上述のように、LTE(Rel.8−LTE)において、上りリンクにおける無線アクセス方式は、DFTS−OFDMA方式をベースとする。このため、ユーザ端末UE間における信号の直交性を保つために、無線基地局装置(基地局装置)eNBにおける各ユーザ端末UEからの上り信号の受信タイミングを合わせる必要がある。LTEにおいては、このようなユーザ端末UEの送信タイミングを調整するためにTA(Timing Advance)制御を導入している。
Rel.8−LTEにおいては、ユーザ端末UEが上りリンクに用いるコンポーネントキャリア(CC)が1つであるため、ユーザ端末UE毎に1つのTAを制御すれば十分である。これに対し、上りリンクでのキャリアアグリゲーション(CA)の導入が予定されるLTE−A(Rel.10−LTE)においては、ユーザ端末UEに設定する上りリンクのCC毎(或いは、CCのセット毎)にTAを制御(すなわち、送信タイミングを制御)する必要がある。
但し、Rel.10−LTEにおける上りリンクのCAでは、対象となるCCを、連続する帯域(intra−band)内のCCに限定しているため、CC毎のTA制御はサポートされていない。一方、Rel.11−LTEにおいては、このようなCC毎のTA制御を実現するために、上りリンクにおける送信タイミングを調整するTAに関し、複数の送信タイミングを制御可能とするmultiple TAGの導入が検討されている。
以下、Rel.10−LTE及びRel.11−LTEのCAにおけるユーザ端末UEの送信タイミングについて説明する。図1A及び図1Bは、それぞれRel.10−LTE及びRel.11−LTEのCAにおけるユーザ端末UEの送信タイミングの説明図である。なお、図1においては、2つのCC#1、CC#2を用いてユーザ端末UEが上りリンク信号を送信する場合について示している。
Rel.10−LTEのCAにおいては、上述のように、対象とするCCを、連続する帯域(intra−band)内のCCに限定し、CC毎のTA制御をサポートしていないため、ユーザ端末UEの送信タイミングは、図1Aに示すように、CCに関わらず同一に設定される。一方、Rel.11−LTEのCAにおいては、不連続の帯域(inter−band)のCCを用いたCAや、マクロセル及びRRH(Remote Radio Head)セル間のCAにも対応することから、任意のCCに異なる(又は同一の)TAを設定することが検討されている。この場合、ユーザ端末UEの送信タイミングは、図1Bに示すように、異なるCC間で異なる送信タイミングに設定される。
例えば、不連続の帯域(inter−band)のCCにおいては、各CCにおける周波数特性が異なることから、最適なタイミングでの受信のために、ユーザ端末UEの送信タイミングを各CCで個別に制御する必要が生じる。一方、マクロセルとRRHセルとの間でCAを行う際には、アンテナの位置(より具体的には、アンテナの受信端)が異なるため、ユーザ端末UEの送信タイミングを各セルで個別に制御する必要が生じる。Rel.11−LTEのCAにおいては、このような環境下におけるCAもサポートすべく、異なるCC間で異なる送信タイミングにおけるユーザ端末UEからの上りリンク信号の送信を可能とする。
一方、Rel.10−LTEの上りリンクにおいては、Clustered DFTS−OFDMA方式を用いることにより、マルチキャリアを用いた同時送信が許容される。なお、このようなマルチキャリアを用いた同時送信は、必要性の観点から、一部の上りリンクチャネル間の同時送信に限定されている。具体的には、1)PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)とPUSCHとの同時送信(SRS(Sounding Reference Signal)とSRSとの同時送信を含む)、2)PUCCH(Physical Uplink Control Channel)とPUSCHとの同時送信に限定されている。PUSCHとSRSとの同時送信やPUCCHとSRSとの同時送信など、他の上りリンクチャネル(上りリンク信号)間の同時送信はサポートされていない。
しかしながら、Rel.11−LTEのCAにおいては、multiple TAGの導入に伴い、図2Aに示すように、CC間のサブフレームの一部が重複する事態が発生し得る。図2Aにおいては、CC#1(TAG#1で送信タイミングが指定されたCC)における送信タイミングが、CC#2(TAG#2で送信タイミングが指定されたCC)の送信タイミングよりも遅れて設定された場合について示している。この場合、CC#1におけるサブフレーム#1(サブフレーム#2)の後端部分における信号と、CC#2におけるサブフレーム#2(サブフレーム#3)の前端部分における信号とに重複する区間が発生する。なお、重複する区間として、例えば、1SC‐FDMAシンボルが想定される。
CC間の異なるサブフレームの一部が重複する場合、Rel.10−LTEでサポートされていない上りリンクチャネル間の同時送信の発生が想定される。例えば、図2Bに示すように、CC#1におけるサブフレーム#1の後端部分に割り当てられるSRSと、CC#2におけるサブフレーム#2の前端部分に割り当てられるPUSCHとの同時送信の発生が想定される。また、図2Bに示すように、CC#1におけるサブフレーム#2の後端部分に割り当てられるPUSCHと、CC#2におけるサブフレーム#3の前端部分に割り当てられるPUCCHとの同時送信の発生が想定される。
このような上りリンクチャネル間の同時送信の発生は、ユーザ端末UEにおける動作を混乱させるだけでなく、上りリンク信号の送信を不能とする事態を招き得る。本発明者らは、このような上りリンクチャネル間の同時送信を可能な限り回避する一方、想定される上りリンクチャネル間の同時送信に対応するユーザ端末UEの制御を予め定めておくことが、ユーザ端末UEの安定した動作の確保に寄与する点に着目し、本発明に至った。
本発明の骨子は、基地局装置eNBから、複数のコンポーネントキャリアで上りリンク信号の異なる送信タイミング情報を受信した場合でも、連続する複数のコンポーネントキャリアを用いた通信が行われる場合にはユーザ端末UEからの上りリンク信号の同時送信を回避することにより、ユーザ端末UEにおける安定した動作を確保するものである。一方、不連続の複数のコンポーネントキャリアを用いた通信が行われる場合には、ユーザ端末UEの安定した動作を阻害しない範囲で上りリンク信号の同時送信を許容することにより、上りリンクにおけるスループット特性の向上に寄与するものである。
一般に、CAは、Intra‐band Contiguous CA(以下、単にContiguous CAという)と、Inter‐band Non‐Contiguous CA(以下、単にNon‐Contiguous CAという)とに分けられる。前者は、20MHzよりも大きい連続する帯域でCAを行うものであり、例えば、3.5GHz帯のような広帯域の割り当てが行われる場合に適用される。後者は、異なる周波数バンドのキャリアを複数用いて通信を行うものであり、例えば、2GHz帯と800MHz帯の2つのキャリアを用いて通信を行う場合に適用される。また、前者においては、単一のRF(Radio Frequency)ユニットを用いて広帯域通信が行われる一方、後者においては、複数のRFユニットを用いて広帯域通信が行われる。なお、Contiguous CAは、Contiguous送信と呼ぶことができ、Non‐Contiguous CAは、Non‐Contiguous送信と呼ぶことができる。
