JP6021134B2 - 光共振器システム - Google Patents

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Description

(参照による取り込み)
本出願は、2013年3月25日に出願された米国予備特許出願第61/805026号および2013年6月3日に出願された米国予備特許出願第61/830442号の優先権を主張し、その内容を参照することにより本出願に取り込む。
本発明は、大強度レーザーを蓄積する光共振器システムに関する。
近年、レーザーコンプトン散乱を利用した高輝度X線発生の研究開発が注目されている。レーザーコンプトン散乱とは、パルスレーザーと電子ビームとの衝突によってX線等の放射線が発生することである。レーザーコンプトン散乱を行うためには1パルス当たりのレーザー強度(パルス強度)が非常に高いレーザーと高輝度電子ビームが必要である。しかし、パルス強度の高いレーザーの製造は、下記に述べるように非常に困難であった。
従来、レーザーを蓄積させる手段として光共振器が知られている。光共振器は、通常、レーザー光を向かい合う共振鏡によって反射させながら共振鏡面上のレーザー干渉によって増幅するレーザー増幅手段であり、共振鏡の反射率に依存して増幅レーザーの蓄積を調整できる。光共振器には、リング形状のファブリペロ型光共振器や反射鏡を持つマイケルソン干渉計型共振器、フォックス・スミス干渉計型共振器、マッハッツェンダー干渉計型共振器等が知られている。
光共振器によるレーザー増幅の原理は、共振器長がレーザー光の半波長の整数倍に合致する条件が満足されることによって行われることである。これを定在波が立つという。定在波の共鳴幅は、共振鏡の反射率で決まるので、高増幅倍率を得ようとして高反射率の鏡を使用するほど狭くなっていく。例えば、仮に、反射率99.9%の反射鏡を用いて増幅率1000倍の光共振器を想定した場合、共鳴幅は、24kHz、共鳴位置にして約1Å(10−10m)であるので、振動、熱、等の環境の擾乱で簡単に共鳴状態が失われる。レーザー共鳴状態を維持するためには、共振鏡をピエゾ駆動にし、高度なフィードバック制御を行うことが必要であるが、従来の光共振器は、機械的な制御の限界上、安定に共鳴を維持できる技術的限界は、増幅率1000倍程度であるとされている。
例えば、市販の大強度モードロック発振器(出力50W、パルス長10 psec/pulse、波長1064nm、繰り返し150MHz)と従来の光共振器を用いて該光共振器にレーザーを増幅・蓄積した場合、蓄積レーザーのパルス強度は、100μJ程度が限界であった。大強度モードロック発振器は、非常に高価である。また、例え、大強度モードロック発振器のレーザーを従来の光共振器に定常的に増幅・蓄積したとしても光共振器のミラー上でのレーザーエネルギーロスが、通常、100ppm程度あるので、ミラーの熱変形によって光共振器の共鳴状態が不安定になり、レーザーの蓄積効率が著しく低下するという問題があった。
従来、光共振器の共鳴維持に関し多くの方法が提案されている(特許文献1−6)。
特許文献1は、レーザー発振器の安定化に関する発明であり、レーザー光源1からのレーザー光を変調器3により周波数変調し、該周波数変調レーザーを周波数弁別装置6に入れ、所定の共振周波数で共振させ、周波数弁別装置6から一部を取り出し、これを用いてレーザー光源1の発振周波数を安定化する方法を開示している。すなわち、周波数弁別装置6から取り出されたレーザーは、周波数弁別装置6の共振状態を反映しているので、周波数弁別装置6から取り出されたレーザーと元の周波数変調レーザーの周波数差から誤差信号を作り、この誤差信号を用いてレーザー光源1の発振周波数を安定化させる、所謂、光共振器の安定化方法として従来から良く知られている方法である。特許文献1は、周波数変調レーザーを用いて光共振器を安定化させる方法を開示しているが、増幅にあずからない変調波又は高調波を用いるフィードバック制御システムについては、何ら開示していない。
特許文献2は、光通信用のレーザー発振器に関する発明であり、シングルモードレーザー発振器11からのシングルモードレーザー光を電気信号発生器12により位相変調し、該位相変調されたレーザー光を複数のドープファイバーを環状に連結させて成る光リングファイバ共振器4の光周回路に入れ、該光周回路から取り出されたレーザーと元のシングルモードレーザー光との位相差からエラー信号を作り、このエラー信号を用いてピエゾ素子9を駆動させ、光リングファイバ共振器4の光周回路の光ファイバー長を調整する、ことによる光リングファイバ共振器4の安定化方法を開示している。特許文献2に開示されたドープファイバレーザー内蔵の光リングファイバ共振器の安定化方法では、光周回路を周回する蓄積レーザー光の一部が光ファイバーに吸収されることに起因する光ファイバーの熱膨張が、蓄積レーザー光の強度が高くなるほど大きくなるので、そのため、ドープファイバレーザーの出力パルスが不安定になるという問題は解決されていない。また、特許文献2は、光通信用のレーザー発振器に関する発明であるけれども、増幅にあずからない変調波又は高調波を用いるフィードバック制御システムについては、何ら開示していない。
