JP6029586B2 - 血球凝集素ポリペプチド、ならびにそれに関連する試薬および方法 - Google Patents

血球凝集素ポリペプチド、ならびにそれに関連する試薬および方法 Download PDF

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Description

関連出願の引用
本出願は、1010年10月4日に出願した米国仮出願第61/389,639号の利益を主張する。米国仮出願第61/389,639号の内容全体は、本明細書中に参考として援用される。
政府援助
本発明は、米国国立衛生研究所により与えられた助成第GM57073号および同第U54 GM62116号下の政府援助により行った。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
背景
インフルエンザは、大流行、流行、再流行、および大発生の長い歴史を有する。H5N1株を含めたトリインフルエンザは、高度に接触伝染性であり潜在的に致死性の病原体であるが、現在のところ、ヒトに感染する能力は限定されたものであるにとどまる。しかし、トリインフルエンザウイルスは歴史的に、その宿主特異性を変化させ、それが容易にヒトに感染することを可能とする、突然変異を累積させることが観察されている。実際、前世紀におけるインフルエンザの主要な大流行のうちの2つは、それらの遺伝子組成を変化させてヒトへの感染を可能とした、トリインフルエンザウイルスに由来していた。
概要
最新型のH5N1、H7N7、H9N2、およびH2N2のトリインフルエンザ株は、その宿主特異性を変化させ、それが容易にヒトに感染することを可能とする、突然変異を累積させうることが強く憂慮されている。したがって、これらの株におけるHAタンパク質が実際に、容易にヒトに感染しうる形態へと転換されうるかどうかを評価することが必要とされており、このような能力を伴うHA変異体(variant)を同定することもさらに必要とされている。異なる被験体、特に、ヒトの感染を可能とするかまたは妨害するHAタンパク質の特徴を一般に理解することもさらに必要とされている。また、インフルエンザウイルスにより引き起こされる疾患を有効に処置するか、またはその発症を遅延させるためのワクチンおよび治療戦略も必要とされている。
本発明は、特定のグリカン結合特徴を伴う結合剤を提供する。特に、本発明は、アンブレラ様トポロジーを有するシアル化グリカンに結合する結合剤を提供する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、高度な親和性および/または特異性でアンブレラトポロジーグリカンに結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、コーントポロジーグリカンと比較して、アンブレラトポロジーグリカンに対する結合優先性を示す。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、血球凝集素受容体におけるグリカンへの結合について血球凝集素と競合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、アンブレラトポロジーグリカンへの結合について血球凝集素と競合する。
本発明はまた、ワクチンを含め、提供される結合剤と関連する診断用試薬および診断法ならびに治療用試薬および治療法も提供する。
本発明は特に、グリコシル化を変化させたHAポリペプチド変異体(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16のHAポリペプチド変異体)が、基準のHAポリペプチドと比較してヒトHA受容体への結合の増大(または減少)を示しうることの認識を包含する。一部の実施形態では、基準のポリペプチドを、以下のうちのいずれかのHAポリペプチドとする:
本発明はまた特に、HAのループ領域を変化させたHAポリペプチド変異体(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16のHAポリペプチド変異体)が、基準のHAポリペプチド(例えば、配列番号43〜52のうちのいずれかのHAポリペプチドを含めた)と比較してヒトHA受容体への結合の増大(または減少)を示しうることの認識も包含する。
一部の実施形態では、本発明が、グリコシル化を変化させたH5 HAポリペプチド変異体が、基準のHAポリペプチドと比較してヒトHA受容体への結合の増大(または減少)を示しうることの認識を包含する。一部の実施形態では、基準のポリペプチドを、以下のうちのいずれかのHAポリペプチドとする:
本発明はまた特に、HAのループ領域を変化させたH5 HAポリペプチド変異体が、基準のHAポリペプチド(例えば、配列番号50、51、および53〜55のうちのいずれかのHAポリペプチドを含めた)と比較してヒトHA受容体への結合の増大(または減少)を示しうることの認識も包含する。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
基準のH5 HAポリペプチド配列のアミノ酸配列と、残基130、131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、228、およびこれらの組合せからなる群から選択される残基のうちの1またはそれより多くで異なるアミノ酸配列を有するH5 HAポリペプチドを含む結合剤
を含む医薬組成物。
(項目2)
前記結合剤が、アンブレラトポロジーグリカンとHAポリペプチドとの間でのグリカン−HAポリペプチド相互作用と競合する、項目1に記載の医薬組成物。
(項目3)
前記H5 HAポリペプチドの長さが19〜55アミノ酸の範囲にある、項目1に記載の医薬組成物。
(項目4)
前記H5 HAポリペプチドが、長さが少なくとも19アミノ酸である部分を包含するアミノ酸配列を有し、配列番号50、51、53、54、または55からなる群から選択されるH5 HAポリペプチドの対応する部分と少なくとも95%の配列全体の同一性を示す、項目1に記載の医薬組成物。
(項目5)
前記H5 HAポリペプチドが、アミノ酸1〜55に対応する領域にわたり、配列番号50、51、53、54、または55からなる群から選択される基準のH5 HAと少なくとも95%の同一性を示すアミノ酸配列を有するが、前記基準のHAのアミノ酸配列と、残基130、192、193、およびこれらの組合せからなる群から選択される1またはそれより多くの残基が異なる、項目1に記載の医薬組成物。
(項目6)
前記H5 HAポリペプチドが、アミノ酸1〜55に対応する領域にわたり、配列番号50、51、53、54、または55からなる群から選択される基準のH5 HAと少なくとも95%の同一性を示すアミノ酸配列を有するが、前記基準のHAのアミノ酸配列と、残基128〜137、およびこれらの組合せからなる群から選択される1またはそれより多くの残基が異なる、項目1に記載の医薬組成物。
(項目7)
前記H5 HAポリペプチドが、アミノ酸1〜55に対応する領域にわたり、配列番号50、51、53、54、または55からなる群から選択される基準のH5 HAと少なくとも95%の同一性を示すアミノ酸配列を有するが、前記基準のHAのアミノ酸配列と、アミノ酸残基130の欠失が存在することにより異なる、項目1に記載の医薬組成物。
(項目8)
前記H5 HAポリペプチドが、アミノ酸1〜55に対応する領域にわたり、配列番号50、51、53、54、または55からなる群から選択される基準のH5 HAと少なくとも95%の同一性を示すアミノ酸配列を有するが、前記基準のHAのアミノ酸配列と、残基160、226、228、およびこれらの組合せからなる群から選択される1またはそれより多くの残基が異なる、項目1に記載の医薬組成物。
(項目9)
前記H5 HAポリペプチドが、アミノ酸1〜55に対応する領域にわたり、配列番号50、51、53、54、または55からなる群から選択される基準のH5 HAと少なくとも95%の同一性を示すアミノ酸配列を有するが、前記基準のHAのアミノ酸配列と、残基158、226、228、およびこれらの組合せからなる群から選択される1またはそれより多くの残基が異なる、項目1に記載の医薬組成物。
(項目10)
前記アンブレラトポロジーグリカンが、長鎖α2−6シアル化グリカンを含む、項目2に記載の医薬組成物。
(項目11)
前記長鎖α2−6シアル化グリカンが、


からなる群から選択される、項目10に記載の医薬組成物。
(項目12)
前記結合剤が、アンブレラトポロジーグリカンに、同等の条件下でヒトの感染を媒介する野生型のHAについて観察される親和性の少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%の親和性で結合する、項目2に記載の医薬組成物。
(項目13)
前記結合剤が、アンブレラトポロジーグリカンに、コーントポロジーグリカンに結合するより強力に結合する、項目2に記載の医薬組成物。
(項目14)
前記結合剤が、アンブレラトポロジーグリカン対コーントポロジーグリカンについて少なくとも2の相対的親和性を示す、項目2に記載の医薬組成物。
(項目15)
前記結合剤が、アンブレラトポロジーグリカン対コーントポロジーグリカンについて少なくとも5の相対的親和性を示す、項目2に記載の医薬組成物。
(項目16)
前記結合剤が、アンブレラトポロジーグリカン対コーントポロジーグリカンについて少なくとも10の相対的親和性を示す、項目2に記載の医薬組成物。
(項目17)
前記相互作用が、前記HAポリペプチドと、ヒト上気道上皮細胞、気管支、気管、または肺深部において見出される受容体との間で生じる、項目2に記載の医薬組成物。
(項目18)
アンブレラトポロジーグリカンとHAポリペプチドとの間のグリカン−HAポリペプチド相互作用と競合する結合剤
を含むワクチン組成物であって、
前記ワクチンが、任意のH5インフルエンザウイルスに対して広く防御的であるワクチン組成物。
(項目19)
前記H5インフルエンザウイルスが、ヒト適応型H5ウイルスまたはトリ適応型H5ウイルスである、項目18に記載のワクチン組成物。
(項目20)
前記適応型H5ウイルスが、基準のH5 HAポリペプチド配列と、残基130、131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、228、およびこれらの組合せからなる群から選択される残基のうちの1またはそれより多くで異なるH5 HAポリペプチド配列を含む、項目19に記載のワクチン組成物。
(項目21)
被験体においてH5インフルエンザウイルスのアンブレラトポロジーを有する血球凝集素受容体への結合を阻害するか、アンブレラトポロジーを有する血球凝集素受容体に結合するインフルエンザウイルスによる被験体の感染の危険性を最小化するか、または被験体を処置する方法であって、
インフルエンザウイルスによる感染に対して感受性であるかまたはこれを患っている被験体を同定するステップと、
アンブレラトポロジーグリカンとHAポリペプチドとのグリカン−HAポリペプチド間相互作用と競合する結合剤を選択するステップと、
前記ウイルスによるアンブレラトポロジーグリカンを有する血球凝集素受容体への結合を低減するか、前記危険性を最小化するか、または前記患者を処置するように、有効量の前記結合剤を投与するステップと
を含む方法。
(項目22)
前記結合剤が、基準のH5 HAポリペプチド配列と、残基130、131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、228、およびこれらの組合せからなる群から選択される残基のうちの1またはそれより多くでH5 HAポリペプチド配列を含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記選択するステップが、結合剤を、前記結合剤がアンブレラトポロジーグリカンを有する血球凝集素受容体に結合することが可能であることに基づいて選択することを包含する、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記結合剤がLSBAである、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記結合剤がUTBAである、項目21に記載の方法。
(項目26)
前記結合剤がUTSBAである、項目21に記載の方法。
(項目27)
前記UTSBAを、前記ウイルスへの曝露前に前記被験体に投与する、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記UTSBAを、前記ウイルスへの曝露後に前記被験体に投与する、項目26に記載の方法。
(項目29)
投与する量が、前記被験体のアンブレラトポロジーグリカンを含有するHA受容体を飽和させるのに十分である、項目21に記載の方法。
(項目30)
前記UTSBAを、吸入により投与する、項目26に記載の方法。
(項目31)
前記UTSBAが、抗体、レクチン、アプタマー、および非HAポリペプチドからなる群から選択される、項目26に記載の方法。
(項目32)
前記UTSBAを、第2の治療剤の投与と組み合わせて投与する、項目26に記載の方法。
(項目33)
前記第2の治療剤が抗ウイルス剤である、項目32に記載の方法。
図1A〜1Cは、野生型のHAの例示的な配列アライメントを示す図である。配列は、NCBIによるインフルエンザウイルスの配列データベースから得た。

図1A〜1Cは、野生型のHAの例示的な配列アライメントを示す図である。配列は、NCBIによるインフルエンザウイルスの配列データベースから得た。

図1A〜1Cは、野生型のHAの例示的な配列アライメントを示す図である。配列は、NCBIによるインフルエンザウイルスの配列データベースから得た。

図2A〜Bは、HAグリカン結合ドメインの配列アライメントを示す図である。グレー:シアル酸への結合に関与している保存的アミノ酸。赤色:Neu5Acα2−3/6Galモチーフへの結合に関与している特定のアミノ酸。黄色:Q226(137、138)およびE190(186、228)の配置に影響を及ぼすアミノ酸。緑色:Neu5Acα2−3/6Galモチーフに結合した他の単糖(または修飾)への結合に関与しているアミノ酸。ASI30、APR34、ADU63、ADS97、およびViet04の配列は、それらの各々の結晶構造から得た。他の配列は、SwissProt(http://us.expasy.org)から得た。略号:

図2A〜Bは、HAグリカン結合ドメインの配列アライメントを示す図である。グレー:シアル酸への結合に関与している保存的アミノ酸。赤色:Neu5Acα2−3/6Galモチーフへの結合に関与している特定のアミノ酸。黄色:Q226(137、138)およびE190(186、228)の配置に影響を及ぼすアミノ酸。緑色:Neu5Acα2−3/6Galモチーフに結合した他の単糖(または修飾)への結合に関与しているアミノ酸。ASI30、APR34、ADU63、ADS97、およびViet04の配列は、それらの各々の結晶構造から得た。他の配列は、SwissProt(http://us.expasy.org)から得た。略号:

図3は、H1 HAの保存的部分配列の特徴を例示する配列アライメントを示す図である。図3Aは、図3Aがさらなる保存的部分配列の存在を示すことを除き、図1Aに提示された同じアライメントを示す図である。図3Bは、図3Aがさらなる保存的部分配列の存在を示すことを除き、図1Cに提示された同じアライメントを示す図である。 図3は、H1 HAの保存的部分配列の特徴を例示する配列アライメントを示す図である。図3Aは、図3Aがさらなる保存的部分配列の存在を示すことを除き、図1Aに提示された同じアライメントを示す図である。図3Bは、図3Aがさらなる保存的部分配列の存在を示すことを除き、図1Cに提示された同じアライメントを示す図である。 図4は、H3 HAの保存的部分配列の特徴を例示する配列アライメントを示す図である。図4Aは、図4Aがさらなる保存的部分配列の存在を示すことを除き、図1Aに提示された同じアライメントを示す図である。図4Bは、図4Aがさらなる保存的部分配列の存在を示すことを除き、図1Cに提示された同じアライメントを示す図である。 図4は、H3 HAの保存的部分配列の特徴を例示する配列アライメントを示す図である。図4Aは、図4Aがさらなる保存的部分配列の存在を示すことを除き、図1Aに提示された同じアライメントを示す図である。図4Bは、図4Bがさらなる保存的部分配列の存在を示すことを除き、図1Cに提示された同じアライメントを示す図である。 図5A−1は、H5 HAの保存的部分配列の特徴を例示する配列アライメントを示す図である。図5A−1は、図5A−1がさらなる保存的部分配列の存在を示すことを除き、図1Aに提示された同じアライメントを示す図である。 図5A−2は、図5A−2がさらなる保存的部分配列の存在を示すことを除き、図1Cに提示された同じアライメントを示す図である。 図5B1〜B5は、さらなるH5 HAの配列アライメントを示す図である。

