JP6007384B1 - 画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ及び画像診断用カテーテルとの組立体、並びに光干渉断層画像診断装置との組立体 - Google Patents

画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ及び画像診断用カテーテルとの組立体、並びに光干渉断層画像診断装置との組立体 Download PDF

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Abstract

【課題】画像診断用カテーテルを用いて病変部の断層画像を撮影する場合に、断層画像内には医療用ガイドワイヤに起因する明度の低い暗色のバックシャドーが現れる。このバックシャドーを低減しようとすれば、医療用ガイドワイヤの外径をより細径化しなければならず、一方、細径化すれば医療用ガイドワイヤの機械的強度特性が大きく低下する。この相反する技術課題が存在する。【解決手段】医療用ガイドワイヤの機械的強度特性については、芯線のねじれ角比を、断層画像内のバックシャドーについては、芯線とコイル体との表面積比を考察し、この双方の範囲を満たすことにより、相反する技術課題を克服することができる。【選択図】図2

Description

この発明は、体腔内の病変部治療に際して、画像診断用カテーテルに用いられる医療用ガイドワイヤ等に関する。
従来、血管又は器官等の体腔内の病変部治療に際して、例えば血管の断層画像を得る為に、血管内へ医療用ガイドワイヤ(以下ガイドワイヤという)を挿入し、その後ガイドワイヤを道案内として画像診断用カテーテルを病変部まで導入する。そして、画像診断用カテーテルの先端側のカテーテルシース内に備えられたプローブを回転させながら手元側(後端側)へ一定距離後退させ(プルバック操作)、病変部の断層画像を撮影し、その断層画像に基づいて術者が病変部の診断と治療を行っている。
かかる場合において、病変部の断層画像内に、プローブからの信号をガイドワイヤが遮断することによって発生する明度の低い暗色のバックシャドー(又はアーチファクト、ここでは総称してバックシャドーという)が現れ、このバックシャドーが病変部の血管壁断層画像を暗色で覆って、術者が断層画像からの病変部の症状を正確に認識することが困難な場合がある。
特許文献1には、ルーメンを有するカテーテル本体の先端部にガイドワイヤが挿通する管状のガイドワイヤ挿通部を配置し、カテーテル本体のルーメン内のシャフトを回転させるとともに手元側へ後退させて、光の送信・受信により血管の断層画像を得るためのカテーテル組立体が開示されている。
かかる場合に、ガイドワイヤは光を遮断する為、バックシャドーが発生する。これを解消するため、ガイドワイヤの先端側に光透過部材の管状体を備えたガイドワイヤが記載されている。
特許文献2には、先端部に先端から後端側へ全長が300mm、外径が約0.360mmの金属製の外側コイルと、先端から後端側へ全長が50mm、外径が約0.190mmの金属製の内側コイルを備えた二層構造のコイルから成るガイドワイヤが記載されている。
WO2011/114600号公報 特開2013−162920号公報
特許文献1に記載のガイドワイヤは、管状体の光透過部材が光透過樹脂材料又はガラス材料で構成されている。光透過樹脂材料は、金属材料と比較して柔軟性は高いがねじり剛性が極端に低く、ねじり剛性の低下に伴いねじれ角は極端に増大する。又、ガラス材料は、金属材料と比較してある程度剛性は高いが伸びが極端に低く、かつ、脆く、又ねじり力を加えた場合にはねじれ破断し易い傾向にある。
