JP6024975B2 - 地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システム - Google Patents

地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システム Download PDF

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Description

本発明は、地殻変動を監視する方法及び地殻変動監視システムに関する。
例えば、国土地理院は、日本全国各地に電子基準点(GPS受信機)を設置し、これら電子基準点を観測点として地殻変動を監視するGPS連続観測システム(GEONET:GPS Earth Observation Network System)を構築し、このGPS連続観測システムによる観測データ(測位データ、変動データ)などを随時公開している。また、世界各地にも電子基準点が設置されており、例えば大陸プレート、海洋プレートの地殻変動の観測データなども公開されている。
従来、このような観測データを用いて様々な研究機関で異常地殻変動解析が実施されている。そして、多くの異常地殻変動解析では、電子基準点で観測された地球重心座標を平面直角座標系等に変換した上で、ある電子基準点を固定点(観測基準点)に設定し、固定点に対する他の観測点の相対変位を求めるとともに地殻の歪み速度、応力速度を算出して、地殻の変動を追跡する方法が用いられている。あるいは、固定点に対する他の観測点の相対変位を求め、時系列変位グラフを作成し、安定と想定される過去の期間の変位の空間微分(歪)と、観測したい年の同期間の変位の空間微分との比較等から歪の変化を捉えて、地殻の変動を追跡する方法が用いられている。
しかしながら、上記の異常地殻変動解析では、固定点と観測点の相対位置から変位を求めているため、固定点の選び方によって変位場(歪場)が影響を受けることになり、解析時に用いる「安定と想定される変位場」の抽出を誤ると、解析精度の低下ひいては解析結果の信頼性の低下を招くことになる。また、電子基準点で観測された地球重心座標を平面直角座標系に座標変換することによっても解析精度が低下する。
これに対し、本願の発明者は、地球重心を固定点とし、この固定点に対する観測点のX,Y,Z直交座標(3次元直交座標)を観測して異常地殻変動解析を行う発明について既に特許出願を行い、特許権を取得している(特許文献1)。そして、この手法によれば、常に安定した地球重心を固定点にし、さらに、固定点から観測点のX,Y,Z座標を求めて座標変換を不要にすることで、解析精度、解析結果の信頼性を向上させることができる。
特許第4139229号公報
しかしながら、歪を検出するための日々の安定変位場が定量的に取得できていないため、また、日々の地殻変動を追跡するシステムが構築されていないため、現状では、日本全国の日常的な歪場の変化を追跡することができていない。そして、これに伴い、異常地殻変動解析の研究結果のほとんどは、地震が発生した後に歪が地震発生前からどのように変化してきたかを求める過去予知作業に限定されていた。
このため、解析精度、解析結果の信頼性を向上させつつ、日々の地殻変動を監視して異常地殻変動が発生する前にその異常を捉える手法、さらに異常地殻変動発生地域を特定する手法の開発が強く望まれていた。
一方、従来から地震発生前には断層の「事前滑り」が発生するというモデルが提唱されている。そして、本願の発明者は、研究、解析を重ねることにより、日々の地殻変動を監視して異常地殻変動が発生する前にその異常を捉える手法、さらに異常地殻変動発生地域を特定する手法の開発を行うにあたり、断層の「事前滑り」を捉えることが重要であるとの知見に至ったが、例えば、東日本大震災において、東北太平洋側で地殻の滑りが観測されたとの報告はなされていない。
そして、このように東日本大震災において断層の「事前滑り」が観測されていない大きな理由を検討した結果、電子基準点を用いた従来の「事前滑り」の追跡方法そのものに三つの点で問題があるとの知見を得ることができた。すなわち、第一に、東日本大震災のような広域にわたる地殻変動である場合には、観測基準点自体も滑ってしまい、相対的に見ている観測点の大きな滑りを検出できない。第二に、各電子基準点の安定変位トレンドや安定歪みトレンドを把握しないまま、日々(前日比として)の変位・歪み変化のみを追跡しているため、異常を捉えることができない。第三に、地殻変動や地震予測研究を行う際には、東西南北高さ座標系(ENU座標)の利用が原則化されており、例えば東北全域など、広範囲の地殻変動監視に対しては限界がある。
