JP6008011B1 - タイヤパンクシール剤 - Google Patents
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パンク修理キットは、タイヤパンクシール剤(タイヤパンクシール材)と任意のコンプレッサー等とを組み合わせた構成が知られており、また、実際の製品としては、「タイヤパンク応急修理剤」等と称するタイヤパンクシール剤と、シガーライターソケットから電源を採る小容量のコンプレッサー等とを組み合わせ、コンパクトにパッケージングしたものが一般的に知られている。
特許文献1には、前記パンクシーリング剤の液相部を、前記グリコールと水と一価アルコールとを含んで構成することにより、−30℃前後の低温下におけるパンクシーリング剤の粘性の急激な上昇を抑え、タイヤへの注入に必要な流動性を確保できる旨が開示されている(段落0022)。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
後述する一般式(1)で表されるアミン化合物と、グリコール類と、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンと、界面活性剤と、を含有する、タイヤパンクシール剤。
[2]
上記アミン化合物の含有量が、上記ゴムラテックスの固形分と上記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜50質量部である、上記[1]に記載のタイヤパンクシール剤。
[3]
上記グリコール類が、後述する一般式(2)で表されるグリコールエーテルである、上記[1]または[2]に記載のタイヤパンクシール剤。
[4]
上記界面活性剤の含有量が、上記ゴムラテックスの固形分と上記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜20質量部である、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のタイヤパンクシール剤。
[5]
上記一般式(1)において、R2がアルキル基である、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のタイヤパンクシール剤。
なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明において「AおよびBの含有量」とあるのは、AとBとを両方含有する場合には、AおよびBの含有量の合計を指し、AまたはBの一方を含有する場合には、含有する一方の成分の含有量を指す。
ここで、タイヤパンクシール剤は、パンク修理時において、パンクしたタイヤのバルブ(空気充填部)からタイヤパンクシール剤を注入して用いられる。そのため、作業効率の向上などの観点から、タイヤパンクシール剤には、タイヤのバルブからの注入性に優れることが求められている。
また、タイヤパンシール剤をタイヤに注入した後、この状態で走行することで、タイヤ中でタイヤパンクシール剤が攪拌される。その結果、パンク孔に浸入したタイヤパンクシール剤中の固形分が析出し、パンク孔が塞がれる。したがって、タイヤパンクシール剤でパンク孔を速やかに充填できれば、シール性が優れたものとなる。
上記の両性能を向上するために、本発明者が鋭意検討した結果、一般式(1)で表されるアミン化合物を含有するタイヤパンクシール剤を用いることで、タイヤのバルブからの注入性に優れるとともに、優れたシール性を示すことを見出した。
本発明のタイヤパンクシール剤は、下記一般式(1)で表されるアミン化合物(以下、「特定のアミン化合物」ともいう。)を含有する。
アルキレン基は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。アルキレン基の炭素数としては、特に限定されないが、1〜5であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。
本発明において、単に「アルキレン基」という場合には、特に断りのない限り、置換基を有していないアルキレン基(すなわち、「非置換のアルキレン基」)のことを指す。
アルキル基は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の炭素数としては、特に限定されないが、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
本発明において、単に「アルキル基」という場合には、特に断りのない限り、置換基を有していないアルキル基(すなわち、「非置換のアルキル基」)のことを指す。
ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基において、好ましいアルキル基としては、特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基の炭素数としては、特に限定されないが、1〜5であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。
ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基において、ヒドロキシ基およびアミノ基の数、すなわち置換基の数は、特に限定されない。
R2は、水素原子、アルキル基、または、ヒドロキシ基もしくはアミノ基で置換されたアルキル基であるが、シール性がより優れたものになるという観点から、アルキル基(すなわち、非置換のアルキル基)であることが好ましい。
アルキル基は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の炭素数としては、特に限定されないが、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤は、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンを含有する。なかでも、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンを含有するのが好ましい。すなわち、ゴムラテックスと樹脂エマルジョンとを併用するのが好ましい。
以下、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンについて説明する。
上記ゴムラテックスは特に限定されず、従来公知のゴムラテックスを用いることができる。
ゴムラテックスの具体例としては、天然ゴムラテックス、クロロプレンラテックス、スチレンブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリルブタジエンゴムラテックス、スチレンブタジエンアクリルゴムラテックスなどが挙げられる。なかでも、天然ゴムラテックスが好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤では、ゴムラテックスを1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
天然ゴムラテックスの具体例としては、ヘベア・ブラジリエンシス樹をタッピングして採取されるもの、天然ゴムラテックスから蛋白質を除去した所謂「脱蛋白天然ゴムラテックス」などが挙げられる。
上記樹脂エマルジョンは、特に限定されず、従来公知の樹脂エマルジョンを用いることができる。なかでも、合成樹脂エマルジョンが好ましい。
上記合成樹脂エマルジョンの具体例としては、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、ポリオレフィンエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリ塩化ビニル系エマルジョンなどが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂エマルジョンは、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンまたはエチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョンであるのが好ましく、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョンであるのがより好ましい。