図5B1〜B5は、さらなるH5 HAの配列アライメントを示す図である。

図5B1〜B5は、さらなるH5 HAの配列アライメントを示す図である。

図5B1〜B5は、さらなるH5 HAの配列アライメントを示す図である。

図5B1〜B5は、さらなるH5 HAの配列アライメントを示す図である。

図5B−6は、さらなるトリ4型(HA)H5N1ウイルス株を示す図である。 図6は、グリカン受容体の特異性を理解するための枠組みを示す図である。α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンは、異なるトポロジーを取ることが可能である。本発明によれば、HAポリペプチドがこれらのトポロジーのうちの特定のトポロジーに結合する能力により、このHAポリペプチドに異なる宿主、例えば、ヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルAで例示される通り、本発明は、2つの特に関連するトポロジーである「コーン」トポロジーおよび「アンブレラ」トポロジーを規定する。コーントポロジーは、α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンが取りうるトポロジーであり、コアに結合した短鎖オリゴ糖または分枝状オリゴ糖に典型的である(特定の長鎖オリゴ糖もこのトポロジーを取りうるが)。アンブレラトポロジーは、α2−6結合グリカンだけが取りうるトポロジーであり(おそらく、α2−6結合において存在するさらなるC5−C6間結合により付与される、立体配座的な複数性が増大するために)、特にモチーフNeu5Acα2−6Galβ1−3/4GlcNAc−を含有する、長鎖オリゴ糖または長鎖オリゴ糖分枝を伴う分枝状グリカンが主に取るトポロジーである。本明細書で記載される、HAポリペプチドがアンブレラグリカントポロジーに結合する能力により、ヒト受容体への結合および/またはヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルBは、三糖モチーフ(それぞれ、Neu5Acα2−3Galβ1−3/4GlcNAcおよびNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAc)のグリコシドのねじれ角により統御されるα2−3トポロジーおよびα2−6トポロジーを特異的に示す図である。パラメータ(θ)(これらの三糖モチーフにおけるNeu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を、トポロジーを特徴付けるものとして規定した。θの外形と、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフの立体配座マップとを重ね合わせることにより、α2−3モチーフは100%のコーン様トポロジーを取り、α2−6モチーフはコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングすることが示される(パネルC)。α2−3およびα2−6によりサンプリングされるコーン様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、コーンを張り渡す領域に沿って配置される。HAのコーン様トポロジーとの相互作用は主に、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触を伴う。他方、α2−6に固有のアンブレラ様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、HAとの結合部位(HA−α2−6共結晶構造において観察される)の方へと屈曲する。糖内のファンデルワールス力によるGlcNAcのアセチル基とNeu5Acのアセチル基との間の接触を介して安定化するので、長鎖のα2−6オリゴ糖(例えば、少なくとも四糖)には、この立体配座が好適であろう。HAのアンブレラ様トポロジーとの相互作用は、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触に加えて、GlcNAcおよび後続の糖との接触も伴う。この図のパネルCは、α2−3およびα2−6によるコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの立体配座サンプリングを示す図である。断面(A)〜(D)はそれぞれ、Neu5Acα2−3Gal結合、Neu5Acα2−6Gal結合、Galβ1−3GlcNAc結合、およびGalβ1−4GlcNAc結合の立体配座(φ,ψ)マップを示す。GlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得られるこれらのマップは、MM3の力の場を用いるアブイニシオのMDシミュレーションを用いて発生させた。エネルギー分布は、暗色(最高のエネルギーを表す)〜最低のエネルギーを表す明色にわたる色彩でコードする。丸で囲われた領域1〜5は、HA−グリカン共結晶構造におけるα2−3オリゴ糖およびα2−6オリゴ糖について観察される(φ,ψ)値を表す。HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−3Galのトランス立体配座(丸で囲われた領域1)が、この立体配座をゴーシュ配座(丸で囲われた領域2)とする、A/Aichi/2/68 H3N2 HAの、α2−3との共結晶構造を例外として、優勢である。他方、HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−6Galのシス立体配座(丸で囲われた領域3)が優勢である。コーン様トポロジーは、丸で囲われた領域1および2によりサンプリングされ、アンブレラ様トポロジーは、丸で囲われた領域3によりサンプリングされる。断面(E)〜(F)は、それぞれ、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフによる、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーのサンプリングを示す。立体配座マップにおける暗色領域は、所与の(φ,ψ)値のセットについてθパラメータ(Neu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を計算するための外側境界として用いた。エネルギーカットオフに基づき、θ>110°の値を用いてコーン様トポロジーを特徴付け、θ<100°の値を用いてアンブレラ様トポロジーを特徴付けた。θの外形を立体配座エネルギーマップと重ね合わせることにより、α2−3モチーフは、アンブレラ様トポロジーを取るにはエネルギー的に好適ではないので、100%コーン様トポロジーを取ることが示された。他方、α2−6モチーフは、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングし、このサンプリングを、Neu5Acα2−6Gal結合のω角(O−C6−C5−H5)に基づいて分類した。 図6は、グリカン受容体の特異性を理解するための枠組みを示す図である。α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンは、異なるトポロジーを取ることが可能である。本発明によれば、HAポリペプチドがこれらのトポロジーのうちの特定のトポロジーに結合する能力により、このHAポリペプチドに異なる宿主、例えば、ヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルAで例示される通り、本発明は、2つの特に関連するトポロジーである「コーン」トポロジーおよび「アンブレラ」トポロジーを規定する。コーントポロジーは、α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンが取りうるトポロジーであり、コアに結合した短鎖オリゴ糖または分枝状オリゴ糖に典型的である(特定の長鎖オリゴ糖もこのトポロジーを取りうるが)。アンブレラトポロジーは、α2−6結合グリカンだけが取りうるトポロジーであり(おそらく、α2−6結合において存在するさらなるC5−C6間結合により付与される、立体配座的な複数性が増大するために)、特にモチーフNeu5Acα2−6Galβ1−3/4GlcNAc−を含有する、長鎖オリゴ糖または長鎖オリゴ糖分枝を伴う分枝状グリカンが主に取るトポロジーである。本明細書で記載される、HAポリペプチドがアンブレラグリカントポロジーに結合する能力により、ヒト受容体への結合および/またはヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルBは、三糖モチーフ(それぞれ、Neu5Acα2−3Galβ1−3/4GlcNAcおよびNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAc)のグリコシドのねじれ角により統御されるα2−3トポロジーおよびα2−6トポロジーを特異的に示す図である。パラメータ(θ)(これらの三糖モチーフにおけるNeu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を、トポロジーを特徴付けるものとして規定した。θの外形と、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフの立体配座マップとを重ね合わせることにより、α2−3モチーフは100%のコーン様トポロジーを取り、α2−6モチーフはコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングすることが示される(パネルC)。α2−3およびα2−6によりサンプリングされるコーン様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、コーンを張り渡す領域に沿って配置される。HAのコーン様トポロジーとの相互作用は主に、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触を伴う。他方、α2−6に固有のアンブレラ様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、HAとの結合部位(HA−α2−6共結晶構造において観察される)の方へと屈曲する。糖内のファンデルワールス力によるGlcNAcのアセチル基とNeu5Acのアセチル基との間の接触を介して安定化するので、長鎖のα2−6オリゴ糖(例えば、少なくとも四糖)には、この立体配座が好適であろう。HAのアンブレラ様トポロジーとの相互作用は、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触に加えて、GlcNAcおよび後続の糖との接触も伴う。この図のパネルCは、α2−3およびα2−6によるコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの立体配座サンプリングを示す図である。断面(A)〜(D)はそれぞれ、Neu5Acα2−3Gal結合、Neu5Acα2−6Gal結合、Galβ1−3GlcNAc結合、およびGalβ1−4GlcNAc結合の立体配座(φ,ψ)マップを示す。GlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得られるこれらのマップは、MM3の力の場を用いるアブイニシオのMDシミュレーションを用いて発生させた。エネルギー分布は、暗色(最高のエネルギーを表す)〜最低のエネルギーを表す明色にわたる色彩でコードする。丸で囲われた領域1〜5は、HA−グリカン共結晶構造におけるα2−3オリゴ糖およびα2−6オリゴ糖について観察される(φ,ψ)値を表す。HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−3Galのトランス立体配座(丸で囲われた領域1)が、この立体配座をゴーシュ配座(丸で囲われた領域2)とする、A/Aichi/2/68 H3N2 HAの、α2−3との共結晶構造を例外として、優勢である。他方、HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−6Galのシス立体配座(丸で囲われた領域3)が優勢である。コーン様トポロジーは、丸で囲われた領域1および2によりサンプリングされ、アンブレラ様トポロジーは、丸で囲われた領域3によりサンプリングされる。断面(E)〜(F)は、それぞれ、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフによる、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーのサンプリングを示す。立体配座マップにおける暗色領域は、所与の(φ,ψ)値のセットについてθパラメータ(Neu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を計算するための外側境界として用いた。エネルギーカットオフに基づき、θ>110°の値を用いてコーン様トポロジーを特徴付け、θ<100°の値を用いてアンブレラ様トポロジーを特徴付けた。θの外形を立体配座エネルギーマップと重ね合わせることにより、α2−3モチーフは、アンブレラ様トポロジーを取るにはエネルギー的に好適ではないので、100%コーン様トポロジーを取ることが示された。他方、α2−6モチーフは、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングし、このサンプリングを、Neu5Acα2−6Gal結合のω角(O−C6−C5−H5)に基づいて分類した。 図6は、グリカン受容体の特異性を理解するための枠組みを示す図である。α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンは、異なるトポロジーを取ることが可能である。本発明によれば、HAポリペプチドがこれらのトポロジーのうちの特定のトポロジーに結合する能力により、このHAポリペプチドに異なる宿主、例えば、ヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルAで例示される通り、本発明は、2つの特に関連するトポロジーである「コーン」トポロジーおよび「アンブレラ」トポロジーを規定する。コーントポロジーは、α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンが取りうるトポロジーであり、コアに結合した短鎖オリゴ糖または分枝状オリゴ糖に典型的である(特定の長鎖オリゴ糖もこのトポロジーを取りうるが)。アンブレラトポロジーは、α2−6結合グリカンだけが取りうるトポロジーであり(おそらく、α2−6結合において存在するさらなるC5−C6間結合により付与される、立体配座的な複数性が増大するために)、特にモチーフNeu5Acα2−6Galβ1−3/4GlcNAc−を含有する、長鎖オリゴ糖または長鎖オリゴ糖分枝を伴う分枝状グリカンが主に取るトポロジーである。本明細書で記載される、HAポリペプチドがアンブレラグリカントポロジーに結合する能力により、ヒト受容体への結合および/またはヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルBは、三糖モチーフ(それぞれ、Neu5Acα2−3Galβ1−3/4GlcNAcおよびNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAc)のグリコシドのねじれ角により統御されるα2−3トポロジーおよびα2−6トポロジーを特異的に示す図である。パラメータ(θ)(これらの三糖モチーフにおけるNeu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を、トポロジーを特徴付けるものとして規定した。θの外形と、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフの立体配座マップとを重ね合わせることにより、α2−3モチーフは100%のコーン様トポロジーを取り、α2−6モチーフはコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングすることが示される(パネルC)。α2−3およびα2−6によりサンプリングされるコーン様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、コーンを張り渡す領域に沿って配置される。HAのコーン様トポロジーとの相互作用は主に、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触を伴う。他方、α2−6に固有のアンブレラ様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、HAとの結合部位(HA−α2−6共結晶構造において観察される)の方へと屈曲する。糖内のファンデルワールス力によるGlcNAcのアセチル基とNeu5Acのアセチル基との間の接触を介して安定化するので、長鎖のα2−6オリゴ糖(例えば、少なくとも四糖)には、この立体配座が好適であろう。HAのアンブレラ様トポロジーとの相互作用は、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触に加えて、GlcNAcおよび後続の糖との接触も伴う。この図のパネルCは、α2−3およびα2−6によるコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの立体配座サンプリングを示す図である。断面(A)〜(D)はそれぞれ、Neu5Acα2−3Gal結合、Neu5Acα2−6Gal結合、Galβ1−3GlcNAc結合、およびGalβ1−4GlcNAc結合の立体配座(φ,ψ)マップを示す。GlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得られるこれらのマップは、MM3の力の場を用いるアブイニシオのMDシミュレーションを用いて発生させた。エネルギー分布は、暗色(最高のエネルギーを表す)〜最低のエネルギーを表す明色にわたる色彩でコードする。丸で囲われた領域1〜5は、HA−グリカン共結晶構造におけるα2−3オリゴ糖およびα2−6オリゴ糖について観察される(φ,ψ)値を表す。HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−3Galのトランス立体配座(丸で囲われた領域1)が、この立体配座をゴーシュ配座(丸で囲われた領域2)とする、A/Aichi/2/68 H3N2 HAの、α2−3との共結晶構造を例外として、優勢である。他方、HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−6Galのシス立体配座(丸で囲われた領域3)が優勢である。コーン様トポロジーは、丸で囲われた領域1および2によりサンプリングされ、アンブレラ様トポロジーは、丸で囲われた領域3によりサンプリングされる。断面(E)〜(F)は、それぞれ、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフによる、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーのサンプリングを示す。立体配座マップにおける暗色領域は、所与の(φ,ψ)値のセットについてθパラメータ(Neu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を計算するための外側境界として用いた。エネルギーカットオフに基づき、θ>110°の値を用いてコーン様トポロジーを特徴付け、θ<100°の値を用いてアンブレラ様トポロジーを特徴付けた。θの外形を立体配座エネルギーマップと重ね合わせることにより、α2−3モチーフは、アンブレラ様トポロジーを取るにはエネルギー的に好適ではないので、100%コーン様トポロジーを取ることが示された。他方、α2−6モチーフは、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングし、このサンプリングを、Neu5Acα2−6Gal結合のω角(O−C6−C5−H5)に基づいて分類した。 図6は、グリカン受容体の特異性を理解するための枠組みを示す図である。α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンは、異なるトポロジーを取ることが可能である。本発明によれば、HAポリペプチドがこれらのトポロジーのうちの特定のトポロジーに結合する能力により、このHAポリペプチドに異なる宿主、例えば、ヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルAで例示される通り、本発明は、2つの特に関連するトポロジーである「コーン」トポロジーおよび「アンブレラ」トポロジーを規定する。コーントポロジーは、α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンが取りうるトポロジーであり、コアに結合した短鎖オリゴ糖または分枝状オリゴ糖に典型的である(特定の長鎖オリゴ糖もこのトポロジーを取りうるが)。アンブレラトポロジーは、α2−6結合グリカンだけが取りうるトポロジーであり(おそらく、α2−6結合において存在するさらなるC5−C6間結合により付与される、立体配座的な複数性が増大するために)、特にモチーフNeu5Acα2−6Galβ1−3/4GlcNAc−を含有する、長鎖オリゴ糖または長鎖オリゴ糖分枝を伴う分枝状グリカンが主に取るトポロジーである。本明細書で記載される、HAポリペプチドがアンブレラグリカントポロジーに結合する能力により、ヒト受容体への結合および/またはヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルBは、三糖モチーフ(それぞれ、Neu5Acα2−3Galβ1−3/4GlcNAcおよびNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAc)のグリコシドのねじれ角により統御されるα2−3トポロジーおよびα2−6トポロジーを特異的に示す図である。パラメータ(θ)(これらの三糖モチーフにおけるNeu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を、トポロジーを特徴付けるものとして規定した。θの外形と、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフの立体配座マップとを重ね合わせることにより、α2−3モチーフは100%のコーン様トポロジーを取り、α2−6モチーフはコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングすることが示される(パネルC)。α2−3およびα2−6によりサンプリングされるコーン様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、コーンを張り渡す領域に沿って配置される。HAのコーン様トポロジーとの相互作用は主に、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触を伴う。他方、α2−6に固有のアンブレラ様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、HAとの結合部位(HA−α2−6共結晶構造において観察される)の方へと屈曲する。糖内のファンデルワールス力によるGlcNAcのアセチル基とNeu5Acのアセチル基との間の接触を介して安定化するので、長鎖のα2−6オリゴ糖(例えば、少なくとも四糖)には、この立体配座が好適であろう。HAのアンブレラ様トポロジーとの相互作用は、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触に加えて、GlcNAcおよび後続の糖との接触も伴う。この図のパネルCは、α2−3およびα2−6によるコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの立体配座サンプリングを示す図である。断面(A)〜(D)はそれぞれ、Neu5Acα2−3Gal結合、Neu5Acα2−6Gal結合、Galβ1−3GlcNAc結合、およびGalβ1−4GlcNAc結合の立体配座(φ,ψ)マップを示す。GlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得られるこれらのマップは、MM3の力の場を用いるアブイニシオのMDシミュレーションを用いて発生させた。エネルギー分布は、暗色(最高のエネルギーを表す)〜最低のエネルギーを表す明色にわたる色彩でコードする。丸で囲われた領域1〜5は、HA−グリカン共結晶構造におけるα2−3オリゴ糖およびα2−6オリゴ糖について観察される(φ,ψ)値を表す。HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−3Galのトランス立体配座(丸で囲われた領域1)が、この立体配座をゴーシュ配座(丸で囲われた領域2)とする、A/Aichi/2/68 H3N2 HAの、α2−3との共結晶構造を例外として、優勢である。他方、HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−6Galのシス立体配座(丸で囲われた領域3)が優勢である。コーン様トポロジーは、丸で囲われた領域1および2によりサンプリングされ、アンブレラ様トポロジーは、丸で囲われた領域3によりサンプリングされる。断面(E)〜(F)は、それぞれ、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフによる、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーのサンプリングを示す。立体配座マップにおける暗色領域は、所与の(φ,ψ)値のセットについてθパラメータ(Neu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を計算するための外側境界として用いた。エネルギーカットオフに基づき、θ>110°の値を用いてコーン様トポロジーを特徴付け、θ<100°の値を用いてアンブレラ様トポロジーを特徴付けた。θの外形を立体配座エネルギーマップと重ね合わせることにより、α2−3モチーフは、アンブレラ様トポロジーを取るにはエネルギー的に好適ではないので、100%コーン様トポロジーを取ることが示された。他方、α2−6モチーフは、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングし、このサンプリングを、Neu5Acα2−6Gal結合のω角(O−C6−C5−H5)に基づいて分類した。 図6は、グリカン受容体の特異性を理解するための枠組みを示す図である。α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンは、異なるトポロジーを取ることが可能である。本発明によれば、HAポリペプチドがこれらのトポロジーのうちの特定のトポロジーに結合する能力により、このHAポリペプチドに異なる宿主、例えば、ヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルAで例示される通り、本発明は、2つの特に関連するトポロジーである「コーン」トポロジーおよび「アンブレラ」トポロジーを規定する。コーントポロジーは、α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンが取りうるトポロジーであり、コアに結合した短鎖オリゴ糖または分枝状オリゴ糖に典型的である(特定の長鎖オリゴ糖もこのトポロジーを取りうるが)。アンブレラトポロジーは、α2−6結合グリカンだけが取りうるトポロジーであり(おそらく、α2−6結合において存在するさらなるC5−C6間結合により付与される、立体配座的な複数性が増大するために)、特にモチーフNeu5Acα2−6Galβ1−3/4GlcNAc−を含有する、長鎖オリゴ糖または長鎖オリゴ糖分枝を伴う分枝状グリカンが主に取るトポロジーである。本明細書で記載される、HAポリペプチドがアンブレラグリカントポロジーに結合する能力により、ヒト受容体への結合および/またはヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルBは、三糖モチーフ(それぞれ、Neu5Acα2−3Galβ1−3/4GlcNAcおよびNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAc)のグリコシドのねじれ角により統御されるα2−3トポロジーおよびα2−6トポロジーを特異的に示す図である。パラメータ(θ)(これらの三糖モチーフにおけるNeu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を、トポロジーを特徴付けるものとして規定した。θの外形と、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフの立体配座マップとを重ね合わせることにより、α2−3モチーフは100%のコーン様トポロジーを取り、α2−6モチーフはコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングすることが示される(パネルC)。α2−3およびα2−6によりサンプリングされるコーン様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、コーンを張り渡す領域に沿って配置される。HAのコーン様トポロジーとの相互作用は主に、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触を伴う。他方、α2−6に固有のアンブレラ様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、HAとの結合部位(HA−α2−6共結晶構造において観察される)の方へと屈曲する。糖内のファンデルワールス力によるGlcNAcのアセチル基とNeu5Acのアセチル基との間の接触を介して安定化するので、長鎖のα2−6オリゴ糖(例えば、少なくとも四糖)には、この立体配座が好適であろう。HAのアンブレラ様トポロジーとの相互作用は、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触に加えて、GlcNAcおよび後続の糖との接触も伴う。この図のパネルCは、α2−3およびα2−6によるコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの立体配座サンプリングを示す図である。断面(A)〜(D)はそれぞれ、Neu5Acα2−3Gal結合、Neu5Acα2−6Gal結合、Galβ1−3GlcNAc結合、およびGalβ1−4GlcNAc結合の立体配座(φ,ψ)マップを示す。GlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得られるこれらのマップは、MM3の力の場を用いるアブイニシオのMDシミュレーションを用いて発生させた。エネルギー分布は、暗色(最高のエネルギーを表す)〜最低のエネルギーを表す明色にわたる色彩でコードする。丸で囲われた領域1〜5は、HA−グリカン共結晶構造におけるα2−3オリゴ糖およびα2−6オリゴ糖について観察される(φ,ψ)値を表す。HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−3Galのトランス立体配座(丸で囲われた領域1)が、この立体配座をゴーシュ配座(丸で囲われた領域2)とする、A/Aichi/2/68 H3N2 HAの、α2−3との共結晶構造を例外として、優勢である。他方、HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−6Galのシス立体配座(丸で囲われた領域3)が優勢である。コーン様トポロジーは、丸で囲われた領域1および2によりサンプリングされ、アンブレラ様トポロジーは、丸で囲われた領域3によりサンプリングされる。断面(E)〜(F)は、それぞれ、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフによる、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーのサンプリングを示す。立体配座マップにおける暗色領域は、所与の(φ,ψ)値のセットについてθパラメータ(Neu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を計算するための外側境界として用いた。エネルギーカットオフに基づき、θ>110°の値を用いてコーン様トポロジーを特徴付け、θ<100°の値を用いてアンブレラ様トポロジーを特徴付けた。θの外形を立体配座エネルギーマップと重ね合わせることにより、α2−3モチーフは、アンブレラ様トポロジーを取るにはエネルギー的に好適ではないので、100%コーン様トポロジーを取ることが示された。他方、α2−6モチーフは、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングし、このサンプリングを、Neu5Acα2−6Gal結合のω角(O−C6−C5−H5)に基づいて分類した。 図6は、グリカン受容体の特異性を理解するための枠組みを示す図である。α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンは、異なるトポロジーを取ることが可能である。本発明によれば、HAポリペプチドがこれらのトポロジーのうちの特定のトポロジーに結合する能力により、このHAポリペプチドに異なる宿主、例えば、ヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルAで例示される通り、本発明は、2つの特に関連するトポロジーである「コーン」トポロジーおよび「アンブレラ」トポロジーを規定する。コーントポロジーは、α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンが取りうるトポロジーであり、コアに結合した短鎖オリゴ糖または分枝状オリゴ糖に典型的である(特定の長鎖オリゴ糖もこのトポロジーを取りうるが)。アンブレラトポロジーは、α2−6結合グリカンだけが取りうるトポロジーであり(おそらく、α2−6結合において存在するさらなるC5−C6間結合により付与される、立体配座的な複数性が増大するために)、特にモチーフNeu5Acα2−6Galβ1−3/4GlcNAc−を含有する、長鎖オリゴ糖または長鎖オリゴ糖分枝を伴う分枝状グリカンが主に取るトポロジーである。本明細書で記載される、HAポリペプチドがアンブレラグリカントポロジーに結合する能力により、ヒト受容体への結合および/またはヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルBは、三糖モチーフ(それぞれ、Neu5Acα2−3Galβ1−3/4GlcNAcおよびNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAc)のグリコシドのねじれ角により統御されるα2−3トポロジーおよびα2−6トポロジーを特異的に示す図である。パラメータ(θ)(これらの三糖モチーフにおけるNeu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を、トポロジーを特徴付けるものとして規定した。θの外形と、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフの立体配座マップとを重ね合わせることにより、α2−3モチーフは100%のコーン様トポロジーを取り、α2−6モチーフはコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングすることが示される(パネルC)。α2−3およびα2−6によりサンプリングされるコーン様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、コーンを張り渡す領域に沿って配置される。HAのコーン様トポロジーとの相互作用は主に、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触を伴う。他方、α2−6に固有のアンブレラ様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、HAとの結合部位(HA−α2−6共結晶構造において観察される)の方へと屈曲する。糖内のファンデルワールス力によるGlcNAcのアセチル基とNeu5Acのアセチル基との間の接触を介して安定化するので、長鎖のα2−6オリゴ糖(例えば、少なくとも四糖)には、この立体配座が好適であろう。HAのアンブレラ様トポロジーとの相互作用は、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触に加えて、GlcNAcおよび後続の糖との接触も伴う。この図のパネルCは、α2−3およびα2−6によるコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの立体配座サンプリングを示す図である。断面(A)〜(D)はそれぞれ、Neu5Acα2−3Gal結合、Neu5Acα2−6Gal結合、Galβ1−3GlcNAc結合、およびGalβ1−4GlcNAc結合の立体配座(φ,ψ)マップを示す。GlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得られるこれらのマップは、MM3の力の場を用いるアブイニシオのMDシミュレーションを用いて発生させた。エネルギー分布は、暗色(最高のエネルギーを表す)〜最低のエネルギーを表す明色にわたる色彩でコードする。丸で囲われた領域1〜5は、HA−グリカン共結晶構造におけるα2−3オリゴ糖およびα2−6オリゴ糖について観察される(φ,ψ)値を表す。HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−3Galのトランス立体配座(丸で囲われた領域1)が、この立体配座をゴーシュ配座(丸で囲われた領域2)とする、A/Aichi/2/68 H3N2 HAの、α2−3との共結晶構造を例外として、優勢である。他方、HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−6Galのシス立体配座(丸で囲われた領域3)が優勢である。コーン様トポロジーは、丸で囲われた領域1および2によりサンプリングされ、アンブレラ様トポロジーは、丸で囲われた領域3によりサンプリングされる。断面(E)〜(F)は、それぞれ、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフによる、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーのサンプリングを示す。立体配座マップにおける暗色領域は、所与の(φ,ψ)値のセットについてθパラメータ(Neu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を計算するための外側境界として用いた。エネルギーカットオフに基づき、θ>110°の値を用いてコーン様トポロジーを特徴付け、θ<100°の値を用いてアンブレラ様トポロジーを特徴付けた。θの外形を立体配座エネルギーマップと重ね合わせることにより、α2−3モチーフは、アンブレラ様トポロジーを取るにはエネルギー的に好適ではないので、100%コーン様トポロジーを取ることが示された。他方、α2−6モチーフは、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングし、このサンプリングを、Neu5Acα2−6Gal結合のω角(O−C6−C5−H5)に基づいて分類した。 図6は、グリカン受容体の特異性を理解するための枠組みを示す図である。α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンは、異なるトポロジーを取ることが可能である。本発明によれば、HAポリペプチドがこれらのトポロジーのうちの特定のトポロジーに結合する能力により、このHAポリペプチドに異なる宿主、例えば、ヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルAで例示される通り、本発明は、2つの特に関連するトポロジーである「コーン」トポロジーおよび「アンブレラ」トポロジーを規定する。コーントポロジーは、α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンが取りうるトポロジーであり、コアに結合した短鎖オリゴ糖または分枝状オリゴ糖に典型的である(特定の長鎖オリゴ糖もこのトポロジーを取りうるが)。アンブレラトポロジーは、α2−6結合グリカンだけが取りうるトポロジーであり(おそらく、α2−6結合において存在するさらなるC5−C6間結合により付与される、立体配座的な複数性が増大するために)、特にモチーフNeu5Acα2−6Galβ1−3/4GlcNAc−を含有する、長鎖オリゴ糖または長鎖オリゴ糖分枝を伴う分枝状グリカンが主に取るトポロジーである。本明細書で記載される、HAポリペプチドがアンブレラグリカントポロジーに結合する能力により、ヒト受容体への結合および/またはヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルBは、三糖モチーフ(それぞれ、Neu5Acα2−3Galβ1−3/4GlcNAcおよびNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAc)のグリコシドのねじれ角により統御されるα2−3トポロジーおよびα2−6トポロジーを特異的に示す図である。パラメータ(θ)(これらの三糖モチーフにおけるNeu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を、トポロジーを特徴付けるものとして規定した。θの外形と、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフの立体配座マップとを重ね合わせることにより、α2−3モチーフは100%のコーン様トポロジーを取り、α2−6モチーフはコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングすることが示される(パネルC)。α2−3およびα2−6によりサンプリングされるコーン様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、コーンを張り渡す領域に沿って配置される。HAのコーン様トポロジーとの相互作用は主に、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触を伴う。他方、α2−6に固有のアンブレラ様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、HAとの結合部位(HA−α2−6共結晶構造において観察される)の方へと屈曲する。糖内のファンデルワールス力によるGlcNAcのアセチル基とNeu5Acのアセチル基との間の接触を介して安定化するので、長鎖のα2−6オリゴ糖(例えば、少なくとも四糖)には、この立体配座が好適であろう。HAのアンブレラ様トポロジーとの相互作用は、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触に加えて、GlcNAcおよび後続の糖との接触も伴う。この図のパネルCは、α2−3およびα2−6によるコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの立体配座サンプリングを示す図である。断面(A)〜(D)はそれぞれ、Neu5Acα2−3Gal結合、Neu5Acα2−6Gal結合、Galβ1−3GlcNAc結合、およびGalβ1−4GlcNAc結合の立体配座(φ,ψ)マップを示す。GlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得られるこれらのマップは、MM3の力の場を用いるアブイニシオのMDシミュレーションを用いて発生させた。エネルギー分布は、暗色(最高のエネルギーを表す)〜最低のエネルギーを表す明色にわたる色彩でコードする。丸で囲われた領域1〜5は、HA−グリカン共結晶構造におけるα2−3オリゴ糖およびα2−6オリゴ糖について観察される(φ,ψ)値を表す。HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−3Galのトランス立体配座(丸で囲われた領域1)が、この立体配座をゴーシュ配座(丸で囲われた領域2)とする、A/Aichi/2/68 H3N2 HAの、α2−3との共結晶構造を例外として、優勢である。他方、HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−6Galのシス立体配座(丸で囲われた領域3)が優勢である。コーン様トポロジーは、丸で囲われた領域1および2によりサンプリングされ、アンブレラ様トポロジーは、丸で囲われた領域3によりサンプリングされる。断面(E)〜(F)は、それぞれ、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフによる、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーのサンプリングを示す。立体配座マップにおける暗色領域は、所与の(φ,ψ)値のセットについてθパラメータ(Neu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を計算するための外側境界として用いた。エネルギーカットオフに基づき、θ>110°の値を用いてコーン様トポロジーを特徴付け、θ<100°の値を用いてアンブレラ様トポロジーを特徴付けた。θの外形を立体配座エネルギーマップと重ね合わせることにより、α2−3モチーフは、アンブレラ様トポロジーを取るにはエネルギー的に好適ではないので、100%コーン様トポロジーを取ることが示された。他方、α2−6モチーフは、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングし、このサンプリングを、Neu5Acα2−6Gal結合のω角(O−C6−C5−H5)に基づいて分類した。 図6は、グリカン受容体の特異性を理解するための枠組みを示す図である。α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンは、異なるトポロジーを取ることが可能である。本発明によれば、HAポリペプチドがこれらのトポロジーのうちの特定のトポロジーに結合する能力により、このHAポリペプチドに異なる宿主、例えば、ヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルAで例示される通り、本発明は、2つの特に関連するトポロジーである「コーン」トポロジーおよび「アンブレラ」トポロジーを規定する。コーントポロジーは、α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンが取りうるトポロジーであり、コアに結合した短鎖オリゴ糖または分枝状オリゴ糖に典型的である(特定の長鎖オリゴ糖もこのトポロジーを取りうるが)。アンブレラトポロジーは、α2−6結合グリカンだけが取りうるトポロジーであり(おそらく、α2−6結合において存在するさらなるC5−C6間結合により付与される、立体配座的な複数性が増大するために)、特にモチーフNeu5Acα2−6Galβ1−3/4GlcNAc−を含有する、長鎖オリゴ糖または長鎖オリゴ糖分枝を伴う分枝状グリカンが主に取るトポロジーである。本明細書で記載される、HAポリペプチドがアンブレラグリカントポロジーに結合する能力により、ヒト受容体への結合および/またはヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルBは、三糖モチーフ(それぞれ、Neu5Acα2−3Galβ1−3/4GlcNAcおよびNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAc)のグリコシドのねじれ角により統御されるα2−3トポロジーおよびα2−6トポロジーを特異的に示す図である。パラメータ(θ)(これらの三糖モチーフにおけるNeu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を、トポロジーを特徴付けるものとして規定した。θの外形と、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフの立体配座マップとを重ね合わせることにより、α2−3モチーフは100%のコーン様トポロジーを取り、α2−6モチーフはコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングすることが示される(パネルC)。α2−3およびα2−6によりサンプリングされるコーン様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、コーンを張り渡す領域に沿って配置される。HAのコーン様トポロジーとの相互作用は主に、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触を伴う。他方、α2−6に固有のアンブレラ様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、HAとの結合部位(HA−α2−6共結晶構造において観察される)の方へと屈曲する。糖内のファンデルワールス力によるGlcNAcのアセチル基とNeu5Acのアセチル基との間の接触を介して安定化するので、長鎖のα2−6オリゴ糖(例えば、少なくとも四糖)には、この立体配座が好適であろう。HAのアンブレラ様トポロジーとの相互作用は、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触に加えて、GlcNAcおよび後続の糖との接触も伴う。この図のパネルCは、α2−3およびα2−6によるコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの立体配座サンプリングを示す図である。断面(A)〜(D)はそれぞれ、Neu5Acα2−3Gal結合、Neu5Acα2−6Gal結合、Galβ1−3GlcNAc結合、およびGalβ1−4GlcNAc結合の立体配座(φ,ψ)マップを示す。GlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得られるこれらのマップは、MM3の力の場を用いるアブイニシオのMDシミュレーションを用いて発生させた。エネルギー分布は、暗色(最高のエネルギーを表す)〜最低のエネルギーを表す明色にわたる色彩でコードする。丸で囲われた領域1〜5は、HA−グリカン共結晶構造におけるα2−3オリゴ糖およびα2−6オリゴ糖について観察される(φ,ψ)値を表す。HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−3Galのトランス立体配座(丸で囲われた領域1)が、この立体配座をゴーシュ配座(丸で囲われた領域2)とする、A/Aichi/2/68 H3N2 HAの、α2−3との共結晶構造を例外として、優勢である。他方、HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−6Galのシス立体配座(丸で囲われた領域3)が優勢である。コーン様トポロジーは、丸で囲われた領域1および2によりサンプリングされ、アンブレラ様トポロジーは、丸で囲われた領域3によりサンプリングされる。断面(E)〜(F)は、それぞれ、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフによる、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーのサンプリングを示す。立体配座マップにおける暗色領域は、所与の(φ,ψ)値のセットについてθパラメータ(Neu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を計算するための外側境界として用いた。エネルギーカットオフに基づき、θ>110°の値を用いてコーン様トポロジーを特徴付け、θ<100°の値を用いてアンブレラ様トポロジーを特徴付けた。θの外形を立体配座エネルギーマップと重ね合わせることにより、α2−3モチーフは、アンブレラ様トポロジーを取るにはエネルギー的に好適ではないので、100%コーン様トポロジーを取ることが示された。他方、α2−6モチーフは、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングし、このサンプリングを、Neu5Acα2−6Gal結合のω角(O−C6−C5−H5)に基づいて分類した。 図6は、グリカン受容体の特異性を理解するための枠組みを示す図である。α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンは、異なるトポロジーを取ることが可能である。本発明によれば、HAポリペプチドがこれらのトポロジーのうちの特定のトポロジーに結合する能力により、このHAポリペプチドに異なる宿主、例えば、ヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルAで例示される通り、本発明は、2つの特に関連するトポロジーである「コーン」トポロジーおよび「アンブレラ」トポロジーを規定する。コーントポロジーは、α2−3結合グリカンおよび/またはα2−6結合グリカンが取りうるトポロジーであり、コアに結合した短鎖オリゴ糖または分枝状オリゴ糖に典型的である(特定の長鎖オリゴ糖もこのトポロジーを取りうるが)。アンブレラトポロジーは、α2−6結合グリカンだけが取りうるトポロジーであり(おそらく、α2−6結合において存在するさらなるC5−C6間結合により付与される、立体配座的な複数性が増大するために)、特にモチーフNeu5Acα2−6Galβ1−3/4GlcNAc−を含有する、長鎖オリゴ糖または長鎖オリゴ糖分枝を伴う分枝状グリカンが主に取るトポロジーである。本明細書で記載される、HAポリペプチドがアンブレラグリカントポロジーに結合する能力により、ヒト受容体への結合および/またはヒトの感染を媒介する能力が付与される。この図のパネルBは、三糖モチーフ(それぞれ、Neu5Acα2−3Galβ1−3/4GlcNAcおよびNeu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAc)のグリコシドのねじれ角により統御されるα2−3トポロジーおよびα2−6トポロジーを特異的に示す図である。パラメータ(θ)(これらの三糖モチーフにおけるNeu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を、トポロジーを特徴付けるものとして規定した。θの外形と、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフの立体配座マップとを重ね合わせることにより、α2−3モチーフは100%のコーン様トポロジーを取り、α2−6モチーフはコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングすることが示される(パネルC)。α2−3およびα2−6によりサンプリングされるコーン様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、コーンを張り渡す領域に沿って配置される。HAのコーン様トポロジーとの相互作用は主に、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触を伴う。他方、α2−6に固有のアンブレラ様トポロジーでは、GlcNAcおよび後続の糖が、HAとの結合部位(HA−α2−6共結晶構造において観察される)の方へと屈曲する。糖内のファンデルワールス力によるGlcNAcのアセチル基とNeu5Acのアセチル基との間の接触を介して安定化するので、長鎖のα2−6オリゴ糖(例えば、少なくとも四糖)には、この立体配座が好適であろう。HAのアンブレラ様トポロジーとの相互作用は、番号付けされた位置(H3 HAの番号付けに基づく)におけるアミノ酸の、Neu5Ac糖およびGal糖との接触に加えて、GlcNAcおよび後続の糖との接触も伴う。この図のパネルCは、α2−3およびα2−6によるコーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの立体配座サンプリングを示す図である。断面(A)〜(D)はそれぞれ、Neu5Acα2−3Gal結合、Neu5Acα2−6Gal結合、Galβ1−3GlcNAc結合、およびGalβ1−4GlcNAc結合の立体配座(φ,ψ)マップを示す。GlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得られるこれらのマップは、MM3の力の場を用いるアブイニシオのMDシミュレーションを用いて発生させた。エネルギー分布は、暗色(最高のエネルギーを表す)〜最低のエネルギーを表す明色にわたる色彩でコードする。丸で囲われた領域1〜5は、HA−グリカン共結晶構造におけるα2−3オリゴ糖およびα2−6オリゴ糖について観察される(φ,ψ)値を表す。HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−3Galのトランス立体配座(丸で囲われた領域1)が、この立体配座をゴーシュ配座(丸で囲われた領域2)とする、A/Aichi/2/68 H3N2 HAの、α2−3との共結晶構造を例外として、優勢である。他方、HA結合ポケットでは、Neu5Acα2−6Galのシス立体配座(丸で囲われた領域3)が優勢である。コーン様トポロジーは、丸で囲われた領域1および2によりサンプリングされ、アンブレラ様トポロジーは、丸で囲われた領域3によりサンプリングされる。断面(E)〜(F)は、それぞれ、α2−3モチーフおよびα2−6モチーフによる、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーのサンプリングを示す。立体配座マップにおける暗色領域は、所与の(φ,ψ)値のセットについてθパラメータ(Neu5AcのC2原子と後続のGal糖およびGlcNAc糖のC1原子との間の角)を計算するための外側境界として用いた。エネルギーカットオフに基づき、θ>110°の値を用いてコーン様トポロジーを特徴付け、θ<100°の値を用いてアンブレラ様トポロジーを特徴付けた。θの外形を立体配座エネルギーマップと重ね合わせることにより、α2−3モチーフは、アンブレラ様トポロジーを取るにはエネルギー的に好適ではないので、100%コーン様トポロジーを取ることが示された。他方、α2−6モチーフは、コーン様トポロジーおよびアンブレラ様トポロジーの両方をサンプリングし、このサンプリングを、Neu5Acα2−6Gal結合のω角(O−C6−C5−H5)に基づいて分類した。 図7は、HA残基のコーングリカントポロジーとの相互作用を、HA残基のアンブレラグリカントポロジーとの相互作用と対比して示す図である。HA−グリカン共結晶を解析することにより、Neu5AcのHAとの結合部位に対する位置がほとんど不変であることが明らかとなる。Neu5Acとの接触は、F98、S/T136、W153、H183、およびL/I194など、高度に保存された残基を伴う。他の糖との接触は、糖の結合がα2−3結合であるかまたはα2−6結合であるか、およびグリカントポロジーがコーントポロジーであるかまたはアンブレラトポロジーであるかに応じて異なる残基を伴う。例えば、コーントポロジーでは、主要な接触が、Neu5Acとの接触およびGal糖との接触である。E190およびQ226は、この結合において特に重要な役割を果たす。この図はまた、コーン構造への結合に関与しうる他の位置(例えば、137位、145位、186位、187位、193位、222位)も例示する。場合によっては、異なる残基により、異なるグリカン構造との異なる接触がもたらされうる。これらの位置におけるアミノ酸の種類は、HAポリペプチドがグリカン構造の修飾パターンおよび/または分枝パターンが異なる受容体に結合する能力に影響を及ぼしうる。アンブレラトポロジーでは、Neu5AcおよびGalを越えた糖との接触がもたらされる。この図は、アンブレラ構造への結合に関与しうる残基(例えば、137、145、156、159、186、187、189、190、192、193、196、222、225、226)を例示する。場合によっては、異なる残基により、異なるグリカン構造との異なる接触がもたらされうる。これらの位置におけるアミノ酸の種類は、HAポリペプチドがグリカン構造の修飾パターンおよび/または分枝パターンが異なる受容体に結合する能力に影響を及ぼしうる。一部の実施形態では、190位におけるD残基および/または225位におけるD残基が、アンブレラトポロジーへの結合に寄与する。 図8は、例示的なコーントポロジーを示す図である。この図は、コーントポロジーを取る特定の例示的な(網羅的ではないが)グリカン構造を例示する。 図9は、例示的なアンブレラトポロジーを示す図である。(A)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)N結合型グリカン構造およびO結合型グリカン構造。(B)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)O結合型グリカン構造。 図9は、例示的なアンブレラトポロジーを示す図である。(A)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)N結合型グリカン構造およびO結合型グリカン構造。(B)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)O結合型グリカン構造。 図9は、例示的なアンブレラトポロジーを示す図である。(A)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)N結合型グリカン構造およびO結合型グリカン構造。(B)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)O結合型グリカン構造。 図9は、例示的なアンブレラトポロジーを示す図である。(A)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)N結合型グリカン構造およびO結合型グリカン構造。(B)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)O結合型グリカン構造。 図9は、例示的なアンブレラトポロジーを示す図である。(A)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)N結合型グリカン構造およびO結合型グリカン構造。(B)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)O結合型グリカン構造。 図9は、例示的なアンブレラトポロジーを示す図である。(A)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)N結合型グリカン構造およびO結合型グリカン構造。(B)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)O結合型グリカン構造。 図9は、例示的なアンブレラトポロジーを示す図である。(A)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)N結合型グリカン構造およびO結合型グリカン構造。(B)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)O結合型グリカン構造。 図9は、例示的なアンブレラトポロジーを示す図である。(A)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)N結合型グリカン構造およびO結合型グリカン構造。(B)アンブレラトポロジーを取りうる、特定の例示的な(網羅的ではないが)O結合型グリカン構造。 図10A〜Bは、ヒト気管支上皮細胞およびヒト結腸上皮細胞のグリカンプロファイルを示す図である。上気道組織におけるグリカンの多様性をさらに探索するため、N結合型グリカンをHBE(代表的な上気道細胞系)から単離し、MALDI−MSを用いて解析した。HBEではα2−6の発現が優勢であることは、試料をシアリダーゼS(α2−3特異的)およびシアリダーゼA(切断酵素:SA)で前処理することにより確認された。長鎖の分枝状トポロジーを伴うグリカンの発現が優勢であることは、TOF−TOFによる代表的な質量ピークのフラグメント化解析を介して裏付けられる。上気道組織におけるグリカンの多様性の基準を与えるため、ヒト結腸上皮細胞(HT29細胞;代表的な消化管細胞系)のN結合型グリカンプロファイルを得た。最新型のH5N1ウイルスは、消化管細胞に感染することが示されているため、この細胞系を選択した。シアリダーゼAおよびSで前処理された対照により、HT−29細胞では、α2−3グリカンの発現が優勢であることが示された。さらに、長鎖の分枝状グリカントポロジーは、HBEについて観察されるほど広くは見られない。したがって、H5N1 HAのヒトへの適応は、ヒト上気道組織において発現する多様なグリカン(例えば、アンブレラグリカン)に高親和性で結合することを可能とする、HAの突然変異を伴うであろう。 図10A〜Bは、ヒト気管支上皮細胞およびヒト結腸上皮細胞のグリカンプロファイルを示す図である。上気道組織におけるグリカンの多様性をさらに探索するため、N結合型グリカンをHBE(代表的な上気道細胞系)から単離し、MALDI−MSを用いて解析した。HBEではα2−6の発現が優勢であることは、試料をシアリダーゼS(α2−3特異的)およびシアリダーゼA(切断酵素:SA)で前処理することにより確認された。長鎖の分枝状トポロジーを伴うグリカンの発現が優勢であることは、TOF−TOFによる代表的な質量ピークのフラグメント化解析を介して裏付けられる。上気道組織におけるグリカンの多様性の基準を与えるため、ヒト結腸上皮細胞(HT29細胞;代表的な消化管細胞系)のN結合型グリカンプロファイルを得た。最新型のH5N1ウイルスは、消化管細胞に感染することが示されているため、この細胞系を選択した。シアリダーゼAおよびSで前処理された対照により、HT−29細胞では、α2−3グリカンの発現が優勢であることが示された。さらに、長鎖の分枝状グリカントポロジーは、HBEについて観察されるほど広くは見られない。したがって、H5N1 HAのヒトへの適応は、ヒト上気道組織において発現する多様なグリカン(例えば、アンブレラグリカン)に高親和性で結合することを可能とする、HAの突然変異を伴うであろう。 図11は、Neu5Acα2−3GalおよびNeu5Acα2−6Galモチーフの立体配座マップおよび溶媒露出度を示す図である。パネルAは、Neu5Acα2−3Gal結合の立体配座マップを示す図である。丸で囲われた領域2は、APR34_H1_23、ADU63_H3_23、およびADS97_H5_23による共結晶構造において観察されるトランス立体配座である。丸で囲われた領域1は、AAI68_H3_23共結晶構造において観察される立体配座である。パネルBは、Neu5Acα2−6Galの立体配座マップであって、シス立体配座(丸で囲われた領域3)が、全てのHA−α2−6シアル化グリカン共結晶構造において観察される立体配座マップを示す図である。パネルCは、それぞれのHA−グリカン共結晶構造のα2−3シアル化オリゴ糖におけるNeu5Acの溶媒露出表面積(SASA)と、α2−6シアル化オリゴ糖におけるNeu5AcのSASAとの差違を示す図である。赤色バーおよびシアンバーは、それぞれ、α2−6シアル化グリカンにおけるNeu5Ac(正の値)、またはα2−3シアル化グリカンにおけるNeu5Ac(負の値)が、グリカン結合部位との接触を増大させることを示す。パネルDは、ブタおよびヒトのH1に結合したα2−3シアル化グリカン(H1α2−3)、トリおよびヒトのH3に結合したα2−3シアル化グリカン(H3α2−3)におけるNeuAcのSASAと、ブタおよびヒトのH1に結合したα2−6シアル化グリカン(H1α2−6)におけるNeuAcのSASAとの差違を示す図である。H3α2−3についての負のバーは、ヒトH3 HAのNeu5Acα2−3Galとの接触が、トリH3のNeu5Acα2−3Galとの接触と比較して低度であることを示す。ねじれ角−φ:C2−C1−O−C3結合(Neu5Acα2−3/6結合の場合);ψ:C1−O−C3−H3結合(Neu5Acα2−3Gal結合の場合)またはC1−O−C6−C5結合(Neu5Acα2−6Gal結合の場合);ω:O−C6−C5−H5結合(Neu5Acα2−6Gal結合の場合)。φ、ψマップは、Martin Frank博士およびClaus−Wilhelm von der Lieth博士(German Cancer Research Institute、Heidelberg、Germany)により開発されたGlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得た。高エネルギー〜低エネルギーにわたる色分けのスキームは、それぞれ、明るい赤色〜明るい緑色とする。 図11は、Neu5Acα2−3GalおよびNeu5Acα2−6Galモチーフの立体配座マップおよび溶媒露出度を示す図である。パネルAは、Neu5Acα2−3Gal結合の立体配座マップを示す図である。丸で囲われた領域2は、APR34_H1_23、ADU63_H3_23、およびADS97_H5_23による共結晶構造において観察されるトランス立体配座である。丸で囲われた領域1は、AAI68_H3_23共結晶構造において観察される立体配座である。パネルBは、Neu5Acα2−6Galの立体配座マップであって、シス立体配座(丸で囲われた領域3)が、全てのHA−α2−6シアル化グリカン共結晶構造において観察される立体配座マップを示す図である。パネルCは、それぞれのHA−グリカン共結晶構造のα2−3シアル化オリゴ糖におけるNeu5Acの溶媒露出表面積(SASA)と、α2−6シアル化オリゴ糖におけるNeu5AcのSASAとの差違を示す図である。赤色バーおよびシアンバーは、それぞれ、α2−6シアル化グリカンにおけるNeu5Ac(正の値)、またはα2−3シアル化グリカンにおけるNeu5Ac(負の値)が、グリカン結合部位との接触を増大させることを示す。パネルDは、ブタおよびヒトのH1に結合したα2−3シアル化グリカン(H1α2−3)、トリおよびヒトのH3に結合したα2−3シアル化グリカン(H3α2−3)におけるNeuAcのSASAと、ブタおよびヒトのH1に結合したα2−6シアル化グリカン(H1α2−6)におけるNeuAcのSASAとの差違を示す図である。H3α2−3についての負のバーは、ヒトH3 HAのNeu5Acα2−3Galとの接触が、トリH3のNeu5Acα2−3Galとの接触と比較して低度であることを示す。ねじれ角−φ:C2−C1−O−C3結合(Neu5Acα2−3/6結合の場合);ψ:C1−O−C3−H3結合(Neu5Acα2−3Gal結合の場合)またはC1−O−C6−C5結合(Neu5Acα2−6Gal結合の場合);ω:O−C6−C5−H5結合(Neu5Acα2−6Gal結合の場合)。φ、ψマップは、Martin Frank博士およびClaus−Wilhelm von der Lieth博士(German Cancer Research Institute、Heidelberg、Germany)により開発されたGlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得た。高エネルギー〜低エネルギーにわたる色分けのスキームは、それぞれ、明るい赤色〜明るい緑色とする。 図11は、Neu5Acα2−3GalおよびNeu5Acα2−6Galモチーフの立体配座マップおよび溶媒露出度を示す図である。パネルAは、Neu5Acα2−3Gal結合の立体配座マップを示す図である。丸で囲われた領域2は、APR34_H1_23、ADU63_H3_23、およびADS97_H5_23による共結晶構造において観察されるトランス立体配座である。丸で囲われた領域1は、AAI68_H3_23共結晶構造において観察される立体配座である。パネルBは、Neu5Acα2−6Galの立体配座マップであって、シス立体配座(丸で囲われた領域3)が、全てのHA−α2−6シアル化グリカン共結晶構造において観察される立体配座マップを示す図である。パネルCは、それぞれのHA−グリカン共結晶構造のα2−3シアル化オリゴ糖におけるNeu5Acの溶媒露出表面積(SASA)と、α2−6シアル化オリゴ糖におけるNeu5AcのSASAとの差違を示す図である。赤色バーおよびシアンバーは、それぞれ、α2−6シアル化グリカンにおけるNeu5Ac(正の値)、またはα2−3シアル化グリカンにおけるNeu5Ac(負の値)が、グリカン結合部位との接触を増大させることを示す。パネルDは、ブタおよびヒトのH1に結合したα2−3シアル化グリカン(H1α2−3)、トリおよびヒトのH3に結合したα2−3シアル化グリカン(H3α2−3)におけるNeuAcのSASAと、ブタおよびヒトのH1に結合したα2−6シアル化グリカン(H1α2−6)におけるNeuAcのSASAとの差違を示す図である。H3α2−3についての負のバーは、ヒトH3 HAのNeu5Acα2−3Galとの接触が、トリH3のNeu5Acα2−3Galとの接触と比較して低度であることを示す。ねじれ角−φ:C2−C1−O−C3結合(Neu5Acα2−3/6結合の場合);ψ:C1−O−C3−H3結合(Neu5Acα2−3Gal結合の場合)またはC1−O−C6−C5結合(Neu5Acα2−6Gal結合の場合);ω:O−C6−C5−H5結合(Neu5Acα2−6Gal結合の場合)。φ、ψマップは、Martin Frank博士およびClaus−Wilhelm von der Lieth博士(German Cancer Research Institute、Heidelberg、Germany)により開発されたGlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得た。高エネルギー〜低エネルギーにわたる色分けのスキームは、それぞれ、明るい赤色〜明るい緑色とする。 図11は、Neu5Acα2−3GalおよびNeu5Acα2−6Galモチーフの立体配座マップおよび溶媒露出度を示す図である。パネルAは、Neu5Acα2−3Gal結合の立体配座マップを示す図である。丸で囲われた領域2は、APR34_H1_23、ADU63_H3_23、およびADS97_H5_23による共結晶構造において観察されるトランス立体配座である。丸で囲われた領域1は、AAI68_H3_23共結晶構造において観察される立体配座である。パネルBは、Neu5Acα2−6Galの立体配座マップであって、シス立体配座(丸で囲われた領域3)が、全てのHA−α2−6シアル化グリカン共結晶構造において観察される立体配座マップを示す図である。パネルCは、それぞれのHA−グリカン共結晶構造のα2−3シアル化オリゴ糖におけるNeu5Acの溶媒露出表面積(SASA)と、α2−6シアル化オリゴ糖におけるNeu5AcのSASAとの差違を示す図である。赤色バーおよびシアンバーは、それぞれ、α2−6シアル化グリカンにおけるNeu5Ac(正の値)、またはα2−3シアル化グリカンにおけるNeu5Ac(負の値)が、グリカン結合部位との接触を増大させることを示す。パネルDは、ブタおよびヒトのH1に結合したα2−3シアル化グリカン(H1α2−3)、トリおよびヒトのH3に結合したα2−3シアル化グリカン(H3α2−3)におけるNeuAcのSASAと、ブタおよびヒトのH1に結合したα2−6シアル化グリカン(H1α2−6)におけるNeuAcのSASAとの差違を示す図である。H3α2−3についての負のバーは、ヒトH3 HAのNeu5Acα2−3Galとの接触が、トリH3のNeu5Acα2−3Galとの接触と比較して低度であることを示す。ねじれ角−φ:C2−C1−O−C3結合(Neu5Acα2−3/6結合の場合);ψ:C1−O−C3−H3結合(Neu5Acα2−3Gal結合の場合)またはC1−O−C6−C5結合(Neu5Acα2−6Gal結合の場合);ω:O−C6−C5−H5結合(Neu5Acα2−6Gal結合の場合)。φ、ψマップは、Martin Frank博士およびClaus−Wilhelm von der Lieth博士(German Cancer Research Institute、Heidelberg、Germany)により開発されたGlycoMaps DB(http://www.glycosciences.de/modeling/glycomapsdb/)から得た。高エネルギー〜低エネルギーにわたる色分けのスキームは、それぞれ、明るい赤色〜明るい緑色とする。 図12A〜Bは、上気道組織切片のレクチン染色を示す図である。Jacalin(明色)およびConA(暗色)で気管組織を共染色することにより、Jacalin(O結合型グリカンに特異的に結合する)の気管尖枝表面における杯細胞への優先的な結合、およびConA(N結合型グリカンに特異的に結合する)の気管上皮絨毛細胞への優先的な結合が明らかになる。特定のいかなる理論により拘束されることも望まないが、本発明者らは、この知見により、杯細胞が主にO結合型グリカンを発現させるのに対し、上皮絨毛細胞は主にN結合型グリカンを発現させることが示唆されることに注目する。JacalinおよびSNA(暗色;α2−6に特異的に結合する)で気管を共染色することにより、SNAの杯細胞および絨毛細胞の両方への結合が示される。他方、Jacalin(明色)およびα2−3シアル化グリカンに特異的に結合するMAL(暗色)による共染色は、MALの気管の多列上皮への結合は微弱な最小の結合〜結合なしであるが、気管組織の基底領域への結合は広範であることを示す。併せて、レクチン染色データにより、気管上皮の先端側の絨毛細胞および杯細胞のそれぞれにおけるN結合型およびO結合型グリカンの両方の一部として、α2−6シアル化グリカンの発現が優勢であり分布が広範であることが示された。 図12A〜Bは、上気道組織切片のレクチン染色を示す図である。Jacalin(明色)およびConA(暗色)で気管組織を共染色することにより、Jacalin(O結合型グリカンに特異的に結合する)の気管尖枝表面における杯細胞への優先的な結合、およびConA(N結合型グリカンに特異的に結合する)の気管上皮絨毛細胞への優先的な結合が明らかになる。特定のいかなる理論により拘束されることも望まないが、本発明者らは、この知見により、杯細胞が主にO結合型グリカンを発現させるのに対し、上皮絨毛細胞は主にN結合型グリカンを発現させることが示唆されることに注目する。JacalinおよびSNA(暗色;α2−6に特異的に結合する)で気管を共染色することにより、SNAの杯細胞および絨毛細胞の両方への結合が示される。他方、Jacalin(明色)およびα2−3シアル化グリカンに特異的に結合するMAL(暗色)による共染色は、MALの気管の多列上皮への結合は微弱な最小の結合〜結合なしであるが、気管組織の基底領域への結合は広範であることを示す。併せて、レクチン染色データにより、気管上皮の先端側の絨毛細胞および杯細胞のそれぞれにおけるN結合型およびO結合型グリカンの両方の一部として、α2−6シアル化グリカンの発現が優勢であり分布が広範であることが示された。 図13は、異なる遺伝的クレードにわたるH5N1 HAのRBSについての比較を示す図である。

