JP6021662B2 - 画像記録装置、画像記録方法およびプログラム - Google Patents

画像記録装置、画像記録方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、画像記録装置および画像記録方法、並びに、画像記録装置にて利用される画像をコンピュータに取得させるプログラムに関する。
インクジェット方式や電子写真方式等の画像記録装置では、印刷用紙等の基材上にインクやトナーによりドットが形成される。当該ドットの大きさが、基材上に配列設定された記録画素よりも大きい場合、基材上の画像において、文字や記号、あるいは、線にて表現される線パターン等の線部が所望の幅よりも太ってしまう。この場合、文字や記号の一部が潰れて、文字や記号を容易に判別することができなくなったり、別のものとして誤って判別されることがある。また、線パターンも同様に、当該線パターンの内容が判別不能となることがある。このように、ドットが記録画素よりも広がることにより、文字、記号、線パターン等の可読性が損なわれる。そこで、非特許文献1では、文字や線画の輪郭部分の印刷濃度だけを下げることによって、画像全体の濃度を変えずに文字だけを細くする処理が開示されている。
なお、非特許文献2では、線図形の線幅を1に細める処理が記載されている。当該処理では、芯線の線幅が1になること、芯線の位置が線幅の中心になること、図形の連結性が保存されること等の条件が満たされる。また、特許文献1では、パターンの検査において、マスタパターンを取得する手法が開示されている。マスタパターンの取得では、背景パターンと製品パターンを有する基準パターンにおいて、製品パターンに属する各画素に境界からの距離データを割り当てて基準距離パターンが得られ、基準距離パターンの各画素において周辺の画素に自分より大きな距離データがなくなるまで画素を削除して画素削除処理画像が得られる。また、基準距離パターンを線幅が最小となるまで画素を削除して細線化処理画像が得られ、画素削除処理画像と細線化処理画像とを合成して、基準骨格パターンが得られる。そして、基準骨格パターンを逆距離変換処理して(太らせて)マスタパターンが得られる。
特開2010−145145号公報
鷲尾 宏司、外4名,「PP市場における画像処理技術−オフセット印刷画質を目指して−」,[online],コニカミノルタホールディングス株式会社,[平成25年1月17日検索],インターネット<URL:http://www.konicaminolta.jp/about/research/technology_report/2011/pdf/feature_008.pdf> 谷口 慶治,「画像処理工学−基礎編−」,初版,共立出版株式会社,1999年6月10日,p.118−120
ところで、非特許文献1のように画像の収縮処理(erosion)により、画像中の前景領域を細らせる場合、前景領域において細い幅にて連続する部位が、収縮処理後の画像において欠落することがある。したがって、このような画像のデータに従って基材上に記録した画像では、文字、記号、線パターン等の可読性が損なわれてしまう。
特許文献1では、連続した骨格パターンを示す基準骨格パターンからマスタパターンが取得されるが、基準パターンにおける境界の認識、および、各位置と境界との距離計算を行って基準距離パターンを生成したり、基準骨格パターンの各画素の値を所定係数倍して太らせる等の工程が必要があり、処理が極めて煩雑となる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基材上に記録した画像において、文字、記号、線パターン等の可読性を容易に向上することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、画像記録装置であって、複数の記録画素が2次元に配列設定された基材上に、記録画素よりも大きいドットを形成する画像記録部と、対象画像に対して細らせ処理を施すことにより、処理済み画像を取得する細らせ処理部と、前記処理済み画像から、前記複数の記録画素へのドット形成の要否を示す網点画像を生成する網点画像生成部と、前記網点画像に従って前記画像記録部を制御する制御部とを備え、前記細らせ処理部が、前記対象画像中の線部において、エッジから設定画素数に含まれる画素の濃度値を低下させる収縮処理を施すことにより収縮画像を取得する収縮処理部と、前記対象画像中の前記線部の芯線を示す骨格化画像を取得する骨格化処理部と、前記収縮画像と前記骨格化画像とを統合することにより前記処理済み画像を取得する統合部とを備え、前記ドットが前記記録画素からはみ出す幅をはみ出し幅として、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置であって、前記細らせ処理部が、前記対象画像において前記線部を含む線画像領域を示す領域データを参照することにより、前記対象画像における前記線画像領域のみに対して前記細らせ処理を施す。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像記録装置であって、前記設定画素数が、前記対象画像の行方向および列方向に個別に設定可能であり、前記行方向および前記列方向のそれぞれに対応する前記基材上の方向に関して、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さい。
