JP6022824B2 - フィルター付き吐出容器 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルター付き吐出容器に関する。
従来より、本願出願人らは、無菌点眼容器などに好適に利用できるデラミボトル(積層剥離ボトル)を用いたフィルター付き吐出容器を、例えば下記の特許文献1及び2に開示している。
特開2002−80055号公報 特開2009−179403号公報
これら従来のフィルター付き吐出容器では、スクイズ変形可能な胴部の上端に口部が設けられた外層ボトルと、該外層ボトルの内部に設けられるとともに前記外層ボトルの口部に接続される開口部を有する内層袋と、前記外層ボトルの口部に取付けられた口栓とを備え、前記外層ボトルには、外層ボトルと内層袋との間に外気を導入するための導入孔が形成されており、前記口栓には内層袋の内部に収容された内容液を吐出するための吐出路が設けられ、該吐出路にフィルターと逆止弁とを設けている。
このフィルターは、メンブレンフィルターなどのウィルスや細菌類を透過させない多数の微細孔を有するものが用いられており、逆止弁は、上記特許文献1では薄肉片により弾性的に支持された弁体により主構成され、上記特許文献2では弾性材料によって成形された弁体のバルブヘッドに十字状のオリフィスを入れたものによって主構成されている。
上記のような多数の微細孔を有するフィルターは、濡れることにより微細孔が水分で閉じられた状態となると、いわゆるエアロック状態となり、フィルターのバブルポイントを超える高い圧力をかけなければ空気が通過できなくなるため、最初の使用前の容器の保管時においてはフィルターを乾燥させた状態で維持することが求められる。
しかし、上記従来の逆止弁機構では、特に浸透性の高い液剤において逆止弁から滲み出ることがあり、滲み出た液剤がフィルターを濡らすことによってエアーロックが発生し、初回使用時にフィルターの上流側に残存する空気により内容液の吐出が阻害されるという問題が生じる。すなわち、上記特許文献1記載の逆止弁では、円盤状の弁体を弁孔に当接させることにより弁孔を封止しているものであるから、弁体と弁孔との密着力は比較的弱く、浸透性の高い液剤の場合には弁体と弁孔との間から滲み出ることがある。また、上記特許文献2記載の逆止弁においても、オリフィスは切り込みによって形成されており、該オリフィスを強く密着させる外力が作用しないので、浸透性の高い液剤の場合にオリフィスから滲み出ることがある。
さらに、逆止弁機構の場合、フィルターの下流側の液剤を引き込む為に弁体を設置しているが、2回目の使用以降も内容液の滴下の際にバルブヘッドをせり上げてオリフィスを開放させる必要があり、このせり上げの抵抗によって内容液を滴下させるために比較的強く外層ボトルをスクイズ変形させる必要があり、快適な使用感が得られないものとなっていた。
そこで本発明は、デラミボトルを用いたフィルター付き吐出容器において、初回の使用前に内容液がフィルターまで滲み出てしまうことを確実に防止するとともに、2回目以降の使用時の吐出抵抗を低減させることを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、スクイズ変形可能な胴部の上端に口部が設けられた外層ボトルと、該外層ボトルの内部に設けられるとともに前記外層ボトルの口部に接続される開口部を有する内層袋と、前記外層ボトルの口部に取付けられた口栓とを備え、前記外層ボトルには、外層ボトルと内層袋との間に外気を導入するための導入孔が形成されており、前記口栓には内層袋の内部に収容された内容液を吐出するための吐出路が設けられ、該吐出路にフィルターが設けられたフィルター付き容器において、前記口栓の吐出路には前記フィルターよりも上流側に位置する嵌合部が設けられ、前記外層ボトルの胴部のスクイズ変形により内層袋の内圧が上昇することによって嵌合部から離脱するように該嵌合部に嵌合する栓体をさらに備え、嵌合部に嵌合している栓体によって前記吐出路が閉止され、栓体が嵌合部から離脱した後は内層袋の内部とフィルターとの間で通液状態となることを特徴とするものである。なお、本発明において、「吐出」とは、先端ノズル部から一滴ずつ吐出する滴下を含み、連続的に所定量の内容液を水流として流出させるものを含むものである。
