以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る冷水及び乾燥冷風生成装置の一例として、野菜を洗浄する冷水と洗浄後の野菜等の乾燥に用いられる乾燥冷風とを生成する冷水及び乾燥冷風生成装置について説明する。
《発明の実施形態1》
本実施形態1の冷水及び乾燥冷風生成装置(10)は、空気を冷却除湿した後に加熱して所望の状態(温度、湿度)の乾燥冷風を生成すると共に冷却コイルに付着した霜の冷熱を利用して冷水を生成するものである。
図1に示すように、冷水及び乾燥冷風生成装置(10)は、ケーシング(11)と、ブライン回路(30)と、温水回路(40)と、冷媒回路(50)を有するチラー(55)と、コントローラ(60)とを備えている。ケーシング(11)には、ブライン回路(30)に接続された第1及び第2冷却コイル(21,22)と、温水回路(40)に接続された加熱コイル(23)と、送風ファン(24)とが収容されている。ブライン回路(30)、温水回路(40)、チラー(55)及びコントローラ(60)の詳細については後述する。
ケーシング(11)は、直方体形状の箱状に形成され、前後方向(図1では、上下方向)の長さと幅方向(図1では、左右方向)の長さが略等しくなるように形成されている。ケーシング(11)は、左右側板の前端部のそれぞれに空気の吸込口(12)が形成される一方、後板の左側に吹出口(13)が形成されている。
ケーシング(11)内は、仕切板(15)によって、前後方向に2つの空間、即ち、吸込口(12)側の冷却空間(S10)と吹出口(13)側の加熱空間(S20)とに仕切られている。また、仕切板(15)の右側には、冷却空間(S10)と加熱空間(S20)とを連通させる連通孔(15a)が形成されている。
冷却空間(S10)は、幅方向に延びる区画板(71)によって前後に並ぶ2つの空間が形成されている。前後に並ぶ2つの空間の前側部分は、左右に配置された2つの区画板(72,73)によって3つの空気の通路、即ち、第1冷却通路(5)と接続通路(6)と第2冷却通路(7)とに区画されている。具体的には、左側の区画板(72)は、ケーシング(11)の左側板に沿って前後方向に延び、左側板との間に第1冷却通路(5)を区画している。一方、右側の区画板(73)は、ケーシング(11)の右側板に沿って前後方向に延び、右側板との間に第2冷却通路(7)を区画している。また、左側の区画板(72)及び右側の区画板(73)は、互いの間に接続通路(6)を区画している。一方、区画板(71)によって前後に仕切られた後側部分は、空間全体が単一の導出通路(8)に構成されている。
第1冷却通路(5)には、第1冷却コイル(21)が幅方向に延びて前後方向に空気を通過させるように配置されている。また、第1冷却通路(5)には、ケーシング(11)の左側板に形成された吸込口(12)が対応している。一方、第2冷却通路(7)には、第2冷却コイル(22)が幅方向に延びて前後方向に空気を通過させるように配置されている。第2冷却通路(7)には、ケーシング(11)の右側板に形成された吸込口(12)が対応している。
ケーシング(11)の左側板及び右側板に形成された吸込口(12)には、それぞれ開閉式のダンパ(74,75)が設けられている。具体的には、第1冷却通路(5)には第1導入ダンパ(74)が設けられ、第2冷却通路(7)には第2導入ダンパ(75)が設けられている。また、前後方向に延びる2枚の区画板(72,73)には、それぞれに開閉式のダンパ(76a,76b,77a,77b)が2つずつ設けられている。左側の区画板(72)には、第1冷却コイル(21)の前側に第1導入ダンパ(76a)が設けられ、後側に第1導出ダンパ(76b)が設けられている。一方、右側の区画板(73)には、第2冷却コイル(22)の前側に第2導入ダンパ(77a)が設けられ、後側に第2導出ダンパ(77b)が設けられている。さらに、幅方向に延びる区画板(71)には、第1冷却通路(5)に対応する位置に第1後方導出ダンパ(78)が設けられ、第2冷却通路(7)に対応する位置に第2後方導出ダンパ(79)が設けられている。
詳細については後述するが、運転の際には、コントローラ(60)によって、第2導入ダンパ(75)と第2導出ダンパ(77b)と第1導入ダンパ(76a)と第1後方導出ダンパ(78)とが開く一方、第1導入ダンパ(74)と第1導出ダンパ(76b)と第2導入ダンパ(77a)と第2後方導出ダンパ(79)とが閉じる第1開閉状態(図1参照)と、第1導入ダンパ(74)と第1導出ダンパ(76b)と第2導入ダンパ(77a)と第2後方導出ダンパ(79)とが開く一方、第2導入ダンパ(75)と第2導出ダンパ(77b)と第1導入ダンパ(76a)と第1後方導出ダンパ(78)とが閉じる第2開閉状態(図2参照)に切り換えられる。第1開閉状態では、ケーシング(11)の外部と第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分とが連通し、第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の後側部分と接続通路(6)とが連通し、接続通路(6)と第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。一方、第2開閉状態では、ケーシング(11)の外部と第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の後側部分と接続通路(6)とが連通し、接続通路(6)と第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分とが連通し、第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。
また、導出通路(8)には、仕切板(15)の連通孔(15a)付近に、冷却空間(S10)から加熱空間(S20)へ流れる空気の温度を検出する第1温度センサ(61)が設けられている。第1温度センサ(61)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。
加熱空間(S20)は、空間全体が単一の加熱通路(9)に構成されている。加熱通路(9)には、加熱コイル(23)と送風ファン(24)とが設けられている。加熱コイル(23)は、仕切板(15)の連通孔(15a)に対応するように設けられ、ケーシング(11)の幅方向に延びて前後方向に空気を通過させるように配置されている。一方、送風ファン(24)は、加熱コイル(23)と吹出口(13)との間に設けられ、加熱コイル(23)を通過した加熱通路(9)の空気を吸い込んで吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出するように構成されている。
また、加熱通路(9)の加熱コイル(23)と送風ファン(24)との間には、加熱コイル(23)通過後の空気の温度を検出する第2温度センサ(62)が設けられている。第2温度センサ(62)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。
上述のように、上記ケーシング(11)内には、第1冷却通路(5)、接続通路(6)、第2冷却通路(7)、導出通路(8)及び加熱通路(9)が形成されている。これらの通路(5〜9)は、ケーシング(11)内に形成されて空気の流通経路が切換可能な空気流れを形成する空気通路を構成している。
〈ブライン回路〉
上記ブライン回路(30)は、熱媒体としてのブラインを流通させる冷却用流路(31)及び循環流路(32)と、循環流路(32)のブラインと系外から導入された水とを熱交換させて冷水を生成する水熱交換器(91)と、水熱交換器(91)に流入する循環流路(32)のブラインを冷却用流路(31)のブラインによって冷却する冷却機構(92)とを有している。
冷却用流路(31)及び循環流路(32)は、2つに分岐した流入端(第1及び第2流入端)及び流出端(第1及び第2流出端)をそれぞれ有している。冷却用流路(31)の合流部分には、ポンプ(33)と後述する冷媒回路(50)の吸熱器(54)とが接続され、循環流路(32)の合流部分にはポンプ(34)が接続されている。