本発明は、上記事情に鑑み、解析精度、解析結果の信頼性を向上させつつ、地殻変動を監視して異常地殻変動が発生する前の地殻変動を精度よく監視する方法及び地殻変動監視システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の地殻変動の監視方法は、複数の観測点を地表面上に設定し、地球の重心を原点とする各観測点の3次元直交座標上の位置を観測し、各観測点の位置の座標の変動量を前記3次元直交座標の各成分毎に求める観測点変動観測工程と、前記変動量から求めた複数年分の時系列的な各観測点の各成分毎の変動データから、異常地殻変動が発生していない年の安定変動データを複数抽出するとともに、該安定変動データから地殻の可逆変動/非可逆変動のノイズ成分を除去し、ノイズ成分を除去処理した複数の安定変動処理データに基づいて年変動歪周期の基準線を設定する年変動歪周期の基準線設定工程と、各観測点で3次元直交座標を観測して得た新たな変動データを前記基準線と対比し、前記基準線に対する前記新たな変動データの乖離の有無を確認し、該乖離が前記ノイズ成分以外の要因で確認された場合に異常地殻変動が発生すると判定する異常地殻変動判定工程とを備え、前記年変動歪周期の基準線設定工程では、前記複数の安定変動処理データに対し、予め設定した期間の移動平均値を求め、該移動平均値から年変動歪周期の基準線を求めることを特徴とする。
また、本発明の地殻変動の監視方法においては、前記異常地殻変動判定工程では、異常地殻変動が発生し、前記基準線から地殻の圧縮側あるいは引張側に剥離し、ピークを迎えた後に再度前記基準線に戻りつつ、さらに地殻の引張側あるいは圧縮側に剥離する前記新たな変動データの推移を捉えることで、事前滑りの発生を特定することが望ましい。
さらに、本発明の地殻変動の監視方法においては、各観測点に対し、予め設定した期間の平均変動データと観測日の変動データをそれぞれ平均位置と乖離位置に換算し、前記平均位置を基準とした前記剥離位置の相対位置を変位ベクトルで表示して、複数の観測点における乖離発生状況を視覚化する乖離視覚化工程を備えていることがより望ましい。
本発明の地殻変動監視システムは、複数の観測点を地表面上に設定し、地球の重心を原点とする各観測点の3次元直交座標上の位置を観測する観測手段と、各観測点の位置の変動量を前記3次元直交座標の各成分毎に算出する演算手段と、前記変動量から求めた複数年分の時系列的な各観測点の各成分毎の変動データから、異常地殻変動が発生していない年の安定変動データを複数抽出するとともに、該安定変動データから地殻の可逆変動/非可逆変動のノイズ成分を除去し、ノイズ成分を除去処理した複数の安定変動処理データに対し、予め設定した期間の移動平均値を求め、該移動平均値から年変動歪周期の基準線を設定する年変動歪周期の基準線設定手段と、各観測点で3次元直交座標を観測して得た新たな変動データを前記基準線と対比し、前記基準線に対する前記新たな変動データの乖離の有無を確認する乖離現象確認手段と、前記乖離が前記ノイズ成分以外の要因で確認された場合に異常地殻変動が発生すると判定する異常地殻変動判定手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の地殻変動監視システムにおいては、異常地殻変動判定手段が、異常地殻変動が発生し、前記基準線から地殻の圧縮側あるいは引張側に剥離し、ピークを迎えた後に再度前記基準線に戻りつつ、さらに地殻の引張側あるいは圧縮側に剥離する前記新たな変動データの推移を捉えることで、事前滑りの発生を特定することが望ましい。
さらに、本発明の地殻変動監視システムにおいては、各観測点に対し、予め設定した期間の平均変動データと観測日の変動データをそれぞれ平均位置と乖離位置に換算し、前記平均位置を基準とした前記剥離位置の相対位置を変位ベクトルで表示して、複数の観測点における乖離発生状況を視覚化する乖離視覚化手段を備えていることがより望ましい。
本発明の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムにおいては、まず、観測点変動観測工程(観測手段、演算手段)で、地球の重心を原点とする各観測点の3次元直交座標上の位置を観測して変動量を3次元直交座標の各成分毎に求めるようにしているため、従来の固定点と観測点の相対位置から観測点の変位を求める場合と比較し、精度や信頼性の高い観測データ(変動データ)を用いることができる。
そして、観測点変動観測工程(観測手段、演算手段)で、各観測点の位置の変動量を3次元直交座標の各成分毎に求め、各観測点の各成分毎の時系列的な変動データを取得し、年変動歪周期の基準線設定工程(年変動歪周期の基準線設定手段)で、地殻の可逆変動/非可逆変動のノイズ成分を除去処理した複数の安定変動処理データに基づいて、安定した年変動歪周期を精度よく表す各観測点の各成分毎の年変動歪周期の基準線を得ることができる。
また、異常地殻変動判定工程(乖離現象確認手段、異常地殻変動判定手段)で、各観測点で3次元直交座標を観測して得た新たな変動データを基準線と対比し、新たな変動データが基準線の上閾値や下閾値から上下に外れる乖離の有無を確認することによって、すなわち、乖離現象の発生を確認することによって、地震等の異常地殻変動が発生すると判定することができる。
よって、本発明の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムにおいては、安定した年変動歪周期を精度よく表す各観測点の基準線を指標とし、この基準線に対する乖離を捉えることで、解析精度ひいては解析結果の信頼性を大幅に向上させることが可能になるとともに、日々の地殻変動を監視して異常地殻変動が発生する前にその異常を捉えることが可能になる。
