JP6007863B2 - 回転杭を構成する鋼管の接合構造 - Google Patents

回転杭を構成する鋼管の接合構造 Download PDF

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Description

本発明は、回転杭を構成する鋼管の接合構造に関するものである。
土木構造物や建築構造物の基礎杭に用いられる鋼管杭工法のうち、回転杭工法の採用が近年増加している。
回転杭工法は、先端部に羽根や翼を取り付けた鋼管杭の杭体に回転トルクを伝達させて、地盤中に木ねじのように回転貫入させる工法であり、高いねじり耐力を有する鋼管杭特有の工法である。
この回転杭工法の回転トルクを伝達可能なねじり耐力を有する鋼管杭の接合構造としては、例えば特許文献1に提案されている「鋼管杭の接合構造」がある。
特許文献1の「鋼管杭の接合構造」は、「一対の鋼管杭を接合する構造において、第1鋼管杭の端部は、その軸線方向に突出するように周方向に間隔を隔てて形成された複数の凸部と、該複数の凸部の間に形成された複数の凹部とを有し、第2鋼管杭の端部は、前記第1鋼管杭の端部と補完的な形状を有し、前記第1鋼管杭の端部と前記第2鋼管杭の端部との嵌合状態において周方向に沿って隣接する凸部を互いに連結するための連結部材を備えていることを特徴とする」ものである(請求項1参照)。
そして、特許文献1においては、上・下杭のテーパ面(台形斜面)の当接により、ねじり耐力を確保することができるとされている。
特開2004−52333号公報
特許文献1では、凸部と凹部をテーパ面で当接させており、このテーパ面と周方向とのなす角度が、45°よりも大きくかつ85°よりも小さいことが好ましいとされている。
前記角度を45°よりも大きく設定した理由として、45°以下の場合にはねじり耐力の確保が困難となるためとしている。つまり、45°以下の角度が小さいテーパ面では、上杭に回転トルクを作用させたときに、上杭側の継手部がテーパ面を滑り上がろうとし、その力が円弧状帯部材や締結部材にせん断力として作用してしまうため、これを回避する必要があるということである。換言すれば、特許文献1では、テーパ面の角度を45°より大きくすることにより、回転トルクを、テーパ面の支圧又は台形状の凸部底面のせん断により伝達する構造としていることになる。
また、前記角度を85°よりも小さくした理由として、85°以上の場合にはテーパ面が嵌合案内として機能しにくくなるためとされている(特許文献1の段落[0024]参照)。
ここで、回転杭工法は原則として支持層へ1Dp以上根入れすることとされており、特に、地盤の硬さの指標であるN値が50以上の硬い支持層への貫入時においては、鋼管杭の全強ねじり耐力に比較的近い大きな回転トルクを作用させる必要がある。
しかしながら、台形状の凸部は上・下杭の継手部で周方向に沿って隣接しているため、上記せん断面として使えるのはそれぞれの継手部で周長の1/2しかない。さらに、せん断強度は引張強度の1/√3(≒0.58)倍まで低減されてしまう。
したがって、このような回転杭工法の大きな回転トルクに対応させるためには、どうしても継手の板厚や長さが大きくならざるを得ない、もしくは作用させる回転トルクに制限を設けざるを得ないという課題があった。
また、特許文献1では、台形状の凸部は、上・下杭の継手部で同じ形状又は軸線方向に関して対称とされている。
ここで、鋼管杭を地盤中に回転貫入させるための回転方向(右回転と左回転)は、鋼管杭の先端部に取り付けた羽根の向きにより決まっており、一般に地盤に貫入していく方向を正回転、その逆を逆回転と言う。
正回転では、鋼管杭の先端部の羽根が地盤を掘削しながら回転貫入していくため、常に地盤からの抵抗を受ける。一方、逆回転は、杭を引き抜くため、又は杭の貫入性が悪くなった場合などに貫入性を回復させるために、鋼管杭を引き上げながら行うため、地盤からの抵抗はほとんどない。このように、羽根の地盤からの抵抗の有無の違いから、正回転時と逆回転時の回転トルクの大きさとしては、正回転の方が大きい。
したがって、回転杭工法において作用する回転トルクに効率よく対応するには、接合構造は対称な形状である必要はなく、正回転時に逆回転時よりも大きな回転トルクを伝達可能な構造とすることが合理的である。
しかしながら、特許文献1では、台形状の凸部の形状に関し、軸線方向に関して対称としていることから、合理的な形状とは言い難い。
