JP6021829B2 - 永久磁石用脱磁装置 - Google Patents
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Description
このような、脱磁方法で用いられる永久磁石用脱磁装置は、ロータから取出された永久磁石単体を空芯コイルの中に設置し、空芯コイルに、電源からパルス状の減衰性交番電流を流して脱磁磁場を発生させて、永久磁石を脱磁する(例えば特許文献1参照)。
しかし、ロータは、設置されている永久磁石が、磁性材で構成されているステータコアに近接しており、ロータに磁気吸引力が作用する。特に希土類系永久磁石の場合は磁気吸引力が非常に強いので、ロータをステータから引抜く作業が困難となる。
しかし、ロータがステータに組み込まれた状態で永久磁石を脱磁する場合は、ロータ単体の場合に比べて、ステータが存在する分だけ磁石と脱磁用の磁界を発生させるコイルとの距離が遠くなり、永久磁石に印加される磁界の大きさが低下してしまい、脱磁が困難になるとの問題があった。
図1は、本発明の実施の形態1に係る永久磁石用脱磁装置の斜視模式図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る永久磁石用脱磁装置に永久磁石モータをセットした状態を示す斜視模式図である。
図3は、図2の永久磁石モータをセットした永久磁石用脱磁装置を点線で示す部分で分割した断面の模式図である。
ただし、図2と図3とに示す永久磁石モータ10は、ステータ13を形成するステータコア11とフレーム12、および、ロータ17を形成する永久磁石14とロータコア15とシャフト16とを示しており、それ以外の部材は、省略しており図示していない。
コイル2は、永久磁石モータ10の永久磁石14を脱磁する磁界を発生し、ヨーク4は、コイル2の周辺に磁気回路を形成する。
また、ヨーク4は、モータ設置部4aにセットされた永久磁石モータ10を囲むとともに、フレーム12と接する。
図4に示すように、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置100に用いられるヨーク4は、ヨーク4の一方の端面4bから他方の端面4cまで貫通している中空部が形成された中空体であり、この中空部が、脱磁する永久磁石モータ10をセットするモータ設置部4aとなっている。モータ設置部4aには、中空部の貫通方向に対して、永久磁石モータ10の軸方向が平行になるようにして、永久磁石モータ10がセットされる。すなわち、ヨーク4の周壁部分が、永久磁石モータ10を囲むことになる。
また、各端面4b,4cにおける4個の突出部4d,4e,4f,4gは、各端面4b,4cにおいて、ヨーク4の周方向で等間隔に配設されている。
また、一方の端面4bの突出部4d,4e,4f,4gと他方の端面4cの突出部4d,4e,4f,4gとは、ヨーク4の周方向で、同じ位置にある。
すなわち、一方の端面4bにおける各突出部4d,4e,4f,4gの付け根部の左側の部分に、一方の端面4bから他方の端面4cまで垂直に貫かれた第1の貫通孔5aが形成されている。そして、一方の端面4bにおける各突出部4d,4e,4f,4gの付け根部の右側の部分に、一方の端面4bから他方の端面4cまで垂直に貫かれた第2の貫通孔5bが形成されている。
そして、第1,第2,第3の貫通孔5a,5b,5cは、ヨーク4の内周面よりの部分に設けられている。
図5に示すように、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置100に用いられるコイル2は、外周側の第1のコイル21と内周側の第2のコイル22とを有している。
図5において、第1のコイル21は、矢印Lで示す高さ方向にある2個の第1のメインコイル部21aと、第1のメインコイル部21a間を結ぶ2個の第1のサブコイル部21bとで形成されている。第2のコイル22は、矢印Lで示す高さ方向にある2個の第2のメインコイル部22aと、2個の第2のメインコイル部22a間を結ぶ2個の第2のサブコイル部22bとで形成されている。
本実施の形態の永久磁石用脱磁装置100では、コイル2は、メインコイル部が、ヨーク4の一方の端面4bから他方の端面4cまで貫通して配設されている。