かかる本発明のフィルター付き吐出容器によれば、前記栓体が嵌合部に嵌合しているときは前記フィルターと嵌合部との間の空間は空気で満たされており、嵌合部に嵌合している栓体によって吐出路を確実に閉止して、内層袋内の内容液が吐出路と栓体との間から滲み出ることを阻止できる。すなわち、上記従来の逆止弁機構では逆止弁が吐出路を閉じる状態に復帰する必要があることから、かかる閉鎖状態のオリフィスの閉止力にも限界があり、オリフィスを強く閉止させることができなかった。一方、本発明では、一旦栓体が嵌合部から離脱した後は、かかる離脱状態で栓体を支持すれば良いので、嵌合状態での吐出路の閉止力を優先した設計とすることができ、浸透性の高い液剤を内容液として充填した場合でも確実に内容液の滲出を阻止できるようになる。このように栓体を嵌合部に嵌合した構造としつつも、導入孔を塞ぎつつ外層ボトルの胴部をスクイズ変形させて内層袋の内圧を上昇させることにより栓体を嵌合部から離脱させるものであるから、初回の内容液吐出時に特別な開封操作は必要ではなく、初回の吐出時のみ若干強く外層ボトルをスクイズ変形させれば良い。さらに、栓体が嵌合部から離脱されるときに、加圧された内層袋の内圧によって瞬間的に栓体が嵌合部から飛び出すようになるため、かかる挙動により破裂音的な震動が発生するようになり、栓体の状態を外部から目視により確認できない構造となっていても、この震動によって吐出路が連通したことをユーザーに認識させることが可能になる。また、初回吐出時、栓体が嵌合部から離脱したときにフィルターと嵌合部との間の空気は、栓体の周囲からフィルターに向けて流出する内容液によってフィルターから外部に押し出され、その後フィルターと嵌合部との間の空間が内容液で満たされるようになるため、かかる濡れたフィルターによってフィルターの下流側から外気がフィルターの上流側に引き込まれることが阻止され、2回目以降の吐出時は内容液を比較的軽いスクイズ力で円滑に滴下させることが可能になる。内容液の減少に伴い内層袋は収縮変形していき、その後は、外層ボトルと内層袋との間に取り込まれる空気を導入孔を塞ぎつつ外層ボトルをスクイズ変形させて圧縮して、該圧縮空気を介して内層袋に圧縮力が作用されるようになる。また、栓体の嵌合部からの離脱時にフィルターと栓体との間の空気が押し出されて、その空間が内容液と置換される際に、内容液内に気泡が発生することもあるが、濡れたフィルターによって内容液のみが通過して吐出されるため、フィルター下流側には気泡を含まない内容液のみが流出されるようになり、気泡を含むことによる滴下量のバラツキやノズル先端部での泡の飛沫が生じることがなく、安定して一定量の滴下を行わせることができる。
上記本発明のフィルター付き吐出容器において、前記栓体を嵌合部から離脱させる方向に栓体を付勢する弾性支持部をさらに備えることができる。かかる構成によれば、栓体と嵌合部との嵌合力をより大きくしつつも、初回吐出時に栓体を嵌合部から離脱させるための外層ボトルのスクイズ力を低減させることができ、内容液の滲出防止と使用感とを一層向上できる。
さらに、栓体が嵌合部から離脱した後は前記弾性支持部によって栓体が離脱位置に支持されるように構成するか、或いは、栓体が嵌合部から離脱した後に栓体を離脱位置に支持する支持部をさらに備えることで、離脱した栓体が弾性支持部乃至支持部によって離脱位置に支持され、栓体が嵌合部に再嵌合してしまうことが防止され、2回目以降の吐出操作時の小さなスクイズ力を保証できる。
なお、前記弾性支持部は前記栓体に一体成形されていることが好ましい。これによれば、構成部材の削減、構造の簡素化、組み立て容易性の向上が図られる。