さらに、このとき、常に安定している地球の重心を固定点として各観測点のX,Y,Zの軸毎の位置を観測するようにしているため、地球の曲率による観測値の精度劣化(地表面測量における基線長による観測の正確度劣化)、観測範囲の制限もなく、全国(広域)の地殻変動を俯瞰することができる。
これにより、過去の地震や電子基準点のアンテナ交換等によるノイズを除去し、得られた過去の複数年の平均年周期トレンド(基準線の範囲)と観測年の歪みトレンド(変動データ)を比較すると、地震発生前の歪みトレンドに特徴が顕在化し、「事前滑り」をより鮮明に捉えることが可能になる。
さらに、本発明の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムにおいては、乖離視覚化工程(乖離視覚化手段)において、過去数年間の平均歪み(平均トレンド内)と観測日の歪みを、平均位置と乖離位置に換算し、変位ベクトルで表示することにより、地殻滑りの開始時期、方向、滑りの継続地域を特定、確認することが可能になる。また、このように変位ベクトルで表示することにより、地震前後の滑りを把握することが可能になるとともに、日々の地殻の圧縮・伸び場、事前乖離の方向を捉えることが可能になる。
本発明の一実施形態に係る地殻変動監視システムを示す図である。 本発明の一実施形態に係る地殻変動の監視方法において、地球の重心を原点とする各観測点の3次元直交座標上の位置を観測し、各観測点の変動量を3次元直交座標の各成分毎に求め、観測点を歪計として利用することを示した図である。 本発明の一実施形態に係る地殻変動の監視方法が観測点を歪計として利用することを示す図である。 観測点で観測した変動量から求めた変動データ(安定変動データ)を示す図である。 ノイズ成分を除去処理した安定変動処理データの一例を示す図である。 基準線の一例を示す図である。 基準線に対する新たな変動データの乖離現象を示す図である。 不偏分散を示す図である。 従来(a)と、本発明の一実施形態に係る地殻変動の監視方法(b)の「事前滑り」の判別しやすさの違いを示す図である。 本発明の一実施形態に係る地殻変動の監視方法において、安定変動データを移動平均で処理して基準線の閾値幅(平均歪みトレンド)を設定することの優位性を示す図である。 観測点の3次元直交座標の各成分毎の乖離発生状況に応じたパターン、表示パターンを示す図である。 乖離発生状況マップを示す図である。 従来の観測点の変動データをベクトル表示した図である。 発明の一実施形態に係る地殻変動の監視方法において、過去数年間の平均歪み(平均トレンド内)と観測日の歪みを、平均位置と乖離位置に換算し、変位ベクトルで表示した乖離発生状況マップを示す図である。
以下、図1から図14を参照し、本発明の一実施形態に係る地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムについて説明する。
まず、本実施形態の地殻変動監視システムAは、図1に示すように、観測手段1と、演算手段2と、年変動歪周期の基準線設定手段3と、乖離現象確認手段4と、異常地殻変動判定手段5とを備えて構成されている。
観測手段1は、例えばGPSを用い、地表面上に設定された複数の観測点(GPS受信機、電子基準点)の地球の重心を原点とするX,Y,Zの直交座標(3次元直交座標)上の位置を観測するためのものである。例えば、日本全国には、既に1200箇所以上の観測点が設定されているため、このような既設の観測点や人工衛星などを用いて観測手段を構成することができる。
演算手段2は、観測手段1で観測される各観測点の位置の変動量をX,Y,Zの軸毎(3次元直交座標の各成分毎)に算出するためのものである。
ここで、図2に示すように、地球の重心Gは常に安定しているため、この地球の重心Gを固定点(原点)として各観測点MのX,Y,Zの直交座標上の位置を観測すれば、日々変化する各観測点Mの変動量△Lが精度よく算出されることになる。なお、このとき、図2に示すように、固定点(Ga、Gb)は、常に安定している地球の重心Gを通るX,Y,Zの直交座標上に設定することも可能であり、勿論、このように固定点(Ga、Gb)を設定しても、地球の重心Gを固定点としたときと同様に、日々変化する各観測点M(M、M、M、M)の変動量△Lを精度よく算出することができる。
そして、図2及び図3(a)、(b)に示すように、地球の重心Gを原点とし、ある時点における複数の観測点Mの位置を固定し、この固定した位置に対する各観測点Mの座標を日々観測して、各観測点Mの位置の変動量△LをX,Y,Zの各軸毎(各成分毎)に求め、さらに固定した位置Lと変動量△Lから歪を算出する。すなわち、このように地球の重心Gを原点として各観測点MのX,Y,Zの軸毎の座標を観測し、各観測点Mの変動量△L、さらに歪を求めることで、複数の観測点Mを歪計として利用することになる。