冷却用流路(31)及び循環流路(32)の第1流出端は、それぞれ第1流入側三方弁(35)を介して第1冷却コイル(21)の流入端に接続されている。具体的には、第1流入側三方弁(35)の第1ポートに冷却用流路(31)の第1流出端が接続され、第2ポートに循環流路(32)の第1流出端が接続され、第3ポートに第1冷却コイル(21)の流入端が接続されている。一方、冷却用流路(31)及び循環流路(32)の第2流出端は、それぞれ第2流入側三方弁(36)を介して第2冷却コイル(22)の流入端に接続されている。具体的には、第2流入側三方弁(36)の第1ポートに冷却用流路(31)の第2流出端が接続され、第2ポートに循環流路(32)の第2流出端が接続され、第3ポートに第2冷却コイル(22)の流入端が接続されている。
冷却用流路(31)及び循環流路(32)の第1流入端は、それぞれ第1流出側三方弁(37)を介して第1冷却コイル(21)の流出端に接続されている。具体的には、第1流出側三方弁(37)の第1ポートに冷却用流路(31)の第1流入端が接続され、第2ポートに循環流路(32)の第1流入端が接続され、第3ポートに第1冷却コイル(21)の流出端が接続されている。一方、冷却用流路(31)及び循環流路(32)の第2流入端は、それぞれ第2流出側三方弁(38)を介して第2冷却コイル(22)の流出端に接続されている。具体的には、第2流出側三方弁(38)の第1ポートに冷却用流路(31)の第2流入端が接続され、第2ポートに循環流路(32)の第2流入端が接続され、第3ポートに第2冷却コイル(22)の流出端が接続されている。
上記4つの三方弁(35,36,37,38)は、第1ポートと第3ポートとが連通し且つ第2ポートが閉鎖される第1状態と、第2ポートと第3ポートとが連通し且つ第1ポートが閉鎖される第2状態とに切り換わるように構成されている。後述する運転では、コントローラ(60)によって、第1流入側三方弁(35)及び第1流出側三方弁(37)が第1状態に切り換えられ且つ第2流入側三方弁(36)及び第2流出側三方弁(38)が第2状態に切り換えられる第1流通状態(図1参照)と、第1流入側三方弁(35)及び第1流出側三方弁(37)が第2状態に切り換えられ且つ第2流入側三方弁(36)及び第2流出側三方弁(38)が第1状態に切り換えられる第2流通状態(図2参照)とに切り換えられる。第1流通状態では、第1冷却コイル(21)が冷却用流路(31)に接続され且つ第2冷却コイル(22)が循環流路(32)に接続される。一方、第2流通状態では、第2冷却コイル(22)が冷却用流路(31)に接続され且つ第1冷却コイル(21)が循環流路(32)に接続される。
このような構成により、冷却用流路(31)は、4つの三方弁(35,36,37,38)の切り換えによって第1及び第2冷却コイル(21,22)が交互に接続され、接続された第1及び第2冷却コイル(21,22)に通過空気を冷却除湿するための熱媒体としてのブラインを供給する。一方、循環流路(32)は、4つの三方弁(35,36,37,38)の切り換えによって第1及び第2冷却コイル(21,22)のうちの冷却用流路(31)に接続された冷却側コイルの他方の非冷却側コイルに接続されてブラインを循環させる。
また、本実施形態では、冷却用流路(31)のポンプ(33)の吸入側と循環流路(32)のポンプ(34)の吸入側との間に余剰のブラインを収容する膨張タンク(39)が接続されている。
水熱交換器(91)は、シェル・アンド・チューブ型の熱交換器に構成され、チューブが循環流路(32)のポンプ(34)の下流側に接続されている。水熱交換器(91)のシェルには、水を供給する給水管(91a)と熱交換後の冷水を取出管(91b)とが接続されている。水熱交換器(91)のシェルには、給水管(91a)を介して系外の水、具体的には上水又は被冷却物に対して吸熱した後の冷水が供給され、チューブ内を流れる循環流路(32)のブラインと熱交換して冷却される。循環流路(32)と水熱交換器(91)とが、第1及び第2冷却コイル(21,22)のうちの非冷却側コイルに付着した霜と系外から導入された水との間において熱交換を行わせることにより、冷水を生成すると共に非冷却側コイルの除霜を行う熱交換手段(90)を構成している。
冷却機構(92)は、冷却用流路(31)と循環流路(32)とに接続された第1及び第2接続管(93,94)と、三方弁(95)と、ブライン温度センサ(96)とを有している。
第1接続管(93)は、一端が冷却用流路(31)の吸熱器(54)の下流側に接続され、他端が循環流路(32)のポンプ(34)の吸入側に設けられた三方弁(95)の第2ポートに接続されている。一方、第2接続管(94)は、一端が冷却用流路(31)のポンプ(33)の吸入側に接続され、他端が循環流路(32)の三方弁(95)の上流側、即ち、第1接続管(93)の上流側に接続されている。三方弁(95)は、循環流路(32)のポンプ(34)の吸入側において、第1ポートが上流側に接続され、第3ポートが下流側に接続されている。上述のように、第2ポートには第1接続管(93)が接続されている。
三方弁(95)は、第1ポート及び第2ポートから流入したブラインが第3ポートから排出されるように構成されている。また、三方弁(95)は、例えば、ダイヤフラム三方弁によって構成され、コントローラ(60)によって第1ポートから第3ポートへ向かう流路と第2ポートから第3ポートへ向かう流路との断面積の比率が調整されることにより、冷却用流路(31)から循環流路(32)に流入するブラインの流量が調節されるように構成されている。
ブライン温度センサ(96)は、循環流路(32)のポンプ(34)と水熱交換器(91)との間において、ブラインの温度を検出するように構成されている。ブライン温度センサ(96)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。
〈温水回路〉
上記温水回路(40)には、冷却装置(41)と、ポンプ(42)と、後述する冷媒回路(50)の放熱器(52)とが接続されている。温水回路(40)では、ポンプ(42)により、熱媒体としての温水が冷却装置(41)と放熱器(52)との間を循環するように構成されている。冷却装置(41)は、本実施形態では、内部空間に設けられた充填材に温水回路(40)の温水を散布する一方、ファンによって外部から空気を取り込んで充填材を通過する空気流れを形成し、充填材において温水と空気とを接触させて温水の一部を蒸発させ、その蒸発潜熱によって残りの温水が冷却される開放式の冷却塔によって構成されている。なお、冷却装置(41)は、温水回路(40)の温水を管の内部に流通させて管の外部を通過する空気によって冷却する空冷式の熱交換器であってもよく、管の内部に温水回路(40)の温水を流通させる一方、管の外部に散水し、散布された水の蒸発潜熱によって管の内部の温水を冷却する密閉式の冷却塔であってもよい。本実施形態では、放熱器(52)において温水回路(40)の温水が冷媒回路(50)の高圧冷媒によって37℃程度まで加熱される一方、冷却装置(41)において温水が32℃程度まで冷却される。
また、温水回路(40)の冷却装置(41)と放熱器(52)との間であってポンプ(42)と逆側には、加熱コイル(23)が並列に接続されている。具体的には、加熱コイル(23)の流入端が放熱器(52)側に接続され、流出端が加熱側三方弁(43)を介して冷却装置(41)側に接続されている。加熱側三方弁(43)は、温水回路(40)の冷却装置(41)と放熱器(52)との間であって加熱コイル(23)の流入端の接続部分よりも下流側の部分において、第1ポートが上流側に接続され、第3ポートが下流側に接続されている。そして、加熱コイル(23)の流出端は、加熱側三方弁(43)の第2ポートに接続されている。加熱側三方弁(43)は、第1ポート及び第2ポートから流入した温水が第3ポートから排出されるように構成されている。また、加熱側三方弁(43)は、例えば、ダイヤフラム三方弁によって構成され、後述するコントローラ(60)によって第1ポートから第3ポートへ向かう流路と第2ポートから第3ポートへ向かう流路との断面積の比率が調整されることにより、温水回路(40)から加熱コイル(23)に流入する温水の流量が調節されるように構成されている。
〈チラー〉