なお、特許文献1には、継手部及び凸部の形状については様々な変形例が可能とされているが、その具体的な例は明示されていない。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、回転杭工法の大きな回転トルクに対応でき、回転杭の正回転、逆回転を考慮した合理的な回転杭を構成する鋼管の接合構造を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造は、回転杭を構成する上下の鋼管を接合する接合構造であって、
下側の鋼管の上端に取り付けられた第1外側継手管と、上側の鋼管の下端に取り付けられた第2外側継手管と、前記第1外側継手管の上端面と前記第2外側継手管の下端面を当接させた状態で前記第1外側継手管と前記第2外側継手管の内周面側においてこれらを連結する内側継手部材とを備え、
前記第1外側継手管と前記第2外側継手管は、前記回転杭が正回転したときに両者が上下方向に離れる方向となる複数の螺旋斜面を有する接合端面を介して当接し、前記内側継手部材は前記第1外側継手管と前記第2外側継手管が離れようとするのに抵抗するようになっていることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第1外側継手管は内周面に内方向に突出する第1凸部を有し、前記第2外側継手管は内周面に内方に突出する第2凸部を有し、前記内側継手部材は前記第1凸部と前記第2凸部に嵌合可能な凹部を有する複数の円弧状部材からなることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記第1外側継手管及び前記第2外側継手管の接合端面は、前記螺旋斜面に連続する支圧面を有し、
前記螺旋斜面の杭軸直角方向に対する傾斜角度をθ1、前記支圧面の杭軸直角方向に対する傾斜角度をθ2とすると、5°≦θ1≦45°、85°≦θ2≦90°に設定されていることを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記第1外側継手管及び前記第2外側継手管と前記内側継手部材を締結するボルトを有し、前記第1外側継手管又は前記第2外側継手管に前記内側継手部材を前記ボルトで保持した状態で、前記内側継手部材は前記第1外側継手管又は前記第2外側継手管に対して内外方向に移動可能になっていることを特徴とするものである。
(5)また、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記内側継手部材の材料の引張強度を、回転杭を構成する鋼管、前記第1外側継手管及び前記第2外側継手管の材料の引張強度よりも大きくしたことを特徴とするものである。
(6)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記第1外側継手管及び前記第2外側継手管の材料の引張強度を、回転杭を構成する鋼管と同じにしたことを特徴とするものである。
本発明においては、上側の鋼管に作用する回転トルクを、第1外側継手管と第2外側継手管の接合端面によって、鋼材を最も有効に使える引張に構造的に変換し、発生した引張力を内側継手部材で受けることにより、回転杭工法の大きな回転トルクに対応でき、回転杭の正回転、逆回転を考慮した合理的な回転杭を構成する鋼管の接合構造を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造全体を説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の分解斜視図である。 図1のA−A矢視断面である。 図1のB−B矢視断面である。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の第1外側継手管及び第2外側継手管の展開図である。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の内側継手部材について説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の第1外側継手管及び第2外側継手管と内側継手部材との締結構造について説明する説明図である。 