また、演算手段2は、このように各観測点Mの各成分毎の位置の変動量△L、さらに歪を算出するとともに、例えば、図4に示すように、縦軸を歪、横軸を時間とした時系列的な各観測点MのX,Y,Zの軸毎の変動データ10を作成する。
ここで、図4に示す変動データ10は、一つの観測点Mの例えばX軸の変動データであり、横軸の左側が前年の1月〜12月まで、右側がその次の年の1月から12月までを示し、1本の線で示された変動データ(観測線)10が前年から次年までの歪の累積値を示している。また、この図4では、ある2年分の歪の累積値を示した一つの変動データ10の横軸右側に示された1年分のデータを、連続する次の2年分の歪の累積値を示す変動データ10の横軸左側の1年分のデータとして、連続する複数年の変動データ10を表している。
年変動歪周期の基準線設定手段3は、変動量△Lから求めた複数年分の時系列的な各観測点MのX,Y,Zの軸毎の変動データ10から、図4に示すように、異常地殻変動が発生していない年の安定変動データ10aを複数抽出し、図5に示すように、これらの安定変動データ10aから地殻の可逆変動/非可逆変動のノイズ成分を除去する。そして、ノイズ成分を除去処理した複数の安定変動処理データ10bから、これら安定変動処理データ10bに基づいて図6に示す年変動歪周期の基準線11を設定する。
乖離現象確認手段4は、各観測点MでX,Y,Zの直交座標を観測して得た新たな変動データ12を基準線11と対比し、基準線11に対する新たな変動データ12の乖離の有無を確認するためのものである(図6参照)。
異常地殻変動判定手段5は、乖離現象確認手段4で乖離がノイズ成分以外の要因で確認された場合に異常地殻変動が発生すると判定するものである。
また、本実施形態の異常地殻変動監視システムAにおいては、図1に示すように、異常地殻変動が終息したと判定するための異常地殻変動終息判定手段6と、複数の観測点Mにおける乖離発生状況を視覚化するための乖離視覚化手段7とを備えている。
そして、本実施形態の地殻変動の監視方法では、はじめに、観測点変動観測工程で、図1及び図2に示すように、観測手段1によって、複数の観測点Mを地表面上に設定し、地球の重心Gを原点とする各観測点MのX,Y,Zの直交座標上の位置を観測し、これとともに、演算手段2によって、各観測点Mの位置の変動量△LをX,Y,Zの各成分毎に求め、さらに歪を算出する。
このとき、本実施形態の観測点変動観測工程では、常に安定している地球の重心Gを固定点(あるいは地球の重心Gを通るX,Y,Zの直交座標上の任意の位置を固定点)として各観測点MのX,Y,Zの軸毎の位置を観測するため、複数の観測点Mが歪計として利用され、日々変化する各観測点Mの各成分毎の変動量△L、ひいては歪が精度よく算出されることになる。そして、本実施形態では、演算手段2によって、このように精度よく算出された歪を縦軸に、時間を横軸にした図4に示すような時系列的な各観測点MのX,Y,Zの軸毎の変動データ10の作成が行われる。
次に、年変動歪周期の基準線設定工程を行う。この年変動歪周期の基準線設定工程では、年変動歪周期の基準線設定手段3によって、複数年分の時系列的な各観測点MのX,Y,Zの軸毎の変動データ10から、図4に示すように、異常地殻変動が発生していない年の安定変動データ10aを複数抽出する。
そして、これらの安定変動データ10aから地殻の可逆変動/非可逆変動のノイズ成分を除去して、図5に示すようなノイズ成分を除去処理した複数の安定変動処理データ10bを取得する。図4に示すように各安定変動データ(X軸)10aはバラツキが認められるが、これら安定変動データ10aからノイズ成分を除去すると、図5に示すようにバラツキが大幅に小さくなった安定変動処理データ10bが得られる。ここで、例えば、地殻の可逆変動のノイズ成分としては、積雪、磁気嵐、豪雨、気圧の谷などに伴う地殻の変動が挙げられる。また、地殻の非可逆変動のノイズ成分としては、受信機交換、ピラー傾斜、樹木の繁茂、噴火、地震、低周波微動などに伴う地殻の変動が挙げられる。
次に、年変動歪周期の基準線設定工程では、ノイズ成分を除去処理した複数の安定変動処理データ10bに基づいて、図6に示すような年変動歪周期の基準線(年変動歪周期の基準帯/平均(安定)トレンド)11を設定する。このとき、複数の安定変動処理データ10bの中間値11a、最上値11b、最下値11cから歪に範囲を持った帯状の基準線11をX,Y,Zの軸毎に設定する。なお、所望の上閾値11b、下閾値11cを設定し、これらの上閾値11b、下閾値11cの間の歪の範囲を持った基準線11を設定するようにしてもよい。
次に、異常地殻変動判定工程を行う。この異常地殻変動判定工程では、図1、図6に示すように、年変動歪周期の基準線設定工程で設定した基準線11と、各観測点MでX,Y,Zの直交座標を観測して得た新たな変動データ12とを乖離現象確認手段4によって対比する。そして、基準線11に対し、図7(a)に示すように新たな変動データ(観測線、歪みトレンド)12が基準線11から下方に外れたり、また、図7(b)に示すように新たな変動データ12が基準線11から上方に外れる乖離の有無を確認する。
