JP6026715B2 - iNOSの発現制御作用を有する組成物 - Google Patents
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1.担子菌(キノコ類)菌糸体の培養抽出物を含有することを特徴とするiNOS(誘導型一酸化窒素合成酵素)mRNAの分解を促進するNO産生抑制活性を有する組成物。
2.担子菌が、レンチニュラ・エドデス(Lentinulla edodes,シイタケ)、グリフォラ・フロンドサ(Grifola frondosa、マイタケ)、ガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum,マンネンタケ)、ガノデルマ・アパラナタム(Ganoderma applanatum,コフキサルノコシカケ)、シゾフィラム・コミュネ(Schizophyllum commune,スエヒロタケ)から1種以上選ばれる前記1に記載のNO産生抑制活性を有する組成物。
3.担子菌(キノコ類)菌糸体の培養抽出物が、AHCC(Active Hexose Correlated Compound)である前記1または2に記載のNO産生抑制活性を有する組成物。
本発明に用いる担子菌の例としては、例えば、レンチニュラ・エドデス(Lentinulla edodes,シイタケ)、アガリクス・ビスポラス(Agaricus bisporus,マッシュルーム)、グリフォラ・フロンドサ(Grifola frondosa,マイタケ)、フォリオタ・ナメコ(Pholiota nameko,ナメコ)、プリュロタス・オストレアタス(Pleurotus ostreatus,ヒラタケ)、フラムリナ・ヴェラチペス(Flammulina velutipes,エノキタケ)、ガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum,マンネンタケ)、アウリカラリア・アウリカラ(Auricularia auricula,キクラゲ)、ガノデルマ・アパラナタム(Ganoderma applanatum,コフキサルノコシカケ)、コリオラス・ルシダム(Corioluslucidum,カワラタケ)、グリフォラ・アンベラッタ(Grifola umbellate,チョレイマイタケ)、シゾフィラム・コミュネ(Schizophyllum commune,スエヒロタケ)、ヴォルヴァリエラ・ヴォルヴァセアエ(Volvariella volvaceae,フクロタケ)等が挙げられる。これらは単独で、または数種類組み合わせて用いることができる。これらの中でも、レンチニュラ・エドデス(Lentinulla edodes,シイタケ)、グリフォラ・フロンドサ(Grifola frondosa、マイタケ)、ガノデルマ・ルシダム(Ganoderma lucidum,マンネンタケ)、ガノデルマ・アパラナタム(Ganoderma applanatum,コフキサルノコシカケ)、シゾフィラム・コミュネ(Schizophyllum commune,スエヒロタケ)が好ましい。
本発明においては、上記の菌を植物組織原料の存在下において培養する。植物組織原料は、植物組織に由来するものであれば特に制限されず、おがくず等を用いることも可能であるが、草本類植物由来の材料、例えば、米ぬか、ふすま、バガス、とうもろこしの根茎、稲藁、麦藁、大豆かす等が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。かかる原料を用いることにより、効率的に有効成分を得ることができる。これらの原料において熱水に溶解する成分が特に有用であり、従って、熱水で抽出した抽出液が好適に用いられる。
抽出は、上記混合物にセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、キチナーゼ等の酵素を加え、至適温度条件にて2〜20時間反応を行なって菌体を破砕し、その後、加熱処理して酵素反応を失活させ、該処理物から遠心分離等により菌糸体残渣を除去して行なう。得られる液部分が本発明の有効成分を含有している。有効成分の具体的な構造等は不明であるが、置換基を有する多糖類を主成分とし、その他に、植物組織原料由来の物質、菌糸体由来の物質、菌の代謝産物等を含有し、これらが相乗的に作用しているものと考えられる。
本発明組成物は、上記のようにして得られた混合物に必要に応じ乾燥等の処理を行ない、種々の形状、形態となし得るが、例えば薬理学的、製剤学的に認容される製造助剤を加えることにより常法に従って製造される。製造助剤の例としては、ショ糖、でんぷん、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤の他、慣用の結合剤、崩壊剤、滑沢剤、保存剤、安定化剤、分散剤、希釈剤、香料、甘味料等が挙げられる。経口投与剤および非経口投与剤のいずれも可能である。経口投与剤としては、散剤、顆粒剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、トローチ剤などの固形製剤、あるいはドリンク剤、シロップ剤、エリキシル剤などの液状製剤とすることができる。また、非経口投与剤としては注射剤、軟膏剤あるいは座薬等とすることができる。本発明の抗癌剤の副作用軽減剤の投与量は、治療すべき個々の患者の年令、体重および症状、剤形等によっても増減されるが、一般的には薬剤0.1〜6g、好ましくは0.2〜1.8gを一日1〜3回投与される。
