JP6020112B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子材料及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記有機層の少なくとも1層に、第1項〜第10項の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料が含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
即ち、本発明に係る有機EL素子材料は、一般式(1)で表される構造のR1〜R3の何れかの部位に、一般式(A’)で表されるフレキシブルな部分構造を有することにより、同一材料間若しくは異種材料間で、良好な相互作用を示す。すなわち、ホスト化合物として用いた場合においては、本発明に係る有機EL素子材料とドーパントとの相溶性が向上し、ドーパントの凝集が抑制され、結果的に濃度消光、励起子同士の相互作用による消光等の問題が抑制されると推定している。これにより、高い発光効率、低駆動電圧、更に、発光の長寿命化を同時に達成できているものと考えられる。
また、本発明に係る有機EL素子材料は、後述する一般式(DP)に代表されるリン光発光性化合物と新和性の高い置換基を分子内に有するため、発光ホスト化合物として使用することで、非晶質を保ったまま発光層内の分子間のパッキングを密にし、π電子間の相互作用を大きくすることで、電気特性(低電圧駆動性)を向上させ、その結果素子寿命を向上させることができるものと推定される。
更に、本発明に係る有機EL素子材料は、一般式(A’)に代表されるフレキシブルな置換基を分子内に有するため、形成した層の非晶質性を保つことができ、非常に均質な薄膜を形成することができる。これにより、形成された膜の状態が不均一なために生じる、発光素子の画素欠陥の問題を大きく改善できたものと推定される。
また、本発明に係る有機EL素子材料は、一般式(1)におけるR1の位置に置換基を有することにより、励起された分子が安定化される。これにより、発光ホストからドーパントへの励起エネルギーの移動が改良され、発光効率の改善が可能となった。また、分子が励起状態で安定に存在できるため、層内でのキャリア移動がより改善され、駆動電圧を低下することが可能となった。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、本発明においては、一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1−1−1)で表される化合物であることが好ましい。これにより、有機EL素子の発光寿命を向上させることができる。これは、一般式(1−1−1)で表される化合物が、とりわけ、電気的安定性が高いため、素子の発光の長寿命化に寄与しているものと考えられる。
また、本発明においては、一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1−2−1)で表される化合物であることが好ましい。これにより、有機EL素子の発光効率及び発光寿命を向上させることができる。これは、一般式(1−2−1)で表される化合物が、高い電気的堅牢性に加え、高い三重項励起エネルギーを有するため、素子の発光効率の向上及び発光の長寿命化に寄与しているものと考えられる。
また、本発明においては、一般式(1)、(1−1)、(1−1−1)、(1−2)又は(1−2−1)において、L1が、単結合を表すことが好ましい。これにより、有機EL素子の発光効率及び発光寿命を向上させることができる。これは、各一般式で表される化合物において、L1が単結合である場合が、最も電気的堅牢性が高いためと推定される。
また、本発明においては、一般式(1)、(1−1)、(1−1−1)、(1−2)又は(1−2−1)において、mが、3〜5の整数を表すことが好ましい。mが2以下であると、一般式(A’)で表される基が有するフレキシビリティーが消失してしまい、薄膜形成能を失うため、画素欠陥が生じやすくなってしまう。mが11以上であると、化合物全体の分子量が増大しすぎるため、逆に溶剤溶解性が著しく低下してしまい、塗布ムラが発生しやすくなってしまう。したがって、mが3〜10である場合が適切なフレキシビリティーを有するが、フレキシビリティーと溶剤溶解性の観点でmが3〜5の範囲にあることが最も有効であると推定される。
また、本発明においては、一般式(A’)で表される基が、下記一般式(A”)で表される基であることが好ましい。一般式(A”)で表される基は、芳香環がメタ位で連結した構造であり、他の連結構造に比べ、フレキシビリティーがより高い。特に、一般式(A”)で表される基を有する化合物を発光ホストとして用いた場合、発光性ドーパントとの密なパッキングを形成し、膜の非晶質性をより大きく向上させることができると推定される。
また、本発明においては、一般式(1)、(1−1)、(1−1−1)、(1−2)又は(1−2−1)において、n2及びn3の少なくとも一方が、1を表すことが好ましい。即ち、各一般式においては、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環上に、カルバゾール基以外に少なくとも一つの置換基を有することが好ましいことを意味する。これにより、各一般式で表される化合物の溶剤溶解性がより向上し、特にウェットプロセスによる有機層形成時に塗布ムラの改善に有効であると推定される。
また、本発明においては、一般式(1)、(1−1)、(1−1−1)、(1−2)又は(1−2−1)において、Xが、酸素原子を表すことが好ましい。これにより、Xが硫黄原子を表す場合と比較して、各一般式で表される化合物の堅牢性がより向上するため、発光寿命がより向上すると推定している。
本発明に係る有機EL素子材料は、下記一般式(1)で表される化合物である。本発明に係る有機EL素子には、下記一般式(1)で表される化合物が含有されているものであるが、発光層及び電子輸送層の少なくとも何れか一方に含有されていることが好ましい。
L1で表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、シリル基、ホスフィンオキシド基、芳香族炭化水素環から導出される2価の連結基、芳香族複素環から導出される2価の連結基、非芳香族炭化水素環から導出される2価の連結基、非芳香族複素環から導出される2価の連結基、又はこれらの組み合わせから導出される2価の連結基等が挙げられる。
ここで、芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、トリフェニレン環、インデン環、フルオレン環等が好ましい。芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾフラノインドール環、インドロインドール環等が好ましい。非芳香族炭化水素環としては、例えば、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘキサジエン環、テトラヒドロナフタレン環、ジヒドロインデン環等が好ましい。非芳香族複素環としては、例えば、ピペリジン環、モルフォリン環、ピペラジン環、ピラジン環、チオモルフォリン環、アザボリナン環、ボリナン環等が好ましい。
R1〜R3はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。R1〜R3がそれぞれ複数存在する場合は、各々のR1〜R3は同じであっても異なっていても良く、更に互いに結合して環を形成しても良い。
R1〜R3で表される置換基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が好ましく、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環としては、好ましくはベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、インドロインドール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イミダゾール環又はトリアジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環が挙げられる。
n1は、好ましくは1又は2である。
L2で表される2価の連結基としては、上記した一般式(1)においてL1で表される2価の連結基と同様のものが挙げられる。