また、サブコイル部が、ヨーク4の4個の突出部4d,4e,4f,4gにおける、隣接して対となる突出部の間を渡って配設されている。例えば、突出部4dと突出部4eとの隣接する一対の突出部の間、および、突出部4fと突出部4gとの隣接する他の一対の突出部の間を渡って、配設されている。
すなわち、コイル2は、第1のサブコイル部21bにヨーク4の内周面と平行な部分がある。
第2のサブコイル部22bが、一方の端面4bに沿って配設されているとともに、他方の端面4cに沿って配設されている。
すなわち、もう1つのコイル2も、第1のサブコイル部21bにヨーク4の内周面と平行な部分がある。
第2のサブコイル部22bが、一方の端面4bに沿って配設されているとともに、他方の端面4cに沿って配設されている。
また、各コイルとも、巻終わり部分が別のコイルの巻始め部分と結線されている。ただし、巻始め部分が電源に接続されているコイルは、巻終わり部分が別のコイルの巻始め部分と結線されており、巻終わり部分が電源に接続されているコイルは、巻始め部分が別のコイルの巻終わり部分と結線されている。
コイルがこのように結線されているので、全てのコイルが直列に電流が流れるようになっている。
これらの材質を用いることによって、永久磁石用脱磁装置100に通電した際に、ヨーク4に発生する渦電流を低減して、メインコイル部およびサブコイル部から発生する磁界が低下するのを抑制できる。
電源には、例えば、減衰性交番電流を供給可能であるコンデンサ式電源が用いられる。
できる限り低エネルギーで効率良く、希土類系永久磁石を着磁あるいは脱磁するには、磁化されやすい磁化容易軸方向と平行に外部磁界を印加することが必要である。
一般的な永久磁石モータにおける希土類系永久磁石の磁化容易軸方向は、永久磁石モータの径方向にほぼ平行であり、永久磁石用脱磁装置による希土類系永久磁石へ印加する磁界は、永久磁石モータの径方向成分の大きさが重要となる。
図6に示すように、第1のメインコイル部21aおよび第2のメインコイル部22aは、ともに、中空部の貫通方向と平行に配列している。すなわち、セットされる永久磁石モータ10の軸方向と平行になるようになっている。
図6では、ヨーク4における、各第1のメインコイル部21aの配置位置をA、D、E、Hとして、各第2のメインコイル部22aの配置位置をB、C、F、Gとしており、メインコイル部の配置は対称な8箇所の位置となっている。
図7は、永久磁石用脱磁装置100に永久磁石モータ10がセットされている状態を示している。
本実施の形態の永久磁石用脱磁装置100では、電流が全てのコイルに直列に流れるようになっているので、A、B、C、D、E、F、G、Hの8箇所の位置の各メインコイル部も直列に接続されている。
また、D位置の第1のメインコイル部21aとC位置の第2のメインコイル部22aとH位置の第1のメインコイル部21aとG位置の第2のメインコイル部22aとが、紙面奥方向に電流が流れる。
そして、メインコイル部により、矢印Mhで示す方向の磁界が発生する。
図8は、永久磁石用脱磁装置100に永久磁石モータ10がセットされている状態を示している。
図8に示すように、電源からコイルに減衰性交番電流を流すと、メインコイル部が、両矢印Mwで示す方向の磁界が発生する。
すなわち、図8に示した4箇所の領域αでは、メインコイル部から発生する磁界の向きが、永久磁石モータ10の径方向とほぼ垂直になっており、永久磁石モータ10の径方向の磁界成分が少ない。
メインコイル部だけを用いて、永久磁石モータ10内の全極の永久磁石14を脱磁するには、1度電源を通して減衰性交番電流を通電して磁界を印加した後、永久磁石モータ10のロータ17を45度回転させて、再度通電する必要がある。
しかし、メインコイル部から発生する磁界だけで脱磁するには、1台の永久磁石モータに対して、永久磁石用脱磁装置に、2度以上の通電が必要となり、その分だけ脱磁工程のタクトタイムが増加する。また、永久磁石用脱磁装置の寿命低下を招く。
図9は、永久磁石用脱磁装置100に永久磁石モータ10がセットされている状態を示している。
図9に示すように、電源からコイルに減衰性交番電流を流すと、サブコイル部が発生する磁界の方向が、両矢印Mnの向きとなる。すなわち、4箇所の領域αでは、サブコイル部から発生する磁界の向きが、永久磁石モータ10の径方向と平行となっている。
