JP6015399B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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本発明は、アンテナ装置に関し、特に、携帯型の機器に搭載される小型のアンテナ装置に関する。
携帯型の機器に搭載されるアンテナ装置は、より小型でより高い利得が要求される。この要求を満たすために、特許文献1では、配線パターンを形成した回路基板上にアンテナ素子を配置し、配線パターンの両端に金属バネや金属板などの金属部材を配置している。この構成により、アンテナ素子、配線パターン、金属部材により立体ループアンテナが形成され、配線パターン、金属部材によりアンテナ実効長が長くなるため、アンテナの小型化が可能であり、しかも、筐体内の空間を有効に利用することができる。
2006−140589号公報
アンテナが携帯機器に収容される場合、携帯機器の姿勢は一定しないことから、水平偏波と垂直偏波に別々の機能を持たせた場合、筐体の厚みに直交する方向に偏波を出すことが求められることもある。たとえば、小型無線タグが無線タグリーダと通信する場合、無線タグの位置推定には垂直偏波が用いられるため、筐体が水平状態で保持される可能性を考慮すると、筐体の厚みに直交する方向に偏波を出すことが求められる。
前述のように、特許文献1にはアンテナを小型化する技術が開示されているが、厚みに直交する方向に偏波を出すためには、厚み方向に金属部材を追加する必要がある。しかし、携帯機器が非常に小型であり、小型化が強く求められる場合、厚み方向に金属部材を追加する空間がない場合も多い。厚み方向に金属部材を追加する空間がない場合、筐体の厚みに直交する方向に偏波を出すために金属部材を追加するには、筐体を厚くしなければならず、厚み方向に小型化する要求に反してしまう。よって、従来技術では、厚み方向寸法を短くしつつ、厚みに直交する方向の利得を高くすることは困難である。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、厚み方向寸法を短くしつつ、厚みに直交する方向に高い利得が得られるアンテナ装置を提供することにある。
その目的を達成するための本発明は、絶縁性材料よりなるアンテナ基板と、このアンテナ基板の一方の面に積層された金属箔よりなるアンテナエレメントと、他方の面に積層された金属箔よりなるアンテナグランドと、前記アンテナ基板を貫通して前記アンテナエレメントとアンテナグランドを接続するアンテナビアとを有するメタマテリアル0次共振器アンテナと、金属筐体を有し、前記アンテナ基板の一方の面に配置された電池と、前記アンテナ基板に固定され、前記電池のプラス極およびマイナス極とそれぞれ導通する一対の固定導通部材と、前記一対の固定導通部材とそれぞれ電気的に接続しており、前記アンテナ基板を貫通し、前記電池からの電流を前記電池が配置された側とは反対側の前記アンテナ基板の面に供給する少なくとも一対の電極ビアと、を備えていることを特徴とするアンテナ装置である。
アンテナを動作させるには、アンテナを制御する回路とその回路に電流を供給する電池が必要であり、また、電池にはプラス極とマイナス極とがある。よって、電池に対して上記回路をアンテナ基板の反対側に配置するようにすれば、電池のプラス極とマイナス極にそれぞれ接続する少なくとも一対のビアを、アンテナ基板を貫通させて電池と回路とを接続することになる。つまり、アンテナ基板を貫通するビアが必須となる。
本発明では、このビアを活用するできるアンテナであるメタマテリアル0次共振器アンテナを選択している。メタマテリアル0次共振器アンテナは、厚みに直交する方向に強い偏波を出すことができるアンテナであり、アンテナエレメントとアンテナグランドとをアンテナビアで接続する構成である。また、アンテナビアを流れる電流が多いほど、厚みに直交する方向に強い偏波を出すことができ、アンテナビアの数が多いほどアンテナビアを流れる電流を多くすることができる。つまり、アンテナビアの数が多いほど、厚みに直交する方向に強い偏波を出すことができる。