特許文献3は、マッハツェンダー干渉計型共振器(110)を用いたwhispering-gallery mode resonatorに関する発明であり、内部光路にビームスプリッター(113)と複数の反射鏡(114-116)とリファレンス共振器(130)を配置するマッハツェンダー干渉計型共振器(110)の安定化方法を開示している。すなわち、レーザー発振器(101)からのレーザー光を前記ビームスプリッター(113)により二つのレーザー光に分岐し、片方のレーザー光は、リファレンス共振器(130)を介して前記内部光路の外に設けられた検出モジュール(120)に入れ、もう片方のレーザー光は、直接、前記検出モジュール(120)に入れ、該検出モジュール(120)によりエラー信号を発生させ、これをリファレンス共振器(130)及び/又はレーザー発振器のチューニング信号として用いる光同期法を開示している。特許文献3は、マッハツェンダー干渉計型共振器(110)を用いるwhispering-gallery mode resonatorの安定化方法を開示しているが、増幅にあずからない変調波又は高調波を用いるフィードバック制御システムについては、何ら開示していない。
特許文献4は、光通信のための高速波長掃引光ファイバー光源の高速化であるフーリエドメインモードロッキング(FDML)操作に関する発明であり、フーリエドメインモードロッキング(FDML)操作の安定性向上のために、フィルター同期、レーザーゲインの同期、偏光の同期、楕円偏光の遅延特性の同期、散乱の同期、等を行うことによるフィードバック制御システムを開示している。特許文献4は、光通信用の光リングファイバ共振器の安定化方法を開示しているが、増幅にあずからない変調波又は高調波を用いるフィードバック制御システムについては、何ら開示していない。
特許文献5は、光共振器内の周回レーザーを回折格子に入射させる時の入射角を調整することにより光共振器内に設けた複数のミラーの動作を調整し、それにより該共振ミラー間の光路を制御することを開示している。特許文献5は、増幅にあずからない変調波又は高調波を用いるフィードバック制御システムについては、何ら開示していない。
特許文献6は、高調波を発生させる波長変換装置の安定化方法に関する発明であり、レーザー発振器(12)からのレーザーを光共振器(16)の内部に設けた非線形光学材料(14)に入射させ、該非線形光学材料(14)により第2高調波レーザーを発生させ、該第2高調波レーザーを光共振器(16)のミラー(24)の後方に配設された光検波器(18)により検出し、この信号をサーボ用電子回路(20)に入れ、共振周波数の誤差に比例する誤差信号を作り、この誤差信号を光共振器(10)のミラー(26)に取り付けられたピエゾ素子(30)又は前記非線形光学材料(14)に取り付けられた電極(32,34)に送り、光共振器(16)の共振器長又は非線形光学材料(14)に印加する電界を調整することにより、波長変換装置(10)の安定化を行うことを開示している。特許文献6は、第2高調波を生成するための波長変換装置及びその安定化方法を開示しているが、増幅にあずからない変調波又は高調波を用いるフィードバック制御システムについては、何ら開示していない。
前記に挙げた特許文献1−6に開示された光共振器システム及び共鳴制御方法は、幾つかの困難な問題を内含していた。第一の問題は、前記に述べたように、1000倍以上のレーザー増幅のために必要な共振器長の共鳴位置にして1Å以下の制御が困難であるために、その結果、大強度レーザーの蓄積が困難なことであった。第二の問題は、制御対象である光共振器のミラー位置情報を蓄積レーザーの強度から得ているために、レーザー増幅時には光共振器内のレーザー強度が非常に強くなるので、ミラーの熱変形やレーザー損傷が生じ、そのために共鳴状態のゆらぎが非常に大きくなり、その結果、大強度レーザーの蓄積が困難なことであった。
本発明の他の目的、特徴及び利点は添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から明らかになるであろう。
特開平8−204275号公報 特開平10−125983号公報 特公表2011−514009号公報 米国特許公開2013−0058364号公報 米国特許公開2013−0064258号公報 特開平8−6082号公報
本発明は、大強度パルスレーザーを蓄積する光共振器システムを提供することを目的とするものである。更に詳しくは、本発明は、増幅させない変調波又は高調波、及び予め増幅されたレーザーを同時に受光することができる光共振器、及び、該増幅させない変調波又は高調波を用いて前記光共振器の共振器長を調整することができる新規のフィードバック制御系を搭載した光共振器システムを提供することを目的とするものである。
本発明者等は、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、光共振器に大強度レーザーを蓄積させる上で、発振レーザーから作られる変調波又は変調高調波を増幅させることなく光共振器の共振器長を調整するために用いることが非常に有効であることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
1.
光共振器と、レーザー発振器及びレーザー増幅器を直列に光共振器のミラー1に接続する経路1と、レーザー発振器及び発振レーザーを変調波に転調する電気光学変調器を直列に光共振器のミラー1に接続する経路2と、光共振器のミラー1及び変調波からフィードバック制御信号を作るフィードバック制御系を直列に光共振器のピエゾ素子に接続する経路3と、を備える光共振器システムであって、ミラー1によって反射される増幅されない変調波及びミラー1を介して滲み出る変調波との重畳波がフィードバック制御信号に変換され、このフィードバック制御信号によって光共振器が制御されることを特徴とする光共振器システムの構成とした。
2.
