例では、保持体2516と圧電バイモルフ素子2525との間全体にギャップ2504を広げ、両者の間にX−X’方向から圧電バイモルフ素子2525を挟むための保持補助部2506を設けたものである。保持補助部2506は保持体2516と圧電バイモルフ素子2525の両者または少なくも一方と音響インピーダンスの異なる剛体の材質を選択する。なお、保持補助部2506は、保持力の上で問題がなければ、弾性体としてもよい。また、保持補助部2506は、圧電バイモルフ素子2525におけるY−Y’方向の振動表面を避けて中央部に配置する構成としているので、保持体2516の一部として同一材料で一体成型しても、図44(B)と比較して圧電バイモルフ素子2525におけるY−Y’方向の振動を許しかつ携帯電話2501への振動伝達を少なくする効果が大きい。
図45(B)の第2変形例でも、保持体2516と圧電バイモルフ素子2525との間全体にギャップ2504を広げた構成をとるが、X−X’方向から圧電バイモルフ素子2525を挟むためには圧電バイモルフ素子2525の中央部要所に複数設けられるネジ2508が用いられる。このネジ2508は、その鋭利な先端が圧電バイモルフ素子2525の表面に若干食い込むよう螺合され、圧電バイモルフ素子2525の保持を確実とする。
図46は、図44の実施例28のさらに他の変形例に関する断面図である。図46(A)は第3変形例の断面図であって、図45と同様、図44(B)に準じて図示し、共通部分には共通の番号を付している。同様にして、図46(B)には第4変形例の断面図を示す。図46(A)に示す第3変形例では、圧電バイモルフ素子2525の表面に凹部2580が形成されるよう樹脂が成型されており、これに対応する凸部が保持体2516に一体成型されている。これらの凹凸部のかみ合いによって保持体2516による圧電バイモルフ素子2525の保持を確実とする。なお組み立てに際しては、保持体2516の若干の弾性を利用して圧電バイモルフ素子2525を嵌め込むようにしてもよいし、保持体2516を二体に分割して構成し、圧電バイモルフ素子2525を挟んだあとこれらを一体にネジ止めするよう構成してもよい。
図46(B)に示す第4変形例では、圧電バイモルフ素子2525の表面に凸部2590が形成されるよう樹脂が成型されており、これに対応する凹部が保持体2516に一体成型されている。そして、図46(A)と同様にこれらの凹凸部のかみ合いによって保持体2516による圧電バイモルフ素子2525の保持を確実とする。なお組み立てに際しては、図46(A)と同様にして保持体2516の若干の弾性を利用して圧電バイモルフ素子2525を嵌め込むか、保持体2516を二体に分割して構成し、圧電バイモルフ素子2525を挟んだあとこれらを一体にネジ止めするよう構成する。
図47は、本発明の実施の形態に係る実施例29に関するものであり、図47(A)はその上端側の一部を示す斜視図であるとともに、図47(B)は、その変形例における上端側の一部を示す斜視図である。実施例29は、図44における実施例28とほぼ同様の保持構造を有するものであるが、右耳珠または左耳珠に接触する振動伝導体を携帯電話2501の外壁に設けられた開口2501bおよび2501cから携帯電話表面に露出させる構成が異なるものである。従って、図44と共通する部分には同一の番号を付して説明を省略する。以下、図44の実施例28との相違点についてのみ説明する。
図44の実施例28では、振動伝導体2527が携帯電話2501の上端部全体に帯状に露出しており、その両端部がそれぞれ右耳珠または左耳珠に接触するとともに、耳軟骨に広い面積で接触することも可能なように構成されている。これに対し、図47(A)の実施例29では、振動伝導体が右耳用振動伝導体2524および左耳用振動伝導体2526に分離されて圧電バイモルフ素子2525の両端にそれぞれ接着される構成となっている。そして、分離された右耳用振動伝導体2524および左耳用振動伝導体2526の部分のみがそれぞれ携帯電話2501の上端の両角部の開口部2501bおよび2501cからそれぞれ露出するようになっている。このため、右耳用振動伝導体2524および左耳用振動伝導体2526と携帯電話2501の間を埋めるための振動隔離材2565も、それぞれ分離して設けられている。
一方、図47(B)に示した実施例29の変形例では、左耳用振動伝導体2526のみが圧電バイモルフ素子2525に接着される構成となっている。そして、この左耳用振動伝導体2526の部分のみが携帯電話2501の上端の角部の開口部2501bから露出するようになっている。また、左耳用振動伝導体2526と携帯電話2501の間を埋めるための振動隔離材2565は、携帯電話2501の左側角部のみに設けられている。なお、図47(B)に示した実施例29の変形例は、図47(A)の構成を簡略化して左耳専用に構成したものであるが、振動伝導体を右角部に設けた開口部から露出するよう構成して右耳専用の携帯電話として構成することも可能である。なお、図47(B)に示した実施例29の変形例のさらなる変形として、圧電バイモルフ素子の表面を携帯電話外面に適した形状に整形できる場合は、振動伝導体を介さず、圧電バイモルフ素子を開口部から直接露出させることも可能である。このような変形は図47(A)に示した実施例29および図44に示した実施例28においても可能である。
図48は、本発明の実施の形態に係る実施例30に関するものであり、図48(A)はその上端側の一部を示す斜視図であるとともに、図48(B)は、図48(A)のB−B断面を示す断面図である。実施例30は、携帯電話2601として構成され、図24に示す実施例13や図25に示す実施例14と同様にして、軟骨伝導用振動部を携帯電話側面に配置するものである。また、図48の実施例30は、図44の実施例28と同様にして圧電バイモルフ素子における耳軟骨伝導のための振動を許しかつ携帯電話への振動伝達を少なくするための保持構造を特徴としているので、実施例28と共通する部分には同一番号を付して説明を省略する。軟骨伝導振動源2525に音声信号を入力するための構成等の図示と説明を省略する点についても実施例28と同様である。
図48の実施例30では、圧電バイモルフ素子2525が携帯電話側面に嵌め込まれる構造をとるが、図48(B)に示すように嵌め込み部の奥が湾曲しており、この結果、圧電バイモルフ素子2525の稜線部2525aが携帯電話2601の湾曲部内面と接触することになる。これの接触によって、圧電バイモルフ素子2525が嵌め込みの奥行き方向に位置決めされ、圧電バイモルフ素子2525の押し込み方向に対する保持力が強化されることになる。また、上記のような接触構造によって圧電バイモルフ素子2525のY−Y’方向については三日月上のギャップ2604が生じ、自由振動が許可される。なお、実施例30でも、圧電バイモルフ素子2525の基本的な保持は、X−X’方向から行われる。図48では簡単のため携帯電話2601の一体構造の一部がその保持構造となるよう図示しているが、実施例28および実施例29の保持体2516のような構造を採用し、これを携帯電話2601に固着するよう構成してもよい。その他の構造は、図44に準じて理解されるので説明を省略する。なお、図45および図46に示した種々の変形例は図48の実施例30にも適用可能である。
図49は、本発明の実施の形態に係る実施例31に関するものであり、図49(A)はその上端側の一部を示す縦断面図である。また、図49(B)は、同一部分の横断面図であり、図48(B)と同様にして理解されるものである。実施例31は、携帯電話2701として構成され、図48に示す実施例30と同様にして、軟骨伝導用振動部を携帯電話側面に配置するものである。また、その特徴は、圧電バイモルフ素子における耳軟骨伝導のための振動を許しかつ携帯電話への振動伝達を少なくするための保持構造にあるので、図48の実施例30と共通する部分には同一番号を付して説明を省略する。軟骨伝導振動源2525に音声信号を入力するための構成等の図示と説明を省略する点についても実施例30と同様である。
図49の実施例31が、図48の実施例30と異なるのは圧電バイモルフ素子2525の保持構造にある。圧電バイモルフ素子2525は、実施例30と同様にして携帯電話2701の側面の溝に嵌め込まれる構造をとるが、図49(A)の縦断面図および図49(B)の横断面図に明らかなように、溝の内面は、凹凸面2794となっており、この結果、圧電バイモルフ素子2525は凹凸面2794の多数の頂部で保持されるとともに、両者間には多数のギャップ2704が生じることとなる。図49でも、簡単のため携帯電話2701の一体構造の一部がその保持構造となるよう図示しているが、実施例28および実施例29の保持体2516のような構造を採用し、これを携帯電話2701に固着するよう構成してもよい。これは、後述する変形例でも同様である。
図50は、実施例31の変形例を示す縦断面図であり、図49(A)に準じて理解されるものである。図50(A)は第1変形例であり、圧電バイモルフ素子2525の耳軟骨に当たる側に、振動伝導体2727(シリコン、ウレタンなど)を設けたものである。また、図50(B)は第2変形例であり、圧電バイモルフ素子2525と携帯電話2701の間に振動隔離材2765を介在させ、この振動隔離材2765が圧電バイモルフ素子2525と当たる面を凹凸面2795としたものである。なお、図50(A)の第1変形例における振動伝導体2727および図50(B)の第2変形例における振動隔離材2765を併用した変形例も可能である。
図51は、本発明の実施の形態に係る実施例32の斜視図である。実施例32は、例えば図47(A)に示した実施例29の携帯電話2501に用いるのに適した圧電バイモルフ素子2525として構成されている。図51(A)は実施例32の圧電バイモルフ素子2525の外観斜視図であり、図51(B)はその透視斜視図である。なお、図51では、図示の都合上、圧電バイモルフ素子2525を図47(A)の状態から90度回転させ、Y−Y’方向が上下となるよう作図している。
図47(A)の実施例29の保持体2516は、図44の実施例28と同様にして、図44(B)に示すX−X’方向から圧電バイモルフ素子2525を挟み、Y−Y’方向の自由振動を許すとともに振動成分が保持体2516に伝わりにくいようにしている。さらに保持体2516は右耳用振動伝導体2524および左耳用振動伝導体2526が両端にそれぞれ接着される圧電バイモルフ素子2525の中央部分を挟むよう構成される。
図51に示す圧電バイモルフ素子2525は、上記のようにしてX−X’方向から圧電バイモルフ素子2525の中央部を保持するのを可能する構成となっている。具体的には、図51(A)に示すように、実施例32の圧電バイモルフ素子2525は、駆動信号を入力するための電極2597aおよび2598aが圧電バイモルフ素子2525の中央部分に位置するよう構成している。これによって、圧電バイモルフ素子2525の両端部分は配線接続から開放され、自由振動が可能となる。さらに電極2597aおよび2598aの突出方向は、振動方向のY−Y’方向に沿った方向となるよう構成される。これによって、電極2597aおよび2598aを中央部分に配置するにもかかわらず、X−X’方向から圧電バイモルフ素子2525の中央部分を挟む際に、電極2597a及び2598aが邪魔にならず、保持体2516を特別な構成とする必要がなくなる。
上記のような電極配置を可能にするため、図51(B)に示すように圧電バイモルフ素子2525は、金属板2597の中央部から導出される電極2597aが上方に90度屈曲させられるとともに、圧電セラミックス板2598および2599からそれぞれ導出されて一つに接続された電極2598aも上方に90度屈曲させられて、それぞれ樹脂の上面から突出するよう構成される。これによって、電極がX−X’方向に突出することがなく、圧電バイモルフ素子2525の中央部分をX−X’方向から容易に挟んで支持することができる。
なお、図51の変形として、金属板2597の中央部から導出される電極2597aおよび圧電セラミックス板2598及び2599の中央部から導出される電極2598aをそれぞれ樹脂の側面から突出するよう構成することも可能である。この場合、圧電バイモルフ素子2525の中央部分をX−X’方向から挟んで支持するためには、保持体2516が電極と干渉する部分を避ける空隙を設けて信号ラインを接続するか、または、保持体2516内側にソケット構造を設けて電極と接続する。この場合も、保持体2516を特別な構成とする必要はあるが、電極2597a及び2598aが中央部に設けられていることには変わりがないので、圧電バイモルフ素子2525の両端部分を配線接続から開放して自由振動を可能とする利点は享受できる。
図52は、本発明の実施の形態に係る実施例33に関するものであり携帯電話2801として構成されている。図52(A)はその上端側の一部を裏側から見た透視斜視図であるとともに、図52(B)は、その変形例における上端側の一部を反対側の側面から見た透視斜視図である。図52(A)に示す実施例33は、図47(A)における実施例29とほぼ同様の保持構造を有するものであるが、耳軟骨に接する一対の振動伝導体2824および2826を携帯電話表面に露出させる構成が異なる。
具体的に説明すると、図47の実施例29にあっては、振動伝導体2524および2526が携帯電話2501の上部角に直接露出している。これに対し、図52の実施例33では、角部2801dおよび2801eは携帯電話2801自体の充分な強度をもつ外壁の一部となっており、振動伝導体2824および2826はそれぞれこれらにガードされる形で携帯電話2801の表示面側に露出している。この露出状態およびその意義の詳細は後述する。その他の構成は、図47の実施例29と共通なので、図52では共通する部分には同一の番号を付して説明を省略する。なお、実施例33は、実施例32に示した圧電バイモルフ素子2525の実装例ともなっており、電極2597aおよび2598aの位置を併せて図示している。
図52(B)における実施例33の変形例は、図52(A)において説明した振動部ユニットと同じ構成を、図48の実施例30や図49の実施例31におけるように携帯電話2801の側面を振動させるよう取り付けたものである。図52(B)における実施例33の変形例においても、一対の振動伝導体のうち上側の振動伝導体2824は、充分な強度を持つ携帯電話2801の角部2801dにガードされ、携帯電話2810の側面に露出している。なお、下側の振動伝導体2826は、元々角部には位置していないので自然にガードされている。
図53は、図52の実施例33およびその変形例をそれぞれ正面から見た外観斜視図であり、それぞれ、図53(A)は実施例33のもの、図53(B)はその変形例のものである。図53においても、図41の実施例26等と共通する構成が多いので、共通する部分には同一の番号を付して説明を省略する。
図53(A)から明らかなように、一対の振動伝導体2824および2826はそれぞれ携帯電話2801の角部2801dおよび2801eにガードされる形で携帯電話2801の大画面表示部205の面に露出している。なお、図47の実施例29と同様にして、図53(A)の実施例33においても一対の振動伝導体2824および2826と携帯電話2801の間はそれぞれ振動隔離材2865で埋められている。
ここで、図52および図53に示した上記の実施例33の構成の意義について説明する。携帯電話2801の角部2801dおよび2801eは、耳珠等の耳軟骨に当てるのに好適な部位であるが、同時に、落下などの際、直接衝撃が加わりやすい部位でもある。従って、例えば図47の実施例29のような構成をとる場合、振動伝導体2524および2526、並びにこれらが接着される圧電バイモルフ素子2525、さらにはその保持体2516等の振動部ユニットは衝突に強い構成とする必要がある。これに対し、図52および図53に示した実施例33の構成によれば、振動伝導体2524および2526が携帯電話2801本来の角部2801dおよび2801eによってガードされているので、実施例29の場合に比べ、衝撃対策が簡易化される。
図53(B)の変形例においても、図から明らかなように、一対の振動伝導体のうち上側の振動伝導体2824は、携帯電話2801の角部2801dにガードされ、携帯電話2801の側面に露出している。また、下側の振動伝導体2826は、直接衝撃が加わりにくい側面に位置している。なお、図53(A)の場合と同様、一対の振動伝導体2824および2826と携帯電話2801の間はそれぞれ振動隔離材2865で埋められている。
図52(B)および図53(B)に示した実施例33の変形例のように振動伝導体2824および2826が側面の二箇所(内、一箇所は上部角2801の近傍)に設けた場合、両者を縦方向において耳軟骨の二箇所に当てることが可能となる。この場合、振動伝導体2824と振動伝導体2826との間隔を2cmから5cm程度としておくと、下側の振動伝導体2826は耳珠に当てたとき上側の振動伝導体2824も耳軟骨に当てることが可能となる。もちろん、上側の振動伝導体2824を耳珠に当てて聴くような使い方をすることは任意である。同様にして、図52(A)および図53(A)に示した実施例33の場合も、振動伝導体2824および2826の両者を横方向において耳軟骨の二箇所に当てることも可能である。また、図47の実施例29のように、振動伝導体2824を右耳珠当接用、振動伝導体2826を右耳珠当接用として使い分けることも任意である。
いずれにしても、耳軟骨への二箇所当接は、同時振動している振動伝導体2824および2826のエネルギーをともに耳軟骨へ導入できるので、エネルギー上は伝達効率が良い。一方、耳栓骨導効果を得るべく、耳珠に携帯電話2801を強く押し当てる場合は、角部にある振動伝導体を一つだけ耳珠に当てるほうが容易に耳珠を押して耳を塞ぐことができる。
図54は、本発明の実施の形態に係る実施例34に関する透視斜視図であり携帯電話2901として構成されている。実施例34は、図48の実施例30や図49の実施例31におけるように携帯電話2901の側面を振動させるよう構成したものであるが、右手持ちで使用した場合および左手持ちで使用した場合のいずれでも対応できるよう、両側面が振動可能となっている。換言すれば、図54の実施例34は、図52(A)の実施例33における一対の振動伝導体2824および2826を側面配置用の一対の振動伝導体2924および2926に置き換えたものであり、振動伝導体2924および2926は側面の広範囲で耳軟骨との接触が図れるよう、縦長の形状となっている。圧電バイモルフ素子2525の保持構造は、図52(A)の実施例33と共通であるが煩雑を避けるため詳細図示を省略する。
実施例34においては、振動伝導体2924および2926の色を携帯電話2901の外壁の色と異なるようにし、側面から音を聴くよう構成されていることおよびその際に耳を当てる部分が使用者にわかるよう構成してもよい。一方、側面から音を聴くよう構成されていることおよびその際に耳を当てる部分が使用者に周知されている場合には、振動伝導体2924および2926の色を携帯電話2901の外壁の色と同色とするか、さらには携帯電話2901の外壁との境目がわからないような表面処理を施すデザインとしてもよい。実施例34のその他の構成は、例えば図41の実施例26と共通なので、共通する部分に同一の番号を付して説明を省略する。
図55は、本発明の実施の形態に係る実施例35に関する透視斜視図であり携帯電話3001として構成されている。実施例35も、図54の実施例34と同様にして、携帯電話3001の両側面を広範囲に渡って振動させるよう構成したものである。但し、図54の実施例34とは異なり、両側面がそれぞれ独立に制御可能なよう、一対の圧電バイモルフ素子3024および3026を縦長姿勢で配している。従って、図1から図6に説明した実施例1から実施例3と同様にして、使用される一方の圧電バイモルフ素子のみを自動的に振動させることが可能となる。圧電バイモルフ素子3024および3026の保持については、図44から図52等で説明した各実施例の保持構造を適宜採用することができるので、煩雑を避けるため詳細図示を省略する。
実施例35においても、圧電バイモルフ素子3024および3026を側面に配置する際、図48の実施例30における振動伝導体2527のような材質で圧電バイモルフ素子3024および3026を覆い、この振動伝導体の色を携帯電話3001の外壁の色と異なるようにして、側面から音を聴くよう構成されていることおよびその際に耳を当てる部分が使用者にわかるよう構成してもよい。一方、実施例35と同様、側面から音を聴くよう構成されていることおよびその際に耳を当てる部分が使用者に周知されている場合には、振動伝導体の色を携帯電話3001の外壁の色と同色とするか、さらには携帯電話3001の外壁における他の側面部分との境目がわからないような表面処理を施すデザインとしてもよい。実施例35のその他の構成は、例えば図41の実施例26と共通なので、共通する部分に同一の番号を付して説明を省略する。
図56は、本発明の実施の形態に係る実施例36に関する透視斜視図であり携帯電話3101および携帯電話3201として構成されている。図56の実施例36は、図55の実施例35とほぼ共通の構成であるが、携帯電話を、図56(A)に示す左手持ち用携帯電話3101および図56(B)に示す右手持ち用携帯電話3201としていずれか一方を選択可能に市場に提供するよう構成したものである。つまり、図56(A)の左手持ち用携帯電話3101では、左耳軟骨に当てるための圧電バイモルフ素子3024が、図56(B)に示す右手持ち用携帯電話3201では、左耳軟骨に当てるための圧電バイモルフ素子3026が設けられている。また、片側使用に限られることから、マイク等の送話部についても、図56(A)の左手持ち用携帯電話3101では、左側面下方に送話部(マイク)1223が、図56(B)の右手持ち用携帯電話3201では、右側面下方に送話部(マイク)1123が、それぞれ設けられている。なお、これらの送話部(マイク)1123または1223は、実施例12または実施例13と同様にして、大画面表示部205を観察しながらのテレビ電話の際には、送話部(マイク)1123及び1223の切換えが行われ、大画面表示部205を観察中の使用者によって発音される音声を拾うことができる。
図56の実施例36では、上記のように受話および送話に関する圧電バイモルフ素子やマイク等のオーディオ関連の構成が携帯電話側面にまとめられるとともに、大画面表示部205等のビジュアル関連の構成が携帯電話正面にまとめられるので、携帯電話3101または3201を耳等の顔に当てるときは側面を使用し、携帯電話3101または3201を目で眺める時は正面を使用するごとく、90度をなす携帯電話3101または3201の2面を使い分けることができ、携帯電話3101または3201の正面が顔について大画面表示部205等が汚れるのを防止することができる。
図56の実施例36では、圧電バイモルフ素子3024または3026を配置しない反対側の側面は主に携帯電話保持のために利用されるので、手で保持するのに自然なよう、側面をザラザラした感触の材質3101fまたは3201fで覆い、保持を容易にするとともに、耳に当てる側がどちらなのかを明示することができる。なお、実施例36にあっても、実施例35と同様にして、圧電バイモルフ素子3024または3026を覆う振動伝導体の色を携帯電話3101または3201の外壁の色と異なるよう構成してもよい。また、実施例36において反対側の側面を上記のようにザラザラした感触の材質3101fまたは3201fで覆った場合は、音を聴く側の側面が識別できるので振動伝導体の色を携帯電話3101または3201の外壁の色と同色とするか、さらには携帯電話3101または3201の外壁における他の側面部分との境目がわからないような表面処理を施すデザインとしてもよい。実施例35のその他の構成は、例えば図41の実施例26と共通なので、共通する部分に同一の番号を付して説明を省略する。
なお、実施例36における「右手持ち用」および「左手持ち用」は、例えば図56(A)の携帯電話3101を左手で持って大画面表示部205を見ている状態からそのまま手首を回さずに携帯電話3101の側面を耳に当てるとき圧電バイモルフ素子3024を設けた側の側面が左耳軟骨に当たる状態を想定している。しかしながら、使用者の使用法は任意であって、図56(A)の携帯電話3101を右手に持ち、耳に当てるときは手首を180度回して携帯電話3101を裏返せば、圧電バイモルフ素子3024が設けられた側の側面を右耳軟骨に当てることができる。従って、「右手持ち用」および「左手持ち用」はあくまで暫定であって、いずれを購入し、どのように使用するかは使用者が自由に選択することができる。従って、上記のように手首を回して使用する使用者にとっては、図56(A)の携帯電話3101を「右手持ち用」と認識することもできる。
図57は、本発明の実施の形態に係る実施例37に関する透視斜視図であり携帯電話3301として構成される。図57の実施例37は、図40における実施例10の変形例と共通する部分が多いので、共通する部分には同一の番号を付して説明を省略する。実施例37が実施例10の変形例と異なるのは、圧電バイモルフ素子2525が前面だけでなく、携帯電話3301の上辺における前後左右および上側が耳軟骨と音響インピーダンスが近似する材料で形成された軟骨伝導出力部3363で覆われていることである。この軟骨伝導出力部3363は、実施例10またはその変形例における軟骨伝導出力部963と同様、例えばシリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造の材料によって形成されている。
実施例37の構成によれば、携帯電話3301の上方の部位ならどこでも耳軟骨に当てることによって軟骨伝導を得ることができるので、場所を気にせず携帯電話3301の上部を耳にあてるだけで、最適の音量で音を聴くことができる。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。
図58は、本発明の実施の形態に係る実施例38に関する断面ブロック図であり携帯電話3401として構成される。図58の実施例38は、実施例26または実施例27と共通する部分が多いので、共通する部分には図42と同一の番号を付して説明を省略する。実施例38が実施例26または実施例27と異なるのは、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525が携帯電話3401の筐体構造3426に剛体的に固着され、軟骨伝導振動源2525の振動を携帯電話3401の全表面に伝達するよう構成したことである。なお、軟骨伝導振動源2525を構成する圧電バイモルフ素子の固着にあたっては、積極的にその振動を伝達するため、図44(B)におけるようなギャップ2504を設けずに筐体構造3426に密着させ、主振動方向(Y−Y’方向)の振動が筐体構造3426に伝わりやすいようにしている。これによって、携帯電話3401の全表面が振動伝導体として作用することになり、携帯電話3401の表面のどこを耳軟骨に当てても軟骨伝導を得ることができるようになる。
実施例38は、上記のように構成されるので、携帯電話3401の正面または背面の大面積部分を耳軟骨全体に当てる場合は、実施例5から実施例9と同様にして、軟骨伝導振動源2525の振動が筐体構造3426を介して携帯電話3401の表面の広い接触面積で耳軟骨に伝達される。さらに、携帯電話3401の表面の振動によって発生する気導音が外耳道から鼓膜に伝わる。これによって、軟骨伝導振動源2525からの音源情報を大きな音として聞くことができる。また、耳に当てられている携帯電話3401の表面が外耳道を塞ぐ形となるので環境騒音を遮断することもできる。さらに、携帯電話3401を耳に押し当てる力を増すと外耳道がほぼ完全に塞がれる結果となり、耳栓骨導効果によって軟骨伝導振動源2525からの音源情報をさらに大きな音として聞くことができる。
また、実施例38の側面を耳軟骨に当てる場合は、実施例11から実施例14、実施例30、実施例31、実施例33の変形例、実施例34から実施例36と同様にして、表示面等が設けられる携帯電話正面が顔との接触によって汚れるのを防止することができる。さらに、実施例38の上辺角部を耳軟骨当てる場合は、実施例1から実施例4、実施例10とその変形例、実施例26から実施例29、実施例33と同様にして耳珠などへの容易な接触が図れるとともに、耳珠を押して外耳道入口を塞ぐことで容易に耳栓骨導効果を得ることができる。なお、図57の実施例37は、携帯電話3301の上方の部位ならどこでも耳軟骨に当てることによって軟骨伝導を得ることができるよう構成したものであるが、図58の実施例38はこの特徴を拡張し、携帯電話3401表面のどこであっても場所を気にせず携帯電話3401の上部を耳に当てるだけで、最適の音量で音を聴くことができるようにしたものと言える。
なお、図58の実施例38では、圧電バイモルフ素子の主振動方向(Y−Y’方向)がGUI表示部3405(図58ではブロック図で概念化しているが、実施例26に関する図41の斜視図を援用すればタッチパネル機能を有する大画面表示部205)と直交する向きになるように軟骨伝導振動源2525が筐体構造3426に固着されている。(なお、図58では固着断面は図示されていないが、固着の様子は後述する。)これによって、GUI表示部3405が設けられた携帯電話3401の正面または背面の大面積部分が効率よく振動する。なお、軟骨伝導振動源2525の固着により圧電バイモルフ素子の非振動方向(X−X’方向)についてもエネルギーは比較的小さいが振動が発生するので携帯電話3401の側面を耳軟骨に当てても軟骨伝導により音を聴くことができる。因みに、図58のGUI表示部3405は、図42の大画面表示部205、表示ドライバ41、タッチパネルドライバ2470をまとめて図示したものである。
図58の実施例は、実施例27と同様にして、GUI表示部3405近傍の指の動きを非接触で検知するモーションセンサにより機能が選択され、選択した機能の決定のための指のタッチを検知する衝撃センサとして軟骨伝導振動源2525を構成する圧電バイモルフ素子の衝撃検知機能が利用される。図58で示す衝撃センサ3442は、図9で示した押圧センサ242と同様の機能を有するものであり、圧電バイモルフ素子の衝撃検知信号を抽出する。上記の圧電バイモルフ素子の主振動方向(Y−Y’方向)がGUI表示部3405と直交する向きとする配置は、携帯電話3401の正面または背面からのタッチを検知するのに適する。また、図58の実施例は、実施例27と同様にして、軟骨伝導振動源2525がタッチ感触のフィードバック用の低周波出力素子として兼用されるが、上記の圧電バイモルフ素子の主振動方向(Y−Y’方向)の配置は、携帯電話3401の正面または背面からのタッチに対して効率よくフィードバック振動を指に伝えるのに適する。なお、図58の実施例は、実施例26で説明したものと同様にして、軟骨伝導振動源2525が携帯電話3401への着信を無音で通知するバイブレータの振動源としても兼用される。
図58の実施例は、さらに、実施例4と同様にして、実施例27と同様にして、加速度センサ49により水平静止状態を検知し、該当すれば、軟骨伝導振動源2525の振動を禁止するよう構成している。これによって、携帯電話3401を通話中に机等に置いた場合において、相手側からの声の出力によって机との間で振動騒音を生じる可能性を防止している。なお、上記のGUI操作や着信バイブレータの機能については、携帯電話3401を机等に置いた場合においても有効にするのが適切なので、このような場合は、加速度センサ49により水平静止状態を検知しても、軟骨伝導振動源2525の振動を禁止しないよう構成する。この点の詳細については制御部3439の機能として後述する。
なお、図58の実施例では、携帯電話3401の筐体構造3426を積極的に振動させるよう構成しているため、この振動がマイク223にも伝わってハウリングを起こす可能性がある。その対策として携帯電話3401の筐体構造3426とマイク223の間の音響伝導を遮断するため、筐体構造3426と音響インピーダンスが異なる絶縁リング部3465が両者間に設けられている。なお、ハウリング防止については、電話機能部45における送話処理部222から受話処理部212への信号伝達経路によっても回路的に対策される。
図59は、図58の実施例38における携帯電話3401の筐体構造3426への軟骨伝導振動源2525の固着の様子を示す背面透視図および断面図である。図59(A)は実施例38の携帯電話3401の上端側の一部を示す背面斜視図であるとともに、図59(B)は、図59(A)のB−B断面を示す断面図である。また、図59(C)は、実施例38の変形例における上端側の一部を反対側の側面から見た透視斜視図である。圧電バイモルフ素子自体の構成は、図44(B)と同様なので、共通する部分には共通する番号を付す。
図59(A)に明らかなように、実施例38では、軟骨伝導振動源2525を構成する圧電バイモルフ素子の金属板2597が携帯電話3401の正面と平行になるよう配置され、この結果、主振動方向であるY−Y’方向がGUI表示部3405と直交する向きになるように軟骨伝導振動源2525が筐体構造3426に固着される。また、図59(B)に明らかなように、軟骨伝導振動源2525を構成する圧電バイモルフ素子はギャップなしに筐体構造3426の内側に密着固定され、主振動方向(Y−Y’方向)の振動が筐体構造3426の表面に伝わりやすいよう構成される。
図59(C)における実施例38の変形例は、軟骨伝導振動源2525を構成する圧電バイモルフ素子の金属板2597が携帯電話3401の側面と平行になるよう配置され、この結果、主振動方向であるY−Y’方向が携帯電話3401の側面と直交する向きになるように軟骨伝導振動源2525が筐体構造3426に固着される。これによって、携帯電話3401の側面を耳に当てたときに効率よく軟骨伝導を得ることができる。なお、軟骨伝導振動源2525の固着により圧電バイモルフ素子の非振動方向(X−X’方向)についてもエネルギーは比較的小さいが振動が発生するので、携帯電話3401の正面または背面を耳軟骨全体に当てても軟骨伝導により音を聴くことができる。なお、図59(C)における実施例38の変形例においても、図59(B)と同様にして、軟骨伝導振動源2525を構成する圧電バイモルフ素子がギャップなしに筐体構造3426の内側に密着固定され、主振動方向(Y−Y’方向)の振動が筐体構造3426の表面に伝わりやすいよう構成される。
図60は、図58の実施例38における制御部3439の動作のフローチャートである。なお、図60のフローは主に軟骨伝導振動源2525の制御について説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示しており、一般的な携帯電話の機能等、図60のフローに表記していない制御部3439の動作も存在する。図60のフローは、携帯電話3401の主電源のオンでスタートし、ステップS262で初期立上および各部機能チェックを行うとともにGUI表示部3405における画面表示を開始する。次いでステップS264では、軟骨伝導振動源2525の機能をオフにしてステップS266に移行する。
ステップS266では、携帯電話3401が通話中であるか否かチェックする。そして新たに回線が繋がったときは通話中となるのでステップS268に進んで送話処理部222および受話処理部212をオンし、ステップS270に移行する。なお、回線が繋がっていて既に通話中である場合もステップS266からステップS268に進み、この場合は送話処理部222および受話処理部212のオンを継続してステップS270に移行する。
ステップS270では、加速度センサ49により水平静止状態が検知されているか否かチェックし、水平静止状態でなければステップS272に移行して軟骨伝導振動源2525をオンしてステップS274に移行する。なお、軟骨伝導振動源2525が既にオンされているときはオン状態を継続する。一方、ステップS270で水平静止状態が検知されたときはステップS276に進み、送話処理部222および受話処理部212がオン状態であるか否かチェックする。そしてこの場合はオン状態であるからステップS278に進み。軟骨伝導振動源2525をオフしてステップS274に移行する。なお、軟骨伝導振動源2525が既にオフされているときはオフ状態を継続する。ステップS274では通話中であるか否かチェックし、通話中であればステップS270に戻る。以下、通話中である限りはステップS270からステップS278を繰り返す。このようにして、通話中において携帯電話3401が一時的に机等に置かれた時は、相手の声を受信してもその間は軟骨伝導振動源2525の振動を中断し、机との間の不快な振動雑音の発生を防止する。当然ながら、ステップS270で水平静止状態が検知されなくなればステップS272で軟骨伝導振動源2525がオンされ通話が復活する。
一方、通話が行われていない状態であるかまたは通話の終了により通話中でないことがステップS266で検知されたときはステップS280に進み、送話処理部222および受話処理部212をオフしてステップS282に移行する。なお、既に送話処理部222および受話処理部212がオフの場合はオフ状態を継続してステップS282に移行する。ステップS282では、着信があったかどうかチェックし、着信がなければステップS284に移行してGUIモードか否かチェックする。そしてGUIモードであればステップS286に進んで衝撃センサ検知処理を行うとともにステップS288でタッチ感フィードバック処理を行ってステップS290に移行する。ステップS286およびステップS288は、何も操作がなければ直接ステップS290に移行するとともに、操作があればその操作に基づく衝撃センサ検知とタッチ感フィードバックを実行する処理である。
ステップS290では、低周波源2466をオンして、タッチ感フィードバック信号等の入力に備える。そしてステップS270に進み、水平静止状態検知の有無をチェックする。そして水平静止状態でなければステップS272に移行して軟骨伝導振動源2525をオンし、タッチ感フィードバック信号等の入力に備える。また、ステップS270で水平静止状態が検知されたときはステップS276に進むがこの場合は送話処理部222および受話処理部212がオンではないので、やはりステップS272に移行して軟骨伝導振動源2525をオンする。このようにして低周波源2466がオンとなっているときは水平静止状態が検知されても軟骨伝導振動源2525はオンされる。また、軟骨伝導振動源2525がオンされているときはその衝撃センサ機能も維持される。
一方、ステップS282で着信が検知されたときはステップS292に進み着信報知のためのバイブ信号を出力してステップS290に移行する。この場合もステップS290で低周波源2466がオンとなりステップS272で軟骨伝導振動源2525がオンとなるが、ステップS270で水平静止が検知されたとしてもステップS272に進んで伝導振動源2525がオンとなることはGUIモードの場合と同様である。
ステップS274で通話中でないことが検知されたときはステップS296に移行し、主電源がオフされたかどうかチェックする。なお、ステップS290における低周波源2466のオンを経てステップS274に至ったときも通話中ではないのでステップS296に移行する。また、ステップS284でGUIモードであることが検知されなければ、ステップS294に進み、低周波源2466をオフしてステップ296に至る。そしてステップS296で主電源がオフされたことが検知されるとフローを終了する。一方、ステップS296で主電源のオフが検知されない場合は、ステップS266に戻り、以下、ステップS266からステップS296を繰り返して種々の状況変化に対応する。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は、上記の実施例に限ることなく、その利点が享受できる限り他の実施形態においても実施可能である。また、各実施例の種々の特徴は、個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、上記実施例38において、水平静止に関する軟骨伝導振動源2525の制御に関連し、テレビ電話モードであるか否かをチェックして該当する場合は、図60のステップS278における軟骨伝導振動源2525のオフに連動してテレビ電話用スピーカをオンするよう構成することができる。
また、実施例38において軟骨伝導振動源2525を携帯電話3401の筐体構造3426に支持する態様は、実施例38のような剛体的な直接固着に限るものではない。例えば、振動の伝達が可能な限り、他の保持構造を介した間接的な剛体的支持であってもよい。また、支持は必ずしも剛体的なものに限らず、音響インピーダンスが近似して筐体表面に振動が伝達する限りは、弾性体を介した保持であってもよい。
図61は、本発明の実施の形態に係る実施例39およびその各種変形例に関する断面図であり携帯電話3501aから3501dとして構成される。なお、実施例39は例えば圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525(以下、例示的に圧電バイモルフ素子2525として説明する。)の配置を除き図58から図60に示した実施例38と共通なので、説明に必要な部分以外の図示を省略するとともに図示部分については、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図61(A)は実施例39に関するものであり、携帯電話3501aをその側面およびGUI表示部3405の表示面に垂直な平面で切断して上方から見た断面図である。図示から明らかなように、圧電バイモルフ素子2525は、図59(C)における実施例38の変形例のように携帯電話3501aの一方の側面に沿って配置される。但し、図61の実施例39においては、圧電バイモルフ素子2525の主振動方向(Y−Y’方向)が側面に垂直ではなく、側面に対し傾くよう支持されている。具体的に述べると、実施例39の側面にはその4つの側面稜線部分を面取りして設けた傾斜側面3507aが設けられており、圧電バイモルフ素子2525はこの傾斜側面3507aの一つの内側に主振動面(「金属板2597に平行な圧電バイモルフ2525の外面」を「主振動面」と定義する)を接着して支持されている。これによって、圧電バイモルフ素子2525の主振動方向(Y−Y’方向であって主振動面と垂直な方向)は傾斜側面3507aに垂直となる。
このような構造により、携帯電話3501aの使用者は、GUI表示部3405の表示面が頬に接触して汚れるのを防止しつつ、容易に耳軟骨に携帯電話3501aの傾斜側面3507aを当てることができる。既に他の実施例において説明してきたようにオーディオ関連の構成を携帯電話側面にまとめるとともに、ビジュアル関連の構成を携帯電話正面にまとめた構成は、携帯電話3501aを耳等の顔に当てるときは側面を使用し、携帯電話3501aを目で眺める時は正面を使用するよう携帯電話3501aの2面を使い分けることができ、携帯電話3501aの正面が顔についてGUI表示部3405の表示面が汚れるのを防止することができる上で有意義である。しかしながら、側面使用の際に完全に側面を垂直に耳に接触させるよりも、GUI表示部3405の表示面が若干顔の方を向くようにして携帯電話3501aを耳に接触させる使用形態も考えられる。図61(A)の実施例39はこのような使用を想定して構成されたものである。
上記のように、図61(A)の実施例39は、圧電バイモルフ素子2525が内側に接着されている傾斜側面3507aにおいて矢印25aの方向が主振動方向となるが、主振動方向が傾いているため、矢印25bで示すGUI表示部3405の表示面に垂直な方向の振動成分、および矢印25cで示す側面振動成分が生じる。これによって、携帯電話3501aの正面(GUI表示部3405の表示面)または背面、さらには、携帯電話3501aの両側面のいずれかを耳軟骨に当てた場合でも音を聴くことが可能となる。従って、矢印25aの方向をベストポジションとして携帯電話3501aのいずれの位置も任意に使用することができる。なお、図61(A)の実施例39では、傾斜側面3507aがGUI表示部3405の表示面に近い傾きとなっているので、矢印25bで示す方向の振動成分の方が、矢印25cで示す方向の振動成分よりも大きくなっている。
図61(B)は実施例39の第1変形例であり、携帯電話3501bは、傾斜側面3507bの傾きをGUI表示部3405の表示面に対しほぼ45度とすることにより、矢印25bで示す方向の振動成分と矢印25cで示す方向の振動成分がほぼ均等となるよう構成されている。これに対し、図61(C)は実施例39の第2変形例であり、携帯電話3501cは、傾斜側面3507cを側面に近い傾きとすることにより、矢印25cで示す方向の振動成分の方が、矢印25bで示す方向の振動成分よりも大きくなるよう構成したものである。
なお、図61(A)から(C)は概略傾向の説明のために図示を極端にしているが、携帯電話3501a〜3501cに伝達された後の圧電バイモルフ素子2525の振動に極端な指向性が維持されることはないので、携帯電話内側に設けられる圧電バイモルフ素子2525の主振動方向の向きの微妙な変化が鋭敏に振動成分の変化を招くものではない。しかしながら、耳軟骨への接触のベストポジションを考慮して実施例39およびその変形例のように圧電バイモルフ素子2525の配置方向を調節することは意義が大きい。例えば、図61(A)から(C)のように平面状の傾斜側面を設ける場合、携帯電話3501a〜3501cの正面(GUI表示部3405の表示面)と傾斜側面3507a〜3507cの傾きを30度程度から60度程度の間とするのが実用的である。
図61(D)は、実施例39の第3変形例であり、携帯電話3501dの側面は半円柱面3507dとなっている。また、矢印25aの主振動方向はGUI表示部3405の表示面に対しほぼ45度となるよう半円柱面3507dの内側に押し付け支持されており、矢印25bで示す方向の振動成分と矢印25cで示す方向の振動成分がほぼ均等となるよう構成されている。これによって、使用者は側面の半円柱面3507dから携帯電話3501dの正面(GUI表示部3405の表示面)または背面にわたる任意の場所を耳軟骨に当てることができる。なお、図61(D)の実施例39の第3変形例においては、矢印25aの主振動方向はGUI表示部3405の表示面に対しほぼ45度の場合に限らず、図61(A)から(C)のように種々の傾きに設定することができる。さらに、保持の傾きを調節可能とし、使用者の希望に応じて傾きを変更するサービスが提供できるよう構成することも可能である。
図62は、本発明の実施の形態に係る実施例40およびその各種変形例に関する断面図および要部透視斜視図であり、携帯電話3601aから3601cとして構成される。なお、実施例40についても、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525(以下、例示的に圧電バイモルフ素子2525として説明する。)の配置を除き図58から図60に示した実施例38と共通なので、説明に必要な部分以外の図示を省略するとともに図示部分については、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図62(A)は実施例40に関するものであり、携帯電話3601aをその側面3607およびGUI表示部3405の表示面に垂直な平面で切断して上方から見た断面図である。図示から明らかなように、圧電バイモルフ素子2525は、図59(C)における実施例38の変形例のように携帯電話3601aの一方の側面3607に沿って配置される。但し、図62の実施例40においては、実施例39と同様にして圧電バイモルフ素子2525の主振動方向(Y−Y’方向)が側面に垂直ではなく、側面3607に対し傾くよう支持されている。また、実施例40では、圧電バイモルフ素子2525の両側の主振動面からの振動が、互いに直交する側面3607とGUI表示部3405の表示面にそれぞれ伝達されるよう構成される。
具体的に述べると、図62(A)における実施例40の携帯電話3601aの筐体には、側面3607から内側に延びる第1支持構造3600aが設けられ、圧電バイモルフ素子2525の一方の主振動面に接着されるとともに、GUI表示部3405の表示面側の筐体から内側に延びる第2支持構造3600bが設けられ、圧電バイモルフ素子2525の他方の主振動面に接着されている。これによって、矢印25aで示す方向の主振動が、矢印25dで示す振動成分およびこれと直交する方向の矢印25eで示す振動成分に分解され、それぞれ側面3607およびGUI表示部3405の表示面側の筐体面に伝達される。このようにして、圧電バイモルフ素子2525における二つの主振動面の振動が携帯電話3601aの直交する方向に分解して伝達され、携帯電話3601aの正面、背面、側面のどの部分を耳軟骨に当てても圧電バイモルフ素子2525の振動を聞くことができる。なお、図62(A)における実施例40は、圧電バイモルフ素子2525の同一部分を両側から挟むように第1支持構造3600aおよび第2支持構造3600bを設けたものである。
これに対し、図62(B)は、実施例40の第1変形例の携帯電話3601bの要部を内側から見た透視斜視図である。図62(B)から明らかなように、実施例40の第1変形例では、圧電バイモルフ素子2525の対向する主振動面が互いに食い違う位置で携帯電話3601bに接着されるよう、第1支持構造3600aおよび第2支持構造3600bを設けたものである。これによって、圧電バイモルフ素子2525の接着作業が容易になるともに、圧電バイモルフ素子2525の振動の自由度抑制が少なくなり、効率よくその振動を携帯電話3601bの筐体に伝達することができる。
図62(C)は、実施例40の第2変形例の携帯電話3601cをその側面3607aおよび上面に垂直な平面で切断して側方から見た断面図である。図62(A)の実施例40では、圧電バイモルフ素子2525の主振動方向が正面および側面にそれぞれ垂直な方向の振動成分に分解されていたが、図62(C)の実施例40の第2変形例では、圧電バイモルフ素子2525の主振動方向が正面および上面にそれぞれ垂直な方向の振動成分に分解される。
具体的に述べると、図62(C)に明らかなように、実施例40の第2変形例では、携帯電話3601cの筐体には、上面から内側に延びる第1支持構造3600cが設けられ、圧電バイモルフ素子2525の一方の主振動面に接着されるとともに、GUI表示部3405の表示面側の筐体から内側に延びる第2支持構造3600dが設けられ、圧電バイモルフ素子2525の他方の主振動面に接着されている。これによって、矢印25aで示す方向の主振動が、矢印25fで示す振動成分およびこれと直交する方向の矢印25eで示す振動成分に分解され、それぞれ上面およびGUI表示部3405の表示面側の筐体面に伝達される。このようにして、圧電バイモルフ素子2525における二つの主振動面の振動が携帯電話3601cの直交する方向に分解して伝達され、携帯電話3601cの正面、背面、上面、下面のどの部分を耳軟骨に当てても圧電バイモルフ素子2525の振動を聞くことができる。なお、図62(C)における実施例40の第2変形例は、図62(A)と同様にして圧電バイモルフ素子2525の同一部分を両側から挟むように第1支持構造3600cおよび第2支持構造3600dを設けた形の断面図となっているが、図62(B)のように圧電バイモルフ素子2525の両面の食い違った部分をそれぞれ接着するよう構成してもよい。
図62(C)における実施例40の第2変形例は、携帯電話3601cの正面または背面を耳軟骨につけて音を聴くのに適する他、携帯電話3601cの上面を軽く突き上げるような形で耳軟骨に当てる使用に好適であり、このような使用によっても表示面が顔に触れて汚れるのを防止できる他、上面の突き上げ力を強めることによって耳珠で外耳道を塞ぎ、耳栓骨導効果を容易に生じさせる上でも好適である。
図63は、本発明の実施の形態に係る実施例41に関する断面図であり、携帯電話3701として構成される。なお、実施例41についても、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525(以下、例示的に圧電バイモルフ素子2525として説明する。)の配置を除き図58から図60に示した実施例38と共通なので、説明に必要な部分以外の図示を省略するとともに図示部分については、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図63(A)は、実施例41の携帯電話3701をその側面3707およびGUI表示部3405の表示面に垂直な平面で切断して上方から見た断面図である。図示から明らかなように、圧電バイモルフ素子2525は、図59(A)における実施例38のように携帯電話3701の上面に沿って配置される。また圧電バイモルフ素子2525の主振動方向(Y−Y’方向)はGUI表示部3405の表示面に垂直な方向である。具体的には、携帯電話3701の背面から内側に延びる支持構造3700aに対して圧電バイモルフ素子2525の中央部分を接着するとともに圧電バイモルフ素子2525の両端部分をともに自由端として振動が阻害されない状態に支持する。この結果、矢印25gおよび矢印25hで示したような圧電バイモルフ素子2525の両端部分の自由振動の反作用が圧電バイモルフ素子2525の中央部分から支持構造3700aを介して携帯電話3701の筐体に伝達される。
図63(B)は、図63(A)のB−B断面を携帯電話3701の側方から見た断面図であり、圧電バイモルフ素子2525が携帯電話3701の背面から内側に延びる支持構造3700aによって圧電バイモルフ素子2525が支持されていること、および圧電バイモルフ素子2525が携帯電話3701の上面に沿って配置されていることが理解される。図63のように、圧電バイモルフ素子2525の主振動面の一部を携帯電話3701の筐体の内側に支持するとともに主振動面の一部を浮かせて自由振動を許可する構造は、圧電バイモルフ素子2525固有の音響特性に本質的な変更を加えることなく効率的にその振動を携帯電話筐体に伝達するのに好適である。なお、実施例41のような圧電バイモルフ素子2525中央での支持は、図51に示す実施例32のように端子が素子の中央に位置する圧電バイモルフ素子の場合に特に好適である。
図64は、図63の実施例41の種々の変形例を示すものであり、それぞれ、図63(A)と同様にして携帯電話3701をその側面3707およびGUI表示部3405の表示面に垂直な平面で切断して上方から見た断面図となっている。
図64(A)は、実施例41の第1変形例であり、特に圧電バイモルフ素子2525の端子2525bが素子端部に位置していて重心がアンバランスとなるとともに、素子への電極接続によって矢印25gで示す端子2525b側の自由振動が矢印25hで示す完全自由端の振動に比べ若干拘束される場合に適する。図64(A)の第1変形例はこれらのアンバランスを補償するため、図63の実施例41の支持構造3700aに比べ、支持構造3701bの位置を図上で左にシフトしたものである。
図64(B)は、実施例41の第2変形例であり、携帯電話3701の背面から内側に延びる一対の支持構造3700cおよび3700dに対して圧電バイモルフ素子2525の両端をそれぞれ接着して支持したものである。これによって矢印25iに示す圧電バイモルフ2525の中央部分の振動が自由となり、この振動の反作用が支持構造3700cおよび3700dを介して携帯電話3701の筐体に伝達される。
図64(C)は、実施例41の第3変形例であり、携帯電話3701の背面から内側に延びる支持構造3700eに対して端子2525b側を接着することにより圧電バイモルフ素子2525をカンチレバー構造に支持したものである。これによって矢印25hに示す圧電バイモルフ2525の自由端の振動の反作用が支持構造3700eを介して携帯電話3701の筐体に伝達される。
図64(D)は、実施例41の第4変形例であり、圧電バイモルフ素子2525を、弾性体よりなる両面接着シート3700fを介して携帯電話3701の背面の筐体内側に接着したものである。この弾性体よりなる両面接着シート3700fは、圧電バイモルフ素子2525から筐体への伝導性を有する弾性体(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造、等)等により作られている。このような弾性接着により、圧電バイモルフ素子2525の各部分が矢印25g、25hおよび25i等に示す振動の自由度を得るとともにその振動が両面接着シート3700fを介して携帯電話3701の筐体に伝達される。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、図63および図64における実施例41の圧電バイモルフ素子2525の自由振動に配慮した支持構造は、図61の実施例39および図62の実施例40における圧電バイモルフ2525の傾斜保持の場合にも採用できる。具体的に述べると図62(B)における支持構造は、圧電バイモルフ素子2525の両端を支持して中央部を自由にする意味で共通点がある。また、この例に限らず、例えば、図61の実施例39およびその変形例において、振動面全体を傾斜側面の内側に接着するのではなく、傾斜側面に図63(A)の支持構造3700aに類した突出部を設け、これに圧電バイモルフ素子2525の中央部分のみを接着して両端部は自由端とすることも可能である。あるいは、図61の実施例39およびその変形例において、圧電バイモルフ素子2525の接着の際に、図64(D)における実施例41の第4変形例のごとき弾性体を介在させることも可能である。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。たとえば図61の実施例39において、圧電バイモルフ素子2525は携帯電話内部において傾斜斜面の内側に接着して支持するものとして説明したが、支持の具体的な構造はこれに限るものではない。例えば、図49の実施例31に準じ、傾斜斜面の外側に溝を設けてこの溝に外側から圧電バイモルフ素子2525を嵌め込むごとき構造としてもよい。
図65は、本発明の実施の形態に係る実施例42に関する断面図であり、携帯電話3801として構成される。なお、実施例42についても、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525(以下、例示的に圧電バイモルフ素子2525として説明する。)の配置およびその保持構造を除き図58から図60に示した実施例38と共通なので、説明に必要な部分以外の図示を省略するとともに図示部分については、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図65(A)は、実施例42の携帯電話3801をその側面3807およびGUI表示部3405の表示面に垂直な平面で切断して上方から見た断面図である。また、図65(B)は、図65(A)のB−B断面を携帯電話3801の側方から見た断面図である。図65(A)から明らかなように、圧電バイモルフ素子2525は、図59(A)における実施例38または図63の実施例41等と同様にして携帯電話3801の上面に沿って配置される。また圧電バイモルフ素子2525の主振動方向は矢印25gに示すようにGUI表示部3405の表示面に垂直な方向である。このように、図65の実施例42は、基本的には図64(C)に示す実施例41の変形例と同様にして圧電バイモルフ素子2525の片側をカンチレバー構造に支持したものであり、これによって矢印25gに示す圧電バイモルフ2525の自由端の振動の反作用を携帯電話3801の筐体に伝達するものである。
図65の実施例42が図64(C)に示す実施例41の変形例と異なるのは、携帯電話3801の筐体のうち耳珠等の耳軟骨に当てるのに好適な部位である上部角3824が特に効率よく振動するようにするとともに、落下などの際、直接衝撃が加わりやすい部位でもある上部角3824が衝突に弱い構造となることを避けるよう構成した点にある。具体的には、図65(A)および図65(B)に示すように携帯電話3801の側面3807および上面3807aから内側に延びる支持構造3800aの穴に圧電バイモルフ素子2525の一端が保持端2525cとして差し込まれて保持されている。なお、保持端2525cは、端子2525bが設けられていない方の一端である。このように端子2525bが設けられていない一端を保持端2525cとすることにより、支持位置を上部角3824の近傍に寄せることができる。これに対し、端子2525bが設けられている他端は、自由端として振動させられる。なお、端子2525bは筐体に実装された回路3836とフレキシブルな配線3836aに接続されており、端子2525bが設けられている他端の自由振動が実質的に阻害されることはない。回路3836は圧電バイモルフ素子2525の駆動電圧を昇圧するためのアンプなどを含む。
以上のような構成により、矢印25gで示した圧電バイモルフ素子2525の他端の自由振動の反作用が圧電バイモルフ素子2525の保持端2525cから支持構造3800aを介して携帯電話3801の筐体に伝達される。このとき、上記のように支持構造3800aは筐体の上部角3824において携帯電話3801の側面3807および上面3807aから内側に延びるよう構成されるので、圧電バイモルフ素子2525の他端の自由振動の反作用が効率よく上部角3824に伝達される。また、上記のように、圧電バイモルフ素子2525は携帯電話3801の筐体の内側に保持されているので、直接衝撃が加わりやすい部位でもある上部角3824が衝突に弱い構造となることはない。
図65(C)は、実施例42の第1変形例であり、矢印25jに示すように主振動方向が上面3807aに垂直な方向となるよう圧電バイモルフ素子2525を保持したものである。その他の構成は、図65(A)および図65(B)の実施例42と同様なので説明を省略する。図65(C)における第1変形例は、上面3807aに垂直方向の振動成分が多いので、携帯電話3801の上部角3824の上面側を軽く突き上げるような形で耳軟骨に当てる使用に好適である。このような使用によってもGUI表示部3405の表示面が顔に触れて汚れるのを防止できる他、上面3807aの突き上げ力を強めることによって耳珠で外耳道を塞ぎ、耳栓骨導効果を容易に生じさせる上でも好適である。なお、図65(C)における第1変形例は、図65(A)および図65(B)の実施例42と同様にして、携帯電話3801の上部角3824の表示面側を耳軟骨に当てて使用することもできる。この場合も、表示面側を耳軟骨に押し当てる力を強めることによって耳珠で外耳道を塞ぎ、耳栓骨導効果を容易に生じさせることが可能である。
図65(D)は、実施例42の第2変形例であり、矢印25kに示すように主振動方向が上面3807aに対し45度傾いている。これによって、振動成分が上面3807aに垂直な方向およびこれと直交するGUI表示部3405の表示面に垂直な方向に分解され、上部角3824をいずれの方向から耳軟骨接触させても同程度の軟骨伝導を得ることができる。
図66は、本発明の実施の形態に係る実施例43に関する断面図であり、携帯電話3901として構成される。なお、実施例43についても、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525(以下、例示的に圧電バイモルフ素子2525として説明する。)の配置およびその保持構造を除き図58から図60に示した実施例38と共通なので、説明に必要な部分以外の図示を省略するとともに図示部分については、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図66(A)は、実施例43の携帯電話3901をその上面3907aおよびGUI表示部3405の表示面に垂直な平面で切断して横から見た断面図である。また、図66(B)は、図66(A)のB−B断面を携帯電話3901の上方から見た断面図である。図66の実施例43は、図65の実施例42と同様にして、圧電バイモルフ素子2525における端子2525bが設けられていない方の一端を保持端2525cとしてカンチレバー構造に支持したものである。実施例43が実施例42と異なるのは、図66(A)から明らかなように、圧電バイモルフ素子2525が、図61における実施例39およびその変形例と同様にして携帯電話3901の側面に平行に配置される点である。また圧電バイモルフ素子2525の主振動方向は矢印25mに示すようにGUI表示部3405の表示面に垂直な方向である。
従って、図66の実施例43においても、携帯電話3901の筐体のうち耳珠等の耳軟骨に当てるのに好適な部位である上部角3924が特に効率よく振動するとともに、上部角3924が衝突に弱い構造となることを避けることができる。具体的には、実施例42と同様にして、図66(A)および図66(B)に示すように携帯電話3901の側面および上面から内側に延びる支持構造3900aの穴に圧電バイモルフ素子2525の一端が保持端2525cとして差し込まれて保持されている。従って、実施例43でも端子2525bが設けられていない圧電バイモルフ素子2525の一端を保持端2525cとすることにより、支持位置を上部角3924の近傍に寄せることができる。その他の点は実施例42と共通なので説明を省略する。
図66(C)は、実施例43の第1変形例であり、矢印25nに示すように主振動方向が側面3907に垂直な方向となるよう圧電バイモルフ素子2525を保持したものである。その他の構成は、図66(A)および図66(B)の実施例43と同様なので説明を省略する。図66(C)における第1変形例は、側面3907に垂直な方向の振動成分が多いので、携帯電話3901の側面3907を耳軟骨に当て、顔がGUI表示部3405の表示面に触れるのを避ける使用に好適である。なお、図66(C)における第1変形例においても、図66(A)および図66(B)の実施例43と同様にして、携帯電話3901の表示面側を耳軟骨に当てて使用することもできる。この場合も、上部角3924を耳軟骨に押し当てる場合はその力を強めることによって耳珠で外耳道を塞ぎ、耳栓骨導効果を容易に生じさせることが可能である。
図66(D)は、実施例43の第2変形例であり、矢印25pに示すように主振動方向が側面3907に対し45度傾いている。これによって、振動成分が側面3907に垂直な方向およびこれと直交するGUI表示部3405の表示面に垂直な方向に分解され、上部角3924をいずれの方向から耳軟骨接触させても同程度の軟骨伝導を得ることができる。
図67は、本発明の実施の形態に係る実施例44に関する断面図であり、携帯電話4001として構成される。なお、実施例44についても、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525の構造、配置およびその保持構造を除き図58から図60に示した実施例38と共通なので、説明に必要な部分以外の図示を省略するとともに図示部分については、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図67(A)は、実施例44の携帯電話4001をその側面およびGUI表示部3405の表示面に垂直な平面で切断して上方から見た断面図(一部概念ブロック図を含む)であり、図65(A)の実施例42と同様にして理解できる断面図である。また、図67(B1)および図67(B2)は、図67(A)のB1−B1断面およびB2−B2断面をそれぞれ携帯電話4001の側方から見た要部断面図である。さらに、図67(C)は、図67(A)の重要部詳細断面図(一部概念ブロック図を含む)である。図67(B1)、図67(B2)および図67(C)において、図67(A)に対応する部分には同一の番号を付し、必要のない限り説明を省略する。
図67の実施例44は、図65の実施例42と同様にして、圧電バイモルフ素子2525を上面に平行に支持したものであるが、端子2525bが設けられている方の一端側をカンチレバー構造に支持した点、および圧電バイモルフ素子2525を駆動する回路4036を圧電バイモルフ素子2525と一体化して振動ユニットとして構成した点が実施例42と異なる。なお、携帯電話4001の筐体のうち耳珠等の耳軟骨に当てるのに好適な部位である上部角が特に効率よく振動するとともに、この上部角が衝突に弱い構造となることを避けることができる点では、実施例42と共通である。
具体的に説明すると、図67(A)および図67(C)に示すように、圧電バイモルフ素子2525の端子2525bはワイヤ4036aにて端子2525bに載せられた回路4036に接続される。そして、圧電バイモルフ素子2525の端子2525b側と回路4036は、圧電バイモルフ素子2525をパッケージしている樹脂と音響インピーダンスが近似する樹脂パッケージ4025にて再パッケージされ、振動ユニットとして一体化される。なお、樹脂パッケージ4025を貫通して回路4036から接続ピン4036bが外部に突出し、携帯電話4001の筐体側に固定された制御部・電源部4039とコンタクトしている。
図67(C)に示すように、回路4036は圧電バイモルフ素子2525の駆動電圧を昇圧するためのアンプ4036c、および圧電バイモルフ素子2525のバラツキを電気的に補償するための調整部4036dを含む。調整部4036dは制御部・電源部4039からの給電および制御に対し圧電バイモルフ素子2525がバラツキのない動作を行うよう調整を行うもので、調整を行ってから樹脂パッケージ4025による再パッケージが行われる。なお、これに代えて、調整部4036dの調整操作部または調整回路パターンが樹脂パッケージ4025の表面に露出するよう再パッケージし、組み立て後に調整を行えるよう構成してもよい。
図67の実施例44では、実施例42と同様にして、携帯電話4001の側面および上面4007aから内側に延びる支持構造4000aが設けられ、その穴に再パッケージにより形成した振動ユニットの樹脂パッケージ4025の部分が差し込まれることにより圧電バイモルフ素子2525が保持される。なお、既に述べたように実施例44では、端子2525bが設けられている方の一端側が支持され、端子2525bが設けられていない方の一端2525cは自由振動端となる。そして一端2525cの自由振動の反作用が樹脂パッケージ4025から支持構造4000aを介して携帯電話4001の筐体に伝達される。
本発明の各実施例に示した種々の特徴はその利点を活用できるかぎり、自由に置き換えまたは組合せが可能である。例えば、図67の実施例44は、圧電バイモルフ素子2525を上面に平行に支持するとともに、その主振動方向は、矢印25hに示すように、GUI表示部3405の表示面に垂直な方向となっている。しかし、実施例44に示した圧電バイモルフ素子2525と回路4036との一体化パッケージ構造は、図67の配置に限るものではなく、図65(C)および図65(D)に示した実施例42の変形例、および、図66(A)から図66(D)に示した実施例43およびその変形例のような支持配置においても採用できるものである。その採用は、図65(A)と図67(A)との関係に準じて行えばよく、いずれの場合も、図65(A)と同様にして圧電バイモルフ素子2525における端子2525bの設けられている側の一端が支持側となる。
また、図65の実施例42から図67の実施例44における支持構造3800a、3900aおよび4000aについても、携帯電話4001の側面および上面から内側に延びるものに限らず種々の支持構造が可能である。例えば、支持構造を、側面または上面の一方のみから延びるよう構成してもよい。さらには、正面または背面のいずれかから延びるもの、正面と上面から延びるもの、裏面と上面から延びるもの、側面と正面から延びるもの、側面と裏面から延びるもの、上面と側面と正面の三方の面からの延長として角部の裏側から延びるもの、等種々の構造が可能である。いずれの場合も、圧電バイモルフ素子2525またはこれと一体の樹脂パッケージ4025の支持部を角部近傍の筐体内側に設けることにより、角部が衝突に弱い構造となることを避けつつ、他端の自由振動の反作用により角部を効率よく振動させることができる。
さらに、本発明の各実施例に示した種々の特徴は、必ずしも個々の実施例に特有のものではなく、それぞれの実施例の特徴は、その利点が活用可能な限り、適宜、変形して活用したり、組合せて活用したりすることが可能である。例えば、図1の実施例1、図5の実施例2、図6の実施例3および図55の実施例35では、それぞれ右耳用と左耳用に2つの圧電バイモルフ素子を携帯電話内に設けている。しかしながら複数方向から所望の軟骨伝導を得るために携帯電話の複数個所に複数の圧電バイモルフ素子をそれぞれ設ける例はこれらに限るものではない。一方、図61の実施例39、図62の実施例40、図65(D)における実施例42の第2変形例および図66(D)における実施例43の第2変形例では、側面と正面、上面と正面など複数の方向に軟骨伝導を生ぜしめる場合、1つの圧電バイモルフ素子の主振動方向を斜めにして振動成分を分割しているが、複数の方向に軟骨伝導を生ぜしめる構成はこれに限るものではない。
図68は、本発明の実施の形態に係る実施例45に関する断面図であり、上に述べた側面と正面、上面と正面など複数の方向に軟骨伝導を生ぜしめる構成に関する他の例を示すものである。具体的には、図68(A)に示す実施例45の携帯電話4101aおよび図68(B)に示すその変形例の携帯電話4101bでは、図62の実施例40のように1つの圧電バイモルフ素子の振動成分を分割するのに代え、図55の実施例35等に倣って2つの圧電バイモルフ素子を採用している。そして、これら圧電バイモルフ素子4124および4126の主振動方向が正面と側面、または正面と上面にそれぞれ平行となるよう互いに90度異ならせて携帯電話筐体の内側に支持している。これによって、図62の実施例40と同様にして、側面と正面、上面と正面など複数の方向に軟骨伝導を生ぜしめている。図68の実施例45は、2つの圧電バイモルフ素子を採用する点以外は図62の実施例40と構成が共通なので同一部分に同一番号を付し、残余の説明を省略する。因みに、図68(A)および図68(B)は、それぞれ図62(A)および図62(C)に対応している。
なお、図68では、2つの圧電バイモルフ素子の長手方向が平行になる配置を例示しているが、複数の圧電バイモルフ素子の配置はこれに限るものではない。例えば、一方が上面に沿い、他方が側面に沿うごとく2つの圧電バイモルフ素子の長手方向が互いに直交する配置も可能である。さらに、主振動方向を異ならしめた複数の圧電バイモルフ素子の支持は、図68のように携帯電話筐体の内側に限るものではなく、例えば図48から図50に示した実施例30、31およびその変形例のごとく、筐体外側で支持してもよい。
図69は、本発明の実施の形態に係る実施例46に関する斜視図および断面図であり、携帯電話4201として構成される。なお、実施例46についても、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525の配置およびその保持構造を除き図58から図60に示した実施例38と共通なので、説明に必要な部分以外の図示を省略するとともに図示部分については、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図69(A)は、実施例44の携帯電話4201をその正面からみた斜視図であり、携帯電話4201を誤って落下させたとき等に衝突に晒されやすい4つの角に、プロテクタとなる弾性体部4263a、4263b、4263cおよび4263dが設けられている。また上側の2つの角にある弾性体部4263a、4263bの内側は圧電バイモルフ素子の保持部を兼ねるとともに弾性体部4263a、4263bの外側は耳軟骨に接触する軟骨伝導部を兼ねている。このため、少なくとも弾性体部4263a、4263bについては、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する弾性材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造、または、透明梱包シート材などにみられるような一層の空気泡群を合成樹脂の薄膜で分離密封した構造など)が採用される。
図69(B)は、図69(A)のB1−B1切断面にて携帯電話4201を正面および側面に垂直な面で切断した断面図である。図69(B)から明らかなように、圧電バイモルフ素子2525の両端は弾性体部4263a、4263bの内側によって支持されている。なお、弾性体部4263aは圧電バイモルフ素子2525の端子2525b側を支持しており、端子2525bと回路3836とを接続するフレキシブルな配線3836aが通っている。
弾性体部4263a、4263bは、携帯電話4201の筐体に固着支持されているが、弾性体部4263a、4263bの弾性により、圧電バイモルフ素子2525の両端には振動による動きの自由度がある程度確保され、圧電バイモルフ素子2525の振動の阻害を低減している。また、圧電バイモルフ素子2525の中央部はどこにも接触しておらず、自由振動が可能となっている。弾性体部4263a、4263bの外側は携帯電話4201の角部外壁をなし、外部との衝突のプロテクタとなるとともに耳軟骨に接触する軟骨伝導部を兼ねている。これによって、例えば図2(A)および図2(B)における実施例1の説明のように、右耳および左耳のいずれに対しても、軟骨伝導のために携帯電話4201を接触することが可能となる。さらに、携帯電話4201の筐体と弾性体部4263a、4263bは音響インピーダンスが異なるため、弾性体部4263a、4263bから携帯電話4201の筐体への伝導成分を低減でき、弾性体部4263aまたは4263bから耳軟骨への効率的な軟骨伝導を実現することができる。
図69(C)は、図69(A)または図69(B)に示すB2−B2切断面にて携帯電話4201を正面および上面に垂直な面で切断した断面図である。図69(C)からも、弾性体部4263a、4263bが圧電バイモルフ素子2525を保持して携帯電話4201の筐体に固着支持されていること、およびその外側が携帯電話4201の角部外壁をなし、外部との衝突のプロテクタとなるとともに耳軟骨に接触する軟骨伝導部を兼ねていることがわかる。なお、図69(C)から明らかなように、実施例46においては、下側の2つの角にある弾性体部4263cおよび4263dは専らプロテクタとして機能し、携帯電話4201の筐体に被せられる構造となっている。
図70は、本発明の実施の形態に係る実施例47に関するものであり、図70(A)はその上端側の一部を示す斜視図であるとともに、図70(B)は、図70(A)のB−B断面を示す断面図である。実施例70も、携帯電話4301として構成されており、圧電バイモルフ素子2525が携帯電話側面に嵌め込まれる構造をとる。この構造は、図48に示す実施例30と共通するところが多いので、共通する部分には同一番号を付して説明を省略する。なお、図70では、図48と同様にして、軟骨伝導振動源2525に音声信号を入力するための構成等の図示と説明を省略している。
図70の実施例47が図48の実施例30と異なるのは、圧電バイモルフ素子2525の振動を耳軟骨に伝達する部分の構造である。すなわち、図70の実施例47では、携帯電話4301の側面に僅少の段差(例えば0.5mm)のある凹部4301aが設けられており、この凹部4301aの底部に圧電バイモルフ素子2525の振動面が来るよう配置されている。なお、圧電バイモルフ素子2525の振動面は凹部4301aの底部に露出していてもよいが、実施例47では、薄い保護層4227で圧電バイモルフ素子2525を覆うようにしている。なお、この保護層4227は圧電バイモルフ素子2525の振動による振動面の伸縮を阻害しないようにするため、弾性を有する材質のものが貼り付けまたは塗布される。
上記の構造により、圧電バイモルフ素子2525の振動面を可能な限り直接的に耳軟骨に接触させることが可能となるとともに圧電バイモルフ素子2525を外部との衝突によって損傷するのを保護することができる。つまり、圧電バイモルフ素子2525は凹部4301aの底に配置されていて、携帯電話4301筐体の外面から段差分だけ低い位置にあり、携帯電話筐体の側面が外部と衝突しても、段差のために圧電バイモルフ素子2525が直接外部に衝突することがない。なお、図70(A)に示すように、実施例47では、角部の衝突により圧電バイモルフ素子2525が損傷することがないよう、凹部4301aは携帯電話4301の側面において角部から若干下がったところに設けられている。耳軟骨は柔らかいので、凹部4301aの底部に圧電バイモルフ素子2525の振動面が来るよう配置したとしても、僅少の段差のところで容易に変形して圧電バイモルフ素子2525の振動面またはその被覆面に接することができる。
本発明の各実施例に示した種々の特徴はその利点を活用できるかぎり、自由に変形、置き換えまたは組合せが可能である。例えば、図69の実施例46では、圧電バイモルフ素子2525の中心に対して対称となるよう弾性体部4263a、4263bを配しているが、圧電バイモルフ素子2525の支持はこのような配置に限られるものではなく、圧電バイモルフ素子2525の中心が対向する角部のいずれかに近くなるよう偏芯する配置も可能である。例えば、圧電バイモルフ素子2525はその中心に対して完全に対称ではなく、端子2525bのある側とない側で重量および振動の自由度に若干の差がある。また、端子2525b側を支持する弾性体部4263aには配線3836aが通っていて回路3836に通じている。圧電バイモルフ素子2525を両角部の間で偏芯させて支持する構成は、上記のような非対称性の補償に有効である。また弾性体部4263a、4263bのそれぞれの長さは、圧電バイモルフ素子2525の長さおよび携帯電話4201の筐体の幅によって決定する必要がある。換言すれば、弾性体部4263aおよび4263bはそれぞれ携帯電話4201の筐体の両角部外面から圧電バイモルフ素子2525の両端にまで届く長さを必要とする。圧電バイモルフ素子2525を両角部の間で偏芯させて支持する構成は、携帯電話内の実装部品のレイアウトを考慮しながら上記のような長さの調整を行う上でも有効である。なお、弾性体部4263aまたは4263bが長くなる場合は、弾性体部4263aまたは4263bを筐体内面に接しないよう内側に延長して圧電バイモルフ素子2525の端部に達するよう構成することで、圧電バイモルフ素子2525の端部の振動の自由度を増加させることも可能である。
図71は、本発明の実施の形態に係る実施例46の変形例に関する斜視図および断面図であり、上記のように弾性体部が長くなる場合の構成の実例を示すものである。つまり、図71に示すように、弾性体部4263a、4263bが長くなる場合、携帯電話4201の筐体内面に接しないよう弾性体部4263a、4263bを内側に延長した延長部4263e、4263fを設け、これら延長部4263e、4263fによって、圧電バイモルフ素子2525の両端部を保持する構成を採用する。この構成によれば、延長部4263e、4263fは携帯電話4201の筐体内面に接していないので、弾性変形が容易であり、このような延長部4263e、4263fによって、圧電バイモルフ素子2525の両端部を保持することにより、圧電バイモルフ素子2525の振動の自由度を増加させることができる。図71のその他の構成は、図69と共通なので、共通する部分に同一番号を付して説明を省略する。
本発明の各実施例に示した種々の特徴はその利点を活用できるかぎり、自由に変形、置き換えまたは組合せが可能である。例えば、上記の各実施例では、軟骨伝導振動源を圧電バイモルフ素子等からなるものとして説明してきた。しかしながら、特に圧電バイモルフ素子特有の構成に関するものとして説明している場合を除き、本発明の種々の特徴は、軟骨伝導振動源として圧電バイモルフ素子を採用する場合に限るものではなく、電磁型振動子、超磁歪素子等、他の種々の素子を軟骨伝導振動源に採用した場合においてもその利点を享受できるものである。
図72は、本発明の実施の形態に係る実施例48に関する斜視図および断面図であり、携帯電話4301として構成される。そして、実施例48は、図69の実施例46の構成において、軟骨伝導振動源として電磁型振動子を採用した場合の例となっている。図72(A)は、実施例48の携帯電話4301をその正面からみた斜視図であり、外観は、図69(A)における実施例46の斜視図と同様である。つまり、実施例48においても、携帯電話4301を誤って落下させたとき等に衝突に晒されやすい4つの角に、プロテクタとなる弾性体部4363a、4363b、4363cおよび4363dが設けられている。また上側の2つの角にある弾性体部4363a、4363bは軟骨伝導振動源の保持部を兼ねるとともに弾性体部4363a、4363bの外側が耳軟骨に接触する軟骨伝導部を兼ねている。そして、弾性体部4363a、4363bは、実施例46と同様、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する弾性材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造、または、透明梱包シート材などにみられるような一層の空気泡群を合成樹脂の薄膜で分離密封した構造など)が採用される。
図72(B)は、図72(A)のB−B切断面にて携帯電話4301(図72(B)では4301aと表記)を正面および側面に垂直な面で切断した断面図である。図72(B)から明らかなように、弾性体部4363a、4363bには、それぞれ、電磁型振動子4326a、4324aが埋め込まれている。またその主振動方向は、矢印25mに示すようにGUI表示部が設けられる携帯電話4301の正面に垂直な方向である。電磁型振動子4326a、4324a等の軟骨伝導振動源を弾性体部4363a、4363bに埋め込む構成は、上記のように弾性体部4363a、4363bがプロテクタ機能と軟骨伝導部機能を兼ねるとともに、図17の実施例で説明したように、軟骨伝導振動源を衝撃から守る緩衝機能をも兼ねる。
図72(B)における実施例48のように、弾性体部4363a、4363bにそれぞれ別の電磁型振動子4326a、4324aを設けた構成では、電磁型振動子4326aおよび4324aを独立に制御できる。従って、図1から図4に示した実施例1と同様にして、加速度センサによって検知される重力加速度によって、携帯電話4301の傾き方向を検知し、弾性体部4363a、4363bのいずれが耳に当てられているか(つまり、図2に示すように右耳と左耳のいずれに携帯電話の角部が当てられているか)に従って、傾斜下側角にある方の電磁型振動子を振動させて他方をオフとするような構成にすることができる。これは、後述する変形例でも同様である。
図72(C)は、実施例48の第1変形例の断面図であり、図72(B)と同様にして、図72(A)のB−B切断面にて携帯電話4301(図72(C)では4301bと表記)を正面および側面に垂直な面で切断した断面図である。第1変形例も実施例48と同様にして、弾性体部4363a、4363bには、それぞれ、電磁型振動子4326b、4324bが埋め込まれている。但しその主振動方向は、矢印25nに示すように携帯電話4301の側面に垂直な方向となっている。その他の点は、図72(B)の実施例48と同様である。
図72(D)は、実施例48の第2変形例の断面図であり、図72(B)と同様にして、図72(A)のB−B切断面にて携帯電話4301(図72(D)では4301cと表記)を裏面および側面に垂直な面で切断した断面図である。第2変形例も実施例48と同様にして、弾性体部4363a、4363bには、それぞれ、電磁型振動子4326c、4324cが埋め込まれている。但しその主振動方向は、矢印25pに示すように携帯電話4301の側面から45度傾いた方向となっている。このため、図66(D)における実施例43の第2変形例と同様にして、振動成分が側面に垂直な方向およびこれと直交する正面に垂直な方向に分解され、弾性体部4363aまたは4363bをいずれの方向から耳軟骨に接触させても同程度の軟骨伝導を得ることができる。その他の点は、図72(B)の実施例48と同様である。
図72(E)は、実施例48の第3変形例の断面図であり、図72(B)と同様にして、図72(A)のB−B切断面にて携帯電話4301(図72(E)では4301dと表記)を正面および側面に垂直な面で切断した断面図である。第3変形例では、弾性体部4363a、4363bに、それぞれ、電磁型振動子4326d、4326eおよび4324d、4324eが埋め込まれている。そしてその振動方向は、電磁型振動子4326dおよび4324dについては矢印25dで示す側面に垂直な方向であるとともに、電磁型振動子4326eおよび4324eについては矢印25eで示す正面に垂直な方向となっている。これによって、図68に示した実施例45と同様にして、複数の異なる軟骨伝導振動源から側面と正面にそれぞれ軟骨伝導を生ぜしめている。
図72(E)における実施例48の第3変形例のように、電磁型振動子4324d等から側面に垂直な方向の振動を生成するとともに電磁型振動子4324e等から正面に垂直な方向の振動を生ぜしめる構成では、振動方向の異なる電磁型振動子4324dおよび4324eを独立に制御できる。具体的には、図3に示した実施例1の加速度センサ49のごとき加速度センサによって検知される重力加速度によって、携帯電話4301の傾き方向を検知し、弾性体部4363bが側面および正面のいずれから耳に当てられているかに応じて、耳に当てられている方の電磁型振動子を振動させるとともに他方の振動をオフとするよう構成することができる。なお、このような、振動方向の異なる複数の軟骨伝導振動源の独立制御は、図72(D)における電磁型振動子の場合に限らず、例えば、図68に示した実施例45の圧電バイモルフ素子4124、4126を採用した構成の場合でも可能である。