請求項4に記載の発明は、画像記録装置における画像記録方法であって、前記画像記録装置が、複数の記録画素が2次元に配列設定された基材上に、記録画素よりも大きいドットを形成する画像記録部を備え、前記画像記録方法が、a)対象画像に対して細らせ処理を施すことにより、処理済み画像を取得する工程と、b)前記処理済み画像から、前記複数の記録画素へのドット形成の要否を示す網点画像を生成する工程と、c)前記網点画像に従って前記画像記録部を制御する工程とを備え、前記a)工程が、前記対象画像中の線部において、エッジから設定画素数に含まれる画素の濃度値を低下させる収縮処理を施すことにより収縮画像を取得する工程と、前記対象画像中の前記線部の芯線を示す骨格化画像を取得する工程と、前記収縮画像と前記骨格化画像とを統合することにより前記処理済み画像を取得する工程とを備え、前記ドットが前記記録画素からはみ出す幅をはみ出し幅として、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さい。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像記録方法であって、前記a)工程において、前記対象画像において前記線部を含む線画像領域を示す領域データを参照することにより、前記対象画像における前記線画像領域のみに対して前記細らせ処理が施される。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の画像記録方法であって、前記設定画素数が、前記対象画像の行方向および列方向に個別に設定可能であり、前記行方向および前記列方向のそれぞれに対応する前記基材上の方向に関して、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さい。
請求項7に記載の発明は、画像記録装置にて利用される処理済み画像をコンピュータに取得させるプログラムであって、前記画像記録装置が、複数の記録画素が2次元に配列設定された基材上に、記録画素よりも大きいドットを形成する画像記録部と、前記処理済み画像から、前記複数の記録画素へのドット形成の要否を示す網点画像を生成する網点画像生成部と、前記網点画像に従って前記画像記録部を制御する制御部とを備え、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、a)対象画像中の線部において、エッジから設定画素数に含まれる画素の濃度値を低下させる収縮処理を施すことにより収縮画像を取得する工程と、b)前記対象画像中の前記線部の芯線を抽出する骨格化処理により、前記芯線を示す骨格化画像を取得する工程と、c)前記収縮画像と前記骨格化画像とを統合することにより前記処理済み画像を取得する工程とを実行させ、前記ドットが前記記録画素からはみ出す幅をはみ出し幅として、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さい。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のプログラムであって、前記a)およびb)工程において、前記対象画像において前記線部を含む線画像領域を示す領域データを参照することにより、前記対象画像における前記線画像領域のみに対して前記収縮処理および前記骨格化処理が施される。
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載のプログラムであって、前記設定画素数が、前記対象画像の行方向および列方向に個別に設定可能であり、前記行方向および前記列方向のそれぞれに対応する前記基材上の方向に関して、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さい。
本発明によれば、基材上に記録した画像において文字、記号、線パターン等の可読性を容易に向上することができる。