光共振器と、レーザー発振器及びレーザー増幅器を光共振器のミラー1に直列に接続する経路1と、レーザー発振器、発振レーザーを高調波に変換する波長変換器、及び高調波を変調高調波に転調する電気光学変調器を光共振器のミラー1に直列に接続する経路2と、及び光共振器のミラー1及び変調波からフィードバック制御信号を作るフィードバック制御系を光共振器のピエゾ素子に直列に接続する経路3と、を備える光共振器システムであって、ミラー1で反射される増幅されない変調高調波及びミラー1を介して滲み出る高調波の重畳波が、フィードバック制御信号に変換され、このフィードバック制御信号によって光共振器が制御されることを特徴とする光共振器システムの構成とした。
3.
前記光共振器が4鏡光共振器であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光共振器システムの構成とした。
本発明は、光共振器、及び、新規のフィードバック制御システムを搭載した光共振器システムを提供するものである。本発明における光共振器は、発振レーザーから作られる増幅させない変調波又は高調波、及び、発振レーザーを予め1万倍程度増幅したレーザーを同時に受光することが可能であり、該予め増幅されたレーザーを更に約1万倍程度増幅し、パルス運転を行い、光共振器に安定的に蓄積することが可能である。又、本発明におけるフィードバック制御システムは、前記発振レーザーから作られる増幅させない変調波又は高調波、このパルス強度は前記予め増幅されたレーザーのパルス強度の1万分の1以下である、を用いて光共振器の共振器長を共鳴位置にして約0.1Å以下で行うことが可能である。このため、光共振器のミラーが受ける熱変形やレーザー損傷を従来の光共振器のそれに比べて1万分の1以下のレベルにまで低減することができる。その結果、本発明は、パルス強度が1ミリジュール以上のメガワットクラスの大強度レーザーを安定的に蓄積することができる。
増幅されない変調波を用いて共振器長を調整する本発明の構成図である。 増幅されない高調波を用いて共振器長を調整する本発明の構成図である。 増幅されない変調波を用いて4鏡光共振器を調整する本発明の概略図である。 増幅されない変調波を用いて4鏡光共振器を調整する本発明の概略図である。 増幅されない高調波を用いて4鏡光共振器を調整する本発明の概略図である。 増幅されない高調波を用いて4鏡光共振器を調整する本発明の概略図である。 増幅されない変調波を用いる本発明の共鳴制御の結果を示す一例である。 増幅されない高調波を用いる本発明の共鳴制御の結果を示す一例である。 光共振器の共振器長を調整する従来のシステムの概略図である。
以下に図面を参照しつつ本発明の一側面を実施形態(以下、「本実施形態」とも表記する)として詳細に説明する。
図9は、光共振器(1)、レーザー発振器(3)により発振されるレーザーが電気光学変調器(5)に入れられ変調され光共振器(1)に入られる経路(pA)、及び、光共振器(1)から滲みだすレーザーがフィードバック制御系(6)に入れられフィードバック制御信号に変換され光共振器(1)のピエゾ素子に伝送される経路(pB)を備える従来の光共振器システムを示す。このシステムでは、光共振器の中で大きなレーザー増幅が行われた時に光共振器のミラーが受ける熱変形やレーザー損傷が非常に大きくなるので、そのため共振器長の制御が困難であった。
図1は、光共振器(1)と、レーザー発振器(3)及びレーザー増幅器(2)を直列に光共振器(1)のミラー1(7)に接続する経路1(p1)と、レーザー発振器(1)及び発振レーザーを変調波に転調する電気光学変調器(5)を直列に光共振器(1)のミラー1(7)に接続する経路2(p2)と、光共振器(1)のミラー1(7)及び変調波からエラー信号を作るフィードバック制御系(6)を直列に光共振器(1)のピエゾ素子(9)に接続する経路3(p3)と、を備える光共振器システム(A)を示す。この光共振器システム(A)では、経路1(p1)で、レーザー発振器(3)により発振されるレーザー(10)がビームスプリッター(4)に入れられ、二つのビーム(11,12)に分割され、片方のビーム(12)がレーザー増幅器(2)により増幅され、ミラー1(7)を介して光共振器(1)に入れられ、経路2(p2)で、ビームスプリッター(4)により分割されたもう片方のビーム(11)が電気光学変調器(5)に入れられ変調波(14)に転調され、ミラー1(7)を介して光共振器(1)に入れられ、経路3(p3)で、ミラー1(7)によって反射される増幅されない変調波(15)、及び、前記光共振器(1)からミラー1(7)を介して滲み出る変調波(16)の重畳波がフィードバック制御系(6)に入れられ、フィードバック制御信号(17)に変換され、ミラー(8)に付帯されるピエゾ素子(9)に伝送される。これは、一つの発振レーザー源を用いる場合のシステムである。