そして、異常地殻変動判定工程では、このようなノイズ成分以外の要因で乖離が生じたと確認された場合に、異常地殻変動判定手段5によって異常地殻変動が発生すると判定される。すなわち、このような乖離現象が生じた場合に、例えば地震が発生する可能性が大きいと判定する。
ここで、過去全ての2年周期歪み変動グラフから地震等のノイズを補正すると、各電子基準点の地球重心座標成分毎にある平均(歪み)トレンド11が導出される。そして、判定年の歪みトレンド(変動データ12)がこの平均トレンド11から逸脱・乖離しているかを判定するために、平均トレンド11に閾値(幅)を設定する必要があり、本実施形態では、この平均トレンド11の閾値幅の設定を例えば次のように行うようにしている。
平均2年周期歪みトレンドには日々の歪みの平均値と、過去数年間の毎年の歪み値がプロットされている。そして、閾値を設定する際には、まず、この両者の偏差をもとに、下記の式(1)で2年間の不偏分散を求める。これにより、平均2年周期歪みトレンドの座標成分毎に存在する日々の凹凸が平滑化される。
Figure 0006024975
この式(1)において、αは、ある年月日の平均値であり、Xは、ある年月日の歪み量とその日の平均値との差分(偏差)であり、nは、2年周期グラフの場合、n=730(365日/年×2年)である。
そして、本実施形態の平均トレンド11の閾値幅の設定方法では、この値を1σ値として扱い、各±1σを通常は図8に示すZ値=±1に設定する。したがって、例えばμ=1.6の場合、平均から±1.6ppm離れたところが判定のボーダーライン(1σ)となる。
一方で、地球重心座標値を地平座標値(ENU)に変換すると、電子基準点が設定されている場所(経度、緯度)と基線長(従来の測量の考え方)との関係から、水平成分で2〜3mm、高さ方向に5〜10mm程度のRMS誤差が生じる。そして、このRMS誤差は、地球重心座標値にも含まれることになる。
この誤差(△X、△Y、△Z)は、地平座標値への座標変換に用いる回転行列の逆行列を△N、△E、△Uに乗じることで算出できる。計算すると、平均10%前後、最大で20%程度のRMS誤差が生じる。そして、電子基準点毎にこのRMS誤差が微妙に異なるため、その誤差も閾値幅に加算する必要がある。
その結果、電子基準点毎にボーダー値が異なることになる。つまり、ある点は±1.5σ、別の点は±1.2σの範囲がボーダー値となる。1200点の3軸成分毎に異なるボーダーラインがあると、ある一つのボーダーライン(例えば一律1.2σ)で全国一律の逸脱・乖離を判定できなくなる。
そのため、1200点の3軸成分毎の異なる最低ボーダーライン(例えば、ある点のX軸成分は±1.5σ、別の点は±1.2σ)をZ値=1と置き換え、全国1200点の逸脱・乖離状況を同じZ値を用いて判定する。これにより、Z値を上げることで、乖離の大きい地点の抽出が可能になる。
次に、従来の監視方法では、図6、図7に示すような平均トレンド(安定トレンド/基準線11の範囲)の把握ができない、もしくは不十分のまま、日々の歪みトレンド(変動データ12の推移)を追跡している。また、観測点Mと観測基準点の基線長に伴う観測座標の正確度に劣化が生じ、異常を捉えられない。観測基準点の不安定な動きに伴う観測座標の正確度劣化が生じる。そして、従来の監視方法では、図9(a)に示すように、ENU座標(東西南北高さ座標系)への変換による座標のゆらぎ等の理由により事前剥離が現れず(識別できず)、大きなひずみが数日間同じ方向に継続するまで「事前滑り」とは判断できない場合がある。
これに対し、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAでは、例えば図9(b)に示すように、異常地殻変動判定工程で剥離が確認され、基準線11の範囲の平均トレンドから大きく逸脱した新たな変動データ12が確認される。そして、この変動データ12の剥離したときのピーク(図9(b)では例えば圧縮側の変動ピーク)が捉えられ、このピークから変動データ12が基準線11の範囲の平均トレンドを超えるように推移し、地震が発生する。このため、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAでは、変動データ12の剥離したときのピークから基準線11の範囲の平均トレンドを超えるように推移するまでの状態を捉えることでき、これにより、大地震が発生する前の「事前滑り」の判断が行えることになる。
また、異常地殻変動判定工程で剥離が確認され、地震等の異常地殻変動が発生すると、図6、図7に示すように、基準線11から大きく逸脱した新たな変動データ12が確認される。そして、大地震時には、その後、余震が続くことにより、新たな変動データ12は安定せず、しばらく経過した段階で、基準線11に沿うように推移する。このため、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAにおいては、異常地殻変動終息判定工程で、異常地殻変動終息判定手段6によって、異常地殻変動が発生した後、新たな変動データ12が基準線11に沿うように推移したときに、異常地殻変動が終息したと判定する。すなわち、地震が発生した後、新たな変動データ12の観測線が基準線11の傾きと略同じ傾きで推移するなど、新たな変動データ12の挙動が基準線11と略一致したとき、余震が発生することがなくなると判定される。