本発明組成物は、非常に毒性の低いものであり、医薬として使用するためには十分安全であると判断できる。
以下の方法により、ラットiNOSのmRNAに対して、遺伝子のアンチセンス鎖から転写された「アンチセンス転写物」が存在するかどうか調べ、この「アンチセンス転写物」がセンス遺伝子産物の産生の制御にどのように関わっているかを調べた。なお、ラットiNOSのmRNAの塩基配列は、DDBJ/EMBL/GenBank 国際塩基配列データベース(http://www.ddbj.nig.ac.jp/、http://www.ebi.ac.uk/embl/、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/)によって既知である。
(1)iNOSmRNAに相補的な配列であるアンチセンス転写物の配列と領域(塩基長)の決定方法
サイトカインや急性期タンパク質など、誘導的発現の起こる遺伝子のmRNAの3'非翻訳領域(3'UTR)には、AU-rich element(ARE)と呼ばれる配列、すなわち5’−AUUUA−3’または5’−AUUUUA−3’という配列が存在している(Proc Natl Acad Sci USA 83: 1670-1674 (1986)参照)。AREはヒト、ラットおよびマウスのiNOSmRNAの3'UTRにも存在しているので、このAREを含む3'UTRに対応する(配列が相補的な)アンチセンス転写物が存在するかどうかを、鎖特異的RT−PCR法により調べた。本法はオリゴdTプライマーのように、mRNAだけにハイブリダイズする(ストランド(鎖)特異的な)プライマーを使って逆転写を行って相補的DNA(cDNA)を合成した後、PCR法を行ってcDNAを増幅し、mRNAの量を測定する方法である。
5’−TGCCCCTCCCCCACATTCTCT−3’(配列番号2)
を用い、培地にIL−1βを添加してiNOS mRNAを誘導したラット初代培養肝細胞の全RNAに対してRT−PCRを行ないcDNAを合成した。
順方向:
5’−ACCAGGAGGCGCCATCCCGCTGC−3’(配列番号3)
逆方向:
5’−CTTGATCAAACACTCATTTTATTAAA−3’(配列番号4)
このバンドをゲルから切り出して精製し、塩基配列を決定したところ、上記のプライマー配列に挟まれた、ラットiNOSmRNAの3’−UTRの配列に相補的な配列であることを確認した。すなわち、iNOS遺伝子のセンスプライマーを用いた鎖特異的RT−PCR法により、アンチセンス転写物の存在を証明した。
[5’側のcDNAの配列決定]
ラット初代培養肝細胞にIL−1βを添加して、iNOS mRNAを誘導し、Trizol試薬(インビトロジェン)でRNAを調製した。このRNAを鋳型とし、配列番号2のプライマー(iNOSのセンス(forward)プライマー;5'-TGCCCCTCCCCCACATTCTCT-3')を使って二本鎖cDNAを合成した。このcDNAにCAカセットアダプター(cDNA PCR Library Kit(タカラバイオ(株))に添付)を連結した後、配列番号3のプライマー(iNOS mRNAの3’−UTRに対するセンス(forward)プライマー)とCAプライマー(cDNA PCR Library Kit(タカラバイオ(株))に添付)を使ってPCRを行なった。反応液をアガロースゲル電気泳動したところ、約250bpのサイズのバンドが増幅していた。このバンドを切り出して、pGEM-T Easyベクター(プロメガ)にクローニングして、塩基配列を決定した。
[3’側のcDNAの配列決定]
上記と同様に、IL−1βで誘導したラット初代培養肝細胞からRNAを調製した。PolyATract mRNA Isolation System(プロメガ)を使って、PolyA-画分のRNAを精製し、このRNAを鋳型とし、アンカー配列(下線部)を付けたランダムプライマー(アンカーランダムプライマー;5'-TTCCCTCCCGTTTTCTCTGCCACTAGAATTCTCGAGCGGCCGCNNNNNNN-3'(配列番号5))を使って二本鎖cDNAを合成した。このcDNAにCAカセットアダプターを連結した後、配列番号4のプライマー(iNOS mRNAの3’−UTRに対するアンチセンス(reverse)プライマー)とCAプライマーを使ってPCRを行なった。この反応液を精製して鋳型とし、iNOS mRNAの3’−UTRに対するアンチセンス(reverse)プライマー(5'-ATATTAGAGCAGCGGGATGGCGCCTC-3'(配列番号6))とアンカープライマー(上記の「アンカーランダムプライマー」のアンカー配列に対するプライマー;5'-ACTAGAATTCTCGAGCGGCCGC-3'(配列番号7))を使って2次PCRを行なった。反応液をアガロースゲル電気泳動したところ、200〜500bpのサイズのバンドが増幅していた。このバンドを切り出して、pGEM-T Easyベクターにクローニングして、塩基配列を決定した。
この結果、アンチセンス転写物の全長はほぼ600塩基以上と推定された。以下にその配列を示した(配列番号1;但し、cDNA配列として示す。)。すなわち、アンチセンス転写物はiNOS mRNAの3'UTRに対応し、転写開始点(5'側)はiNOS mRNAのポリA付加部位の相補鎖にあった。