図2は、光共振器(1)と、レーザー発振器(3)及びレーザー増幅器(2)を光共振器(1)のミラー1(7)に直列に接続する経路1(p1)と、レーザー発振器(1)、発振レーザーを高調波に変換するレーザー波長変換器(18)、及び高調波を変調高調波に転調する電気光学変調器(5)を光共振器(1)のミラー1(7)に直列に接続する経路2(p2)と、及び、光共振器(1)のミラー1(7)及び変調波からエラー信号を作るフィードバック制御系(6)を光共振器(1)のピエゾ素子(9)に直列に接続する経路3(p3)と、を備える光共振器システム(B)を示す。この光共振器システム(B)では、経路1(p1)で、レーザー発振器(3)により発振されるレーザー(10)が、レーザー波長変換器(18)に入れられ、部分的に高調波に変換され、続いて、波長分離ミラー(19a)に入れられ、高調波(20)と基本波(波長変換されなかった成分)(21)とに分離され、分離された基本波(21)が波長分離ミラー(19a)を介してレーザー増幅器(2)に入れられ、増幅され、ミラー1(7)を介して光共振器(1)に入れられ、経路2(p2)で、波長分離ミラー(19a)により分離された高調波(20)が電気光学変調器(5)に入れられ、変調高調波(23)に転調され、波長分離ミラー(19b)を介してミラー1(7)に導かれ、ミラー1(7)を介して光共振器(1)に入れられ、経路3(p3)で、ミラー1(7)で反射される増幅されない変調高調波(24)、及び光共振器(1)からミラー1(7)を介して滲み出る高調波(25)の重畳波が、フィードバック制御システム(6)に入れられ、フィードバック制御信号(17)に変換され、ミラー(8)に付帯されるピエゾ素子(9)に伝送される。これは、一つの発振レーザー源を用いる場合のシステムである。
本発明には、図1、図2の他に、複数の発振レーザー源を含む場合のシステムも含まれる。
図3は、図1の光共振器の代わりに4鏡光共振器を用いる光共振器システム(C)を示す。重複を避けるために、4鏡光共振器の光学系だけを示す。4鏡光共振器(26)は、4つの平面ミラー(27-30)及びピエゾ素子を備える。増幅レーザー(13)を4鏡光共振器(26)に入れる入射方向と変調波(14)を4鏡光共振器に入れる入射方向は互いに異なるので、両レーザーは、互いに干渉し合うことはない。4鏡光共振器(26)は、ミラー1(27)によって反射される変調波(14)の反射方向、及びミラー1(27)を通過して滲み出る変調波(16)の出射方向を重畳させるように、又、フィードバック制御系(6)に該2つの変調波(14,15)の重畳波を入れられるように配置される。フィードバック制御系(6)により作られるフィードバック制御信号がミラー(28)に取り付けられているピエゾ素子(9)に送られる。前記4つのミラーは、好ましくは、高反射率のミラーである。前記4鏡光共振器(26)内のレーザーは、4つのミラーのうち任意のミラーの後方に備えるピンフォトダイオードによりモニターできる。
図4は、図1の光共振器の代わりに他のタイプの4鏡光共振器を用いる光共振器システム(D)を示す。重複を避けるために、4鏡光共振器の光学系だけを示す。4鏡光共振器(31)は、一対の平面ミラー(32,34)と一対の凹面ミラー(33,35)とピエゾ素子を備える。増幅レーザー(13)を4鏡光共振器(31)に入れる入射方向と変調波(14)を4鏡光共振器(31)に入れる入射方向は、互いに異なるので、両レーザーは、互いに干渉し合うことはない。4鏡光共振器(31)は、ミラー1(32)によって反射される変調波(14)の反射方向、及びミラー1(32)を通過して滲み出る変調波(16)の出射方向を重畳させるように、又、フィードバック制御系(6)に該2つの変調波(14,15)の重畳波を入れられるように配置される。フィードバック制御系(6)により作られるフィードバック制御信号がミラー(33)に取り付けられているピエゾ素子(9)に送られる。前記4つのミラーは、好ましくは、高反射率のミラーである。4鏡光共振器(31)内のレーザーは、4つのミラーのうち任意のミラーの後方に備えるピンフォトダイオードによりモニターできる。4鏡光共振器(31)として、一対の円筒凹面ミラーと一対の凹面ミラーを2次元に配置した2次元4鏡光共振器、一対の平面ミラーと一対の凹面ミラーを2次元に配置した2次元4鏡光共振器、又は一対の平面ミラーと一対の凹面ミラーを3次元に配置した3次元4鏡光共振器、等を用いることができる。
図5は、図2の光共振器の代わりに4鏡光共振器を用いる光共振器システム(E)を示す。重複を避けるために、4鏡光共振器の光学系だけを示す。4鏡光共振器(26)は、4つの平面ミラー(27-30)及びピエゾ素子を備える。変調高調波(22)及び増幅レーザー(23)の重畳波が、ミラー(27)を介して4鏡光共振器(26)に入れられる。4鏡光共振器(26)は、ミラー1(27)によって反射される変調高調波(24)の反射方向、及びミラー1(27)を通過して滲み出る高調波(25)の出射方向を重畳させるように、又、フィードバック制御系(6)に該2つの高調波(24,25)の重畳波を入れられるように配置される。フィードバック制御系(6)により作られるフィードバック制御信号(17)がミラー(28)に取り付けられているピエゾ素子(9)に送られる。前記4つのミラーは、好ましくは、高反射率のミラーである。4鏡光共振器(26)内のレーザーは、4つのミラーのうち任意のミラーの後方に備えるピンフォトダイオードによりモニターできる。