画像記録装置の構成を示す図である。 吐出ユニットを示す底面図である。 コンピュータの構成を示す図である。 画像演算部の機能構成を示すブロック図である。 画像記録装置が基材上に画像を記録する動作の流れを示す図である。 対象画像を示す図である。 基材上に形成されるドットを示す図である。 基材上に形成されるドットを示す図である。 収縮画像を示す図である。 骨格化画像を示す図である。 処理済み画像を示す図である。 比較例の画像記録装置により記録される基材上の画像を示す図である。 画像記録装置により記録される基材上の画像を示す図である。 基材上に形成されるドットを示す図である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る画像記録装置1の構成を示す図である。画像記録装置1は、長尺状の印刷用紙やフィルムである基材9上に、インクジェット方式にてカラー印刷を行う装置である。画像記録装置1では、基材9に記録(印刷)される予定の入力画像データが、複数のページに対応する基材9上の複数の領域に記録される画像を示し、各ページに記録される画像はページ毎に異なる。換言すれば、画像記録装置1では、ページ毎に異なる内容が印刷されるバリアブル印刷が行われる。
図1に示す画像記録装置1は、基材9を図1中の(+Y)方向(以下、「搬送方向」ともいう。)に搬送しつつ基材9上に画像を記録する画像記録部11、画像記録部11を制御する本体制御部4、および、本体制御部4に接続されたコンピュータ5を備える。画像記録部11は、基材9を搬送方向に連続移動する搬送機構21、および、搬送機構21の上方に配置される吐出ユニット3を備える。吐出ユニット3は、搬送機構21を跨ぐようにして基台20に設けられるフレーム201に固定される。後述するように、吐出ユニット3はインクジェットヘッドであり、搬送方向に垂直な幅方向(図1中のX方向)に配列された複数の吐出口から、移動中の基材9に向けてインクの微小液滴を吐出する。
搬送機構21では、それぞれが幅方向に長い複数のローラ211が搬送方向に配列される。複数のローラ211の(−Y)側には、印刷前の基材9のロールを保持するとともに当該ロールから基材9を搬送方向に送り出す供給部212が設けられる。複数のローラ211の(+Y)側には、基材9の印刷が行われた部位をロール状に巻き取って保持する巻取部213が設けられる。以下の説明では、単に基材9という場合は搬送途上の基材9(すなわち、複数のローラ211上の基材9)を意味するものとする。搬送機構21の一のローラ211aにはエンコーダ29が設けられ、エンコーダ29からのパルス信号に基づいて基材9の搬送方向における移動速度が取得される。
図2は吐出ユニット3を示す底面図である。吐出ユニット3は、それぞれが互いに異なる色のインクを基材9に向けて吐出する複数(本実施の形態では、4個)のヘッド31を備え、これらのヘッド31は同様の構造を有する。複数のヘッド31は搬送方向に配列されて吐出ユニット3の取付部30に取り付けられる。各ヘッド31は幅方向に配列される複数の吐出口を有し、各吐出口から基材9に向けてインクの微小液滴が吐出されることにより基材9上に当該インクのドットが形成される。なお、複数の吐出口は、必ずしもX方向に配列される必要はなく、搬送方向に対して交差する方向に配列されていればよい。
図2中の最も(−Y)側のヘッド31はK(ブラック)の色のインクを吐出し、Kのヘッド31の(+Y)側のヘッド31はC(シアン)の色のインクを吐出し、Cのヘッド31の(+Y)側のヘッド31はM(マゼンタ)の色のインクを吐出し、最も(+Y)側のヘッド31はY(イエロー)の色のインクを吐出する。なお、吐出ユニット3では、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト等の他の色用のインクジェットヘッド等も設けられてよい。
画像記録装置1では、X方向に関し、各ヘッド31が基材9上の記録領域の全体に亘って(本実施の形態では、基材9のX方向の幅全体に亘って)設けられる。そして、本体制御部4により吐出ユニット3と搬送機構21とが制御され、基材9が、吐出ユニット3の複数のヘッド31に対向する位置を1回だけ通過することにより、基材9への画像の記録が完了する。換言すれば、画像記録装置1では、基材9に対するシングルパス印刷が行われる。
コンピュータ5は、図3に示すように、各種演算処理を行うCPU51、基本プログラムを記憶するROM52および各種情報を記憶するRAM53をバスラインに接続した一般的なコンピュータシステムの構成となっている。バスラインにはさらに、カラーの入力画像のデータを記憶する画像メモリ54、情報記憶を行う固定ディスク55、各種情報の表示を行うディスプレイ56、操作者からの入力を受け付けるキーボード57aおよびマウス57b、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体81から情報の読み取りを行ったり記録媒体81に情報の書き込みを行う読取/書込装置58、並びに、本体制御部4と通信を行う通信部59が、適宜、インターフェイス(I/F)を介する等して接続される。
コンピュータ5には、事前に読取/書込装置58を介して記録媒体81からプログラム810が読み出され、固定ディスク55に記憶される。そして、プログラム810がRAM53にコピーされるとともにCPU51がRAM53内のプログラムに従って演算処理を実行することにより(すなわち、コンピュータがプログラムを実行することにより)、コンピュータ5が、後述の画像演算部しての処理を行う。