Contiguous CAにおいては、図3に示すように、同時送信される上りリンク信号がサブフレーム内で変更されると、これに伴って送信電力が変動する。この変動区間は、一般にtransient periodと呼ばれる。このtransient periodが同一サブフレーム内で発生すると、例えば、基地局装置eNBにおける信号の復調精度が劣化するなどの問題が発生する恐れがある。このようなサブフレーム内における送信電力の変動を回避すべく、本発明に係る無線通信方法においては、Contiguous CAでCC間のサブフレームで重複が発生した場合に同時送信を回避する。
一方で、Non‐Contiguous CAでは、送信電力の制御は基本的にCC単位で、サブフレーム間で行われることから、サブフレーム内で送信電力が変動することはない。このため、本発明に係る無線通信方法においては、Non‐Contiguous CAでCC間のサブフレームで重複が発生した場合に同時送信を許容する。
但し、同時送信時に必要となる合計の送信電力がユーザ端末UEにおける最大送信電力を上回る場合には、サブフレーム内において送信電力の変動区間(すなわち、transient period)が発生し得る。この場合、本発明に係る無線通信方法においては、Contiguous CAと同様に、同時送信を回避し、或いは、サブフレーム内の合計の送信電力が最大送信電力よりも低い一定の送信電力値になるように調整する。なお、一定の送信電力値になるように調整する手法としては、後述するmax power scalingを行う場合において、同時送信で用いられる送信電力のうち、高い方の送信電力を低い方の送信電力に合わせることでサブフレーム内の送信電力を一定とする手法が考えられる。
図4は、本発明に係る無線通信方法で利用されるユーザ端末UEの動作を定めたテーブルの一例を示す図である。図4においては、異なる送信タイミングが設定される複数(ここでは、2つ)のCCの各サブフレーム間で同時送信が指示された上りリンクチャネルと、これらの上りリンクチャネルの組み合わせに応じたユーザ端末UEの動作(以下、UE動作という)とが定められている。
より具体的には、早い送信タイミングが設定されるCC(例えば、図2に示すCC#2)のサブフレームNで送信が指示される上りリンクチャネルと、遅い送信タイミングが設定されるCC(例えば、図2に示すCC#1)のサブフレームN−1で送信が指示される上りリンクチャネルと、これらの上りリンクチャネルの組み合わせに応じたUE動作とが定められている。なお、図4に示すテーブルには、説明の便宜上、双方のCCで指示される上りリンクチャネルの種別に応じて番号を付与している。以下、図4に示すテーブルに定めた各UE動作について説明する。
まず、複数のCCのサブフレーム間でPUSCHが重複する場合のUE動作について説明する(図4に示す番号1)。図5は、複数のCC(CC#1、CC#2)のサブフレーム間でPUSCHが重複する場合のUE動作の説明図である。特に、図5は、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1及び送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNの双方でPUSCHの送信が指示される場合のUE動作を示している。図5においては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたPUSCHの後端部分と、CC#2のサブフレームNに割り当てられたPUSCHの前端部分とが重複する場合について示している。
図5に示す送信タイミングが設定された場合のUE動作として、図4に示すテーブルにおいては、セカンダリセル(SCell)に割り当てられたPUSCHに関し、1)レートマッチングする内容(SCell PUSCH rate matching)、2)パンクチャリングする内容(SCell PUSCH puncture)、3)送信を省略する内容(SCell PUSCH drop)が定められている。これらのUE動作は、図5に示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合に選択される。さらに、4)同時送信を許容する内容(同時送信)が定められている。このUE動作は、図5に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合に選択される。
図5に示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合を想定する。例えば、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが遅い場合(すなわち、CC#1にプライマリセルが対応する場合)、本発明に係る無線通信方法においては、セカンダリセルに対応するCC#2のサブフレームNのPUSCHの前端部分におけるレートマッチングやパンクチャリング、或いは、PUSCH自体の送信省略(ドロップ)を選択できる。逆に、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが早い場合(すなわち、CC#2にプライマリセルが対応する場合)には、セカンダリセルに対応するCC#1のサブフレームNのPUSCHの後端部分におけるレートマッチングやパンクチャリング、或いは、PUSCH自体の送信省略(ドロップ)を選択できる。これにより、プライマリセルとセカンダリセルとの間で送信タイミングが重複する部分に関して、プライマリセルにおけるPUSCHをそのまま送信する一方、セカンダリセルにおけるPUSCHを重複しないように制御することができ、確実に同時送信を回避することが可能となる。
なお、ここでは、ユーザ端末UEから送信される情報の重要度を考慮し、プライマリセルにおける情報伝送を優先し、セカンダリセルにおける情報伝送を制御している。仮に、情報伝送にプライマリセルが含まれていない場合(すなわち、セカンダリセルのみで情報伝送が行われる場合)、上りリンク制御情報(UCI:Uplink Control Information)が含まれているCCを優先するようにしてもよい。さらに、セカンダリセルにUCIが含まれていない場合、プライマリセルの同一のTAGが設定されたセカンダリセルを優先するようにしてもよい。
一方、図5に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合には、本発明に係る無線通信方法においては、CC#1及びCC#2におけるPUSCHの同時送信を選択できる。但し、同時送信を行う場合において、max power scalingが必要となる場合、本発明に係る無線通信方法においては、規定のpower scaling ruleに従い、いずれかあるいは双方のPUSCHの送信電力を低減し、同時送信に伴う合計の送信電力を、ユーザ端末UEの最大送信電力を下回る一定の送信電力値に調整する。このとき、調整後の送信電力を送信タイミングが重複していない区間にも適用しサブフレーム内の送信電力を一定とすることにより、同一サブフレーム内でtransient periodが発生する事態を確実に防止できる。
