JP6007651B2 - 薄型電池及び薄型電池の製造方法 - Google Patents

薄型電池及び薄型電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄型電池に関するものである。
一対のラミネートフィルムの内部に発電要素を収容し、ラミネートフィルムの外周部を封止し、当該外周部にスペーサを配置して、外周部とスペーサとの重畳部及び一対の外装部材の外周部の端面を包含した状態で、外周部の全域に弾性樹脂のインサート成型で弾性樹脂部を形成した薄型電池が知られている(特許文献1)。
国際公開第2011−152219号パンフレット
しかしながら、上記の薄型電池は、外装部材の外周部、及び、外装部材とスペーサとが重畳する部分を包含するように弾性樹脂部を設けているため、樹脂材の使用量が多いという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、樹脂材の使用量を削減した薄型電池及び薄型電池の製造方法を提供することである。
本発明は、熱可塑性樹脂材で形成され、電池本体を所定の位置で固定する固定部材と電池本体の外装部材との間を接着する樹脂部を有し、当該樹脂部の軟化点を、薄型電池の環境温度より高く、かつ、一対の外装部材で互いに接着した接着層の融点より低くする、ことによって上記課題を解決する。
本発明は、熱可塑性樹脂を用いて、熱圧着で、電池本体と固定部材との間を接着させているため、電池本体及び固定部材の接着面に樹脂材を設ければよく、樹脂材の使用量を削減することができる。
本発明の実施形態に係る薄型電池の斜視図である。 図1の薄型電池の分解斜視図である。 図1の薄型電池を複数積層する様子を示す斜視図である。 図1のIV−IV線に沿う断面図である。 本発明の他の実施形態に係る薄型電池の部分断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
図1は本発明の実施形態に係る薄型電池の完成状態を示す斜視図、図2は薄型電池の主たる構成部材に分解した状態を示す分解斜視図である。図3は、図1の薄型電池と他の薄型電池とを積層する様子を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、本例の薄型電池10は、薄型扁平状の電池本体11と、スペーサ12とを備える。
電池本体11は、一対のラミネートフィルム製外装部材110の内部に発電要素120が収容され、当該一対の外装部材110の外周部が封止されたものである。図1〜図3においては外装部材110の一方のみを示す。外装部材110を構成するラミネートフィルムは、図4の引き出し断面図Aに示すようにたとえば三層構造とされ、薄型電池1の内側から外側に向かって、ポリプロピレン等の耐電解液性及び熱融着性に優れた樹脂フィルムから構成された内側樹脂層110aと、アルミニウム等の金属箔から構成された中間金属層110bと、ポリエチレンテフレタレート、ナイロン等の電気絶縁性に優れた樹脂フィルムで構成された外側樹脂層110cとを有する。
外側樹脂層111cは、発電要素112に対して内側樹脂層110aより外側に配置されている。言い換えると、内側樹脂層110aは、外側樹脂層110cと発電要素112との間に配置されている。また、外側樹脂層111cは、内側樹脂層111aの融点より高い融点の材料で形成されている。内側樹脂層110aが本発明に係る第1層に相当し、外側樹脂層110cが本発明に係る第2層に相当する。
一対の外装部材110のそれぞれは、発電要素120が収容できるように矩形状平板を浅い椀型(皿型)に成形した形状とされ、内部に発電要素120と電解液を入れたのち、それぞれの外周部を重ね合わせ、当該外周部の全周が熱圧着により溶着されている。
本例の薄型電池1は、リチウムイオン二次電池であり、発電要素120と、特に図示しない電解質とから構成されている。発電要素120は正極板と負極板との間にセパレータを積層して構成されている。なお、本発明に係る二次電池1はリチウムイオン二次電池に限定されず、他の電池であってもよい。
正極板の正極側集電体は、たとえばアルミニウム箔、アルミニウム合金箔、銅箔、又は、ニッケル箔等の電気化学的に安定した金属箔から構成されている。また正極板の正極層は、たとえば、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMnO2)又はコバルト酸リチウム(LiCoO2)等のリチウム複合酸化物や、カルコゲン(S、Se、Te)化物等の正極活物質と、カーボンブラック等の導電剤と、ポリ四フッ化エチレンの水性ディスパージョン等の接着剤と、溶剤とを混合したものを、正極集電板の両主面に塗布し、乾燥及び圧延することにより形成されている。