図4は、コンピュータ5により実現される画像演算部6の機能構成を示すブロック図であり、図4では、本体制御部4における網点画像生成部41も図示している。画像演算部6は、細らせ処理部60および記憶部64を有し、細らせ処理部60は、収縮処理部61、骨格化処理部62および統合部63を有する。画像演算部6および網点画像生成部41の処理の詳細については後述する。なお、画像演算部6および網点画像生成部41の機能は専用の電気回路により構築されてもよく、部分的に専用の電気回路が利用されてもよい。
次に、画像記録装置1が基材9上に画像を記録する動作の流れについて図5を参照しつつ説明する。画像記録では、まず、カラーの入力画像を示す入力画像データ71が記憶部64に記憶されて準備される(ステップS11)。また、入力画像には、文字、記号、線パターン等の線部を多く含む領域(以下、「線画像領域」という。)や、自然画像の領域、あるいは、チント画像の領域等が設けられており、入力画像における線画像領域の位置を示す領域データ72も記憶部64に記憶されて準備される。文字、記号、線パターン等の線部は、一般的にはベクトルデータとして保持されることが多いが、もちろん、ビットマップデータにて保持される場合もある。すなわち、入力画像データ71は、ベクトルデータまたはビットマップデータの少なくとも一方を含むデータである。入力画像データ71および領域データ72は、1つのデータファイル(例えば、PDF(Portable Document Format)形式またはEPS(Encapsulated PostScript)形式のデータファイル)として取り扱われてもよい。この場合、当該データファイルが、入力画像中の各領域の画像データ、および、当該領域の種別および位置を示す属性情報を含む。
続いて、画像演算部6では、入力画像データ71に対してラスタライズ処理が施されて、入力画像を示すカラーのビットマップ画像(のデータ)が生成され、当該ビットマップ画像が色分解されることにより、K、C、M、Yのそれぞれの色成分のビットマップ画像(以下、「対象画像」という。)が取得される(ステップS12)。以下の説明では、K、C、M、Yの4つの色成分に対してそれぞれ準備される対象画像のうち一の色成分の対象画像のみに注目するが、他の色成分の対象画像についても同様の処理が行われる。
図6は、対象画像を示す図であり、線画像領域の一部を示している。既述のように、実際には、対象画像には、自然画像の領域、あるいは、チント画像の領域等も設けられ、対象画像は、例えば0〜255の多階調で表現される。図6の例では、線画像領域における文字、記号、線パターン等の線部に対して最大濃度値(すなわち、100%の濃度(ベタ濃度)を示す濃度値であり、例えば255である。)が付与されている。対象画像が準備されると、収縮処理部61では、対象画像の線画像領域に対して設定画素数を利用した収縮処理(erosion)が施される(ステップS13)。
ここで、設定画素数について説明する。図7は、基材9上に形成される1つのドット91を示す図である。画像記録装置1では、搬送方向(Y方向)および幅方向(X方向)の解像度が予め設定されており、例えば、画像記録装置1における搬送方向および幅方向の解像度が共に1200dpi(dots per inch)にて同じである場合には、搬送方向および幅方向のそれぞれにおいて、1インチ(25.4mm)当たり1200個のドットを配列形成することが可能である。したがって、1つのドットを配置すべき領域を記録画素として、基材9上には複数の記録画素が約21μmのピッチにて2次元に(すなわち、搬送方向および幅方向に)配列設定されている。図7では、複数の記録画素92を細線の矩形にて示している。
図7に示すように、画像記録装置1において基材9上に記録されるドット91(図7中にて平行斜線を付すドット91)は、記録画素92よりも大きい。例えば、ドット91の形状がほぼ円形であり、ドット91の直径(正確には、複数のドット91における直径の平均)が63μmである場合、ドット91が太線の矩形にて示す中央の記録画素92aのエッジから、(+X)方向、(−X)方向、(+Y)方向および(−Y)方向のそれぞれに21μm(1つの記録画素92の幅)だけはみ出す。この場合、設定画素数は1として設定される。また、図8に示すように、ドット91の形状がほぼ円形であり、ドット91の直径が105μmである場合、ドット91が太線の矩形にて示す中央の記録画素92aのエッジから、(+X)方向、(−X)方向、(+Y)方向および(−Y)方向のそれぞれに42μm(2つの記録画素92の幅)だけはみ出す。この場合、設定画素数は2として設定される。ドット91が記録画素92aからはみ出す幅をはみ出し幅として、実際には、搬送方向および幅方向のはみ出し幅が必ずしも記録画素92の幅の整数倍となる訳ではないが、記録画素92の幅に設定画素数を乗じた距離と、ドット91のはみ出し幅との差の絶対値が、記録画素92の幅よりも小さくなる(より好ましくは、記録画素92の幅の半分以下となる)ように、設定画素数が予め決定される。