特許文献2に記載のガイドワイヤは、先端部に、先端から後端側へ全長が300mm、外径が約0.360mmの金属製の外側コイルが配置されている。この場合には、断層画像を撮影する為に、後述するプローブが手元側(後端側)へ後退する範囲内に大きな外径(約0.360mm)をもつ外側コイルが存在し、この大きな外径をもつ外側コイルによってプローブからの信号を後退する全範囲にわたって遮断し、外側コイルに起因する暗色の大きな外径に応じた大きなバックシャドーが断層画像内に現れる。
さらに、外側コイルの内側に内側コイルが備えられている為、より一層明度の低い、強い暗色のバックシャドーが断層画像内に現れることとなる。
そして、特許文献1、2のいずれについても、ガイドワイヤの芯線に金属材料を用いながら金属材料のもつ優れた機械的強度特性を活かし、病変部での通過性を維持させながら、かつ、ガイドワイヤに起因する断層画像内のバックシャドーの低減を図る技術思想については、何ら記載されていない。このことは、断層画像から正確な病変部の症状を認識するうえで重要な技術課題が存在する。
本発明は、上記技術課題を鑑みてなされたものであり、ガイドワイヤの病変部での通過性を維持しながら断層画像内のバックシャドーの低減を図り、鮮明化した断層画像に基づいて正確な病変部の症状が認識できるガイドワイヤ等を提供することを目的とする。
上記目的を達成する為、本発明のガイドワイヤ等は、管腔内へ配置されたガイドワイヤの後端を、画像診断用カテーテルの先端部に設けられた円筒状のガイドワイヤ挿通部へ挿入して、画像診断用カテーテルをガイドワイヤに沿わせて管腔内へ導入する。
ガイドワイヤ挿通部よりも後端側で、画像診断用カテーテルのシース内に備えられたプローブを回転させながら後端側へ後退させ、生体組織の断層画像を得る。
ガイドワイヤは、芯線が擬弾性特性を有し、芯線は、後端から先端へ、芯線後端径大部と芯線中間細径部と芯線先端径小部とを備え、後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有する。芯線先端径小部は、等径部を有するコイル体内に配置する。
コイル体の先端と芯線先端径小部の先端とを接合した先端接合部と、コイル体の後端と芯線先端径小部の後端側とを接合した後端接合部とを備える。
芯線後端径大部に対する芯線中間細径部のねじれ角比(芯線中間細径部のねじり角/芯線後端径大部のねじれ角)が、2.677以上15.232以下である。
コイル体の等径部の最大外径を仮想線で結んだ円筒体を仮想コイル円筒体とし、仮想コイル円筒体に対する芯線中間細径部の表面積比(芯線中間細径部の表面積/仮想コイル円筒体の表面積)が、0.506以上0.781以下であることを特徴とする画像診断用カテーテルに用いるガイドワイヤである。
芯線中間細径部は、横断面が円形で長手方向の全長にわたって等径で、先端接合部の先端から後端側へ、30mm以上200mm以下に位置している。
後端接合部で接合する芯線先端径小部の芯線が、後端接合部を挟んで後端側から先端側へ徐変縮径するのに伴って、コイル体の後端側に、後端接合部の後端側から先端側へ徐変拡径する密巻きの傾斜部を有する。
画像診断用カテーテルに用いるガイドワイヤは、少なくとも芯線中間細径部の外周に親水性被膜が形成されている。画像診断用カテーテルは、0.75μm以上1.4μm以下の波長の低干渉光を送信・受信する光プローブを備えた光干渉断層画像診断用カテーテルであり、画像診断用カテーテルに用いるガイドワイヤと画像診断用カテーテルとの組立体である。
光干渉断層画像診断装置は、光プローブを回転させながら後退させるスキャナ及びプルバック部と光プローブからの測定データを処理して画像を表示する操作制御装置とを有する。画像診断用カテーテルに用いるガイドワイヤと画像診断用カテーテルと光干渉断層画像診断装置との組立体である。
本発明の画像診断用カテーテルに用いるガイドワイヤは、芯線が擬弾性特性を有し、芯線は、後端から先端へ、芯線後端径大部と芯線中間細径部と芯線先端径小部とを備える。
