本明細書に記載される実施形態に係る、装置及び方法の代表的な用途が、この項において提示される。これらの例は、更なる前後関係を提供し、記載の実施形態の理解を助けることのみを目的として提供される。したがって、これらの具体的な詳細のうちの一部又は全てを使用することなく、ここで説明される実施形態を実践できるということが、当業者には明らかであろう。他の例では、ここで説明される実施形態を不必要に不明瞭化することを回避するために、周知のプロセス工程は、詳細には説明されていない。他の適用例が可能であり、それゆえ以下の実施例は、限定的なものとして解釈されるべきではない。
以下は、デスク領域又は他の作業領域に置くためのスタンドアロン型ユニット(デスクトップコンピュータとも称される)として構成可能なコンパクトコンピューティングシステムに関する。コンパクトコンピューティングシステムは、ネットワーク接続又は他の方法で相互接続されたコンピュータの群の一部として構成することもできる。いずれの場合においても、コンパクトコンピューティングシステムは、少なくとも中央処理ユニット(CPU)及びグラフィック処理ユニット(GPU)、並びにソリッドステートメモリデバイス、無線部品など、他の主要及び補助的部品を含むいくつかの電子部品を備え得る。1つ以上の内部電子部品ボードは、例えば、円筒形の頂部又は底部に合うような環状、又は外側のエンクロージャの湾曲した外側面に適合する円弧の部分に合うような湾曲状など、コンパクトコンピューティングシステムの外側のエンクロージャの表面に合うような形状にすることができる。本明細書に記載されている代表的な実施形態において、コンパクトコンピューティングシステムは、形状が円筒形であってもよく、いくつかの長方形の電子部品を、高い部品パッキング密度(利用可能な容積当たりの部品の数)を有するものとして特徴付けられたフォームファクタを提供する中核として配置するように構成されてもよい。その結果得られるコンパクトコンピューティングデバイスは、小型、軽量、持ち運び可能なフォームファクタで高い計算能力密度を提供することができる。いくつかの実施形態において、コンパクトコンピューティングデバイスは、他のコンパクトコンピューティングデバイスに連結して、(データファームなどにおける)サーバコンピュータシステムとして、或いは各コンパクトコンピューティングデバイスをノードとして有するネットワークコンピューティングシステムとして使用できるマルチコンピュータシステムを形成することもできる。例えば、本明細書に記載の実施形態において、コンパクトコンピューティングシステムは、円筒形であってもよく、長方形の電子部品を、高い部品パッキング密度(利用可能な容積当たりの部品の数)を有するフォームファクタを用いて中核として組み立てられるように構成されてもよい。中核は円筒形状を有してもよく、チューブのような、環状円筒形状を有する筐体を有してもよい。熱管理システムは、中核のアクティビティレベルの変化に対応することができ、多量の空気を軸方向に移動させて、効率的かつ静穏な方法で中核を冷却する目的で使用可能な円筒形筐体によって画定された内部容積を通過させることのできるエアムーバを利用することができる。概して、エアムーバは、中央処理ユニット(CPU)及び/又はグラフィック処理ユニット(GPU)といった主要部品の利用負荷が大きくなければ、毎分約15〜20立方フィート(CFM)の気流を提供することができる。ただし、処理需要が増しても、エアムーバは、気流を増強することにより、生成された熱量の増加を補償することができる。例えば、CPU及び/又はGPUの一方又は両方からの処理リソース需要の増大を受けて、エアムーバは、約15〜20CFMから約25〜30CFMへと気流を増やすことができ(概ね室温である25℃の場合)約35dbAの音響出力を伴う(ただし、これらの音響レベルは、高需要期間中にエアムーバが作動範囲の高域部で動作している場合に限って生じるものであり、通常動作に近い期間中には生じないという点に留意すべきある)。なお、高外気温(35℃)時には、エアムーバが気流を更に増強して、高外気温時の伝熱減少を補償することができる。この状況において、エアムーバは、40dbA又はそれ以上の高い音響出力を有する約35から40CFM又はそれ以上に気流を増強することができる。
エアムーバは、筐体によって画定された相当量の利用可能な断面を占有することができ、ヒートシンクを含む中核を備える筐体の中心部分を通じて、径方向気流成分を実質的に含まない軸方向気流を提供する。更に、中核を成す部品は、軸方向気流と熱接触する表面領域の広さを最大化する軸方向に合わせることができる。更に、これらの部品の設計及びレイアウトは、性質上軸方向であってもよく、高い計算能力密度(利用可能な容積当たりの計算処理)につながる利用可能な伝熱力及び部品パッケージ密度を更に高めることができる。例えば、集積回路を、その集積回路の第1の端部に電源入力ノードを有し、集積回路の反対側の端部にデータ入出力を有するように設計してもよい。
コンパクトコンピューティングシステムは、他のコンパクトコンピューティングシステムに連結して、(データファーム内などで)サーバコンピュータシステムとして、或いは各コンパクトコンピューティングシステムをノードとして有するネットワークコンピューティングシステムとして使用できるマルチコンピュータシステムを形成してもよい。コンパクトコンピューティングシステムのコンパクトなサイズ及び形状の1つの利点は、(ワインラック構成など)シンプルなラッキングシステムを、複数の連結されたコンパクトコンピューティングシステムを配置する目的で使用できるということである。例えば、個々のコンパクトコンピューティングシステムを、ラック構成内に、コンパクトコンピューティングシステムの外又は中への空気の流れを制限することなく、他のデバイスに接続するための入力並びに出力への容易なアクセスを提供するような角度で配置することができる。場合によっては、個々のコンパクトコンピューティングシステムを、吸気口も排気口も制限しない交互配置で積み重ねることができる。これら及び他の一般的な主題について、より詳細に以下説明する。
特定の実施形態において、コンパクトコンピューティングシステムは、中核を包囲及び保護できる筐体を備え得る。筐体は、整備又は他のアクセスのために容易に取り外すことができる。筐体は、筐体の保護及び放射冷却の促進の両方を行う酸化アルミニウム(アルミナ)層を有するアルミニウムから形成されてもよい。酸化アルミニウム/陽極酸化処理層は、その赤外線放射性を高めることにより、筐体の外面から排熱性を高めることもできる。アルミニウムは、筐体の選択肢として好適である理由となるいくつかの特徴を有する。例えば、アルミニウムは、良好な電気接地をもたらし得る良好な導電体であり、容易に機械加工することができ、周知の冶金学的特性を有する。アルミニウムの優れた導電性は、筐体内に収まって動作するように構成された内部電気部品の良好なシャーシ接地をもたらす。アルミニウム筐体は、感度の高い電気部品を外部電磁エネルギーから保護するとともに、コンパクトコンピューティングシステムからの電磁(EM)エネルギーの漏洩を低減する良好な電磁干渉(EMI)シールドも提供する。酸化アルミニウムの層は、陽極酸化処理と称される処理でアルミニウムの表面上に形成することができる。場合によっては、染色又は他の方法で酸化アルミニウムの層に色を付けて、特定の色を帯びるようにすることができる。なお、酸化アルミニウムは良好な電気絶縁体であることから、バルク材料へのアクセスを保つために筐体の内側面が陽極酸化処理中にマスキングされるか、又は良好な電気接点を提供するために酸化アルミニウムの層の選択部分が除去される。
一実施形態においては、円筒形筐体が一塊の筐体の形態(モノリシック)をとってもよい。これにより、円筒形筐体が、継ぎ目がなく均質に見える。2次元(2D)において、筐体の円筒形状は、内容積とエンクロージャの表面積との比を最大化する。ただし3次元においては、球形状が内容積とエンクロージャの表面積との比を最大化する。本説明の文脈においては、円筒形がより有用であると考えられ得るが、その件に関する球体又はその他任意の形状も、適した代替選択肢と考えることができる。一実施形態において、円筒形筐体は、審美的に心地よい外観を提供するために、表面処理(陽極酸化処理)されているアルミニウムなど、一塊の丈夫で弾力のある材料から形成される。円筒形筐体の頂部は、第1の開口部から、気流が通過して外部環境へと出て行く地点にある第2の開口部へと軸方向に移動する気流の周辺部分を捕らえるのに使用されるリップへと形成される。このリップは、例えば手を使ってコンパクトコンピューティングシステムを持ち運ぶ目的で使用することもできる。
特定の実施形態においては、ボトムアップタイプのアセンブリを使用してコンパクトコンピューティングシステムを組み立ててもよい。最初の組み立て作業は、三角形中核構造の各側に蒸気チャンバを取り付けることを含み得る。いくつかの実施形態においては、この三角形中核構造が直角三角形中核構造又は直角二等辺三角形中核構造であってもよい。記載の実施形態においては、蒸気チャンバが2段階(蒸気/固体)ヒートスプレッダの形態をとってもよい。特定の実装においては、中核が、固定具に固定され、固定具内に抱きかかえられる(cradled)アルミニウムフレームの形態をとってもよい。グラフィックプロセッサユニット(GPU)及び/又は中央プロセッサユニット(CPU)などの高パワー部品は、蒸気チャンバに直接搭載してもよい。
伝熱性の接着剤、糊、又は他の適した機構を使用して、蒸気チャンバと高パワー部品との間で良好な熱接触を形成することができる。メインロジックボード(MLB)をCPUエッジコネクタに押し付け、その後GPUフレックスを取り付けてもよい。MLBが安着され、CPU及びGPUに接続されたら、メモリモジュールを取り付けることができ、その後入口アセンブリを取り付け、締結具を使用して中核構造に連結することができる。独立して組み立て及びプレテストされた入力/出力(入出力)アセンブリを取り付けることができ、その後、電力供給ユニット(PSU)制御ケーブルをMLBに接続し、続いてバスバーシステムを使用してDC PSU電力を接続することができる。排気アセンブリをインストールし、続いてRFアンテナフレックスを入出力ボードに接続することができる。
上述のとおり、筐体は多くの形態をとることができるが、本説明の残り部分に関して、かつ一般性を失うことなく、円筒形容積を取り囲み及び画定する円筒形状をとることができる。記載の実施形態においては、筐体及び対応する円筒形容積を、長手方向軸を有する直円筒形という点で画定することができ、長手方向軸は直円筒形の高さを画定する目的で使用できる。筐体は、長手方向軸上に中心点を有する環状断面を有するものと特徴付けることもできる。環状断面は、中心点から延び、長手方向軸に対して直角である半径を有し得る。一実施形態において、筐体の厚みは、(筐体の中心点から内側面に延びる)内径と(筐体の中心点から外側面に延びる)外径との間の関係から画定することができる。筐体は、筐体内での熱の拡散を支援する周方向及び軸方向の伝熱を促進するように調整された厚みを有し得る。それによってホットスポットの形成を防ぐ。中核と筐体との間での分離により、内部周辺気流が筐体を冷却することができ、筐体の接触温度を極力下げるのに役立つ。一実施形態においては、筐体が、表面でコンパクトコンピューティングシステムを支持する目的でも使用される台座を部分的に提供する(取り外し可能な)ベースユニットに嵌合してもよい。筐体は、ベースユニットに応じたサイズ及び形状を有する第1の開口部を備え得る。第1の開口部は、コンパクトコンピューティングシステムが隅に位置する状況、或いは壁に当たっている状況であっても機能する環状設計を有する全周の空気入口であり得る。ある組み立て構成においては、ベースユニットが円筒形のベースに対応する。第1の開口部は、外部環境からベースユニット内の孔を通過する空気の流れを受け入れる目的で使用することができる。筐体に流入する空気の量は、第1の開口部から軸方向に配設された第2の開口部付近にあるエアムーバアセンブリによって生み出された、外部環境とコンパクトコンピューティングシステムの内部との間の圧力差に関連する。熱管理システムは、多量の空気を軸方向に移動させ、円筒形筐体によって画定された内部容積を通過させることのできるエアムーバを利用することができ、効率的かつ静穏な方法で中核を冷却する目的で使用可能である。