図6は、図2の光共振器の代わりに他のタイプの4鏡光共振器を用いる光共振器システム(F)を示す。重複を避けるために、4鏡光共振器の光学系だけを示す。4鏡光共振器(31)は、一対の平面ミラー(32,34)と一対の凹面ミラー(33,35)とピエゾ素子を備える。変調高調波(22)及び増幅レーザー(23)の重畳波が、ミラー(32)を介して4鏡光共振器(31)に入れられる。4鏡光共振器(31)は、ミラー1(32)によって反射される変調高調波(24)の反射方向、及びミラー1(32)を通過して滲み出る高調波(25)の出射方向を重畳させるように、又、フィードバック制御系(6)にこれら2つの高調波(24,25)の重畳波を入れられるように配置される。フィードバック制御系(6)により作られるフィードバック制御信号(17)がミラー(33)に取り付けられているピエゾ素子(9)に送られる。前記4つのミラーは、好ましくは、高反射率のミラーである。4鏡光共振器(31)内のレーザーは、4つのミラーのうち任意のミラーの後方に備えるピンフォトダイオードによりモニターできる。4鏡光共振器(31)として一対の平面ミラーと一対の円筒凹面ミラーを2次元に配置した2次元4鏡光共振器、一対の円筒凹面鏡と一対の凹面鏡を2次元に配置した2次元4鏡光共振器、又は一対の平面ミラーと一対の凹面ミラーを3次元に配置した3次元4鏡光共振器、等を用いることができる。
本発明において、増幅されない振幅変調波又は位相変調波を光共振器の共振器長の調整のために用いることができるのは、本発明で用いる光共振器が備える高反射率のミラーには、通常、誘電多層膜がコートされており、該誘電多層膜上で入射パルスレーザーと光共振器内のパルスレーザーが重なる時に位相の不一致があれば、入射パルスレーザーと光共振器内のパルスレーザーの重畳波は、共鳴位置の離調を反映しているので、この重畳波を後述のフィードバック制御系に入れることにより、離調によるフィードバック制御信号を作ることができるからである。
本発明において、振幅変調又は位相変調された高調波を光共振器の共振器長の調整に用いることができるのは、例えば、高調波が第2高調波の場合には、第2高調波は、基本波の0度と180度で共鳴し、また位相回転特性が異なるのでオフセットが発生するけれども、しかし、この量は、光共振器の構造が決まれば一定であるので、光共振器調整時に規格化できるからである。前記高調波は、第2高調波の他に、第3高調波、第5高調波、第7高調波、等でもよい。
本発明における光共振器は、レーザーの増幅及び蓄積のために用いられる。該光共振器は、複数のミラーとピエゾ素子を備える。光共振器に入ったレーザーは、ミラーにより反復反射され、ミラーに付帯されたピエゾ素子によりミラー間距離に相当する共振器長が調整される。該光共振器は、周回光路中の微粒子によるレーザー散乱を防止するために真空下に置くのが好ましい。この真空度は、10-6Pa以下であるのが好ましい。該光共振器は、図1〜6の光共振器に限定されるものではない。該光共振器としては、変調波を導入するポート、増幅レーザーを導入するポート、フィードバック制御信号を導入するポート、及び光共振器内のレーザーをモニターするポートを備える、4枚のミラーを配置する4鏡光共振器であるのが好ましい。4枚のミラーのうちの一対のミラーは、大強度レーザーを蓄積するために高反射率のミラーであるのが好ましい。ミラーの反射率は、99.99%以上100%未満であるのが好ましい。ミラーの反射率を99.99%以上にするのは、光共振器に1mJ以上のパルス強度を有する大強度レーザーを蓄積するためである。ミラーの反射率を100%未満にするのは、蓄積レーザーの一部をミラーを介して光共振器に入出射させるためである。通常、Rは、99.999%以上である。
本発明におけるレーザー増幅器、バースト増幅器ともいう、は、レーザーを一瞬にして1万倍程度の飛躍的に高いバースト増幅を行うために用いられる。該増幅器は、例えば、増幅を段階的に行うことが可能な非循環型の多段ファイバーレーザー増幅器、LD励起固体レーザー、4鏡光共振器等であるが、これらに限定されるものではない。前記レーザー増幅器は、パルス運転が可能な増幅器であるのが好ましい。パルス運転のサイクルは、光共振器の運転に応じて適宜決定される。
本発明におけるレーザー発振器は、或る所定の波長を持つモードロックレーザー、これをモードロックレーザーの基本波という、を発振するために用いられる。該レーザー発振器は、例えば、LD励起レーザー発振器や光周回路を持つレーザー発振器等であるが、これらに限定されるものではない。本発明では、通常、前記レーザー発振器により発振される波長1064nmの短パルスレーザーを用いる。
本発明における電気光学変調器は、電気光学的効果によりレーザーに振幅変調又は位相変調を与えるために用いられる。該電気光学変調器としては、レーザーに電気光学的効果を与える電気光学材料を備えた従来の電気光学変調器等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
電気光学変調器により発振レーザー又は高調波に与えられる変調幅は、使用レーザーの周波数帯域に応じて適宜決定される。本発明では、波長1062nmのモードロックレーザー又は波長532nmの第2高調波に対しては、通常、数MHz〜10MHzの変調が与えられる。
本発明における波長変換器は、レーザーの基本波を高調波に変換するために用いられる。該波長変換器は、例えば、非線形光学結晶材料を用いるレーザー波長変換器等をあげることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、βホウ酸バリウム(BBO)結晶、リチウム・トリボレート(LBO)結晶、等を持つレーザー波長変換器が、通常用いられる。