上記チラー(55)は、上述のように冷媒回路(50)を有し、冷却用流路(31)のブラインを冷却する一方、温水回路(40)の温水を加熱するように構成されている。具体的には、冷媒回路(50)は、圧縮機(51)と、放熱器(52)と、膨張弁(膨張機構)(53)と、吸熱器(54)とが、順に冷媒配管によって接続され、冷媒が循環するように構成されている。圧縮機(51)は、冷媒を高圧圧力状態となるまで圧縮するように構成されている。放熱器(52)は、圧縮機(51)から吐出された高圧冷媒と温水回路(40)の温水とを熱交換させるように構成されている。膨張弁(53)は、開度が調節可能に構成され、放熱器(52)から流出した高圧冷媒を減圧して所望の低圧圧力状態にするように構成されている。吸熱器(54)は、ブライン回路(30)の冷却用流路(31)のブラインと膨張弁(53)において減圧された低圧冷媒とを熱交換させるように構成されている。
冷媒回路(50)の吸熱器(54)の出口側には、ブラインの温度を検出する第3温度センサ(63)が設けられている。第3温度センサ(63)は、検出値をコントローラ(60)に入力するように構成されている。また、本実施形態では、コントローラ(60)により、第3温度センサ(63)の検出値、即ち、吸熱器(54)を通過した冷却用流路(31)のブラインの温度が−10℃となるように圧縮機(51)の回転速度及び膨張弁(53)の開度が調節される。
〈コントローラ〉
上記コントローラ(60)は、各種構成機器の動作を制御して冷水及び乾燥冷風を生成する運転を実行するように構成されている。また、コントローラ(60)は、冷水及び乾燥冷風を生成する運転において、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて、第1動作と第2動作とを交互に実行するように構成されている。具体的には、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第1流通状態となるように切り換えると共に、8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)を第1開閉状態となるように切り換えて第1動作を実行するように構成されている。一方、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第2流通状態となるように切り換えると共に、8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)を第2開閉状態となるように切り換えて第2動作を実行するように構成されている。
また、コントローラ(60)は、第2温度センサ(62)の検出値が所望の温度(2℃)となるように、加熱側三方弁(43)を調整して温水回路(40)から加熱コイル(23)に流入する温水の流量を調節するように構成されている。
また、コントローラ(60)は、第3温度センサ(63)の検出値が−10℃となるように圧縮機(51)の回転速度及び膨張弁(53)の開度を調節するように構成されている。また、コントローラ(60)は、ブライン温度センサ(96)の検出値が0℃となるように三方弁(95)を調整するように構成されている。
さらに、コントローラ(60)は、ブライン温度センサ(96)の検出値が0℃となるように三方弁(95)を調整するように構成されている。つまり、コントローラ(60)は、水熱交換器(91)において水を冷却するブラインの温度が0℃となるように、冷却用流路(31)から循環流路(32)へ流れるブラインの流量を調整するように構成されている。
−運転動作−
冷水及び乾燥冷風生成装置(10)の運転動作について説明する。なお、以下では、運転動作の一例として、相対湿度65%、温度5℃の空気を、冷却除湿した後に加熱して相対湿度40%、温度2℃の冷水及び乾燥冷風を生成する運転について説明する。
コントローラ(60)は、送風ファン(24)、ポンプ(33,34,42)、冷却装置(41)のファン及び圧縮機(51)を起動し、4つの三方弁(35,36,37,38)と4つのダンパ(18a,18b,19a,19b)とを切り換えて、第1動作(図1参照)と第2動作(図2参照)とを交互に実行する。具体的には、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第1流通状態となるように切り換えると共に8つのダンパ(74〜79)を第1開閉状態となるように切り換えて第1動作を実行する一方、4つの三方弁(35,36,37,38)を第2流通状態となるように切り換えると共に8つのダンパ(74〜79)を第2開閉状態となるように切り換えて第2動作を実行する。
送風ファン(24)の起動により、ケーシング(11)内には、吸込口(12)から相対湿度65%、温度5℃の空気が取り込まれ、第2冷却通路(7)、接続通路(6)、第1冷却通路(5)、導出通路(8)、加熱通路(9)の順、又は、第1冷却通路(5)、接続通路(6)、第2冷却通路(7)、導出通路(8)、加熱通路(9)の順に流通する。
具体的には、第1動作では、8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)が第1開閉状態となるように切り換えられ、ケーシング(11)の外部と第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分とが連通し、第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の後側部分と接続通路(6)とが連通し、接続通路(6)と第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。これにより、ケーシング(11)内に流入した空気は、第2冷却通路(7)、接続通路(6)、第1冷却通路(5)、導出通路(8)、加熱通路(9)の順に流通する。具体的には、ケーシング(11)の外部の空気が、吸込口(12)に設けられた第2導入ダンパ(75)を介して第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分に流入する。第2冷却通路(7)に流入した空気は、前側から後側へ向かって流通して第2冷却コイル(22)を通過した後、第2導出ダンパ(77b)を介して接続通路(6)に流入する。接続通路(6)に流入した空気は、第1導入ダンパ(76a)を介して第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分に流入する。第1冷却通路(5)に流入した空気は、前側から後側に向かって第1冷却コイル(21)を通過した後、第1後方導出ダンパ(78)を介して導出通路(8)に流出する。導出通路(8)に流入した空気は、仕切板(15)の連通孔(15a)を介して加熱通路(9)に流入し、加熱コイル(23)を通過した後、吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ吹き出される。
一方、第2動作では、8つのダンパ(74,75,76a,76b,77a,77b,78,79)が第2開閉状態となるように切り換えられ、ケーシング(11)の外部と第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の後側部分と接続通路(6)とが連通し、接続通路(6)と第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分とが連通し、第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。これにより、ケーシング(11)内に流入した空気は、第1冷却通路(5)、接続通路(6)、第2冷却通路(7)、導出通路(8)、加熱通路(9)の順に流通する。具体的には、ケーシング(11)の外部の空気が、吸込口(12)に設けられた第1導入ダンパ(74)を介して第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分に流入する。第1冷却通路(5)に流入した空気は、前側から後側へ向かって第1冷却コイル(21)を通過した後、第1導出ダンパ(76b)を介して接続通路(6)に流入する。接続通路(6)に流入した空気は、第2導入ダンパ(77a)を介して第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分に流入する。第2冷却通路(7)に流入した空気は、前側から後側に向かって第2冷却コイル(22)を通過した後、第2後方導出ダンパ(79)を介して導出通路(8)に流出する。導出通路(8)に流入した空気は、仕切板(15)の連通孔(15a)を介して加熱通路(9)に流入し、加熱コイル(23)を通過した後、吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ吹き出される。