図73は実施例48およびその変形例の要部拡大断面図である。図73(A)は、図72(B)の弾性体部4363bおよび電磁型振動子4324aの部分を拡大したものであり、特に電磁型振動子4324aの詳細を図示している。電磁型振動子4324aは、そのハウジング内部にマグネット4324fおよび中央磁極4324gを保持するヨーク4324hがコルゲーションダンパ4324iで宙吊りになっている。また、マグネット4324fおよび中央磁極4324gにはギャップを有するトッププレート4324jが固着されている。これによって、マグネット4324f、中央磁極4324g、ヨーク4324hおよびトッププレート4324jは一体として電磁型振動子4324aのハウジングと相対的に図73で見て上下方向に可動となっている。一方、電磁型振動子4324aのハウジング内部にはボイスコイルボビン4324kが固着されており、これに巻装されたボイスコイル4323mがトッププレート4324jのギャップに入り込んでいる。この構成において、ボイスコイル4323mに音声信号が入力されるとヨーク4324h等と電磁型振動子4324aのハウジングとの間に相対移動が生じ、その振動が弾性体部4363bを介してこれに接触している耳軟骨に伝導する。
図73(B)は実施例48の第4変形例を示すものであり、図73(A)に対応する部分を拡大図示している。なお、電磁型振動子4324aの内部構成は図73(A)と同様なので、煩雑を避けるため各部の番号の図示を省略するとともに、その説明も割愛する。図73(B)における第4変形例では、携帯電話4401の角部に段差部4401gが設けられ、その外側に弾性体部4463bが被せられる構成となっている。そして、段差部4401gの正面側には窓部4401fが設けられ、この窓部4401fの部分に面する弾性体部4463bの裏側に電磁型振動子4324aが接着される。また、電磁型振動子4324aの反対側には弾性体よりなる緩衝部4363fが接着される。この緩衝部4363fは通常の振動状態では、段差部4401gの裏側に接触しないようギャップが設けられているとともに、弾性体部4463bが外部との衝突等により過度に押し込まれた時には段差部4401gの裏側に接触してそれ以上の弾性体部4463bが自由に押し込まれないよう阻止する緩衝材として作用する。これによって、弾性体部4463bの変形により電磁型振動子4324aが剥離する等の不都合を防止する。また、緩衝部4363fは、通常の振動状態におけるバランサーとしても機能するもので、電磁型振動子4324aの音響特性が最適となるようその形や重さなどを調節して設計することができる。また、緩衝部4363fは、バランサーとしてのみ機能する場合は、弾性体でなく、剛体であってもよい。なお、図73(B)には図示していないが、実施例48の第4変形例における反対側の角部(図72(B)の弾性体部4363aの位置に相当)も、図73(B)と左右対称の構成となっている。
図73(B)の第4変形例は、図72(B)の向きにおける電磁型振動子の配置に基づくものである。しかしながら、第4変形例のような構成はこれに限るものではなく、図72(C)から(E)における種々の向きにおける電磁形振動子の配置に応用できるものである。
図72および図73(A)に示した実施例48では、弾性体部4363bと電磁型振動子4324aは交換可能なユニット部品として構成される。そして、弾性体部4363bの外観が外部との衝突により損傷したときは、美観上、弾性体部4363bと電磁型振動子4324aをユニットとして交換することができる。この点は、図73(B)に示した実施例48の第4変形例でも同様であり、弾性体部4463b、電磁型振動子4324aおよび緩衝部4363fは交換可能なユニット部品として構成される。弾性体部4463bの外観が美観上損傷した時は全体をユニットとして交換できる。このようなユニット部品構成は、弾性体部4463b等がプロテクタとして構成され、外部との衝突が予想される角部に位置する部品であることと符合する有用な特徴である。さらに、衝突に晒される角部は軟骨伝導のための接触に好適な場所であることとも符号する有用な特徴でもある。さらに、軟骨伝導振動部を交換可能なユニット部品として構成した特徴は、携帯電話の他の部分の構成を基本的に共通にし、使用者の年齢等に応じた最適の音響特性の軟骨伝導振動部(例えば図73(B)に示した緩衝部4363fの形や重さを調節したもの)を取り付けた商品を提供する上でも有用である。また、音響特性だけでなく、携帯電話の他の部分の構成を基本的に共通にして、使用者の好みに応じ、例えば図72(B)から(E)のいずれの軟骨伝導振動部を採用するかを注文に応じ変更して商品提供する上でも有用である。
角部の弾性体部に軟骨伝導振動源を設ける具体的な構成は、図73に図示したものに限らず、適宜、設計変更が可能である。例えば、図73(B)に示した緩衝部4363fは、電磁型振動子4324aの反対側に接着するのに代えて段差部4401gの裏側に接着してもよい。この場合、緩衝部4363fは、通常の振動状態では電磁型振動子4324aの反対側接触しないようギャップが設けられる。また、弾性体部4463bが外部との衝突等による押し込みに耐えられる場合は、緩衝部4363fを省略してもよい。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は、上記の実施例に限ることなく、その利点が享受できる限り他の実施形態においても実施可能である。また、各実施例の種々の特徴は、個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、上記実施例48およびその変形例においては、軟骨伝導振動部として電磁型振動子を採用し、異なる角の弾性体部には、独立して制御可能な別の電磁型振動子を設ける例を示した。しかし、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、既に述べたように、圧電バイモルフ素子を軟骨伝導振動部として採用した場合でも、図1の実施例1のように、異なる角に別に設けた軟骨伝導振動部を互いに独立して制御することができる。この場合、圧電バイモルフ素子を実施例48に準じて異なる角の弾性体部に設けることも可能である。逆に、軟骨伝導振動部として電磁型振動子を採用した場合であっても、図7の実施例4、図11の実施例5、図19の実施例10、図20の実施例11等のように、一つの電磁型振動子の振動を左右の角に伝達するよう構成することも可能である。この場合、軟骨伝導振動部が圧電バイモルフ素子であっても電磁型振動子であっても、実施例48に準じ、左右の角部への振動伝導体を弾性体で構成することが可能である。また、電磁型振動子の形状によっては、実施例46やその変形例に準じ、電磁型振動子の両側を左右の角部に設けた弾性体で支持するよう構成してもよい。
図74は、本発明の実施の形態に係る実施例49およびその変形例に関する斜視図および断面図であり、携帯電話4501として構成される。なお、実施例49は、後述する気導発生切換のための構成を除き図69の実施例46と共通なので、同一番号を付して説明を援用する。具体的に述べると、実施例49は、図74(A)から図74(D)に図示されており、そのうち図74(A)から図74(C)は実施例46に関する図69(A)から図69(C)に対応する。図74(D)は、図74(C)の要部拡大図である。また、図74(E)は実施例49の変形例に関する要部拡大図である。
図74(C)のB2−B2断面図から明らかなように、実施例49では、表示部3405を覆うように気導発生用の透明共鳴箱4563が設けられている。透明共鳴箱4563は中空で携帯電話4501内部側に一部に空気抜きの穴が設けられている。また、透明共鳴箱4563は極めて薄いので、使用者は透明共鳴箱4563を通して表示部3405を観察することができる。また、図74(B)および図74(C)から明らかなように圧電バイモルフ素子2525の中央部分には上下方向にスライド可能な振動伝導体4527が設けられている。そして、振動伝導体4527が図74(C)に示す実線で示す位置にあるときは圧電バイモルフ素子2525の中央部分から透明共鳴箱4563への振動伝達が断たれているとともに、振動伝導体4527が図74(C)に破線で示す位置にあって透明共鳴箱4563の上部に接しているときは、圧電バイモルフ素子2525の中央部分の振動が振動伝導体4527を介して透明共鳴箱4563に伝わることにより、透明共鳴箱4563全体から気導音が発生して透明共鳴箱4563全体が面スピーカとなる。この様子は、図74(D)の要部拡大図により明瞭に図示されている。なお、振動伝導体4527の上下は、携帯電話4501の外部の手動操作つまみ4527aを上下にスライドさせることによって行う。手動操作つまみ4527aは上下二位置を確定するためのクリック機構を有している。また、振動伝導体4527は、破線の位置にスライドさせられたとき、透明共鳴箱4563に効果的に圧接するよう、バネ性を有する。
上記のように、振動伝導体4527が図74(C)ないし(D)の破線で示す位置にある状態では、透明共鳴箱4563全体から気導音が発生するとともに弾性体部4263a、4263bから軟骨伝導が発生する。従って使用者は、弾性体部4263aまたは4263bを耳に当てて軟骨伝導により音を聞くことができるとともに、透明共鳴箱4563の設けられた表示部3405の任意の部分を耳に近づけるか当てるかして気導により音を聞くこともできる。このようにして、使用者の好みと状況に応じて多様な使用が可能となる。一方、振動伝導体4527が図74(C)ないし(D)に示す実線で示す位置にある状態では透明共鳴箱4563への振動伝達が断たれ、透明共鳴箱4563からの気導音発生を停止できるので、特に環境が静粛である状態において気導による音漏れのために周囲に迷惑をかけたりプライバシーが漏れたりすることを防止しながら、軟骨伝導により音を聞くことができる。
図74(E)における実施例49の変形例は、振動伝導体4527bを回転させることにより、圧電バイモルフ素子2525の中央部分から透明共鳴箱4563への振動伝達の断続を行うよう構成したものである。具体的には、振動伝導体4527bが図74(E)に示す実線で示す位置にあるとき振動伝導体4527bは圧電バイモルフ素子2525の中央部分および透明共鳴箱4563のいずれからも離れており、振動伝達が断たれる。一方、振動伝導体4527bが時計方向に回転させられて図74(E)に破線で示す位置にあるときは、振動伝導体4527bは圧電バイモルフ素子2525の中央部分および透明共鳴箱4563の上部のいずれにも接し、圧電バイモルフ素子2525の中央部分の振動が振動伝導体4527bを介して透明共鳴箱4563に伝わる。その他の点は、図74(A)から図74(D)の実施例49と同様である。なお、振動伝導体4527bの回転は、携帯電話4501の外部の手動操作ダイヤル4527cを回転させることによって行う。手動操作ダイヤル4527cは回転の二位置を確定するためのクリック機構を有している。また、振動伝導体4527bもバネ性を有し、破線の位置に回転させられたとき、圧電バイモルフ素子2525の中央部分および透明共鳴箱4563の上部に効果的に圧接する。
上記のような、軟骨伝導と気導の切換えは図74に示した実施例49およびその変形例に限るものではなく、種々の構成が可能である。例えば、図74では、圧電バイモルフ素子2525および透明共鳴箱4563を固定し、その間の振動伝導体4527または4527bを移動させることにより振動の断続を行っている。しかしながら、これに代えて、圧電バイモルフ素子2525および透明共鳴箱4563の少なくとも一方自体を可動とすることによって両者間の振動の断続を行うことも可能である。このとき移動させるのは、圧電バイモルフ素子2525または透明共鳴箱4563の少なくとも一部でもよい。さらには、図74では、軟骨伝導プラス気導の場合と軟骨伝導のみ(厳密には若干の気導成分も存在するが、簡単のため「軟骨伝導のみ」と称する。以下同様。)の場合との切換えの例を示しているが、これに変えて、軟骨伝導のみの場合と気導のみの場合との切換え、または軟骨伝導プラス気導の場合と気導のみの場合との切換えを行うよう構成することも可能である。また、図74では、手動切換えの例を示したが、環境が静粛か否かを判別する騒音センサを設けるとともに騒音センサの出力に基づいて振動伝導体4527または4527bを自動駆動させることにより、騒音センサの検知する騒音が所定以下であるときは、軟骨伝導プラス気導の場合を軟骨伝導のみの場合に自動切換えするよう構成することも可能である。
図75は、本発明の実施の形態に係る実施例50に関するブロック図であり、携帯電話4601として構成される。なお、実施例50は、図72(E)に断面を示す実施例48の第3変形例の構成をベースに、その電磁型振動子4326d、4326e、4324dおよび4324eを、図3における実施例1のブロック図とほぼ共通する構成によって制御するようにしたものであり、配置説明の必要上、電磁型振動子の部分については、断面図を混在させて図示している。実施例50は上記のように構成されるので、図75においては、図72(E)および図3と共通の部分に共通の番号を付し、必要のない限り説明を割愛する。なお、実施例50においては、電磁型振動子4326d、4326e、4324dおよび4324e以外に受話部が設けられないので、図75に図示される位相調整ミキサー部36、右耳用駆動部4624、左耳用駆動部4626、気導低減自動切換部4636、電磁型振動子4326d、4326e、4324dおよび4324eは、電話機能部45における受話部(図3では、受話部13)を構成する。以上のようにして構成される実施例50は、実施例49に示した軟骨伝導と気導の切換えに関する別実施例となっており、切換えを電気的かつ自動的に行うものである。以下この点を中心に説明を行う。
図72(E)でも説明したように、図75の実施例50は、複数の異なる電磁型振動子4326e、4326d、4324eおよび4324dから側面と正面にそれぞれ軟骨伝導を生ぜしめる構成となっている。そして、弾性体部4363aに埋め込まれている電磁型振動子4326d、4326eの組は左耳用駆動部4626によって制御されるとともに、弾性体部4363bに埋め込まれている電磁型振動子4324d、4324eの組は右耳用駆動部4624によって制御される。このような構成において、第1実施例と同様、弾性体部4363aおよび弾性体部4363bのいずれが耳に当てられている状態にあるかが加速度センサ49によって検知され、右耳用駆動部4624および左耳用駆動部4626のいずれかがオンされて他方はオフされる。これに伴って、電磁型振動子4326d、4326eの組および電磁型振動子4324d、4324eの組のいずれか一方が振動可能となるとともに、他方は振動不可となる。
図75の実施例50では、さらに、環境が静粛か否かを判別する環境騒音マイク4638が設けられている。そして、環境騒音マイク4638が検知する騒音が所定以上であるときは、制御部39からの指令により気導低減自動切換部4636が機能して電磁型振動子4326dおよび4326eの双方、または電磁型振動子4324dおよび4324eの双方を振動させる。一方、環境騒音マイク4638が検知する騒音が所定以下であると制御部39が判断した静粛状況では、気導低減自動切換部4636の機能により電磁型振動子4326dのみ、または電磁型振動子4324dのみが振動させられて、電磁型振動子4326eおよび4324eの振動は停止させられる。なお、環境騒音の大小の検知の目的のためには図75のような専用の環境騒音マイク4638を別設するのに代えて、電話機能部45の送話部23におけるマイク出力を流用して騒音成分を抽出してもよい。この抽出は、マイク出力の周波数スペクトル分析や音声が途切れているときのマイク出力の利用、等により可能である。
次に、上記構成の意義について説明する。図72(E)でも述べたように、図75の実施例50における電磁型振動子4326dおよび4324dの振動方向は側面に垂直な方向であるとともに、電磁型振動子4326eおよび4324eの振動方向は、正面に垂直な方向である。そして、電磁型振動子4326eおよび4324eは表示部5等が配置される正面に垂直な方向に振動するため、携帯電話4601において面積の大きい正面全体が共振し、電磁型振動子4326dおよび4324dによる側面の振動に比べて気導成分が大きくなる。このため、実施例49に対応させて言えば、電磁型振動子4326eおよび4326dの双方が振動する場合、または電磁型振動子4324eおよび4324dの双方が振動する場合が、「軟骨伝導プラス気導の場合」に相当する。一方、電磁型振動子4326dのみが振動する場合、または電磁型振動子4324dのみが振動する場合が、「軟骨伝導のみの場合」に相当する。なお、実施例49でも述べたように「軟骨伝導のみの場合」でも多少の気導成分が存在するので、この場合分けは、あくまで気導成分の大きさの相対比較によるものである。
以上のようにして、電磁型振動子4326eおよび4326dの双方が振動する場合、または電磁型振動子4324eおよび4324dの双方が振動する場合、使用者は、弾性体部4263aまたは4263bを耳に当てて軟骨伝導により音を聞くことができるとともに、携帯電話4601の正面の任意の部分を耳に近づけるか当てるかして気導により音を聞くこともできる。このようにして、使用者の好みと状況に応じて多様な使用が可能となる。一方、電磁型振動子4326dのみが振動する場合、または電磁型振動子4324dのみが振動する場合は、気導発生が相対的に小さくなり、特に環境が静粛である状態において気導による音漏れのために周囲に迷惑をかけたりプライバシーが漏れたりすることを防止しながら、軟骨伝導により音を聞くことができる。また、実施例50では、環境騒音マイク4638と気導低減自動切換部4636の機能により、環境が静粛である状態における気導低減が自動的に行われる。
図75の実施例50は、電磁型振動子を採用して構成されているが、軟骨伝導と気導との切換えを電気的かつ自動的に行う構成は、軟骨伝導振動源として電磁型振動子を採用した場合に限るものではない、例えば、図68の実施例45のように、独立に制御可能な圧電バイモルフ素子が互いに異なった方向に複数設けられている場合、これらの制御を実施例50に準じて自動的に行うことが可能である。また、図75の実施例50において、図74の実施例49におけるような気導発生用の透明共鳴箱4563を設け、電磁型振動子4326eおよび電磁型振動子4324eの一方または双方をこのような透明共鳴箱4563に常に接触させておくことで携帯電話4601の正面から積極的に気導を発生させるよう構成することも可能である。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は、上記の実施例に限ることなく、その利点が享受できる限り他の実施形態においても実施可能である。また、各実施例の種々の特徴は、個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、本発明では、軟骨伝導のための耳との接触部を携帯電話の角部に設けている。この特徴を、例えば図7の実施例4のようなスマートフォンとして構成された携帯電話301(以下、簡単のためスマートフォン301と称する)について考える。図7のようにスマートフォン301ではその正面にGUI機能を備えた大画面表示部205を有し、通常の受話部13がスマートフォン301の上隅に追いやられる配置となっている。しかも通常の受話部13は、スマートフォン301部の中央部分に設けられているために、スマートフォン301を耳に当てる場合、大画面表示部205が頬骨に当たって受話部13を耳に近づけ難い配置となっているとともに、相手の声を良く聞こうと通常の受話部13を耳に強く押し当てると大画面表示部205が耳や頬に接触して皮脂などで汚れる結果を招く。これに対し、図7においてスマートフォン301の角部に右耳用振動部224および左耳用振動部226を配置すると、実施例1に関する図2に示すように、スマートフォン301の角部が耳珠32近辺の外耳道口周辺の窪みに納まる。これによって、スマートフォン301の音声出力部を容易に外耳道口周辺に押し当てることが可能となり、強く押し当てる場合でも、大画面表示部205が耳や頬に接触するのを自然に避けることができる。このような、音声出力部の携帯電話角部への配置は、軟骨伝導による場合に限らず、通常の気導スピーカによる受話部の場合であっても有用である。なお、この場合、スマートフォンの上部の2つの角に右耳用と左耳用に気導スピーカをそれぞれ設けることが望ましい。
また、既に述べたように、軟骨伝導は、軟骨への押圧力の大小により伝導が異なり、押圧力を大きくするとより効果的な伝導状態を得ることができる。これは、受話音が聞き取りにくければ携帯電話を耳に押し当てる力を強くするという自然な行動を音量調節に利用できることを意味する。そして、さらに耳穴が塞がれる状態にまで押圧力を増せば、耳栓骨導効果によりさらに音量が大きくなる。このような機能は、例えば取扱説明書によって使用者に説明しなくても、使用者が自然な行動を通じて自ずからその機能を理解することができる。このような使用上の利点は、音声出力部として軟骨伝導振動部を採用せず、通常の気導スピーカによる受話部の場合であっても擬似的に実現することができ、有用な携帯電話の特徴とすることができる。
図76は、本発明の実施の形態に係る実施例51に関するブロック図であり、携帯電話4701として構成される。なお、実施例51は、上記のように音声出力部として軟骨伝導振動部を採用せず、通常の気導スピーカを採用し、自然な行動による自動音量調節を擬似的に実現することができるよう構成したものである。また、外観配置を説明する必要上、ブロック図の中に携帯電話の概観図を混在させて図示している。なお、図76のブロック図の大半は、図3の実施例1と共通し、概観の大半は図7の実施例4に共通するので、共通の部分には共通の番号を付し、必要のない限り説明を割愛する。なお、図76に図示される音量/音質自動調整部4736、右耳用駆動部4724、左耳用駆動部4726、右耳用気導スピーカ4724a、左耳用気導スピーカ4726aは、電話機能部45における受話部(図3では、受話部13)を構成する。
図76における実施例51の右耳用気導スピーカ4724aは右耳用駆動部4524によって制御されるとともに、左耳用気導スピーカ4726aは右耳用駆動部4526によって制御される。そして、実施例50と同様にして、右耳用気導スピーカ4724a、左耳用気導スピーカ4726aのいずれが耳に当てられている状態にあるかが加速度センサ49によって検知され、右耳用駆動部4524および左耳用駆動部4526のいずれかがオンされて他方はオフされる。これに伴って、右耳用気導スピーカ4724a、左耳用気導スピーカ4726aのいずれか一方がオンとなるとともに他方はオフとなる。
右耳用気導スピーカ4724aおよび左耳用気導スピーカ4726aの近傍には、それぞれ右耳用押圧センサ4742aおよび左耳用押圧センサ4742bが設けられており、右耳用気導スピーカ4724aまたは左耳用気導スピーカ4726aのうちのオンされている方の押圧を検知する。そして左右押圧センサ処理部4742は、検知された押圧の大きさを分析し、制御部39に音量/音質制御データを送る。制御部39は音量/音質制御データに基づき、音量/音質自動調整部4736に指令して右耳用駆動部4524または左耳用駆動部4526のうちのオンされている方の音量を自動調整させる。音量は、基本的には押圧が大きいほど音量が大きくなるよう調整され、受話音が聞き取りにくければ携帯電話4701を耳に押し当てる力を強くするという自然な行動への応答として適するよう設定される。
音量/音質自動調整部4736の機能の詳細について補足すると、押圧変化による不安定な音量変化を避けるため、まず、音量変化は押圧の増加にのみ応答して音量が増加方向にのみ段階変化するよう構成される。さらに、意図しない音量変化を避けるため、音量/音質自動調整部4736は、所定の押圧増加が平均的に所定時間(例えば0.5秒)以上続いた時にのみ応答して段階的に音量を増加させるよう構成される。また、音量/音質自動調整部4736は、押圧が所定以下(右耳用気導スピーカ4724aおよび左耳用気導スピーカ4726aのうちオンになっている方を耳から離した状態に相当)に下がった状態が所定時間(例えば1秒)以上続いたことを検知した場合に、音量を一気に標準状態に低下させるよう構成される。これによって使用者は、音量を増加させすぎた場合などにおいて意図的に携帯電話4701を耳から少し離し(これも、音が大きすぎれば音源を耳から離すという自然な動作に合致する)、音量を標準状態にリセットしたあと再度押圧力を増して、所望の音量とすることができる。
音量/音質自動調整部4736はさらに、音質の自動調整も可能である。この機能は、図3において実施例1に関連して説明した環境騒音マイク38に関連する。すなわち、実施例1では、環境騒音マイク38が拾った環境騒音は波形反転された上で右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26にミキシングされ、受話部13経由の音声情報に含まれる環境騒音をキャンセルして通話相手の音声情報を聞き取りやすくする。実施例51における音量/音質自動調整部4736はこの機能を利用し、押圧が所定以下のときは騒音キャンセル機能をオフするとともに、押圧が所定以上になると騒音キャンセル機能をオンする。なお、騒音キャンセル機能は単なるオンオフだけでなく、環境騒音反転信号のミキシング量を段階的に調節することにより段階的または連続的に増減することも可能である。このようにして音量/音質自動調整部4736は左右押圧センサ処理部4742の出力に基づき、音量だけでなく、音質の自動調整も可能である。なお、図76の実施例51は、スマートフォンの角部に右耳用音声出力部および左耳用音声出力部配置する際の前述の利点が、軟骨伝導を採用する場合に限らず、通常の気導スピーカによる受話部を採用する場合でも享受できることを示す実施例である。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は、上記の実施例に限ることなく、その利点が享受できる限り他の実施形態においても実施可能である。また、各実施例の種々の特徴は、個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、図76の実施例51では、加速度センサ49の出力により右耳用気導スピーカ4724aおよび左耳用気導スピーカ4726aのいずれをオンするか決定しているが、右耳用押圧センサ4742aおよび左耳用押圧センサ4742bの出力を利用し、右耳用気導スピーカ4724aおよび左耳用気導スピーカ4726aのうち押圧の大きい方に対応する方をオンするとともに他方をオフするよう構成してもよい。
また、図76の実施例51では、右耳用気導スピーカ4724aおよび左耳用気導スピーカ4726aおよびこれに対応する右耳用押圧センサ4742aおよび左耳用押圧センサ4742bを設けているが、押圧による自動音量/音質調整の目的だけのためであれば、従来どおりの気導スピーカを携帯電話上部中央に一つ設け、これに対応して一つの押圧センサを設けてもよい。さらに、図76の実施例51では、音量/音質自動調整部4736による音質の自動調整の具体的構成として波形反転による環境騒音のキャンセルを示したが、このような構成に限るものではない。例えば、音量/音質自動調整部4736に環境騒音をカットするフィルタ(例えば低周波域カットフィルタ)を設け、押圧が所定以下のときはこのフィルタをオフするとともに、押圧が所定以上になるとこのフィルタ機能をオンするように構成してもよい。また、フィルタにより低周波域等をカットするのに代えて、低周波域の増幅率を落とす(または高周波域の増幅率を上げる)よう構成してもよい。このようなフィルタ機能または周波数域選択性増幅機能についても単なるオンオフだけでなく、フィルタ機能または周波数域選択性増幅機能を段階的に調節することにより、押圧に応じて段階的または連続的に環境騒音低減能力を変化させることも可能である。
図77は、本発明の実施の形態に係る実施例52に関する断面図であり、携帯電話4801として構成される。なお、図77では、軟骨伝導振動源としての圧電バイモルフ素子2525aおよび2525bの支持構造および配置を説明するために携帯電話4801の断面を図示するとともに、その制御に関する断面図内部は実際の配置ではなくブロック図で図示している。また、このブロック図部分は図3に示す実施例1のブロック図を基本とするものであって、共通部分については相互関係の理解に必要なものを除き基本的に図示を省略しており、図示している場合も同一部分には同一番号を付し、必要のない限り説明を省略する。
なお、図77の実施例52は、図74の実施例49および図75の実施例50と同様にして、「軟骨伝導プラス気導の場合」と「軟骨伝導のみの場合」とが切換えが可能な実施例として構成される。また、図77の実施例52は、図69の実施例46と同様にして、携帯電話4801を誤って落下させたとき等に衝突に晒されやすい4つの角に、プロテクタとなる弾性体部4863a、4863b、4863cおよび4863dを設けている。但し、弾性体部4863a、4863bによる圧電バイモルフ素子2525aおよび2525bの支持は、両端支持構造ではなく、図65の実施例42および図66の実施例43と同様にして、その片側をカンチレバー構造に支持したものである。以上のように、図77の実施例52はこれまで説明してきた種々の実施例の特徴に関連しているので、個々の特徴の説明については、対応する実施例の説明によって理解できるので、必要のない限り重複説明を避ける。
まず、図77の実施例52の構造と配置について説明すると、既に述べたように、携帯電話4801の4つの角には、プロテクタとなる弾性体部4863a、4863b、4863cおよび4863dが設けられている。そして、これらの弾性部材における角の外面は耳軟骨に当てたときに実質的な痛みを伴わないよう、滑らかな凸面状に面取りが施されている。この角部の形状は、後にも詳述するが、外耳道周辺軟骨に好適にフィットして快適な軟骨伝導による聴取を可能とする。
図77の実施例52では、上記のように右耳用の圧電バイモルフ素子2525bおよび左耳用の圧電バイモルフ素子2525aが採用され、図1から図4に示す実施例1と同様にして個別に制御可能である。圧電バイモルフ素子2525bおよび2525aは好適な周波数出力特性を得るため適度の長さを有するが、これら二つを携帯電話4801内にコンパクトに配置するため、図77に示すように右耳用の圧電バイモルフ素子2525bについては、これを横にして端子が設けられていない一端を弾性体部4863bに支持させている。一方、左耳用の圧電バイモルフ素子2525aについては、これを縦にして端子が設けられていない一端を弾性体部4863aに支持させている。(なお、右耳用と左耳用の圧電バイモルフ素子の縦横配置は上記と逆にしてもよい。)圧電バイモルフ素子2525bおよび2525aの他端にはそれぞれ端子が設けられているが、柔軟なリード線で制御部39と接続されているので、支持構造上は自由端となっている。このようにして圧電バイモルフ素子2525bおよび2525aの自由端が振動することによりその反作用が弾性体部4863bおよび弾性体部4863aに現れ、これに耳軟骨を接触させることにより軟骨伝導を得ることができる。なお、圧電バイモルフ素子2525bおよび2525aの主振動方向は図77における紙面に垂直な方向である。
次に、圧電バイモルフ素子2525bおよび2525aの制御について説明する。弾性体部4863bに支持される右耳用の圧電バイモルフ素子2525bはスイッチ4824aを介して右耳用アンプ4824によって駆動される。一方、弾性体部4863aに支持される左耳用の圧電バイモルフ素子2525aはスイッチ4826aを介して左耳用アンプ4826によって駆動される。位相調整ミキサー部36からの音声信号はそれぞれ右耳用アンプ4824および左耳用アンプ4826に入力されるが、左耳用アンプ4826への音声信号はスイッチ4836aを介して波形反転部4836bで波形反転された上で入力される。この結果、図77に図示の状態では、弾性体部4863aおよび弾性体部4863bから携帯電話4801の筐体には互いに位相の反転した振動が伝導して打ち消しあい、携帯電話4801の筐体表面全体からの気導音の発生が実質的に消失する。
一方、例えば弾性体部4863bに右耳の軟骨を接触させた場合は、弾性体部4863bから耳軟骨への直接軟骨伝導が生じるのに対し、弾性体部4863aの振動については一度携帯電話4801の筐体に伝わった後で弾性体部4863bに達し、耳軟骨に軟骨伝導として伝わる。従って、位相が反転している振動の強度に差が出るので、この差分が弾性体部4863bからの軟骨伝導として打ち消されることなく耳軟骨に伝わることになる。弾性体部4863aに左耳の軟骨を接触させた場合も同様である。従って、実施例52における図77に図示の状態は、図74の実施例49および図75の実施例50における「軟骨伝導のみの場合」に相当する状態となる。気導消失用ゲイン調節部4836cは、上記のような弾性体部4863aおよび弾性体部4863bから携帯電話4801の筐体への振動の打消しにより気導音の発生が最小となるよう左耳用アンプ4826のゲインを調節するものである。なお、以上のようなスイッチ4836a、波形反転部4836bおよび気導消失用ゲイン調節部4836cは左耳用アンプ4826側に設けるのに代えて右耳用アンプ4824側に設けるようにしてもよい。または、気導消失用ゲイン調節部4836cだけを右耳用アンプ4824側に設けるようにしてもよい。
図77の実施例52では、さらに、環境が静粛か否かを判別する環境騒音マイク4638が設けられている。そして、環境騒音マイク4638が検知する騒音が所定以上であるときは、制御部39からの指令によりスイッチ4836aを図示の下側の信号経路に切換える。これによって、位相調整ミキサー部36からの音声信号は波形反転なしに左耳用アンプ4826に伝えられる。このとき、弾性体部4863aおよび弾性体部4863bから携帯電話4801の筐体に伝導した振動は打ち消されず、逆に二倍となって携帯電話4801の筐体表面全体からの気導音を発生させる。この状態は、図74の実施例49および図75の実施例50における「軟骨伝導プラス気導の場合」に相当する状態となる。なお、この状態は、筐体表面全体からの気導音が二倍になるので、テレビ電話を行っているとき等のように携帯電話4801を耳から離して音声を聞く場合に適しており、テレビ電話モードの場合は、環境騒音マイク4638の検知にかかわらず、制御部39からの指令によりスイッチ4836aを図示の下側の信号経路に切換える。
一方、環境騒音マイク4638が検知する騒音が所定以下であると制御部39が判断した静粛状況では、制御部39からの指令によりスイッチ4836aを図示の状態に切換える。これによって、上記のように、弾性体部4863aおよび弾性体部4863bから携帯電話4801の筐体に伝導した振動は互いに打ち消しあい、気導音の発生が実質的に消失して、「軟骨伝導のみの場合」に相当する状態となる。
また、図77の実施例52では、第1実施例と同様、弾性体部4863aおよび弾性体部4863bのいずれが耳に当てられている状態にあるかが加速度センサ49によって検知され、制御部39の制御によりスイッチ4824aおよびスイッチ4826aを制御する事が可能である。そして、操作部9によって、加速度センサ49の検知状態にかかわらずスイッチ4824aおよびスイッチ4826aをともにオンしておく常時両側オンモードと、加速度センサ49の検知状態に基づいてスイッチ4824aおよびスイッチ4826aの一方をオンし他方をオフする片側オンモードとが切換えられるようになっている。片側オンモードでは、例えば弾性体部4863bに右耳があてられていればスイッチ4824aをオンするとともにおよびスイッチ4826aをオフする。弾性体部4863aに左耳があてられていればこの逆となる。
片側オンモードはさらに 環境騒音マイク4638の機能と組み合わせられており、環境騒音マイク4638が検知する騒音が所定以上であるときは、加速度センサ49の検知状態に基づいてスイッチ4824aおよびスイッチ4826aの一方をオンし他方をオフする。一方、環境騒音マイク4638が検知する騒音が所定以下であると制御部39が判断した静粛状況では、制御部39からの指令により加速度センサ49の検知状態にかかわらずスイッチ4824aおよびスイッチ4826aをともにオンとするとともに、スイッチ4836aを図示の状態に切換え、弾性体部4863aおよび弾性体部4863bから携帯電話4801の筐体に伝導した振動が互いに打ち消し合うようにする。
図78は、図77の実施例52に関する斜視図および断面図である。図78(A)は、実施例52の携帯電話4801を正面から見た斜視図であり、携帯電話4801の四隅にプロテクタとして設けられた弾性体部4863a、4863b、4863cおよび4863dおける角の外面が滑らかな凸面状となるよう面取りされている様子を示す。上述のように、このような携帯電話4801の角部の外面形状は、弾性部材4863aまたは4863bを耳軟骨に当てたときに実質的な痛みを伴わないようにするとともに、携帯電話4801の角部が耳介内側の外耳道入口部周辺軟骨に好適にフィットし、快適な軟骨伝導による聴取を可能とする。また面取された角部が外耳道入口部を閉鎖することによって耳栓骨導効果を生み出し、携帯電話4801からの音声信号が外耳道内で増強されるとともに、外耳道入口部が閉鎖されることにより外界の騒音を遮断することによって騒音下で音声信号を聞きやすくする。
図78(B)は、図78(A)のB1−B1切断面にて携帯電話4801を正面および側面に垂直な面で切断した断面図であり、図78(C)は、図78(A)または図78(B)に示すB2−B2切断面にて携帯電話4801を正面および上面に垂直な面で切断した断面図である。図78(B)または図78(C)からも、弾性体部4863a、4863b、4863cおよび4863dにおける角の外面が滑らかな凸面状となるよう面取りされている様子がわかる。また、図78(B)または図78(C)において矢印25gで示すように圧電バイモルフ素子2525bの主振動方向は、GUI表示部3405の表示面に垂直な方向である。さらに図78(B)において矢印25mで示すように圧電バイモルフ素子2525aの主振動方向は、GUI表示部3405の表示面に垂直な方向である。
なお、実施例52では、図77における各スイッチ4824a、4826aおよび4836aはメカ的なスイッチのシンボルで図示しているが、実際には電子スイッチで構成するのが好適である。また、実施例52におけるこれらのスイッチは、常時両側オンモードと片側オンモードとの切換えの場合を除き、加速度センサ49や環境騒音マイク4638の検知結果に基づいて自動的に切換えられる例を示したが、操作部9によって任意に手動で切換えられるよう構成してもよい。また、これらのスイッチを適宜省略することも可能である。例えば、実施例52が常に図77に図示の接続状態となるよう単純化すれば、筐体表面全体からの気導音の発生が実質的に消失しているとともに、弾性体部4863aまたは弾性体部4863bを耳軟骨に接触させたときには軟骨伝導が生じる携帯電話が得られる。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、図77および図78の実施例52では、軟骨伝導振動源として圧電バイモルフ素子を採用しているが、軟骨伝導振動源を図72および図73の実施例48、または図75の実施例50、または図76の実施例51におけるような電磁型振動子等の他の振動子に置き換えてもよい。
図79は、図69の実施例46に基づいて構成された携帯電話の実測データの一例を示すグラフである。図79のグラフは、実施例46の携帯電話4201(外壁の内側の振動源からの振動が外壁表面に伝達される構成)を、実施例1の説明に用いた図2(A)又は図2(B)に準じ、耳輪への接触なしに、携帯電話4201の角部の外壁表面を外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させたときの外耳道入口部から1cm奥の外耳道内の音圧を周波数との関係で示すものである。グラフの縦軸は音圧(dBSPL)であり、横軸は対数目盛の周波数(Hz)である。また、グラフには、携帯電話4201の角部の外壁表面と外耳道入口部周辺軟骨の接触圧の関係において、非接触状態の音圧を実線で、かすかに触れた状態(接触圧10重量グラム)における音圧を破線で、携帯電話4201を通常使用する状態(接触圧250重量グラム)における音圧を一点鎖線で、接触圧の増加により外耳道が閉鎖された状態(接触圧500重量グラム)における音圧を二点鎖線で、それぞれ図示している。図示のように、音圧は非接触状態から接触圧10重量グラムでの接触により増加し、さらに250重量グラムへの接触圧増加により増加し、この状態からさらに500重量グラムに接触圧を増加させることで、音圧がさらに増加する。
図79のグラフから明らかなように、外壁表面と、外壁表面よりも内側に配置される振動源とを有し、振動源の振動を外壁表面に伝達する構成の携帯電話4201の外壁表面を耳輪への接触なしに外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させたとき、非接触状態に比べ、外耳道入口部から1cm奥の外耳道内における音圧が音声の主要な周波数帯域(500Hz〜2300Hz)において少なくとも10dB増加していることがわかる。(実線で示す非接触状態と、一点鎖線で示す携帯電話4201を通常使用する状態とを比較参照。)
また、図79のグラフから明らかなように、携帯電話4201の外壁表面を耳輪への接触なしに外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させたとき、接触圧の変化によって外耳道入口部から1cm奥の外耳道内における音圧が音声の主要な周波数帯域(500Hz〜2500Hz)において少なくとも5dB変化していることがわかる。(破線で示すわずかな接触状態と一点鎖線で示す携帯電話4201を通常使用する状態での接触状態とを比較参照。)
さらに、図79のグラフから明らかなように、携帯電話4201の外壁表面を耳輪への接触なしに外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させることにより外耳道入口部を閉鎖(例えば耳珠外側に携帯電話4201の外壁表面を強く押し当てることで耳珠が折り返らせて外耳道を閉鎖)したとき、非接触状態に比べ、外耳道入口部から1cm奥の外耳道内における音圧が音声の主要な周波数帯域(300Hz〜1800Hz)において少なくとも20dB増加していることがわかる。(実線で示す非接触状態と、二点鎖線で示す外耳道が閉鎖された状態とを比較参照。)
なお、図79における測定は、すべて振動源の出力を変化させない状態におけるものである。また 耳輪への接触なしに外壁表面を外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させる状態として、図79における測定は、外壁表面を耳珠外側から接触させる状態で行っている。また、図79における外耳道が閉鎖された状態での測定は、上記のように耳珠を外側からより強く押圧することで耳珠が折り返ることにより外耳道を閉鎖する状態を作ることにより行っている。
上記のように、図79の測定は、図69に示した実施例46の携帯電話4201における外壁角部の表面を耳珠外側に接触させる状態で行っているが、実施例46の角部はプロテクタとなる弾性体部4263a、4263bとなっており外壁の他の部分と異なる材料で構成される。そして、振動源は弾性体部4263a、4263bによって構成される外壁角部の内面側に保持される。なお、携帯電話4201の外壁角部は、外部からの衝突に晒される部分であり、弾性体部4263a、4263bによって構成される場合においても、外壁の他の部分との間の相対ずれが生じないよう強固に接合されている。
なお、図79の測定グラフは、あくまでも一例であって、細かく見れば個人差がある。また、図79の測定グラフは現象の単純化および標準化のために外壁表面を耳珠外側に限って少ない面積で接触させる状態にて測定を行っている。しかしながら接触による音圧の増加は、軟骨との接触面積にも依存し、耳輪への接触なしに外壁表面を外耳道入口部周辺の耳軟骨に接触させる場合、外耳道入口部周りのより広い軟骨部分に接触させれば音圧の増加はさらに高まる。以上のことを考慮すれば、図79の測定グラフに示した数値は携帯電話4201の構成を示す一般性を持つものであって、不特定多数の被験者による再現性のあるものである。さらに、図79の測定グラフは、外耳道入口部を閉鎖する際に耳珠を外側から押圧することで接触圧を増して耳珠を折り返すことによるものであるが、携帯電話4201の角部を外耳道入口部に押し入れてこれを閉鎖した場合にも同様の結果が得られる。なお、図79の測定は、図69の実施例46の携帯電話4201のように振動源を外壁角部の内側に保持するものによる測定であるが、これに限るものではなく、他の実施例においても再現性のあるものである。例えば、図72に示したように振動源をプロテクタとなる弾性体部4363a、4363bの内部に保持する構成(例えば埋め込む構成)であっても再現性がある。
換言すれば、図79の測定グラフは、外壁表面よりも内側に配置される振動源を有し、振動源の振動を外壁表面に伝達する構成の携帯電話の外壁表面を耳輪への接触なしに外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させたとき、非接触状態に比べ、外耳道入口部から1cm奥の外耳道内における音圧が音声の主要な周波数帯域(500Hz〜2300Hz)のうち少なくとも一部(例えば1000Hz)において少なくとも10dB増加するという本発明の携帯電話自体の特徴の了解に充分なものである。
また、図79のグラフは、携帯電話の外壁表面を耳輪への接触なしに外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させたとき、接触圧の増加によって外耳道入口部から1cm奥の外耳道内における音圧が音声の主要な周波数帯域(500Hz〜2500Hz)のうち少なくとも一部(例えば1000Hz)において少なくとも5dB増加するという本発明の携帯電話自体の特徴の了解に充分なものである。
さらに、図79のグラフは、携帯電話の外壁表面を耳輪への接触なしに外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させることにより外耳道入口部を閉鎖したとき、非接触状態に比べ、外耳道入口部から1cm奥の外耳道内における音圧が音声の主要な周波数帯域(300Hz〜1800Hz)の少なくとも一部(例えば1000Hz)において少なくとも20dB増加するという本発明の携帯電話自体の特徴の了解に充分なものである。
また、図79のグラフにおける測定によって確認された本発明の携帯電話は、次の意義を持つものである。すなわち、本発明は、外壁表面よりも内側に配置される振動源と、ボリューム調整手段とを有し、振動源の振動を外壁表面に伝達するとともに、耳輪への接触なしに外壁表面を外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させることにより音を聞く携帯電話を提供するものであるが、その特徴は下記によって定義される。すなわち、騒音レベル(A特性音圧レベル)が45dB以下の静かな部屋において外耳道入口部に近接して外壁表面を非接触で設置し、ボリュームを最小にして1000Hzの純音を振動源から発生させるとともに外耳道入口部から1m離れた位置のラウドスピーカから1000Hzの純音がマスクされて聞こえなくなる限界レベルの1000Hz狭帯域雑音(1/3オクターブバンドノイズ)を発生させる。これは、1000Hz狭帯域雑音を順次大きくし、1000Hzの純音がマスクされて聞こえなくなる大きさを求めることにより確定する。次いで、1000Hz狭帯域雑音を限界レベルから10dB上げるが、本発明の携帯電話によれば、耳輪への接触なしに外壁表面を外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させることにより、ボリューム調整手段の調整変更なしに1000Hzの純音を聞くことができる。
さらに、1000Hz狭帯域雑音を上記のようにして求めた限界レベルから20dB上げたとき、本発明の携帯電話によれば、耳輪への接触なしに外壁表面を外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させて外耳道入口部を閉鎖することにより、ボリューム調整手段の調整変更なしに1000Hzの純音を聞くことができる。
図80は、耳の側面図および断面図であって、耳の構造の詳細と本発明の携帯電話との関係を示すものである。図80(A)は左耳30の側面図であり、一点鎖線による位置4201aは、携帯電話4201の角部を耳珠外側に接触させた状態を図示している。位置4201aは図79の測定を行った状態に相当する。一方、二点鎖線による位置4201bは、携帯電話4201の角部を外耳道入口部周りのより広い軟骨部分に接触させた状態の図示である。位置4201bでは、耳軟骨への接触により図79に示したよりも大きな音圧の増加が実現できる。
図80(B)は右耳28の断面図であり、携帯電話4201の角部から発生する振動源の振動が鼓膜28aに伝わる様子を図示している。なお、図80(B)の状態における携帯電話4201は、図80(A)の位置4201bに準じて外耳道入口部周りのより広い軟骨部分に接触させられている。(なお、断面図部分だけでは明らかでないが、この状態では、外耳道入口部は閉鎖されていないものとする。)携帯電話4201の角部から発生する振動28bは接触部分から外耳道入口部周りの軟骨に伝導し、次いで軟骨部外耳道表面から外耳道28cに気導音を発生させる。そしてこの気導音は外耳道28c内を進んで鼓膜28aに達する。なお、携帯電話4201の角部からは直接気導28dも発生し、やはり外耳道28c内を進んで鼓膜28aに達する。携帯電話4201が軟骨に非接触の状態で鼓膜28aに達するのはこの直接気導28dだけである。
ここで、図69の実施例46等で用いた圧電バイモルフ素子2525の周波数特性について補足する。本発明の実施例で用いている圧電バイモルフ素子2525の直接気導発生についての周波数特性はフラットなものではなく、ほぼ1kHz程度を境に低周波側の気導発生が相対的に高周波側のそれよりも小さいものを採用している。このような圧電バイモルフ素子2525の直接気導発生についての周波数特性は、圧電バイモルフ素子2525から直接軟骨を経由して外耳道内で気導音となる場合の周波数特性とよくマッチしている。即ち、軟骨伝導経由の気導音における周波数特性に従った外耳道内での音圧は、1kHz程度を境に低周波側の方が高周波側のそれよりも大きいので、上記のような直接気導発生周波数特性の圧電バイモルフ素子2525を用いた場合、両者が相補しあって結果とし鼓膜に達する音の周波数特性がフラットに近づくのである。このように、本発明では、軟骨伝導振動源として、軟骨伝導における周波数特性と逆傾向の気導音発生周波数特性を示すものを採用している。
このことを図69の実施例46の実測データである図79を例に具体的に説明する。図79のグラフは、図69に示した構造の圧電バイモルフ素子2525に対し、周波数を変えながら同じ電圧にて正弦波を印加して音圧レベルを見たものなので、図79のグラフに実線で示す非接触での音圧は、ほぼ、圧電バイモルフ素子2525から発生する気導音発生の周波数特性を示す。つまり、図79のグラフの実線から明らかなように、圧電バイモルフ素子2525による気導音発生の周波数特性はフラットなものではなく、例えば100Hzから4kHz程度の帯域に注目した時、主に低周波領域(例えば200Hzから1.5kHz)では、比較的音圧が低く、主に高周波領域(例えば1.5kHzから4kHz)では音圧が大きい。(なお、図79において測定したのは外耳道入口部から1cm奥の外耳道内の音圧なので、2.5kHzから3.5kHzでは裸耳利得による音圧増強効果の影響を受けていると見られるが、この分を差し引いて解釈しても、低周波領域よりも高周波領域の方が音圧が相対的に大きいことは明らかである。)このように、図79から見ても、図69の実施例46等で用いた圧電バイモルフ素子2525の周波数特性がフラットなものではなく、ほぼ1kHz程度を境に低周波側の気導音発生が相対的に高周波側のそれよりも小さいことがわかる。
次に、図79に一点鎖線で示す通常接触状態の250gのグラフでは、非接触状態に比べ、1kHzよりも低周波領域側の数百Hzあたりから顕著な音圧増加が認められ、この増加は少なくとも2.5kHz程度まで続いている。従って、同一の振動源である圧電バイモルフ素子2525について、外耳道内で測定した音の周波数特性は、軟骨伝導経由の気導と直接気導では明らかな差が認められる。(つまり、軟骨伝導経由気導は直接気導に比べ、特に数百Hzから2.5kHzにおける音圧増加が大きい。)この結果、図79に一点鎖線で示す通常接触状態の250gのグラフに示すように、軟骨伝導経由の気導の場合、外耳道内での音圧は、結果として鼓膜に達する音の周波数特性が、実線で示す直接気導の場合よりも相対的にフラットに近づいている。
さらに、図79に二点鎖線で示す外耳道閉鎖状態の500gでは、耳栓骨導効果によりさらに数百Hzから1kHzにおいて著しい音圧増加が認められ、同一の振動源である圧電バイモルフ素子2525について、通常接触状態の250gとも非接触状態とも明らかに異なる周波数特性の相違呈している。なお、二点鎖線で示す外耳道閉鎖状態の500gでは裸耳利得はなくなるので、外耳道開放状態で認められている2.5kHzから3.5kHzにおける音圧のピークによる影響が消失した結果が現れているものと考えられる。
図81は、本発明の実施の形態に係る実施例53のブロック図である。実施例53は、図38の実施例25と同様にして、ステレオオーディオ情報を聴くことが可能な3Dテレビの観賞眼鏡2381として構成されており、3Dテレビ2301とともに3Dテレビ鑑賞システムをなす。そして、実施例25と同様にして、右ツル部2382に配置された右耳用軟骨伝導振動部2324の振動が接触部2363を介して右耳の付け根の軟骨の外側に伝達されるとともに、左ツル部2384に配置された左耳用軟骨伝導振動部2326の振動が接触部2364を介して左耳の付け根の軟骨の外側に伝達される。実施例53は実施例25と共通するところが多いので共通する部分には共通の番号を付し、必要のない限りこれ以上の説明を省略する。なお、図81では、図示を省略しているが、3Dテレビ2301の内部構成は、図38に示したものと同じである。
なお、図81の実施例53は、図38の実施例25と同様にして、右耳用軟骨伝導振動部2324および左耳用軟骨伝導振動部2326として、図69の実施例46と同様の構造の圧電バイモルフ素子2525を用いている。つまり、右耳用軟骨伝導振動部2324および左耳用軟骨伝導振動部2326は、軟骨伝導における周波数特性と逆傾向の直接気導発生周波数特性を示すものであり、ほぼ1kHz程度を境に低周波側の気導発生が相対的に高周波側のそれよりも小さいものを採用している。具体的には図81の実施例53に採用された右耳用軟骨伝導振動部2324および左耳用軟骨伝導振動部2326は、500Hzから1kHzまでの平均気導出力と1kHzから2.5kHzまでの平均気導出力の差が、気導を想定して設計された平均的な通常スピーカと比較して5dB以上異なったもので、通常スピーカとしては望ましくない周波数特性を呈するものである。
図81の実施例53が図38の実施例25と異なるのは、上記のような右耳用軟骨伝導振動部2324および左耳用軟骨伝導振動部2326を駆動するに際し、周波数特性修正部4936を介して行う点である。周波数特性修正部4936には、軟骨伝導特有の周波数特性を考慮して外耳道内で気導音となる音圧の周波数特性がフラットに近づくよう修正する軟骨伝導イコライザ4938が設けられる。軟骨伝導イコライザ4938は基本的には右耳用軟骨伝導振動部2324および左耳用軟骨伝導振動部2326への駆動信号の周波数特性を等しく修正するが、右耳用軟骨伝導振動部2324と左耳用軟骨伝導振動部2326のバラつきを個別に修正するのにも利用できる。周波数特性修正部4936には、さらに高周波をカットするための軟骨伝導ローパスフィルタ4940(例えば10kHz以上をカット)が設けられる。これは、実施例53における右耳用軟骨伝導振動部2324と左耳用軟骨伝導振動部2326が耳を覆わない形状なので、外部への不快な気導発散を防止するためである。このローパスフィルタの特性は、軟骨伝導に有利な周波数帯域(例えば10kHz以下)についてはカットしないことも考慮して定められる。なお、オーディオ装置として、可聴域(例えば10kHzから20kHz)およびそれ以上の周波数域をカットすることは音質上不利であるので、外部への不快な気導発散を考慮しなくてもよい環境下では軟骨伝導ローパスフィルタ4940の機能を手動でオフできるよう構成する。
図82は、本発明の実施の形態に係る実施例54のブロック図である。実施例54は、図8の実施例4と同様にして、携帯電話5001として構成されている。実施例54は実施例4と共通するところが多いので共通する部分には共通の番号を付し、必要のない限り説明を省略する。なお、図82の実施例54は、図81の実施例53と同様にして、軟骨伝導振動ユニット228の振動源として図69の実施例46と同様の構造の圧電バイモルフ素子2525を用いている。つまり、軟骨伝導振動ユニット228の振動源は、軟骨伝導における周波数特性と逆傾向の直接気導発生周波数特性を示すものであり、ほぼ1kHz程度を境に低周波側の気導発生が相対的に高周波数側のそれよりも小さいものを採用している。具体的には図82の実施例54に採用された圧電バイモルフ素子は、実施例52と同様にして、500Hzから1kHzまでの平均気導出力と1kHzから2.5kHzまでの平均気導出力の差が、気導を想定して設計された平均的な携帯電話用のスピーカと比較して5dB以上異なったもので、通常スピーカとしては望ましくない周波数特性を呈するものである。
図82の実施例54が図8の実施例4と異なるのは、上記のような軟骨伝導振動ユニット228の振動源の圧電バイモルフ素子を駆動するに際し、高周波をカットするための軟骨伝導ローパスフィルタ5040(例えば2.5kHz以上をカット)および軟骨伝導イコライザ5038を介して行う点である。軟骨伝導イコライザ5038は、実施例53と同様にして、軟骨伝導特有の周波数特性を考慮して外耳道内で気導音となる音圧の周波数特性がフラットに近づくよう修正する。軟骨伝導イコライザ5038を介した音信号は、軟骨伝導特有の周波数特性を考慮した周波数特性の修正が行われているので、直接気導の発生を前提とするテレビ電話用のスピーカ51への音信号とは周波数特性が異なったものとなる。
実施例54の軟骨伝導イコライザ5038はさらに、押圧センサ242により耳穴が塞がれて耳栓骨導効果が生じている状態が検知された時、修正用周波数特性を通常接触状態の周波数特性用から耳栓骨導効果発生状態の周波数特性用に自動的に切換える。この際に切換えられる周波数特性修正の差は、例えば図79における一点鎖線(通常接触250g)と二点差線(外耳道閉鎖500g)との差に相当する。具体的には、耳栓骨導効果が生じたときに低音域が強調され過ぎることがないようにするとともに、外耳道の閉鎖による裸耳利得の消失を補償するような周波数特性の修正を行い、耳栓骨導効果の有無で音質が変化するのを緩和する。
実施例54における軟骨伝導ローパスフィルタ5040は、耳に聞こえる帯域の音が外部に漏れるのを防止して、プライバシーを保護することを目的とするものであり、特に静寂時に有用なものである。このような軟骨伝導ローパスフィルタ5040の特性は、耳軟骨への接触による音圧増強効果の著しい周波数帯域(例えば2.5kHz以下)についてはカットしないことも考慮して定められる。携帯電話の音声は元々3kHz以上がカットされているが、裸耳利得なしでも軟骨伝導による音圧増強効果が高い数百Hzから2.5kHz程度の帯域を活用し、かつ、軟骨伝導特有の効果が出る帯域外の2.5kHz以上の周波数はカットすることによって、上記のようなプライバシー保護を合理的に図ることができる。なお、上記のように軟骨伝導ローパスフィルタ5040の効果は特に静寂時に重要なので、手動でオンオフ可能とする、または、図75の実施例50における環境騒音マイク4638のようなものを設けて静寂時のみ自動的にオンするよう構成するのが望ましい。なお、手動でオンオフ可能とした構成において、軟骨伝導イコライザ5038が耳栓骨導効果発生状態の周波数特性用となっているときは、騒音が大きいことが想定されるので、軟骨伝導ローパスフィルタ5040が手動でオンされていれば強制的にオフするよう構成する。
上記各実施例に示した本発明における種々の特徴の実施は上記の実施例に限るものではない。例えば、上記の実施例53および実施例54では、軟骨伝導を経た最終的な気導音の周波数特性をフラットに近いものとするにあたり、通常の気導発生周波数特性と異なる周波数特性の気導音の発生をもたらす軟骨伝導振動源と軟骨伝導イコライザを併用したものであるが、このうちの一方を省略することも可能である。例えば、軟骨伝導振動源として軟骨伝導の周波数特性とよくマッチするものを用いたときは軟骨伝導イコライザを省略することができる。また、これとは逆に、軟骨伝導振動源としては通常の気導スピーカに準じた気導音の発生をもたらす周波数特性のものを採用し、軟骨伝導を経た最終的な気導の周波数特性をフラットに近いものとするための機能を軟骨伝導イコライザに集中させる構成も可能である。
図83は、本発明の実施の形態に係る実施例55に関する斜視図および断面図であり、携帯電話5101として構成される。なお、実施例55は、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525の保持構造および後述するTコイルの付加を除き図69に示した実施例46と共通なので、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
まず実施例55における軟骨伝導振動源2525の保持構造について説明する。図83(A)の斜視図に明らかなように、携帯電話5101における左右の角部には、硬質材料からなる軟骨伝導部5124および5126が設けられている。この軟骨伝導部5124および5126としては、たとえばABS樹脂、繊維強化プラスチック、靱性の高いファインセラミックスなどが好適である。軟骨伝導部5124および5126と携帯電話5101の筐体の間には、ビニール系、ウレタン系などの弾性体5165bおよび5165aが介在しており、振動隔離材および緩衝材として機能している。
さらに、図83(B)および(C)に明らかなように、軟骨伝導部5124および5126は、その内側において圧電バイモルフ素子2525を保持する構造となっている。そして圧電バイモルフ素子2525は、弾性体5165bおよび5165aの介在により携帯電話5101の筐体には直接接触しない保持構造となっている。これによって、圧電バイモルフ素子2525の振動エネルギーを軟骨伝導部5124および5126に集中させ、携帯電話5101の筐体には分散しないようにしている。
また、図83(A)に破線で示すように、実施例55における携帯電話5101の上部中央内部にはTコイル5121が配置されている。Tコイル5121は、対応するTコイルを備えた補聴器に対し電磁誘導で音情報を伝達するためのものである。Tコイルによる音情報の伝達と軟骨伝導による音情報の伝達の関係については、後述する。
図84は、図83の実施例55のブロック図であり、同一部分には図83と同一番号を付して説明を省略する。また、図84のブロック図の構成は、図82における実施例54のブロック図と共通点が多く、これらを援用することができるので共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。
すでに述べたように、実施例55はTコイル5121を有し、携帯電話5101の使用者がTコイルを備えた補聴器を装着している場合、Tコイル5121による電磁誘導で音情報を補聴器に伝達することができる。Tコイルを備えた補聴器は、Tコイル機能をオンオフできるとともに、Tコイルをオンさせた場合において補聴器のマイクのオンオフを選択できるよう構成されているものもある。これに対応し、実施例55の携帯電話5101では、操作部9の操作に応答してスイッチ5121aをオンオフし、Tコイル5121を機能させるかどうか選択することができる。そしてTコイル5121のオンが選択された場合には、これに連動して圧電バイモルフ素子2525を含む軟骨伝導振動ユニット228を強制的にオフさせるためのスイッチ5121bが設けられている。
すでに説明したように、軟骨伝導は耳に栓をした状態においても、耳栓骨導効果を伴って外耳道内部に気導音を発生する。この結果、補聴器によって外耳道口が塞がれている場合でも、Tコイル5121のオンなしに圧電バイモルフ素子2525を振動源とする軟骨伝導により音を聞くことができる。軟骨伝導は、基本的に軟骨伝導部5124または5126を耳軟骨に接触させることによって生じるが、軟骨伝導部5124または5126を補聴器に接触させることによりその振動が補聴器周囲の耳軟骨に伝導することによって外耳道内に気導音を発生することによっても可能である。また、軟骨伝導部5124または5126の当て方によっては、耳軟骨および補聴器の両者への接触が生じ、上記の併存状態で外耳道内に気導音を発生することもできる。このように、本発明の携帯電話5101はTコイル5121をオフした状態でも補聴器の使用者による利用が可能である。
スイッチ5121bは、スイッチ5121aのオンによりTコイル5121を機能させようとしたときに上記のような軟骨伝導が同時に生じ、通常のTコイルによる音の聴取に比べて違和感が生じるのを防止するとともに、Tコイル5121の動作時には不要な軟骨伝導による電力消費を防止するためのものである。なお、誤操作によりTコイル5121をオンしたときの軟骨伝導の連動オフが故障と混同されるのを防止するため、大画面表示部205に表示される操作部9の操作メニューに通常はTコイル5121をオンするためのメニューが現れないよう構成し、所定の手順を踏んで意図的に操作部9を操作しない限りTコイル5121がオンとならないよう構成するのが望ましい。
図85は、上記の実施例55における携帯電話5101における振動エネルギーの分布を説明するための側面図であり、図2と共通するところが多いので、共通する部分には同一番号を付し、説明を省略する。図83に示したように、圧電バイモルフ素子2525を直接保持している軟骨伝導部5124および5126は弾性体5165bおよび5165aの介在により携帯電話5101の筐体に保持されている。これによって、圧電バイモルフ素子2525の振動は、軟骨伝導部5124および5126から効果的に耳軟骨に伝導されるとともに、携帯電話5101の筐体には圧電バイモルフ素子2525が直接接触しないため、その振動が伝わりにくくなっている。つまり、圧電バイモルフ素子2525の振動エネルギーが軟骨伝導部5124および5126に集中し、携帯電話5101の筐体には分散しない構造となっている。
図85で具体的に説明すると、軟骨伝導部5124および5126に振動エネルギーが集中しているので、携帯電話5101の筐体表面における位置(1)および(2)(図中の丸付き数字1、2を参照)の振動加速度および振幅が最も大きく、携帯電話5101の筐体における軟骨伝導部5124および5126の中間の位置(3)(図中の丸付き数字3を参照)では振動加速度および振幅が若干小さくなる。そして位置(4)、位置(5)(図中の丸付き数字4、5を参照)の順に、位置(1)および(2)から離れるほど、携帯電話5101の筐体表面における振動加速度および振幅が小さくなっていく。例えば位置(1)および(2)からそれぞれ5cm以上離れた位置(5)における携帯電話5101の筐体表面における振動加速度および振幅は、軟骨伝導部5124および5126表面における振動加速度および振幅の1/4以下(25%以下)となる。図85(A)はこのような振動分布の携帯電話5101を右耳28に当てて好適な軟骨伝導を得ている状態を示し、図85(B)は携帯電話5101を左耳30に当てて同様に好適な軟骨伝導を得ている状態を示す。
上記のような軟骨伝導のための振動エネルギーが外耳道入口部の耳軟骨との接触想定部に集中する特徴は、図83から図85に示した実施例55に限るものではなく、すでに説明した他の実施例のいくつかにおいても現れているものである。例えば、実施例1〜3、11〜14、29〜33、35、36、42〜44、46〜50、52、55は、接触想定部における振動加速度または振動の振幅が、接触想定部から離れた部分における振動加速度または振動の振幅よりも大きくなっている例であり、特に後述のように実施例29、30〜33、42〜43、46〜50、52、55のような構成ではそれが顕著であり、後述する理由により、接触想定部を中心に接触想定部から離れるに従い、振動加速度、または振動の振幅が単調減少する。
なお、本発明において軟骨伝導のための振動エネルギーを集中させる接触想定部は、筐体から突出しておらず、携帯電話の使用を妨げるような形状をとらない。さらに接触想定部は、筐体の上下中心軸からも左右中心軸からも外れた位置にあり、外耳道入口部の耳軟骨との接触に好適な配置となっている。具体的には接触想定部は携帯電話の角部または角部近傍の上辺部または側面部にある。換言すれば、上記の配置構成により、耳輪への接触なしに外壁表面を外耳道入口部周辺の耳軟骨の少なくとも一部に接触させる好適な構成が得られる。
上記のように、本発明では、図83から図85の実施例55だけでなく、他の実施例でも外耳道入口部の耳軟骨との接触想定部に振動エネルギーを集中させることができる。この特徴を分類すると、まず第1に、実施例29、実施例30、実施例31の変形例2、実施例32、実施例33、および実施例55は接触想定部と携帯電話筐体の間を弾性体で隔離することによりこれを実現した例である。第2に実施例29、実施例30、実施例32、実施例33は、圧電バイモルフ素子の主振動方向を避けてこれを携帯電話筐体に支持させることにより接触想定部に振動エネルギーを集中させる例である。第3に実施例30、実施例31、および実施例47は接触想定部とこれを支持する携帯電話筐体との接触面積を減少させることにより、接触想定部に振動エネルギーを集中させる例である。第4に実施例42から実施例44、実施例46とその変形例、実施例48から実施例50、実施例52、および実施例55は、振動子の保持位置を接触部近傍に限定することにより接触想定部に振動エネルギーを集中させる例である。第5に実施例46とその変形例、実施例48から実施例50、実施例52、および実施例55は接触想定部の材質を携帯電話筐体と異なったものにすることにより接触想定部に振動エネルギーを集中させる例である。なお、上記分類において重複している実施例があることから明らかなように、上記に分類した特徴は実際には複数組み合わせて採用することが可能である。
上記本発明の種々の特徴は、上記の実施例に限るものではない。例えば、実施例55の変形例として、図83(B)に断面を示す弾性体5165bおよび5165aにそれぞれ圧電バイモルフ素子2525の断面よりも大きな穴を開け、この穴を通して圧電バイモルフ素子2525を軟骨伝導部5124および5126に保持するよう構成することも可能である。この場合は、圧電バイモルフ素子2525が弾性体5165bおよび5165aにも直接接触しない構造となり、圧電バイモルフ素子2525の振動エネルギーが弾性体5165bおよび5165aを介して携帯電話5101の筐体に分散するのを防止することが可能となる。
また、上記の実施例55は、図69に示した実施例46と同様にして一つの圧電バイモルフ素子2525の両端の振動を左右の軟骨伝導部5124および5126に伝える構造となっているが、実施例55のような特徴の実施はこれに限るものではない。例えば図65の実施例42のように圧電バイモルフ素子2525の片側をカンチレバー構造に支持する構造に図83の実施例55の保持構造を応用してもよい。さらには、図77の実施例52のように右耳用の圧電バイモルフ素子2525bおよび左耳用の圧電バイモルフ素子2525aを採用する構成において、これらをそれぞれカンチレバー構造に支持する際に、図83の実施例55の保持構造を応用してもよい。
なお、すでに述べたように、図1から図7における実施例1から実施例3および図77の実施例52のように右耳用と左耳用の軟骨伝導振動部が独立に制御できるものでは、耳軟骨に接触させていない振動部の振動を止めることができる。この場合、軟骨伝導部5124を右耳28に当てている状態を示す図85(A)において軟骨伝導部5126の振動を止めた場合の振動エネルギーの分布は、位置(1)における振動加速度および振幅が最も大きく、次いで、位置(3)、位置(2)、位置(4)そして位置(5)の順に振動加速度および振幅が小さくなっていく。これに対し、軟骨伝導部5126を左耳30に当てている状態を示す図85(B)において軟骨伝導部5124の振動を止めた場合の振動エネルギーの分布は、位置(2)における振動加速度および振幅が最も大きく、次いで、位置(3)、位置(1)、位置(4)そして位置(5)の順に振動加速度および振幅が小さくなっていく。
図86は、本発明の実施の形態に係る実施例56に関する斜視図および断面図であり、携帯電話5201として構成される。なお、実施例56は、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525の保持方向を除き図83に示した実施例55と共通なので、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図83の実施例55では、軟骨伝導振動源2525の金属板2597が携帯電話5101の正面と平行になるよう配置されており、主振動方向はGUI表示部3405と直交する向きである。これに対し、図86の実施例56では、軟骨伝導振動部5225の金属板2599が携帯電話5201の正面と垂直になるよう配置されており、この結果、図65(C)に示す実施例42の第1変形例等と同様にして、軟骨伝導振動部5225の主振動方向はGUI表示部3405と平行になる。実施例56の構成は、図85に示す場合と同じように携帯電話5201の角部(軟骨伝導部5124または5126)の正面側を耳軟骨に当てた上で、実施例42の第1変形例と同様にして角部の上面側を軽く突き上げるような形で耳軟骨に当てる使用に好適である。なお、軟骨伝導部5124または5126には振動が集中しているので、単に角部(軟骨伝導部5124または5126)の正面側を耳軟骨に当てるだけでも、充分な軟骨伝導を得ることができる。
また、図86の実施例56では軟骨伝導振動部5225の主振動方向が携帯電話5201の正面(GUI表示部3405を含む)と平行になっているため、携帯電話5201の外面のうちの大面積を占める正面および裏面に伝達される振動成分が小さい。この結果、これら大面積部分で発生する気導音による音漏れをさらに小さくすることができる。
なお、上記における図86の実施例56のような向きの軟骨伝導振動部5225は、実施例56に限らず、また、図69の実施例46、図71の実施例46および図74の実施例49等、他の実施例にも採用することができる。
図87は、本発明の実施の形態に係る実施例57に関するブロック図であり、携帯電話5301として構成される。実施例57は、軟骨伝導振動源となる圧電バイモルフ素子5325の駆動回路を携帯電話5301の各部に電源を供給するパワーマネジメント回路とともにワンチップの統合パワーマネジメントIC5303として構成したものである。
統合パワーマネジメントIC5303は、パワーマネジメント部5353を有し、バッテリー5348からの電源供給に基づいて、電話通信部を構成するデジタルベースバンド部5312、アナログベースバンド部5313およびアンテナ5345に接続されるRF回路部5322等に所定の異なる電源電圧をそれぞれ供給する。パワーマネジメント部5353は、さらに、他の実施例で示した制御部39等に該当するアプリケーションプロセッサ5339、カメラ部5317(他の実施例で示した背面主カメラおよびテレビ電話用内側カメラをまとめて図示)、表示部5305における液晶表示装置5343およびタッチパネル5368等に所定の異なる電源電圧をそれぞれ供給する。アプリケーションプロセッサ5339は、メモリ5337(プログラム保持機能およびデータ書込保持機能をまとめて図示)と連携して携帯電話5301全体を制御するとともに、メモリカード5319(スロットおよびカードをまとめて図示)およびUSB(登録商標)接続端子5320を介した外部機器と信号授受可能である。
パワーマネジメント部5353は、また、統合パワーマネジメントIC5303内部の制御部5321、アナログフロントエンド部5336、テレビ電話スピーカ5351用のアンプ5341、軟骨伝導音響処理部5338、チャージポンプ回路5354等にもそれぞれ所定の異なる電源電圧をそれぞれ電源電圧を供給する。チャージポンプ回路5354は、高電圧を要する圧電バイモルフ素子5325のために昇圧を行うためのものである。
アナログフロントエンド部5336は、統合パワーマネジメントIC5303外部のアプリケーションプロセッサ5339からアナログ音声信号を受け取り、アンプ5341を介してテレビ電話スピーカ5351に供給するとともに、イヤホンジャック5313および軟骨伝導音響処理部5338にもアナログ音声信号を供給する。また、アナログフロントエンド部5336は、マイク5323で拾った使用者のアナログ音声信号を外部のアプリケーションプロセッサ5339に伝達する。
チャージポンプ回路5354は外付け端子5355aおよび5355bを介して接続される外付けコンデンサ5355と協働して昇圧動作を行い、圧電バイモルフ素子5325の駆動に必要な電圧をアンプ5340に供給する。これによって、アナログフロントエンド部5336からの音声信号は、軟骨伝導音響処理部5338およびアンプ5340を介して圧電バイモルフ素子5325を駆動する。なお、軟骨伝導音響処理部5338の機能の例としは、図8の実施例4で示した音質調整部238および波形反転部240、図82の実施例54で示した軟骨伝導ローパスフィルタ5040、軟骨伝導イコライザ5038等が該当するが、これに限られるものではない。
制御部5321は、統合パワーマネジメントIC5303外部のアプリケーションプロセッサ5339とデジタル制御信号の授受を行い、パワーマネジメント部5353の制御を行う。また、制御部5321は、アプリケーションプロセッサ5339の指示に基づいてアナログフロントエンド部5336を制御し、アプリケーションプロセッサ5339から受け取ったアナログ音声信号をテレビ電話スピーカ5351の駆動のためにアンプ5341に送るか軟骨伝導音響処理部5338に送るかの切換え等を行う。また、アナログフロントエンド部5336は切換えに伴うボツ音がイヤホンジャック5313等に出力されない処理等も行う。
さらに、制御部5321は、統合パワーマネジメントIC5303外部のアプリケーションプロセッサ5339とデジタル制御信号の授受を行い、上記で例示した音質調整、波形反転、軟骨伝導ローパスフィルタ、軟骨伝導イコライザ等に関する軟骨伝導音響処理部の制御を行う。
上記のように、図87の実施例57では、軟骨伝導振動部の駆動回路をパワーマネジメント回路とともにワンチップの統合ICとして構成したので、軟骨伝導振動部の駆動を直接行えるとともに、携帯電話内の種々の構成要素への電源電圧供給と統括して軟骨伝導振動部への電源電圧供給を行うことができ、その制御も統括的に行うことができる。また、軟骨伝導振動部のための軟骨伝導音響処理部もパワーマネジメント部とともにワンチップの統合ICとすることにより、音響処理のための制御とパワーマネジメント部の制御も統括的に行うことができる。軟骨伝導振動部として圧電バイモルフ素子を採用する場合、その駆動には高電圧を要するが、図87の実施例57のように軟骨伝導振動部の駆動回路をパワーマネジメント部とともにワンチップの統合ICとして構成することで、昇圧回路のための別チップの追加なしに圧電バイモルフ素子の駆動が可能となる。さらに、軟骨伝導振動部の駆動に特有の軟骨伝導音響処理部もパワーマネジメント部とともにワンチップの統合ICとすることにより圧電バイモルフ素子の音声信号制御も統合することができる。従って、統合ICに通常の音声信号を入力し、統合ICに軟骨伝導振動部を接続するだけで、好適な軟骨伝導機能を携帯電話に付与することが可能となる。
さらに、アナログフロントエンド部もパワーマネジメント部とともにワンチップの統合ICとすることにより、音声信号出力の切換え調整も一括して行うことができる。具体的には、軟骨伝導振動部の機能を含めた携帯電話全体の機能に関する統合ICとアプリケーションプロセッサとの間のデジタル制御信号の授受および統合ICとアプリケーションプロセッサとの間のアナログ音声信号の授受を統合して行うことができる。
図87の実施例57のように、軟骨伝導振動部の駆動回路をパワーマネジメント部とともにワンチップの統合ICとして構成する回路構成は、これまで説明してきた種々の実施例に適用することができる。
図88は、本発明の実施の形態に係る実施例58に関する斜視図および断面図であり、携帯電話5401として構成される。なお、実施例58は、後述する気導音による音漏れ対策のための構成を除き図83に示した実施例55と共通なので、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図88の実施例58では、図83に示した実施例55と同様にして、軟骨伝導振動源2525を保持している硬質材料の軟骨伝導部5124および5126から弾性体5165bおよび5165aを介して携帯電話5401の筐体に若干の振動が伝わる。これによって、携帯電話5401の外面のうちの大面積を占める正面および裏面が振動し、気導音による若干の音漏れが発生する。図88の実施例58では、このような音漏れへの対策として、GUI表示部3405およびマイク23の部分を除き携帯電話5401の筐体外面を弾性体5463で被覆する。この際、弾性体5463は、携帯電話5401の筐体と一体化するよう接着する。なお、GUI表示部3405の部分は、GUI操作を妨げないよう開口部となっている。また、マイク23の部分は、図11の実施例5と同様にして音声の気導を妨げないスポンジ状構造等のマイクカバー部467として構成される。
携帯電話5401の筐体外面を被覆する弾性体5463は、弾性体5165bおよび5165aと同一またはこれに近似するビニール系、ウレタン系など振動隔離材および緩衝材とするのが望ましい。これによって、図88の実施例58では、軟骨伝導振動源2525を保持している硬質材料の軟骨伝導部5124および5126が、弾性体5165b、5165aおよび弾性体5463を介して包まれた上で携帯電話5401の筐体に接触している。従って、軟骨伝導振動源2525自身は携帯電話5401の筐体に直接接触することがない。
また、弾性体5463は、図11の実施例5のような着脱可能なカバーではなく携帯電話5401の筐体表面の大面積部分と一体化するよう接着させられているので、その重量および弾性により携帯電話5401の筐体表面の大面積部分の振動をその振幅における内外両方向にわたって抑制するとともに振動エネルギーを吸収する。さらに、空気と接する携帯電話5401の表面にも弾性が生じる。これらによって、携帯電話5401の筐体に伝わった軟骨伝導振動源2525の振動に起因する携帯電話5401の筐体表面からの気導音の発生が緩和される。一方、弾性体5463は耳軟骨と音響インピーダンスが近似しているので、軟骨伝導部5124および5126から耳軟骨への軟骨伝導は良好である。なお、弾性体5463による携帯電話5401の筐体表面の被覆は、携帯電話5401が外部と衝突する際のプロテクタとしても機能する。
図89は、本発明の実施の形態に係る実施例59に関する斜視図および断面図であり、携帯電話5501として構成される。なお、実施例59は、気導音による音漏れ対策のための構成を除き図65に示した実施例42と共通なので、図89(B)および図89(C)の断面図については図65(A)および図65(B)の断面図と共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。また、図89(A)の斜視図については図88(A)の実施例58と共通するので、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図89の実施例59では、携帯電話5501の側面3807および上面3807aから内側に延び、軟骨伝導振動源2525を保持している支持構造3800aの穴に圧電バイモルフ素子2525の一端が保持されている。このため、支持構造3800aから携帯電話5501の側面3807および上面3807aを介して軟骨伝導振動源2525の振動が携帯電話5501の筐体に伝わり、携帯電話5501の外面のうちの大面積を占める正面および裏面が振動する。そして、これによる気導音の発生による音漏れは、図86の実施例56の場合より大きい。しかしながら、図89の実施例59では、図88の実施例58と同様、このような音漏れへの対策として、GUI表示部3405およびマイク23の部分を除き携帯電話5501の筐体外面を弾性体5563で被覆する。この際、弾性体5563は携帯電話5501の筐体と一体化するよう接着する。なお、GUI表示部3405の部分は、GUI操作を妨げないよう開口部となっている。また、マイク23の部分は、図11の実施例5と同様にして音声の気導を妨げないスポンジ状構造等のマイクカバー部467として構成される。これらは、図88の実施例58と同様である。
携帯電話5501の筐体外面を被覆する弾性体5563は、図88の実施例58と同様にして、ビニール系、ウレタン系など振動隔離材および緩衝材とするのが望ましい。以上のような構成により、図89の実施例59においても、携帯電話5501の筐体表面の大面積部分の振動は、被覆される弾性体5563の重量および弾性によりその振幅における内外両方向にわたって抑制されるとともに、振動エネルギーが吸収される。さらに空気と接する携帯電話5501の表面にも弾性が生じる。これらによって、軟骨伝導振動源2525の振動に起因する携帯電話5501の筐体表面からの気導音の発生が緩和される。一方、弾性体5563は耳軟骨と音響インピーダンスが近似しているので、耳珠等の耳軟骨に当てるのに好適な部位である上部角3824から耳軟骨への軟骨伝導は良好である。また、弾性体5563による携帯電話5501の筐体表面の被覆が、携帯電話5501が外部と衝突する際のプロテクタとしても機能することも、図88の実施例58と同様である。
図90は、本発明の実施の形態に係る実施例60に関する斜視図および断面図であり、携帯電話5601として構成される。なお、実施例60は、気導音による音漏れ対策のための構成を除き図69に示した実施例46と共通なので、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図90の実施例60では、図69の実施例46と同様にして、携帯電話5601の上部2つの角にプロテクタとなる弾性体部5663aおよび、5663bが設けられる。そして、その内側は軟骨伝導振動源2525の両端の保持部を兼ねるとともに、外側は耳軟骨に接触する軟骨伝導部を兼ねている。そしてこれら弾性体部5663aおよび5663bは、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する弾性材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造、または、透明梱包シート材などにみられるような一層の空気泡群を合成樹脂の薄膜で分離密封した構造など)が採用される。
図90の実施例60においても、軟骨伝導振動源2525を保持している弾性体部5663aおよび、5663bの振動のうちの若干の成分が携帯電話5601の筐体に伝わり、携帯電話5601の外面のうちの大面積を占める正面および裏面が振動して気導音が発生する。しかしながら、図90の実施例60においても、上記の気導音に起因する音漏れへの対策として、弾性体部5663aおよび、5663bから同材料の弾性体5663がシート状に延長され、この弾性体5663がGUI表示部(図88および図99の3405と同一部分)およびマイク23の部分を除く携帯電話5601の筐体外面を被覆する。図90の実施例60においても、図88の実施例58および図89の実施例59と同様にして、弾性体5663は携帯電話5601の筐体と一体化するよう接着される。なお、GUI表示部3405の部分は、GUI操作を妨げないよう開口部となっている。また、マイク23の部分は、図11の実施例5と同様にして音声の気導を妨げないスポンジ状構造等のマイクカバー部467として構成される。これらは、図88の実施例58および図89の実施例59と同様である。