また、前記内層袋は、内容液を吐出した後にフィルターよりも下流側で吐出路内に残留する内容液をフィルターの上流側に吸い戻すための復元性を有することが好ましい。これによれば、初回の吐出操作以降、フィルターよりも下流側で吐出路内に残留する内容液は、内容液の減少によって収縮した内層袋が若干膨張するように復元することでフィルターの上流側に吸い戻され、内容液が外気に曝されることを防止し、フィルターの下流側における雑菌の繁殖を防止できる。さらに、初回の吐出時にフィルターと栓体との間の空気が外部に押し出されて内容液と置換されるため、この初回吐出時の容器胴部のスクイズ変形による内層袋の容積減少量が大きくなり、内層袋の弾性復元力が初回の数滴の内容液の滴下によっても十分に生じるようになって、内層袋によるフィルター下流側からの残液の引き込みを初回の内容液の滴下時から十分に作用させることが可能になる。なお、内層袋の復元性は、内層自体の復元弾性によって得られるものであってもよく、また、内層袋内の内容液の自重による内層を膨張させようとする力によって得られるものであってもよい。
前記口栓は、上方から前記栓体が組み付けられるように上方開放状に前記嵌合部が設けられた栓ホルダーと、頂部を有するカバーと、該カバーの頂部の下面側に配設された前記フィルターと、前記栓体とを備え、前記カバーが、栓体が組み付けられた栓ホルダーに上方から外嵌されている構成とすることができる。これによれば、栓体の組付け作業性が向上するとともに、栓体を嵌合部に上方から押し込んで確実に嵌合させることが可能となる。そして、栓ホルダーとカバーとを一体的に嵌合させた状態で一つの組付けパーツとして取り扱うことができ、内容液の充填工場ではこの組付けパーツとしての口栓を内容液剤の充填後のボトル口部に取付ければ良く、量産性及び品質管理性の向上が図られる。なお、上記吐出路は、栓ホルダーとカバーとに亘って設けられ、好ましくは、カバーの頂部に設けた吐出ノズル部が、フィルターの下流側の吐出路を構成するものとすることができる。
本発明の第1実施形態に係るフィルター付き吐出容器のシール時の要部断面図である。 同容器のシール開放時の要部断面図である。 同容器における栓体を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係るフィルター付き吐出容器のシール時の要部断面図である。 同容器のシール開放時の要部断面図である。 同容器における栓ホルダーを示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図である
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る積層剥離ボトルを備える吐出容器として点眼容器1を示している。この点眼容器1の基本構成は上記特許文献1及び2と同様であり、点眼容器1は、有底筒状の積層パリソンをブロー成形してなる内外二層構造の積層ボトル2と、該ボトル2の口部2aに装着される口栓3とを備えており、口栓3には内容液剤を吐出するための吐出路が設けられている。また、口栓3の吐出路内には、フィルター33と、該フィルター33の吐出上流側で初回の吐出時まで吐出路を封止する栓体34とが設けられている。積層ボトル2を倒立させて胴部を押圧によりスクイズすることにより、ボトル2内部の内容液剤(流体)が口栓3内の吐出路を通って先端ノズル部3aから滴下されるようになっている。
上記積層ボトル2は、外層を構成する外層ボトル21(スクイズボトル)と、内層を構成する内層袋22(流体収容袋)との積層構造とされている。外層ボトル21並びに内層袋22は、ブロー成形直後は、共に円筒状の口部と、横断面楕円状の胴部とを有する。外層ボトル21は、例えばPETやSBSなどの合成樹脂材により成形することができ、内層袋22は、外層ボトル21に対して容易に剥離する性質を有する合成樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン)により成形でき、電子線滅菌やγ線滅菌に耐性のある材料であればなお良い。なお、袋22の口部は、内容液剤の放出用開口部を構成し、該袋22の開口部は外層ボトル21の口部に固定的に接続されている。