そして、本発明では、一対の固定導通部材を介して電池のプラス極とマイナス極とに接続し、アンテナ基板を貫通し、電池からの電流を電池が配置された側とは反対側のアンテナ基板の面に供給する少なくとも一対の電極ビアを備える構成としている。この電極ビアは、電池の電流を回路に供給するために必須の構成である。加えて、この電極ビアは、メタマテリアル0次共振器アンテナのアンテナビアと同様、アンテナ基板を貫通しているビアであるので、アンテナビアとしても機能する。そのため、実質的にアンテナビアとして機能するビアの数が多くなるので利得が向上する。このように、電池の電流を回路に供給するために必須の構成である電極ビアを活用して、利得を向上させることができる。
また、それのみではなく、電池によりアンテナ基板厚が厚くなったことと同等の効果が得られ、これによっても利得が向上する。すなわち、前述のように、本発明では、電極ビアもアンテナエレメントとして機能する。これにより、アンテナ基板の一方の面と他方の面にそれぞれ積層されたアンテナエレメントとアンテナグランドとの間やその周囲の電界が増える。その結果、金属筐体を有しアンテナ基板の一方の面に配置された電池は、その電池と同じ面に配置され、周波数により定まる周期でアンテナエレメントおよびアンテナグランドに切り替わる金属箔と高周波的に結合する。よって、アンテナの基板厚が厚くなったことと同等の効果が得られる。この点でも利得が向上する。これらにより、メタマテリアル0次共振器アンテナを用いないで同等の利得を確保する場合よりも、アンテナの厚み方向寸法を短くすることができる。
また、単純にアンテナビアの数を増やすと、アンテナ利得ピーク周波数が高くなってしまうが、本発明では、以下に説明するように、アンテナビアの数が実質的に増えることによるアンテナ利得ピーク周波数の変化を抑制することもできる。
まず、単純にアンテナビアの数を増やすと、アンテナ利得ピーク周波数が高くなってしまう理由を説明する。メタマテリアル0次共振器アンテナにアンテナビアを追加する場合には、追加したアンテナビアにより、アンテナビアを追加していない場合よりもメタマテリアル0次共振器アンテナの単位セルが小さくなるため、各セルのアンテナエレメントの面積が小さくなる。アンテナ利得ピーク周波数は1/2π√(LC)で決まり、また容量Cは面積に比例する。そのため、各セルのアンテナエレメントの面積が小さくなると、アンテナ利得ピーク周波数は高くなってしまうのである。
しかし、本発明では、アンテナエレメントが積層されたアンテナ基板上に金属筐体を有する電池を配置している。これにより、アンテナ利得ピーク周波数の変化を抑制している。詳しくは、以下の通りである。
通常のアンテナでは実効長をλ/2nにする必要があり、またアンテナエレメントの付近に金属体があるとアンテナの実効長が変化してしまう。そのため、通常のアンテナの場合、周囲の金属体により実効長が変化してしまわないようにするため、金属体をアンテナエレメントからできるだけ遠くに配置する。
しかし、本発明ではメタマテリアル0次共振器アンテナを用いている。このメタマテリアル0次共振器アンテナのアンテナ利得ピーク周波数はCによる変化はあるものの、通常のアンテナのように、実効長をλ/2nにしなければならないという制約はない。すなわち、メタマテリアル0次共振器アンテナでは、アンテナエレメントの周囲に金属体を配置しても、アンテナとして作用させることができる。
本発明は、この特性に着目し、アンテナ基板上に、通常であればアンテナエレメントから遠ざけるべきである金属筐体を有する電池を配置し、この電池のプラス極、マイナス極に一対の固定導通部材を介して接続している一対の電極ビアが、アンテナ基板を貫通する構成とした。前述したように、本発明では、電極ビアがアンテナビアとしても機能することで、電池が、電池と同じ面に配置されアンテナエレメントおよびアンテナグランドに切り替わる金属箔と高周波的に結合する。すなわち、電池がアンテナエレメントもしくはアンテナグランドと高周波的に結合することで電池もアンテナエレメントもしくはアンテナグランドの一部として機能するので、アンテナ利得ピーク周波数を決める上記式におけるCが大きくなる。従って、アンテナビアの数が実質的に増えることによるアンテナ利得ピーク周波数の変化を抑制することもできる。