それゆえ、メインコイル部から発生する磁界だけでは不足していた、領域αに位置している部分の永久磁石14へ印加される、永久磁石モータの径方向の磁界成分を増大させることができる。
本実施の形態の永久磁石用脱磁装置100では、例えば、A位置の第1のメインコイル部21aとD位置の第1のメインコイル部21aとが、第1のサブコイル部21bで接続されており、B位置の第2のメインコイル部22aとC位置の第2のメインコイル部22aとが、第2のサブコイル部22bで接続されている。
図10は、永久磁石用脱磁装置100に永久磁石モータ10がセットされている状態であり、例えば、永久磁石用脱磁装置100におけるヨーク4の一方の端面4b側を示している。
また、図10に示した第1,第2のサブコイル部21b,22bは、そこに流れる電流路を説明するものであり、後述する領域β部分以外はデフォルメしている。
また、矢印Sで示すように、E位置の第1のメインコイル部21aとH位置の第1のメインコイル部21aとに接続されている第1のサブコイル部21bに流れる電流は、E位置の第1のメインコイル部21aからH位置の第1のメインコイル部21aの方向に流れる。
また、矢印Tで示すように、F位置の第2のメインコイル部22aとG位置の第2のメインコイル部22aとに接続されている第2のサブコイル部22bに流れる電流は、F位置の第2のメインコイル部22aからG位置の第2のメインコイル部22aの方向に流れる。
すなわち、図10に示すように、ヨーク4の一方の端面4b側にある全てのサブコイル部に流れる電流の方向が同じである。
また、ヨーク4の一方の端面4b側とは逆になるが、ヨーク4の他方の端面4c側にある全てのサブコイル部に流れる電流の方向も同じである。
すなわち、第1のサブコイル部21bの領域βの部分に流れる電流により、領域αに位置している永久磁石14へ印加する永久磁石モータの径方向の磁界成分が発生するので、この永久磁石14における永久磁石モータの径方向の磁界成分を増大できる。
永久磁石用脱磁装置150では、第1のサブコイル部31bと第2のサブコイル部32bとが、個別に1個の第3の貫通孔5cに挿入されるともに、ヨーク4の各端面に沿って配設されている。また、各サブコイル部31b,32bは、ヨーク4の内周面と平行な部分がある。
また、第1のコイルと第2のコイルとは中空部の貫通方向でずらして配置されている。
図11は、永久磁石用脱磁装置150に永久磁石モータ10がセットされている状態であり、例えば、永久磁石用脱磁装置150のヨーク4の一方の端面4b側を示している。
また、図11に示した第1,第2のサブコイル部31b,32bは、そこに流れる電流路を説明するものであり、後述する領域β部分以外はデフォルメしている。
また、矢印Sで示すように、E位置の第1のメインコイル部31aとG位置の第1のメインコイル部31aとに接続されている第1のサブコイル部31bに流れる電流は、E位置の第1のメインコイル部31aからG位置の第1のメインコイル部31aの方向に流れる。
また、矢印Tで示すように、F位置の第2のメインコイル部32aとH位置の第2のメインコイル部32aとに接続されている第2のサブコイル部32bに流れる電流は、F位置の第2のメインコイル部32aからH位置の第2のメインコイル部32aの方向に流れる。
すなわち、図11に示すように、ヨーク4の一方の端面4b側にある全てのサブコイル部に流れる電流の方向が同じである。
また、ヨーク4の一方の端面4b側とは逆になるが、ヨーク4の他方の端面4c側にある全てのサブコイル部に流れる電流の方向も同じである。
本実施の形態の、永久磁石用脱磁装置100と永久磁石用脱磁装置150とは、各サブコイル部が、セットされた永久磁石モータ10の軸に対して垂直な面であるヨーク4の端面に沿って配設されているので、発生する永久磁石モータの径方向の磁界が向上する。
図12は、図10の永久磁石モータがセットされた永久磁石用脱磁装置のX−X断面の模式図である。
図12は、永久磁石用脱磁装置100の、領域βの部分に位置するヨーク4の断面を示している。すなわち、ヨーク4の突出部がある部分の断面を示している。