以上のような構成により、図90の実施例60においても、携帯電話5601の筐体表面の大面積部分の振動は、被覆される弾性体5663の重量および弾性によりその振幅における内外両方向にわたって抑制されるとともに、振動エネルギーが吸収される。さらに空気と接する携帯電話5601の表面にも弾性が生じる。これらによって、軟骨伝導振動源2525の振動に起因する携帯電話5601の筐体表面からの気導音の発生が緩和される。なお、弾性体5663による携帯電話5601の筐体表面の被覆は、弾性体部5663aおよび、5663b以外の部分のプロテクタとしても機能する。
図91は、本発明の実施の形態に係る実施例61に関する斜視図および断面図であり、携帯電話5701として構成される。なお、実施例61は、気導音による音漏れ対策のための構成を除き図83に示した実施例55と共通なので、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図91の実施例61では、図83に示した実施例55と同様にして、硬質材料の軟骨伝導部5124および5126によって軟骨伝導振動源2525の両端を保持し、弾性体5165bおよび5165aを介して携帯電話5701の筐体に支持させている。この構造では、図88の実施例58でも説明したように、携帯電話5701の筐体に若干の振動が伝わり、その正面および裏面から発生する気導音による音漏れが発生する。図91の実施例61では、このような音漏れへの対策として、電池等を含む携帯電話5701の内部構成部品5748を携帯電話5701の筐体内面に押圧固着するねじ止め金属板などの押圧固着構造5701hを有する。これによって電池等を含む内部構成5748の重量が携帯電話5701の筐体と一体化し、筐体の大面積部分の振動をその振幅における内外両方向にわたって抑制するので気導音の発生が緩和される。
図91の実施例61では、さらに、携帯電話5701の筐体内の余剰空間は、不織布等からなる吸音充填材5701iで埋められている。これによって、携帯電話5701の筐体内の余剰空間が細分化されて筐体内の空気の共鳴を防止し、気導音の発生を緩和する。図91(C)では、理解の便のため内部構成5748、押圧固着構造5701hおよび吸音充填材5701iの充填を単純化して図示しているが、これらは実際には複雑な構造をとるものであって、押圧固着構造5701hも、図示のように内部構成5748を携帯電話5701の裏面側にのみ押圧固着するものに限るものではない。なお、携帯電話5701の筐体内の余剰空間を細分化するには、吸音充填材5701iの充填に代えて、筐体内側に隔壁を設けるようにしてもよい。
上記各実施例に示した本発明における種々の特徴の実施は上記の実施例に限るものではない。例えば、上記の図88〜図90においては、携帯電話の外面のうちの大面積を占める裏面等の部分において被覆用の弾性体断面の厚さと筐体断面の厚さと同程度に図示している。しかしながら、筐体の強度を保つ限り筐体断面の厚さをできる限り薄くするとともにこれを被覆する弾性体断面の厚さをできる限り厚くし、あたかも筐体が弾性体で構成されるごとくして音漏れ防止効果をより高めてもよい。このとき、筐体内部に余剰空間細分化用の隔壁を設ける構成は強度を保持にも有利であり、筐体を薄くすることに寄与する。
また、図90に示した実施例60では、プロテクタ、軟骨伝導振動源2525の両端の保持部および軟骨伝導部を兼ねる弾性体部5663aおよび5663bと弾性体5663が同材料にて連続しているが、このような構成に限るものではない。例えば、弾性体部5663aおよび5663bと弾性体5663とは、分離された部品であってよく、必ずしも接触していなくてもよい。また、弾性体部5663aおよび5663bと弾性体5663とは、別材料で構成されていてもよい。
さらに、単純化のため、図88から図90に図示した実施例58から実施例60においては携帯電話筐体の振動を外部の弾性体で被覆抑制する構成を示し、図91の実施例61では携帯電話筐体の振動を携帯電話の内部構成の重量の押圧固着で抑制する構成を示した。しかしながら、これらは実施例のように別々に採用する場合に限らず、両者を併用して携帯電話筐体内部および外部からその振動を抑制するよう構成してもよい。
図92は、本発明の実施の形態に係る実施例62に関する斜視図および側面図であり、固定電話5800として構成される。図92(A)の斜視図に示すように、固定電話5800は電話機本体5801およびコードレス受話器5881からなる。電話機本体5801には表示部5805、テレビ電話用カメラ5817、テレビ電話用のマイク5823、テレビ電話用のスピーカ5851などが設けられている。
図92(B)は、固定電話5800の子機5881が充電器5848に立てられている状態を示す。子機5881は、図92(A)におけるコードレス受話器5881と同じものなので同一の番号で図示している。コードレス受話器または子機5881(以下、コードレス受話器5881で代表)は、図92(B)に示すように、緩やかな凸面をなす軟骨伝導部5824を有しており、この軟骨伝導部5824は、コードレス受話器5881が耳に当てられたとき、外耳道口を底とする耳の窪みに自然に納まり、広い面積で耳軟骨と接触するようになる。コードレス受話器または子機5881は、また、携帯電話の実施例で示したのと同様の送話部1423を有する。
図92(C)は、コードレス受話器または子機5881の側面を図示しており、コードレス受話器(または子機)5881が耳30に当てられたとき、緩やかな凸面をなす軟骨伝導部5824が外耳道口を底とする耳の窪みに納まり、広い面積で耳軟骨と接触している様子を示している。図92(C)の側面図に明らかなように、実施例62では、軟骨伝導部5824は球面の一部をなす形状となっている。通常の受話器における耳あて部は、耳の前に閉空間を形成するために凹面をなしているが、本発明による軟骨伝導による受話器では逆に凸面となっていて、外耳道口を底とする耳の窪みによく馴染む自然な形状とすることができる。
図93は、実施例62のブロック図であり、同一部分には図92と同一番号を付す。また、ブロック図の構成は図29の実施例17と共通する部分が多いので対応する部分にはこれらの各部と同一の番号を付す。そして、これら同一または共通部分については、特に必要のない限り、説明を省略する。さらに、同一の番号を付さなかった部分についても、例えばテレビ電話用カメラ5817は、図29の携帯電話1601におけるテレビ電話用内側カメラ17に対応しており、その機能は基本的には同じである。また、実施例62は固定電話であるので携帯電話とはシステムが異なるが、電話機能としての基本は同じなので、図93でも電話機能部5845として同様の図示をしている。電源部についても同様であり、電源は異なるが基本的な機能は同じなので、図29と同一の番号を付している。なお、図93では、電話機本体5801または充電器5848にコードレス受話器(または子機)5881を置いて充電を行うための充電用接点1448aおよび1548aを図示している。
図94は、実施例62およびその変形例におけるコードレス受話器の側断面図であり、軟骨伝導振動源をなす圧電バイモルフ素子と凸面となっている軟骨伝導部との関係を示すものである。図94(A)は実施例62のコードレス受話器5881の側断面図を示し、軟骨伝導部5824の内側に振動伝導体5827を固設し、この振動伝導体5827に圧電バイモルフ素子2525dの中央部を支持させている。圧電バイモルフ素子2525dの両端はフリーに振動でき、その反作用が振動伝導体5827を介して軟骨伝導部5824に伝達される。
図94(B)は、実施例62の第1変形例におけるコードレス受話器5881aの側断面図である。実施例62のコードレス受話器5881aにおける軟骨伝導部5824は球面の一部であったが、第1変形例における軟骨伝導部5824aでは、その形状が鈍角の円錐(コーン)状となっている。軟骨伝導部5824aの内側に振動伝導体5827aを固設して圧電バイモルフ素子2525eの中央部を支持させる構成は実施例62と共通である。
図94(C)は、実施例62の第2変形例におけるコードレス受話器5881bの側断面図である。第2変形例のコードレス受話器5881bにおける軟骨伝導部5824bの形状は、第1変形例と同様にして鈍角の円錐(コーン)状となっている。図94(C)における第2変形例では、軟骨伝導部5824bの内側に振動伝導体5827bを固設して圧電バイモルフ素子2525fの一端を支持させている。圧電バイモルフ素子2525fの他端はフリーに振動でき、その反作用が振動伝導体5827bを介して軟骨伝導部5824bに伝達される。
図94(D)は、実施例62の第3変形例におけるコードレス受話器5881cの側断面図である。第3変形例のコードレス受話器5881cにおける軟骨伝導部5824cの形状は、第1変形例および第2変形例と同様にして鈍角の円錐(コーン)状となっている。図94(D)における第3変形例では、低音側担当の圧電バイモルフ素子2525gおよび高音側担当の圧電バイモルフ素子2525hを、その振動面側が接するようそれぞれ軟骨伝導部5824cの内側に直接貼り付けている。これにより、圧電バイモルフ素子2525gおよび圧電バイモルフ素子2525hの振動が直接に軟骨伝導部5824cに伝達される。このように、周波数特性の異なる複数の軟骨伝導振動源を相補的に用いることにより、軟骨伝導の周波数特性を改善することができる。
図94(B)から図94(D)の各変形例では凸面の軟骨伝導部を円錐(コーン)状としているが、このように構成することにより、外耳道口の大きさの個人差にかかわらず、円錐(コーン)の側面が外耳道口にフィットし、外耳道口の全周からの軟骨伝導を実現できる。
図95は、本発明の実施の形態に係る実施例63に関する断面図であり、ステレオヘッドフォン5981として構成される。図95(A)はステレオヘッドフォン5981全体の断面図であり、右耳用軟骨伝導部5924および左耳用軟骨伝導部5926を有する。右耳用軟骨伝導部5924および左耳用軟骨伝導部5926はそれぞれ円錐(コーン)状の凸形状となっている。そして、右耳用軟骨伝導部5924の内側には、圧電バイモルフ素子2525iおよび圧電バイモルフ素子2525jがその振動面側が接するようそれぞれ貼り付けられている。この構造は、図94(D)における実施例62の第3変形例と基本的に共通である。同様にして、左耳用軟骨伝導部5926の内側にも、圧電バイモルフ素子2525kおよび圧電バイモルフ素子2525mがその振動面側が接するようそれぞれ貼り付けられている。
図95(B)および図95(C)は、右耳用軟骨伝導部5924(および左耳用軟骨伝導部5926)を円錐(コーン)状の凸面としたことにより、外耳道口30aの大きさの個人差にかかわらず右耳用軟骨伝導部5924(および左耳用軟骨伝導部5926)を外耳道口30aにフィットさせることができることを説明するためのものであり、それぞれ、実施例63における右耳用軟骨伝導部5924の部分を拡大して代表的に示している。図95(B)は、外耳道口30aが比較的小さい個人がステレオヘッドフォン5981を使用した場合を示し、右耳用軟骨伝導部5924の円錐の比較的先端部分が外耳道口30aの全周に接している。これに対し、図95(C)は、外耳道口30aが比較的大きい個人がステレオヘッドフォン5981を使用した場合を示し、右耳用軟骨伝導部5924の円錐がより深く外耳道に入り込んで円錐の比較的根本の部分が外耳道口30aの全周に接している。しかしながら、図95(B)および図95(C)を考察すれば明らかなように、右耳用軟骨伝導部5924の円錐が外耳道口30aに入り込む深さは軟骨伝導には大きな影響はなく、右耳用軟骨伝導部5924を円錐状としたことにより、外耳道口30aの大きさの個人差にかかわらず右耳用軟骨伝導部5924が常に外耳道口30aの全周に好適に接することがわかる。なお、左耳用軟骨伝導部5926についても、右耳用軟骨伝導部5924と同様にして、外耳道口30aの個人差にかかわらず外耳道口30aの全周に好適に接する。
なお、実施例63のように、円錐形状の凸面をなす軟骨伝導部と、軟骨伝導部に振動を伝達する軟骨伝導振動源とを有する音声出力装置を一対用いてステレオオーディオ出力装置を構成すれば、軟骨伝導部を左右から挟み込んでそれぞれ両耳の外耳道口に押圧できるので、円錐形状の凸面をなす軟骨伝導部と外耳道口の全周との好適な接触を図ることができる。
なお、実施例63では、右耳用軟骨伝導部5924及び左耳用軟骨伝導部5926の円錐を、図94(D)における実施例62の第3変形例と同様に鈍角で構成しているが、これを必要に応じ鋭角に構成することは差し支えない。この場合、危険がないよう先端を丸めておく。また、実施例63では、右耳用軟骨伝導部5924および左耳用軟骨伝導部5926にそれぞれ周波数特性が同一の圧電バイモルフ素子を二つ貼り付けているが、これを図94(D)における実施例62の第3変形例のように周波数特性の異なるものとしてもよい。また、右耳用軟骨伝導部5924および左耳用軟骨伝導部5926にそれぞれ一つの圧電バイモルフ素子を設けるよう構成してもよい。その場合、直接貼り付けの他、図94(A)から図94(C)における実施例62およびその変形例のごとく振動伝導体を介して支持するよう構成してもよい。
上記の種々の本発明の特徴は上記の実施例に限らず、他の実施例による実施が可能である。例えば、上記実施例62および実施例63において、その軟骨伝導振動源として、圧電バイモルフ素子に換え、上記他の実施例に示したごとき電磁型振動子など他の振動源を採用することも可能である。また、上記実施例62は固定電話の受話器として、上記実施例63はヘッドフォンとして、それぞれ構成したが、上記の特徴の実施はこれに限るものではない。つまり上記の実施例において示した軟骨伝導振動部を凸面とすることに関する種々の特徴は、例えばイヤホン、または上記他の実施例に示したごときヘッドセットとして構成することも可能である。なお、本発明の固定電話への実施は、上記実施例62に示した特徴に限るものではなく、他の実施例において携帯電話等を実施例として示した種々の特徴は、適宜これらを固定電話の受話器として実施することが可能である。
図96は、本発明の実施の形態に係る実施例64に関する斜視図、断面図および上面図であり、携帯電話6001として構成される。なお、実施例64は、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源2525(以下圧電バイモルフ素子2525と表記)の保持構造を除き図83に示した実施例55と共通なので、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図96の実施例64は、図83の実施例55と同様にして圧電バイモルフ素子2525の主振動方向はGUI表示部3405と直交する向きであるが、その保持構造に特徴がある。図96(A)は、実施例64の携帯電話6001を正面から見た斜視図であるが、圧電バイモルフ素子2525を保持する構造は、右耳用軟骨伝導部6024、左耳用軟骨伝導部6026およびこれらを繋ぐ連結部6027を硬質材料によって一体成型して成る。そして、右耳用軟骨伝導部6024の内側に圧電バイモルフ素子2525が支持され、その振動を直接右耳用軟骨伝導部6024に接触する右耳軟骨に伝達することが可能となっている。さらに、右耳用軟骨伝導部6024に支持された圧電バイモルフ素子2525の振動は振動伝導体となっている連結部6027を通じて左耳用軟骨伝導部6026にも伝わるので、左耳用軟骨伝導部6026を左耳軟骨に接触させることで軟骨伝導を得ることも可能となっている。
さらに、上記の硬質の一体成型構造は、エチレン系樹脂、ウレタン系樹脂など弾性体6065を介して携帯電話6001の筐体に取り付けられており、硬質の一体成型構造が携帯電話6001の筐体に直接接触することがないようになっている。従って、弾性体6065が振動隔離材および緩衝材として機能し、圧電バイモルフ素子2525の振動が携帯電話6001の筐体に伝わるのが緩和される。これによって携帯電話6001の筐体の振動によって発生する気導音によって隣にいる人に受話音が聞こえて迷惑をかけたりプライバシーが漏れたりする恐れが防止される。なお、弾性体6065は軟骨伝導のための振動は伝えるので、弾性体6065の角部の正面側を耳軟骨に当てても良好な軟骨伝導を得ることができる。
図96(B)は、図96(A)のB1−B1断面(携帯電話6001を中央から切った状態の断面)における携帯電話6001の上部断面図である。図96(B)は上部中央断面の様子を示しており、一体成型構造における右耳用軟骨伝導部6024の内側に圧電バイモルフ素子2525の端子2525bが設けられている側を保持端として片持ち支持されている様子がわかる。なお、詳細構造の図示は省略するが、右耳用軟骨伝導部6024の内側は端子2525bおよびその接続スペースならびに接続線取り出し溝を確保して圧電バイモルフ素子2525を保持している。
一方、図96(B)から明らかなように、圧電バイモルフ素子2525の他端2525cは自由振動端となっているとともに、慣性ウエイト(慣性錘)6025が取り付けられている。慣性ウエイト6025は他端2525cの重量を増加させることによって、他端2525cの動きを慣性によって抑制し、その反作用として圧電バイモルフ素子2525の振動により保持端側から取り出す振動エネルギーを増加させるためのものである。言い換えると、慣性ウエイト6025側を支点として圧電バイモルフ素子2525の保持端側が硬質の一体成型構造とともに振動する成分を増加させるものである。
また、図96(B)から明らかなように、連結部6027の厚みは、右耳用軟骨伝導部6024および左耳用軟骨伝導部6026よりも薄くなっており、携帯電話6001の内部部品を迂回して天秤棒状に右耳用軟骨伝導部6024と左耳用軟骨伝導部6026を連結するようになっている。これによって、携帯電話6001の上部に配置するのが好適な内側カメラ6017等をレイアウトすることが可能となっている。このように連結部6027の厚みは、右耳用軟骨伝導部6024と左耳用軟骨伝導部6026の位置関係を剛体的に固定するのに充分であればよく、図96に示す以外の連結構造も可能である。また、振動伝導体としての機能面から見た連結部6027の断面積も比較的小さくて充分なので、この点からも連結部6027に関しては携帯電話6001内部の部品配置との関係で自由度が大きい。
図96(C)は、携帯電話6001を上面から見た外観図であり、右耳用軟骨伝導部6024、左耳用軟骨伝導部6026およびこれらを繋ぐ連結部6027からなる一体成型構造が露出している。またその両側を弾性体6065がはさむ形で露出している。図96(C)には、内部の圧電バイモルフ素子2525、慣性ウエイト6025および内側カメラ6017、並びに右耳用軟骨伝導部6024、連結部6027および左耳用軟骨伝導部6026の境目の相互関係を破線で示している。
図96(D)は、図96(A)〜(C)のB2−B2断面における携帯電話6001の上部側断面図である。側断面図においても、右耳用軟骨伝導部6024が携帯電話6001の筐体に直接接触することがないよう、振動隔離材および緩衝材としての弾性体6065を介して携帯電話6001の筐体に取り付けられているのがわかる。
図97は、本発明の実施の形態に係る実施例65に関する斜視図、断面図および上面図であり、携帯電話6101として構成される。実施例65は、右耳用軟骨伝導部6124、左耳用軟骨伝導部6126および連結部6127の形状およびこれに伴う弾性体6165の形状が異なる以外は図96の実施例64と共通なので、主に異なる部分について説明し、共通する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図97(A)の斜視図から明らかなように、実施例65においては右耳用軟骨伝導部6124、左耳用軟骨伝導部6126およびこれらを繋ぐ連結部6127が携帯電話6101の上部を覆う形状で硬質材料によって一体成型されている。これに伴って、弾性体6165は、この一体成型構造と携帯電話6101の筐体に上下から挟まれる位置に介在し、両者が直接接触することがないようにしている。
図97(B)は、図97(A)のB1−B1断面における携帯電話6101の上部断面図である。B1−B1断面は携帯電話6101を中央から切った状態の断面なので、図96(B)の実施例64との間で基本的な差はないが、B1−B1断面を携帯電話6101の正面側または背面側に近づくよう平行移動した場合の断面は、図97(A)からも明らかなように図96の実施例64とは異なったものとなる。なお、図97(B)からわかるように、実施例65では、端子が設けられていない側の端部2525cを保持端として圧電バイモルフ素子2525が右耳用軟骨伝導部6124の内側に片持ち支持されている。一方、圧電バイモルフ素子2525の端子2525bが設けられている端部は自由振動端となっていて、慣性ウエイト6125が取り付けられている。なお、詳細構造の図示は省略するが、慣性ウエイト6125の内側は、端子2525bおよびその接続スペースならびに接続線取り出し溝を確保して圧電バイモルフ素子2525に取り付けられている。このような保持端と慣性ウエイト取り付け端の選択は、実施例65に特有のものではなく、実施例64に実施例65の取り付け方を採用してもよく、またその逆も差し支えない。
図97(B)から明らかなように、実施例65においても連結部6127の厚みは、右耳用軟骨伝導部6124および左耳用軟骨伝導部6126よりも薄くなっており、携帯電話6101の内部部品を迂回して天秤棒状に右耳用軟骨伝導部6124と左耳用軟骨伝導部6126を連結するようになっている。実施例65では、連結部6127の幅が広く、上面全てを覆うようになっており、強度的にみて連結部6127の厚みをより薄くすることが可能となる。さらに、設計によっては、連結部6127が上面だけでなく正面側および背面側に回り込むよう構成してより強度を強くすることが可能であり、連結部6127の厚みをより薄くすることができる。
図97(C)は、携帯電話6101を上面から見た外観図であり、右耳用軟骨伝導部6124、左耳用軟骨伝導部6126およびこれらを繋ぐ連結部6127からなる一体成型構造だけが見えている。なお、図97(C)においても、内部の圧電バイモルフ素子2525、慣性ウエイト6125および内側カメラ6117、並びに右耳用軟骨伝導部6124、連結部6127および左耳用軟骨伝導部6126の境目の相互関係を破線で示している。
図97(D)は、図97(A)〜(C)のB2−B2断面における携帯電話6101の上部側断面図である。実施例65の側断面図においても、右耳用軟骨伝導部6124が携帯電話6101の筐体に直接接触することがないよう、振動隔離材および緩衝材としての弾性体6165を介して携帯電話6101の筐体に取り付けられているのがわかる。
図98は、本発明の実施の形態に係る実施例66に関する斜視図、断面図および上面図であり、携帯電話6201として構成される。実施例66も、右耳用軟骨伝導部6224、左耳用軟骨伝導部6226および連結部6227の形状およびこれに伴う弾性体6265の形状が異なる以外は図96の実施例64または図97の実施例65と共通なので、主に異なる部分について説明し、共通する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図98(A)の斜視図から明らかなように、実施例66においては右耳用軟骨伝導部6224、左耳用軟骨伝導部6226は外部に露出しているが、これらは筐体の内側で繋がれており連結部6227は外部からは見えない。これに伴って、弾性体6265も、外部からは、右耳用軟骨伝導部6224および左耳用軟骨伝導部6226を携帯電話6201の筐体から隔離する部分のみで見えているだけであるが、右耳用軟骨伝導部6224及び左耳用軟骨伝導部6226と筐体が直接接触しないようにしている。従って、外観に関する限り、実施例66は外観上、図83の実施例55と共通といえる。しかしながらその内部構造は以下に説明するように異なる。
図98(B)は、図98(A)のB1−B1断面における携帯電話6201の上部断面図である。図98(B)から明らかなように、実施例66では、右耳用軟骨伝導部6224および左耳用軟骨伝導部6226の間は、連結部6227によって筐体の内側で繋がれている。なお、連結部6227は筐体内部に触れることない。実施例66のように、圧電バイモルフ素子2525を支持する右耳用軟骨伝導部6224の振動を左耳用軟骨伝導部6226に伝達する機能、および、右耳用軟骨伝導部6224と左耳用軟骨伝導部6226を剛体的に一体化する機能は、筐体内側の連結部6227によっても可能である。
図98(C)は、携帯電話6201を上面から見た外観図であり、携帯電話6201上部の両角に、それぞれ右耳用軟骨伝導部6224と左耳用軟骨伝導部6226およびこれらの振動を筐体から遮断する弾性体6265が見えている。なお、図98(C)においても、内部の圧電バイモルフ素子2525、慣性ウエイト6225および内側カメラ6217および連結部6227の相互関係を破線で示している。
図98(D)は、図98(A)〜(C)のB2−B2断面における携帯電話6201の上部側断面図である。実施例98の側断面図は、図97(B)の実施例65との間で基本的な差はないが、B2−B2断面を携帯電話6201の側面から中央側に平行移動した場合の断面は、図98(A)からも明らかなように図97の実施例65とは異なったものとなる。
以上の図96から図98の実施例64から実施例66では、圧電バイモルフ素子2525の主振動方向はGUI表示部3405と直交する向きとして説明した。しかしながら、これらの実施例において圧電バイモルフ素子2525を保持する向きはこれに限るものではなく、圧電バイモルフ素子2525の主振動方向をGUI表示部3405と平行な方向(携帯電話の上下方向)となるようにしてもよい。これらの圧電バイモルフ素子2525の主振動方向の設定については、図83の実施例55との関係において図86の実施例56で既に詳述したとおりである。
図99は、本発明の実施の形態に係る実施例67に関する斜視図および断面図であり、携帯電話6301として構成される。実施例67は、右耳用軟骨伝導部と左耳用軟骨伝導を連結部で剛体的に連結している図98の実施例66の構造を図83の実施例55に応用したものであり、その他の点においては共通なので、共通する部分には図83の実施例55と同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
実施例67は、図99(B)に明らかなように右耳用軟骨伝導部6324および左耳用軟骨伝導部6326の間が、連結部6327によって筐体の内側で剛体的に一体に繋がれている。また、連結部6327は筐体内部に触れることはない。この点では、実施例67は、図98の実施例66と共通といえる。しかしながら、機能的に見ると、図99の実施例67では、圧電バイモルフ2525の振動が右耳用軟骨伝導部6324および左耳用軟骨伝導部6326にそれぞれ直接伝えられており、その意味だけでは連結部6327による振動伝達路は冗長となっている。
しかしながら、実施例67のように右耳用軟骨伝導部6324と左耳用軟骨伝導部6326の間で振動を伝達する必要がない場合においても、連結部6327によって両者を一体化することは、筐体への取り付け安定化の上で大きな意義がある。具体的に説明すると、一般に、右耳用軟骨伝導部6324と左耳用軟骨伝導部6326から筐体への振動伝達を抑制するために両者間の弾性体6365を柔らかくしたり厚くしたりすると、その反面で、右耳用軟骨伝導部6324と左耳用軟骨伝導部6326の筐体への保持が不安定になる。これに対し、実施例67のように連結部6327によって右耳用軟骨伝導部6324と左耳用軟骨伝導部6326を剛体的に連結すると両者の相互位置が保たれ、弾性体6365を柔らかくしたり厚くしたりしても両者をより安定して筐体に取り付けることができる。
図100は、本発明の実施の形態に係る実施例68に関する断面図であり、携帯電話6401として構成される。実施例68は、右耳用軟骨伝導部と左耳用軟骨伝導を連結部で剛体的に連結する図97の実施例65の構造を図77の実施例52に応用したものであり、その他の点においては共通なので、共通する部分には図77の実施例52と同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図100の実施例68では、図97の実施例65と同様にして、右耳用軟骨伝導部6424、左耳用軟骨伝導部6426およびこれらを繋ぐ連結部6427が携帯電話6401の上部を覆う形状で硬質材料によって一体成型されている。また、弾性体6465は、この一体成型構造と携帯電話6401の筐体に上下から挟まれる位置に介在し、両者が直接接触することがないようにしている。右耳用軟骨伝導部6424には右耳用圧電バイモルフ素子2525qが、左耳用軟骨伝導部6426には左耳用圧電バイモルフ素子2525pが、それぞれ素子の片側をカンチレバー構造に支持する形で取り付けられている。実施例77と同様にして、右耳用圧電バイモルフ素子2525qおよび左耳用圧電バイモルフ素子2525pは互いに独立に制御可能である。
図100の実施例68でも、図99の実施例67と同様、連結部6427の第一の意義は右耳用軟骨伝導部6424と左耳用軟骨伝導部6326を剛体的に連結することで両者の相互位置を保ち、弾性体6465を柔らかくしたり厚くしたりしても両者をより安定して筐体に取り付けることができるようにすることにある。
図100の実施例68では、さらに、連結部6427を介し、左耳用圧電バイモルフ素子2525pの振動が右耳用軟骨伝導部6424の方向に伝達されるとともに、右耳用圧電バイモルフ素子2525qの振動が左耳用軟骨伝導部6426の方向に伝達される。このようにして、実施例68では、右耳用軟骨伝導部6424、左耳用軟骨伝導部6426およびこれらを繋ぐ連結部6427の一体成型構造の中で、左耳用圧電バイモルフ素子2525pの振動と右耳用圧電バイモルフ素子2525qの振動が混合される。この結果、左耳用圧電バイモルフ素子2525pと右耳用圧電バイモルフ素子2525qに互いに波形反転した振動を発生させたとき一体成型構造の中で互いの振動が打ち消し合い、一体成型構造全体から携帯電話6401の筐体に伝わる振動に基づく気導音の発生が抑制される。なお、このような状態においても、右耳用軟骨伝導部6424および左耳用軟骨伝導部6426の一方を耳軟骨に接触させたときは、直接保持している右耳用圧電バイモルフ素子2525qまたは左耳用圧電バイモルフ素子2525pの振動の方が連結部6427を経由する振動よりも大きいのでその差分が耳軟骨に良好に伝導する。
以上の各実施例に示した種々の特徴はそれぞれの実施例による実施に限るものではなく、他の種々の実施例において実施可能である。例えば、図100の実施例68を変形して右耳用圧電バイモルフ素子2525qを省略すれば図97の実施例65に準じた実施が可能となる。換言すれば、左耳用軟骨伝導部6426に支持された圧電バイモルフ素子2525pの振動が連結部6427を通じて右耳用軟骨伝導部6424にも伝わるので、圧電バイモルフ素子を保持しない右耳用軟骨伝導部6424を右耳軟骨に接触させても、良好な軟骨伝導を得ることが可能となる。この変形例にみられるように、連結部を通じて振動を伝達する軟骨伝導振動源の保持は、図97の実施例65におけるように圧電バイモルフ素子2525を横長方向に保持するものに限らず、上記図100の実施例68の変形におけるように圧電バイモルフ素子2525pを縦長方向に保持するものも可能である。これらは一例であって、携帯電話内部の種々の部品レイアウトに従い、この他の種々の形および向きで軟骨伝導振動源を配置保持することも可能である。
図101は、本発明の実施の形態に係る実施例69のシステム構成図および使用説明図である。図101(A)に示すように実施例69は、通常の携帯電話1601と軟骨伝導部6524を持つ超小型携帯電話6501よりなる携帯電話システムとして構成されており、両者の間はBluetooth(登録商標)などによる通信システムの電波6585により近距離通信可能である。実施例69の携帯電話システムは、図27および図28の実施例16および図29のブロック図に示す実施例17と共通するところが多い。従って、実施例69の説明は、外観については図27、内部構成については図29のブロック図をベースに行い、共通の部分には同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。
図101の実施例69が、実施例16や実施例17と異なるのは、上記のように、通常の携帯電話1601と近距離通信可能な軟骨伝導出力部分が、独立に機能可能な超小型携帯電話6501として構成されている点である。超小型携帯電話6501は、操作部6509および表示部6505により通常の携帯電話の通話操作が可能であるが、その送話部および受話部に特徴がある。まず、受話部については、超小型携帯電話6501上部の角に軟骨伝導部6524が設けられその内部で縦方向に圧電バイモルフ素子2525を片持ち保持している。この意味では実施例69の超小型携帯電話6501の構成は図66の実施例43と共通している。一方、送話部については、超小型携帯電話6501下部の角近辺に接触型の骨導マイク6523が設けられている。そして、超小型携帯電話6501は、軟骨伝導部6524を耳珠などの耳軟骨に接触させるとともに、骨導マイク6523を頬骨または下顎骨に当てて使用する。
図101(B)は、図2(A)に示すような要領で表示部6505が頬に面する向きで軟骨伝導部6524を耳珠などの耳軟骨に接触させるとともに、骨導マイク6523を頬骨に当てている状態を示す。なお、図101(B)では、上下の位置関係を示すために軟骨伝導部6524および骨導マイク6523を図示しているが、同図のようにして使用した場合、これらは背後に位置することになるので、実際には正面からは見えない。
一方、図101(C)は、図21(A)に示すような要領で表示部6505が正面を向く向きで側面側より軟骨伝導部6524を耳珠などの耳軟骨に接触させるとともに、骨導マイク6523を頬骨に当てている状態を示す。実施例69の超小型携帯電話6501は小さいので、以上のように図101(B)または図101(C)いずれの形でも、超小型携帯電話6501を持ちやすい方向にして使用することができる。なお、図101(C)の要領で使用したときは、指が表示面6505を掴まないよう注意すれば、頬が表示面6505に接触して表示面6505が汚れるのを防止することができる。なお、骨導マイク6523については超小型携帯電話6501を顔に当てる角度を変えると軟骨伝導部6524を耳珠などの耳軟骨に接触させながら下顎骨の上部に当てることもできる。
通常の携帯電話1601と超小型携帯電話6501はそれぞれ別の電話番号を持っているので互いに独立して使用可能であるが、次に、近距離通信による通常の携帯電話1601と超小型携帯電話6501の連携について説明する。通常の携帯電話1601は、その大きさのため、待ち受け状態ではバッグの中に収納されることも少なくないが、超小型携帯電話6501はワイシャツのポケット等に気軽に入れて常に肌身離さず所持することができる。
両者の連携の第一は、上記のような所持状態において、超小型携帯電話6501を通常の携帯電話1601の着信バイブレータとして使用することである。つまり、通常の携帯電話1601に着信があったとき、近距離無線システムの電波6585によりこれを超小型携帯電話6501に伝達し、超小型携帯電話6501の着信バイブレータを作動させることで、通常の携帯電話1601がバッグ等に入っていても確実に着信に気づくことができる。なお、後述のように、実施例69では超小型携帯電話6501の着信バイブレータとして偏心モータ等を用いた専用着信バイブレータを採用しているが、実施例13に示すように軟骨伝導振動部を兼用して着信バイブレータとして振動させることも可能である。
両者の連携の第二は、上記のような所持状態において、超小型携帯電話6501を通常の携帯電話1601の受話器として使用することである。つまり、通常の携帯電話1601に着信があったとき、近距離無線システムの電波6585によりこれを超小型携帯電話6501に伝達し、超小型携帯電話6501において受信操作をしたのち、その軟骨伝導部6524および骨導マイク6523により通話を行う。これによって、通常の携帯電話1601において軟骨伝導の長所を生かした通話が可能である。このとき通常の携帯電話1601をバッグ等に入れたままにしておいてよいことは言うまでもない。
両者の連携の第三は、通常の携帯電話1601によるテレビ電話の際に超小型携帯電話6501を受話器として使用することである。テレビ電話の際は通常の携帯電話1601を顔から離して通話するのでマイクが口から遠くなるとともに相手の声も耳から離れたスピーカ出力されることになり、音響面では騒音の影響やプライバシー漏洩など支障が多い。これに対し、超小型携帯電話6501を受話器として使用すれば、通常の携帯電話1601におけるテレビ電話の際に軟骨伝導の長所を生かした通話が可能となる。以上の連携の詳細は後述する。
図102は、実施例69のブロック図であり、同一部分には図101と同一番号を付す。上記のように図102のブロック図は、図29のブロック図と共通する部分が多いので対応する部分にはこれらの各部と同一の番号を付している。特に通常の携帯電話1601は図29と図102では同じ構成である。但し、図102では一部の構成を省略している。なお、説明の都合上、図29において上方に配置図示されていた通常の携帯電話1601を、図102では、下方に配置図示している。
通常の携帯電話1601において着信があったとき、近距離通信部1446からの電波6585により近距離通信部6546にその旨が伝達され、制御部6539は予め設定された通常携帯電話着信報知用パターンにて着信バイブレータ6525を振動させる。また、制御部6539は表示部6505に通常の携帯電話1601への着信の旨を表示する。
操作部6509によって受信操作を行うと、その旨が近距離通信部6546からの電波6585により近距離通信部1446に伝達され、通常の携帯電話1601の制御部239は電話機能部45による通話を開始する。これによって、通常の携帯電話1601の受話処理部212から近距離通信部1446を介して超小型携帯電話6501の近距離通信部6546に受話音信号が伝達される。超小型携帯電話6501の受話処理部6512はこれに応じて軟骨伝導部6524を振動させる。一方、骨導マイク6523が拾った送話音は、超小型携帯電話6501の送話処理部6522から近距離通信部6546を介して通常の携帯電話1601の近距離通信部1446に伝達される。通常の携帯電話1601はこれに応じて電話通信部47を介して送話音信号を送信する。
一方、超小型携帯電話6501の着信があったときも、制御部6539が予め設定された超小型携帯電話着信報知用パターンにて着信バイブレータ6525を振動させる。また、制御部6539は表示部6505に超小型携帯電話6501への着信の旨を表示する。
操作部6509によって受信操作を行うと、制御部6539は電話機能部6545による通話を開始する。これによって、受話処理部6512は電話通信部6547が受信した受話信号に応じて軟骨伝導部6524を振動させる。一方、骨導マイク6523が拾った送話音に基づいて送話処理部6522は電話通信部6547を介して送話音信号を送信する。
以上のようにして、いずれの着信かは、着信バイブレータ6525の振動パターンを変えて設定しておくことによって識別できる。また、上記のように表示部6505においてもいずれの着信であるかが表示される。いずれの着信であっても、上記のように操作部6509の同じ操作により受信を開始することができる。なお、制御部6539は、他の実施例と同様にして記憶部6537に記憶されるプログラムに従って動作する。記憶部6537はまた、制御部6539の制御に必要なデータを一時記憶するとともに、種々の測定データや画像も記憶することができる。電源部6548は、超小型携帯電話6501の各部に必要な電源を供給する。
図103は、本発明の実施の形態に係る実施例70の斜視図であり、携帯電話6601として構成される。実施例70の携帯電話6601は、図101および図102における実施例69の携帯電話システムと共通するところが多いので、共通の部分には同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。
図103の実施例70が、実施例69と異なるのは、近距離通信可能な軟骨伝導出力部分が独立に機能可能な携帯電話として構成されるのではなく、携帯電話6601の一部をなす分離可能な送受話部として構成されている点である。この意味では実施例70の構成は図24の実施例13と共通である。以下具体的に図103に基づいて説明する。
携帯電話6601は、図103(A)に示すように携帯電話下部6601aおよび携帯電話上部6601bからなり、両者は分離可能である。なお、携帯電話下部6601aと携帯電話上部6601bの結合分離は、面ファスナーや嵌め合い構造など適宜の周知手段を活用する。携帯電話上部6601bにおいては、他の実施例と同様にして携帯電話6601上部の角に軟骨伝導部6626が設けられその内部で横縦方向に圧電バイモルフ素子2525を片持ち保持している。この構造は、左右の向きは逆であるが、図65の実施例42と共通している。一方、送話部については、携帯電話6601上部の他方の角近辺に接触型の骨導マイク6523が設けられている。上部用操作部6609は携帯電話上部6601bを分離した際に受信操作などを行うためのもので、図103(A)のように携帯電話下部6601aに結合されているときは誤動作防止のため操作が無効化されている。
携帯電話6601は、通常は図103(A)のようにして携帯電話下部6601aおよび携帯電話上部6601bが結合されている状態で使用される。このとき、圧電バイモルフ素子2525の振動および通常のマイク223が有効化されるとともに、骨導マイク6523および通常のイヤホン213は無効化される。この状態での使用は他の携帯電話の実施例と共通である。
実施例70の携帯電話6601は、さらに図103(B)のように携帯電話上部6601bを携帯電話下部6601aから分離して使用可能である。このとき、携帯電話上部6601bでは、圧電バイモルフ素子2525の振動とともに骨導マイク6523および上部用操作部6609の操作が有効化される。また、携帯電話下部6601aでも、通常のマイク223とともに通常のイヤホン213も有効化される。なお、上記の骨導マイク6523、通常のイヤホン213および上部用操作部6609における有効化と無効化との切換えは、後述するように携帯電話下部6601aと携帯電話上部6601bが結合しているか分離しているかを判断することにより自動的に行われる。このようにして、図103(B)の状態では、携帯電話下部6601aが独立した通常の携帯電話として機能するとともに、携帯電話上部6601bは携帯電話下部6601aのためのワイヤレスの送受話部として機能する。
上記のような図103(B)の状態での使用は、図101の実施例69に準じて理解できる。すなわち、分離された携帯電話上部6601bは、実施例69の超小型携帯電話6501と同様にして、第一に携帯電話下部6601aの着信バイブレータとして機能し、第二に携帯電話下部6601aが例えばバッグ等に入れたままでの軟骨伝導通話を可能にし、第三に携帯電話下部6601aを顔から離したテレビ電話における軟骨伝導通話を可能にする。軟骨伝導通話の際には、実施例69の超小型携帯電話6501と同様にして、軟骨伝導部6626を耳珠などの耳軟骨に接触させるとともに、骨導マイク6523を頬骨または下顎骨に当てて使用する。
図103(B)に示すように、携帯電話上部6601bには、衣服のポケットの口等に挟むためのクリップ6601cが設けられている。このクリップ6601cは携帯電話下部6601aとの結合状態では、収納凹部6601d内に納まっていて図103(A)に示すように外部からは見えない。携帯電話上部6601bにはさらに一対の充電接点6648aが設けられており、結合状態では携帯電話下部6601aの副充電接点1448bと接触する。これは、図103(A)における結合状態において、携帯電話下部6601aに充電が行われるとき副充電接点1448bと充電接点6648aの接触を介して携帯電話上部6601bを共に充電するためである。また、副充電接点1448bと充電接点6648aの接触および非接触は、上述の携帯電話下部6601aと携帯電話上部6601bとの結合および分離の判断に利用され、骨導マイク6523、通常のイヤホン213および上部用操作部6609における有効化と無効化とを自動的に切換える。
図104は、実施例70のブロック図であり、同一部分には図102と同一番号を付す。図104は、図102における実施例69のブロック図と共通する部分が多いので対応する部分にはこれらの各部と同一の番号を付し説明を省略する。
図104の携帯電話上部6601bが図102の超小型携帯電話6501と異なる第一点は、充電接点6648aから電源部6648が充電されるようになっている点である。第二点は、上部用操作部6609が設けられていて、上記のように分離時の受信操作を制御部6639に伝える点である。なお、制御部6639は充電接点6648aの状態に基づいて接触状態か非接触状態かを判断し、接触状態と判断している状態において上部用操作部6609を操作しても制御部6639はこれを無効として受け付けない。第三点は、携帯電話上部6601bに独立して機能する電話機能部がなく携帯電話上部6601bのための送受話部6645に置換されている点である。第四点は、上記のように充電接点6648aが接触状態にあると判断している状態においては制御部6639が送受話部6645の骨導マイク6523を無効化する点である。
図104の携帯電話下部6601aが図102の通常の携帯電話1601と異なる第一点は、電源部1448が主充電接点1448aを介して外部の充電器から充電されるとき、その一部を副充電接点1448bを介して携帯電話上部6601bの充電接点6648aに供給できるよう構成されている点である。第二点は、副充電接点1448bが接触状態にあると判断している状態においては制御部239が電話機能部45の通常のイヤホン213を無効化する点である。
図105は、本発明の実施の形態に係る実施例71の斜視図および断面図であり、携帯電話6701として構成される。実施例71の携帯電話6701は、図103および図104における実施例70の携帯電話6601と共通するところが多いので、共通の部分には同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。
図105の実施例71と実施例70との主な違いは、携帯電話が上部と下部に分離可能であることを活用し、両者が結合している状態において上部に設けられた軟骨伝導部の振動が下部に伝わりにくくした構造にある。以下具体的に図105に基づいて説明する。
図105(A)に示すように、実施例71の携帯電話6701は、実施例70と同様に携帯電話下部6701aおよび携帯電話上部6701bからなり、両者は分離可能である。携帯電話上部6701bにおいては、携帯電話6701上部の左角に硬質の左耳用軟骨伝導部6726が設けられ、その内部で横縦方向に圧電バイモルフ素子2525を片持ち保持している。さらに、携帯電話上部6701bには、携帯電話6701上部の右角に硬質の右耳用軟骨伝導部6724が設けられている。左耳用軟骨伝導部6726と右耳用軟骨伝導部6724の間は同一材料の硬質連結部で一体連結されており、左耳用軟骨伝導部6726で受けた圧電バイモルフ素子2525の振動を右耳用軟骨伝導部6724にも伝達している。この意味では、実施例71は、図96から図99における実施例64から実施例67と共通である。図105では煩雑を避けるため図示していないが、左耳用軟骨伝導部6726と右耳用軟骨伝導部6724を連結する連結部としては、図96から図99における連結部6027、6127、6227および6327における構造またはこれに類する構造を適宜採用することができる。なお、実施例71の携帯電話上部6701bには、骨導マイクは設けられていない。
実施例71では、図105(A)に示すように携帯電話下部6701aの上端に弾性体6765を固着することにより、携帯電話上部6701bの圧電バイモルフ素子2525の振動が携帯電話下部6701aに伝わりにくいようにしている。弾性体6765の意義は、図96から図99の実施例64から実施例67における弾性体6065、6165、6265および6365と同様である。なお、実施例71の場合、結合部分の片側が弾性体6765であることに着目し、その弾性を利用して面ファスナーを構成することが可能である。例えば、図105(B)の部分断面図に示すように、携帯電話上部6701b側の結合面に茸状突起6701cを複数設け、対向する弾性体6765側の面のそれぞれ対応する場所に小さな孔6765aを複数設けるようにする。なお、孔6765aの径は、茸状突起6701cの頭の部分よりは小さく根本の部分より大きいように設定しておく。このような構成により、茸状突起6701cを弾性体6765の弾性に抗して孔6765aにそれぞれ嵌入させれば携帯電話上部6701bと弾性体6765を結合することができる。なお、図105(B)に示した面ファスナー構造は、弾性体6765と携帯電話下部6701aとの固着にも原理的に利用することができる。但しこの場合、携帯電話下部6701aの上面に設けるべき茸状突起の頭は図105(B)のような滑らかな球状ではなく、例えば鋭利な三角錐とし、一度弾性体6765の孔に食い込ませれば抜けない、いわゆる「嵌め殺し」の構造とする。
図105(C)は、携帯電話上部6701bを携帯電話下部6701aから分離した状態を示す。図から明らかなように、副充電接点1448bは弾性体6765の表面に設けられている。なお、図105(C)では、煩雑を避けるため、図105(B)に示した茸状突起6701cおよび孔6765aの図示を省略している。実施例71では、携帯電話上部6701bを分離した状態のとき、受話は右耳用軟骨伝導部6724または左耳用軟骨伝導部6726のいずれかを耳軟骨に接触させるが、送話については図105(A)の結合状態と同様、携帯電話下部6701aの通常のマイク223を用いる。テレビ電話の際には、通常のマイク223をテレビ電話モードにして使用する。なお、右耳用軟骨伝導部6724および左耳用軟骨伝導部6726はいずれが右耳用でも左耳用でもないので任意に耳軟骨に接触させることができる。またいずれか一方の軟骨伝導部ではなく両者を活用し、耳軟骨の二か所に接触させて使用してもよい。
図106は、実施例71のブロック図であり、同一部分には図105と同一番号を付す。図106のブロック図は、図104における実施例70のブロック図と共通する部分が多いので対応する部分にはこれらの各部と同一の番号を付し説明を省略する。図106が図104と異なるのは、送話処理部と骨導マイクが省略されている点である。
本発明の各実施例に示した種々の特徴は、必ずしも個々の実施例に特有のものではなく、それぞれの実施例の特徴は、その利点が活用可能な限り、適宜、変形して活用したり、組合せて活用したりすることが可能である。例えば、実施例69から実施例71に示した骨導マイクは、気導音を拾う通常のマイクで構成してもよい。また、実施例70において、実施例71と同様にして骨導マイクを省略してもよい。逆に、実施例71において骨導マイクを採用することも可能である。このときは右用軟骨伝導部6724と左用軟骨伝導部6726に挟まれる携帯電話上部6701bの中央に骨導マイクを配置するのが好適である。この場合、軟骨伝導部と骨導マイクが近くなるので、骨導マイクを耳の後ろの骨に当て、軟骨伝導部については図33の実施例20や図37の実施例24のように耳軟骨の裏側に当てるような使用法も可能である。
また、実施例69から実施例71における軟骨伝導部は圧電バイモルフ素子を軟骨伝導振動源として構成したが、これに限るものではなく、他の実施例に示したような電磁型振動子を軟骨伝導振動源として採用してもよい。また実施例70では携帯電話上部の角部の一方に軟骨伝導振動源を支持するとともに他方に骨導マイクを配置しているが、携帯電話上部の両角部にそれぞれ右耳用および左耳用の軟骨伝導振動源を設ける場合、骨導マイクはこれら一対の軟骨伝導振動源に挟まれる携帯電話上部中央に配置するのが好適である。
さらに、実施例70または実施例71における携帯電話下部から携帯電話上部への充電手段としては、実施例に示したような電気接点によるものに限らず、例えば電磁誘導型の無接点充電によるものとして構成してもよい。
なお、実施例71においては、弾性体6765は携帯電話下部6701a側に固着するものとし、携帯電話上部6701bをこの弾性体6765に着脱可能としているが、このような実施に限るものではない。例えば、実施例71とは逆に、弾性体6765を携帯電話上部6701b側に固着し、携帯電話下部6701aの方を弾性体6765に着脱可能なものとして構成することも可能である。
図107は、本発明の実施の形態に係る実施例72に関するブロック図であり、携帯電話6801として構成される。実施例72は、図87の実施例57と同様にして、軟骨伝導振動源となる圧電バイモルフ素子5325の駆動回路を、携帯電話6801の各部に電源を供給するパワーマネジメント回路とともにワンチップの統合パワーマネジメントIC5303として構成したものである。図107のブロック図は図87のブロック図と共通するところが多いので、同じ部分には同じ番号を付し、説明を省略する。なお、実施例72の携帯電話6801は、実施例70や実施例71のように軟骨伝導部が分離可能なものではなく、例えば図97の実施例65におけるように、軟骨伝導部6124、6126が携帯電話本体に固着されており、これに圧電バイモルフ等の軟骨伝導振動源2525が保持されているものである。従って、テレビ電話時には軟骨伝導部が耳から離され、代わりにテレビ電話用スピーカ5351から気導音が発せられる。
図107の実施例72が図87の実施例57と異なるのはチャージポンプ回路5354への給電制御およびこれに伴う制御の構成である。具体的に述べると、チャージポンプ回路5354はスイッチ回路5354aを介してパワーマネジメント部5353に接続されており、制御部5321でスイッチ回路5354aをオンオフすることにより給電制御される。すなわち、チャージポンプ回路5354への給電は、着信信号または発呼信号に応答してスイッチ回路5354aをオンすることにより開始されるとともに、通話の遮断操作に応答してスイッチ回路5354aをオフすることにより停止される。また、スイッチ回路5354aのオフと連動して、制御部5321からチャージポンプ5354に供給される一対の位相反転クロック(3)も停止される。
なお、チャージポンプ回路5354のオンオフに際しては過渡的に電圧が安定せず、これに原因して圧電バイモルフ素子5325からポップ音が発生する。これを防止するため、アンプ5340と圧電バイモルフ素子5325の間にはミュート回路5340aが挿入されている。そして、制御部5321の制御によってチャージポンプ回路5354のオンオフに先立ちミュート回路5340aを所定時間オンし、アンプ5340の電圧変動が圧電バイモルフ素子5325に伝わらないようにする。ミュート回路5340aはチャージポンプ回路5354の安定に要する時間より若干長い時間オンが継続され、電圧の安定が充分見込まれるタイミングでオフしてミュートが外される。このようなミュート回路5340aのオンオフによって、チャージポンプ回路5354のオンオフ時のポップ音の発生が防止されるとともに、チャージポンプ回路5354がポップ音なしに給電状態となって圧電バイモルフ素子5325が駆動可能となる。
図108は、実施例72におけるチャージポンプ回路5354への給電制御を示すタイミングチャートである。図108(A)は着信した電話を受ける場合のタイミングチャートであり、待ち受け状態から着信が入ったタイミングt1にてまずミュート回路5340aがオンされる。このようにして圧電バイモルフ5325がアンプ5340の電圧変動の影響を受けない状態となったタイミングt2にてスイッチ回路5354aがオンされパワーマネジメント回路5353からチャージポンプ回路5354への給電が開始されるとともに、制御部5321からの位相反転クロック(3)の供給も開始する。図108(A)に斜線部で概念的に示すように、チャージポンプ回路5354は立ち上がりから所定の電圧に達するまでの過渡期において出力電圧が安定しない。ミュート回路5340aはこの過渡期を充分カバーする時間帯オンとなってミュート状態が継続され、電圧の安定が充分見込まれるタイミングt3でオフすることでミュートが外される。これによって、圧電バイモルフ素子5325はいつ受信操作が行われても軟骨伝導通話が可能な準備状態となる。着信信号が入った時点でこのような動作をさせるのは、受信操作がきわめて迅速に行われる場合も想定し、通話開始時に確実に圧電バイモルフ素子5325が駆動状態にあるようにするためである。
次いで、任意のタイミングt4において受信操作が行われると通話が開始される。そして、タイミングt5において通話遮断操作を行うと、これに応答してまずミュート回路5340aがオンされる。そして圧電バイモルフ5325がアンプ5340の電圧変動の影響を受けない状態となったタイミングt6にてスイッチ回路5354aがオフされ、パワーマネジメント回路5353からチャージポンプ回路5354への給電が断たれるとともに、制御部5321からの位相反転クロック(3)の供給も停止する。図108(A)に斜線部で概念的に示すように、チャージポンプ回路5354は機能停止の際の過渡期でも出力電圧が安定しない。ミュート回路5340aはこの過渡期を充分カバーする時間帯でオンが継続され、安定停止が見込まれるタイミングt7でオフされる。これによって、チャージポンプ回路5354のオフ時でも圧電バイモルフ素子5325からのポップ音等の発生が防止される。
図108(B)は電話をかける場合のタイミングチャートであり、タイミングt1で電話帳データの選択または手入力で宛先入力操作が開始される。この時点では、実際に電話がかけられるかどうかわからないのでチャージポンプ5354への給電は保留される。宛先入力操作が完了して任意の時点t2で発呼操作が行われると、これに応答してまずミュート回路5340aがオンされる。そして、図108(A)と同様にして、圧電バイモルフ5325がアンプ5340の電圧変動の影響を受けない状態となったタイミングt3にてスイッチ回路5354aがオンされ、パワーマネジメント回路5353からチャージポンプ回路5354への給電が開始されるとともに、制御部5321からの位相反転クロック(3)の供給も開始する。ミュート回路5340aは、図108(A)と同様にして、電圧の安定が充分見込まれるタイミングt4でオフされる。そして、発呼に応じて相手側が受信操作をすることによりタイミングt5で通話が開始される。発呼から相手が受信操作をするまでの時間は充分長いので、発呼操作に応答してチャージポンプ回路5354の立ち上げ処理に入れば、図108(B)に示すように、通話開始時に確実に圧電バイモルフ素子5325が駆動状態にあることが確実に期待される。なお、発呼操作により圧電バイモルフ5325を駆動状態にしても相手が受信操作をしなければ通話は開始しないが、相手が受信操作をしてから圧電バイモルフ素子5325を立ち上げると間に合わない場合があるので、通話の成立を待たず、圧電バイモルフ5325を駆動状態とする。
次いで、タイミングt6において通話遮断操作を行うと、これに応答して図108(A)と同様に、まずミュート回路5340aがオンされる。そして圧電バイモルフ5325がアンプ5340の電圧変動の影響を受けない状態となったタイミングt7にてスイッチ回路5354aがオフされ、パワーマネジメント回路5353からチャージポンプ回路5354への給電が断たれるとともに、制御部5321からの位相反転クロック(3)の供給も停止する。ミュート回路5340aは、図108(A)と同様にして、チャージポンプ回路5354の機能停止時の過渡期を充分カバーする時間帯でオンが継続され、安定停止が見込まれるタイミングt8でオフされる。これによって、図108(A)の場合と同様、チャージポンプ回路5354のオフ時でも圧電バイモルフ素子5325からのポップ音等の発生が防止される。なお、上記のように発呼操作をしても相手が受信操作をしない場合があり、このときは通話の成立なしに遮断操作が行われる。この場合は、発呼操作t2から遮断操作t6の間に図示されているt5からt6の通話状態がないものとして図108(B)を理解する。
図109は、図107および図108に示した実施例72におけるアプリケーションプロセッサ5339の動作のフローチャートである。なお、図109のフローは主にチャージポンプ回路5354への給電制御の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示している。従って実施例72においては、一般的な携帯電話の機能等、図109のフローに表記していないアプリケーションプロセッサ5339の動作も存在する。図109のフローは、携帯電話6801における主電源のオンでスタートし、ステップS302で初期立上および各部機能チェックを行うとともに表示部5305における画面表示を開始する。次いでステップS304では、チャージポンプ回路5354への給電をオフにしてステップS306に移行する。このように、実施例72の携帯電話6801は、まずチャージポンプ回路5354への給電をオフにして立ち上がる。
ステップS306では、着信の有無をチェックし、着信があればステップS308に移行してテレビ電話の着信か否かをチェックする。そしてテレビ電話でなければステップS310に移行してミュート回路5340aによる所定時間ミュートの開始を指示する。次いでステップS312に移行し、チャージポンプ回路5354のオンを指示してステップS314に移行する。なお、ステップS310およびステップS312は、理解の便のためアプリケーションプロセッサ5339の機能として説明したが、実際にはこの所定時間のミュートおよびチャージポンプ回路5354への給電オンのシーケンス制御は統合パワーマネジメントIC5303の制御部5321に任すよう構成する。この場合、ステップS310においては単にアプリケーションプロセッサ5339から制御部5321にチャージポンプ回路5354をオンするための指示が行われてステップS314に移行する。
ステップS314では、受信操作が行われたかどうかをチェックし、操作が検知されなければステップS306に戻り、着信が続いている限り、ステップS306からステップS312を繰り返す。なお、この場合、すでに所定時間のミュートおよびチャージポンプ回路5354への給電オンが指示済みであれば、ステップS310およびステップS312は省略される。一方、ステップS314で受信操作が検知されたときはステップS328の通話処理に移行する。
一方、ステップS306で着信が検知されない場合はステップS316に移行する。また、ステップS308でテレビ電話の着信が検知されたときはステップS318に移行しテレビ電話処理を行ってステップS316に移行する。ステップS318のテレビ電話処理は、テレビ電話の開始から通話およびその遮断までの処理に該当する。従って、ステップS318からステップS316に移行するのはテレビ電話が遮断されたときである。なお、テレビ電話処理では通話中の相手の音声を気導スピーカから発生させる処理も含まれる。このように、テレビ電話が検知された場合、圧電バイモルフ素子5325を耳軟骨から離した使用となるので、最初からチャージポンプ回路5354への給電は行われない。
ステップS316では、宛先入力操作が行われたか否かチェックし、入力操作があればステップS320に進んで発呼操作が行われたか否かチェックする。発呼操作があればステップS322に移行してテレビ電話の発呼か否かをチェックする。そしてテレビ電話でなければステップS324に移行してミュート回路5340aによる所定時間ミュートの開始を指示する。次いでステップS326に移行し、チャージポンプ回路5354のオンを指示してステップS328に移行する。なお、ステップS310およびステップS312と同様にして、ステップS324およびステップS326に関連するシーケンス制御は統合パワーマネジメントIC5303の制御部5321に任すよう構成する。
一方、ステップS316で宛先入力が検知されないとき、またはステップS320で発呼操作が検知されない場合はステップS336に移行する。また、ステップS322でテレビ電話の着信が検知されたときはステップS338に移行しテレビ電話処理を行ってステップS336に移行する。ステップS338のテレビ電話処理の場合、相手の受信操作待ちの処理および受信操作に基づくテレビ電話の開始から通話およびその遮断までの処理に該当する。従って、ステップS338からステップS336に移行するのはテレビ電話の通話が遮断されたとき、または、相手の受信操作なしに発呼が遮断されたときである。なお、ステップS338におけるテレビ電話処理では、ステップS318と同様にして、通話中の相手の音声は気導スピーカから発生させられ、チャージポンプ回路5354への給電は最初から行われない。
ステップS328では、ステップS314による受信操作またはステップS320における発呼操作に基づく通話処理が行われる。具体的に述べると、ステップS328における通話処理は、ステップS314経由の場合は通話中の機能を意味し、所定時間毎にステップS330に移行して遮断操作の有無をチェックする管理を含む。このようにして、ステップS330による遮断操作がない限りステップS328とステップS330を繰り返す。一方、ステップS320による発呼操作経由の場合は、相手の受信操作待ちの機能および受信操作後の通話中の機能を意味する。そしてこの場合も、所定時間毎にステップS330に移行して遮断操作の有無をチェックする。なお、このとき相手が受信処理をしないままステップS330で遮断操作が検知されたときは、ステップS328では結果的に相手の受信操作待ちの機能しか行われないことになる。
ステップS330において遮断操作が検知されるとステップS332に移行してミュート回路5340aによる所定時間ミュートの開始を指示する。次いでステップS334に移行し、チャージポンプ回路5354のオフを指示してステップS336に移行する。なお、ステップS310およびステップS312等と同様にして、ステップS332およびステップS334に関連するシーケンス制御は統合パワーマネジメントIC5303の制御部5321に任すよう構成する。
ステップS336では主電源がオフされたかどうかをチェックし、オフが検知されなければステップS306に戻って、以下、主電源のオフが検知されるまで上記一連のフローを繰り返す。そして主電源のオフが検知されればフローを終了する。
本発明の各実施例に示した種々の特徴は、必ずしも個々の実施例に特有のものではなく、それぞれの実施例の特徴は、その利点が活用可能な限り、適宜、変形して活用したり、組合せて活用したりすることが可能である。例えば、実施例72は、圧電バイモルフ素子の駆動のための昇圧回路としてチャージポンプ回路を採用しており、これは好適な選択であるが、これに限らず適宜他の昇圧回路を採用することを妨げるものではない。
図110は、本発明の実施の形態に係る実施例73に関する斜視図であり、携帯電話6901として構成される。実施例73は、外観的には、図83に示した実施例55と共通点が多く、内部構成及び機能については、図8および図10に示した実施例4と共通点が多いので、共通する部分にはこれらの実施例と同じ番号を付して説明を省略する。
図110の実施例73が実施例55または実施例4と異なるところは、正面から見た斜視図である図110(A)に示すように、テレビ電話用内側カメラ6917が携帯電話6901の下方右角付近に配置されていることである。実施例73では、軟骨伝導部5124および5126およびこれに振動を伝える内部の軟骨伝導振動源の配置のため携帯電話6901の上部はスペースに余裕がない。このため、実施例73では、テレビ電話用内側カメラ6917が表示画面6905を間にして軟骨伝導部5124および5126と反対側の携帯電話6901の下方右角付近に配置している。
さらに実施例73では、電話やメールの着信を光で知らせるためのLEDなどからなる表示ランプ6965が設けられているが、テレビ電話用内側カメラ6917はこの表示ランプ6965の近傍に配置される。そして、テレビ電話中に表示ランプ6965を不規則に点滅させることにより、視線がテレビ電話用内側カメラ6917に向くようにしている。これによって相手のテレビ電話の表示部に表示される顔の視線が正面を向くようになる。この点についてはさらに後述する。なお、図110(B)は、携帯電話6901の背面斜視図であって、背面主カメラ6955の配置を示す。
実施例73の携帯電話6901は、図110(C)に示すように表示画面6905の長辺が水平になるよう横持ちにして使用する。テレビ電話用内側カメラ6917は図110(A)で見て携帯電話6901の下方右角付近に配置しているため、図110(C)のように横持ちにすると、右上部の角に来る。これによってテレビ電話用内側カメラ6917は、テレビ電話中における使用者の顔を右上方から自然な角度で撮像することになる。また、テレビ電話用内側カメラ6917は、図110(C)のように表示画面6905の長辺に垂直な方向が撮像画像の上下方向となるよう配置されている。そして表示画面6905には、相手側も横持ちテレビ電話仕様となっている場合における相手の顔が表示されている。自分の顔についても、横持ち状態となっている相手の携帯電話の表示画面において、図110(C)と同様に表示される。縦持ち時と横持ち時の画像については、通常加速度センサ49による重力加速度検知によって保持姿勢を検知し、自動的に画像の向きを90度回転させるよう構成されるが、実施例73はこのように構成されるため、テレビ電話モードにおいては上記のような加速度センサ49による画像回転機能は停止される。なお、相手の携帯電話が横持ち仕様でないときは、自分の顔が画面の左右がカットされた縦長画像となって相手の携帯電話の表示部に表示される。また、相手の携帯電話が横持ち仕様でないときは表示画面の長辺方向が画像の上下方向なので、相手の顔はそのままでは横向きに表示されてしまう。従って、後述のように横持ち仕様でない携帯電話からの画像は自動的に90度回転した状態で表示画面6905に表示される。このとき相手の顔は縦長画像として中央に表示されるので、表示画面6905左右は何も表示されない空きスペースとなる。この空きスペースはデータ表示に利用できる。テレビ電話における自分の音声はマイク6923で拾われ、相手の声はスピーカ6951から出力される。
このとき、上述のように表示ランプ6965が不規則に点滅(例えば一回につき0.5秒程度で数度の点滅をセットとしたものを、一分間に数セット不規則に点灯させる)させられる。通常テレビ電話は表示画面6905の相手の顔を見て行うが、これは視線がテレビ電話用内側カメラ6917に向いていないことを意味する。従って、相手の画面でも視線は相手を見ていない状態となる。これに対し、上記の不規則点滅につられて表示ランプ6965に視線が動くと近傍にあるテレビ電話用内側カメラ6917に視線が向けられることになり、相手の画面では視線が相手に向いたような効果を得ることができる。
図110(D)は、表示画面6905を分割し、右側画面6905aに相手の顔を表示するとともに、左側画面6905bに背面主カメラ6955が撮像する画像をモニタ表示している状態を示す。そしてモニタ表示されている画像をテレビ電話用内側カメラ6917によって撮像される自分の顔とともに相手に送信するよう構成する。これによって自分の顔とともに自分の見ている風景等を相手に送ってテレビ電話の会話をすることができる。
図111は、上記のような実施例73における種々のテレビ電話モードを示す斜視図であり、図111(A)は、図110(D)と同じもので、右側画面6905aに相手の顔を表示するとともに、左側画面6905bにモニタ表示される背面主カメラ6955の撮像画像を相手に送信するモードである。
これに対し、図111(B)は、右側画面6905aに相手の顔を表示するとともに、左側画面6905bに相手から送信されてくる画像を表示しているモードである。図111(A)と、図111(B)のモードは、通話中の相手との合意によってお互いに携帯電話を操作して切換える。なお、送受信される画像は動画だけでなく静止画も可能である。また、送受信される画像データ量が多いときは、背面主カメラ6955の画像を送受信する間、お互いの顔の画像データをストップさせるようにして時分割で画像送信を行う。
なお、後述のように自分の顔と自分の見ている風景等を送信するにあたり、画質は落ちるが、背面主カメラ6955の画像とテレビ電話用内側カメラ6917の画像を合成して送信することも可能である。この場合、2画面による画像の送受信に対応していない携帯電話に対しても自分の顔と自分の見ている風景等を送信することができる。
図111(C)は、右側画面6905aに相手が送信してくる風景等の画像を表示するとともに、左側画面6905bに相手に送るべき背面主カメラ6955の画像をモニタ表示している状態を示す。この場合、お互いの見ている風景等を交換しながらテレビ電話を行うことができる。
図112は、実施例73におけるテレビ電話処理を示すフローチャートであり、図10に示す実施例4のステップS36におけるテレビ電話処理の詳細として理解できる。テレビ電話処理がスタートすると、ステップS342において表示画面6905に携帯電話6901を横持ちにして使用する旨のアドバイス表示がなされる。この表示はしばらく継続されるが、これと並行してフローは直ちにステップS346に進み、スピーカ6901をオンする。そして、ステップS348で携帯電話6901を横持ちにして使用する旨のアドバイスアナウンスが行われる。アナウンスの開始と並行してフローは直ちにステップS349に進み、加速度センサ49で検知される携帯電話6901の姿勢による画像の自動回転機能を停止させる。次いでステップS350に進み、相手の携帯電話が横位置対応のものかどうかのチェックが行われる。そし横持ち対応でなければステップS352に進み、受信画像の表示を90度回転させて横持ちで相手の顔が正立して見えるようにし、ステップS354に移行する。横持ち対応機種であれば、直ちにステップS354に移行する。
ステップS354では、テレビ電話用内側カメラ6917がオンされ、ステップS356でマイク6923がオンされる。そしてステップS358にて、テレビ電話用内側カメラ6917および背面主カメラ6955の両者を使用する「2カメラモード」か否かをチェックする。モードは予め手動設定でき、テレビ電話途中で変更することもできる。「2カメラモード」でなければ、ステップS360で背面主カメラ6955をオフする。元々オフであればこのステップでは何もしない。次いで、表示画面6905を全画面表示に設定するとともに、ステップS364で画像の送受信処理を行う。この処理は通常のテレビ電話と同じものであるが、処置の単位時間分の処理を行う。
ステップS364の処理が終わるとステップS368に進み、簡単な乱数処理等に基づき表示ランプ6965をランダム点灯させる時間が到来しているかどうかチェックする。そして点灯タイムになっていれば、ステップS370において、使用者の注目を促しその視線をテレビ電話用内側カメラ6917に誘導するための1セット分のLED点灯を指示してステップS372に移行する。点灯タイムが到来していければ直ちにステップS372に移行する。一方、ステップS358で「2カメラモード」であることが検知されるとステップS374に進み、背面主カメラ6955をオンしてステップS376の「2カメラモード」処理に進み、この処理が終わるとステップS372に移行する。ステップS376の「2カメラモード」処理の詳細については後述する。ステップS372ではテレビ電話の遮断操作が行われたかどうかチェックし、操作がなければステップS358に戻る。以下遮断操作が行われるまでステップS358からステップS376を繰りかえす。この繰り返しの中でモード変更に対応することもできる。一方、ステップS372で遮断操作が検知されたときはフローを終了し、図10のステップS38に移行する。
図113は、図112のステップS376における「2カメラモード」処理の詳細を示す。フローがスタートすると、ステップS382で合成動画モードがどうかチェックし、該当すればステップS384に進んでテレビ電話用内側カメラ6917と背面主カメラ6955の画像を合成し、ステップS386で合成画像の送信を指示する。さらにステップS388で全画面表示を指示し、ステップS390で受信した合成画像の表示を指示してステップS404に移行する。一方、ステップS382で合成動画モードが検知されない場合はステップS392に移行する。
ステップS392では、2画面表示を指示するとともに、ステップS394でテレビ電話用内側カメラ6917の画像送信を指示する。さらに、ステップS396では、受信された相手の顔の画像を右側表示画面6905aで表示する指示を行ってステップS398に移行する。ステップS398では、背面主カメラ6955の画像を送信するモードかどうかチェックし、該当すれば、ステップS400で背面主カメラ6955の画像を左側表示画面6905bでモニタ表示するとともに相手の携帯電話への送信を指示する。そしてステップS404に移行する。
一方、ステップS398で背面主カメラ6955の画像を送信するモードでないことが確認された場合は相手の画像を受信するモードであることを意味するのでステップS402に進み、受信した相手の背面主カメラの画像を左側表示画面6905bに表示する指示をしてステップS404に進む。ステップS404では表示ランプ6965をランダム点灯させる時間が到来しているかどうかチェックし、点灯タイムになっていれば、ステップS406において、表示ランプ6965による注目点滅を指示してステップS408に移行する。点灯タイムが到来していければ直ちにステップS408に移行する。その趣旨は、図112におけるステップS368およびステップS370と同じである。
ステップS408では「2カメラモード」によるテレビ電話の終了変更が行われたかチェックし、操作がなければステップS382に戻る。以下終了操作が行われるまでステップS382からステップS408を繰りかえす。この繰り返しの中でモード変更に対応することもできる。一方、ステップS408で終了操作が検知されたときはフローを終了し、図112のステップS372に移行する。
本発明の実施は、上記の実施例に限るものではなく、本発明の種々の利点は、他の実施形態においても享受できる。さらにこれらの特徴は、種々の実施例において差し替えたり組み合わせたりして活用することができる。例えば、図112および図113に示したフローチャートは、図109に示した実施例72のステップS318およびステップS338のテレビ電話処理にも採用できる。
なお、従来のテレビ電話用内側カメラは矩形の表示画面6905の長辺に平行な方向が撮像画像の上下方向となるよう配置されているのに対し、上記の実施例73におけるテレビ電話用内側カメラ6917は、図110(C)のように表示画面6905の長辺に垂直な方向が撮像画像の上下方向となるよう配置されている。この事情に基づく表示画像回転の混乱を避けるため、実施例73では、テレビ電話が設定されると、図112のステップS349により加速度センサ49に基づく表示画像の自動回転機能を停止させている。そして、ステップS350およびステップS352によって通常の携帯電話が相手のテレビ電話の際には、表示画像を90度回転させるようにしている。しかしながら、テレビ電話用内側カメラ6917において表示画面6905の長辺に垂直な方向が撮像画像の上下方向となるよう配置したことに基づく混乱の防止策はこれに限るものではない。例えば、加速度センサ49に基づく表示画像の自動回転機能を生かし、テレビ電話用内側カメラ6917の上下方向が通常から90度ずれている旨の情報の有無に基づいて自動回転機能による表示画像の向きを90度補正するよう構成してもよい。さらには、テレビ電話用内側カメラ6917を、従来と同様にして矩形の表示画面6905の長辺に平行な方向が撮像画像の上下方向となるよう配置し、テレビ電話の際には表示画像の自動回転機能により常に90度回転させるよう構成してもよい。
また、実施例73において軟骨伝導部5124の振動源を圧電バイモルフ素子で構成した場合、実施例4に説明したように衝撃センサとしても機能させることが可能なので、テレビ電話中における主カメラ画像送信モードと受信モードの切換えを、携帯電話6901を横に構えた人差し指などによる軟骨伝導部5124を軽く叩く衝撃の検知によって行うよう構成できる。さらに、実施例13や実施例17では、軟骨伝導部を着信バイブレータとして機能させているが、同様にして実施例73の軟骨伝導部5124または5126を、報知用の振動部として兼用することも可能である。例えば一分毎に軟骨伝導部5124または5126に所定の振動をさせることによって、テレビ電話の時間経過を携帯電話6901を横に構えた手に伝えるよう構成できる。
図114は、本発明の実施の形態に係る実施例74に関するブロック図であり、携帯電話のための軟骨伝導振動源装置として構成される。実施例74は、図79および図80で検討した携帯電話の実測データおよび耳の構造に基づく考察、およびこれに基づいて構成した図82の実施例54における周波数特性修正部(軟骨伝導イコライザ5038および軟骨伝導ローパスフィルタ5040)の検討等を基礎としている。また、構成的には、図87の実施例57または図107の実施例72における統合パワーマネジメントIC5303のアナログフロントエンド部5336、軟骨伝導音響処理部5338、チャージポンプ回路5354およびアンプ5340に対応する機能に関する。従って、その構成の意義の詳細についてはこれらの記載を参照して理解することができるので、重複した説明は省略する。
図114の実施例74は、通常の携帯電話におけるアプリケーションプロセッサ7039およびパワーマネジメント回路7053により制御可能な軟骨伝導振動源装置を提供するものであって、具体的には軟骨伝導振動源としての圧電バイモルフ素子7013(等価回路としてのコンデンサとともに図示)およびそのドライバ回路7003として構成される。ドライバ回路7003は、基本的には圧電バイモルフ素子7013のための駆動アンプであるがその中に周波数特性修正部となるアナログ音響処理回路7038を内蔵しており、通常のアプリケーションプロセッサ7039からの音声出力を接続するだけで圧電バイモルフ素子7013を軟骨伝導振動源として好適な周波数特性で駆動させることが可能となっている。
具体的に述べると、アプリケーションプロセッサ7039のスピーカ用アナログ出力部7039aから差動で出力されるアナログ音声信号はアナログ入力アンプ7036に入力され、アナログ音響処理回路7038を経てアナログ出力アンプ7040aおよび7040bから出力され、差動で圧電バイモルフ素子7013を駆動する。なおドライバ回路7003はアナログ出力アンプ7040aおよび7040bのための昇圧回路7054(具体的にはチャージポン部回路よりなる)を内蔵しているので、通常のパワーマネジメント回路7053の出力電圧(2.7〜5.5V)を電源入力部7054aから電源電圧として入力することにより駆動可能である。
アナログ音響処理回路7038は、図82の実施例54における軟骨伝導イコライザ5038や軟骨伝導ローパスフィルタ5040と同様の機能を有するとともに、クリック音やポップ音を自動で低減する起動シーケンス回路として機能する。また、軟骨伝導イコライザ5038や軟骨伝導ローパスフィルタ5040による周波数特性の修正は一律に設定する場合の他、耳年齢等に応じてカスタム設定したり調整したりすることも可能である。
図115は、本発明の実施の形態に係る実施例75に関するブロック図である。実施例75は、実施例74と同様にして携帯電話のための軟骨伝導振動源装置として構成され、共通する部分が多いので、同様の構成には同じ番号を付して説明を省略する。図114の実施例74がオールアナログ回路で構成されているのに対し、図115の実施例75はドライバ回路7103においてデジタル音響処理回路7138を採用した点が異なる。
但しドライバ回路7103の入力と出力は実施例74と同様にしてアナログであり、入力アナログ信号がDA変換回路7138aでデジタル信号に変換されてデジタル音響処理回路7138に入力されるとともに、デジタル音響処理回路7138のデジタル出力は、DA変換回路7138bでアナログ信号に変換されてアナログ出力アンプ7040aおよび7040bに伝達される。なお、ドライバ回路7103への入力は差動ではなく、アプリケーションプロセッサ7039のアナログ出力7039bからのアナログ音声信号が入力される。入力を差動で行うか否かは実施例74および75にそれぞれ特有の事項ではないので、アプリケーションプロセッサ7039との接続の事情に応じ適宜構成すればよい。
図116は、本発明の実施の形態に係る実施例76に関するブロック図である。実施例76は、実施例74、75と同様にして携帯電話のための軟骨伝導振動源装置として構成され、共通する部分が多いので、同様の構成には同じ番号を付して説明を省略する。図116の実施例76が実施例74または75と異なるのは、アプリケーションプロセッサ7039のデジタル出力部(I2S)7039cからのデジタル音声信号がドライバ回路7203に入力される点である。そして、実施例75と同様のデジタル音響処理回路7138にアプリケーションプロセッサ7039からのデジタル音声信号が入力部7236にて直接入力される。
なお、デジタル音響処理回路7138からのデジタル出力はDA変換回路7138cでアナログ信号に変換されてアナログ出力アンプ7240aに伝達されるとともに、アナログ出力アンプ7240bで反転され、差動で圧電バイモルフ素子7013を駆動する。なお、実施例76のようにDA変換回路7138cのアナログ出力をアナログ出力アンプ7240bで反転するか、実施例75のようにDA変換回路7138b自体で反転した二つのアナログ信号を出力するかは実施例75および76にそれぞれ特有の事項ではなく、適宜の構成を選択することができる。
図117は、本発明の実施の形態に係る実施例77に関するブロック図である。実施例77は、実施例74から76と同様にして携帯電話のための軟骨伝導振動源装置として構成され、共通する部分が多いので、同様の構成には同じ番号を付して説明を省略する。図117の実施例77が実施例74から76と異なるのは、ドライバ回路7303がオールデジタルで構成されている点である。従ってアプリケーションプロセッサ7039のデジタル出力部(I2S)7039cからのデジタル音声信号がデジタル音響処理回路7138に入力部7236にて直接入力されるとともに、デジタル音響処理回路7138からのデジタル出力はD級出力アンプ7340aおよび7340bに伝達される。
振動源モジュール7313は実施例77のようなデジタル駆動信号を出力するドライバ回路7303との組み合わせで提供されるもので、D級出力アンプ7340aおよび7340bから出力される差動のPWM信号のためのローパスフィルタ(具体的にはPWM信号を平滑するコイル)7313aを内蔵した圧電バイモルフ素子モジュールとして構成される。これにより、オールデジタルのドライバ回路7303を採用する場合においてもこれを振動源モジュール7313との組み合わせで提供することにより、特性の合った平滑コイル等を外付けする負担をかけることなく、通常の携帯電話におけるアプリケーションプロセッサ7039およびパワーマネジメント回路7053により制御可能な軟骨伝導振動源装置を提供することができる。
なお、図67の実施例44において、圧電バイモルフ素子と回路を樹脂パッケージし、振動ユニットとして一体化した上でこれを保持する構造を示しているが、図117の実施例77のコイル7313aは、実施例44において圧電バイモルフ素子と樹脂パッケージして一体化する回路の最も単純な一例と考えることができる。従って、実施例77の振動源モジュール7313については、図67の実施例44において検討した形状および保持構造を採用することができる。
以上のように、実施例74から77は、軟骨伝導の知識や情報がなくても、良好な軟骨伝導を実現するための調整や検討の負担なしに、通常の携帯電話におけるアプリケーションプロセッサ7039およびパワーマネジメント回路7053により制御可能な軟骨伝導振動源装置を提供することができるものである。なお、そのための具体的な構成は実施例74から77に限るものではなく、その利点を享受できる限りは、回路部品の組み合わせを適宜変更することが可能である。また、本発明の特徴は、実施例74から77のように単体のドライバ回路として構成するだけでなく、図87の実施例57または図107の実施例72における統合パワーマネジメントIC5303のような大規模回路の一部として組み込んで構成してもよい。
図118は、本発明の実施の形態に係る実施例78に関する断面図であり、携帯電話7401として構成される。図118(A)は携帯電話7401の正面断面図であり、図118(B)は、図118(A)のB2−B2断面における携帯電話7401の側断面図である。図118(A)に示すように、実施例78における軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の構成、並びに軟骨伝導振動源として軟骨伝導部7424に振動を伝える圧電バイモルフ素子2525を軟骨伝導部7424で片持ち保持する構造は、図97(B)に示す実施例65等の構造と共通である。従って、重複を避けるためこれら構造の意義の説明は省略する。図118の実施例78の特徴は、図91の実施例61と同様にして、軟骨振動伝導源2525の振動が携帯電話7401の筐体に伝わることによる若干の音漏れを抑制するため、携帯電話7401内部の重量を利用した点にある。携帯電話7401におけるその他の内部構成の詳細は、いままで説明してきた実施例(例えば図82の実施例54、図107の実施例72など)と共通なので、煩雑を避けるため、図118では図示を省略する。