芯線中間細径部は、芯線後端径大部に対する芯線中間細径部のねじれ角比(芯線中間細径部のねじれ角/芯線後端径大部のねじれ角)が、2.677以上15.232以下である。芯線先端径小部を、等径部を有するコイル体内へ貫挿し、コイル体の等径部の最大外径を仮想線で結んだ円筒体を仮想コイル円筒体とし、仮想コイル円筒体に対する芯線中間細径部の表面積比(芯線中間細径部の表面積/仮想コイル円筒体の表面積)が、0.506以上0.781以下であることを特徴とする画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤである。
この理由は、ガイドワイヤの芯線の機械的強度特性、特にねじれ角を少なくする為には、芯線の外径を太くして断面二次極モーメントを高める必要がある。その一方で、芯線の外径を太くすれば断層画像内にガイドワイヤに起因する明度の低い暗色のバックシャドーがより拡大して現れ、術者の病変部の症状の見落とし、誤診を招き易くなり、相反する技術課題が存在する。
そして、芯線中間細径部について、機械的強度特性については「ねじれ角比」を、断層画像内のバックシャドーについては「表面積比」に着目して、数多くの実験を重ねた結果、この「ねじれ角比」と「表面積比」の双方が上記の数値範囲を満たすことにより、相反する技術課題を克服できることを見出したからである。
芯線中間細径部は、横断面が円形で長手方向の全長にわたって等径で、先端接合部の先端から後端側へ、30mm以上200mm以下に位置している。
この理由は、プローブが後退する範囲のうち、断層画像を撮影する範囲内に芯線中間細径部を配置させる為であり、かつ、芯線中間細径部の表面積を小さくさせて、ガイドワイヤに起因するバックシャドーの暗色画像を縮小し、かつ低減させる為である。
後端接合部で接合する芯線先端径小部が、後端接合部を挟んで後端側から先端側へ徐変縮径するのに伴って、コイル体の後端側に、後端接合部から先端側へ徐変拡径する密巻きの傾斜部を有する。
この理由は、芯線先端径小部の芯線が、後端側から先端側へ徐変縮径すれば断面二次極モーメントはより低下して先端側のねじれ角はさらに増大する。この芯線先端径小部の断面二次極モーメントの低下分を徐変拡径する密巻きの傾斜部を有するコイル体で補完する為である。又、ガイドワイヤ挿通部とコイル体との緊密接合を可能とし、ガイドワイヤの遊動を軽減させる為である。
画像診断用カテーテルに用いるガイドワイヤは、少なくとも芯線中間細径部の外周に親水性被膜が形成されている。画像診断用カテーテルは、0.75μm以上1.4μm以下の波長の低干渉光を送信・受信する光プローブを備えた光干渉断層画像診断用カテーテルであり、画像診断用カテーテルに用いるガイドワイヤと画像診断用カテーテルとの組立体である。
画像診断用カテーテルを0.75μm以上1.4μm以下の波長を用いた光干渉断層画像診断用カテーテルとしたのは、生体内における水による光吸収が極めて少なく、かつ、生体組織に対する光の侵襲性(光のフォトンエネルギー、X線等)が極めて低いからである。これにより、芯線中間細径部の外周に形成した親水性被膜が水を吸収して膨潤し、膜厚が増大しても水による光吸収が極めて少ない為、増大した膜厚分が加算されて暗色のバックシャドーが拡張することはない。そして、膨潤した親水性被膜により動摩擦係数を低くして、摺動性を飛躍的に向上させることができる。
光干渉断層画像診断装置は、光プローブを回転させながら後退させるスキャナ及びプルバック部と光プローブからの測定データを処理して画像を表示する操作制御装置とを有する。画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤと画像診断用カテーテルと光干渉断層画像診断装置との組立体である。
これにより、生体内の水による光吸収の極めて少ない波長を用いている為、光が生体組織の深部まで到達し易く、又ガイドワイヤの芯線中間細径部の外周に形成された潤滑性物質が親水性被膜であれば、水による光吸収は極めて少なく、その結果、術者は従来品よりも鮮明な断層画像を得て、病変部の症状を認識することができ、病変部の見落とし、誤診等を防ぐことができる。