一実施形態においては、排気アセンブリがファンアセンブリの形態をとってもよい。ファンアセンブリは、上述の圧力差を生み出すことによって空気を軸方向に移動させ、筐体を貫通させるように構成された軸状のファンアセンブリであり得る。ファンアセンブリは、空気がファンアセンブリから出て行く際に軸方向と遠心方向との両方の成分をその空気に提供する混合気ファンアセンブリとして構成することもできる。一実施形態において、ファンアセンブリは、円筒形筐体の利用可能な断面領域の実質的部分を占有することができる。例えば、ファンアセンブリは、筐体の内部の利用可能な断面領域の少なくとも85%程度を占有することができる。いずれの場合も、空気はベースユニット内の孔を通じて入ることができる。一実施形態においては、整流装置が、気流の一部が、中央の気柱から離れて位置する周辺気流から分離されて中央の気柱内に留まるような方法で気流を二分(分割)することができる。中央の気柱は、内部部品を搭載できるヒートシンク構造と熱係合することができる。伝熱を最適化するために、部品を軸方向(気流の方向)に構成及び搭載して、それらの部品に作用する空気の量を最大化するようにしてもよい。このようにして、中央気流及び周辺気流の両方を、中核を冷却して、なお筐体を許容温度に維持する目的で使用することができる。
筐体は、第2の開口部に排気リップを備え得る。排気リップは、第2の開口部から空気が流出するときにその空気の一部分に作用するように配置することができ、気流(及び音)をユーザから遠い方に向けるという効果がある。排気リップは、コンパクトコンピューティングシステムを握るのに適した一体型の取っ手構造を提供することもできる。筐体は、調整される厚みを有し得ることから、筐体は変化のある厚みを有しており、排気リップに最も近い筐体の部分が、排気リップから離れた部分よりも厚い。筐体の厚みは、筐体内での軸方向及び周方向の伝熱を促進するように変えられ得る。この伝熱が、筐体内でのホットスポットの形成を防ぐ均一性の高い熱分散を促進する。
無線回路など、電磁エネルギーに敏感な回路から、相当量の電磁エネルギーを発する部品(メインロジックボード、即ちMLBなど)を隔離するために、良好な接地(シャーシ接地とも称される)を使用してもよい。電磁エネルギーを発する部品と電磁エネルギーに敏感な部品が近接しているため、この分離は、コンパクトコンピューティングシステムにおいては特に重要であり得る。更に、筐体は、ベースユニット上にある対応アタッチメント機構と嵌合してファラデーケージの形成を完成できる導電性材料(導電性粒子を注入したガスケットなど)を備え得る。ファラデーケージは、電磁エネルギー(内外両方)を遮って、コンパクトコンピューティングシステムによって生成されたEMIから外部環境を(かつ外部で生成されたEMIから内部環境を)効果的に遮蔽する。ファラデーケージを完成させるために、ベースユニット内の空気孔は、選択された波長を有する電磁エネルギーを効果的に遮るようなサイズにすることができる。更に具体的には、孔によって遮られた電磁エネルギーの波長は、コンパクトコンピューティングシステムのアクティブな部品によって発せられる波長と一致し得る。
一実施形態において、コンパクトコンピューティングシステムは、筐体が正しく位置付けられ、内部部品に対して正しく整列しているかどうかを検出するように構成されたセンサを備え得る。筐体を正しく位置付けることは、筐体の形状及び構成の両方がコンパクトコンピューティングシステムの熱管理、並びに上述したファラデーケージの完成に対して大きな役割を果たすため、重要である。コンパクトコンピューティングシステムは、筐体の存在と内部部品に対する正しい整列とを検出するインターロックシステムを備え得る。正しい整列が検出されると、インターロックシステムにより、内部部品の電源が立ち上がり、システム仕様に準じた方法で動作することができる。一実施形態において、インターロックシステムは、筐体が正しい位置にあり、内部部品に対して正しく整列している場合にのみホール効果センサによって検出可能な磁気要素を備え得る。
筐体を形成するのに使用される材料の丈夫で弾力のある性質を少なくとも理由に、筐体は、追加的な支持構造を必要としない幅を有する開口部を備え得る。かかる開口部は、入力/出力パネル及び電力供給ポートへのアクセスを提供する目的で使用することができる。入力/出力パネルは、例えば、外部回路の接続用として構成された、データケーブルを収容するのに好適なデータポートを備え得る。この開口部は、音声回路、映像ディスプレイ回路、電源入力などへのアクセスも提供する。一実施形態においては、選択されたデータポートを点灯させて、光量低減時でもアクセスしやすくすることができる。
これら及び他の実施形態について、図1〜図15を参照して以下説明する。ただし、当業者には、これらの図に関して本明細書で与えられる「発明を実施するための形態」が、説明目的のものであり、本発明がこれらの限られた実施形態を超えて拡張されることが、容易に理解されよう。
図1は、コンパクトコンピューティングシステム100の斜視図を示す。コンパクトコンピューティングシステム100は、筐体102によって画定された形状を有し得る。記載の実施形態において、筐体102は、直径d1を有する第1の開口部104を有することを特徴とする円筒形の形状であり得る。更に具体的には、筐体102は、筐体102によって取り囲まれた中央容積の中心線に沿って延びる長手方向軸を有する環状直円筒形の形態をとり得る。筐体102は、長手方向軸上の対応点と一致する中心点を有する環状断面を有することを特徴とし得る。環状断面は、長手方向軸に対して直角であり、そこから外側へと延びる半径を有する。そのため、筐体102(更に具体的には、筐体壁)の厚みtは、筐体102の外面と関連付けられた外半径roと筐体102の内面102と関連付けられた内半径riとの差と定義することができる。更に、筐体102は、排気リップ108によって一部画定された直径d2を有する、第1の開口部104から軸方向に配設された第2の開口部106を備え得る。式中、d1はd2と少なくとも等しいかそれより大きい。筐体102は、排気リップ108を形成するように突出し得るディスクの形態である一塊のアルミニウムから形成することができる。筐体102の厚みtは、ホットスポットを低減するために調整することができる。この点について、筐体102は、不均一の厚みtを有し得る。特に、排気リップ108付近の部分110は、約4〜6mmの第1の厚みを有し得る。その後は、第1の厚みから減じられ、排気リップ108から離れて位置する部分112と関連付けられた第2の厚みへと変わる。このように、部分110は、コンパクトコンピューティングシステム100を握る目的で使用される一体型の取っ手として、そして排気リップ108に作用する排気流114の一部分から移送された熱エネルギーを吸収し、伝える機能としての両方の働きをすることができる。放射伝熱及び伝導伝熱により、そして部分112へと移送される熱量を制限することにより、筐体102における局所的なホットスポットの形成を低減することができる。筐体102の厚み調整は、例えば、金属ディスクを使用した衝撃押出成形工程を用い、その後所望の厚み形状へと機械加工されることによって達成することができる。金属ディスクは、アルミニウム、チタン、及び所望される強度、伝熱性、及びRF分離を提供するその他任意の金属材料から作られ得る。押出成形工程は、所望の断面形状と外面からの所望の視覚的アピールとを得るために外部及び内部で機械加工される円筒形を形成する。
コンパクトコンピューティングシステム100は、ベースユニット116を更に備えてもよい。ベースユニット116は、コンパクトコンピューティングシステム100に支持を提供する目的で使用することができる。そのため、ベースユニット116は、動作中にEMエネルギーを放射するコンパクトコンピューティングシステム100内の部品からの電磁(EM)エネルギーの漏洩を防ぐこともできる金属など、丈夫で弾力のある材料で形成することができる。ベースユニット116は、例えば、中に埋め込まれた導電性粒子を使用して導電性を持たせた非金属化合物から形成することもできる。コンパクトコンピューティングシステム100内の部品によって発せられた電磁エネルギーが一切漏洩しないようにするために、下側導電性ガスケット118を、ベースユニット116及び筐体102によって形成されたファラデーケージを完成させる目的で使用することができる。(図3に詳細に示す)上側導電性ガスケット120を、部分110の下縁付近にある筐体102の内面に配設してもよい。導電性ガスケット118及び120を使用してファラデーケージを完成させることにより、EMI分離を約20dB増やすことができる。
ベースユニット116は、孔122も備え得る。孔122は、外部環境からの適量の空気が吸気流124の形態で孔122を貫流できるようにベースユニット116に配置できるという点で二重目的であり得る。一実施形態において、吸気流124は、コンパクトコンピューティングシステム100と共に配設されたエアムーバによって生み出された孔122の内外の圧力差に関連し得る。一実施形態において、エアムーバは、第2の開口部106付近に配設することができ、筐体102内の周囲圧力を下げる吸引効果を生む。孔122は、吸気流124を促すことに加え、孔122からの電磁エネルギーの漏洩を防ぐサイズにすることができる。孔122のサイズは、内部部品によって発せられた電磁エネルギーに対応する波長に関連し得る。
図2は、コンパクトコンピューティングシステム200の形態をとるコンパクトコンピューティングシステム100の別の実施形態を示す。なお、コンパクトコンピューティングシステム200は、筐体102のサイズ及び形状に関してコンパクトコンピューティングシステム100と略同じ又は同様であり得るという点に留意すべきである。コンパクトコンピューティングシステム200は、筐体102とは異なり得る筐体202を備え得る。本実施形態において、筐体202は、インタフェースパネル206に応じたサイズ及び形状を有する開口部204を備え得る。インタフェースパネル206は、コンパクトコンピューティングシステム200と種々の外部回路との間でのデータの通信に使用される種々のポートを備え得る。例えば、インタフェースパネル206は、ヘッドフォン回路、音声プロセッサなどの外部音声回路に音声ストリームを提供する目的で使用できる音声ジャックポート208を備え得る。1組のデータポート210は、外部回路とコンパクトコンピューティングシステム200との間で種々の形態のデータ及び/又は電力を転送する目的で使用することができる。データポート210は、USB、Thunderbolt(登録商標)などのデータ接続を収容する目的で使用することができる。例えば、データポート210の組は、USBポート形態をとるデータポート212を含み得るのに対し、データポート214は、Thunderbolt(登録商標)ポートの形態をとり得る。このようにして、コンパクトコンピューティングシステム200は、データ記憶装置、ポータブルメディアプレーヤ、及び映像装置といった他のコンピューティングシステムに相互接続できると共に、コンピューティングシステムのネットワークを形成することもできる。更に、データポート216が、他のコンピューティングシステム及び外部回路への通信チャネルを形成するのに好適なイーサネット(登録商標)ポートの形態をとり得るのに対し、HDMIポートの形態をとるデータポート218は、音声/映像(AV)データの転送に使用することができる。このように、データポート218は、コンパクトコンピューティングシステム200と外部映像モニタ又は他の映像処理回路との間で高速映像をストリーミングする目的で使用することができる。そのため、インタフェースパネル206は、多数又は多様な外部コンピューティングシステム及び回路への接続を形成する目的で使用することができ、大型メインフレームタイプのコンピュータに伴う大きな資本コストがない中で多量の計算リソースが必要とされる状況において特に有用である。更に、コンパクトコンピューティングシステム200のコンパクトなサイズ及び形状は、スペース効率の良いコンピューティングネットワーク、データファームなどにも適している。