本発明におけるフィードバック制御系は、増幅されない変調波又は高調波からフィードバック制御信号を作り、該フィードバック制御信号を光共振器に備えるピエゾ素子に伝送し、光共振器の共振器長を調整するために用いられる。該フィードバック制御系は、[レーザー分離器―復調器―光検波器―ロックインアンプ―サーボアンプ]の回路等、及び、各種の演算を行うマイクロプロセッサ、又は演算機能が組み込まれたFPGAやASIC等のLSIなどが搭載された演算基板と、を備える電子回路が好ましい。レーザー分離器は、重畳波をそれぞれの成分に分離する手段である。復調器は、変調波又は変調高調波を復調する手段である。光検波器は、レーザー光を電気信号に変換する手段であり、ロックインアンプは、電気信号からエラー信号を抽出する手段であり、サーボアンプは、電気信号を機械的な駆動信号に変換する手段である。すなわち、ミラー1によって反射される変調波(15)又は変調高調波(15)及びミラー1を介して光共振器から滲み出る変調波(16)又は高調波(16)の重畳波が、フィードバック制御系(6)に入れられ、レーザー分離器によりそれぞれの成分に分離され、復調器により復調され、検波器により電気信号に変換され、該電気信号からロックインアンプによりエラー信号が作られ、該エラー信号がサーボポンプにより機械駆動信号(17)に変換され、該機械駆動信号(17)がピエゾ素子(9)に伝送され、ピエゾ素子(9)により共振器長が調整され、その結果、光共振器内のレーザーの共鳴が維持される。
本発明におけるフィードバック制御信号とは、前記のエラー信号、機械駆動信号、等の電気信号のことである。
ミラー1により反射された変調波(15)を検波器に入れる代わりに、電気光学変調器に印加する変調信号を直接、ロックインアンプに入れることにより上記と同じエラー信号を生じさせる経路を設けることもできる。
図1において、経路1(p1)と経路2(p2)の分岐点に介在するビームスプリッター(4)は、レーザー発振器の発振レーザーを2つのビームに分割するための光学デバイスとして用いる。該ビームスプリッターは、2つのレーザー発振器を設ければ必要ないので、本発明には必ずしも必要ではなく、好ましくは本発明に含まれてもよい手段である。該ビームスプリッターは、例えば従来のビームスプリッター等であるが、これらに限定されるものではない。
図2において、経路1(p1)と経路2(p2)に介在する波長分離ミラー(19a,19b)は、レーザー波長変換器(18)により派生させる高調波と基本波を分離するための光学デバイスとして用いる。該波長分離ミラーは、高調波を発振するレーザー発振器を設ければ必要ないので、本発明には必ずしも必要ではなく、好ましくは本発明に含まれてもよい手段である。該波長分離ミラーは、例えば、二色性ミラー等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、第2高調波を透過させ、基本波を反射させることができる二色性ミラーが、適宜、選択される。
図1及び図2において、光共振器(1)の中にある蓄積レーザーの一部を光共振器のミラーのどれかを介して増幅器(2)に入れ、増幅器(2)により更に増幅して、ミラー1に導き、ミラー1を介して光共振器(1)に入れる経路を設けることもできる。
光共振器システム(C)を用いてレーザー蓄積を行う。レーザー発振器として1064nmのモードロックレーザーを発振するレーザーダイオード励起レーザー発振器を用いる。光共振器として4つの平面ミラーとピエゾ素子を備える4鏡光共振器を用いる。レーザー増幅器として多段レーザーダイオード励起固体レーザー発振器を用いる。ビームスプリッターとして従来のビームスプリッターを用いる。電気光学変調器として従来の電気光学変調器を用いる。レーザー発振器から発振される波長1064nmのモードロックレーザーをビームスプリッターにより2つのビームに分岐し、分岐された片方のビームをレーザー増幅器に入れ、約1万倍増幅し(パワー:100W)、該増幅レーザーをミラー1(27)に導き、ミラー1(27)をとおして4鏡光共振器(26)に入れる一方、分岐されたもう片方のビームを電気光学変調器に入れ、約5MHzの振幅変調を与えることにより変調波(14)を生じさせ、該変調波(14)を増幅させることなく4鏡光共振器(26)のミラー(27)に導き、ミラー1(27)を反射した変調波(15)、及び、ミラー1(27)を透過して4鏡光共振器(26)に入り再びミラー(26)から滲みだした変調波(16)の重畳波をフィードバック制御系(6)に入れ、該2入力に基づくフィードバック制御信号(17)を発生させ、4鏡光共振器(26)のミラー(28)に設けられたピエゾ素子(9)に伝送し、4鏡光共振器(26)の共振器長を制御する。増幅器による増幅は、1秒のうちの1ミリ秒のみがバースト増幅状態にあるように、バースト増幅時間を100μ秒―10Hz運転で1時間運転する。4鏡光共振器(26)の中にあるレーザーパルスをミラー(29)の後方に配設したフォトダイオード(省略)によりモニターする。その結果、4鏡光共振器(26)には、1mJ以上のパルス強度を有するMWクラスのレーザーパルスが蓄積されていることを確認する。