図12に示すように、ヨーク4の、一方の端面4b側と他方の端面4c側とにおいて、突出部を貫いて第1のサブコイル部21bが配設されている。図示していないが、2個の第1のサブコイル部21bの各々の両端部が、第1のメインコイル部21aと接続している。
図13に示すように、ヨーク4の領域βに位置する、一方の端面4b側の第1のサブコイル部21bと他方の端面4c側の第1のサブコイル部21bとが平行になっており、一方の端面4b側の第1のサブコイル部21bに流れる電流の方向と他方の端面4c側の第1のサブコイル部21bに流れる電流の方向とが逆方向となっているので、第1のサブコイル21b部が、矢印Mvで示す永久磁石モータ10の径方向の磁界を発生する。
ヨーク4の、一方の端面4b側と他方の端面4c側とにおいて、突出部を貫いて第1のサブコイル部31bが配設されている。2個の第1のサブコイル部31bは、その両端部の各々が第1のメインコイル部31aと接続している。
また、図示しないが、図11の永久磁石モータがセットされた永久磁石用脱磁装置150のY−Y断面も、図12に示す永久磁石用脱磁装置100のX−X断面と同様である。
ただし、ヨーク4の、一方の端面4b側と他方の端面4c側とにおいて、突出部を貫いて第2のサブコイル部32bが配設されている。2個の第2のサブコイル部32bは、その両端部の各々が第2のメインコイル部32aと接続している。
例えば、コイルターン数が24ターンで、減衰交番電流の最大値を10kAとした場合、メインコイル部から発生する磁界による、領域αに位置する永久磁石へ印加される磁界の永久磁石モータの径方向成分の値は、400kA/m以下であるが、サブコイル部から発生する磁界を加えると、2000kA/m程度まで向上する。
それゆえ、ロータがステータに組み込まれた未分解の状態にある永久磁石モータの全極の永久磁石を脱磁することができる。
また、モータの分解におけるステータからのロータの引抜きが、ロータの永久磁石を脱磁した後に行うことになるので、ロータの引抜きが容易となり、モータから永久磁石単体を取出す工程の効率化が図れる。
すなわち、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置は、複数のコイルが直列に接続されているコイル群を備えている。そして、複数のコイルにおける、各第1のコイルはヨークの周方向で等間隔に配置されており、各第2のコイルもヨークの周方向で等間隔に配置されている。
図14は、本発明の実施の形態2に係る永久磁石用脱磁装置に用いられるヨークの斜視模式図である。
本実施の形態の永久磁石用脱磁装置は、図14に示す、実施の形態1のヨーク4における、第1の貫通孔5aと第2の貫通孔5bと第3の貫通孔5cとのヨーク4の内周面側を開口して形成された、第1の溝45aと第2の溝45bと第3の溝45cとを有するヨーク本体44hと、第1の溝45aと第2の溝45bと第3の溝45cとの開口部を覆う蓋体44iとを備えたヨーク44を用いた以外、実施の形態1の永久磁石用脱磁装置と同様であり、実施の形態1の永久磁石用脱磁装置と同様な効果を奏する。
本実施の形態の永久磁石用脱磁装置は、第1の溝45aと第2の溝45bとにメインコイル部が配設されており、第3の溝45cにサブコイル部が配設される。
本実施の形態では、蓋体44iが4個の板で形成されているが、各溝の開口部を覆うことができれば、これに限定されない。
また、貫通孔へのコイルの設置では、作業性を考慮して大きめのクリアランスを確保する必要があるが、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置では、コイルをヨークへ設置する作業性が向上しているので、ヨークとコイルとの間のクリアランスを小さくでき、ヨーク内でのコイルの位置精度を向上できる。
図15は、本発明の実施の形態3に係る永久磁石用脱磁装置の斜視模式図である。
図15は、永久磁石用脱磁装置300に、永久磁石モータ10をセットしている状態を示している。
図16は、本発明の実施の形態3に係る永久磁石用脱磁装置に用いられるヨークの斜視模式図である。
すなわち、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置300は、図15に示すように、ヨーク54のサブコイル部が設置されていない部分で、ヨーク54が、第1のヨーク部54aと第2のヨーク部54bとに2分割されている以外、実施の形態1の永久磁石用脱磁装置100と同様であり、実施の形態1の永久磁石用脱磁装置100と同様な効果を奏する。