回転杭の正回転時における本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の荷重の伝達メカニズムについて説明する説明図である。 回転杭の逆回転時における本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の荷重の伝達メカニズムについて説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の接合方法について説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の接合方法の他の態様について説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の第1外側継手管及び第2外側継手管と内側継手部材との締結構造の他の態様について説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の第1外側継手管及び第2外側継手管と内側継手部材との締結構造のさらに他の態様について説明する説明図である。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の第1外側継手管及び第2外側継手管の他の態様について説明する説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の第1外側継手管及び第2外側継手管の他の態様について説明する説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の第1外側継手管及び第2外側継手管の他の態様について説明する説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の第1外側継手管及び第2外側継手管の他の態様について説明する説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態に係る回転杭を構成する鋼管の接合構造の第1外側継手管及び第2外側継手管の他の態様について説明する説明図である(その3)。
本発明の一実施の形態に係る回転杭1を構成する下鋼管3と上鋼管5の接合構造7(以下、単に「接合構造7」という)は、図1及び図2に示すように、下鋼管3の上端に取り付けられた第1外側継手管9と、上鋼管5の下端に取り付けられた第2外側継手管11と、第1外側継手管9の上端面と第2外側継手管11の下端面を当接させた状態で第1外側継手管9と第2外側継手管11の内周面側においてこれらを連結する内側継手部材13とを備えている。
以下に、各構成を詳細に説明する。
<第1外側継手管9と第2外側継手管11>
第1外側継手管9と第2外側継手管11は、図1に示すように、接合する下鋼管3と上鋼管5の端部にそれぞれ溶接によって取り付けられている。
第1外側継手管9と第2外側継手管11の製造方法には、例えば鋼板を曲げ加工したリング又は鍛造・熱処理したリングを所定の形状に切削して製造する方法や、鋳造により製造する方法などがある。
第1外側継手管9の上端には接合端面15が、第2外側継手管11の下端には接合端面17が設けられおり、第1外側継手管9と第2外側継手管11は接合端面15と接合端面17を介して当接するようになっている。
接合端面15は、図2に示すように、杭軸直角方向に対して傾斜する螺旋斜面15aと、螺旋斜面15aに連続し杭軸直角方向に対して傾斜する支圧面15bとの組合せの複数からなり、接合端面15全体として略のこ歯状を形成している。
接合端面17も接合端面15と同様に、杭軸直角方向に対して傾斜する螺旋斜面17aと、螺旋斜面17aに連続し杭軸直角方向に対して傾斜する支圧面17bとの組合せの複数からなり、接合端面17全体として略のこ歯状を形成している。
螺旋斜面15a及び螺旋斜面17aは、回転杭1の貫入時の回転方向に対して登り斜面となる方向に設定されており、回転杭1が正回転したときに第1外側継手管9と第2外側継手管11が上下方向に離れるようになっている。なお、図1において正回転の方向を白抜き矢印で示す。
図5に第1外側継手管9と第2外側継手管11の展開図を示して接合端面15及び接合端面17の形状をより詳細に説明する。図5の展開図は、第1外側継手管9と第2外側継手管11の全周の展開図であるので、展開図の横幅は第1外側継手管9(第2外側継手管11)の周長に相当し、仮に第1外側継手管9(第2外側継手管11)の直径をD(mm)とすれば、横幅はπ×D(mm)である。