以下、図118の実施例78における音漏れ抑制構造について説明する。図97の実施例65と同様にして、軟骨伝導部7424、7426および連結部7427は硬質材料によって一体成型されている。この硬質材料は、携帯電話7401の筐体と音響インピーダンスが異なる材質である。また、軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造と携帯電話7401の筐体との間には振動隔離材となる弾性体7465が介在し、両者は直接接触することがないよう接続されている。これらの構造により、軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造と携帯電話7401の筐体との間の音響遮断が図られる。以上の構造はこれまで説明してきた実施例でも共通であるが、実施例78の音漏れ抑制構造のベースとなるため、改めてその意義をまとめた。
電池7448は、その上下を硬質の電池ホルダ(上部ホルダ7406および下部ホルダ7416)に保持されている。なお、電池7448の中央部は使用時間の経過にともなう膨らみを許容するため硬質のホルダによる抑制を避けている。上部ホルダ7406には、これを携帯電話7401の正面および裏面に小断面積部分で接続するための複数のピン7408が設けられている。一方、複数のピン7408から離間した位置にある下部ホルダ7416には、これを携帯電話7401の正面および裏面に振動隔離状態で保持するための複数の弾性体7467が設けられている。
これによって、図118(B)に示すように、電池7448を電池ホルダ(上部ホルダ7406および下部ホルダ7416)に装着して表側筐体7401a(GUI表示部7405側)に収め、裏側筐体7401bを閉じたとき、複数のピン7408がそれぞれ表側筐体7401aおよび裏側筐体7401bに挟まれてこれらに圧接され、上部ホルダ7406を介して電池7448の重量が携帯電話7401の筐体における軟骨伝導部7424近傍に接続される。ピン7408による小断面積接続は、重量接続位置を携帯電話7401の筐体における軟骨伝導部7424近傍に特定し集中させる意義がある。この重量接続によって、振動伝達の入口部分に相当する軟骨伝導部7424近傍の携帯電話7401の筐体の振動が抑制される。これは、例えば、弦の振動の入口部分に相当する弦楽器の駒に取り付ける弱音器と同様の効果となって、携帯電話7401の筐体全体が共鳴するのを抑制する。
なお、軟骨伝導部7424は、携帯電話7401の筐体と音響インピーダンスの異なる材質で構成されるとともに、弾性体7465で携帯電話7401の筐体と振動隔離されているので、振動の自由度は確保され、電池7448の重量接続による振動抑制の影響は小さく、良好な軟骨伝導を得ることができる。
一方、下部ホルダ7416に設けられた複数の弾性体7467についても、表側筐体7401aと裏側筐体7401bに挟まれてこれらに圧接される状態となるが、その弾性のため携帯電話7401の筐体に対する下部ホルダ7416の自由度が大きく、重量接続は弱い。従って、複数のピン7408から離間した部分において複数の弾性体7467で下部ホルダ7416を保持しても、複数のピン7408による重量接続位置の特定集中を損なうことはない。
図119は、本発明の実施の形態に係る実施例79に関する断面図であり、携帯電話7501として構成される。実施例79は、図118における実施例78と共通する部分が多いので、共通する部分には同じ番号を付して説明を省略する。
実施例79が実施例78と異なるのは 下部ホルダ7416においても、複数の弾性体7467に代えて、複数のピン7408を設けた点である。これによって、下部ホルダ7416についても表側筐体7401aと裏側筐体7401bに挟まれたときピン7408による小断面積接続が生じる。実施例79の場合は、電池の重量接続位置が分散するが、振動抑制効果は重量接続位置と軟骨伝導部7424の距離に依存するので、上部ホルダ7406の複数のピン7408による重量接続は依然として有効である。従って、若干の振動抑制効果を犠牲にしても上部ホルダ7406と下部ホルダ7416の構造を共通にして部品点数を減らすことを優先する場合は、実施例79の構成をとることが可能である。
図120は、本発明の実施の形態に係る実施例80に関する断面図であり、携帯電話7601として構成される。実施例80は、図118における実施例78と共通する部分が多いので、共通する部分には同じ番号を付して説明を省略する。
実施例80が実施例78と異なるのは 軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造と携帯電話7401の筐体との間の弾性体7465を省略した点である。上記の一体成型構造と筐体との音響インピーダンスの差だけで充分な振動隔離効果が得られる場合は、電池7448の重量接続による筐体の振動抑制が一体構造に及ぶことが少なく、良好な軟骨伝導を確保することができる。従って、若干の軟骨伝導効率を犠牲にしても部品点数を減らし、一体成型構造と筐体との接続構造を簡単化することを優先する場合は、実施例80の構成をとることが可能である。
図121は、本発明の実施の形態に係る実施例81およびその変形例に関する側断面図であり、いずれも携帯電話として構成される。実施例81およびその変形例は、図118における実施例78と共通する部分が多い。
実施例81およびその変形例が実施例78と異なるのは、音漏れの抑制に利用する重量を携帯電話の内部フレーム構造とした点である。内部フレーム構造7748aは携帯電話の重量の大部分を占めているので音漏れの抑制に好適である。
図121(A)は、実施例81に関する側断面図であり、携帯電話7701aとして構成される。実施例81は、上記のように図118における実施例78と共通する部分が多いので、共通する部分には同じ番号を付して説明を省略する。また、正面断面図については図示を省略している。
実施例81(A)は、上記のように音漏れの抑制に利用する重量を携帯電話7701aの内部フレーム構造7748aとしている。内部フレーム構造7748aは電池7448を保持するとともに回路等他の内部構造を保持し、携帯電話の重量の大部分を占めている。また、内部フレーム構造7748aは弾性体7465を介して軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造に接続されており、携帯電話7701bの主要骨格構造をなしている。このため、図118の実施例78と同様にして、内部フレーム構造7748aはその重量により携帯電話7701aの表面をなす筐体の振動を軟骨伝導部7424近傍で抑制している。
図121(B)は、本発明の実施の形態に係る実施例81の第1変形例に関する側断面図であり、携帯電話7701bとして構成される。図121(B)の第1変形例は、図121(A)の実施例81と共通する部分が多いので、共通する部分には同じ番号を付して説明を省略する。
図121(B)の第1変形例でも、図121(A)の実施例81と同様にして内部フレーム構造7748bが振動隔離材となる弾性体7465を介して軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造に接続されている。しかしながら、第1変形例における携帯電話7701bの筐体は、携帯電話7701bの周囲を覆う外装部品として機能するだけで、軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造とは直接接続されておらず、振動隔離材となる弾性体7765を介して内部フレーム構造7748bに保持されている。このため、内部フレーム構造7748bにおける軟骨伝導部7424近傍部は、内部フレーム構造7748bと一体化された外装として、一体成型構造と筐体の間に介在している。このようにして、図121(B)の第1変形例では、重量の大部分を占める内部フレーム構造7748bを軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造に接続し、筐体については振動隔離材7765を介して内部フレーム構造7748bに保持させることにより携帯電話7701bの外面をなす筐体が振動するのを抑制している。
図121(C)は、本発明の実施の形態に係る実施例81の第2変形例に関する側断面図であり、携帯電話7701cとして構成される。図121(C)の第2変形例は、図121(B)の第1変形例と共通する部分が多いので、共通する部分には同じ番号を付して説明を省略する。
図121(C)の第2変形例が図121(B)の第1変形例と異なるのは、軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造と内部フレーム構造7748cとの間における弾性体の介在を省略した点である。上記の一体成型構造と内部フレーム構造7748cとの音響インピーダンスの差によって振動抑制が一体構造に及ぶことが少なく、良好な軟骨伝導を確保することができる場合には、このような直接接続の簡易化された構成をとることが可能である。つまり、若干の軟骨伝導効率を犠牲にしても部品点数を減らし、一体成型構造と内部フレーム構造7748cとの接続構造を簡単化することを優先する場合は、第2変形例の構成をとることができる。
以上のように、図121(B)の第1変形例または図121(C)の第2変形例は、軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造にまず重量の大部分を占める内部フレーム構造7748bまたは7748cを接続し、ここで振動の伝達を抑制している。そして、その上で、重量比率の少ない筐体を振動隔離材を介して内部フレーム構造7748bまたは7748cに接続し、携帯電話7701bまたは7701cの外面をなす筐体が振動するのを抑制したものである。
上記の各実施例は、その利点を享受できる限り種々の変形が可能である。たとえば、図118の実施例78において、弾性体7465の振動隔離効果が高い場合は、軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造を携帯電話7401の筐体と音響インピーダンスが同等の材質(例えば両者共通の材質)で構成してもよい。弾性体7465の振動隔離効果が高い場合は、弾性体7465の介在により、軟骨伝導部7424、7426および連結部7427の一体成型構造と携帯電話7401の筐体との間の音響インピーダンスが異なっているのと同等の状態が実現でき、電池7448の重量接続による筐体の振動抑制があっても良好な軟骨伝導を得ることができるからである。
また、以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。例えば、図120に示した実施例80および図121(C)に示した実施例81の第2変形例の構造は、軟骨伝導部が硬質材料である場合に限らず、例えば図69の実施例46および図71におけるその変形例のように軟骨伝導部が弾性体である場合においても好適である。弾性体の軟骨伝導部は筐体と音響インピーダンスが大きく異なり、携帯電話の内部構造の重量を軟骨伝導部近傍において筐体に接続しても、軟骨伝導部による軟骨伝導を損なうことがないからである。なお、実施例46やその変形例におけるように軟骨伝導振動源(圧電バイモルフ素子)2525を左右の軟骨伝導部(弾性体部4263a、4263b)で両持ち支持する構造にて図120の実施例80を適用する場合には、上部ホルダ7406を左耳用軟骨伝導部(弾性体部4263a)側にも延長し、ピン7408を弾性体部4263b近傍だけでなく弾性体部4263a近傍にも配置するようにする。
図122は、本発明の実施の形態に係る実施例82に関するブロック図であり、携帯電話のための軟骨伝導振動源装置として構成される。実施例82は、図116の実施例76を共通する部分が多いので、共通部分には同一番号を付し、必要のない限り説明を省略する。実施例82は、図116の実施例76と同様にして、通常の携帯電話におけるアプリケーションプロセッサ7039およびパワーマネジメント回路7053により制御可能な軟骨伝導振動源装置を提供するものであって、具体的には軟骨伝導振動源としての圧電バイモルフ素子7013およびそのドライバ回路7503として構成される。図122の実施例82が図116の実施例76と異なるのは、デジタル音響処理回路7538の構成およびアナログ出力アンプ7540におけるゲインコントロールである。
まず、デジタル音響処理回路7538の構成について説明する。軟骨伝導は、広義の軟骨伝導と狭義の軟骨伝導として定義できる。広義の軟骨伝導は、軟骨伝導部から出力された音として定義され、軟骨気導(軟骨伝導部から耳軟骨に伝達された振動が外耳道内で気導に変わりこれが鼓膜を介して内耳に伝わるルート)、軟骨骨導(軟骨伝導部から耳軟骨に伝達された振動が骨を介して直接内耳に伝わるルート)および直接気導(軟骨伝導部から発生した気導音が軟骨を介さずに直接鼓膜に達し、内耳に伝わるルート)からなる。これに対し、狭義の軟骨伝導は、軟骨を介して内耳に伝わる音として定義され、上記の軟骨気導と軟骨骨導からなる。
狭義の軟骨伝導における軟骨気導と軟骨骨導との割合は、正常者では、後者が前者の10分の1以下となっており、軟骨気導の寄与がきわめて重要となっている。これは、軟骨から骨へのインピーダンスマッチングがきわめて悪いことによる。これに対し、外耳道や中耳に異常がある伝音難聴者では、正常者に比較して軟骨骨導の比率が上がる。これは、軟骨気導が(当然ながら直接気導も)障害されているからである。
次に広義の軟骨気導における寄与率については、上記のように正常者では、軟骨骨導の寄与が小さいので、実質的には軟骨気導と直接気導の割合に注目すればよい。そして、大まかにいうと低音域は軟骨気導優位、高音域は直接気導優位で、500Hzではほぼ軟骨気導、4000Hzではほとんどが直接気導となる。なお、「し」などの一部の子音の弁別に必要な周波数成分は、直接気導が優位となる4000Hz付近の高周波数帯に存在する。但し、携帯電話では、会話中における言語識別には全く問題がないことと情報量の関係から3000Hz程度以上の周波数成分がカットされているので、やはり軟骨気導の重要性が大きい。
軟骨骨導に関しては、上記のように正常者では広義の軟骨伝導における寄与は小さいが、その周波数特性は低周波領域から高周波領域においてほぼフラットに近いものと考えられる。因みに、外耳道閉鎖条件から開放条件にしたとき、低周波数帯(500Hzなど)では外耳道内音圧が低下するが、ラウドネス(音の大きさの感覚)は音圧低下ほどの低下はない。また、外耳道開放条件から閉鎖条件にすると、高周波数帯では外耳道内音圧は低下するが、ラウドネスは外耳道内音圧の低下ほどの低下はない。このことは、低周波数帯においても、高周波数帯においても非常に小さいが、軟骨骨導が存在することを示唆している。
図122のデジタル音響処理回路7538においては、上記のような広義の軟骨伝導における軟骨気導、軟骨骨導および直接気導の周波数特性およびその寄与度を加味し、アプリケーションプロセッサ7039から出力されるデジタル音声信号を、軟骨骨導イコライザ7538a、軟骨気導イコライザ7538b、および直接気導イコライザ7538cにそれぞれ入力し、軟骨骨導のみの場合、軟骨気導のみの場合、および直接気導のみの場合にそれぞれ最適のイコライズを行う。なお、ここでいうイコライズは、自然音に近い音を得るためのイコライズではなく、軟骨伝導振動源である圧電バイモルフ素子7013の周波数特性と軟骨骨導、軟骨気導および直接気導のそれぞれの伝達ルートにおける周波数特性を加味して、言語識別力の観点からもっとも効率的に音声を伝えるための音響処理をいう。従って、言語識別力を優先して、本人確認を損なわない範囲で声質を自然のものから若干変更する場合も含むものとする。
デジタル音響処理回路7538における合成部7538dは、アプリケーションプロセッサ7039からの指示に従い、軟骨骨導イコライザ7538a、軟骨気導イコライザ7538b、および直接気導イコライザ7538cからの出力のミキシング比率を決定するとともに状況の変化に応じてこれを変更する。ミキシング比率は、まず正常者を対象に、外耳道入口が閉鎖されない状態で軟骨伝導部が耳軟骨に接触している場合の通話をベースに決定されており、この状態からの変化があると変更される。具体的には、ボイスメモの再生など通信を介さない音声については、3000Hz以上をカットしていないので直接気導イコライザ7538cの寄与度を増強する。また、伝音難聴者用の設定をした場合、骨導に頼る要素が大きくなるので、軟骨骨導イコライザ7538aの寄与度を増強する。さらに、耳栓骨導効果の発生が検知された時には、外耳道入口が閉鎖されて直接気導がなくなるので直接気導イコライザ7538cの寄与を停止させる。これらの処理の詳細については後述する。
次に、アナログ出力アンプ7540の自動ゲイン調節について説明する。圧電バイモルフ素子7013は振動可能な最大入力定格が定められているが、アナログ出力アンプ7540からこれを上回る信号が出力されると音が歪み所望の周波数特性における軟骨伝導を実現できない。一方で、アナログ出力アンプ7540からの最大出力が圧電バイモルフ素子7013の最大入力定格を下回る場合には圧電バイモルフ素子7013の能力を充分生かした軟骨伝導が実現できない。ゲインコントロール部7540aは、DAコンバータ7138cの所定時間幅の平均出力を逐次モニタし、アナログ出力アンプ7540の出力レベルが圧電バイモルフ素子7013の最大入力定格レベルとなるようアナログ出力アンプ7540のゲイン調節部7540bを制御する。これによって圧電バイモルフ素子7013の能力を最大限活用して所望の周波数特性における軟骨伝導を実現することができる。
図123は、図122の実施例82におけるアプリケーションプロセッサ7039の機能を示すフローチャートである。なお、図123のフローはドライバ回路7503の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示しており、一般的な携帯電話の機能等、図123のフローに表記していないアプリケーションプロセッサ7039の動作も存在する。図123のフローは、携帯電話の主電源のオンでスタートし、ステップS412で初期立上および各部機能チェックを行うとともに携帯電話の表示部における画面表示を開始する。次いでステップS414では、軟骨伝導部および携帯電話の送話部の機能をオフにしてステップS416に移行する。軟骨伝導部のオフに関しては、図122のパワーマネジメント回路7053からドライバ回路7503への給電をオフする。
ステップS416では、あらかじめ録音しておいたボイスメモの再生操作が行われたかどうかをチェックする。そしてボイスメモ再生操作が検知されなければステップS418に進み、通話発呼に対する相手からの応答または相手からの着信に基づく携帯電波による通話が行われている状態か否かチェックする。そして通話状態であればステップS420に進み軟骨伝導部および送話部をオンしてステップS422に進む。
ステップS422では、伝音難聴者用の設定が行われているか否かチェックし、この設定が行われていなければステップS424に移行する。ステップS424では、外耳道入口の閉鎖による耳栓骨導効果が生じている状態か否かをチェックし、該当がなければステップS426に進んで、自分の声の波形を反転した信号の付加なしにステップS428に移行する。この自声波形反転信号の有無に関しては、図10のフローにおけるステップS52からステップS56において説明しているので、詳細は省略する。ステップS428では、各イコライザ7538a、7538bおよび7538cの出力の寄与割合を正常者による通話状態の最適値に設定してステップS430に移行する。
一方、ステップS424で外耳道入口閉鎖による耳栓骨導効果発生状態が検知されたときにはステップS430に移行し、自声波形反転信号を付加するとともにステップS432で直接気導イコライザ7538cの寄与を停止してステップS430に移行する。これは、すでに述べたように、外耳道入口閉鎖により直接気導がなくなるからである。また、ステップS422で伝音難聴者用の設定が行われていることが検知された場合はステップS434に移行し、軟骨骨導イコライザ7538aの寄与度を増強してステップS430に移行する。
ステップS430では通話が断たれたか否かをチェックし、該当しなければステップS422に戻って以下、通話が断たれない限り、ステップS422からステップS434を繰り返す。これによって、通話中も設定や状況の変化に対応して、各イコライザ7538a、7538bおよび7538cの出力の寄与を変更することができる。一方、ステップS430で通話が断たれたことが検知されるとステップS436に進み、軟骨伝導部および携帯電話の送話部の機能をオフにしてステップS438に移行する。
これに対し、ステップS416においてボイスメモ再生操作が検知されたときはステップS440に移行し、直接気導イコライザ7538cの寄与度を増強する。これは、上記のようにボイスメモの再生など通信を介さない音声については、3000Hz以上をカットしていないので直接気導の寄与を増加させるのが音質上適切だからである。次いでステップS442で軟骨伝導部をオンしてステップS444に移行し、ボイスメモの再生処理を行う。そしてボイスメモ再生処理が終了するとステップS446に移行して軟骨伝導部をオフし、ステップS438に移行する。また、ステップS418で通話状態が検知されないときは直ちにステップS438に移行する。
ステップS438では、携帯電話の主電源がオフされたか否かチェックし、主電源のオフがなければステップS416に戻り、以下ステップS438で主電源のオフが検知されない限り、ステップS416からステップS446を状況に応じて繰り返す。これに対しステップS438で主電源オフが検知されるとフローを終了する。
図124は、本発明の実施の形態に係る実施例83に関する斜視図であり、携帯電話機能を備えたノート型の大画面携帯機器7601として構成される。図124(A)は、携帯機器7601の正面図であり、携帯機器7601はタッチパネルを兼ねた大画面表示部7605を備える。携帯機器7601はさらにその右辺に自在継手7603で接続された軟骨伝導送受話部7681が備えられている。軟骨伝導送受話部7681は、上端が軟骨伝導部7624になっているとともに、中間部分にマイク7623が設けられている。軟骨伝導送受話部7681は、後述のように軟骨伝導部7624を上方に引出し可能な構造になっているが、図124(A)は、基本的には軟骨伝導送受話部7681を使用しない収納状態を示している。
図124(B)は、携帯機器7601の携帯電話機能を利用する場合の状態を示すもので、矢印7681aで示すように軟骨伝導部7624を上方に引出すとともに、矢印7681bで示すように軟骨伝導部7624を前方に倒すことが可能となっていることがわかる。なお、上記のように軟骨伝導送受話部7681は自在継手7603によって携帯機器7601に接続されているので、倒す方向は前方に限らず任意の方向に倒すことができる。
上記の構成により、例えば携帯機器7601を机上に置き、大画面表示部7605に表示されるコンテンツ(新聞、書籍、グラフィックなど)を見る姿勢のまま、引き出した軟骨伝導部7624を手で耳軟骨に当て、携帯電話の通話を行うことができる。この時自分の声は、このような通話状態において口の近くに来るマイク7623によって拾うことができる。また、このような姿勢に限らず、携帯機器7601を手で持ちながら、軟骨伝導送受話部7681の引出長さ、および方向を適宜調節して軟骨伝導部7624を耳軟骨に当てることが可能である。携帯機器7601を膝に置いているときも同様で、軟骨伝導部7624はこのような場合にも対応できるようアンテナに準じた構造で充分な引き出し長さを有するよう設計されている。
また、図124(A)の状態で携帯機器7601を使用しているときに携帯電話の着信があったときでも、軟骨伝導送受話部7681を引出すことで瞬時に対応することができる。さらに、軟骨伝導送受話部7681を引き出す操作を着信への応答操作と連動させれば操作がワンタッチとなり、さらに使い勝手は向上する。同様に、図124(A)の状態で携帯機器7601を使用しているときに携帯電話をかけたいときは、タッチパネル兼用大画面表示部7605で相手の指定操作をしたあと軟骨伝導送受話部7681を引出して耳にあてればよい。このときも軟骨伝導送受話部7681を引き出す操作を発呼操作と連動させればワンタッチで電話を駆けることができる。
なお、図124(B)の状態は横長画面を見ている姿勢での使用であるが、これを縦長状態で使用することも任意である。例えば、例えば軟骨伝導送受話部7681側を上にして縦長状態で使用するときは、軟骨伝導送受話部7681は縦長画面の右上の角から耳軟骨に達するよう伸びた状態での使用となる。以上は横長画面、縦長画面いずれの場合も軟骨伝導部7624を右耳軟骨に当てる使用となるが、携帯機器7601を回転させれば、容易に左耳で聞く姿勢を取ることができる。例えば、軟骨伝導送受話部7681側を下にして縦長状態で使用するときは、軟骨伝導送受話部7681は縦長画面の左下の角から左の耳軟骨に達するよう伸びた状態での使用となる。さらに、図124(B)において上下を逆転させた横長状態とすれば、軟骨伝導送受話部7681は横長画面の左上の角から左の耳軟骨に達するよう伸びた状態での使用となる。いずれにしても、軟骨伝導部7624が携帯機器7601と分離されず伸縮自在の軟骨伝導送受話部7681と自在継手7603により携帯機器7601に結合されているので、持ち運び時においても使用時においても使いやすい構成となっている。
図125は、図124の実施例83の変形例を示す斜視図であり、実施例83と同様にして携帯電話機能を備えたノート型の大画面携帯機器7701として構成される。図125の変形例が、図124の実施例83と異なるのは、タッチパネルを兼ねた大画面表示部7705を縦長で使用する状態における右辺の右上の角に自在継手7703で接続された軟骨伝導送受話部7781が備えられている点である。この結果、軟骨伝導部7624は軟骨伝導送受話部7781の下端になっている。なお、変形例ではマイク7723が携帯機器7701本体側に設けられている。
上記の構造なので、軟骨伝導部7724は、矢印7781aで示すように下方に引出すとともに矢印7781bで示すように前方に引き上げることが可能である。図124の実施例83と同様にして、軟骨伝導送受話部7781は自在継手7703によって携帯機器7701に接続されているので、引き上げる方向は前方に限らず任意の方向に引き上げることができる。図125の変形例の場合、図示の縦長状態で使用するときは、軟骨伝導送受話部7781は縦長画面の右上の角から右耳軟骨に達するよう伸びた状態での使用となる。これに対し、例えば軟骨伝導送受話部7781側を下にして横長画面で使用したときは、軟骨伝導送受話部7781は横長画面の右下の角から右の耳軟骨に達するよう伸びた状態での使用となる。図125の変形例も図124の実施例83と同様にして適宜画面を回転させることにより容易に縦長画面でも横長画面でも、左耳軟骨に当てて使用することができる。
図124の実施例83および図125におけるその変形例のいずれにおいても、軟骨伝導部は圧電バイモルフ素子で構成してもよいし、電磁型振動子で構成してもよい。また、図124の実施例83および図125におけるその変形例における構造は軟骨伝導方式に限らず、軟骨伝導部の位置に通常の気導スピーカからなるイヤホンを取り付けるよう構成してもよい。
本発明の実施は、上記の実施例に限るものではなく、本発明の種々の利点は、他の実施形態においても享受できる。さらにこれらの特徴は、種々の実施例において差し替えたり組み合わせたりして活用することができる。例えば、図122および図123に示した実施例82において、軟骨骨導イコライザ7538a、軟骨気導イコライザ7538b、および直接気導イコライザ7538cをそれぞれハードウエアのブロックで示したが、同一の機能をデジタル音響処理回路のソフトウエアで実現することができる。さらに、実施例82では、条件に応じたイコライズの変更を3つのイコライザの出力のミキシング比率の変更によるもので構成しているが、デジタル音響処理回路7538の最終出力として同様のものが得られればよいので、イコライズの変更を一括して行ってもよい。
図126は、本発明の実施の形態に係る実施例84に関する斜視図および断面図であり、通常携帯電話7801およびその軟骨伝導ソフトカバー7863として構成される。図126(A)は、実施例84の通常携帯電話7801およびこれに被せられた軟骨伝導ソフトカバー7863をその正面からみた斜視図である。軟骨伝導ソフトカバー7863は、その弾性によって通常携帯電話7801を誤って落下させたとき等において通常携帯電話7801を保護するとともに、後述するようにその上部右側角が軟骨伝導部7824となっている。通常携帯電話7801は通常のスマートフォンタイプの携帯電話であって、マイク23および気導スピーカからなるイヤホン213を有する。また、携帯電話7801の左上部には外部イヤホン用の外部イヤホンジャックが設けられている。一方、軟骨伝導ソフトカバー7863には外部イヤホンプラグ7885が設けられており、軟骨伝導部7824を振動させるための音声信号は、外部イヤホンジャックに挿入される外部イヤホンプラグ7885から導出される。
通常携帯電話7801に軟骨伝導ソフトカバー7863を被せるには、まず軟骨伝導ソフトカバー7863を裏返し気味にして外部イヤホンプラグ7885を外部イヤホンジャックに挿入し、その後、通常携帯電話7801全体に軟骨伝導ソフトカバー7863を被せる。外部イヤホンジャックに外部から外部イヤホンプラグ7885が挿入されると、イヤホン213からの音声出力はオフとなり、軟骨伝導部7824を振動させるための音声信号が外部イヤホンジャックから出力される。なお、軟骨伝導ソフトカバー7863は、その一部が軟骨伝導部7824となっているので、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する弾性材料(シリコーン系ゴム、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合物、天然ゴム、またはこれらに空気泡を密封した構造)が採用される。
図126(B)は、図126(A)のB1−B1切断面にて軟骨伝導ソフトカバー7863の上部を正面および側面に垂直な面で切断した断面図である。図126(B)から明らかなように、軟骨伝導ソフトカバー7863の上部右側角は軟骨伝導部7824となっており、その内側に軟骨伝導振動源となる電磁型振動子7825が埋め込まれている。軟骨伝導ソフトカバー7863の上部には電磁型振動子7825を駆動する伝導部ドライバ7840およびこれに電源を供給する交換可能な電源電池7848が設けられており、電磁型振動子7825は外部イヤホンプラグ7885から入力された音声信号に基づき伝導部ドライバ7840に駆動されて振動する。なお振動方向は、矢印7825aで示すように通常携帯電話7801の大画面表示部7805(図126(A)参照)に垂直な方向である。
図126(C)は、図126(A)または図126(B)に示すB2−B2切断面にて通常携帯電話7801および軟骨伝導ソフトカバー7863を正面および上面に垂直な面で切断した断面図である。図126(C)からわかるようにも、通常携帯電話7801に軟骨伝導ソフトカバー7863を被せることにより、軟骨伝導振動源の電磁型振動子7825が通常携帯電話7801と一体化し、外部イヤホンプラグ7885から供給される音声信号により振動する。これによって、通常携帯電話7801に何ら変更をくわえることなく軟骨伝導ソフトカバー7863を被せるだけで、例えば図90の実施例60と同様の軟骨伝導式の携帯電話に変身させることができる。
なお、図126の実施例84では、上記のようにして通常携帯電話7801に軟骨伝導ソフトカバー7863を被せたとき、図で見て右側の角だけに軟骨伝導部7824が形成される。この状態は右手で通常携帯電話7801を持って右耳で聞く通話に適する。左手で持って左耳で聞くには、図22の実施例12や図56の実施例36で説明したように、通常携帯電話7801が裏向くように持ち換えることにより軟軟骨伝導用振動部7824が左耳に対向するようにすることができる。
図127は、図126の実施例84のブロック図である。ブロック図のうち通常携帯電話7801については図102の実施例69における通常携帯電話1601と共通するところが多いので共通する部分には同じ番号を付し説明を省略する。図127が図102と異なるのは、図127では近距離通信部1446の図示が省略されるとともに、外部イヤホンジャック7846が図示されている点である。しかしながら、これは図102の通常携帯電話1601と図127の通常携帯電話7801が異なるものであるという意味ではなく、説明の必要上適宜図示の省略を行っているだけである。
図127のブロック図から明らかように、軟骨伝導ソフトカバー7863が通常携帯電話7801に被せられた状態では、その外部イヤホンプラグ7885が通常携帯電話7801の外部イヤホンジャック7846に挿入されており、通常携帯電話7801の受話処理部212から出力される音声信号に基づいて伝導部ドライバ7840が電磁型振動子7825を駆動する。
図128は、図126の実施例84の変形例を示す断面図である。図126と共通の部分には共通の番号を付して説明を省略するとともに異なる部分のみ説明する。図128(A)は軟骨伝導ソフトカバー7963を通常携帯電話7801に被せた状態における上部を縦に割って正面から見た状態の断面図である。図128(A)および図128(B)に明らかなように、変形例における軟骨伝導ソフトカバー7963には空洞7963aが設けられており、外部イヤホンプラグ7985は空洞7963a内で自由に動けるよう配置されている。従って、軟骨伝導ソフトカバー7963を通常携帯電話7801に被せる前に外部イヤホンプラグ7985を通常携帯電話7801の外部イヤホンジャック7846に挿入し易くなっている。そして、外部イヤホンプラグ7985が通常携帯電話7801の外部イヤホンジャック7846に確実に挿入されたのを確認してから軟骨伝導ソフトカバー7963を通常携帯電話7801に被せることができる。
図128の変形例が図126の実施例84と異なる第二点は、軟骨伝導ソフトカバー7963に中継外部イヤホンジャック7946が設けられている点である。これによって、通常携帯電話7801本来の外部イヤホンジャック7846が塞がれているにもかかわらず、音楽を聴く場合等において、通常の外部イヤホンなどを中継外部イヤホンジャック7946に挿入することにより今まで通りの使用が可能となる。なお、中継外部イヤホンジャック7946にはスイッチ7946aが設けられており、通常は、外部イヤホンプラグ7985からの音信号を伝導部ドライバ7840に伝えるとともに、中継外部イヤホンジャック7946に通常の外部イヤホンなどが挿入された場合には、外部イヤホンプラグ7985からの音信号が中継外部イヤホンジャック7946から出力されるよう切換える。
図129は、図128の実施例84の変形例のブロック図である。図127の実施例84と共通の部分には共通の番号を付して説明を省略する。また、図128と同じ部分にも同じ番号を付して、必要のない限り説明を省略する。図129から明らかなように、外部イヤホンプラグ7985からの音信号は、スイッチ7946aで分岐しており、通常は、外部イヤホンプラグ7985からの音信号を伝導部ドライバ7840に伝えるとともに、中継外部イヤホンジャック7946に通常の外部イヤホンなどが挿入されたことをメカ的に検知することにより、外部イヤホンプラグ7985からの音信号が中継外部イヤホンジャック7946から出力されるようメカスイッチで切換える。
図130は、本発明の実施の形態に係る実施例85およびその変形例に関する斜視図および断面図であり、携帯電話8001または8001xとして構成される。図130の実施例85は図83の実施例55と共通する部分が多いので共通する部分には同じ番号を付し、説明を省略する。図130の実施例85が図83の実施例55と異なるのは軟骨伝導部5124が図面で右側にしか設けられていない点とこれに伴うマイク8023または8123の構成である。
図130(A)およびそのB1−B1切断面を示す図130(B)から明らかなように、実施例85では軟骨伝導部5124が片側にしか設けられていない。従って、図22の実施例12、図56の実施例36、図126の実施例84等のように、図示の状態では軟骨伝導部5124を右耳に当てて使用し、携帯電話8001が裏向くように持ち換えることにより軟骨伝導部5124を左耳に当てて使用する。これに伴って、使用者の口も携帯電話8001の表面側に来たり、裏面側に来たりする。
このような軟骨伝導部5124の裏表両面側からの使用に対応して、図130(A)に明らかなようにマイク8023が携帯電話8001の右側面下部に設けられている。そして、マイク8023は、表側からの音声を拾う指向性8023aと裏面側からの音声を拾う指向性8023bが対称になっており裏表からの声を均等に拾えるよう構成されている。これによって、携帯電話8001の表面側が顔に対抗するよう右耳を軟骨伝導部5124に当てて通話をする場合も、携帯電話8001の裏面側が顔に対抗するよう左耳を軟骨伝導部5124に当てて通話をする場合も、使用者の音声を均等に拾うことができるようになる。
図130(C)は、実施例85の変形例であり、携帯電話8001xを下面側から見た状態を示す。実施例85の変形例は、マイク8123の配置が異なるだけでその他は実施例85と同じなので図130(C)に下面だけを示し、他は図示を省略する。図130(C)から明らかなように、実施例85の変形例では、マイク8123が携帯電話8001xの下面右側に設けられている。そして、マイク8123は、実施例85と同様にして、表側からの音声を拾う指向性8123aと裏面側からの音声を拾う指向性8123bが裏表で対称になるよう構成されている。これによって、変形例においても、携帯電話8001xの表面側から通話をする場合も、裏面側から通話をする場合も、使用者の音声を均等に拾うことができるようになる。そして、いずれの場合も軟骨伝導部5124が共通に使用できることは言うまでもない。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。たとえば図126の実施例84では、外部イヤホンプラグ7885の配置のために図面左側に軟骨伝導部を設けていないが、外部イヤホンジャック7846などの音声信号の接続端子が通常携帯電話7801上面にない場合は上面のスペースを利用し、左右両角部を軟骨伝導部とすることも可能である。また、伝導部ドライバ7840の動作のために個別の電源電池7848を設けているが、通常携帯電話7801からの外部出力レベルが軟骨伝導部7824の直接駆動に充分である場合は電源を省略することも可能である。なお伝導部ドライバ7840の動作に電源供給が必要な場合であっても、通常携帯電話7801の出力端子が音声信号とともに電源供給も可能に構成される場合は、個別に電源電池7848を持つ必要はない。さらに、実施例84では軟骨伝導振動源として電磁型振子7825を採用しているが、これに限るものではなく、個別の電源または通常携帯電話7801からの給電に基づく伝導部ドライバ7840の動作が可能である限り、他の実施例のような圧電バイモルフ素子を軟骨伝導振動源として採用してもよい。
なお、図126の実施例84では、通常携帯電話の外部音声出力に基づいて軟骨伝導部を振動させる携帯電話補助装置をソフトカバーにて構成しているが、本発明の実施はこれに限るものではない。例えば、携帯電話の形状および外部音声出力端子の配置に応じ、携帯電話上部に嵌めこむ形の硬質の箱型軟骨伝導補助装置として構成してもよい。この場合、外部イヤホンジャックが携帯電話上部にあれば、外部イヤホンプラグ部分に挿入される外部イヤホンプラグ部分を軟骨伝導補助装置の位置決めと嵌めこみ状態支持に利用することも可能である。
また、図130の実施例85においては、マイク8023または8123の指向性の設定によっては、外部騒音を拾う可能性が大きくなるが、図1の実施例1または75の実施例50における環境騒音マイクが設けられる場合は、これを利用して、外部騒音をキャンセルすることもできる。
図131は、本発明の実施の形態に係る実施例86に関するブロック図であり、携帯電話8101として構成される。実施例86に関する図131のブロック図は、実施例54に関する図82のブロック図と共通するところが多いので、同じ部分には同じ番号を付し、説明を省略する。図131の実施例86が図82の実施例54と異なるのは、軟骨伝導イコライザ8138の構成であり、その詳細は後述する。また、図131には、受話処理部212の音を聞くイヤホンを接続するための外部イヤホンジャック8146、および頭に装着されるヘッドセットなどの携帯電話補助装置と近距離無線通信するための近距離通信部8147が図示されている。
次に、図132を用いて図131の実施例86における軟骨伝導イコライザ8138の機能について説明する。図132(A)は、実施例86に用いた軟骨伝導振動ユニット228における軟骨伝導振動源である圧電バイモルフ素子の周波数特性を示したものであって、各周波数における振動加速度レベルを測定した結果のイメージ図である。図132(A)に明らかなように、圧電バイモルフ素子は周波数800Hz以上の帯域で強く振動しており、10kHz程度までは多少の凹凸はあるものの大略フラットな周波数特性を示しているといえる。
図132(B)は、上記のような圧電バイモルフ素子を耳軟骨に接触させたときの耳軟骨の振動加速度レベルを各周波数で測定した結果のイメージ図である。図132(B)に明らかなように、耳軟骨は、振動源である圧電バイモルフ素子の振動が比較的弱い1kHz以下の帯域においても1〜2kHzの帯域に匹敵する大きな振動加速度レベルを呈している。これは、耳軟骨の周波数特性において、1kHz以下の帯域における振動の伝達が良好であることを意味している。さらに、図132(B)から明らかなように、耳軟骨は、振動源である圧電バイモルフ素子の振動が大略フラットであるにもかかわらず、3kHz前後から高周波数帯域にかけて振動加速度レベルの低下を呈している。これは、耳軟骨の周波数特性において、3kHz前後から高周波数帯域にかけて振動の伝達効率が低下することを意味している。
以上の結果に基づき、図79に示した実施例46の携帯電話の実測データの一例を示すグラフを考察すると、例えば、実線で示す非接触状態から一点鎖線で示す接触状態への遷移による300Hz〜2500Hzの帯域での音圧の増強は、非接触状態における気導音に加え、図132(B)で示す周波数特性の耳軟骨での軟骨伝導を経由した気導音を積み上げたものであることがわかる。また、2500Hzよりも高周波数側の帯域において実線で示す非接触状態と一点鎖線で示す接触状態との差が小さくなっているのは、図132(B)で示す耳軟骨の周波数特性において3kHz前後から高周波数帯域にかけて振動加速度レベルが低下していることに符合する。
さらに、図79では、1kHz前後から2kHzを超えるあたりの周波数帯域において、実線で示す非接触状態での音圧と一点鎖線で示す外耳道開放状態での音圧とが周波数変化に対してほぼ同一方向の増減傾向を示している。これに対し、図79において実線で示す非接触状態での音圧と二点鎖線で示す外耳道閉鎖状態での音圧は、周波数変化に対し全体として逆方向の増減傾向を示している。これは、1kHz前後から2kHzを超えるあたりにかけて影響力の大きかった直接気導音成分が外耳道入口の閉鎖により消失し、高周波数帯域において振動伝達効率が低下する耳軟骨の周波数特性の影響がそのまま表れていることを意味する。以上のように、図132(B)で示す耳軟骨の周波数特性により外耳道開放状態の音圧の周波数特性と外耳道閉鎖状態での音圧の周波数特性が異なるので、外耳道が閉鎖されたとき聞こえる音の音質が変化する。
図132(C)は、さらに、図132(B)で示す耳軟骨の周波数特性を補正するための圧電バイモルフ素子への駆動出力のイコライズのイメージを示すもので、実線は、外耳道開放状態におけるイコライズ、破線は外耳道閉鎖状態におけるイコライズを示す。このイコライズおよび実線で示すゲインと破線で示すゲインとの間の変更は、制御部8139によって制御される軟骨伝導イコライザ8138によって行われる。
図132(C)に示すように、外耳導開放状態では、2500Hz前後から高周波帯域において駆動出力のゲインを大きくする。これは、周波数変化に対し図132(B)における耳軟骨の周波数特性と逆傾向のゲイン変更を加えるもので、図79において実線で示す非接触状態と一点鎖線で示す接触状態との差が小さくなっているのを補正するものである。
なお、2500Hz前後から高周波帯域においては外耳道入口から入る直接気導の影響が大きく、これに対する軟骨伝導による音圧は相対的に小さい。従って、これが無視できる場合は、図132(C)に実線で示すゲインはフラットとして、通常の直接気導のためのイコライズと同じイコライズを行うよう実施例86を変形してもよい。
これに対し、図132(C)に破線で示す外耳道閉鎖状態では、矢印で示すように2500Hz前後から高周波帯域において駆動出力のゲインを実線の外耳道開放状態か大きく持ち上げる。これによって、耳軟骨の周波数特性の影響がそのまま表れる外耳道閉鎖状態の音圧の周波数特性を補正し、外耳道が閉鎖されたときの音質変化を防止する。
図132(B)に示すように耳軟骨は3kHz前後から高周波数帯域にかけて振動加速度レベルの低下を呈するが、振動自体は可能なので、この周波数帯域において駆動出力のゲインを上げることで音圧低下を改善することができる。なお、ゲインをどの程度上げるかについては、この周波数帯域において耳軟骨の振動加速度レベルが低く、駆動出力を上げても音圧を増加させる効率が悪いことも考慮して決められる。また、電話における音声信号のサンプリング周期は8kHzであり、元々4kHz以上には音声情報が存在しないので、図132(C)に示すように耳軟骨が高周波帯域側の音声信号を伝えにくい周波数特性を持っていることは問題にならず、音声信号の周波数帯域の主要部分を効率よく伝達することができる。そして上記のように4kHz以下の周波数帯域における高周波数側のゲインを上げることで、音声信号の音質を改善することができる。
図132(C)の実線と破線のゲイン変更は、例えば実施例54のように押圧センサ242の検知により、自動的に行う。または、実施例50における環境騒音マイク4638のようなものを設け、騒音が所定以上大きいか否かで自動切換えするようにしてもよい。この場合、騒音が所定以上大きければ、ユーザがよく聞こうと自然に耳軟骨の押圧力を強め耳珠などによる外耳道入口の閉鎖が起こっているものと推定し、自動切換えを行う騒音レベルは実験による平均値から設定する。
また、図132(C)の実線と破線のゲイン変更は押圧センサ出力または環境騒音マイク出力の所定時間内の移動平均値を用いて行い、両者間の変更が煩雑に行われるのを避けるのが望ましい。但し、外耳道が閉鎖すると耳栓骨導効果(本明細書においてこのように称している現象は「外耳道閉鎖効果」として知られているものと同じものである)により音が大きくなり音質の変化が目立ちやすいので、図132(C)における実線から破線への方向ゲイン変更は、押圧力または環境騒音の増加検出に応答して速やかに行い、音が小さくなる破線から実線への方向のゲイン変更は減少方向の変化が所定回数検出されるまでは行わないなど比較的ゆっくり変更する等の構成として、ゲイン変更にヒステリシスを付けてもよい。
図133は、図131の実施例86における制御部8139の機能を示すフローチャートである。なお、図133のフローは軟骨伝導イコライザ8138の制御を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示しており、一般的な携帯電話の機能等、図133のフローに表記していない制御部8139の動作も存在する。また制御部8139は、他の種々の実施例において示した諸機能を合わせて達成することが可能であるが、これらの機能についても煩雑を避けるため図133における図示と説明を省略している。
図133のフローは、携帯電話8101の主電源のオンでスタートし、ステップS452で初期立上および各部機能チェックを行うとともに携帯電話8101の表示部205における画面表示を開始する。次いでステップS454では、軟骨伝導部(軟骨伝導振動ユニット228)および携帯電話8101の送話部(送話処理部222)の機能をオフにしてステップS456に移行する。
ステップS456では、外部イヤホンジャック8146にイヤホン等が挿入されているか否かチェックする。そして外部イヤホンジャック8146への挿入が検知されなければステップS458に進み、近距離通信部8147によってヘッドセットなどの携帯電話補助装置との間で近距離通信が確立しているか否かチェックする。これにも該当しなければステップS460に進み、通話発呼に対する相手からの応答または相手からの着信に基づく携帯電波による通話が行われている状態か否かチェックする。そして通話状態であればステップS462に進み軟骨伝導部(軟骨伝導振動ユニット228)および送話部(送話処理部222)をオンしてステップS464に進む。
ステップS464では、外耳道入口の閉鎖による耳栓骨導効果が生じている状態か否かをチェックし、該当がなければステップS466に進んで、自分の声の波形を反転した信号の付加なしにステップS468に移行する。この自声波形反転信号の有無に関しては、図10のフローにおけるステップS52からステップS56において説明しているので、詳細は省略する。ステップS468では、図132(C)に実線で示したイコライズを設定してステップS470に移行する。ステップS468におけるイコライズは、2500Hz前後から高周波帯域において駆動出力のゲインを大きくするものであるが、外耳道入口から入る直接気導が大きく寄与していることを前提としたイコライズである。上記のように、変形実施例として、ステップS468におけるイコライズが通常の直接気導のためのイコライズと同じとなるよう構成としてもよい。
一方、ステップS464で外耳道入口閉鎖による耳栓骨導効果発生状態が検知されたときにはステップS470に移行し、自声波形反転信号を付加するとともにステップS472で2500Hz前後から高周波帯域において駆動出力のゲインを大きくするイコライズを設定してステップS470に移行する。
ステップS470では通話が断たれたか否かをチェックし、該当しなければステップS464に戻り、以下、通話が断たれない限り、ステップS464からステップS472を繰り返す。これによって、通話中も設定や状況の変化に対応して、イコライズを図132(C)の実線と破線の間で変更することができる。一方、ステップS470で通話が断たれたことが検知されるとステップS474に進み、軟骨伝導部(軟骨伝導振動ユニット228)および携帯電話8101の送話部(送話処理部212)の機能をオフにしてステップS476に移行する。なお、ステップS460で通話状態が検知されないときは、直接ステップS476に移行する。
これに対し、ステップS456において外部イヤホンジャック8146への挿入が検知されたとき、またはステップS458で携帯電話補助装置との間の近距離通信確立が検知されたときは、ステップS478に移行する。ステップS478では、ステップS460と同様にして携帯電波による通話が行われている状態か否かチェックする。そして通話状態であればステップS480に進み通常気導用のイコライズを設定してステップS482に移行する。
ステップS482では通話が断たれたか否かをチェックし、該当しなければステップS480に戻り、以下、通話が断たれない限り、ステップS480とステップS482を繰り返す。一方、ステップS482で通話が断たれたことが検知されるとステップS476に移行する。なお、ステップS478で通話状態が検知されないときは、直接ステップS476に移行する。
ステップS476では、携帯電話8101の主電源がオフされたか否かチェックし、主電源のオフがなければステップS456に戻り、以下ステップS476で主電源のオフが検知されない限り、ステップS456からステップS482を状況に応じて繰り返す。これに対しステップS476で主電源オフが検知されるとフローを終了する。
図134は、図131に示した実施例86の変形例を示す斜視図である。図134の説明に関しては外観上似ている実施例73の図110(A)および図110(B)を流用し、共通する部分については同じ番号を付して説明を省略する。図134(A)は携帯電話8101の正面斜視図、図134(B)は携帯電話8101の背面斜視図である。なお、図134では、実施例73と異なり、内側カメラ8117は携帯電話8101の上部に配置されている。
図134における実施例86の変形例では、外耳道が閉鎖されている状態を検知するために、図134(B)に示すように携帯電話8101の背面に押圧感知部8142を設ける。この押圧感知部8142は、使用者が携帯電話8101を持って耳に当てるとき、その手の人差し指が自然にあたる位置に配される。そして、外耳道が閉鎖される程度に使用者が携帯電話8101を強く耳に当てるとき、その支えとして人差し指が押圧感知部8142に当たる強さが大きくなる。これによって、押圧感知部8142の出力に基づき、外耳道の閉鎖状態を検知する。
なお、誤動作を避けるため、図134(A)に示すように携帯電話8101の上部には、携帯電話8101が通話のために耳に当接していることを検知するための近接センサを構成する一対の赤外光発光部8119、8120および耳からの赤外反射光を受光する共通の赤外光近接センサ8121が設けられている。これによって、押圧感知部8142は携帯電話8101が耳に当接している状態でのみ機能し、例えば使用者が表示画面6905を見ている状態等において押圧感知部8142に力が加えられても携帯電話8101が反応することはない。
なお、押圧感知部8142は自然に人差し指が当たる強さが所定以上となることを検知する手段としてだけでなく、意識的にこれを押圧操作することも可能とするため中央部近辺に触感突起8142aが設けられている。このように押圧感知部8142はイコライズ切換えのための手動スイッチとしても機能することができる。
図135は、本発明の実施の形態に係る実施例87に関するブロック図であり、一般の携帯電話1601およびこれと近距離通信可能なヘッドセット8281として構成される。図135は、図29の実施例17と共通する構成が多いので、同一部分には図29と同一番号を付し、特に必要のない限り、説明を省略する。
図135の実施例87が図29の実施例17と異なるのは、ヘッドセット8281が制御部8239に制御される軟骨伝導イコライザ8238を有する点である。軟骨伝導イコライザ8238は、図131の実施例86の軟骨伝導イコライザ8138に準じた機能を有するものであって、図132(A)に示したものと共通の周波数特性を有する圧電バイモルフ素子を軟骨伝導振動部1626の振動源として採用する。そして図132(B)に示した耳軟骨の周波数特性に対処するため、図132(C)に示したイコライズを行うよう構成される。図132(C)の実線と破線の切換えは、屈曲検知部1588の検知に基づいて行われる。
図135の実施例87では、携帯電話1601が通常の気導を前提としたイコライズを行った音声信号を近距離通信部1446からヘッドセット8281に送信する。ヘッドセット8281は軟骨伝導振動部1626を有するよう構成されるので、受信した音声信号に基づき軟骨伝導イコライザ8238で図132(C)に示したイコライズを行うことになる。
ここで、実施例86に戻って補足すると、図133のフローチャートのステップS456で外部イヤホンジャック8146への挿入が検知されたとき、またはステップS458で携帯電話補助装置との間の近距離通信確立が検知されたときにステップS480で通常気導用イコライズを行っている。これは、通常の気導タイプのイヤホンやヘッドセットに対応するとともに軟骨伝導タイプのヘッドセット等であっても、図135の実施例87のようにヘッドセット自身に軟骨伝導イコライザ8238を備えたものとの組み合わせを想定しているからである。
図136は、本発明の実施の形態に係る実施例88に関する斜視図および断面図であり、携帯電話8201として構成される。実施例88は軟骨伝導部の構造に特徴があるのでこれを中心に説明し、その他の部分は他の実施例の構成を適宜採用できるので図示と説明を省略している。図136(A)は実施例88の正面斜視図であり、携帯電話8201の筐体は、プラスチック等からなる正面板8201aおよびプラスチックよりなる背面板8021bで金属フレームを挟むよう構成される。金属フレームは、上部フレーム8227、右部フレーム8201c、下部フレーム8201dおよび左部フレーム8201e(図136(A)では見えていない)に分かれており、これらの間にはそれぞれ弾性体8201fが介在している。なお、正面板8201aには、大画面表示部8205用の窓、マイク8223用の窓および内側カメラ8017用の窓が設けられている。
上部フレーム8227の内側中央部には軟骨伝導振動源となる電磁型振動子8225が正面板8201aと垂直な方向に振動するよう固着されている。なお、電磁型振動子8225は、上部フレーム8227以外と実質的に接触しておらず、電磁型振動子8225の振動は上部フレーム8227のみに伝わる。上部フレーム8227の中央部に伝えられた電磁型振動子8225の振動は、軟骨伝導部となる上部フレーム8227の右側角部8224および左側角部8226に伝達される。このようにして実施例88では、金属の上部フレーム8227が軟骨伝導のために兼用され、他の実施例と同様にして、携帯電話8201の筐体の左右の上部角部(右側角部8224及び左側角部8226)が軟骨伝導部として機能する。しかしながら実施例88では、図7の実施例4と同様にして、上部フレーム8227はその右端の右側角部8224および左端の左側角部8226だけで振動するのではなく全体で振動しているので、携帯電話8201の内側上端辺のどこを耳軟骨に接触させても音声情報を伝達することができる。その詳細については後述する。
なお、実施例88の構成について正確に言えば、携帯電話8201の内側上端辺を耳軟骨に当てる際、実際に耳軟接触するのは正面板8201aの上端辺近傍である。つまり、上部フレーム8227(右側角部8224および左側角部8226を含む)の振動は、正面板8201aの上端辺近傍に伝わりこれが耳軟骨に伝達される。また、上部フレーム8227の振動は、正面板8201aの上端辺部を比較的広い面積で振動させるので、正面板8201aの上端辺部からは所要の気導音も発生している。この点では、実施例88は図19の実施例10と共通と言える。すなわち、電磁型振動子8225は軟骨伝導振動源となるとともに、通常の気導によって鼓膜に伝わる音波を発生する受話部の駆動源を兼ねている。従って、他の実施例と同様にして携帯電話8201の上部角部を耳珠等の耳軟骨に当てるスタイルにより軟骨伝導の利点を生かした通話が可能であるとともに、携帯電話8201の上辺中央部近傍を耳に当てる通常スタイルでも通話を行うことが可能である。さらに、上記のように正面板8201aの上端辺部が比較的広い面積で振動しているのでスピーカのような気導による受話部を設けなくても、通常携帯電話に所要のレベルの気導音を発生させることができる。これについても詳細は後述する。
また、上部フレーム8227は、弾性体8201fによって右部フレーム8201cおよび左部フレーム8201eと隔てられているのでその振動が筐体下部に伝達されるのが抑制され、他の実施例と同様にして軟骨伝導振動源となる電磁型振動子8225の振動エネルギーを効率よく上部フレーム8227に留めることができる。なお、上部フレーム8227の振動は、上記のように正面板8201aに接触しているためその上端辺近傍は比較的広い面積で振動する。しかしながら、正面板8201aの下部の振動は、弾性体8201fの介在により振動の伝達が小さくなっている右部フレーム8201c、下部フレーム8201dおよび左部フレーム8201eによって抑制されているため、正面板8201aは音発生の不要な下方(大画面表示部8205を含む部分)に行くほど振動が小さくなっている。
上部フレーム8227はまた、図87の実施例57に示す電話機能部のアンテナ5345の機能を兼ねている。具体的には、アンテナ5345は送信アンテナと受信アンテナを含むが、図136の実施例88では、軟骨伝導部となる上部フレーム8227が受信用アンテナを兼ねている。
上部フレーム8227にはさらに、図127の実施例84に示すような外部イヤホンジャック8246が固着されている。これによって、最も簡単な構造によって上部フレーム8227に外部イヤホンジャック8246を設けることができる。上記の構造においては上部フレーム8227が振動するとき外部イヤホンジャック8246もともに振動することになるが、外部イヤホンジャック8246に外部イヤホンプラグを挿入したとき、これを検知することにより上部フレーム8227の振動が停止するよう構成している。従って、軟骨伝導を耳軟骨に伝える状態では、外部イヤホンジャック8246が振動しても外部イヤホンプラグが挿入されていないので問題はなく、また外部イヤホンプラグを挿入したときには上部フレーム8227の振動が停止させられるので、この場合も問題はない。なお、内側カメラ8017にも、上部フレーム8227が振動するとき、正面板8201a等および内部構造を介して振動が伝わるが、内側カメラ8017を使用するテレビ電話状態では上部フレーム8227の振動を停止するよう構成するので、この場合も問題はない。
上部フレーム8227にはさらに、電源スイッチ8209が配置される。電源スイッチ8209は、上部フレーム8227に対して上下にスライドするのを可能とするため、上部フレーム8227に設けた窓内に若干のギャップをもって上部フレーム8227に接触することがないよう配置される。これによって、上部フレーム8227が振動するとき、その振動が電源スイッチ8209に伝わったり、振動する上部フレーム8227の窓の内側縁が電源スイッチ8209に当たってビリついたりすることない。
図136(B)は、図136(A)のB1−B1断面図であり、同一部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図136(B)に明らかなように、上部フレーム8227の内側中央部には電磁型振動子8225が固着されており、フレキシブルな接続線8225aでドライバ回路端子に接続されている。また、図136(B)に明らかなように、電磁型振動子8225は、上部フレーム8227以外と実質的に接触していない。さらに、上部フレーム8227と右部フレーム8201cおよび左部フレーム8201eとの間にはそれぞれ弾性体8201fが介在しているので上部フレーム8227の振動が筐体下部に伝達されるのが抑制さている。このようにして上部フレーム8227は好適に軟骨伝導部として兼用されている。
図136(B)に明らかなように、上部フレーム8227はフレキシブルな接続線8227aにより電話機能部のアンテナ端子に接続されることにより受信アンテナとして兼用されている。また、上部フレーム8227には外部イヤホンジャック8246が固着され、フレキシブルな接続線8246aによって外部出力回路端子に接続されている。さらに、上部フレーム8227には電源スイッチ8209を配置するための窓が設けられており、防水型電源スイッチユニット8209aに設けられた電源スイッチ8209は、窓の内縁との間に若干のギャップをもって上部フレーム8227に接触することがないよう上下動することが可能である。防水型電源スイッチユニット8209aは内部構造8209bに支持されるとともに配線8209cによって制御部端子に接続されている。なお、防水型電源スイッチユニット8209aと上部フレーム8227の窓の内側縁の間には防水パッキンが挟まれており、上部フレーム8227が防水型電源スイッチユニット8209aと独立に振動することを可能にするとともに両者間の防水を図っている。
図136(C)は、図136(A)の上面図であり、同一部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図136(C)により明らかなように、正面板8201aの上端および背面板8201bの上端は、上部フレーム8227を挟むよう構成されている。また、上部フレーム8227には、外部イヤホンジャック8246および電源スイッチ8209が露出している。
図136(D)は、図136(A)から図136(C)に示すB2−B2断面図であり、同一部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図136(D)からも明らかなように、正面板8201aおよ背面板8201bは、上部フレーム8227を挟むよう構成されている。また、上部フレーム8227の内側中央部には電磁型振動子8225が固着されている。図136(D)からも明らかなように、電磁型振動子8225は、上部フレーム8227以外と実質的に接触していない。
図136(E)は、図136(B)に示すB3−B3断面図であり、同一部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図136(E)からも明らかなように、正面板8201aおよ背面板8201bは、上部フレーム8227端部の右側角部8224を挟むよう構成されている。また、図136(E)からも明らかなように、上部フレーム8227端部の右側角部8224と右部フレーム8201cとの間には弾性体8201fが介在しており、上部フレーム8227(右側角部8224を含む)の振動が筐体下部(右部フレーム8201cを含む)に伝達されるのを抑制している。
図137は、図136の実施例88における通話状況を説明するための携帯電話8201の側面図である。図137(A)は、実質的には実施例1にて示した図2(A)と同様の図であり、右手に携帯電話8201を持って右耳28に当てている状態を示す。図2と同様にして、図137(A)は、顔の右側面から見た図であり、携帯電話8201の背面側(図136(A)の裏側)が見えている。なお、図2と同様にして、携帯電話8201と右耳28との関係を図示するため、携帯電話8201は一点鎖線にて示している。
実施例88の携帯電話8201では、上部フレーム8227全体が振動しているが、図137(A)の通話状態では、図2(A)と同様にして、右側角部8224が右耳28の耳珠近傍に接触しており、他の実施例と同様にして軟骨伝導の利点を生かした通話を実現している。
これに対し、図137(B)は、携帯電話8201の上辺中央部近傍を耳に当てる通常スタイルにて通話を行っている状態を示す。このときでも、上部フレーム8227の中央部分の比較的長い領域8227bが外耳道入口周辺の軟骨と接触するので軟骨伝導による通話が可能である。さらに、既に説明したとおり、携帯電話8201の上端辺部が比較的広い面積で振動しているので通常携帯電話に所要のレベルの気導音も発生している。従って、図137(B)のような通話状態では、上部フレーム8227の中央部分からの軟骨伝導と外耳道入口から入る気導音とによる通話が可能となる。なお、図137(A)の状態における通話でも外耳道入口から入る気導音成分が存在するが、その割合は図137(B)の方が大きい。
実施例88の携帯電話8201においても、図137(A)の通話スタイルが軟骨伝導の利点を最大限生かすものであることは他の実施例と共通である。しかしながら、実施例88の携帯電話8201は、使用者の好みまたは、使用方法の誤解によって図137(B)のような使用を行ったとしても、通常の携帯電話として問題なく使用できるものであり、かつスピーカのような気導による受話部を設けなくても所要のレベルの気導音を発生させることができ、通常携帯電話の規格を満足する構成として市場に提供可能である。
なお、図137は右耳での使用の場合について説明したが、左耳で携帯電話8201を使用する場合も全く同様にして、左側角部8226を左耳の耳珠近傍に接触させるスタイルでの使用、および携帯電話8201の上辺中央部近傍を耳に当てる通常スタイルによる通話が可能であることは言うまでもない。
図138は、図136の実施例88の変形例を示す断面図である。各変形例は、携帯電話8201の内側上端辺を耳軟骨に当てる際、実際に耳軟骨に接触する正面板8201aの上端辺近傍に振動エネルギーをより集中させるための構成に関する。図138(A)は図136(E)と全く同じものであり、参照のため再度図示している。従って図138(A)は図136(B)におけるB3-B3断面図であり、上部フレーム8227はその右側角部8224の断面が見えている。各変形例は、正面板8201aおよび背面板8201bの上端近傍部分が他の部分より薄くなるよう構成したものであり、これにともなって右側角部8224の幅や形状が変更されているが、各変形例において正面板8201aおよび背面板8201bの上端近傍の断面および上部フレーム8227の上面の幅は、左側角部8226および中央部においても右側角部8224と同じである。
図138(B)は、正面板8201aの上端近傍部分8201gを他の部分より薄くするとともに、背面板8021bについてもその上端近傍部分8201hを他の部分より薄く構成している。そしてこれに対応して上部フレーム8227の右側角部8224aの幅は、右部フレーム8201iよりも広くなっている。これに伴って弾性体8201jの断面もこれらを接続するように台形状になっている。このように振動する上部フレーム8227に接触している正面板の上端近傍部分8201gおよび背面板8201bの上端近傍部分8201hをそれぞれの他の部分より薄く構成することでこれら上部近傍部分がより振動しやすくなり、上部フレーム8227の振動がよりよく伝わる。そして、正面板8201aと背面板8201bの厚さに差を設けたためこれらの下部がより振動しにくくなっている。
図138(C)は、正面板8201aの上端近傍部分8201kの内側をテーパ状に上に行くほど薄くするとともに、背面板8021bについてもその上端近傍部分8201mの内側をテーパ状に上に行くほど薄くする構成としている。そしてこれに対応して上部フレーム8227の右側角部8224bを台形状にしている。このような構成においても、振動する上部フレーム8227に接触している正面板8201aの上端近傍部分8201kおよび背面板8201bの上端近傍部分8201mがより振動しやすくなり、上部フレーム8227の振動がよりよく伝わる。そして、正面板8201aと背面板8201bが下に行くほど厚くなっているのでこれらの下部がより振動しにくくなっている。
図138(D)は、正面板8201aの上端近傍部分8201nの外側をテーパ状に上に行くほど薄くするとともに、背面板8021bについてもその上端近傍部分8201pの外側をテーパ状に上に行くほど薄くする構成としている。このような構成においても、振動する上部フレームに接触している正面板8201aの上端近傍部分8201nおよび背面板8201bの上端近傍部分8201pがより振動しやすくなり、上部フレーム8227の振動がよりよく伝わる。そして、正面板8201aと背面板8201bが下に行くほど厚くなっているのでこれらの下部がより振動しにくくなっている。
以上の各実施例に示した種々の特徴の実施は、上記の実施例に限るものではなく、その利点を享受できる限り、他の実施例でも実施可能である。例えば、実施例88では、軟骨伝導振動源を電磁型振動子として構成した。電磁型振動子は部材の混み合った携帯電話上部へのレイアウトに適するものである。しかしながら実施例88に採用する軟骨伝導振動源は電磁型に限るものではなく、例えば他の実施例に示すような圧電バイモルフ素子であってもよい。
図139は、本発明の実施の形態に係る実施例89のシステム構成図である。実施例89は携帯電話のための送受話ユニットであるヘッドセットとして構成されており、通常の携帯電話1401とともに携帯電話システムをなす。実施例89は、図37の実施例24と同様にして、軟骨伝導部が耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部(耳介付着部の乳様突起側)に当たる位置に配置されているとともに、軟骨伝導部を含むヘッドセット8381が、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信部8387によって通常の携帯電話1401と通信可能となっている。従って、図37と共通する部分には共通する番号を付して説明を省略する。また、携帯電話1401の部分に付いては番号の付与も省略する。
図139(A)は実施例89におけるヘッドセット8381と耳28の関係を示す側面図である。図139(A)に明らかなように、実施例89のヘッドセット8381は軟骨伝導部を有する耳掛け部8382およびヘッドセット本体8384からなり、両者の間は着脱可能なケーブル8381aで接続されている。ヘッドセット本体8384はマイク8323等を有し、胸ポケット等にクリップされる。図139(A)では、煩雑を避け、概略の相互関係を明らかにするために、耳28を実線で示すとともに、その付け根の外側1828に掛けられる耳掛け部8382を想像線で図示し、内部構成は省略している。
これに対し、図139(B)は、外耳道入口(耳穴)232を除く耳の図示を省略するととともに実施例89のヘッドセット8381の詳細を携帯電話1401とともに示したシステム構成図である。図139(A)と同じ部分には同じ番号を付す。図139(B)に断面を示す耳掛け部8382は、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する弾性材料で構成されている。。図139(B)から明らかなように、耳掛け部8382の内縁は耳28の付け根の外側1828に沿ってこれに巻きつくように線接触する接触部となっている。また、耳28の付け根の軟骨の外側1828の外耳道入口(耳穴)232に最も近い部分近傍には、硬質材料よりなる保持部8325aが設けられ、この保持部8325aに圧電バイモルフ素子8325の一端が片持ち支持される。
図139(B)に明らかなように圧電バイモルフ素子8325は支持部8325a以外の部分では耳掛け部8382の内部に接触しないので、圧電バイモルフ素子8325の他端側(接続端子側)は自由振動し、その反作用が支持部8325aに振動として伝えられる。そして支持部8325aの振動は、耳掛け部8382の内縁から、これに線接触している耳28の付け根の外側1828に伝達され、この振動が外耳道口周囲の軟骨を介して外耳道内壁から気導音を発生して鼓膜に伝達される。耳28の付け根の軟骨の外側1828はその内側の外耳道入口232に近く、外耳道口周囲軟骨から外耳道内部への気導発生に好適である。
一方、ヘッドセット本体8384は、携帯電話1401と通信可能なBluetooth(登録商標)などの近距離通信部8387を有する。そして、近距離通信部8387で受信された携帯電話1401からの電波1285による音声信号は、音声部8386から音響処理回路8338を介してアンプ8340に送られる。アンプ8340はコネクタ8346からケーブル8381aを介して圧電バイモルフ素子8325を駆動する。また、マイク8323で拾った音声信号は音声部8336を介して近距離通信部8387から電波1285により携帯電話1401に送信される。制御部8339は近距離通信部8387、音響処理部8338および音声部8336を制御するとともに操作部8309からの操作信号を近距離通信部8387から携帯電話1401に送信する。充電可能な電池を含む電源部8348はヘッドセット8381全体に給電を行う。
以上の実施例89では、軟骨伝導のための圧電バイモルフ素子8325が耳掛け部8382に配置されるとともにマイク8323がヘッドセット本体8384に配置されており、両者は互いに分離されているとともに両者の間はフレキシブルなケーブル8381aでしか接続されていないので、圧電バイモルフ素子8325の振動がマイク8323に与える影響は小さい。また、実施例89では、軟骨伝導のための振動が耳28の裏側から伝達されるため外耳道入口(耳穴)232は全くフリーとなっており、車のクラクションなど非常時の音が耳28に入ることを妨げることがなく、外耳道入口(耳穴)232へのイヤホン挿入等の違和感もない。なお、軟骨伝導の効果を高めるためには、手で耳28を覆えば容易に外耳道閉鎖効果を得ることができ、音量の増加と外部騒音の遮断を実現できる。
なお、図139では簡単のため、耳掛け部8382を右耳用のもの一つだけ図示しているが、ヘッドセット本体8384を共通にして、同様の構成の左耳用の耳掛け部を接続し、両耳にそれぞれの耳掛け部を掛けることにより、ステレオの受信部とすることも可能である。これによって通常の通話の際の聞きやすさを増すことができるとともに、音楽鑑賞等に適した構成とすることができる。
図140は、本発明の実施の形態に係る実施例90のシステム構成図である。実施例90も、携帯電話のための送受話ユニットであるヘッドセットとして構成されており、通常の携帯電話1401とともに携帯電話システムをなす。実施例90は、図139の実施例89と同様にして、軟骨伝導部が耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部に当たる位置に配置されているとともに、軟骨伝導部を含むヘッドセット8481が、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信部8487によって通常の携帯電話1401と通信可能となっている。従って、図139と共通する部分には共通する番号を付して説明を省略する。
図140(A)は実施例90におけるヘッドセット8481と耳28の関係を示す側面図である。実施例90が図139の実施例89と異なるのは、図140(A)に明らかなように、ヘッドセット8481が一体型として構成されている点である。つまり、実施例90では、マイク他の構成もヘッドセット8481内に配置される。図140(A)でも、実施例89と同様にして、耳28を実線で示すとともに、その付け根の外側1828に掛けられる耳掛け部8482を想像線で図示し、内部構成は省略している。
これに対し、図140(B)は、図139(B)と同様にして、外耳道入口(耳穴)232を除く耳28の図示を省略するととともに実施例90のヘッドセット8481の詳細を携帯電話1401とともに示したシステム構成図となっている。図140(A)と同じ部分には同じ番号を付す。図140(B)に断面を示すヘッドセット8481は、硬質材料で構成された耳掛け部8482を有し、その内縁は耳28の付け根の外側1828に沿ってこれに巻きつくように線接触する接触部となっている。また、実施例89と同様にして、耳28の付け根の軟骨の外側1828の外耳道入口(耳穴)232に最も近い保持部8482aに圧電バイモルフ素子8425の一端が片持ち支持される。
図140(B)に明らかなように、実施例90においても、圧電バイモルフ素子8425は支持部8482a以外の部分では耳掛け部8482の内部に接触しないので、圧電バイモルフ素子8425の他端側(接続端子側)は自由振動し、その反作用が支持部8482aに振動として伝えられる。そして支持部8482aの振動は、実施例89と同様にして、耳掛け部8482の内縁から、これに線接触している耳28の付け根の外側1828に伝達され、この振動が外耳道口周囲の軟骨を介して外耳道内壁から気導音を発生して鼓膜に伝達される。
耳掛け部8482の上部は、ギャップ8481bを隔てて同一の硬質材料からなる後方部8484に連続している。そして、後方部8484には、携帯電話1401と通信可能なBluetooth(登録商標)などの近距離通信部8487が設けられている。近距離通信部8487で受信された携帯電話1401からの電波1285による音声信号が音声部8436から音響処理回路8438を介してアンプ8440に送られることは実施例89と同じである。アンプ8440は後方部8484から耳掛け部8482への接続部を通るからケーブル8481aによって圧電バイモルフ素子8425を駆動する。なお、図140(B)では図示を省略しているが、実施例90も実施例89と同様の制御部および操作部を有する。
マイク8423は後方部8484において、耳掛け部8482に接続する部分から遠い下方に設けられた延長部8481cの先端に設けられ、音声部8436に接続されている。これによって、マイク8423で拾った音声信号は音声部8436を介して近距離通信部8487から電波1285により携帯電話1401に送信される。
ヘッドセット8481全体に給電を行う電源部の電池8485は充電可能であるとともに、後方部8484において、耳掛け部8482と延長部8481cの間に介在するよう配置される。実施例90ではヘッドセット8481が一体構成なので、耳掛け部8482から後方部8484に圧電バイモルフ素子8425の振動が伝わる。しかしながら、電池8485を上記のように配置することにより、電池8485の重量によって後方部8484の振動が途中で抑制され、延長部8481cに伝達される振動成分を小さくする。従って、圧電バイモルフ素子8425の振動がマイク8423に与える影響が小さくなる。
図141は、本発明の実施の形態に係る実施例91に関する断面図およびブロック図であり、ステレオヘッドフォンシステム8581として構成される。実施例91は、図95の実施例63をベースにしているので、共通の事項については可能な限り説明を省略し、追加されている事項を中心に説明する。図141(A)には、実施例63と同様のステレオヘッドフォンシステム8581全体の断面図を示している。ステレオヘッドフォンシステム8581は、右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526を有し、それぞれ円錐(コーン)状の凸形状となっている。そして、それぞれ、圧電バイモルフ素子8525aおよび8525bがその振動面側が接するように付けられている。図141(A)には、さらにシステム全体の理解のため、ヘッドフォンシステム8581における音源部8584のブロック図を併記している。
実施例91で追加されている特徴は、右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526の中央に、それぞれ貫通孔8524aおよび8526aが設けられており、ヘッドフォンシステム8581を装着していても外部の気導音が外耳道入口から鼓膜に達することができるように構成している点である。さらに、シャッタ駆動部8557aおよび8557bにより駆動させられるシャッタ8558および8559が設けられており、必要に応じ貫通孔8524aおよび8526aをそれぞれ閉鎖することにより外耳道閉鎖効果を得ることができるようになっている。図141(A)では、貫通孔8524aおよび8526aが開放されている状態を図示している。
音源部8584の音響処理回路8538から出力される音声信号はステレオアンプ8540を介して圧電バイモルフ素子8525aおよび8525bを駆動し、その振動が右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526を介して外耳道入口内壁に伝わって良好な軟骨伝導を生ぜしめる。音源部8584にはさらにシャッタ制御部8539が設けられており、騒音検知部8538により所定以上の外部騒音が検知されたとき、または手元操作部8509が必要に応じ手動操作されたとき、シャッタ駆動部8557aおよび8557bに閉鎖信号が送られ、これによってシャッタ8558および8559がスライドして貫通孔8524aおよび8526aをそれぞれ閉鎖する。一方、騒音検知部8538により所定以上の外部騒音が検知されないとき、または手元操作部8509が再度手動操作されたときは、シャッタ駆動部8557aおよび8557bに開放信号が送られ、これによってシャッタ8558および8559がスライドして貫通孔8524aおよび8526aをそれぞれ開放する。
図141(B)および図141(C)は、図141(A)の要部拡大図であり、上記のシャッタの開閉を示すものである。同一部分には同一番号を付す。簡単のために右耳用軟骨伝導部8524のみを図示しているが、左耳用軟骨伝導部8526も同様である。図141(B)は図141(A)と同じものであって、貫通孔8524aが開放している状態を示す。これに対し、図141(C)ではシャッタ8558が上方にスライドし、貫通孔8524aが閉鎖されている。これによって、図141(B)の状態では、軟骨伝導を得ながら、外部の気導音が外耳道口30aから鼓膜に達することが可能である。一方、図141(C)の状態では、軟骨伝導における外耳道閉鎖効果を得ることができる。以上のような実施例91の構成によれば、軟骨伝導部を押したり耳を手で塞いだりすることなく、自動的に、または手元操作により適宜外耳道閉鎖効果を得ることができる。
以上の各実施例に示した種々の特徴の実施は、上記の実施例に限るものではなく、その利点を享受できる限り、他の実施例でも実施可能である。例えば、実施例91で示したシャッタにより外耳道入口を開放したり閉鎖したりすることにより外耳道閉鎖効果を得る構成の利点は、軟骨伝導の場合に限るものではない。すなわち、通常の骨導が生じている場合においても、耳を手で塞いだりすることなく、自動的に、または手元操作により適宜外耳道閉鎖効果を得ることが可能である。
また、実施例89および実施例90では軟骨伝導振動源として圧電バイモルフ素子を採用しているが、電磁型の振動子を用いることも可能である。この場合、電磁型振動子は、耳28の付け根の軟骨の外側1828の外耳道入口(耳穴)232に最も近い部分近傍(図139の保持部8325aに相当する位置)に配置するのが好適である。
図142は、本発明の実施の形態に係る実施例92のシステム構成図である。実施例92は、携帯電話のための送受話ユニットであるヘッドセットとして構成されており、通常の携帯電話1401とともに携帯電話システムをなす。実施例92は、図140の実施例90と同様にして、軟骨伝導部が耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部に当たる位置に配置されているとともに、軟骨伝導部を含むヘッドセット8681が、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信部8487によって通常の携帯電話1401と通信可能となっている。このように図142は図140と共通する部分が多いので対応する部分には同じ番号を付して説明を省略する。
実施例92が図140の実施例90と異なるのは、音声のピックアップのために、気導マイクではなく、使用者の頭部等に直接接触してその振動を感知するコンタクトマイク8623が用いられている点である。図142(A)の側面図に示すように、コンタクトマイク8623は、圧電バイモルフ素子の保持部8482aの後方近傍に位置する乳様突起に接触するよう配置される。これによって、軟骨伝導による音信号の出力部およびコンタクトマイク8623による音入力部が耳介後方の空間に一体的にコンパクトに納まることになる。これよって、例えば上からヘルメット等を被ってもヘッドセット8681が邪魔になることがない。
図142(B)は、図140(B)と同様にして、ヘッドセット8681の詳細を携帯電話1401とともに示したシステム構成図である。図142(B)に明らかなように、実施例92においても、実施例90と同様にして、電池8485が耳掛け部8482とコンタクトマイク8623の間に介在するよう配置される。従って、電池8485の重量によって後方部8484の振動が途中で抑制され、コンタクトマイク8624に伝達される圧電バイモルフ素子8425の振動成分が小さくなる。
しかしながら、コンタクトマイク8624は振動を直接感知するので、上記の対策をしても圧電バイモルフ素子8425から伝達される後方部8484の振動を拾う可能性がある。これに対応するため、図142(B)に示すように、音響処理回路8438からの信号が反転回路8640で波形反転されてキャンセラ8636に加えられる。コンタクトマイク8623がピックアップした音声信号はキャンセラ8636を介して音声部8436も伝えられるが、上記のように反転回路8640からの信号がキャンセラ8636に加えられて合成されるため、コンタクトマイク8623が拾った圧電バイモルフ素子8425に由来する振動成分がキャンセルされ、声帯で発生した音声信号成分だけが音声部8436に伝えられるようになる。
図143は、上記実施例92の変形例を示すための耳28の側面図である。変形例では、コンタクトマイクの位置を変更している。従って図143では、これを説明するために耳28付近の頭部構成を詳細に図示するとともに、煩雑を避けるため、コンタクトマイクを除くヘッドセット8681の図示を省略している。図143(A)は、図142(A)の実施例92を上記の図示法により参考までに示したものであり、コンタクトマイク8623は、乳様突起8623a近傍に接触するよう配置されている。