本発明の画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤと画像診断用カテーテルとの組立体を示す。 図1の組立体の使用状態を示す先端部の要部拡大一部切欠き側面図である。 本発明の医療用ガイドワイヤの全体を示す一部切欠き側面図である。 本発明の医療用ガイドワイヤについて、芯線の芯線後端径大部に対する芯線中間細径部のねじれ角比を示す。 本発明の医療用ガイドワイヤについて、コイル体に対する芯線中間細径部の表面積比を示す。 本発明の画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤと、画像診断用カテーテルと、光干渉断層画像診断装置との組立体を示す。 本発明の医療用ガイドワイヤの変形例を示す。
以下本発明のガイドワイヤ等の実施形態について説明する。
図1は、本発明の画像診断用カテーテルに用いるガイドワイヤと画像診断用カテーテル(以下カテーテルという)との組立体を示す。図2は、図1の組立体の使用状態を示す先端部の要部拡大一部切欠き側面図である。図3は、本発明のガイドワイヤの全体を示す一部切欠き側面図である。
図1に示す組立体80は、ガイドワイヤ1とカテーテル10とを備え、これらを組み立てた状態にして生体管腔内で使用される。尚、生体管腔は特に限定しないが、本実施形態では、血管200とする。カテーテル10は、図1に示すように、血管内へ挿入される長尺円筒状のカテーテルシース14と、カテーテルシース14の先端に配置されガイドワイヤ1を挿通する円筒状のガイドワイヤ挿通部12と、術者が操作する為に手元側(後端側)に配置されるコネクタ13から成る。
カテーテルシース14の管腔内には、超音波を送信・受信するプローブ11bと、プローブ11bの回転力を伝達する駆動シャフト11cとから成るイメージングコア11がカテーテルシース14の全長にわたって挿通されている。
コネクタ13は、カテーテルシース14と一体接合されたシースコネクタ13aと、駆動シャフト11cを回転可能に保持する駆動シャフトコネクタ13bから成り、駆動シャフトコネクタ13bは、図示矢印で示すように先端のイメージングコア11と共にスキャナ及びプルバック部102(図6)を用いて後退できる構造となっている。
図2は、ガイドワイヤ1とカテーテル10との組立体80の先端部が、血管200で使用される状態を示す。カテーテルシース14の先端に備えられたガイドワイヤ挿通部12へ、ガイドワイヤ1をその後端から挿入して、カテーテル10をガイドワイヤ1に沿わせて血管内の病変部へ配置する。
カテーテルシース14の管腔内のプローブ11bは、超音波振動子11eと、超音波振動子11eを保持するハウジング11dから成る。生体組織の断層画像の撮影は、スキャナ及びプルバック部102を用いて、カテーテル10に備えられたプローブ11bを駆動シャフト11cにより回転させながら後端側へ一定範囲後退させて撮影し、病変部の血管200の断層画像を得ている。かかる場合において、ガイドワイヤ1は、血管200の内壁とカテーテルシース14との間にあり、プローブ11bを回転させながら一定距離後退させる全ての範囲内にガイドワイヤ1が存在する為、断層画像内にガイドワイヤ1に起因した明度の低い暗色のバックシャドーが現れる。
図3は、本発明のガイドワイヤ1の全体を示し、ガイドワイヤ1は、後端部1Aと中間部1Bと先端部1Cから成り、芯線2とコイル体3とふっ素樹脂被膜5と潤滑性被膜6を有する。芯線2の後端には後端接続径小凸部27が形成され、その後端接続径小凸部27より先端側が第1芯線2Aとなっている。