図5に示すように、螺旋斜面15a(螺旋斜面17a)と支圧面15b(支圧面17b)は全周に亘って4つずつ設けられている。図5において、螺旋斜面15a(螺旋斜面17a)は杭軸直角方向に対してθ1傾斜する直線で表されており、支圧面15b(支圧面17b)は同様に杭軸直角方向に対してθ2傾斜する直線で表されている。また、図5において、ボルトやボルト孔の図示は省略している。
図5に示すように、接合端面15と接合端面17とが全周に亘って当接(面接触)するようになっている。
第1外側継手管9は内周面に内方向に突出する第1凸部21を有し、また第2外側継手管11は同じく内周面に内方に突出する第2凸部23を有している。第1外側継手管9と第2外側継手管11が接合端面15と接合端面17を介して当接すると、第1凸部21と第2凸部23が繋ぎ合わされて、円環状(図5の展開図においては帯状に表されている)の凸形を形成する。
第1外側継手管9と第2外側継手管11の周面には、図1〜図4(主に図2及び図4参照)に示すように、内側継手部材13をボルトで締結するための複数のボルト孔27が周方向に所定間隔で設けられている。
ボルト孔27の内周面にはねじ加工がされており、頭部にねじ加工されたボルト25(図3参照、詳細は後述する)が挿入されて、その頭部と螺合可能になっている。なお、ボルト25で内側継手部材13を第1外側継手管9に締結した状態では、ボルト25の頭部が第1外側継手管9表面から突出しないようになっている。
第2外側継手管11には、外側から挿入されるボルトの頭部を格納するザグリ部29を有するボルト孔31が設けられており、ボルト締結後にボルトの頭部が継手表面から突出しないようになっている。
<内側継手部材>
内側継手部材13は、接合端面15と接合端面17を当接させた状態で第1外側継手管9と第2外側継手管11をその内周面側において連結して、回転杭1が正回転したときに第1外側継手管9と第2外側継手管11が離れようとするのに抵抗する部材である。
内側継手部材13は、図2に示すように、第1外側継手管9の第1凸部21と第2外側継手管11の第2凸部23に嵌合可能な凹部33を有する複数の円弧状部材からなる。
内側継手部材13は、例えば、鍛造・熱処理したリングの外周面を切削して凹部33を形成し、その後、該リングにスリットを入れて複数の部材に分割することで製造される。
複数の内側継手部材13を第1外側継手管9及び第2外側継手管11の内周面に配置した状態の一例を図6に示す。なお、内側継手部材13の配置が分かり易いように、図6において第1外側継手管9と第2外側継手管11を破線で示す。この例では4つの内側継手部材13が第1外側継手管9と第2外側継手管11の全内周に亘って配置されている(図6(b)参照)。
上述したとおり、第1外側継手管9と第2外側継手管11が当接状態において、第1凸部21と第2凸部23が繋ぎ合わされて円環状に凸形状になり、この円環凸形状に内側継手部材13の凹部33が嵌合している(図6(a)参照)。
内側継手部材13には、図7に示すように、ボルト孔が上下2段に複数設けられており、下段に設けられたものが第1外側継手管9のボルト孔27に対応するボルト孔35であり、上段に設けられたものが第2外側継手管11のボルト孔31に対応するボルト孔37である。
ボルト孔35の内周面にねじ加工はなされておらず、ボルト25とナット39を用いて締結する。内側継手部材13の内側の面には、ナット39が収納されるザグリ孔41が設けられている。
他方、ボルト孔37の内周面はねじ加工がなされている。
なお、周方向のボルトの配置は、1つの内側継手部材13につき2〜5箇所とすることが望ましい。例えば、4つの内側継手部材13を用いる場合、各内側継手部材13の両端の上下をボルトで締結するようにすればよい。この場合、ボルト本数は全部で16本(4×2箇所×2段)となる。
<ボルト>
図7に示すように、第1外側継手管9と内側継手部材13とを締結するには上述したようにボルト25及びナット39を用い、第2外側継手管11と内側継手部材13とを締結するには、六角穴43a付きのボルト43を用いる。ボルト25の頭部にはボルト25を回転させるための六角穴25aが設けられている。