図14は、Stevensら、2008年、J. Mol. Biol.、381巻:1382〜94頁を出典とする図である。Viet0304:A/Vietnam/1203/04。Ind505:A/Indonesia/5/05。LS:HAのRBSにおけるQ226L突然変異およびG228S突然変異。 図15は、Viet0304−LS HAおよびViet0304−RLS(Ind505−LSと同等の突然変異体)HAを、代表的なトリ受容体およびヒト受容体を含む本発明者らのグリカンアレイ上で用量依存的な形で解析したことを示す図である。いずれの突然変異体によっても、ヒト適応型HAにより共有される高親和性によるα2−6結合と対照的な最小のα2−6結合(結合シグナルが観察されるのはHA濃度が高いときに限られる)が示された。 図16は、LS突然変異の文脈でN158におけるグリコシル化を欠くH5N1 HAについての用量依存的な解析を示す図である。LS突然変異の文脈でN158におけるグリコシル化を除去したところ、ヒト受容体への結合親和性が、ヒト適応型H1N1 HAおよびH2N2 HAについて観察される範囲と同じ範囲(Kd’約20pM)まで増大した。H5 HA鋳型のN158におけるグリコシル化をQ226L突然変異だけ(すなわち、LS突然変異のうちのG228Sを伴わない)で除去したところ、ヒト受容体への優先性が改善される(トリ受容体への優先性を上回る)が、ヒト受容体への結合親和性は、N158において脱グリコシル化されたLS突然変異体と比較して実質的に低下することが示された。 図17は、ヒト適応型H2N2 HA(Alb6_58)と、ヒト適応型H5N1(Viet1203_04)HAとの間のRBSの顕著な特徴の比較を示す図である。H2N2 HAをH5N1 HAと比較したときの4つの差違は、(1)欠失を包含するH2N2 HAにおける130ループの組成物、(2)H2N2 HAの158位におけるグリコシル化の欠如、(3)137位、221位、226位、および228位を伴うRBS底部のアミノ酸組成物、ならびに(4)188位、192位、および193位を伴うRBS上部のアミノ酸組成物を包含する。 図18は、H5 HA突然変異体のRBSの、H2N2 HAのRBSとの比較を示す図である。A1b6_58_H2N2(配列番号89):A/Albany/6/58 H2N2 HA;Viet1203_04_D(配列番号90):A/Vietnam/1203/04 HAの修飾形;Viet1203_04_D_H2RBS(配列番号91):130位における欠失および13カ所のアミノ酸置換を伴う、Viet1203_04_Dの突然変異体;Viet1203_04_D_H2RBSmin(配列番号92):130位における欠失および7カ所の置換を伴う、Viet1203_04_Dの突然変異体;ckEgy_07(配列番号93):130位における欠失を既に有するA/chicken/Egypt/R2/2007 H5N1 HA;ckEgy_07_H2RBS(配列番号94):8カ所の置換を伴うckEgy_07の突然変異体;ckViet_08(配列番号95):192位および193位における電荷のスイッチを既に有するA/chicken/Vietnam/NCVD−093/2008 H5N1 HA;ckViet_08_H2RBS(配列番号96):130位における欠失および6カ所の置換を伴うckViet_08の突然変異体;ckViet_08H2RBSmin(配列番号97):130位における欠失および6カ所の置換を伴うckViet_08の突然変異体;ckViet_08_H2RBSmin(配列番号98):130位における欠失および4カ所の置換を伴うckViet_08の突然変異体。置換された残基の位置は、太字とし、かつ、強調する。130ループにおける欠失は、太字で強調して示す。158位におけるグリコシル化も強調する。 図19は、そのRBSの分子組成が、ヒト適応型H2N2 HAの分子組成を模倣するように、デザインされたH5N1 HA(Viet1203_04_D_H2RBS)の突然変異体についての用量依存的な解析を示す図である。この突然変異体は、他のヒト適応型HAの特徴である高度に特異的な高親和性によるヒト受容体への結合を示す。この突然変異体のヒト受容体(6’SLN−LN)に対する結合親和性は、ヒト適応型H1N1 HAおよびヒト適応型H2N2 HAのKd’と同じ範囲にあるKd’約3pMで定量化される。 図20は、流行性HAに特徴的なグリカン−受容体間結合の特性を示す図である。原型的なヒト適応型で流行性の1918年型H1N1(S1)株および1958年型H2N2(S2)株および2009年型H1N1(S3)株に由来するHAは、ヒト受容体(6’SLN−LN)に対しては、特異的な高親和性による結合を示すが、トリ受容体(3’SLN−LN)に対しては、最小〜実質的に低度の親和性による結合(ヒト受容体への親和性と比べて)を示す。他方、顕著な特徴であるLS突然変異をViet1203_04 H5N1 HAの配列に導入しても、その受容体への優先性が、流行性HAについて認められるヒト受容体への結合へとスイッチされることはない。 図21は、HA亜型に由来する代表的な配列の系統樹を示す図である。クレード1およびクレード2のHAをもたらす分枝を標識し、それぞれ、赤色および青色で着色する。類縁の緊密な亜型は、互いに近接する分枝に配置する。 図22は、H5 HAのRBS内で重要な構造的特徴を示す図である。図では、これらのHAの間で異なるアミノ酸の側鎖を伴う、Alb6_58 HA(グレー)およびViet0304(緑色)のRBSの模式図が示される。本文で記載されるH2のRBSとH5のRBSとを識別する4つの特徴を赤色点線の円で強調する。 図23は、代表的なH2 HAおよびH5 HAのRBSの配列アライメントを示す図である。流行性のH2N2株(A/Albany/6/58またはAlb58(配列番号98))、1997年〜2006年型株(A/Hong Kong/486/97またはHK_486_97(配列番号105)、A/Hong Kong/213/03またはHK_213_03(配列番号104)、A/Vietnam/1203/04またはViet1203_04(配列番号103)、A/Indonesia/5/05またはInd_5_05(配列番号102)、A/Egypt/2786−NAMRU3またはEgy_2786−N3_06(配列番号101))に由来する代表的なヒト単離物に由来するHA配列を、LS突然変異(ckEgy_07mutv5.3(配列番号99))を導入するのに選択されたH5 HA鋳型(A/chicken/Egypt/R2/07またはckEgy_07(配列番号100))と共に配列決定する。 図24は、LSアミノ酸変化を保有するckEgy_07およびckEgy_07のグリカン受容体結合特性を示す図である。HAの用量依存的な直接的グリカン結合は、代表的なヒト受容体およびトリ受容体を含むグリカンアレイプラットフォームにおいて実施した。パネルAでは、野生型のckEgy_07 HAにより、他の野生型のH5N1 HAに典型的な特異的でかつ高親和性によるトリ受容体への結合特徴が示される。パネルBは、LS突然変異をこのHAに導入することにより、その特異性がヒト受容体(6’SLN−LN)へと定量的にシフトされ、そのトリ受容体への結合が最小レベルへと実質的に低減されることを示す図である。パネルCは、ckEgy_07 LS突然変異体の、主にヒト気管組織切片の尖枝表面において発現する生理学的なヒト受容体への結合を示す図である。用量依存的な結合プロファイルに由来する、ヒト受容体に対する特異性および親和性は、突然変異体HAによるヒト気管組織の染色と併せると、要求される他の変化(PB2の変化など)の文脈で、この突然変異体HAを保有するH5N1ウイルスのエアロゾル伝染をもたらすのに十分でありうる程度の特異性および親和性である。 図24は、LSアミノ酸変化を保有するckEgy_07およびckEgy_07のグリカン受容体結合特性を示す図である。HAの用量依存的な直接的グリカン結合は、代表的なヒト受容体およびトリ受容体を含むグリカンアレイプラットフォームにおいて実施した。パネルAでは、野生型のckEgy_07 HAにより、他の野生型のH5N1 HAに典型的な特異的でかつ高親和性によるトリ受容体への結合特徴が示される。パネルBは、LS突然変異をこのHAに導入することにより、その特異性がヒト受容体(6’SLN−LN)へと定量的にシフトされ、そのトリ受容体への結合が最小レベルへと実質的に低減されることを示す図である。パネルCは、ckEgy_07 LS突然変異体の、主にヒト気管組織切片の尖枝表面において発現する生理学的なヒト受容体への結合を示す図である。用量依存的な結合プロファイルに由来する、ヒト受容体に対する特異性および親和性は、突然変異体HAによるヒト気管組織の染色と併せると、要求される他の変化(PB2の変化など)の文脈で、この突然変異体HAを保有するH5N1ウイルスのエアロゾル伝染をもたらすのに十分でありうる程度の特異性および親和性である。 図24は、LSアミノ酸変化を保有するckEgy_07およびckEgy_07のグリカン受容体結合特性を示す図である。HAの用量依存的な直接的グリカン結合は、代表的なヒト受容体およびトリ受容体を含むグリカンアレイプラットフォームにおいて実施した。パネルAでは、野生型のckEgy_07 HAにより、他の野生型のH5N1 HAに典型的な特異的でかつ高親和性によるトリ受容体への結合特徴が示される。パネルBは、LS突然変異をこのHAに導入することにより、その特異性がヒト受容体(6’SLN−LN)へと定量的にシフトされ、そのトリ受容体への結合が最小レベルへと実質的に低減されることを示す図である。パネルCは、ckEgy_07 LS突然変異体の、主にヒト気管組織切片の尖枝表面において発現する生理学的なヒト受容体への結合を示す図である。用量依存的な結合プロファイルに由来する、ヒト受容体に対する特異性および親和性は、突然変異体HAによるヒト気管組織の染色と併せると、要求される他の変化(PB2の変化など)の文脈で、この突然変異体HAを保有するH5N1ウイルスのエアロゾル伝染をもたらすのに十分でありうる程度の特異性および親和性である。 図25は、LS突然変異の文脈で、158位におけるグリコシル化の喪失の、H5 HAのグリカン受容体への結合に対する効果についての解析を示す図である。パネルAでは、ckEgy_07_LS突然変異体が、他の流行性HAに類似させるヒト受容体の定量的なスイッチを示す。パネルBは、比較のための、先行研究を出典とするA/California/04/2009 H1N1 HA(S3)株の結合曲線を示す。パネルCは、Viet03_04_ALS突然変異体におけるT160A突然変異により、この位置におけるグリコシル化の喪失をもたらす、N158におけるグリコシル化のシークォン配列が除去されることを示す図である。この突然変異体は、ヒト受容体への結合の劇的な改善を示すが、流行性HAおよびckEgy_07_LS突然変異体(上パネルに示す)に特徴的ではない、そのトリ受容体への結合の大半は保持する。パネルDでは、天然で158位におけるグリコシル化を欠くEgy_06HA配列に導入されたLSアミノ酸突然変異がまた、Viet03_04_ALS突然変異体と同じ結合プロファイルも示す。 図25は、LS突然変異の文脈で、158位におけるグリコシル化の喪失の、H5 HAのグリカン受容体への結合に対する効果についての解析を示す図である。パネルAでは、ckEgy_07_LS突然変異体が、他の流行性HAに類似させるヒト受容体の定量的なスイッチを示す。パネルBは、比較のための、先行研究を出典とするA/California/04/2009 H1N1 HA(S3)株の結合曲線を示す。パネルCは、Viet03_04_ALS突然変異体におけるT160A突然変異により、この位置におけるグリコシル化の喪失をもたらす、N158におけるグリコシル化のシークォン配列が除去されることを示す図である。この突然変異体は、ヒト受容体への結合の劇的な改善を示すが、流行性HAおよびckEgy_07_LS突然変異体(上パネルに示す)に特徴的ではない、そのトリ受容体への結合の大半は保持する。パネルDでは、天然で158位におけるグリコシル化を欠くEgy_06HA配列に導入されたLSアミノ酸突然変異がまた、Viet03_04_ALS突然変異体と同じ結合プロファイルも示す。 図25は、LS突然変異の文脈で、158位におけるグリコシル化の喪失の、H5 HAのグリカン受容体への結合に対する効果についての解析を示す図である。パネルAでは、ckEgy_07_LS突然変異体が、他の流行性HAに類似させるヒト受容体の定量的なスイッチを示す。パネルBは、比較のための、先行研究を出典とするA/California/04/2009 H1N1 HA(S3)株の結合曲線を示す。パネルCは、Viet03_04_ALS突然変異体におけるT160A突然変異により、この位置におけるグリコシル化の喪失をもたらす、N158におけるグリコシル化のシークォン配列が除去されることを示す図である。この突然変異体は、ヒト受容体への結合の劇的な改善を示すが、流行性HAおよびckEgy_07_LS突然変異体(上パネルに示す)に特徴的ではない、そのトリ受容体への結合の大半は保持する。パネルDでは、天然で158位におけるグリコシル化を欠くEgy_06HA配列に導入されたLSアミノ酸突然変異がまた、Viet03_04_ALS突然変異体と同じ結合プロファイルも示す。 図25は、LS突然変異の文脈で、158位におけるグリコシル化の喪失の、H5 HAのグリカン受容体への結合に対する効果についての解析を示す図である。パネルAでは、ckEgy_07_LS突然変異体が、他の流行性HAに類似させるヒト受容体の定量的なスイッチを示す。パネルBは、比較のための、先行研究を出典とするA/California/04/2009 H1N1 HA(S3)株の結合曲線を示す。パネルCは、Viet03_04_ALS突然変異体におけるT160A突然変異により、この位置におけるグリコシル化の喪失をもたらす、N158におけるグリコシル化のシークォン配列が除去されることを示す図である。この突然変異体は、ヒト受容体への結合の劇的な改善を示すが、流行性HAおよびckEgy_07_LS突然変異体(上パネルに示す)に特徴的ではない、そのトリ受容体への結合の大半は保持する。パネルDでは、天然で158位におけるグリコシル化を欠くEgy_06HA配列に導入されたLSアミノ酸突然変異がまた、Viet03_04_ALS突然変異体と同じ結合プロファイルも示す。 図26は、天然で特徴2を獲得した、H5N1 HA配列におけるヒト適応型のアミノ酸変化を示す図である。A/chicken/Vietnam/NCVD−093/2008トリH5N1 HAが、190螺旋において、典型的にThrを含む192位をLysへと突然変異させ、典型的にLys/Argを含む193位をMetへと突然変異させるアミノ酸変化を既に獲得している。6カ所のアミノ酸変化および欠失を導入して、特徴1(130ループにおける欠失+A130T)および特徴3(S137R/S221P/Q226L/S227G/G228S)に合致させたところ、結果として、158位におけるグリコシル化の存在下であってもその優先性をヒト受容体へと定量的にスイッチする突然変異体のHAが得られた。しかし、LS突然変異を伴うが、130ループにおける欠失は伴わずに、T160Aのグリコシル化の喪失の変化を導入したところ、結果として、ヒト受容体およびトリ受容体への結合の劇的な低減がもたらされた(データは示さない)。したがって、これらのH5N1 HAの場合、LS突然変異の文脈では、130ループにおける欠失が、グリコシル化の喪失よりはるかに重要な変化である。 図27は、近年のトリH5単離物およびヒトH5N1単離物における重要な特徴の出現を示す図である。パネルAでは、それらのHAがH2 HA RBSの特徴1および4に合致するアミノ酸変化を獲得したトリH5N1単離物およびヒトH5N1単離物の百分率を、株が単離された年の関数としてプロットする。2007年におけるそれらの最初の出現以来、これらの重要な特徴を有する単離物の百分率が劇的に増大している。これらの単離物の配列についての系統解析により、それらがクレード2.2.1に属することが示された。パネルBは、それらのHAがH2 HA RBSの特徴2に合致するアミノ酸変化を獲得したトリ単離物およびヒト単離物の百分率を示す図である。この特徴を獲得したのは、H5N1単離物のうちのわずかな部分であるに過ぎない。NCBI Influenza Virus Resourceに由来する全長の非冗長HA配列を配列決定し、所与の年における特徴の各々の発生数を計算し、百分率として表した。全長2277の非冗長H5N1配列を解析に用いた。 図27は、近年のトリH5単離物およびヒトH5N1単離物における重要な特徴の出現を示す図である。パネルAでは、それらのHAがH2 HA RBSの特徴1および4に合致するアミノ酸変化を獲得したトリH5N1単離物およびヒトH5N1単離物の百分率を、株が単離された年の関数としてプロットする。2007年におけるそれらの最初の出現以来、これらの重要な特徴を有する単離物の百分率が劇的に増大している。これらの単離物の配列についての系統解析により、それらがクレード2.2.1に属することが示された。パネルBは、それらのHAがH2 HA RBSの特徴2に合致するアミノ酸変化を獲得したトリ単離物およびヒト単離物の百分率を示す図である。この特徴を獲得したのは、H5N1単離物のうちのわずかな部分であるに過ぎない。NCBI Influenza Virus Resourceに由来する全長の非冗長HA配列を配列決定し、所与の年における特徴の各々の発生数を計算し、百分率として表した。全長2277の非冗長H5N1配列を解析に用いた。 図28は、グリカンアレイで用いられるグリカンの拡張命名法を示す図である。Neu5Ac:N−アセチルD−ノイラミン酸、Gal:D−ガラクトース、GlcNAc:N−アセチルD−グルコサミン。α/β:ピラノース糖のアノマー配置。全ての糖は、スペーサーを介してビオチンに結合する(http://www.functionalglycomics.org/static/consortium/resources/resourcecored5.shtmlにおいて記載されている−Sp−LC−LC−ビオチン)。
HA配列エレメントについての説明
HA配列エレメント1
HA配列エレメント1とは、天然のインフルエンザウイルス単離物中に見出される多くのHAタンパク質の残基97〜185(ここでは、基準としてのH3 HAを用いて残基の位置を割り当てる)にほぼ対応する配列エレメントである。この配列エレメントは、基本構造:
C(Y/F)PXCXWXWXHHP(配列番号106)
[配列中、
を約30〜45アミノ酸長とし、
を約5〜20アミノ酸長とし、
を約25〜30アミノ酸長とし、
を約2アミノ酸長とする]
を有する。
一部の実施形態では、Xを約35〜45アミノ酸長、または約35〜43アミノ酸長、または約35、36、37、38、38、40、41、42、もしくは43アミノ酸長とする。一部の実施形態では、Xを約9〜15アミノ酸長、または約9〜14アミノ酸長、または約9、10、11、12、13、もしくは14アミノ酸長とする。一部の実施形態では、Xを約26〜28アミノ酸長、または約26、27、もしくは28アミノ酸長とする。一部の実施形態では、Xが、配列(G/A)(I/V)を有する。一部の実施形態では、Xが、配列GIを有し、一部の実施形態では、Xが、配列GVを有し、一部の実施形態では、Xが、配列AIを有し、一部の実施形態では、Xが、配列AVを有する。一部の実施形態では、HA配列エレメント1が、ジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、このジスルフィド結合が、97位および139位(本明細書で用いられるカノニカルのH3番号付けシステムに基づく)に対応する残基を架橋する。
一部の実施形態では、および特にH1ポリペプチドでは、Xを約43アミノ酸長とし、かつ/またはXを約13アミノ酸長とし、かつ/またはXを約26アミノ酸長とする。一部の実施形態では、および特にH1ポリペプチドでは、HA配列エレメント1が、構造:
[配列中、
1Aを約27〜42アミノ酸長、または約32〜42アミノ酸長、または約32〜40アミノ酸長、または約26〜41アミノ酸長、または約31〜41アミノ酸長、または約31〜39アミノ酸長、または約31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40アミノ酸長とし、X〜Xを上記の通りとする]
を有する。
一部の実施形態では、および特にH1ポリペプチドでは、HA配列エレメント1が、構造:
[配列中、
1Aを約27〜42アミノ酸長、または約32〜42アミノ酸長、または約32〜40アミノ酸長、または約32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40アミノ酸長とし、
3Aを約23〜28アミノ酸長、または約24〜26アミノ酸長、または約24、25、もしくは26アミノ酸長とし、XおよびXを上記の通りとする]
を有する。
一部の実施形態では、および特にH1ポリペプチドでは、HA配列エレメント1が、典型的にはX内(X1A内を含めた)にあり、とりわけ、Xの残基12の近傍で始まる(例えば、図1〜3において例示される)配列:
を包含する。
一部の実施形態では、および特にH3ポリペプチドでは、Xを約39アミノ酸長とし、かつ/またはXを約13アミノ酸長とし、かつ/またはXを、約26アミノ酸長とする。
一部の実施形態では、および特にH3ポリペプチドでは、HA配列エレメント1が、構造:
[配列中、
1Aを約27〜42アミノ酸長、または約32〜42アミノ酸長、または約32〜40アミノ酸長、または約23〜38アミノ酸長、または約28〜38アミノ酸長、または約28〜36アミノ酸長、または約28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40アミノ酸長とし、X〜Xを上記の通りとする]
を有する。
一部の実施形態では、および特にH3ポリペプチドでは、HA配列エレメント1が、構造:
[配列中、
1Aを約27〜42アミノ酸長、または約32〜42アミノ酸長、または約32〜40アミノ酸長、または約32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40アミノ酸長とし、
3Aを約23〜28アミノ酸長、または約24〜26アミノ酸長、または約24、25、もしくは26アミノ酸長とし、XおよびXを上記の通りとする]
を有する。
一部の実施形態では、および特にH3ポリペプチドでは、HA配列エレメント1が、典型的にはX内(X1A内を含めた)にあり、とりわけ、Xの残基12の近傍で始まる(例えば、図1、2、および4において例示される)配列:
を包含する。
一部の実施形態では、および特にH5ポリペプチドでは、Xを約42アミノ酸長とし、かつ/またはXを約13アミノ酸長とし、かつ/またはXを約26アミノ酸長とする。
一部の実施形態では、および特にH5ポリペプチドでは、HA配列エレメント1が、構造:
[配列中、
1Aを約27〜42アミノ酸長、または約32〜42アミノ酸長、または約32〜40アミノ酸長、または約23〜38アミノ酸長、または約28〜38アミノ酸長、または約28〜36アミノ酸長、または約28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40アミノ酸長とし、X〜Xを上記の通りとする]
を有する。
一部の実施形態では、および特にH5ポリペプチドでは、HA配列エレメント1が、構造:
[配列中、
1Aを約27〜42アミノ酸長、または約32〜42アミノ酸長、または約32〜40アミノ酸長、または約32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40アミノ酸長とし、
3Aを約23〜28アミノ酸長、または約24〜26アミノ酸長、または約24、25、もしくは26アミノ酸長とし、XおよびXを上記の通りとする]
を有する。
一部の実施形態では、および特にH5ポリペプチドでは、HA配列エレメント1を、配列:
により伸長させる(すなわち、残基186〜193に対応する位置において)。
一部の実施形態では、および特にH5ポリペプチドでは、HA配列エレメント1が、典型的にはX内にあり、とりわけ、Xの残基6の近傍で始まる(例えば、図1、2、および5において例示される)配列:
を包含する。
HA配列エレメント2
HA配列エレメント2とは、天然のインフルエンザウイルス単離物中に見出される多くのHAタンパク質の残基324〜340(ここでもまた、H3 HAに基づく番号付けシステムを用いる)にほぼ対応する配列エレメントである。この配列エレメントは、基本構造:
を有する。一部の実施形態では、HA配列エレメント2が配列:
[配列中、
を約4〜14アミノ酸長、または約8〜12アミノ酸長、または約12、11、10、9、もしくは8アミノ酸長とする]
を有する。一部の実施形態では、この配列エレメントが、HA1およびHA2の生成を可能とするHA0の切断部位をもたらす。
一部の実施形態では、および特にH1ポリペプチドでは、HA配列エレメント2が、構造:
[配列中、
1Aを約3アミノ酸長とし、一部の実施形態では、X1AをG(L/I)Fとする]を有する。
一部の実施形態では、および特にH3ポリペプチドでは、HA配列エレメント2が、構造:
[配列中、
1Aを約3アミノ酸長とし、一部の実施形態では、X1AをG(L/I)Fとする]を有する。
一部の実施形態では、および特にH5ポリペプチドでは、HA配列エレメント2が、構造:
[配列中、
1Aを約3アミノ酸長とし、一部の実施形態では、X1AをG(L/I)Fとする]を有する。
定義
親和性:当技術分野で公知の「親和性」とは、特定のリガンド(例えば、HAポリペプチド)がそのパートナー(例えば、HA受容体)に結合する緊密さの尺度である。親和性は、異なる方法で測定することができる。
結合:本明細書で用いられる「結合」という用語とは典型的に、薬剤間(betweenまたはamong)における非共有結合的会合を指すことが理解されるであろう。本明細書の多くの実施形態では、結合が、特定のグリカン(例えば、アンブレラトポロジーグリカンまたはコーントポロジーグリカン)との関係で提起される。当業者は、このような結合を多様な文脈のうちのいずれにおいても評価しうることを理解するであろう。一部の実施形態では、結合を、遊離グリカンとの関係で評価する。一部の実施形態では、結合を、担体に結合した(例えば、これに共有結合的に連結された)グリカンとの関係で評価する。一部のこのような実施形態では、担体がポリペプチドである。一部の実施形態では、結合を、HA受容体に結合したグリカンとの関係で評価する。このような実施形態では、受容体への結合について言及する場合もあり、グリカンへの結合について言及する場合もある。
結合剤:本明細書では一般に、「結合剤」という用語を用いて、本明細書で記載される、グリカンに結合する(例えば、アンブレラトポロジーグリカンに結合する)任意の実体を指す。結合剤は、任意の化学的種類としうる。一部の実施形態では、結合剤をポリペプチド(例えば、抗体または抗体断片を含めた)とし、一部のこのような実施形態では、結合剤を、HAポリペプチドおよび/またはそれらの変異体および/またはそれらの特徴的部分とし、一部の実施形態では、結合剤を、それらのアミノ酸配列をHAに特徴的な配列を包含しないポリペプチド(すなわち、「非HAポリペプチド」)とする。一部の実施形態では、結合剤を低分子とする。一部の実施形態では、結合剤を核酸とする。一部の実施形態では、結合剤をアプタマーとする。一部の実施形態では、結合剤をポリマーとし、一部の実施形態では、結合剤を非ポリマー性とする。一部の実施形態では、結合剤を炭水化物とする。一部の実施形態では、結合剤をレクチンとする。一部の実施形態では、本明細書で記載される結合剤が、アンブレラ様トポロジーを有するシアル化グリカンに結合する。一部の実施形態では、結合剤が、高度な親和性および/または特異性でアンブレラトポロジーグリカンに結合する。一部の実施形態では、結合剤が、コーントポロジーグリカンと比較して、アンブレラトポロジーグリカンに対する結合優先性を示す。一部の実施形態では、結合剤が、血球凝集素受容体におけるグリカンへの結合について血球凝集素と競合する。一部の実施形態では、結合剤が、アンブレラトポロジーグリカンへの結合について血球凝集素と競合する。一部の実施形態では、本明細書で提供される結合剤を、アンブレラトポロジーの遮断剤とする。一部の実施形態では、本明細書で提供される結合剤を、アンブレラトポロジーの特異的遮断剤とする。一部の実施形態では、結合剤が、アンブレラトポロジーグリカンの模倣体に結合する。
生物学的に活性:本明細書で用いられる「生物学的に活性」という語句は、生体系において、特に、生物において活性を有する任意の薬剤の特徴を指す。例えば、生物に投与すると、その生物に対して生物学的効果を及ぼす薬剤を、生物学的に活性であると考える。一部の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドが生物学的に活性である場合、タンパク質またはポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を共有するそのタンパク質またはポリペプチドの部分を、典型的に「生物学的活性」部分と称する。
特徴的部分:本明細書で用いられる、タンパク質またはポリペプチドの「特徴的部分」という語句は、併せてタンパク質またはポリペプチドの特徴となるアミノ酸の連続的な連なり、またはアミノ酸の連続的な連なりの集合を含有する部分である。このような連続的な連なりの各々は一般に、少なくとも2アミノ酸を含有する。さらに、当業者は、典型的に、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20以上のアミノ酸が、タンパク質の特徴となるように要求されることを理解するであろう。一般に、特徴的部分とは、上記で指定した配列同一性に加えて、少なくとも1つの機能的特徴を関連するインタクトタンパク質と共有する部分である。
特徴的配列:「特徴的配列」とは、ポリペプチドまたは核酸の全てのファミリーメンバー中に見出され、したがって、当業者がそのファミリーのメンバーを規定するのに用いうる配列である。
コーントポロジー:本明細書では、「コーントポロジー」という語句を用いて、特定のグリカン、特にHA受容体におけるグリカンが取る3次元的配置を指す。図6に例示される通り、コーントポロジーは、α2−3シアル化グリカンが取る場合もあり、α2−6シアル化グリカンが取る場合もあり、短鎖オリゴ糖に典型的であるが、また、一部の長鎖オリゴ糖もこの立体配座を取る場合がある。コーントポロジーは、Neu5Acα2−3Galグリコシド結合のねじれ角であって、立体配座のエネルギーを最小とする3つの領域(図11)をサンプリングし、約−60、約60、または約180のφ(C1−C2−O−C3/C6)値ならびに−60〜60のψ(C2−O−C3/C6−H3/C5)によって与えられるねじれ角を特徴とする。図8は、コーントポロジーを取るグリカンの特定の代表的な(網羅的ではないが)例を示す。
〜に対応する:本明細書で用いられる「〜に対応する」という用語は、HAポリペプチド中のアミノ酸残基の位置/同一性を指示するのに用いられることが多い。当業者は、本明細書では簡潔さの目的で、例えば、190位の残基「に対応する」アミノ酸が、実際に特定のアミノ酸鎖の190番目のアミノ酸である必要はなく、むしろ、野生型のH3 HAの190位に見出される残基に対応するように、カノニカルの番号付けシステム(野生型のH3 HAに基づく)を用いる(例えば、図1〜5で例示される)ことを理解するであろう。対応するアミノ酸をどのようにして同定するかは、当業者が容易に理解する。
分離度〜次で隔てられた:本明細書で用いられる「分離度〜次で隔てられた」アミノ酸とは、グリカン結合に対して間接的な効果を及ぼすHAのアミノ酸である。例えば、分離度1次で隔てられたアミノ酸は、(1)直接的に結合するアミノ酸と相互作用する場合もあり、かつ/または(2)直接的に結合するアミノ酸が宿主細胞のHA受容体と会合するグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼす場合もあり、このような分離度1次で隔てられたアミノ酸は、グリカン自体に直接結合する場合もあり、結合しない場合もある。分離度2次で隔てられたアミノ酸は、(1)分離度1次で隔てられたアミノ酸と相互作用し、かつ/または(2)分離度1次で隔てられたアミノ酸が直接的に結合するアミノ酸などと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼす。
直接的に結合するアミノ酸:本明細書で用いられる「直接的に結合するアミノ酸」という語句は、宿主細胞のHA受容体と会合する1またはそれより多くのグリカンと直接的に相互作用する、HAポリペプチドのアミノ酸を指す。
操作された:本明細書で用いられる「操作された」という用語は、それらのアミノ酸配列が人間により選択されているポリペプチドについて記載する。例えば、操作されたHAポリペプチドのアミノ酸配列は、天然のインフルエンザウイルス単離物中に見出されるHAポリペプチドのアミノ酸配列と異なる。一部の実施形態では、操作されたHAポリペプチドのアミノ酸配列は、NCBIデータベース中に包含されるHAポリペプチドのアミノ酸配列と異なる。
H1ポリペプチド:本明細書で用いられる「H1ポリペプチド」という用語は、それらのアミノ酸配列が、H1の特徴であり、H1を他のHA亜型から識別する少なくとも1つの配列エレメントを包含するHAポリペプチドである。このような代表的な配列エレメントは、例えば、図1〜3で例示されるアライメントなどのアライメントにより決定することができ、これらには例えば、HA配列エレメントのH1特異的な実施形態との関係において本明細書で記載されるものが含まれる。
H3ポリペプチド:本明細書で用いられる用語「H3ポリペプチド」とは、それらのアミノ酸配列が、H3の特徴であり、H3を他のHA亜型から識別する少なくとも1つの配列エレメントを包含するHAポリペプチドである。このような代表的な配列エレメントは、例えば、図1、2、および4で例示されるアライメントなどのアライメントにより決定することができ、これらには例えば、HA配列エレメントのH3特異的な実施形態との関係において本明細書で記載されるものが含まれる。
H5ポリペプチド:本明細書で用いられる用語「H5ポリペプチド」とは、それらのアミノ酸配列が、H5の特徴であり、H5を他のHA亜型から識別する少なくとも1つの配列エレメントを包含するHAポリペプチドである。このような代表的な配列エレメントは、例えば、図1、2、および5で例示されるアライメントなどのアライメントにより決定することができ、これらには例えば、HA配列エレメントのH5特異的な実施形態との関係において本明細書で記載されるものが含まれる。
HXポリペプチド:本明細書で用いられる用語「HXポリペプチド」とは、それらのアミノ酸配列が、HXの特徴であり、HXを他のHA亜型から識別する少なくとも1つの配列エレメントを包含するHAポリペプチドであり、この場合、「X」とは、HA亜型の番号付け(例えば、「X」=1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16とすると、それぞれ、「HX」=H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16となる)を指す。
血球凝集素(HA)ポリペプチド:本明細書で用いられる「血球凝集素ポリペプチド」(または「HAポリペプチド」)という用語は、それらのアミノ酸配列が、HAの少なくとも1つの特徴的配列を包含するポリペプチドを指す。当技術分野では、インフルエンザウイルス単離物に由来する多種多様なHA配列が公知であり、実際、米国立生物工学情報センター(NCBI)は、本出願の出願時現在で9796のHA配列を包含するデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/FLU/flu.html)を維持している。当業者は、このデータベースを参照することにより、一般にHAポリペプチドの特徴である配列を容易に同定することもでき、かつ/もしくは特定のHAポリペプチド(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16のポリペプチド)の特徴である配列を容易に同定することもでき、特定の宿主、例えば、トリ、ラクダ、イヌ、ネコ、ジャコウネコ、環境、ウマ、ヒト、ヒョウ、ミンク、マウス、アザラシ、ムナジロテン、ブタ、トラ、クジラなどの感染を媒介するHAの特徴である配列を容易に同定することもできる。例えば、一部の実施形態では、HAポリペプチドが、インフルエンザウイルスの天然の単離物中に見出されるHAタンパク質の残基97の近傍と185の近傍との間、324の近傍と340の近傍との間、96の近傍と100の近傍との間、および/または130の近傍と230の近傍との間で見出される1またはそれより多くの特徴的配列エレメントを包含する。一部の実施形態では、HAポリペプチドが、本明細書で規定されるHA配列エレメント1および2のうちの少なくとも1つを含むアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチドが、HA配列エレメント1および2を含み、一部の実施形態では、互いに約100〜約200、または約125〜約175、または約125〜約160、または約125〜約150、または約129〜約139、または約129、約130、約131、約132、約133、約134、約135、約136、約137、約138、もしくは約139アミノ酸隔てられたアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチドが、グリカン結合に関与する領域96〜100および/または130〜230内の位置にある残基を包含するアミノ酸配列を有する。例えば、多くのHAポリペプチドは、以下の残基:Tyr98、Ser/Thr136、Trp153、His183、およびLeu/Ile194のうちの1またはそれより多くを包含する。一部の実施形態では、HAポリペプチドが、これらの残基のうちの少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つ全てを包含する。
単離された:本明細書で用いられる「単離された」という用語は、(i)当初生成した(天然でまたは実験環境において)ときに会合していた成分のうちの少なくとも一部から分離されているか、または(ii)人工的に生成させた薬剤または実体を指す。単離された薬剤または実体は、それらが当初会合していた他の成分のうちの少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%以上から分離することができる。一部の実施形態では、単離された薬剤が、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超えて純粋である。
結合特異的遮断剤(LSBA):本明細書で用いられる「結合特異的遮断剤」という用語は、α2−6シアル化グリカンを有するHA受容体に結合する薬剤を指す。一部の実施形態では、LSBAが、α2−6シアル化グリカンを有するHA受容体に、α2−3シアル化グリカンを有するHA受容体に対する親和性の少なくとも約40、50、または75%の親和性で選択的に結合する。一部の実施形態では、LSBAが、α2−6シアル化グリカンを有するHA受容体に、α2−3シアル化グリカンを有するHA受容体に対する親和性の少なくとも約2、4、5、または10倍の親和性で選択的に結合する。一部の実施形態では、LSBAのα2−6シアル化グリカンに対する親和性が、α2−3シアル化グリカンに対するその親和性の少なくとも50、100、150、または200%である。一部の実施形態では、LSBAが、HA受容体への結合について血球凝集素と競合しうる。例えば、LSBAは、結合特徴(例えば、α2−6シアル化グリカンまたはα2−3シアル化グリカン)に基づき、インフルエンザウイルス粒子(例えば、ヒトインフルエンザウイルスまたはトリインフルエンザウイルス)のHA受容体への結合を選択的に阻害しうる。一部の実施形態では、LSBAをポリペプチドとする。一部のこのような実施形態では、LSBAポリペプチドが、天然のポリペプチドのアミノ酸配列と実質的に同一であるかまたは実質的に相同であるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、LSBAポリペプチドをHAポリペプチドとする。一部の実施形態では、LSBAポリペプチドを、天然のHAポリペプチドまたはその断片とする。一部の実施形態では、LSBAポリペプチドが、HAポリペプチドのアミノ酸配列とは類縁でないアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、LSBAポリペプチドを、抗体またはその断片とする。一部の実施形態では、LSBAポリペプチドを、レクチン(例えば、SNA−1)とする。一部の実施形態では、LSBAをポリペプチドでないとする。一部の実施形態では、LSBAを低分子とする。一部の実施形態では、LSBAを核酸とする。
長鎖オリゴ糖:本開示の目的では、それが少なくとも4つの糖残基を有する少なくとも1つの直鎖を包含する場合に典型的に、オリゴ糖を「長鎖」であると考える。
非天然アミノ酸:「非天然アミノ酸」という語句は、アミノ酸の化学構造(すなわち:
であり、したがって、少なくとも2つのペプチド結合に関与することが可能であるが、天然で見出されるR基と異なるR基を有する)を有する実体を指す。一部の実施形態では、非天然アミノ酸はまた、水素ではなく、第2のR基も有する場合もあり、かつ/またはアミノ酸部分またはカルボン酸部分において1またはそれより多くの他の置換を有する場合もある。
ポリペプチド:一般的に述べると、「ポリペプチド」とは、ペプチド結合を介して互いに結合した少なくとも2アミノ酸の連なりである。一部の実施形態では、ポリペプチドが、それらの各々が少なくとも1つのペプチド結合を介して他のアミノ酸に結合した、少なくとも3〜5アミノ酸を包含しうる。当業者は、ポリペプチドが場合によって、「非天然」アミノ酸または他の実体であるにもかかわらず、場合によってポリペプチド鎖へと組み込まれることが可能な「非天然」アミノ酸または他の実体も包含することを理解するであろう。
純粋な:本明細書で用いられる薬剤または実体は、それが実質的に他の成分を含まない場合に「純粋」である。例えば、特定の薬剤または実体を約90%超含有する調製物を、典型的に純粋な調製物であると考える。一部の実施形態では、薬剤または実体が、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%純粋である。
短鎖オリゴ糖:本開示の目的では、任意の直鎖においてそれが有する残基が4未満、または確実に3未満である場合に典型的に、オリゴ糖を「短鎖」であると考える。
特異性:当技術分野において公知の「特異性」とは、特定のリガンド(例えば、HAポリペプチド)が、その結合パートナー(例えば、ヒトHA受容体、特にヒト上気道HA受容体)を、他の潜在的な結合パートナー(例えば、トリHA受容体)から識別する能力の尺度である。
実質的な相同性:本明細書では、「実質的な相同性」という語句を用いて、アミノ酸配列または核酸配列の間の比較を指す。当業者が理解する通り、一般に、それらが対応する位置において相同な残基を含有する場合に2つの配列を「実質的に相同」であると考える。相同な残基は、同一な残基の場合がある。代替的に、相同な残基は、適切な形で同様の構造的特徴および/または機能的特徴を有する同一でない残基でもありうる。例えば、当業者に周知である通り、特定のアミノ酸は、「疎水性」アミノ酸もしくは「親水性」アミノ酸として、かつ/または「極性」側鎖もしくは「非極性」側鎖を有するものとして典型的に分類される。1つのアミノ酸の別の同じ種類のアミノ酸への置換は、「相同」置換と考えうることが多い。典型的なアミノ酸の類別を以下にまとめる。
当技術分野において周知である通り、アミノ酸配列または核酸配列は、ヌクレオチド配列用のBLASTN、ならびにアミノ酸配列用のBLASTP、gapped BLAST、およびPSI−BLASTなど、市販のコンピュータプログラムにおいて使用可能なアルゴリズムを含めた各種のアルゴリズムのうちのいずれかを用いて比較することができる。例示的なこのようなプログラムは、これらの後出の全てが参照により本明細書に組み込まれる、
において記載されている。相同な配列を同定するステップに加えて、上述のプログラムは典型的に、相同性の程度の指標ももたらす。一部の実施形態では、それらの対応する残基のうちの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%以上が関連する残基の連なりにわたり相同である場合に、2つの配列を実質的に相同であると考える。一部の実施形態では、関連する連なりを、完全な配列とする。一部の実施形態では、関連する連なりを、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも275、少なくとも300、少なくとも325、少なくとも350、少なくとも375、少なくとも400、少なくとも425、少なくとも450、少なくとも475、少なくとも500以上の残基とする。
実質的同一性:本明細書では、「実質的同一性」という語句を用いて、アミノ酸配列または核酸配列の間の比較を指す。当業者が理解する通り、一般に、それらが対応する位置において同一な残基を含有する場合に、2つの配列を「実質的に同一」であると考える。当技術分野において周知である通り、アミノ酸配列または核酸配列は、ヌクレオチド配列用のBLASTN、ならびにアミノ酸配列用のBLASTP、gapped BLAST、およびPSI−BLASTなど、市販のコンピュータプログラムにおいて使用可能なアルゴリズムを含めた各種のアルゴリズムのうちのいずれかを用いて比較することができる。例示的なこのようなプログラムは、これらの後出の全てが参照により本明細書に組み込まれる、Altschulら、「Basic local alignment search tool」、J. Mol. Biol.、215巻(3号):403〜410頁、1990年;Altschulら、「Methods in Enzymology」;Altschulら、「Gapped BLAST and PSI−BLAST:
a new generation of protein database search programs」、Nucleic Acids Res.、25巻:3389〜3402頁、1997年;Baxevanisら、「Bioinformatics : A Practical Guide to the Analysis of
Genes and Proteins」、Wiley、1998年;およびMisenerら(編)、「Bioinformatics Methods and Protocols」(「Methods in Molecular Biology」、132巻)、Humana Press、1999年において記載されている。同一な配列を同定するステップに加えて、上述のプログラムは典型的に、同一性の程度の指標ももたらす。一部の実施形態では、それらの対応する残基のうちの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%以上が関連する残基の連なりにわたり同一である場合に、2つの配列を実質的に同一であると考える。一部の実施形態では、関連する連なりを、完全な配列とする。一部の実施形態では、関連する連なりを、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも275、少なくとも300、少なくとも325、少なくとも350、少なくとも375、少なくとも400、少なくとも425、少なくとも450、少なくとも475、少なくとも500以上の残基とする。
治療剤:本明細書で用いられる「治療剤」という語句は、所望の生物学的または薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。
処置:本明細書で用いられる「処置」という用語は、疾患、障害、または状態の1またはそれより多くの症状または様相を緩和するか、これらの発症を遅延させるか、これらの重症度もしくは発症率の低減またはこれらの予防をもたらすのに用いられる任意の方法を指す。本発明の目的では、症状の発症前に処置を行うこともでき、症状の発症時に処置を行うこともでき、かつ/または症状の発症後に処置を行うこともできる。
アンブレラトポロジー:本明細書では、「アンブレラトポロジー」という語句を用いて、特定のグリカン、特にHA受容体におけるグリカンが取る3次元的配置を指す。本発明は、アンブレラトポロジーグリカンへの結合が、ヒト宿主の感染を媒介するHAタンパク質の特徴であることの認識を包含する。図6で例示する通り、アンブレラトポロジーを典型的に取るのは、α2−6シアル化グリカンだけであり、長鎖(例えば、四糖より長い)オリゴ糖に典型的である。一部の実施形態では、アンブレラトポロジーグリカンが、図6(右パネル)に提示される構造と実質的に同様の3次元構造を呈示するグリカンである。一部の実施形態では、アンブレラトポロジーグリカンが、図6(右パネル)に示されるアミノ酸残基を介してHAポリペプチドに接触するグリカンである。一部の実施形態では、アンブレラトポロジーグリカンが、図6(右パネル)に示されるアミノ酸結合ポケットに接触し、かつ/または特異的に結合することが可能なグリカンである。一部の実施形態では、グリカンの構造的トポロジーを、SiaのC、GalのC、およびGlcNAcのCの間の角として定義されるパラメータであるθに基づいて分類する。θ<100°の値は、α2−3グリカンおよび短鎖α2−6グリカンが取るコーン様トポロジーを表す。θ>110°の値は、長鎖α2−6グリカンが取るトポロジーなどのアンブレラ様トポロジーを表す(図6)。アンブレラトポロジーの例は、Neu5Acα2−6Gal結合の角φ約−60によって与えられる(例えば、図11を参照されたい)。図9は、アンブレラトポロジーを取りうるグリカンの特定の代表的な(網羅的ではないが)例を示す。図9に提示される長鎖α2−6モチーフは、非還元末端において生物学的なN結合型グリカン、O結合型グリカン、および糖脂質の一部として見出される長鎖(例えば、少なくとも三糖である)に結合するNeu5Acα2−6を包含する。枠囲いした挿入図は、高親和性でHAに結合する生物学的グリカンの一部として見出されるアンブレラトポロジーの長鎖α2−6グリカン部分の例を示す。一部の実施形態では、アンブレラトポロジーグリカン(例えば、1つの部位における)が、短鎖α2−6(例えば、単一のラクトサミン)分枝より大きな比率で長鎖(例えば、複数のラクトサミン単位)α2−6オリゴ糖分枝を含む。一部の実施形態では、アンブレラトポロジーグリカン(例えば、1つの部位における)が、短鎖α2−6(例えば、単一のラクトサミン)分枝の約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、または約50倍を超える長鎖α2−6オリゴ糖分枝を含む。一部の実施形態では、HAのアンブレラトポロジーグリカンおよび/またはグリカンデコイとの相互作用の固有の特徴を、HAの非還元末端においてシアル酸(SA)および/またはSA類似体を含むグリカンとの接触とする。一部の実施形態では、オリゴ糖の鎖長を、少なくとも三糖(SAまたはSA類似体を除く)とする。一部の実施形態では、図6の右側パネルに示される番号付けされた残基の組合せが、アンブレラ様トポロジーとの接触に関与している。一部の実施形態では、アンブレラトポロジーグリカンを、以下の形態:
Neu5Acα2−6Sug1−Sug2−Sug3
[配列中、
(a)Neu5Acα2−6が、典型的に(本質的にではないが)非還元末端にあり、
(b)Sug1を、
(i)α配置もしくはβ配置(N結合型伸長鎖およびO結合型伸長鎖ではβ配置とすることが多く、糖タンパク質にO結合するGalNAcα配置の場合はα配置とする)のヘキソース(GalまたはGlcとすることが多い)もしくはヘキソサミン(GlcNAcまたはGalNAc)とし、
(ii)Neu5Acα2−6以外の糖が、Sug1(Sug1を、糖タンパク質にO結合したGalNAcα配置とする場合を除く)の非還元位置のうちのいずれにも結合しないとし、かつ/または
(iii)硫酸、リン酸、グアニジウム、アミン、N−アセチルなどの非糖部分を、Sug1(例えば、HAとの接触を改善するために)の非還元位置(典型的には6位)に結合させることができ、
(c)Sug2および/またはSug3を、
(i)α配置もしくはβ配置(β配置とすることが多い)のヘキソース(GalまたはGlcとすることが多い)もしくはヘキソサミン(GlcNAcまたはGalNAc)とし、かつ/または
(ii)糖(Fucなど)もしくは硫酸、リン酸、グアニジウム、アミン、N−アセチルなどの非糖部分を、Sug2、Sug3、および/もしくはSug4の非還元位置に結合させることができ、
(d)Neu5Acα2−6結合とは別に、オリゴ糖における任意の2つの糖の間の結合を、1−2結合、1−3結合、1−4結合、および/または1−6結合(典型的に1−3結合または1−4結合)とすることができ、かつ/または
(e)Neu5Acα2−6が、糖タンパク質にO結合したGalNAcαに結合し、さらなる糖がGalNAcαの非還元末端に結合する構造、例えば
を取る]
のオリゴ糖とする。
アンブレラトポロジー遮断剤(UTBA):本明細書で用いられる「アンブレラトポロジー遮断剤」という用語は、アンブレラトポロジーグリカンを有するHA受容体に結合する薬剤を指す。一部の実施形態では、UTBAが、ヒト上気道中に見出されるアンブレラトポロジーグリカンを有するHA受容体に結合する。UBTAが、アンブレラトポロジーグリカンに結合する場合もあり、かつ/またはコーントポロジーグリカンに結合する場合もある。一部の実施形態では、UTBAが、アンブレラトポロジーグリカンに、コーントポロジーグリカンに対するその親和性の50、100、150、または200%の親和性で選択的に結合する。一部の実施形態では、UTBAが、アンブレラトポロジーグリカンに、コーントポロジーグリカンに対するその親和性の50〜150%の親和性で選択的に結合する。一部の実施形態では、UTBAが、アンブレラトポロジーグリカンに、コーントポロジーグリカンに対するその親和性とほぼ同じ親和性で結合する。例えば、一部の実施形態では、UTBAが、アンブレラトポロジーグリカン(例えば、6’SLN−LN)に、それがコーントポロジーグリカン(例えば、3’SLN−LN)に結合するときの親和性の約50〜200%、50〜150%、またはほぼ同じ親和性で結合する。一部の実施形態では、UTBAが、インフルエンザウイルス粒子(例えば、ヒトインフルエンザウイルスまたはトリインフルエンザウイルス)のHA受容体への結合を、受容体のグリカントポロジー(例えば、アンブレラトポロジーまたはコーントポロジー)に基づいて選択的に阻害する。一部の実施形態では、UTBAをポリペプチドとする。一部のこのような実施形態では、UTBAポリペプチドが、天然のポリペプチドのアミノ酸配列と実質的に同一であるかまたは実質的に相同であるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、UTBAポリペプチドをHAポリペプチドとする。一部の実施形態では、UTBAポリペプチドを、天然のHAポリペプチドまたはその断片とする。一部の実施形態では、UTBAポリペプチドが、HAポリペプチドのアミノ酸配列とは類縁でないアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、UTBAポリペプチドを、抗体またはその断片とする。一部の実施形態では、UTBAポリペプチドを、レクチン(例えば、SNA−1)とする。一部の実施形態では、UTBAをポリペプチドでないとする。一部の実施形態では、UTBAを低分子とする。一部の実施形態では、UTBAを核酸とする。
アンブレラトポロジーグリカンの模倣体:「アンブレラトポロジーグリカンの模倣体」とは、本明細書で記載される結合剤に結合する、アンブレラトポロジーグリカン以外の薬剤である。一部の実施形態では、アンブレラトポロジーグリカンの模倣体が、HAポリペプチドに結合する薬剤である。一部のこのような実施形態では、アンブレラトポロジーグリカンの模倣体が、残基95、98、128、130、131、132、133、135、136、137、138、145、153、155、156、158、159、160、183、186、187、188、189、190、192、193、194、195、196、219、221、222、224、225、226、227、228、およびこれらの組合せからなる群から選択されるHAポリペプチド残基と相互作用する薬剤である。一部のこのような実施形態では、アンブレラトポロジーグリカンの模倣体が、残基130、131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、228、およびこれらの組合せからなる群から選択されるHAポリペプチド残基と相互作用する薬剤である。一部のこのような実施形態では、アンブレラトポロジーグリカンの模倣体が、残基160、192、193、およびこれらの組合せからなる群から選択されるHAポリペプチド残基と相互作用する薬剤である。上記で言及したアミノ酸位置は、H3 HAの番号付けに基づくことに注意されたい。一部の実施形態では、HAトポロジーグリカンの模倣体が、HAポリペプチドとの相互作用についてアンブレラトポロジーグリカンと競合する薬剤である。
アンブレラトポロジー特異的遮断剤(UTSBA):本明細書で用いられる「アンブレラトポロジー特異的遮断剤」という用語は、ヒト上気道中に見出されるアンブレラトポロジーグリカンを有するHA受容体に結合する薬剤を指す。UTSBAは、アンブレラトポロジーグリカンHAに選択的に結合する。例えば、UTSBAは、アンブレラトポロジーグリカン(例えば、6’SLN−LN)に、それがコーントポロジーグリカン(例えば、3’SLN−LN)に結合するときの親和性のほぼ少なくとも2、少なくとも4、少なくとも5、または少なくとも10倍の親和性で結合する。典型的に、UTSBAのアンブレラトポロジーグリカンに対する親和性は、1nMより大きい。典型的に、UTSBAのコーントポロジーグリカンに対する親和性は、アンブレラトポロジーグリカンの、SC18、Mos99、Tx91などのヒト適応型HA、およびSNA−Iなどのα2−6結合する植物レクチンに対する結合親和性の少なくとも2〜3桁の範囲内である。用量依存的な直接的結合アッセイにより測定されるUTSBAの結合親和性(図19および20)は、典型的に、少なくとも1nMとなるであろう。典型的に、UTSBAのコーントポロジーグリカンに対する親和性は、最大でも、コーントポロジーグリカンの、Viet0405株、Av18株などのトリHAに対する結合親和性より1〜3桁小さい。一部の実施形態では、UTSBAが、インフルエンザウイルス粒子(例えば、ヒトインフルエンザウイルスまたはトリインフルエンザウイルス)のHA受容体(例えば、H1、H2、もしくはH3、またはヒト適応型のH5、H7、もしくはH9)への結合を、グリカントポロジー(例えば、アンブレラトポロジーまたはコーントポロジー)に基づいて選択的に阻害する。一部の実施形態では、UTSBAをポリペプチドとする。一部のこのような実施形態では、UTSBAポリペプチドが、天然のポリペプチドのアミノ酸配列と実質的に同一であるかまたは実質的に相同であるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、UTSBAポリペプチドをHAポリペプチドとする。一部の実施形態では、UTSBAポリペプチドを、天然のHAポリペプチドまたはその断片とする。一部の実施形態では、UTSBAポリペプチドが、HAポリペプチドのアミノ酸配列とは類縁でないアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、UTSBAポリペプチドを、抗体またはその断片とする。一部の実施形態では、UTSBAポリペプチドを、レクチン(例えば、SNA−1)とする。一部の実施形態では、UTSBAをポリペプチドでないとする。一部の実施形態では、UTSBAを低分子とする。一部の実施形態では、UTSBAを核酸とする。
ワクチン接種:本明細書で用いられる「ワクチン接種」という用語は、例えば、病原作用物質に対する免疫反応を発生させることを意図する組成物の投与を指す。本発明の目的では、ワクチン接種を、病原作用物質への曝露前、曝露時、および/または曝露後に、ならびに、一部の実施形態では、この病原作用物質への曝露前、曝露時、および/または曝露直後に実施することができる。一部の実施形態では、ワクチン接種が、適切な形で時間間隔を置いた、ワクチン接種用組成物の複数回の投与を包含する。
変異体:本明細書で用いられる「変異体」という用語は、特定の対象のポリペプチド(例えば、HAポリペプチド)と、その配列を比較する「親」ポリペプチドとの間の関係について記載する、関係についての用語である。対象のポリペプチドが、特定の位置における少数の配列変化を除き、親ポリペプチドのアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する場合に、対象のポリペプチドを親ポリペプチドの「変異体」であると考える。典型的には、変異体中の残基のうち、親ポリペプチドと比較して置換されている残基が、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%より少ない。一部の実施形態では、変異体の残基が、親ポリペプチドと比較して10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1カ所置換されている。変異体の機能的残基(すなわち、特定の生物学的活性に関与する残基)の置換は、きわめて少数(例えば、5、4、3、2、または1カ所より少ない)であることが多い。さらに、変異体は、典型的に、親ポリペプチドと比較した付加または欠失が5、4、3、2、または1カ所以下であり、付加または欠失を有さないことが多い。さらに、いかなる付加または欠失も、典型的に約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約10、約9、約8、約7、約6残基より少なく、一般に約5、約4、約3、または約2残基より少ない。一部の実施形態では、親ポリペプチドを、天然で見出されるポリペプチドとする。例えば、親HAポリペプチドを、天然の(例えば、野生型の)インフルエンザウイルスの単離物中に見出されるポリペプチド(例えば、野生型のHAポリペプチド)とすることができる。
ベクター:本明細書で用いられる「ベクター」とは、それを連結した別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を指す。一部の実施形態では、ベクターが、真核細胞または原核細胞などの宿主細胞において、それらを連結した核酸の染色体外における複製および/または発現を可能とする。本明細書では、作動可能に連結された遺伝子の発現を方向付けることが可能なベクターを、「発現ベクター」と称する。
野生型の:当技術分野で理解される通り、「野生型の」という語句は一般に、タンパク質または核酸の、天然で見出される通常の形態を指す。例えば、野生型のHAポリペプチドは、インフルエンザウイルスの天然の単離物中で見出される。異なる多様な野生型のHA配列は、NCBIによるインフルエンザウイルスの配列データベースである、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/FLU/FLU.html中に見出すことができる。