請求項2記載の発明は、前記アンテナ基板において前記電池が配置される側に面に固定され、前記電池を保持する電池ホルダを備え、前記一対の固定導通部材はこの電池ホルダに固定されていることを特徴とする。このように電池ホルダを用いることで電池の取り替えが容易になる。
請求項3記載の発明は、前記電池の軸心が前記アンテナエレメントを通るように、前記電池が配置されていることを特徴とする。このようにすることで、電池とアンテナグランドとの間の電界が特に強くなる。よって、利得が特に向上するとともに、アンテナビアの数が実質的に増えることによるアンテナ利得ピーク周波数の変化も特に抑制できる。
請求項4記載の発明は、前記少なくとも一対の電極ビアは、前記アンテナビアとともに、前記メタマテリアル0次共振器アンテナが周期性のある複数のセルを有するアンテナとして機能する位置に配置されていることを特徴とする。このようにすることにより、メタマテリアル0次共振器アンテナは、特にアンテナ利得を高くすることができる。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明を具体的にした発明であり、メタマテリアル0次共振器アンテナがアンテナビアを2つ備えている場合である。この場合、少なくとも一対の電極ビアのうちの一対は、前記2つのアンテナビアとともに、前記メタマテリアル0次共振器アンテナが周期性のある4つのセルを有するアンテナとして機能する位置に配置されることが好ましい。
本発明の実施形態となるアンテナ装置1の平面図である。 図1のII−II線断面図である。 メタマテリアルアンテナ10を単体で示す図であり、(A)は表面、(B)は裏面である。 図1のメタマテリアルアンテナ10の4つのセルを説明する図である。 単体のメタマテリアルアンテナ10とアンテナ装置1の利得周波数特性を比較した図である。 アンテナ装置1の電界分布のシミュレーション結果を示す図であって図1のVI−VI’線の電界分布である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態となるアンテナ装置1の平面図、図2は図1のII−II線断面図である。
アンテナ装置1は、メタマテリアル0次共振器アンテナ(以下、単にメタマテリアルアンテナ)10、ボタン電池20、電池ホルダ30を備える。このアンテナ装置1は、無線タグの一部装置として使用されるものであり、このアンテナ装置1の制御等を行う図示しない回路部がメタマテリアルアンテナ10の裏面側(ボタン電池20が配置されていない側)に配置される。そして、アンテナ装置1と上記回路部は、薄型直方体形状のタグ筐体(図示せず)に収容される。
まず、メタマテリアルアンテナ10の構成を説明する。図3は、メタマテリアルアンテナ10を単体で示す図であり、図3(A)が表面、図3(B)が裏面である。
メタマテリアルアンテナ10は、アンテナ基板11を有する。このアンテナ基板11は本実施形態ではガラスエポキシ基板を用いている。アンテナ基板11の形状は、図3(A)、(B)に示す平面視において、4つの隅部が切り取られた略四角形をしている。また、このアンテナ基板11の厚さは、アンテナ装置1が放射する電波の波長よりも十分に短い厚さとなっている。具体的には、このアンテナ装置1は2.4GHzの電波すなわち125mmの波長の電波を放射するのに対して、アンテナ基板11の厚さは約1.6mmである。
図3(A)に示す表面には、アンテナエレメント12と、プラス極ランド13と、マイナス極ランド14が積層されている。これらは全て銅箔により形成されている。アンテナエレメント12はほぼ正方形状であり、プラス極ランド13、マイナス極ランド14は、アンテナエレメント12の互いに対向する一対の辺の中央付近から垂直に突き出すように配置されている。ただし、プラス極ランド13、マイナス極ランド14は、アンテナエレメント12からわずかに離間して配置されている。
図3(B)に示す裏面にはアンテナグランド15が配置されている。このアンテナグランド15は、表面のアンテナエレメント12、マイナス極ランド14にほぼ対応する形状および配置である。ただし、アンテナエレメント12とマイナス極ランド14は導通していないが、アンテナグランド15においてマイナス極ランド14に対応する突き出し部15aは、アンテナグランド15の本体部15bと導通する。また、アンテナグランド15には、プラス極ランド13に対応する部分はない。また、アンテナエレメント12と異なり、プラス極ランド13と離隔させるための凹みも形成されていない。