外層ボトル21は、弾性的にスクイズ変形可能な有底筒状の胴部の上端に、上方に移行するにしたがって徐々に縮径する肩部を介して円筒状の口部が設けられたものである。この外層ボトル21の構造はどのようなものであっても良いが、上記特許文献2に開示したように前後壁部が剛性壁部とされた構成とすることができる。また、外層ボトル21には、外層ボトル21と内層袋22との間に外気を導入するための導入孔(図示せず)を形成する。この導入孔は、上記特許文献2に開示したように外層ボトル21の胴部に設けることが好ましいが、ボトル底部や口部に設けることも可能である。
内層袋22は、その胴部がフィルム状を呈しており、内容液剤の減少に伴って容易に収縮変形する一方、内容液剤を吐出した後にフィルター33よりも吐出下流側で吐出路の先端ノズル部3a内に残留する内容液剤をフィルター33の上流側に吸い戻すための復元弾性を有している。一方、内層袋22の口部は、胴部に比して比較的厚肉に形成されている。
上記口栓3は、円筒状の栓ホルダー31と、該栓ホルダー31に外嵌されるカバー32と、上記フィルター33及び栓体34とを備えている。栓ホルダー31の中央は内容液剤の吐出路を形成するように上下方向に貫通している。また、カバー32は円板状の頂部32a(天板部)を有し、該頂部の中央部に上記ノズル部3aが上下方向に貫通するように形成され、このノズル部3aと栓ホルダー31の中央吐出路とによって、内層袋22の内部に収容された内容液を吐出するための吐出路が構成されている。なお、頂部の全体がノズル形状に構成されていてもよい。
栓ホルダー31は、外層ボトル21の口部に外嵌される筒状の基部31aと、該基部31aの内部に一体成形され且つ基部31aよりも小径筒状の内容液導出部31bとからなる。内容液導出部31bはボトル口部2aに液密状に内嵌されている。内容液導出部31bの上端部には栓体嵌合凹部31c(嵌合部)が上方開放状に形成されている。この嵌合部31cから上方に至るにしたがって栓ホルダー31の内周面は徐々に乃至段階的に大径となるように形成され、その栓ホルダー31の上端部(下流側端部)に形成された取付凹部(内部空間)に栓体34の弾性支持部35が収容されるようになっている。
カバー32は、栓ホルダー31に上方から外嵌されることにより一体的に組み付けられるものであり、かかる組付け前に頂部32aの下面側にフィルター33を配設しておく。口栓3の先端ノズル部3aは、カバー32の中央部に設けられており、フィルター33を通過した内容液剤が先端ノズル部3aから外部に吐出されるようになっている。
上記フィルター33としては、メンブランフィルター、焼結体フィルターや、親水性多孔質平膜や疎水性多孔質平膜など、フィルター33の吐出下流側(容器外)から吐出上流側(容器内)への病原微生物やウィルスの透過を防止し得るものを適宜用いることができる。このフィルター33は、栓体34よりも吐出下流側に配設されており、フィルターの外周縁部が栓ホルダー31の上端部に溶着されている。
上記栓体34は、中央部が下方に若干膨出する円盤状に形成され、上記嵌合部31cに液密に嵌合される。本実施形態では、栓体34を上記嵌合部31cに上方から押し込むことによって、ボトル保管時や輸送時におけるボトル内圧の多少の上昇や振動では栓体34が嵌合部31cから離脱しない程度の嵌合力が生じるようにしている。また、本実施形態では、栓体34を支持する弾性支持部35が栓体34に一体成形されて一つの栓部材を構成している。この弾性支持部35は、嵌合部31cに嵌合している栓体34を上方(嵌合部31cから離脱させる方向)に付勢するとともに、栓体34が嵌合部31cから上方に離脱した後は栓体34を離脱位置、すなわち栓体34が嵌合部31cから上方に離間した位置に支持する。支持部35による上記付勢力は、上記嵌合力よりも小さくなるようにしている。