また、ブライン回路(30)では、ポンプ(33,34)の起動により、冷却用流路(31)と循環流路(32)とにそれぞれブラインが流通し、第1及び第2冷却コイル(21,22)にブラインが供給される。
具体的には、第1動作では、4つの三方弁(35,36,37,38)が第1流通状態となるように切り換えられると共に、ブライン温度センサ(96)の検出値が0℃となるように三方弁(95)が調整される。これにより、ブライン回路(30)では、第1冷却コイル(21)が冷却用流路(31)に接続されて冷却側コイルとなる一方、第2冷却コイル(22)が循環流路(32)に接続されて非冷却側コイルとなる。また、第1接続管(93)を介して冷却用流路(31)のブラインの一部が循環流路(32)に流入する一方、第2接続管(94)を介して循環流路(32)のブラインの一部が冷却用流路(31)に流入することにより、水熱交換器(91)のシェル内に0℃に温度制御されたブラインが流入する。
このように、第1動作では、第1冷却コイル(21)に吸熱器(54)において−10℃に冷却された冷却用流路(31)のブラインが供給される。一方、第2冷却コイル(22)には、冷却機構(92)によって0℃に冷却された後、水熱交換器(91)のチューブ内に供給されてシェル内の水から吸熱して該水を冷却した後の循環流路(32)のブラインが供給される。
一方、第2動作では、4つの三方弁(35,36,37,38)が第2流通状態となるように切り換えられると共に、ブライン温度センサ(96)の検出値が0℃となるように三方弁(95)が調整される。これにより、ブライン回路(30)では、第2冷却コイル(22)が冷却用流路(31)に接続されて冷却側コイルとなる一方、第1冷却コイル(21)が循環流路(32)に接続されて非冷却側コイルとなる。また、第1接続管(93)を介して冷却用流路(31)のブラインの一部が循環流路(32)に流入する一方、第2接続管(94)を介して循環流路(32)のブラインの一部が冷却用流路(31)に流入することにより、水熱交換器(91)のシェル内に0℃に温度制御されたブラインが流入する。
このように、第2動作では、第2冷却コイル(22)に吸熱器(54)において−10℃に冷却された冷却用流路(31)のブラインが供給される。一方、第1冷却コイル(21)には、冷却機構(92)によって0℃に冷却された後、水熱交換器(91)のチューブ内に供給されてシェル内の水から吸熱して該水を冷却した後の循環流路(32)のブラインが供給される。
また、温水回路(40)では、ポンプ(42)及び冷却装置(41)のファンの起動により、冷却装置(41)と放熱器(52)との間において温水が循環し、放熱器(52)で加熱された温水(37℃程度)の一部が加熱コイル(23)に供給される。また、コントローラ(60)によって、第2温度センサ(62)の検出値が所望の温度(2℃)となるように、加熱側三方弁(43)が調節され、温水回路(40)から加熱コイル(23)に流入する温水の流量が調節される。加熱コイル(23)を通過した温水は、冷却装置(41)で冷却された後、再び放熱器(52)において加熱される。
また、冷媒回路(50)では、圧縮機(51)の起動により、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。また、コントローラ(60)によって第3温度センサ(63)の検出値が−10℃となるように圧縮機(51)の回転速度及び膨張弁(53)の開度が調節される。これにより、吸熱器(54)を通過した冷却用流路(31)のブラインの温度が−10℃になる。
以上により、第1動作(図1参照)では、第1冷却コイル(21)が冷却用流路(31)に接続されると共に第2冷却コイル(22)が循環流路(32)に接続されるようにブライン回路(30)が切り換えられる。また、ケーシング(11)内に流入した空気が、非冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過した後に、冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過するように、空気流れの流通経路が切り換えられる。
これにより、吸込口(12)を介してケーシング(11)内の第2冷却通路(7)に取り込まれた空気(相対湿度65%、温度5℃)は、非冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過した後、接続通路(6)を介して第1冷却通路(5)に流入し、冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過する際に、該第1冷却コイル(21)内を流れる−10℃のブラインに吸熱されて冷却される(例えば、−8℃)。このとき、第1冷却コイル(21)の表面は、通過する空気の露点温度よりも低いため、空気中の水分が凝縮して霜が付着する(着霜する)。これにより、空気が除湿される。つまり、ケーシング(11)内に流入した空気は、第1冷却コイル(21)を通過する際に冷却用流路(31)のブラインによって冷却除湿される(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)。
冷却除湿後の空気は、第1冷却通路(5)から導出通路(8)に導出されて加熱通路(9)に流入し、加熱コイル(23)を通過する際に、該加熱コイル(23)を流れる温水(37℃程度)と熱交換して加熱される。このとき、コントローラ(60)は、第2温度センサ(62)の検出値が所望の温度(2℃)となるように、加熱側三方弁(43)を調整して加熱コイル(23)に流入する温水の流量を調節する。その結果、冷却除湿後の空気が、加熱コイル(23)において所望の温度に加熱される。これにより、所望の状態(相対湿度40%、温度2℃)の乾燥冷風が生成され、送風ファン(24)によって吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出される。
ところで、第1動作中に、第1冷却コイル(21)に付着した霜が成長すると、熱交換効率が低下して空気が所望の温度まで冷却されないまま第1冷却コイル(21)を通過してしまう。コントローラ(60)は、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて第2動作を実行する。
第2動作(図2参照)では、第2冷却コイル(22)が冷却用流路(31)に接続されると共に第1冷却コイル(21)が循環流路(32)に接続されるようにブライン回路(30)が切り換えられる。また、ケーシング(11)内に流入した空気が、非冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過した後に、冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過するように、空気流れの流通経路が切り換えられる。