特定の実施形態についての詳細な説明
本発明は、アンブレラトポロジーグリカンに結合する結合剤(例えば、HAポリペプチド、HAポリペプチド変異体、LSBA、UTBA、UTSBAなど)を提供する。一部の実施形態では、本発明が、特定の標的種のHA受容体において見出されるアンブレラトポロジーグリカンに結合する結合剤を提供する。例えば、一部の実施形態では、本発明が、ヒトHA受容体、例えば、ヒト上皮細胞において見出されるHA受容体において見出されるアンブレラトポロジーグリカンに結合する結合剤、特に上気道のヒトHA受容体において見出されるアンブレラトポロジーグリカンに結合する結合剤を提供する。
本発明は、ヒト上気道の細胞において見出されるHA受容体に結合する結合剤を提供し、特に、このような受容体に、指定された親和性および/または特異性で結合する(および/またはそれらのグリカンに結合する、特に、それらのアンブレラグリカンに結合する)結合剤を提供する。
一部の実施形態では、本発明による結合剤をHAポリペプチド配列とするか、または本発明による結合剤がHAポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、天然の親HAポリペプチド配列と、残基130、131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、228、およびこれらの組合せからなる群から選択される残基のうちの1またはそれより多くで異なるHAポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、天然の親HAポリペプチド配列と、残基160、192、193、およびこれらの組合せからなる群から選択される残基のうちの1またはそれより多くで異なるHAポリペプチド配列を含む。
本発明は、アンブレラトポロジーグリカン(例えば、長鎖α2−6シアル化グリカン)に結合する能力、特に高親和性で結合する能力を獲得することにより、HAポリペプチド変異体にヒトに感染する能力を付与しうる(その親HAポリペプチドが感染可能でない場合に)ことの認識を包含する。特定のいかなる理論により拘束されることも望まないが、本発明者らは、アンブレラトポロジーグリカンへの結合が決定的な場合があり、特に、他のグリカン型への結合の喪失は要求されない場合があることを提起する。
本発明は、例えば、それらを同定するためのシステム、それらを調製する戦略、それらに結合する抗体、およびそれらに関連する多様な診断法および治療法を含めた、本発明による結合剤(例えば、HAポリペプチド、HAポリペプチド変異体、UTBA、UTSBAなど)と関連する多様な試薬および方法をさらに提供する。本発明のこれらの態様の特定の実施形態および他の実施形態についてのさらなる説明を以下に示す。
血球凝集素(HA)
インフルエンザウイルスは、特定のウイルスの膜に埋め込まれた2つの糖タンパク質である、血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)を含有する脂質膜エンベロープを特徴とするRNAウイルスである。16のHA亜型および9つのNA亜型が公知であり、異なるインフルエンザ株は、株のHA亜型およびNA亜型の番号に基づいて命名されている。アミノ酸配列の同一性および結晶構造の比較に基づき、HA亜型は、2つの主要な群および4つの小クレードに分けられている。異なるHA亜型は必ずしも高度のアミノ酸配列の同一性を共有するわけでないが、異なるHA亜型の全体的な3D構造は、分類目的に用いうる複数の微細な差違を伴いながらも、互いと類似している。例えば、膜遠位側のサブドメインの、中央のα螺旋に対する特定の配向性は、HA亜型を決定するのに一般に用いられる1つの構造的特徴である(参照により本明細書に組み込まれる、Russellら、2004年、Virology、325巻:287頁)。
HAは、16の亜型のうちの1つによるホモ三量体として膜内にて存在し、H1〜H16と称する。これまでのところ、ヒト感染に適応しているのは、これらの亜型のうちの3つ(H1、H2、およびH3)だけである。ヒトに感染するように適応したHAの報告された1つの特徴(例えば、流行性H1N1(1918年型)インフルエンザ亜型およびH3N2(1967〜68年型)インフルエンザ亜型に由来するHAの特徴)は、それらが、α2−3シアル化グリカンに優先的に結合するそれらのトリ前駆体と比較して、α2−6シアル化グリカンに優先的に結合する能力である(それらの全てが参照により本明細書に組み込まれる、
しかし、本発明は、ヒト宿主に感染する能力は、特定の結合のグリカンへの結合との相関は小さいが、特定のトポロジーのグリカンへの結合との相関は大きいことの認識を包含する。したがって、本発明は、ヒトの感染を媒介するHAが、アンブレラトポロジーグリカンに結合し、コーントポロジーグリカンに対する優先性を上回るアンブレラトポロジーグリカンに対する優先性が示されることが多い(コーントポロジーグリカンがα2−6シアル化グリカンの場合でも)ことを裏付ける。
シアル化オリゴ糖(α2−3結合およびα2−6結合の両方の)に結合したH1(ヒトおよびブタ)亜型、H3(トリ)亜型、およびH5(トリ)亜型に由来するHAの複数の結晶構造が入手可能であり、これらにより、HAのこれらのグリカンとの異なる相互作用に関与している特定のアミノ酸への分子的洞察がもたらされる(それらの全てが参照により本明細書に組み込まれる、
例えば、単独であるかまたはα2−3シアル化オリゴ糖またはα2−6シアル化オリゴ糖に結合したH5(A/duck/Singapore/3/97)の結晶構造により、特定の結合したグリカンと直接相互作用するアミノ酸が同定され、また、分離度1次または複数次で隔てられたアミノ酸も同定される(参照により本明細書に組み込まれる、Stevensら、2001年、Proc Natl Acad Sci USA、98巻:11181頁)。場合によっては、これらの残基の立体配座が、非結合状態と対比した結合状態において異なる。例えば、Glu190、Lys193、およびGln226の全ては、直接的な結合相互作用に関与し、立体配座が非結合状態と対比した結合状態において異なる。また、Glu190に近位であるAsn186の立体配座も、非結合状態と対比した結合状態において著明に異なる。
結合剤
上記で言及した通り、本発明は、アンブレラトポロジーグリカンへの結合が、例えば、ヒトを含めた特定の宿主の感染を媒介する能力と相関することの知見を包含する。したがって、本発明は、アンブレラグリカンに結合する(および/またはアンブレラトポロジーグリカンの模倣体に結合する)結合剤(例えば、HAポリペプチド、HAポリペプチド変異体、LSBA、UTBA、UTSBAなど)を提供する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、アンブレラグリカンに高親和性で結合する(および/またはアンブレラトポロジーグリカンの模倣体に高親和性で結合する)。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、複数の異なるアンブレラトポロジーグリカンに、高度な親和性および/または特異性で結合することが多い。
一部の実施形態では、本発明による結合剤が、アンブレラトポロジーグリカン(例えば、長鎖α2−6シアル化グリカン、例えば、Neu5Acα2−6Galβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4GlcNAc−など)に、高親和性で結合する。例えば、一部の実施形態では、本発明による結合剤が、ヒトの感染を媒介する野生型のHA(例えば、H1N1 HAまたはH3N2 HA)について観察される親和性と同等な親和性でアンブレラトポロジーグリカンに結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、アンブレラグリカンに、同等の条件下でヒトの感染を媒介する野生型のHAについて観察される親和性の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の親和性で結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、アンブレラグリカンに、ヒトの感染を媒介する野生型のHAについて同等の条件下で観察される親和性より大きな親和性で結合する。
一部の実施形態では、本発明による結合剤の結合親和性を、ある濃度範囲にわたり評価する。特に、多価結合アッセイでは、このような戦略により、単一濃度の解析より著明に多くの情報がもたらされる。一部の実施形態では、例えば、本発明による結合剤の結合親和性を、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10倍以上の範囲の濃度にわたり評価する。
一部の実施形態では、それらが本明細書で記載されるアッセイなどの多価グリカンアレイ結合アッセイにおいて飽和シグナルを示す場合に、本発明による結合剤が高親和性を示す。一部の実施形態では、それらがこのような研究において約400000以上を上回る(例えば、約500000、約600000、約700000、約800000などを上回る)シグナルを示す場合に、本発明による結合剤が高親和性を示す。一部の実施形態では、本明細書で記載される結合剤が、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍以上の濃度範囲にわたりアンブレラグリカンに対する飽和結合を示し、一部の実施形態では、10倍以上に及ぶ濃度範囲にわたりアンブレラグリカンに対する飽和結合を示す。
さらに、一部の実施形態では、本発明による結合剤が、コーントポロジーグリカンに結合するより強力にアンブレラトポロジーグリカン(および/またはアンブレラトポロジーグリカンの模倣体)に結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、アンブレラグリカンに対して、コーングリカンと対比して約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2の相対的親和性を示す。
一部の実施形態では、本発明による結合剤が、α2−6シアル化グリカンに結合し、一部の実施形態では、本発明による結合剤が、α2−6シアル化グリカンに優先的に結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、複数の異なるα2−6シアル化グリカンに結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、α2−3シアル化グリカンに結合することが可能ではないが、一部の実施形態では、本発明による結合剤が、α2−3シアル化グリカンに結合することが可能である。
一部の実施形態では、本発明による結合剤が、ヒト上気道上皮細胞において見出される受容体に結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、気管支および/または気管のHA受容体に結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、肺深部の受容体に結合することが可能ではないが、一部の実施形態では、本発明による結合剤が、肺深部の受容体に結合することが可能である。
一部の実施形態では、本発明による結合剤が、ヒト上気道組織(例えば、上皮細胞)のHA受容体において見出されるグリカンのうちの少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上に結合する。
一部の実施形態では、本発明による結合剤が、図9で例示されるグリカンのうちの1またはそれより多くに結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、図9で例示される複数のグリカンに結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、図9で例示されるグリカンに、高度な親和性および/または特異性で結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、図9で例示されるグリカンに、図8で例示されるグリカンに対するそれらの結合と比較して優先的に結合する。一部の実施形態では、本発明による結合剤が、以下の形態:
Neu5Acα2−6Sug1−Sug2−Sug3
[配列中、
1.Neu5Acα2−6が、常にまたはほとんど常に非還元末端にあり、
2.Sug1を、
a.α配置もしくはβ配置(N結合型伸長鎖およびO結合型伸長鎖ではβ配置とすることが多く、糖タンパク質にO結合するGalNAcα配置の場合はα配置とする)のヘキソース(GalまたはGlcとすることが多い)もしくはヘキソサミン(GlcNAcまたはGalNAc)とし、
b.Neu5Acα2−6以外の糖が、Sug1(Sug1を糖タンパク質にO結合したGalNAcα配置とする場合を除く)の非還元位置のうちのいずれにも結合しないものとし、かつ/または
c.硫酸、リン酸、グアニジウム、アミン、N−アセチルなどの非糖部分を、HAとの接触を改善するために、Sug1の非還元位置(典型的には6位)に結合させることができ、
3.Sug2および/またはSug3を、
a.α配置もしくはβ配置(β配置とすることが多い)のヘキソース(GalまたはGlcとすることが多い)もしくはヘキソサミン(GlcNAcまたはGalNAc)とし、かつ/または
b.糖(Fucなど)もしくは硫酸、リン酸、グアニジウム、アミン、N−アセチルなどの非糖部分を、Sug2、Sug3、および/もしくはSug4の非還元位置に結合させることができ、
4.Neu5Acα2−6結合とは別に、オリゴ糖における任意の2つの糖の間の結合を、1−2結合、1−3結合、1−4結合、および/または1−6結合(典型的に1−3結合または1−4結合)とすることができ、かつ/または
5.Neu5Acα2−6が、糖タンパク質にO結合したGalNAcαに結合し、さらなる糖がGalNAcαの非還元末端に結合する構造、例えば、
を取る]
のオリゴ糖に結合する。
本発明は、結合特異性が指定された結合剤を提供し、また、結合特徴がアンブレラグリカンとの関係で指定された結合剤も提供する。
本発明が提供する特定の具体的な結合剤については、以下でより詳細に説明する。
HAポリペプチド
一部の実施形態では、本発明による結合剤をHAポリペプチドとする。例えば、本発明は、結合特異性が指定された、単離されたHAポリペプチドを提供し、また、結合特徴がアンブレラグリカンとの関係で指定された、操作されたHAポリペプチドも提供する。
一部の実施形態では、提供される結合特徴が指定されたHAポリペプチドを、H1ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H2ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H3ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H4ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H5ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H6ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H7ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H8ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H9ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H10ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H11ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H12ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H13ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H14ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H15ポリペプチドとする。一部の実施形態では、結合特徴が指定された本発明によるHAポリペプチドを、H16ポリペプチドとする。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチドが、株:A/South Carolina/1/1918;A/Puerto Rico/8/1934;A/Taiwan/1/1986;A/Texas/36/1991;A/Beijing/262/1995;A/Johannesburg/92/1996;A/New Caledonia/20/1999;A/Solomon Islands/3/2006のうちのいずれに由来するH1タンパク質も包含しない。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチドが、1957〜58年のアジアにおけるインフルエンザの流行時の株のうちのいずれに由来するH2タンパク質でもない。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチドが、株:A/Japan/305+/1957;A/Singapore/1/1957;A/Taiwan/1/1964;A/Taiwan/1/1967のうちのいずれに由来するH2タンパク質も包含しない。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチドが、株:A/Aichi/2/1968;A/Philippines/2/1982;A/Mississippi/1/1985;A/Leningrad/360/1986;A/Sichuan/2/1987;A/Shanghai/11/1987;A/Beijing/353/1989;A/Shandong/9/1993;A/Johannesburg/33/1994;A/Nanchang/813/1995;A/Sydney/5/1997;A/Moscow/10/1999;A/Panama/2007/1999;A/Wyoming/3/2003;A/Oklahoma/323/2003;A/California/7/2004;A/Wisconsin/65/2005のうちのいずれに由来するH3タンパク質も包含しない。
変異体のHAポリペプチド
一部の実施形態では、そのアミノ酸配列が少数の特定の配列変化を除き親HAポリペプチドのアミノ酸配列と同一である点において、提供されるHAポリペプチドを、親HAの変異体とする。一部の実施形態では、親HAを、インフルエンザウイルスの天然の単離物中に見出されるHAポリペプチド(例えば、野生型のHAポリペプチド)とする。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体のグリカン結合特徴が、それらの対応する親HAポリペプチドと異なる。一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのアンブレラグリカンに対する親和性および/または特異性(例えば、コーングリカンに対する親和性および/または特異性と比較した)が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドより大きい。一部の実施形態では、このようなHAポリペプチド変異体を、操作された変異体とする。
一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのアンブレラグリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して大きい。一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのコーントポロジーグリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して低減される。一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのアンブレラグリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して大きく、コーントポロジーグリカンに対する親和性および/または特異性が低減される。
一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのα2−6グリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して大きい。一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのα2−3グリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して低減される。一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのα2−6グリカンおよびα2−3グリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して大きい。一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのα2−6グリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して大きく、α2−3グリカンに対する親和性および/または特異性が低減される。
一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのアンブレラトポロジーグリカンおよびα2−3グリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して大きい。一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのアンブレラトポロジーグリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して大きく、α2−3グリカンに対する親和性および/または特異性が低減される。
一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのα2−6グリカンおよびコーントポロジーグリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して大きい。一部の実施形態では、本発明によるHA変異体ポリペプチドのα2−6グリカンに対する親和性および/または特異性が、それらのコグネイトの親HAポリペプチドと比較して大きく、コーントポロジーグリカンに対する親和性および/または特異性が低減される。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体が、異なるHA亜型中に見出されるHA配列と符合する1またはそれより多くの配列変化を含有する。具体的な一例を挙げると、一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体が、H5
HAポリペプチド変異体をH2 HAポリペプチドに酷似させる1またはそれより多くの配列変化を含有する。別の具体例を挙げると、一部の実施形態では、本発明によるH5
HAポリペプチド変異体が、H5 HAポリペプチド変異体をH1 HAポリペプチドに酷似させる1またはそれより多くの配列変化を含有する。
本発明は特に、グリコシル化を変化させたHAポリペプチド変異体(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16のHAポリペプチド変異体)が、基準のHAポリペプチドと比較して2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10,000倍以上の親和性をヒトHA受容体に対して示しうることの認識を包含する。本発明はまた特に、HAのループ領域を変化させたHAポリペプチド変異体(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16のHAポリペプチド変異体)が、基準のHAポリペプチド(例えば、配列番号43〜55のうちのいずれかのHAポリペプチド)と比較して2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10,000倍以上の親和性をヒトHA受容体に対して示しうることの認識も包含する。
本発明は特に、グリコシル化を変化させたHAポリペプチド変異体(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16のHAポリペプチド変異体)が、基準のHAポリペプチドと比較して2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10,000倍以上の特異性をヒトHA受容体に対して示しうることの認識を包含する。本発明はまた特に、HAのループ領域を変化させたHAポリペプチド変異体(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16のHAポリペプチド変異体)が、基準のHAポリペプチド(例えば、配列番号43〜55のうちのいずれかのHAポリペプチド)と比較して2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、10,000倍以上の特異性をヒトHA受容体に対して示しうることの認識も包含する。
一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/South Carolina/1/18(H1N1)(配列番号43)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/Brisbane/59/07(配列番号44)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/California/04/09(配列番号45)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/Albany/6/58(H2N2)(配列番号46)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/Aichi/1/68(配列番号47)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/Moscow/10/99(配列番号48)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/Perth/16/09(配列番号49)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/Vietnam/1203/04(配列番号50)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/Egypt/2786−NAMRU3/06(配列番号51)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/New York/107/03(配列番号52)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/Hongkong/486/97(配列番号53)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/Hongkong/213/03(配列番号54)に由来するHAとする。一部の実施形態では、基準のHAポリペプチドを、A/Indonesia/5/05(配列番号55)に由来するHAとする。
一部の実施形態では、グリカン結合特徴を変化させたHAポリペプチド変異体が、グリカン結合部位内の残基またはグリカン結合部位に影響を及ぼす残基において、1またはそれより多くの配列変化を有する。一部の実施形態では、このような置換を、結合したグリカンと直接相互作用するアミノ酸の置換とし、一部の実施形態では、分離度1次で隔てられたアミノ酸は、(1)直接的に結合するアミノ酸と相互作用するか、(2)直接的に結合するアミノ酸がグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼすが、グリカン自体とは直接相互作用しないか、または(3)直接的に結合するアミノ酸がグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼし、また、グリカン自体とも直接相互作用するので、このような置換を、結合したグリカンと相互作用するアミノ酸から分離度1次で隔てられたアミノ酸の置換とする。本発明によるHAポリペプチド変異体は、1もしくは複数の直接的に結合するアミノ酸、1もしくは複数の分離度1次のアミノ酸、1もしくは複数の分離度2次のアミノ酸、またはこれらの任意の組合せの置換を含有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体が、1またはそれより多くの分離度がなおより高次なアミノ酸の置換を含有しうる。
一部の実施形態では、グリカン結合特徴を変化させたHAポリペプチド変異体が、Neu5AcおよびGalの向こう側の糖と接触する残基において配列変化を有する(例えば、図7を参照されたい)。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体が、野生型の親HAと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体が、コグネイトの野生型の親HAと比較して少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ以上のアミノ酸置換を有し、一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体が、2つ、3つ、または4つのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、このようなアミノ酸置換の全てを、グリカン結合部位内に配置する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体が、米国特許公開第2009/0269342号および同第2010/0004195号のうちのいずれか、ならびに2010年7月2日に出願され、「COMPOSITIONS AND METHODS FOR DIAGNOSING AND/OR TREATING INFLUENZA INFECTION」と題する、米国特許出願第12/829931号(これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる)において記載されている1またはそれより多くのアミノ酸置換を含有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体が、残基95、98、128、130、131、132、133、135、136、137、138、145、153、155、156、158、159、160、183、186、187、188、189、190、192、193、194、195、196、219、221、222、224、225、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において配列の置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体、特に、H5ポリペプチド変異体が、残基95、98、128、130、131、132、133、135、136、137、138、145、153、155、156、158、159、160、183、186、187、188、189、190、192、193、194、195、196、219、221、222、224、225、226、227、および228からなる群から選択される残基において、野生型の親HA(例えば、H5)と比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体、特に、H5ポリペプチド変異体が、残基95、98、128、130、131、132、133、135、136、137、138、145、153、155、156、158、159、160、183、186、187、188、189、190、192、193、194、195、196、219、221、222、224、225、226、227、および228からなる群から選択される任意の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、または37残基において、野生型の親HA(例えば、H5)と比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、アミノ酸158位に対応する部位におけるグリコシル化を低減または消失させる配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、アミノ酸158位に対応する部位に結合したグリカンの同一性および/または構造に影響を及ぼし、かつ/またはこれを変化させる配列置換を有する。一部の実施形態では、このような配列置換は、158位に対応する部位における突然変異、例えば、Asn158Xaa[XaaはAsn以外の任意のアミノ酸である]である。一部の実施形態では、このような配列置換は、160位に対応する部位における突然変異、例えば、Thr160Xaa[XaaはAsn以外の任意のアミノ酸である]である。一部の実施形態では、このような配列置換が、突然変異Thr160Alaを含む。一部の実施形態では、アミノ酸158位に対応する部位におけるグリコシル化を低減するか、消失させるか、これに影響を及ぼすか、またはこれを変化させる配列置換により、非H2
HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)を、H2 HAポリペプチドに酷似させる(例えば、構造的にも機能的にも酷似させる)ことができる。一部の実施形態では、160位に対応する部位における突然変異(例えば、Thr160AlaなどのThr160Xaa)により、非H2 HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)を、H2 HAポリペプチドに酷似させる(例えば、構造的にも機能的にも酷似させる)ことができる。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基226、228、および160のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基226、228、および160に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基226および160に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基228および160に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基226および228に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基226、228、および158のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基226、228、および158に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基226および158に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基228および158に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基226および228に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、HAポリペプチドのループ領域のうちの1またはそれより多くにおいて欠失を包含する配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5
HAポリペプチド変異体)が、HAポリペプチドの128〜137のループ領域に対応する部位において欠失を包含する配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、HAポリペプチドの残基128、129、130、131、132、133、134、135、136、および/または137に対応するアミノ酸位置のうちの1またはそれより多くにおいて欠失を包含する配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、HAポリペプチドの128〜134のループ領域に対応する部位において欠失を包含する配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、HAポリペプチドの残基128、129、130、131、132、133、および/または134に対応するアミノ酸位置のうちの1またはそれより多くにおいて欠失を包含する配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基130に対応するアミノ酸の欠失を包含する配列置換を有する。一部の実施形態では、このようなループ領域の置換により、非H2 HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)を、H2 HAポリペプチドに酷似させる(例えば、構造的にも機能的にも酷似させる)ことができる。一部の実施形態では、残基130に対応するアミノ酸の欠失により、非H2 HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)を、H2 HAポリペプチドに酷似させる(例えば、構造的にも機能的にも酷似させる)ことができる。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、または14個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、または13個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、132、135、188、192、221、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、132、135、188、192、221、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、132、135、188、192、および221のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、132、135、188、192、および221のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、または6個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基133、137、155、193、226、227、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5
HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基133、137、155、193、226、227、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5
HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基133、137、155、193、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基133、137、155、193、226、227、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基130、192、および193のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基130、192、193のうちの任意の1個、2個、または3個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基192および193のうちの一方または両方に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、または16個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、または15個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基137、188、192、193、226、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基137、188、192、193、226、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基137、188、192、193、226、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基137、188、192、193、226、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、または6個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基137、188、192、193、226、227、228、131、132、133、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基137、188、192、193、226、227、228、131、132、133、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基137、188、192、193、226、227、228、131、132、および133のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基137、188、192、193、226、227、228、131、132、および133のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基227、131、132、133、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基227、131、132、133、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、または5個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基227、131、132、および133のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基227、131、132、および133のうちの任意の1個、2個、3個、または4個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、133、137、155、188、192、193、226、227、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、133、137、155、188、192、193、226、227、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、133、137、155、188、192、193、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、133、137、155、188、192、193、226、227、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、133、137、155、188、192、193、226、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、133、137、155、188、192、193、226、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、133、137、155、188、192、193、226、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、133、137、155、188、192、193、226、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、または9個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、227、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、227、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、または13個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、227、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基137、188、192、193、226、228、131、132、133、221、227、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基137、188、192、193、226、228、131、132、133、221、227、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基137、188、192、193、226、228、131、132、133、221および227のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基137、188、192、193、226、228、131、132、133、221、および227のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、132、133、221、227、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、132、133、221、227、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、または6個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、132、133、221、および227のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、132、133、221、および227のうちの任意の1個、2個、3個、4個、または5個に対応する位置において、野生型の親HA(例えば、H5 HA)と比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体、特にH5ポリペプチド変異体が、残基98、136、153、155、183、および194が含まれるがこれらに限定されない、グリカンに直接結合する受容体の領域に位置するアミノ酸から選択される残基において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体、特にH5ポリペプチド変異体が、(a)残基98および195、(b)残基98、138、186、187、195、および228、または(c)残基138、186、187、および228が含まれるがこれらに限定されない、グリカンに直接結合する受容体の領域に隣接して位置するアミノ酸から選択される残基において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体、特にH5変異体が、以下のアミノ酸置換のうちの1またはそれより多くを有する:
(アミノ酸置換中、Xaa=Asn以外の任意のアミノ酸)、
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基192に対応する位置においてその位置において電荷をスイッチするアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基193に対応する位置においてその位置において電荷をスイッチするアミノ酸置換を有する。例えば、一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基192に対応する位置においてThrまたは疎水性残基(例えば、ValまたはIle)を有し、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基192に対応する位置において親水性残基を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基192に対応する位置において親水性残基を有する。別の例を挙げれば、一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基192に対応する位置においてThrまたは疎水性残基(例えば、ValまたはIle)を有し、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基192に対応する位置において塩基性残基(例えば、LysまたはArg)を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基192に対応する位置において塩基性残基(例えば、LysまたはArg)を有する。さらに別の例を挙げれば、一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基193に対応する位置において塩基性残基(例えば、LysまたはArg)を有し、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基193に対応する位置において中性残基または酸性残基を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基193に対応する位置において中性残基または酸性残基を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基193に対応する位置においてThr、Ala、Met、またはValを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)のヒト適応化が、188位における残基の特性(複数可)と関連する。H5 HAでは、残基188が、残基192においてThrまたは疎水性残基と接触するAlaであることが多い。これに対し、H2 HAでは、残基188が、残基192においてArgまたはLysと接触するGluまたはAspであることが多い。よって、一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、188位においてGluを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、188位においてAspを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、Ala188Glu置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、Ala188Asp置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置において疎水性残基を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてArgを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてArgを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてLysを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてLysを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置においてThrを有し、残基193に対応する位置においてLysを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置において疎水性残基を有し、残基193に対応する位置においてLysを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置においてThrを有し、残基193に対応する位置においてArgを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置において疎水性残基を有し、残基193に対応する位置においてArgを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてArgを有し、残基193に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてArgを有し、残基193に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてLysを有し、残基193に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5
HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてLysを有し、残基193に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてArgを有し、残基193に対応する位置においてThr、Ala、Met、またはValを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてArgを有し、残基193に対応する位置においてThr、Ala、Met、またはValを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてLysを有し、残基193に対応する位置においてThr、Ala、Met、またはValを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてLysを有し、残基193に対応する位置においてThr、Ala、Met、またはValを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基131に対応する位置においてAlaを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131に対応する位置においてThrを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基132に対応する位置においてSerを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基132に対応する位置においてThrを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基133に対応する位置においてSerを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基133に対応する位置においてThrを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基131、132、および/または133に対応する任意の位置においてAla、Thr、および/またはSerを包含する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基131、132、および/または133に対応する任意の位置においてAla、Thr、および/またはSerを包含する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、131、132、および133に対応する位置の全てにおいてThrを包含する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基135に対応する位置においてValを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基135に対応する位置においてVal以外の任意のアミノ酸を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基137に対応する位置においてSerを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基137に対応する位置においてArgを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基155に対応する位置においてIleを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基155に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基155に対応する位置においてThrを包含する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基155に対応する位置においてThrを包含する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基221に対応する位置においてSerを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基221に対応する位置においてProを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基221に対応する位置においてSerを包含する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基221に対応する位置においてProを包含する。特定のいかなる一つの理論により拘束されることも望まないが、Pro221は、H2 HAのRBSと関与する220ループの立体配座に影響を及ぼしうるであろう。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基226に対応する位置においてGlnを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基226に対応する位置においてLeuを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基227に対応する位置においてSerを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基227に対応する位置においてGlyを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基228に対応する位置においてGlyを有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基228に対応する位置においてSerを有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、残基226、227、および228に対応する位置において、それぞれ、Gln、Ser、およびGly残基を包含する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、残基226、227、および228に対応する位置において、それぞれ、Leu、Gly、およびSerを包含する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体、特にH5変異体が、表示される位置(これらの位置の番号付けは、H3 HAの番号付けに対応する)において以下のアミノ酸:
・Δ130(「Δ130」とは、130位に対応するアミノ酸における欠失を示す)+残基131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基131、132、135、188、192、および221に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基133、137、155、193、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基131、133、137、155、188、192、193、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基131、133、137、155、188、192、193、226、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基137、188、192、193、226、228、131、132、133、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基131、132、133、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基137、188、192、193、226、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基137、188、192、193、226、227、228、131、132、および133に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+残基227、131、132、および133に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
(Xaa=任意のアミノ酸)
・Δ130、Xaa131Ser/Thr、Xaa132Ser/Thr、Xaa133Ser/Thr、Ser221Pro、Ser227Gly(Xaa=任意のアミノ酸)
・Δ130、Xaa192Xaa’(Xaa=任意の疎水性アミノ酸、およびXaa’=任意の親水性アミノ酸)
・Δ130、Xaa192Lys/Arg(Xaa=任意の疎水性残基)
・Δ130、Xaa193Xaa’(Xaa=塩基性残基、例えば、LysまたはArg、およびXaa’=中性残基または酸性残基)
・Δ130、Lys/Arg193Thr/Ala/Met/Val