収縮処理部61における収縮処理では、まず、領域データ72を参照することにより、対象画像中の線画像領域が特定される。続いて、線画像領域において文字、記号、線パターン等の線部を含む前景領域(すなわち、濃度値が0よりも大きい画素の集合)のエッジが特定され、当該エッジから設定画素数に含まれる画素の濃度値がα倍(ただし、αは0以上かつ1未満である。)される。このようにして、収縮処理部61では、線部において、エッジから設定画素数に含まれる画素の濃度値を低下させる収縮処理が対象画像の線画像領域に対して施され、収縮画像が取得される。
本実施の形態では、αが0に設定されており、エッジから設定画素数に含まれる画素の濃度値が、背景領域(すなわち、濃度値が0である画素の集合)と同じになる。したがって、図6の線画像領域に対する収縮処理では、各線部においてエッジから設定画素数に含まれる画素が背景領域に含められ、図9に示す収縮画像が取得される。図6に示す対象画像において比較的太い部位は、図9に示す収縮画像においても比較的太くなり、対象画像において比較的細い部位は、収縮画像においても比較的細くなる。すなわち、収縮画像では、対象画像における線部の幅の大小関係がおよそ維持される。
既述のように、図6の対象画像では、線部に対して最大濃度値(255)が付与されているため、図9の収縮画像においても線部の濃度値が255となる。αが0よりも大きい場合には、エッジから設定画素数に含まれる画素の濃度値が、0よりも大きく、かつ、255未満の値となる。なお、対象画像において線部に対して必ずしも最大濃度値が付与される必要はない。
続いて、骨格化処理部62では、対象画像の線画像領域において線部の芯線を抽出する骨格化処理により当該芯線を示す骨格化画像が取得される(ステップS14)。骨格化処理(skeletonization)では、対象画像の線画像領域における線部(前景領域)の幅が、一定の幅(例えば、1画素または2画素の幅)になるまで細められて骨格化画像が取得される。本実施の形態では、非特許文献2(谷口 慶治,「画像処理工学−基礎編−」,初版,共立出版株式会社,1999年6月10日,p.118−120)の手法により、図10に示す骨格化画像が取得される。
図10に示す骨格化画像における前景領域(図10中の黒い領域)は濃度値(255)を有し、図6の対象画像中の線部の芯線を示す。芯線は、対象画像中の線部のほぼ中心に位置し、かつ、線部の連続性を保持するものであり、その幅が、好ましくは2画素以下(より好ましくは、1画素)である。好ましい骨格化画像では、前景領域の画素が連続することにより、線部の連続性が保持される。なお、骨格化画像では、対象画像における線部の幅の大小関係が失われる。
収縮画像および骨格化画像が取得されると、統合部63では、収縮画像と骨格化画像とを統合(合成)することにより処理済み画像が取得される(ステップS15)。本実施の形態では、収縮画像の各画素の濃度値と、骨格化画像の対応する画素の濃度値との論理和(OR)を、当該画素の位置の濃度値とする論理和画像が取得され、対象画像中の線画像領域が当該論理和画像に置き換えられて処理済み画像が取得される。
図11は、処理済み画像における線画像領域の一部(すなわち、論理和画像の一部)を示す図である。上記ステップS13〜S15の処理により、細らせ処理部60では、対象画像に対して細らせ処理が施され、処理済み画像が取得される。処理済み画像のデータは、網点画像生成部41に出力され、処理済み画像に対して網掛け処理が施される。これにより、基材9上の複数の記録画素92へのドット形成の要否を示す網点画像(のデータ)が生成される(ステップS16)。網点画像は、例えば、網点画像生成部41にて閾値マトリクスを記憶しておき、処理済み画像の各画素の値を閾値マトリクスの対応する閾値と比較することにより生成される。網点画像は、誤差拡散法等の他の網掛け処理により生成されてもよい。
網点画像が生成されると(または、網点画像の生成に並行して)、画像記録部11では、搬送機構21による基材9の移動が開始される。そして、本体制御部4が網点画像のデータに従って、ヘッド31からのインクの吐出制御を行うことにより、基材9上に画像が記録される(ステップS17)。実際には、K、C、M、Yの4つの色成分の網点画像に従って、K、C、M、Yの4つのヘッド31がそれぞれ制御される。網点画像の全体が基材9上に記録されると、基材9の移動が停止され、画像記録装置1における画像記録動作が完了する。
ここで、画像記録装置1において細らせ処理部60を省略した比較例の画像記録装置を想定する。比較例の画像記録装置では、対象画像から処理済み画像を生成することなく、対象画像に対して網掛け処理を施すことにより網点画像が生成される。当該網点画像に従って基材上に画像を記録すると、ドット91が記録画素92のエッジからはみ出す影響により(図7および図8参照)、基材上の画像において線部が所望の幅よりも太ってしまう。したがって、図12に示すように、文字や記号の一部が潰れて、文字や記号を容易に判別することができなくなったり、別のものとして誤って判別される虞がある。