次に、以上のように構成された接合構造7における荷重(圧縮力、引張力、曲げモーメント、せん断力、正回転トルク)の伝達メカニズムについて概説する。
接合構造7に作用する圧縮力は、第1外側継手管9の接合端面15及び第2外側継手管11の接合端面17で伝達される。
引張力は、内側継手部材13の水平断面、第1外側継手管9の第1凸部21と第2外側継手管11の第2凸部23及び内側継手部材13の凹部33の支圧面及びせん断面で伝達される。
曲げモーメントは、上記の圧縮力と引張力の組合せで伝達される。
せん断力は、内側継手部材13の水平断面で伝達される。
正回転トルクは引張力の場合と同様である。
回転杭1の地盤中への回転貫入は、上鋼管5に正回転トルクを与え、該回転トルクによる水平力が下鋼管3に伝達されて、回転杭1全体が回転することで行われる。
回転杭1の回転貫入時における、上鋼管5から下鋼管3への荷重の伝達メカニズムについて図8に基づいて説明する。
図8(a)は、第1外側継手管9の接合端面15と第2外側継手管11の接合端面15、17が当接している状態を示しており、図8(b)は図8(a)における接合端面15及び接合端面17の展開図の一部を示したものである。
図8(b)において、力を白抜き矢印(力a、力b、力c、力d、力e、力f、力g)で示す。また、図8(b)において、矢印で示す各力が、第1外側継手管9と第2外側継手管11のいずれかに作用しているかを分かり易くするために、第1外側継手管9と第2外側継手管11同士を上下に離して図示している。
図8(a)の状態において、上鋼管5に回転トルクを作用させると、回転トルクによる力aは、上鋼管5に作用する螺旋斜面17aに沿う力bと、下鋼管3に作用する螺旋斜面15aに直交する力cに分力することができる。
そして、力bは回転方向の力dと上向きの力eに分力でき、また、力cも回転方向の力fと下向きの力gに分力できる。
このように、回転トルクによる力aの一部が杭軸方向の力(力e、力g)に変換され、これらの力は、接合端面15、17を上下に引き離そうとする力であるが、これらの力が第1外側継手管9の第1凸部21と第2外側継手管11の第2凸部23にせん断力及び支圧力として作用し、この力が内側継手部材13の凹部33にせん断力として作用し、最終的にはこの力が内側継手部材13に引張力として作用する。
引張強度はせん断強度よりも高いため、内側継手部材13に引張力として作用させることで接合構造全体としてのねじり耐力を効率的に向上させることができる。
このように内側継手部材13は、接合構造全体のねじり耐力を向上させるための重要な役割を担っている。そのため、内側継手部材13の材料強度は、下鋼管3、上鋼管5、第1外側継手管9及び第2外側継手管11の材料強度よりも大きくすることが望ましい。逆に、第1外側継手管9及び第2外側継手管11の材料強度は、下鋼管3、上鋼管5と同じにすることができる。
このように、回転トルクを支圧力やせん断力ではなく鋼材を最も有効に使える引張力に構造的に変換することにより、継手寸法を小さく抑えつつ、下鋼管3及び上鋼管5に作用するトルク以上のねじり耐力を有する接合構造7とすることが可能である。
なお、力d及び力fは第2外側継手管11、ひいては下鋼管3を回転させるトルクとして伝達され、回転杭1全体が回転貫入される。
また、杭施工時には逆回転をする場合もあり、そのときの回転トルクによる水平力hは、図9に示すように、支圧面15b及び支圧面17bに支圧及びせん断力として伝達される。逆回転時の回転トルクは、正回転時に比べれば小さいのでせん断力として伝達しても問題なく、また第1外側継手管9及び第2外側継手管11の全周長(せん断面45)を考慮することができるのでこの点でも問題ない。
本実施の形態の接合構造7は、回転トルクの一部を構造的に引張力に変換することができる。このときの変換率は、螺旋斜面15a及び螺旋斜面17aの傾斜角度θ1を変更することで調整することができる。
傾斜角度θ1は5°≦θ1≦45°に設定し、傾斜角度θ2は85°≦θ2≦90°に設定することが望ましい。この理由について以下に説明する。
傾斜角度θ1は、正回転時に滑り上がろうとする力を積極的に発生させるために45°以下とした。ただし、傾斜角度θ1が小さすぎると、内側継手部材13に引張力が伝達されずに第1外側継手管9及び第2外側継手管11がほぼ水平にねじられ、ボルトのみに大きなせん断力が作用してしまう。これを回避するために、ボルトに大きなせん断力が作用せず、かつ内側継手部材13に引張力が伝達される最小角度5°を、傾斜角度θ1の下限値とした。