インタフェースパネル206は、ポートの各々を互いに、そして筐体202から電気的に絶縁するために、非導電性材料から作られてもよい。そのため、インタフェースパネル206は、コンピューティングシステム200に美観を提供する目的で染色されたプラスチック製のインレーを備え得る。例えば、いくつかの実施形態においては、インタフェースパネル206が黒色又は暗い色合いに染色されている。インタフェースパネル206の表面下には、導電性ガスケットによって支持された導電性ウェブが、筐体202と筐体202の内面に位置する上側及び下側導電性ガスケット(118、120)との間に形成されたRF及びEMI分離用のファラデーケージを維持する。電源オン/オフボタン220は、電源投入シーケンス(例えば、起動処理を含む)並びに電源切断シーケンスを開始するためのユーザのタッチを容易に受け入れることができる。電力入力ポート222は、外部電力を筐体202内の動作部品に移送するのに好適な電源プラグを受容するサイズ及び形状にすることができる。場合によっては、コンパクトコンピューティングシステム200は、電源入力ポート222によって供給される電力に応じて充電及び再充電できる内部電源リソース(バッテリなど)を備え得る。
筐体インターロック開口部224は、筐体202をコンパクトコンピューティングシステム200の内部構造に固定する目的で使用される筐体インターロック226を収容することができる。筐体インターロック226は、スライドラッチ、又は手動で係合及び解除できる他のかかる機構の形態をとってもよいこのようにして、内部部品及び構造を、例えば整備目的で露出させるために、筐体202を容易に取り外すことができる。図示されていないが、筐体202が内部部品及び構造に対して正しい位置にあるかどうかを検出する目的で検出回路を使用できるという点に留意すべきである。コンパクトコンピューティングシステム200の熱管理は、筐体202の存在と正しい配置に依存する度合いが大きいので、これは特に重要である。そのため、筐体202が内部構造若しくは部品に対して正しい位置又は整列になっていないと判定された場合には、検出回路により、コンパクトコンピューティングシステム200が稼働しないか、少なくともフル稼働はしない。一実施形態において、この検出回路は、筐体202に配設された磁石を、筐体202が正しく位置付けられ、整列している場合にのみ検出する目的で取り付けられた磁気センサ(ホール効果デバイスなど)を備え得る。
筐体202を取り外すことにより、コンパクトコンピューティングシステム200の中核を露出させることができる。具体的には、図3は、筐体202がない状態のコンパクトコンピューティングシステム200の中核300を示す。中核300は、計算部品を有するコンピューティングエンジンと、計算部品の少なくとも一部を支持する目的で試用されるフレームワークとして使用できるヒートシンクと、を備え得る。このように、コンピューティングエンジンは、ヒートシンクのフォームファクタに応じたフォームファクタをとる。そのため、コンパクトコンピューティングシステム200の円筒形状により、種々の内部部品の構成並びに熱管理のための要件が決まる。例えば、内部部品を軸方向に配置して、部品パッキング密度(利用可能な容積当たりの動作部品の数)及び計算能力密度(利用可能な容積当たりの計算能力)の両方を最適化することができる。更に、内部部品の軸方向配置により、内部部品から吸気流124に移送でき、排気流114によって除去できる熱量も最大化される。(概して、コンパクトコンピューティングシステム200の性質上、吸気流124の性質は排気流114の性質と略同じであるという点に留意すべきである。)。
例えば、メモリモジュール302は、メモリデバイス306が搭載されている基板304から形成することができる。基板304は、周辺気流312に対して平行である主軸310を有し得る。メモリデバイス306から周辺気流312への伝熱を最適化するために、周辺気流312との伝熱インタフェースを最適化する方法でメモリデバイス306を基板304に搭載してもよい。例えば、各メモリデバイスは、(例えば、幅Wを表す)短い方の寸法(minor dimension)及び(例えば、長さLで表される)に対応する形状を有し得る。記載の実施形態において、メモリデバイス306の短い方の寸法Wは、周辺気流312に対して概して平行に整列している。このようにして、周辺気流312と、メモリモジュール304上に配設されたメモリデバイス306と、の間に形成される伝熱インタフェースを最適化することができる。なお、周辺気流312は、筐体202の存在により、筐体202の内面及び中核300によって画定された周辺領域内を流れるように制限されるという点にも留意すべきである。更に、周辺気流312は、大半の発熱部品が収まっている中央部分を通過する径方向成分を実質的に有しないものと特徴付けることができ、それにより、メモリモジュール302及びメモリデバイス306についての周辺気流312の伝熱力を更に高めることができる。このように、周辺気流312の軸方向成分は、メモリデバイス306の短い方の寸法Wと一致する。なお、吸気流124は、周辺気流312と、中核300の中心部分内を流れる中央気流314(非図示)と、に分割されるという点に留意すべきである。そのため、周辺気流312及び中央気流314は、結合して排気流114を形成した後、第2の開口部108を通じてコンパクトコンピューティングシステム200の外へと出て行く。
記載の実施形態においては、エアムーバ320を第2の開口部106に近接して配設することができる(図1を参照)。なお、エアムーバ320は、中央気流314と周辺気流312とを結合して排気流114に戻すという点に留意すべきである。エアムーバ320は、排気流114を、第2の開口部106を通過するように方向付ける目的で使用可能な排気アセンブリ322を備え得る。排気流114の少なくとも一部は、コンパクトコンピューティングシステム200の内部部品によって生成された熱エネルギーの移送を促進するように排気リップ108と係合する。排気アセンブリ322は、排気流114を通過させる孔324を備える。RF回路及びアンテナなどの動作部品を覆うために、化粧用シールド326を使用してもよい。この点について、化粧用シールド326は、プラスチック、セラミック、又は他の非導電性材料といったRF透過性材料から形成することができる。
筐体202の導電性により、筐体202は、内部部品に良好な接地を提供するシャーシ接地として使用することができる。そのため、タッチ箇所328は、導電性材料から形成することができ、内部部品と筐体202の内部との間の導電経路を形成する目的で使用することができる。なお、良好な電気接続を行うために、タッチ箇所328に接触する筐体202の部分には、非導電性又は絶縁材料(酸化アルミニウムなど)が一切ないという点に留意すべきである。そのため、筐体202の上に酸化アルミニウム層が形成されている場合には、酸化アルミニウムの選択部分が除去されて(又は、筐体102のその部分が陽極酸化処理時にマスキングされて)、タッチ箇所328と接触する箇所でバルク材料を露出する。上述のとおり、電磁エネルギーの漏洩を防ぐために、筐体202及びベースユニット116がファラデーケージを形成する。
ユーザフレンドリなコンパクトコンピューティングシステム200との相互作用を提供するために、中核300は、複数の箇所に配設された加速度計などのセンサを備え得る。そのため、ユーザが、コンパクトコンピューティングシステム200を便利な箇所及び向きに位置付けるために筐体202を扱うときに、インタフェースパネル206の外観を強調して、インタフェースパネル206の部分をユーザにとって見やすくするために、照明パターンを使用してもよい。そのため、センサのうちの幾つかは、ユーザがインタフェースパネル206上の選択項目を見るのに十分な周囲照明があるかどうかを判定するための光感知デバイスを備え得る。
図4は、コンパクトコンピューティングシステム100の分解斜視図を示す。ヒートシンク402は、三角柱など、三角形の断面を有する中央容積405を画定する複数の平坦面403を備え得る。ヒートシンク402は、コンパクトコンピューティングシステム100の少なくとも計算部品を含むコンピューティングエンジンを支持できる支持構造、即ちフレームとしての働きをすることもできる。このように、コンピューティングエンジンは、ヒートシンク402の一般的形状をとり得る。一実施形態において、ヒートシンク402は、筐体102の内面と協調して、コンパクトコンピューティングシステム100の計算及び動作部品の少なくともいくつかを冷却する目的で使用される周辺気流のための空気経路として使用可能な周辺域を画定することができる。中央容積405は、計算及び動作部品の少なくともいくつかを更に冷却する中央気流314のための空気経路として使用することもできる。中央気流314によって行われる冷却を促進するために、ヒートシンク402は、第1の平坦面から少なくとも第2の平坦面へと延び、三角形の中央容積をわたる複数の冷却フィン407を備える。一実施形態において、中央冷却フィンは、第1の平坦面から、第2の平坦面と第3の平坦面との交差箇所まで延び得る。このようにして、中央冷却フィンは中央容積405を2つの隣接する容積へと分けることができ、同様の三角形断面を有する各々の容積は、ヒートシンク402の各面403に配設されている蒸気チャンバ404を備え得る。
蒸気チャンバ404は、種々の集積回路によって生成された熱をヒートシンク402の各平坦面全体に分散させる目的で使用することができる。マルチコア中央処理ユニット(CPU)とメモリモジュール302とを備え得るCPUライザボード406を、取付箇所408を経てヒートシンク402に連結することができる。取付箇所408は、CPUバネ410と協働して、CPUを蒸気チャンバ404と直接熱接触するように配置する。CPUバネ410は、CPUとCPUの関連冷却スタック及び蒸気チャンバ404との間で既定の大きさの圧力を提供する目的で利用することができる。同様に、グラフィック処理ユニット(GPU)ライザボード412及びGPUライザボード414も、ヒートシンク402の対応する面に同様に連結することができる。GPUライザボード412及び414は、ビデオランダムアクセスメモリ(VRAM)チップ418によって囲まれたGPU 416を各々備える。本描示においては、4つのVRAMチップ418が、GPU 416の周りにひし形模様状に配置され得る。GPUライザボード412及び414はそれぞれの蒸気チャンバ404に連結されており、GPU 416及びVRAMチップ418の各々は、対応する蒸気チャンバ404と直接熱接触することができる。なお、いくつかの構成(非図示)においては、1つの蒸気チャンバがヒートシンク402の縁部に巻き付くことができ、それによって、GPUライザボード412及び414上に搭載された集積回路が、実質的により広い面積を有する蒸気チャンバ全体に熱を放散できるという点に留意すべきである。かかる構成は、単一GPUの処理において有利であり得る。更に、VRAMチップは隣接するGPU 416よりも低背の形状を有する傾向があることから、VRAMチップ418は、VRAMチップ418を蒸気チャンバ404と直接熱接触させる熱ギャップパッドを備え得る。このようにして蒸気チャンバ404は、コンパクトコンピューティングシステム100の動作中にヒートシンク402の各面全体に熱を均一に拡散することを促進する。また、GPUライザボード414の背面に連結できるソリッドステートドライブ(SSD)モジュール420も描かれている。