図18は、本発明の実施の形態3に係る永久磁石用脱磁装置にサイズの小さな永久磁石モータをセットした状態を示す模式図である。
本実施の形態の永久磁石用脱磁装置300は、ヨーク54を形成する、第1のヨーク部54aと第2のヨーク部54bとを、別個に動かすことができる。
また、小さなサイズの永久磁石モータの場合、図18に示すように、第1のヨーク部54aの分割面56aと、第2のヨーク部54bの分割面56bとの間隔を狭めることにより、永久磁石モータ10をセットすることができる。
また、サイズの異なる複数の永久磁石モータをセットしても、永久磁石モータに搭載されている永久磁石と、磁界を発生するメインコイル部およびサブコイル部との距離を一定に保つことができ、永久磁石と、メインコイル部およびサブコイル部との距離増加による永久磁石へ印加する磁界が低下するのを防止できる。
本実施の形態では、ヨークを2分割しているが、分割されたヨーク部にコイルが設置できる範囲で、2分割より多い分割としても良い。
本実施の形態のヨークを分割する構造は、実施の形態2の永久磁石用脱磁装置にも適用でき、同様の効果を奏する。
図19は、本発明の実施の形態4に係る永久磁石用脱磁装置の斜視模式図である。
図20は、本発明の実施の形態4に係る永久磁石用脱磁装置を組み立てる状態を示す図である。
図19と図20とに示すように、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置400は、実施の形態1の永久磁石用脱磁装置100を脱磁部構成体として用いている。
そして、2個の脱磁部構成体70a,70bが、中空部の貫通方向で直列に並び、各々の突出部における中空部の貫通方向にある平面、すなわち突出部の頂上の平面(頂上面と記す)64を突き合わせて接触させた状態で、固定されている。
また、ヨークが、2個のヨーク4で形成される複合ヨークとなっている。
また、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置400は、接している両突出部に配設されたサブコイル部に流れる電流の方向が同じになるように、一方の脱磁部構成体70aの2個のコイルでなるコイル群と、他方の脱磁部構成体70bの2個のコイルでなるコイル群とが、接続されている。
一方の脱磁部構成体70aのコイル群と他方の脱磁部構成体70bコイル群との接続は、電源に対して、直列接続であっても良く、並列接続であっても良い。直列接続の場合は、永久磁石用脱磁装置400に設けられている全てのコイルが、直列に電流が流れるようになっている。
図21は、図19の永久磁石用脱磁装置400における点線で示す部分の分割面を、矢印Zで示す方向から見た分割面である。ただし、図21は、永久磁石用脱磁装置400に永久磁石モータ10がセットされた状態を示している。
すなわち、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置400では、複合ヨークにおける、中空部の貫通方向の各端部にある突出部(端部突出部と記す)のみならず中間部にある突出部(中間部突出部と記す)にも、第1のサブコイル部21bが配設されている。
図22に示すように、複合ヨークにおける端部突出部に配設されている各第1のサブコイル部21bに流れる電流は、例えば紙面手前方向である。
また、複合ヨークにおける中間部突出部に配設されている各第1のサブコイル部21bに流れる電流は、例えば紙面奥方向である。
それゆえ、矢印Mxで示す永久磁石モータ10の径方向の磁界と、矢印Myで示す永久磁石モータ10の径方向であるが矢印Mxで示す磁界の方向と逆方向になる磁界とが、発生する。
それゆえ、ヨーク4の両端面に形成されている突出部に配設された各第1のサブコイル部21bの間隔が広くなり、第1のサブコイル部21bから発生する磁界における、永久磁石モータの径方向成分の大きさが低下する。