・Δ130、Xaa192Xaa’(Xaa=任意の疎水性アミノ酸、およびXaa’=任意の親水性アミノ酸)、Xaa193Xaa’(Xaa=塩基性残基、例えば、LysまたはArg、およびXaa’=中性残基または酸性残基)
・Δ130、Xaa192Lys/Arg(Xaa=任意の疎水性残基)、Xaa193Xaa’(Xaa=塩基性残基、例えば、LysまたはArg、およびXaa’=中性残基または酸性残基)
・Δ130、Xaa192Xaa’(Xaa=任意の疎水性アミノ酸、およびXaa’=任意の親水性アミノ酸)、Lys/Arg193Thr/Ala/Met/Val
・Δ130、Xaa192Lys/Arg(Xaa=任意の疎水性残基)、Lys/Arg193Thr/Ala/Met/Val
・Δ130、Ala188Glu
・Δ130、Ala188Asp
・Δ130、Xaa192Xaa’(Xaa=任意の疎水性アミノ酸、およびXaa’=任意の親水性アミノ酸)、Ala188Glu
・Δ130、Xaa192Lys/Arg(Xaa=任意の疎水性残基)、Ala188Glu
・Δ130、Xaa193Xaa’(Xaa=塩基性残基、例えば、LysまたはArg、およびXaa’=中性残基または酸性残基)、Ala188Glu
・Δ130、Lys/Arg193Thr/Ala/Met/Val、Ala188Glu
・Δ130、Xaa192Xaa’(Xaa=任意の疎水性アミノ酸、およびXaa’=任意の親水性アミノ酸)、Ala188Asp
・Δ130、Xaa192Lys/Arg(Xaa=任意の疎水性残基)、Ala188Asp
・Δ130、Xaa193Xaa’(Xaa=塩基性残基、例えば、LysまたはArg、およびXaa’=中性残基または酸性残基)、Ala188Asp
・Δ130、Lys/Arg193Thr/Ala/Met/Val、Ala188Asp
・Δ130、Xaa192Xaa’(Xaa=任意の疎水性アミノ酸、およびXaa’=任意の親水性アミノ酸)、Xaa193Xaa’(Xaa=塩基性残基、例えば、LysまたはArg、およびXaa’=中性残基または酸性残基)、Ala188Glu
・Δ130、Xaa192Lys/Arg(Xaa=任意の疎水性残基)、Xaa193Xaa’(Xaa=塩基性残基、例えば、LysまたはArg、およびXaa’=中性残基または酸性残基)、Ala188Glu
・Δ130、Xaa192Xaa’(Xaa=任意の疎水性アミノ酸、およびXaa’=任意の親水性アミノ酸)、Lys/Arg193Thr/Ala/Met/Val、Ala188Glu
・Δ130、Xaa192Lys/Arg(Xaa=任意の疎水性残基)、Lys/Arg193Thr/Ala/Met/Val、Ala188Glu
・Δ130、Xaa192Xaa’(Xaa=任意の疎水性アミノ酸、およびXaa’=任意の親水性アミノ酸)、Xaa193Xaa’(Xaa=塩基性残基、例えば、LysまたはArg、およびXaa’=中性残基または酸性残基)、Ala188Asp
・Δ130、Xaa192Lys/Arg(Xaa=任意の疎水性残基)、Xaa193Xaa’(Xaa=塩基性残基、例えば、LysまたはArg、およびXaa’=中性残基または酸性残基)、Ala188Asp
・Δ130、Xaa192Xaa’(Xaa=任意の疎水性アミノ酸、およびXaa’=任意の親水性アミノ酸)、Lys/Arg193Thr/Ala/Met/Val、Ala188Asp
・Δ130、Xaa192Lys/Arg(Xaa=任意の疎水性残基)、Lys/Arg193Thr/Ala/Met/Val、Ala188Asp
のうちの1またはそれより多くを有する。
一部の実施形態では、本発明が、それらのアミノ酸配列が、以下に示されるエレメント:
・X130+X131、X132、X133、X135、X137、X155、X188、X192、X193、X221、X226、X227、およびX228のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X131、X132、X135、X188、X192、およびX221のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X133、X137、X155、X193、X226、X227、およびX228のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X131、X132、X133、X135、X137、X155、Xaa158(Xaa=Asn以外の任意のアミノ酸)、X160、X188、X192、X193、X221、X226、X227、およびX228のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X131、X133、X137、X155、X188、X192、X193、X226、X227、およびX228のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X131、X133、X137、X155、X188、X192、X193、X226、およびX228のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X131、X133、X137、X155、X159、X160、X188、X192、X193、X226、X227、およびX228のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X131、X133、X137、X155、X159、X160、X188、X192、X193、X226、およびX228のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X137、X188、X192、X193、X226、X228、X131、X132、X133、X221、およびX227のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X131、X132、X133、X221、およびX227のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X137、X188、X192、X193、X226、およびX228のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X137、X188、X192、X193、X226、X227、X228、X131、X132、およびX133のうちの任意の可能な組合せ
・X130+X227、X131、X132、およびX133のうちの任意の可能な組合せ
[ここで、X=任意のアミノ酸(上記で別段に指定しない限り)、および/またはX=欠失アミノ酸](これらの位置の番号付けは、H3 HAの番号付けに対応する)
を包含する、HAポリペプチド(例えば、HAポリペプチド変異体、操作されたHAポリペプチド、および/または操作されたHAポリペプチド変異体)を提供する。
一部の実施形態では、X130が、130位における欠失である。一部の実施形態では、X160がAlaである。一部の実施形態では、X158が、Asn以外の任意のアミノ酸である。
一部のこのような実施形態では、変異体のアンブレラグリカンに対する親和性および/または特異性が増大するように、H5 HAポリペプチド変異体が、野生型のH5 HAポリペプチドと比較して少なくとも1つのさらなる置換を有する。
一部のこのような実施形態では、変異体のアンブレラグリカンに対する親和性および/または特異性が増大するように、HAポリペプチドが、野生型のHAポリペプチドと比較して少なくとも1つのさらなる置換を有する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、L226、S228、およびA160を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、L226およびA160を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、S228およびA160を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、A160を包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、L226、S228、およびX158(X=Asn以外の任意のアミノ酸)を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5
HAポリペプチド変異体を含めた)が、L226およびX158を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、S228およびX158を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、X158を包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、ならびに残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、S228、A160、ならびに残基131、132、133、135、137、155、158、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、A160、ならびに残基131、132、133、135、137、155、158、188、192、193、221、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、S228、A160、ならびに残基131、132、133、135、137、155、158、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、S228、ならびに残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、A160、ならびに残基131、132、133、135、137、155、158、188、192、193、221、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、ならびに残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、および227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、S228、ならびに残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、S228、X158(X=Asn以外の任意のアミノ酸)、ならびに残基131、132、133、135、137、155、160、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、X158、ならびに残基131、132、133、135、137、155、160、188、192、193、221、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、S228、X158、ならびに残基131、132、133、135、137、155、160、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、S228、ならびに残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、X158(X=Asn以外の任意のアミノ酸)、ならびに残基131、132、133、135、137、155、160、188、192、193、221、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、親HAと比較して、特に野生型の親HAと比較して開放性の結合部位を有する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、アンブレラトポロジーグリカンに結合する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、図9に示されるグリカン(例えば、α2−6シアル化グリカン)のうちの少なくとも一部に結合する。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、図9に示される複数のグリカンに結合する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド)が、ヒト上気道組織(例えば、上皮細胞)内のHA受容体において見出されるグリカンのうちの少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上に結合する。
一態様では、本発明が、高親和性によるアンブレラトポロジーグリカンへの結合だけでは、ヒトに対する効果的な伝染/感染性を付与するのに十分ではありえないことの具体的な認識を提供する。本発明は、また、コーントポロジーグリカンへの結合の低減も重要でありうることの洞察を提供する。一部の実施形態では、高親和性によるアンブレラトポロジーグリカンへの結合およびコーントポロジーグリカンへの結合親和性の低減が、ヒトに対する効果的な伝染/感染性を付与することに関与している可能性がある。一部の実施形態では、高親和性によるアンブレラトポロジーグリカンへの結合は、ヒトに対する効果的な伝染/感染性を付与するのに十分である。一部の実施形態では、コーントポロジーグリカンへの結合親和性を低減しない(例えば、変化させない、増大させるなど)場合であっても、高親和性によるアンブレラトポロジーグリカンへの結合は、ヒトに対する効果的な伝染/感染性を付与するのに十分である。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)のアンブレラトポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性の増大ならびにコーントポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性の低減が、ヒトに対する伝染/感染性を、基準のポリペプチド(例えば、HAポリペプチド変異体のコグネイトである親HAポリペプチド)と比べて増大させるかまたは増強することに関与している可能性がある。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)のアンブレラトポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性の増大は、ヒトに対する伝染/感染性を基準のポリペプチド(例えば、HAポリペプチド変異体のコグネイトである親HAポリペプチド)と比べて増大させるかまたは増強するのに十分である。一部の実施形態では、コーントポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性を低減しない(例えば、変化させない、増大させるなど)場合であっても、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)のアンブレラトポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性の増大は、ヒトに対する伝染/感染性を基準のポリペプチド(例えば、HAポリペプチド変異体のコグネイトである親HAポリペプチド)と比べて増大させるかまたは増強するのに十分である。一部の実施形態では、コーントポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性が、アンブレラトポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性と同等であり、かつ/またはこれより大きい場合であっても、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)のアンブレラトポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性の増大は、ヒトに対する伝染/感染性を基準のポリペプチド(例えば、HAポリペプチド変異体のコグネイトである親HAポリペプチド)と比べて増大させる かまたは増強するのに十分である。
HAポリペプチドの部分または断片
本発明は、本発明によるHAポリペプチドの特徴的部分(これらは結合剤の場合もあり、結合剤でない場合もある)およびそれらをコードする核酸をさらに提供する。一般に、特徴的部分とは、それらが併せてHAポリペプチドの特徴となる、アミノ酸の連続的な連なりまたはアミノ酸の連続的な連なりの集合を含有する部分である。このような連続的連なりの各々は一般に、少なくとも2つのアミノ酸を含有する。さらに当業者は、典型的に少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20以上のアミノ酸が、H5 HAポリペプチドの特徴となるように要求されることを理解するであろう。一般に、特徴的部分とは、上記で指定した配列同一性に加えて、関連するインタクトHAポリペプチドと少なくとも1つの機能的特徴を共有する部分である。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチドの特徴的部分が、関連する全長HAポリペプチドとグリカン結合特徴を共有する。
非HAポリペプチド
一部の実施形態では、本発明により提供される結合剤が、それらのアミノ酸配列が特徴的なHA配列を包含しないポリペプチドである。本明細書では、このようなポリペプチドを「非HAポリペプチド」と称する。一部の実施形態では、非HAポリペプチドが、あらかじめ(例えば、例えば、基準配列と比較した戦略的なアミノ酸変化[例えば、付加、欠失、および/または置換]の導入を含めた合理的なデザインを介して)選択されるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、非HAポリペプチドが、化学量論的に決定され、例えば、本明細書で規定される所望の結合特徴に基づいて同定されるアミノ酸配列を有する。
抗体
一部の実施形態では、本発明により提供される結合剤を、抗体(例えば、アンブレラトポロジーグリカンおよび/またはアンブレラトポロジーグリカンの模倣体に結合する抗体)とする。本発明に適する抗体は、任意のアンブレラトポロジーグリカンのエピトープに免疫特異的に結合する抗体または抗体断片を包含する。本明細書で用いられる「抗体」という用語は、指定されたタンパク質またはペプチド、またはその断片に対して特異的に反応性である免疫グロブリンおよびこれらの断片を包含することを意図する。適切な抗体には、ヒト抗体、霊長動物化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体、コンジュゲート抗体(すなわち、他のタンパク質、放射性標識、細胞毒素にコンジュゲートするかまたは融合させた抗体)、Small Modular ImmunoPharmaceuticals(「SMIP(商標)」)、単鎖抗体、ラクダ抗体、および抗体断片が含まれるがこれらに限定されない。本明細書で用いられる「抗体」という用語にはまた、インタクトモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一ドメイン抗体(例えば、サメの単一ドメイン抗体(例えば、IgNARまたはその断片))、少なくとも2つのインタクト抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、およびそれらが所望の生物学的活性を呈示する限りにおける抗体断片も含まれる。本明細書で用いられる抗体ポリペプチドは、任意の種類(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM)でありうる。
本明細書で用いられる「抗体断片」は、例えば、抗体の抗原結合領域または可変領域など、インタクト抗体の部分を包含する。抗体断片の例は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、およびFv断片;トリアボティー;テトラボディー;直鎖状抗体;単鎖抗体分子;および抗体断片から形成される多重特異性抗体を包含する。「抗体断片」という用語はまた、特定の抗原に結合して複合体を形成することにより抗体と同様に作用する、任意の合成タンパク質または遺伝子操作されたタンパク質も包含する。例えば、抗体断片は、重鎖および軽鎖の可変領域からなる単離された断片である「Fv」断片、軽鎖可変領域および重鎖可変領域がペプチドリンカーで連結されている組換え単鎖ポリペプチド分子(「ScFvタンパク質」)、および超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小の認識単位を包含する。
抗体は、当技術分野で周知の方法を用いて発生させることができる。例えば、抗体を生成させるためのプロトコールは、参照により本明細書に組み込まれる、HarlowおよびLane、1988年、「Antibodies:A Laboratory Manual」により記載されている。典型的に、抗体は、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ラクダ、ラマ、サメ、または他の適切な宿主において発生させることができる。代替的に、抗体は、IgY分子を生成させるニワトリにおいても作製することができる(参照により本明細書に組み込まれる、Schadeら、1996年、ALTEX、13巻(5号):80〜85頁)。一部の実施形態では、本発明に適する抗体を、類人霊長動物抗体とする。例えば、ヒヒにおいて治療的に有用な抗体を作製する一般的な技法は、例えば、これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Goldenbergら、国際特許公開第WO91/11465号、1991年;およびLosmanら、1990年、Int. J. Cancer、46巻:310頁において見出すことができる。一部の実施形態では、モノクローナル抗体を、ハイブリドーマ法を用いて調製することができる(参照により本明細書に組み込まれる、MilsteinおよびCuello、1983年、Nature、305巻(5934号):537〜40頁)。一部の実施形態ではまた、モノクローナル抗体を、組換え法を介して作製することもできる(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,166,452号、1979年)。
一部の実施形態では、本発明に適する抗体が、ヒト化抗体またはヒト抗体を包含しうる。非ヒト抗体のヒト化形態とは、非ヒトIgに由来する最小限の配列を含有する、キメラIg、Ig鎖、またはIg断片(Fv断片、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、またはAbの他の抗原に結合する部分配列など)である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト供給源から導入された1またはそれより多くのアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「インポート」可変ドメインから取り込まれることが典型的である「インポート」残基と称することが多い。ヒト化は、齧歯動物の相補性決定領域(CDR)またはCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列で置換することにより達成する(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Riechmannら、1988年、Nature、332巻(6162号):323〜7頁;Verhoeyenら、1988年、Science、239巻(4847号):1534〜6頁)。このような「ヒト化」抗体とは、非ヒト種に由来する対応する配列で置換されたインタクトヒト可変ドメインが実質的に少ないキメラAbである(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,816,567号、1989年)。一部の実施形態では、ヒト化抗体を、一部のCDR残基、および、おそらくは、一部のFR残基が、齧歯動物Abにおける類似の部位に由来する残基で置換されているヒト抗体とすることが典型的である。ヒト化抗体は、レシピエントのCDRに由来する残基が、所望の特異性、親和性、および効能を有する、マウス、ラット、またはウサギなど、非ヒト種(ドナー抗体)のCDRに由来する残基で置換されているヒトIg(レシピエント抗体)を包含する。場合によっては、対応する非ヒト残基を、ヒトIgのFvフレームワーク残基により置換する。ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、インポートされたCDR配列またはフレームワーク配列にも見出されない残基を含みうる。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトIgのCDR領域に対応するCDR領域のうちの全てではないにせよこれらの大半、およびFR領域のうちの全てではないにせよこれらの大半を、ヒトIgコンセンサス配列の領域とする、少なくとも1つの、および典型的には2つの可変ドメインのうちの実質的に全てを含む。ヒト化抗体はまた、Ig定常領域(Fc)、典型的にはヒトIgのFcの少なくとも一部も含むことが最適である(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Riechmannら、1988年、Nature、332巻(6162号):323〜7頁;Verhoeyenら、1988年、Science.、239巻(4847号):1534〜6頁)。
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーを含めた多様な技法(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Hoogenboomら、1991年、Mol Immunol.、28巻(9号):1027〜37頁;Marksら、1991年、J Mol Biol.、222巻(3号):581〜97頁)、およびヒトモノクローナル抗体の調製(参照により本明細書に組み込まれる、ReisfeldおよびSell、1985年、Cancer Surv.、4巻(1号):271〜90頁)を用いて生成させることもできる。同様に、ヒトIg遺伝子の、内因性のIg遺伝子を部分的または完全に不活化させたトランスジェニック動物への導入も、ヒト抗体を合成するのに利用することができる。感作すると、遺伝子の再構成、アセンブリー、および抗体レパートリーを含めた全ての点においてヒトにおいて見られるヒト抗体の生成に酷似するヒト抗体の生成が観察される(それらの全てが参照により本明細書に組み込まれる、Fishwildら、1996年、Nat Biotechnol.、14巻(7号):845〜51頁;Lonbergら、1994年、Nature、368巻(6474号):856〜9頁;LonbergおよびHuszar、1995年、Int. Rev. Immunol.、13巻(1号):65〜93頁;Marksら、1992年、Biotechnology(N Y)、10巻(7号):779〜83頁)。
レクチン
一部の実施形態では、本発明により提供される結合剤を、レクチンとする。レクチンとは、可溶性の炭水化物、または糖コンジュゲート(例えば、糖ペプチドまたは糖脂質)の一部である炭水化物部分に結合しうる糖結合タンパク質である。レクチンは典型的に、特定の動物細胞を凝集させ、かつ/または特定の糖部分を認識することにより、糖コンジュゲートを沈殿させる。例えば、SNA−1とは、α2−6シアル酸に対する親和性が高いレクチンである。さらに別の例として述べると、Polyporus squamosusのレクチン(PSL1aおよびPSL1b)は、アスパラギン結合型糖タンパク質の三糖配列であるNeu5Acα2,6Galβ1,4Glc/GlcNAcを含有するシアル化糖コンジュゲートに結合するときの親和性が高い。結合剤として作用しうる非限定的な例示的レクチンには、SNA−1、SNA−1’、PSL1a、PSL1b、およびこれらに由来するポリペプチドが含まれる。
例示的なレクチンのアミノ酸配列を以下に示す。
Sambucus Nigraのレクチン1(Genbank受託番号第U27122号):
Sambucus Nigraのレクチン1’(Genbank受託番号第U66191号):
Polyporous squamosusのレクチン1a(UniProt:Q75WT9)
Polyporous squamosusのレクチン1b(UniProt:Q75WT8)
アプタマー
一部の実施形態では、本発明により提供される結合剤をアプタマーとする。アプタマーとは、特定の分子標的(例えば、アンブレラトポロジーグリカン)に緊密に結合する核酸(例えば、RNA、DNA)からなる高分子である。特定のアプタマーは、直鎖状のヌクレオチド配列を介して記載することができ、典型的には長さが約15〜約60ヌクレオチドである。いかなる理論により拘束されることも望まないが、アプタマー中のヌクレオチド鎖が、この分子を複雑な3次元的形状へとフォールディングする分子内相互作用を形成し、この3次元的形状により、アプタマーがその標的分子の表面に緊密に結合することが可能となることが目論まれる。全ての可能なヌクレオチド配列の母集団内に存在する分子的形状の並外れた多様性を踏まえるなら、タンパク質および低分子を含めた多彩な分子標的についてもアプタマーを得ることができる。高度な特異性に加えて、それらの標的に対するアプタマーの親和性は極めて高い(例えば、タンパク質に対して、ピコモル〜低濃度のナノモル範囲の親和性)。アプタマーは化学的に安定であり、活性を喪失させることなく煮沸することもでき、凍結させることもできる。アプタマーは合成分子であるため、それらの機能を特定の適用に最適化しうる各種の修飾を施しやすい。例えば、in vivoの適用において用いるために、アプタマーを修飾して、それらの血中の酵素による分解に対する感受性を劇的に低減することができる。加えて、アプタマーを修飾して、それらの生体内分布または血漿中貯留時間を変化させることもできる。
アンブレラトポロジーグリカン(および/またはアンブレラトポロジーグリカンの模倣体)に結合しうるアプタマーの選択は、当技術分野で公知の方法を介して達成することができる。例えば、アプタマーは、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)法を用いて選択することができる(参照により本明細書に組み込まれる、TuerkおよびGold、1990年、Science、249巻:505〜510頁)。SELEX法では、核酸分子の大規模なライブラリー(例えば、1015の異なる分子)を、標的分子(例えば、アンブレラトポロジーグリカンのエピトープを有するアンブレラトポロジーグリカン)と共に生成させ、かつ/またはスクリーニングする。標的分子は、ある時間にわたりヌクレオチド配列のライブラリーと共にインキュベートすることが可能である。次いで、当技術分野で公知の複数の方法を用いて、アプタマーの標的分子を、混合物中の結合していない分子(これらは廃棄することができる)から物理的に分離することができる。次いで、標的分子に対する親和性が最も高いアプタマーを、標的分子から精製し、酵素的に増幅して、標的分子に結合しうるアプタマーについて実質的に濃縮された新たな分子ライブラリーを生成させることができる。次いで、濃縮されたライブラリーを用いて、選択、分配、および増幅の新たなサイクルを開始することができる。5〜15サイクルにわたるこの反復的な選択工程、分配工程、および増幅工程の後、ライブラリーを、標的分子に緊密に結合する少数のアプタマーへと縮減する。次いで、混合物中の個別の分子を単離し、それらのヌクレオチド配列を決定し、結合親和性および特異性との関係におけるそれらの特性を測定および比較することができる。次いで、単離されたアプタマーをさらに洗練して、標的への結合および/またはアプタマー構造に寄与しない任意のヌクレオチドを消失させ、これにより、それらのコア結合ドメインへと切断されたアプタマーを生成させることができる。アプタマー法の総説については、その教示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Jayasena、1999年、Clin. Chem.、45巻:1628〜50頁を参照されたい。
ポリペプチドの生成
本発明によるポリペプチド(例えば、HAポリペプチドおよび/または非HAポリペプチド)、および/もしくはそれらの特徴的部分、またはそれらをコードする核酸は、任意の利用可能な手段を介して生成させることができる。
本発明によるポリペプチド(またはそれらの特徴的部分)は、例えば、本発明によるポリペプチドをコードする核酸を発現させるように操作された宿主細胞系を用いることにより生成させることができる。
鶏卵、バキュロウイルス、植物、酵母、メイティン−ダービーイヌ腎臓細胞(MDCK)、またはVero(アフリカミドリザル腎臓)細胞など、任意の系を用いてポリペプチド(または特徴的部分)を生成させることができる。代替的にまたは加えて、ポリペプチド(または特徴的部分)は、発現ベクターの使用を介するなどの組換え法を用いて細胞内で発現させることができる(参照により本明細書に組み込まれる、Sambrookら、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、CSHL Press、1989年)。
代替的にまたは加えて、本発明によるポリペプチド(またはそれらの特徴的部分)は、合成的手段を介して生成させることもできる。
代替的にまたは加えて、本発明によるポリペプチド(またはそれらの特徴的部分)、特にHAポリペプチドは、その他野生型であるか、弱毒化されているか、死滅しているかどうかなど、インタクトなウイルスの文脈で生成させることができる。また、本発明によるポリペプチド(例えば、HAポリペプチド)、またはそれらの特徴的部分は、ウイルス様粒子の文脈でも生成させることができる。
一部の実施形態では、HAポリペプチド(またはそれらの特徴的部分)を、インフルエンザウイルスから単離および/または精製することができる。例えば、ウイルスは、孵化鶏卵などの卵内で増殖させることができるが、この場合、採取される物質は典型的に、尿膜腔液である。代替的にまたは加えて、インフルエンザウイルスは、組織培養物を用いてウイルスを増殖させる任意の方法に由来しうる。ウイルスを増殖させるのに適する細胞基質には、例えば、MDCK細胞またはMDCK細胞、MDCK様細胞のクローンに由来する細胞などのイヌ腎臓細胞、Vero細胞を含めたAGMK細胞などのサル腎臓細胞、連続継代細胞系として培養された上皮細胞、293T細胞、BK−21細胞、CV−1細胞、または市販供給源(例えば、ATCC、Rockville、MD)から容易に入手可能な、ワクチンを目的としてインフルエンザウイルスを生成させるのに適する他の任意の哺乳動物細胞型が含まれる。また、適切な細胞基質は、MRC−5細胞などのヒト細胞も包含する。適切な細胞基質は、細胞系に限定されず、例えばまた、ニワトリ胚線維芽細胞などの初代細胞も包含される。
当業者はまた、ポリペプチド、特に本明細書で記載される変異体のHAポリペプチドは、アンブレラトポロジーグリカンに結合することが可能なポリペプチドの容易なスクリーニングおよび/または選択を可能とする条件下で、ポリペプチドを生成させる(単独であれ、ウイルス粒子またはウイルスの一部としての生成を含めた、複合体の一部としてであれ)細胞または生物を培養することにより、発生させる場合もあり、同定する場合もあり、単離する場合もあり、かつ/または生成させる場合もあることも理解するであろう。一例を挙げるに過ぎないが、一部の実施形態では、ポリペプチド(例えば、HA変異体ポリペプチド)のコレクションを、アンブレラトポロジーグリカンに結合する(例えば、特定の特異性および/または親和性で)変異体を明らかにし、かつ/またはこれらに好適な条件下で生成させ、かつ/または研究することが有用でありうる。一部の実施形態では、このようなポリペプチド(例えば、HA変異体ポリペプチド)のコレクションが、天然における進化の結果として得られる。一部の実施形態では、このようなポリペプチド(例えば、HA変異体ポリペプチド)のコレクションが、操作の結果として得られる。一部の実施形態では、このようなポリペプチド(例えば、HA変異体ポリペプチド)のコレクションが、操作および天然の進化の組合せの結果として得られる。
HA受容体
HAは、糖タンパク質受容体に結合することにより、細胞表面と相互作用する。HAのHA受容体への結合は主に、HA受容体におけるN結合型グリカンを介する。とりわけ、インフルエンザウイルス粒子の表面におけるHAは、細胞宿主の表面におけるHA受容体と会合するシアル化したグリカンを認識する。認識および結合の後、宿主細胞がウイルス細胞を取り込むと、ウイルスは近傍の細胞に分布するさらに多くのウイルス粒子を複製し、これらを生成させることが可能となる。例示的なHA−グリカン間相互作用の一部の結晶構造が同定されており、これらを表1に提示する:
HA−α2−6シアル化グリカン複合体は、ADU63_H3およびADS97_H5およびViet04_H5のHA1サブユニットのCAトレースを、ASI30_H1_26およびAPR34_H1_26(H1)へと重ね合わせることにより発生させた。ヒトA/Aichi/2/68(H3N2)のα2−6シアル化グリカンとの構造的複合体は公表されている(参照により本明細書に組み込まれる、Eisenら、1997年、Virology、232巻:19頁)が、それらの座標は、タンパク質データバンクにおいて使用可能ではなかった。SARF2(http://123d.ncifcrf.gov/sarf2.html)プログラムを用いて、重ね合せのための異なるHA1サブユニットの構造アライメントを得た。
HA受容体は、受容体のHA結合部位近傍のα2−3シアル化グリカンまたはα2−6シアル化グリカンにより修飾されており、受容体に結合したグリカンの結合の種類は、受容体のHA結合部位の立体配座に影響を及ぼす可能性があり、したがって、受容体の異なるHAに対する特異性に影響を及ぼす可能性がある。
例えば、トリHAのグリカン結合ポケットは、狭小である。本発明によれば、このポケットは、α2−3シアル化グリカンのトランス立体配座および/またはα2−3結合であれ、α2−6結合であれ、コーントポロジーグリカンに結合する。
トリ組織におけるHA受容体、およびまた、ヒト肺深部およびヒト消化(GI)管組織におけるHA受容体もα2−3シアル化グリカン結合を特徴とし、さらに(本発明によれば)、主にコーントポロジーを取る、α2−3シアル化グリカンおよび/またはα2−6シアル化グリカンを含めたグリカンも特徴とする。本明細書では、このようなコーントポロジーグリカンを有するHA受容体をCTHArと称することができる。
これに対して、上気道の気管支および気管におけるヒトHA受容体は、α2−6シアル化グリカンで修飾されている。α2−3モチーフとは異なり、α2−6モチーフは、C6−C5結合のために立体配座的自由度を増大させる(参照により本明細書に組み込まれる、Russellら、2006年、Glycoconj J、23巻:85頁)。このようなα2−6シアル化グリカンは、この立体配座的自由度から生じる構造の多様性に対応する開放性の大きな結合ポケットを有するHAに結合する。さらに、本発明によれば、ヒト上気道組織の感染を効果的に媒介するために、HAは、アンブレラトポロジーにあるグリカン(例えば、α2−6シアル化グリカン)に結合することを必要とする可能性があり、特に、高度の親和性および/または特異性を伴うこのようなアンブレラトポロジーグリカンに結合することを必要とする可能性がある。本明細書では、アンブレラトポロジーグリカンを有するHA受容体をUTHArと称することができる。
これらの空間的に制約されたグリコシル化プロファイルの結果として、ヒトは通常、多くの野生型のトリHA(例えば、トリH5)を含有するウイルスに感染しない。とりわけ、ウイルスに遭遇する可能性が極めて高いヒト気道の部分(すなわち、気管および気管支)は、コーングリカン(例えば、α2−3シアル化グリカンおよび/または短鎖グリカン)を伴う受容体を欠き、野生型のトリHAは、コーングリカン(例えば、α2−3シアル化グリカンおよび/または短鎖グリカン)と会合する受容体に主にまたはもっぱら結合することが典型的であるため、ヒトは、トリウイルスに感染することがまれである。ウイルスがアンブレラグリカン(例えば、長鎖α2−6シアル化グリカン)を有する肺深部および/または消化管の受容体に接近しうる程度にウイルスとの接触が十分に緊密である場合に限り、ヒトは感染する。
グリカンアレイ
公知の特定のグリカン間結合タンパク質(GBP)相互作用についての最新の知識を迅速に拡張するため、国際的な研究協力イニシアチブであるConsortium for
Functional Glycomics(CFG; www.functionalglycomics.org)は、新規のグリカンリガンド特異性についてGBPをハイスループットでスクリーニングすることを可能とした複数のグリカン構造を含むグリカンアレイを開発した。グリカンアレイは、一価および多価のグリカンモチーフ(すなわち、ポリアクリルアミド骨格に結合した)の両方を含み、各アレイは、低濃度(10μM)および高濃度(100μM)の264のグリカンおよび各濃度に応じた6カ所のスポットを含む(http://www.functionalglycomics.org/static/consortium/resources/resourcecoreh5.shtmlを参照されたい)。
アレイは主に、N結合型グリカンおよびO結合型グリカンの生理学的多様性を捕捉する合成グリカンを含む。アレイでは、合成グリカンに加えてまた、異なる哺乳動物の糖タンパク質に由来するN結合型グリカンの混合物も表出される。
本明細書で用いられる、グリカン「アレイ」とは、場合によって固体支持体に固定化された1またはそれより多くのグリカンのセットを指す。一部の実施形態では、「アレイ」を、空間内で物理的に隔てられた2カ所以上の位置において構成された配置またはパターンとして存在するグリカンのコレクションとする。典型的には、グリカンアレイが、少なくとも4カ所、少なくとも8カ所、少なくとも16カ所、少なくとも24カ所、少なくとも48カ所、少なくとも96カ所、または数百カ所もしくは数千カ所の異なる位置を有する。一般に、本発明によるグリカンアレイは、各種のフォーマットのうちのいずれかを有しうる。当技術分野では、生体分子に適用可能な、多様で異なるアレイフォーマットが公知である。例えば、膨大な数のタンパク質アレイおよび/または核酸アレイが周知である。当業者は、本発明のグリカンアレイに適する標準的なアレイフォーマットを速やかに理解するであろう。
一部の実施形態では、本発明によるグリカンアレイが、「マイクロアレイ」フォーマットで存在する。マイクロアレイは典型的に、試料位置を約50μ〜約200μ以下の距離だけ隔てている場合があり、試料をナノモル〜マイクロモルの範囲内またはナノグラム〜ピコグラムの範囲内に固定化している場合がある。当技術分野で公知のアレイフォーマットは、例えば、異なる試料位置の各々のスケールが、例えば、10μであるフォーマットを包含する。
一部の実施形態では、本発明によるグリカンアレイが、支持体上に空間的に固定化された複数のグリカンを含む。本発明は、支持体上に配列されたグリカン分子を提供する。本明細書で用いられる「支持体」とは、グリカン分子を配列するのに用いるのに適する任意の物質を指す。当業者が理解する通り、多種多様な材料のうちのいずれを用いることもできる。少数の例を挙げるに過ぎないが、本発明において用いうる支持体材料には、疎水性膜、例えば、ニトロセルロース膜、PVDF膜、またはナイロン膜が含まれる。当技術分野では、このような膜が周知であり、例えば、Bio−Rad、Hemel Hempstead、UKから得ることができる。
一部の実施形態では、グリカンを配列する支持体が、金属酸化物を含みうる。適切な金属酸化物には、酸化チタン、酸化タンタル、および酸化アルミニウムが含まれるがこれらに限定されない。このような材料の例は、Sigma−Aldrich Company
Ltd、Fancy Road、Poole、Dorset.BH12 4QH UKから得ることができる。
一部の実施形態では、このような支持体を金属酸化物ゲルとするか、またはこのような支持体が金属酸化物ゲルを含む。金属酸化物ゲルは、所与の肉眼的領域内に大表面積をもたらして、炭水化物含有分子の固定化の一助となると考えられる。
本発明により用いうるさらなるまたは代替的な支持体材料には、ゲル、例えば、シリカゲルまたは酸化アルミニウムゲルが含まれる。このような材料の例は、例えば、Merck KGaA、Darmstadt、Germanyから得ることができる。
一部の実施形態では、グリカンアレイを、通常の使用時にはサイズまたは形状の変化に耐性でありうる支持体上に固定化する。例えば、支持体を、グリカンを配列するのに用いるのに適する材料成分でコーティングしたスライドガラスとすることができる。また、一部の複合材料も、支持体に所望の固体性をもたらしうる。
本明細書で裏付けられる通り、本発明によるアレイは、異なるHAポリペプチドおよびそれらの結合特徴の同定および/または特徴付けに有用である。一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチドをこのようなアレイ上で調べて、それらがアンブレラトポロジーグリカン(例えば、α2−6シアル化グリカン、特にアンブレラトポロジーに配置された長鎖α2−6シアル化グリカン)に結合する能力を評価する。
実際、本発明は、HAポリペプチドの結合能を特徴付けるのに用いうるα2−6シアル化グリカンのアレイ、および、場合によって、α2−3シアル化グリカンのアレイ、ならびに/または、例えば、ヒトに結合するHAポリペプチドを検出するための診断法として用いうるα2−6シアル化グリカンのアレイ、および、場合によって、α2−3シアル化グリカンのアレイを提供する。一部の実施形態では、本発明によるアレイが、アンブレラトポロジーにあるグリカン(例えば、α2−6シアル化グリカン、特に長鎖α2−6シアル化グリカン)を含有する。当業者に明らかである通り、このようなアレイは、例えば、研究者によりデザインおよび/または調製されるHAポリペプチドに加えて、天然のインフルエンザウイルス単離物中に見出されるHAポリペプチドを含めた任意のHAポリペプチドを特徴付けるまたはこれを検出するのに有用である。
一部の実施形態では、このようなアレイが、ヒトHA受容体、特にヒト上気道HA受容体において見出されるグリカン(例えば、α2−6シアル化グリカン、特に、長鎖α2−6シアル化グリカンであることが多いアンブレラグリカン)のうちの約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上を代表するグリカンを包含する。一部の実施形態では、本発明によるアレイが、図10に示されるグリカン構造のうちの一部または全部を包含する。一部の実施形態では、アレイが、示されるこれらのグリカンのうちの少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上を包含する。
本発明は、グリカンアレイを用いてHAタンパク質を同定するかまたはこれを特徴付ける方法を提供する。一部の実施形態では、例えば、このような方法が、(1)HAポリペプチドを含有する試料を供給するステップと、(2)試料をグリカンアレイと接触させるステップと、(3)HAポリペプチドのアレイ上の1またはそれより多くのグリカンへの結合を検出するステップとを含む。
本発明によるグリカンアレイと接触させる、HAポリペプチドを含有する試料に適する供給源には、血液、血清/血漿、末梢血単核細胞/末梢血リンパ球(PBMC/PBL)、痰、尿、糞便、咽頭スワブ、皮膚病変スワブ、脳脊髄液、頸管スミア、膿試料、食物マトリックス、ならびに脳、脾臓、および肝臓など、体内の多様な部分に由来する組織などの病理学的試料が含まれるがこれらに限定されない。代替的にまたは加えて、HAポリペプチドを含有する試料に適する他の供給源には、土壌、水、および微生物叢などの環境試料が含まれるがこれらに限定されない。さらに他の試料には、実験用試料、例えば、研究者によりデザインされ、かつ/または調製される、操作されたHAポリペプチドの試料が含まれる。また、列挙されていない他の試料も適用可能でありうる。
当技術分野では、HAポリペプチドの本発明によるグリカンアレイへの結合についてアッセイするのに適する多種多様な検出システムが公知である。例えば、HAポリペプチドは、アレイと接触させる前に、またはアレイと接触させた後に検出可能に標識する(直接的にまたは間接的に)ことができる。次いで、局在化された標識を検出することにより、結合を検出することができる。一部の実施形態では、走査デバイスを用いてアレイ上の特定の位置を検証することができる。
代替的にまたは加えて、配列されたグリカンへの結合は、例えば、熱量測定による検出システム、蛍光による検出システム、または放射線による検出システム、もしくは他の標識方法、または標識化を要求しない他の方法を用いて測定することができる。一般に、蛍光による検出は典型的に、蛍光分子を伴うアレイを直接プローブするステップと、蛍光シグナルをモニタリングするステップとを伴う。代替的にまたは加えて、アレイは、間接的に蛍光を検出する(この場合は、蛍光標識したストレプトアビジンの結合について調べることを介する)ためにタグづけされた(例えば、ビオチンでタグ付けされた)分子によりプローブすることもできる。代替的にまたは加えて、配列されたグリカンを蛍光標識し、被験分子(異なるフルオロフォアで標識する場合もあり、標識しない場合もある)でプローブする、蛍光消光法も用いることができる。このような実施形態では、アレイへの結合が、配列されたグリカンから発光する蛍光を抑止するように作用し、したがって、蛍光発光の喪失を介して結合を検出する。代替的にまたは加えて、配列されたグリカンは、放射性標識したプローブをもたらす、放射性物質の存在下で増殖させた生組織試料によりプローブすることもできる。このような実施形態における結合は、放射性発光を測定することにより検出することができる。
このような方法は、HAポリペプチドによる本発明によるグリカンアレイへの結合の事実および/または結合の程度を決定するのに有用である。一部の実施形態では、このような方法をグリカン−HAポリペプチド相互作用に干渉するかまたは他の形でこれを変化させる薬剤を同定するおよび/または特徴付けるのにさらに用いることもできる。
以下で記載される方法は、例えば、炭水化物と相互作用することが可能であると考えられる分子が、実際に相互作用しうるかどうかを確認するか、またはある分子が、炭水化物と相互作用する能力を予測されない形で有するかどうかを確認するのに特に用いることができる。
本発明はまた、本発明によるアレイを用いて、例えば、被験試料中の特定の薬剤を検出する方法も提供する。例えば、このような方法は、(1)グリカンアレイを被験試料と(例えば、HAポリペプチドを含有すると考えられる試料と)接触させるステップと、(2)被験試料中の任意の薬剤のアレイへの結合を検出するステップとを含みうる。
なおさらに、本発明によるアレイへの結合は、例えば、結合剤とグリカンとの間の相互作用の反応速度を決定するのにも用いることができる。例えば、本発明による相互作用の反応速度を決定する方法は、(1)グリカンアレイを被験分子と接触させるステップと、(2)結合剤と配列されたグリカン(複数可)との間の相互作用の反応速度を測定するステップとを包含しうる。
結合剤の、本発明によるアレイ中のグリカンのうちのいずれかとの相互作用の反応速度は、上記で詳述した、例えば、熱量測定シグナルまたは蛍光シグナルのリアルタイムにおける変化を介して測定することができる。このような方法は、例えば、特定の結合剤が、同じ炭水化物と相互作用する異なる結合剤より高度の結合で特定の炭水化物と相互作用することが可能であるかどうかを決定するのに特に用いることができる。
当然ながら、本発明によるHAポリペプチドによるグリカン結合を、アレイフォーマット自体では存在しないグリカン試料または供給源において評価しうることが理解されるであろう。例えば、本発明によるHAポリペプチドを、組織試料および/または細胞系に結合させて、それらのグリカン結合特徴を評価することができる。適切な細胞系は、例えば、各種の哺乳動物細胞系、特に、アンブレラトポロジーグリカン(例えば、これらのうちの少なくとも一部は、α2−6シアル化グリカン、特に長鎖α2−6シアル化グリカンでありうる)を含有するHA受容体を発現させる哺乳動物細胞系のうちのいずれかを包含する。一部の実施形態では、用いられる細胞系が、アンブレラトポロジーを伴う個別のグリカンを発現させる。一部の実施形態では、用いられる細胞系が、多様なグリカンを発現させる。一部の実施形態では、細胞系を、臨床単離物から得、場合によっては、所望のグリカン分布および/またはグリカン保有率を有するようにそれらを維持または操作する。一部の実施形態では、組織試料および/または細胞系が、哺乳動物の上気道上皮細胞に特徴的なグリカンを発現させる。
核酸
一部の実施形態では、本発明が、HAポリペプチド、またはHAポリペプチドの特徴的部分もしくは生物学的に活性な部分をコードする核酸を提供する。一部の実施形態では、本発明が、HAポリペプチド、またはHAポリペプチドの特徴的部分もしくは生物学的に活性な部分をコードする核酸と相補的な核酸を提供する。
一部の実施形態では、本発明が、HAポリペプチド、またはHAポリペプチドの特徴的部分もしくは生物学的に活性な部分をコードする核酸とハイブリダイズする核酸分子を提供する。このような核酸は、例えば、プライマーとして用いることもでき、プローブとして用いることもできる。少数の例を挙げるに過ぎないが、このような核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるプライマーとして用いることもでき、ハイブリダイゼーション(in situハイブリダイゼーションを含めた)のためのプローブとして用いることもでき、かつ/または逆転写−PCR(RT−PCR)のためのプライマーとして用いることもできる。
一部の実施形態では、核酸は、DNAの場合もあり、RNAの場合もあり、一本鎖の場合もあり、二本鎖の場合もある。一部の実施形態では、本発明による核酸が、1またはそれより多くの非天然ヌクレオチドを包含する場合があり、一部の実施形態では、本発明による核酸が、天然のヌクレオチドだけを包含する。
ポリペプチドに対する抗体
本発明は、本発明による結合剤ポリペプチド(例えば、HAポリペプチド)に対する抗体を提供する。これらは、モノクローナル抗体の場合もあり、ポリクローナル抗体の場合もあり、当業者に公知の各種の技法のうちのいずれかを介して調製することができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、HarlowおよびLane、1988年、「Antibodies: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratoryを参照されたい)。例えば、抗体は、モノクローナル抗体の生成を含めた細胞培養法を介して生成させることもでき、組換え抗体の生成を可能とするために、抗体遺伝子の、適切な細菌細胞宿主または哺乳動物細胞宿主へのトランスフェクションを介して生成させることもできる。
動物モデルにおける結合剤の試験
本発明は、本発明による結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、USBA、UTSBAなど)を動物宿主において調べる方法を提供する。本明細書で用いられる「動物宿主」は、インフルエンザの研究に適する任意の動物モデルを包含する。例えば、本発明に適する動物宿主は、霊長動物、フェレット、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、マウス、ハムスター、ウサギ、およびラットなどの齧歯動物を含めた任意の哺乳動物宿主でありうる。一部の実施形態では、本発明に用いられる動物宿主を、フェレットとする。特に、一部の実施形態では、本発明による結合剤(場合によって、本発明による組成物中の)を投与する前に、動物宿主を、ウイルス曝露または感染に対してナイーブとする。一部の実施形態では、本発明による結合剤の投与前に、または投与と共時的に、動物宿主にウイルスを接種するか、動物宿主をウイルスに感染させるか、または動物宿主を他の形でウイルスに曝露する。当技術分野で公知の任意の方法を介して、本発明を実施するのに用いられる動物宿主にウイルスを接種するか、動物宿主をウイルスに感染させるか、または動物宿主を他の形でウイルスに曝露することができる。一部の実施形態では、動物宿主にウイルスを鼻腔内接種するか、動物宿主をウイルスに鼻腔内感染させるか、または動物宿主をウイルスに鼻腔内曝露することができる。
一部の実施形態では、適切な動物宿主のコーントポロジーグリカンと対比したアンブレラトポロジーグリカンの分布、および/またはα2−3グリカンと対比したα2−6グリカンの分布が、ヒト気道内で見出される分布と類似しうる。例えば、ヒトにおけるインフルエンザウイルスにより引き起こされる疾患のモデルとして用いられる場合、動物宿主としてのフェレットは、マウスより代表的でありうることが目論まれる(参照により本明細書に組み込まれる、Tumpeyら、2007年、Science、315巻;655〜59頁)。いかなる理論に拘束されることも望まないが、本発明は、フェレットの気道におけるグリカン分布が、ヒト気道におけるグリカン分布と類似する程度は、マウスがヒトに対して示す類似より大きい場合があるという考えを包含する。ナイーブの動物および/または接種した動物を、各種の研究のうちのいずれかに用いることができる。当技術分野で公知である通り、例えば、このような動物モデルは、ウイルス伝染研究に用いることができる。ウイルス伝染研究におけるフェレットの使用が、ヒトにおけるウイルス伝染についての信頼できる予測モデルとして提供されうることが目論まれる。当技術分野で、例えば、ウイルス性インフルエンザの、接種された動物(例えば、フェレット)からナイーブ動物への空気伝染が公知である(参照により本明細書に組み込まれる、Tumpeyら、2007年、Science、315巻;655〜59頁)。ウイルス伝染研究を用いて、本発明による結合剤ポリペプチド(例えば、HAポリペプチド)を調べることができる。例えば、動物宿主におけるウイルスの結合および/または感染性を遮断する前記結合剤の有効性を決定するために、本発明による結合剤を適切な動物宿主に、ウイルス伝染研究の前に投与することもでき、ウイルス伝染研究時に投与することもでき、ウイルス伝染研究の後に投与することもできる。動物宿主におけるウイルス伝染研究から集められた情報を用いて、ヒト宿主におけるウイルスの結合および/または感染性を遮断する結合剤の有効性を予測することができる。
医薬組成物
一部の実施形態では、本発明が、本発明による結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、UTBA、UTBSAなど)および/または類縁の実体を包含する医薬組成物を提供する。例えば、一部の実施形態では、本発明による医薬組成物中に、結合剤ポリペプチド(複数可)(例えば、HAポリペプチド)、このようなポリペプチドをコードする核酸、このようなポリペプチドまたは核酸の特徴的な断片または生物学的に活性な断片、このようなポリペプチドまたは断片に結合し、かつ/またはこれと競合する抗体、このようなポリペプチドまたはそれらに結合するグリカンなどと相互作用するかまたはこれと競合する低分子などが包含される。
本発明は、本発明によるこのような医薬組成物の投与を介するインフルエンザ感染の処置を包含する。一部の実施形態では、本発明による医薬組成物を、インフルエンザ感染を患っているまたはインフルエンザ感染に対して感受性である被験体に投与する。一部の実施形態では、被験体におけるインフルエンザ感染を患っていると考えられる被験体が、一般にインフルエンザ感染と関連する1またはそれより多くの症状を示している。一部の実施形態では、被験体が、インフルエンザウイルスに曝露されていることが公知であるか、またはインフルエンザウイルスに曝露されていると考えられる。一部の実施形態では、被験体が、インフルエンザウイルスに曝露されていることが公知であるか、またはインフルエンザウイルスに曝露されていると考えられる場合、その被験体を、インフルエンザ感染に対して感受性であると考える。一部の実施形態では、被験体が、インフルエンザウイルスに感染していることが公知であるかもしくは疑われる他の個体と接触している場合、および/または被験体が、インフルエンザ感染が蔓延していることが公知であるかもしくは蔓延していると考えられる場所に存在しているかもしくは存在していた場合、その被験体を、インフルエンザウイルスに曝露されていることが公知であるか、またはインフルエンザウイルスに曝露されていると考える。
一部の実施形態では、インフルエンザ感染を患っているまたはインフルエンザ感染に対して感受性である被験体を、本発明による結合剤に対する抗体について、本発明による医薬組成物の投与前、投与時、または投与後に調べる。一部の実施形態では、このような抗体を有する被験体に、本発明による結合剤を含む医薬組成物を投与しない。一部の実施形態では、このような抗体の検出(またはその欠如)に基づき、適量の医薬組成物および/または結合剤を選択する。
一部の実施形態では、処置される特定の被験体の選択、投与される特定の結合剤または組成物、および/または投与される特定の用量またはレジメンを、例えば、書面形態、印字形態、または電子的保存形態で記録する。
本発明による組成物は、インフルエンザ感染の1またはそれより多くの症状の発生前に投与することもでき、発生後に投与することもできる。
本発明は、本明細書で記載される化合物の投与を介するインフルエンザ感染の処置を包含する。一部の実施形態では、本発明によるインフルエンザ感染の処置を、ワクチンの投与を介して達成する。現在のところ、インフルエンザワクチンの開発では著明な達成がなされているが、さらなる改善の余地が認められる。本発明は、本発明による結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、UTBA、UTBSAなど)を含むワクチン、特にアンブレラグリカン(例えば、長鎖α2−6シアル化グリカンなど、例えば、α2−6結合アンブレラグリカン)に結合する結合剤を含むワクチンを提供する。
一例を挙げるに過ぎないが、ヒトにおけるH5N1株に特異的なワクチンを生成させる試みは一般に、少なくとも部分的にはH5 HAの免疫原性が低いために成功していない。一研究では、H5N1株を指向するワクチンが、感染からの防御を保証するのに十分な高さの力価ではない1:40の抗体力価をもたらすことが示された。さらに、1:40という穏当な抗体力価(90μgずつ2回にわたる精製ワクチンの投与により、ウイルスまたは抗原が死滅する)を発生させるのに要求される用量であっても、通常の季節性インフルエンザウイルスワクチンの場合に通常用いられる力価の12倍であった(参照により本明細書に組み込まれる、Treanorら、2006年、N Eng J Med、354巻:1343頁)。他の研究も、現行のH5ワクチンの免疫原性は高くないことを同様に示している(参照により本明細書に組み込まれる、Bressonら、2006年、Lancet、367巻:1657頁)。一部の実施形態では、本発明によるワクチンを、低用量のH5 HAタンパク質の使用、および/または高度な免疫原性の達成を可能とすることを意図する1またはそれより多くの戦略(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Enserink、2005年、Science、309巻:996頁を参照されたい)を用いて調合する。例えば、一部の実施形態では、多価性を改善し(例えば、デンドリマーの使用を介して)、一部の実施形態では、1またはそれより多くのアジュバントを用いるなどである。