負極板の負極側集電体は、たとえばニッケル箔、銅箔、ステンレス箔、又は、鉄箔等の電気化学的に安定した金属箔から構成されている。また、負極板の負極層は、たとえば非晶質炭素、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、又は、黒鉛等のような上記の正極活物質のリチウムイオンを吸蔵及び放出する負極活物質に、有機物焼成体の前駆体材料としてのスチレンブタジエンゴム樹脂粉末の水性ディスパージョンを混合し、乾燥させた後に粉砕することで、炭素粒子表面に炭化したスチレンブタジエンゴムを担持させたものを主材料とし、これにアクリル樹脂エマルジョン等の結着剤をさらに混合し、この混合物を負極集電板の両主面に塗布し、乾燥及び圧延させることにより形成されている。
正極板と負極板との間に積層されるセパレータは、正極板と負極板との短絡を防止するものであり、電解質を保持する機能を備えてもよい。セパレータは、たとえばポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン等から構成される微多孔性膜であり、過電流が流れると、その発熱によって層の空孔が閉塞され電流を遮断する機能をも有する。
発電要素120の正極板及び負極板のそれぞれから外装部材110の外部へ正極端子130と負極端子140とが導出されている。本例の薄型電池1では、外装部材110の一辺(図1の手前の短辺)の外周部から正極端子130と負極端子140とが並んで導出されている。正極端子130及び負極端子140は正極タブ130及び負極タブ140とも称される。
以上のように構成された電池本体11は単体で使用に供することもできるが、他の一または複数の二次電池と接続して組み合わせ、所望の出力、容量の二次電池(以下、電池モジュールともいう)として使用に供することもできる。さらに、こうした電池モジュールを複数接続して組み合わせ(以下、組電池ともいう)、この組電池を電気自動車やハイブリッド自動車などの車両に搭載して、走行駆動用電源として用いることもできる。
複数の電池本体11を接続して電池モジュールを構成する場合に、図3に示すように複数の電池本体11の主面同士を積み重ねて電池ケース内に収容することが行われる。この場合に、電池本体11の外周部から導出された正極端子130及び負極端子140と、この電池本体11に積層された電池本体11の外周部から導出された正極端子130及び負極端子140との絶縁性を確保するとともに、これら正極端子130及び負極端子140を直列及び/又は並列に接続するためのバスバを配置したり、電圧検出用センサのコネクタを配置したりするために、絶縁性材料から構成されたスペーサ12が用いられる。
本例のスペーサ12は、図1〜図3に示すように隣接する電池本体11の互いの外周部のうち短辺側の外周部に配置されている。またスペーサ12は、互いに積層される電池本体11の外周部の間に配置されている。スペーサ12は板状の部材であって、ポリプロピレン(PP)などの剛性を有する絶縁性樹脂材料で形成されている。
スペーサ12は、電池本体11を、電池モジュールのケースや自動車の車体など所定の設置位置に対して固定するための固定部121を有する。固定部121が、他の電池本体11の通孔122に挿入されることで、互いの電池本体同士が積層される。そして、固定部121及び通孔122を介して、スペーサ12と、ケース又は車体等とを固定することで、積層された電池本体11は、スペーサ12により所定の位置で固定される。
次に、図1及び図4を用いて、一対の外装部材11の接着部分と、上側外装部材111とスペーサ12との接着部分について説明する。図4は、図1のIV−IV線に沿う断面図である。図4の引き出し断面図Bは上側外装部材111と下側外装部材112の断面を、引き出し断面図Cはスペーサ12、樹脂部13と下側外装部材112の断面を示す。
図4の引き出し断面図Bに示すように、上側外装部材111及び下側外装部材112は、外周部において、互いの内側樹脂層110aを熱圧着で溶着させることで、接着されている。
外装部材11とスペーサ12との間には、樹脂部13が設けられ、外装部材11及びスペーサ12は樹脂部13で溶着されている。樹脂部13は、熱可塑性樹脂材であるホットメルト材により形成されている。また樹脂部13の軟化点が、薄型電池10の環境温度より高く、内側樹脂層110aの融点より低くなるように、樹脂部13が形成されている。
薄型電池10の環境温度は、薄型電池10が使用される環境の下で、薄型電池10の温度が達する温度の範囲であって、その温度範囲の上限温度である。環境温度は、薄型電池10の使用される環境に応じて予め設定されており、実際に薄型電池10が達する温度より余裕を持たせた温度を設定してもよい。