これにより、吸込口(12)を介してケーシング(11)内の第1冷却通路(5)に取り込まれた空気(相対湿度65%、温度5℃)は、まず、非冷却側コイルである第1冷却コイル(21)を通過する際に、該第1冷却コイル(21)に付着した霜によって冷却される(例えば、1℃程度)。このとき、第1冷却コイル(21)には、冷却機構(92)によって0℃に冷却された後、水熱交換器(91)のチューブ内に供給されてシェル内の水から吸熱して該水を冷却した後の循環流路(32)のブラインが供給され、第1冷却コイル(21)に付着した霜に放熱する。そのため、第1冷却コイル(21)に付着した霜には、該第1冷却コイル(21)の外部を通過する空気と内部を流通する循環流路(32)のブラインとから熱が付与される。これにより、霜が融解していく。つまり、第1冷却コイル(21)は、外部を通過する空気と内部を通過する循環流路(32)のブラインとによって除霜される。第1冷却コイル(21)で霜によって冷却された空気は、接続通路(6)を介して第2冷却通路(7)に流入し、冷却側コイルである第2冷却コイル(22)を通過する際に、該第2冷却コイル(22)内を流れる−10℃のブラインに吸熱されて冷却される(例えば、−8℃)。このとき、第2冷却コイル(22)の表面は、通過する空気の露点温度よりも低いため、空気中の水分が凝縮して霜が付着する(着霜する)。これにより、空気が除湿される。つまり、ケーシング(11)内に流入した空気は、第1冷却コイル(21)を通過する際に霜によって予冷された後、第2冷却コイル(22)を通過する際に冷却用流路(31)のブラインによって冷却除湿される(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)。
冷却除湿後の空気は、第2冷却通路(7)から導出通路(8)に導出されて加熱通路(9)に流入し、第1動作と同様に、加熱コイル(23)を通過する際に、該加熱コイル(23)を流れる温水(37℃程度)と熱交換して加熱される。これにより、所望の状態(相対湿度40%、温度2℃)の乾燥冷風が生成され、送風ファン(24)によって吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出される。
また、第2動作中に、第2冷却コイル(22)に付着した霜が成長すると、熱交換効率が低下して空気が所望の温度まで冷却されないまま第2冷却コイル(22)を通過してしまう。コントローラ(60)は、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて再び第1動作を実行する。
2度目以降の第1動作では、第2冷却コイル(22)が着霜している点が1度目の第1動作と異なる。そのため、吸込口(12)を介してケーシング(11)内の第2冷却通路(7)に流入した空気は、まず、第2冷却コイル(22)を通過する際に、該第2冷却コイル(22)に付着した霜によって冷却される(例えば、1℃程度)。このとき、第2冷却コイル(22)には、冷却機構(92)によって0℃に冷却された後、水熱交換器(91)のチューブ内に供給されてシェル内の水から吸熱して該水を冷却した後の循環流路(32)のブラインが供給され、第2冷却コイル(22)に付着した霜に放熱する。そのため、第2冷却コイル(22)に付着した霜には、該第2冷却コイル(22)の外部を通過する空気と内部を流通する循環流路(32)のブラインとから熱が付与される。これにより、霜が融解していく。つまり、第2冷却コイル(22)は、外部を通過する空気と内部を通過する循環流路(32)のブラインとによって除霜される。その他の動作は、1度目の第1動作と同様である。
また、第1動作(図1参照)においても第2動作(図2参照)においても、循環流路(32)のブラインは、冷却機構(92)によって0℃に温度調節された後、水熱交換器(91)のチューブ内に供給される。水熱交換器(91)において、チューブを流れる0℃のブラインは、シェル内の水から吸熱する。これにより、水が冷却され(2℃)、冷水が生成される。水熱交換器(91)においてシェル内の水から吸熱して温度上昇したブラインは、第1及び第2冷却コイル(21,22)のうちの循環流路(32)に接続された非冷却側コイルに流入し、該非冷却側コイルに付着した霜に放熱することで非冷却側コイルを除霜する。非冷却側コイルにおいて霜に放熱して温度が低下したブラインは、再び冷却機構(92)によって0℃に温度調節されて水熱交換器(91)に供給され、上述の動作が繰り返される。このように、非冷却側コイルに付着した霜の冷熱が循環流路(32)のブラインに回収され、回収された冷熱は、ブラインと共に水熱交換器(91)に供給されて冷水の生成に用いられる。
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、第1及び第2冷却コイル(21,22)を交互に冷却用流路(31)に接続して通過空気を冷却除湿して乾燥冷風を生成する一方、熱交換手段(90)を設けて冷却用流路(31)との接続が解除された非冷却側コイルに付着した霜と系外から導入された水との間において熱交換を行わせることとした。これにより、冷水生成用の熱源を別途設けることなく、乾燥冷風を生成する際に冷却コイル(21,22)に生じた霜の冷熱を利用して水を冷却することで、冷水を生成すると共に該冷却コイル(21,22)の除霜を行うことができる。従って、冷水及び乾燥冷風生成装置(10)において省エネルギー化を図ることができる。
また、本実施形態1によれば、系外から導入された水とブラインとを熱交換させる水熱交換器(91)と、該水熱交換器(91)と非冷却側コイルとの間においてブラインを循環させる循環流路(32)とを設けるだけの容易な構成により、非冷却側コイルに付着した霜と系外から導入された水との間において熱交換を行わせて冷水生成と非冷却側コイルの除霜とを行わせるができる。つまり、容易な構成により、冷水及び乾燥冷風生成装置(10)の省エネルギー化を図ることができる。
ところで、上述のように、非冷却側コイルの除霜を行いつつ、その霜の冷熱を利用して冷水を生成する場合、非冷却側コイルの霜が融けた後は、冷水を生成することができなくなってしまう。
これに対し、本実施形態1では、冷却手段(92)を設けたため、循環流路(32)に接続された非冷却側コイルから流出したブラインは、冷却用流路(31)のブラインによって所定温度に冷却されてから水熱交換器(91)に流入することとなる。そのため、水熱交換器(91)において水から吸熱して昇温したブラインが、非冷却側コイルの霜が融けて霜に放熱できなくなった場合であっても、冷却手段(92)によって所定温度に冷却してから水熱交換器(91)に流入させることができる。つまり、非冷却側コイルにおいて除霜を行う際には、霜の冷熱を利用して冷水を生成する一方、非冷却側コイルの霜が融けた後であっても、冷水を生成するための熱源を別途設けることなく、冷却用流路(31)のブラインの冷熱を利用して冷水の生成を行うことができる。
また、本実施形態1では、第1動作においても第2動作においても、空気流れが、冷却用流路(31)に接続された冷却側コイルを通過する前に、循環流路(32)に接続された非冷却側コイルを通過するように形成されている。これにより、ケーシング(11)内に流入した空気を、冷却用流路(31)に接続された冷却側コイルにおいて冷却除湿する前に、循環流路(32)に接続された非冷却側コイルの霜によって予冷することができる。従って、冷却用流路(31)に接続された冷却側コイルにおける冷却負荷を低減させることができるため、省エネルギー化を図ることができる。また、循環流路(32)に接続された非冷却側コイルにおいて、内部を流れるブラインだけでなく、外部を通過する空気流れからも霜に熱を付与することにより、除霜速度を増大させて除霜時間を短縮することができる。これにより、空気の冷却除湿を行う冷却コイル(21,22)において着霜が著しくなる前に、他方の冷却コイル(22,21)の除霜を完了させることができる。従って、常に着霜の少ない冷却コイル(21,22)によって空気の冷却除湿を安定的に行うことができる。
また、本実施形態1では、第1及び第2動作のいずれの場合にも、第1及び第2冷却コイル(21,22)の前側から後側に向かって空気が通過する一方、後側から前側に向かってブラインが流れるように構成されている。つまり、第1及び第2動作のいずれの場合にも、第1及び第2冷却コイル(21,22)における通過空気とブラインとが対向して流れる(対向流となる)ように構成されている。これにより、第1及び第2冷却コイル(21,22)における通過空気とブラインとの熱交換効率を向上させることができるため、冷却効率及び除霜効率を向上させることができる。