また、画像記録装置1において骨格化処理部62を省略した他の比較例の画像記録装置を想定する場合、対象画像の線画像領域を収縮画像にて置き換えた画像に対して網掛け処理を施すことにより網点画像が生成される。既述のように、収縮処理では、対象画像の各線部においてエッジから設定画素数に含まれる画素が背景領域に含められるため、当該他の比較例の画像記録装置により基材上に記録される画像では、ドット91が記録画素92のエッジからはみ出す影響による線部の太りが抑制される。また、既述のように、収縮画像では、対象画像における線部の幅の大小関係がおよそ維持される。
しかしながら、図6の対象画像において符号701を付して示す「e」が、図9の収縮画像では、符号711を付して示すように、横方向に伸びる線部がおよそ欠落して「c」のようになる。図6の対象画像において符号702を付して示す「t」が、図9の収縮画像では、符号712を付して示すように、横方向に伸びる線部がおよそ欠落して「t」として認識されにくい形状になる。したがって、収縮画像から生成される網点画像に従って記録される画像においても、文字、記号、線パターン等を容易に判別することができなくなったり、別のものとして誤って判別される虞があり、文字、記号、線パターン等の可読性が損なわれてしまう。
これに対し、画像記録装置1では、収縮画像を取得する収縮処理部61に加えて、線部の芯線を示す骨格化画像を取得する骨格化処理部62が設けられ、収縮画像と骨格化画像とを統合することにより処理済み画像が取得される。図10中に符号721,722を付して示すように、骨格化画像では、「e」および「t」において横方向に伸びる線部が残存するため、図11の処理済み画像においても、符号731,732を付して示すように「e」および「t」において横方向に伸びる線部が残存する。これにより、画像記録装置1では、基材9上に記録した画像において文字、記号、線パターン等の可読性を容易に向上することができる。
また、画像記録装置1では、ドット91の記録画素92に対するはみ出し幅と、設定画素数に対応する基材9上の距離との差が、記録画素92の幅よりも小さいため、基材9上の画像の線部を適切に(すなわち、およそ対象画像に応じた幅に)細らせることができる。比較例の画像記録装置にて記録した図12と同じ文字を、画像記録装置1にて記録した場合には、文字が潰れることが抑制され、図13に示すように、高い可読性が確保される。また、基材9上の画像では、対象画像における線部の幅の大小関係も維持され、文字、記号、線パターン等を高品質にて記録することが実現される。
ところで、画像記録装置1の解像度によっては、基材9上の画像においてドット間に数画素(記録画素)分の隙間があっても、観察者においてドットが連続していると認識される(すなわち、隙間が認識されない)場合がある。したがって、骨格化画像では、前景領域の画素が必ずしも連続する必要はなく、上記のように、観察者においてドット間の隙間が認識されない範囲にて、前景領域の画素が間隔を空けて配置される場合も、線部の連続性が保持されていると捉えることができる。
次に、画像記録装置1の他の例について説明する。画像記録装置1では、例えば、図7中にて二点鎖線にて示すように、ドット91の形状が搬送方向(Y方向)に長くなることがある。また、図14に示すように、画像記録装置1の解像度が幅方向(X方向)と搬送方向とで相違する、すなわち、記録画素92の幅がX方向とY方向とで相違する場合もある。上記のような場合、収縮処理部61にて利用される設定画素数が、対象画像の行方向および列方向で個別に設定される。具体的には、記録画素92のX方向の幅に設定画素数を乗じた距離と、X方向におけるドット91のはみ出し幅との差の絶対値が、記録画素92のX方向の幅よりも小さくなる(より好ましくは、当該幅の半分以下となる)ように、X方向に対応する行方向の設定画素数が決定される。また、記録画素92のY方向の幅に設定画素数を乗じた距離と、Y方向におけるドット91のはみ出し幅との差の絶対値が、記録画素92のY方向の幅よりも小さくなる(より好ましくは、当該幅の半分以下となる)ように、Y方向に対応する列方向の設定画素数が決定される。
収縮処理部61では、対象画像中の線部において、行方向に関してエッジから行方向の設定画素数に含まれる画素の濃度値を低下させ、かつ、列方向に関してエッジから列方向の設定画素数に含まれる画素の濃度値を低下させる収縮処理が実行される。これにより、行方向および列方向において個別の設定画素数に従って線部が収縮された収縮画像が取得される。そして、当該収縮画像と、骨格化処理部62にて取得される骨格化画像とを統合することにより、処理済み画像が取得される。