メタマテリアルアンテナ10は、さらにアンテナビア16を備える。アンテナビア16はアンテナ基板11を貫通しており、表面のアンテナエレメント12と裏面のアンテナグランド15とを電気的に接続している。本実施形態のメタマテリアルアンテナ10はこのアンテナビア16を2つ備えている。
なお、図示していないが、アンテナ基板11の表面には、一端がアンテナエレメント12に接続する給電ラインも設けられている。この給電ラインは、たとえば、2つのアンテナビア16を通る、アンテナエレメント12を二等分する直線上でアンテナエレメント12と接続される。
アンテナエレメント12とアンテナグランド15とによりコンデンサを構成し、それらをつなぐアンテナビア16がインダクタとなるので、メタマテリアルの特性が現れる。これにより、メタマテリアルアンテナ10は、共振モードが0次のアンテナとして機能し、電界をアンテナの厚みに直交する方向に強く出すことができる。加えて、本実施形態のアンテナ装置1は、メタマテリアルアンテナ10以外の構成により、単体のメタマテリアルアンテナ10よりも、アンテナの厚みに直交する方向の利得を向上させている。なお、本実施形態の説明では、説明の便宜上、アンテナ基板11の表面の銅箔をアンテナエレメント12とし、裏面の銅箔をアンテナグランド15としているが、これらアンテナエレメント12とアンテナグランド15はアンテナの動作周波数により定まる周期で切り替わる。
次に、図1、2を用いて、メタマテリアルアンテナ10以外の構成を説明する。アンテナ基板11には、表面に電池ホルダ30が固定されており、さらに、電池ホルダ30には、プラス極接続端子31、マイナス極接続端子32が固定されている。したがって、プラス極接続端子31、マイナス極接続端子32は、電池ホルダ30を介してアンテナ基板11に固定されている。
これらプラス極接続端子31、マイナス極接続端子32は、請求項の固定導通部材に相当しており、プラス極接続端子31の一端はボタン電池20のプラス極21と接触し、マイナス極接続端子32の一端はボタン電池20のマイナス極22と接触する。そして、プラス極接続端子31の他端は、プラス極ランド13に固定され、マイナス極接続端子32の他端はマイナス極ランド14に固定される。
電池ホルダ30は樹脂製であり、ボタン電池20を保持する。図1から明らかなように、ボタン電池20は電池ホルダ30に保持された状態では、その中心軸はアンテナエレメント12を通る。ボタン電池20は筐体が金属製であり、図2において上面がプラス極21、下面がマイナス極22である。また、大きさは、たとえば直径20mmである。
アンテナ基板11には、前述のアンテナビア16の他にも一対の電極ビア、すなわちプラス側電極ビア41、マイナス側電極ビア42が形成されている。プラス側電極ビア41は、プラス極ランド13に形成されておりアンテナ基板11を貫通する。マイナス側電極ビア42はマイナス極ランド14に形成されておりアンテナ基板11を貫通する。
アンテナグランド15には、マイナス極ランド14に対応する突き出し部15aが形成されているので、マイナス側電極ビア42はマイナス極ランド14とアンテナグランド15とを導通させる。一方、アンテナグランド15には、プラス極ランド13に対応する部分はないので、プラス側電極ビア41はアンテナグランド15とは接続していない。ただし、プラス極側電極ビア41はアンテナグランド15の付近に位置するため、高周波的にはプラス極側電極ビア41とアンテナグランド15は接続する。また、プラス極側電極ビア41、マイナス極側電極ビア42とも、アンテナエレメント12とは接続していないが、これら電極ビア41、42はアンテナエレメント12との付近に位置するので、高周波的にはプラス極側電極ビア41、マイナス極側電極ビア42とアンテナエレメント12は接続する。
これら2つの電極ビア41、42は、アンテナ基板11に対してボタン電池20とは反対側に配置される回路部(図示せず)に電源を供給する経路の一部となる。