なお、本実施形態1では、冷却機構(92)を設け、冷却用流路(31)のブラインの一部を循環流路(32)に流入させることによって、水熱交換器(91)に流入するブラインの温度を0℃に調節していたが、冷却機構(92)は設けなくてもよい。その場合であっても、非冷却側コイルに付着した霜によって冷却されたブラインが水熱交換器(91)に供給されるように構成することによって霜の冷熱を利用して冷水を生成することができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2の冷水及び乾燥冷風生成装置(10)は、実施形態1の冷水及び乾燥冷風生成装置(10)のケーシング(11)内の構成を一部変更すると共に、第1及び第2動作における空気流れの流通経路を変更し、空気流れが冷却側コイルのみを通過するように構成したものである。なお、ブライン回路(30)、温水回路(40)、チラー(55)の構成については実施形態1と同様であるため、説明を省略し、以下では異なる部分のみについて説明する。
実施形態1では、冷却空間(S10)の区画板(71)の前側の空間は、2つの区画板(72,73)によって3つの空気通路に区画されていたが、図3に示すように、実施形態2では、1つの区画板(70)によって2つの空気通路に区画されている。具体的には、区画板(70)は、ケーシング(11)の左側板と右側板との間において両側板に沿って前後方向に延びている。これにより、冷却空間(S10)の区画板(71)の前側の空間は、左側の第1冷却通路(5)と右側の第2冷却通路(7)とに区画されている。つまり、実施形態2では、実施形態1において第1冷却通路(5)と第2冷却通路(7)との間に区画されていた接続通路(6)が形成されず、2枚の区画板(72,73)にそれぞれ2つずつ設けられていた開閉式のダンパ(76a,76b,77a,77b)も設けられていない。
詳細については後述するが、実施形態2では、運転の際には、コントローラ(60)によって、第1導入ダンパ(74)と第1後方導出ダンパ(78)とが開く一方、第2導入ダンパ(75)と第2後方導出ダンパ(79)とが閉じる第1開閉状態(図3参照)と、第2導入ダンパ(75)と第2後方導出ダンパ(79)とが開く一方、第1導入ダンパ(74)と第1後方導出ダンパ(78)とが閉じる第2開閉状態(図4参照)とに切り換えられる。第1開閉状態では、ケーシング(11)の外部と第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。一方、第2開閉状態では、ケーシング(11)の外部と第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分とが連通し、第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。
また、実施形態2においても、コントローラ(60)は、冷水及び乾燥冷風を生成する運転において、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて、第1動作と第2動作とを交互に実行するように構成されている。具体的には、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第1流通状態となるように切り換えると共に、4つのダンパ(74,75,78,79)を第1開閉状態となるように切り換えて第1動作を実行するように構成されている。一方、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第2流通状態となるように切り換えると共に、4つのダンパ(74,75,78,79)を第2開閉状態となるように切り換えて第2動作を実行するように構成されている。その他の構成は実施形態1と同様である。
−運転動作−
実施形態1と同様に、コントローラ(60)は、送風ファン(24)、ポンプ(33,34,42)、冷却装置(41)のファン及び圧縮機(51)を起動し、4つの三方弁(35,36,37,38)と4つのダンパ(74,75,78,79)とを切り換えて、第1動作(図3参照)と第2動作(図4参照)とを交互に実行する。具体的には、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第1流通状態となるように切り換えると共に4つのダンパ(74,75,78,79)を第1開閉状態となるように切り換えて第1動作を実行する一方、4つの三方弁(35,36,37,38)を第2流通状態となるように切り換えると共に4つのダンパ(74,75,78,79)を第2開閉状態となるように切り換えて第2動作を実行する。
送風ファン(24)の起動により、ケーシング(11)内には、吸込口(12)から相対湿度65%、温度5℃の空気が取り込まれ、第1冷却通路(5)又は第2冷却通路(7)、導出通路(8)、加熱通路(9)の順に流通する。
具体的には、第1動作では、4つのダンパ(74,75,78,79)が第1開閉状態となるように切り換えられ、ケーシング(11)の外部と第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分とが連通し、第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。これにより、ケーシング(11)の外部の空気が、吸込口(12)に設けられた第1導入ダンパ(74)を介して第1冷却通路(5)の第1冷却コイル(21)の前側部分に流入し、前側から後側に向かって第1冷却コイル(21)を通過した後、第1後方導出ダンパ(78)を介して導出通路(8)に流出する。導出通路(8)に流入した空気は、仕切板(15)の連通孔(15a)を介して加熱通路(9)に流入し、加熱コイル(23)を通過した後、吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ吹き出される。
一方、第2動作では、4つのダンパ(74,75,78,79)が第2開閉状態となるように切り換えられ、ケーシング(11)の外部と第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分とが連通し、第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の後側部分と導出通路(8)とが連通する。これにより、ケーシング(11)の外部の空気が、吸込口(12)に設けられた第2導入ダンパ(75)を介して第2冷却通路(7)の第2冷却コイル(22)の前側部分に流入し、前側から後側に向かって第2冷却コイル(22)を通過した後、第2後方導出ダンパ(79)を介して導出通路(8)に流出する。導出通路(8)に流入した空気は、仕切板(15)の連通孔(15a)を介して加熱通路(9)に流入し、加熱コイル(23)を通過した後、吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ吹き出される。
なお、ブライン回路(30)、温水回路(40)及び冷媒回路(50)における動作は、実施形態1と同様である。
以上により、第1動作(図3参照)では、吸込口(12)を介してケーシング(11)内の第1冷却通路(5)に取り込まれた空気(相対湿度65%、温度5℃)は、第1冷却コイル(21)を通過する際に、該第1冷却コイル(21)内を流れる−10℃のブラインに吸熱されて冷却される(例えば、−8℃)。このとき、第1冷却コイル(21)の表面は、通過する空気の露点温度よりも低いため、空気中の水分が凝縮して霜が付着する(着霜する)。これにより、空気が除湿される。つまり、ケーシング(11)内に流入した空気は、冷却側コイルとなる第1冷却コイル(21)のみを通過し、該第1冷却コイル(21)を通過する際に冷却用流路(31)のブラインによって冷却除湿される(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)。
冷却除湿後の空気は、第1冷却通路(5)から導出通路(8)に導出されて加熱通路(9)に流入し、加熱コイル(23)を通過する際に、該加熱コイル(23)を流れる温水(37℃程度)と熱交換して加熱される。このとき、コントローラ(60)は、第2温度センサ(62)の検出値が所望の温度(2℃)となるように、加熱側三方弁(43)を調整して加熱コイル(23)に流入する温水の流量を調節する。その結果、冷却除湿後の空気が、加熱コイル(23)において所望の温度に加熱される。これにより、所望の状態(相対湿度40%、温度2℃)の乾燥冷風が生成され、送風ファン(24)によって吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出される。