*は、前記一般式(1)で表される構造との結合部位を表す。
また、一般式(1)、(1−1)、(1−1−1)、(1−2)又は(1−2−1)において、n2及びn3の少なくとも一方は、1を表すことが好ましい。
また、一般式(1)、(1−1)、(1−1−1)、(1−2)及び(1−2−1)において、Xは、酸素原子を表すことが好ましい。
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
本発明に係る発光層は、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であっても良い。
発光性ドーパント(発光ドーパント、単にドーパントともいう)について説明する。発光性ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)、リン光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができる。
本発明に係るリン光ドーパント(リン光発光ドーパントともいう)について説明する。
本発明に係るリン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒の何れかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されれば良い。
本発明に係る有機EL素子には、下記一般式(DP)、(DP−1)、(DP−2)及び(DP−2a)の何れかで表されるリン光発光性化合物が含有されていることが好ましい。当該リン光発光性化合物は、本発明の有機EL素子の構成層の何れかの層に用いることができるが、本発明の効果(素子の発光効率(詳しくは、外部取り出し量子効率、単に効率ともいう)の向上、半減寿命の増大)を十分に得る観点からは、素子の発光層に含有されていることが好ましく、更に、上記した一般式(1)で表される有機EL素子材料と共に発光ドーパント(単にドーパントともいう)として発光層に含有されていることが好ましい。
環Z2は5員の芳香族複素環であることが好ましく、B1及びB2の少なくとも一つは窒素原子であることが好ましい。
B3〜B5が有していても良い置換基としては、上記した一般式(DP)における環Z1及び環Z2が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
L"で表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、2価の複素環基、−O−、−S−、又はこれらを任意に組み合わせた連結基等が挙げられる。
以下、上記した一般式(DP)、(DP−1)、(DP−2)及び(DP−2a)の何れかで表されるリン光発光性化合物の具体例を以下に示すが本発明はこれらに限定されない。
例えば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等である。
蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素又は希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
また本発明に係る発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いても良く、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いても良い。
本発明において発光ホスト化合物(ホスト化合物、発光ホスト、ホスト材料等ともいう)は、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層若しくは複数層を設けることができる。
更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの層厚で作製した後に、後述する陽極の説明で挙げる導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
注入層は必要に応じて設ける層であり、電子注入層と正孔注入層がある。注入層は、上記の層構成に示すように、陽極と正孔輸送層との間や、陰極と電子輸送層との間に存在させても良いし、陽極と発光層との間や、陰極と発光層との間に存在させても良い。
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)として求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の一種又は2種以上からなる一層構造であっても良い。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であっても良い。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
ここで、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極からなる素子の作製方法について説明する。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法等があるが、精密な薄膜が形成可能で、且つ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層ごとに異なる成膜法を適用しても良い。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等から形成されたものを挙げることができる。
金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m2・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m2・24h)以下のものであることが好ましい。
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けても良い。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであっても良いし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であっても良い。
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。本発明の表示装置は単色でも多色でも良いが、ここでは多色表示装置について説明する。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
図1は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
制御部Bは表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。図2においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
画素は有機EL素子10、スイッチングトランジスター11、駆動トランジスター12、コンデンサー13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスター11と駆動トランジスター12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でも良い。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
本発明の照明装置について説明する。本発明の照明装置は上記有機EL素子を有する。
本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いても良く、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用しても良い。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでも良い。また、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたものの何れでも良いが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけで良い。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すれば良い。