ライザボード406、412、及び414の各々がヒートシンク402にしっかりと連結されると、ライザボードの各々を、メインロジックボード(MLB)422全体に電気的に連結することができる。いくつかの実施形態において、MLB 422は、システム管理コントローラ(SMC)チップを備え得る。CPUライザボード406は、カードエッジスロット426でMLB 422に装着するカードエッジコネクタ424を備える。一実施形態において、カードエッジコネクタ424は、CPUライザボード406とMLB 422との間で少なくとも32本のPCI−Eが稼働できるPCI−E 3.0タイプのコネクタであり得る。GPUライザボード412及び414は、フレックスジャンパコネクタ428でMLB 422に連結することができる。このようにして、ライザボード406、412、及び414の各々は、電気的に接触することができる。
コンパクトコンピューティングシステム100は、入力出力(入出力)アセンブリ430も備える。入力/出力(入出力)アセンブリ430は、電源供給ユニット(PSU)432を含むいくつかの部品を包含する。PSU 432は、コンパクトコンピューティングシステム100の種々の部品に外部電力を供給することができる。一実施形態において、PSU 432は、合計約450Wの電力をコンパクトコンピューティングシステム100に供給するように構成することができる。PSU 432は、コンパクトコンピューティングシステム100の動作中にPSU 432に冷却気を貫流させるように構成されている気流孔434も備え得る。気流孔434のサイズを変えて、PSU 432を通過する空気の流れを制御することができる。入出力アセンブリ430は、入出力ボード436も備える。入出力ボード436は、コンパクトコンピューティングシステム100が完全に組み立てられている場合に、フレックスジャンパケーブル(非図示)によってMLB 422に電気的に連結することができる。入出力ボード436により、コンパクトコンピューティングシステム100との間で高速通信の入出力が可能となる。入出力アセンブリ430は、コンパクトコンピューティングシステム100との間で高速データケーブル又は電源ケーブルを着脱する際にユーザに化粧用インタフェースを提供する構造壁438も備える。入出力アセンブリ430が完全に組み立てられると、構造壁438をベースユニット116の上側リップ部分に連結することができる。
図4は、排気アセンブリ440の描示も提供する。排気アセンブリ440は、プレナムプレート442、インペラ316、排気孔318、及び化粧用シールド326を備える。プレナムプレート442は、インペラ316内への空気の流れを形成するように動作可能であり得る。プレナムプレート442は、以下で詳述するインペラ316のファンブレード用のシュラウド(shroud)としても動作可能であり得る。インペラ316及びプレナムプレート442は、排気孔318に連結することができる。化粧用シールド326は、排気孔318の天面に固定することができる。排気アセンブリ440は、完全に組み立てられると、ヒートシンク402の頂部に連結することができる。このようにして、中核300を組み立てることができる。
図5は、孔122を示すベースユニット116の部分断面図を示す。図示のとおり、孔122を通じて吸気流124をコンパクトコンピューティングシステム100に引き込むことができる。吸気流124がベースユニット116を通過するとき、リブ502が、コンパクトコンピューティングシステム100に入る気流の方向付けを支援する。いくつかの実施形態において、リブ502は、周辺気流312及び中央気流314内への吸気流124の移行を促進することができる。記載の実施形態においては、吸気流124の第1の一部分を、リブ502によって中央気流314の形態をとるヒートシンク402の中央容積の方へと方向付けることができる。一実施形態においては、気流スプリッタとも称される整流装置504を使用して、吸気流124を上述の中央気流314と、周辺気流312への第2の部分とに分割することができる。一実施形態においては、フレックスジャンパケーブル504を気流スプリッタとして使用することができる。このように、フレックスジャンパケーブル504は、GPUライザボード414をMLB 422に電気的に連結することに加え、然るべき量の吸気流124を中央気流314及び周辺気流312へと方向転換することができる。例えば、フレックスジャンパケーブル504は、気流124のうちの、GPUライザボード414の中心部分の方に向ける気流を、ボードの周縁の上を通る気流よりも増やすことができる。フレックスジャンパケーブル504を広げたり狭めたりすることにより、GPUライザボード414に方向転換される空気の量を調節することができる。なお、GPUライザボード414の底面とMLB 422との間の距離を調節して、中央気流314に入る空気を増減可能であるという点に留意すべきである。
図6Aは、ヒートシンク402の上面断面図を示す。押出成形されたアルミニウム塊からいくつかの形状を機械加工することにより、ヒートシンク402を形成することができる。一実施形態においては、複数の冷却フィン602を、ヒートシンク402の平坦面の内側面に取り付け可能であるのに対し、別の実施形態においては、ヒートシンク402の平坦面が形成される間に、複数の冷却フィン602を押出成形工程の一部として作成することができる。どちらの場合においても、複数の冷却フィン602をいくつかの方法で分散させることができる。一実施形態においては、複数の冷却フィン602の全てが、第1の平坦面604から延び、三角形の中央容積607をわたって少なくとも第2の平坦面605へと達し得る。一実施形態においては、複数の冷却フィン602の1つ(中央冷却フィン602−1と称される)が、第1の平坦面604から、第2の平坦面605と第3の平坦面609との交差箇所へと延び得る。このようにして、ヒートシンク402によって画定された三角形の中央容積は、各々同様の直角三角形の断面を有する第1の領域Iと第2の領域IIとに二分される。一実施形態において、領域Iをわたる第1の冷却フィン602−2は、第1の平坦面604に対して第1の角度φ1であり得る。第1の角度φ1は、第1の冷却フィン602−2と中央冷却フィン602−1との間の距離a1に応じて変わる角度値を有し得る。同様に、領域IIをわたる第2の冷却フィン602−3は、第1の平坦面604に対して第2の角度φ2であり得る。第2の角度φ2は、第2の冷却フィン602−3と中央冷却フィン602−1との間の距離a2に応じて変わる角度値を有し得る。概して、距離a1及び距離a2は略等しいが、領域I又はIIのどちらかに実際に実装される冷却フィンの数は、種々の幾何学的位置関係が多様であり得るのと同様、特定の設計上の要件に応じて様々であり得る。一実施形態において、第1の角度φ1と第2の角度φ2との和は、約180°であり得る。
いずれの平坦面も、種々の部品を収容するように改変することができる。例えば、任意数の加工によって第1の平坦面604の一部分を除去して、蒸気チャンバ404用の低背取り付け位置を残すことができる。蒸気チャンバ404は、第1の平坦面604に接着固定又は機械固定することができる。蒸気チャンバ404は、銅の伝熱効率の約10倍程度という非常に効率的な伝熱性を有し得る。いくつかの実施形態においては、蒸気チャンバ404とヒートシンク402との間での効率的な伝熱を促進するために、蒸気チャンバ404とヒートシンク402との間に伝導性ゲルを配置することができる。蒸気チャンバ404は、取付箇所408も備え得る。取付箇所408は、蒸気チャンバ404と一体的に形成することができ、コンパクトコンピューティングシステム100と関連付けられた種々のライザボードを蒸気チャンバに取り付けるための手段を提供するように構成されている。
図6Bは、いくつかのライザボードが取り付けられた別のヒートシンク402の断面図を示す。CPUライザボード406が蒸気チャンバ404に取り付けられている様子が示されている。CPUライザボード406は、低背熱モジュール606によって蒸気チャンバ404に取り付けられる。低背熱モジュール606は、CPUライザボード406のソケット610上でCPU 608を正しく安着させるように構成することができる。いくつかの実施形態において、低背熱モジュール606は、約100ポンドの力をCPU 608に印加することができる。この100ポンドの力は、CPUライザボード406の反対側に配設されたCPUバネ410によって均衡させることができる。CPUバネ410は、平坦化されたときに低背熱モジュール606の力に対抗するU字型のバネであり得る。CPUバネ410は、任意数の頑丈な材料で作製することができる。一実施形態において、CPUバネ410は、17−7析出硬化型ステンレス鋼から作製することができる。
低背熱モジュール606は、CPU 608を安着させることに加え、締結具609(図7Bでは締結具714とも称される)が蒸気チャンバ404の取付箇所408に嵌合できる孔を有し得る。CPUライザボード406を蒸気チャンバ404に連結する締結具611(図7Bでは締結具716とも称される)は、CPU 608と蒸気チャンバ404との間で強固な熱インタフェースを確立する目的で使用することができる。締結具611は、締結具609の背後に配設され、図6Bの断面図では破線で表されている。いくつかの実施形態においては、CPU 608と蒸気チャンバ404との間で約30ポンドの力を印加することができる。CPUバネ410は、CPU 608を安着させることに加え、CPU 608と蒸気チャンバ404との間でこの30ポンドの力を設定するのを支援する目的で使用することもできる。印加されたこの力により、CPU 608と蒸気チャンバ404との間で強固な熱接触を確立できると共に、CPUライザボード406をヒートシンク402にしっかりと装着することもできる。GPU 614及びGPU 616をそれぞれ有するGPUライザボード412及び414は、ヒートシンク402の他の面に機械的に連結することができる。CPUライザボード406と同様、GPUライザボード412及び414も、自身の対応する蒸気チャンバに連結することができる。例えば、GPUライザボード412は、締結具618によって自身の対応する蒸気チャンバに連結することができる。
締結具618は、蒸気チャンバに配設された取付箇所に連結することができ、蒸気チャンバ404とGPU 614との間の圧力の大きさをGPUバネ620によって均衡させることができる。締結具618は、GPUバネ620と協調して、GPUライザボード412をヒートシンク402に安着させるための所定の大きさの圧力を提供することができる。一実施形態においては、ソケット内でGPU 614を安着させるために、GPU 614をGPUライザボード412にハンダ付けして、追加の圧力印加を不要にしてもよい。なお、いくつかの実施形態においては、GPUライザボード412が、GPUバネ620からの力を受け取り、GPUライザボード412に更なる構造的な支持を提供するように動作可能な補強具622を備え得るという点にも留意すべきである。また、GPUライザボード412、414の一方(図示のとおり)又は両方がSSDモジュール420を備え得るという点にも留意すべきである。SSDモジュール420は、GPUライザボード412、414の一方又は両方の背面に連結することができる。
図6Cは、筐体102内に配設された更に別のヒートシンク402の断面図を示す。ヒートシンク402を包囲する筐体102を示すことに加え、入出力アセンブリ430も描かれている。入出力アセンブリ430は、PSU 432、入出力ボード436、及び構造壁438を備える。入出力アセンブリ430は、PSU 432の天面における穿孔を表すいくつかのドット状の穴を備える。いくつかの実施形態において、PSU 432の穿孔のサイズを変えて、PSU 432を通過する空気の流れを調節することができる。入出力ボード436の外向き面には、入出力インレー(inlay)626を通じてユーザがアクセス可能なコネクタの列を表すコネクタ列624が配設されている。一実施形態において、入出力インレー626は、ひっかき耐性の高いRF透過性硬質プラスチックであり得る。