ここで、max power scalingとは、情報伝送(ここでは、PUSCH送信)に必要となる合計の送信電力がユーザ端末UEにおける最大送信電力を上回る場合に一定の基準に従って送信電力を低減し、最大送信電力条件を満たすようにする制御をいう。図6は、このmax power scalingの一例を示す図である。図6においては、2つのCC#1、CC#2を用いてPUSCHの同時送信を行う場合について示している。なお、図6においては、横軸に周波数を示し、縦軸に送信電力を示している。
図6においては、CC#2に割り当てられたPUSCHの送信電力が、CC#1に割り当てられたPUSCHの送信電力よりも低い。なお、これらのPUSCHの送信に必要となる合計の送信電力は、ユーザ端末UEにおける最大送信電力を上回るものとする。この場合、本発明に係る無線通信方法においては、例えばCC#2に割り当てられたPUSCHの送信電力は変えずにCC#1に割り当てられたPUSCHの送信電力を低減し、低減後のCC#1のPUSCHの送信電力にサブフレーム内全体のレベルを合わせて、CC#1のPUSCHの送信電力値を一定とする。
特に、本発明に係る無線通信方法においては、以下の(式1)が成立するように、max power scalingを行う。
(式1)
PPUSCH_forCC#1+PPUSCH_forCC#2≦Pcmax
ここで、PPUSCH_forCC#1、PPUSCH_forCC#2は、それぞれCC#1、CC#2で送信されるPUSCHの送信電力を示す。また、Pcmaxは、ユーザ端末UEにおける最大送信電力を示す。
次に、複数のCCのサブフレーム間でPUSCHとPUCCHとが重複する場合のUE動作について説明する(図4に示す番号2(2A、2B))。図7は、複数のCC(CC#1、CC#2)のサブフレーム間でPUSCHとPUCCHとが重複する場合のUE動作の説明図である。特に、図7Aは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でPUCCHの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでPUSCHの送信が指示される場合について示している。また、図7Bは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でPUSCHの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでPUCCHの送信が指示される場合について示している。図7Aにおいては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたPUCCHの後端部分と、CC#2のサブフレームNに割り当てられたPUSCHの前端部分とが重複する場合について示している。図7Bにおいては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたPUSCHの後端部分と、CC#2のサブフレームNに割り当てられたPUCCHの前端部分とが重複する場合について示している。
図7に示す送信タイミングが設定された場合のUE動作として、図4に示すテーブルにおいては、セカンダリセル(SCell)に割り当てられたPUSCHに関し、1)レートマッチングする内容(PUSCH rate matching)、2)パンクチャリングする内容(PUSCH puncture)、3)送信を省略する内容(PUSCH drop)が定められている。これらのUE動作は、図7に示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合に選択される。さらに、4)同時送信を許容する内容(同時送信)が定められている。このUE動作は、図7に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合に選択される。なお、PUCCHは、常にプライマリセルで送信されることから、図4においては、セカンダリセル(SCell)の表記を省略している。
図7に示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合を想定する。例えば、図7Aに示すように、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが遅い場合(すなわち、CC#1にプライマリセルが対応する場合)、本発明に係る無線通信方法においては、セカンダリセルに対応するCC#2のサブフレームNのPUSCHの前端部分におけるレートマッチングやパンクチャリング、或いは、PUSCH自体の送信省略(ドロップ)を選択できる。逆に、図7Bに示すように、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが早い場合(すなわち、CC#2にプライマリセルが対応する場合)には、セカンダリセルに対応するCC#1のサブフレームNのPUSCHの後端部分におけるレートマッチングやパンクチャリング、或いは、PUSCH自体の送信省略(ドロップ)を選択できる。これにより、プライマリセルとセカンダリセルとの間で送信タイミングが重複する部分に関して、プライマリセルにおけるPUCCHをそのまま送信する一方、セカンダリセルにおけるPUSCHを重複しないように制御することができ、確実に同時送信を回避することが可能となる。
一方、図7に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合、本発明に係る無線通信方法においては、CC#1及びCC#2におけるPUSCH及びPUCCHの同時送信を選択できる。なお、同時送信を行う場合において、max power scalingが必要となる場合における制御については、規定のルールに従いPUSCHの送信電力が調整される。具体的には、最大送信電力を満たすようにPUSCHの送信電力を低減し、低減後の送信電力にてサブフレーム内の送信電力を一定とする。このようにサブフレーム内の送信電力を一定とすることにより、同一サブフレーム内でtransient periodが発生する事態を確実に防止できる。
次に、複数のCCのサブフレーム間でSRSとPUSCHとが重複する場合のUE動作について説明する(図4に示す番号3)。図8は、複数のCC(CC#1、CC#2)のサブフレーム間でSRSとPUSCHとが重複する場合のUE動作の説明図である。特に、図8Aは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でSRSの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでPUSCHの送信が指示される場合について示している。図8Bは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でPUSCHの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでSRSの送信が指示される場合について示している。図8Aにおいては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたSRSと、CC#2のサブフレームNに割り当てられたPUSCHの前端部分とが重複する場合について示している。図8Bにおいては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたPUSCHと、CC#2のサブフレームNに割り当てられたSRSとが重複することはない。