しかし、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置400では、複合ヨークにおける、中空部の貫通方向の両端部のみならず中間部にも、第1のサブコイル部21bが配設されており、第1のサブコイル部間の間隔を狭くしているので、サブコイル部から発生する磁界における永久磁石モータの径方向成分の大きさが低下するのを防止している。
この場合は、複合ヨークにおける、中空部の貫通方向の両端部および中間部に配設されるサブコイル部が、全て第1のサブコイル部である部分と、全て第2のサブコイル部である部分とがある。
この場合も、隣接した各脱磁部構成体において、接している各突出部に配設されたサブコイル部に流れる電流の方向が同じになるように、隣接した一方の脱磁部構成体のコイル群と隣接した他方の脱磁部構成体のコイル群とが接続されている。
本実施の形態の永久磁石用脱磁装置を形成する脱磁部構成体に、実施の形態2または実施の形態3の永久磁石用脱磁装置を用いても良く、同様の効果を奏する。
図23は、本発明の実施の形態5に係る永久磁石用脱磁装置の斜視模式図である。
図24は、本発明の実施の形態5に係る永久磁石用脱磁装置を組み立てる状態を示す図である。
図23と図24とに示すように、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置500は、一方の脱磁部構成体70aのサブコイル部の配設位置と、他方の脱磁部構成体70bのサブコイル部が配設されていない位置とが、ヨーク4の周方向で同じ位置となるようにしている以外、実施の形態4の永久磁石用脱磁装置400と同様である。
また、本実施の形態では、脱磁部構成体の個数は2個であるが、2個以上であり、脱磁する永久磁石モータの外周面を全て囲むことができる最小の個数以下である、複数個であれば良い。
この場合は、少なくとも1個の脱磁部構成体におけるサブコイル部の配設位置が、隣接する脱磁部構成体のサブコイル部が配設されていない位置と、ヨーク4の周方向で同じ位置になるようになっていれば良い。
しかし、本実施の形態の永久磁石用脱磁装置を形成する脱磁部構成体には、実施の形態3の永久磁石用脱磁装置を用いることはできない。
4c 他方の端面、4d,4e,4f,4g 突出部、5a 第1の貫通孔、
5b 第2の貫通孔、5c 第3の貫通孔、10 永久磁石モータ、
11 ステータコア、12 フレーム、13 ステータ、14 永久磁石、
15 ロータコア、16 シャフト、17 ロータ、21 第1のコイル、
21a 第1のメインコイル部、21b 第1のサブコイル部、22 第2のコイル、
22a 第2のメインコイル部、22b 第2のサブコイル部、
31a 第1のメインコイル部、31b 第1のサブコイル部、
32a 第2のメインコイル部、32b 第2のサブコイル部、44 ヨーク、
44h ヨーク本体、44i 蓋体、45a 第1の溝、45b 第2の溝、
45c 第3の溝、54 ヨーク、54a 第1のヨーク部、
54b 第2のヨーク部、56a 分割面、56b 分割面、
64 頂上面、70a 一方の脱磁部構成体、70b 他方の脱磁部構成体、
100,150,300,400,500 永久磁石用脱磁装置。
Claims (11)
- ヨークと上記ヨークに設けられたコイルと上記コイルに減衰性交番電流を供給する電源とを備えた永久磁石用脱磁装置であって、
上記ヨークは、一方の端面から上記一方の端面の反対側にある他方の端面まで貫通している中空部が形成された中空体であり、上記中空部が脱磁する永久磁石モータをセットするモータ設置部となっており、上記ヨークの一方の端面と上記ヨークの他方の端面との各々には、4個以上で設置可能な個数以下の偶数個の突出部が、上記中空部の貫通方向と平行な方向に突出して形成されており、上記突出部は、上記一方の端面と上記他方の端面との各々において、上記ヨークの周方向で等間隔に配置されており、且つ上記一方の端面での配置位置と上記他方の端面での配置位置とが上記ヨークの周方向で同じ位置になっており、
上記コイルは、直列に接続された第1のコイルと第2のコイルとを有しており、且つ上記ヨークの周方向における隣接する一対の上記突出部がある領域に配設されており、上記第1のコイルは、2個の第1のメインコイル部と、上記2個の第1のメインコイル部の端部と接続して上記2個の第1のメインコイル部間を結ぶ2個の第1のサブコイル部とで形成されており、上記第1のサブコイル部は上記ヨークの内周面と平行になる部分を有しており、上記第2のコイルは、2個の第2のメインコイル部と、上記2個の第2のメインコイル部の端部と接続して上記2個の第2のメインコイル部間を結ぶ2個の第2のサブコイル部とで形成されており、