一方、図10(a)は、東日本大震災が発生するまでの約2.5カ月分のある地域のX軸歪みトレンドを表している。この図に示す通り、日々上下に歪みトレンドが振動し、地震直前の振動も異常と判断しにくいことが分かる。次に、図10(b)は、図10(a)と同じ地域の東日本大震災が発生するまでの過去8年間データに基づいて補正した平均X軸歪みトレンドを加えた図である。この図から、比較的大きな地震時の大きな振動は判別できるものの、やはり、ほぼ安定したトレンド内を推移しているように見え、地震直前の振動も異常と判断しにくいことが分かる。
すなわち、地殻歪みを時系列的にプロットすると、日々上下の振動(震動)として示され、通常、この振動は、計測誤差と判断し、ホワイトノイズとして処理されるが、この微振動にはプレート変動に伴う電子基準点の日々の歪み変化も含むため、単純にホワイトノイズとして処理してしまうと、上記の図10(a)、図10(b)に示すように、地震発生前の異常歪み(事前乖離)、異常変位(滑り)を見落とす要因となってしまう。しかし、日々の歪みの上下振動を何らかの手法で処理しないと、地殻が持つトレンドの把握や、アンテナ交換、地震で生じた大きな歪み等の補正作業ができなくなってしまう。
これに対し、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAでは、地震直前の地殻異常をより正確に解析・監視する手法として、移動平均を採用することとした。すなわち、年変動歪周期の基準線設定工程において、例えば数日間(予め設定した期間)の移動平均値を算出し、この移動平均値から歪みの平均年周期トレンド(年変動歪周期の基準線11)を把握するようにし、位置観測時の誤差を含めた(上回る)閾値幅を定めることで、地殻の異常解析を行うようにした。
そして、図10(c)は、図10(a)、図10(b)と同地域のX軸の歪みトレンド(変動データ)12と平均歪みトレンド(基準線)11の比較を7日移動平均で示し、地震等に伴う乖離を補正した状態の図である。この図から、東日本大震災が発生する4カ月ほど前の11月頃、平均トレンド11から下側に乖離し、平均トレンド11への戻り、乖離が繰り返し認められ、3月に平均トレンド11を突き抜け、大地震に至る推移を認めることができる。これにより、地震直前の地殻異常を解析・監視する手法として、移動平均を採用することにより、地震直前の振動を異常と判断できることが確認された。
次に、本実施形態では、乖離視覚化工程で、図11及び図12に示すように、X,Y,Z(3次元直交座標)のいずれか一つの軸で乖離が発生した観測点Mを表示パターン1で表示し、X,Y,Zのうち二つの軸で乖離が発生した観測点Mを表示パターン2で表示し、X,Y,Zの三つの軸で乖離が発生した観測点Mを表示パターン3で表示し、剥離視覚化手段7によって複数の観測点Mにおける乖離発生状況を視覚化した乖離発生状況マップ13を作成する。さらに、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAでは、図12に示すように、乖離視覚化工程で経日的(経時的)に乖離発生状況マップ13を更新するように複数作成する。なお、図7に示したように基準線11に対して下方に乖離が生じた場合と上方に乖離が生じた場合の表示パターンを変えることがより望ましい。
これにより、複数の観測点MのX,Y,Zの軸毎に基準線11に対する乖離の有無を確認しながら地殻変動の監視を行い、X,Y,Z(3次元直交座標)のいずれか一つの軸で乖離が発生したパターン1(表示パターン1)の観測点M、X,Y,Zのうち二つの軸で乖離が発生したパターン2(表示パターン2)の観測点M、X,Y,Zの三つの軸で乖離が発生したパターン3(表示パターン3)の観測点Mの分布状況、及び各パターンの発生頻度を確認することによって、異常地殻変動発生地域の特定が容易に行えることになる(図12参照)。例えば、表示パターン3が集中的に発生している場合など、その地域を含む領域を設定し、異常地殻変動発生地域として特定する。
一方、乖離視覚化工程において、地震前後の歪み/応力場を変位ベクトルに換算して表示する手法について説明する。
まず、日々、歪み(変位)は大きく振動し、図10(a)は歪み量を算出したものであるが、これを日々の相対的位置変化、その中でも前日との変位差(ベクトル)に換算し、地図上に示したものが図13である。この図13に示すように、図10(a)の歪み量を単にベクトル量に換算しても、日々上下に大きく振動するため、当然東西に大きく振れが生じ、異常地域の特定は困難である。
これに対し、図14は、過去数年間の平均歪み(平均トレンド内)と観測日の歪みを、平均位置と乖離位置に換算し、変位ベクトルで表示したものである。この図から、地殻滑りの開始時期、方向、滑りの継続地域が確認できる。すなわち、このように変位ベクトルで表示することにより、東日本大震災では、宮城県から岩手県南部が東北に滑った後、福島県地域が北東に滑り、地震当日に、宮城県から岩手県南部が南東に大きく滑ったことを的確に把握することができる。また、この手法を用いることで、地震前後の滑りを把握することが可能になるとともに、日々の地殻の圧縮・伸び場、事前乖離の方向も捉えることが可能である。