図8Aに示す送信タイミングが設定された場合のUE動作として、図4に示すテーブルにおいては、セカンダリセル(SCell)に割り当てられたSRSに関し、1)送信を省略する内容(SRS drop)、2)パンクチャリングする内容(SRS puncture)が定められている。また、セカンダリセル(SCell)に割り当てられたPUSCHに関し、3)レートマッチングする内容(PUSCH rate matching)、4)パンクチャリングする内容(PUSCH puncture)、5)送信を省略する内容(PUSCH drop)が定められている。これらのUE動作は、図8に示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合に選択される。さらに、6)同時送信を許容する内容(同時送信)が定められている。このUE動作は、図8に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合に選択される。
図8Aに示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合を想定する。例えば、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが遅い場合(すなわち、CC#1にプライマリセルが対応する場合)、本発明に係る無線通信方法においては、セカンダリセルに対応するCC#2のサブフレームNのPUSCHの前端部分におけるレートマッチングやパンクチャリング、或いは、PUSCH自体の送信省略(ドロップ)を選択できる。一方、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが早い場合(すなわち、CC#2にプライマリセルが対応する場合)には、セカンダリセルに対応するCC#1のサブフレームNのSRS自体の送信省略(ドロップ)や、SRSのパンクチャリングを選択できる。これにより、プライマリセルとセカンダリセルとの間で送信タイミングが重複する部分に関して、プライマリセルにおけるSRS又はPUSCHをそのまま送信する一方、セカンダリセルにおけるSRS又はPUSCHを重複しないように制御することができ、確実に同時送信を回避することが可能となる。
なお、ここでは、セカンダリセル(SCell)に割り当てられたSRS又はPUSCHの送信を制御する場合について説明している。しかしながら、SRS又はPUSCHの送信を制御する際には、プライマリセル(PCell)がどちらのCCに対応するか否かに関わらず、常にSRS又はPUSCHの送信を制御するようにしてもよい。
一方、図8Aに示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合には、本発明に係る無線通信方法においては、CC#1及びCC#2におけるSRS及びPUSCHの同時送信を選択できる。なお、同時送信を行う場合において、max power scalingが必要となる場合における制御については、SRS又はPUSCHの送信電力が調整される。具体的には、SRS又はPUSCHのいずれかあるいは双方の送信電力を、最大送信電力を満たすように低減し、低減後の送信電力に合わせて各CCにおけるサブフレーム内の送信電力を一定とする。このようにサブフレーム内の送信電力を一定とすることにより、同一サブフレーム内でtransient periodが発生する事態を確実に防止できる。
次に、複数のCCのサブフレーム間でPRACHとPUSCHとが重複する場合のUE動作について説明する(図4に示す番号4(4A、4B))。図9は、複数のCC(CC#1、CC#2)のサブフレーム間でPRACHとPUSCHとが重複する場合のUE動作の説明図である。特に、図9Aは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でPRACHSの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでPUSCHの送信が指示される場合について示している。図9Bは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でPUSCHの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでPRACHの送信が指示される場合について示している。図9Aにおいては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたPRACHの後端部分と、CC#2のサブフレームNに割り当てられたPUSCHの前端部分とが重複する場合について示している。図9Bにおいては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたPUSCHの後端部分と、CC#2のサブフレームNに割り当てられたSRSの後端部分とが重複する場合について示している。
図9に示す送信タイミングが設定された場合のUE動作として、図4に示すテーブルにおいては、セカンダリセル(SCell)に割り当てられたPRACHに関し、1)送信を省略する内容(PRACH drop)、2)パンクチャリングする内容(PRACH puncture)が定められている。また、セカンダリセル(SCell)に割り当てられたPUSCHに関し、3)レートマッチングする内容(PUSCH rate matching)、4)パンクチャリングする内容(PUSCH puncture)、5)送信を省略する内容(PUSCH drop)が定められている。これらのUE動作は、図9に示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合に選択される。さらに、6)同時送信を許容する内容(同時送信)が定められている。このUE動作は、図9に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合に選択される。
図9Aに示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合を想定する。例えば、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが遅い場合(すなわち、CC#1にプライマリセルが対応する場合)、本発明に係る無線通信方法においては、セカンダリセルに対応するCC#2のサブフレームNのPUSCHの前端部分におけるレートマッチングやパンクチャリング、或いは、PUSCH自体の送信省略(ドロップ)を選択できる。一方、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが早い場合(すなわち、CC#2にプライマリセルが対応する場合)には、セカンダリセルに対応するCC#1のサブフレームN−1のPRACH自体の送信省略(ドロップ)や、PRACHの後端部分におけるパンクチャリングを選択できる。