これに対し、図143(B)は、実施例92の第1変形例であって、コンタクトマイク8723を下顎骨8623b近傍に接触するよう配置したものである。下顎骨8623bは声帯に近いので発声中によく振動しており、コンタクトマイク8723を配置するのに適する。但し、発する言葉の変化に応じて若干動くので、コンタクトマイク8723はこの動きに追随するためヘッドセット8681に柔軟に支持されている。
また、図143(C)は、実施例92の第2変形例であって、コンタクトマイク8823を胸鎖乳突筋の乳様突起側8623c近傍に接触するよう配置したものである。胸鎖乳突筋には声帯の振動がよく伝わっており、その乳様突起側8623cも発声中によく振動している。従って、この部位もコンタクトマイク8823を配置するのに適する。但し、胸鎖乳突筋の乳様突起側8623cも発する言葉の変化に応じて若干動くので、コンタクトマイク8823はこの動きに追随するためヘッドセット8681に柔軟に支持されている。
図144は、本発明の実施の形態に係る実施例93の背面図およびブロック図である。実施例93は、携帯電話のための送受話ユニットであるヘッドセット8981として構成されているが、ステレオ聴取が可能なヘッドフォンタイプとなっている。実施例93は、図142の実施例92と共通する部分が多いので、対応する部分には同じ番号を付して説明を省略する。実施例93においても、実施例92と同様にして軟骨伝導部が耳の付け根の軟骨の外側の後部に当たる位置に配置されているとともに、音声のピックアップのためにコンタクトマイクが用いられている。
図144(A)は、実施例93のヘッドセット8981を頭部に装着した状態を背後から見た図であり、煩雑を避けるため、頭部としては右耳28および左耳30を想像線で図示するに留めている。ヘッドセット8981は、右側圧電バイモルフ素子8924a等を有する右耳部8924および左側圧電バイモルフ素子8926a等を有する左耳部8926がヘッドアーム部8981aに支持されてなる。実施例93は、例えば上からヘルメットを被ることも可能とするため、構成要素を右耳部8924と左耳部8926に振り分けて全体をコンパクトな構成としている。
具体的に説明すると、図144(A)に明らかなように、左耳部8926には近距離通信部8487等の制御回路系が配置されるとともに、左側圧電バイモルフ素子8926aを支持している。このように支持された左側圧電バイモルフ素子8926aは耳介付着部の乳様突起側から軟骨伝導を伝える。さらに左側電池8985aを介在させてコンタクトマイク8923が柔軟構造で支持されており下顎骨に接触する。一方、右耳部8924には電源部8985等の電源回路系が配置されるとともに、右側圧電バイモルフ素子8924aを支持している。右側圧電バイモルフ素子8924aは、左側圧電バイモルフ素子8926aと同様にして耳介付着部の乳様突起側から軟骨伝導を伝える。これによってステレオ聴取が可能となる。右耳部8924にはさらに右側電池8985bが支持されている。このようにスペースを取る電池は右耳部8924と左耳部8926に振り分けて配置されている。
図144(B)は実施例93の構成の詳細を示すブロック図であり、図142(B)の実施例92と共通する部分は同じ番号を付して説明を省略する。図144(B)に明らかなように実施例93では、左耳部8926内において左側圧電バイモルフ素子8926aとコンタクトマイク8923が近接しているので、実施例92と同様に、反転回路8640とキャンセラ8636を設け、コンタクトマイク8923が拾った圧電バイモルフ素子8926aに由来する振動成分をキャンセルしている。一方、右耳部8924では、電源部8985が右側電池8985bから給電を受けるとともに、ヘッドアーム部8981a内の接続線を介して左側電池8985aからも給電を受けている。そして、右側電池8985bおよび左側電池8985aの電圧および充電容量を元に必要な昇圧等を行って右耳部8924のアンプ8940bに給電するとともに、ヘッドアーム部8981a内の接続線を介して左耳部8926の各構成要素にも給電している。さらに、左耳部8926の音響処理回路8438は左耳部8926のアンプ8940aに左耳音声信号を伝達するとともに、ヘッドアーム部8981a内の接続線を介して右耳部8924のアンプ8940bに右耳音声信号を伝達している。なお、実施例93では、右側圧電バイモルフ素子8924aの振動がヘッドアーム部8981aを伝わってコンタクトマイク8923に拾われる成分は充分小さいものとしている。
図145は、本発明の実施の形態に係る実施例94の背面断面図およびブロック図である。実施例94も、携帯電話のための送受話ユニットであるヘッドセット9081として構成されており、ステレオ聴取が可能なヘッドフォンタイプとなっている。実施例94は、図143の実施例92と共通する部分が多いので、対応する部分には同じ番号を付して説明を省略する。実施例94においても、実施例92および実施例93と同様にして軟骨伝導部が耳の付け根の軟骨の外側の後部に当たる位置に配置されているとともに、音声のピックアップのためにコンタクトマイクが用いられている。
実施例94が実施例93と異なるのは、ヘッドセット9081がネックバンドタイプのステレオヘッドセットとなっている点であり、これに伴って、コンタクトマイク9023aおよび9023bがネックバンド部9081aに設けられ、首の背側面の胸鎖乳突筋の振動を一対のコンタクトマイク9023aおよび9023bで両側から拾っている。この部位は声帯に近くよく振動しているのでコンタクトマイク9023aおよび9023bを設けるのに好適である。さらに後述のようにヘルメット等を被る際にも邪魔になることがない。
以下、図145(A)に基づいて具体的に説明する。図145(A)は、実施例94のヘッドセット9081を頭部に装着した状態を背後から見た図であり、図144(A)と同様にして煩雑を避けるため、頭部としては右耳28および左耳30を想像線で図示するに留めている。図145(A)の実施例94では、右側圧電バイモルフ素子8924a等を有する右耳部9024および左側圧電バイモルフ素子8926a等を有する左耳部9026をネックバンド部9081aで下方から支持している。ネックバンド部9081aは首の背後に沿う形状をしており、その内側に首の背側面を挟むように一対のコンタクトマイク9023aおよび9023bを設けている。これによって、首の背側面の胸鎖乳突筋の振動を好適に拾うことができる。一対のコンタクトマイク9023aおよび9023bは、首の背側面への接触を安定させるとともにに声帯の発声による胸鎖乳突筋の振動を両側から相補的にピックアップする。
また、実施例94は、実施例92および実施例93と同様にしてヘルメットを被って使用するのに好適なものである。図145(A)にはこのような使用の効果について説明するため、ヘルメット9081bの断面を図示している。図145(A)に明らかなように、ヘルメット9081bの内面は右耳28および左耳30を緩やかに覆う形となるため、右側圧電バイモルフ素子8924aおよび左側圧電バイモルフ素子8926aからの軟骨伝導に基づいて両耳28および30の外耳道内部で発生した気導音のエネルギーが外耳道入口から外部に拡散するのを防止し、より大きな音量で軟骨伝導による音を聞くことが可能となる。また、ヘルメット9081bを振動させるなどして外耳道入口の外で音を発生させているわけではないので、ヘルメット9081bを介して聞こえる外界の音をヘルメット9081b内でマスクしてしまうようなこともない。
図145(B)は実施例94の構成の詳細を示すブロック図であり、図144(B)の実施例93と共通する部分は同じ番号を付して説明を省略する。図145(B)に明らかなように実施例94では、右側圧電バイモルフ素子8924aおよび左側圧電バイモルフ素子8926aの振動がネックバンド部9081aを伝わって左側コンタクトマイク9023aおよび右側コンタクトマイク9023bに拾われる成分は充分小さいものとしている。従って、これら振動成分をキャンセルするために実施例93に設けられていた反転回路8640およびとキャンセラ8636の構成は省略している。
図146は、本発明の実施の形態に係る実施例95のブロック図である。実施例95も、携帯電話のための送受話ユニットであるヘッドセット9181として構成されており、ステレオ聴取が可能なネックバンドタイプのヘッドフォンとなっている。実施例95は、図145の実施例94と共通する部分が多いので、対応する部分には同じ番号を付して説明を省略する。実施例95においても、実施例92から実施例94と同様にして軟骨伝導部が耳の付け根の軟骨の外側の後部に当たる位置に配置されているとともに、音声のピックアップのためにコンタクトマイクが用いられている。
実施例95が実施例94と異なるのは、右側圧電バイモルフ素子8924aおよび左側圧電バイモルフ素子8926aの振動がネックバンド部9181aを伝わってコンタクトマイク9123に拾われる成分をキャンセルするため、図144の実施例93に準じて反転回路8640とキャンセラ8636を設けた点である。さらに、実施例95では、実施例94と異なり、コンタクトマイク9123がネックバンド部9181aに左右非対称に設けられている。具体的には、コンタクトマイク9123は、右側圧電バイモルフ素子8924aよりも左側圧電バイモルフ素子8926aに近い位置に設けられている。
図146から明らかなように、左側圧電バイモルフ素子8926aから拾う振動に対しては、実施例93と同様にして反転回路8640とキャンセラ8636を設け、コンタクトマイク9123が拾った左側圧電バイモルフ素子8926aに由来する振動成分をキャンセルしている。さらに、図146の実施例95では、右側圧電バイモルフ素子8924aから拾う振動に対しても反転回路9140を設け、これをキャンセラ8636に加えることでコンタクトマイク9123が拾った右側圧電バイモルフ素子8924aに由来する振動成分をキャンセルしている。このような構成は、右側圧電バイモルフ素子8924aと左側圧電バイモルフ素子8926aに入力される音声信号が異なるステレオ聴取に有用である。
さらに、実施例95では、右側圧電バイモルフ素子8924aが左側圧電バイモルフ素子8926aよりもコンタクトマイク9123から遠いことを考慮し、反転回路9140からの反転出力を減衰回路9140aで減衰させてキャンセラ8636に加えている。このようにして、拾う振動が小さいときにキャンセルが過剰にならないようにしている。
以上の各実施例に示した種々の特徴の実施は、上記の実施例に限るものではなく、その利点を享受できる限り、他の実施例でも実施可能である。例えば、実施例92から95で示したヘルメットとの併用に関する特徴は、携帯電話との組み合わせで使用する場合に限らず活用できる。例えば、音声部からの外部機器との音声信号のやりとりは近距離無線にかぎらず有線でのやりとりの場合も同様にその利点が享受できる。
図147は、本発明の実施の形態に係る実施例96に関する斜視図および断面図であり図126の実施例84と同様にして携帯電話9201およびその軟骨伝導ソフトカバー7863として構成される。実施例96は実施例84とほぼ共通の構成なので、同一部分には同一番号を付し、説明を省略する。
携帯電話9201には、携帯電話9201が通話のために耳に当接していることを検知するための近接センサを構成する一対の赤外光発光部9219、9220および耳からの赤外反射光を受光する共通の赤外光近接センサ9221が設けられている。そして、近接センサが携帯電話9201の耳への当接を検知すると、節電のためにタッチパネル兼用の大画面表示部9205における表示用バックライトを消灯させるとともに、誤動作を防止するためにタッチパネル機能を無効化にする。これは、携帯電話9201が耳に当てられている状態では、タッチパネル兼用の大画面表示部9205が頬等に接し、タッチパネルがこれに反応して所望しない動作をする可能性があるからである。
これに対し、携帯電話9201の左上部に設けられた外部イヤホンジャックにイヤホンプラグが挿入された状態では、携帯電話9201を耳に当てて使用することが通常は想定されないので、タッチパネル兼用の大画面表示部9205が頬等に接して誤動作が生じる可能性が小さい。さらに、近接センサが指等を検知してタッチパネル機能をオフしてしまうとむしろこれが所望しない動作になってしまう。これらの理由から、イヤホンプラグが挿入された状態では、近接センサによるタッチパネル機能の無効化が行われないよう構成する。
ところが、実施例96のように軟骨伝導ソフトカバー7863を被せ、その外部イヤホンプラグ7885を外部イヤホンジャックに挿入して使用する場合には、軟骨伝導部7824の振動を伝えるためにこれを耳軟骨に接触させるため、タッチパネル兼用の大画面表示部9205が頬等に接し、タッチパネルがこれに反応して所望しない動作をする可能性が生じてしまう。かといって、イヤホンプラグが挿入された状態においても近接センサによるタッチパネル機能の無効化がおこなわれるよう構成すると、上記のように通常のイヤホンを外部イヤホンジャックに挿入して携帯電話9201を使用する場合、近接センサが指等を検知してタッチパネル機能を無効化してしまう可能性が生じる。実施例96は、このような問題を解決するため、近接センサと外部イヤホンジャック使用の有無に基づく本来のタッチパネル機能の無効化制御は温存しつつ、軟骨伝導ソフトカバー7863を被せて軟骨伝導部7824を耳軟骨に接触させてもタッチパネル兼用の大画面表示部9205が頬等に接することによる誤動作を防止するよう構成している。
具体的には、通話のために相手の電話番号の入力およびタッチパネル操作または発呼ボタン9209aによる発呼操作等を行うことにより発呼が開始されたとき、または着信があったときこれに応答するためにタッチパネル操作または発呼ボタン9209aによる応答操作をしてから所定時間(例えば1秒)経過したとき、タッチパネル機能を無効化にする。これらの状況では、軟骨伝導ソフトカバー7863が被せられた携帯電話9201が耳に当てられることが想定され、タッチパネル機能は不要と考えてよいからである。なお、タッチパネル機能が無効化されていることを使用者に知らせるとともに節電のため、タッチパネル機能が無効化されているときには大画面表示部9205の表示を消すとともに表示用バックライトを消灯させる。
一方、通話が終わったときには通話断ボタン9209b等のメカスイッチを押すことによりタッチパネル機能を有効化するとともに、これを使用者に知らせるため、大画面表示部9205の表示を再開するとともに表示用バックライトを点灯させる。
なお、軟骨伝導ソフトカバー7863を被せ、その外部イヤホンプラグ7885を外部イヤホンジャックに挿入して使用する場合であっても、テレビ電話の際には軟骨伝導部7824を耳軟骨に接触させることは想定されない。このため、テレビ電話モードの場合には上記のようなタッチパネルの無効化及び有効化の制御は行わず、通常の場合と同様にして、イヤホンプラグが挿入された状態では、近接センサによるタッチパネル機能の無効化は行わないようにする。なお、通常の音楽鑑賞のためにイヤホンプラグが挿入された状態については、通話に関する操作が行われず、また通話に関する機能も発生することがないので、通常の場合と同様にして近接センサによるタッチパネル機能の無効化は行われない。
図148は、図147における実施例96における携帯電話9201の部分のブロック図である。実施例96における携帯電話9201は、それ自身に軟骨伝導関連機能がないことを除き図131における実施例86と共通するところが多いので対応する部分には同一の番号を付し、説明を省略する。図148に示すように、実施例96は近接センサを構成する一対の赤外光発光部9219、9220および耳からの赤外反射光を受光する共通の赤外光近接センサ9221を有する。また、タッチパネル兼用の大画面表示部9205には表示用バックライト43およびタッチパネル9268が設けられており、制御部9239に制御されるタッチパネルドライバ9270によってタッチパネル機能を実現している。また、タッチパネル機能が無効化されているときの操作は、発呼ボタン9209aおよび通話断ボタン9209b等を含む操作部9209によって行われる。
図149は、図148における実施例96の制御部9239の機能を示すフローチャートである。なお、図149のフローチャートは、理解の便のため、主にタッチパネルの無効化および有効化の機能を抽出して図示しており、携帯電話9201の通常の機能は省略している。従って、実施例96には、図149に図示した機能と並行および前後して動作している他の種々の関連機能が存在する。
図149のフローは操作部9209に設けられた主電源スイッチオンでスタートし、ステップS492で初期立上および各部機能チェックを行うとともに大画面表示部9205における画面表示を開始する。次いでステップS494では、タッチパネル9268の機能を有効化してステップS496に移行する。ステップS496では、携帯電話9201の通信開始前の種々のパネル操作のいずれかが行われたか否かチェックする。このパネル操作は、メニュー選択等の基本操作、音楽鑑賞やカメラ機能等の通信とは関係ない操作だけでなく、通信のための電話番号やメールアドレスの入力および通話や通信の開始操作も含まれる。これらの操作のいずれかがなされたことが検知されるとステップS498に進み、操作に対応する通信開始前処理を行ってステップS500に移行する。ステップS496で対応するパネル操作が検知されない場合は直接ステップS500に移行する。
ステップS500では通信が開始されてテレビ電話中であるか否かがチェックされ、該当しなければステップS502に移行する。ステップS502では、外部イヤホンジャック7846が使用中であるか否かチェックする。これは、外部イヤホンジャック7846に何等かのイヤホンプラグが挿入されているか否かに該当する。外部イヤホンジャック7846が使用中であればステップS504に進み、着信があってこれに応答する操作をしたか否かがチェックされる。該当しなければ、ステップS506に移行するが、着信がない場合はもちろんのこと、着信中であってもまだ応答操作をしていない場合はステップS506に移行する。ステップS506では発呼操作に基づき発呼機能が開始したか否かチェックし、該当しなければ、ステップS508に移行する。このように外部イヤホンジャック7846が使用されている場合、着信または発呼操作によって通信の実行段階に入らない限りタッチパネル9268は有効化されたままの状態でステップS508に至る。
これに対し、ステップS504において着信に応答する操作をしたことが検知されるとステップS510に進みステップS510で一秒経過を待った後、ステップS512でタッチパネル9268を無効化してステップS508に移行する。また、ステップS506において発呼操作に基づき発呼機能が開始したことが検知された場合は、直ちにステップS512に進み、タッチパネル9268を無効化してステップS508に移行する。
以上のように、着信応答操作をした場合または発呼機能が開始したときは、以後タッチパネル機能は不要と考えてよいからステップS512でタッチパネル9268が無効化される。また、図149では煩雑を避けるため図示を省略しているが、上記のとおり、タッチパネル機能が無効化されるときは同時にステップS512で大画面表示部9205の表示を消すとともに表示用バックライト43を消灯させる。
なお、ステップS510で一秒間待っているのは、着信が相手からの操作に基づく受動的なものなので、前もってこれに応答する準備ができているわけではない。従って応答操作をした直後にタッチパネル9268を無効化し大画面表示部9205の表示を消すと操作者に不安感を与えるのでしばらく表示を継続するためである。また誤って応答してしまった場合、その直後に通話断操作がタッチパネル9268で行えるようにする意味もある。一方、待ち時間が長すぎると、携帯電話9201が耳に当てられる結果、タッチパネル9268が頬に当たって誤動作が生じる可能性があるので、これらのバランスをとって待ち時間は短時間に留める。一方、発呼操作の場合は、相手の指定操作等の必要な操作に続く能動的な最終操作なので、これに基づいて発呼が開始されれば直ちに大画面表示部9205の表示を消すとともにタッチパネル9268の操作を無効にしても、操作者に不安や不都合を与えることがないので待ち時間を設けないよう構成している。このように実施例96では着信応答の場合と発呼の場合でタッチパネル無効化に至る過程に差を設けている。
ステップS508では、通話断ボタン9209b等による通話断のためのメカ操作の有無をチェックしており、通話断のメカ操作が検知されればステップS514に進んでタッチパネル9268を有効化するとともに、ステップS516で通話断を実行しステップS518に至る。なお、図示を省略しているが、タッチパネル機能が有効化されるときは同時にステップS514で大画面表示部9205の表示を復活するとともに表示用バックライト43を点灯させる。一方、ステップS508で通話断のメカ操作が検知されないときは直接ステップS518に移行する。
なお、ステップS502で外部イヤホンジャック7846の使用が検知されないときは、ステップS520に移行し、通話中か否かチェックする。そして通話中であればステップS522に移行し、近接センサにより携帯電話9201が耳に当てられているか否かをチェックする。耳への当接が検知されればステップS524に進んでタッチパネル9268を無効化してステップS526に移行する。なお、ステップS524に至ったとき既にタッチパネル9268が無効化されている状態にあればステップS524では何もせずステップS526に移行する。
一方、ステップS520で通話中であることが検知されないか、またはステップS522で近接センサの検知がないときにはステップS528に進み、タッチパネル9268を有効化してステップS526に移行する。なお、ステップS528に至ったとき既にタッチパネル9268が有効化されている状態にあればステップS528では何もせずステップS526に移行する。
また、ステップS500でテレビ電話中であるときは、以上のような近接センサによるタッチパネル9268の有効化および無効化の制御を行わず、タッチパネル9268を有効化したままの状態で直ちにステップS526に移行する。なお、ステップS500は、外部イヤホンジャック7846が使用されているときにおいて、着信応答操作、発呼開始、通話断メカ操作によるタッチパネル9268の有効化および無効化の制御を行わず、タッチパネル9268を有効化したままとするための機能も果たしている。
ステップS526では、タッチパネル9268により通話断の操作が行われたか否かチェックする。そして通話断操作があればステップS516に移行し、通話断を実行する。一方、ステップS526でタッチパネル9268による通話断の操作検知されない場合はステップS508に移行する。なお、タッチパネル9268が無効化されている状態では、当然ながらステップS526からステップS508への移行しかありえない。ステップS508では既に述べた通話断メカ操作の有無がチェックされる。
ステップS518では主電源オフ操作が行われたか否かチェックされ、操作があればフローを終了する。一方、主電源オフ操作が検知されなければ、ステップS496に戻り、以下ステップS496からステップS526を繰り返して、状況に応じたタッチパネル9268の有効化および無効化、および、これに伴う大画面表示部9205の表示の有無、および、表示用バックライト43の点灯および消灯の制御を行う。一方、ステップS518で主電源オフ操作が検知されればフローを終了する。
本発明の実施は上記の実施例に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、実施例96では着信応答の場合と発呼の場合でタッチパネル無効化に至る過程に差を設けている。しかしながら、タッチパネル無効化の実施例はこのようなものに限るものではなく、着信応答の場合と発呼の場合で同様の過程を経てタッチパネル9268を無効化するよう構成してもよい。
また、実施例96において、ステップS502、ステップS520からステップS524およびステップS528を省略し、テレビ電話中でなければ、外部イヤホンジャック7846の使用の有無にかかわらずステップS504からステップS516の制御を行うよう構成してもよい。
さらに、実施例96において、ステップS502を「通話関連機能動作中?」のチェックに置き換え、該当すればステップS520に移行させるとともに該当しなければ、直ちにステップS518に移行するように変形するとともに、ステップS504からステップS516およびステップS526を省略し、テレビ電話を除く通話関連機能が動作中であるときは、外部イヤホンジャック7846の使用の有無にかかわらずステップS520からステップS524およびステップS528による近接センサによる制御を行うよう構成してもよい。
図150は、本発明の実施の形態に係る実施例97の正面斜視図であり携帯電話9301として構成される。実施例97の携帯電話9301は図136の実施例88における携帯電話8201と外観上ほぼ共通するので同じ部分には同じ番号を付して説明を省略する。また、内部構成については、図42における実施例26のブロック図を援用する。
実施例97が実施例88と異なるのは、軟骨伝導機能の使用方法を説明する機能が追加されている点である。実施例97は実施例88と同様にして、通常の携帯電話のように上辺中央部を耳に当てても通話に支障がない。しかしながら、軟骨伝導の機能をよりよく活用するには、通常と異なり、軟骨伝導部となる右側角部8224および左側角部8226を耳に当てる必要がある。このため、実施例97は軟骨伝導携帯電話の使用に慣れていない使用者に対して、その使用法を説明する機能を有するものである。
図150(A)は、図136(A)と同一の構成であるが、図136(A)では省略されていたテレビ電話用スピーカ51、および近接センサを構成する一対の赤外光発光部19、20および赤外光近接センサ21が図示されている。これらの機能は、実施例1等で既に述べたものと共通なので個々の説明は省略する。
図150(B)は、実施例97において大画面表示部8205に軟骨伝導基本案内表示9305aを行っているところを示している。実施例97の携帯電話9301は、電源オン時に所定時間(例えば5秒)だけ「これは、角で聴く軟骨伝導スマホです」等の軟骨伝導基本案内表示9305aを行う。同様の表示は、発呼操作が行われて相手が出るまでの間、または着信があってこれを受ける操作をするまでの間、携帯電話9301が傾いていない場合に行われる。
図150(C)は、実施例97において大画面表示部8205に右角案内表示9305bを行っているところを示している。実施例97の携帯電話9301は、発呼操作が行われて相手が出るまでの間、または着信があってこれを受ける操作をするまでの間であって、携帯電話9301が右に傾いているとき、「右の角を耳の穴に当ててください」等の右角案内表示9305bを行う。右に傾いているということは、携帯電話9301が右手で持たれ、通話のために右耳に当てられようとしていることが想定されるので、右側角部8224を右耳に当てることを促すためこのような表示を行う。また、図150(C)に明らかなように、右角案内表示9305bは、当てるべき右側角部8224を指し示すグラフィック表示となっている。
同様に、図150(D)は、実施例97の大画面表示部8205に左角案内表示9305cを行っているところを示している。発呼操作が行われて相手が出るまでの間、または着信があってこれを受ける操作をするまでの間で、携帯電話9301が左に傾いているときに「左の角を耳の穴に当ててください」等の左角案内表示9305cが行われるのは、図150(C)と同様である。この場合は、携帯電話9301を左手で持って左耳に当てようとしていることが想定されるので、左側角部8226を左耳に当てることを促すためこのような表示を行う。左角案内表示9305cが、当てるべき左側角部8226を指し示すグラフィック表示となっているのは、図150(C)と同様である。
図151は、図150の実施例97で援用する図42の実施例26のブロック図における制御部2439の機能を示すフローチャートである。なお、図151のフローチャートは、理解の便のため、主に使用法案内の機能を抽出して図示しており、携帯電話9301の通常の機能は省略している。従って、実施例97には、図151に図示した機能と並行および前後して動作している他の種々の関連機能が存在する。
図151のフローは主電源スイッチオンでスタートし、ステップS532で初期立上および各部機能チェックを行うとともに大画面表示部8205における画面表示を開始する。次いでステップS534では、軟骨伝導基本案内表示9305a(図150(B)参照)を行うとともにこれを継続したままステップS536に進み、5秒経過したか否かチェックする。そして未経過であればステップS534に戻り、以下ステップS534とステップS536を繰り返して表示を継続する。一方、ステップS536で5秒経過したことが検知されるとステップS538に進み、軟骨伝導基本案内表示9305aを停止する。
次いでステップS540では、携帯電話9301の使用開始から所定日数(例えば2週間)が経過したか否かチェックし、未経過ならばステップS542で案内停止に該当する機能履歴が記憶されているか否かチェックし、該当がなければステップS544に進む。案内停止該当履歴の詳細については後述する。ステップS544では発呼操作を行ったか否かチェックされ、操作がなければステップS546に移行して着信があったか否かチェックする。そして着信があればステップS548に移行する。また、ステップS544で発呼操作が検知されたときもステップS548に移行する。この時点ではまだ通話は始まっておらず、携帯電話9301は耳に当てられておらず、使用者は大画面表示部8205を見ている。
次いでステップS548では、加速度センサ49(図42参照)が検知する重力加速度に基づいて携帯電話9301が左傾しているか否かチェックする。左傾がなければステップS550に進み、同様に加速度センサ49に基づいて携帯電話9301が右傾しているか否かチェックする。そして右傾がなければ、ステップS552に進み、ステップS534と同様の軟骨伝導基本案内表示9305aを行ってステップS554に移行する。
一方、ステップS548で携帯電話9301の左傾が検知されるとステップS556に進み、左角案内表示9305c(図150(D)参照)をおこなってステップS554に移行する。同様にして、ステップS550で携帯電話9301の右傾が検知された場合はステップS558に進み、右角案内表示9305b(図150(C)参照)をおこなってステップS554に移行する。
ステップS554では、ステップS552またはステップS556またはステップS558で開始された案内表示を停止する条件が満たされたかどうかチェックし、条件が満たされない場合はステップS548に戻って、以下、条件が満たされるまでステップS548からステップS558を繰り返す。この繰り返しの中で傾きが検知されれば、図150(B)の軟骨伝導基本案内表示9305aから、図150(D)の左角案内表示9305cまたは図150(C)の右角案内表示9305bに移行する。これを見て使用者は適切に耳に当てるべき角を判断することができる。
なお、図151では煩雑を避けるため図示を省略しているが、ステップS552またはステップS556またはステップS558において案内表示がおこなわれているとき、これと連動してテレビ電話用スピーカ51から同一内容の案内アナウンスが音声により行われる。なお、このような音声が発生しないサイレントモードに設定することも可能である。このようなテレビ電話用スピーカ51からの音声案内は、大画面表示部8205における対応する表示が停止されるとき同時に停止される。
これに対し、ステップS554で案内表示停止条件が満たされたことが検知されるとステップS560に進み、案内アナウンス処理および制御処理を実行してステップS562に移行する。ステップS560の処理は、案内表示の停止を行うとともに、上部フレーム8227からの軟骨伝導による軟骨伝導案内アナウンスを制御するものであり、さらに案内停止該当履歴の処理等の案内制御処理を行うものである。その詳細は後述する。
なお、ステップS540で携帯電話9301の使用開始から所定日数が経過したことが検知されたとき、またはステップS542で案内停止該当履歴の記憶が検知されたとき、またはステップS546で着信が検知されなかったときは、いずれも直ちにステップS562に移行する。つまり、これらの場合は、いずれも案内表示は行われない。いたずらに長期間の表示は関心のない使用者にとって煩わしいとともに、案内停止該当履歴があるときはもはや案内をしないのが適切であり、さらに、通話が予定されていない時点で案内を行うことはタイムリーでないからである。
ステップS562では主電源オフ操作が行われたか否かチェックされ、操作があればフローを終了する。一方、主電源オフ操作が検知されなければ、ステップS540に戻り、以下ステップS540からステップS562を繰り返して、状況に応じた案内制御を行う行う。一方、ステップS562で主電源のオフが検知されればフローを終了する。
図152は、図151において太字で示しておいたステップS554およびステップS560の詳細を示すフローチャートである。図151においてステップS554にいたると図152のフローがスタートし、ステップS572で大画面表示部8205に設けられたタッチパネル2468(図42参照)等により手動で案内表示を停止させる操作が行われたか否かチェックする。この操作は、案内を理解したかまたは案内に関心のない使用者が無用な表示を消すために行うものである。この操作がなければステップS574に移行し、近接センサ(19、20、21)によって携帯電話9301が耳に当てられたかどうかがチェックされる。これに該当しないときは、図151のステップS548に戻る。このように、図152のステップS572およびステップS574は、図151のステップS554における案内表示停止条件のチェックの詳細内容に相当する。
ステップS574で近接検知がなされた場合、フローはステップS576に移行する。このステップS576以下が、図151のステップS560の詳細内容に相当する。ステップS576では、軟骨伝導機能の正常使用が行われたか否かのチェックが行われる。具体的には、近接センサ(19、20、21)の出力の判定によって携帯電話9301の右側角部8224または左側角部8226またはこれらの中央部のいずれが耳に当てられているかチェックし、右側角部8224または左側角部8226が当てられている場合であって、それが加速度センサ49の検知する傾きが示す正しい方の角部(右傾時なら右側角部8224、または、左傾時なら左側角部8226)に一致しているか否かが検知される。そして、正常使用状態が検出されない場合には、フローがステップS578に移行する。
ステップS578では、加速度センサ49が検知する重力加速度に基づいて携帯電話9301が左傾しているか否かチェックする。左傾がなければステップS580に進み、同様に加速度センサ49に基づいて携帯電話9301が右傾しているか否かチェックする。そして右傾がなければ、ステップS582に進み、図151のステップS552と同様の内容の軟骨伝導基本案内アナウンスを上部フレーム8227からの軟骨伝導により行ってステップS584に移行する。なお、ステップS578に至った状態は携帯電話9301が耳に当てられている場合なので、通常ステップS582に至ることはないが、特殊な携帯電話9301の耳への当て方によって左傾か右傾が判断できないときに誤った情報をアナウンスしないため、一般的な情報のアナウンスを行うステップS582が設けられている。
一方、ステップS578で携帯電話9301の左傾が検知されるとステップS586に進み、左角案内アナウンス(例えば図150(D)の表示と同文)を上部フレーム8227からの軟骨伝導により行っておこなってステップS584に移行する。同様にして、ステップS580で携帯電話9301の右傾が検知された場合はステップS588に進み、右角案内アナウンス(図150(例えばC)の表示と同文)を上部フレーム8227からの軟骨伝導により行っておこなってステップS584に移行する。
ステップS584では、発呼に対する相手の応答または着信に応答する操作によって通話が開始されたか否かチェックし、通話の開始がなければステップS576に戻って、以下、ステップS584で通話開始が検知されるかまたはステップS576で正常使用が検知されない限りステップS576からステップS584を繰り返す。この繰り返しの中で耳への当て方が変更されて正常使用状態が検知されれば後述のように案内アナウンスが停止されるとともに、傾きが検知されれば当てるべき角への具体的なアナウンスが開始される。さらに、左右の持ち替えが生じればアナウンスの指示する角が変更される。これによって、誤った当て方をしている使用者は、耳で正しい当て方を知ることができる。
一方、ステップS584で通話開始が検知されると正しい当て方をしていない場合でも案内アナウンスが停止される。これは、案内アナウンスが通話の邪魔にならないようにするためである。さらにステップS592に進んで、図151のステップS552またはステップS556またはステップS558で開始された案内表示を停止し、図151のステップS562に移行する。このときテレビ電話用スピーカ51から案内アナウンスが出ていればこれも停止する。
ところで、図152のフローでは、案内表示がステップS592に至るまで継続しているが、携帯電話9301を耳に当てている状態で表示が通話開始まで継続しても支障はない。また、テレビ電話用スピーカ51からの案内アナウンスが出ていればこれも同様に通話開始まで継続するが、アナウンス内容は上部フレーム8227からの軟骨伝導によるものと同期した同内容のアナウンスなので支障はない。なお、上記のように案内表示およびテレビ電話用スピーカ51からの案内アナウンスは携帯電話9301が耳に当てられた状態では特に必要ではないので、ステップS574とステップS576の間にさらにステップS592と同様の案内表示停止のステップを挿入してもよい。
一方、ステップS576で軟骨伝導機能の正常使用が行われた場合は、ステップS594で案内アナウンスを停止してステップS596に移行する。このとき、ステップS582またはステップS586またはステップS588を経由せずにステップS576からステップS594に至ったときは元々案内アナウンスがおこわれていないからステップS594では何もせずステップS596に移行する。また、ステップS572で手動により案内表示を停止させる操作が行われたことが検知されたときもステップS596に移行する。
ステップS596ではステップS572の操作またはステップS576の検知を案内停止に該当する履歴として記録し、ステップS592に移行する。ステップS596で記録された履歴は、図151のステップS542でチェックされ、これらの履歴が検知されると、既に説明したように図151ではステップS542から直ちにステップS562に至り、案内表示も案内アナウンスも行われることはなくなる。
図153は、本発明の実施の形態に係る実施例98に関する断面図およびブロック図であり、ステレオヘッドフォンシステム9481として構成される。実施例98は、図141の実施例91をベースにしているので、共通の事項については同一番号を付して説明を省略し、追加されている事項を中心に説明する。図153(A)のブロック図において、それぞれ中央に貫通孔8524aおよび8526aが設けられた右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526は、プラグ9485により、携帯音楽プレーヤー9484の外部出力ジャック9446に接続可能となっている。右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526からプラグ9485の間にはアンプや電源等は設けられておらず、右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526は、外部出力ジャック9446の出力パワーにより必要な軟骨伝導を生じるべく駆動される。
携帯音楽プレーヤー9484は、図141の音源部8584と同様にして、右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526へのステレオ音源を出力する。携帯音楽プレーヤー9484は、Bluetooth(登録商標)などからなるデータ用近距離通信部9487を備えており、外部の通常携帯電話と連携している。そして、外部の通常携帯電話への着信信号を受信すると、ステレオアンプ8540への入力信号を音響処理回路8538からの音楽信号から着信音源9466の着信音信号に切り換え、着信を通知する。データ用近距離通信部9487は、また、着信への応答または発呼操作信号を通常携帯電話から受信し、スイッチ8540aによりステレオアンプ8540から左耳用軟骨伝導部8526への出力を停止する。これによって、貫通孔8526aからの気導により、通常携帯電話を左耳に当てて通話することができる。なお、図153では簡単のため左耳用軟骨伝導部8526への出力を停止する構成のみを示しているが、右耳用軟骨伝導部8524への出力を停止する同様の構成を設け、予め右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526のいずれの出力を停止するか設定しておくことにより、通常携帯電話使用時に当てる片耳側の軟骨伝導部からの出力を停止し、これに妨げられずに気導による通話を行なうことができる。
図153の実施例98は必要に応じさらに簡単な構成とすることができる。まず、図141の実施例91で説明したシャッタ8558およびシャッタ駆動部8557を省略すれば、貫通孔8524aおよび8526aを有する右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526の構成はさらに簡単となる。この場合、対応して、携帯音楽プレーヤー9484のシャッタ制御ユニット9439(図141の実施例91のシャッタ制御部8539、騒音検知部8538および手元操作部8509に対応)も省略する。さらに、データ用近距離通信部9487、着信音源9466およびスイッチ8540aの省略も可能である。図153の実施例98の右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526は、それぞれ貫通孔8524aおよび8526aを有するので、軟骨伝導による音楽を聞きながら、貫通孔8524aおよび8526aからの気導により周囲の音を聴くことができるので、聞きたい音への使用者の集中力により、外部の携帯電話の着信音に気付くことが可能であるとともに通常携帯電話を耳に当てての通話も不可能ではないからである。これに対し、例えば通常のステレオヘッドフォンやステレオイヤホンでは耳を覆ったり塞いだりするので、外部の携帯電話の着信音に気付くことできないとともに、通常携帯電話による通話をするには、少なくとも片耳のヘッドフォンまたはイヤホンを外さなければならない。
図153(C)は実施例98の変形例の側面図である。図153(A)およびその要部拡大図である図153(B)は、ヘッドアームにより右耳用軟骨伝導部8524および左耳用軟骨伝導部8526を外耳道入口30aに接触させる構成であるが、図153(C)は、軟骨伝導部9424を耳珠32の内側と対耳輪28aとの間の空間に挟みこむ構成である。簡単のために右耳28のみを図示しているが、図153(C)もステレオタイプである。図153(C)に明らかなように、変形例の右耳用軟骨伝導部9424は、外耳道入口30aにほぼ一致する貫通孔9424aを有する。
図154は、実施例98の実測値を示す表である。実測は、図153(A)の携帯音楽プレーヤー9484に図153(C)の変形例におけるステレオ軟骨伝導部を接続して行なった。図154に示す「出力電圧(mVrms)」は、無負荷状態の外部出力ジャック9446の出力をステレオアンプ8540のボリュームを変更しながらボルテージメータにより測定したときの実効値(オシログラフで見たときの半波ピーク高さをルート2で割ったもの)である。なお、測定は1kHzの純音をステレオアンプから発生させて行なった。図154からわかるように実施例98の携帯音楽プレーヤー9484の最大出力実効値は1ボルトである。
図154の「振動加速度(dB)」は、上記のような出力能力を有する携帯音楽プレーヤー9484に軟骨伝導部9424を接続し、耳珠の内側から振動を伝えたときの耳珠の外側の振動加速度である。なお、図154におけるデシベルの基準値は10のマイナス6乗m/secの2乗である。この測定も、1kHzの純音をステレオアンプ8540から発生させ、ボリュームを変更しながら振動加速度を測定している。なお測定に用いた軟骨伝導部9424の振動源は端子間静電容量が0.8μFの圧電バイモルフ素子であり、無負荷状態で測定した外部出力ジャック9446の電圧とほぼ等しい電圧が接続状態における圧電バイモルフ素子に入力されているとみなすことができる。
図154の「心理反応」は、以上のような測定値が実際に人にどう聞こえるかを一例として健常被験者により調べたもの(この結果は個人差によるバラツキを考慮して判断する必要がある)である。図154の「心理反応」に示すように1kHzの純音をステレオアンプ8540から発生させたとき聞き取り可能な閾値14.6dBであり、ステレオアンプ8540のボリュームレベルを25としたとき(このとき、圧電バイモルフ素子には、ステレオアンプ8540からの出力電圧とほぼ等しい3.3mV程度の実効電圧が入力されていると考えることができる)に該当した。従って、これより入力電圧を大きくすれば、より大きな音で軟骨伝導による1kHzの純音を聞くことができる。
次に、ステレオアンプ8540から音楽(ポップ系)を出力させ、軟骨伝導により快適(大きすぎず、小さすぎないと感じる状態)を聴取できるレベルを調べた。図154の「心理反応」に示すように、ステレオアンプ8540のボリュームレベルを4としたとき(このとき、圧電バイモルフ素子には、ステレオアンプ8540からの出力電圧とほぼ等しい400mV程度の実効電圧が入力されていると考えることができる。)、被験者は快適に音楽聴取できると回答した。
以上から、外部への最大出力が500mVrms以上の音源装置と、この音源装置の外部出力へのに接続することにより200mVrmsの入力があったときに耳珠裏側に50dB(基準値は10のマイナス6乗m/secの2乗)以上の振動加速度を得る軟骨伝導部の組み合わせであれば、快適な音楽の聴取が可能なもの考えることができる。
図155は、図114および図115に示す実施例74および実施例75に採用可能な昇圧回路部およびアナログ出力アンプ部の組合せ回路の詳細を示す回路図である。図115に示す回路は、実施例74におけるドライバ回路7003または実施例75におけるドライバ回路7103のICの一部としても採用可能であるが、単独のICとしても構成することができる。なお、図155において図114または図115と同じ部分には同じ番号を付して説明を省略する。
なお、実施例74および実施例75においては、昇圧回路7054としてチャージポンプ回路を例示しているが、図155の回路では、昇圧回路部としてスイッチングレギュレータを採用している。具体的には、図155における昇圧回路は、スイッチング制御部7054b、インダクタンス7054c、ダイオード7054dおよびキャパシタ7054e等から構成されるスイッチングレギュレータよりなる。そして、パワーマネジメント回路7053から供給される電圧に基づいて出力部7054fに15ボルトの出力電圧を生成する。また、基準電圧出力部7054gは、出力部7054fの電圧をそれぞれ100kΩの抵抗で分圧してアンプ出力のための基準電圧7054gを生成する。
アナログアンプ部7040の電源(VCC)には出力部7054fの15ボルトが印加される。また、アナログアンプ部7040のCH1の非反転入力には基準電圧7054gが印加される。また、アナログアンプ部7040のCH2およびCH4のそれぞれ反転入力には音響処理回路7038(実施例75の場合はAD変換回路7138a、デジタル音響処理回路7138およびDA変換回路7138bが相当)からの音信号が入力される。そしてアナログアンプ部7040のCH2およびCH4のそれぞれ出力から音信号が出力され、圧電バイモルフ素子7013を駆動する。スイッチング制御部7054bおよびアナログアンプ部7040のそれぞれイネーブル端子(ENB)には、制御端子7003aからイネーブル信号が入力され、圧電バイモルフ素子7013を駆動する場合にはスイッチング制御部7054bおよびアナログアンプ部7040を能動状態とするとともに、圧電バイモルフ素子7013の振動を停止させる場合(テレビ電話モードなど)にはスイッチング制御部7054bおよびアナログアンプ部7040の機能を停止させる。
図156は、本発明の実施の形態に係る実施例99のシステム構成図である。実施例99は図139の実施例89と同様にして、携帯電話のための送受話ユニットであるヘッドセット9581として構成されており、通常の携帯電話1401とともに携帯電話システムをなす。図156の実施例99は、図139の実施例89と共通する部分が多いので同じ部分には同じ番号を付して説明を省略する。
図156の実施例99が図139の実施例89と異なるのは、耳掛け部9582に耳珠32の前側(外耳道入口232側の反対側)と接触するための延長部9582bが設けられている点である。これによって、図156(A)に示すように、耳掛け部9582の後方内縁9582aが耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部(耳介付着部の乳様突起側)に接触するとともに延長部9582bが耳珠32の前側に接触し、両者によって外耳道入口232周囲の軟骨を挟む状態となる。
この状態には二つの意義がある。まず第一は、上記のようにして耳軟骨を外耳道入口232の前後において耳28の外側から挟むように構成したので、装着が安定し、耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部(耳介付着部の乳様突起側)および耳珠32の前側に耳掛け部9582が適度の圧力で安定して接触する。つまり、延長部9582bは、耳掛け部9582の後方内縁9582aを耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部(耳介付着部の乳様突起側)に接触させるための支えとなるとともに、逆に、耳掛け部9582の後方内縁9582aは、延長部9582bを耳珠32の前側に接触させるための支えとなる。しかも耳28が外側の前後から挟まれるため、外耳道入口232を覆うものは何もない。従って、外部の気導音が耳に入るのを妨げる状態でないことが一目瞭然であって、例えば図153の実施例98のように一見耳が覆われていても貫通孔があれば充分外部の気導音が聞こえるという事実を知らない人とのトラブルや、この事実が想定されていない法規制等との矛盾を避けることができる。
第二に、耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部(耳介付着部の乳様突起側)および耳珠32の前側は、ともに良好な軟骨伝導が得られる部位であり、保持圧を確保するために耳28を前後から挟むための接触部がともに軟骨伝導部として機能する。つまり、図156(B)に示す保持部8325aに伝えられた圧電バイモルフ素子8325の振動は、耳掛け部9582自体を伝導してその後方内縁9582aおよび延長部9582bに伝達される。保持部8325aから延長部9582bに振動が伝達されることは、例えば、図97の実施例65において右耳用軟骨伝導部6124の振動が連結部6127を介して左耳用軟骨伝導部6126に伝達されることからも理解できる。つまり、耳掛け部9582における後方内縁9582aと延長部9582bの間にある部分は振動を両者間で伝達するための連結部を構成している。
なお、図156(B)に示すように、圧電バイモルフ素子8325の振動方向は、矢印8325bに示すように外耳道入口232の中心軸とクロスする方向(顔のほぼ前後方向に対応)である。携帯電話の実施例では、図2のような状態で携帯電話が耳に当てられる場合であっても、図21のような状態で耳に当てられる場合であっても、圧電バイモルフ素子8325の振動方向が外耳道入口232の中心軸に沿う方向(顔の左右方向であって外部から音が入ってくる方向に対応)とするのが良好であるが、上記のように耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部(耳介付着部の乳様突起側)や耳珠32の前側等から振動を伝える場合は、圧電バイモルフ素子8325の振動方向を外耳道入口232の中心軸とクロスする方向(顔のほぼ前後方向に対応)とするのが良好である。
図157は、図156に示す実施例99の種々の変形例における耳掛け部の側面図である。図156(A)に示すように、実施例99は、耳掛け部9582の後方内縁9582aが耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部(耳介付着部の乳様突起側)に接触するとともに延長部9582bが耳珠32の前側に接触し、両者によって外耳道入口232周囲の軟骨を挟む構成である。この場合、年齢・性別など個人差によって耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部と耳珠32の前側の距離が異なる。従って、実施例99では複数種のサイズのものを用意し、顧客がその中から自分にフィットするものを選べるよう構成する。これに対し、図157の変形例は、上記距離が可変で誰にでも使用できるよう構成したものである。
具体的に説明すると、図157(A)は実施例99の第1変形例であり、耳掛け部9582全体を弾性体9582cで構成している。これによって、延長部9582bが矢印9582dで示すように弾力的に開くことが可能となり、個人差をカバーして誰の耳であっても耳掛け部9582の後方内縁9582aが耳28の付け根の軟骨の外側1828の後部(耳介付着部の乳様突起側)に接触するとともに延長部9582bが耳珠32の前側に接触するよう耳掛け部9582をフィットさせることができる。なお、図11の実施例5から図19の実施例10等で説明したように、耳軟骨と音響インピーダンスが近似する弾性材料を採用すれば、弾性体により延長部9582bに振動を伝達することができる。
図157(B)は実施例99の第2変形例であり、耳掛け部9582全体を通常硬度の材質で構成するとともに、後方部9582eと延長部9582bとの間を細くするなど柔構造9582fとし、これによって延長部9582bが矢印9582dで示すように弾力的に開くことが可能としている。また、柔構造9582fは振動を伝達するための連結部となっている。なお、柔構造部9582fの補強とスムーズな外観を得るため、柔構造部9582fは弾性体9582gで充填されている。
図157(C)は実施例99の第3変形例であり、耳掛け部9582全体を通常硬度の材質で構成するとともに、後方部9582eと延長部9582bとの間を回転軸9582hで回転可能に連結し、回転軸9582hの部分にバネを入れることにより延長部9582bに図上で時計方向の弾性を持たせている。これによって延長部9582bを矢印9582dで示すように弾力的に開くことが可能となる。また、回転軸9582hによる結合部は、振動を伝達するための連結部となっている。
図157(D)は実施例99の第4変形例であり、基本的には図157(C)の第3変形例と同じ構成なので、要部を拡大して図示している。図157(D)の第4変形例は、回転軸9582iをマイナスドライバで回転調整することが可能なように構成しており、その回転により、バネによる延長部9582bの図上で時計方向の弾性の強さを調整できるようにしている。これによって、個人差にかかわらず適切な接触圧が得られるよう調整することができる。なお、回転軸9582iには指標9582jが設けられており、これを目盛9582kに合わせることにより、接触圧を可視的に確認できるようにしている。これは、右耳と左耳に同様の耳掛け部を装着することによりステレオで軟骨伝導による音情報を聞く場合において、まず、いずれかの耳で接触圧を調節し、これと同じ目盛9582kに指標9582jを合わせることにより、左右の接触圧が同じとなるよう調整することができる。もちろん、好みにより左右の接触圧が異なるよう調整することも可能である。この場合も目盛9582kと指標9582jは調整の参考となる。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、耳介付着部の乳様突起側や耳珠の前側等から振動を伝える場合において軟骨伝導振動源の振動方向を外耳道入口の中心軸とクロスする方向(顔のほぼ前後方向に対応)とする構成は、実施例99のように軟骨伝導振動源が圧電バイモルフ素子8325である場合に限るものではなく、電磁型振動子等を軟骨伝導振動源とする場合にも好適である。
図158は、本発明の実施の形態に係る実施例100に関する斜視図および断面図であり、携帯電話9601として構成される。なお、実施例100は、圧電バイモルフ素子によって構成される軟骨伝導振動源の構造およびその配置を除き図69に示した実施例46と共通なので、説明に必要な部分以外の図示を省略するとともに図示部分については、共通する部分に同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図158(A)に示すように、実施例100の携帯電話9601には、図69の実施例46と同様にしてプロテクタとなる弾性体部4263a、4263b、4263cおよび4263dが設けられている。また上側の2つの角にある弾性体部4263a、4263bの内側は圧電バイモルフモジュール9625の保持部を兼ねるとともに弾性体部4263a、4263bの外側は耳軟骨に接触する軟骨伝導部を兼ねている。
実施例100の携帯電話9601が図69の実施例46と異なるのは、上側の2つの角にある弾性体部4263a、4263bの内側において保持されている圧電バイモルフモジュール9625の構造にある。図158(B)に示すように圧電バイモルフモジュール9625は、金属板9697の両端がパッケージ部9625aから外に突き出して延長されている。そして、これら延長された金属板9697の両端部は、それぞれ屈曲部9697a、9697bと支持部9697c、9697dとなっている。なお、パッケージ部9625aには振動部9625bおよび回路部9636が封入されている。また、パッケージ部9625aは振動部9625bおよび回路部9636の保護のために必要最低限の厚さとなっており、圧電バイモルフモジュール9625の振動部9625bは極めて薄型の形状になっている。このように、実施例100の圧電バイモルフモジュール9625は、回路部分をパッケージに封入したモジュール部品となっている。なお圧電バイモルフモジュール9625は、上記のように携帯電話9601の前後方向には薄型の部品であるが、、図158(C)に支持部9697dの断面を示すように、上下方向には金属板9697および振動部9625bとも相当の幅を持たせ、金属板9697の強度および振動パワーを確保している。
圧電バイモルフモジュール9625は上記のように屈曲させた金属板9697により支持するよう構成されるので、図158(B)に示すように支持部9697c、9697dを弾性体部4263a、4263bの内側のほぼ中央で保持すれば振動部9625bを含む薄型のパッケージ部9625aを携帯電話9601上部の表面側(GUI表示部3405側)近傍に寄せて配置することができ、携帯電話9601上部に他の部品を配置するためのレイアウトスペース9601aを確保することができる。金属板9697がこのような屈曲構造をとっても、その端部である支持部9697c、9697dから弾性体部4263a、4263bに振動部9625bの振動がそれぞれ伝わり、弾性体部4263a、4263bを好適な軟骨伝導部として機能させることができる。軟骨伝導のための音響特性は、圧電バイモルフモジュール9625の両端をこのような弾性体部4263a、4263bで支持した構造全体の振動の振る舞いに基づいて設計する。そして、必要に応じ、後述のように回路部9636のイコライザ機能により、音響特性を調節する。
また、このようにパッケージ部9625aを携帯電話9601上部の表面側近傍に寄せて配置したとき振動部9625bがより耳に近くなるので、振動部9625bから発生する気導音が携帯電話9601上部の表面側からよりよく聞こえるようになり、万一、図137(B)に準じる従来の聞き方をしても相手の声を気導も交えて聞くことが可能となる。また、このような意図で設計をする場合は、携帯電話9601上部の表面側に気導音を通すための孔を設けるようにしてもよい。
なお、携帯電話9601の設計によっては、圧電バイモルフモジュール9625を裏返しに配置することにより、パッケージ部9625aを携帯電話9601上部の裏面側近傍に寄せて配置することも可能であり、この場合も携帯電話9601上部に他の部品を配置するためのレイアウトスペースを確保することができる。この配置は、内側カメラなど、携帯電話9601の表面側に配置される部品をパッケージ部9625aが邪魔しないレイアウトが可能となる。
図159は、図158に示す実施例100の圧電バイモルフの構造の詳細を示す模式断面図および回路図である。図158と同じ部分には同じ番号を付して必要のない限り説明を省略する。図159(A)は圧電バイモルフモジュール9625の要部の構造を示すための模式断面図であって、長さの大部分を占める振動部9625bの中間部分は両端部分と同一構造のため、拡大図示のスペースの都合で省略している。図158で示した振動部9625bは、図159では金属板9697の両側にそれぞれ貼り張り合わされた圧電セラミックス板9698、9699に対応している。圧電セラミックス板9698、9699は携帯電話9601の前後方向には極めて薄いが、上下方向には図158(C)に示した金属板9697の支持部9697d相当の幅を持っている。
また、回路部9636は、金属板9697上に絶縁して実装され、圧電セラミックス板9698、9699の共通電極となる金属板9697が接続されるとともに、圧電セラミックス板9698、9699の対向電極9698a、9699aがまとめて接続されている。なお、対向電極9698aを対向電極9698bに接続するため、金属板9697には絶縁されたスルーホール9697eが設けられている。パッケージ部9625aはこれらの構造を保護に必要最低限の厚さで覆い、圧電バイモルフモジュール9625を極めて薄型の形状としている。なお、回路部9636からのは4つの端子9636a(電源用および音声信号入力用)が出ていてパッケージ部9625aから露出している。4つの端子9636aは図159(A)に示すように、圧電バイモルフモジュール9625の内側(屈曲部9697a、9697bが伸びている側)にまとめて配置するのが実装上好適である。
図159(B)は回路部9636の回路図であり、図159(A)の4つの端子9636aは、図159(B)では、それぞれ、電源用の端子Vcc、Gおよび音声信号入力用の端子IN1、IN2に対応している。電源端子Vccおよびグラウンド端子Gは音響処理回路9638および昇圧回路9654に電源電圧を供給し、昇圧回路9654はアンプ9640に昇圧した電源を供給している。音響処理回路9638は、好適な軟骨伝導振動源としての振動を得るイコライズのための定数又は処理テーブルを記憶するEEPROM9638aを備えている。これら定数又は処理テーブルは基本的に圧電バイモルフモジュール9625出荷時にはEEPROM9638aに書き込まれているが、携帯電話9601に組み込んでから書き込むことも可能である。入力端子IN1、IN2から音響処理回路9638に入力された音声信号は、音響処理の後アンプ9640に入力され、アンプ9640の出力端子OUT1、OUT2からそれぞれ共通電極となる金属板9697および対向電極9698a、9699aに出力される。
図160は、実施例100における圧電バイモルフモジュールの量産のための構成を説明する断面図である。図158と同一部分については同一番号を付して必要のない限り説明は省略する。また、煩雑を避けるため、図158で説明済みの部分については、一部図示および番号の付与も省略する。図160(A)および図160(B)は、概念的には、図158(A)と同一の構造を示しているが、実際の寸法的には、図160(A)に示す携帯電話9601の方が図160(B)に示す携帯電話9601よりも幅が広くなっている。(なお、図160(B)では、パッケージ部9625aを携帯電話9601上部の裏面側近傍に寄せて配置した例を示しているが、圧電バイモルフモジュール9625単体としての構造は変わらないので、以下の説明には当面関係がない。配置に関しては、別途後述する。)
上記のように図160(A)と図160(B)の携帯電話9061は幅が異なるが、一点鎖線9625c、9625dで示すように、パッケージ部9625aの長さおよびその内部構成は互いに共通である。このようにパッケージ部9625aを標準化することにより、パッケージ部9625aから突き出している金属板9697の長さおよび屈曲部9697a、9697bと支持部9697c、9697dの屈曲状態を変更するだけで種々の携帯電話に対応することが可能となる。なお、図160(A)と図160(B)では携帯電話9601は幅が異なる場合を例示したが、外観の幅が同一であっても、弾性体4263a、4263bの大きさが携帯電話によって異なる場合もある。このような場合でも、上記のようなパッケージ部9625aの標準化により、金属板9697の長さおよび屈曲部9697a、9697bと支持部9697c、9697dの屈曲状態を変更するだけで種々の大きさの弾性体4263a、4263bに対応することが可能となる。
なお、上記で、図137(B)に準じる従来の聞き方をしたときに振動部9625bから発生する気導音を聞くために携帯電話9601の上部の表面側に気導音を通すための孔を設けるようにしてもよい旨述べた。図160(A)には、参考までに、このような場合の一例として、気導音通過用の孔9601bを振動部9625b近傍に設けた設計を図示している。この孔9601bは、通常の気導スピーカのために設けられるものと同様のものでよい。
ここで、図160(B)の配置について補足しておく。既に述べたように、携帯電話9601の設計によっては、圧電バイモルフモジュール9625を裏返しに配置することにより、パッケージ部9625aを携帯電話9601上部の裏面側近傍に寄せて配置することができる。図160(B)はこのことを具体的に示すためのものであり、この場合は、図示のように携帯電話9601上部の表面側(GUI表示部3405側)に空きスペースを確保することができる。この配置は、上記のように、内側カメラなど、携帯電話9601の表面側に配置される部品をパッケージ部9625aが邪魔しないレイアウトとなる。
図160(C)は、上記と同様のパッケージ部9625aの長さが共通の圧電バイモルフモジュール9625において、パッケージ部9625aから突き出している金属板9697を屈曲させることなく振動部9625bを含む薄型のパッケージ部9625aを携帯電話9601上部の表面側(GUI表示部3405側)近傍に寄せて配置するようにしたものである。パッケージ部9625aの位置および弾性体4263a、4263bによる支持構造が許せばこのような設計も可能である。このように、パッケージ部9625aを標準化する構成は金属板9697を屈曲させるか否かにかかわらず、種々の携帯電話に対応が可能なものである。なお、図160(C)のような支持の場合、携帯電話9601の幅が狭くて金属板9697が長すぎればその両端を適宜カットすればよい。
図160(D)および図160(E)は、上記のようなパッケージ部9625aが標準化された圧電バイモルフモジュール9625の標準品を示しており、パッケージ部9625aだけでなくパッケージ部9625aから突き出している金属板9697についても同じ長さにして量産するものである。このとき、パッケージ部9625aから突き出している金属板9697の長さは屈曲の場合も考慮して種々の携帯電話に対応しうるよう充分長くしておくものとする。そして、顧客のニーズに応じ、金属板9697を屈曲させない場合は、図160(D)に示すように、次工程で金属板9697の不要部分9697e、9697fをカットしてカスタマイズし、提供する。一方、金属板9697を屈曲させる場合は、図160(E)に示すように、顧客のニーズに応じ、次工程で、金属板9697の不要部分のカットとともに、屈曲部9697a、9697bと支持部9697c、9697dの屈曲加工をしてカスタマイズし、提供する。なお、顧客のニーズによっては、図160(D)または図160(E)の状態のままの未加工の標準品を提供してもよい。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、実施例100は、圧電バイモルフモジュールを携帯電話上部の両角の弾性体で両持ち支持する場合を示しているが、実施例100に示した圧電バイモルフモジュールを携帯電話の表面または裏面近傍に配置してスペースを空ける特徴は、弾性体で両持ち支持する場合に限らず、硬質の支持部で支持する場合や片持ち支持の場合にも有用である。また、実施例100に示した薄型の回路一体型モジュールやその標準化の特徴も、実施例100に限らず、種々の実施例に応用可能なものである。
図161は、本発明の実施の形態に係る実施例101に関するブロック図であり、軟骨伝導に基づく携帯電話として構成される。詳細構成は、これまでに説明した実施例と共通であるが、図161では煩雑を避けるため説明に直接関係のない部分は大まかなブロックで示し、その詳細な説明は省略する。
図161の実施例101は、通常の携帯電話9701におけるアプリケーションプロセッサ9739およびパワーマネジメント回路9753を有する。アプリケーションプロセッサ9739は携帯電話主要部9745をはじめとする携帯電話9701全体を制御する。パワーマネジメント回路9753はアプリケーションプロセッサ9739と連携して携帯電話9701全体への給電を行う。アナログ出力アンプ9740は、アプリケーションプロセッサ9739から出力され音響処理回路9738で処理された音声出力に基づいて軟骨伝導振動源となる圧電バイモルフ素子9725を駆動する。そしてパワーマネジメント回路9753は昇圧回路9754を介してアナログ出力アンプ9740に駆動電源を供給する。このような構成の詳細は、基本的には図107に示した実施例72や、図114から図116に示した実施例74から実施例76等と共通である。
図161の実施例101は、さらに、アナログ出力アンプ9740と圧電バイモルフ素子9725との間に、圧電バイモルフ素子9725を駆動する音声周波数域の信号は通過させるが携帯電話9701の落下等による衝撃で圧電バイモルフ素子9725が起電する高周波域の衝撃パルスはカットするローパスフィルタ9740aを設けている。
圧電バイモルフ素子9725は、他の実施例と同様にして、耳珠等の耳軟骨に当てるのに好適な部位である角部9701dに設けられる。しかしながら、既に述べたように、角部9701dは落下などの際、直接衝撃が加わりやすい部位でもある。ところで、圧電バイモルフ素子9725は、印加された電圧に応じて変形するので、この性質を利用して音声信号9725aを印加することにより軟骨伝導振動を発生する出力素子として利用されるが、逆に外部から変形が加えられると電圧を発生する起電力素子としても機能する。そして、落下等の衝撃によって圧電バイモルフ素子9725から高周波域の衝撃パルス9725bが発生し、これがアナログ出力アンプ9740の出力に逆流すると、アナログ出力アンプ9740が破壊される恐れがある。
ローパスフィルタ9740aはこのような事態を防止するためにアナログ出力アンプ9740と圧電バイモルフ素子9725との間に設けられているものであり、圧電バイモルフ素子9725から高周波域の衝撃パルス9725bが発生したとき、仮にローパスフィルタ9740aがなければ想像線9725cで示すようにアナログ出力アンプ9740にそれが伝わるのを防止する。また、上記のように、ローパスフィルタ9740aは、圧電バイモルフ素子9725を駆動する音声周波数域の信号信号9725aは通過させる。
一般に携帯電話におけるADコンバータのサンプリング周波数は8kHzあり、量子化できるのは4kHzまでであることから、扱われる音声信号は3.4kHz程度まで抑えられている。また、図132等で述べたように、耳軟骨の周波数特性においては、3kHz前後から高周波数帯域にかけて振動の伝達効率が低下する。従って、ローパスフィルタ9740aは、具体的には4kHz程度以下を通過させるものを採用することによって、圧電バイモルフ素子9725の駆動には差し支えないとともに、落下等の衝撃によって圧電バイモルフ素子9725から発生する高周波域の衝撃パルス9725bをカットすることができる。
また、PHSやIP電話におけるサンプリング周波数は16kHzあり、8kHzまで量子化できるので、扱われる音声信号は7kHz程度である。また、既に述べたように広義の軟骨伝導では、軟骨気導だけでなく直接気導も鼓膜の振動に寄与するものと定義され、実際、外耳道閉鎖効果が生じていない状態では、圧電バイモルフ素子9725からの直接気導により聞こえる音の周波数域を広げることも可能である。この場合は、圧電バイモルフ素子9725をPHSやIP電話で扱われる7kHz程度までの領域で振動させる構成となる。また、将来、データ通信レートの向上から、携帯電話においても、直接気導成分も加味した広義の軟骨伝導が期待され、この場合も圧電バイモルフ素子9725を7kHz程度までの領域で振動させることが考えられる。従ってこの場合に対応するには、ローパスフィルタ9740aは、具体的には8kHz程度以下を通過させるものを採用する。これによってことによって、サンプリング周波数は16kHzの音声信号による圧電バイモルフ素子9725の駆動には差し支えない構成となる。なお、落下等の衝撃によって圧電バイモルフ素子9725から発生する高周波域の衝撃パルス9725bはこれよりも高い周波数領域を主要成分とするので、実質的にこれをカットすることが可能である。
図162は、図161に示す実施例101の第1変形例のブロック図であり、図161と共通部分には同一番号を付して説明を省略する。図162における第1変形例は、圧電バイモルフ素子9725を携帯電話9701へのタップを検知する衝撃入力素子として利用するためのタップ検知部9742を設けたものである。このような構成については、図41から図43を援用した実施例27においても説明した。つまり、このような構成では、携帯電話9701の表示画面または筐体の任意の部分を指でタップ(タッチ)することにより、パソコンにおけるマウス等の「クリック」のようにGUI操作の決定入力を行うことができる。
タップ検知部9742はローパスフィルタ9740aを介して指によるタップの衝撃9725dを検知し、これをアプリケーションプロセッサ9739に伝達することによってGUI操作の決定入力を行う。このため、ローパスフィルタ9740aは、指のタップによる衝撃9725dの主要周波数帯域および音声信号9725aの帯域を通過させるとともに、これらより高い主要周波数帯域にある落下等の衝撃パルス9725bをカットするよう選択される。
図163は、図161に示す実施例101の第2変形例のブロック図であり、図161または図162と共通部分には同一番号を付して説明を省略する。図163における第2変形例では、タップ検知部9742aを設ける位置が図162の第1変形と異なっており、ローパスフィルタ9740aを介さずに指によるタップの衝撃9725dを直接検知する。検知したタップの衝撃9725dをアプリケーションプロセッサ9739に伝達することによってGUI操作の決定入力を行う点は同様である。この場合のローパスフィルタ9740aは、図161の実施例と同様にして音声信号9725aの帯域を通過させるとともに、これらより高い主要周波数帯域にある落下等の衝撃パルス9725bをカットできるよう選択される。
なお、図163の第2変形例におけるタップ検知部9742aには圧電バイモルフ素子9725からの衝撃の強度を識別し、所定以上の強度の衝撃は落下によるものとして排除する強度識別部9742bおよび床や壁などとの衝突と指によるタップの衝撃におけるスペクトルの差を識別し、所定以上の高周波成分の割合が多い前者を排除するためのスペクトル識別部9742cが設けられ、衝突による衝撃が指のタップと誤認されないようにしている。
前記図161から図163における実施例101およびその変形例に採用されるローパスフィルタ9740aの好適な実例は、抵抗成分と容量成分からなるRCフィルタまたはインダクタンス成分と容量成分からなるLCフィルタである。なお、これら実施例およびその変形例では、落下等の衝撃によって圧電バイモルフ素子9725から発生する高周波域の衝撃パルス9725bに対しローパスフィルタ9740aを採用しているが、圧電バイモルフ素子9725への衝撃による起電力がアナログ出力アンプ9740に逆流するのを防止する逆流防止手段となるものであれば、上記の構成に限るものではない。
また、前記図161から図163における実施例101およびその変形例においては、簡単のため軟骨伝導部の設定および圧電バイモルフ素子9725への衝突原因を図で右側の角についてのみ説明したが、実際は他の実施例と同様にして、軟骨伝導部の設定および圧電バイモルフ素子9725への衝突原因は左右の両角とするのが好適である。このとき、圧電バイモルフ素子9725の配置は、図69の実施例46等のように両角の中央部となる場合や、図96の実施例64等のように片側の角となる場合がある。いずれの場合も左右の両角が衝突原因となりうる。さらに、実施例101およびその変形例は、図100の実施例68のように左右の両角にそれぞれ圧電バイモルフ素子を配置した場合にも適用可能であって、この場合、左右の圧電バイモルフ素子が互いに独立して制御可能なので、それぞれの圧電バイモルフ素子とアナログ出力アンプのそれぞれの出力部との間にそれぞれローパスフィルタが設けられることになる。
図164は、図161の実施例101の特徴を図155に示す昇圧回路部およびアナログ出力アンプ部の組合せ回路に応用した場合の一部省略詳細回路図である。つまり、図164は、図155と大部分が共通であるため、昇圧回路部のすべておよびアナログ出力アンプ部の一部を省略して図示し、同一部分については同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。
図164(A)は、図161のローパスフィルタ9740aを、アナログアンプ部7040(図161のアナログ出力アンプ9740に相当)と圧電バイモルフ素子7013(図161の圧電バイモルフ素子9725に相当)の間に設けたものであり、ローパスフィルタ9740aが抵抗成分と容量成分からなるRCフィルタの場合を示す。図164(A)に明らかなように、RCフィルタは、アナログアンプ部7040のCH2の出力であるOUT2から圧電バイモルフ素子7013の第1端子の間、およびアナログアンプ部7040のCH4の出力であるOUT3から圧電バイモルフ素子7013の第2端子の間にそれぞれ設けられている。
図164(B)は、同様にして、ローパスフィルタ9740aがインダクタンス成分と容量成分からなるLCフィルタの場合を示す。図164(A)に明らかなように、LCフィルタの場合も、アナログアンプ部7040のCH2の出力であるOUT2から圧電バイモルフ素子7013の第1端子の間、およびアナログアンプ部7040のCH4の出力であるOUT3から圧電バイモルフ素子7013の第2端子の間にそれぞれ設けられている
図165は、本発明の実施の形態に係る実施例102に関するブロック図であり、携帯電話のための軟骨伝導振動源装置として構成される。実施例102は、図122の実施例82と共通する部分が多いので、共通部分には同一番号を付し、必要のない限り説明を省略する。図165の実施例102が図122の実施例82と異なるのは、ドライバ回路9803におけるデジタル音響処理回路9838の構成である。
具体的に説明すると、図165のデジタル音響処理回路9838においては、アプリケーションプロセッサ9839から出力されるデジタル音声信号が、外耳道閉鎖効果イコライザ9838a、広義軟骨伝導イコライザ9838b、および気導イコライザ9838cにそれぞれ入力される。そしてアプリケーションプロセッサ9839からの指示に基づき、切換回路9538dがいずれかの出力をDAコンバータ7138cに入力する。また、気導イコライザ9838cの出力は、アプリケーションプロセッサ9839の指示に基づき、スイッチ9851aを介してスピーカ9851に伝えらる。スイッチ9851aは通常開かれているが、圧電バイモルフ素子7013を振動させないときに閉じられ、着信音や種々の案内を行うとともにテレビ電話時の相手の声を出力する。
広義軟骨伝導イコライザ9838bは、外耳道開放状態において携帯電話が耳軟骨に接触している状態で選択される。既に説明した通り、広義の軟骨伝導は、厳密には軟骨気導、軟骨骨導および直接気導からなり、実質的には軟骨気導と直接気導が支配的である。そして、大まかにいうと低音域は軟骨気導が優位であり、高音域になると直接気導優位となって、500Hzではほぼ軟骨気導、4000Hzではほとんどが直接気導となる。
広義軟骨伝導イコライザ9838bは、上記のような広義の軟骨伝導の結果としての外耳道内の音圧の周波数特性がフラットとなる振動が圧電バイモルフ素子7013に生じるよう音声信号のイコライズを行う。因みに、広義軟骨伝導イコライザ9838bによるイコライズで振動させられる圧電バイモルフ素子7013の直接気導音のみを測定すると、高音域強調のイコライズとなっている。
次に、気導イコライザ9838cは、直接気導成分のみによる音圧の周波数特性がフラットとなるような振動が圧電バイモルフ素子7013に生じるよう音声信号のイコライズを行う。具体的には、軟骨伝導部9824から生じる気導音の音圧を直接測定したとき、または、軟骨伝導部9824を耳軟骨に接触させない状態で外耳道内の音圧を測定したときの周波数特性がフラットとなるようなイコライズである。これは、軟骨伝導部9824が従来の気導スピーカとして正常に機能していることの評価のためのイコライズを意味する。因みに、圧電バイモルフ素子7013が気導イコライザ9838cによるイコライズで振動させられている状態において外耳道開放状態で軟骨伝導部9824を耳軟骨に接触させ、外耳道内の音圧を測定したとき(つまり広義の軟骨伝導の状態で測定したとき)は、高音域不足のイコライズとなっている。
さらに、外耳道閉鎖効果イコライザ9838aは、外耳道閉鎖効果(「耳栓骨導効果」と同一)が発生している状態における外耳道内の音圧の周波数特性がフラットとなる振動が圧電バイモルフ素子7013に生じるよう音声信号のイコライズを行う。この場合は、基本的には専ら軟骨気導の特性を考慮したイコライズとなる。因みに、圧電バイモルフ素子7013が外耳道閉鎖効果イコライザ9838aによるイコライズで振動させられている状態において軟骨伝導部9824の耳軟骨接触状態を保ったまま押圧力を弱めて外耳道入口を開放させ、外耳道内の音圧を測定したとき(つまり広義の軟骨伝導状態にして測定したとき)は、高音域不足のイコライズとなっている。
なお、広義軟骨伝導イコライザ9838bまたは気導イコライザ9838cを機能させる際に圧電バイモルフ素子7013から充分な直接気導音を生ぜしめるための構造としては、図136から図138に示した実施例88またはその変形例のように、電磁型振動子8225の振動を上部フレーム8227から正面板8201aに伝え、正面板8201aの上端辺部を比較的広い面積で振動させる構成が好適である。また、図160(A)に示す実施例100の変形例のように、振動部9625bを携帯電話上部の表面側に寄せて耳の近くに配置し、さらに気導音通過用の孔9601bを振動部9625b近傍に設ける構成も充分な直接気導音を生ぜしめるのに好適である。
また、外耳道閉鎖効果イコライザ9838a、広義軟骨伝導イコライザ9838b、および気導イコライザ9838cのイコライズは、圧電バイモルフ7013単独の特性ではなく、軟骨伝導部9824(携帯電話の角に設定)と結合されて携帯電話に組み込まれた状態における軟骨伝導および気導の発生が目標値となるよう設定される。
図166は、図165の実施例102におけるアプリケーションプロセッサ9839の機能を示すフローチャートである。なお、図123のフローはドライバ回路9803の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示しており、一般的な携帯電話の機能等、図166のフローに表記していないアプリケーションプロセッサ9839の動作も存在する。図166のフローは、携帯電話の主電源のオンでスタートし、ステップS602で初期立上および各部機能チェックを行うとともに携帯電話の表示部における画面表示を開始する。次いでステップS604では、軟骨伝導部および携帯電話の送話部の機能をオフにしてステップS606に移行する。
ステップS606では、気導テストモードが設定されたかどうかをチェックする。そして気導テストモード設定が検知されなければステップS608に進み、通話発呼に対する相手からの応答または相手からの着信に基づく携帯電話による通話が行われている状態か否かチェックする。そして通話状態であればステップS610に進み軟骨伝導部および送話部をオンしてステップS612に進む。
ステップS612では、気導モードの設定が行われているか否かチェックし、この設定が行われていなければステップS614に移行する。ステップS614では、外耳道閉鎖効果が生じている状態か否かをチェックし、該当がなければステップS616に進んで、自分の声の波形を反転した信号の付加なしにステップS618に移行する。この自声波形反転信号の有無に関しては、図10のフローにおけるステップS52からステップS56において説明しているので、詳細は省略する。ステップS618では、広義軟骨伝導イコライザ9838bを選択してステップS620に移行する。
一方、ステップS614で外耳道閉鎖効果発生状態が検知されたときにはステップS622に移行し、自声波形反転信号を付加するとともにステップS624で外耳道閉鎖効果イコライザ9838aを選択してステップS620に移行する。また、ステップS612で気導モードの設定が行われていることが検知された場合はステップS626に移行し、気導イコライザ9838cを選択してステップS620に移行する。
ステップS620では通話が断たれたか否かをチェックし、該当しなければステップS612に戻って以下、通話が断たれない限り、ステップS612からステップS626を繰り返す。これによって、通話中も設定や状況の変化に対応して、外耳道閉鎖効果イコライザ9838a、広義軟骨伝導イコライザ9838b、および気導イコライザ9838cの選択を変更することができる。一方、ステップS620で通話が断たれたことが検知されるとステップS628に進み、軟骨伝導部および携帯電話の送話部の機能をオフにしてステップS630に移行する。
一方、ステップS606において気導テストモードの設定が検知されたときはステップS632に移行し、気導イコライザ9838cを選択する。次いでステップS634で軟骨伝導部をオンしてステップS636に移行し、気導テスト処理を行う。気導テスト処理は、所定の音源テータに基づいて各周波数の音声信号を自動的に順次発生させ気導イコライザ9838cのイコライズに基づいて圧電バイモルフ素子7013を振動させる処理であり、軟骨伝導部から発生する直接気導をマイク等で測定することにより気導イコライザ9838cのイコライズが適切かどうかテストするためのものである。そして気導テスト処理が終了するとステップS638に移行して軟骨伝導部をオフし、ステップS630に移行する。また、ステップS608で通話状態が検知されないときは直ちにステップS630に移行する。
ステップS630では、携帯電話の主電源がオフされたか否かチェックし、主電源のオフがなければステップS606に戻り、以下ステップS630で主電源のオフが検知されない限り、ステップS606からステップS638を状況に応じて繰り返す。これに対しステップS630で主電源オフが検知されるとフローを終了する。
次に、図167を用いて図165および図166の実施例102におけるデジタル音響処理回路9838におけるイコライザの機能について説明する。図167(A)から図167(C)は、それぞれ、実施例86における図132と同様にして、圧電バイモルフ素子の周波数特性のイメージ図、圧電バイモルフ素子を耳軟骨に接触させたときの耳軟骨の振動加速度レベルの周波数特性のイメージ図、および圧電バイモルフ素子への駆動出力のイコライズのイメージ図である。
図167(A)は図132(A)と同じ図であって、圧電バイモルフ素子の周波数特性は10kHz程度までは大略フラットであることを示している。また、図167(B)も図132(B)と同じ図であって、圧電バイモルフ素子を耳軟骨に接触させたときの耳軟骨の振動加速度レベルの周波数特性は、振動源である圧電バイモルフ素子の振動が比較的弱い1kHz以下の帯域においても1〜2kHzの帯域に匹敵する大きな振動加速度レベルを呈するが、3kHz前後から高周波数帯域にかけて振動加速度レベルの低下を呈している。