一方、支圧面15b及び支圧面17bの傾斜角度θ2は、逆回転時の比較的小さな回転トルクを伝達できればよいため、角度を85°以上90°以下として、支圧面15b及び支圧面17bの支圧及びせん断により、回転トルクを伝達するようにした。
次に、本実施の形態に係る接合構造7の標準的な接合手順として下記(1)〜(8)ついて、図10を参照しながら詳細に説明する。図10は、接合構造7の縦断面の左半分を図示したものである。
(1)下鋼管3の上端部(杭頭部)に第1外側継手管9を、上鋼管5の下端部に第2外側継手管11をそれぞれ工場溶接して取り付けておく。
(2)下鋼管3を地盤中に打設する(図10(a)参照)。
(3)ボルト25を、第1外側継手管9のボルト孔27に挿入し、さらに内側継手部材13のボルト孔35に挿入し、ナット39を締め付けることで第1外側継手管9に内側継手部材13を締結する(図10(b)参照)。
(4)ボルト25を回転して、ボルト25の頭部を内側にねじ込み、内側継手部材13を内方向に移動させる(図10(c)参照)。このとき、ナット39は、ザグリ孔41の中でボルト25の回転に伴って回転して、ボルト25とナット39と内側継手部材13間の相対距離が変わらない。内側継手部材13を内方向に移動させることで、上鋼管5を建て込んで第2外側継手管11を接合する際に、内側継手部材13が第2外側継手管11と緩衝せずに接合の妨げになることがない。
(5)上鋼管5を建て込み、第2外側継手管11を内側継手部材13の外側に挿入し、接合端面15と接合端面17とを当接させる(図10(d)参照)。
(6)ボルト25を逆回転させて、内側継手部材13を外方向に移動させる。これにより、内側継手部材13の凹部33が、第1外側継手管9の第1凸部21及び第2外側継手管11の第2凸部23に嵌合する(図10(e)参照)。
(7)第2外側継手管11のボルト孔31にボルト43を挿入し、内側継手部材13のボルト孔37に螺入することで第2外側継手管11と内側継手部材13をボルト固定する(図10(f)参照)。
(8)最後に、下鋼管3及び上鋼管5のすべてのボルト頭部が継手表面から突出していないことを確認して、接合完了となる。
なお、下鋼管3の打設時に上端部(杭頭部)を養生可能ならば、上記(3)の内側継手部材13の取付け工程を上記(2)の前に行っておき、上記(2)の下鋼管3の打設完了後に上記(4)から作業するようにしてもよい。これにより、接合時間のさらなる短縮を図ることが可能となる。
また、上鋼管5の建て込み時に下端部を養生可能ならば、図11に示すように、ボルトやボルト孔等の配置と形状を図10に示すものの場合と全く逆にして、内側継手部材13を第2外側継手管11に取り付け、上鋼管5の建て込み後に下鋼管3の第1外側継手管9と内側継手部材13をボルト締結するようにしてもよい。
下鋼管3側のボルト25の頭部をねじ加工にしているのは、上鋼管5を建て込む際に、内側継手部材13を内方向に移動させて上鋼管5を建て込み、再び外方向に移動させるまでの間(上記(4)〜(6)参照)、内側継手部材13を垂直に保持するためである。
したがって、接合する下鋼管3及び上鋼管5が小径で内側継手部材13が小さい場合など、内側継手部材13の保持に支障がなければ、図12(b)に示すように、ボルトを下鋼管3及び上鋼管5側とも軸部のみがねじ加工が施された通常の六角穴47a付きのボルト47とし、ボルト孔等もそれに対応するもの(ザグリ孔49、ボルト孔50、ボルト孔51)でもよい。この場合、ボルト47の回転量を調整することで、図12(a)に示すように、内側継手部材13を内方向へ移動可能である。
また、ボルト47の頭部が継手表面から突出していても施工上、杭の周面摩擦力への影響がない場合では、図13に示すように、ザグリ孔を設けなくともよい。
以上のように、本実施の形態においては、回転トルクを支圧やせん断ではなく鋼材を最も有効に使える引張に構造的に変換し、発生した引張力を内側継手部材13で受けることにより、継手寸法を抑えつつ、下鋼管3及び上鋼管5の全強トルク以上の大きな回転トルクに対応でき、回転杭1の正回転、逆回転を考慮した合理的な接合構造7とすることができる。
また、ボルトの頭部が継手表面から突出しないようになっているので、回転貫入時の抵抗をなくすことができ、回転杭1の周面摩擦力への影響を低減できる。