本例において、内側樹脂層110aにポリプロピレン(PP)を用いた場合には、内側樹脂層110aの融点は160度になる。そして、薄型電池10の環境温度として80度に設定する。かかる場合に、樹脂部13の軟化点が80度から160度の間の温度になるよう、樹脂部13が形成される。
樹脂部13は、電池本体11の積層方向に対して垂直に沿った板状に形成され、上側外装部材111の側面及びスペーサ12の側面に沿うように形成されている。
次に、上側外装部材111とスペーサ12の熱圧着工程について説明する。一対の外装部材111の外周部を熱圧着で接着させた後に、シート状の樹脂部13を、上側外装部材111の外周部の表面に配置する。次に、樹脂部13の表面上に、スペーサ12を配置する。これにより、上側外装部材111とスペーサ12との間に、樹脂部13が狭持された状態となる。
かかる状態で、スペーサ12の上側の表面(スペーサ12の表面のうち、樹脂部13と対向する対向面と反対側の表面)と、下側外装部材112の表面との間で、熱圧着により、樹脂部13に熱を加える。熱圧着の温度は、樹脂部13の軟化点に近い温度であり、内側樹脂層110aの融点より低い温度に設定されている。
そして、樹脂部13を溶解させ、乾燥させると、スペーサ12と下側外装部材112との間が接着される。
上記のように、本例は、外装部材110とスペーサ12との間を樹脂部13で接着し、樹脂部13の軟化点を、薄型電池10の環境温度より高く、かつ、一対の外装部材110の互いに溶着した内側樹脂層の融点より低くしている。これにより、樹脂部13を介して外装部材110とスペーサ12とを固定する際に、接着用の樹脂材の使用量を減らすことができる。
ところで、樹脂部13の軟化点を薄型電池10の環境温度以下に設定した場合には、薄型電池10の実際の使用環境で、樹脂部13の接着強度を十分に維持することができない。また、樹脂部13の軟化点を内側樹脂層110aの融点以上に設定した場合には、樹脂部13で外装部材110とスペーサ12とを熱圧着させる際に、一対の外装部材110を溶着していた外周部の温度が、内側樹脂層110aの融点以上になるため、溶着した内側樹脂層110aが剥がれて、当該外周部の封止部分に影響を及ぼす可能性がある。
一方、本例では、樹脂部13の軟化点を上記のように設定することで、薄型電池10の実際の使用環境における、樹脂部13の接着強度を十分に確保しつつ、樹脂部13の熱圧着工程で、一対の外装部材110の封止部分が剥がれることを防ぐ。
また、本発明と異なり、スペーサ12を外装部材110に接着させるためには、スペーサ12と外装部材110とを樹脂によりモールドさせる構成があった(比較例1)。また、本発明とは異なり、スペーサ12と外装部材110の外側樹脂層110cとの間に接着剤を塗布して、スペーサ12と外装部材110と接着させる構成があった(比較例2)。
比較例1では、スペーサ12と外装部材110とを樹脂でモールドするため、樹脂の量が多くなり、材料費が高くなるという問題があった。また、比較例2では、造工程において、接着剤を塗布する時間、スペーサ12と外装部材110とを圧着させる時間及び接着剤が固まるまでの接着剤の反応時間を確保しなければならないため、製造時間が長くなるという問題があった。
一方、本例では、樹脂部13を用いた熱圧着で、外装部材110とスペーサ12とを接着させることができるため、比較例と比較して、製造のための設備を簡素化することができ、また比較例2と比較してリートタイムを短くすることができる。
さらに、比較例2の薄型電池を車両に搭載した場合には、接着剤が硬いため、接着部分が割れてしまう可能性ある。一方、本例は、熱可塑性樹脂材で、スペーサ12と外装部材110を接着させているため、車両の振動を樹脂部13で吸収することができる。また、比較例2において、リードタイムを短くするために、反応時間の短い接着剤を用いることも考えられるが、かかる場合には、接着強度にばらつきが生じてしまう。一方、本例では、このような接着硬度のばらつきを防ぐこともできる
また本例において、樹脂部13は、電池本体11の積層方向に対して垂直方向に沿う板状に形成されている。ガンを用いて、上側外装部材111の表面にホットメルトを塗布した場合には、樹脂部13の膜厚を均一にするために、スペーサ12に高い圧力を均一にかける必要があり、製造工程が複雑化する。一方、本例では、シート状の樹脂部13を用いているため、樹脂層13の膜厚を容易に均一化させることができ、樹脂部13による接着強度も高めることができる。