これに対し、図167(C)の圧電バイモルフ素子への駆動出力のイコライズのイメージ図では、破線で外耳道閉鎖効果イコライザ9838aの周波数によるゲイン変化のイメージを、実線で広義軟骨伝導イコライザ9838bの周波数によるゲイン変化のイメージを、一点鎖線で気導イコライザ9838cの周波数によるゲイン変化のイメージを、それぞれ示している。
図167(D)は、図167(C)に破線で示す外耳道閉鎖効果イコライザ9838aのイコライズを行ったときの測定音圧のイメージを示すものである。図167(D)に破線で示すように、外耳道入口閉鎖状態で測定した外耳道内音圧が目的どおりほぼフラットになっている。これに対し、このイコライズにおいて、外耳道入口を開放した状態で測定した外耳道内音圧は、図167(D)に実線で示すように、高域において過剰となっている。また、このイコライズにおいて、耳の外で測定した直接気導のみの音圧は、図167(D)に一点鎖線で示すように、高域においてさらに過剰となっている。
図167(E)は、図167(C)に実線で示す広義軟骨伝導イコライザ9838bのイコライズを行ったときの測定音圧のイメージを示すものである。図167(E)に実線で示すように、外耳道入口を開放した状態で測定した外耳道内音圧が目的どおりほぼフラットになっている。これに対し、このイコライズにおいて、外耳道入口閉鎖状態で測定した外耳道内音圧は、図167(E)に破線で示すように、高域において不足となっている。これに対し、このイコライズにおいて、耳の外で測定した直接気導のみの音圧は、図167(E)に一点鎖線で示すように、高域において過剰となっている。
図167(F)は、図167(C)に一点鎖線で示す気導イコライザ9838cのイコライズを行ったときの測定音圧のイメージを示すものである。図167(F)に一点鎖線で示すように、耳の外で測定した直接気導のみの音圧が目的どおりほぼフラットになっている。これに対し、このイコライズにおいて、外耳道入口を開放した状態で測定した外耳道内音圧は、図167(F)に実線で示すように、高域において不足となっている。また、このイコライズにおいて、外耳道入口を閉鎖した状態で測定した外耳道内音圧は、図167(F)に破線で示すように、高域においてさらに不足となっている。
図167に示すグラフは煩雑を避けて理解を容易にするため、大まかな傾向を概念的に示したものであり、実際には携帯電話の通話周波数帯域における中域や低域部分においても基本としたイコライズに対する細かな音圧不足領域および過剰領域が発生する。しかしながら、いずれの状態を基準にイコライズを行ってもこのような細かな音圧不足領域および過剰領域が発生するので、基準とするイコライズの周波数特性を厳密にすることは意味がなく、図167に示すような大まかな傾向に従ってイコライズを行うのが現実的である。
なお、上記でも触れたように、図167(D)から(F)の測定値は、圧電バイモルフ7013単独の振動に基づく特性ではなく、圧電バイモルフ7013が軟骨伝導部9824と結合されて携帯電話に組み込まれた状態における軟骨伝導および気導の発生状態を測定したものである。従って図167(C)におけるゲイン設定は、圧電バイモルフ7013が軟骨伝導部9824と結合されて携帯電話に組み込まれた状態において図167(D)から(F)の測定値が得られることを目標として設定される。
図167(D)から(F)において目的とされるフラットな音圧を得るべき領域は、サンプリング周波数が8kHzの場合、少なくとも300Hzから3.4kHzとする。また、サンプリング周波数が16kHzの場合では、少なくとも300Hzから7kHzとする。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。たとえば、図165の実施例102においては、気導イコライザ9838cが選択されるときの圧電バイモルフ素子7013およびスピーカ9851がともに気導スピーカとしての周波数特性となるので気導イコライザ9838cを兼用している。しかしながら、圧電バイモルフ素子7013とスピーカ9851は異なる構造なので、それぞれ最適の気導スピーカとしての周波数特性を求める場合は気導イコライザ9838cを兼用せず、スピーカ9851のための専用イコライザを採用するようにしてもよい。
図168は、本発明の実施の形態に係る実施例103に関する斜視図および断面図であり、携帯電話9901として構成される。実施例103は、図136の実施例88と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。また、携帯電話9901内部の構成は、例えば図84の実施例55等、他の実施例を流用して理解できるので説明を省略する。図168の実施例103が図136の実施例88と異なるのは、軟骨伝導振動源として電磁型気導スピーカ9925が兼用されていることである。因みに、図136の実施例88においても、軟骨伝導振動源となる電磁型振動子8225が正面板8201aの上端辺部を比較的広い面積で振動させ、通常携帯電話に所要のレベルの気導音を発生させることができるよう構成されており、軟骨伝導と気導音の発生の両者が可能なように構成されている。これに対し、図168の実施例103では、まず電磁型気導スピーカ9925により通常携帯電話に所要のレベルの気導音を発生させるよう構成するとともに、その振動を流用して軟骨伝導部8224および8226に伝達することで、気導音の発生と軟骨伝導の両者を可能とする構成である。
以下、図168に基づいて実施例103を具体的に説明すると、図168(A)に示すように、正面板8201aには電磁型気導スピーカ9925からの気導音通過用の孔9901bが設けられ、通常の受話部を構成している。図168(A)のB1−B1断面図である図168(B)に明らかなように、上部フレーム8227の内側中央部には垂下部8227aが設けられ、これが電磁型気導スピーカ9925を設けるための台座となっている。これによって、電磁型気導スピーカ9925が気導音を発生させるために振動する反作用が上部フレーム8227に伝わり、軟骨伝導部8224および8226を振動させる。
図168(A)の上面図である図168(C)には、内部にある垂下部8227aおよびこれを台座として設けられている電磁型気導スピーカ9925を破線で示している。電磁型気導スピーカ9925は、垂下部8227a以外には接していないのでその振動の反作用は垂下部8227aを介して上部フレーム8227にしか伝わらない。図168(C)には、正面板8201aにおける電磁型気導スピーカ9925の前に設けられている気導音通過用の孔9901bを併せて破線で図示している。
図168(A)から図168(C)に示すB2−B2断面図である図168(D)は、垂下部8227aが上部フレーム8227と一体となっていること、および垂下部8227aを台座として電磁型気導スピーカ9925が設けられていることを示している。また正面板8201aには、電磁型気導スピーカ9925の前に気導音通過用の孔9901bが設けられていることを示している。さらに、図168(D)でも、電磁型気導スピーカ9925が垂下部8227a以外には接していないことがわかる。
図168(E)は、図168(B)に示すB3−B3断面図であり、内部にある垂下部8227a、これを台座として設けられている電磁型気導スピーカ9925、および電磁型気導スピーカ9925の前の正面板8201aに設けらている気導音通過用の孔9901bをそれぞれ破線で図示している。
図169は実施例103における図168(D)の要部拡大断面図であり、電磁型気導スピーカ9925の内部構造および保持構造を示す。図169は、図73の実施例48と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図169の実施例103における電磁型気導スピーカ9925が図73の実施例48における電磁型振動子4324aと異なるのは、上記のようにまず構造を電磁型気導スピーカとして機能するよう構成するとともにその振動の反作用を軟骨伝導に利用するようにした点である。
以下、図169に基づいて実施例103における電磁型気導スピーカ9925の内部構造および保持構造を具体的に説明する。電磁型気導スピーカ9925は、大きく2つの部分に分かれており、まず、第1の部分として、マグネット4324fおよび中央磁極4324gを保持するヨーク4324hが垂下部8227aに固着支持されている。この構造にはギャップを有するトッププレート4324jが固着されている。
一方、第2の部分として、振動板9924kに固着されたボイスコイルボビンにはボイスコイル4324mが巻装され、トッププレート4324jのギャップに入り込んでいる。振動板9924kの周囲には振動板9924k全体の慣性を増すためのウエイト環9324nが設けられている。この振動板9924kとこれに固着されたボイスコイルボビン、ボイスコイル4324mおよびウエイト環9924nを含む第2部分の一体構造は、ダンパ9924iによって第1部分のヨーク4324hに宙吊り状態で接続されている。この構成において、ボイスコイル4324mに音声信号が入力されるとヨーク4324h等からなる第1部分と振動板9924k等からなる第2部分の間に相対移動が生じ、これによって振動板9924kが振動するので気導音通過用の孔9901bを通じて気導音が発生する。一方、振動板9924k等からなる第2部分の振動の反作用によりヨーク4324hからなる第1部分も振動し、この振動が垂下部8227aを介して上部フレーム8227から軟骨伝導部8224および8226に伝達される。以上のようにして、気導音を発生させるための電磁型気導スピーカ9925の振動の反作用を軟骨伝導の振動源に流用することで、気導音の発生と軟骨伝導との両者を可能とする構成である。
図170は、本発明の実施の形態に係る実施例104に関する斜視図および断面図であり、携帯電話10001として構成される。実施例104は、図97の実施例65と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。また、携帯電話10001内部の構成は、例えば図84の実施例55等、他の実施例を流用して理解できるので説明を省略する。図170の実施例104が図97の実施例65と異なるのは、圧電バイモルフ素子2525を気導スピーカとして構成するとともに軟骨伝導振動源としても兼用することにある。つまり、図169の実施例103の考え方を気導スピーカの場合に適用したものである。
以下、図170に基づいて実施例104を具体的に説明すると、図170(A)に示すように、携帯電話10001の表面上部には、気導音通過用の孔10001bが設けられている。これは、図169の実施例103と同様である。図170(A)のB1−B1断面図である図170(B)に明らかなように、圧電バイモルフ素子2525の一端2525cは、右耳用軟骨伝導部6124に保持されている。この結果、圧電バイモルフ素子2525の他端2525bは自由振動端となるが、気導音を効果的に発生させるために振動板10024kが取り付けられている。なお、図170(B)では、位置関係の理解のため、図170(A)に示した気導音通過用の孔10001bを参考までに想像線で図示している。このように、振動板10024kは、気導音通過用の孔10001bの内側近傍で振動することになる。一方、上記のように圧電バイモルフ素子2525の一端2525cは、右耳用軟骨伝導部6124に保持されているので自由端の振動の反作用により右耳用軟骨伝導部6124が良好に振動する。さらに、右耳用軟骨伝導部6124の振動は連結部6127を経由して左耳用軟骨伝導部6126にも伝達される。これらの点は、図97に示した実施例65と共通である。以上の構造によって、図170の実施例104においても、図168の実施例103と同様にして、気導スピーカを軟骨伝導構造で支持することにより、気導音を発生させるための気導スピーカの振動の反作用を軟骨伝導振動源として活用している。なお、圧電バイモルフ素子2525は、上記のように軟骨伝導部だけで支持され、携帯電話10001の他の構成要素には接していないので、その振動は軟骨伝導部にしか伝わらない。
図170(A)の上面図である図170(C)には、圧電バイモルフ素子2525の自由振動端2525bに取り付けられた振動板10024kおよび気導音通過用の孔10001bを破線で図示している。また、図170(A)から図170(C)に示すB2−B2断面図である図170(D)には、圧電バイモルフ素子2525との位置関係を示すため、内部中央にある振動板10024kを参考までに破線で図示している。なお、図170(C)および図170(D)から明らかなように、圧電バイモルフ素子2525は、振動板10024kが気導音通過用の孔10001bの内側近傍で振動することができるよう、図97の実施例65の場合よりも、携帯電話10001の表面側に寄せて配置されている。なお、図170(D)では、図の煩雑を避けるため、気導音通過用の孔10001bの参考図示を省略している。
上記本発明の種々の特徴の実施は上記の実施例に限られるものではなく、他の実施形態においても実施可能である。例えば、実施例100における圧電バイモルフモジュールの量産のための構成を説明する断面図として示した図160(A)では、気導音通過用の孔9601bを振動部9625b近傍に設けた設計を図示している。また、図160(A)の構造では、圧電バイモルフモジュール9625の両端である金属板9697の支持部9697cおよび9697dが弾性体部4263a、4263bの内側で支持され、携帯電話9601の他の構成要素には接していないので、その振動は軟骨伝導部にしか伝わらない。従って、図160(A)のような構造も、図168に示した実施例103または図170に示した実施例104の変形例と考えることができる。そして、図160(A)の構造では、配置スペースが許すなら、気導音通過用の孔9601bを通過する気導音をより効率的に発生させるため、気導音通過用の孔9601b背後の金属板9697の幅を広くし、気導音発生用の振動板として機能する面積を増やしてもよい。
図171は、本発明の実施の形態に係る実施例105に関するブロック図であり、携帯電話11001およびこれと近距離通信可能なステレオヘッドセット11081a、11081bからなるシステムとして構成される。なお、ステレオヘッドセットである左ヘッドセット11081aおよび右ヘッドセット11081bは、それぞれ常時左右の耳に装着しておくことが可能である。つまり、実施例105におけるステレオヘッドセット11081a、11081bは、図139から図142、図153、図156の実施例89から実施例92、実施例98、実施例99におけるように、それぞれ耳穴232を開放状態で使用できる構成を採用しており、ステレオヘッドセットとして両耳に常時装着しても、非装着状態に比べて外界の音が聴き難くなることがない。従って、例えば、車両のクラクション等を聞き漏らす危険が増すこともないし、ステレオヘッドセットを装着したまま周囲の人との会話を楽しむこともできる。
なお、図171における実施例105のブロック図は、図135の実施例87と共通する構成が多いので、同一部分には図135と同一番号を付し、特に必要のない限り、説明を省略する。また、簡単のため、例えば電話機能部45の内部構成は、図171における図示を省略している。また、右ヘッドセット11081bは簡単のため内部構造を省略しているが、通話用マイク11023がないことを除き右ヘッドセット11081aと同じ構成である。
図171の実施例105が図135の実施例87と異なるのは、ステレオヘッドセット11081a、11081bを常時耳に装着しておく目的である音楽鑑賞に配慮するとともに、耳穴232を開放状態で使用することによる種々の状況への対処が行われている点である。まず、携帯電話11001側では、デジタルの音楽プレーヤー部11084が設けられており、音声入出力部11040を介して外部イヤホンジャック11046から出力可能となっている。音声入出力部11040は、さらに電話機能部45からの通話音信号および音楽プレーヤー部11084からの楽曲信号を無線の近距離通信部1446から左ヘッドセット11081aおよび右ヘッドセット11081bに出力可能である。
音声入出力部11040のイコライザ11036は、電話機能部45からの通話音信号を近距離通信部1446から出力するときは、制御部11039の制御により、左ヘッドセット11081aおよび右ヘッドセット11081bにおける軟骨伝導部1626等の駆動に適した軟骨伝導イコライズを行う。一方、音楽プレーヤー部11084からの楽曲信号を近距離通信部1446から左ヘッドセット11081aおよび右ヘッドセット11081bに出力するとき、音声入出力部11040のイコライザ11036は、制御部11039の制御により、軟骨伝導イコライズの場合よりも気導成分の寄与を増加させるイコライズを行い、軟骨伝導部1626等からの直接気導音により音楽鑑賞に必要な高音域を補う。
音声入出力部11040のイコライザ11036は、さらに音楽プレーヤー部11084からの出力における楽曲進行中の音信号の大小変化(例えばフォルティッシモとピアニッシモの間の音の強さの変化)をモニタし、音信号が所定レベル以下に下がる(楽曲で音の強さがピアノ側に移行する)と、軟骨伝導成分と直接気導成分との混在比率において前者が相対的に大きくなるよう楽曲の進行に応じてイコライズを臨時的に変化させる。
上記の制御には二つの意味がある。第一の意味は、楽曲における音信号の大小変化にかかわらない一定強度のノイズに対する対策である。このノイズは、楽曲のフォルテ(強奏)領域では目立たないものの、ピアノ(弱奏)領域では目立つ。従って、フォルテ領域では気導成分の混在比率を大きくして音質の良い音楽を実現するとともにピアノ領域では低音域に強い軟骨伝導成分を生かし、軟骨伝導成分を相対的に増加させる。
第二の意味は、音の大きさに対する聴覚の周波数特性変化に対する対策である。例えば「フレッチャー・アンド・マンソンの等ラウドネス曲線」が示すように、聴覚の周波数特性変化は、音が小さくなるほど低音域の感度が悪くなることが知られているが、上記のように、フォルテ領域では気導成分を相対的に増やし、ピアノ領域では軟骨伝導成分を増やすことによって、ピアノ領域では低音域に強い軟骨伝導成分を増強して感度低下を補う。
また、音声入出力部11040は、制御部11039の制御により、電話機能部45からの着信音を近距離通信部1446から出力するとき、着信メロディーなどの着信音を左ヘッドセット11081aと右ヘッドセット11081bに例えば1秒毎に交互に出力する。これによって、鑑賞中の楽曲に着信音を重畳させる場合であっても、着信音が1秒毎に左右から交互に聞こえるので気づきやすくなる。なお、着信音は鑑賞中の楽曲信号に着信音を重畳させてもよいが、着信音を出力する側のヘッドセットへの楽曲信号を消音してもよい。この場合は、着信音と楽曲信号が左右のヘッドセットから1秒毎に交番して聞こえることになる。
さらに、電話機能部45からの通話音信号を近距離通信部1446から出力する場合において、三者通話が行われたときは、制御部11039の制御により、例えば、第1の相手の声を左ヘッドセット11081aに送信するとともに、第2の相手の声を右ヘッドセット11081bに送信する。これによって、二人の相手の声を左右の耳から分離して聞くことができる。以上の携帯電話11001側の種々の機能に詳細については後述する。
一方、左ヘッドセット11081aは、受動モードと自立モードを有し、受動モードにおいては、近距離通信部1487aが受信したままのイコライズ状態の音をミキサー部1636に送り、軟骨伝導振動部1626を駆動する。この場合、イコライザ8238は実質的に何もしない。また、自立モードにおいては、イコライザ8238は制御部11039aの制御により、通常は軟骨伝導イコライズを行う。そして、近距離通信部1487aが受信した音信号が音楽であることを制御部11039aが検知したとき、イコライザ8238は軟骨伝導イコライズの場合よりも気導成分の寄与を増加させるイコライズを行いその信号をミキサー部1636に送ることで軟骨伝導振動部1626を駆動する。なお、通話用マイク11023は左ヘッドセット11081aの装着者の口元方向を中心とする指向性を持っており、装着者の音声を拾って近距離通信部1487aから携帯電話11001に送信し、電話機能部45に伝えられるようにする。
左ヘッドセット11081aの環境音マイク11038は、装着者の耳に向かってくる方向を中心とする広角の指向性を持っている。このような環境音マイク11038で拾われた周囲の騒音は波形反転部1640で反転させられるとともにミキサー部1636に入力される。これによって軟骨伝導振動部1626には、鑑賞中の楽曲信号に加え周囲の騒音を波形反転させた振動成分が生じる。この振動成分は軟骨気導および直接気導により鼓膜に達し、やはり鼓膜に達している直接気導による周囲の騒音を相殺する。これによって、耳穴を開放状態で使用することにより鼓膜に達する可能性のある周囲の騒音により鑑賞中の音楽などが聴き難くなることを防止する。
しかしながら、常時このような周囲の環境音の相殺を行うと、せっかく耳穴を開放状態にして外界の音も聞こえ得るよう構成している意味が半減する。従って、実施例105では、制御部11039aの制御により、次の条件のいずれか生じたときには上記の環境音の相殺を停止している。第一の条件は、環境音マイク11038の拾う環境音が急増した場合であり、このとき環境音の相殺を停止する。これは、例えば、車両のクラクション等、周囲の緊急音を聞き漏らす危険がないようにするためである。第二の条件は、環境音マイク11038が所定以上の音量レベルの人の声を検知した場合であり、このとき環境音の相殺を停止する。これは、例えば、ステレオヘッドセットを装着して音楽等を鑑賞しながら周囲の人との会話を楽しみ、円滑なコミュニケーションがとれるようにするためである。但し、第二の条件に関しては、着信音を受信中の場合、または、携帯電話11001の通話中の場合を例外とし、このような場合は環境音の相殺を継続する。これは、このような状況化では周囲の人からの話しかけに適切に応じなくても理解が得られると考えられるからであり、携帯電話11001の着信に気づかない事態や通話の阻害を避けることを優先する。
図171の実施例105では、左ヘッドセット11081aおよび右ヘッドセット11081bがそれぞれ携帯電話11001からの音声信号を受信するとともに、それぞれの制御部11039a(右ヘッドセット11081bでは図示を省略)において独立して上記に説明した処理を行うよう構成している。従って、右ヘッドセット11081bに関しては左ヘッドセット11081aに準じて理解できるので説明は省略する。以上の左ヘッドセット11081a側の種々の機能に詳細については後述する。
図172は、図171の実施例105の拡張システムブロック図である。携帯電話およ左右のステレオヘッドセットは基本的に図171と共通なので同一番号を付すとともに携帯電話11001の内部構成の図示を省略している。また、後述する他のステレオヘッドセットと区別するため、図172では、ヘッドセットに関し、ブロックの名称を左第1ヘッドセット11081aおよび右第1ヘッドセット11081bとしている。
図172に示す拡張システムでは、近距離通信部1446bを有する専用の携帯音楽プレーヤー11084bが加えられている。左第1ヘッドセット11081aおよび右第1ヘッドセット11081bは、図171と同様にして携帯電話11001と交信可能であるとともに、携帯音楽プレーヤー11084bからの楽曲信号を受信可能であり、その鑑賞中に携帯電話11001から着信信号が入ったり通話が始まったりすると、携帯音楽プレーヤー11084bからの楽曲信号を含め、図171で説明した動作を行う。携帯音楽プレーヤー11084bが通常の構成であるとき、左第1ヘッドセット11081aおよび右第1ヘッドセット11081bは、自立モードにあり、主にイコライザ8238が動作する。また、図172のようなシステムにおいて、左第1ヘッドセット11081aおよび右第1ヘッドセット11081bが自立モードにあるとき、携帯電話11001は、軟骨伝導イコライズ機能のない通常の携帯電話であってもシステム構成が可能である。なお、携帯音楽プレーヤー11084bが携帯電話11001におけるのと同様の軟骨伝導のためのイコライザ11036およびその制御部11039を有する場合、左第1ヘッドセット11081aおよび右第1ヘッドセット11081bは、受動モードで機能する。
図172に示す拡張システムは、さらに、近距離通信部1446cを有する通話/音源サーバ11084cが加えられている。左第1ヘッドセット11081aおよび右第1ヘッドセット11081bは、携帯電話11001および携帯音楽プレーヤー11084bと交信可能であるとともに、通話/音源サーバ11084cとも通信可能である。このような通話/音源サーバ11084cとの通信の際も、左第1ヘッドセット11081aおよび右第1ヘッドセット11081bは、自立モードにあり、主にイコライザ8238が動作する。なお、通話/音源サーバ11084cが携帯電話11001におけるのと同様の電話通話機能および音楽再生機能を有し、軟骨伝導のためのイコライザ11036およびその制御部11039を備えている場合、左第1ヘッドセット11081aおよび右第1ヘッドセット11081bは、受動モードで機能する。
なお、通話/音源サーバ11084cは、近距離通信圏内にある複数のヘッドセットとの通話および音楽等の音源配信が可能であり、図172ではその一例として、近距離通信部1446cと通信可能な左第2ヘッドセット11081cおよび右第2ヘッドセット11081dを図示している。左第2ヘッドセット11081cおよび右第2ヘッドセット11081dの構成の詳細は左第1ヘッドセット11081aおよび右第1ヘッドセット11081bと同様なので説明を省略する。
図173は、図171の実施例105における携帯電話11001の制御部11039の動作のフローチャートである。図173のフローは、操作部9による主電源のオンでスタートし、ステップS642で初期立上および各部機能チェックを行う。次いでステップS644では、ヘッドセットモード(携帯電話11001の音声信号を左ヘッドセット11081aおよび右ヘッドセット11081bに出力するモード)が設定されているかチェックし、ヘッドセットモードであれば、ステップS646に移行する。ステップS646では、音楽プレーヤーがオンになり楽曲の音信号が出力されているか否かチェックする。
そしてステップS646で音楽プレーヤーがオンであることが検知されるとステップS648に進み、軟骨伝導イコライズよりも気導成分を増加させたイコライズの設定を指示してステップS650に移行する。これにより軟骨伝導の周波数特性における高音域の不足を補って原音に近い音楽再生を実現する。ステップS650では、楽曲の音信号が所定レベル以下に下がっている(楽曲で音の強さがピアノ側に移行している)か否かチェックする。そして該当すればステップS652に移行して軟骨伝導成分を相対的に所定割合増加させるようイコライズを一時的に修正する指示を行ってステップS654に移行する。これは、上記のように、音が小さい領域でのノイズ対策および聴覚感度の低音域低下対策の意味がある。
一方、ステップS650で楽曲の音信号が所定レベル以下に下がっていない(楽曲で音の強さがフォルテ側に移行している)ことが検知されたときは直接ステップS654に移行し、ステップS648における気導成分を増加させたイコライズの設定を維持する。これにより、音が大きい領域では、気導成分による高音域の補充が行われ、原音に近い音楽再生を実現する。また、ステップS646で音楽プレーヤーのオンが検知されない場合はステップS656に進み、軟骨伝導イコライズ設定を指示してステップS654に移行する。なお、後述のように、ステップS646からステップS656は高速で繰り返されるので音楽プレーヤーのオンオフはもちろんのこと、楽曲途中におけるフォルテ側とピアノ側の間の音の大きさの変化に対応できる。
なお、上記ステップS650およびステップS652は、簡単のため、所定レベルの判断基準が一つでイコライズの変化も軟骨伝導成分を所定割合増加させるか否かの二段階としているが、実際には、判定レベルおよび軟骨伝導成分の増加割合を複数段階とするか、または無段階で連続的に変化させるよう構成する。この場合、判定レベルおよび軟骨伝導成分の増加割合を決定するテーブルによりイコライズの変化を行なうが、このテーブルのデータは、まず、上記の一定強度のノイズ対策の意義および「フレッチャー・アンド・マンソンの等ラウドネス曲線」に従った二種のテーブルを用意し、この二つのテーブルの合成によって最終的なイコライズの変化を決定するようにする。
ステップS654は、携帯電話の着信があったか否かをチェックする。そして着信があればステップS658に移行し、着信音を生成する。なおこのとき音楽が再生中であれば、着信音は楽曲の音信号に重畳される。なお、上記のように、このような重畳に代えて着信音が生成されている間、楽曲信号を消音してもよい。次いでステップS660で着信音のみを左ヘッドセット11081aおよび右ヘッドセット11081bに所定時間(例えば1秒)毎に交互に出力させるための処理を行う。これにより、上記のように鑑賞中の楽曲に重畳して(または単独で)着信音が左ヘッドセット11081aと右ヘッドセット11081bから交互に聞こえることになる。
次に、ステップS662では、着信に応じ通話を開始する操作(音楽が再生中であればこの操作により再生も中断する)が行われたか否かをチェックする。通話開始の操作が検知されなければフローはステップS658に戻り、以下通話が開始されない限りステップS658からステップS662を繰り返して左ヘッドセット11081aおよび右ヘッドセット11081bからの着信音の交互出力を継続する。一方、ステップS662で通話開始操作が検知されるとフローはステップS664に移行して、軟骨伝導イコライズを指示する。
次いで、ステップS666では、三者通話か否かがチェックされ、該当すれば、ステップS668に進んで他の二者の受信音声を分離する。そしてステップS670に移行して分離された音声を左ヘッドセット11081aおよび右ヘッドセット11081bに振り分けて出力する処理を行ってステップS672に移行する。これにより、上記のように他の二者の声を左右の耳から分離して聞くことができる。一方、ステップS666で三者通話が確認されない場合は直接ステップS672に移行する。ステップS672では、通話を終了する操作(音楽再生が中断中であれば、この操作により再生も再開する)が行われたか否かチェックする。そして、通話終了でなければステップS666に戻り、以下、通話終了操作を検知するまでステップS666からステップS672を繰り返し、この間、三者通話と通常の二者通話の切換りがあればそれに対応する。一方、ステップS672で通話を終了する操作が検知されるとステップS674に移行する。
一方、ステップS644でヘッドセットモードが検知されない場合は、ステップS676に移行して通常携帯電話処理を行ってステップS674に移行する。ステップS676の具体的な内容は、他の実施例で種々説明しているので説明は省略する。また、ステップS654で電話の着信が検知されない場合は直接ステップS674に移行する。この場合は、後述のように、音楽の再生が継続されることになる。
ステップS674では、主電源がオフされたか否かがチェックされ、オフでなければフローはステップS644に戻る。以下、主電源がオフされない限り、ステップS644からステップS676が繰り返される。この繰り返しにおいて、ステップS654での電話着信がないかまたはステップS672で通話の終了が検知された後は、実質的にステップS644からステップS652が高速で繰り返されることになり、ヘッドセットモードの解除や音楽プレーヤーのオンオフに対応できるとともに、両者がなければ音楽再生が継続され、楽曲途中におけるフォルテ側とピアノ側の間の音の大きさの変化に対応できる。一方、ステップS674で主電源のオフが検知されるとフローが終了する。
図174は、図171の実施例105におけるヘッドセットの制御部11039aの動作のフローチャートである。図174のフローは、操作部1409による主電源のオンでスタートし、ステップS682で初期立上および各部機能チェックを行う。次いでステップS684では、携帯電話11001との間の近距離通信接続を指示してステップS686に移行する。なお、ステップS684の指示に基づいて近距離通信が確立されると、以後主電源がオフされない限り、左ヘッドセット11081aと携帯電話11001との間は常時接続状態となる。ステップS686では、携帯電話11001との間の近距離通信が確立したかどうかチェックし、確立が確認されるとステップS688に移行する。
ステップS688では、環境音マイク11038をオンし、ステップS690に進んで環境音マイク11038が拾った環境音を波形反転させて携帯電話11001からの音信号に重畳させる指示を行なう。なお、ステップS688に至ったとき既に環境音マイク11038がオンされている場合は、このステップでは何もせずステップS690に移行する。また、ステップS690に至ったとき既に環境音波形反転信号の重畳が指示されている場合は、このステップでは何もせずステップS692に移行する。以上によって耳に入る生の環境雑音は、軟骨伝導振動部1626から出力される波形反転した環境雑音で相殺される。
次いで、ステップS692で自立モードか否かチェックし、自立モードであればステップS694で楽曲の音信号を受信しているか否かチェックする。そして、楽曲の音信号の受信が検知されない場合はステップS696に進んで軟骨伝導イコライズを設定し、ステップS698に至る。一方、ステップS694で楽曲の音信号の受信が検知された場合はステップS700に移行し、気導成分を相対的に増加させるイコライズを設定してステップS698に至る。また、ステップS692で自立モードでないことが検知された場合は受動モードであることを意味し、イコライズ済みの音信号が携帯電話11001から受信されるので、左ヘッドセット11081a側でのイコライズの変更を行うことなく直接ステップS698に移行する。
ステップS698では、環境音マイク11038により環境音の急増が検知されたかどうかチェックする。そして、環境音の急増がなければステップS702に進み、携帯電話11001の着信音を受信中か否かチェックする。着信音の受信中でなければステップS704に進んで通話中か否かチェックし、通話中でなければステップS706に至る。ステップS706に至ったということは、楽曲の鑑賞中であるかまたは携帯電話11001から何の音信号も受信されていない状態であることを意味する。
ステップS706では、上記の状態であることを前提に、環境音マイク11038から所定レベル以上の人声が検知されたかどうかチェックする。人声か否かの検知は、例えば人声特有の周波数成分および音高と音量の変化パターンの照合による。ステップS706で所定レベル以上の人声が検知された場合は、ステップS708に進み、ステップS690で指示された環境音波形反転信号の重畳を停止する指示を行なってステップS692に戻る。なお、ステップS708に至ったとき既に環境音波形反転信号の重畳停止が指示されていればこのステップでは何もせずステップS692に戻る。
一方、ステップS702で携帯電話11001の着信音受信が検知されたとき、またはステップS704で通話中であることが検知されたとき、または、ステップS706で所定レベル以上の人声が検知されないときはいずれもステップS710に移行し、ステップS690と同様にして環境音を波形反転させて音信号に重畳させる指示を行ない、ステップS712に移行する。なお、ステップS710に至ったとき既に環境音波形反転信号の重畳が指示されている場合は、このステップでは何もせずステップS712に移行する。また、ステップS686で近距離通信の確立が確認されない場合は、直接ステップS712に移行する。
ステップS712では、主電源がオフされたか否かチェックし、主電源がオフされていない場合は、ステップS686に戻る。以下、ステップS712で主電源のオフが検知されない限り、ステップS686からステップS712が繰り返される。これによって、状況変化に応じ、自立モードと受動モードの変更、軟骨伝導イコライズ設定の変更、および環境音波形反転信号の重畳またはその停止の変更が行なわれる。一方、ステップS712で主電源のオフが検知されるとフローを終了する。
本発明の各実施例に示した種々の特徴は、必ずしも個々の実施例に特有のものではなく、それぞれの実施例の特徴は、その利点が活用可能な限り、適宜、変形して活用したり、組合せて活用したりすることが可能である。例えば、図174のフローチャートにおいて、ステップS708の環境音波形反転信号停止に代えて、環境音マイク11038が拾った環境音(この場合、急増した環境音または人の声)を波形反転させずにミキサー部1636に入力し、生の声にプラスして軟骨伝導振動部1626からも人の声を出力させてもよい。これによって、車のクラクションや周囲の人の話しかけ等に、より容易に気付くことができる。
さらに、図171から図174に示した実施例105では、左ヘッドセット11081aおよび右ヘッドセット11081bがそれぞれ携帯電話11001からの音声信号を受信するとともに、それぞれの制御部において独立して上記に説明した処理を行うよう構成している。しかしながら、このような実施例105の構成に代え、左ヘッドセット11081aが送受信、およびイコライズや環境音相殺等の制御を統括するよう構成してもよい。この場合、右ヘッドセット11081bは直接携帯電話11001とは交信せず、単に左ヘッドセット11081aからの駆動信号を受信して軟骨伝導部を振動させるだけの構成となる。なおこの場合、上記とは逆に、右ヘッドセット11081bが送受信および諸制御を統括し、左ヘッドセット11081aは駆動信号を受信して軟骨伝導部を振動させるだけの構成となるようにしてもよいことは言うまでもない。
また、図171から図174に示した実施例105では、耳に向かってくる環境音を的確に拾うため、環境音マイク11038が左ヘッドセット11081a側に設けられ、環境音波形反転信号の重畳またはその停止の変更の制御も左ヘッドセット11081a側で行なわれている。しかしながらこのような制御の具体的構成は実施例に限るものではない。例えば、ヘッドセット側の構成を簡単にするため、環境音マイク11038を携帯電話11001側に設けるとともに環境音波形反転信号の重畳またはその停止の変更の制御も携帯電話11001側で行ない、ヘッドセット側には結果の音信号のみを送信するよう構成してもよい。このような構成は、環境音マイク11038を携帯電話11001側に設けても、ほぼ耳に入る環境音を把握できることを前提とする。また、耳に向かってくる環境音を的確に拾うため、環境音マイク11038のみをヘッドセット11081a側に設け、拾った音の情報を携帯電話11001側に送信して環境音波形反転信号の重畳またはその停止の変更の制御は携帯電話11001側で行なうよう構成してもよい。
なお、図171から図174に示した実施例105では、ヘッドセットに軟骨伝導振動部がある構成として説明しているが、例えば、実施例105で説明した音信号の大小変化に基づいて軟骨伝導成分と直接気導成分との混在比率を臨時的に変化させる特徴は、他の実施例におけるように軟骨伝導振動部が携帯電話(例えば上部角部)に設けられている場合においても実施可能である。
また、図171から図174に示した実施例105では、音信号の大小変化に基づいて軟骨伝導成分と直接気導成分との混在比率を変化させる際、楽曲の進行に応じて変化させる例を示している。しかしながらこの特徴はこのような実施に限るものではない。例えば、平均的な音量に応じても軟骨伝導成分と直接気導成分との混在比率を変化させるよう構成することができる。さらに、両者を併用し、平均的な音量に応じて軟骨伝導成分と直接気導成分との混在比率を変化させるとともに、音信号の大小変化に基づいても軟骨伝導成分と直接気導成分との混在比率を変化させるよう構成することができる。
図171から図174に示した実施例105では、携帯電話11001、携帯音楽プレーヤー11084b、通話/音源サーバ11084cとヘッドセット11081a〜11081dとの間の通信は無線の近距離通信部によるものとして構成しているが、両者間の通信はケーブル等による有線通信であってもよい。
図175は、本発明の実施の形態に係る実施例106に関するブロック図であり、携帯電話12001として構成される。図175における実施例106のブロック図は、図131の実施例86等と共通する構成が多いので、同一部分には図131と同一番号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。また、簡単のため、例えば電話機能部45や表示部205の内部構成については、図175における図示を省略している。また、軟骨伝導振動ユニット228の駆動機能は、駆動部12039としてまとめている。さらに、簡単のため、実施例106の説明に直接関係しない構成については図示を省略している。しかしながら、実施例106は、図175に図示されず説明も省略されている他の構成も備えるものであり、さらに、他の実施例の種々の特徴とも組み合わせて実施可能である。
図175の実施例106が図131の実施例86と異なるのは、指向性切換え可能なマイク12023(後述する第1マイク12023a、第2マイク12023bおよび指向性切換え部12023c等を総称)を備えており、軟骨伝導機能をはじめとする携帯電話12001の諸機能と調和してマイク12023の指向性を切換えるよう構成したことにある。このことを説明するため、図131において電話機能部45のブロック内に図示していたマイク223を、図175では電話機能部45の外に図示している。以下、マイク12023の指向性切換えを中心に詳細に説明する。
実施例106における指向性切換え可能なマイク12023は、無指向性の第1マイク12023aおよび第2マイク12023bを所定距離隔てて近接配置し、指向性切換え部12023cにより第1マイク12023aおよび第2マイク12023bの位相差等を利用して目的方向以外の音を低減させることにより、鋭い指向性を持たせることを可能としている。指向性切換え部12023cは、この位相差処理を変えることにより、指向性の方向および指向性の鋭さを調整することが可能である。このような指向性切換え可能なマイク12023の例は、例えば特開平6−30494号公報、特開2011−139462号公報などにも記載されている。なお、本発明の指向性切換え部12023cは、位相差処理を小さくするか又は全く行わないことにより指向性を広げるとき、第1マイク12023aおよび第2マイク12023bのそれぞれの出力情報に基づいて通常のステレオ音声処理を行うことが可能である。
実施例106では、上記のような指向性切換え可能なマイク12023を利用し、携帯電話12001の諸機能と連動してマイク12023の指向性の方向および指向性の鋭さを自動調整している。この自動調整の主な情報源は加速度センサ49および、携帯電話12001の種々のモード切換えである。
図176は、図175の実施例106におけるマイク12023の指向性の方向および指向性の鋭さの自動調整のイメージを説明するための模式図である。図176(A)、(B)は加速度センサ49による重力加速度の検出に基づいて携帯電話12001の傾きに応じて指向性の方向を左右に自動切換えする様子を示している。図176(A)は、携帯電話12001を右手で保持した場合のもので、正面から見て右側の軟骨伝導部12024を右耳28に当てている状態を示す。なお、図176(A)は顔を側面から見ている状態であり、背面からは見えない第1マイク12023aおよび第2マイク12023bの位置関係を示すため、携帯電話12001の外形を想像線で図示している。この状態では携帯電話12001は正面から見て右下がり(背面から見た図176(A)では左下がりに図示)に傾いており、これを検知する加速度センサ49の出力に応じ、制御部12039は指向性切換部12023cに指示してマイク12023の指向性12023dを右向き(背面から見た図176(A)では左向きに図示)の狭角に自動調整する。これによって、マイク12023の指向性12023dは使用者の口の方を向き、他の方向の環境音を拾わずに専ら携帯電話12001の使用者の声を拾うことになる。
これに対し、図176(B)は、携帯電話12001を左手で保持する場合のもので、正面から見て左側の軟骨伝導部12026を左耳30に当てている状態を示す。この状態では携帯電話12001は正面から見て左下がりに傾いており、これを検知する加速度センサ49の出力に応じ、制御部12039は指向性切換部12023cに指示してマイク12023の指向性12023eを左向き(図176(B)では右向きに図示)の狭角に自動調整する。これによって、マイク12023の指向性12023eは使用者の口の方を向き、他の方向の環境音を拾わずに専ら携帯電話12001の使用者の声を拾うことになる。
図176(C)は、携帯電話12001をテレビ電話モードで使用している状態を示す。なお、テレビ電話モードでは左右の軟骨伝導部12024、12026への振動出力は行われず、音声は気導スピーカ51から出力される。この状態では携帯電話12001は正面から見たとき傾いていない。制御部12039はテレビ電話モードの設定に応答して指向性切換部12023cに指示し、マイク12023の指向性12023fを中央狭角に自動調整する。これによって、マイク12023の指向性12023fは正面を向き、他の方向の環境音を拾わずに専ら携帯電話12001に正対している使用者の声を拾うことになる。なお、制御部12039によりマイク12023の指向性12023fを中央狭角に自動調整する情報源は、テレビ電話モード設定に代えて、携帯電話12001が左右に傾いていないことを検知する加速度センサ49の出力とするよう構成してもよい。さらに、これに代えて、例えば、図1の実施例1に示した一対の赤外光発光部19、20および共通の赤外光近接センサ21に準じた構成により、携帯電話12001上部が耳に当てられていないことを検知することでテレビ電話状態であることを検知するようにしてもよい。
図176(D)は、携帯電話12001をスピーカモードで使用し、且つ机の上などに水平載置している状態を示す。なお、スピーカモードでは左右の軟骨伝導部12024、12026への振動出力は行われず、音声は気導スピーカ51から出力される。このような使用は、一台の携帯電話12001を複数人が囲んで電話会議を行う時等に好適である。制御部12039はスピーカモードの設定および加速度センサ49の出力に基づく水平載置状態の検知により指向性切換部12023cに指示し、マイク12023の指向性12023gを中央広角に自動調整する。これによって、マイク12023がほぼ無指向性となり、携帯電話12001が載置された机を囲む複数人全員の声を拾うことができる。なお、このとき指向性切換部12023cは、指向性範囲外の音声をキャンセルするための位相差処理を小さくするか又は全く行わず、第1マイク12023aおよび第2マイク12023bのそれぞれの出力情報に基づいて通常のステレオ音声処理を行う。これによって、携帯電話12001を囲む複数人の声の方向をそれぞれ弁別することが可能となる。なお、スピーカモードであることの判別は、モード設定情報による他、上記テレビ電話状態の検知と同様にして、図1の実施例1に示した赤外光近接センサ21に準じた構成により、携帯電話12001上部が耳に当てられていないことを検知することによっても可能である。
図177は、図175および図176の実施例106における携帯電話12001の制御部12039の動作のフローチャートである。図177のフローは、主電源のオンでスタートし、ステップS722で初期立上および各部機能チェックを行う。次いでステップS724では、マイク12023の指向性を中央狭角に設定してステップS726に移行する。ステップS726では携帯電話12001の発呼操作が行われたか否かチェックし、操作がなければステップS728に進んで携帯電話12001への着信があったか否かチェックする。そして着信があればステップS730に移行する。また、ステップS726で発呼操作を検知したときもステップS730に移行する。
ステップS730では発呼操作への相手の応答または着信への受信操作により通話が開始されたか否かチェックし、通話が開始されればステップS732に移行する。また通話開始が検知できなければステップS726に戻り、以下、発呼操作または着信が継続している限りステップS726からステップS730を繰り返して通話開始を待つ。
ステップS730で通話開始が検知されるとステップS732に進み、テレビ電話モードが設定されているか否かチェックする。テレビ電話でなければステップS734に移行してスピーカ通話モードか否かチェックする。そしてスピーカモードでなければステップS736に移行し、携帯電話12001が所定角度以上に左傾しているか否かチェックする。所定以上の左傾が検知されなければステップS738に移行し、携帯電話12001が所定角度以上に右傾しているか否かチェックする。所定以上の右傾が検知されなければステップS740に移行し、マイク12023の指向性を中央狭角に設定してステップS742に移行する。なおこのとき既に指向性が中央狭角に設定されていればこのステップでは何もせずステップS742に移行する。軟骨伝導を利用した携帯電話12001では、携帯電話上辺中央部ではなく携帯電話上部角を耳に当てるので、通常の携帯電話よりも使用時の傾きが大きく、マイク12023が口から離れる傾向にあるので、上記のように右手使用か左手使用可で指向性を左右に切換える構成は特に有用である。
一方、ステップS736で携帯電話12001が所定角度以上に左傾していることが検知されるとステップS744に移行し、マイク12023の指向性を左方狭角に設定してステップS742に移行する。なおこのとき既に指向性が左方狭角に設定されていればこのステップでは何もせずステップS742に移行する。これに対し、ステップS738で携帯電話12001が所定角度以上に右傾していることが検知されたときはステップS746に移行し、マイク12023の指向性を右方狭角に設定してステップS742に移行する。このときも、既に指向性が右方狭角に設定されていればこのステップでは何もせずステップS742に移行する。
なお、ステップS732でテレビ電話モードが設定されていることが検知されるとステップS748に移行し、マイク12023の指向性を中央狭角に設定してステップS742に移行する。このときも、既に指向性が中央狭角に設定されていればこのステップでは何もせずステップS742に移行する。さらに、ステップS734でスピーカ通話モードへの設定が検知されるとステップS750に移行し、加速度センサ49の出力に基づいて水平載置状態か否かチェックする。そして該当すればステップS752に移行し、マイク12023の指向性を中央広角に設定するとともにステップS754に進んでステレオ処理を指示し、ステップS742に移行する。このときも、既に指向性が中央広角に設定されていればステップS752では何もせず、ステップS754でのステレオ処理指示を継続してステップS742に移行する。一方、ステップS750で水平載置状態が検知されない場合はステップS748に移行し、マイク12023の指向性を中央狭角に設定してステップS742に移行する。このときも、既に指向性が中央狭角に設定されていればステップS748では何もせずステップS742に移行する。
ステップS742では、通話終了操作が行われたか否かチェックする。そして通話終了操作がなけばステップS732に戻る。以下ステップS742で通話終了操作が検知されない限りステップS732からステップS754が繰り返され、通話中の諸状況の変化に対応し、指向性をこれに対応して自動切換えする。一方、ステップS742で通話終了操作が検知されるとステップS756に移行する。また、ステップS728で着信が検知されないときは発呼操作も着信もない状態に該当するのでステップS758に移行する。ステップS758では、マイク12023による音声入力操作に対応する処理を行ってステップS756に移行する。なお、ステップS758の音声入力対応処理に至るときはステップS724にてマイク12023の指向性が中央狭角に設定されているので、他の方向の環境音を拾わずに専ら携帯電話12001に正対している使用者の音声入力指示の声を拾うことになる。
ステップS756では、携帯電話12001の主電源がオフされたか否かチェックし、主電源がオフでなければステップS724に戻る。以下、ステップS756で主電源のオフが検知されない限り、ステップS724からステップS756を繰り返され、携帯電話12001の種々の状況変化に対応する。一方、ステップS756で主電源のオフが検知されが場合はフローを終了する。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。たとえば、実施例106における携帯電話の右傾または左傾の検知による指向性の左右自動切換の構成、および種々の状況に応じた指向性の方向および指向性の鋭さの自動調整の構成は、軟骨伝導を採用した携帯電話に限らず、通常のスピーカによって受話を行う携帯電話でも採用可能である。
また、実施例106では、左手使用か右手使用かの判別を加速度センサによる傾き検知により行うものを示したが、左手使用か右手使用かの判別はこれに限るものではない。例えば、図1の実施例1に示した一対の赤外光発光部19、20および共通の赤外光近接センサ21に準じた構成により、携帯電話上部の左角部または右角部のいずれが耳に当てられているかを検知してもよい。さらに、携帯電話背面等に接触センサを設け、左手持ちの場合と右手持ちの場合での手の接触状況が異なることにより左手使用か右手使用かの判別を行ってもよい。
図178は、本発明の実施の形態に係る実施例107に関する斜視図および断面図であり、携帯電話13001として構成される。実施例107は、図168の実施例103と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。また、携帯電話13001内部の構成は、実施例57と共通なので図87を援用する。図178の実施例107が図168の実施例103と異なるのは、軟骨伝導振動源であり、実施例103で電磁型気導スピーカ9925が採用されているのに対し、実施例107では圧電バイモルフ素子13025が採用されていることである。また、圧電バイモルフ素子13025の支持においても、後述するように他の実施例と異なる特徴的な構造を採用している。なお、実施例107では、実施例103と異なり、圧電バイモルフ素子13025はあくまで軟骨伝導部8224および8226の振動源であり、気導音は付随的に正面板8201aの上端辺部の振動により発生する。この点では、図178の実施例107はむしろ図136の実施例88に近い。
以下、図178に基づいて実施例107を具体的に説明する。図178(A)は実施例107の携帯電話13001の外観を示す斜視図であるが、図168の実施例103のような気導音通過用の孔9901bは設けられていない。
次に、図178(A)のB1−B1断面図である図178(B)により、圧電バイモルフ素子13025の配置および支持構造を説明する。上記のように、実施例107は、圧電バイモルフ素子13025を振動源としている。そしてその支持において、圧電バイモルフ素子13025を軟骨伝導部8224および8226の中間点に縦に配置し、上側の一端を上部フレーム8227の垂下部8227cに差し込んで片持ち支持している。これによって、圧電バイモルフ素子13025の下側の他端は自由振動し、その反作用が垂下部8227cから軟骨伝導部8224および8226にそれぞれ伝達される。なおその振動方向は、正面板8201aに垂直な方向(図178紙面に垂直な方向)である。
図178(A)の上面図である図178(C)には、内部にある垂下部8227cおよびこれに差し込まれた圧電バイモルフ素子13025を破線で示している。図178(C)から明らかなように、垂下部8227cは背面板8201b近傍に寄せて配置されており、圧電バイモルフ素子13025は垂下部8227c以外に接することなく背面板8201b近傍で振動する。これによって、圧電バイモルフ素子13025は、多くの部材が配置される携帯電話13001上部において正面板8201a近傍のスペースを占めることなく振動する。なお、圧電バイモルフ素子13025の振動の反作用は垂下部8227cを介して上部フレーム8227にしか伝わらない。
図178(A)から図178(C)に示すB2−B2断面図である図178(D)は、垂下部8227cが上部フレーム8227と一体となっていること、および垂下部8227cが背面板8201b寄りに設けられているとともにこれに差し込まれた圧電バイモルフ素子13025の自由端が矢印13025aに示すように正面板8201aに垂直な方向に振動していることを示す。また図168(D)では、圧電バイモルフ素子13025の自由端が垂下部8227c以外に接することなく振動し、その振動の反作用が支持部である垂下部8227cを介して上部フレーム8227にしか伝わらないことがわかる。
図178(E)は、図178(B)に示すB3−B3断面図であり、内部にある垂下部8227cおよびこれに差し込まれた圧電バイモルフ素子13025をそれぞれ破線で図示している。なお、図178(A)から(D)に示すように、実施例107における圧電バイモルフ素子13025は、多くの部材が配置される携帯電話13001上部において正面板8201a近傍のスペースを占めることなく振動させるため、振動方向に薄型に構成される。そして、このような薄型の圧電バイモルフ素子13025を軟骨伝導部8224および8226の中間点において背面板8201b寄りに縦に片持ち支持することにより、携帯電話13001上部のスペースを大きく占めることなく軟骨伝導部8224および8226に均等に振動を伝達することができる。
図178に示す実施例107は、さらに、4kHz以上の周波数域における軟骨伝導を活用することに着目して構成されたものである。以下、そのベースとなる事項について説明する。
既に説明したように、図79における携帯電話の実測データの一例を示すグラフは、携帯電話を外耳道入口部周辺の耳軟骨に接触圧250重量グラム(通常使用する圧力)で接触させたとき、非接触状態に比べ、外耳道入口部から1cm奥の外耳道内における音圧が、音声の主要な周波数帯域(500Hz〜2300Hz)において少なくとも10dB増加することを示している。(図79に実線で示す非接触状態と一点鎖線で示す250重量グラムでの接触状態とを比較参照。)これに対し、より高周波数帯域(例えば2300Hz〜7kHz)では、非接触状態と250重量グラムでの接触状態との音圧の差は比較的小さくなる。しかしながら、図79によれば、より高周波数帯域においても、非接触状態に比べ明らかに250重量グラムでの接触状態における音圧の増加が認められる。この事情は、外耳道が閉鎖される接触圧500重量グラムでの音圧(二点鎖線)と非接触状態(実線)との比較でも同様であり、音声の主要な周波数帯域(500Hz〜2300Hz)ほど顕著ではないが、より高周波数帯域(例えば2300Hz〜7kHz)においても明らかに非接触状態に比べ500重量グラムでの接触状態での音圧が増加している。特に、接触圧500重量グラムでは外耳道が閉鎖されているため直接気導音は存在せず、非接触状態からの音圧増加は専ら軟骨伝導によるものである。
既に触れたように、聴覚の周波数特性変化は、音が小さくなるほど低音域の感度が悪くなることが知られている。図179は、このことを示すもので、「フレッチャー・アンド・マンソンの等ラウドネス曲線」と呼ばれているものである。図179からわかるように例えば100Hzと1KHzで比較すると、100ホンの等ラウドネス曲線ではともに音圧レベルが100デシベル程度で同等のラウドネスが得られている。しかしながら、40ホンの等ラウドネス曲線によると1KHzが40dBであるのに対し100Hzで60dBとなり、100Hzで1KHzと同等のラウドネスを得るには20dBも余計に音圧が必要であることがわかる。つまり等ラウドネス曲線が横軸と交差する点が上にあるほど聴覚の感度が悪く、下にあるほど聴覚の感度がよい。図79における比較的低周波数領域における音圧増加は、図179におけるような音が小さい領域における人間の聴覚感度低下を補う上で好適であることがわかる。
一方で、図179に示すように比較的高周波数領域(例えば4kHz〜10kHz)においては、(加齢による高周波側からの感度低下は認められるものの)人間の聴覚は音が小さくなっても比較的良好な感度を維持している。このような人間の聴覚の特性を加味したとき、図79の実験結果におけるより高周波数帯域(例えば2300Hz〜7kHz)での軟骨伝導による音圧増加は、音声の主要な周波数帯域(500Hz〜2300Hz)だけでなくより高周波数領域(例えば4kHz〜10kHz)においても、軟骨伝導によって実用的な音の伝達が可能であることを示している。実際、耳栓をして直接気導音の影響を断った状態で、軟骨伝導部を純音で駆動して耳軟骨に接触させたところ、少なくとも7kHzにおいて軟骨伝導による音を良好に聞くことができた。さらに、若年層の実験によれば、10kHzでも非接触状態から接触状態への変化により明らかな音圧増加が認められ、このような周波数のおいても軟骨伝導が生じていることが確認できた。
図178に示す実施例107は、以上の認識に基づき、4kHz以上の周波数域にわたっても軟骨伝導を活用するよう構成されたものであり、具体的には、300Hzから7kHzまでの領域において軟骨伝導の特性を加味したイコライズを行なう。また、外部イヤホンジャック8246を使用するときは、音楽ソースの再生を考慮して広域イコライズ(例えば20Hz〜20kHzの領域のイコライズ)を行なう。
なお、図178に示す実施例107は、上記のように軟骨伝導を活用する周波数帯域を7kHzまで拡大している。上記のように7kHz以上の周波数帯域においても軟骨伝導を活用することが可能であるが、これを7kHzまでとした理由は、軟骨伝導の利点であるプライバシーの保護と周囲への迷惑軽減を優先するためである。図179に示すように人間の聴覚の感度は7kHz以上の高周波数帯域においても依然として小さな音に対する高感度を維持している。一方で、7kHz以上の高周波数帯域はいわゆるシャリシャリ音が耳につく領域であり、これは小さな音であっても周囲には不快なものである。従って、この領域の周波数帯域で圧電バイモルフ素子を振動させないことにより、わずかな音漏れであっても不快となる気導音が周囲に発生するのを防止している。
現在一般的となっている携帯電話の通話では3.4kHz以上の周波数帯域は用いられないが、既に述べたとおり、PHSやIP電話におけるサンプリング周波数は16kHzあり、8kHzまで量子化できるので、扱われる音声信号は7kHz程度である。また、将来、データ通信レートの向上から、携帯電話においても、直接気導成分も加味した広義の軟骨伝導が期待され、この場合も圧電バイモルフ素子13025を7kHz程度までの領域で振動させることが考えられる。このような状況において、実施例107に示す構成は極めて有用なものとなる。
以下具体的に説明を行なうが、実施例107のブロック図は、実施例57と共通なので図87を援用する。但し、アプリケーションプロセッサ5339の機能と、その指示によってアナログフロントエンド5336および軟骨伝導音響処理部5338を制御する制御部5321の機能が実施例57とは異なる。具体的には、図87において、イヤホンジャック5313(図178ではイヤホンジャック8246に相当)に提供される音信号と、圧電バイモルフ素子5325(図178では圧電バイモルフ13025に相当)を駆動するアンプ5340に提供される音信号のイコライズが、上記のとおり実施例57とは異なる。
図180は、実施例107におけるアプリケーションプロセッサ5339(図87援用)の機能を示すフローチャートである。なお、図180のフローは、図87におけるアナログフロントエンド5336および軟骨伝導音響処理部5338の制御に関連するアプリケーションプロセッサ5339の機能を中心に動作を抽出して図示しており、一般的な携帯電話の機能等、図180のフローに表記していないアプリケーションプロセッサ5339の動作も存在する。またアプリケーションプロセッサ5339は、他の種々の実施例において示した諸機能を合わせて達成することが可能であるが、これらの機能についても煩雑を避けるため図180における図示と説明を省略している。
図180のフローは、携帯電話13001の主電源のオンでスタートし、ステップS762で初期立上および各部機能チェックを行うとともに携帯電話13001の表示部8205における画面表示を開始する。次いでステップS764では、圧電バイモルフ素子13025およびその駆動に係るアンプ5340等の軟骨伝導部および携帯電話13001の送話部8223の機能をオフにしてステップS766に移行する。
ステップS766では、外部イヤホンジャック8246にイヤホン等が挿入されているか否かチェックする。そして外部イヤホンジャック8246への挿入が検知されなければステップS768に進み、通話状態か否かチェックする。通話状態であればステップS770に進み軟骨伝導部および送話部の機能をオンしてステップS772に進む。ステップ772では、軟骨伝導の特性を加味したイコライズを行なうとともにステップS774において300Hzから7kHzの周波数帯域でのイコライズを行なってステップS776に移行する。ステップS772とステップS774を分けたのは、後述するように外部イヤホンジャック8246にイヤホンを挿入して電話通話を行なう場合、軟骨伝導の特性を加味せずに300Hzから7kHzの周波数帯域でのイコライズを行なう場合があり、これを機能的に分離して説明するためである。実際には、軟骨伝導部がオンされる場合、ステップS772とステップS774は総合したイコライズとして実行される。
ステップS776では、外耳道入口の閉鎖が行なわれているか否かをチェックし、該当がなければステップS778に進んで、自分の声の波形を反転した信号の付加なしにステップS780に移行する。外耳道入口の閉鎖が行なわれているか否かのチェックは、例えば図9の実施例4に示される押圧センサ242の出力によるか、または外部イヤホンジャック8246にイヤホンプラグが接続されたことの検知をもってイヤホンによる外耳道閉鎖が生じるものと見做す等の処理により可能である。自声波形反転信号付加の有無に関しては、図10のフローにおけるステップS52からステップS56において説明しているので、詳細は省略する。一方、ステップS776で外耳道入口の閉鎖が行なわれていることが検知されたときにはステップS782に移行し、自声波形反転信号を付加してステップS780に移行する。
ステップS780では通話が断たれたか否かをチェックし、該当しなければステップS776に戻り、以下、通話が断たれない限り、ステップS776からステップS780を繰り返す。これによって、通話中も設定や状況の変化に対応して、自声波形反転信号の付加の有無を変更することができる。一方、ステップS780で通話が断たれたことが検知されるとステップS784に進み、軟骨伝導部および送話部の機能をオフにしてステップS786に移行する。なお、ステップS768で通話状態が検知されないときは、直接ステップS784に移行する。なお、ステップS784に至ったとき既に軟骨伝導部および送話部の機能がオフ状態にあればステップS784では何もせずにステップS786に移行する。
これに対し、ステップS766において外部イヤホンジャック8246への挿入が検知されたときは、ステップS788に移行し、軟骨伝導部をオフしてステップS790に移行する。このとき既に軟骨伝導部がオフ状態にあればステップS788では何もせずにステップS790に移行する。ステップS790では、通話状態か否かのチェックを行なう。通話状態であればステップS792に進み送話部の機能をオンしてステップS774に進む。これによって、外部イヤホンジャック8246から出力される通話相手からの声がイヤホンから聞こえるとともに送話部から自分の声を送る通話が可能となる。また、ステップS774への移行によって300Hzから7kHzの周波数帯域でのイコライズが行なわれ、以下軟骨伝導の場合と同様のフローに入る。なお、この場合、ステップS772を通っていないので軟骨伝導の特性を加味せずに300Hzから7kHzの周波数帯域でのイコライズを行なうことになる。また、外部イヤホンを使用していることをもって外耳道が閉鎖されている状態であると看做す判定手法をステップS776で採用している場合において、ステップS792経由でステップS776に至ると、フローは専らステップS776からステップS782を経由してステップS780に至る経路をとる。これによって、イヤホン使用時の自声の違和感を軽減する。
一方ステップS790で通話状態が検知されない場合は、外部イヤホンジャック8246から音楽データが出力されているので、ステップS794において広域イコライズ(例えば20Hz〜20kHzの領域のイコライズ)を行なってステップS796に移行する。ステップS796では音楽データの再生等の音楽鑑賞処理を行い、処理が終了すれば、ステップS786に移行する。
ステップS786では、携帯電話13001の主電源がオフされたか否かチェックし、主電源のオフがなければステップS766に戻り、以下ステップS786で主電源のオフが検知されない限り、ステップS766からステップS796を状況に応じて繰り返す。これに対しステップS786で主電源オフが検知されるとフローを終了する。
図181は、本発明の実施の形態に係る実施例108およびその変形例に関する断面図であり、携帯電話14001または携帯電話15001として構成される。実施例108およびその変形例は、図178の実施例107と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。また、外観においては、実施例107と異なるところがないので、図178(A)を援用し、図181における斜視図の図示を省略している。図181の実施例108が図178の実施例107と異なるのは、実施例107で圧電バイモルフ素子が縦向きに配置されているのに対し、実施例108およびその変形例で圧電バイモルフ素子14025または15025が横向きに配置されていることである。
図181(A)は、実施例108において、図178(A)(実施例107を援用)のB1−B1断面図に相当する。図181(A)に明らかなように、実施例108においても軟骨伝導部8224および8226の中間点に上部フレーム8227からの垂下部8227dが設けられている。しかしながら、圧電バイモルフ素子14025は横向きに配置され、図で右側の一端を垂下部8227dに差し込むことで片持ち支持されている。これによって、圧電バイモルフ素子14025の図で左側の他端は自由振動し、その反作用が垂下部8227dから軟骨伝導部8224および8226にそれぞれ伝達される。振動方向は実施例107と同様にして、正面板8201aに垂直な方向(図181紙面に垂直な方向)である。
図178(A)(実施例107を援用)の上面図に相当する図181(B)には、内部にある垂下部8227dおよびこれに差し込まれた圧電バイモルフ素子14025を破線で示している。図181(B)から明らかなように、実施例107と同様にして、垂下部8227dは背面板8201b近傍に寄せて配置されており、圧電バイモルフ素子14025は垂下部8227d以外に接することなく背面板8201b近傍で振動する。これによって、実施例107と同様にして、圧電バイモルフ素子14025は、多くの部材が配置される携帯電話14001上部において正面板8201a近傍のスペースを占めることなく振動する。実施例108においても、圧電バイモルフ素子14025の振動の反作用は垂下部8227dを介して上部フレーム8227にしか伝わらない。
図181(A)および(B)に示すB2−B2断面図である図181(C)は、実施例107と同様にして、垂下部8227dが上部フレーム8227と一体となっていること、および垂下部8227dが背面板8201b寄りに設けられていることを示す。
図181(D)から図181(F)は、実施例108の変形例を示す。図181(D)は図178(A)(実施例107を援用)のB1−B1断面図に相当し、軟骨伝導部8224および8226の中間点を挟んで等距離に、上部フレーム8227から垂下する二つの垂下部8227eおよび8227fが設けられていることを示す。圧電バイモルフ素子15025は実施例108と同様にして横向きに配置されているが、実施例108のように片持ち支持されているのではなく、二つの垂下部8227eおよび8227fに内側からそれぞれ差し込まれて両持ち支持されている。なお、このような支持を行なうためには、例えば垂下部8227eおよび8227fの少なくとも一方を上部フレーム8227から取り外し可能とし、垂下部8227eおよび8227fの間に圧電バイモルフ素子15025の両端を差し込んでから上部フレーム8227に垂下部8227eおよび8227fを一体に取り付けるような組立て構造とする。このような両持ち支持の場合、圧電バイモルフ素子15025の中央部分が自由振動し、その反作用が垂下部8227eおよび8227fから軟骨伝導部8226および8224にそれぞれ伝達される。振動方向は実施例108と同様にして、正面板8201aに垂直な方向(図181紙面に垂直な方向)である。
図178(A)(実施例107を援用)の上面図に相当する図181(E)には、内部にある二つの垂下部8227e、8227fおよびこれらの間に差し込まれた圧電バイモルフ素子15025を破線で示している。図181(E)から明らかなように、実施例108と同様にして、二つの垂下部8227e、8227fは背面板8201b近傍に寄せて配置されており、圧電バイモルフ素子15025は垂下部8227eおよび8227f以外に接することなく背面板8201b近傍で振動する。これによって、実施例108と同様にして、圧電バイモルフ素子15025は、多くの部材が配置される携帯電話15001上部において正面板8201a近傍のスペースを占めることなく振動する。実施例108の変形例においても、圧電バイモルフ素子15025の振動の反作用は垂下部8227eおよび8227fを介して上部フレーム8227にしか伝わらない。
図181(D)および(E)に示すB2−B2断面図である図181(F)は、実施例107と同様にして、垂下部8227e、8227fが上部フレーム8227と一体となっていること、および垂下部8227e、8227fが背面板8201b寄りに設けられていることを示す。なお、変形例では二つの垂下部8227e、8227fがあるので、図181(F)では、代表として垂下部8227fの部分に該当するB2−B2断面を示している。
以上の各実施例に示した種々の特徴は、必ずしも個々の実施例に特有のものではなく、それぞれの実施例の特徴は、その利点が活用可能な限り、適宜、他の実施例の特徴と組み合わせたり、組み替えたりすることが可能である。また各実施例における個々の具体的な構成も、他の同等の手段と置き換え可能である。例えば、図178の実施例107、図181の実施例108およびその変形例において圧電バイモルフ素子の端部を垂下部の穴に差し込む構成を示したが、圧電バイモルフ素子の支持はこのような構成に限るものではなく、例えば圧電バイモルフ素子の端部を垂下部に接着するよう構成してもよい。
また、図178の実施例107において、圧電バイモルフ素子13025を背面板8201b近傍に寄せて配置し、多くの部材が配置される携帯電話13001上部において正面板8201a近傍のスペースを占めることなく振動させる構成は、軟骨伝導振動源として圧電バイモルフ素子を用いるものに限らず有用である。例えば、軟骨伝導振動源として電磁型振動子を採用する場合にも、これを背面板近傍に配置すれば同様の利点を享受できる。
さらに、本発明においてイヤホンジャックに対し20kHzまでの広域にわたる気導音イコライズを行なうとともに、軟骨伝導振動源には7kHzまでの軟骨伝導イコライズを行なう構成は、図178の実施例107のように軟骨伝導振動源として圧電バイモルフ素子を用いるものに限らず他の軟骨伝導振動源を採用する場合でも有用である。例えば、軟骨伝導振動源として電磁型振動子を採用する場合にも、この特徴は有用である。
図182は、本発明の実施の形態に係る実施例109の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図182(A)は、右耳28に装着した右耳用イヤホンの正面図(顔の側面に対応)である。簡単のため、右耳28以外の顔の図示は省略する。また、本実施例以下のステレオイヤホンは簡単のため右耳用のみについて説明するが、実施例は同様の構成の左耳用イヤホンを備え、右耳用イヤホンと左耳イヤホンはステレオミニプラグによって、携帯電話または携帯音楽端末の外部出力用ステレオミニジャックに接続可能である。図182(A)では耳の構造との関係を示すため右耳用イヤホンの構成を破線で図示している。
図182(A)に明らかなように、右耳用イヤホンの軟骨伝導部16024は耳珠32の内側と対耳輪28aとの間の空間に挟みこまれる。また、軟骨伝導部16024には、外耳道入口30aにほぼ一致する貫通孔16024aが設けられている。軟骨伝導部16024は反発力の強い弾性体で構成され、装着による変形により耳珠32の内側と対耳輪28aとの間の装着空間の広さの個人差に対応するとともに、変形に伴う反発力によって軟骨伝導部16024が装着空間から抜け落ちないようにしている。なお、装着によって耳軟骨自体も若干変形し、その反発力によって軟骨伝導部16024を保持するので、軟骨伝導部16024は耳軟骨自体よりは腰の強い弾性体構造とする。
軟骨伝導部16024には鞘部16024bが固着されており、その内部に圧電バイモルフ素子(図182(A)では不図示)を収容している。圧電バイモルフ素子は後述のように鞘部16024bの内壁に触れないように振動可能であるとともにその上端部が軟骨伝導部16024に固着されている。鞘部16024bは耳甲介腔28eから珠間切痕28fにかけて耳28の下方に垂れ下がることができる。図182(A)では、鞘部16024bが図で右下方に傾いて垂れ下がるよう図示しているが、耳の形状の個人差により、ほぼ垂直に垂れ下がることもできる。なお、耳の構造の詳細は図80において説明しているのでこれを参照することで、イヤホンの軟骨伝導部16024と鞘部16024bが耳28に納まる様子がよりよく理解できる。
図182(B)はイヤホンの側面図であり、図で左側が外耳道入口30aに該当する。簡単のため耳の図示は省略している。図182(B)に明らかなように、軟骨伝導部16024は耳珠32の内側と対耳輪28aとの間の空間に納まるよう鞘部16024bよりも外耳道入口30aの方向に突出する厚みを有する。また、軟骨伝導部16024は、貫通口16024a周囲の図で右側(外耳道入口30aと反対側)に輪状縁16024cを有する。
図182(C)はイヤホンの正面拡大図であり、貫通口16024aの周囲に輪状縁16024cが設けられている様子を示す。また、図182(C)に明らかなように鞘部16024bは軟骨伝導部16024下部に埋め込み固着されている。さらに圧電バイモルフ素子16025の上端は、鞘部16024bの内壁に触れることなく軟骨伝導部16024の下部に直接埋め込み固着されている。一方、圧電バイモルフ素子16025の下端は鞘部16024b内で自由振動可能であり、その反作用が軟骨伝導部16024に伝達され、耳軟骨への良好な軟骨伝導を生じる。また、圧電バイモルフ素子16025の下端からは接続ケーブル16024dが導出され、これが鞘部16024bの下端を貫通してステレオミニプラグに接続されている。
図182(D)は、図182(C)のB1−B1断面図であり、貫通口16024aの周囲に設けられた輪状縁16024cが外側(図で上側)に突出している様子を示す。実施例109は広く開けられた貫通口16024aにより、基本的に外界の音を遮断することなく軟骨伝導により音楽等を鑑賞するよう構成している。これによって屋外で音楽鑑賞しているときに車のクラクション等の危険音に容易に気づくことができるとともに、周囲の人から話しかけられたときにすぐに対応し円滑なコミュニケーションをとることができる。そして、臨時的に外耳道閉鎖状態を実現し、音楽鑑賞に集中したいときは、図182(D)に示すように、イヤホンを装着したまま外側から指16067の腹で軟骨伝導部16024を耳に軽く押しつける。これにより軟骨伝導部16024と耳軟骨との接触圧が高まって音量が増加するとともに、図182(D)に示すように輪状縁16024cが指16067の腹に軽く食い込んで貫通口16024aを効率よく閉鎖する。ステレオイヤホンなので、外耳道閉鎖状態の実現のためには両耳のイヤホンを左右の指で上記のとおり押すことは言うまでもない。
図182(E)、(F)および(G)は、図182(C)を簡略化して図示したもので、軟骨伝導部16024が変形している様子を示す。図182(F)が標準状態であり、図182(E)は耳珠32の内側と対耳輪28aとの間の装着空間が左右に狭い人に装着した際、軟骨伝導部16024が左右により強く押されて変形している状態を示す。一方、図182(G)は装着空間が上下に狭い人に装着した際、軟骨伝導部16024が上下により強く押されて変形している状態を示す。図182(E)、(F)および(G)は典型例を単純化して示すものであるが、軟骨伝導部16024は装着空間の形状の個人差に応じて自由に変形することができる。
図183は、本発明の実施の形態に係る実施例110の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図183の実施例110は、図182の実施例109と共通するところが多いので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する。実施例110が実施例109と異なるのは、鞘部17024bを軟骨伝導部17024に対し上下にスライド可能とすることで、貫通口17024aを開閉することができるよう構成した点である。また、開閉を容易にするため図183(A)に示すように貫通口17024aは比較的小さく構成される。なお、外界の音は小さな隙間でも外耳道から鼓膜に達することができるので貫通口17024aが小さくても問題はない。軟骨伝導部17024は鞘部17024bを安定して案内し変形を避けるため、実施例110とは異なり、硬質材料で構成される。なお、実施例110の場合、装着空間の形状や大きさの個人差の吸収については、軟骨自体の変形を前提としている。
図183(B)および(C)はイヤホンの側面図であり、図182(B)と同様にして理解できる。なお、図183(B)および(C)では、鞘部17024bの動きとの関係を説明するため圧電バイモルフ素子17025を破線で付記している。また、貫通口17024aの外側(図で向かって右側)は鞘部17024bが出入りする窓17024eとなっており、図183(B)のように鞘部17024bが下がっているときは窓17024eが開放され、実質的に図182の実施例109と同様の状態となる。一方、図183(C)のように鞘部17024bが上がっているときは窓17024eが閉鎖され、これによって貫通口17024aも塞がれるので、外耳道閉鎖状態となる。このように、実施例110では、鞘部17024bを上下させることにより、外耳道開放状態および外耳道閉鎖状態で使用することが可能である。図183(B)および(C)の状態の切換えはイヤホンを耳に装着する前にも行うことができるが、装着中に鞘部17024bを上下させて状態を切換えることも可能である。
図183(D)はイヤホンの正面拡大図であり、図183(B)の外耳道開放状態に該当する。鞘部17024bは窓17024eの周囲に設けられた案内溝17024fに沿って軟骨伝導部17024内を上下できるよう構成される。なお、圧電バイモルフ素子17025の上端は、鞘部17024bの内壁に触れることなく軟骨伝導部17024下部に直接埋め込み固着されている。圧電バイモルフ素子17025の下端が鞘部17024b内で自由振動できるのは実施例109と同様である。このような構成により鞘部17024bが上下しても圧電バイモルフ素子17025は安定して軟骨伝導部17024に結合し、その振動を伝達する。
図183(E)は図183(D)と同様のイヤホンの正面拡大図であるが、図183(C)の外耳道閉鎖状態に該当する。鞘部17024bは案内溝17024fに沿って上方にスライドし、窓17024eを覆う状態となっている。これによって、破線で示すように、貫通口17024aも塞がれる。この状態でも、圧電バイモルフ素子17025は鞘部17024bの内壁に触れることなく軟骨伝導部17024と安定して結合して振動し、軟骨伝導部17024にその振動を伝達する。なお、接続ケーブル17024dは、図183(E)の状態ではスパイラル上に折りたたまれている。
図184は、本発明の実施の形態に係る実施例111の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図184の実施例111は、図182の実施例109と共通するところが多いので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する。実施例111が実施例109と異なるのは、貫通口17024aが設けられていないとともに、装着が耳珠32の内側と対耳輪28aとの間の空間ではなく、外耳道入口30a内への挿入により行われる点である。このため、図184(A)に示すように、軟骨伝導部18024は比較的小さく構成される。また、実施例111は、基本的に外耳道閉鎖状態で使用するよう構成され、臨時的に外耳道開放状態とするには後述のように軟骨伝導部18024を変形させて外耳道入口30aの内壁との間に隙間をつくる。既に述べたように、外界の音は小さな隙間でも外耳道から鼓膜に達することができる。
図184(B)はイヤホンの正面拡大図である。実施例109と同様にして、鞘部18024bは軟骨伝導部18024の下部に埋め込み固着されている。さらに圧電バイモルフ素子18025の上端は、鞘部18024bの内壁に触れることなく軟骨伝導部18024下部に直接埋め込み固着されている。実施例109と同様にして、圧電バイモルフ素子18025の下端は鞘部18024b内で自由振動可能であり、その反作用が軟骨伝導部18024に伝達され、耳軟骨への良好な軟骨伝導を生じる。上記のように実施例111では、臨時的に外耳道開放状態を実現するため軟骨伝導部18024を変形させて外耳道入口30aの内壁との間に隙間をつくる。この変形を容易にするため、軟骨伝導部18024は中空部18024gを有する。なお、実施例109と同様にして、圧電バイモルフ素子18025の下端からは接続ケーブルが導出され、これが鞘部18024bの下端を貫通してステレオミニプラグに接続されているが、簡単のため図示を省略している。
図184(C)および(D)は、図184(B)のB2−B2断面図である。図184(C)は通常使用状態であって、軟骨伝導部18024が外耳道入口30aに挿入され、外耳道閉鎖状態を作っている。また、図184(C)では、中空部18024gの断面構造が示されている。また、図184(C)では、圧電バイモルフ素子18025が外耳道に沿う方向(振動方向)においても鞘部18024bの内壁に触れることなく振動することが図示されている。このような構造は、図示していないが、図182の実施例109および、図183の実施例110でも共通である。
図184(D)は、臨時的に外耳道開放状態としている場合を示しており、鞘部18024bを下方に引くか、または軟骨伝導部18024の上部を下方に押すかすることにより軟骨伝導部18024を変形させた状態を示す。これによって外耳道入口30aの上部内壁と軟骨伝導部18024の上部の間に隙間ができ、この隙間を通って矢印28gで示す外界の音が外耳道から鼓膜に達することができる。中空部18024gは、図184(D)におけるような軟骨伝導部18024の変形を容易にする。なお、軟骨伝導部18024が下方に押されることにより、外耳道入口30aの下部内壁が変形し、外耳道入口30aの上部内壁と軟骨伝導部18024の上部の間に隙間ができるのを助長する。
図185は、本発明の実施の形態に係る実施例112の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図185の実施例112は、図184の実施例111と共通するところが多いので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する。実施例112が実施例111と異なるのは、外耳道開放状態を実現するのに、軟骨伝導部19024を変形させるのではなく、耳甲介腔28eに収めることである。なお、収める部位として図185(B)および(D)に図示するように、特に耳甲介腔28eの下部(珠間切痕28fの上)が好適である。軟骨伝導部19024が耳甲介腔28eに収まった状態でも良好な軟骨伝導が生じ、図182の実施例109と同様に外耳道開放状態での軟骨伝導を実現することができる。
図185(A)は上記のような実施例112において軟骨伝導部19024を外耳道入口30aに挿入し、外耳道閉鎖状態の軟骨伝導を実現している状態を示す。これに対し、図185(B)は、軟骨伝導部19024を外耳道入口30aから抜いて耳甲介腔28eに収め、外耳道開放状態の軟骨伝導を実現している状態を示す。図185(A)の状態と図185(B)の状態との間における軟骨伝導部19024のスライドを容易にし、かつ痛みを与えないために、軟骨伝導部19024は球形に構成される。また、軟骨伝導部19024は変形を想定していないので硬質材料で構成される。しかしながらこれに代え、図182の実施例109と同様に弾性材料で構成することも可能である。