上記2個の第1のメインコイル部の各々は、上記隣接する一対の突出部における付け根部の上記ヨークの周方向外側の部分で、上記一方の端面から上記他方の端面まで上記ヨークを貫いて配設されており、上記2個の第1のサブコイル部の各々は、上記一方の端面と上記他方の端面とにおいて、上記一対の突出部を上記ヨークの周方向に貫くとともに、上記ヨークの各端面に沿って配設されており、
上記2個の第2のメインコイル部の各々は、上記隣接する一対の突出部における付け根部の上記ヨークの周方向内側の部分で、上記一方の端面から上記他方の端面まで上記ヨークを貫いて配設されており、上記2個の第2のサブコイル部の各々は、上記ヨークの各端面に沿って配設されており、
上記ヨークの同じ側の端面に配設されている、全ての上記第1のサブコイル部および全ての上記第2のサブコイル部に流れる電流の方向が同じであり、上記コイルが複数設けられている永久磁石用脱磁装置。 - ヨークと上記ヨークに設けられたコイルと上記コイルに減衰性交番電流を供給する電源とを備えた永久磁石用脱磁装置であって、
上記ヨークは、一方の端面から上記一方の端面の反対側にある他方の端面まで貫通している中空部が形成された中空体であり、上記中空部が脱磁する永久磁石モータをセットするモータ設置部となっており、上記ヨークの一方の端面と上記ヨークの他方の端面との各々には、4個以上で設置可能な個数以下の偶数個の突出部が、上記中空部の貫通方向と平行な方向に突出して形成されており、上記突出部は、上記一方の端面と上記他方の端面との各々において、上記ヨークの周方向で等間隔に配置されており、且つ上記一方の端面での配置位置と上記他方の端面での配置位置とが上記ヨークの周方向で同じ位置になっており、
上記コイルは、直列に接続された第1のコイルと第2のコイルとを有しており、且つ上記ヨークの周方向における隣接する一対の上記突出部がある領域に配設されており、上記第1のコイルは、2個の第1のメインコイル部と、上記2個の第1のメインコイル部の端部と接続して上記2個の第1のメインコイル部間を結ぶ2個の第1のサブコイル部とで形成されており、上記第1のサブコイル部は上記ヨークの内周面と平行になる部分を有しており、上記第2のコイルは、2個の第2のメインコイル部と、上記2個の第2のメインコイル部の端部と接続して上記2個の第2のメインコイル部間を結ぶ2個の第2のサブコイル部とで形成されており、上記第2のサブコイル部は上記ヨークの内周面と平行になる部分を有しており、
1個の上記第1のメインコイル部が、上記一対の突出部における一方の上記突出部の付け根部の上記ヨークの周方向外側の部分で、上記一方の端面から上記他方の端面まで上記ヨークを貫いて配設されており、別の1個の上記第1のメインコイル部が、上記一対の突出部における他方の上記突出部の付け根部の上記ヨークの周方向内側の部分で、上記一方の端面から上記他方の端面まで上記ヨークを貫いて配設されており、上記2個の第1のサブコイル部の各々が、上記一方の端面と上記他方の端面とにおいて、上記一方の突出部を上記ヨークの周方向に貫くとともに、上記ヨークの各端面に沿って配設されており、
1個の上記第2のメインコイル部が、上記一対の突出部における上記一方の突出部の付け根部の上記ヨークの周方向内側の部分で、上記一方の端面から上記他方の端面まで上記ヨークを貫いて配設されており、別の1個の上記第2のメインコイル部が、上記一対の突出部における上記他方の突出部の付け根部の上記ヨークの周方向外側の部分で、上記一方の端面から上記他方の端面まで上記ヨークを貫いて配設されており、上記2個の第2のサブコイル部の各々が、上記一方の端面と上記他方の端面とにおいて、上記他方の突出部を上記ヨークの周方向に貫くとともに、上記ヨークの各端面に沿って配設されており、