後端部1Aは、接続部7(図7)を設けて長手方向の長さを延長させる後端接続径小凸部27と、後端側に第1芯線2Aの最大外径を備えた芯線後端径大部21を有し、中間部1Bは、第1芯線2Aの中間第1テーパ部22、中間第1等径部23、中間第2テーパ部24、芯線中間細径部25を備え、先端部1Cは、第1芯線2Aの先端第1テーパ部26a、先端第1等径部26bから成る芯線先端径小部26と、コイル体3と、第1芯線2Aとコイル体3とを接合する先端接合部4a及び後端接合部4bとを備えている。
第1芯線2Aは、芯線後端径大部21と芯線中間細径部25と芯線先端径小部26を有し、後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有している。コイル体3は、芯線先端径小部26の先端第1テーパ部26aの先端側と先端第1等径部26bが貫挿し、接合部材を用いてコイル体3の先端と先端第1等径部26bの先端とを接合して先端接合部4aを形成し、コイル体3の後端と先端第1テーパ部26aの後端側とを接合して後端接合部4bを形成する。尚、コイル体3の最大外径を仮想線(図示点線)で結んだ円筒体は、後述する仮想コイル円筒体30(図3(ロ))を示す。
ふっ素樹脂被膜5は、後端部1Aの芯線後端径大部21と中間部1Bの中間第1テーパ部22、中間第1等径部23、中間第2テーパ部24の外周に形成されている。潤滑性被膜6は、少なくとも中間部1Bの芯線中間細径部25の外周に形成されており、本実施形態では、先端部1C(先端第1テーパ部26aの後端側とコイル体3と先端接合部4a)の外周にも形成されている。
芯線2は、全長L0が1914mm(第1芯線2Aの長手方向の長さは1900mm)、後端部1Aの芯線後端径大部21の外径D1は0.3556mm(0.014インチ)、長手方向の長さL1は1500mmである。
中間部1Bの芯線中間細径部25の外径D2は0.225mm、長手方向の長さL2は100mm、先端接合部4aの先端から芯線中間細径部25の先端端部までの長さL3は50mmである。この芯線中間細径部25は、図2で示すように血管200の断層画像撮影時に、カテーテル10に備えられたプローブ11bが後退する実用範囲(符号L5)に少なくとも位置し、芯線中間細径部25の長さL2は、実用範囲の長さL5を超えている。
中間部1Bの中間第1テーパ部22、中間第1等径部23、中間第2テーパ部24の外径は、0.3556mmから0.225mmへ徐変縮径する。
先端部1Cの先端第1テーパ部26aは、長手方向の長さが40mm、外径は0.225mmから0.080mmへ徐変縮径し、先端第1等径部26bの外径D3は0.080mmの等径で長手方向の長さは10mmである。尚、先端第1等径部26bは、外径D3の等径部分に押圧加工を行い、横断面を矩形形状としてもよい。
芯線2は、擬弾性特性を有するNiTi系合金等を用いる。ここでいう擬弾性特性とは、原子間隔の変化に起因する弾性以外の、例えば双晶変形等の機構で生じる見かけ弾性特性のことをいい、形状記憶効果、及び超弾性(変態擬弾性又は双晶擬弾性)を含む。
具体的には、特公平2−24548号公報等でみられるような超弾性金属(NiTi合金)、特公平6−83726号公報等でみられるような加工硬化型NiTi合金、特開2001−164348号公報等でみられるような広ひずみ範囲弾性NiTi系合金、特開2002−69555号公報等でみられるような線形弾性NiTi系合金等である。
擬弾性特性を有するNiTi系合金としては、Niが48at%〜52.0at%で残部がTiのNiTi合金、Niが48at%〜52.0at%含有し、さらにCr、Fe、Co、Mo、V、Alの中から1種、又は2種以上を0.05at%〜3.0at%含有し、残部がTiから成るNiTi系合金、Niが36.0at%〜48.0at%含有し、さらにCuが5.0at%〜12.0at%含有し、残部がTiから成るNiTi系合金等である。