図185(C)および(D)は、それぞれ図185(A)および(B)の状態に該当する断面図であり、図184(C)および(D)と同様の切断面からみたものである。図185(C)では、軟骨伝導部19024が外耳道入口30aに挿入されており、外耳道閉鎖状態の軟骨伝導を実現している状態がわかる。これに対し、図185(D)は、外耳道入口30aから抜かれた軟骨伝導部19024が耳甲介腔28eに収まり、外耳道開放状態の軟骨伝導を実現している状態がわかる。また、図185(C)および(D)に示すように、圧電バイモルフ素子19025は鞘部19024bの内壁に触れることなく振動しており、その構造は、図182の実施例109から図184の実施例111までと共通である。
以上の各実施例に示した種々の特徴は、必ずしも個々の実施例に特有のものではなく、それぞれの実施例の特徴は、その利点が活用可能な限り、適宜、他の実施例の特徴と組み合わせたり、組み替えたりすることが可能である。また各実施例における個々の具体的な構成も、他の同等の手段と置き換え可能である。例えば、図183の実施例110では、圧電バイモルフ素子17025を軟骨伝導部17024に固着し、鞘部17024bを上下にスライドするよう構成している。鞘部17024bは軟骨伝導部17024の着脱の際のつまみとなる枝部として機能するが、このような枝部として圧電バイモルフ素子17025自体を用い、この圧電バイモルフ17025自体を上下にスライドさせることにより貫通口を開閉するよう構成してもよい。
また、図185の実施例112の軟骨伝導部19024は球形に構成しているが、面取りをした円筒形など他の形状も可能である。さらに、図183の実施例110における軟骨伝導部17024は硬質材料で構成されているが、鞘部17024の案内溝17024fを剛体で構成するとともに軟骨伝導部17024は弾性体で構成するようにしてもよい。
図186は、本発明の実施の形態に係る実施例113の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図186の実施例113は、図182の実施例109と共通するところが多いので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する。実施例113が実施例109と異なるのは、軟骨伝導部20024の貫通口20024aを耳への装着状態における後方に設けることにより軟骨伝導部20024における耳珠32の内側に接触する部分を肉厚部20024hとし、この肉厚部20024hに圧電バイモルフ素子20025および鞘部20024bを保持するようにした点である。また、図186の実施例113は、後述のように、圧電バイモルフ素子20025の振動方向が図182の実施例109と異なる。
図186(A)は、右耳28に装着した右耳用イヤホンの正面図であり、上記の構成の概略を示している。なお両者の関係がわかりやすいように右耳用イヤホンは破線で図示している。図から明らかなように、右耳用のステレオイヤホン全体はアルファベット小文字の「q」のごとき形状となり、右耳28の形状にフィットして鞘部20024bが耳甲介腔28eから珠間切痕28fにかけて右耳28の下方に垂れ下がる。
図186(A)に従って軟骨伝導部20024の形状をさらに具体的に説明すると、肉厚部20024hは耳珠32の内側が比較的平坦であることに対応して外形を直線的にし、耳珠32の内側との密着性を良くしている。これに対し対耳輪28aの内側が湾曲していることに対応して軟骨伝導部20024後方の薄肉部20024iの外形は円弧上とし、対耳輪28aの内側との密着性を良くしている。なお、実施例109と同様にして軟骨伝導部20024は反発力の強い弾性体で構成され、装着による変形により耳珠32の内側と対耳輪28aとの間の装着空間の広さの個人差に対応するとともに、変形に伴う反発力によって軟骨伝導部20024が装着空間から抜け落ちないようにしている。この際、軟骨伝導部20024後方が薄肉部20024iとなっているので個人差を吸収するための変形が容易になっている。なお、簡単のため、図186(A)では、鞘部20024b内に配置される圧電バイモルフ素子20025の図示を省略しているが、その振動方向は、矢印20025bで示すように外耳道入口30aを横切る方向(外耳道の中心軸にほぼ垂直な方向)に設定されている。因みに図182の実施例109では、圧電バイモルフ素子16025の振動方向が外耳道の中心軸にほぼ平行な方向に設定されている。
図186(B)は、図186(A)と同様の右耳28に装着した状態の右耳用イヤホンの正面図であるが、右耳用イヤホンの構成がわかりやすいように実線で示すとともに右耳28の図示を省略している。同一部分には同一番号を付して、必要のない限り説明を省略する。図186(B)では、鞘部20024b内に配置される圧電バイモルフ素子20025を破線で図示している。圧電バイモルフ素子20025は、以下でも詳述するように、その上端部が肉厚部20024hに保持されるとともに、その下端部は鞘部20024b内で鞘部20024bに触れることなく自由に振動している。その振動方向は矢印20025gで示すように紙面に平行である。従ってこの振動の反作用が軟骨伝導部20024に伝達され、図186(A)に矢印20025bで示すように外耳道入口30aを横切る方向の振動が耳珠32をはじめとする外耳道入口30a周辺の耳軟骨に伝達される。
図186(C)はイヤホンの側面図であり、図182(B)と同様にして理解できる。図186(B)で示したように、肉厚部20024hを利用することにより圧電バイモルフ素子20025を軟骨伝導部20024に比較的深く差し込んで支持することができる。そしてその深さは、図186(C)に示すように、圧電バイモルフ素子20025の保持端20025cが貫通口20024a(その内縁を破線で示す)の下端よりも上に来るようにすることができる。これにより、圧電バイモルフ素子20025の支持が確実になる。また、圧電バイモルフ素子20025は振動方向に薄い構造なので、図186(A)に矢印20025bで示すように外耳道入口30aを横切る方向にその振動方向をとすることにより、鞘部20024bの厚みを右耳28への装着方向に薄くする(図186(B)と図186(C)を比較のこと)ことができ、珠間切痕28fの狭い人でも鞘部20024bが耳甲介腔28eから珠間切痕28fにかけて右耳28の下方に垂れ下がるよう装着することができる。このように枝部として機能する鞘部20024bの厚みを右耳28への装着方向に薄くしておけば、個人差に係らず右耳28の形にフィットした装着が可能となる。
図186(D)はイヤホンの正面拡大図である。図示から明らかなように鞘部20024bは軟骨伝導部20024下部に埋め込み固着されているが、肉厚部20024hの活用により、比較的深く軟骨伝導部20024下部に埋め込むことができ、その深さは鞘部20024bの上端が貫通口20024aの下端よりも上に来るようにすることができる。また、上記のように、圧電バイモルフ素子20025も肉厚部20024hの活用により、保持端20025cが貫通口20024aの下端よりも上に来るよう比較的深く埋め込み支持することができる。図182の実施例109と同様にして、圧電バイモルフ素子20025の上端は、鞘部20024bの内壁に触れることなく肉厚部20024hに直接埋め込み固着されている。また、圧電バイモルフ素子20025の下端は鞘部20024bの内壁に触れることなく鞘部20024b内で自由振動可能であり、その反作用が軟骨伝導部20024に伝達され、耳軟骨への良好な軟骨伝導を生じる。また、圧電バイモルフ素子20025の下端からは接続ケーブル20024dが導出され、これが鞘部20024bの下端を貫通してステレオミニプラグに接続されている。
図186(E)はイヤホンの側面拡大図であり、図186(C)を拡大したものである。図186(D)と同じ部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図186(D)でも示したように、圧電バイモルフ素子20025の上端は、鞘部20024bの内壁に触れることなく肉厚部20024hに直接埋め込み固着されている。また、圧電バイモルフ素子20025の下端は鞘部20024bの内壁に触れることなく鞘部20024b内で自由振動可能である。図186(D)と図186(E)を比較すれば、圧電バイモルフ素子20025の振動方向を外耳道入口30aを横切る方向とすることにより、鞘部20024bが右耳28への装着方向に薄くできることがより明瞭に理解できる。
図187は、本発明の実施の形態に係る実施例114の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図187の実施例114は、図186の実施例113と共通するところが多いので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する。なお、煩雑を避けるため、図187では、圧電バイモルフ素子20025や鞘部20024bの内部構造などの図示を省略しているが、これらは図186と同様である。図187の実施例114は、図186の実施例113に対して外形だけが異なり、鞘部20024bにガイドフック20024jが付加されているのを特徴とする。
図187(A)、(B)は、図186(A)、(B)と同様にして、右耳28に装着する状態での右耳用イヤホンの正面図であるが、図示のように、鞘部20024bの内側(耳側)で珠間切痕28fに対応する位置にガイドフック20024jが設けられている。このガイドフック20024jは、装着時において鞘部20024bを珠間切痕28fに安定して位置決めして鞘部20024bが珠間切痕28fに密着してはまり込むようにし、右耳用イヤホンが耳甲介腔28eからより脱落しにくくなるようにする。
図187(C)は、図186(C)と同様にしてイヤホンの側面図を示す。図示のように、ガイドフック20024jは、装着される耳側にあって装着状態では外側から見えない位置に設けられる。図187(D)は、はイヤホンの正面拡大図であるが、図187(B)から180度回転させて内側のガイドフック20024jが見えるよう図示したものである。図187(E)はイヤホンの側面拡大図であり、図187(C)を拡大したものである。
図188は、本発明の実施の形態に係る実施例115の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図188の実施例115は、図185の実施例112と共通するところが多いので、対応する部分には下二桁が同一の番号を付して説明を省略する。実施例115が実施例112と異なるのは、軟骨伝導部21024は常に耳甲介腔28eの下部に収まった状態で使用し、外耳道閉鎖状態と開放状態との切換えは、軟骨伝導部21024とレバー21024mにより接続された可動耳栓部21024kの移動により行う点である。実施例112と同様にして軟骨伝導部21024が耳甲介腔28eに収まった状態でも良好な軟骨伝導が生じ、外耳道開放状態および閉鎖状態での軟骨伝導を実現することができる。
図188(A)は、図185(A)と同様にして右耳28に装着した右耳用イヤホンの正面図であり、両者の関係がわかりやすいように右耳用イヤホンは破線で図示している。図188(A)は、可動耳栓部21024kが対耳輪28aの内壁に接触する形で外耳道入口30aから退避し、外耳道開放状態を実現している。このとき可動耳栓部21024kは対耳輪28a内壁および耳甲介腔28eの底壁に接触し、軟骨伝導部21024からレバー21024mを介して伝わる振動を耳軟骨に伝導する補助軟骨伝導部として機能する。さらに、可動耳栓部21024kは対耳輪28a内壁および耳甲介腔28eの底壁に接触することで、装着を安定させ右耳用イヤホンが脱落しにくくなるようにしている。
これに対し、図188(B)は、可動動耳栓部21024kがレバー21024mの時計方向回転により移動させられて外耳道入口30aに挿入され、外耳道閉鎖状態を実現している状態を示す。これにより、外耳道閉鎖効果が生じるとともに、外部騒音が遮断される。図188(C)および図188(D)はそれぞれ図188(A)および図188(B)に対応するもので、右耳用イヤホンの構成がわかりやすいようにこれを実線で示すとともに右耳28の図示を省略した正面図である。
図188(E)および図188(F)はそれぞれ図188(C)および図188(D)に対応するイヤホンの側面図である。外耳道開放状態の図188(E)では、可動耳栓部21024kが退避しているので矢印28gで示す外界の音が外耳道入口30aから入って鼓膜に達することができる。これに対し、外耳道閉鎖状態の図188(F)では、可動耳栓部21024kが外耳道入口30aに挿入されているので、外耳道閉鎖効果が生じるとともに、外部騒音が遮断される。なお、図188の実施例115における圧電バイモルフ素子21025の振動の向きは図186の実施例113と同様である。また、鞘部21024bの内部構造も図186の実施例113と同様であるが、煩雑を避けるため図示を省略する。
図189は、本発明の実施の形態に係る実施例116の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図189の実施例116は、図188の実施例115と共通するところが多いので、対応する部分には下二桁以下が同一の番号を付して説明を省略する。実施例116が実施例115と異なるのは、外耳道閉鎖状態と開放状態との切換を行う可動耳栓部22024kがレバーによる回動式ではなく、弾性支持部22024mの弾性を利用した折り曲げ式になっていることである。
図189(A)は、図188(A)と同様にして右耳28に装着した右耳用イヤホンの正面図であり、両者の関係がわかりやすいように右耳用イヤホンは破線で図示している。図189(A)は、可動耳栓部22024kが外耳道入口30aの前でわずかな隙間を空けて位置している状態であり、外耳道開放状態を実現している。この状態では上記のわずかな隙間から外界の気導音が外耳道入口30aに入る。さらに、可動耳栓部22024kの振動により発生する気導音は外耳道入口30aから鼓膜に達し、主に高音域を補う補助音声出力部として機能する。
これに対し、図189(B)は、可動動耳栓部22024kが弾性支持部22024mの弾性により若干折り曲げられて外耳道入口30aに挿入され、外耳道閉鎖状態を実現している状態を示す。これにより、外耳道閉鎖効果が生じるとともに、外部騒音が遮断される。図189(C)および図189(D)はそれぞれ図189(A)および図189(B)に対応するもので、右耳用イヤホンの構成がわかりやすいようにこれを実線で示すとともに右耳28の図示を省略した正面図である。
図189(E)および図189(F)はそれぞれ図189(C)および図189(D)に対応するイヤホンの側面図であり、上記の外耳道開放状態と外耳道閉鎖状態との切換えが正面図よりもよくわかる。具体的に説明すると、外耳道開放状態の図189(E)では、可動耳栓部22024kがわずかな隙間を開けて外耳道入口30aから退避しているので矢印28gで示す外界の音が外耳道入口30aから入って鼓膜に達することができる。さらに上記のように可動耳栓部22024kからの気導音も外耳道入口30aから鼓膜に達し、軟骨伝導部22024からの軟骨伝導を補う。これに対し、外耳道閉鎖状態の図189(F)では、可動耳栓部22024kが外耳道入口30aに挿入されているので、外耳道閉鎖効果が生じるとともに、外部騒音が遮断される。なお、図189の実施例116における圧電バイモルフ素子22025の振動の向きも図186の実施例113と同様である。また、鞘部22024bの内部構造も図186の実施例113と同様であるが、煩雑を避けるため図示を省略する。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。たとえば図189の実施例116の構成においては、可動耳栓部22024kと軟骨伝導部22024を弾性支持部22024mで接続する構成をとっているが、これに代えて可動耳栓部22024k、軟骨伝導部22024および弾性支持部22024mをすべて弾性材料で一体成型してもよい。また、図187の実施例115の構成においてはガイドフック20024jが軟骨伝導部20024の下方に位置しているが、これに代えて、軟骨伝導部20024の下部を一部切欠き、その切欠き部分にガイドフック20024jが入り込むように構成してもよい。但しこの場合もガイドフック20024jは鞘部20024bに支持されるかまたは鞘部20024bと一体成型する。
図190は、本発明の実施の形態に係る実施例117の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図190の実施例117は、図186の実施例113と共通するところが多いので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する。なお、煩雑を避けるため、図190では、図186における図示を一部省略している。図190の実施例117が、図186の実施例113と異なるのは、貫通口の代わりにスリット23024aを設けることにより、外界の音を遮断することなく軟骨伝導により音楽等を鑑賞するよう構成している。また、スリット23024aは、後述のように鞘部23024bを軟骨伝導部23024に支持するための構造としても意義がある。さらに、図190の実施例117では、脱落防止のため軟骨伝導部23024を耳甲介腔28eに貼り付けるための粘着シート23024iおよび外耳道入口30aを必要に応じ閉鎖するための耳栓部23024kを有する。
図190(A)は、図186と同様にして右耳28に装着した右耳用イヤホンの正面図であり、上記の構成の概略を示している。図190(A)でも、両者の関係がわかりやすいように右耳用イヤホンは破線で図示している。
図190(B)は、図190(A)と同様の右耳28に装着した状態の右耳用イヤホンの正面図であるが、右耳用イヤホンの構成がわかりやすいように実線で示すとともに右耳28の図示を省略している。同一部分には同一番号を付して、必要のない限り説明を省略する。図190(B)では、耳側(紙面で裏側)に配される粘着シート23024iおよび耳栓部23024kを破線で図示している。図190(A)の右耳28を参照して図190(B)を見れば明らかなように、粘着シート23024iは、外耳道入口30a後方の耳甲介腔28eに密着する位置に設けられている。また、耳栓部23024kには粘着シート23024iが設けられていないので、外耳道入口30aからの耳栓部23024kの着脱を容易に行うことができる。耳栓部23024kの着脱は耳軟骨の弾性を利用して行うことができ、耳栓部23024kを外耳道入口30aに押し込んでこれを閉鎖することができるとともに、耳栓部23024kを外耳道入口30aから抜いて僅かの隙間を作れば外界の音を外耳道内に導くことができる。後者の場合において耳栓部23024kが外耳道入口30aから浮いている場合でも、粘着シート23024iにより軟骨伝導部23024が耳甲介腔28eに密着しているので、脱落することなく良好な軟骨伝導を得ることができる。耳栓部23024kの着脱操作は鞘部23024bをつまんで行うことができる。
図190(C)は図190(B)の拡大図である。図示から明らかなようにスリット23024aの図示右側は接続部23024hとなっており、ここに圧電バイモルフ素子23025の保持端23025cが差し込まれている。そしてスリット23024aを設けることにより鞘部23024bが接続部23024hを覆うように外側から差し込まれている。このように接続部23024hの内側に圧電バイモルフ素子23025を差し込むことで圧電バイモルフ素子23025を軟骨伝導部23024に保持するとともに、同じ接続部23024hを覆うようにその外側に鞘部23024bを差し込むことにより、鞘部23024bを軟骨伝導部23024に確実に結合できるとともに、鞘部23024bの内側でこれに接触することなく圧電バイモルフ素子23025を保護する。
図190(D)は右耳用イヤホンの拡大側面図であり、図で左側が外耳道入口30a側に該当し、紙面手前側が装着状態における後頭部側、紙面奥側が装着状態における顔側である。図190(D)から明らかなように、外耳道入口30a後方の耳甲介腔28eに密着する位置に粘着シート23024iが設けられている。この粘着シート23024iは、耳甲介腔28eに繰り返し貼り直し可能であるとともに、粘着力が低下したり汚れたりしたときは軟骨伝導部23024から剥がして新しいものと交換することができるものである。粘着シート23024iとしては、例えば、シリコーン粘着剤を使用したロールフイルムである「オプサイトジェントルロール」(登録商標)等を採用することができる。
図191は、図190に示した実施例117の概念斜視図であり、図190(C)の状態から180度回転させて内側の耳栓部23024kおよび粘着シート23024iが見えるよう図示したものである。なお、図191では、構造関係の説明の便宜上、各部を直方体または円柱に単純化して図示しているが、実施例117の軟骨伝導部23024および耳栓部23024kの実際の外観および粘着シート23024iの輪郭は、図190のとおりであって、耳軟骨や外耳道入口30aとの接触に馴染むよう面取りをした滑らかなものである。
図191(A)は、特に接続部23024hと圧電バイモルフ素子23025および鞘部23024bの関係を示すため、鞘部23024bを接続部23024hに差し込む前の状態を分解して図示している。図191(A)から明らかなように、接続部23024hにはまず圧電バイモルフ素子23025が差し込まれる。これにより圧電バイモルフ素子23025が軟骨伝導部23024に保持される。そして、同じ接続部23024hを覆うようにその外側に鞘部23024bを被せて差し込むことにより、鞘部23024bが軟骨伝導部23024に結合する。このとき、接続ケーブル23024dは穴23024nから鞘部23024bの下部に導出される。これにより、鞘部23024bを軟骨伝導部23024に確実に結合できるとともに、圧電バイモルフ素子23025を鞘部23024bへの接触なしに保護することができる。図191(B)は、参考までに、接続部23024hの外側に鞘部23024bを被せて差し込むことにより合体させた完成形の斜視図を縮小して図示している。
図192は、本発明の実施の形態に係る実施例118の断面模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図192の実施例118は、図184の実施例111と共通するところが多いので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する。なお、煩雑を避けるため、図192では、図184における図示を一部省略している。図192の実施例118が、図184の実施例111と異なるのは、弾性体で構成される軟骨伝導部24024の表面に突起部24024pが形成されており、実施例111における図184(D)のように人の手で押したり引いたりすることで臨時的に外耳道開放状態を作るのではなく、ステレオイヤホンが外耳道開放状態で安定して装着することが可能なようにした点である。
図192(A)は無負荷の自然状態で突起部24024pの先端が外耳道入口30aに軽く接触するよう軟骨伝導部24024が挿入された状態を示している。この状態では、外耳道入口30aの先端の接触による摩擦およびそのわずかな弾性変形による反発復元力により軟骨伝導部24024が安定して外耳道入口30aに安定して装着される。また、突起部24024pは、軟骨伝導部24024に抜ける方向の力が加わるとその先端と外耳道入口30aとの摩擦力によって外側に広がるよう、外側に傾斜して持ちあがる形で突起しているので、より脱落しにくい構造になっている。図192(B)は、図192(A)におけるB2−B2断面図であり、突起部24024pの先端と外耳道入口30aが接触するとともに他の部分における軟骨伝導部24024と外耳道入口30aとの隙間から矢印28gで示す外界の音が入って鼓膜に達することができることを示している。
図192(C)は、軟骨伝導部24024を外耳道入口30aにより強く押し込んだ状態を示しており、突起部24024pが押しつぶされて軟骨伝導部24024表面に埋没し、軟骨伝導部24024がその全周で外耳道入口30aに接触するようになった状態を示す。図192(D)は、図192(C)におけるB2−B2断面図であり、軟骨伝導部24024がその全周で外耳道入口30aに接触することにより、外耳道入口30aが閉鎖されている状態を示す。当然ながら、この状態でも軟骨伝導部24024が安定して外耳道入口30aに安定して装着される。
以上のようにして、図192の実施例118では、実施例111における図184(D)のように人の手で押したり引いたりすることで臨時的に外耳道開放状態を作らなくても図192(A)および(C)の状態と、図192(B)および(D)の状態との間で挿入状態を変えることにより、ステレオイヤホンが外耳道開放状態および外耳道閉鎖状態でそれぞれ安定して装着することができる。
図193は、本発明の実施の形態に係る実施例119の模式図およびブロック図であり、ステレオイヤホンおよびこれが接続されるヘッドセット本体として構成される。図193の実施例119におけるステレオイヤホンは、図186の実施例113と共通するところが多く、またヘッドセット本体は、図139の実施例89のヘッドセット本体と共通するところが多いので、それぞれ同一部分には同一番号を付して説明を省略する。図193では、関連が薄い部分などで一部図示を省略している。図193の実施例119が、実施実施例113および実施例89と異なるのは、低域用圧電バイモルフ素子25025aおよび中高域用圧電バイモルフ素子25025bの一端をそれぞれ共通の軟骨伝導部25024に支持しそれぞれ他端を自由振動可能とするとともに、低域用圧電バイモルフ素子25025aおよび中高域用圧電バイモルフ素子25025bをそれぞれ別にイコライズされた別チャンネルから駆動するようにした点である。
既に述べたように、図79に示した実測データの一例において、実線で示した非接触状態の音圧と、一点鎖線で示した接触圧250重量グラムにおける音圧を比較すると、音声の主要な周波数帯域(500Hz〜2300Hz)において、接触により外耳道入口部から1cm奥の外耳道内における音圧が少なくとも10dB増加している。
ステレオイヤホン等のオーディオ分野では、より高い周波数領域をカバーする音質が望ましいが、図79に示した実測データの一例において非接触状態の音圧と接触圧250重量グラムにおける音圧の変化をみると、3kHz〜7kHz程度においても少なくとも5dB程度の音圧増加が認められる。図79はあくまで実測データの一例なので、厳密な定量評価は意味がないが、図79から、少なくとも軟骨伝導では、音声の主要な周波数帯域だけでなくより高い周波数領域をカバーする感度特性がある。
図193の実施例119は、上記のような軟骨伝導の特性に着目して構成したもので、図119(A)に示すように、第一鞘部25024bに加えて第二鞘部25024qを軟骨伝導部25024に設け、図119(B)に示すように、それぞれ第一鞘部25024bに加えて第二鞘部25024qの内面に接触しないよう低域用圧電バイモルフ素子25025aおよび中高域用圧電バイモルフ素子25025bのそれぞれ一端を軟骨伝導部25024に保持させたものである。なお、低域用圧電バイモルフ素子25025aの長さは中高域用圧電バイモルフ素子25025bよりも長くなっている。
図193(A)に示すように、第一鞘部25024bは、珠間切痕28fに納まるが、第二鞘部25024qは前切痕28h(図80(A)の耳の構成図参照)に納まる位置にあり、耳珠32に跨る形で軟骨伝導部25024装着の際の位置決めと安定感を増している。なお、前切痕28hの前方の耳輪脚下方は耳の構造上空きスペースになっているので、第二鞘部25024qを設けるのに適している。
図193(C)のブロック図に示すように、音響回路8338からのオーディオ出力は低域信号と中高域信号とに分離され、それぞれ別チャンネルにて低域用イコライザ/アンプ25040aおよび中高域用イコライザ/アンプ25040bでイコライズおよび増幅される。低域用イコライザ/アンプ25040aおよび中高域用イコライザ/アンプ25040bからの信号は、第1チャンネル接続部25046aおよび第2チャンネル接続部25046bによりそれぞれ低域用圧電バイモルフ素子25025aおよび中高域用圧電バイモルフ素子25025bに接続され、これらを駆動する。低域用圧電バイモルフ素子25025aおよび中高域用圧電バイモルフ素子25025bの一端は共通の軟骨伝導部25024に保持されているので軟骨伝導部25024は両振動が物理的にミックスされたものを軟骨伝導で耳軟骨に伝導する。これによって、軟骨伝導でカバー可能な、少なくとも200Hz〜7kHz程度の帯域(図79に示した実測データの一例参照)のオーディオ信号を軟骨伝導にて聞くことが可能となる。図193の実施例119は、このような比較的広域の軟骨伝導を実現する際、長さの異なる二つの圧電バイモルフ素子に担当帯域を分担させることによって、圧電バイモルフ素子およびこれに対応したイコライザの自由度を増加し、より良い音質の達成を容易にするものである。
なお、上記のように、複数の軟骨伝導振動源を用いて軟骨伝導振動部を構成する例は、図94(D)にも示されている。具体的には、図94(D)における実施例62の第3変形例のコードレス受話器5881cでは、低音側担当の圧電バイモルフ素子2525gおよび高音側担当の圧電バイモルフ素子2525hを、その振動面側が接するようそれぞれ軟骨伝導部5824cの内側に直接貼り付け、圧電バイモルフ素子2525gおよび圧電バイモルフ素子2525hの振動を直接に軟骨伝導部5824cに伝達することで、周波数特性の異なる複数の軟骨伝導振動源を相補的に機能させて軟骨伝導の周波数特性を改善する例が示されている。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能であり、粘着シートを用いた実施例も、図189および190に示した実施例117のような構成に限るものではない。例えば、図185に示した実施例112において軟骨伝導部19024の少なくとも耳軟骨接触側半球の表面に粘着シートを設け、図185(A)および(C)の状態では軟骨伝導部19024を外耳道入口30aに粘着させるとともに、図185(B)および(D)の状態では軟骨伝導部19024を耳甲介腔28eに粘着させるようにしてもよい。
また、外界の音を遮断することなく軟骨伝導により音楽等を鑑賞するよう構成する例は、図189および図190に示した実施例117のようなスリット23024aを設けるものに限るものではない。すなわち、接続部23024hの内側に圧電バイモルフ素子23025を差し込むとともに、同じ接続部23024hを外側から覆うように鞘部23024bを設けることができる形状であれば、外界の音を導入するための実施例117のような並行溝形状のスリットに代えて、もっと大きな穴を設けることも可能である。また、圧電バイモルフ素子23025が差し込まれた接続部23024hを外側から覆う鞘部23024bの構成についても、実施例117のように下から差し込むものに限らず、接続部23024hを両側を前後または左右から挟み込むような構成でもよい。
さらに、図193の実施例119では、比較的広域の軟骨伝導を実現するにあたり、長さの異なる二つの圧電バイモルフ素子とそれぞれのためのイコライザに帯域を分担させているが、単一の軟骨伝導振動源とイコライザの工夫により、3kHz〜7kHz程度の音声の主要な周波数帯域より高い帯域を含むオーディオ用の軟骨伝導を実現するようにしてもよい。
以上説明した種々の実施例における各特長は、個々の実施例個別に採用されるものに限らず、各特長を組み合わせて一つの実施例とすることもできる。例えば、図190に示した粘着シートと耳栓部の特徴は、図193の実施例119にも採用できる。この場合、実施例119においては、図193に図示した貫通口に代えて、図190に図示されるスリット等を採用する。また、図190の実施例117に示した接続部23024hに圧電バイモルフ素子23025を差し込んでその上に鞘部23024bを被せる構成は、図193の実施例119におけるそれぞれ第一鞘部25024bに加えて第二鞘部25024qの構成としても採用できる。
図194は、本発明の実施の形態に係る実施例120の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図194(A)は、右耳28に装着した右耳用イヤホンの正面図(顔の側面に対応)である。簡単のため右耳28以外の顔の図示は省略するとともに、右耳用のみについて説明し、同様の構成の左耳用イヤホンの説明は省略する。なお、図182の実施例109等と同様にして、図194の実施例120においても、右耳用イヤホンと左耳イヤホンはステレオミニプラグによって、携帯電話または携帯音楽端末の外部出力用ステレオミニジャックに接続可能である。図194の実施例120は、図190の実施例117と同様にして軟骨伝導部を粘着シートで耳軟骨に密着させるものであるが、実施例117が軟骨伝導部を耳軟骨の内側に密着させるのに対し、実施例120では軟骨伝導部を耳軟骨の外側に密着させる点が異なる。
具体的に述べると、実施例117では図190(A)に示すように、軟骨伝導部23024を耳の内側である耳甲介腔28eに密着させている。(図190(A)では説明の都合上、軟骨伝導部23024を破線で示しているが、装着状態の軟骨伝導部23024は
顔の側面から見えている。)これに対し、実施例120では、図194(A)に明らかなように、右耳用イヤホンの軟骨伝導部26024を耳28の付け根である耳介付着部の外側1828の後部に粘着シートで耳軟骨に密着させる。この結果、図194(A)に示すように軟骨伝導部26024の大半は耳28における耳介の裏側に隠れ(破線で図示)、わずかに下端部が耳介から覗いている装着状態となる。
軟骨伝導部26024のこのような装着スタイルでは、耳介を覆う部分がなく、耳の穴が開放される。また、耳軟骨の外側に軟骨伝導部を配置するにもかかわらず、軟骨伝導部が下方に退避した状態で効率よく軟骨伝導を伝えるので、眼鏡をかけた場合において眼鏡のツルと軟骨伝導部が干渉するのを防止でき、眼鏡装着の有無にかかわらず使用できる利点がある。
図194(B)は、頭の後方から右耳28を見た図であるが、右耳用イヤホンの軟骨伝導部26024が耳28の付け根である耳介付着部の外側1828の後部と側頭骨乳様突起8623aとの間に挟み込む形で耳軟骨に密着させられている様子がわかる。軟骨伝導部26024には粘着シートが設けられており、耳介付着部の外側1828の後部に接着することで脱落が防止されている。
図194(C)はイヤホンの正面断面図であり、図194(A)に対応する向きから見たものである。図194(C)の断面図からわかるように、軟骨伝導部26024は、その上部が弾性体材料よりなり、これに硬質材料からなる鞘部26024bが被せられている構造がわかる。さらに圧電バイモルフ素子26025の上端は、鞘部26024bの内壁に触れることなく軟骨伝導部26024の上部弾性体に直接埋め込み固着されている。一方、圧電バイモルフ素子26025の下端は鞘部26024b内で自由振動可能であり、その反作用が軟骨伝導部26024の上部弾性体に伝達され、接着された耳軟骨への良好な軟骨伝導を生じる。また、圧電バイモルフ素子26025の下端からは接続ケーブル26024dが導出され、これが鞘部26024bの下端を貫通してステレオミニプラグに接続されている。この内部構造は、図182の実施例182等と共通である。
図194(D)は、図194(C)の断面図から90度回転した向きの断面図であって図194(B)に対応する向きから見たものである。矢印26025gは圧電バイモルフ素子26025の振動方向を示しており、紙面に平行、すなわち外耳道に沿った方向である。軟骨伝導部26024の上部弾性体の耳介側には粘着シート26024iが設けられており、これにより軟骨伝導部26024は耳28の付け根の耳介側に接着される。なお、粘着シート26024iは交換可能であり、耳への着脱が所定回数を超えて粘着力が弱まれば軟骨伝導部26024の上部弾性体から剥がして新しいものを貼り替えることができる。
図194(E)は、実施例120の変形例を示すもので、図194(D)と同様の方向から見た軟骨伝導部26024の断面図である。変形例では、粘着シート26024rを設ける範囲が軟骨伝導部26024の上部弾性体部分だけでなくその下方の鞘部26024bまで広げられている。
図195は、本発明の実施の形態に係る実施例121の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図195の実施例121における耳との関係は図194の実施例120と共通するので図示を省略する。また、その構造についても実施例120と共通するところが多いので共通部分には同一番号を付し、必要がない限り説明を省略する。図195の実施例121が、図194の実施例120と異なるのは、軟骨伝導部27024の上部弾性体部分の外形および粘着シート27024iの形状であり、鞘部27024bをはじめとするその他の構成および内部構造は実施例120と共通である。
図195(A)は実施例120の図194(C)に対応する向きの断面図であり、軟骨伝導部27024の上部弾性体部分は耳28の付け根周囲にフィットするよう表面形状が曲面27024sとなっている。また、図195(B)は実施例120の図194(D)に対応する向きの断面図であり、軟骨伝導部27024の上部弾性体部分の曲面27024sは、付着部近辺の耳介外側にフィットする形状となっている。これに伴って粘着シート27024iも曲面形状に貼られている。実施例120と同様にして粘着シート27024iは交換可能である。
図195(C)および(D)、はそれぞれ図195(A)および(B)の向きにおけるB1-B1断面図を示す。図195(C)および(D)からわかるように、曲面27024sは、耳28の付け根である耳介付着部の外側1828の後部と側頭骨乳様突起8623aとの間に形成されている隙間にフィットして嵌まり込む形状となっている。また、粘着シート27024iは耳介側だけでなく嵌まり込む方向の先端部分にも設けられている。なお、粘着シート27024iは耳介と対抗する側頭骨乳様突起8623a側には設けられておらず、耳介側への振動伝達の自由を阻害しないようにするとともに、耳介付け根と側頭骨乳様突起8623aとが接着されてしまう不快感を防止している。
図196は、本発明の実施の形態に係る実施例122の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図196の実施例122は図194の実施例120と共通するところが多いので、共通部分には同一番号または下二桁および添え字アルファベットが共通の番号を付し、必要がない限り説明を省略する。図196の実施例122が、図194の実施例120と異なるのは、軟骨伝導部の上部弾性体部分が鞘部に対して屈曲している点である。
図196(A)は実施例120の図194(A)に対応する右耳用イヤホンの正面図(顔の側面に対応)である。図196(A)からわかるように右耳用イヤホンの軟骨伝導部28024では、上部弾性体部分が鞘部28024bに対して屈曲しており、この屈曲によって軟骨伝導部28024全体が右耳28の付け根周囲によりよくフィットするようになっている。図196(B)は実施例120の図194(C)に対応する断面図であり、圧電バイモルフ素子28025の上端は、軟骨伝導部28024の上部弾性体に斜めに埋め込み固着されている。これに対応し、硬質材料からなる鞘部28024bはその内壁に圧電バイモルフ素子28025が触れることがないよう軟骨伝導部28024の上部弾性体に斜めに被せられている。
図196(C)は左耳用イヤホンを左耳30とともに示した正面図であり、図196(A)における右耳用イヤホンに準じて左右対称に図示されている。図196(C)からわかるように、左耳用イヤホンの軟骨伝導部29024においても上部弾性体部分が鞘部29024bに対して屈曲しており、この屈曲によって軟骨伝導部28024全体が左耳30の付け根周囲によりよくフィットするようになっている。図196(D)は、図196(C)の左耳用イヤホンにおける軟骨伝導部29024の断面図であり、図196(B)における右耳用イヤホンの断面図に準じて左右対称に図示されている。その内部構造は屈曲方向が逆になっていることを除いて右耳用イヤホンの軟骨伝導部28024と同様なので、説明を省略する。
実施例122では、図196(B)の右耳用軟骨伝導部28024および図196(D)の左耳用軟骨伝導部29024において、いずれも上部弾性体部分の図の紙面前方側に粘着シート(不図示)が設けられている。これにより、右耳用軟骨伝導部28024および左耳用軟骨伝導部29024はそれぞれ右耳28および左耳30の耳介裏側の付け根部分に接着される。このように、実施例122では、右耳用軟骨伝導部28024と左耳用軟骨伝導部29024がその屈曲方向および粘着シート設置方向がいずれも左右対称になっているので、右耳用イヤホンと左耳イヤホンを互いに混同することなく右耳28および左耳30にそれぞれ接着することができる。
なお、実施例122と同様にして、図195に示した実施例121においても、曲面27024sが右耳用軟骨伝導部27024と左耳用軟骨伝導部(不図示)とで左右対称になっており、これに対応して粘着シート27024iの形状も右耳用軟骨伝導部と左耳用軟骨伝導部とで左右対称になっている。従って、図195に示した実施例121においても、右耳用イヤホンと耳イヤホンを互いに混同することなく右耳28および左耳(不図示)にそれぞれ接着することができる。また、実施例121では曲面27024sが右耳用軟骨伝導部と左耳用軟骨伝導部とで左右対称になっているので、粘着シート27024iの交換の際、右用と左用を混同することなく貼り替えができる。
図197は、本発明の実施の形態に係る実施例123の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。図197の実施例123は図194の実施例120と共通するところが多いので、共通部分には同一番号または下二桁および添え字アルファベットが共通の番号を付し、必要がない限り説明を省略する。図197の実施例123が、図194の実施例120と異なるのは、圧電バイモルフ素子30025の振動方向である。
実施例123の図197(A)−(C)は、それぞれ実施例120の図194(A)−(C)に対応する。但し、図197(C)に矢印30025gで示すように、圧電バイモルフ素子300025の振動方向は、紙面に平行、すなわち外耳道にを横切る方向である。なお、図197(D)に示すように、軟骨伝導部30024の上部弾性体の耳介側には粘着シート30024iが設けられており、実施例120と同様にして、軟骨伝導部30024が耳28の付け根の耳介側に接着される。なお、実施例123においても、粘着シート30024iは交換可能であり、耳への着脱が所定回数を超えて粘着力が弱まれば軟骨伝導部26024の上部弾性体から剥がして新しいものを貼り替えることができる。
以上説明した種々の実施例における各特長は、個々の実施例個別に採用されるものに限らず、その利点を享受するかぎり種々の変形が可能であるとともに、各特長を組み合わせて一つの実施例とすることもできる。例えば、図194から図197に示した実施例120から実施例123において、軟骨伝導部の上部弾性体部分を硬質材料で構成することも可能である。また、図195に示した実施例121と図196に示した実施例122とを組み合わせ、軟骨伝導部の上部弾性体部分に曲面を設けるとともに軟骨伝導部の上部弾性体部分を鞘部に対して屈曲させることも可能である。
図198は、本発明の実施の形態に係る実施例124に関する断面図であり、ステレオヘッドフォン31081として構成される。ステレオヘッドフォン31081は、右耳用音声出力部31024および左耳用音声出力部31026を有する。右耳用音声出力部31024および左耳用音声出力部31026はそれぞれ、弾性体よりなる耳あてパッド31024aおよび31026aを有し、その内部にそれぞれ電磁型振動子31025aおよび31025bが埋め込まれている。さらに、右耳用音声出力部31024および左耳用音声出力部31026には、耳あてパッド31024aおよび31026aに囲まれた部分に、それぞれ気導発生用の電磁型スピーカ31024bおよび31026bが設けられている。以上の構成により、耳あてパッド31024aおよび電磁型振動子31025aは右耳の耳介内側に接触する右耳用軟骨伝導部を構成する。同様に、耳あてパッド31026aおよび電磁型振動子31025bは左耳の耳介内側に接触する左耳用軟骨伝導部を構成する。このように実施例124は、軟骨伝導部と気導スピーカを併用して構成されており、気導スピーカの周波数特性を低音域に強い軟骨伝導部で補強する。
図199は、図198の実施例124における右耳用音声出力部31024の拡大断面図および内部構成のブロック図である。ステレオヘッドフォン31081は、右耳用音声出力部31024に設けられた近距離通信部31087によって、携帯型音楽プレーヤーや携帯電話等からオーディー信号を受信する。また、ステレオヘッドフォン31081は、操作部31009の操作による設定に応じ、「通常モード」、「ノイズキャンセルモード」および「周囲音導入モード」のいずれかで動作可能である。
「通常モード」では、近距離通信部31087から入力されたオーディー信号を制御部31039から軟骨伝導イコライザ31083aに送り、その出力に基づいて軟骨伝導駆動部31040aにより電磁型振動子31025aを駆動する。同時に、近距離通信部31087から入力されたオーディー信号を制御部31039から気導イコライザ31038bに送り、その出力に基づいて気導駆動部31040bにより電磁型スピーカ31024bを駆動する。これにより気導スピーカの周波数特性を低音域に強い軟骨伝導部で補強する。特に耳あてパッド31024aと耳介との密着により外耳道閉鎖効果が生じると、より低音域が充実する。
「ノイズキャンセルモード」では、環境音マイク31038からピックアップされた環境音が制御部31038bで位相反転されてミキシングされ、気導イコライザ31038bから気導駆動部31040bに送られて、電磁型スピーカ31024bから音声出力される。この位相反転環境音信号は外部から直接外耳道に侵入する環境音をキャンセルする。軟骨伝導によるオーディオ信号には環境音が含まれていないので、環境音マイク31038からピックアップされた環境音が軟骨伝導イコライザ31083aに送られることはない。
「環境音導入モード」は、例えば屋外の道路でヘッドフォン使用している場合において背後から近づく車両の音に気付かないことによる事故等の防止、または、ヘッドフォン使用時に話しかけられたことに気づかず相手な対応となること等の防止のためのものであり、ヘッドフォン使用中でも環境音が聞こえるようにするためのものである。本発明では軟骨伝導を採用しているため、環境音が導入されても、外耳道の中で生まれるオーディオ音を同時に良好に聞くことができる。具体的には、「環境音導入モード」では、環境音マイク31038からピックアップされた環境音が位相反転されることなく制御部31038bでミキシングされ、気導イコライザ31038から気導駆動部31040bに送られる。なお、環境音マイク31038からピックアップされた環境音は軟骨伝導イコライザ31083aには送らず、オーディオ信号のみが聞こえるようにする。これによって、構造上の貫通口等を設けなくても電気的に環境音を導入しながら、軟骨伝導でオーディオ信号を聴取することができる。
電磁型振動子31025aの構成の詳細は、図73に示す実施例48の電磁型振動子4324aと同様の構成なので説明を省略する。また、電磁型スピーカ31024bの構成の詳細は、図169に示す実施例103の電磁型気導スピーカ9925と同様の構成なので説明を省略する。
左耳用音声出力部31026は、図199に示す右耳用音声出力部31024の構成において、電源部31048、操作部31009、制御部31039、近距離通信部31087および環境音マイク31038を除いたものと同様の構成であるので図示を省略する。そして、左耳用音声出力部31026と右耳用音声出力部31024の間の信号線を介して、左用音声出力部31026の軟骨伝導イコライザと気導イコライザが右耳用音声出力部31024の制御部に接続される。また、電源部31048はステレオヘッドフォン31081全体に給電するもので、右耳用音声出力部31024だけでなく、左耳用音声出力部31026と右耳用音声出力部31024の間の信号線を介し左耳用音声出力部31026にも給電する。
図200は、図199における実施例124の制御部31039の動作を示すフローチャートである。操作部31009により電源がオンとなるとフローがスタートし、ステップS792で初期立上および各部機能チェックを行う。次いでステップS794で軟骨伝導駆動部31040aをオンするとともに、ステップS796で気導駆動部31040bをオンしてステップS798に移行する。
ステップS798では、「通常モード」が設定されているか否かチェックし、該当しなれば「ノイズキャンセルモード」または「周囲音導入モード」が設定されていることを意味するのでステップS800に進み、環境音マイク31038をオンにしてステップS802に進む。なお、ステップS800に至ったとき元々環境マイクがオンであればステップS800では何もせずステップS802に移行する。そして、ステップS802では、「ノイズキャンセルモード」が設定されているか否かチェックし、該当すれば、ステップS804に進み、マイクでピックアップされた入力信号を反転する処理をするとともに、ステップS806でノイズキャンセル用の音量調節処理を行う。なおこの音量調節は、外部から外耳道入口への到達が想定される環境音の大きさに見合う音量に設定される。次いでステップS808で処理済みのマイクからの入力信号を気導用駆用オーディオ信号にミキシングしてステップS812に移行する。なお、上記のように、処理済みのマイクからの入力信号が軟骨伝導用のオーディオ信号にミキシングされることはない。
一方、ステップS802で「ノイズキャンセルモード」が設定されていないことが確認されたときは「周囲音導入モード」が設定されていることを意味するのでステップS810に進み、マイクでピックアップされた入力信号に対しで周囲オン導入用の音量調節処理を行う。なお、この音量調節は、軟骨伝導によるオーディオ信号をマスクしない大きさに設定される。次いでステップS808に進み、で処理済みのマイクからの入力信号を気導用駆用オーディオ信号にミキシングしてステップS812に移行する。なお、上記のように、この場合も、処理済みのマイクからの入力信号が軟骨伝導用のオーディオ信号にミキシングされることはない。
以上に対し、ステップS798で、「通常モード」が設定されていることが確認されたときはステップS814に進み環境音マイク31038をオフして直接ステップS812に移行する。なお、ステップS814に至ったとき元々環境マイクがオフであればステップS814では何もせずステップS812に移行する。ステップS812では操作部31009で電源がオフされたか否かチェックし、電源オフでなければステップS794に戻って、以下電源がオフされないかぎり、ステップS794からステップS814を繰り返す。なお、この繰り返しにおいて、軟骨伝導駆動部31040aおよび気導駆動部31040bが既にオンであればステップS794およびステップS796では何もせずステップS798に移行する。一方、ステップS812で電源がオフが確認されたときはフローを終了する。
図201は、本発明の実施の形態に係る実施例125に関する拡大断面図および内部構成のブロック図である。実施例125も、ステレオヘッドフォンとして構成されその全体構成は図198に準じて理解できるので図示を省略し、右耳用音声出力部32024の拡大断面図および内部構成のブロック図を図201に示す。また、実施例125は図199に示す実施例124と共通するところが多いので、同じ部分には同じ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。
図201の実施例125が図199の実施例124と異なるのは、電磁型スピーカ32024bの振動を軟骨伝導振動源としても利用する点である。具体的には、電磁型スピーカ32024bは振動伝導体32027により支持され、この振動伝導体32027は耳あてパッド31024aに埋め込まれて支持されている。
このような構成により、図169の実施例103と同様にして、駆動部32040からの音声信号が入力されるとヨーク4324h等からなる第1部分と振動板9924k等からなる第2部分の間に相対移動が生じ、これによって振動板9924kが振動するので電磁型スピーカ32024bから気導音が発生する。一方、振動板9924k等からなる第2部分の振動の反作用によりヨーク4324hからなる第1部分も振動し、この振動が振動伝導体32027から耳あてパッド31024aに伝達される。以上のようにして、気導音を発生させるための電磁型スピーカ32024bの振動の反作用を軟骨伝導の振動源に流用することで、気導音の発生と軟骨伝導との両者を可能としている。これに伴って、制御部32039からイコライザ32038を介して駆動部32040に至る駆動制御経路も一つになっている。
図202は、本発明の実施の形態に係る実施例126に関する拡大断面図および内部構成のブロック図である。実施例126も、ステレオヘッドフォンとして構成されその全体構成は図198に準じて理解できるので図示を省略し、右耳用音声出力部33024の拡大断面図および内部構成のブロック図を図202に示す。また、実施例126は図201に示す実施例125と共通するところが多いので、同じ部分には同じ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。
図202の実施例126が図201の実施例125と異なるのは、気導および軟骨伝導に共通の振動源として電磁型スピーカではなく圧電バイモルフ素子33024aを用いる点である。圧電バイモルフ素子33024aの構造は、例えば図64の実施例41と同様なので説明を省略する。図202の実施例126では、圧電バイモルフ素子33024aの両端が耳あてパッド31024aの対抗する内縁に埋め込まれて支持されている。さらに、圧電バイモルフ素子33024aの中央部には振動板33027が設けられている。
このような構成により、圧電バイモルフ素子33024aの中央部が耳あてパッド31024aによる両端の支持を支えに振動しこれにより振動板33027が振動することで気導音が発生する。一方、中央部の振動の反作用により圧電バイモルフ素子33024aの両端から耳あてパッド31024aに振動が伝達される。以上のようにして、気導音を発生させるための圧電バイモルフ素子33024aの振動の反作用を軟骨伝導の振動源に流用することで、気導音の発生と軟骨伝導との両者を可能としている。
図203は、本発明の実施の形態に係る実施例127に関する拡大断面図および内部構成のブロック図である。実施例127も、ステレオヘッドフォンとして構成されその全体構成は図198に準じて理解できるので図示を省略し、右耳用音声出力部33024の拡大断面図および内部構成のブロック図を図202に示す。また、実施例127は図202に示す実施例126と共通するところが多いので、同じ部分には同じ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。
図203の実施例127が図202の実施例126と異なるのは、気導および軟骨伝導に共通の振動源となる圧電バイモルフ素子34024aの一端が耳あてパッド31024aの内縁に埋め込まれて支持されるとともに他端は自由に振動できるようになっている点である。そして、この自由振動端に振動板34027が設けられている。
このような構成により、圧電バイモルフ素子34024aの自由振動端が耳あてパッド31024aによる他端の支持を支えに振動し、これにより振動板34027が振動することで気導音が発生する。一方、自由振動端の振動の反作用により圧電バイモルフ素子34024aの他端から耳あてパッド31024aに振動が伝達される。以上のようにして、気導音を発生させるための圧電バイモルフ素子34024aの振動の反作用を軟骨伝導の振動源に流用することで、図202の実施例126と同様にして、気導音の発生と軟骨伝導との両者を可能としている。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。また異なった実施例の種々の特徴を適宜組み合わせる。例えば、図199に示した実施例124では、環境音を導入するか否かを電気的に切換えているが、これを例えば、図141に示す実施例91のように貫通口を設けこれを機械的に開閉する構成を採用することも可能である。
図204は、本発明の実施の形態に係る実施例128のシステム構成図である。実施例128は、携帯電話35601と、軟骨伝導部35024を持つタッチパネル入力兼用のタッチペン型送受話器35001よりなる携帯電話システムとして構成されており、両者の間はBluetooth(登録商標)などによる通信システムの電波6585により近距離通信可能である。実施例128の携帯電話システムは、図101の実施例69と共通するところが多い。従って、共通の部分には図101と同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。
図204に示す実施例128のタッチペン型送受話器35001は、携帯電話35601の大画面表示部205に設けられるタッチパネルに接触ペン部35001aをタッチさせることでタッチペン入力が可能である。さらに、タッチペン型送受話器35001は、上記のようにその上端に軟骨伝導部35024を有するとともに下部にマイク35023を有し、ワイヤレスの送受話部として使用できる。送受話部としての使用にあたっては、軟骨伝導部35024を耳珠等に当てて相手の音声を聞くとともに、口の近くに来るマイク35023に向かってしゃべることになる。これによって他の実施例と同様にして軟骨伝導の利点を活用することができる。
実施例128におけるタッチペン型送受話器35001には、携帯電話35601と通信するための近距離通信部6546が設けられるとともに、制御部6539が全体を制御する。また、着信バイブレータ6525が胸等に挿した状態のタッチペン型送受話器35001を振動させて着信を伝える。なお、着信バイブレータとして軟骨伝導部35024の振動を利用れば、振動源として別途着信バイブレータ6525を設ける必要がなくなる。
操作部としては、発呼または着信応答のために操作する通話開始ボタン6509a、電話を切るための通話終了ボタン6509bおよび、通話先を選択するための選択ボタン6509が設けられている。表示部としては、複数の表示ランプ6505a、6505bおよび6505cが設けられている。
発呼時には、選択ボタン6509cを押すごとに、表示ランプ6505a、6505bおよび6505cが順々に一つ点灯し、どのランプを点灯させるかによって、予めセットしておいた通話先を選択することがきる。この選択によって記憶部6537に記憶された対応する電話番号等のデータが読み出され、発呼操作に備える。予めセットしておいた通話先以外に発呼する場合には、本体の携帯電話35601の大画面表示部205に電話帳リストを表示し、その一つに接触ペン部35001aをタッチさせることで通話先を選択できる。このようにして通話先を選択したあと通話開始ボタン6509aを押せば通話を開始することができる。なお、予めセットする通話先を増やしたい場合には、表示ランプ6505a、6505bおよび6505cの中から一つだけを点灯させるパターンだけでなく、6505aと6505bの二つ、または6505bおよび6505cの二つ、または6505aおよび6505cの二つを点灯させるパターンを利用してもよい。
一方、予めセットしておいた通話先から着信があれば上記のいずれかのパターンにおいてランプが点灯する。従って、どのランプの点灯パターンに基づいて誰からの着信かがわかる。なお、予めセットしておいた通話先以外からの着信の場合は表示ランプ6505a、6505bおよび6505cがすべて点灯してその旨を表示する。誰からの着信かを確認したいときは、本体の携帯電話の大画面表示部205の表示を見ればよい。
通話先を予めセットする場合には、本体の携帯電話35601の大画面表示部205に電話帳リストを表示し、選択ボタン6509cによって対応させたい表示パターンを選択する。そして、電話帳表示の中からセットしたい電話番号(たとえば大画面表示部205に表示されている「石田さん」35205)に接触ペン部35001aをタッチさせるとともに通話開始ボタン6509および通話終了ボタン6509bを両押しすればセットが確定し、近距離通信部6546から受信した電話番号等のデータが表示部の表示パターンと対応付けて記憶部6537に記憶される。
図205は、図204に示す実施例128のシステムブロック図である。図205も、実施例69における図102とと共通するところが多い。従って、共通の部分には図102と同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。また、図204に示したものと同じ部分にも同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。図205には実施例128の説明のため、携帯電話35601の表示部205にタッチパネル35068を図示するとともに、制御部の番号を35239としている。また、タッチペン型送受話器35021において音声処理部35040はマイク35023から拾った音声信号を処理して近距離通信部6546から携帯電話35601に送信するとともに、携帯電話35601から送信され近距離通信部6546で受信した相手の音声信号に基づき駆動部35039で軟骨伝導部35024を振動させる。
ここで、携帯電話35601の表示部205におけるタッチパネル35068とタッチペン型送受話器35001との関係について補足する。表示部205は、所定時間タッチ入力がないと省電力状態に入り、バックライト(不図示)を消すとともにタッチパネルを不感とする省電状態に入る。この省電状態は、携帯電話35601を鞄やポケットに入れたいわゆる待ち受け状態において生じる。この省電状態において着信があると、タッチペン型送受話器35001の着信バイブレータ6525が振動するとともに、タッチペン型送受話器35001が機能し、携帯電話35601を取り出さなくてもタッチペン型送受話器35001で通話ができる。
一方、表示部205が省電力状態に入らずバックライトが点灯してタッチパネル35068が動作状態にあるときは、タッチペン型送受話器35001のタッチによりタッチ入力が可能である。この状態で着信があると、基本的に携帯電話35601本体を用いて通話が行われる。ただこの場合でも、外界騒音等で本体による通話が困難なときは手動操作に基づいてタッチペン型送受話器35001を選択するよう切換えることができる。
図206は、実施例128における携帯電話35601の制御部35239の機能を示すフローチャートである。なお、図206のフローは、着信時におけるタッチペン型受話器35001との連携機能、および通話先をセットするためのタッチペン型受話器35001への電話帳入力機能を中心に動作を抽出して図示しており、携帯電話35601には図206のフローに表記していない制御部35239の動作が存在する。また制御部35239は、他の種々の実施例において示した諸機能を合わせて達成することが可能であるが、これらの機能についても煩雑を避けるため図示と説明を省略している。
図206のフローは、携帯電話35601の主電源のオンでスタートし、ステップS822で初期立上および各部機能チェックを行うとともに携帯電話35601の表示部205における画面表示を開始する。次いでステップS824で着信の有無をチェックする。着信があれば、ステップS826でタッチパネルが省電状態にあるか否かチェックする。省電状態でなければステップS827に移行し、テレビ電話着信か否かチェックする。テレビ電話でなければステップS828に移行し、携帯電話35601本体の着信音または着信バイブレータにより着信通知を行う。そしてステップS830で携帯電話35601本体の操作部209による応答操作を待ち、応答操作があればステップS832に移行する。
ステップS832では、携帯電話35601本体の操作部209の操作、またはタッチペン型送受話器35001の操作部6509の操作を示す信号の受信に基づき、手動でのタッチペン型送受話器35001の選択操作があったか否かチェックする。タッチペン型送受話器35001の選択操作が検知されなければステップS834で本体のマイク233およびイヤホン213をオンし、本体による通話を開始する。次いでステップS836において通話終了の操作の有無を検知し、終了操作が検知されるとステップS838に移行する。一方、ステップS836で通話終了操作が検知されない場合はステップS832に戻り、以下通話終了操作が検知されない限り、ステップS832からステップS836を繰り返す。なお、この繰り返しにおいて、既に本体のマイク233およびイヤホン213がオンである場合はステップS834では何もしない。
一方、ステップS826においてタッチパネルが省電状態であることが検知されるか、又はステップS827においてテレビ電話着信が検知されるとステップS840移行し、タッチペン型送受話器35001の着信バイブレータ6525により着信通知を行う。そしてステップS842でタッチペン型送受話器35001の操作部6509(通話開始ボタン6509a)の操作よる応答操作を待ち、応答操作があればステップS844に移行する。
ステップS844では本体のマイク233およびイヤホン213をオフするとともに、ステップS846でタッチペン型送受話器35001のマイク35023をオンする。さらにステップS848で軟骨伝導部35024をオンする。そしてステップS850において操作部6509(通話終了ボタン6509b)の操作を待ち、通話終了操作があればステップS838に移行する。
ところで、上記のステップS832からステップS836の繰り返しの中で手動でのタッチペン型送受話器35001の選択操作が検知されたときは、ステップS844に移行し、以後本体での通話からタッチペン型送受話器35001での通話に切り換る。このように、本体の通話が困難なときは通話途中で任意にタッチペン型送受話器35001への切換えを行うことができる。
ステップS838では、通話先を予めセットために本体の携帯電話35601の大画面表示部205に電話帳リストを表示し、選択ボタン6509cによって対応させたい表示パターンを選択した状態で電話帳リストへのタッチペン型送受話器35001によるタッチが行われたか否かチェックする。そしてこのようなタッチが検知されるとステップS852の送受話部への電話帳重力処理に入る。この処理の中では、タッチ位置の検出、選択された連絡先の特定、特定された電話帳データのタッチペン型送受話器35001への送信、および通話開始ボタン6509および通話終了ボタン6509bの両押し検知によるセットの確定等が含まれる。複数の連絡先をセットしたい場合は、次の連絡先にタッチして同じ処理を繰り返す。ステップS852での処理が終了するとステップS854に移行する。また、ステップS838で電話帳入力タッチが検知されなければ直接ステップS854に移行する。
ステップS854では、携帯電話365601の主電源がオフされたか否かチェックし、主電源のオフがなければステップS824に戻り、以下ステップS854で主電源のオフが検知されない限り、ステップS824からステップS854を繰り返す。これに対しステップS854で主電源オフが検知されるとフローを終了する。
なお、煩雑を避けるため図206では図示を省略しているが、ステップS830およびステップS842で応答操作が所定時間以上なされないか、または応答を拒否して通話終了操作がなされたときは、ステップS838にジャンプする。
また、図206のフローは、着信時の機能を抽出して図示しているが、発呼時の機能についても、基本的には同様である。具体的には、ステップS824を「発呼?」と読み替え、ステップS830およびステップS842をそれぞれ「相手側応答?」と読み替えれば発呼時の機能が理解できる。但し、発呼の場合、ステップS828およびステップS840の着信通知は省略される。
図207は、本発明の実施の形態に係る実施例129のシステム構成図である。実施例129は、携帯電話35601と、軟骨伝導部35024を持つタッチパネル入力兼用の体温計型送受話器36001よりなる携帯電話システムとして構成されており、両者の間はBluetooth(登録商標)などによる通信システムの電波6585により近距離通信可能である。実施例129の携帯電話システムは、図204の実施例128と共通するところが多い。従って、共通の部分には図204と同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。また、システムの詳細構造は実施例128における図205のブロック図と同様である。
図207に示す実施例129が図204の実施例128と異なるのは、タッチパネル入力兼用の送受話器が扁平な体温計形状の型送受話器36001となっている点である。そして扁平とした面には表示部としての小型表示画面66505が設けられている。この小型表示画面により、相手の電話番号などが明瞭に表示される。電話番号などの表示は、発呼時における通話先の選択、着信表示、または通話先をセットする際の電話帳入力の確認などに活用できる。小型表示画面66505は、さらに、軟骨伝導送受話器としての使い方などの種々の使用法の説明、電源部6548の消耗状態などの表示に活用できる。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。また異なった実施例の種々の特徴を適宜組み合わせる。例えば、図207に示した実施例129の体温計型送受話器36001は、タッチペン機能を兼用しない場合においても有用な構成である。また、図204の実施例128または図207の実施例129におけるタッチパネル入力兼用の送受話器は、携帯電話56601本体またはこれに被せられるカバーに収納できるよう構成してもよい。
さらに、図204の実施例128または図207の実施例129におけるタッチパネル入力兼用の送受話器は、送受話機能だけでなく図101の実施例69における超小型携帯電話6501のように独立した電話機能を持たせてもよい。逆に、図204の実施例128または図207の実施例129においてマイク35023を省略して簡略化し、音声は携帯電話35601のマイク223で拾うよう構成してもよい。なお、軟骨伝導の利点は生かせないが、軟骨伝導部を通常の気導スピーカとした場合でも、送受話器とタッチペンを兼用する利点を享受することは可能である。
図208は、本発明の実施の形態に係る実施例130の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。ステレオイヤホンの構成は、左右対称で同様なので、以下「イヤホン」と称して片方のみについて説明する。図208(A)は、イヤホンを内側(耳への装着側)から見た外観正面図であり、外部から見えない主要部分を破線で示す。実施例130のイヤホンは、例えば図182の実施例109と同様にして、反発力の強い弾性体で構成される軟骨伝導部36024を有し、その下部に鞘部36024bが結合される構造を有する。そして、圧電バイモルフ素子36025の上端部分が、鞘部36024bの内側でその内壁に触れることなく軟骨伝導部36024の下部に直接埋め込み固着されている。また、鞘部36024bの下部の穴からは接続ケーブル36024dが導出されている。
図208の実施例130のイヤホンにおける軟骨伝導部36024は、実施例109について図182(A)に示すのと同様にして、耳珠の内側と対耳輪との間の空間に挟みこまれる。また、このとき鞘部36024bは、図182(A)に示すのと同様にして、耳甲介腔から珠間切痕にかけて耳下方に垂れ下がる。
図208の実施例130が図182の実施例109等と異なるのは、軟骨伝導部36024の内側に、これに触れることなく振動する気導音発生用のリング状の振動板36027が配置され、軟骨伝導部36024の下部を貫通している圧電バイモルフ素子36025の上端に直接支持されている点である。なお、図208(A)では、内側貫通口36024aおよびこれより径の小さい外側貫通口36024cが見えるよう図示されている。上記のように、振動板36027は外観からは見えない。
図208(B)は、図208(A)における圧電バイモルフ素子36025が存在する部分の断面図(図208(B)を90度回転させた断面図である後述の図208(C)におけるB1−B1断面図)であり、図208(A)と同一部分には同一番号を付す。図208(B)に明らかなように、軟骨伝導部36024の下方は延長されて接続部23024hとなっており、鞘部36024bが接続部36024hを覆うように外側から差し込まれることで鞘部36024bが軟骨伝導部36024に確実に結合できるようにしている。一方、接続部36024hの内側には圧電バイモルフ素子36025の上端部が貫通して差し込まれており、圧電バイモルフ素子36025を保護するとともに圧電バイモルフ素子36025の下端部が鞘部36024bの内側でこれに接触することなく振動できるようにしている。これによって、圧電バイモルフ素子36025の下部の振動の反作用が軟骨伝導部36024に伝わり、良好な軟骨伝導を可能とする。
さらに、図208(B)に一点鎖線で示すように、軟骨伝導部36024の内側には、これに触れることなく振動する振動板36027が配置され、接続部36024hを貫通した圧電バイモルフ素子36025の上端の内側(耳への装着側)に支持されている。振動板がリング状になっているのは外界音を耳穴に導くためである。これによって、圧電バイモルフ素子36025の振動により振動板が気導音を発生する。このようにして、軟骨伝導部36024からの軟骨伝導が主に中低音域をカバーするとともに、振動板36027か気導音が主に高音域をカバーする。
図208(C)は、上記のように図208(B)を90度回転させた断面図であり、図208(A)および(B)と同一部分には同一番号を付す。なお、図208(C)は紙面で左側が、耳への装着側(内側)である。図208(C)に明らかなように、軟骨伝導部36024の内側空洞部には、その内壁に触れることなく振動する振動板36027が配置され、接続部36024hを貫通した圧電バイモルフ素子36025の上端に直接支持されている。また、図208(C)に明らかなように、耳穴に向かっている内側貫通口36024aの径よりも外側に向かっている外側貫通口36024cの径が小さくなっている。これにより振動板36027よりも耳穴側にある内側貫通口36034aの方が振動板36027よりも外側にある外側貫通口36024cよりも大きく開口することになり、振動板36027からの気導音が効果的に耳穴に向かうようになる。この目的のためには、内側貫通口36024aは、強度や振動板の保護に支障がない限りできるだけ大きくするのが望ましく、一方、外側貫通口36024cの径は、外界音を導くのに支障がない限りできるだけ小さくするのが望ましい。なお、煩雑を避けるため図208(C)では、接続ケーブル36024dの図示を省略している。
なお、上記のように、振動板36027は、外側貫通口36024cから入った外界音が内側貫通口36024aを経て耳穴に入るのを妨げないようリング状となっている。しかしながら、軟骨伝導部36024の空洞部内おいて、外側貫通口36024cから入った外界音が内側貫通口36024aに抜ける隙間(例えば振動板の周囲と空洞部内壁の間)が確保されるなら、振動板36027をリング状とすることなく、穴のない円盤状とすることも可能である。また、外界音を通過させるために穴を設ける場合でも、その位置は振動板の中心に限らず、その形状も円形に限るものではない。さらに穴の数も一つではなく複数または蜂の巣状に多数設けてもよい。
図209は、本発明の実施の形態に係る実施例131の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。実施例131に関する図209(A)〜(C)は、それぞれ実施例130に関する図208(A)〜(C)と大半が共通なので、共通する部分には同一番号を付し、必要のないかぎり説明を省略する。
図209の実施例131が図208の実施例130と異なるのは、図209(C)に明らかなように、振動板37027が、軟質材37024tを介して軟骨伝導部37024における後方貫通口37024c周囲内側に密着して保持されている点である。なお、振動板37027が軟骨伝導部37024の接続部36024hを貫通している圧電バイモルフ素子36025の上端に接触し、その振動を直接伝達されている点は図208における実施例130と同様である。
図209における実施例131の構成は、振動板37027の振動の自由度に若干の制限が加わるが、振動板37027が軟骨伝導部37024にも支持されているため、構成状の強度が増し、イヤホンを誤って落下させた場合等に振動板37027が圧電バイモルフ素子36025から剥離する等の破損の可能性が少なくなる。
図209における実施例131の構成において、振動板37027の振動の自由度への制限の観点で支障がなければ、軟質材37024tを介さず、振動板37027を軟骨伝導部37024における後方貫通口37024c周囲内側に直接密着保持してもよい。この場合、軟骨伝導部37024の弾性度合は、良好な軟骨伝導を得るための装着時における軟骨伝導部37024形状維持、および振動板37027の振動の自由度への制限の理両者の兼ね合いで決定する。また、後方貫通口37024cの厚みを薄くすることで、振動板37027の振動の自由度への制限度合を緩和することもできる。
図210は、本発明の実施の形態に係る実施例132の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。実施例132に関する図210(A)〜(C)についても、それぞれ実施例130に関する図208(A)〜(C)と大半が共通なので、共通する部分には同一番号を付し、必要のないかぎり説明を省略する。
図210の実施例132が図208の実施例130と異なる第1点目は、図210(B)に明らかなように、軟骨伝導部38024が鞘部38024bと一体的に硬質材料により構成されている点である。実施例132が実施例130と異なる第2点目は、圧電バイモルフ素子38025の下端部が鞘部38024bの下端部内側で支持されており、圧電バイモルフ素子38025の上端部側が、鞘部38024bの内側において鞘部38024bおよび軟骨伝導部38024の内壁に接触することなく自由振動できるようにしている点である。そして、振動板38027はこのように自由振動する圧電バイモルフ素子38025の上端部に支持され、軟骨伝導部38024の空洞部内で振動して気導音を発生する。なお、実施例132では、軟骨伝導部38024が硬質材料で構成されているため、軟骨伝導部38024自体(例えば前方貫通口36024a表面)からも気導音が発生し、高音部が増強される。一方で、鞘部38024bおよび軟骨伝導部38024から発生する気導音の影響により周囲への音漏れが生じる可能性は大きくなる。
実施例132が実施例130と異なる第3点目は、図210(C)に明らかなように、前方貫通口36024aおよび後方貫通口36024cのそれぞれの入り口部分に、保護メッシュ38024uおよび38024vをそれぞれ設けた点である。これにより、外界音の導入を妨げることなく、軟骨伝導部38024の空洞部内に異物が侵入し、振動板38027等のが故障する等の不都合を防止することができる。図210(A)に明らかなように保護メッシュ38024uは外観からも見える。なお、後方貫通口36024cが充分小さい場合、保護メッシュ38024vを省略することができる。内側貫通口368024側に保護メッシュ38024uを設けて軟骨伝導部38024の空洞部を保護する構成をとれば、振動板の径よりも内側貫通口368024を大きくすることが可能となり、例えばメガホンのような形状で振動板36027からの気導音を効果的に耳穴に向かうようにすることも可能となる。
なお、このように貫通口の入り口部分に保護メッシュを設ける構成は、実施例132に限るものではなく、前述の実施例130や実施例131、さらには後述の実施例にも保護メッシュを設けることができる。この場合、軟骨伝導部が弾性体である場合、保護メッシュも弾性構造とする。また、
図211は、本発明の実施の形態に係る実施例133の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。実施例133に関する図211(A)〜(C)についても、それぞれ実施例130に関する図208(A)〜(C)と大半が共通なので、共通する部分には同一番号を付し、必要のないかぎり説明を省略する。
図211の実施例133が図208の実施例130と異なる第1点目は、図211(B)および(C)に示すように、圧電バイモルフ素子39025の上端部が弾性体の軟骨伝導部396024の接続部39024hに支持(貫通なし)されるとともに、圧電バイモルフ素子39025の下端部も鞘部38024bの下端部内側で支持されている点である。
圧電バイモルフ素子39025の下端部を拘束することで振動特性は異なってくるが、一方で上端部の振動のための強固な支点ができるので軟骨伝導部396024の振幅は大きくなる。
図211の実施例133が図208の実施例130と異なる第2点目は、図211(B)および(C)に示すように、鞘部39024bの一部が軟骨伝導部396024を上方に貫通する延長部39024wとなっており、この延長部39024wに振動板39027が支持されている点である。これは、圧電バイモルフ素子39065の下端部を支持することによって伝わる鞘部39024bの振動を利用して軟骨伝導部39024の空洞部内で振動板39027を振動させ、発生する気導音により高音域を増強するためである。
実施例130〜133は軟骨伝導部および振動板の振動源として圧電バイモルフ素子を採用して構成している。しかしながら、この振動源は圧電バイモルフ素子に限るものではなく、例えば図73の実施例48の電磁型振動子4324aのような電磁型振動子を採用してこれを軟骨伝導部の空洞部に配置してもよい。この場合、図201の実施例125に示すように相対振動する電磁型振動子の一対の部材の一方(例えば、図73のボイスコイルボビン4324kの部分)により振動板を振動させるとともにその反作用を受ける他方の部材(例えば図73のヨーク4324hの部分)を軟骨伝導部の空洞部内で保持して軟骨伝導を得る。なお、電磁型振動子を振動源として採用する場合でも、外側貫通口から入った外界音が内側貫通口を経て耳穴に入るのを妨げないよう電磁型の振動子と軟骨伝導部の空洞部内壁の間に隙間を確保するようにする。
以上の各実施例に示した種々の特徴の実施は、上記の実施例に限るものではなく、その利点を享受できる限り、他の実施例でも実施可能であり、また種々の実施例に示した特徴を総合して一つの実施例に採用することも可能である。例えば、図210の実施理恵132で示した保護メッシュは、例えば図198〜203に示す実施例124〜127にも採用可能である。また、図210の実施例132おけるように軟骨伝導部を硬質材料とする構成は、例えばステップS208の実施例130にも採用することができる。但し、実施例130は、圧電バイモルフ素子の振動を鞘部に伝えないよう構成されるものなので、軟骨伝導部と鞘部の間に、図83の実施例55で採用されている弾性体5165aに準じた
振動隔離材の層を介在させる。
図212は、本発明の実施の形態に係る実施例134のシステム構成図である。実施例134は、携帯電話35601と腕時計型送受話器40001よりなる携帯電話システムとして構成されており、両者の間はBluetooth(登録商標)などによる通信システムの電波6585により近距離通信可能である。実施例134の携帯電話システムは、図204の実施例128と共通するところが多い。従って、共通の部分には図204と同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。
図212に示す実施例134における腕時計型送受話器40001は腕時計本体40001aとベルト部40001bを有する。腕時計本体40001aには反射型液晶を用いた腕時計表示部40005が設けられていて、通常の時刻表示とともに、後述する種々の表示を行う。腕時計表示部40005には、後述する可変指向性マイク40023およびスピーカ40013が設けられており、携帯電話1601との近距離通信により、携帯電話35601を例えばポケットに入れたままでも腕時計型送受話器35001を見ながら通話が可能である。腕時計表示部40005には、さらにカメラ部40017が設けられていて腕時計表示部40005を見ている自身の顔が撮像されるとともに、相手の顔が腕時計表示部40005に表示され、テレビ電話が可能である。なおテレビ電話状態では、可変指向性マイク40023は腕時計表示部40005の正面からの音声を拾うよう指向性が設定される。
腕時計表示部40005には、さらに表示部軟骨伝導部40024aが設けられており、腕時計表示部40005の表面に軟骨伝導用の振動を伝える。従って、後述のような姿勢で腕時計表示部40005を耳に当てることにより軟骨伝導による相手の声が聴取できる。このとき、可変指向性マイク40023は腕時計型送受話器40001を嵌めた手(通常左手)の肘方向からの音声を拾うよう指向性が切換えられるので後述のような姿勢により通話が可能となる。可変指向性マイクは40023図176の実施例106のような構成により指向性の切換えを行う。
一方、ベルト部40001bには、ベルト部軟骨伝導部40024bが設けられており、ベルト部4001b全体に軟骨伝導用の振動を伝える。従って、後述のような別姿勢でベルト部4001bを耳に当てることにより軟骨伝導による相手の声が聴取でき、上記と同様により通話が可能となる。また、ベルト部4001bから手首に振動が伝わるので、直接ベルト部40001bを耳に当てなくても、振動が伝わる手(手の平、人差し指など)を耳軟骨に当てる軟骨伝導による聴取が可能となる。なお、ベルト部4001bに沿って、近距離通信部のアンテナ6546aが手首を巻くように設けられている。
図213は、図212に示す実施例134における腕時計表示部40005に表示される通話姿勢の説明画面である。この画面は、腕時計型送受話器40001の電源スイッチを入れる度に表示されるが、煩雑なときは表示されないように設定することもできる。図213(A)は、テレビ電話時の通話姿勢であり、携帯電話1601を例えばポケットに入れたままで腕時計表示部40005を見ながらテレビ電話の通話を行う姿勢を説明している。
図213(B)は軟骨伝導通話の姿勢を説明するもので、腕時計型送受話器40001を嵌めた手を顔の前でクロスさせ反対側の耳に腕時計表示部40005を当てる通話姿勢を示している。図213(B)では、左手に腕時計型送受話器40001を嵌めているので、右耳に腕時計表示部40005を当てることになる。この通話姿勢により、表示部軟骨伝導部40024aからの振動が耳軟骨に伝わり、良好な軟骨伝導により相手の声を聞くことができるとともに、肘方向からの音声を拾うよう指向性が切換えられたマイクによって拾われる自分の声を相手に伝えることができる。なお、この姿勢のとき、カメラ部40017、スピーカ40023および腕時計表示部40005はそれぞれオフになる。このような自動オフは、腕時計本体40001aに設けられた加速度センサが図213(A)と(B)の姿勢変更を検知することにより自動的に行われる。
図214は、図213と同様にして腕時計表示部40005に表示される他の通話姿勢の説明画面である。図214(A)は、図213(B)に対し手首を90度回転させて腕時計表示部40005が上側に来るようにし、ベルト部40001bを耳に当てる姿勢である。この場合、腕時計表示部40005が耳に触れないのでその表面が皮脂などで汚れることがない。この姿勢の場合、ベルト部軟骨伝導部40024bからの振動が耳軟骨に伝わる。肘方向からの音声を拾うよう指向性が切換えられたマイクによって拾われることは同様である。
図214(B)に肘枕のような姿勢を取り、腕時計型送受話器40001を嵌めた手と同じ側の耳に(図の場合、左手を左耳に)ベルト部40001bの手の平側を当てる通話姿勢を示している。この姿勢の場合、ベルト部軟骨伝導部40024bからの振動がベルト部40001bを介して耳軟骨に伝わる。肘方向からの音声を拾うよう指向性が切換えられたマイクによって拾われることは同様である。