より具体的に説明すると、図3に示すように、本実施形態の弾性支持部35及び栓体34を有する栓部材はポリエチレン、メタロセン触媒を用いたポリプロピレン、エラストマーなどの弾性を有する成形品からなり、弾性支持部35は、栓ホルダー31の上端部の内部空間に内嵌された円筒状の基部35aと、該基部35aと栓体34とを接続する前後一対の半円弧状の弾性接続部35bとを一体成形してなるものである。栓体34の外径は基部35aの内径よりも小径であり、嵌合部31cから離脱した栓体34の周囲から均一に流出する内容液剤が基部35aの内周部を通過してフィルター33へ向けて流れるようになっている。なお、弾性支持部35は栓体34とは別部材として構成してもよく、例えばスプリング等によって構成することもできる。また、弾性接続部35bは、その本数に拘ることなく、栓体34が嵌合部31cから離間した位置に維持される本数又は強さであればよい。
上記実施形態に係る点眼容器1によれば、最初の吐出前は、図1に示すように栓体34が嵌合部31cに嵌合することによって口栓3内の吐出路が確実に閉止され、浸透性の高い内容液剤であっても栓体34から下流側に滲み出ることを確実に防止でき、フィルター33が濡れることによるエアロックの発生を阻止できる。
初回の吐出を行う際は、容器1を倒立させた状態で導入孔を指で塞ぐようにしてボトル胴部をスクイズ変形させ、内層袋22の内圧を上昇させることにより、該内圧によって図2に示すように栓体34を嵌合部31cから押し上げる。このとき、弾性接続部35bにより栓体34の押し上げ力が補助されるようになるため、円滑な初回吐出操作を行えるようになる。また、初回吐出時に、フィルター33と栓体34との間の空気が内容液によってまだ乾燥状態にあるフィルター33から外部へ押し出され、それ以降はフィルター33の直下まで内容液剤で充填されるようになり、該内容液剤によってフィルター33は常に濡れた状態となる。
2回目以降の吐出の際は、内層袋22内からフィルター33まで常時連通状態となっていることから、吐出のためのボトル胴部のスクイズ力が軽くなり、円滑な吐出操作を行うことができる。また、濡れたフィルターを外気は通過できないため、2回目以降はフィルターの上流側に外気が導入されることがなく、エアロック状態の発生による吐出不良が生じることがない。さらに、内層袋22の復元性によってフィルター33の下流側、すなわち吐出ノズル部3a内に残留する液剤がフィルター33の上流側に吸い戻されるため、ノズル部3aにおける細菌類の繁殖を防止できる。
図4〜図6は本発明の第2実施形態に係るフィルター付き吐出容器1を示しており、上記第1実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成、作用効果について説明する。
本実施形態では、栓体34がシリコンゴム、塩素化ブチルゴム、エラストマーなどの弾性材料によって成形されており、弾性支持部35を構成するプラグフランジ35a(基部)及びコネクタスリーブ35b(弾性接続部)と、栓体34を構成するプラグヘッド34とを備えて一体成形されている。プラグフランジ35aは略リング状であって、断面形状は径方向外側に至るほど肉厚が厚くなるような三角形状とされている。コネクタスリーブ35bは略円筒状であって、軸方向一端側はプラグフランジ35aの内周縁に一体的に接続され、軸方向他端側はプラグヘッド34の外周縁に一体的に接続されている。また、コネクタスリーブ35bは容易に変形し得るように比較的薄肉の柔軟な構造となっているとともに、図4に示すように軸方向に引き伸ばすと収縮する方向の復元弾性が生じるように構成されている。なお、図5に示す状態がコネクタスリーブ35bの初期形状である。当然のことながら、プラグヘッド34には、特許文献2に記載のような十字状のオリフィスは設けられていない。
