JP6026795B2 - 回転式熱処理炉 - Google Patents
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また、こうした熱風循環式と多段型炉床回転式を組み合わせた回転式熱処理炉も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、最初に、被加熱物Wのうち最も中心部12b側の被加熱物Wに最も高温の熱風が作用してその被加熱物Wを昇温させ、一方、その熱風は被加熱物Wに吸熱された結果、温度が低下する。その後、温度が低下した熱風が外側の被加熱物Wに作用し被加熱物Wを昇温させる。このように、中心部12b側の被加熱物Wに作用する熱風の温度が高く、外側の被加熱物Wになるにつれ作用する熱風の温度が低くなるので、全ての被加熱物Wを均一に加熱することができず、それに伴い、被加熱物Wの品質にバラツキが発生してしまう。
この回転式熱処理炉10は、図8に示すように、格納室12aに対応して中空のチャンバーCが設けられており、中心部12bからの熱風を中空のチャンバーCを介して、全ての被加熱物Wに対して上方から熱風を供給するものである。
この回転式熱処理炉20は、図9に示すように、ファン24により一旦熱風を炉底まで送り、最も下方に位置する格納室22aに熱風を入れ、その熱風を最も上方に位置する格納室22aまで順に送るものである。
また、一つの格納室12aに格納する被加熱物Wの数を変更した場合には、被加熱物Wに向かって熱風が吹き出す、チャンバーCの下面に形成された吹出口の数や位置を変更しなければならないという問題もある。
すなわち、炉本体の外側は常温であって、一方、炉本体の内部は例えば500〜600度に設定しており、炉本体の内外でこれだけの温度差があるため、炉本体に断熱処理を施しても炉本体から外部への放熱は完全に遮断することは困難であるところ、本発明では、その放熱し易く中央部側部分に比べて低温になってしまう格納回転体の外側部分に配置された被加熱物に、高温の熱風をまず作用させるので、格納された被加熱物の位置による温度差が生じ難く、その結果、被加熱物の品質にバラツキが生じ難い。
しかも、この回転式熱処理炉の構造は簡易であるので、回転式熱処理炉の製造コストやメンテナンスコストが低廉である。
さらに、格納回転体の中央部の下端とファンとの間を連通する第二流路を備え、熱風を第二流路を介して格納回転体の中央部からファンまで戻すように、熱風を循環させるので、被加熱物に付着している鋳物砂が格納回転体の中央部下方に落下し、舞い上がり難い。
また、格納回転体の上方には空間ができるので、例えば請求項4に記載の発明のように、回転駆動装置を炉本体の上方に配置することができる。
すなわち、ファンが一つしかなく一定の温度の熱風しか供給できない環境であっても、回転の上流側では熱風取込口の開口量を多くして被加熱物に供給する熱量を増やすことで、被加熱物を急激に昇温可能であり、一方、回転の下流側では熱風取込口の開口量を少なくして被加熱物に供給する熱量を減らすことで、回転の上流側で昇温した被加熱物をその温度で保温可能である。
このように、ファンが一つしかなくても、ゾーン毎の温度制御が可能である。
また、回転駆動装置が炉本体の下方に配置されている場合のように、回転駆動装置のメンテナンス時に炉本体や格納回転体といった重量物の下に潜り込まなくてもよいので、メンテナンス作業を安全に行うことができる。
さらに、回転駆動装置が炉本体の上方に配置されている場合のほうが、回転駆動装置が炉本体の下方に配置されている場合に比べて構造が簡易である。
図1乃至図3を参照して、本発明の第一実施形態に係る回転式熱処理炉30を説明する。
この回転式熱処理炉30は、アルミニウム合金等の被加熱物Wに熱処理を施すための熱処理炉であり、炉本体31と、格納回転体32と、回転駆動装置33と、ファン34と、第一流路35と、円筒壁36と、第二流路37を備える。
そして、本実施形態に係る回転式熱処理炉30は、特に被加熱物Wに作用させる熱風の循環の方向に特徴を有する。
炉本体31における、後述するファン34とは反対側に開口部31dが形成され、その開口部31dには炉扉31eが設けられている。
そして、図1に示すように、この開口部31dから炉本体31内に被加熱物Wが搬入及び炉本体31から搬出される。開口部31dは少なくとも格納回転体32の高さと同じ高さだけ開口している。なお、開口部31dからの放熱を最小限にするために、後述する格納室32aの段数に合わせて炉扉31eを高さ方向について分割していてもよい。
また、格納室32aの中央側を構成する円筒状の中央壁32cよりも内側が空隙である。この空隙は格納回転体32の上端から下端まで延びる。
中央壁32cには貫通孔である熱風排出口が形成され、それにより各格納室32aと中央部32bの空隙とが連通されている。
そして、格納回転体32は円滑に回転可能なように回転駆動装置33からぶら下がった状態で支持されている。つまり、格納回転体32の上端や下端は炉本体31と接触していないか、接触していても摩擦抵抗が小さい。