一部の実施形態では、本発明が、ワクチンおよびこれらのワクチンのヒト被験体への投与を提供する。一部の実施形態では、ワクチンを、以下:(1)不活化ウイルス、(2)弱毒化されたインフルエンザ生ウイルス、例えば、複製欠損ウイルス、(3)本発明による結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、UTBA、UTBSAなど)、(4)結合剤ポリペプチド(例えば、HAポリペプチド)またはその特徴的部分もしくは生物学的に活性な部分をコードする核酸、(5)本発明による結合剤ポリペプチド(例えば、HAポリペプチド)またはその特徴的部分もしくは生物学的に活性な部分をコードするDNAベクター、および/または(6)発現系、例えば、抗原として用いられる1またはそれより多くのインフルエンザタンパク質を発現させる細胞のうちの1またはそれより多くを含む組成物とする。
したがって、一部の実施形態では、本発明が、不活化インフルエンザウイルスワクチンを提供する。一部の実施形態では、不活化インフルエンザウイルスワクチンが、3種類の抗原調製物:不活化全粒子ウイルス、精製されたウイルス粒子を洗浄剤または他の試薬で破壊して、脂質エンベロープを可溶化させたサブビリオン(「スプリット」ワクチン)、または精製されたHAポリペプチド(「サブユニット」ワクチン)のうちの1つを含む。一部の実施形態では、ウイルスを、ホルムアルデヒド、ベータ−プロピオラクトン、エーテル、洗浄剤(TWEEN−80(登録商標)など)を伴うエーテル、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)およびTriton N101、デオキシコール酸ナトリウムおよびトリ(n−ブチル)リン酸による処置を介して不活化させることができる。不活化は、尿膜腔液(鶏卵内で生成させたウイルスに由来する)を清明化させた後に生じさせることもでき、清明化させる前に生じさせることもでき、ビリオンは、遠心分離を介して単離および精製することができる(参照により本明細書に組み込まれる、Nicholsonら編、1998年、「Textbook of Influenza」、Blackwell Science、Malden、MA)。ワクチンの効力を評価するためには、一元放射免疫拡散(SRD)検査を用いることができる(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Schildら、1975年、Bull. World Health Organ.、52巻:43〜50および223〜31頁;Mostowら、1975年、J. Clin. Microbiol.、2巻:531頁)。
本発明はまた、弱毒化されたインフルエンザ生ワクチン、および当技術分野で周知である弱毒化のための方法も提供する。一部の実施形態では、弱毒化を、部位指向性突然変異誘発などの逆遺伝学の使用を介して達成する。
一部の実施形態では、ワクチンにおいて用いられるインフルエンザウイルスを、卵内、例えば、孵化鶏卵内で増殖させるが、この場合、採取される物質は、尿膜腔液である。代替的にまたは加えて、インフルエンザウイルスは、組織培養物を用いてウイルスを増殖させる任意の方法に由来しうる。ウイルスを増殖させるのに適する細胞基質には、例えば、MDCK細胞またはMDCK細胞、MDCK様細胞のクローンに由来する細胞などのイヌ腎臓細胞、Vero細胞を含めたAGMK細胞などのサル腎臓細胞、連続継代細胞系として培養された上皮細胞、293T細胞、BK−21細胞、CV−1細胞、または市販供給源(例えば、ATCC、Rockville、Md.)から容易に入手可能な、ワクチンを目的としてインフルエンザウイルスを生成させるのに適する他の任意の哺乳動物細胞型(上気道上皮細胞を含めた)が含まれる。また、適切な細胞基質は、MRC−5細胞などのヒト細胞も包含する。適切な細胞基質は、細胞系に限定されず、例えばまた、ニワトリ胚線維芽細胞などの初代細胞も包含される。
一部の実施形態では、本発明によるワクチンが、1またはそれより多くのアジュバントをさらに含む。例えば、アルミニウム塩(参照により本明細書に組み込まれる、Baylorら、2002年、Vaccine、20巻:S18頁)およびモノホスホリル脂質A(MPL;参照により本明細書に組み込まれる、Ribiら、1986年、「Immunology and Immunopharmacology of Bacterial Endotoxins」、Plenum Publ. Corp.、NY、407頁)は、ヒト用ワクチンにおけるアジュバントとして用いることができる。代替的にまたは加えて、MF59(Chiron Corp.、http://www.chiron.com/investors/pressreleases/2005/051028.html)、CPG 7909(参照により本明細書に組み込まれる、Cooperら、2004年、Vaccine、22巻:3136頁)、およびQS21などのサポニン(参照により本明細書に組み込まれる、Ghochikyanら、2006年、Vaccine、24巻:2275頁)などの新たな化合物も、現在、ヒト用ワクチンにおけるアジュバントとして調べられている。
加えて、当技術分野では、ポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン](PCCP;参照により本明細書に組み込まれる、Payneら、1998年、Vaccine、16巻:92頁)、インターフェロンγ(参照により本明細書に組み込まれる、Caoら、1992年、Vaccine、10巻:238頁)、ブロックコポリマーP1205(CRL1005;参照により本明細書に組み込まれる、Katzら、2000年、Vaccine、18巻:2177頁)、インターロイキン2(IL−2;参照により本明細書に組み込まれる、Mbwuikeら、1990年、Vaccine、8巻:347頁)、およびメタクリル酸ポリメチル(PMMA;参照により本明細書に組み込まれる、Kreuterら、1981年、J. Pharm. Sci.、70巻:367頁)など、一部のアジュバントがインフルエンザワクチンの免疫原性を増強することが公知である。
一部の実施形態では、本発明による組成物、例えば、結合剤の組成物がアジュバントを包含しない(例えば、提供される組成物は、アジュバントを本質的に含まない)。一部の実施形態では、本発明による組成物がアラムアジュバントを包含しない(例えば、提供される組成物がアラムを本質的に含まない)。
ワクチンに加えて、本発明は、ウイルス感染の処置に有用な他の治療用組成物も提供する。一部の実施形態では、処置を、HAポリペプチドの発現または活性に干渉する薬剤の投与を介して達成する。
一部の実施形態では、本発明が、抗体または提供されるポリペプチドと類縁の他の薬剤を含む医薬組成物を提供する。例えば、本発明は、特定のHAポリペプチド(例えば、アンブレラグリカンに結合するHAポリペプチド)、核酸(RNAiに用いうる、HA配列と相補的な核酸配列など)、HA受容体への結合について競合するグリカン、グリカン−HAポリペプチド相互作用と競合する低分子もしくは糖模倣体、またはこれらの任意の組合せを含有するウイルス粒子を認識する抗体を含有する組成物を提供する。一部の実施形態では、多様な構造を有する異なる薬剤のコレクションを用いる。一部の実施形態では、治療用組成物が、1またはそれより多くの多価薬剤を含む。一部の実施形態では、処置が、曝露または曝露の疑いの直後における応急投与を含む。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるワクチンのうちのいずれかにより、異なる多様なインフルエンザウイルスに対する広範な交差防御がもたらされる。例えば、一部の実施形態では、本明細書で記載されるワクチンにより、トリ適応型H5ウイルスおよびヒト適応型H5ウイルスの両方に対する交差防御がもたらされる。一部の実施形態では、本明細書で記載されるワクチンのうちのいずれかにより、任意のH5インフルエンザウイルス株またはH5インフルエンザウイルス変異体に対する交差防御がもたらされる。一部の実施形態では、本明細書で記載されるワクチンのうちのいずれかにより、任意のH2インフルエンザウイルス株またはH2インフルエンザウイルス変異体に対する交差防御がもたらされる。一部の実施形態では、本明細書で記載されるワクチンのうちのいずれかにより、任意のH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、またはH16のインフルエンザウイルス株またはインフルエンザウイルス変異体に対する交差防御がもたらされる。
一般に、医薬組成物は、滅菌水、生理食塩液、緩衝生理食塩液、またはデキストロース液が含まれるがこれらに限定されない生体適合性の滅菌担体など、1またはそれより多くの不活性薬剤に加えて、治療剤を包含する。代替的にまたは加えて、組成物は、安定化剤、緩衝剤、賦形剤(例えば、糖、アミノ酸など)、または防腐剤などの各種の添加剤のうちのいずれかも含有しうる。
一部の実施形態では、本発明による医薬組成物中に存在する治療剤が、本明細書で記載される1またはそれより多くの結合剤からなる。一部の実施形態では、本発明による医薬組成物が、アンブレラトポロジーグリカンに結合する(および/またはアンブレラトポロジーグリカンの模倣体に結合する)結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、UTBA、UTSBAなど)を含有する。一部のこのような実施形態では、本発明による組成物が、アンブレラトポロジーグリカンに結合しない類縁の薬剤(例えば、他のHAポリペプチドなど)を実質的に含まない。一部のこのような実施形態では、本発明による医薬組成物が、アンブレラトポロジーグリカン以外のHA受容体グリカンに結合する薬剤のうちの50%、40%、30%、20%、10%、5%、または1%以下を含有する。
一部の実施形態では、医薬組成物が、脂質小胞、バイオアベイラビリティーを有しかつ/もしくは生体適合性でありかつ/もしくは生体分解性であるマトリックス、または他の微粒子内に封入され、閉じ込められ、または結合した治療剤を包含する。
一部の実施形態では、提供される医薬組成物が、凝集していない結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、UTBA、UTSBAなど)を包含する。例えば、一部の実施形態では、結合剤のうちで凝集物中に存在する結合剤が、乾燥重量または数で1%、2%、5%、10%、20%、または30%未満である。
一部の実施形態では、提供される医薬組成物が、変性していない結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、UTBA、UTSBAなど)を包含する。例えば、一部の実施形態では、投与されるUTSBAのうちで変性しているUTSBAが、乾燥重量または数で1%、2%、5%、10%、20%、または30%未満である。
一部の実施形態では、提供される医薬組成物が、不活性でない結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、UTBA、UTSBAなど)を包含する。例えば、一部の実施形態では、投与されるUTSBAのうちで不活性なUTSBAが、乾燥重量または数で1%、2%、5%、10%、20%、または30%未満である。
一部の実施形態では、本発明による医薬組成物を、提供される結合剤の免疫原性を低減するように調合する。例えば、一部の実施形態では、提供される結合剤が、その免疫原性を遮蔽するポリエチレングリコールおよび/またはカルボキシメチルセルロースなどの薬剤と会合する(例えば、これに結合する)。一部の実施形態では、提供される結合剤が、免疫原性を低減するさらなるグリコシル化を有する。
本発明の医薬組成物は、単独で投与することもでき、ワクチンおよび/または抗体が含まれるがこれらに限定されない1またはそれより多くの他の治療剤と組み合わせて投与することもできる。「〜と組み合わせて」とは、薬剤を、同時に投与するかまたは送達のために併せて調合しなければならないことを含意することを意図しないが、これらの送達法は、本発明の範囲にある。一般に、各薬剤は、その薬剤について決定される用量および時間スケジュールで投与する。加えて、本発明は、それらのバイオアベイラビリティーを改善する場合もあり、それらの代謝を低減または修飾する場合もあり、それらの分泌を阻害する場合もあり、それらの体内における分布を修飾する場合もある薬剤と組み合わせた、本発明による医薬組成物の送達を包含する。本発明の医薬組成物は、それを必要とする任意の被験体(例えば、任意の動物)の処置に用いうるが、それらは、ヒトの処置において用いることが最も好ましい。一部の実施形態では、本発明による医薬組成物および/または結合剤を、抗ウイルス剤(例えば、オセルタミビル[TAMIFLU(登録商標)]、ザナマビル[RELEZA(登録商標)]など)および/またはシアリダーゼのうちの1またはそれより多くと組み合わせて投与する。
本発明の医薬組成物は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、動脈内経路、皮下経路、脳室内経路、経皮経路、皮内経路、直腸内経路、膣内経路、腹腔内経路、局所経路(粉末、軟膏、クリーム、または液滴を介するなど)、経粘膜経路、鼻腔内経路、口腔内経路、腸内経路、舌下経路を含めた各種の経路を介して投与することもでき、気管内点滴、気管支内点滴、および/もしくは吸入を介して投与することもでき、かつ/または経口スプレー、鼻腔内スプレー、および/もしくはエアロゾルとして投与することもできる。一般に最も適切な投与経路は、薬剤の性質(例えば、消化管環境におけるその安定性)、患者の状態(例えば、患者が経口投与を認容しうるかどうか)などを含めた各種の因子に依存する。
現在のところ、経口経路または鼻腔内スプレー経路またはエアロゾル経路(例えば、吸入を介する経路)が、治療剤を肺および呼吸系へと直接送達するのに最も一般に用いられている。しかし、本発明は、薬物送達科学において起こりうる進歩を考慮して、任意の適切な経路を介する本発明による医薬組成物の送達を包含する。
一部の実施形態では、吸入送達またはエアロゾル送達のための調製物が、複数の粒子を含む。一部の実施形態では、このような調製物の平均粒子サイズが、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、または約13ミクロンである。一部の実施形態では、吸入送達またはエアロゾル送達のための調製物を、乾燥粉末として調合する。一部の実施形態では、吸入送達またはエアロゾル送達のための調製物を、例えば、保湿剤の組入れを介して、湿潤粉末として調合する。一部の実施形態では、保湿剤を、水、生理食塩液、または生理学的pHの他の液体からなる群から選択する。
一部の実施形態では、本発明による組成物を、鼻腔または口腔への液滴として投与する。一部の実施形態では、用量が、複数の液滴(例えば、1〜100滴、1〜50滴、1〜20滴、1〜10滴、1〜5滴など)を含みうる。
一部の実施形態では、本発明による組成物を、計量された用量の組成物(例えば、結合剤の組成物)を送達するデバイスを用いて投与する。
本明細書で記載される医薬組成物を皮内送達するときに用いるのに適するデバイスには、米国特許第4,886,499号、米国特許第5,190,521号、米国特許第5,328,483号、米国特許第5,527,288号、米国特許第4,270,537号、米国特許第5,015,235号、米国特許第5,141,496号、米国特許第5,417,662号(これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる)において記載されるデバイスなどの短い注射針デバイスが含まれる。皮内組成物はまた、参照により本明細書に組み込まれるWO99/34850において記載されるデバイスおよびこれらの機能的同等物など、注射針の皮膚への有効穿通長を限定するデバイスを介して投与することもできる。また、液体のワクチンを、液体用ジェット注射器を介して、または角質層を穿刺する注射針を介して、真皮へと送達し、真皮に到達するジェットを生成させる、ジェット注射デバイスも適切である。例えば、ジェット注射デバイスは、米国特許第5,480,381号、米国特許第5,599,302号、米国特許第5,334,144号、米国特許第5,993,412号、米国特許第5,649,912号、米国特許第5,569,189号、米国特許第5,704,911号、米国特許第5,383,851号、米国特許第5,893,397号、米国特許第5,466,220号、米国特許第5,339,163号、米国特許第5,312,335号、米国特許第5,503,627号、米国特許第5,064,413号、米国特許第5,520,639号、米国特許第4,596,556号、米国特許第4,790,824号、米国特許第4,941,880号、米国特許第4,940,460号、WO97/37705、およびWO97/13537(これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる)において記載されている。また、圧縮ガスを用いて、粉末形態のワクチンを、皮膚の外層を介して真皮へと加速化させる粉末/粒子送達用バリスティックデバイスも適切である。加えて、従来のシリンジを、皮内投与の古典的なMantoux法において用いることもできる。
医薬の調合および製造における一般的な検討項目は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、19版、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1995年において見出すことができる。
本発明による医薬組成物は、所望の結果を達成するのに適する任意の用量で投与することができる。一部の実施形態では、所望の結果を、インフルエンザ感染の1またはそれより多くの症状の強度、重症度、および/もしくは頻度の低減、ならびに/またはこれらの発症の遅延とする。
一部の実施形態では、本発明による医薬組成物を、アンブレラトポロジーグリカンへの結合についてインフルエンザHAと競合するのに有効な用量の結合剤を投与するように調合する。一部の実施形態では、インフルエンザHAによるこのような結合が、1回または複数回にわたる本発明による組成物の投与後に、このような投与の不在におけるそのレベルと比較して低減される。一部の実施形態では、本発明による医薬組成物を、組成物を施される被験体に(例えば、被験体の気道に)存在するHA結合部位(例えば、アンブレラトポロジーグリカンを含有するHA結合部位)のうちの少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%以上を飽和させるのに有効な用量の結合剤を投与するように調合する。
一部の実施形態では、本発明による医薬組成物を、0.0001〜1000mg/kgの範囲内にある単位用量の結合剤を送達するように調合する。
一部の実施形態では、本発明による医薬組成物を、複数回にわたり投与する。一部の実施形態では、本発明による医薬組成物を、複数回/日にわたり投与する。一部の実施形態では、被験体が、治療的投与期間の間に挿入される治療的投与未満の投与期間を経ないように、本発明による医薬組成物を、連続投与レジメンに従い投与する。一部の実施形態では、被験体が、2つの治療的投与期間の間に挿入される少なくとも1つの治療的投与未満の投与期間を経るように、本発明による医薬組成物を、間欠投与レジメンに従い投与する。
診断剤/キット
本発明は、血液、血清/血漿、末梢血単核細胞/末梢血リンパ球(PBMC/PBL)、痰、尿、糞便、咽頭スワブ、皮膚病変スワブ、脳脊髄液、頸管スミア、膿試料、食物マトリックス、ならびに脳、脾臓、および肝臓など、体内の多様な部分に由来する組織が含まれるがこれらに限定されない病理学的試料中に、結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、UTBA、UTSBAなど)を検出するため、および特に特定のグリカン結合特徴(例えば、アンブレラグリカン、α2−6シアル化グリカン、長鎖α2−6シアル化グリカンなどへの結合特徴)を伴う結合剤を検出するためのキットを提供する。本発明はまた、土壌、水、および微生物叢が含まれるがこれらに限定されない環境試料中に被験体の結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、UTBA、UTSBAなど)を検出するためのキットも提供する。また、列挙されていない他の試料も適用可能でありうる。
一部の実施形態では、本発明が、このようなポリペプチドを結合剤とする場合であれそうでない場合であれ、本明細書で記載されるHAポリペプチドを検出するためのキットを提供する。
一部の実施形態では、本発明によるキットが、特定のグリカン結合特徴を伴う結合剤(例えば、HAポリペプチド、LSBA、UTBA、UTSBAなど)を特異的に検出する1またはそれより多くの薬剤を包含しうる。このような検出剤は、例えば、特定の結合剤(例えば、アンブレラグリカン、および/またはα2−6シアル化グリカン、および/または長鎖α2−6シアル化グリカンに結合する結合剤)を特異的に認識する抗体を包含することが可能であり、これらは、ELISA、免疫蛍光法、および/または免疫ブロット法を介してこのような結合剤を特異的に検出するのに用いることができる。
HAポリペプチドに結合する抗体はまた、試料を対象のHAポリペプチドに対して特異的な抗体で処理し、その試料が培養された細胞に感染する能力を、処理されていない試料と比べて調べる、ウイルス中和試験においても用いることができる。その試料中のウイルスがこのようなHAポリペプチドを含有する場合、抗体はウイルスを中和し、ウイルスが培養された細胞に感染することを防止する。代替的にまたは加えて、このような抗体はまた、HAタンパク質を所与の試料から単離し、特定のHAポリペプチドまたはHAポリペプチドのセットに対して特異的な抗体で処置し、その試料が赤血球を凝集させる能力を、処理されていない試料と比べて調べる、HA阻害試験においても用いることができる。試料中のウイルスがこのようなHAポリペプチドを含有する場合、抗体はHAポリペプチドの活性を中和し、HAポリペプチドが赤血球を凝集させることを防止する(HarlowおよびLane、1988年、「Antibodies: A Laboratory Manual」、CSHL Press; www.who.int/csr/resources/publications/influenza/WHO_CDS_CSR_NCS_2002_5/en/index.html; www.who.int/csr/disease/avian_influenza/guidelines/labtests/en/index.html)。一部の実施形態では、このような薬剤が、特定のHAポリペプチドをコードするヌクレオチドに特異的に結合する核酸を包含することが可能であり、これらは、RT−PCRまたはin situハイブリダイゼーションを介してこのようなHAポリペプチドを特異的に検出するのに用いることができる(www.who.int/csr/resources/publications/influenza/WHO_CDS_CSR_NCS_2002_5/en/index.html; www.who.int/csr/disease/avian_influenza/guidelines/labtests/en/index.html)。一部の実施形態では、試料から単離された核酸を、検出前に増幅する。一部の実施形態では、診断用試薬を、検出可能に標識することができる。
本発明はまた、インフルエンザウイルスおよびワクチンを生成させるための本発明による試薬を含有するキットも提供する。キットの内容物には、対象のHAポリペプチド(または特徴的部分もしくは生物学的に活性な部分)をコードするHAヌクレオチド(または特徴的部分もしくは生物学的に活性な部分)を含有する発現プラスミドが含まれるがこれらに限定されない。代替的にまたは加えて、キットは、対象のHAポリペプチド(または特徴的部分もしくは生物学的に活性な部分)を発現させる発現プラスミドも含有しうる。また、使用者が任意の対象のインフルエンザウイルスに由来するHAヌクレオチドを組み込むことが可能であるように、ウイルス遺伝子を含有しない発現プラスミドも包含されうる。また、Vero細胞系およびMDCK細胞系が含まれるがこれらに限定されない哺乳動物細胞系も、キットと共に包含されうる。一部の実施形態では、診断用試薬を、検出可能に標識することができる。
一部の実施形態では、本発明により用いられるキットが、基準試料、試料を処理するための指示書、試験の実施、結果を解釈するための指示書、緩衝液、および/または試験を実施するのに必要な他の試薬を包含しうる。一部の実施形態では、キットが、抗体パネルを含みうる。
本発明の一部の実施形態では、上記で論じたグリカンアレイを、診断剤および/またはキットとして用いることができる。
一部の実施形態では、本発明によるグリカンアレイおよび/またはキットを用いて、HAポリペプチドのアンブレラグリカンへの結合を複数の用量(例えば、本明細書で記載される)で評価する用量反応関係研究を実施する。このような研究は、特に、被験HAポリペプチドの結合特徴に対する貴重な洞察をもたらし、特に、特定の結合を評価するのに有用である。この種の結合についての用量反応関係の研究は、有用に適用されることが多い。一例を挙げるに過ぎないが、それらは、その連鎖が天然の進化を介して発生したものであれ、意図的な操作を介して発生したものであれ、これらの2つの組合せを介して発生したものであれ、類縁のHAポリペプチド変異体の連鎖における結合特徴の進化を追跡する一助となりうる。
一部の実施形態では、本発明によるグリカンアレイおよび/またはキットを用いて、所望の結合特徴を有する結合剤(例えば、HAポリペプチドおよび/またはHAポリペプチドの変異体)を誘導、同定、および/または選択する。例えば、一部の実施形態では、本発明によるグリカンアレイおよび/またはキットを用いて、ポリペプチド結合剤(例えば、HAポリペプチド)の集団に対して進化(例えば、スクリーニングおよび/または選択)圧力を及ぼす。
本発明は、本発明による医薬組成物を投与するためのキットを提供する。例えば、一部の実施形態では、本発明が、少なくとも1回分の用量の結合剤を含むキットを提供する。一部の実施形態では、本発明が、初回の単位用量および後続の単位用量の結合剤を含むキットを提供する。一部のこのような実施形態では、初回の単位用量が後続の単位用量より大きいか、または2つの用量は同等である。
一部の実施形態では、本発明によるキット(特に、本発明による医薬組成物を投与するためのキット)が、送達デバイス、例えば、吸入器の少なくとも1つの構成要素を含む。一部のこのような実施形態では、本発明が、送達デバイスの少なくとも1つの構成要素、例えば、吸入器およびある用量の結合剤を含むキットを提供する。
一部の実施形態では、提供されるキットが、使用のための指示書を含む。
(実施例1)
広範なスペクトルにわたるヒト結合型HAポリペプチドの分子的決定因子の同定
序説
H5N1トリインフルエンザウイルス(「鳥類インフルエンザ」または「トリインフルエンザ」)とは、感染性および致死性が高い病原体である。1996年以来、3つの大陸にわたり複数のH5N1の大発生が起こり、数百万羽の家禽を死滅させている。その出現以来、このウイルスはまた、ヒトに感染する潜在的可能性も示しており、死亡率は60%を超えている。ヒトは事実上、H5N1ウイルスに対する免疫を有さないが、このウイルスはいまだ、ヒトの間で効率的に感染および伝染することが可能となるようにヒト宿主に適応してはいない。このウイルスは、ヒト集団内に足場を得ることを可能とする突然変異を獲得するであろう。
A型インフルエンザウイルスの表面糖タンパク質である血球凝集素(HA)は、ウイルスの宿主細胞への侵入を誘発する一因となる。HAは、シアル化グリカン受容体(α2→3結合型シアル酸またはα2→6結合型シアル酸を末端とするグリカン複合体)に結合する。H5N1 HAは、α2→3結合型シアル酸を末端とするグリカン受容体に優先的に結合する。本発明者らは、ヒト宿主におけるヒト適応型A型インフルエンザウイルスに対するグリカン受容体が、HAのグリカン受容体結合部位(RBS)において特徴的なアンブレラ様トポロジーを取るα2→6シアル化グリカン(以下では、ヒト受容体と称する)であることを裏付けた(参照により本明細書に組み込まれる、Chandrasekharanら、2008年、Nat Biotech、26巻:107頁)。本発明者らはまた、高親和性によるこれらのヒトグリカン受容体への結合が、ヒト適応型HAの特徴であり、ヒト適応型のH1N1ウイルスおよびH3N2ウイルスの効率的な空気伝染性と相関することも示した(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Chandrasekharanら、2008年、Nat Biotech、26巻:107頁;Srinivasanら、2008年、PNAS、105巻:2800頁)。本研究において、本発明者らは、H5N1ウイルスであって、このウイルスが高親和性でヒト受容体に結合することを可能とするRBSにおける配列置換をHAが有するH5N1ウイルスを提示した。
実験デザイン
インフルエンザHAは、単量体が552アミノ酸を含有するホモ三量体のタンパク質である。単量体の各々は、2つのジスルフィド結合した部分である、HA1およびHA2からなる。HA1がグリカン受容体結合部位(RBS)を含むのに対し、HA2はウイルスと細胞膜との融合に関与している。RBSポケットは、HAの95、131、133、136、137、138、145、153、155、156、158、159、183、186、187、189、190、192、193、194、195、196、219、222、224、225、226、227、228位(H3の番号付けを用いる)を伴う。
本発明者らは、H5N1と代表的なヒト受容体との間の分子的接触を詳細に解析し、これらの接触を、ヒト適応型流行性のH1N1 HA、H2N2 HA、およびH3N2 HAとヒト受容体との間の接触と比較した。この手法を介して、本発明者らは、H5N1
HAの突然変異体形態を発生させるための戦略を規定した。突然変異Q226LおよびG228S(またはLS突然変異)を、H5N1 HAの複数の遺伝的クレードにわたり導入した。これらの突然変異は、それらのヒトへの適応をもたらした、それぞれ、H2N2 HAおよびH3N2 HAの226位および228位における特徴的なアミノ酸置換に基づく。
これらの突然変異は、H5N1 HAの異なる遺伝的クレードのRBSの文脈で導入した(図13)。先行研究(例えば、これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Stevensら、2008年、J. Mol. Biol.、381巻:1382〜94頁;およびStevensら、2006年、Science、312巻:404頁)では、グリカンアレイプラットフォームの異なるH5N1株においてLS突然変異を含む組換えHAおよび全ウイルスのいずれもが解析されており、これらの株の一部が、α2→6シアル化グリカンへの結合を獲得したことが示されている(図14)。しかし、これらの研究の目標は、高タンパク質濃度または高ウイルス力価における結合についてスクリーニングし、どのくらい多くのα2→3グリカンまたはα2→6グリカンが結合シグナルを示すのかを決定することであった。
これに対し、本発明者らは、複数のH5N1株に由来するRBS中にLS突然変異を保有する組換えHAについての用量依存的な解析を実施した(図15)。本データは、これらの突然変異体のうちのいずれもが、ヒト適応型HAにより共有されている、ヒト受容体への特徴的な高結合親和性を示さなかったことを裏付ける。本結果はまた、RBS中にLS突然変異だけを保有するH5N1ウイルスの非効率的な伝染とも相関した。しかし、これらの突然変異体のうちのいずれもが高親和性によるヒト受容体への結合を示さなかった。したがって、H5N1 HAの突然変異体形態を規定するには、さらなる戦略が必要とされた。
グリコシル化を失効化させる突然変異
したがって、そのRBSを、より近年の遺伝的クレード(A/Indonesia/5/05などの株を包含する)のRBSと類似させるために、本発明者らは、128、133、145、159、193(以下の太字および下線を付した残基)における5カ所のアミノ酸置換を、Viet_1203_04_c1(クレード1株であるA/Viet Nam/1203/04)HAへと導入した。
本発明者らは、アミノ酸位置N158におけるグリコシル化であれば、H5N1 HAのRBSにおけるヒト受容体のアンブレラ様トポロジーに干渉しうることを認識した。したがって、本発明者らの最初の戦略は、Q228L置換および/またはG228S置換、ならびにN158におけるグリコシル化を失効化させる、さらなるT160A突然変異を含有するH5N1 HAの突然変異体形態を発生させることを伴った。
このグリコシル化部位は、全ての遺伝的クレードにわたって保存的であるわけではない。N158にグリコシル化が存在しないことにより、ヒト受容体の、LS突然変異を伴うH5N1 HAへの結合が改善される場合は、天然でこのグリコシル化部位を欠く遺伝的クレード(c2.2、c2.2.1など;図13を参照されたい)に属するウイルスのヒトへの適応を達成するのに、LS突然変異だけで十分でありうるであろう。これらのクレードの鋳型配列を、Egypt_2876−N3_06_c2.2(クレード2.2に属するA/Egypt/2786−N3/06)として選択した。本発明者らはまた、ヒト受容体への結合親和性の改善度を点検するために、H2 HAではQ226L突然変異が親和性を実質的に改善するのに十分であることを踏まえ、Q226L突然変異だけを保有する突然変異体形態(158位における脱グリコシル化の文脈で)も規定した。
上記の突然変異体についての用量依存的な解析(図16)は、LS突然変異の文脈でThr−160をAlaへと突然変異させることを介してAsn−158におけるグリコシル化を除去することにより、ヒト受容体への結合が実質的に改善されることを示した。これは、Viet1203_04_DにおけるT160A/Q226L/G228S突然変異体、ならびにEgypt_2876−N3_06_c2.2 HAにおけるLS突然変異のいずれについても観察された。本発明者らはさらに、Q226L突然変異だけ(G228Sを伴わない)では、N158においてグリコシル化を除去する文脈で高度なヒト受容体への結合親和性をもたらすのに十分でないことも裏付けた。しかし、本発明は、Q226(例えば、Q226L)における突然変異だけでも、一部の特定のウイルス株の文脈にあるN158におけるグリコシル化を除去する文脈で高度なヒト受容体への結合親和性をもたらすのに十分でありうることの認識を包含する。本発明はまた、G228(例えば、G228S)における突然変異だけでも、一部の特定のウイルス株の文脈にあるN158におけるグリコシル化を除去する文脈で高度なヒト受容体への結合親和性をもたらすのに十分でありうることの認識も包含する。本発明はまた、Q226およびG228の両方における突然変異(例えば、Q226LおよびG228S)が、一部の特定のウイルス株の文脈にあるN158におけるグリコシル化を除去する文脈で高度なヒト受容体への結合親和性をもたらすのに要求されうることの認識も包含する。
加えて、本発明者らはまた、上記の突然変異体のトリ受容体への(特に、3’SLN−LN−LNおよび3’SLN−LNへの)結合が極めて高度であり、ヒト適応型HAには典型的でないことも発見した。例えば、ヒト受容体への結合およびトリ受容体への結合の両方を示す原型的な流行性H2N2 HA(A/Albany/6/58)の場合であっても、ヒト受容体への結合親和性は、トリ受容体への結合親和性より何桁も高度であった。
ループ領域におけるアミノ酸欠失
本発明者らは、H5N1 HAの突然変異体形態を、そのRBSとヒト受容体との間の分子的な接触が、ヒト適応型H2N2 HAとヒト受容体との間の接触を緊密に模倣するように、デザインした。H2N2 HAのRBSの分子組成、およびそれがいかにしてグリカン受容体の特異性を統御するのかについて理解しようとする本発明者らのかつての研究に基づき、本発明者らは、まず、H5N1 HAのRBSの、1957年〜58年型の流行株(A/Albany/6//58またはAlb6_58)に由来する原型的なヒト適応型H2N2 HAのRBSとの詳細な分子的比較を実施した(図17)。H5 HAとAlb6_58 HAとの間のRBSの分子組成の差違を最小化するために、本発明者らは、Viet1203_04_D鋳型(「Viet1203_04_D_H2RBS」;配列番号61)において、131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、および228位における13カ所のアミノ酸置換、ならびに130位における欠失を含む突然変異体を発生させた。H2 HAとH5 HAとの間の包括的な比較に基づき、欠失および置換の組合せを表す、H5N1 HAのRBSにおける突然変異のデザインおよび試験に焦点を絞るのは、本研究が全く初めてである。欠失は、130位において行った。H2N2 HAは、158位におけるグリコシル化は欠くが、突然変異体HAにおけるN158のグリコシル化部位(Viet1203_04_Dのグリコシル化部位)は保持した。したがって、本発明は、前述の突然変異に、158位におけるグリコシル化を失効化させる突然変異が加われば、ヒトへの結合がなおさらに増強されうることの認識を包含する。本発明者らはまた、保存的置換に基づくより少数の突然変異により、この突然変異体の別の変化形(「Viet1203_04_D_H2RBSmin」;配列番号63)もデザインした。
本発明者らはまた、RBSの分子組成に関して、天然でAlb6_58のH2N2 HAと近縁でありうる他のH5N1株に由来するHA配列も探索した。本発明者らは、例示的な鋳型の2つのセット:(1)192位および193位の電荷特性のスイッチを伴う鋳型のセット(A/chicken/Vietnam/NCVD−093/2008またはckViet_08)、および(2)130ループにおける欠失を伴う鋳型のセット(A/chicken/Egypt/R2/2007またはckEgy_07)を同定した。これらの新たなH5N1 HA鋳型の上述の位置においてより少数の突然変異を伴うさらなる突然変異体形態をデザインして、H5N1 HAのRBSに、ヒト適応型H2N2 HAのRBSを模倣させた。
用量依存的なグリカンアレイを用いて、突然変異体のヒト受容体への結合親和性を調べた。Viet1203_04_D_H2RBSの突然変異体により、ヒト適応型H1N1
HAおよびヒト適応型H2N2 HAの特徴である高度に特異的な高親和性によるヒト受容体への結合が示された(図19)。本発明は、さらなる突然変異をデザインして、(1)130ループの組成および欠失、(2)192位および193位における荷電残基のスイッチ、(3)158位におけるグリコシル化の関係、ならびにこの関係がいかにして突然変異体のH5N1 HAのヒト受容体への結合親和性を統御するのかを理解しうることの認識を包含する。
用いられるH5N1鋳型ならびに上記の原理および実施例2に示される原理に従いデザインされる例示的な突然変異体ポリペプチドの例示的な配列
例示的なH5N1鋳型ならびに上記の原理および実施例2に示される原理に従いデザインされる例示的な突然変異体H5 HAポリペプチドのアライメントを、図18および以下に提示する。
Viet1203_04_D:太字の残基、下線を付した残基は、置換部位を示す。
以下の配列において、斜字体および強調は、突然変異を生じさせる領域を示し、太字体および下線は、突然変異した残基を示す。
Viet1203_04_D_H2RBS:
Viet1203_04_D_H2RBS_N158deglyc
Viet1203_04_D_H2RBSmin):欠失+7カ所の突然変異
Viet1203_04_D(T160A/Q226L/G228S)突然変異体:
Egypt_2876−N3_06_c2.2:158位におけるグリコシル化の欠如は大型のフォントで示す。
LS突然変異を伴うEgypt_2876−N3_06_c2.2HA:158位におけるグリコシル化の欠如は大型のフォントで示す。
単一のQ226L突然変異を伴うEgypt_2876−N3_06_c2.2HA:158位におけるグリコシル化の欠如は大型のフォントで示す。
T160A/Q226Lの二重突然変異を伴うViet1203_04_D:
ckViet_08:H2N2において観察されるLys192およびMet193の電荷の組合せ(大型のフォントで示す)を既に保有するWT HA
ckViet_08_H2RBS:欠失+6カ所の突然変異
ckViet_08_H2RBS:欠失+5カ所の突然変異
ckViet_08_H2RBSmin:欠失+4カ所の突然変異
ckEgy_07:130ループにおける欠失を既に保有する
ckEgy_07_LS:ckEgy_07におけるLS突然変異
ckEgy_07_H2RBS:8カ所の突然変異
考察
複数の実験的研究が、H5 HAのヒト受容体特異性の決定因子を同定することを試みている。しかし、これらの研究は、近傍の位置の影響を考慮せずに、RBS部位におけるアミノ酸の置換に直接焦点を当てている。さらに、宿主特異性の可能な決定因子としての挿入または欠失について考慮した先行研究さえ見られない。構造ベースの探索はまた、主に、欠失の構造的効果を、コンピュータによる解析を用いて正確に評価することができないため、H5 HAの重要な決定因子を同定することにも満たない。これに対し、新規の特性を伴うタンパク質を操作することの重要性を認識し、これに配列アライメント法を用いたのは、本発明者らが初めてである。本発明は、近年においてヒトに感染する潜在的可能性を示してきた他のHA亜型(H7、H9など)の宿主特異性の決定因子を同定するのに同様の手法を用いうることの認識を包含する。
材料および方法
野生型のHAポリペプチドの異なるトポロジーのグリカンへの直接的結合の用量反応関係
直接的結合アッセイは、規定されるグリカン構造(例えば、一価構造または多価構造)が、ポリマー骨格を用いることが多い支持体(例えば、スライドガラスまたはウェルプレート)上に提示されるグリカンアレイを典型的に用いる。いわゆる「シーケンシャル」アッセイでは、三量体のHAポリペプチドを、アレイに結合させ、次いで、例えば、標識した(例えば、FITCまたは西洋ワサビペルオキシダーゼで)一次抗体および二次抗体を用いて検出する。「多価」アッセイでは、三量体のHAを、まず、あらかじめ複合体化させたHA1つ当たり12ずつのグリカン結合部位が存在するように、一次抗体および二次抗体と複合体化させ(典型的には、HA:一次抗体:二次抗体の比を4:2:1として)、次いで、アレイと接触させる。アレイにおける異なるグリカンについての相対的親和性について情報が得られるように、結合アッセイは、典型的に、あるHA濃度の範囲にわたり実施する。
例えば、直接的結合研究は、3’SLN、6’SLN、3’SLN−LN、6’SLN−LN、および3’SLN−LN−LN(LNは、Galβ1−4GlcNAcを表し、3’は、Neu5Acα2−3を表し、6’は、Neu5Acα2−6を表す)などの異なるグリカンを有するアレイにより実施した。とりわけ、ビオチニル化グリカン(120ピコモル/mlのビオチニル化グリカン50μl)を、PBSであらかじめ3回にわたりすすいだ、ストレプトアビジンでコーティングした高結合能の384ウェルプレートと共に、一晩にわたり(PBS中、4℃で)インキュベートした。次いで、プレートを、PBSで3回にわたり洗浄して過剰なグリカンを除去し、さらなる処理なしに用いた。
適量のHisタグづけしたHAタンパク質、一次抗体(マウス抗6×Hisタグ抗体)、および二次抗体(HRPコンジュゲートヤギ抗マウスIgG)を、HA:一次抗体:二次抗体の比を4:2:1として、氷上で15分間にわたりインキュベートした。次いで、混合物(すなわち、あらかじめ複合体化させたHA)を、PBS中に1%のBSAを伴う250μlの最終容量へと構成した。次いで、50μlのあらかじめ複合体化させたHAを、384ウェルプレート内のグリカンでコーティングしたウェルへと添加し、室温で2時間にわたりインキュベートした。その後、ウェルを、0.05%のTWEEN−20を含有するPBSで3回にわたり洗浄し、次いで、PBSで3回にわたり洗浄した。製造元による指示書に従い、Amplex Red Peroxidase Kit(Invitrogen、CA)を用いて、HRP活性を推定した。HAプレ複合体の系列希釈液について研究した。適切な陰性対照(非シアル化グリカン)およびバックグラウンド対照(グリカンなしまたはHAなし)を包含し、全てのアッセイを3連で実施した。
(実施例2)
例示的なヒト結合H5 HAポリペプチド変異体
一部の実施形態では、HAポリペプチドをH5ポリペプチドとする。一部のこのような実施形態では、本発明によるH5ポリペプチドが、アンブレラグリカンへの結合(例えば、高度な親和性および/または高度な特異的結合)を示す。一部のこのような実施形態では、本発明によるH5ポリペプチドが、同等な(アンブレラトポロジーへの結合と)高親和性によるコーントポロジーグリカンへの結合またはコーントポロジーグリカンへの結合の低減(例えば、アンブレラトポロジーグリカンと比べた低親和性および/または低特異性)を示す。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、ヒト上気道上皮細胞において見出される受容体に結合する。さらに、本発明によるH5 HAポリペプチドは、複数の異なるα2−6シアル化グリカンにも結合する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、アンブレラグリカンに結合する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、気管支および/または気管のHA受容体に結合する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、肺深部の受容体に結合することが可能でなく、一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、肺深部の受容体に結合することが可能である。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、α2−3シアル化グリカンに結合することが可能でなく、一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、α2−3シアル化グリカンに結合することが可能である。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドを、親H5 HAポリペプチド(例えば、天然のインフルエンザ単離物中に見出されるH5 HAポリペプチド)の変異体とする。例えば、一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、野生型のH5 HAポリペプチドと比較して、グリカン結合部位内に少なくとも1つのアミノ酸置換を有するか、またはグリカン結合部位に影響を及ぼす少なくとも1つのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、このような置換を、結合したグリカンと直接相互作用するアミノ酸の置換とし、一部の実施形態では、分離度1次で隔てられたアミノ酸は、(1)直接的に結合するアミノ酸と相互作用するか、(2)直接的に結合するアミノ酸がグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼすが、グリカン自体とは直接相互作用しないか、または(3)直接的に結合するアミノ酸がグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼし、また、グリカン自体とも直接相互作用するので、このような置換を、結合したグリカンと相互作用するアミノ酸から分離度1次で隔てられたアミノ酸の置換とする。本発明によるH5 HAポリペプチドは、1もしくは複数の直接的に結合するアミノ酸、1もしくは複数の分離度1次のアミノ酸、1もしくは複数の分離度2次のアミノ酸、またはこれらの任意の組合せの置換を含有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、1またはそれより多くの分離度がなおより高次なアミノ酸の置換を含有しうる。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体が、野生型のH5 HAポリペプチドと比較して少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ以上のアミノ酸置換を有し、一部の実施形態では本発明によるH5 HAポリペプチド変異体が、2つ、3つ、または4つのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、このようなアミノ酸置換の全てを、グリカン結合部位内に配置する。
一部の実施形態では、本発明によるHAポリペプチド変異体が、米国特許公開第2009/0269342号および同第2010/0004195号のうちのいずれか、ならびに2010年7月2日に出願され、「COMPOSITIONS AND METHODS FOR DIAGNOSING AND/OR TREATING INFLUENZA INFECTION」と題する、米国特許出願第12/829931号(これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる)において記載されている1またはそれより多くのアミノ酸置換を含有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基95、98、128、130、131、132、133、135、136、137、138、145、153、155、156、158、159、160、183、186、187、188、189、190、192、193、194、195、196、219、221、222、224、225、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において配列の置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基95、98、128、130、131、132、133、135、136、137、138、145、153、155、156、158、159、160、183、186、187、188、189、190、192、193、194、195、196、219、221、222、224、225、226、227、および228からなる群から選択される残基において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基95、98、128、130、131、132、133、135、136、137、138、145、153、155、156、158、159、160、183、186、187、188、189、190、192、193、194、195、196、219、221、222、224、225、226、227、および228からなる群から選択される任意の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、または37残基において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、158位に対応する部位におけるグリコシル化を低減または消失させる配列置換を有する。一部の実施形態では、H5
HAポリペプチド変異体が、158位に対応する部位に結合したグリカンの同一性および/または構造に影響を及ぼし、かつ/またはこれを変化させる配列置換を有する。一部の実施形態では、このような配列置換は、158位に対応する部位における突然変異、例えば、Asn158Xaa[XaaはAsn以外の任意のアミノ酸である]である。一部の実施形態では、このような配列置換は、160位に対応する部位における突然変異、例えば、Thr160Xaa[XaaはAsn以外の任意のアミノ酸である]である。一部の実施形態では、このような配列置換が、突然変異Thr160Alaを含む。一部の実施形態では、158位に対応する部位におけるグリコシル化を低減するか、消失させるか、これに影響を及ぼすか、またはこれを変化させる配列置換により、H5 HAポリペプチドを、H2 HAポリペプチドに酷似させる(例えば、構造的にも機能的にも酷似させる)ことができる。一部の実施形態では、160位に対応する部位における突然変異(例えば、Thr160AlaなどのThr160Xaa)により、H5 HAポリペプチドを、H2 HAポリペプチドに酷似させる(例えば、構造的にも機能的にも酷似させる)ことができる。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基226、228、および160のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基226、228、および160に対応する位置において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基226および160に対応する位置において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基228および160に対応する位置において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基226および228に対応する位置において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基226、228、および158のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基226、228、および158に対応する位置において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基226および158に対応する位置において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基228および158に対応する位置において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基226および228に対応する位置において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、HAポリペプチドのループ領域のうちの1またはそれより多くにおいて欠失を包含する1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、HAポリペプチドの128〜137のループ領域に対応する部位において欠失を包含する1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、HAポリペプチドの残基128、129、130、131、132、133、134、135、136、および/または137に対応するアミノ酸位置のうちの1またはそれより多くにおいて欠失を包含する1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、HAポリペプチドの128〜134のループ領域に対応する部位において欠失を包含する1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、HAポリペプチドの残基128、129、130、131、132、133、および/または134に対応するアミノ酸位置のうちの1またはそれより多くにおいて欠失を包含する1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基130に対応するアミノ酸の欠失を包含する1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、このようなループ領域の置換により、H5 HAポリペプチドを、H2 HAポリペプチドに酷似させる(例えば、構造的にも機能的にも酷似させる)ことができる。一部の実施形態では、残基130に対応するアミノ酸を欠失させることにより、H5 HAポリペプチドを、H2 HAポリペプチドに酷似させる(例えば、構造的にも機能的にも酷似させる)ことができる。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、または14個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、または13個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、132、135、188、192、221、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、132、135、188、192、221、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、132、135、188、192、および221のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、132、135、188、192、および221のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、または6個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基133、137、155、193、226、227、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基133、137、155、193、226、227、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、またはに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基133、137、155、193、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基133、137、155、193、226、227、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基130、192、および193のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基130、192、193のうちの任意の1個、2個、または3個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基192および193のうちの一方または両方に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、または16個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、または15個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基137、188、192、193、226、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基137、188、192、193、226、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基137、188、192、193、226、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基137、188、192、193、226、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、または6個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基137、188、192、193、226、227、228、131、132、133、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基137、188、192、193、226、227、228、131、132、133、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基137、188、192、193、226、227、228、131、132、および133のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基137、188、192、193、226、227、228、131、132、および133のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基227、131、132、133、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5