図6Dは、複数の気流領域に分割された図6Cの同じ断面を示す。図6Dでは、中央気流314が、筐体102の長手方向軸と平行な気流経路として、ヒートシンク402の三角形中央領域内に描かれている。図7Aに詳細に示すとおり、周辺気流312は、複数の分岐流へと枝分かれし得る。そのうちの一方は、GPU気流領域630及び632として示されたGPUライザボードの背面部分沿いに方向付けられ得る。なお、種々の計算部品は、多量の廃熱を生成するデューティサイクルを有し得るという点に留意すべきである。例えば、SSDモジュール420は、GPUライザボード414上にのみ配設され得る。GPUライザボード412、414の両方の動作パラメータが他の点で同様であると想定すると、SSD 420によって、GPU気流領域632よりも実質的により多くの熱がGPU気流領域630に排出され得る。かかる場合には、均衡化処理を実施して、GPUライザボード414からGPUライザボード412へGPU処理をオフロードすることができ、それによって気流領域630及び632における放熱を均衡化する。
周辺気流312の一部分は、気流領域634が示すとおり、CPUライザボードの両側沿いに方向付けることができる。このようにして、CPUライザボード404は、前面及び背面の両方で対流冷却を受け取ることができる。気流領域636は、メモリ(DIMM)モジュール302に対流冷却を施す気流を表す。気流領域638は、PSU 432を通じて回送される周辺気流312の一部分を表す。上述のとおり、PSU 432の天面にある穿孔のサイズを変えて、PSU 432を通過する気流の量を調節することができる。最後に、気流領域640は、入出力ボード436沿いに方向付けられた空気の体積を表し得る。種々の気流ガイドを使用して、気流領域ごとの最適な気流の量を確立するのを促進することができる。例えば、一実施形態において、リブ502は、(いくつかの実施形態においては取り外し可能であり得る)ベースユニット116上での自身の角度位置に応じて様々な角度を有することができ、気流を所望の気流領域へと分散させるのを支援する。一実施形態においては、コンパクトコンピューティングシステム100を通過する空気の略50%を中央気流314へと方向付けることができる。かかる構成では、気流のうち約10%が気流領域638を通じて引き込まれ、残りの40%はその他の気流領域に分割され得る。
図7Aは、GPUライザボード414の側面図を示す。GPUライザボード414の上を通る気流が周辺気流312として示されており、この気流は、図5のところで説明したとおり、フレックスジャンパケーブル504によって方向転換されてGPUライザボード414の上を通るようにすることができる。これにより、多量の周辺気流がGPUライザボード414の中心部分の上を通る。このことは、SSDモジュール420及びGPU(非図示)など、熱を排出する本体がGPUライザボード414の中心部分に配設されている実施形態などの実施形態において有利であり得る。周辺気流312は、GPUライザボード414を上って行くときに、GPUライザボード414に沿って自然に拡散することができる。気流312の自然な正規化に加え、GPUライザボード414の頂部とプレナムプレート442との間での相互作用によって気流312の拡散が更に促され得る。GPUライザボード414の周辺部分は環状プレナムプレート442の中心点から遠い径方向距離に配設されていることから、より大きな空隙が残され、GPUライザボード414の上を通ってインペラ316(非図示)内へと空気が押し寄せる。その結果、GPUライザボード414の上側部分において周辺気流312の外側周辺部分が大きくなり得る。GPUライザボード414の上側部分は、発熱部品がより均一な気流312の分散の恩恵を受けられるように構成することができる。例えば、DC入力702は相当な量の熱を発し得る。更に、電源調整モジュール704をGPUライザボード414全体に等間隔で広げ得る。コンデンサ706もまた、周辺気流312によって提供される対流冷却から大きな恩恵を受けることができる。なお、例えばSSDモジュール420及び電源調整モジュール704など、発熱体の多くは、図示のとおり、自身の上の気流と、その結果生まれる対流伝熱とが最大化されるように、垂直に配設してもよいという点に留意すべきである。ただし、GPUライザボード412の上の周辺気流312は、GPUライザボード414との関連で描かれた気流と略同様であり得るという点に留意すべきである。
図7Bは、CPUライザボード406の側面図を示す。この図は、CPUバネ410の更なる詳細を示す目的で提供される。先に説明したようにCPUバネ410は、U字型の17−7析出硬化型ステンレス鋼合金から作られ得る。締結具によってCPUバネ410沿いに力を印加して、CPUバネ410をCPUライザボード406の裏側に押し当てて平坦化することができる。CPUバネ410は、種々のサイズのいくつかのバンドを備え得る。図示されているCPUバネバンド710は、CPUバネバンド712よりも厚く、CPU(非図示)をCPUライザボード406に安着させるのに必要な約200ポンドの力を提供する。締結具714は、低背熱モジュール606内にのみ延びることができ、CPUライザボード406をヒートシンク402に取り付ける前にCPUバネ410がCPUライザボード406上でCPUをしっかりと安着させることができる。締結具716は、より細いCPUバネバンド712によって約30ポンドの力を印加し、加えて、CPUライザボード406を受容するように構成された蒸気チャンバの取付箇所408にCPUライザボード406を連結するように動作するように構成されている。なお、CPUライザボード406に更なる構造剛性を提供するために、CPUバネ410とCPUライザボード406との間に補強材718を配設できるという点に留意すべきである。
図8は、筐体102の頂部内に配設された排気アセンブリ440の部分断面側面図を示す。中央気流314は、排気アセンブリ440で周辺気流312と結合される。排気アセンブリ440は、コンパクトコンピューティングシステム100の動作中に空気を引き込んでコンパクトコンピューティングシステム100を通過させるのを司るインペラ316を備える。インペラ316は、中央気流314と周辺気流312とを受け取り、それらを結合して排気流114に戻す。図示のとおり、排気流114が軸方向成分及び遠心方向成分と共に排出されることから、インペラ316は混流ファンと言うことができる。排気流114の軸方向成分は、排気流114が筐体102の部分110に接触した際の圧力低下の量を減じる。なぜなら、排気流114が排気アセンブリ440から略遠心方向に出た場合ほどには、流れの方向は大きく変わらないためである。排気流114の軸方向成分は、排気流114と筐体102の部分110との間での伝熱低減も支援する。このようにして、筐体102の部分110の通常動作温度を、ユーザが筐体102を快適に扱うのに十分低い温度に保つことができる。なお、排気流114を更に調整して排気アセンブリ440から略径方向に出て行くようにして、空気が筐体102外へと速やかに移動できるようにすることが可能であるという点に留意すべきである。排気流114が非径方向成分を含んでいる場合には、旋回パターンが発生し、更なる圧力低下及び筐体102に対する対流伝熱の増加が生じ得る。
筐体102の周りの熱分散は、筐体102の部分110の厚み802の関数として更に制御することができる。一実施形態において、厚み802は、熱が筐体102の周りに周方向に効率良く伝わる約4〜6mm程度であり得る。このようにして、筐体102に沿ってホットスポットが形成されるのを防ぐことができる。図示のとおり、筐体102が受け取った熱は大半が頂部付近にあることから、筐体102の厚み802は、下に向かって徐々に細くなり得る。その結果、熱は頂部において周方向に均一に拡散され得るため、細い下側部分が、簡単に筐体102の上側開口部から遠ざかる方向に熱を伝導することができる。いくつかの実施形態においては、インペラ316を、コンパクトコンピューティングシステムの全体的な音響出力を37dB未満に保ちながら、空気を毎分約28〜29立方フィートの速度でコンパクトコンピューティングシステム100に引き入れるように構成することができる。
図9Aは、排気アセンブリ440の断面上面図を示す。本描示において、インペラ316は57枚のインペラブレード902を有し得る。いくつかの実施形態においては、ハブ904を中心に不均等間隔でインペラブレード902を配設することができる。例えば、隣接するファンブレード間の角距離は、約5.5度と7度との間で様々であり得る。この不規則な間隔が、インペラ316の音響面を低減するのに役立ち得る。下の表1は、インペラ316の57枚のインペラブレード902で以って利用可能なある特定のブレード間隔構成を示す。加えて、インペラブレード902は、排気流114を径方向に向ける後方に湾曲したブレードを有し得る。
図9Bは、図9Aに示す横断面図の一部分を示す。具体的には、ファンブレード902は、ファンブレード902の後縁がファンブレード902の前縁よりも約10度大きく傾くように構成することができる。一実施形態においては、図示のとおり、ファンブレード902の前縁が130度の角度を有し得るのに対し、ファンブレード902の後縁は約140度の角度を有し得る。ファンブレード902は後方に湾曲しているものの、インペラ316の回転の方向により、インペラ316から出て行く気流は、インペラ316から出るときに依然として周方向成分を有することができる。径方向を向いたステータ906は、気流114から接線成分を除去することにより、気流114がステータ906を通過する際に排気流114を略直線化するように構成することができる。その結果、ステータ906を後にする平均的な気流の方向は、より径方向に近づく。
図10A〜図10Bは、排気アセンブリ440の代替実施形態の断面上面図を示す。本実施形態において、ステータブレード1002は、より漸進的な排気流114の方向転換を提供するために、湾曲形状を有し、反対方向を向いていてもよい。この構成により、ステータブレード表面からの分離によって乱気流に失われる流れエネルギーを低減することができる。1組の実験においては、同様の構成の湾曲ステータ構成が、直線状のステータブレードを有する同様の構成のシステムよりも圧力能力が約30%上回った。他の実施形態においては、直線状のステータブレードを、図示された湾曲型ステータブレード1002と同様の方向に向けてもよい。
図11Aは、インペラ316、排気孔318、及びプレナムプレート442を備える排気アセンブリ440の部分断面側面図を示す。インペラ316は、ファンモータ1102によって駆動することができる。ファンモータ1102は、気流の進入損失を低減できると共に、ブレード902の容積を大きくするのが所望される場合にはそれも可能にするスモールフォームファクタモータであってもよい。特定の一実施形態においては、ファンモータ1102がスラスト軸受であってもよい。スラスト軸受のコンパクトな性質ゆえ、インペラ316は、排気流114がインペラ316を後にする際に軸方向成分を有するように支援する輪郭付けられたリードイン領域1104を有してもよい。排気孔318は、排気流114を略径方向にするためのステータブレードを備えることに加え、排気流114が排気アセンブリ440から出て行く際に排気流114に更なる軸方向成分を加えるためのリブ1106も備える。なお、排気流114は、例示のためだけにインペラ316の左側にのみ示されており、インペラ316の右側も貫流するという点に留意すべきである。本実施形態においては、プレナムプレート442がインペラ316のシュラウドとして機能する。