また、弁ホルダー31の内容液導出部31bは、その上端部内面が上方に至るにしたがって徐々に小径となるように形成され、その最小径部位によって嵌合孔部31c(嵌合部)が構成され、この嵌合孔部31cにプラグヘッド34が液密状に上方から内嵌されるようになっている。また、プラグヘッド34が嵌合孔部31cから上方に離間した際に、プラグヘッド及びプラグフランジの外周から内容液剤をフィルター33へ流出させることができるように、嵌合孔部31cよりも上方で弁ホルダー31の内周面には、図6にも示すように流通溝31dが周方向所定箇所に少なくとも1箇所以上設けられており、図示例ではプラグヘッド34の全周にわたって均一に内容液剤が流出するように周方向に等間隔で8つの流通溝31dが形成されている。この流通溝31dは、縦断面略L字状に形成されている。
さらに、本実施形態では、プラグヘッド34が嵌合孔部31cから離間した状態をより確実に支持するために、L字状の流通溝31dの側壁の下辺部の内端面に、内容液によって押し上げられたプラグヘッド34を嵌合乃至係止させるように構成してもよく、かかる構成によれば、プラグヘッド34が嵌合孔部31cから上方に離間した位置に確実に支持されるようになる。勿論、コネクタスリーブ35bの弾性復元力のみによってプラグヘッド34を嵌合孔部31cから上方に離脱した位置に支持してもよい。
本実施形態に係る容器1においても、初回の吐出時前は図4に示すようにプラグヘッド(栓体)34が嵌合部31cに嵌合することにより確実に内容液剤が滲み出ることが阻止され、2回目の吐出時以降は図5に示すようにプラグヘッド34が離脱位置で支持されることにより軽いスクイズ力で内容液の吐出を行わせることが可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更することができる。例えば、基部及び弾性接続部を設けることなく、栓体を球状の部材によって構成してもよい。また、本願発明は点眼容器以外の各種滴下容器、その他の吐出容器に応用できる。また、本願発明に係るフィルター付き吐出容器を二剤混合容器として構成することもでき、この場合は、例えば、栓体とフィルターとの間の空間に難溶解性の粉末剤等の第1剤を収容する一方、積層ボトルの内層袋内に溶解液等の第2剤を収容しておき、用時に栓体を嵌合部から離脱させることによって第1剤と第2剤とを混合して、混合液剤の吐出容器として使用できる。
1 フィルター付き吐出容器
2 積層ボトル
21 外層ボトル
22 内層袋
3 口栓
3a 吐出ノズル
3b 支持部
31 栓ホルダー
31c 嵌合部
32 カバー
33 フィルター
34 栓体
35 弾性支持部

Claims (2)

  1. スクイズ変形可能な胴部の上端に口部が設けられた外層ボトルと、該外層ボトルの内部に設けられるとともに前記外層ボトルの口部に接続される開口部を有する内層袋と、前記外層ボトルの口部に取付けられた口栓とを備え、
    該口栓は、円筒状の栓ホルダーと、該栓ホルダーに外嵌されるカバーと、フィルターと、栓体とを備え、前記カバーは、中央部にノズル部が上下方向に貫通するように形成された頂部を有し、前記栓ホルダーは中央吐出路を有し、前記ノズル部と前記栓ホルダーの中央吐出路とによって内層袋の内部に収容された内容液を吐出するための吐出路が構成され、前記外層ボトルには、外層ボトルと内層袋との間に外気を導入するための導入孔が形成されており、前記頂部の下面側で前記吐出路に前記フィルターが配設され、
    前記栓ホルダーには前記フィルターよりも上流側に位置する嵌合部が上方開放状に設けられ、前記栓体は、前記外層ボトルの胴部のスクイズ変形により内層袋の内圧が上昇することによって嵌合部から離脱するように該嵌合部に嵌合し、嵌合部に嵌合している栓体によって前記吐出路が閉止され、栓体が嵌合部から離脱した後は前記嵌合部から離間した位置に維持されて栓体の周囲から均一に内容液が流出してフィルターへ向けて流れるよう内層袋の内部とフィルターとの間で通液状態となることを特徴とするフィルター付き吐出容器。
  2. 前記嵌合部はフィルターに対して同心状に対向配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルター付き吐出容器。
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