ところで、第1動作中に、第1冷却コイル(21)に付着した霜が成長すると、熱交換効率が低下して空気が所望の温度まで冷却されないまま第1冷却コイル(21)を通過してしまう。コントローラ(60)は、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて第2動作を実行する。
第2動作(図4参照)では、吸込口(12)を介してケーシング(11)内の第2冷却通路(7)に取り込まれた空気(相対湿度65%、温度5℃)は、第2冷却コイル(22)を通過する際に、該第2冷却コイル(22)内を流れる−10℃のブラインに吸熱されて冷却される(例えば、−8℃)。このとき、第2冷却コイル(22)の表面は、通過する空気の露点温度よりも低いため、空気中の水分が凝縮して霜が付着する(着霜する)。これにより、空気が除湿される。つまり、ケーシング(11)内に流入した空気は、冷却側コイルとなる第2冷却コイル(22)のみを通過し、該第2冷却コイル(22)を通過する際に冷却用流路(31)のブラインによって冷却除湿される(例えば、相対湿度91%、温度−8℃)。
一方、非冷却側コイルとなる第1冷却コイル(21)には、冷却機構(92)によって0℃に冷却された後、水熱交換器(91)のチューブ内に供給されてシェル内の水から吸熱して該水を冷却した後の循環流路(32)のブラインが供給され、第1冷却コイル(21)に付着した霜に放熱する。これにより、霜が融解していく。
第2冷却通路(7)において冷却除湿された空気は、第2冷却通路(7)から導出通路(8)に導出されて加熱通路(9)に流入し、第1動作と同様に、加熱コイル(23)を通過する際に、該加熱コイル(23)を流れる温水(37℃程度)と熱交換して加熱される。これにより、所望の状態(相対湿度40%、温度2℃)の乾燥冷風が生成され、送風ファン(24)によって吹出口(13)からケーシング(11)の外部へ排出される。
また、第2動作中に、第2冷却コイル(22)に付着した霜が成長すると、熱交換効率が低下して空気が所望の温度まで冷却されないまま第2冷却コイル(22)を通過してしまう。コントローラ(60)は、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)を切り換えると共に空気通路における空気流れの流通経路を切り換えて再び第1動作を実行する。
2度目以降の第1動作では、第2冷却コイル(22)が着霜している点が1度目の第1動作と異なる。そのため、非冷却側コイルとなる第2冷却コイル(22)には、冷却機構(92)によって0℃に冷却された後、水熱交換器(91)のチューブ内に供給されてシェル内の水から吸熱して該水を冷却した後の循環流路(32)のブラインが供給され、第2冷却コイル(22)に付着した霜に放熱する。これにより、霜が融解していく。その他の動作は、1度目の第1動作と同様である。
実施形態2においても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。また、実施形態2では、空気流れが第1及び第2冷却コイル(21,22)のうちの冷却側コイルのみを通過するように構成されている。そのため、空気流れが第1及び第2冷却コイル(21,22)の両方を通過すると共に、通過順が動作の切り換え(第1動作/第2動作)に伴って逆転するように構成された実施形態1に比べて、ケーシング(11)内の構成を単純化することができる。
《発明の実施形態3》
図5及び図6に示すように、実施形態3の冷水及び乾燥冷風生成装置(10)は、実施形態2の冷水及び乾燥冷風生成装置(10)において、熱交換手段(90)を、非冷却側コイルに系外から導入された水を散布して霜と熱交換させることによって冷水を生成すると共に非冷却側コイルの除霜を行う散水機構(80)によって構成することとしたものである。
具体的には、本実施形態では、散水機構(80)は、水タンク(81)と、該水タンク(81)の水を非冷却側コイルに供給する供給機構(82)と、非冷却側コイルに散水された水を水タンク(81)に回収する回収機構(83)と、供給機構(82)に給水する給水管(84a)と、回収機構(83)によって水タンク(81)に回収された冷水を取り出す取り出し管(84b)とを備えている。
供給機構(82)は、第1散布部(85a)及び第2散布部(85b)と、供給管(86)と、ポンプ(87)とを有している。第1散布部(85a)は、第1冷却コイル(21)の上方に設けられ、第1冷却コイル(21)に水を散布可能に構成されている。第2散布部(85b)は、第2冷却コイル(22)の上方に設けられ、第2冷却コイル(22)に水を散布可能に構成されている。供給管(86)は、流入端が水タンク(81)に接続される一方、流出端が2つに分岐し、一方の流出端が第1開閉弁(86a)を介して第1散布部(85a)に接続され、他方の流出端が第2開閉弁(86b)を介して第2散布部(85b)に接続されている。ポンプ(87)は、供給管(86)の合流部分に設けられ、水タンク(81)の水を第1散布部(85a)又は第2散布部(85b)へ搬送する。
回収機構(83)は、第1回収部(88a)及び第2回収部(88b)と、第1回収管(89a)及び第2回収管(89b)とを有している。第1回収部(88a)は、第1冷却コイル(21)の下方に設けられ、第1冷却コイル(21)に散布された水を受け止めるように構成されている。第2回収部(88b)は、第2冷却コイル(22)の下方に設けられ、第2冷却コイル(22)に散布された水を受け止めるように構成されている。第1回収管(89a)は、第1回収部(88a)と水タンク(81)とを接続し、第1回収部(88a)に受け止められた水を水タンク(81)に回収するように構成されている。第2回収管(89b)は、第2回収部(88b)と水タンク(81)とを接続し、第2回収部(88b)に受け止められた水を水タンク(81)に回収するように構成されている。
上記供給管(86)のポンプ(87)の吐出側には、逆止弁が設けられ、該逆止弁の下流側に給水管(84a)が接続される一方、逆止弁の上流側に取り出し管(84b)が接続されている。
また、本実施形態3では、コントローラ(60)は、第1温度センサ(61)の検出値が所定温度(例えば、−6℃)以上になると、ブライン回路(30)及び空気通路における空気流れの流通経路を切り換えると共に、散水機構(80)によって散水される冷却コイル(21,22)を切り換えて、第1動作と第2動作とを交互に実行するように構成されている。具体的には、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第1流通状態となるように切り換えると共に、4つのダンパ(74,75,78,79)を第1開閉状態となるように切り換え、さらに、第1開閉弁(86a)を閉状態に切り換えると共に第2開閉弁(86b)を開状態に切り換えて第1動作を実行するように構成されている。一方、コントローラ(60)は、4つの三方弁(35,36,37,38)を第2流通状態となるように切り換えると共に、4つのダンパ(74,75,78,79)を第2開閉状態となるように切り換え、さらに、第1開閉弁(86a)を開状態に切り換えると共に第2開閉弁(86b)を閉状態に切り換えて第2動作を実行するように構成されている。その他の構成は実施形態2と同様である。
なお、本実施形態3では、循環流路(32)と冷却機構(92)とが、非冷却側コイルに接続されて、該非冷却側コイルに冷却用流路(31)のブラインによって所定温度に冷却されたブラインを供給して散水機構(80)によって散布された水を冷却する水冷却手段を構成している。
以上のような実施形態3における運転動作は、ほぼ実施形態2と同様であるが、循環流路(32)におけるブラインの流れと、熱交換手段(90)による非冷却側コイルに付着した霜と系外から導入された水とを熱交換させる動作とが実施形態2と異なる。
ブライン回路(30)では、ポンプ(33,34)の起動により、冷却用流路(31)と循環流路(32)とにそれぞれブラインが流通し、第1及び第2冷却コイル(21,22)にブラインが供給される。