また、ゴムラテックスの固形分と樹脂エマルジョンの固形分との合計の含有量は特に制限されないが、タイヤパンクシール剤全体に対して10〜50質量%であることが好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤は、グリコール類を含有する。グリコール類とは、グリコールおよびグリコールエーテルを含む概念である。
グリコールエーテルとしては、例えば、下記一般式(2)で表されるグリコールエーテルが挙げられる。
グリコール類は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
グリコール類の中でも、シール性がより優れたものになるという観点から、グリコールエーテルを用いることが好ましい。
また、R12の炭素数は、タイヤパンクシール剤の初期泡立ち性に優れることと、泡の持続性と、を両立できるという観点からは、1であることが好ましい。一方、初期泡立ち性に優れることと、泡の消滅性に優れる(すなわち、タイヤパンクシール剤の製造性および回収性に優れる)ことと、を両立できるという観点からは、R12の炭素数が2〜5であることが好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤に含有される界面活性剤は特に限定されず、従来公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤の具体例としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエステルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルファスルホ脂肪酸エステル塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルリン酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルケニルコハク酸塩などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、ジメチルアルキルベタイン、アルキルアミドベタインなどが挙げられる。
上記式(5)で表されるカチオンとしては、例えば、トリエタノールアンモニウムなどが挙げられる。
界面活性剤の含有量が1質量部以上であることで、タイヤパンクシール剤の泡立ちが向上して、シール性がより優れたものとなる傾向にある。また、界面活性剤の含有量が20質量部以下であることで、ゴムラテックスの安定性が低下して、機械安定性が向上することにより、シール性がより優れたものとなる傾向にある。
本発明のタイヤパンクシール剤は、必要に応じて、上述した各成分以外の成分(任意成分)を含有してもよい。そのような任意成分としては、例えば、凍結防止剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、分散剤、脱水剤、帯電防止剤などが挙げられる。
本発明のタイヤパンクシール剤の製造方法は特に制限されず、例えば、上述した各成分を混合、攪拌する方法などが挙げられる。また、必要に応じて、混合や攪拌の後に濾過を行ってもよい。
下記第1表に示される成分を同表に示される割合(質量部)で攪拌機を用いて混合し、タイヤパンクシール剤(実施例および比較例のタイヤパンクシール剤)を製造した。なお、第1表中、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンについてカッコ内の数値は固形分の質量部を表す。
得られたタイヤパンクシール剤について以下のとおりシール性を評価した。
タイヤのトレッドのショルダー溝部にパンク孔(直径4mm)を空けた。
次いで、パンク孔を空けたタイヤをドラム試験機に装着し、得られたタイヤパンクシール剤をタイヤのバルブ口から300ml注入し、タイヤ内圧が150kPaになるように空気を充填した。
その後、荷重350kg、時速30kmの条件下で上記タイヤを1分間走行させて停止する間欠運転を、空気漏れが無くなるまで(シールされるまで)繰り返した。空気漏れの有無は、目視および石鹸水をパンク孔付近に吹き付けることで確認した。
そして、以下の基準によりシール性を評価した。結果を第1表に示す。シール性の観点から、AまたはBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。
・A:間欠運転5サイクル以内にシールされた。
・B:間欠運転6〜10サイクルでシールされた。
・C:間欠運転11サイクル以上でシールされた。
上記のようにして得られたタイヤパンクシール剤350ccを70℃に加温して、215/60 R16のタイヤに加温したタイヤパンクシール剤をバルブからタイヤ内へ注入し、350ccの全てのタイヤパンクシール剤を注入できるまでの時間(注入時間)を測定した。
そして、以下の基準により注入性を評価した。結果を第1表に示す。注入性の観点から、Aであることが好ましい。
・A:注入時間が25秒以内であった。
・B:注入時間が25秒超55秒以下であった。
・C:注入時間が55秒超、または全量注入することができなかった。
上記のタイヤパンクシール剤の製造において、各成分を攪拌した後、タイヤパンクシール剤を直ちに100メッシュの金属メッシュで濾過して、濾過前後のタイヤパンクシール剤の全質量から凝固物の発生量を算出した。製造効率の観点から、Aであることが好ましい。
・A:凝固物の発生量が0.05質量%以下であった。
・B:凝固物の発生量が0.05質量%超、または製造が困難であった。
・ゴムラテックス:天然ゴムラテックス(Hytex HA、固形分:60質量%、フェルフェックス社製(野村貿易社取扱))
・樹脂エマルジョン:エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョン(スミカフレックス950HQ、固形分:50質量%、住化ケムテックス社製)
・PG:プロピレングリコール
・MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
・2A:N,N−ジエチルエタノールアミン
・MDA:N−メチルジエタノールアミン
・DEA:ジエチルアミン
・エチルアルコール
・界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名「エマルゲン123P」、花王社製)
実施例2と実施例4との対比から、特定のアミン化合物の中でも、ヒドロキシ基を1つ有するアミン化合物を用いた実施例2が、ヒドロキシ基を2つ有するアミン化合物を用いた実施例4よりも、より優れたシール性を示した。
実施例2と実施例5との対比から、グリコール類としてグリコールエーテルを用いた実施例2は、より優れたシール性を示した。
実施例2および6〜9の対比から、界面活性剤の含有量がゴムラテックスの固形分と樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して1〜20質量部である実施例1、6および7はより優れたシール性を示した。
実施例1〜3および10の対比から、特定のアミン化合物の含有量が50質量部以下である実施例1〜3は、タイヤパンクシール剤の製造時に凝固物の発生が少なく、製造効率に優れていることが示された。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表されるアミン化合物と、グリコール類と、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンと、界面活性剤と、を含有し、
前記グリコール類が、下記一般式(2)で表されるグリコールエーテルである、タイヤパンクシール剤。
- 前記アミン化合物の含有量が、前記ゴムラテックスの固形分と前記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜50質量部である、請求項1に記載のタイヤパンクシール剤。
- 前記界面活性剤の含有量が、前記ゴムラテックスの固形分と前記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜20質量部である、請求項1または2に記載のタイヤパンクシール剤。
- 前記一般式(1)において、R2がアルキル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤパンクシール剤。
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