プラス側電極ビア41、マイナス側電極ビア42は、アンテナビア16により2つのセルに分けたとした場合のそれら2つのセルの境界付近に設けられていることになる。これにより、図4に2本の一点鎖線で示すように、アンテナエレメント12は、2つのアンテナビア16と2つの電極ビア41、42、合計4つのビアにより、周期性のある4つのセルに分けられる。よって、本実施形態のメタマテリアルアンテナ10は、4つの周期性のあるセルを有するアンテナとして働く。なお、本発明におけるセルの周期性は、各セルがメタマテリアル0次共振器アンテナとして機能すればよく十分であり、セルの周期構造が互いに完全に一致する必要はない。
以上のように構成されたアンテナ装置1は、単体のメタマテリアルアンテナ10よりも利得が向上する。図5は、単体のメタマテリアルアンテナ10の利得と、アンテナ装置1の利得、すなわち、メタマテリアルアンテナ10に電池ホルダ30、ボタン電池20、電極ビア41、42が組み合わせられたアンテナの利得とを比較した図である。
図5に示すように、アンテナ装置1の利得は、単体のメタマテリアルアンテナ10よりもピークが約2dB向上していることが分かる。利得が向上した理由としては、まず、2つの電極ビア41、42がアンテナビアとして機能することで、アンテナビアが実質的に4本になったことが考えられる。
アンテナビアの数が実質的に増えたことでアンテナエレメント12とアンテナグランド15との間やその周囲の電界が増える。加えて、ボタン電池20は金属筐体を有しており、このボタン電池20がアンテナエレメント12の上に配置されている。これらにより、ボタン電池20がアンテナエレメント12と高周波的に結合して、ボタン電池20がアンテナエレメント12の一部として機能する。よって、アンテナの基板厚が厚くなったことと同等の効果が得られる。この点でも利得が向上したと考えられる。
また、図5に示されるように、利得ピーク周波数は、約110MHz高い周波数にシフトしている。しかし、この周波数のシフト量は、単純にアンテナビアを2本追加する場合よりも小さく抑えられている。
既に説明した通り、アンテナ利得ピーク周波数は、1/2π√(LC)で決まり、また容量Cは面積に比例する。従って、2本のアンテナビア16に加えて、単純にビアを2つ追加してエレメントの単位セルの面積を半分にしてしまうと、Cが1/2になることから、利得ピーク周波数は約1.4倍高くなる。
しかし、本実施形態でのピーク周波数の変化は約110MHzであり、約1.04倍に変化しただけである。この理由を図6を用いて説明する。図6は、アンテナ装置1の電界分布のシミュレーション結果であり、図1のVI−VI’線での電界分布を示している。
図6から分かるように、電界の向きがアンテナグランド15からボタン電池20に向かっていることが分かる。つまり、ボタン電池20もアンテナエレメントの一部として働いていると言える。これによりCが上昇するため、電極ビア41、42がアンテナビアとして働くことによるCの低下が補われるため、利得ピーク周波数の上昇が抑制されるのである。
以上、説明した本実施形態によれば、メタマテリアルアンテナ10を使用していることから、薄い構成でありながら、メタマテリアルアンテナ10の厚みに直交する方向に高い利得が得られる。さらに、本実施形態では、アンテナビア16の他に、アンテナビア16と同様、アンテナ基板11を貫通する1対の電極ビア41、42を備えており、この1対の電極ビア41、42もアンテナビアとして機能する。そのため、実質的にアンテナビアとして機能するビアの数が多くなるので利得がより向上する。また、金属筐体を有するボタン電池20がアンテナエレメント12の上に配置されていることにより、ボタン電池20とアンテナエレメント12とが高周波的に結合して、ボタン電池20もアンテナエレメントの一部として機能する。よって、アンテナ基板厚が厚くなったことと同じ効果が得られ、この点でも利得が向上する。これらにより、メタマテリアルアンテナ10を用いないで同等の利得を確保する場合よりも、アンテナの厚み方向寸法を短くすることができる。
また、単純にアンテナビアの数を増やすと、アンテナ利得ピーク周波数が高くなってしまうが、本実施形態では、メタマテリアルアンテナ10の特性を利用して、アンテナビアの数が実質的に増えることによるアンテナ利得ピーク周波数の変化を抑制している。