一つの格納室32aに格納される被加熱物Wは複数個であって、それらは格納回転体32の径方向(熱風取込口36aから熱風排出口の方向)に並べられる。もちろん、被加熱物Wが大きい場合には一つの格納室32aに対して被加熱物Wが一つだけ格納される。
本実施形態においては図3の破線矢印で示すように、回転駆動装置33は格納回転体32を平面視時計回りに回転させる。
また、格納回転体32の中央壁32cが回転駆動装置33まで延びており、回転駆動装置33が中央壁32cに動力を作用させることで格納回転体32全体を回転させる。但し、格納回転体32をどのような手段を用いて回転させるかは、これに限られるものではない。
このように、回転駆動装置33は作動と停止を繰り返して、格納回転体32を断続的に回転させる。
このファン34としては、軸流ファンやシロッコラジカルファン等を用いることができる。
なお、このファン34及びバーナ39は回転式熱処理炉30一基につきそれぞれ一つずつ設けられている。
第一流路35も炉本体31と同様に、その外部は常温の雰囲気下にあるので、第一流路35から熱が外部に逃げ難くするように所定の断熱処理がされている。
また、この円筒壁36は格納回転体32とは異なり、炉本体31に対して固定されており、格納回転体32が回転しても円筒壁32は回転しない。
また、炉本体31の内壁と円筒壁36との間の空間は、第一流路35と連続した環状流路41となっている。
詳しくは、被加熱物Wを搬出入する格納室32aのすぐ下流側では、一つの格納室32aに対して熱風取込口36aが三つとなるように、かつ格納室32a三つ分(図3において上に位置する格納室32a三つ)だけ熱風取込口36aを形成した。また、その下流側には一つの格納室32aに対して熱風取込口36aが二つ、それを格納室32a二つ分だけ、熱風取込口36aを形成した。さらに、その下流側には一つの格納室32aに対して熱風取込口36aが一つ、それを格納室32a二つ分だけ、熱風取込口36aを形成した。
つまり、格納室32aに格納された直後の被加熱物Wには多くの熱風が作用するように、円筒壁36に熱風取込口36aを形成している。
なおここでは、各熱風取込口36aの大きさを全て等しくした。
このように、回転駆動装置33による回転の上流と下流で、熱風取込口36aの開口量をそれぞれ異なるようにしている。
なお、図1は格納室32aに熱風取込口36aが形成されたような図となっているが、本図は概略を説明するために便宜上このような表現となっているだけで、現実には図3を用いて先述したように円筒壁36に熱風取込口36aが形成されている。
ここで、炉本体31の開口部31bに対向する円筒壁36の部分には、被加熱物Wを格納室32aに搬入するために熱風取込口36aよりも大きく開口した搬出入口36bが形成されている。
第二流路37の途中にはバーナ39が設けられ、被加熱物Wに吸熱され温度が低下した熱風を、バーナ39によって第二流路37内で再加熱する。
もちろん、第二流路37においても第一流路35と同様に所定の断熱処理を行っている。
まず、ファン34からの熱風が第一流路35を介して炉本体31内(環状流路41)に送られる。
次にその熱風は第一流路35と環状流路41の合流点から二股に分かれ、環状流路41に流れ込む。
次に、その熱風は熱風取込口36aを介して格納回転体32(格納室32a)の外側から中央部32bへ送られる。このとき、格納室32a内に格納された被加熱物Wに作用し、それに伴い熱風は吸熱され温度が低下する。
格納回転体32の中央部32bに集められた熱風は、第二流路37を介して格納回転体32の中央部32bの下端から流れ出る。
そして、熱風はバーナ39で昇温された後、ファン34まで戻る。
このように、被加熱物Wは外側から中央部32b側に流れる熱風によって加熱される。
すなわち、炉本体31の外側は常温であって、一方、炉本体31の内部は例えば500〜600度に設定しており、炉本体31の内外でこれだけの温度差があるため、炉本体31に断熱処理を施しても炉本体31から外部への放熱は完全に遮断することは困難であるところ、本実施形態では、その放熱し易く中央部32b側部分に比べて低温になってしまう格納回転体32の外側部分に配置された被加熱物Wに、高温の熱風をまず作用させるので、格納された被加熱物Wの位置による温度差が生じ難く、その結果、被加熱物Wの品質にバラツキが生じ難い。
しかも、この回転式熱処理炉30の構造は簡易であるので、回転式熱処理炉30の製造コストやメンテナンスコストが低廉である。
また、格納回転体32の上方には空間ができるので、回転駆動装置33を炉本体31の上方に配置することができる。
すなわち、ファン34が一つしかなく一定の温度の熱風しか供給できない環境であっても、回転の上流側では熱風取込口36aの開口量を多くして被加熱物Wに供給する熱量を増やすことで、被加熱物Wを急激に昇温可能であり、一方、回転の下流側では熱風取込口36aの開口量を少なくして被加熱物Wに供給する熱量を減らすことで、回転の上流側で昇温した被加熱物Wをその温度で保温可能である。