したがって、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAにおいては、まず、観測点変動観測工程(観測手段1、演算手段2)で、地球の重心Gを原点とする各観測点Mの3次元直交座標(X,Y,Zの直交座標)上の位置を観測して変動量を3次元直交座標の各成分毎に求めるようにしているため、従来の固定点と観測点の相対位置から観測点の変位を求める場合と比較し、精度や信頼性の高い観測データ(変動データ10)を用いることができる。
そして、観測点変動観測工程(観測手段1、演算手段2)で、各観測点Mの位置の変動量△Lを3次元直交座標の各成分毎に求め、各観測点Mの各成分毎の時系列的な変動データ10を取得し、年変動歪周期の基準線設定工程(年変動歪周期の基準線設定手段3)で、地殻の可逆変動/非可逆変動のノイズ成分を除去処理した複数の安定変動処理データ10bに基づいて、安定した年変動歪周期を精度よく表す各観測点Mの各成分毎の年変動歪周期の基準線11を得ることができる。
また、異常地殻変動判定工程(乖離現象確認手段4、異常地殻変動判定手段5)で、各観測点Mで3次元直交座標を観測して得た新たな変動データ12を基準線11と対比し、新たな変動データ12が基準線11の上閾値11bや下閾値11cから上下に外れる乖離の有無を確認することによって、すなわち、乖離現象の発生を確認することによって、地震等の異常地殻変動が発生すると判定することができる。
よって、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAにおいては、安定した年変動歪周期を精度よく表す各観測点Mの基準線11を指標とし、この基準線11に対する乖離を捉えることで、解析精度ひいては解析結果の信頼性を大幅に向上させることが可能になるとともに、日々の地殻変動を監視して異常地殻変動が発生する前にその異常を捉えることが可能になる。
また、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAにおいては、常に安定している地球の重心Gを固定点(あるいは地球の重心Gを通るX,Y,Zの直交座標上の任意の位置を固定点)として各観測点MのX,Y,Zの軸毎の位置を観測するようにしているため、地球の曲率による観測値の精度劣化(地表面測量における基線長による観測の正確度劣化)、観測範囲の制限もなく、全国(広域)の地殻変動を俯瞰することができる。
これにより、過去の地震や電子基準点のアンテナ交換等によるノイズを除去し、得られた過去の複数年の平均年周期トレンド(基準線11の範囲)と観測年の歪みトレンド(変動データ12)を比較すると、地震発生前の歪みトレンドに特徴が顕在化し、「事前滑り」をより鮮明に捉えることが可能になる。
また、本実施形態においては、複数の観測点Mの各成分毎に基準線11に対する乖離の有無を確認しながら地殻変動の監視を行って、3次元直交座標のいずれか一つの軸で乖離が発生したパターン1の観測点M、3次元直交座標のうち二つの軸で乖離が発生したパターン2の観測点M、3次元直交座標の三つの軸で乖離が発生したパターン3の観測点Mの分布状況、及び各パターンの発生頻度を確認することにより、異常地殻変動発生地域を特定することが可能になる。
さらに、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAにおいては、異常地殻変動終息判定工程(異常地殻変動終息判定手段6)で、異常地殻変動が発生した後、新たな変動データ12が基準線11に沿うように推移したときに、異常地殻変動が終息したと判定することができ、例えば余震が発生しなくなる時点を判別することが可能になる。
また、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAにおいては、乖離視覚化工程(乖離視覚化手段7)で、3次元直交座標のどの軸で乖離が発生しているかによって、各観測点Mを表示パターン1、2、3(パターン1、2、3)で表示した乖離発生状況マップ13を作成することによって、複数の観測点Mにおける乖離発生状況を視覚化することができ、日々の地殻変動を監視して容易に異常地殻変動が発生する前にその異常を捉えることが可能になる。
さらに、本実施形態の地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムAにおいては、乖離視覚化工程(乖離視覚化手段7)において、過去数年間の平均歪み(平均トレンド内)と観測日の歪みを、平均位置と乖離位置に換算し、変位ベクトルで表示することにより、地殻滑りの開始時期、方向、滑りの継続地域を特定、確認することが可能になる。また、このように変位ベクトルで表示することにより、地震前後の滑りを把握することが可能になるとともに、日々の地殻の圧縮・伸び場、事前乖離の方向を捉えることが可能になる。