コイル体3は、線直径t1が0.060mmで一定の線直径をもつ線材を用いて巻回成形されている。コイル体3は、最小外径A1が0.291mm、最大外径A2が0.3556mm、長手方向の長さは35mmである。また、コイル体3のうち後端側の10mmは先端側へ向かって徐変拡径する密巻きの傾斜部3aであり、先端側の25mmは外径A2が0.3556mmの等径で、線間間隙が線直径t1の1.20倍以上1.90倍以下の疎巻きの等径部3bである。
コイル体3は、タングステン、金、白金、又はドープタングステン、金、白金にニッケル等を含む放射線不透過の線材を巻回成形したコイルである。又、先端側が放射線不透過の線材とし、後端側をステンレス鋼線等の放射線透過の線材を用いて巻回成形したコイルとしてもよい。
潤滑性被膜6は、シリコーンオイルによる被膜、又は湿潤時に潤滑特性を示す親水性物質による親水性被膜としてもよい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、反応性シリコーンオイルであり、好ましくは反応性シリコーンオイルである。この理由は、金属線材(芯線中間細径部25、芯線先端径小部26、コイル体3等)との密着性が高いからである。
親水性被膜の親水性物質としては、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系高分子物質、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体等の無水マレイン酸高分子物質、ポリエチレンオキサイド等のポリエチレンオキサイド系高分子物質、ポリビニルピロリドン等のアクリルアミド系高分子物質等である。又、親水性物質を用いた親水性被膜の膨潤率(膨潤状態の膜厚から乾燥状態の膜厚を差し引いた値の百分率)は20%から500%であり、膨潤率が高い程(親水性物質による水性の膜厚が厚い程)親水性被膜の膜厚は増大し、摺動性は向上する傾向がみられる。
図4は、本発明のガイドワイヤ1において、芯線後端径大部21に対する芯線2の第1芯線2Aの「ねじれ角比」を示し、図5は、コイル体3に対する芯線中間細径部25の「表面積比」を示す。
断層画像を得る際には、図2に示すように後退するプローブ11bと血管200の内壁との間にガイドワイヤ1が存在する為、断層画像内にはガイドワイヤ1に起因する明度の低い暗色のバックシャドーが現れる。
一般に、ガイドワイヤ1の、病変部での通過性と術者への応答性を高める為には、例えば芯線2の第1芯線2Aの機械的強度特性のうち、特にねじれ角を少なくする必要があり、ねじれ角を少なくする為には第1芯線2Aの外径をより太くする必要がある。
その一方で、第1芯線2Aの外径をより太くすれば、これに伴ってコイル体の外径も大きくなり断層画像内にガイドワイヤに起因する明度の低い、強い暗色のバックシャドーがより拡大して現れることとなる。例えば、特許文献2のガイドワイヤは、先端側に外径が約0.360mm、長手方向の長さが300mmの外側コイルが配置されていて、このことは断層画像撮影時に、プローブ11bが後退する実用範囲(図2符号L5)、及び長さL5を超えて外側コイルが配置されていることとなる。これにより、撮影した断層画像内には、外径が約0.360mmの外側コイルに起因する明度の低い、強い暗色のバックシャドーが現れることとなる。
この為、本発明は、機械的強度特性については「ねじれ角比」を、断層画像内のバックシャドーについては「表面積比」に着目して、数多くの実験を重ねた結果、この「ねじれ角比」と「表面積比」の双方が後述する所定の数値範囲を満たすことにより、相反する技術課題を克服できることを見出した発明である。
図4は、ガイドワイヤ1について芯線2の第1芯線2Aの芯線後端径大部21に対する「ねじれ角比」を示す。横軸にガイドワイヤ1の芯線2の第1芯線2Aの各部位の長手方向の位置を示し、縦軸に芯線2の第1芯線2Aの芯線後端径大部21に対する芯線2の第1芯線2Aの各部位(符号21〜26)の「ねじれ角比」を示す。ここでいう「ねじれ角比」とは、単位長さ当りの「ねじれ角比(各部位の単位長さ当りのねじれ角/芯線後端径大部の単位長さ当りのねじれ角)」のことであり、以下単に「ねじれ角比」という。