図9Bに示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合を想定する。例えば、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが遅い場合(すなわち、CC#1にプライマリセルが対応する場合)、本発明に係る無線通信方法においては、セカンダリセルに対応するCC#2のサブフレームNのPRACH自体の送信省略(ドロップ)や、PRACHの前端部分におけるパンクチャリングを選択できる。一方、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが早い場合(すなわち、CC#2にプライマリセルが対応する場合)には、セカンダリセルに対応するCC#1のサブフレームN−1のPUSCHの後端部分におけるレートマッチングやパンクチャリング、或いは、PUSCH自体の送信省略(ドロップ)を選択できる。これにより、プライマリセルとセカンダリセルとの間で送信タイミングが重複する部分に関して、プライマリセルにおけるPRACH又はPUSCHをそのまま送信する一方、セカンダリセルにおけるPRACH又はPUSCHを重複しないように制御することができ、確実に同時送信を回避することが可能となる。
なお、ここでは、セカンダリセル(SCell)に割り当てられたPRACH又はPUSCHの送信を制御する場合について説明している。しかしながら、PRACH又はPUSCHの送信を制御する際には、プライマリセル(PCell)がどちらのCCに対応するか否かに関わらず、常にPRACH又はPUSCHの送信を制御するようにしてもよい。
一方、図9に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合には、本発明に係る無線通信方法においては、CC#1及びCC#2におけるPRACH及びPUSCHの同時送信を選択できる。なお、同時送信を行う場合において、max power scalingが必要となる場合における制御については、PRACH又はPUSCH、あるいは双方の送信電力が調整される。具体的には、PRACH又はPUSCHの送信電力を、最大送信電力を満たすように低減し、低減後の送信電力に合わせてサブフレーム内の送信電力を一定とする。このようにサブフレーム内の送信電力を一定とすることにより、同一サブフレーム内でtransient periodが発生する事態を確実に防止できる。
次に、複数のCCのサブフレーム間でPUCCHとSRSとが重複する場合のUE動作について説明する(図4に示す番号5(5A、5B))。図10は、複数のCC(CC#1、CC#2)のサブフレーム間でPUCCHとSRSとが重複する場合のUE動作の説明図である。特に、図10Aは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でSRSの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでPUCCHの送信が指示される場合について示している。図10Bは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1、NでPUCCHの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでSRSの送信が指示される場合について示している。図10Aにおいては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたSRSと、CC#2のサブフレームNに割り当てられたPUCCHの前端部分とが重複する場合について示している。図10Bにおいては、CC#1のサブフレームNに割り当てられたPUCCHと、CC#2のサブフレームNに割り当てられたSRSとが重複する場合について示している。
図10に示す送信タイミングが設定された場合のUE動作として、図4に示すテーブルにおいては、1)SRSの送信を省略する内容(SRS drop)が定められている。このUE動作は、図10に示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合に選択される。また、2)同時送信を許容する内容(同時送信)が定められている。このUE動作は、図10に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合に選択される。
図10に示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合を想定する。例えば、図10Aに示すように、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが早い場合(すなわち、CC#2にプライマリセルが対応する場合)、本発明に係る無線通信方法においては、セカンダリセルに対応するCC#1のサブフレームN−1のSRS自体の送信省略(ドロップ)を選択できる。これにより、プライマリセルとセカンダリセルとの間で送信タイミングが重複する部分に関して、プライマリセルにおけるPUCCHをそのまま送信する一方、セカンダリセルにおけるSRSを重複しないように制御することができ、確実に同時送信を回避することが可能となる。
同様に、図10Bに示すように、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが遅い場合(すなわち、CC#1にプライマリセルが対応する場合)、本発明に係る無線通信方法においては、セカンダリセルに対応するCC#2のサブフレームNのSRS自体の送信省略(ドロップ)を選択できる。
従来、PUCCHとSRSとの間の同時送信については、PUCCHにおける最終のシンボルを空けるフォーマット(PUCCH shortened format)を適用することで可能である。しかしながら、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが遅い場合には、PUCCH shortened formatの後端部分と、SRSとが重複し得る。本発明に係る無線通信方法においては、このような事態を考慮し、セカンダリセルに対応するCC#2のサブフレームNのSRS自体の送信省略(ドロップ)を予め定めている。
一方、図10に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合には、本発明に係る無線通信方法においては、CC#1及びCC#2におけるSRS及びPUCCHの同時送信を選択できる。なお、同時送信を行う場合において、max power scalingが必要となる場合における制御については、SRSの送信電力が調整される。具体的には、SRSの送信電力を最大送信電力を満たすように低減する。