HAポリペプチド変異体が、残基227、131、132、133、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、または5個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基227、131、132、および133のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基227、131、132、および133のうちの任意の1個、2個、3個、または4個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、133、137、155、188、192、193、226、227、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、133、137、155、188、192、193、226、227、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、133、137、155、188、192、193、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、133、137、155、188、192、193、226、227、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、133、137、155、188、192、193、226、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、133、137、155、188、192、193、226、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、133、137、155、188、192、193、226、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、133、137、155、188、192、193、226、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、または9個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、227、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、227、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、または13個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、227、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、227、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、228、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、228、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、および228のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、および228のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基137、188、192、193、226、228、131、132、133、221、227、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基137、188、192、193、226、228、131、132、133、221、227、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基137、188、192、193、226、228、131、132、133、221、および227のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基137、188、192、193、226、228、131、132、133、221、および227のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、132、133、221、227、および130のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、132、133、221、227、および130のうちの任意の1個、2個、3個、4個、5個、または6個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(1)130、および(2)残基131、132、133、221、および227のうちの1またはそれより多くに対応する位置において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くの配列置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体(例えば、H5 HAポリペプチド変異体)が、(1)130、ならびに(2)残基131、132、133、221、および227のうちの任意の1個、2個、3個、4個、または5個に対応する位置において、野生型の親HAと比べて配列置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基98、136、153、155、183、および194が含まれるがこれらに限定されない、グリカンに直接結合する受容体の領域に位置するアミノ酸から選択される残基において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、(a)残基98および195、(b)残基98、138、186、187、195、および228、または(c)残基138、186、187、および228が含まれるがこれらに限定されない、グリカンに直接結合する受容体の領域に隣接して位置するアミノ酸から選択される残基において、野生型の親H5 HAと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態では、分離度1次で隔てられたアミノ酸が、(1)直接的に結合するアミノ酸と相互作用するか、(2)直接的に結合するアミノ酸がグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼすが、グリカン自体とは直接相互作用しないか、または(3)直接的に結合するアミノ酸がグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼし、また、グリカン自体とも直接相互作用するという点で、HAポリペプチド変異体、特にH5ポリペプチド変異体は、残基98、138、186、187、195および228を含むがこれらに限定されない、結合したグリカンと相互作用するアミノ酸から分離度1次で隔てられたアミノ酸から選択される残基において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態では、分離度1次で隔てられたアミノ酸が、(1)直接的に結合するアミノ酸と相互作用するか、(2)直接的に結合するアミノ酸がグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼすが、グリカン自体とは直接相互作用しないか、または(3)直接的に結合するアミノ酸がグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼし、また、グリカン自体とも直接相互作用するという点で、HAポリペプチド変異体、特にH5ポリペプチド変異体は、残基138、186、187、および228を含むがこれらに限定されない、結合したグリカンと相互作用するアミノ酸から分離度1次で隔てられたアミノ酸から選択される残基において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態では、分離度1次で隔てられたアミノ酸が、(1)直接的に結合するアミノ酸と相互作用するか、(2)直接的に結合するアミノ酸がグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼすが、グリカン自体とは直接相互作用しないか、または(3)直接的に結合するアミノ酸がグリカンと相互作用する能力に他の形で影響を及ぼし、また、グリカン自体とも直接相互作用するという点で、HAポリペプチド変異体、特にH5ポリペプチド変異体は、残基98および195を含むがこれらに限定されない、結合したグリカンと相互作用するアミノ酸から分離度1次で隔てられたアミノ酸から選択される残基において、野生型の親HAと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体、特にH5ポリペプチド変異体が、残基159において、野生型の親HAと比べてアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体、特にH5ポリペプチド変異体が、190、193、225、および226から選択される残基において、野生型の親HAポリペプチドと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、HAポリペプチド変異体、特にH5ポリペプチド変異体が、190、193、226、および228から選択される残基において、野生型の親HAポリペプチドと比べて1またはそれより多くのアミノ酸置換を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体が、以下のアミノ酸置換:Ser132Thr、Ala133Thr、Ser133Thr、Ser137Ala、Ser137Arg、Ile155Thr、Lys156Glu、Asn158Xaa(ここで、Xaa=Asn以外の任意のアミノ酸)、Thr160Ala、Asn186Pro、Asp187Ser、Asp187Thr、Ala188Glu、Ala188Asp、Ala189Gln、Ala189Lys、Ala189Thr、Glu190Asp、Glu190Thr、Thr192Arg/Lys、Lys193Arg、Lys193Asn、Lys193His、Lys193Ser、Lys/Arg193Thr/Ala/Met/Val、Ser221Pro、Gly225Asp、Gln226Ile、Gln226Leu、Gln226Val、Ser227Ala、Gly228Serのうちの1またはそれより多くを有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体が、残基192に対応する位置においてその位置において電荷をスイッチするアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体が、残基193に対応する位置においてその位置において電荷をスイッチするアミノ酸置換を有する。例えば、一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、残基192に対応する位置においてThrまたは疎水性残基(例えば、ValまたはIle)を有し、H5 HAポリペプチド変異体(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基192に対応する位置において親水性残基を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基192に対応する位置において親水性残基を有する。別の例を挙げれば、一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、残基192に対応する位置においてThrまたは疎水性残基(例えば、ValまたはIle)を有し、H5
HAポリペプチド変異体(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基192に対応する位置において塩基性残基(例えば、LysまたはArg)を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基192に対応する位置において塩基性残基(例えば、LysまたはArg)を有する。さらに別の例を挙げれば、一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、残基193に対応する位置において塩基性残基(例えば、LysまたはArg)を有し、H5 HAポリペプチド変異体(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基193に対応する位置において中性残基または酸性残基を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基193に対応する位置において中性残基または酸性残基を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体(例えば、ヒト適応型変異体)が、残基193に対応する位置においてThr、Ala、Met、またはValを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドのヒト適応化が、188位における残基の特性(複数可)と関連する。H5 HAでは、残基188が、残基192においてThrまたは疎水性残基と接触するAlaであることが多い。これに対し、H2 HAでは、残基188が、残基192においてArgまたはLysと接触するGluまたはAspであることが多い。よって、一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、188位においてGluを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、188位においてAspを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、Ala188Glu置換を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、Ala188Asp置換を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置において疎水性残基を有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてArgを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてArgを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてLysを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてLysを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置においてThrを有し、残基193に対応する位置においてLysを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置において疎水性残基を有し、残基193に対応する位置においてLysを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置においてThrを有し、残基193に対応する位置においてArgを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基188に対応する位置においてAlaを有し、残基192に対応する位置において疎水性残基を有し、残基193に対応する位置においてArgを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてArgを有し、残基193に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてArgを有し、残基193に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてLysを有し、残基193に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてLysを有し、残基193に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてArgを有し、残基193に対応する位置においてThr、Ala、Met、またはValを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてArgを有し、残基193に対応する位置においてThr、Ala、Met、またはValを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてGluを有し、残基192に対応する位置においてLysを有し、残基193に対応する位置においてThr、Ala、Met、またはValを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基188に対応する位置においてAspを有し、残基192に対応する位置においてLysを有し、残基193に対応する位置においてThr、Ala、Met、またはValを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基131に対応する位置においてAlaを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131に対応する位置においてThrを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基132に対応する位置においてSerを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基132に対応する位置においてThrを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基133に対応する位置においてSerを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基133に対応する位置においてThrを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基131、132、および/または133に対応する任意の位置においてAla、Thr、および/またはSerを包含する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、132、および/または133に対応する任意の位置においてAla、Thr、および/またはSerを包含する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基131、132、および133に対応する位置の全てにおいてThrを包含する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基135に対応する位置においてValを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基135に対応する位置においてVal以外の任意のアミノ酸を有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基137に対応する位置においてSerを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基137に対応する位置においてArgを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基155に対応する位置においてIleを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基155に対応する位置においてThrを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基155に対応する位置においてThrを包含する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基155に対応する位置においてThrを包含する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基221に対応する位置においてSerを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基221に対応する位置においてProを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基221に対応する位置においてSerを包含する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基221に対応する位置においてProを包含する。特定のいかなる一つの理論により拘束されることも望まないが、Pro221は、H2 HAのRBSと関与する220ループの立体配座に影響を及ぼしうるであろう。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基226に対応する位置においてGlnを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基226に対応する位置においてLeuを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基227に対応する位置においてSerを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基227に対応する位置においてGlyを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、残基228に対応する位置においてGlyを有する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、残基228に対応する位置においてSerを有する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチドが、226位、227位、および228位において、それぞれ、Gln、Ser、およびGly残基を包含する。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体が、226位、227位、および228位において、それぞれ、Leu、Gly、およびSerを包含する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体が、表示される位置において以下のアミノ酸変化:
・Δ130(「Δ130」とは、130位に対応するアミノ酸における欠失を示す)+131、132、133、135、137、155、188、192、193、221、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+131、132、135、188、192、および221に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+133、137、155、193、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+131、133、137、155、188、192、193、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+131、133、137、155、188、192、193、226、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+131、133、137、155、159、160、188、192、193、226、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+137、188、192、193、226、228、131、132、133、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+131、132、133、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+137、188、192、193、226、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+137、188、192、193、226、227、228、131、132、および133に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
・Δ130+227、131、132、および133に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せ
のうちの1またはそれより多くを有する。
一部の実施形態では、本発明が、それらのアミノ酸配列が以下:
[配列中、
X=任意のアミノ酸(上記で別段に指定しない限り)とし、かつ/またはX=欠失アミノ酸である。これらの位置の番号付けは、H3 HAの番号付けに対応する]
に示されるエレメント(これらの位置の番号付けは、H3 HAの番号付けに対応する)を包含する、H5 HAポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド変異体、操作されたH5 HAポリペプチド、および/または操作されたH5 HAポリペプチド変異体)を提供する。
一部の実施形態では、X130を、130位に対応する部位における欠失とする。一部の実施形態では、X160がAlaである。一部の実施形態では、X158が、Asn以外の任意のアミノ酸である。
一部のこのような実施形態では、変異体のアンブレラグリカンに対する親和性および/または特異性が増大するように、H5 HAポリペプチド変異体が、野生型のH5 HAと比較して少なくとも1つのさらなる置換を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、L226、S228、およびA160を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、L226およびA160を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、S228およびA160を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、A160を包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、L226、S228、およびX158(X=Asn以外の任意のアミノ酸)を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、L226およびX158を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、S228およびX158を包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、X158を包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、ならびに131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、S228、A160、ならびに131、132、133、135、137、155、158、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5
HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、A160、ならびに131、132、133、135、137、155、158、188、192、193、221、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、S228、A160、ならびに131、132、133、135、137、155、158、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、S228、ならびに131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、A160、ならびに131、132、133、135、137、155、158、188、192、193、221、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、ならびに131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、および227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、S228、ならびに131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、226、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、S228、X158(X=Asn以外の任意のアミノ酸)、ならびに131、132、133、135、137、155、160、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、X158、ならびに131、132、133、135、137、155、160、188、192、193、221、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、S228、X158、ならびに131、132、133、135、137、155、160、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、L226、S228、ならびに131、132、133、135、137、155、158、160、188、192、193、221、および227に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)が、Δ130、X158(X=Asn以外の任意のアミノ酸)、ならびに131、132、133、135、137、155、160、188、192、193、221、226、227、および228に対応する位置における突然変異のうちの任意の可能な組合せを包含する配列を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチド変異体が、親H5 HAと比較して、特に野生型の親H5 HAと比較して開放性の結合部位を有する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、アンブレラトポロジーグリカンに結合する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、図9に示されるグリカン(例えば、α2−6シアル化グリカン)のうちの少なくとも一部に結合する。一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、図9に示される複数のグリカンに結合する。
一部の実施形態では、本発明によるH5 HAポリペプチドが、ヒト上気道組織(例えば、上皮細胞)内のHA受容体において見出されるグリカンのうちの少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上に結合する。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド(H5 HAポリペプチド変異体を含めた)を、配列番号50、51、53〜55、および60〜75に示されるポリペプチドのうちのいずれかとする。
一態様では、本発明が、高親和性によるアンブレラトポロジーグリカンへの結合だけでは、ヒトに対する効果的な伝染/感染性を付与するのに十分ではありえないことの具体的な認識を提供する。本発明は、また、コーントポロジーグリカンへの結合の低減も重要でありうることの洞察を提供する。一部の実施形態では、高親和性によるアンブレラトポロジーグリカンへの結合およびコーントポロジーグリカンへの結合親和性の低減が、ヒトに対する効果的な伝染/感染性を付与することに関与している可能性がある。一部の実施形態では、高親和性によるアンブレラトポロジーグリカンへの結合は、ヒトに対する効果的な伝染/感染性を付与するのに十分である。一部の実施形態では、コーントポロジーグリカンへの結合親和性を低減しない(例えば、変化させない、増大させるなど)場合であっても、高親和性によるアンブレラトポロジーグリカンへの結合は、ヒトに対する効果的な伝染/感染性を付与するのに十分である。
一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体のアンブレラトポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性の増大ならびにコーントポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性の低減が、ヒトに対する伝染/感染性を、基準のポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド変異体のコグネイトである親HAポリペプチド)と比べて増大させるかまたは増強することに関与している可能性がある。一部の実施形態では、H5 HAポリペプチド変異体のアンブレラトポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性の増大は、ヒトに対する伝染/感染性を基準のポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド変異体のコグネイトである親HAポリペプチド)と比べて増大させるかまたは増強するのに十分である。一部の実施形態では、コーントポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性を低減しない(例えば、変化させない、増大させるなど)場合であっても、H5 HAポリペプチド変異体のアンブレラトポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性の増大は、ヒトに対する伝染/感染性を基準のポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド変異体のコグネイトである親HAポリペプチド)と比べて増大させるかまたは増強するのに十分である。一部の実施形態では、コーントポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性が、アンブレラトポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性と同等であり、かつ/またはこれより大きい場合であっても、H5 HAポリペプチド変異体のアンブレラトポロジーグリカンへの結合親和性および/または結合特異性の増大は、ヒトに対する伝染/感染性を基準のポリペプチド(例えば、H5 HAポリペプチド変異体のコグネイトである親HAポリペプチド)と比べて増大させるかまたは増強するのに十分である。
(実施例3)
ヒト上気道組織におけるグリカンの多様性
レクチン結合研究により、上気道組織におけるα2−3グリカンおよびα2−6グリカンの分布の多様性が示された。染色研究により、気管上皮の先端側におけるN結合型グリカン(絨毛細胞)およびO結合型グリカン(杯細胞における)の両方の一部としてのα2−6シアル化グリカンの分布が優勢であることが示される(図12)。他方、気管組織の内部領域は主に、N結合型グリカンにおいて分布するα2−3グリカンを含む。
MALDI−MSグリカンプロファイリング解析により、ヒト上気道における実質的な多様性(図10)ならびにα2−6シアル化グリカンの発現が優勢であることが示された。MALDI TOF−TOFを用いる代表的な質量ピークのフラグメント化により、複数のラクトサミン反復配列を伴う長鎖オリゴ糖分枝が、短鎖オリゴ糖分枝と比較して広範に分布するグリカントポロジーが裏付けられる(図10)。上気道におけるグリカンの分布およびトポロジーの多様性についての基準をもたらすために、ヒト結腸上皮細胞(HT29細胞)に由来するN結合型グリカンについてMALDI−MS解析を実施した。近年のH5N1ウイルスは主に消化管に感染しているため、これらの細胞を代表的な消化管細胞として選択した。HT29細胞のグリカンプロファイルは、α2−3グリカンの分布が優勢であり、長鎖オリゴ糖分枝のグリカントポロジーは観察されないHBEのグリカンプロファイルと著明に異なる(図10)。
図12のデータは、以下の方法を介して作成した。ホルマリンで固定し、パラフィンで包埋したヒト気管組織切片は、US Biologicalから購入した。組織切片を脱パラフィン化し、再水和させた後、内因性ビオチンは、ストレプトアビジン/ビオチンブロッキングキット(Vector Labs)を用いてブロッキングした。次いで、切片を、FITCで標識したJacalin(O結合型グリカンに特異的)、ビオチニル化したConcanavalin A(N結合型グリカンを構成するコアオリゴ糖構造の一部であるα結合型マンノース残基に特異的なCon A)、ビオチニル化したMaackia amurensisのレクチン(MAL、SAα2,3−galに特異的)、およびビオチニル化したSambuccus nigraのアグルチニン(SNA、SAα2,6−galに特異的)(Vector labs;0.5%のTween−20を伴うPBS中に10μg/ml)と共に、3時間にわたりインキュベートした。TBST(1%のTween−20を伴うトリス緩衝生理食塩液)による洗浄の後、切片を、Alexa
fluor 546ストレプトアビジン(0.5%のTween−20を伴うPBS中に2μg/ml)と共に、1時間にわたりインキュベートした。スライドをTBSTで洗浄し、共焦点顕微鏡(Zeiss LSM510レーザー走査共焦点顕微鏡)下で観察した。全てのインキュベーションは、室温(RT)で実施した。
図10のデータは、以下の方法を用いて作成した。細胞(約70×10個)は、100mMのクエン酸緩衝生理食塩液と共に>90%をコンフルエントとして採取し、プロテアーゼ阻害剤(Calbiochem)による処理およびホモジナイゼーションの後で細胞膜を単離した。細胞膜画分をPNGaseF(New England Biolabs)で処置し、反応混合物を37℃で一晩にわたりインキュベートした。反応混合物を10分間にわたり煮沸して酵素を失活させ、Sep−Pak C18 SPEカートリッジ(Waters)を用いて、脱グリコシル化されたペプチドおよびタンパク質を除去した。グリカンは、さらに脱塩し、グラファイト化炭素製の固相抽出カラム(Supelco)を用いて中性(25%のアセトニトリル画分)画分および酸性(0.05%のトリフルオロ酢酸を含有する50%のアセトニトリル)画分へと精製した。酸性画分は、それぞれ、ソフトイオン化条件(加速化電圧を22kV、グリッド電圧を93%、ガイドワイヤーを0.3%、および抽出遅延時間を150ナノ秒とする)を伴う陽イオンモードおよび陰イオンモードのMALDI−TOF MSを介して解析した。ピークは、非ナトリウム化分子種として較正した。α2−6シアル化グリカンの発現が優勢であることは、シアリダーゼAおよびSを用いて試料を前処理することにより確認した。単離されたグリカンは、その後最終容量を100mLとする50mMのリン酸ナトリウム、pH6.0中に0.1UのArthrobacter ureafaciensのシアリダーゼ(シアリダーゼA、非特異的)またはStreptococcus pneumoniaeのシアリダーゼ(シアリダーゼS、α2−3シアル化グリカンに特異的)と共に37℃で24時間にわたりインキュベートした。中性画分および酸性画分は、それぞれ、陽イオンモードおよび陰イオンモードのMALDI−TOF MSを介して解析した。
(実施例4)
H5 HAポリペプチド変異体のヒト肺組織への結合
ホルマリンで固定し、パラフィンで包埋したヒト肺組織切片およびヒト気管組織切片(それぞれ、例えば、US Biomax,Inc.およびUS Biologicalから購入した)への結合が提示される。組織切片は、脱パラフィン化し、再水和させ、PBS中に1%のBSAと共に30分間にわたりインキュベートして、非特異的結合を防止した。H5 HAポリペプチドは、それぞれ4:2:1の比で、一次抗体(マウス抗6×Hisタグ抗体)および二次抗体(Alexa−fluor 488ヤギ抗マウス抗体)と共に、氷上で20分間にわたりあらかじめ複合体化させた。形成された複合体は、1%のBSA−PBSにより40、20または10μg/mlの最終HA濃度へと希釈する。次いで、組織切片を、HA−抗体複合体と共にRTで3時間にわたりインキュベートする。切片は、ヨウ化プロピジウム(Invitrogen;TBST中に1:100)で対比染色し、十分に洗浄し、次いで、共焦点顕微鏡(Zeiss LSM510レーザー走査共焦点顕微鏡)下で観察する。
あらかじめ複合体化させたH5 HAポリペプチドはまた、Jacalin(杯細胞など、非絨毛性の粘液性細胞のマーカー)など他のレクチンと共に組織切片を共染色して、HAにより組織上皮における絨毛細胞および/または非絨毛細胞が染色されるかどうかについてのさらなる情報を得るのにも用いる。
(実施例5)
動物宿主におけるH5 HAポリペプチドの試験
本明細書で記載する通り、本発明は、ウイルスの伝染について研究するために動物宿主(例えば、フェレット)を用いることにより、ヒトへのウイルス伝染について信頼できる指標がもたらされうることの認識を包含する。同様に、本発明は、ウイルスの伝染について研究するために本発明による結合剤(例えば、HAポリペプチド)により処置される動物宿主(例えば、フェレット)を用いることにより、ヒト宿主におけるウイルスの防止または処置のための本発明によるこのような結合剤の有効性について信頼できる指標がもたらされうることの認識も包含する。
ウイルス伝染アッセイ
ウイルス伝染アッセイを、本発明による結合剤の存在下または非存在下において用いて、適切な動物モデルにおけるウイルス伝染を決定する。例えば、動物宿主、例えば、フェレットを、動物間の直接的および間接的な接触を防止する、隣接するケージ内で飼育する。しかし、これらの飼育条件は、空気を介するインフルエンザウイルスの拡散を可能とする。動物のうちの第1の部分に、当技術分野で公知の方法(例えば、鼻腔内投与、筋肉内投与、または本明細書で記載される投与方式のうちのいずれか)を介して有効量のウイルスを接種する(「接種された動物」)。次いで、1、2、3日以上後で、ナイーブの動物を、接種された動物と隣接するケージに導入することができる。
研究で用いられる動物は、接種または伝染の1、2、3日以上後の任意の時点で、解析のために死滅させることができる。ウイルス伝染研究に適する解析には、感染性ウイルスの力価(例えば、鼻腔内洗浄を介する)の決定、動物における身体症状(例えば、嗜眠、食欲不振、鼻漏、くしゃみ、高熱、および/または死)の観察、とりわけ、呼吸器組織の免疫組織化学的解析が含まれうるがこれらに限定されない。
上記のウイルス伝染アッセイはまた、ウイルスの接種または伝染の前、間、または後における、動物宿主の、本明細書で記載される本発明に従う結合剤による処置も組み込みうる。次いで、本明細書で記載される解析法を用いて、動物宿主のウイルスによる伝染および/または感染の遮断における結合剤(複数可)の有効性を決定する。
血清学的研究
結合剤および/または結合剤を含むワクチン組成物をフェレットに0日目に筋肉内投与した後、21日目に追加投与を実施する。各動物に由来する血液を、0、14、21、および35日目に回収する。回収された血清を、in vitroにおいて、それがウイルスの凝集を阻害し、ウイルス感染を中和する能力について検討した。
血球凝集反応阻害(HAI)アッセイ
HAIの滴定は、96−ウェルのv型底プレート(Corning)内で実施する。血清を2倍に系列希釈し、200μlの全容量中に血球凝集用量の4倍のA型インフルエンザウイルスへと添加する。次に、2%の(vol/vol)赤血球溶液25μlを添加する。血清、ウイルス、および赤血球を静かに混合し、30分間にわたりインキュベートした後にアッセイを読み取る。血球凝集用量の4倍のウイルスを阻害する最大の抗体希釈率の逆数としての力価を記録する。
in vitroにおける中和アッセイ
血清の系列希釈液を、ウイルスと混合し、室温で30分間にわたりインキュベートし、次いで、MDCK細胞と共に37℃で1時間にわたりインキュベートする。次いで、細胞を無血清培地で2回にわたり洗浄し、次いで、トリプシンを伴うかまたは伴わない新鮮な培地を添加する。ウイルスの増殖は、細胞変性効果を介して評価する。データは、中和を引き起こす血清の最大の希釈率の逆数として作成する。
ウイルス感作アッセイ
ワクチン接種されたフェレットを、同種および異種の野生型および突然変異体のH5N1株で鼻腔内感作する。感作後1、3、および5日目に、フェレットから鼻腔内洗浄液を採取する。MDCK細胞におけるウイルスを滴定して、気道内に放出されるウイルスを決定する。
(実施例5)
H5N1血球凝集素の近年の単離物における2カ所のアミノ酸変化は、そのヒト受容体への優先性をスイッチするのに十分である
序説
高度に病原性のH5N1は、2003年以来、ヒトにおける複数の局在化された大発生を開始して、地球規模の憂慮をもたらしている(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Heumannら、2010年、Cell Res、20巻:51頁;Guanら、2009年、Rev Sci Tech、28巻:39頁)。既存のH5N1株はエアロゾル伝染が不可能であり、むしろ、主に感染した動物との直接的な接触を介して伝染する。しかし、感染と関連する罹患率および死亡率の高さ(約60%)、ならびに公知のインフルエンザ亜型(H5N1を含めた)が突然変異または遺伝子再集合を介して表現型形質を獲得する能力により、H5N1株もエアロゾル伝染性を獲得しうることが示唆される(参照により本明細書に組み込まれる、Yenら、2009年、Curr Top Microbiol Immunol、333巻:3頁)。このようなウイルスが重度の感染を引き起こす潜在的可能性と共に、ヒト集団がH5N1に対して事前に免疫を有さないという事実により、このような株が発生すれば、将来において流行または大流行が生じうることが示唆される(参照により本明細書に組み込まれる、Subbaraoら、2007年、PLoS pathogens、3巻:e40頁)。
逆遺伝学システムの使用により、11の遺伝子産物のうち、血球凝集素(HA)およびポリメラーゼ(PB2)における特定のアミノ酸変化の獲得が、ヒトへのエアロゾル伝染に極めて重要であることが示されている(参照により本明細書に組み込まれる、Hoevenら、2009年、Pro Natl Acad Sci USA、106巻:3366頁)。したがって、これらのタンパク質における遺伝子変化の機能的効果について対処することは、表現型の変化に対する潜在的可能性を同定するのにとりわけ重要である。PB2の場合、627位におけるリシンからグルタミン酸への極めて重要な変化が、エアロゾル伝染性を獲得するのに重要である(参照により本明細書に組み込まれる、Hoevenら、2009年、Pro Natl Acad Sci USA、106巻:3366頁)。しかし、HAの生物学的役割、すなわち、ビリオンの融合および感染をもたらすグリカン受容体への結合を踏まえるなら、ヒトへの適応をもたらす特異的な突然変異は、亜型特異的および株特異的であると考えられる(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Stevensら、2006年、Nat Rev Microbiol、4巻:857頁;Russellら、2006年、Glycoconj J、23巻:85頁)。
先行研究により、HAの受容体は、特定のグリカン構造(例えば、「アンブレラトポロジー」または「コーントポロジー」であるα2→3結合型シアル酸またはα2→6結合型シアル酸)を末端とするグリカンであることが同定されている。トリ適応型H5N1 HAは、コーントポロジーグリカンを末端とするグリカン受容体に優先的に結合し、これらの多くが、α2→3結合型シアル酸(トリ受容体)を有する(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Stevensら、2006年、J Mol Biol、355巻:1143頁;Gambaryanら、2006年、Virology、344巻:432頁)。ヒト適応型H1N1株、ヒト適応型H2N2株、およびヒト適応型H3N2株のHAにより、コーントポロジー(例えば、多くがα2→3シアル化グリカン)からアンブレラトポロジー(例えば、多くがα2→6シアル化グリカン)(ヒト受容体)への結合優先性のスイッチ、およびこれらのヒト適応型ウイルスの空気伝染性と相関することが示されている、特徴的な高親和性によるヒト受容体への結合が裏付けられている(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Pappasら、2010年、PLoS One、5巻:e11158頁;Tumpeyら、2007年、Science、315巻:655頁)。この枠組みを用いて、近年の研究は、現在広く生じているH2N2株、H7N7株、およびH9N2株のヒトへの適応をもたらす突然変異のセットを同定している(それらの全てが参照により本明細書に組み込まれる、Viswanathanら、2010年、PLoS One、5巻:e13768頁;Belserら、2008年、Proc Natl Acad Sci USA、105巻:7558頁;Sorrellら、2009年、Proc Natl Acad Sci USA、106巻:7565頁)。これらの研究は、転換に要求される突然変異が、研究された亜型およびなお特定の株に基づいて異なりうることを裏付けている。突然変異したH5N1株が、H2/H3(Q226LおよびG228SまたはLS)突然変異および/またはH1(E190D、G225DまたはDD)突然変異の顕著な特徴である変化を包含するとする先行研究(それらの全てが参照により本明細書に組み込まれる、Mainesら、2011年、Virology、413巻:139頁;Stevensら、2008年、J Mol Biol、381巻:1382頁;Stevensら、2006年、Science、312巻:404頁)により、これらの突然変異体のうちのいずれもが、ヒト適応型の「流行性」株のHAに特徴的な、ヒト受容体への特異性および親和性へと定量的に「スイッチ」するわけではないことが示されている(図20)。A/Vietnam/1203/04(Viet03_04)配列における顕著な特徴であるLS残基を導入しようとする試みは、スイッチをもたらしていない。本発明者らは、顕著な特徴であるLS残基に適切に対応するのに必要とされる重要な構造的特徴を確立した。本発明者らはまた、いかなる構造的特徴が、高親和性によるヒト受容体への結合を可能とするような受容体の特異性のスイッチを促進するのに要求されるのかも決定した。
実験デザイン
インフルエンザHAは、単量体が552アミノ酸を含有するホモ三量体のタンパク質である。単量体の各々は、2つのジスルフィド結合した部分である、HA1およびHA2からなる。HA1がグリカン受容体結合部位(RBS)を含むのに対し、HA2はウイルスと細胞膜との融合に関与している。RBSポケットは、HAの95、131、133、136、137、138、145、153、155、156、158、159、183、186、187、189、190、192、193、194、195、196、219、222、224、225、226、227、228位(H3の番号付けを用いる)を伴う。
H5 HAは、系統的にH2 HAに最も近縁である(図21)ので、LS残基に対応する構造的特徴および適正なH5 HA配列を決定するために、本発明者らは、H2 HAのRBSとH5 HAのRBSの詳細な構造的比較を実施した。この研究のために、原型的な流行性H2(A/Albany/6/58またはAlb6_58)HAを、初期のヒト単離物(A/Vietnam/1203/04またはViet03_04)に由来する代表的なH5N1 HAと共に選択した。比較解析を行うことにより、本研究では、H5 HAのRBSをH2 HAのRBSから識別する4つの異なる特徴を同定した(図22)。第1に、H2 HAの130ループの組成は、H5 HAの130位(H3の番号付け)において欠失を包含するH5 HAとは異なる。第2に、ヒト受容体末端のNeu5Acα2−6Galモチーフの向こう側の糖残基と相互作用する、RBSの「上部」または「190螺旋」におけるアミノ酸組成(188位、192位、および193位などにおけるアミノ酸組成)には差違が認められる。第3に、ヒト受容体のNeu5Acα2−6Galモチーフと相互作用する、RBSの「底部」におけるアミノ酸組成(137位、221位、226位、および228位などにおける、LS変化を包含するアミノ酸組成)には差違が認められる。第4に、H2 HAでは、H5 HAの158位におけるグリコシル化部位が不在である。この部位におけるグリコシル化であれば、RBSに結合したヒト受容体末端のNeu5Acα2−6Galモチーフの向こう側の糖残基に干渉する潜在的可能性がありうるであろう(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Stevensら、2008年、J Mol Biol、381巻:1382頁;Wangら、2010年、Journal of Virology、84巻:6570頁)。本発明の知見は、H2 HAのRBSとH5 HAのRBSとのこの詳細な比較を包含し、これにより、既に観察されたより特徴的なLS変化の埒外にある特定のアミノ酸の差違が示唆される。本発明者らは、LS突然変異の文脈でH2 HAのRBSの構造的特徴への合致を促進する適切なH5 HA配列を同定しようと努めた。
全ての現在に至るまでのH5N1配列(トリ単離物およびヒト単離物の両方)についての解析により、本発明者らは、3つのさらなる観察:1)近年のトリ単離物およびヒト単離物(2007年以後)の多くに由来するH5 HAポリペプチドが既に、第1の特徴に合致する、130ループにおける欠失を獲得していることの観察、2)特徴2に合致する、「190螺旋」における重要なアミノ酸変化が既に観察されていることの観察、および3)また多くのH5 HA配列において、158位におけるグリコシル化の喪失(特徴4)も観察されていることの観察を行うことが可能となった。HA RBSの重要な構造的特徴の文脈で、本発明者らは、130ループにおける欠失が、同じHAにおいてグリコシル化の喪失を共時的に伴うこと(特徴1および4)が、H5 HAの進化において極めて重要であることを決定した。しかし、本発明は、グリコシル化の喪失が130ループにおける残基の欠失に付随的であっても、その逆は成り立たないことの認識を包含する。本発明は、特定の最新型のH5 HA株が、旧型のヒト単離物(Viet03_04など)から大幅に分岐しているが、また、流行性のH2 HA RBSに合致するのに必要な、重要な構造的特徴も獲得していることの観察を包含する。
したがって本発明者らは、特徴1および4を有する株であれば、顕著な特徴であるLS残基に適切に対応する適正なH5 HA配列となるかどうかを評価した。この実験のために、株A/chicken/Egypt/R2/2007(またはckEgy_07)を、天然で特徴1および4を獲得した代表的なH5 HAとして選択した(図23)。このH5 HA配列にLS突然変異だけを導入すること(ckEgy_07_LS)により、ヒト受容体へのスイッチおよび高親和性によるヒト受容体への結合(およびトリ受容体に対する比較的低度な親和性)が示され、これにより、ヒト適応型「流行性」HAのグリカン結合特徴への類似が示された(図24A、B、および図25)。さらなる知見により、流行性HAによるこの組織の染色に類似する、ヒト気管上皮の尖枝表面におけるこの突然変異体のH5 HAのヒト受容体への結合(図24C)が裏付けられる(これらのいずれもが参照により本明細書に組み込まれる、Viswanathanら、2010年、PLoS One、5巻:e13768頁;Mainesら、2009年、Science、325巻:484頁)。
他の研究者らによる、Viet03_04など旧型のヒト単離物にLS変化だけを導入する初期の努力は、スイッチをもたらさず、LS突然変異に対応しうるH5 HA RBSの構造的特徴を理解する必要を過小評価した。ckEgy_07_LSもまた、天然で特徴4を獲得したことを踏まえ、本発明者らは、この特徴だけ、すなわち、LSと併せたグリコシル化の喪失(T160A突然変異を介して達成される)により、Viet03_04のグリカン受容体への結合優先性がスイッチされるかどうかを評価した(図25)。野生型のHAであるViet03_04と比較して、この突然変異体株の用量依存的な直接的グリカン結合は、ヒト受容体への結合を示したが、また、流行性ヒト適応型HAには非特徴的な、その高親和性によるトリ受容体への結合も保持した(図25)。天然で特徴4を獲得した別の株(A/Egypt/2786−NAMRU3/06またはEgy_06)にLS変化だけを導入したところ、この観察が確証された。最後に、天然で特徴2を獲得した、代表的なH5 HA(A/chicken/Vietnam/NCVD−093/08またはckViet_08)(図22C)における突然変異により、ヒト受容体への結合親和性が付与されたが、また、高親和性によるトリ受容体への結合も保持された(図26)ことは、この構造的枠組みと符合する。
考察
顕著な特徴であるLS残基に適切に対応するのに必要とされる特定の構造的特徴を規定したのは、本発明者らが初めてである。加えて、本発明者らは、現在広く生じている特定のH5 HAポリペプチドが、H5 HAのヒト受容体への優先性をスイッチし、これにより、それらのヒトへの適応をもたらすのに、2カ所のアミノ酸変化、顕著な特徴であるLSを要求するのみであることの洞察も提示する。本発明に由来する情報を用いて、本発明者らは、LS変化だけを組み込むことにより受容体の特異性のスイッチ切換えを施しやすい、適切なH5 HA配列(全H5N1 HAのうちの小規模な代表的プールに由来する配列ではあるが)を合理的に選択した。これらの最新型のH5 HAポリペプチドの1つの特徴的特性は、それらが、特徴1、2、および4(図27)を獲得するように天然で進化したことである。特徴1および4を獲得した配列は、NCBIデータベースにおける2277の非冗長H5N1 HA配列のうちの6%に過ぎないが、しかし、これが、2009年および2010年に単離されたH5N1株のうちの約45%を表す。H5N1 HAについてのさらなる系統解析により、天然で獲得した特徴1および4は、クレード2.2.1に属することが明らかとなる。これまでのところ、特徴1の発生は、クレード2.2.1に限られると考えられるが、しかし、特徴4の存在がクレード2.2.1に制約されるわけではない。クレード2.2.1株は、既に旧型のヒト単離物(Viet03_04など)から大幅に分岐しており、これらの旧来の株よりヒトに対して緊密に適応していることが極めて重要である。クレード2.2.1に属する、報告されたヒトH5N1単離物の全ては、エジプトおよびイスラエルに由来する。したがって、クレード2.2.1株の進化をモニタリングすることが重要である。
129位における正に荷電した残基(特徴2)を伴う例示的なH5N1株
全てがクレード2.2.1に属する同じHAの130位における欠失(および158位におけるグリコシル化の喪失)(特徴1)を伴う例示的なH5N1株。これらには、以下が含まれるがこれらに限定されない。
材料および方法
HAのクローニング、バキュロウイルスによる合成、発現、および精製
WTのH5 HA配列および突然変異体のH5 HA配列を、昆虫細胞による発現のためにコドン最適化し、DNA2.0(Menlo Park、CA)により合成した。次いで、合成された遺伝子を、pAcGP67Aプラスミドへとサブクローニングし、製造元による指示書に従い、Baculogoldシステム(BD Biosciences、San Jose、CA)を用いて、バキュロウイルスを創出した。次いで、BD Baculogold Max−XP SFM(BD Biosciences、San Jose、CA)により培養したSf9細胞の懸濁液培養物に感染させるのに、組換えバキュロウイルスを用いた。感染をモニタリングし、感染の3〜4日後に条件付け培地を採取した。ニッケル親和性クロマトグラフィー(HisTrap HPカラム、GE Healthcare、Piscataway、NJ)を用いて、採取した条件付け培地から可溶性のHAを精製した。HAを含有する溶出画分をプールし、100K MWCOスピンカラム(Millipore、Billerica、MA)を用いて、pH8.0の1倍濃度PBS(Gibco)へと濃縮および緩衝液交換した。精製されたタンパク質は、BCA法(Pierce)を用いて定量化した。
組換えHAのヒト気管組織切片への結合
パラフィン包埋したヒト気管(US Biological)組織切片を、PBS中に1%のBSAで30分間にわたり脱パラフィン化し、再水和し、インキュベートして、非特異的結合を防止した。HAを、氷上で20分間にわたり、一次抗体(マウス抗6×Hisタグ、Abcam)および二次抗体(Alexa fluor 488ヤギ抗マウス抗体、Invitrogen)と、それぞれ、4:2:1のモル比であらかじめ複合体化させた。1%のBSA−PBS中であらかじめ複合体化させたHAを希釈することにより、異なるHA濃度にわたり組織への結合を実施した。次いで、組織切片を、RTで3時間にわたり、HA−抗体複合体と共にインキュベートした。組織切片は、ヨウ化プロピジウム(Invitrogen;TBST中で1:100)で対比染色した。組織切片をマウントし、次いで共焦点顕微鏡(Zeiss LSM510レーザー走査共焦点顕微鏡)を用いて造影した。
WTのHAおよび突然変異体のHAの用量依存的な直接的結合
多価HA−グリカン間相互作用を探索するため、ビオチニル化した代表的なα2→3シアル化グリカンおよびα2→6シアル化グリカンを含むストレプトアビジンプレートアレイを、既に記載した通りに用いた。3’SLN、3’SLN−LN、3’SLN−LN−LNは、代表的なトリ受容体である。6’SLNおよび6’SLN−LNは、代表的なヒト受容体である。LNは、ラクトサミン(Galβ1−4GlcNAc)に対応し、3’SLNおよび6’SLNは、それぞれ、LNに結合したNeu5Acα2−3およびNeu5Acα2−6に対応する(図28)。ビオチニル化グリカンは、それらのリソースリクエストプログラムを介して、Consortium of Functional Glycomicsから得た。ストレプトアビジンでコーティングした高結合能の384ウェルプレート(Pierce)で、ウェルを2.4μMのビオチニル化グリカン50μlと共に、4℃で一晩にわたりインキュベートすることにより、各ウェルの容量いっぱいまで投入した。過剰なグリカンは、PBSによる十分な洗浄を介して除去した。三量体のHA単位は、3つのHA単量体(および、したがって、各単量体につき1つずつである3つのRBS)を含む。ストレプトアビジンプレートアレイのウェル内のビオチニル化グリカンの空間的配置が好適なのは、三量体のHA単位中の3つのHA単量体のうちのただ1つへの結合である。したがって、HA−グリカン間相互作用における多価性を特異的に増強するために、組換えHAタンパク質を、4:2:1(HA:一次抗体:二次抗体)のモル比で一次抗体および二次抗体とあらかじめ複合体化させた。プレ複合体中で4つの三量体のHA単位が全てのHAについて同一な配置により、それらのグリカン結合親和性の間の比較が可能となる。適量のヒスチジンタグづけしたHAタンパク質、一次抗体(Abcam製のマウス抗6×HisタグIgG)、および二次抗体(Santacruz Biotechnology製のHRPコンジュゲートヤギ抗マウスIgG)を、4:2:1の比で含有する原液を、氷上で20分間にわたりインキュベートした。適量のあらかじめ複合体化させたHA原液を、PBS中に1%のBSAで250μlへと希釈した。この50μlのあらかじめ複合体化させたHAを、グリカンでコーティングしたウェルの各々へと添加し、室温で3時間にわたりインキュベートした後、PBSおよびPBST(1倍濃度のPBS+0.05%のTween−20)による洗浄ステップを実施した。製造元による指示書に従い、Amplex Red Peroxidase Assayキット(Invitrogen、CA)を用いて、HRP活性に基づき、結合シグナルを決定した。
同等物
当業者は、日常的な実験だけを用いて、本明細書で記載される本発明の実施形態との多くの同等物を認識するかまたはこれらを確認することが可能である。本発明の範囲は、上記の「説明」に限定されることを意図するものではなく、以下の特許請求の範囲に示される通りである。