図11Bは、プレナムプレート442を有しない排気アセンブリ440の下面図を示す。この描示においては、インペラ316が底部のシュラウド又はシュラウドプレートを有しない状態で示されている。この構成により、別個のシュラウドプレートを製造する必要がある場合に比べて、インペラ316を一塊で製造しやすくなる。更に、かかる実装により、インペラ316の底部周縁に支持リング1108を配設することができる。支持リング1108は、ファンブレード902に構造的安定性を付加することができる。支持リング1108は、インペラ316の均衡化を支援する目的で使用することもできる。例えば、インペラ316に関連し得る小さなバランスの問題を解消するのを支援するために、支持リング1108内に切り込み又は穴を設計することができる。支持リング1108には、排気アセンブリ440から出て行く途中で支持リング1108を通過する空気に小さな軸方向成分を提供できるという利点もある。
図12Aは、記載の実施形態のいずれかに係る、いくつかのコンパクトコンピューティングシステム100を支持するのに好適なラック構成1200を示す。この描示においては、ラック構成1200の一方の側で冷却気を引き入れ、別の側で排出することができる。このため、1つのコンパクトコンピューティングシステムからの排気が再循環して近くのコンピューティングデバイスの吸気になる可能性は低い。かかる方式で構成されたコンパクトコンピューティングシステムは、データコネクタ1202を介して直接通信することもできる。データコネクタ1202は、イーサネット(登録商標)ケーブル、Thunderbolt(登録商標)ケーブル、又は任意数の他の高速データ伝送プロトコルによって具現化することができる。いくつかの実施形態において、図示されたコンパクトコンピューティングシステムは、無線通信することができる。図12Bは、いくつかのコンパクトコンピューティングシステムがマスターコンパクトコンピューティングシステムに対してスレーブであり、それによってマスターコンパクトコンピューティングシステムが種々の他のコンパクトコンピューティングシステムのリソースを割り当てることのできる構成を示す。図12Cは、コンパクトコンピューティングシステム100と互換性のある種々の他の構成を示す。六角形に配置されたコンパクトコンピューティングシステムを示す一実施形態の斜視図及び断面図が描かれている。別の構成においては、このコンパクトコンピューティングシステムを、直線的、立体的に配置することができる。
図13は、コンパクトコンピューティングシステムを冷却するための方法1300を説明している。ステップ1302で、コンパクトコンピューティングシステムに進入する冷却気の流れが複数の気流領域に分割される。ステップ1304で、冷却気の流れの一部分が、いくつかのプリント回路板(PCB)と直接熱接触しているフィンスタックから熱を除去する。この冷却気の別の一部分を利用して、PCBの各々の後部に対流冷却を同時に施すことができる。ステップ1306で、冷却気の流れが再結合され、その後コンパクトコンピューティングシステムから排出される。
図14は、記載の実施形態に係る、第1の端部に第1の開口部を有し、第2の端部に、第1の開口部から軸方向に配設された第2の開口部を有する円筒形筐体を有するデスクトップコンピュータから熱を除去するための処理1400を詳述したフローチャートである。処理1400は、1402で、第2の開口部付近に位置するエアムーバによって第1の開口部付近の外部環境に対する負圧差を円筒形筐体内に作り出すことによって実行される。1404で、この負圧差を受けて、外部環境から空気を吸気流として円筒形筐体の第1の開口部に引き込む。1406で、この吸気流を、第1の開口部付近に位置する気流スプリッタによって中央気流と周辺気流とに分割する。1408で、エアムーバにより、中央気流経路に従って中央気流が中央容積を通過し、周辺気流経路に従って周辺気流が中央容積から分離された周辺容積を通過する。1410で、エアムーバで中央気流と周辺気流とを結合して排気流にする。1412で、エアムーバにより、第2の開口部付近の外部環境に対する正圧差を作り出す。1414で、正圧差を受けて排気流を円筒形筐体から外部環境に排出する。
図15は、記載の実施形態で使用するのに好適なコンピューティングシステム1500のブロック図である。コンピューティングシステム1500は、代表的なコンピューティングシステムの回路を例示する。コンピューティングシステム1500は、コンピューティングシステム1500の動作全般を制御するためのマイクロプロセッサ又はコントローラに適するプロセッサ1502に連結された入力1501を備える。プロセッサ1502はマルチプロセッサシステムを参照し得るという点にも留意すべきである。例えば、コンピューティングシステム1500は、グラフィック処理ユニット(GPU)など1つ又は複数の専用機能プロセッサに加え、1つ又は複数の中央処理ユニット(CPU)も備え得る。コンピューティングシステム1500は、データ(メディアデータなど)をファイルシステム1504及びキャッシュ1506に記憶する。ファイルシステム1504は、コンピューティングシステム1500に大容量の記憶能力を提供するのが典型的である。キャッシュ1506は、例えば半導体メモリによって提供されるランダムアクセスメモリ(RAM)である。コンピューティングシステム1500は、RAM 1508及び読み取り専用メモリ(ROM)1510も備え得る。ROM 1510は、実行されるべきプログラム、ユーティリティ、又はプロセスを不揮発性方式で記憶することができる。
コンピューティングシステム1500は、データリンク1512に連結するネットワーク/バスインタフェース1514も備える。データリンク1512により、コンピューティングシステム1500をホストコンピュータ又はアクセサリデバイスに連結することができる。データリンク1512は、有線接続又は無線接続を介して提供することができる。無線接続の場合、ネットワーク/バスインタフェース1514は、無線送受信機を備え得る。メディアアイテム(メディアデータ)は、1つ以上の異なるタイプのメディアコンテンツに関連し得る。一実施形態では、メディアアイテムは、オーディオトラック(例えば、歌曲、オーディオブック、及びポッドキャスト)である。別の実施形態において、メディアアイテムは、画像(例えば、写真)である。しかしながら、他の実施形態では、メディアアイテムは、オーディオコンテンツ、グラフィカルコンテンツ、又はビジュアルコンテンツのいずれかの組み合わせとすることができる。センサ1516は、任意数の刺激を検出するための回路機構の形態をとり得る。例えば、センサ1516は、外部磁界に反応するホール効果センサ、オーディオセンサ、光度計などの光センサなどを含み得る。
本明細書には各種実施形態が記載されている。これらの実施形態は、少なくとも以下のものを備える。
長手方向軸を有し、長手方向軸に関して対称的である内容積を取り囲む筐体を有するデスクトップコンピュータ用熱管理システムが記載される。この熱管理システムは、長手方向軸に対して直角である断面を有する中央熱領域を画定し、少なくとも部分的に取り囲む複数の平坦面を備える、内容積内に配設された少なくとも1つのヒートシンクを含む。熱管理システムは、空気を移動させて少なくとも中央熱領域を通過させるエアムーバも備える。
長手方向軸を有し、長手方向軸に関して対称的である内容積を少なくとも部分的に画定し及び取り囲む筐体を備えるデスクトップコンピュータから熱を除去するための熱管理システムは、内容積内に位置付けられたヒートシンクを備える。このヒートシンクは、長手方向軸に対して直角である多角形の形状をした断面を有する中央気流領域を画定する複数の平坦面を備える。これら複数の平坦面のうちの少なくとも1つが、内側面であって、その内側面から延び、中央気流領域をわたってそれら複数の平坦面のうちの少なくとも別の面の内側面へと達する冷却フィンと一体的に形成された内側面と、ヒートシンクと熱接触している計算部品を担持するように構成された外側面と、を備える。
円筒形筐体内に取り囲まれたコンピューティングデバイス用の熱除去システムについて説明する。熱除去システムは、複数の孔であって、これら複数の孔の内外の圧力差に従って吸気流を受け取り、円筒形筐体の長手方向軸沿いに吸気流を方向付けるように構成された複数の孔を備え、これら複数の空気孔は円筒形筐体の第1の端部に配設されている。熱除去システムは、複数の孔と円筒形筐体の長手方向軸との間に配設された整流装置であって、吸気流を、コンピューティングデバイスの中心部分の方に向けられた中央気流とコンピューティングデバイスの周辺部分の方に向けられた周辺気流とに二分するように構成された整流装置と、第1の端部の反対側にある円筒形筐体の第2の端部に配設された排気システムであって、中央気流を受け取って周辺気流と結合し、結合気流を第2の端部にある円筒形筐体内の開口部から排出するように構成された排気システムと、も備える。
第1の端部にある第1の開口部と、第1の端部の反対側の第2の端部にある第2の開口部と、を有する筐体によって取り囲まれ及び画定された空気経路内に配設された計算部品によって生成された熱を除去するための方法が、第2の開口部付近に位置するエアムーバによって第1の開口部で吸気流を空気経路へと引き込むことと、その吸気流を、空気経路の中心部分を通過する中央気流と、空気経路の中心部分から分離された空気経路の周辺部分を同時に通過する周辺気流と、に分割することであって、上記の計算機部品が少なくともいくらかの熱を中央気流及び周辺気流へと移す、分割することと、中央気流と周辺気流とをエアムーバによって結合して排気流にすることと、排気流を第2の開口部を通じて筐体外へと移動させることによって筐体から熱を除去することと、によって実行される。
円筒形デスクトップコンピュータ用の熱管理システムは、少なくとも、その円筒形デスクトップコンピュータを冷却するのに好適な排気アセンブリを備える。この排気アセンブリは、ハブと、ハブから径方向に突出している複数のファンブレードであって、複数のファンブレードの隣接ファンブレードはハブを中心に不規則な角度間隔で配設される、複数のファンブレードと、複数のファンブレードの各々の後縁部分の底面に沿って一体的に形成され、複数のファンブレードに少なくとも構造的な支持を提供するように動作可能な支持リングと、を備えるインペラを備える。熱管理システムは、排気流における径方向成分の形成を抑制するように構成された複数のステータブレードも備える。
デスクトップコンピュータで使用する熱管理システムは、複数のファンブレードを備えるインペラと、そのインペラを包囲し、排気流がデスクトップコンピュータから出る際に通過する複数の空気孔を備える排気グリルと、を備える。複数の排気孔は、複数のファンブレードと協働して排気流の軸方向成分を増やすように構成された複数のリブと、排気グリルを通過する空気の接線成分を除去するように構成された複数のステータと、を備える。
長手方向軸を有し、長手方向軸に関して対称的である内容積を少なくとも部分的に画定する筐体と、内容積内に位置付けられ計算部品を有するコンピューティングエンジンと、を備えるデスクトップコンピュータから熱を除去するためのヒートシンクは、長手方向軸に対して略直角である断面を有する中央熱領域を画定する複数の平坦面を備える。
コンパクトコンピューティングシステムは、長手方向軸を有し、長手方向軸に関して対照的である内容積を取り囲み及び画定する筐体と、多角形の形状を有する断面を有する中央熱領域を少なくとも取り囲み、長手方向軸に対して略直角であるヒートシンクと、空気を方向付けて内容積を通過させるように構成され、中央熱領域を通過する中央気流を備えるエアムーバと、内容積内に配設され、ヒートシンクによって支持され、ヒートシンクと熱接触するコンピューティング部品と、を備える。一実施形態において、コンピューティング/計算部品は、長い方の寸法に対応する長い方の中心線と短い方の寸法に対応する短い方の中心線とを有する形状を有する。一実施形態において、長い方の寸法は長い方の長さに対応し、短い方の寸法は短い方の長さに対応する。一実施形態において、長い方の寸法は長さ(L)であり、短い方の寸法は幅である。一実施形態において、長い方の寸法は長手方向軸に対して概して平行である。一実施形態において、短い方の寸法は長手方向軸に対して概して平行である。一実施形態において、長い方の中心線は短い方の中心線に対して直角である。一実施形態において、コンピューティング部品の内部構造は、長い方の中心線に対して概して平行に、かつ長い方の長さに従って編成されている。一実施形態において、長い方の中心線は長手方向軸に対して概して平行である。一実施形態において、短い方の中心線は長手方向軸に対して概して平行である。