次に、複数のCCのサブフレーム間でPUCCHとPRACHとが重複する場合のUE動作について説明する(図4に示す番号6)。図11は、複数のCC(CC#1、CC#2)のサブフレーム間でPUCCHとPRACHとが重複する場合のUE動作の説明図である。特に、図11Aは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でPRACHの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでPUCCHの送信が指示される場合について示している。図11Bは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でPUCCHの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでPRACHの送信が指示される場合について示している。図11Aにおいては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたPRACHの後端部分と、CC#2のサブフレームNに割り当てられたPUCCHの前端部分とが重複する場合について示している。図11Bにおいては、CC#1のサブフレームNに割り当てられたPUCCHの後端部分と、CC#2のサブフレームNに割り当てられたPRACHの前端部分とが重複する場合について示している。
図11に示す送信タイミングが設定された場合のUE動作として、図4に示すテーブルにおいては、PRACHに関し、1)送信を省略する内容(PRACH drop)、2)パンクチャリングする内容(PRACH puncture)が定められている。このUE動作は、図11に示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合に選択される。また、3)同時送信を許容する内容(同時送信)が定められている。このUE動作は、図11に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合に選択される。
図11に示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合を想定する。例えば、図11Aに示すように、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが早い場合(すなわち、CC#2にプライマリセルが対応する場合)、本発明に係る無線通信方法においては、セカンダリセルに対応するCC#2のサブフレームN−1のPRACH自体の送信省略(ドロップ)、或いは、PRACHの後端部分のパンクチャリングを選択できる。
同様に、図11Bに示すように、プライマリセル(PCell)における送信タイミングが遅い場合(すなわち、CC#1にプライマリセルが対応する場合)、本発明に係る無線通信方法においては、セカンダリセルに対応するCC#2のサブフレームN−1のPRACH自体の送信省略(ドロップ)、或いは、PRACHの前端部分のパンクチャリングを選択できる。これにより、プライマリセルとセカンダリセルとの間で送信タイミングが重複する部分に関して、プライマリセルにおけるPUCCHをそのまま送信する一方、セカンダリセルにおけるPRACHを重複しないように制御することができ、確実に同時送信を回避することが可能となる。
一方、図11に示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合には、本発明に係る無線通信方法においては、CC#1及びCC#2におけるPRACH及びPUCCHの同時送信を選択できる。なお、同時送信を行う場合において、max power scalingが必要となる場合における制御については、PRACHの送信電力を、最大送信電力を満たすように低減し、低減後の送信電力に合わせてサブフレーム内の送信電力を一定とする。このようにサブフレーム内の送信電力を一定とすることにより、同一サブフレーム内でtransient periodが発生する事態を確実に防止できる。
次に、複数のCCのサブフレーム間でSRSとPRACHとが重複する場合のUE動作について説明する(図4に示す番号7(7A、7B))。図12は、複数のCC(CC#1、CC#2)のサブフレーム間でSRSとPRACHとが重複する場合のUE動作の説明図である。特に、図12Aは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でSRSの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでPRACHの送信が指示される場合について示している。図12Bは、送信タイミングが遅いCC#1のサブフレームN−1でPRACHの送信が指示され、送信タイミングが早いCC#2のサブフレームNでSRSの送信が指示される場合について示している。図12Aにおいては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたSRSと、CC#2のサブフレームNに割り当てられたPRACHの前端部分とが重複する場合について示している。図12Bにおいては、CC#1のサブフレームN−1に割り当てられたPRACHと、CC#2のサブフレームNに割り当てられたSRSとが重複することはない。
図12Aに示す送信タイミングが設定された場合のUE動作として、図4に示すテーブルにおいては、PRACHに関し、1)送信を省略する内容(PRACH drop)、2)パンクチャリングする内容(PRACH puncture)が定められている。また、3)SRSの送信を省略する内容(SRS drop)が定められている。これらのUE動作は、図12Aに示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合に選択される。さらに、4)同時送信を許容する内容(同時送信)が定められている。このUE動作は、図12Aに示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合に選択される。
図12Aに示すCCを用いてContiguous CAが行われる場合を想定する。この場合、本発明に係る無線通信方法においては、プライマリセルがいずれのCCに対応するかに関わらず、常にCC#2のサブフレームNのPRACH自体の送信省略(ドロップ)、或いは、PRACHの前端部分におけるパンクチャリングを選択できる。また、本発明に係る無線通信方法においては、プライマリセルがいずれのCCに対応するかに関わらず、常にCC#1のサブフレームN−1のSRS自体の送信省略(ドロップ)を選択できる。これにより、プライマリセルとセカンダリセルとの間で送信タイミングが重複する部分に関して、PRACH又はSRSを重複しないように制御することができ、確実に同時送信を回避することが可能となる。
一方、図12Aに示すCCを用いてNon‐Contiguous CAが行われる場合には、本発明に係る無線通信方法においては、CC#1及びCC#2におけるSRS及びPRACHの同時送信を選択できる。なお、同時送信を行う場合において、max power scalingが必要となる場合における制御については、SRS又はPRACHの送信電力が調整される。具体的には、SRS又はPRACH、あるいは双方の送信電力を、最大送信電力を満たすように低減する。