なお、本発明の変形例として、スペーサ12と樹脂部13を同時に成形させてものを、上側外装部材111に配置して、熱圧着により、スペーサ12と上側外装部材111を接着させてもよい。例えば、スペーサ12を形成する際に、射出成形により、ホットメルトを一体化させて、スペーサ12を形成する。すなわち、スペーサ12と樹脂部13とで二層になるように形成する。これにより、スペーサ12と樹脂部13との間の接着強度を高めることができる。また、樹脂部13をスペーサ12に接着させる工程を省くことができる。
また本発明の変形例として、樹脂部13は結晶性材料で形成されている。これにより、耐電解液性が高くなり、液漏れによる接着強度の低下を防ぐことができる。
上記スペーサが本発明の「固定部材」に相当する。内側樹脂層110aが本発明の「接着層」に相当する。
《第2実施形態》
本発明の他の実施形態に係る薄型電池を説明する。本例では、上述した第1実施形態に対して、スペーサ12の両面が樹脂部13を介して複数の電池本体11にそれぞれ接着している点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を適宜、援用する。図5は、本発明の他の実施形態に係る薄型電池の部分断面図であって、図1のIV−IV線に沿う断面図と同様の断面図である。図5の引き出し断面図Dはスペーサ12、樹脂部13及び下側外装部材112の断面を示し、引き出し断面図Gはスペーサ12、樹脂部13及び上側外装部材111の断面を示す。
図5に示すように、複数の電池本体11を積層する際に(図3を参照)、スペーサ12の両面に樹脂部13をそれぞれ形成し、複数の電池本体11を接着している。板状のスペーサ12の側面のうち、電池本体11の積層方向に対して垂直な方向に沿う両側面、言い換えると、外装部材110の外周部と対向する両側面(図5に示すスペーサ12の上面及び下面)は、樹脂部13を介して、上方に位置する電池本体11の下側外装部材112及び下方に位置する電池本体11の上側外装部材111にそれぞれ接着されている。
これにより、スペーサ12は、外装部材110の外周部と対向する両側面を樹脂部13により当該外周部に接着され、上方の電池本体11の外装部材110と下方の電池本体11の外装部材110との間で狭持されるよう、接着されている。
上記のように、本例は、複数の電池本体11の積層方向に対して垂直な方向に沿う、スペーサ12の両側面を、樹脂部13を介して、複数の電池本体11にそれぞれ接着させている。これにより、スペーサ12の材料の使用量を減らすことができる。また、1枚のスペーサ12あたり2枚の電池本体11を同時に接着させることができるため、製造工程の短縮化を図ることができる。
10…薄型電池
11…電池本体
110…外装部材
110a…内側樹脂層
110b…中間金属層
110c…外側樹脂層
111…上側外装部材
112…下側外装部材
120…発電要素
130…正極端子
140…負極端子
12…スペーサ
13…樹脂部

Claims (5)

  1. 一対の外装部材の内部に発電要素が封入された電池本体と、前記電池本体を所定位置に固定する固定部材とを備えた薄型電池において、
    前記外装部材と前記固定部材との間を接着し、熱可塑性樹脂材により形成されている樹脂部を有し、
    前記樹脂部の軟化点が、
    前記薄型電池の環境温度より高く、かつ、前記一対の外装部材の互いに接着した接着層の融点より低く、
    前記固定部材と前記樹脂部は一体化して形成されている
    ことを特徴とする薄型電池。
  2. 前記樹脂部は
    他の電池本体を積層した際の積層方向に対し垂直な方向に沿った板状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の薄型電池。
  3. 前記固定部材は、
    板状に形成され、
    他の電池本体を積層した際の積層方向に対し垂直な方向に沿った両側面で、前記樹脂部を介して、前記電池本体及び前記他の電池本体にそれぞれ接着している
    ことを特徴とする
    請求項1又は2に記載の薄型電池。
  4. 前記樹脂部は、結晶性材料で形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の薄型電池。
  5. 一対の外装部材の内部に発電要素が封入された電池本体と、前記電池本体を所定位置に固定する固定部材とを備えた薄型電池の製造方法であって、
    熱可塑性樹脂材により形成されている樹脂部と前記固定部材とを一体化して形成し、
    一体化した前記樹脂部及び前記固定部材を、前記外装部材上に配置し、
    前記樹脂部に熱を加えて、前記固定部材と前記外装部材とを接着し、
    前記樹脂部の軟化点は、前記薄型電池の環境温度より高く、かつ、前記一対の外装部材の互いに接着した接着層の融点より低い
    製造方法。
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