すなわち、本実施形態では、アンテナエレメント12と同じ面に、通常であればアンテナエレメントから遠ざけるべきである金属筐体を有するボタン電池20を配置しており、ボタン電池20がアンテナエレメント12と高周波的に結合する。よって、ボタン電池20がアンテナエレメント12の一部として機能するので、アンテナ利得ピーク周波数を決める式におけるCが大きくなる。従って、アンテナビアの数が実質的に増えることによるアンテナ利得ピーク周波数の変化を抑制することもできる。
さらに、電極ビア41、42は、ボタン電池20をアンテナ基板11の反対側に配置される回路部と接続するためのものであり、ボタン電池20はその回路部へ電流を供給するものである。よって、本実施形態では、利得を高くするための部材を別途追加することなく、利得を向上させている。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
たとえば、前述の実施形態では、電池ホルダ30を備えており、この電池ホルダ30に、ボタン電池20とランド13、14との間を接続するプラス極接続端子31、マイナス極接続端子32が固定されていた。しかし、電池ホルダ30を備えず、プラス極接続端子31、マイナス極接続端子32が、ハンダ付け等により、直接、ボタン電池20とランド13、14に接続されていてもよい。
1:アンテナ装置、 10:メタマテリアル0次共振器アンテナ、 11:アンテナ基板、 12:アンテナエレメント、 13:プラス極ランド、 14:マイナス極ランド、 15:アンテナグランド、 15a:突き出し部、 15b:本体部、 16:アンテナビア、 20:ボタン電池、 21:プラス極、 22:マイナス極、 30:電池ホルダ、 31:プラス極接続端子(固定導通部材)、 32:マイナス極接続端子(固定導通部材)、 41:プラス側電極ビア、 42:マイナス側電極ビア

Claims (5)

  1. 絶縁性材料よりなるアンテナ基板と、このアンテナ基板の一方の面に積層された金属箔よりなるアンテナエレメントと、他方の面に積層された金属箔よりなるアンテナグランドと、前記アンテナ基板を貫通して前記アンテナエレメントとアンテナグランドを接続するアンテナビアとを有するメタマテリアル0次共振器アンテナと、
    金属筐体を有し、前記アンテナ基板の一方の面に配置された電池と、
    前記アンテナ基板に固定され、前記電池のプラス極およびマイナス極とそれぞれ導通する一対の固定導通部材と、
    前記一対の固定導通部材とそれぞれ電気的に接続しており、前記アンテナ基板を貫通し、前記電池からの電流を前記電池が配置された側とは反対側の前記アンテナ基板の面に供給する少なくとも一対の電極ビアと、
    を備えていることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 請求項1において、
    前記アンテナ基板において前記電池が配置される側に面に固定され、前記電池を保持する電池ホルダを備え、
    前記一対の固定導通部材はこの電池ホルダに固定されていることを特徴とするアンテナ装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記電池の軸心が前記アンテナエレメントを通るように、前記電池が配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記少なくとも一対の電極ビアは、前記アンテナビアとともに、前記メタマテリアル0次共振器アンテナが周期性のある複数のセルを有するアンテナとして機能する位置に配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
  5. 請求項4において、
    前記メタマテリアル0次共振器アンテナは、前記アンテナビアを2つ備えており、
    前記少なくとも一対の電極ビアのうちの一対は、前記2つのアンテナビアとともに、前記メタマテリアル0次共振器アンテナが周期性のある4つのセルを有するアンテナとして機能する位置に配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
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