芯線後端径大部21の単位長さ当りのねじれ角をθo(以下単にねじれ角θoという)とし、ねじりモーメントT、単位長さをl、横弾性係数をG、断面二次極モーメントをIpoとすると、芯線後端径大部21のねじれ角θoは、
θo=(T×l)/(G×Ipo) ・・・(1)
関係式(1)で表すことができる。
次に、芯線中間細径部25の単位長さ当りのねじれ角をθ1(以下単にねじれ角θ1という)とし、断面二次極モーメントをIp1とすると、前記関係式(1)と同様に、芯線中間細径部25のねじれ角θ1は、
θ1=(T×l)/(G×Ip1) ・・・(2)
関係式(2)で表すことができる。
そして、芯線後端径大部21のねじれ角θoに対する芯線中間細径部25のねじれ角θ1のねじれ角比θ1/θoは、
θ1/θo=Ipo/Ip1 ・・・(3)
関係式(3)で表すことができる。
図4において、符号21〜26は、第1芯線2Aの芯線後端径大部21から芯線先端径小部26の位置を示す。ねじれ角比は、後端の芯線後端径大部21から芯線中間細径部25までは徐々に緩やかに増大し、芯線中間細径部25を超えて芯線先端径小部26に至ると急激に増大する。外径D2が0.225mm、長手方向の長さL2が100mmの芯線中間細径部25のねじれ角比は、約6.239である。
そして後述する「表面積比」と併せて、芯線2の、特に芯線中間細径部25のねじれ角を最小限にして断層画像撮影時のガイドワイヤ1に起因するバックシャドーを低減させる為には、芯線後端径大部21に対する芯線中間細径部25のねじれ角比θ1/θoは、2.677(図示符号X1)以上15.232(図示符号X2)以下で、好ましくは3.008以上12.269以下である。
図5は、ガイドワイヤ1について芯線2の第1芯線2Aのコイル体3に対する「表面積比」を示す。横軸にガイドワイヤ1の芯線2の第1芯線2Aの各部位の長手方向の位置を示し、縦軸に芯線2の第1芯線2Aの各部位(符号21〜26a)のコイル体3に対する「表面積比」を示す。
ここでいう「表面積比」とは、コイル体3の最大等径部の外径を仮想線で結んだ円筒体を仮想コイル円筒体30(図3(ロ))とした場合に、仮想コイル円筒体の単位長さ当りの表面積に対する各部位の単位長さ当りの表面積(各部位の単位長さ当りの表面積/仮想コイル円筒体の単位長さ当りの表面積)のことであり、以下単に「表面積比」という。コイル体3の最大外径A2は0.3556mm、等径部の長手方向の長さは25mmである。そして、仮想コイル円筒体30の外径は、コイル体3の最大外径A2が0.3556mmである為、0.3556mmとなる。
仮想コイル円筒体30の単位長さ当りの表面積をSo(以下単に表面積Soという)とし、芯線中間細径部25の単位長さ当りの表面積をS1(以下単に表面積S1という)とすると、仮想コイル円筒体30に対する芯線中間細径部25の表面積比は、S1/Soの関係で表すことができる。
本発明の実施形態では、仮想コイル円筒体30と芯線中間細径部25は共に横断面が円形である為、長手方向の長さをlとすると、仮想コイル円筒体30の外径がA2で、芯線中間細径部25の外径がD2であることから、仮想コイル円筒体30に対する芯線中間細径部25の表面積比S1/Soは、
S1/So=D2/A2 ・・・(4)
関係式(4)で表すことができる。
本実施形態では、前記表面積比S1/Soが、外径比D2/A2で表すことができる。
図5において、符号21〜26a、3は、第1芯線2Aの芯線後端径大部21から芯線先端径小部26の先端第1テーパ部26a、及びコイル体3の位置を示す。