なお、早い送信タイミングが設定されるCC、および遅い送信タイミングが設定されるCCの情報に関しては、送信したTA情報などに基づいてネットワークNW側で推定してもよいし、あるいはユーザ端末UEが上位レイヤシグナリングでネットワークNW側に報告してもよい。
次に、上述した無線通信方法が適用される無線基地局装置(基地局装置)及び移動局装置(移動局)の実施例について説明する。以下、LTE及びLTE−Aを対象とした無線アクセスシステムを例に説明するが、それ以外のシステムへの適用を制限するものではない。
図13は、本発明に係る無線通信方法が適用される無線通信システムの構成の説明図である。図13に示すように、無線通信システム1000は、LTEシステムをベースとしており、無線基地局装置(基地局装置)200と、基地局装置200と通信する複数の移動端末装置100(1001、1002、1003、・・・100n、nはn>0の整数)とを備える。基地局装置200は、上位局、例えばアクセスゲートウェイ装置300と接続され、アクセスゲートウェイ装置300は、コアネットワーク400と接続される。移動端末装置100nはセル50において基地局装置200とLTEにより通信を行っている。尚、前記アクセスゲートウェイ装置300は、MME/SGW (Mobility Management Entity/Serving Gateway)と呼ばれてもよい。
各移動端末装置(1001、1002、1003、・・・100n)は、同一の構成、機能及び状態を有するので、以下においては特段の断りがない限り移動端末装置100nとして説明を進める。なお、説明の便宜上、基地局装置と無線通信するのは移動端末装置であるが、より一般的には移動端末も固定端末も含むユーザ装置(UE:User Equipment)でよい。
無線通信システム1000では、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。上述したように、OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
ここで、LTEシステムにおける通信チャネルについて説明する。下りリンクについては、リファレンス・シグナルと、各移動端末装置100nで共有される物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)と、物理下りリンク制御チャネル(下りL1/L2制御チャネル)とが用いられる。リファレンス・シグナルにより、CRS、CSI−RS及びDM−RSが伝送される。物理下りリンク共有チャネルにより、ユーザデータの信号が伝送される。物理下りリンク制御チャネルにより、DM−RS系列情報、スケジューリング情報、物理下りリンク共有チャネルを用いて通信を行うユーザIDや、そのユーザデータのトランスポートフォーマットの情報(すなわち、Downlink Scheduling Information)、並びに、物理上りリンク共有チャネルを用いて通信を行うユーザIDや、そのユーザデータのトランスポートフォーマットの情報(すなわち、Uplink Scheduling Grant)などが通知される。
また、下りリンクにおいては、Physical−Broadcast Channel(P−BCH)やDynamic Broadcast Channel(D−BCH)等の報知チャネルが送信される。P−BCHにより伝送される情報は、Master Information Block(MIB)であり、D−BCHにより伝送される情報は、System Information Block(SIB)である。D−BCHは、PDSCHにマッピングされて、基地局装置200より移動端末装置100nに伝送される。
上りリンクについては、各移動端末装置100で共有して使用される物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)と、上りリンクの制御チャネルである物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)とが用いられる。物理上りリンク共有チャネルによりユーザデータが伝送される。物理上りリンク制御チャネルにより、下りリンクMIMO伝送のためのプリコーディング情報、下りリンクの共有チャネルに対する送達確認情報や、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)等が伝送される。なお、PUSCHは、上りリンクデータチャネル信号と呼ぶことができ、PUCCHは、上りリンク制御チャネル信号と呼ぶことができる。
また、上りリンクにおいては、初期接続等のための物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)が定義されている。移動端末装置100は、PRACHにおいて、ランダムアクセスプリアンブルを送信する。PRACHは、ランダムアクセスチャネル信号と呼ぶことができる。
図14は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置の概略構成を示すブロック図である。図14に示す無線基地局装置200は、アンテナ202と、アンプ部204と、送受信部206と、ベースバンド信号処理部208と、呼処理部210と、伝送路インタフェース212とから主に構成されている。
このような構成の無線基地局装置200において、上りリンクのデータについては、アンテナ202で受信された無線周波数信号がアンプ部204で、AGC(Auto Gain Control)の下で受信電力が一定電力に補正されるように増幅される。増幅された無線周波数信号は、送受信部206においてベースバンド信号へ周波数変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部208で所定の処理(誤り訂正、復号など)がなされた後、伝送路インタフェース212を介して上位局装置300に転送される。呼処理部210は、上位局装置300の無線制御局との間で呼処理制御信号を送受信し、無線基地局装置200の状態管理やリソース割り当てをする。
下りリンクのデータについては、上位局装置300から伝送路インタフェース212を介してベースバンド信号処理部208に入力される。ベースバンド信号処理部208では、再送制御の処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化などがなされて送受信部206に転送される。送受信部206では、ベースバンド信号処理部208から出力されたベースバンド信号を無線周波数信号へ周波数変換する。周波数変換された信号は、その後、アンプ部204で増幅されてアンテナ202から送信される。
図15は、図14に示す無線基地局装置200におけるベースバンド信号処理部208の構成を示すブロック図である。ベースバンド信号処理部208は、レイヤ1処理部2081と、MAC(Medium Access Control)処理部2082と、RLC(Radio Link Control)処理部2083と、TA設定部2084とから主に構成されている。