図214(C)は、腕時計型送受話器40001を嵌めた手と同じ側の耳に手(図の場人差し指)を耳軟骨に当てる(図の場合、人差し指を耳珠に当てて耳の穴を塞ぎ、外耳道閉鎖状態をつくる)通話姿勢を示している。この姿勢の場合、ベルト部軟骨伝導部40024bからベルト部40001b介して手首に伝わった振動が耳軟骨に伝導する。肘方向からの音声を拾うよう指向性が切換えられたマイクによって拾われることは同様である。
図213および図214に示した通話姿勢の説明図は、上記のように腕時計表示部40005に表示するものの他、腕時計型送受話器40001を商品として提供する際に添付される使用説明書、または腕時計型送受話器40001を広告するための広告媒体により、商品としての腕時計型送受話器40001と一体的にユーザに提供することができる。従って、腕時計型送受話器40001とともに提供されるこのような特有の使用方法も本発明の一部である。
図215は、図212から図214に示す実施例134のシステムブロック図である。図215も、実施例128における図205とと共通するところが多い。従って、共通の部分には図205と同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。また、実施例134について図212に示したものと同じ部分にも同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。
図215に示すように、実施例134の腕時計型送受話器40001は、通常の時計機能のための時計機能部35039を有する。また、加速度センサ40049は、図213の(A)から(B)への腕時計型送受話器40001の上昇、および図213の(B)から(A)への腕時計型送受話器40001の下降を検知し、カメラ部40017、スピーカ40023および腕時計表示部40005の自動切換えを行う。
また、腕時計型送受話器40001の電源部6548および携帯電話35601の電源部1448はそれぞれ、無接点充電部6548aおよび1448aにより無接点充電が可能であるが、お互いの充電状態の情報を近距離通信により共有し、腕時計型送受話器40001と携帯電話35601の連携を確保するようにしている。さらに、GPS部40038は腕時計型送受話器40001を嵌めたユーザの移動を検知し、その都度、携帯電話35601が不携帯状態で元の場所に放置されていないかチェックすることで、腕時計型送受話器40001と携帯電話35601の連携を確保するようにしている。具体的には、ユーザが移動した結果、近距離通信圏外にならないかをチェックする。
駆動部35036は、表示部軟骨伝導部40024aおよびベルト軟骨伝導部40024bを共に駆動することでいずれの聴取姿勢にも対応できるようにする。なお、きめ細かに姿勢を弁別するか又は手動操作により表示部軟骨伝導部40024aおよびベルト軟骨伝導部40024bの一方のみが振動するよう切換えるよう構成してもよい。音声処理部40040は制御部40039の指示により駆動部36036による軟骨伝導のための振動発声とスピーカ40013による気導音発生を切換える。指向性マイク40023は、音声処理部を介した制御部40039からの指示により指向性の切換えを行う。
着信バイブレータ6525は、ベルト部40001bに設けられるが、ベルト軟骨伝導部40024bの振動を兼用するようにし、別途振動源を設けるのを省略した構成としてもよい。
図216は、実施例134における腕時計型送受話器40001の制御部40039の機能を示すフローチャートである。なお、図216のフローは、軟骨伝導に関する機能を中心に動作を抽出して図示しており、腕時計型送受話器40001には通常の腕時計機能をはじめとする図216のフローに表記していない制御部40039の動作が存在する。また制御部40039は、他の種々の送受話装置において示した諸機能を合わせて達成することが可能であるが、これらの機能についても煩雑を避けるため図示と説明を省略している。
図216のフローは、腕時計型送受話器40001の主電源のオンでスタートし、ステップS862で初期立上および各部機能チェックを行うとともに腕時計表示部40005における通常の時計表示をを開始する。次いでステップS864で図213および図214で示した使用法をスライドショーで表示する。使用法説明が終了するとステップS866に移行し、GPS部によるユーザの移動が検知されたか否かチェックする。
移動検知がなければステップS868に進み、腕時計型送受話器40001と携帯電話35601の連携を確保するための予定タイミング(例えば5秒に1回)となったか否かチェックする。そして該当すればステップS870に移行する。一方、ステップS866でGPSによるユーザ移動が検知されるた場合は、直接ステップS870に移行する。ステップS870では、携帯電話が近距離通信圏外になったかどうかチェックし、通信圏内にあればステップS872に進む。 ステップS872では携帯電話との近距離通信を行い、定常的に腕時計表示部に表示されている腕時計型送受話器40001の電源状態をチェックして結果を携帯電話35601に送信する。送信された情報は携帯電話で表示される。さらに、ステップS874で携帯電話の電源状態を示す情報を近距離通信で受信し、結果を腕時計表示部に表示してステップS876に移行する。一方ステップS868で予定タイミングでなれば直接ステップS876に移行する。
ステップS876では、近距離通信により携帯電話に着信があったか、または腕時計型送受話器40001の操作部6509の発呼操作に基づく相手からの応答があったかを検知する。これらのいずれかがあれば、携帯電話による相手との通話が開始されたことを意味するのでステップS878に進み、腕時計表示部における相手の顔の表示、カメラ部による自分の顔の撮像、スピーカによる気導音の発生をいずれもオンとするとともにマイクの指向性を腕時計表示部の正面に設定してステップS880に移行する。なお、このとき軟骨伝導部はオフされている。このように通話の開始に当たってはまずテレビ電話状態が設定される。なお、通話がテレビ電話でなく音声だけであった場合は、上記における相手の顔の表示およびカメラ部のオンを省略する。
ステップS880では、加速度センサ40049による図213の(A)から(B)への腕時計型送受話器40001の上昇検知の有無をチェックする。検知があればステップS882に移行し、腕時計表示部における相手の顔の表示、カメラ部による自分の顔の撮像、スピーカによる気導音の発生をいずれもオフとして代わりに軟骨伝導部をオンする。さらに、マイクの指向性を肘側に設定してステップS884に移行する。
ステップS884では、加速度センサ40049による図213の(B)から(A)への腕時計型送受話器40001の下降の有無をチェックし、下降検知があれば、ステップS878に移行して、テレビ電話状態に設定を戻す。一方、ステップS884で下降検知がなければ(軟骨伝導通話が継続されている限り通常はこの状態とである)ステップS886に移行し、通話が切断されたか否かチェックする。通話の切断がなければ、ステップS880に戻る。以下、ステップS886で通話断が検知されるまでは、ステップS878からステップS886が繰り返され、姿勢の変化に対応する軟骨伝導通話とテレビ電話の切換えを行う。一方ステップS886で通話断が検知されるとステップS888に移行する。また、ステップS876における通話開始の検知がなければ直接ステップS888に移行する。
ステップS888では、操作部6509による携帯電話捜索操作が行われたか否かチェックする。この操作は、例えば出かけるときに携帯電話が見当たらない時に行われる。その操作が行われるとステップS890に進み、近距離通信により携帯電話と通信し、携帯電話から着信音の発音(またはバイブレータの振動)を行わせるための指示信号を送信してステップS892に移行する。
一方、ステップS870において携帯電話が近距離通信圏外になったことが検知されるとステップS894に進み、携帯電話が不携帯状態であることを携行する表示を行ってステップS892に移行する。以上のような種々の手段により腕時計型送受話器40001と携帯電話35601の連携が確保される。
ステップS892では、腕時計型送受話器40001の主電源がオフされたか否かチェックし、主電源のオフがなければステップS866に戻り、以下ステップS892で主電源のオフが検知されない限り、ステップS866からステップS892を繰り返す。これに対しステップS892で主電源オフが検知されるとフローを終了する。
以上の各実施例に示した種々の特徴の実施は、上記の実施例に限るものではなく、その利点を享受できる限り、他の実施例でも実施可能であり、また種々の実施例に示した特徴を総合して一つの実施例に採用することも可能である。例えば、図212から図216に示した腕時計型送受話器40001と携帯電話35601の連携の種々の手段は軟骨伝導を採用しない腕時計型送受話器40001においても活用可能である。
図217は、本発明の実施の形態に係る実施例135のシステム構成図である。実施例135は、携帯電話35601と、ID名札型送受話装置41001よりなる携帯電話システムとして構成されており、両者の間はBluetooth(登録商標)などによる通信システムの電波6585により近距離通信可能である。実施例135の携帯電話システムは、図212の実施例134と共通するところが多い。従って、共通の部分には図212と同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。
図217に示す実施例135におけるID名札型送受話装置41001は、非接触型ICカードとして建物への入館のための開錠カードとして使用されるとともに、表面の反射型液晶によるIDデータ表示部41005に本人の写真41001aおよび氏名41001bが表示される名札となっている。そして通常は、ネックストラップ41001cにより首から吊るして使用する。表示の向きは、図217に示すように相手から見て正立した状態となる。後述のように、この表示は、自分が見る場合、上下が逆転する。
ID名札型送受話装置41001はさらにスピーカ41013、マイク41023およびカメラ部41017を備え、電波6585により携帯電話35601と近距離通信することにより、携帯電話35601のためのテレビ電話用送受和装置として機能する。この場合の相手の顔の表示は、図217の場合と上下逆転した向きになるが、テレビ電話としての使用の詳細については後述する。
ID名札型送受話装置41001はさらに角部に軟骨伝導部41024を有し、この軟骨伝導部41024を耳珠に接触させることにより、他の実施例と同様にして軟骨伝導による通話が可能な送受話装置として機能する。送話にはテレビ電話の際にも使用されるマイク41023が兼用される。実施例135では、軟骨伝導部41024が図217のように首から吊るした状態における下側に配置されているので、軟骨伝導部41024を耳珠に当てるために持ち上げやすく、また耳珠に当てる際にネックストラップ41001aと干渉することがない。
ID名札型送受話装置41001は、さらに着信バイブレータ6525を備えており、電波6585により携帯電話35601と近距離通信することで着信信号を受信して振動する。ネックストラップ41001cは振動伝達性の良い材質で構成されるとともにこの着信バイブレータ6525に接続されている。この構成によって、着信バイブレータ6525の振動がネックストラップ41001cを介して首の後ろ側の皮膚に伝わり、着信を明瞭に感知することができる。なお、ネックストラップ41001cはID名札型送受話装置41001の自重によりピンと張った状態にあるので、着信バイブレータ6525の振動をよく首に伝える。
図218は、図217に示したID名札型送受話装置41001の拡大図であり、図217と同一部分には同一の番号を付して必要のない限り、説明を省略する。図218(A)は、図217と同様にID名札型送受話装置41001を首に吊るした状態を示し、対面する相手から見て各表示が正立して表示されている。図217で図示を省略していた部分について説明すると、ID名札型送受話装置41001は操作部6509により電源スイッチのオンや種々の切換、設定、入力等の操作が可能である。
また、IDデータ表示部41005には、図217で説明したものの他、ID名札型送受話装置41001の電池の充電状態表示41001dが表示される。さらに、IDデータ表示部41005には、携帯電話35601の電池の充電状態表示41001eおよび、携帯電話35601が着信音鳴動モードとバイブレーションモードのいずれに設定されているかを示す着信モード表示41001fが表示される。なお、図218では鳴動モード設定状態を示しており、携帯電話35601がバイブレーションモードに設定されると、後述のように着信モード表示41001fがハート型の表示に変わる。携帯電話35601に関する上記の表示内容のデータは近距離通信により携帯電話35601から送信される。このような種々の表示を相手にも見えるように行うことにより、これに気づいた相手から電池切れや、バイブレーションモードへの設定忘れの助言を受けることができる。
図218(B)は、ID名札型送受話装置41001を自分に向けて回転させながら持ち上げて自分で見ている状態を示す。このときネックストラップ41001cは下側になる。なお、図218(B)の図示において軟骨伝導部41024をはじめとする各構成要素が図218(A)の状態から紙面に平行に180度回転しているように見えるが、図218(A)は相手から見た状態であるとともに、図218(B)は自分から見た状態である。従って、図218(A)の状態から図218(B)の状態になるときにID名札型送受話装置41001自体がIDデータ表示部41005に平行に180度回転させられるわけではない。
上記の理由により、仮に表示状態が図218(A)のままでID名札型送受話装置41001を自分に向けて回転させながら持ち上げたとすると、本人の写真41001aや氏名41001bをはじめとする各表示が倒立した状態となる。これを是正するため、図218(B)の状態では、IDデータ表示部41005内の各表示内容を画像処理により180度回転させるとともに配置を整理している。これによって、ID名札型送受話装置41001を自分に向けて回転させながら持ち上げて自分で見ている状態でも、本人の写真41001aや氏名41001bをはじめとする各表示を正立した状態で見ることができ、表示を見ながら操作部6509を操作して設定の変更や入力を行うことができる。
図219は、図218(B)と同様にしてID名札型送受話装置41001を自分で見ている状態の表示を示す。図218(B)と同一部分には同一の番号を付して必要のない限り、説明を省略する。図219(A)はメール41001gが表示されている状態を示す。なお、図219(A)においては、携帯電話35601がバイブレーションモードに設定された結果、着信モード表示41001fがハート型の表示に変わった状態を図示している。図219(B)はテレビ電話状態において相手の顔41001hが表示されている様子を示す。
図220は、図212から図214に示す実施例134のシステムブロック図である。図220も、実施例134のシステムブロック図である図215とと共通するところが多い。従って、共通の部分には図215と同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。また、実施例135について図217から図219に示したものと同じ部分にも同一番号を付して必要のないかぎり、説明を省略する。
図220に示す非接触型ICカード部41001iは、カードアンテナ41001jを介した通信により、ID名札型送受話装置41001を非接触型ICカードとして機能ささせる。これによって、ID名札型送受話装置41001を入館チェック部にタッチさせることにより建物への入館のための開錠等をおこなうことができる。また、非接触型ICカード部41001iは、近距離通信部6546によって携帯電話35601の支払い決済機能と連携し、ID名札型送受話装置41001を支払い決済カードとして機能させる。これによって、ID名札型送受話装置41001を支払決済部にタッチさせることにより携帯電話35601を通じて支払決済等を行うことができる。
また、図220に示すネックストラップ接続部4100kは、首に着信振動を伝えるネックストラップ41001cを接続するためのもので、着信バイブレータ6525の振動が伝達される。これによって、ネックストラップ接続部4100kに伝えられた着信バイブレータ6525の振動がネックストラップ41001cに伝達され、首の後ろで着信を感知することができる。
さらに、図220に示す加速度センサ40049は、重力加速度を検知し、非接触型ICカード部41001iが図218(A)の姿勢にあるか図218(B)の姿勢にあるかを識別して、表示の天地を逆転させるとともに表示レイアウトの調整を行う。加速度センサ40049はさらに、非接触型ICカード部41001iが図218(A)の姿勢にあってテレビ電話として用いられているか又はさらに持上げられて軟骨伝導部41024が耳珠に接触させられているかを検知する。音声処理部40040は、このような加速度センサ40049の出力に基づき、音声信号によりスピーカ41013から気導音を発生させるか又は駆動部35036によって軟骨伝導部41024を振動させるかの切換えを行う。制御部41039は、記憶部6537に格納されたプログラムに従って、以上説明した機能を含むID名札型送受話装置41001全体の制御を行う。
図221は、実施例135におけるID名刺型送受話装置41001の制御部40039の機能を示すフローチャートである。なお、図216のフローは、軟骨伝導に関する機能を中心に動作を抽出して図示しており、腕時計型送受話装置40001には通常の腕時計機能をはじめとする図216のフローに表記していない制御部40039の動作が存在する。また制御部40039は、他の種々の送受話装置において示した諸機能を合わせて達成することが可能であるが、これらの機能についても煩雑を避けるため図示と説明を省略している。
図216のフローは、ID名札型送受話装置41001の主電源のオンでスタートし、ステップS902で初期立上および各部機能チェックを行うとともにIDデータ表示部41005におけるIDデータ(写真41001aおよび氏名41001b)の表示を開始する。次いでステップS904でIDデータ等の各表示の天地方向を図218(A)の吊り下げ状態とする設定を行う。さらにステップS906でID名札型送受話装置41001の電池の充電状態表示41001d、携帯電話35601の電池の充電状態表示41001eおよび着信モード表示41001fを対面する相手から見えるよう表示してステップS908に移行する。
ステップS908では、近距離通信により携帯電話35601から着信信号が伝達されたか否かをチェックし、着信信号がくればステップS910に進んで着信バイブレータ6525をオンにする。これによってネックストラップ接続部41001kを介して振動がネックストラップ41001cに伝わり、首の後ろで着信を感知できる。次いでステップS912では操作部6509で着信応答操作をしたかまたは、通話相手の発呼中止により携帯電話35601からの着信信号が伝達されなくなったかを検知する。これらに該当しなければ、ステップS910に戻り、以下ステップS912で該当する状態が検知されない限り、ステップS910とステップS912を繰り返す。これに対し、ステップS912で該当する操作が検知されたときはステップS914に進み、着信バイブレータ6525をオフしてステップS916に移行する。また、ステップS908で着信信号が検知されないときは直接ステップS916に移行する。
ステップS916では、加速度センサ40049により図218(A)状態から図218(B)の持上げ姿勢へのID名札型送受話装置41001の状態変化があったか否かがチェックされる。持ち上げ姿勢が検知されるとステップS918に進み、図218(A)から図218(B)の持上げ状態に表示の天地方向を変更するとともに、通話をマイク41023とスピーカ41013による通常通話状態に設定してステップS920に移行する。なお、通常通話状態では軟骨伝導部41024はオフである。これに対し、ステップS916で持上げ姿勢が検知されないときは、直接920に移行する。
ステップS920では、ID名札型送受話装置41001が218(B)の状態からさらに持上げられて軟骨伝導部41024を耳珠に接触させる軟骨伝導姿勢がとられたかどうかを加速度センサ40049の出力に基づいてチェックする。軟骨伝導姿勢が検知されるとステップS922に進み、軟骨伝導部をオンとするとともにスピーカ41013をオフしてステップS924に移行する。また、ステップS922ではIDデータ表示部41005に備えられた射型液晶のバックライト(不図示)が点灯している場合、これをオフする。これに対し、ステップS920で軟骨伝導姿勢が検知されないときは、直接924に移行する。
ステップS924では、加速度センサ40049により図218(A)の吊り下げ姿勢への復帰が検知されたか否かチェックされる。吊り下げ姿勢が検知されるとステップS926に進み、図218(B)から図218(A)の吊り下げ状態に表示の天地方向を変更するとともに、通話をマイク41023とスピーカ41013による通常通話状態に設定してステップS928に移行する。これに対し、ステップS924で吊り下げ姿勢が検知されないときは、直接928に移行する。
ステップS928では、ID名札型送受話装置41001が建物の入館チェック部にタッチさせられるか、または支払決済部にタッチさせられたか否かをチェックする。そして該当すればステップS930に進み、上記で説明した非接触型ICカード部41001iの機能による該当処理を実行しステップS932に移行する。これに対し、ステップS930で吊り下げ姿勢が検知されないときは、直接932に移行する。
ステップS932では、ID名札型送受話装置41001の主電源がオフされたか否かがチェックされ、主電源がオフでなければステップS908に戻って、以下ステップS932で主電源のオフが検知されない限りステップS908からステップS932を繰り返す。これによって、ID名札型送受話装置41001は、送受話および非接触型ICカードの機能に対応するが、通常は、首から吊り下げられたID名札として機能し、反射型液晶によるIDデータ表示部41006にて写真および氏名の表示を継続する。
以上の各実施例に示した種々の特徴の実施は、上記の実施例に限るものではなく、その利点を享受できる限り、他の実施例でも実施可能であり、また種々の実施例に示した特徴を総合して一つの実施例に採用することも可能である。例えば、図217から図221に示した実施例は、携帯電話と連携する送受話装置として構成されているが、その特徴を送受話機能を持たない名札、または非接触型ICカードに適用してもよい。
図222は、本発明の実施の形態に係る実施例136に関する斜視図および断面図であり、携帯電話42001として構成される。実施例136は、図178の実施例107(図136の実施例88を援用して説明されているもの)と共通するところが多いので、共通する部分には同一番号を付し、必要のない限り説明を省略する。実施例107と同様にして、図222(A)は実施例136の正面斜視図であり、携帯電話42001の筐体は、プラスチック等からなる正面板8201aおよびプラスチックよりなる背面板8021bで金属フレームを挟むよう構成される。金属フレームは、上部フレーム8227、右部フレーム8201c、下部フレーム8201dおよび左部フレーム8201e(図222(A)では見えていない)に分かれており、これらの間にはそれぞれ絶縁体42001fが介在している。以上の構成により、正面板8201a、背面板8021bおよび上部フレーム8227は携帯電話42001の筐体上辺部を構成する。
上部フレーム8227の両角部外側は、右耳用軟骨伝導部42024および左耳用軟骨伝導部42026により接着被覆されるとともに、上部フレーム8227の上辺は、右耳用軟骨伝導部42024および左耳用軟骨伝導部42026を連結する連結部42027により接着被覆されている。上記の右耳用軟骨伝導部42024、左耳用軟骨伝導部42026および連結部42027は耳軟骨と近似する音響インピーダンスの弾性体よりなり一体的に成型されている。因みに、正面板8201a、背面板8021bおよび上部フレーム8227は、上記の右耳用軟骨伝導部42024、左耳用軟骨伝導部42026および連結部42027とは異なる音響インピーダンスを有し、これらの振動が伝わりにくい構成となっている。
図222(B)は、図222(A)のB1−B1断面図であり、同一部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図222(B)に明らかなように、連結部42027の下部には上部フレーム8227に設けられた開口部を貫いて携帯電話42001内部に延びる延長部42027cが設けられており、この延長部42024cに圧電バイモルフ素子13025の上側の一端を差し込んで片持ち支持している。これによって、圧電バイモルフ素子13025の下側の他端は自由振動し、その反作用が延長部42027cに伝達される。延長部42027は連結部42027と同じ弾性体で一体的に成型されているのでその振動は、連結部42027をを介して軟骨伝導部42024および42026にそれぞれ効率的に伝達される。なおその振動方向は、正面板8201aに垂直な方向(図222紙面に垂直な方向)である。
以上の構成により、軟骨伝導部42024または42026を耳軟骨に接触させることにより良好な軟骨伝導を得ることができる。上記のように圧電バイモルフ素子13025は、耳軟骨と近似する音響インピーダンスの延長部42027cにのみ支持され、これと一体成型された連結部42027経由で軟骨伝導部42024または42026から耳軟骨に伝達されるので軟骨伝導の観点で効率が良い。一方、圧電バイモルフ素子13025は、上部フレーム8227、正面板8201aおよび背面板8021bには接触していないのでこれらに直接振動が伝わることはない。また、上部フレーム8227、正面板8201aおよび背面板8021bは、連結部42027および軟骨伝導部42024、42026を構成する弾性体とは音響インピーダンスが異なるので、弾性体の振動が遮断される。これらのことにより、正面板8201aや背面板8021bの振動による気導音の発生が抑制される。さらに、連結部42027および軟骨伝導部42024、42026が上部フレーム8227に接着されていることでそれらの表面に垂直な方向の振動が抑制されているため、連結部42027および軟骨伝導部42024、42026自体からの気導音の発生も抑制される。
また、上部フレーム8227の両角部外側はそれぞれ軟骨伝導部となっている弾性体で被覆されているため、携帯電話42001の落下時の衝撃から両角部が保護される。さらに、上記のように圧電バイモルフ素子13025は弾性体のみで支持されているのでこれが緩衝材となり、携帯電話42001の落下等による衝撃で圧電バイモルフ素子13025が破壊されるのが防止される。
図222(B)は、図222(A)のB1−B1断面図であるため連結部42027が外部イヤホンジャック8246および電源スイッチ8209で途切れているように見えるが、図222(A)の上面図である図222(C)によれば、右耳用軟骨伝導部42024、左耳用軟骨伝導部42026および連結部42027が弾性体により連続して一体的に成型されていることがわかる。図222(C)では、内部にある延長部42027cおよびこれに差し込まれた圧電バイモルフ素子13025を破線で示している。
図222(A)から図222(C)に示すB2−B2断面図である図222(D)は、延長部42027cが連結部42027と一体となっていること、およびこれに差し込まれた圧電バイモルフ素子13025の自由端が矢印13025aに示すように正面板8201aに垂直な方向に振動していることを示す。また図222(D)では、圧電バイモルフ素子13025の自由端が延長部42027c以外に接することなく振動し、その振動の反作用が支持部である42027cを介して連結部42027にしか伝わらないことがわかる。
図223は、本発明の実施の形態に係る実施例137およびその変形例に関する断面図であり、携帯電話43001または携帯電話44001として構成される。実施例137およびその変形例は、図222の実施例136と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。また、外観においては、実施例136と異なるところがないので、図222(A)を援用し、図223における斜視図の図示を省略している。図223の実施例137が図222の実施例136と異なるのは、実施例136で圧電バイモルフ素子13025が縦向きに配置されているのに対し、実施例137およびその変形例では、圧電バイモルフ素子43025または44025が横向きに配置されていることである。
図223(A)は、実施例137において、図222(A)のB1−B1断面図に相当する。図223(A)に明らかなように、実施例137においても、右耳用軟骨伝導部43024および左耳用軟骨伝導部43026を連結する連結部43027の下部には上部フレーム8227に設けられた開口部を貫いて携帯電話43001内部に延びる延長部43027cが設けられている。しかしながら、圧電バイモルフ素子43025は横向きに配置され、図で右側の一端を延長部43027cに差し込むことで片持ち支持されている。これによって、圧電バイモルフ素子43025の図で左側の他端は自由振動し、その反作用が延長部43027cから連結部43027を介して軟骨伝導部43024、43026にそれぞれ伝達される。振動方向は実施例136と同様にして、正面板8201aに垂直な方向(図223紙面に垂直な方向)である。
図222(A)(実施例136を援用)の上面図に相当する図223(B)によれば、実施例137においても実施例136と同様にして、右耳用軟骨伝導部43024、左耳用軟骨伝導部43026および連結部43027が弾性体により連続して一体的に成型されていることがわかる。また、図222(C)と同様にして図223(B)においても、内部にある延長部43027cおよびこれに横向きに差し込まれた圧電バイモルフ素子43025を破線で示している。図223(A)および図223(B)に示すB2−B2断面図である図223(C)によれば、実施例136と同様にして、実施例137においても、延長部43027cが連結部43027と一体となっていることがわかる。
実施例136と同様にして、実施例137においても、圧電バイモルフ素子43025が延長部43027cにのみ支持され、これと一体成型された連結部43027経由で軟骨伝導部43024または43026から耳軟骨に伝達されるので軟骨伝導の観点で効率が良い。また、上部フレーム8227、正面板8201aおよび背面板8021bに圧電バイモルフ素子43025の直接振動が伝わることはないとともに、音響インピーダンスの違いにより上部フレーム8227、正面板8201aおよび背面板8021bに対する弾性体の振動が遮断され、正面板8201aや背面板8021bの振動による気導音の発生が抑制される。さらに、上部フレーム8227への接着により連結部43027および軟骨伝導部43024、43026自体からの気導音の発生も抑制される。軟骨伝導部となっている弾性体による被覆により携帯電話43001の落下時の衝撃から両角部が保護されるとともに、弾性体の緩衝作用により、携帯電話43001の落下時等における圧電バイモルフ素子43025の破壊が防止される。
図223(D)から図223(F)は、実施例137の変形例を示す。図223(D)は図222(A)(援用している実施例136のもの)のB1−B1断面図に相当する。図223(D)に示すように、変形例においては、右耳用軟骨伝導部44024および左耳用軟骨伝導部44026中間点を挟んで等距離に、連結部44027から上部フレーム8227に設けられた二つの開口部を下方に貫いてそれぞれ携帯電話44001内部に延びる二つの延長部44027eおよび44027fが設けられている。圧電バイモルフ素子44025は横向きに配置されているが、実施例137のように片持ち支持されているのではなく、二つの延長部44027eおよび44027fに内側からそれぞれ差し込まれて両持ち支持されている。なお、このような支持を行なうためには、例えば延長部44027eおよび44027fの弾性を利用して両者間を広げ、圧電バイモルフ素子44025の両端を嵌めこむようにする。このような両持ち支持の場合、圧電バイモルフ素子44025の中央部分が自由振動し、その反作用が延長部44027eおよび44027fから連結部44027を介して軟骨伝導部44024および44026にそれぞれ伝達される。振動方向は実施例137と同様にして、正面板8201aに垂直な方向(図223紙面に垂直な方向)である。
図222(A)(実施例136を援用)の上面図に相当する図223(E)によれば、実施例137の変形例においても図223(A)の実施例137と同様にして、右耳用軟骨伝導部44024、左耳用軟骨伝導部44026および連結部44027が弾性体により連続して一体的に成型されていることがわかる。また、図223(B)と同様にして図223(E)においても、内部にある二つの延長部44027eおよび44027fおよびこれらに挟まれて横向きに支持されている圧電バイモルフ素子44025を破線で示している。図223(D)および図223(E)に示すB2−B2断面図である図223(F)によれば、実施例137と同様にして、変形例においても、延長部44027fが連結部44027と一体となっていることがわかる。
実施例137の変形例においても、圧電バイモルフ素子44025が二つの延長部44027eおよび44027fにのみ支持され、これと一体成型された連結部44027経由で軟骨伝導部44024または44026から耳軟骨に伝達されるので軟骨伝導の観点で効率が良いことは同様である。また、正面板8201aや背面板8021bの振動による気導音の発生、および連結部44027および軟骨伝導部44024、44026自体からの気導音の発生がともに抑制されることも同様である。さらには、弾性体による携帯電話44001落下時等における両角部の保護および圧電バイモルフ素子44025自体の緩衝保護についても同様である。
図224は、本発明の実施の形態に係る実施例138に関する斜視図および断面図であり、携帯電話45001として構成される。実施例138は、図222の実施例136と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図224の実施例138が図222の実施例136と異なる第1点目は、実施例136では圧電バイモルフ素子13025が縦向きに片持ち支持されているのに対し、実施例138では圧電バイモルフ素子45025が横向きに全体接着されている点である。また、第2点目は軟骨伝導部が携帯電話45001の上辺両角部を覆うよう配置されている点である。以下具体的に説明する。
図224(A)は、実施例136における図222(A)と同様にして、実施例138の正面斜視図を示す。実施例136と異なる部分のみについて説明すると、携帯電話45001の両角部の上面、前後面および側面(正面板8201a、背面板8021bおよび上部フレーム8227の角該当部分)は、それぞれ右耳用軟骨伝導部45024および左耳用軟骨伝導部45026により全体的に覆われている。このような形状の右耳用軟骨伝導部45024および左耳用軟骨伝導部45026はそれぞれ携帯電話45001の両角部に接着被覆されるている。また上部フレーム8227の上辺は、上記のような右耳用軟骨伝導部45024および左耳用軟骨伝導部45026を連結する連結部45027により接着被覆されている。実施例136と同様にして、実施例138における上記の右耳用軟骨伝導部45024、左耳用軟骨伝導部45026および連結部45027は、耳軟骨と近似する音響インピーダンスの弾性体よりなり一体的に成型されている。
図224(B)は、図224(A)のB1−B1断面図に相当する。図224(B)に明らかなように、実施例138においても、右耳用軟骨伝導部45024および左耳用軟骨伝導部45026を連結する連結部45027の下部には上部フレーム8227に設けられた開口部を貫いて携帯電話45001内部に延びる延長部45027cが設けられている。圧電バイモルフ素子45025は、横向きに延長部45027cの前面に全体的に接着支持されている。これによって、圧電バイモルフ素子45025全体の振動に応じて延長部45027cが振動し、この振動が連結部45027を介して軟骨伝導部45024、45026にそれぞれ伝達される。振動方向は実施例136と同様にして、正面板8201aに垂直な方向(図224紙面に垂直な方向)である。
図224(C)は、図224(A)の上面図であり、実施例136と同様にして、右耳用軟骨伝導部45024、左耳用軟骨伝導部45026および連結部45027が弾性体により連続して一体的に成型されていることがわかる。また、図222(C)と同様にして図224(C)においても、内部にある延長部45027cおよびこれに横向きに全体的に貼り付けられた圧電バイモルフ素子45025を破線で示している。図224(A)および図224(B)に示すB2−B2断面図である図224(D)によれば、実施例136と同様にして、実施例138においても、延長部45027cが連結部45027と一体となっていることがわかる。また、実施例136および実施例137でも、圧電バイモルフ素子は、背面板8201b近傍に寄せて配置され、多くの部材が配置される携帯電話上部において正面板8201a近傍のスペースを空けるよう構成されているが、特に実施例138では、圧電バイモルフ素子45025を延長部45027cに横向きに全体的に貼り付けているので、図224(D)から明らかなように、携帯電話上部の正面板8201a近傍のスペースをより効率よく空けることができる。
実施例138においても、圧電バイモルフ素子45025が延長部45027cのみで支持され、これと一体成型された連結部45027経由で軟骨伝導部45024または45026から耳軟骨に伝達されるので軟骨伝導の観点で効率が良いことは同様である。また、正面板8201aや背面板8021bの振動による気導音の発生、および連結部45027および軟骨伝導部45024、45026自体からの気導音の発生がともに抑制されることも同様である。さらには、弾性体による携帯電話45001の落下時等における両角部の保護および圧電バイモルフ素子45025自体の緩衝保護についても同様である
さらに実施例138では、図224(A)に明らかなように軟骨伝導部45024、45026が携帯電話45001の上辺両角部を覆うよう配置されているため、耳軟骨への接触面積が増え、より効率のよい軟骨伝導を実現することができる。さらに角部の保護の観点からも好適な構造の一つとなる。
図225は、本発明の実施の形態に係る実施例139に関する斜視図および断面図であり、携帯電話46001として構成される。実施例139も、図222の実施例136と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図225の実施例139が図222の実施例136と異なるのは、実施例136では圧電バイモルフ素子13025が縦向きに片持ち支持されているのに対し、実施例139では、実施例138と同様にして、圧電バイモルフ素子46025が横向きに全体接着されている点である。但し、実施例139では、実施例138と異なり、圧電バイモルフ素子46025の振動方向は上部フレーム8227に対し垂直方向(携帯電話46001における上下方向)である。
図225(A)は、実施例136における図222(A)と同様にして、実施例138の正面斜視図を示す。外観上異なるところはないので説明は省略する。図225(B)は、図225(A)のB1−B1断面図に相当する。図225(B)に明らかなように、実施例139では、右耳用軟骨伝導部46024および左耳用軟骨伝導部46026を連結する連結部46027の下部の一部が上部フレーム8227に設けられた開口部から露出する露出部46027cとなっている。そして、圧電バイモルフ素子46025は、横向きに露出部46027cの下面に全体的に接着支持されている。その振動方向は、矢印46025aで示すように上部フレーム8227に対し垂直方向(携帯電話46001における上下方向)である。これによって、実施例138と同様にして、実施例139においても、圧電バイモルフ素子46025全体の振動に応じて露出部46027cが振動し、この振動が連結部46027を介して軟骨伝導部46024、46026にそれぞれ伝達される。
図225(C)は、図225(A)の上面図であり、実施例136と同様にして、右耳用軟骨伝導部46024、左耳用軟骨伝導部46026および連結部46027が弾性体により連続して一体的に成型されていることがわかる。また、内部にある露出部46027cおよびこれに横向きに裏側から全体的に貼り付けられた圧電バイモルフ素子46025を破線で示している。図225(A)および図225(B)に示すB2−B2断面図である図225(D)によっても、上部フレーム8227に設けられた開口部から露出する露出部46027cとこれに上向けに貼り付けられた圧電バイモルフ素子46025の様子がわかる。また、図225(B)および図225(D)から明らかなように、実施例139の構成は、圧電バイモルフ素子46025の振動方向が矢印46025aのように上部フレーム8227に対し垂直方向(耳軟骨に対しては携帯電話46001から突き上げるような方向)となるが、携帯電話46001内部に対しては最もスペースを取らない配置の一つであり、多くの部材が配置される携帯電話上部に軟骨伝導構造を導入するのに適している。
実施例139においても、圧電バイモルフ素子46025が露出部46027cに貼り付けられることによって連結部46027のみで支持され、これと一体成型された軟骨伝導部46024または46026から耳軟骨に振動が伝達されるので軟骨伝導の観点で効率が良い。また、実施例139においても、これまで説明した実施例と同様、正面板8201aや背面板8021bの振動による気導音の発生、および連結部45027および軟骨伝導部46024、46026自体からの気導音の発生がともに抑制される。さらには、弾性体による携帯電話46001落下時等における両角部の保護および圧電バイモルフ素子46025自体の緩衝保護の利点についても同様である。
図226は、本発明の実施の形態に係る実施例140に関する斜視図および断面図であり、携帯電話47001として構成される。実施例140も、図222の実施例136と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図226の実施例140が図222の実施例136と異なる第1点目は、実施例136では圧電バイモルフ素子13025が縦向きに片持ち支持されているのに対し、実施例140では、実施例139と同様の振動方向で圧電バイモルフ素子47025が横向きに連結部47027の裏側に全体接着されている点である。第2点目は、右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026を連結し圧電バイモルフ素子47025が全面接着されている連結部47027が上部フレーム8227の下側にあり、携帯電話47001の外観には現われていない点である。また、第3点目は、右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026の内側中央部分が上部フレーム8227の両角部にそれぞれ設けられた開口部を通り、携帯電話47001内部の連結部47027に接続して一体化されている点である。以下、このような構造について詳述する。
図226(A)は、実施例140の正面斜視図を示す。実施例136における図222(A)と比較すると、上記のように、右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026を連結する連結部47027が上部フレーム8227の下側にるので、携帯電話47001の外観には現われていない。
図226(B)は、図226(A)のB1−B1断面図に相当する。図226(B)に明らかなように、実施例140では、右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026は上部フレーム8227の一部が両角部の中央部分を割るようにそれぞれ設けられた開口部を通って携帯電話47001の内部で連結部47027と一体化されている。連結部47027は上部フレーム8227の裏側に接着される。そして、圧電バイモルフ素子47025は、横向きに連結部47027の下面に全体的に接着支持されている。その振動方向は実施例139と同様に上部フレーム8227に対し垂直方向(携帯電話46001における上下方向)である。これによって、圧電バイモルフ素子47025全体の振動が連結部47027に伝わり、この振動が軟骨伝導部46024、46026にそれぞれ伝達される。
図226(C)は、図226(A)の上面図であるが、上記のように、右耳用軟骨伝導部47024と左耳用軟骨伝導部47026を一体的に連結する連結部47027は外観には現われていない。また、内部にある連結部47027に全体的に貼り付けられた圧電バイモルフ素子47025を破線で示している。また、右耳用軟骨伝導部47024を携帯電話47001内部に導くために中央部分を割るように設けられている開口部以外の上部フレーム8227の角部8227a、8227b、および左耳用軟骨伝導部47026を携帯電話47001内部に導くために中央部分を割るように設けられている開口部以外の上部フレーム8227の角部8227c、8227dについても破線で示す。この部分の構造についてはさらに後述する。
図226(A)および図226(B)に示すB2−B2断面図である図226(D)によっても、上部フレーム8227の下側に貼り付けられた連結部47027およびこれに上向けに貼り付けられた圧電バイモルフ素子47025の様子がわかる。また、図226(B)および図226(D)から明らかなように、実施例140の構成は、実施例139と同様にして圧電バイモルフ素子47025の振動方向が上部フレーム8227に対し垂直方向となるが、携帯電話46001内部に対しては最もスペースを取らない配置の一つであり、多くの部材が配置される携帯電話上部に軟骨伝導構造を導入するのに適している。
図226(E)は、図226(B)に平行な別断面を右耳用軟骨伝導部47024付近について示した部分断面図である。この図226(E)の部分断面図は、図226(B)の断面図に現れている電源スイッチ8209を通すための開口部や右耳用軟骨伝導部47024を連結部47027に繋げるための開口部を避け、上部フレーム8227前方の端面が正面板8201aと接する近傍の断面を示している。図226(E)に明らかなように、右耳用軟骨伝導部47024を携帯電話47001内部に導くために中央部分を割るように設けられている開口部以外の部分では、上部フレーム8227の上辺部分と側面部分は角部8227bにおいて連続しており、右耳用軟骨伝導部47024はこのような上部フレーム8227の角部8227bを覆うように設けられている。上部フレーム8227後方の端面が背面板8201bと接する近傍の断面図も図226(E)と同様である。また、図226(E)は右耳用軟骨伝導部47024周辺の構造について説明しているが、左耳用軟骨伝導部47026周辺の構造も同様である。
以上のような実施例140においても、圧電バイモルフ素子47025が連結部47027に貼り付けられることによって連結部47027のみで支持され、これと一体成型された軟骨伝導部47024または47026から耳軟骨に振動が伝達されるので軟骨伝導の観点で効率が良い。また、実施例140においても、これまで説明した実施例と同様、正面板8201aや背面板8021b、さらには上部フレーム8227の振動による気導音の発生が抑制される。なお、連結部47027は上部フレーム8227の内側にあるため、気導音の発生に寄与することは少ない。なお、弾性体による携帯電話47001の落下時等における両角部の保護および圧電バイモルフ素子47025自体の緩衝保護の利点についてもこれまでに説明した実施例と同様である。
図227は、本発明の実施の形態に係る実施例141に関する斜視図および断面図であり、携帯電話48001として構成される。実施例141も、図222の実施例136と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図227の実施例140が図222の実施例136と異なる第1点目は、実施例136では軟骨伝導振動源として圧電バイモルフ素子13025が用いられているのに対し、実施例141では、図136の実施例88等と同様にして、軟骨伝導振動源として電磁型振動子48025が採用されている点である。第2点目は、第2点目は軟骨伝導部48024、48026が携帯電話48001の上辺両角部を覆うとともにこれに連続して連結部48027も携帯電話48001の上辺部を覆うよう配置されている点である。以下具体的に説明する。
図227(A)は、実施例141の正面斜視図を示す。実施例136における図222(A)と比較すると、上記のように、実施例141では軟骨伝導部48024、48026およびこれらを連結する連結部48027が全体として携帯電話48001の上辺部を覆うよう構成される。
図227(B)は、図227(A)のB1−B1断面図に相当する。図227(A)に明らかなように、実施例136と同様にして、実施例141では、右耳用軟骨伝導部48024および左耳用軟骨伝導部48026を連結する連結部48027の下部には上部フレーム8227に設けられた開口部を貫いて携帯電話48001内部に延びる延長部48027cが設けられている。そして、この延長部48027cの中に電磁型振動子48025が埋め込まれて支持されている。これによって、電磁型振動子48025の振動が延長部48027cに伝わり、この振動が連結部48027を介して軟骨伝導部48024、48026にそれぞれ伝達される。実施例141の場合、連結部48027が携帯電話48001の上辺部を覆うよう幅広く形成されているので、振動の伝達経路が広くなっている。また、通常の携帯電話のように携帯電話48001の上辺部中央を耳軟骨に当てた場合でも、連結部48027の振動が耳軟骨に伝わるので軟骨伝導を得ることができる。このように、実施例141では、連結部48027も軟骨伝導部として作用することが可能である。
図227(C)は、図227(A)の上面図であるが、上記のように、一体的に形成された右耳用軟骨伝導部48024、左耳用軟骨伝導部48026および連結部48027が全体として携帯電話48001の上辺部を覆っていることがわかる。また、内部にある延長部48027cおよびこれに埋め込まれた電磁型振動子48025をそれぞれ破線で示している。図227(A)および図227(B)に示すB2−B2断面図である図227(D)によっても、連結部48027と延長部48027cが一体となっていることがわかる。
実施例141においても、軟骨伝導振動源としての電磁型振動子48025が延長部48027cに埋め込まれることにより連結部48027のみで支持され、これと一体成型された軟骨伝導部48024または48026から耳軟骨に振動が伝達されるので軟骨伝導の観点で効率が良い。また、実施例141においても、これまで説明した実施例と同様、正面板8201aや背面板8021bの振動による気導音の発生、および連結部48027および軟骨伝導部48024、48026自体からの気導音の発生がともに抑制される。さらには、弾性体による携帯電話48001の落下時等における両角部の保護および軟骨伝導振動源としての電磁型振動子48025自体の緩衝保護の利点についても同様の利点がある。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。たとえば実施例136から実施例141に示した個々の特徴は必ずしも個々の実施例固有のものではなく、個々の特徴を相互に組み合わせて実施することが可能である。例えば、実施例141における一体的に形成された右耳用軟骨伝導部48024、左耳用軟骨伝導部48026および連結部48027で携帯電話48001の上辺部全体を覆う構成を実施例136に採用してもよい。逆に、実施例138におけるような右耳用軟骨伝導部45024、左耳用軟骨伝導部45026および連結部45027のような構成を実施例141に採用してもよい。
また、図227の実施例141におけるように軟骨伝導振動源をこの連結部48027に埋め込んで支持する場合、軟骨伝導振動源の厚さが連結部48027の厚さに比べ充分薄いときには、上部フレーム8227に開口を設けず上部フレーム8227の外側(上側)で軟骨伝導振動源を支持してもよい。このような構造でも、軟骨伝導振動源が連結部48027に埋め込まれている結果、軟骨伝導振動源を携帯電話48001の筐体上辺部(上側フレーム8227に接触しないよう支持することができる。なお、軟骨伝導振動源を連結部に埋め込む場合、軟骨伝導振動源としては、実施例141のような電磁型振動子を採用する場合に限らず、他の実施例のように圧電バイモルフ素子を採用してもよい。逆に実施例136から実施例140において軟骨伝導振動源として実施例141のような電磁型振動子を採用することも可能である。
図228は、本発明の実施の形態に係る実施例142に関する斜視図および断面図であり、携帯電話49001として構成される。実施例142は、図226の実施例140と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図228の実施例142が図226の実施例140と異なるのは、圧電バイモルフ素子47025が振動伝達性の良好な硬質振動伝導板49027を介して連結部47027に支持されている点である。以下、これについて詳述する。
図228(A)の正面斜視図に示すように実施例142の外観は図226(A)に示す実施例140の外観と同じであり、説明は省略する。図228(B)は、図228(A)のB1−B1断面図に相当する。図228(B)に明らかなように、実施例142では、連結部47027よりも振動伝達性の良好な硬質振動伝導板49027が弾性体の連結部47027の裏側に貼り付けられており、この硬質振動伝導板49027の裏側に圧電バイモルフ素子47025が貼り付け支持されている。図228(B)からわかるように、硬質振動伝導板49027の両端は、延長部847027の裏側に沿って延長され、右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026にそれぞれ挿入されている。なお、図228(B)では、圧電バイモルフ素子47025の部分から左耳用軟骨伝導部47026に向かう途中で硬質振動伝導板49027が途切れているように見えるが、これは外部イヤホンジャック8246に接触しないよう硬質振動伝導板49027に設けられた穴の部分が断面となっているためであり、穴以外の部分では、硬質振動伝導板49027は圧電バイモルフ素子47025の部分から左耳用軟骨伝導部47026に向かって連続している。同様にして、圧電バイモルフ素子47025の部分から左耳用軟骨伝導部47024に向かう途中も電源スイッチ8209のところで途切れているわけではなく、電源スイッチ8209を避けるために硬質振動伝導板49027に設けられた穴の部分以外では、硬質振動伝導板49027は圧電バイモルフ素子47025の部分から右耳用軟骨伝導部47024に向かって連続している。
以上の構成によって圧電バイモルフ素子47025の振動は、連結部47027だけでなく硬質振動伝導板49027を通じても右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026にそれぞれ伝達される。なお、以下に詳述するように、硬質振動伝導板49027は、弾性体の延長部47027、右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026にのみ接触していて、正面板8201a、背面板8021bおよび上部フレーム8227に直接振動を伝えることはない。また、例えば携帯電話が落下して正面板8201a、背面板8021b、上部フレーム8227に外部から衝撃が加わったとしても、硬質振動伝導板49027およびこれに支持される圧電バイモルフ素子47025との間には弾性体の延長部47027、右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026が介在しているため衝撃が緩和され、圧電バイモルフ素子47025の破損が防止される。
図228(C)は、図228(A)の上面図である。破線で示すように硬質振動伝導板49027は正面板8201a、背面板8021bに接触することなく右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026にそれぞれ挿入されている。また、硬質振動伝導板49027は穴49027aにより外部イヤホンジャック8246にも接触していない。また、硬質振動伝導板49027は四角い穴により電源スイッチ8209にも接触していない。これによって、破線で示された圧電バイモルフ素子47025から硬質振動伝導板49027に伝えられた振動が直接伝達されるのは、連結部47027、右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026のみとなる。
図228(A)および図228(B)に示すB2−B2断面図である図228(D)によっても、硬質振動伝導板49027は正面板8201a、背面板8021bに接触していないことがわかる。また、図228(E)は、図228(B)に平行な別断面を右耳用軟骨伝導部47024付近であって上部フレーム8227前方の端面が正面板8201aと接する近傍の断面を示している。図228(E)からも、正面板8201aと接する近傍には硬質振動伝導板49027の断面が現れておらず、硬質振動伝導板49027が正面板8201aに接していないことがわかる。
ところで軟骨伝導における外耳道内音圧の周波数特性の精密測定によれば、軟骨伝導部が耳軟骨に接触したとき、条件によっては1.5kHz近辺において音圧が小さい谷間領域が生じる現象が認められた。この谷間領域は、特に、軟骨伝導部から発して外耳道入口から侵入する直接気導音成分が大きいときに生じる。
図228における実施例142は、上記のように硬質振動伝導板49027により圧電バイモルフ素子47025の振動を右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026に伝えるとともにこの硬質振動伝導板49027が正面板8201aに接しないようにすることで正面板8201aからの気導音の発生を抑えている。従って、携帯電話49001の角部である右耳用軟骨伝導部47024または左耳用軟骨伝導部47026を外耳道入口近辺に当てたとき、角部の上面および側面をなす右耳用軟骨伝導部47024または左耳用軟骨伝導部47026から耳軟骨への軟骨伝導が生じて軟骨気導音成分が大きくなるとともに、角部の前面をなして外耳道入口に面している正面板8201aからの直接気導音成分は小さくなる。このように携帯電話角部において上面および側面から耳軟骨に振動を伝えるとともに角部の前面からの直接気導音を抑制する構成は、上記のような1.5kHz近辺の音圧の谷間領域が生じるのを防止するのに有益である。
図229は、本発明の実施の形態に係る実施例143に関する斜視図および断面図であり、携帯電話50001として構成される。実施例143は、図228の実施例142と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図229の実施例143が図228の実施例142と異なるのは、連結部47027がなく、圧電バイモルフ素子50025を支持している振動伝達性の良好な硬質振動伝導板49027が右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026のみによって支持されている点である。以下、これについて説明する。
図229(A)の外観図は、実施例142の外観を示す図228(A)と同じである。そして、図229(A)のB1−B1断面図である図229(B)に明らかなように、実施例143では、連結部47027がなく、右耳用軟骨伝導部47024と左耳用軟骨伝導部47026はそれぞれ角部に分離して設けられている。圧電バイモルフ素子50025を支持している硬質振動伝導板49027は上部フレーム8227から浮いていて、右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026のみによって支持されている。実施例142と同様にして、実施例143の硬質振動伝導板49027は、弾性体の右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026よりも振動伝達性が良好な材質で構成される。実施例143の構成において硬質振動伝導板49027から正面板8201a、背面板8021bおよび上部フレーム8227に直接振動を伝割らないことは実施例142と同様である。また、正面板8201a、背面板8021b、上部フレーム8227に外部から衝撃が加わったときに弾性体の右耳用軟骨伝導部47024と左耳用軟骨伝導部47026により衝撃が緩和されて圧電バイモルフ素子47025の破損が防止されることも実施例142と同じである。
図229(A)の上面図である図229(C)からわかるように、実施例143でも硬質振動伝導板49027は正面板8201a、背面板8021b、および外部イヤホンジャック8246に接触することなく右耳用軟骨伝導部47024および左耳用軟骨伝導部47026に両側から支持されている。なお、図229(C)からわかるように、実施例143では、硬質振動伝導板49027が上部フレーム8227から浮いていることから振動のバランスを取るため、圧電バイモルフ素子50025は、上面中央部付近に配置されている。
図229(A)および図229(B)に示すB2−B2断面図である図229(D)によっても、硬質振動伝導板49027が正面板8201a、背面板8021bに接触していないこと、および上部フレーム8227から浮いていることがわかる。実施例142の図228(E)と同様の断面図である図229(E)からも、硬質振動伝導板49027が正面板8201aに接していないことがわかる。
図230は、本発明の実施の形態に係る実施例144の模式図であり、ステレオイヤホンとして構成される。実施例144に関する図230(A)〜(C)は、それぞれ実施例131に関する図209(A)〜(C)と共通するところが多いので、共通する部分には同一番号を付し、必要のないかぎり説明を省略する。但し、実施例144は、実施例131のような振動板を有するものではなく、基本構成はむしろ図182の実施例109のように、弾性体の軟骨伝導部51024に貫通孔51024aを設けた単純な構成である。
図230の実施例144の特徴は、図230(C)の断面図に明らかなように、イヤホン装着時に外耳道入口に面する面(図230(A)の正面側)および貫通孔51024aの内面に硬質材料層51027を貼り付けた点である。なお、図230では強調のため硬質材料層51027を極端に厚く図示しているが実際は比較的薄く設けられる層である。この硬質材料層51027は、弾性体の軟骨伝導部51024の正面および貫通孔51024aの内面の音響インピーダンスを軟骨伝導部51024の円筒状の側周面と異ならしめるとともにこれら面の振動を抑制する。この結果、イヤホンを耳に装着したとき、軟骨伝導部51024の円筒状の側周面と外耳道入口周囲の軟骨との接触により充分な軟骨気導音成分を得ることができるとともに、軟骨伝導部51024の正面および貫通孔51024aの内面からの直接気導音成分を抑制する。この構成は、上記に述べた1.5kHz近辺の音圧の谷間領域が生じるのを防止する上で有益である。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。たとえば図228に示した実施例142実施例において、図229に示した実施例143と同様にして、圧電バイモルフ素子47025を上面中央部付近に配置してもよい。
また、図230に示した実施例144は、イヤホン装着時に外耳道入口に面する面および貫通孔の内面に硬質材料層を貼り付けているが、硬質材料層の貼り付けはいずれか一方のみでもよい。また、軟骨伝導部の正面または貫通孔の内面からの直接気導音成分抑制手段は硬質材料層の貼り付けに限らず、他の抑制手段によってもよい。例えば、正面についてはその構造を耳軟骨に接触する円筒状の側周面と異ならせる(例えば、耳軟骨に接触する部分を平滑面、接触しない部分を粗面とする、または正面部分を隙間を隔てた二重構造とし、内部が振動しても表面は振動しないようにする)等の手段が可能である。また、貫通穴内面については外耳道の外側を向いた指向性を持たせる等の手段が可能である。
図231は、本発明の実施の形態に係る実施例145に関する斜視図、断面図、上面図および側面図であり、携帯電話52001として構成される。実施例145は、図178の実施例107と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図231の実施例145が図178の実施例107と異なるのは、上部フレーム8227の取り付け構造である。具体的には、上部フレーム8227は、右部フレーム8201cおよび左部フレーム8201eとの間だけでなく、正面板8201aおよび背面版8201bとの間にも振動吸収材となる弾性体52065が介在し、上部フレーム8227の振動が他の筐体部分に伝わりにくいようになっている点である。また、振動源となる圧電バイモルフ素子52025は、例えば図229の実施例143と同様小型のものであって、上部フレーム8227の内側面に直接貼り付けられている。
図231(A)の斜視図は、上記の構造を示しており、弾性体52065は、上部フレーム8227の周囲に設けられていて、右部フレーム8201c、左部フレーム8201e、正面板8201aおよび背面版8201bとの間に介在することで上部フレーム8227の振動がこれらに伝達しにくいようになっている。
図231(A)のB1−B1断面図である図231(B)に明らかなように、小型の圧電バイモルフ素子52025は、上部フレーム8227の内側面に直接貼り付けられている。上面図である図231(C)では、上部フレーム8227と正面板8201aおよび背面版8201bとの間に弾性体52065が介在していることがわかる。また、図231(A)または図231(B)のB2−B2断面図である図231(D)においても、上部フレーム8227と正面板8201aおよび背面版8201bとの間に弾性体52065が介在していて、これらのが直接接触していないことがわかる。さらに、図231(A)の右側面図である図231(E)では、上部フレーム8227と右部フレーム8201c、正面板8201aおよび背面版8201bとの間に弾性体52065が介在し、これらのが直接接触していないことがわかる。
図232は、本発明の実施の形態に係る実施例146に関する斜視図および上面図であり、携帯電話53001として構成される。実施例146は、図228の実施例142と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。また、断面図もほぼ共通なので図示と説明を省略する。図232の実施例146が図228の実施例142と異なるのは、図74の実施例49で示したような、気導音発生切換のための手段を有する点である。しかし、その具体的な構成は以下に説明するようrに大きく異なる。
図232(A)の斜視図に示すように、上部フレーム8227には、スロット53027aが設けられており、このスロット53027aに沿って気導発生切換操作部53027bがスライド可能となっている。因みに、図232(A)の状態は、気導音非発生状態であり、この状態では、実施例146は図228の実施例142と同様に機能する。これに対し、スロット53027aに沿って気導音発生切換操作部53027bが左側にスライドさせられると気導音発生状態となり、正面版5201a上部からは携帯電話の所定の基準を満たす気導音が発生する。なお、気導音発生切換操作部53027bは不図示のクリック機構によりそれぞれの位置で安定して保持されるようになっている。
図232(B)は、気導音非発生状態におけるの携帯電話53001の上面図である。図232(B)に明らかなように、硬質振動伝導板49027の正面版5201a側には切欠き部49027aが設けられており、この切欠き部49027aに対応する位置に可動楔53027が設けられている。可動楔53027は、図232(A)に示した気導音発生切換操作部53027bと一体にスライド可能となっており、図232(B)の状態では、可動楔53027は切欠き部49027aと離れている。これによって、上部フレーム8227の振動が正面版5201aに伝わることはない。
図232(C)は、気導音発生状態におけるの携帯電話53001の上面図である。図232(C)に明らかなように、可動楔53027は、図232(A)に示した気導音発生切換操作部53027bと一体に左側に移動し、切欠き部49027aと上部フレーム8227間に食い込む形となる。これによって、上部フレーム8227の振動が正面版5201aに伝わり、正面版5201a全体(特に耳に当てる上部)が振動して所定の気導音が発生するようになる。
なお、図232(C)の状態でも、角を耳軟骨に当てれば軟骨伝導による通話が可能である。このときは、正面版5201aの角の部分の振動による直接気導音も耳の穴に入るので、軟骨気導音に直接気導音による高周波成分が付加された状態の音になる。従って、実施例146の切換え構成は、後述する言語による周波数特性切換えにも応用することが可能である。
以上のようにして、図232の実施例146は、図228の実施例142と同様にして軟骨伝導による通話が可能であるとともに、必要に応じ、従来通りの気導音による通話も可能であり、通常の携帯電話の規格を満たすことができる構成となっている。また、使用者の好みに応じ、日常的には図232(C)の状態で通常の携帯電話として使用し、外界の騒音が大きくて通常状態では音が聞き取りにくいとき、または、逆に環境が静粛で気導による音漏れのために周囲に迷惑をかけたりプライバシーが漏れたりすることを防止したいとき、図232(B)の状態とすることができる。なお、図232(B)および(C)に示すように、圧電バイモルフ素子53025は、気導音発生の効率を高めるため、正面版8201a寄りに配置されている。
図233は、本発明の実施の形態に係る実施例147に関するブロック図であり携帯電話として構成される。実施例147のブロック図は、図122に示す実施例82の軟骨伝導振動源装置のブロック図と共通する部分が多いので、一部その構成を流用し、同様の構成には同じ番号を付して説明を省略する。図233の実施例の特徴は、携帯電話の通話に利用する軟骨伝導において言語の違いによる切換えを行う手段を設けた点である。
例えば、日本語と英語では、言語における母音と子音の寄与割合が異なり、母音の寄与が大きい日本語では比較的低周波数帯に情報が多いのに対し、子音の寄与が大きい英語では比較的高周波数帯に情報が多いとされている。中国語も同様に比較的高周波数帯に情報が多いとされている。
これに対応するため、実施例147では、圧電バイモルフ素子7013のためのドライブ回路54003にデジタル音響処理回路54038を設け、言語の違いに応じた周波数帯にて軟骨伝導のために圧電バイモルフ素子7013を振動させるようにしている。具体的には、デジタル音響処理回路54038に日本語イコライザ54037a、標準イコライザ54037bおよび英語イコライザ54037c、を設け、これらをアプリケーションプロセッサ54039により制御される切換部54038dによって適宜切換えてDA変換回路7138cに入力する。ところで、日本語イコライザ54037aおよび英語イコライザ54037cにおける「日本語」および「英語」はあくまで代表としてイコライザを命名しているものであって、例えば英語イコライザ54037cは比較的高周波数帯に情報が多いとされる中国語などにも適用できる。標準イコライザ54037bはこれらの中間的なものである。なお、軟骨伝導は比較的低周波数が豊かなので、日本語イコライザ54037aでは、音量を標準よりやや落とすとともに高周波域を若干カットし、英語イコライザ54037cでは、音量を標準より上げることで高周波数帯を増強させるとともに低周波域を減衰させるようにする。
アプリケーションプロセッサ54039は、通常の携帯電話機能の制御を行う他、種々の条件に基づいて切換部54038dの制御を行う。具体的には、手動操作部54009によるイコライザ切換操作に基づいて切換部54038dに切換制御信号を出力する。手動操作部54009による操作は、他のすべての条件による切換に優先するので、後述する自動切換が不適当であるとユーザが判断すれば手動にてこれを変更できる。
手動操作部54009は、さらに表示部54005における表示言語を手動にて切換えることができる。アプリケーションプロセッサ54039は、このような表示言語切換操作に基づき、法事言語切換え表示ドライバ54041を制御して表示部54005における言語表示を切換える。アプリケーションプロセッサ54039は、この表示部54005における表示言語切換えに連動して切換部54038dに切換制御信号を出力する。これとは逆に、アプリケーションプロセッサ54039は、イコライザ切換操作が手動で行われたときこれに連動して表示言語切換えを行うことができる。この連動を行うか否かは予め設定しておくことができる。
アプリケーションプロセッサ54039はまた、GPS部54049が検知する言語圏の変化に基づいて、切換部54038dに切換制御信号を出力する。アプリケーションプロセッサ54039はまた、電話機能部54045からの着信音声を分析する着信言語推定アナライザ50039aの推定結果に基づいて切換部54038dに切換制御信号を出力する。着信言語推定アナライザ50039aは、例えば、着信音声に含まれる特定子音や特定母音の有無、特定単語の有無などを予め格納されている基準音声要素パターンとのマッチングにより判断する他、着信音声の抑揚やリズムの分析を行い、これらの一つまたは種々の組み合わせにより着信音声の言語の推定とその確からしさを判定し、可能な場合は言語の推定を確定する。なお、着信言語推定アナライザ50039aは必ずしも一つの言語を推定するものではなく、あくまで日本語イコライザ54037a、標準イコライザ54037bおよび英語イコライザ54037cのいずれを採用するか決定するものである。推定の確からしさが低く着信音声の言語を確定できない場合は現在設定されているイコライザからの変更を行わない。または、このような場合は標準イコライザ54037bを採用するようにしてもよい。
図234は、図233の実施例147におけるアプリケーションプロセッサ54039の動作のフローチャートである。なお、図234のフローは主に言語切換の制御について説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示しており、一般的な携帯電話の機能等、図234のフローに表記していないアプリケーションプロセッサ54039の動作も存在する。図234のフローは、携帯電話の主電源のオンでスタートし、ステップS942で言語イコライザおよび表示言語を初期設定にする。この初期設定はユーザにて予め選択しておくことができ、例えば日本において日本人のユーザが使用する場合は日本語イコライザが選択されるとともに表示部54005の表示は日本語表示となる。
次いで、ステップS944でイコライザ切換えの手動操作が行われたか否かチェックする。操作がなければステップS946に進み、自動的に言語イコライザを変更するモードが予め設定されているか否かチェックする。自動変更のモードが設定されていればステップS948に進み、表示言語を切換える手動操作が行われたか否かチェックする。表示言語切換手動操作がなければステップS950に進み、GPS部からの検知信号に基づき携帯電話の移動の結果、現在設定されている言語圏から別の言語圏への地理上の変化があったか否かチェックする。地理上の言語圏の変化がなかったときはステップS952に移行する。
ステップS952では、着信言語推定音声アナライザ50039aによる着信言語推定処理が行われる。その内容は、図233のブロック図の説明で述べた通りである。着信言語推定処理が終了するとステップS954で言語の推定が確定したか否かをチェックする。そして推定が確定していればステップS956に進み、現在設定されている言語から推定言語に変化が生じたか否かチェックする。そして推定言語の変化が認められた場合はステップS958に移行する。一方、ステップS950でGPS言語圏の変化が検知されたときもステップS958に移行する。さらに、ステップS948で表示言語切換手動操作が検知された場合はまずステップS960で手動操作に従った表示言語への切換えを実行し、その上でステップS958に移行する。
ステップS958では、手動操作部54009によるイコライザ切換手動操作から所定時間(例えば30分)経過したか否かチェックする。所定時間の経過があればステップS962に移行して言語イコライザ切換を実行してステップS964に移行する。なお、ステップS962の機能は、言語が変わっても適用する言語イコライザ同じである場合に切換を行わない場合を含む。
ステップS964では表示言語の切換えが行われる。イコライザの場合と異なり、表示言語については言語が変われば表示言語を切換える。ここで、自動言語イコライザ変更モードにおいて言語イコライザの切換えに連動して必ず表示言語を切換えている理由は、ユーザに言語イコライザが自動変更されたことを通知し、ユーザがこれを不適と考えれば手動で訂正することを促すためである。上記のように、言語の変更が生じたとき、表示言語はその言語に切換えられるが、イコライザについては周波数帯が似通った言語間で変更があっても切換えられることはない。例えば、英語から中国語に切り換ったとき、表示言語の切換えは行われるがイコライザの切換えは行われず、共通に英語イコライザが用いられる。ステップS964の表示言語の切換えが行われるとステップS966に移行する。
一方、ステップS954で言語推定が確定しないとき、またはステップS956で推定した言語が現在設定中のものから変化していないとき、またはステップS958で手動操作部54009によるイコライザ切換手動操作から所定時間が経過した経過していないときはいずれもステップS966に移行する。ここでステップS958の意義について補足する。仮にステップS958がないと、せっかく手動にてユーザの望むイコライザの訂正を行っても、後述するフローの繰り返しにおいてフローがステップS960またはステップS950またはステップS956を経由すると、その自動変更機能により、イコライザの設定が訂正前の状態に自動的に戻ってしまう。そこで、上記のように、ステップS958を設けることにより、ステップS960またはステップS950またはステップS956の経由によりイコライザの自動変更が行われようとしても所定時間経過までは言語イコライザの切換は行われずに直接ステップS966に移行することになる。このようにしてステップS944で一度イコライザの手動切換を行うと、その後所定時間の間は手動切換が維持される。
また、ステップS944でイコライザ切換手動操作(実際には言語によってどのイコライザを使用すべきか知らないユーザの便を考慮し、操作としては言語切換の操作となっている。従って、ユーザが切換え操作をしても共通の言語イコライザが継続して使用される場合がある)があったときは、ステップS968に進み、言語イコライザ切換を実行してステップS970に移行する。ステップS968の動作は、上記のように言語切換え操作があっても実際は同じ言語イコライザを継続して使用する場合を含む。
ステップS970では、イコライザ切換えのための言語切換に表示切換を連動させるための連動モードが設定されているかどうかチェックする。そして連動モードへの設定が検知されたときはステップS972に進み、表示言語を切換えてステップS966に移行する。一方、ステップS970で連動モードへの設定が検知されない場合は、直接ステップS966に移行する。これは、例えば日本人が英語着信を受けたとき、イコライザ切換は適切であるが必ずしも表示まで英語に変える必要はないからである。また、自動切換の場合と異なり、手動切換の場合はユーザ自身が切換を知っているので表示言語を切換えてイコライザの変更を通知する必要もないからである。
なお、ステップS946で自動的に言語イコライザを変更するモードが予め設定されていることが検知されなければフローは直接ステップS966に移行する。
ステップS966では、携帯電話の主電源がオフされたか否かチェックする。そして主電源のオフが検知されない場合は、フローはステップS944に戻り、以下、主電源がオフされない限りステップS944から972を繰り返し、言語の切換えに関する種々の状況変化に対応する。一方ステップS966で主電源のオフが検知されるとフローを終了する。
図235は、本発明の実施の形態に係る実施例148に関する斜視図および上面図であり、携帯電話54001として構成される。実施例148は、図232の実施例146と共通するところが多いので、対応する部分には同一番号を付して必要のない限り説明を省略する。図235の実施例148は図232の実施例146とは異な切換え構成を有する。またその切換構成は、図233および図234の実施例147で示したような軟骨伝導における言語の違いによる切換えに適したものである。但し、その切換は実施例147のようにイコライザによって回路的に行うのではなくメカ的に行われる。
図235(A)の斜視図に示すように、実施例148における切換は内部機構により行われるのでその外観は図229の実施例143と実質的に変わらない。図232(B)および図232(C)は、携帯電話54001の上面図であって、可撓性の振動伝導板54027と弾性体の軟骨伝導部47024および47026との結合状態が互いに異なる。
具体的に説明すると、図235(B)は、振動伝導板54027と軟骨伝導部47024および47026との結合部分が比較的少ない状態を示している。つまり、可撓性の振動伝導板54027の両端には、その弾力を利用して出入りできる可動結合部54027aおよび54027aがそれぞれ内側に向けて退避した状態で軟骨伝導部47024および47026に設けられた穴47024aおよび47026aにそれぞれ陥入している。このため、可動結合部54027aおよび54027aの陥入する深さは比較的浅い。換言すると耳軟骨に接触する軟骨伝導部47024および47026の表面から比較的遠いところで振動伝導板54027の振動が伝えられ、それだけ振動が伝わる弾性体の軟骨伝導部の厚みが大きくなっている。なお、軟骨伝導部47024および47026に対してする動きを自由とするため、振動伝導板54027における可動結合部54027aおよび54027aの部分は図228に示す連結部47027に接着されておらず、これに対してスライドすることができるようになっている。
これに対し、図235(C)は、振動伝導板54027と軟骨伝導部47024および47026との結合部分が比較的多い状態を示している。つまり、図235(C)の場合、可動結合部54027aおよび54027aがそれぞれ外側に向けて突出した状態で軟骨伝導部47024および47026に設けられた穴47024aおよび47026aにそれぞれ陥入している。このため、可動結合部54027aおよび54027aの陥入する深さは比較的深い。換言すると耳軟骨に接触する軟骨伝導部47024および47026の表面から比較的近いところで振動伝導板54027の振動が伝えられ、それだけ振動が伝わる弾性体の軟骨伝導部の厚みが小さくなっている。
以上のようにして、実施例148では、振動伝導板54027の振動を耳軟骨に伝える弾性体の軟骨伝導部の長さをメカ的に変えることにより、図235(B)と図235(C)の間で、軟骨伝導部の表面に達する振動の周波数特性を変化させるものであり、言語に応じて軟骨伝度の周波数特性をメカ的に変化させるのに有用である。
なお、前述のように、図232に示す実施例146の切換え機構も、正面版を振動させるか否かで耳の穴に入る気導音成分の大きさを変えることができるので、言語に応じて軟骨伝度の周波数特性をメカ的に変化させるのに有用である。
以上に説明した本発明の特徴の実施は上記の実施例における実施形態に限るものではなく、その利点を享受できる限り他の実施形態によっても実施可能である。たとえば図232に示した実施例146は、図228の実施例142を基礎として説明しているが、図229の実施例143を基礎として構成してもよい。
また、図233から図235に示した実施例147および148は、言語に応じて周波数特性が変更可能な一つの携帯電話として構成されているが、異なった言語に対応した周波数特性の複数種類の携帯電話をそれぞれ提供することで個々の携帯電話では周波数特性を変更しない構成も可能である。
本発明は、携帯電話に適用することができる。
8201a 正面壁
8201b 背面壁
8224 一部側面に連続する上面壁
8201c、8201e 側面壁
47027、2065 振動吸収材
7013、47025、52025、53025 軟骨伝導振動源
49027 振動伝導体
53027 切換部
47027 連結部
54038a〜54038d、54027a、54027b 周波数特性変更手段
54005 表示部
54049 位置検知部
50039a 着信音声分析部

Claims (18)

  1. 正面壁と、背面壁と、一部側面に連続する上面壁と、側面壁とを有し、前記上面壁と前記正面壁、前記背面壁および前記側面壁との間に振動吸収材を設けるとともに、前記上面壁の内側に軟骨伝導振動源を設け、前記上面壁における一部側面に連続する両角部を軟骨伝導部とすることを特徴とする携帯電話。
  2. 前記正面壁、前記背面壁、前記上面壁及び前記側面壁は硬質材料からなることを特徴とする請求項1記載の携帯電話。
  3. 前記軟骨伝導振動源は圧電バイモルフ素子であることを特徴とする請求項1または2記載の携帯電話。
  4. 前記軟骨伝導振動源は前記上面の内側に貼り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の携帯電話。
  5. 正面壁と、携帯電話の上部両角にそれぞれ配置される一対の軟骨伝導部と、前記一対の軟骨伝導部に振動を伝える振動伝導体と前記振動伝導体に支持される軟骨伝導振動源と、前記振動伝導体を前記正面壁に接触しないよう支持する振動吸収材と、前記振動伝導体の振動を前記正面壁に伝達するか否かを切換える切換部とを有することを特徴とする携帯電話。
  6. 前記軟骨伝導部は、耳軟骨と近似する音響インピーダンスを有することを特徴とする請求項5記載の携帯電話。
  7. 前記切換部は携帯電話外部から操作可能であることを特徴とする請求項5または6記載の携帯電話。
  8. 前記一対の前記軟骨伝導部を連結する弾性体より成る連結部を有し、前記振動伝導体は前記連結部にも支持されることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の携帯電話。
  9. 前記振動伝導体は携帯電話の筐体上辺部から浮いていることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の携帯電話。
  10. 軟骨伝導部を有し、前記軟骨伝導部に伝達する音声信号の周波数特性を音声信号の言語に基づいて決定することを特徴とする携帯電話。
  11. 音声信号の周波数特性を電気回路によって変更することを特徴とする請求項10記載の携帯電話。
  12. 音声信号の周波数特性をメカ的に変更することを特徴とする請求項10記載の携帯電話。
  13. 音声信号の周波数特性の変更を手動操作および自動手段により行うことが可能であるとともに、手動操作による変更を自動手段による変更よりも優先することを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の携帯電話。
  14. 手動操作による変更が行われてから所定時間は自動手段による変更を無効とすることを特徴とする請求項13記載の携帯電話。
  15. 表示部を有し、言語に基づいて表示部の表示言語を切換えるとともに、周波数特性の近似する言語においては表示言語が切換えられても前記軟骨伝導部に伝達する音声信号の周波数特性は変化させないことを特徴とする請求項10から14のいずれかに記載の携帯電話。
  16. 表示部を有し、表示部の表示言語の切換えに基づいて前記軟骨伝導部に伝達する音声信号の周波数特性を自動的に変化させることを特徴とする請求項10から14のいずれかに記載の携帯電話。
  17. 位置検知部を有し、検知される位置に基づいて前記軟骨伝導部に伝達する音声信号の周波数特性を自動的に変化させることを特徴とする請求項10から16のいずれかに記載の携帯電話。
  18. 着信音声分析部を有し、着信音声分析部により推定される言語に基づいて前記軟骨伝導部に伝達する音声信号の周波数特性を自動的に変化させることを特徴とする請求項10から17のいずれかに記載の携帯電話。
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