以上のように、他の例に係る画像記録装置1では、設定画素数が、対象画像の行方向および列方向に個別に設定可能とされ、行方向および列方向のそれぞれに対応する基材9上の方向に関して、ドット91のはみ出し幅と、設定画素数に対応する基材9上の距離との差が、記録画素92の幅よりも小さい。これにより、基材9上に記録した画像において文字、記号、線パターン等の可読性をさらに向上することができる。
上記画像記録装置1は様々な変形が可能である。例えば、細らせ処理部60における処理済み画像の生成が、特定の色成分(例えば、線部の欠落が特に目立ちやすいKの色成分)の対象画像のみに対して行われてもよい。
対象画像において、文字、記号、線パターン等の線部が白抜きにて表現される場合には、白い領域が前景領域であり、有色の領域が背景領域であると捉えられる。この場合に、記録画素に対するドットの広がりを考慮すると、白い前景領域を太らせる、すなわち、有色の背景領域を細らせることが好ましく、上記と同様の細らせ処理が適用可能である。
画像記録装置1では、細らせ処理部60が領域データ72を参照することにより、対象画像における線画像領域のみに対して細らせ処理を施すことが容易に実現されるが、対象画像が文字、記号、線パターン等の線画像のみを含む場合等には、領域データ72を利用することなく、対象画像の全体に対して細らせ処理が施されてもよい。また、線画像領域のうち特に幅の狭い線部を含む領域を示す領域データ72が準備されてもよく、この場合、対象画像において当該領域のみに対して細らせ処理が施される。さらに、任意の濃度範囲の画像領域を示す領域データが準備され、当該画像領域のみに対して細らせ処理が施されてもよい。
画像記録装置1において、複数種類のサイズのドットが形成可能である場合には、線画像領域において多用されるサイズのドットが記録画素からはみ出す幅に応じて設定画素数が決定されることが好ましい。また、複数の線画像領域において主として使用されるドットのサイズが相違する場合等には、線画像領域毎に設定画素数が設定されてよい。
画像記録装置1では、カット紙等の所定サイズの基材に対して画像が記録されてよい。また、吐出ユニット3が基材に対してY方向に移動してもよい。すなわち、基材は吐出ユニット3に対して相対的に移動すればよい。
画像記録装置は、インクジェット方式の装置以外に、例えば、電子写真方式の装置であってもよい。電子写真方式の画像記録装置では、感光体ドラム、感光体ドラムに静電潜像を形成するヘッド、静電潜像をトナーにて現像する現像部、感光体ドラム上のトナー画像を基材上に転写する転写部等が、画像記録部である。この場合、網点画像に従って感光体ドラムに静電潜像が形成されるが、当該静電潜像はトナーにて現像されて当該トナーが基材上に転写されるため、インクジェット方式の画像記録装置1と同様に、基材において複数の記録画素が配列設定されていると捉えることができる。
また、画像記録装置が、CTP(Computer To Plate)またはイメージセッタと、各種印刷機(オフセット印刷機、フレキソ印刷機、レタープレス印刷機、グラビア印刷機等)との組合せとして捉えられてもよい。この場合、フィルムまたは刷版に画像を記録する構成、および、刷版を用いて印刷用紙等の基材上に画像を記録する構成(印刷機)が画像記録部であり、制御部によりこれらの構成が制御される。
画像記録装置1では、細らせ処理部60が1つの構成要素として設けられるが、細らせ処理部60の機能は、画像記録装置1とは別に設けられたコンピュータが、プログラム810を実行することにより実現されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1 画像記録装置
4 本体制御部
5 コンピュータ
9 基材
11 画像記録部
41 網点画像生成部
60 細らせ処理部
61 収縮処理部
62 骨格化処理部
63 統合部
72 領域データ
91 ドット
92,92a 記録画素
810 プログラム
S13〜S17 ステップ

Claims (9)

  1. 画像記録装置であって、
    複数の記録画素が2次元に配列設定された基材上に、記録画素よりも大きいドットを形成する画像記録部と、
    対象画像に対して細らせ処理を施すことにより、処理済み画像を取得する細らせ処理部と、
    前記処理済み画像から、前記複数の記録画素へのドット形成の要否を示す網点画像を生成する網点画像生成部と、
    前記網点画像に従って前記画像記録部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記細らせ処理部が、
    前記対象画像中の線部において、エッジから設定画素数に含まれる画素の濃度値を低下させる収縮処理を施すことにより収縮画像を取得する収縮処理部と、
    前記対象画像中の前記線部の芯線を示す骨格化画像を取得する骨格化処理部と、
    前記収縮画像と前記骨格化画像とを統合することにより前記処理済み画像を取得する統合部と、
    を備え、