具体的には、第1動作では、4つの三方弁(35,36,37,38)が第1流通状態となるように切り換えられると共に、ブライン温度センサ(96)の検出値が0℃となるように三方弁(95)が調整される。これにより、ブライン回路(30)では、第1冷却コイル(21)が冷却用流路(31)に接続されて冷却側コイルとなる一方、第2冷却コイル(22)が循環流路(32)に接続されて非冷却側コイルとなる。また、第1接続管(93)を介して冷却用流路(31)のブラインの一部が循環流路(32)に流入する一方、第2接続管(94)を介して循環流路(32)のブラインの一部が冷却用流路(31)に流入することにより、非冷却側コイルに0℃に温度制御されたブラインが流入する。
このように、第1動作では、第1冷却コイル(21)に吸熱器(54)において−10℃に冷却された冷却用流路(31)のブラインが供給される。一方、第2冷却コイル(22)には、冷却機構(92)によって0℃に冷却された循環流路(32)のブラインが供給される。
一方、第2動作では、4つの三方弁(35,36,37,38)が第2流通状態となるように切り換えられると共に、ブライン温度センサ(96)の検出値が0℃となるように三方弁(95)が調整される。これにより、ブライン回路(30)では、第2冷却コイル(22)が冷却用流路(31)に接続されて冷却側コイルとなる一方、第1冷却コイル(21)が循環流路(32)に接続されて非冷却側コイルとなる。また、第1接続管(93)を介して冷却用流路(31)のブラインの一部が循環流路(32)に流入する一方、第2接続管(94)を介して循環流路(32)のブラインの一部が冷却用流路(31)に流入することにより、非冷却側コイルに0℃に温度制御されたブラインが流入する。
このように、第2動作では、第2冷却コイル(22)に吸熱器(54)において−10℃に冷却された冷却用流路(31)のブラインが供給される。一方、第1冷却コイル(21)には、冷却機構(92)によって0℃に冷却された循環流路(32)のブラインが供給される。
また、第1動作では、コントローラ(60)によって、熱交換手段(90)を構成する散水機構(80)のポンプ(87)が駆動されると共に、第1開閉弁(86a)が閉状態に切り換えられ、第2開閉弁(86b)が開状態に切り換えられる。これにより、水タンク(81)の水が、ポンプ(87)によって第2開閉弁(86b)を介して第2散布部(85b)へ供給され、該第2散布部(85b)から非冷却側コイルである第2冷却コイル(22)に向かって散布される。
一方、第2動作では、コントローラ(60)によって、熱交換手段(90)を構成する散水機構(80)のポンプ(87)が駆動されると共に、第1開閉弁(86a)が開状態に切り換えられ、第2開閉弁(86b)が閉状態に切り換えられる。これにより、水タンク(81)の水が、ポンプ(87)によって第1開閉弁(86a)を介して第1散布部(85a)へ供給され、該第1散布部(85a)から非冷却側コイルである第1冷却コイル(21)に向かって散布される。
このように、実施形態3の冷水及び乾燥冷風生成装置(10)では、第1動作(図5参照)においても第2動作(図6参照)においても、非冷却側コイルには、散水機構(80)によって散水される。散水された水は、非冷却側コイルに付着した霜と熱交換して該霜を融解させる一方、霜に放熱することによって冷却される。また、非冷却側コイルには、冷却機構(92)によって0℃に冷却された循環流路(32)のブラインが供給されるため、散水された水は、この0℃のブラインによっても冷却される(2℃)。また、非冷却側コイルの霜が融けた後であっても0℃のブラインによって冷却されることとなる。そして、非冷却側コイルに散布されて冷却された系外から導入された水と霜の融解水とは、回収機構(83)によって水タンク(81)に回収される。具体的には、第1動作では、冷水と霜の融解水とは、第2回収部(88b)に受け止められ、第2回収管(89b)を介して水タンク(81)に回収される。一方、第2動作では、冷水と霜の融解水とは、第1回収部(88a)に受け止められ、第1回収管(89a)を介して水タンク(81)に回収される。水タンク(81)に回収された冷水は、取り出し管(84b)を介して取り出されて野菜の洗浄や洗浄水の冷却に用いられる。なお、供給管(86)には、取り出し管(84b)から取り出された冷水と等量の水が給水管(84a)を介して供給される。このように、実施形態3では、非冷却側コイルに付着した霜の冷熱が冷水の生成に用いられる。
以上のように、実施形態3の冷水及び乾燥冷風生成装置(10)によれば、非冷却側コイルに水を散布する散水機構(80)を設けるだけの容易な構成により、非冷却側コイルに付着した霜と系外から導入された水との間において熱交換を行わせて冷水生成と非冷却側コイルの除霜とを行わせるができる。つまり、容易な構成により、冷水及び乾燥冷風生成装置(10)の省エネルギー化を図ることができる。
ところで、上述のように、非冷却側コイルの除霜を行いつつ、その霜の冷熱を利用して冷水を生成する場合、非冷却側コイルの霜が融けた後は、冷水を生成することができなくなってしまう。
これに対し、実施形態3の冷水及び乾燥冷風生成装置(10)によれば、冷却用流路(31)のブラインによって所定温度に冷却された循環流路(32)のブラインを非冷却側コイルに供給し、非冷却側コイルに散布された水を、非冷却側コイルの霜だけでなく、所定温度に冷却されたブラインによっても冷却することとした。そのため、非冷却側コイルの霜が融けた後でも、冷却用流路(31)のブラインによって所定温度に冷却された循環流路(32)のブラインによって非冷却側コイルに散布された水を冷却して冷水を生成することができる。つまり、非冷却側コイルにおいて除霜を行う際には、霜の冷熱を利用して冷水を生成する一方、非冷却側コイルの霜が融けた後であっても、冷水を生成するための熱源を別途設けることなく、冷却用流路(31)のブラインの冷熱を利用して冷水の生成を行うことができる。
なお、本実施形態3では、散水機構(80)は、水タンク(81)と、供給機構(82)と、回収機構(83)と、給水管(84a)と、取り出し管(84b)とを備えていたが、散水機構は、第1及び第2冷却コイル(21,22)のうちの非冷却側コイルに系外から導入された水を散布して該非冷却側コイルに付着した霜と熱交換させて冷水を生成すると共に非冷却側コイルの除霜を行うことができるものであればいかなる形態であってもよい。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、冷水及び乾燥冷風生成装置を、野菜を洗浄して乾燥冷却する加工処理に用いる場合について説明していたが、本発明に係る冷水及び乾燥冷風生成装置の用途はこれに限られない。
また、上記各実施形態において、図7に示すように、第1及び第2冷却コイル(21,22)のコイル長さを変更可能に構成することとしてもよい。具体的には、第1及び第2冷却コイル(21,22)は、冷却用流路(31)に接続されて冷却側コイルとなる際に、ブラインを流入させる流入管(20a)が1つであるのに対し、流出管が複数(図7では3つ、即ち、第1から第3流出管(20b,20c,20d))設けられている。第1〜第3流出管(20b,20c,20d)は、冷却側コイルとなる際の各冷却コイル(21,22)における下流側の異なる位置に接続されている。また、第1〜第3流出管(20b,20c,20d)には、それぞれ第1〜第3開閉弁(20e,20f,20g)が設けられている。そして、各冷却コイル(21,22)が冷却側コイルとなる際に、上流側の第1開閉弁(20e)から下流側へ第2開閉弁(20f)、第3開閉弁(20g)の順に開状態とする開閉弁を変更し、用いる流出管を上流側の第1流出管(20b)から下流側へ第2流出管(20c)、第3流出管(20d)の順に変更していく。これにより、冷却コイル(21,22)の使用領域が徐々に拡大される。つまり、冷却用流路(31)に接続された冷却側コイルでは、通過空気を露点温度以下に冷却して除湿するために着霜することとなるが、上述のように冷却コイル(21,22)の使用領域を徐々に拡大することによって着霜していない部分を追加することができるため、着霜による熱交換効率の低下を抑制しつつ第1及び第2動作の切換間隔を長くすることができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。