このように、ファン34及びバーナ39が一つずつしかなくても、ゾーン毎の温度制御が可能である。
また、回転駆動装置33が炉本体31の下方に配置されている場合のように、回転駆動装置33のメンテナンス時に炉本体31や格納回転体32といった重量物の下に潜り込まなくてもよいので、メンテナンス作業を安全に行うことができる。
また、回転駆動装置33が炉本体31の上方に配置されている場合のほうが、回転駆動装置33が炉本体31の下方に配置されている場合に比べて構造が簡易である。
次に図4と図5を参照して、本発明の第二実施形態に係る回転式熱処理炉30を説明する。なお、第一実施形態と同一部分には同一符号を付した。
本実施形態では、炉本体31の内壁に、第一流路35からの熱風を熱風取込口36aに案内する整流板38を設けた。
なお、炉本体31の開口部31dには、整流板38を取付ける炉本体31の内壁が存在していないので、この位置には整流板38は無い。ここで、第一流路35と炉本体31との合流点にも炉本体31の内壁が存在していないが、その合流点近傍の炉本体31の内壁にサポート部材(図示しない)を設け、このサポート部材を介して整流板38が取付けられる。
本実施形態の第一実施形態との違いは整流板38の有無のみであり、その他の構成要素に関しては第一実施形態と同一である。
なお、このとき吹付けノズルを設けておけば、さらに熱風の流れをコントロール可能である。
次に図6を参照して、本発明の第三実施形態に係る回転式熱処理炉30を説明する。なお、第一実施形態と同一部分には同一符号を付した。
本実施形態の第一実施形態との違いは、熱風取込口36aであり、その他の構成要素に関しては第一実施形態と同一である。
つまり、各格納室32aに対応した熱風取込口36aの数は一つずつとした上で、上流側では熱風取込口36aの大きさを大きくし、一方、下流側では熱風取込口36aの大きさを小さくした。
このような構成であっても、一つのファン34及び一つのバーナ39で、ゾーン毎の温度制御が可能である。
また、回転駆動装置33による回転の上流側と下流側で、熱風取込口36aの開口量を全て同じとしてもよい。
また、第一流路35と第二流路37が連結され、その中にファン34が内蔵されていてもよい。
11 炉本体
12 格納回転体
12a 格納室
12b 中央部
20 回転式熱処理炉
22a 格納室
24 ファン
30 回転式熱処理炉
31 炉本体
31a 壁面
31b 天井
31c 炉床
31d 開口部
31e 炉扉
32 格納回転体
32a 格納室
32b 中央部
32c 中央壁
32d 仕切壁
33 回転駆動装置
34 ファン
35 第一流路
36 円筒壁
36a 熱風取込口
36b 搬出入口
37 第二流路
38 整流板
39 バーナ
41 環状流路
C チャンバー
W 被加熱物
Claims (4)
- 略円筒状の炉本体と、
前記炉本体の内側において回転自在に支持され、被加熱物を格納する格納室が放射状かつ多段状に複数配置されてなり中央部に空隙が形成された平面視略ドーナツ状の格納回転体と、
前記格納回転体を回転させる回転駆動装置と、
前記炉本体側に熱風を送るファンと、
前記ファンと前記炉本体との間を連通する第一流路と、
前記格納回転体の外側に前記炉本体の内壁から離間して設けられ、熱風取込口が複数貫通して形成された円筒状の円筒壁と、
前記格納回転体の中央部の下端と前記ファンとの間を連通する第二流路を備え、
前記ファンからの熱風を前記第一流路を介して前記炉本体内に送るとともに、
その熱風を前記熱風取込口を介して前記格納回転体の外側から中央部へ送り、
さらにその熱風を前記第二流路を介して前記格納回転体の中央部から前記ファンまで戻すように、熱風を循環させることを特徴とする回転式熱処理炉。 - 前記炉本体には被加熱物を搬出入する開口部が形成されるとともに、
前記開口部に対向する前記円筒壁の部分には、前記熱風取込口よりも大きく開口した搬出入口が形成され、
前記回転駆動装置による回転において前記搬出入口の下流隣の位置を最上流としたときに、前記円筒壁における個々の前記格納室に対応する面積あたりの、前記熱風取込口の合計開口面積を、下流側よりも上流側で大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の回転式熱処理炉。 - 前記炉本体の内壁に、前記第一流路からの熱風を前記熱風取込口に案内する整流板を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転式熱処理炉。
- 前記回転駆動装置を前記炉本体の上方に配置したことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の回転式熱処理炉。
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