    前記ドットが前記記録画素からはみ出す幅をはみ出し幅として、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さいことを特徴とする画像記録装置。
  2. 請求項1に記載の画像記録装置であって、
    前記細らせ処理部が、前記対象画像において前記線部を含む線画像領域を示す領域データを参照することにより、前記対象画像における前記線画像領域のみに対して前記細らせ処理を施すことを特徴とする画像記録装置。
  3. 請求項1または2に記載の画像記録装置であって、
    前記設定画素数が、前記対象画像の行方向および列方向に個別に設定可能であり、
    前記行方向および前記列方向のそれぞれに対応する前記基材上の方向に関して、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さいことを特徴とする画像記録装置。
  4. 画像記録装置における画像記録方法であって、
    前記画像記録装置が、
    複数の記録画素が2次元に配列設定された基材上に、記録画素よりも大きいドットを形成する画像記録部を備え、
    前記画像記録方法が、
    a)対象画像に対して細らせ処理を施すことにより、処理済み画像を取得する工程と、
    b)前記処理済み画像から、前記複数の記録画素へのドット形成の要否を示す網点画像を生成する工程と、
    c)前記網点画像に従って前記画像記録部を制御する工程と、
    を備え、
    前記a)工程が、
    前記対象画像中の線部において、エッジから設定画素数に含まれる画素の濃度値を低下させる収縮処理を施すことにより収縮画像を取得する工程と、
    前記対象画像中の前記線部の芯線を示す骨格化画像を取得する工程と、
    前記収縮画像と前記骨格化画像とを統合することにより前記処理済み画像を取得する工程と、
    を備え、
    前記ドットが前記記録画素からはみ出す幅をはみ出し幅として、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さいことを特徴とする画像記録方法。
  5. 請求項4に記載の画像記録方法であって、
    前記a)工程において、前記対象画像において前記線部を含む線画像領域を示す領域データを参照することにより、前記対象画像における前記線画像領域のみに対して前記細らせ処理が施されることを特徴とする画像記録方法。
  6. 請求項4または5に記載の画像記録方法であって、
    前記設定画素数が、前記対象画像の行方向および列方向に個別に設定可能であり、
    前記行方向および前記列方向のそれぞれに対応する前記基材上の方向に関して、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さいことを特徴とする画像記録方法。
  7. 画像記録装置にて利用される処理済み画像をコンピュータに取得させるプログラムであって、
    前記画像記録装置が、
    複数の記録画素が2次元に配列設定された基材上に、記録画素よりも大きいドットを形成する画像記録部と、
    前記処理済み画像から、前記複数の記録画素へのドット形成の要否を示す網点画像を生成する網点画像生成部と、
    前記網点画像に従って前記画像記録部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
    a)対象画像中の線部において、エッジから設定画素数に含まれる画素の濃度値を低下させる収縮処理を施すことにより収縮画像を取得する工程と、
    b)前記対象画像中の前記線部の芯線を抽出する骨格化処理により、前記芯線を示す骨格化画像を取得する工程と、
    c)前記収縮画像と前記骨格化画像とを統合することにより前記処理済み画像を取得する工程と、
    を実行させ、
    前記ドットが前記記録画素からはみ出す幅をはみ出し幅として、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さいことを特徴とするプログラム。
  8. 請求項7に記載のプログラムであって、
    前記a)およびb)工程において、前記対象画像において前記線部を含む線画像領域を示す領域データを参照することにより、前記対象画像における前記線画像領域のみに対して前記収縮処理および前記骨格化処理が施されることを特徴とするプログラム。
  9. 請求項7または8に記載のプログラムであって、
    前記設定画素数が、前記対象画像の行方向および列方向に個別に設定可能であり、
    前記行方向および前記列方向のそれぞれに対応する前記基材上の方向に関して、前記はみ出し幅と、前記設定画素数に対応する前記基材上の距離との差が、前記記録画素の幅よりも小さいことを特徴とするプログラム。
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