Claims (8)

  1. (i)A/Vietnam/1203/04(配列番号50)である基準のH5 HAポリペプチド配列と少なくとも95%の同一性を示し;かつ
    (ii)前記基準のH5 HAポリペプチド配列と比較して置換Q226LおよびG228Sを含み;かつ
    (iii)前記基準のH5 HAポリペプチド配列と比較して少なくとも1つの欠失を含み、前記欠失が、128、129、130、131、132、133、134、135、136、およびこれらの組合せからなる群から選択される1またはそれより多い位置にある
    アミノ酸配列を有するH5 HAポリペプチドを含む結合剤
    を含む医薬組成物であって、位置番号付けは、カノニカルのH3番号付けシステムに基づく、医薬組成物。
  2. 前記結合剤のアミノ酸配列が、前記基準のH5 HAポリペプチド配列と比較して、残基137、155、188、192、193、221、227、およびこれらの組合せからなる群から選択される残基のうちの1またはそれより多くで、少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記結合剤が、アンブレラトポロジーグリカンとHAポリペプチドとの間でのグリカン−HAポリペプチド相互作用と競合する、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 前記H5 HAポリペプチドが、アミノ酸1〜55に対応する領域にわたり、前記基準のH5 HAと少なくとも95%の同一性を示すアミノ酸配列を有するが、
    (i)前記基準のHAのアミノ酸配列と、残基192、193、およびこれらの組合せからなる群から選択される1またはそれより多くの残基が異なるか、あるいは
    (ii)前記基準のHAのアミノ酸配列と、残基158または160からなる群から選択される1またはそれより多くの残基が異なる、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記結合剤が、アンブレラトポロジーグリカンに、
    (i)同等の条件下でヒトの感染を媒介する野生型のHAについて観察される親和性の少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%の親和性で結合するか、または
    (ii)コーントポロジーグリカンに結合するより強力に結合する、請求項に記載の医薬組成物。
  6. 前記結合剤が、アンブレラトポロジーグリカン対コーントポロジーグリカンについて少なくとも2、少なくとも5、または少なくとも10の相対的親和性を示す、請求項に記載の医薬組成物。
  7. 前記相互作用が、前記HAポリペプチドと、ヒト上気道上皮細胞、気管支、気管、または肺深部において見出される受容体との間で生じる、請求項に記載の医薬組成物。
  8. H5インフルエンザウイルスを予防および/または処置する際にワクチンとして使用するための、請求項1に記載の医薬組成物。
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