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図5及び図6に示すような照明装置を形成することができる。
以下に説明する実施例で用いられる化合物の構造を以下に示す。なお、以下に示すcH−1〜cH−6、kH−7〜kH−11及びDPM−2は、比較例の有機EL素子に用いられる化合物であり、ホスト材料1−1−1〜1−1−7及び1−2−1〜1−2−7は、本発明の有機EL素子に用いられる化合物である。
《有機EL素子1−1の作製》
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
有機EL素子1−1の作製において、ドーパント、ホスト材料及び第1電子輸送材料を表18に記載の化合物に変えた以外は同様にして有機EL素子1−2〜1−18を作製した。
得られた有機EL素子1−1〜1−18を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して硬化させて封止し、図5及び図6に示すような照明装置を作製して評価した。
このようにして作製した各サンプルについて下記の評価を行った。評価結果を表18に示す。
有機EL素子を室温(25℃)、2.5mA/cm2の定電流条件下による点灯を行い、点灯開始直後の発光輝度(L)[cd/m2]を測定することにより、外部取り出し量子効率(η)(単に、効率ともいう)を算出した。ここで、発光輝度の測定はCS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いて行い、外部取り出し量子効率は有機EL素子1−1を100とする相対値で表した。
有機EL素子を室温(25℃)、2.5mA/cm2の定電流条件下で駆動したときの電圧を各々測定し、測定結果を下記に示すように、有機EL素子1−1を100として各々相対値で示した。
電圧=(各素子の駆動電圧/有機EL素子1−1の駆動電圧)×100
なお、値が小さいほうが比較に対して駆動電圧が低いことを示す。
下記に示す測定法に従って、半減寿命の評価を行った。各有機EL素子を初期輝度1000cd/m2を与える電流で定電流駆動して、初期輝度の1/2(500cd/m2)になる時間を求め、これを半減寿命の尺度とした。なお、半減寿命は有機EL素子1−1を100とする相対値で表した。
有機EL素子を作成直後、及び60℃、70%RHの条件で一ヶ月保存後、各々輝度1000cd/m2を与える電流で定電流駆動させた時、以下の式により画素欠陥率を求めた。
画素欠陥率(%)=保存後の画素欠陥面積合計/保存前の画素欠陥面積合計×100
《有機EL素子2−1の作製》
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)を100nm成膜した基板(AvanStrate株式会社製、NA−45)にパターニングを行った。その後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥して、UVオゾン洗浄を5分間行った。
有機EL素子2−1の作製において、ドーパント、ホスト材料及び第1電子輸送材料を表19に記載の化合物に変えた以外は同様にして、有機EL素子2−2〜2−18を作製した。
得られた有機EL素子2−1〜2−18を評価するに際しては、当該有機EL素子を実施例1の有機EL素子1−1〜1−18と同様に封止し、図5及び図6に示すような照明装置を形成して評価した。
このようにして作製した各サンプルに対し、実施例1と同様に、外部取り出し量子効率、半減寿命、駆動電圧、及び画素欠陥率について評価を行った。評価結果を表19に示す。なお、表3における外部取り出し量子効率、半減寿命、駆動電圧、及び画素欠陥率の測定結果は、有機EL素子2−1の測定値を100とする相対値で表した。
即ち、有機EL素子を作成後、発光面を拡大倍率100倍の光学顕微鏡で観察し、面ムラを目視評価した。
◎:ムラが全く認められない。
○:塗ムラが殆ど認められない。
△:塗ムラが若干認められる。
×:塗ムラが認められる。
××:光学顕微鏡で拡大しなくとも、肉眼でムラが認められる。
《有機ELフルカラー表示装置の作製》
図7は、有機ELフルカラー表示装置の概略構成図を示す。
ガラス基板201上に、陽極としてITO透明電極202を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)に100μmのピッチでパターニングを行った後(図7(a)参照)、このガラス基板201上であってITO透明電極202の間に非感光性ポリイミドの隔壁203(幅20μm、厚さ2.0μm)をフォトリソグラフィーで形成した(図7(b)参照)。
HT−44:20質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
(青色発光層組成物)
ホスト材料1−1−7:0.7質量部
RDp−55:0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
(緑色発光層組成物)
ホスト材料1−1−7:0.7質量部
D−1:0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
(赤色発光層組成物)
ホスト材料1−1−7:0.7質量部
D−10:0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
なお、D−1及びD−10として、下記の化合物を用いた。
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスター
12 駆動トランジスター
13 コンデンサー
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
201 ガラス基板
202 ITO透明電極
203 隔壁
204 正孔注入層
205B、205G、205R 発光層
206 陰極
A 表示部
B 制御部
Claims (12)
- 下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1−1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 下記一般式(1−1−1)で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1−2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 下記一般式(1−2−1)で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 前記一般式(1)、(1−1)、(1−1−1)、(1−2)又は(1−2−1)において、L1が、単結合を表すことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 前記一般式(A’)で表される基が、下記一般式(A”)で表される基であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 前記一般式(A’)又は(A”)において、mが、3〜5の整数を表すことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 前記一般式(1)、(1−1)、(1−1−1)、(1−2)又は(1−2−1)において、Xが、酸素原子を表すことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
- 陽極と、陰極と、発光層を含む、単層又は複数層からなる有機層とを有し、前記有機層が前記陽極と前記陰極との間に挟持された有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記有機層の少なくとも1層に、請求項1〜10の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料が含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記有機層の少なくとも1層に更に下記一般式(DP)で表されるリン光発光性化合物が含有されていることを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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