該蓄積レーザーのピーク出力は、約1MWであり、平均出力は、約21kWである。本発明がこのような大強度レーザーパルスの蓄積が可能であるのは、増幅器による増幅後のパワーを100Wとしており、4鏡光共振器(26)により更に約1万倍の増幅が可能であるからである。すなわち、光共振器のミラーの熱変形やレーザー損傷をほとんど受けることなく光共振器内のレーザーの共鳴制御を長時間安定的に行うことが可能である。このように光共振器のミラーの熱変形やレーザー損傷をほとんど受けることがないのは、光共振器に大強度レーザーパルスが滞在している時間が1秒のうちの1ミリ秒であり、約1MWのピークパワー(平均パワーは約21kW)に対して、ミラーの熱吸収は平均パワーの100ppm以下であるので2.1W以下であり、したがって、ミラーをほとんど変形させないほどの熱負荷であり、また、ミラーによる散乱ロスは200ppm以下であるので4.2W以下であるので、したがって、ミラーにレーザー損傷をほとんど与えることがないほどの熱負荷であるからである。それゆえ、本発明は、メガワット級のパルスレーザーを蓄積中に光共振器内のレーザーの共鳴状態を安定的に維持することができる。このことは、光共振器の中にあるパルスレーザーの波形の測定から証明される。図7にモニターされた共鳴点におけるフィードバック制御信号の波形(15と16の差信号)、振幅変調波の波形、及び増幅レーザーの波形を示す。図7から、振幅変調波の共鳴ピークと増幅レーザーの共鳴ピークが全く同じ位置、全く同じ形で観測されており、ピークの頂点において正負が反転するフィードバック制御信号が生成されていることが確認される。すなわち、本発明は、共鳴制御信号を作るためのフィードバック制御信号として増幅されない変調波を用いることにより安定的に共振器の制御を行うことができる。すなわち、本発明は、共鳴信号を作るためのフィードバック制御信号を増幅されない高調波から作ることにより安定的に共振器の制御を行うことができる。従来は、共振器の共振器長を制御するために光共振器に蓄積された増幅レーザーのレーザー強度を利用していたので、レーザー増幅時には光共振器内のレーザー強度が非常に強くなるので、ミラーに与える熱負荷が大きくなり、そのため、共鳴制御を継続することが困難になり、レーザー増幅時には一時的に共鳴制御を止めることがあった。従来の方法では、レーザー蓄積強度の揺らぎが非常に大きく、約100%の幅の揺らぎであったが、本発明におけるフィードバック制御機構は増幅されない変調波を共振器長の制御のために用いるので、バースト増幅時においても定常的な共鳴制御が可能であり、レーザー蓄積強度の揺らぎを約85%改善することが可能である。
光共振器システム(F)を用いてレーザー蓄積を行う。レーザー発振器として波長1064nmのモードロックレーザーを発振するレーザーダイオード励起レーザー発振器を用いる。光共振器として一対の平面ミラー(32,34)と一対の凹面ミラー(33,35)を備える4鏡光共振器(31)を用いる。レーザー増幅器として多段レーザーダイオード励起固体レーザー発振器を用いる。波長変換器として、非線形光学材料一つであるBBO結晶を備える波長変換器を用いる。波長分離ミラーとして二色性ミラーの一つであるNd:YAG/SHG二波長レーザーミラーを用いる。レーザー発振器から発振される波長1064nmのモードロックレーザーの一部をレーザー波長変換器により第2高調波に変換し、続いて、レーザー分離デバイスにより第2高調波と基本波とに分離し、分離された高調波を電気光学変調器に入れ、約5MHzの振幅変調を与えることにより第2高調波の変調波を生じさせ、該変調された第2高調波を波長分離ミラーに導く。一方、分離された基本波をレーザー増幅器に入れ、約1万倍増幅し(パワー:100W)、該増幅レーザーを波長分離ミラーに導く。レーザー分離デバイスに導かれた前記変調された第2高調波(24)と増幅レーザー(25)は、波長分離ミラーにより重ね合わされてミラー1(32)に導かれ、ミラー1(32)を介して光共振器(1)に入れられる一方、ミラー1(30)を反射した高調波(24)、及び、ミラー(32)を透過して4鏡光共振器(31)に入り再びミラー(32)から滲みだす高調波(25)の重畳波をフィードバック制御系(6)に入れ、該2入力に基づくフィードバック制御信号(17)を発生させ、4鏡光共振器(31)のミラー(33)に設けられたピエゾ素子(9)に伝送し、4鏡光共振器(31)の共振器長を制御する。レーザー増幅器による増幅は、1秒のうちの1ミリ秒のみがバースト増幅状態にあるように、増幅時間を100μ秒―10Hz運転で1時間運転する。4鏡光共振器(31)の中にあるレーザーパルスをミラー(34)の後方に配設したフォトダイオード(省略)によりモニターする。その結果、4鏡光共振器(31)には、1mJ以上のパルス強度を有するMWクラスのレーザーパルスが蓄積されていることを確認する。蓄積レーザーのピーク出力は、約1MWであり、平均出力は、約21kWである。本発明がこのような大強度レーザーパルスの蓄積が可能であるのは、レーザー増幅器による増幅後のパワーを100Wとしており、4鏡光共振器(31)により更に約1万倍の増幅が可能であるからである。すなわち、光共振器のミラーの熱変形やレーザー損傷をほとんど受けることなく光共振器内のレーザーの共鳴制御を長時間安定的に行うことが可能である。