プリント回路板(PCB)の第1の表面に配設された電気コネクタに集積回路(IC)を固定し、ICを伝熱アセンブリと熱接触した状態に維持する目的で使用される一体型熱モジュール(CTM)は、PCBの第2の表面に配設された補強材プレートと、自身の少なくとも一部分が、第1の保持力及び第2の保持力を提供するように構成された補強材プレート上に配設されている保持機構と、補強材プレート及び保持機構にICを固定する目的で使用される第1の締結具であって、保持機構は補強材プレート全体に第1の保持力を均一に分散させ、ICを電気コネクタ内の電気接点と均一な電気的接触で維持する、第1の締結具と、熱除去アセンブリを保持機構に固定する目的で使用され、ICを伝熱アセンブリと均一に熱接触した状態に維持する第2の締結具と、を備える。
長手方向軸を有する円筒形容積を取り囲む円筒形筐体であって、第1の端部に第1の断面を有する第1の開口部と、第1の端部の反対側にある第2の端部に第2の断面を有する第2の開口部と、を有する円筒形筐体を有する円筒形デスクトップコンピュータ用の熱管理システムは、円筒形容積内に配設され、三角形の断面を有する中央熱領域を画定し及び取り囲む複数の平坦面を備えるヒートシンクと、径方向成分を有しない空気を移動させて少なくとも中央熱領域を通過させる、第2の開口部付近に位置するエアムーバと、を備える。
プリント回路板(PCB)の第1の表面上に配設された電気コネクタに集積回路(IC)を固定し、ICを伝熱アセンブリと熱接触した状態に維持する目的で使用される熱モジュール(TM)は、第1の保持力及び第2の保持力を提供するように構成された保持機構と、電気コネクタ内の電気接点との均一な電気的接触を維持する第1の保持力をIC全体に均一に分散させる保持機構にICを固定する目的で使用される第1の締結具と、熱除去アセンブリを保持機構を固定する目的で使用され、ICを伝熱アセンブリと均一に熱接触した状態に維持する第2の締結具と、を備える。
デスクトップコンピューティングシステムは、軸に関して対称的である内容積を少なくとも部分的に取り囲み及び画定する筐体と、筐体の長さ全体にわたって延在する内容積内の空気経路と、空気経路内に配設され、少なくとも1つのコンピューティング部品を備えるコンピューティングエンジンと、を備える。
更に、円筒形デスクトップコンピュータ用の熱管理システムは、長手方向軸を有する円筒形容積を取り囲む円筒形筐体であって、第1の端部に第1の開口部を有し、第1の端部の反対側にある第2の端部に第2の開口部を有する円筒形筐体を有する。熱管理システムは、円筒形容積内に配設され、三角形の断面を有する中央熱領域を画定し及び取り囲む複数の平坦面を有するヒートシンクを備える。
熱管理システムは、第1の平坦面の内側面から、少なくとも第2の平坦面の内側面へと延び、中央熱領域をわたる冷却フィンを備える。一実施形態において、これら複数の平坦面及び円筒形筐体の内側面は、周辺熱領域を取り囲み及び画定する。一実施形態においては、中央冷却フィンが、第1の平坦面の内側面から、第2の平坦面の内側面と第3の平坦面の内側面との交差箇所へと延びる。一実施形態において、中央冷却フィンは、中央熱領域を、各々同様の三角形断面を有する第1の領域と第2の領域とに二分する。一実施形態において、このシステムは、第1の平坦面の内側面から、第2の平坦面の内側面だけに延び、かつ第1の領域をわたる第1の冷却フィンも備える。一実施形態において、このシステムは、第1の平坦面の内側面から、第3の平坦面の内側面だけに延び、かつ第2の領域をわたる第2の冷却フィンも備える。
一実施形態においては、第1の冷却フィンと第1の平坦面内側面との間の第1の角度が、第1の冷却フィンと中央冷却フィンとの間の距離に応じて変わる。一実施形態においては、第2の冷却フィンの内側面と第1の平坦面の内側面との間の第2の角度が、第2の冷却フィンと中央冷却フィンとの間の距離に応じて変わる。一実施形態において、第1の角度と第2の角度との和は、約180°に等しい。一実施形態において、ヒートシンクは、一塊の押出成形された金属から形成される。一実施形態において、このシステムは、第2の開口部付近に位置し、第1の開口部で円筒形筐体内に空気を引き込ませる負圧差を円筒形筐体の第1の一部分で作り出すエアムーバも備える。一実施形態においては、空気が、中央熱領域を通過する中央気流と周辺熱領域を通過する周辺気流とに分割される。一実施形態において、エアムーバは、中央気流と周辺気流とを結合して排気流にするように構成されている。
一実施形態において、エアムーバは、第2の開口部を通じて排気流を円筒形筐体外へと強制的に排出する正圧差を円筒形筐体の第2の一部分で作り出すように構成されている。一実施形態においては、平坦面の1つが、熱管理システムによって所定の動作温度の範囲内に維持されるコンピューティング部品を担持する。
コンピューティングエンジンから熱を除去するための熱管理システムは、長手の筐体を有する円筒形筐体内に位置付けられた計算部品を有する。熱管理システムは、略三角形の中央気流領域を画定する複数の平坦面を有するヒートシンクを備える。これら複数の面の各々は、内側面であって、その内側面から延び、三角形の中央気流領域をわたってそれら複数の面の別の面の内側面へと達する複数の冷却フィンと一体的に形成された内側面と、ヒートシンクと熱接触している計算部品を担持するように構成された外側面と、を有する。
一実施形態において、これら複数の平坦面及び円筒形筐体の内側面は、周辺気流領域を取り囲み及び画定する。一実施形態において、円筒形筐体は、第1の端部にある第1の開口部と、第1の端部の反対側にある第2の端部にある第2の開口部と、を更に備える。一実施形態において、熱管理システムは、第2の開口部付近にあり、円筒形筐体内で第1の開口部における外部環境に対する負圧差を生み出すように構成されたエアムーバを更に備える。一実施形態においては、第1の開口部における負圧差が、外部環境から第1の開口部内への吸気をもたらす。一実施形態において、このシステムは、第1の開口部付近に、吸気を中央気流と周辺気流とに分割するように構成された空気スプリッタも備える。一実施形態において、中央気流は、長手方向軸に対して概して平行である中央気流経路に沿って中央気流領域を通り抜ける。
一実施形態において、周辺気流は、長手方向軸に対して概して平行である周辺気流経路に沿って周辺気流領域を通り抜ける。一実施形態においては、周辺気流及び中央気流が径方向成分を本質的に有しない。より具体的には、中央気流は中央気流領域を通過する際に径方向成分を有しないし、周辺気流は発熱部品の大半が存在する部分において周辺気流経路に沿って移動する際に径方向成分を有しない。一実施形態において、エアムーバは、中央気流と周辺気流とを結合して排気流にするように構成されている。一実施形態において、エアムーバは、第2の開口部付近の外部環境に対する正圧差を円筒形筐体内で生み出すように構成されている。一実施形態においては、この正圧差により、排気流が強制的に第2の開口部を通って円筒形筐体の外に排出される。排気流は最大約40dBAの音響特性を有し、最大排気流は、室温(25℃)で毎分約25〜30立方フィート(CFM)、高温(35℃)で約40CFMである。
一実施形態においては、計算部品からの第1の熱量が、複数の冷却フィンのうちの1つと熱接触している蒸気チャンバに移送され、その後中央気流へと移送される。一実施形態においては、計算部品からの第2の熱量が、周辺気流に直接移送される。一実施形態において、円筒形筐体の第2の端部における開口部は、円筒形筐体の第2の端部の断面領域全体の50%よりも大きな領域を有する。一実施形態において、エアムーバは、径方向気流成分を本質的に作り出さない混流ファンである。
円筒形筐体内に取り囲まれたコンピューティングデバイス用の熱除去システムについて説明する。熱除去システムは、複数の孔であって、これら複数の孔の内外の圧力差に従って吸気流を受け取り、円筒形筐体の長手方向軸の方へと吸気流を方向付けるように構成され、円筒形筐体の第1の端部に配設されている複数の空気孔と、これら複数の孔と円筒形筐体の長手方向軸との間に配設された整流装置であって、吸気流を、コンピューティングデバイスの中心部分の方に向けられた中央気流とコンピューティングデバイスの周辺部分の方に向けられた周辺気流とに二分するように構成された整流装置と、円筒形筐体の第1の端部の反対側にある第2の端部に配設された排気システムであって、中央気流を受け取って周辺気流と結合し、円筒形筐体の開口部を通じて結合気流を排出するように構成された排気システムと、を備える。一実施形態において、円筒形筐体の第1の端部は、湾曲部分へと移行する水平ベースを備えており、複数の孔は、水平ベースに対して、吸気流を円筒形筐体の長手方向軸の方へと方向付ける角度で、円筒形筐体の湾曲部分に沿って配設されている。
一実施形態においては、エアムーバが、円筒形筐体全体に熱を均一に拡散させるように配置された調整された厚を有する環状リップ部分によって画定された円筒形筐体の開口部付近に配設されている。一実施形態において、排気システムは、円筒形筐体の外に空気を排出するように構成された混流ファンを備える。一実施形態において、整流装置は、第1のプリント回路板(PCB)を第2のPCBに電気的に連結するデータケーブルを備える。一実施形態においては、データケーブルに接触する吸気流の一部分が、周辺気流の方へと方向転換される。一実施形態においては、ヒートシンクが、少なくとも2つのプリント回路板を支持するように構成されており、円筒形筐体の内側面がヒートシンクの外側面と協働して、周辺気流の一部分を画定する。一実施形態において、ヒートシンクは、中央気流を画定する冷却フィンスタックを備える。一実施形態において、円筒形筐体の第2の端部における開口部は、円筒形筐体の第2の端部の断面領域全体の50%よりも大きな領域を有する。
第1の端部に第1の開口部を有し、第2の端部にある第1の開口部から軸方向に配設された第2の開口部を有する円筒形筐体を有するデスクトップコンピュータから熱を除去するための方法について説明する。この方法は、第2の開口部付近に位置するエアムーバによって外部環境から円筒形筐体の第1の開口部内へと吸気流を引き込むことと、ここで第1の開口部付近にある気流スプリッタが、この気流を、中央気流経路をたどって中央容積を通過する中央気流と、周辺気流経路をたどって中央容積から分離された周辺容積を通過する周辺気流と、に分割し、及び、エアムーバによって中央気流及び周辺気流を結合して排気流にした後、その排気流を、第2の開口部を通じて円筒形筐体から外に移し、外部環境へと出すこととによって実施される。
円筒形デスクトップコンピュータ用の熱管理システムについて説明する。熱管理システムは、円筒形デスクトップコンピュータを冷却するのに適した排気アセンブリを備え、排気アセンブリは、ハブ、ハブから径方向に突出している複数のファンブレードであって、複数のファンブレードの隣接ファンブレードはハブを中心に不規則な角度間隔で配設された、複数のファンブレード、及び、複数のファンブレードの各々の後縁部分の底面に沿って一体的に形成された支持リングであって、複数のファンブレードに少なくとも構造的な支持を提供するように動作可能な支持リングと、を備えるインペラを有する。