アンチセンスがiNOSmRNAを安定化しているかどうかを明らかにするために、アンチセンスに相補的な配列を持ち、アンチセンスにハイブリダイズする性質を持つiNOSのセンスオリゴヌクレオチド(以下、センスオリゴと略す)をラット初代培養肝細胞に導入しiNOSmRNA量を調べた。センスオリゴはオリゴヌクレオチドにおけるホスホジエステル結合のリン酸の酸素原子の一つを硫黄原子に置換(S化)することによって、細胞内における核酸分解酵によるオリゴヌクレオチドの分解を防いだ。IBA社(Gottingen, Germany)のMagnet assisted transfection法による遺伝子導入試薬キット(MATra-A Reagent)により、S化センスオリゴをラット初代培養肝細胞に導入した。
肝細胞をIL−1βで刺激すると、iNOSmRNAの量が顕著に増加するが、上記のS化センスオリゴを導入してIL−1βで刺激して、RT−PCR法およびリアルタイムPCR法によるmRNA量の測定を行った。
S2:5’−G*C*C*TCATACTTCCTCAG*A*G*C−3’
S4:5’−T*A*G*CTGCATTGTGTACA*G*A*T−3’
S5:5’−G*T*G*TATAATTCCTTGAT*G*A*A−3’
(S化した部分は*で示した。)
Scr2:5’−G*G*T*ATTGCCCACCCAAC*T*C*T−3’
Scr4:5’−G*G*C*TCCATATGATTAGA*T*G*T−3’
Scr5:5’−G*A*T*TGTTACTTAGAGAC*T*A*T−3’
これらのスクランブルオリゴもセンスオリゴと同様、細胞内での分解を防ぐために、S化して用いた。「スクランブルオリゴ」についてはラットゲノムとの相同性検索により、類似の配列が存在しないことを確認してある。
以上の結果を併せると、iNOSのセンスオリゴはiNOSアンチセンス転写物と特異的にハイブリダイズしてiNOSmRNAの分解を促進して、その結果としてiNOSmRNAの量を特異的に減少させることが示された。
マルツエキス(2%)、酵母エキス(0.25%)、酒石酸アンモニウム(0.2%)を含む液体培地でシイタケ菌(Lentinulla edodes)を24℃で10日間通気培養して担子菌培養液300Lを調整した。
米糠6kgを30Lの水に分散して液温120℃で20分間撹拌して抽出した後、α−アミラーゼ、ペクチナーゼからなる酵素剤を適量加えて60℃で120分間反応させ、デカンターにより固液分離して液部を回収して米糠抽出・酵素反応液を調整した。
得られた担子菌培養液:米糠抽出・酵素反応液を混合して、60℃で20時間撹拌して反応させ、次いで液全体を120℃以上に20分間加熱して液中の酵素などを失活させ、反応液を減圧濃縮し、得られた濃縮液に賦型剤としてサイクロデキストリン含有デキストリン製剤を17kg(固形分比として約20%になるように)加えて凍結乾燥粉末としたものをAHCCサンプルとした。
常法(Prostaglandins 1993; 45: 459-474. 参照)に従って、ラット初代培養肝細胞をWistar雄性ラット(200〜220g)より調製した。この培養肝細胞(1×106cells/dish;35mm)を炎症性サイトカイン IL−1β 1nMで刺激し、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)遺伝子の発現誘導をAHCC(8mg/ml)の存在および非存在下で検討した。Total RNA抽出はacid guanidinium-phenol-chloroformの方法(Anal Biochem 1987; 162: 156-159.)に従った。Total RNA(10μg)を用いてiNOS mRNAのレベルをノーザンブロット分析にて解析した(図1)。cDNAプルーブとしてはrandam-primed法にて[α−32P]dCTPでラベルしたrat iNOS DNA(830bp)(Biochem Biophys Res Commun 1993; 191: 89-94. 参照)を用いた。内部標準としてglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)(Gene 1990; 91: 185-191. 参照)を用いて比較した。
その結果、IL−1β刺激によるiNOSmRNAレベルにおいても、3時間後からiNOSmRNAが発現してくるのに対し、AHCC投与群において有意にiNOS mRNAの発現の抑制が認められた。
Claims (1)
- レンチニュラ・エドデス(Lentinulla edodes,シイタケ)の菌糸体を培養して得られた培養液に植物組織原料としての米糠および酵素としてのα−アミラーゼ、ペクチナーゼを混合して反応させた後、失活させ、その液部を濃縮してなるAHCC(Active Hexose Correlated Compound)を含むことを特徴とする、iNOS(誘導型一酸化窒素合成酵素)mRNAとその塩基配列に相補的な配列を有するアンチセンスRNAとのハイブリダイズ阻害剤。
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