以上、本発明に係る地殻変動の監視方法及び地殻変動監視システムの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、異常地殻変動が地震によるものであるように説明を行ったが、例えば火山活動などに伴う地殻変動の監視や異常地殻変動地域の特定に本発明を適用してもよく、本発明は、地殻変動を伴う現象であれば、あらゆるケースに適用可能である。
1 観測手段
2 演算手段
3 年変動歪周期の基準線設定手段
4 乖離現象確認手段
5 異常地殻変動判定手段
6 異常地殻変動終息判定手段
7 乖離視覚化手段
10 変動データ
10a 安定変動データ
10b 安定変動処理データ
11 基準線(基準帯/平均(歪み)トレンド)
11b 上閾値(最大値)
11c 下閾値(最小値)
12 新たな変動データ(歪みトレンド)
13 乖離発生状況マップ
A 地殻変動監視システム
G 地球の重心
M 観測点(電子基準点)

Claims (6)

  1. 複数の観測点を地表面上に設定し、地球の重心を原点とする各観測点の3次元直交座標上の位置を観測し、各観測点の位置の座標の変動量を前記3次元直交座標の各成分毎に求める観測点変動観測工程と、
    前記変動量から求めた複数年分の時系列的な各観測点の各成分毎の変動データから、異常地殻変動が発生していない年の安定変動データを複数抽出するとともに、該安定変動データから地殻の可逆変動/非可逆変動のノイズ成分を除去し、ノイズ成分を除去処理した複数の安定変動処理データに基づいて年変動歪周期の基準線を設定する年変動歪周期の基準線設定工程と、
    各観測点で3次元直交座標を観測して得た新たな変動データを前記基準線と対比し、前記基準線に対する前記新たな変動データの乖離の有無を確認し、該乖離が前記ノイズ成分以外の要因で確認された場合に異常地殻変動が発生すると判定する異常地殻変動判定工程とを備え、
    前記年変動歪周期の基準線設定工程では、前記複数の安定変動処理データに対し、予め設定した期間の移動平均値を求め、該移動平均値から年変動歪周期の基準線を求めることを特徴とする地殻変動の監視方法。
  2. 請求項1記載の地殻変動の監視方法において、
    前記異常地殻変動判定工程では、異常地殻変動が発生し、前記基準線から地殻の圧縮側あるいは引張側に剥離し、ピークを迎えた後に再度前記基準線に戻りつつ、さらに地殻の引張側あるいは圧縮側に剥離する前記新たな変動データの推移を捉えることで、事前滑りの発生を特定することを特徴とする地殻変動の監視方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の地殻変動の監視方法において、
    各観測点に対し、予め設定した期間の平均変動データと観測日の変動データをそれぞれ平均位置と乖離位置に換算し、前記平均位置を基準とした前記剥離位置の相対位置を変位ベクトルで表示して、複数の観測点における乖離発生状況を視覚化する乖離視覚化工程を備えていることを特徴とする地殻変動の監視方法。
  4. 複数の観測点を地表面上に設定し、地球の重心を原点とする各観測点の3次元直交座標上の位置を観測する観測手段と、
    各観測点の位置の変動量を前記3次元直交座標の各成分毎に算出する演算手段と、
    前記変動量から求めた複数年分の時系列的な各観測点の各成分毎の変動データから、異常地殻変動が発生していない年の安定変動データを複数抽出するとともに、該安定変動データから地殻の可逆変動/非可逆変動のノイズ成分を除去し、ノイズ成分を除去処理した複数の安定変動処理データに対し、予め設定した期間の移動平均値を求め、該移動平均値から年変動歪周期の基準線を設定する年変動歪周期の基準線設定手段と、
    各観測点で3次元直交座標を観測して得た新たな変動データを前記基準線と対比し、前記基準線に対する前記新たな変動データの乖離の有無を確認する乖離現象確認手段と、
    前記乖離が前記ノイズ成分以外の要因で確認された場合に異常地殻変動が発生すると判定する異常地殻変動判定手段とを備えていることを特徴とする地殻変動監視システム。
  5. 請求項4記載の地殻変動監視システムにおいて、
    異常地殻変動判定手段が、異常地殻変動が発生し、前記基準線から地殻の圧縮側あるいは引張側に剥離し、ピークを迎えた後に再度前記基準線に戻りつつ、さらに地殻の引張側あるいは圧縮側に剥離する前記新たな変動データの推移を捉えることで、事前滑りの発生を特定することを特徴とする地殻変動監視システム。
  6. 請求項4または請求項5に記載の地殻変動監視システムにおいて、
    各観測点に対し、予め設定した期間の平均変動データと観測日の変動データをそれぞれ平均位置と乖離位置に換算し、前記平均位置を基準とした前記剥離位置の相対位置を変位ベクトルで表示して、複数の観測点における乖離発生状況を視覚化する乖離視覚化手段を備えていることを特徴とする地殻変動監視システム。
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