レイヤ1処理部2081は、主に物理レイヤに関する処理を行う。レイヤ1処理部2081は、例えば、上りリンクで受信した信号に対して、チャネル復号化、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)、周波数デマッピング、逆フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)、データ復調などの処理を行う。また、レイヤ1処理部2081は、下りリンクで送信する信号に対して、チャネル符号化、データ変調、周波数マッピング、逆フーリエ変換(IFFT)などの処理を行う。
MAC処理部2082は、上りリンクで受信した信号に対するMACレイヤでの再送制御、上りリンク/下りリンクに対するスケジューリング、PUSCH/PDSCHの伝送フォーマットの選択、PUSCH/PDSCHのリソースブロックの選択などの処理を行う。
RLC処理部2083は、上りリンクで受信したパケット/下りリンクで送信するパケットに対して、パケットの分割、パケットの結合、RLCレイヤでの再送制御などを行う。
TA設定部2084は、複数のCC分のTA(Timing Advance)を設定したコマンドを(TAコマンド)を生成する。そして、TA設定部2084は、生成したTAコマンドをレイヤ1処理部2081に通知する。レイヤ1処理部2081においては、レイヤ1処理部2081から通知されたTAコマンドを物理レイヤで移動端末装置100に送信するための処理を行う。
図16は、本発明の実施の形態に係る移動端末装置100の概略構成を示すブロック図である。図16に示す移動端末装置100は、アンテナ102と、アンプ部104と、送受信部106と、ベースバンド信号処理部108と、呼処理部110と、アプリケーション部112とから主に構成されている。
このような構成の移動端末装置100において、下りリンクのデータについては、アンテナ102で受信された無線周波数信号がアンプ部104で、AGCの下で受信電力が一定電力に補正されるように増幅される。増幅された無線周波数信号は、送受信部106においてベースバンド信号へ周波数変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部108で所定の処理(誤り訂正、復号など)がなされた後、呼処理部110及びアプリケーション部112に送られる。呼処理部110は、無線基地局装置100との通信の管理などを行い、アプリケーション部112は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。
上りリンクのデータについては、アプリケーション部112からベースバンド信号処理部108に入力される。ベースバンド信号処理部108では、再送制御の処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化などがなされて送受信部106に転送される。送受信部106では、ベースバンド信号処理部108から出力されたベースバンド信号を無線周波数信号へ周波数変換する。周波数変換された信号は、その後、アンプ部104で増幅されてアンテナ102から送信される。
図17は、図16に示す移動端末装置100におけるベースバンド信号処理部108の構成を示すブロック図である。ベースバンド信号処理部108は、レイヤ1処理部1081と、MAC処理部1082と、RLC処理部1083と、TA受信部1084と、送信タイミング差指示部1085と、送信判定部1086とから主に構成されている。TA受信部1084は、請求の範囲における受信部を構成し、送信判定部1086は、請求の範囲における判定部を構成する。
レイヤ1処理部1081は、主に物理レイヤに関する処理を行う。レイヤ1処理部1081は、例えば、下りリンクで受信した信号に対して、チャネル復号化、離散フーリエ変換、周波数デマッピング、逆フーリエ変換、データ復調などの処理を行う。また、レイヤ1処理部1081は、上りリンクで送信する信号に対して、チャネル符号化、データ変調、周波数マッピング、逆フーリエ変換(IFFT)などの処理を行う。
MAC処理部1082は、下りリンクで受信した信号に対するMACレイヤでの再送制御(HARQ)、下りスケジューリング情報の解析(PDSCHの伝送フォーマットの特定、PDSCHのリソースブロックの特定)などを行う。また、MAC処理部1082は、上りリンクで送信する信号に対するMAC再送制御、上りスケジューリング情報の解析(PUSCHの伝送フォーマットの特定、PUSCHのリソースブロックの特定)などの処理を行う。
RLC処理部1083は、下りリンクで受信したパケット/上りリンクで送信するパケットに対して、パケットの分割、パケットの結合、RLCレイヤでの再送制御などを行う。
TA受信部1084は、無線基地局装置200から、複数のCC分のTA(Timing Advance)コマンドを受信し、これらのTAコマンドから各CCにおける上りリンク信号の送信タイミング情報を検出する。そして、TA受信部1084は、検出した上りリンク信号の送信タイミング情報を送信タイミング差指示部1085に通知する。
送信タイミング差指示部1085は、TA受信部1084から通知された複数のTAに基づいて、各CCの送信タイミングを設定し、いずれのCCにおける上りリンク信号の送信タイミングが早いか、遅いかを判定する。そして、送信タイミング差指示部1085は、その判定結果を送信判定部1086に通知する。
送信判定部1086は、送信タイミング差指示部1085から通知されたタイミング情報、並びに、CC毎の送信信号情報、同時送信の可否情報(Contiguous送信か、Non‐Contiguous送信か)などの情報に基づいて、図4に示すテーブルに定められた内容に従って送信の有無又は送信すべき信号を判定する。そして、送信判定部1086は、その判定結果をレイヤ1処理部1081に通知する。
特に、送信判定部1086は、連続する複数のCCを用いた通信(Contiguous送信)が行われる場合、上りリンク信号の送信タイミングの差が存在すると、上りリンク信号の同時送信を回避する。一方、不連続の複数のコンポーネントキャリアを用いた通信(Non‐Contiguous送信)が行われる場合、上りリンク信号の送信タイミングの差が存在しても、上りリンク信号の同時送信を許容する。
このように、移動端末装置100においては、無線基地局装置200から、複数のCCリアで上りリンク信号の異なる送信タイミング情報を受信すると、Contiguous送信又はNon‐Contiguous送信が行われるかを判定する。そして、Contiguous送信が行われる場合には上りリンク信号の同時送信を回避する。これにより、複数のコンポーネントキャリアにて異なる送信タイミングで上りリンク信号の送信が指示される場合であっても、ユーザ端末の安定した動作を確保することができる。一方、Non‐Contiguous送信が行われる場合には上りリンク信号の同時送信を許容する。これにより、上りリンクにおけるスループット特性を向上することができる。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。