このように光共振器のミラーの熱変形やレーザー損傷をほとんど受けることがないのは、光共振器に大強度レーザーパルスが滞在している時間が1秒のうちの1ミリ秒であり、約1MWのピークパワー(平均パワーは約21kW)に対して、ミラーの熱吸収は平均パワーの100ppm以下であるので2.1W以下であり、したがって、ミラーをほとんど変形させないほどの熱負荷であり、また、ミラーによる散乱ロスは200ppm以下であるので4.2W以下であるので、したがって、ミラーにレーザー損傷をほとんど与えることがないほどの熱負荷であるからである。それゆえ、本発明は、メガワット級のパルスレーザーを蓄積中に光共振器内のレーザーの共鳴状態を安定的に維持することができる。このことは、光共振器の中にあるパルスレーザーの波形の測定から証明される。図8にモニターされた共鳴点におけるフィードバック制御信号の波形(24と25の差信号)、高調波の波形、及び増幅レーザーの波形を示す。図8から、振幅変調波の共鳴ピークと増幅レーザーの共鳴ピークが全く同じ位置、全く同じ形で観測されており、ピークの頂点において正負が反転するフィードバック制御信号が生成されていることが確認される。すなわち、本発明は、共鳴信号を作るためのフィードバック制御信号を増幅されない高調波から作ることにより安定的に共振器の制御を行うことができる。従来は、共振器の共振器長を制御するために光共振器に蓄積されたレーザーのレーザー強度を利用していたので、レーザー増幅時には光共振器内のレーザー強度が非常に強くなるので、ミラーに与える熱負荷が大きくなり、そのため、共鳴制御を継続することが困難になり、レーザー増幅時には一時的に共鳴制御を止めることがあった。従来の方法では、レーザー蓄積強度の揺らぎが非常に大きく、約100%の幅の揺らぎがあったが、本発明におけるフィードバック制御機構は増幅されない高調波を共振器長の制御のために用いるので、バースト増幅時においても定常的な共鳴制御が可能であり、レーザー蓄積強度の揺らぎを約85%改善することが可能である。
上記記載は実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の精神と添付の請求の範囲の範囲内で種々の変更および修正をすることができることは当業者に明らかである。
本発明は、レーザーコンプトン散乱によるX線を発生させるレーザー光源や大強度レーザー発振器等に関する医療機器、診断機器、材料分析装置、構造解析装置、材料加工等の多くの産業に幅広く利用できる。
A 光共振器システム
B 光共振器システム
C 光共振器システム
D 光共振器システム
E 光共振器システム
F 光共振器システム
pA 経路A
pB 経路B
p1 経路1
p2 経路2
p3 経路3
1 光共振器
2 レーザー増幅器
3 レーザー発振器
4 ビームスプリッター
5 電気光学変調器
6 フィードバック制御系
7 ミラー1
8 ミラー
9 ピエゾ素子
10 発振レーザー
11 分割レーザー
12 分割レーザー
13 増幅レーザー
14 変調波
15 反射された変調波
16 光共振器から滲みだした変調波
17 フィードバック制御信号
18 波長変換器
19a 波長分離ミラー
19b 波長分離ミラー
20 分離された高調波
21 分離された基本波
22 増幅レーザー
23 変調高調波
24 反射高調波
25 光共振器から滲みだした高調波
26 4鏡光共振器
27 ミラー1
28 ミラー
29 ミラー
30 ミラー
31 4鏡光共振器
32 ミラー1
33 ミラー
34 ミラー
35 ミラー

Claims (3)

  1. 光共振器と、レーザー発振器及びレーザー増幅器を直列に光共振器のミラー1に接続する経路1と、レーザー発振器及び発振レーザーを変調波に転調する電気光学変調器を直列に光共振器のミラー1に接続する経路2と、光共振器のミラー1及び変調波からフィードバック制御信号を作るフィードバック制御系を直列に光共振器のピエゾ素子に接続する経路3と、を備える光共振器システムであって、ミラー1によって反射される増幅されない変調波及びミラー1を介して滲み出る変調波との重畳波がフィードバック制御信号に変換され、このフィードバック制御信号によって光共振器が制御されることを特徴とする光共振器システム。
  2. 光共振器と、レーザー発振器及びレーザー増幅器を光共振器のミラー1に直列に接続する経路1と、レーザー発振器、発振レーザーを高調波に変換する波長変換器、及び高調波を変調高調波に転調する電気光学変調器を光共振器のミラー1に直列に接続する経路2と、及び光共振器のミラー1及び変調波からフィードバック制御信号を作るフィードバック制御系を光共振器のピエゾ素子に直列に接続する経路3と、を備える光共振器システムであって、ミラー1で反射される増幅されない変調高調波及びミラー1を介して滲み出る高調波の重畳波が、フィードバック制御信号に変換され、このフィードバック制御信号によって光共振器が制御されることを特徴とする光共振器システム。
  3. 前記光共振器が4鏡光共振器であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光共振器システム。
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