上記ヨークの同じ側の端面に配設されている、全ての上記第1のサブコイル部および全ての上記第2のサブコイル部に流れる電流の方向が同じであり、上記コイルが複数設けられている永久磁石用脱磁装置。 - 上記第1のメインコイル部と上記第2のメインコイル部とが、上記中空部の貫通方向と平行にして上記一方の端面から上記他方の端面まで貫通させて上記ヨークに形成した貫通孔に配設されており、上記第1のサブコイル部が、上記一方の端面または上記他方の端面と平行にして上記ヨークの周方向に貫通させて上記突出部に形成した貫通孔に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石用脱磁装置。
- 上記第1のメインコイル部と上記第2のメインコイル部とが、上記中空部の貫通方向と平行にして上記一方の端面から上記他方の端面まで貫通させて上記ヨークに形成した貫通孔に配設されており、上記第1のサブコイル部と上記第2のサブコイル部とが、上記一方の端面または上記他方の端面と平行にして上記ヨークの周方向に貫通させて上記突出部に形成した貫通孔に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の永久磁石用脱磁装置。
- 上記第1のメインコイル部と上記第2のメインコイル部とが、上記中空部の貫通方向と平行にして上記一方の端面から上記他方の端面まで上記ヨークの内周面に形成した溝に配設されており、上記第1のサブコイル部が、上記一方の端面または上記他方の端面と平行にして上記ヨークの周方向に向けて上記突出部の内周面に形成した溝に配設されており、上記各溝が蓋体で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石用脱磁装置。
- 上記第1のメインコイル部と上記第2のメインコイル部とが、上記中空部の貫通方向と平行にして上記一方の端面から上記他方の端面まで上記ヨークの内周面に形成した溝に配設されており、上記第1のサブコイル部と上記第2のサブコイル部とが、上記一方の端面または上記他方の端面と平行にして上記ヨークの周方向に向けて上記突出部の内周面に形成した溝に配設されており、上記各溝が蓋体で覆われていることを特徴とする請求項2に記載の永久磁石用脱磁装置。
- 上記ヨークが、上記一方の端面と上記他方の端面とに上記サブコイル部が配設されていない部分で、複数に分割されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の永久磁石用脱磁装置。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の永久磁石用脱磁装置を脱磁部構成体として用いており、
複数の上記脱磁部構成体が、上記中空部の貫通方向で直列に並び、隣接する上記脱磁部構成体における各々の上記突出部の頂上面を突き合わせて接触させた状態で、固定されており、隣接した上記脱磁部構成体において、接している各上記突出部に配設された上記サブコイル部に流れる電流の方向が同じになるように、一方の上記脱磁部構成体のコイル群と他方の上記脱磁部構成体のコイル群とが接続されていることを特徴とする永久磁石用脱磁装置。 - 請求項7に記載の永久磁石用脱磁装置を脱磁部構成体として用いており、
複数の上記脱磁部構成体が、上記中空部の貫通方向で直列に並び、隣接する上記脱磁部構成体における各々の上記突出部の頂上面を突き合わせて接触させた状態で、固定されており、隣接した上記脱磁部構成体において、一方の上記脱磁部構成体の上記サブコイル部の配設位置と他方の上記脱磁部構成体の上記サブコイル部の配設位置とが、上記ヨークの周方向で同じ位置となっており、且つ、接している各上記突出部に配設された上記サブコイル部に流れる電流の方向が同じになるように、上記一方の脱磁部構成体のコイル群と上記他方の脱磁部構成体のコイル群とが接続されていることを特徴とする永久磁石用脱磁装置。 - 上記ヨークの材質が、軟磁性体の鉄材であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の永久磁石用脱磁装置。
- 上記ヨークの材質が、表面に絶縁処理を施した軟磁性体の鋼板材の積層体または鉄の粒子間に樹脂をコーティングした圧粉鉄心または非磁性の樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の永久磁石用脱磁装置。
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