また、複数のステータブレードも備え、インペラは、スラスト軸受によって軸方向に安定化されたシャフトを更に備える。一実施形態において、これら複数のファンブレードは、後方に湾曲したファンブレードを備える。一実施形態においては、これら複数のファンブレードの各々の後縁が、これら複数のファンブレードの各々の対応する前縁よりも約10度大きく傾いている。一実施形態において、これら複数のステータブレードは、複数のファンブレードとは反対の方向を向いた湾曲型ステータブレードである。一実施形態においては、インペラから排出された空気が軸方向成分及び遠心方向成分の両方を有する。一実施形態においては、ハブの形状が、気流の軸方向排気成分に寄与するように構成された輪郭付けられた形状を有する。一実施形態においては、プレナムプレートが、空気をインペラ内へと方向付けるように構成されている。一実施形態において、複数のファンブレードは、57枚のファンブレードを備える。一実施形態において、各ファンブレードは特定の角度間隔で隣接ファンブレードから離間しており、これらの角度間隔の各々が合計されると角度間隔が最大360度となり、第1の角度間隔は6.92°であり、第2の角度間隔は6.2399°であり、第3の角度間隔は6.1458°であり、第4の角度間隔は5.7145°であり、第5の角度間隔は5.9564°であり、第6の角度間隔は5.7037°であり、第7の角度間隔は5.7124°であり、第8の角度間隔は5.8201°であり、第9の角度間隔6.3916°であり、第10の角度間隔は6.1342°であり、第11の角度間隔は6.2996°であり、第12の角度間隔は6.8305°であり、第13の角度間隔は6.3928°であり、第14の角度間隔は6.9324°であり、第15の角度間隔は6.79°であり、第16の角度間隔は6.3158°であり、第17の角度間隔は6.6752°であり、第18の角度間隔は6.332°であり、第19の角度間隔は6.8873°であり、第20の角度間隔は6.9171°であり、第21の角度間隔は6.529°であり、第22の角度間隔は6.8115°であり、第23の角度間隔は6.1026°であり、第24の角度間隔は6.7456°であり、第25の角度間隔は5.7116°であり、第26の角度間隔は5.6961°であり、第27の角度間隔は6.1673°であり、第28の角度間隔は5.8777°であり、第29の角度間隔は5.8416°であり、第30の角度間隔は5.9396°であり、第31の角度間隔は6.1763°であり、第32の角度間隔は6.692°であり、第33の角度間隔は5.8011°であり、第34の角度間隔は6.4961°であり、第35の角度間隔は6.4858°であり、第36の角度間隔は6.305°であり、第37の角度間隔は5.886°であり、第38の角度間隔は5.6992°であり、第39の角度間隔は6.1355°であり、第40の角度間隔は6.9192°であり、第41の角度間隔は6.4834°であり、第42の角度間隔は6.3266°であり、第43の角度間隔は6.395°であり、第44の角度間隔は6.2282°であり、第45の角度間隔は6.4552°であり、第46の角度間隔は6.9279°であり、第47の角度間隔は6.7538°であり、第48の角度間隔は6.9354°であり、第49の角度間隔は6.926°であり、第50の角度間隔は6.4034°であり、第51の角度間隔は6.1482°であり、第52の角度間隔は6.4643°であり、第53の角度間隔は5.7442°であり、第54の角度間隔は5.7055°であり、第55の角度間隔は6.4974°であり、第56の角度間隔は6.2366°であり、第57の角度間隔は6.2388°である。
円筒形デスクトップコンピュータで使用する熱管理システムについて説明する。熱管理システムは、軸方向成分及び遠心方向成分の両方を有する空気を排出するように構成された複数のファンブレードを備えたフローファン、インペラと、インペラを包囲し、排気が混流ファンから出て行く際に通過する複数の空気孔を画定する排気グリルと、を備える。記載の実施形態において、これら複数の排気孔は、複数のファンブレードと協働して、インペラから排出された空気に対して軸方向成分を増やすように構成された複数のリブと、排気グリルを通過する空気の接線成分を実質的に除去することによって、インペラから出て行く空気を直線化するように構成された複数のステータと、を備える。
一実施形態においては、これら複数のステータの各ステータが、乱気流が実質的に避けられるように排気から接線成分を徐々に除去するように構成された湾曲形状を有する。一実施形態においては、これら複数のファンブレードの湾曲が、これら複数のステータの湾曲とは反対向きである。一実施形態においては、空気をインペラの中心部分内へと方向付けることと、インペラの下側部分を通過する空気を排気グリルの方に方向付けるためのシュラウドとして機能することと、の両方を行うように構成されたプレナムプレートが、インペラの入口部分全体に配設されている。一実施形態において、インペラは、インペラの周辺部分に連結されたバンドであって、複数のブレードに構造的な支持を提供し、接触した空気の一部分に更なる軸方向成分を加えるように構成されたバンドを更に備える。
一実施形態においては、スラスト軸受が、インペラを安定させるように構成されている。一実施形態において、インペラは、空気がファンブレードに捕らえられる前にその空気に軸方向成分を付与するように構成された輪郭付けられた部分を更に備える。
コンピューティング部品を備えるコンピューティングエンジンから熱を除去するためのヒートシンクが、長手方向軸を有する円筒形容積内に配設されている。このヒートシンクは、長手方向軸に対して略平行である三角形の断面を有する中央熱領域を取り囲み及び画定する少なくとも複数の平坦面を備える。一実施形態においては、これらの平坦面のうちの1つがコンピューティング部品を担持する。一実施形態において、コンピューティングエンジンは、ヒートシンクに対応するフォームファクタを有する。一実施形態において、ヒートシンクは、第1の平坦面の内側面に沿って延びる冷却フィンを備える。一実施形態において、この冷却フィンは、第1の平坦面の内側面から、少なくとも第2の平坦面の内側面へと延び、中央熱領域をわたる。
一実施形態においては、中央冷却フィンが、第1の平坦面の内側面から、第2の平坦面の内側面と第3の平坦面の内側面との交差箇所へと延びている。一実施形態において、中央冷却フィンは、中央熱領域を、各々同様の三角形断面を有する第1の領域と第2の領域とに二分する。一実施形態においては、第1の冷却フィンが、第1の平坦面の内側面から第2の平坦面へと延び、第1の領域をわたる。一実施形態においては、第2の冷却フィンが、第1の平坦面の内側面から第3の平坦面へと延び、第2の領域をわたる。一実施形態においては、第1の冷却フィンと第1の平坦面内側面との間の第1の角度が、第1の冷却フィンと中央冷却フィンとの間の距離に応じて変わる。一実施形態においては、第2の冷却フィンの内側面と第1の平坦面の内側面との間の第2の角度が、第2の冷却フィンと中央冷却フィンとの間の距離に応じて変わる。一実施形態において、第1の角度と第2の角度との和は、約180°に等しい。
コンパクトコンピューティングシステムは、長手方向軸を有する円筒形容積を取り囲み及び画定する円筒形筐体と、長手方向軸に対して略平行である中央熱領域を少なくとも取り囲むヒートシンクと、円筒形容積内に配設され、ヒートシンクとの熱接触によって支持されたコンピューティング部品と、を備える。一実施形態において、円筒形筐体は、円筒形筐体の第1の端部に、円筒形筐体の直径に対応する第1の直径を有する第1の開口部を備え、第1の端部の反対側にある第2の端部に、第2の直径を有する上開口部を備える。このシステムはまた、円筒形筐体の第1の端部にあり、円筒形筐体の第1の開口部に適合し、コンパクトコンピューティングシステムに支持を提供する支持要素と、上開口部付近にあるエアムーバと協働して吸気流を通過できるようにする孔と、を備えるベースユニットを備える。一実施形態において、エアムーバは、中央気流と周辺気流とを統合し、統合した気流を移動させて上開口部を通過させ、円筒形筐体の外に出す。一実施形態において、第2の直径は第1の直径よりも小さい。
デスクトップコンピューティングシステムは、軸対称形状及び長さを有する筐体と、筐体の長さにわたって延在する空気経路と、を備える。一実施形態においては、コンピューティングエンジンが空気経路内に配設されている。一実施形態においては、コンピューティングエンジンが構造コアの全般的形状となるようにコンピューティングエンジンに構造的な支持を提供する構造コアが筐体内に位置付けられている。一実施形態において、この構造コアは、コンピューティングエンジンからの熱除去を促進するヒートシンクを備える。一実施形態において、ヒートシンクは、コンピューティングエンジンから除去された熱の少なくとも一部を空気経路へと渡す。一実施形態において、筐体は円筒形筐体である。一実施形態において、空気経路は円筒形の空気経路である。一実施形態において、構造コアは三角形の形状を有する。一実施形態において、デスクトップコンピューティングシステムは、空気経路の長さにわたって空気を動かすように構成されたエアムーバを備える。
デスクトップコンピューティングシステムは、対称形状を有する内容積を少なくとも部分的に取り囲み及び画定する筐体と、筐体の長さ全体にわたって延在する内容積内の空気経路と、その空気経路内に配設され、少なくとも1つのコンピューティング部品を備えるコンピューティングエンジンと、を備える。一実施形態において、対称形状は円筒体である。一実施形態において、対称形状は球体である。一実施形態において、コンピューティングエンジンは、内容積の対称形状に応じた形状を有する。
記載の実施形態の種々の態様、実施形態、実装、又は特徴は、個別に、若しくは任意の組み合わせで使用することができる。記載の実施形態の種々の態様は、ソフトウェア、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実施することができる。説明される実施形態はまた、製造作業を制御するためのコンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとして、又は製造ラインを制御するためのコンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとして具体化することもできる。このコンピュータ可読媒体は、後にコンピュータシステムによって読み込むことが可能なデータを記憶することができる、任意のデータ記憶装置である。コンピュータ可読媒体の例としては、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD−ROM、DVD、磁気テープ、光学的データ記憶デバイス、及び搬送波が挙げられる。コンピュータ可読媒体はまた、ネットワーク接続されたコンピュータシステム上に分散させることもでき、コンピュータ可読コードが分散方式で記憶及び実行される。
上述の説明は、説明の目的上、本発明の完全な理解を提供するために、具体的な専門用語を使用するものとした。しかしながら、それらの具体的な詳細は、本発明を実践するために必須のものではないことが、当業者には明らかとなるであろう。それゆえ、本発明の具体的な実施形態の上述の説明は、例示及び説明の目的のために提示されるものである。それらの説明は、網羅的であることも、又は開示される正確な形態に本発明を限定することも、意図するものではない。上記の教示を鑑みて、多くの修正形態及び変形形態が可能であることが、当業者には明らかとなるであろう。
本発明の原理及びその実際的な応用を最良の形で説明し、それによって他の当業者が、想到される特定の用途に好適な種々の改良とともに本発明及び様々な実施形態を最良な形で利用することを可能とするために、これらの実施形態を選択し説明した。本発明の範囲は、以下の請求項及びそれらの均等物によって定義されるものと意図される。
これらの実施形態は、いくつかの特定の実施形態から見て説明されているが、改変物、変形物、及び均等物が存在し、いずれもこれらの全般的なコンセプトの範囲内に属する。これらの実施形態の方法及び装置を具現化する多数の代替方法が存在するという点にも留意すべきである。したがって、以下の添付の請求項は、記載の実施形態の真の趣旨及び範囲内に属する全ての改変物、変形物、及び均等物を含むものと意図される。