なお、上記では、傾斜角度θ2が90°である例について説明したが、図14に示すように傾斜角度θ2を小さく設定して支圧面15b及び支圧面17bの傾きを比較的緩やかにしてもよい。より好ましくは、上述したとおり85°≦θ2≦90°に設定する。
また、凸凹部11は、図5に示す形状の他、嵌合性を向上させるために、図15に示すように螺旋斜面15aと支圧面15bの交差部、及び螺旋斜面17aと支圧面17bの交差部にアールを形成するようにしてもかまわない。
さらに、第1外側継手管9と第2外側継手管11の位置決めや芯合わせが容易となるように、図16に示すように第2外側継手管11の支圧面17bに溝部53を設け、第1外側継手管9の支圧面15bに、溝部53が挿入される凸条部55を設けてもよい。第1外側継手管9の上面視を図17に示す。なお、溝部53の形状は図18(a)〜(c)に示すようなものでもよい。
本発明の鋼管杭の接合構造の一設計例を示す。
外径φ609.6mm×板厚t12mmの鋼管杭(SKK400)に対して本発明の接合構造を設計した場合、例えば以下のようになる。
・第1外側継手管及び第2外側継手管:外径φ609.6mm×板厚t12mm(凸型増厚部はt25mm)×長さL70mm(同L35mm)、凸凹部は4つ、傾斜角度θ1は5°、傾斜角度θ2は90°、材質はSM400A
・内側継手部材:外径φ585.6(凹型円弧部はφ559.6mm)×板厚t23mm(同t10mm)×長さL110mm(同L70mm)、4分割、材質はHITEN780
・六角穴付きボルト:M12、本数は24本(4分割×3箇所×2段)
a、b、c、d、e、f、g、h 力
1 回転杭
3 下鋼管
5 上鋼管
7 接合構造
9 第1外側継手管
11 第2外側継手管
13 内側継手部材
15 接合端面
15a 螺旋斜面
15b 支圧面
17 接合端面
17a 螺旋斜面
17b 支圧面
19 支圧面
21 第1凸部
23 第2凸部
25 ボルト
25a 六角穴
27 ボルト孔
29 ザグリ部
31 ボルト孔
33 凹部
35 ボルト孔
37 ボルト孔
39 ナット
41 ザグリ孔
43 ボルト
43a 六角穴
45 せん断面
47 ボルト
47a 六角穴
49 ザグリ孔
50 ボルト孔
51 ボルト孔
53 溝部
55 凸条部

Claims (3)

  1. 回転杭を構成する上下の鋼管を接合する接合構造であって、
    下側の鋼管の上端に取り付けられた第1外側継手管と、上側の鋼管の下端に取り付けられた第2外側継手管と、前記第1外側継手管の上端面と前記第2外側継手管の下端面を当接させた状態で前記第1外側継手管と前記第2外側継手管の内周面側においてこれらを連結する内側継手部材とを備え、
    前記第1外側継手管と前記第2外側継手管は、前記回転杭が正回転したときに両者が上下方向に離れる方向となる複数の螺旋斜面を有する接合端面を介して当接し、前記内側継手部材は前記第1外側継手管と前記第2外側継手管が離れようとするのに抵抗するようになっており、
    前記第1外側継手管及び前記第2外側継手管の接合端面は、前記螺旋斜面に連続する支圧面を有し、
    前記螺旋斜面の杭軸直角方向に対する傾斜角度をθ 1 、前記支圧面の杭軸直角方向に対する傾斜角度をθ 2 とすると、5°≦θ 1 ≦45°、85°≦θ 2 ≦90°に設定されていることを特徴とする回転杭を構成する鋼管の接合構造。
  2. 前記第1外側継手管は内周面に内方向に突出する第1凸部を有し、前記第2外側継手管は内周面に内方に突出する第2凸部を有し、前記内側継手部材は前記第1凸部と前記第2凸部に嵌合可能な凹部を有する複数の円弧状部材からなることを特徴とする請求項1記載の回転杭を構成する鋼管の接合構造。
  3. 前記第1外側継手管及び前記第2外側継手管と前記内側継手部材を締結するボルトを有し、前記第1外側継手管又は前記第2外側継手管に前記内側継手部材を前記ボルトで保持した状態で、前記内側継手部材は前記第1外側継手管又は前記第2外側継手管に対して内外方向に移動可能になっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転杭を構成する鋼管の接合構造。
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