表面積比は、後端側の芯線後端径大部21から芯線中間細径部25まで段階的に減少し、芯線中間細径部25及び芯線先端径小部26の後端側の一部を超えると大きく増大する。外径D2が0.225mm、長手方向の長さL2が100mmの芯線中間細径部25の表面積比S1/Soは、0.633である。この表面積比の値が低い程、暗色のバックシャドーは減少し、断層画像内に現れ難くなる。
そして前述した「ねじれ角比」と併せて、第1芯線2Aのねじれ角を最小限にして断層画像撮影時の断層画像内のガイドワイヤ1に起因するバックシャドーを低減させる為には、仮想コイル円筒体30に対する芯線中間細径部25の表面積比S1/Soは、0.506(図示符号Y1)以上0.781(図示符号Y2)以下で、好ましくは0.534以上0.759以下である。
本発明は、図4及び図5で示したように、第1芯線2Aの機械的強度特性については「ねじれ角比」を、断層画像内のバックシャドーについては「表面積比」に着目して、数多くの実験を重ね、その結果に基づいて「ねじれ角比」と「表面積比」の双方が前述した所定の数値範囲を満たすように構成したことにより、前記相反する技術課題を克服したものである。
即ち、「ねじれ角比」と「表面積比」の双方が前述した所定の数値範囲を満たすことにより、断層画像撮影時の断層画像内でのガイドワイヤ1に起因するバックシャドーの暗色画像を低減できると同時に、病変部でのガイドワイヤ1の通過性を確保することができる。
次に、芯線中間細径部25は、図2で示すように病変部の断層画像撮影時に、カテーテル10に備えられたプローブ11bが断層画像を撮影する為の後退する実用範囲(符号L5)に少なくとも位置し、ガイドワイヤ1の先端接合部4aの先端から後端側へ30mmから200mmの範囲に位置している。例えば、特許文献2のガイドワイヤは、先端から後端側へ外径が約0.360mm、長手方向の長さが300mmの金属製の外側コイルが配置されている。この為、プローブ11bが断層画像を撮影する為の後退する実用範囲のみならずこの範囲を大きく超えて、大きな外径の外側コイル(外径が約0.360mm)が位置し、外側コイルに起因するバックシャドーが強い暗色画像となって断層画像内に現れることとなる。
これに対して本発明のガイドワイヤ1は、断層画像撮影時にプローブ11bが後退する実用範囲内には、特許文献2のような金属製の外側コイル(外径約0.360mm)が位置するのではなく、外径が小さな第1芯線2Aの芯線中間細径部25(外径D2が0.225mm)が位置し、前記特許文献2に対しては、外径が約40%近く下回っている。
この為、ガイドワイヤ1に起因する断層画像内に現れる強い暗色のバックシャドーを大きく低減させることができる。
本発明のガイドワイヤ1の芯線中間細径部25は、外径D2が0.225mm、横断面が円形で、かつ、等径である。この理由は、表面積を小さくして、前記表面積比を低い値とする為である。又、芯線中間細径部25は、先端接合部4aの先端から後端側へ50〜150mmの範囲で設けられており、長手方向の長さL2が100mmである。この理由は、この範囲であれば断層画像撮影時にカテーテル10に備えられたプローブ11bが後退する実用範囲(L5、図2を参照)に、芯線中間細径部25が少なくとも位置するからである。
そして、断層画像撮影時にカテーテル10に備えられたプローブ11bが後退する実用範囲を考慮すると、芯線中間細径部25は、先端接合部4aの先端から後端側へ30mm以上200mm以下に位置していることが好ましい。
従って、芯線中間細径部25は、断層画像撮影時にプローブ11bが後退する実用範囲に少なくとも位置し、断層画像を撮影する為には、プローブ11bが後退する実用範囲を超えて存在していてもよい(図2、符号L2)。又、芯線中間細径部25は、横断面が円形で、長手方向の全長にわたって等径で、先端接合部4aの先端から後端側へ30mm以上200mm以下に位置している。
これにより、断層画像撮影時に、カテーテル10に備えられたプローブ11bが後退する実用範囲に細径で表面積の小さい芯線中間細径部25を配置させ、ガイドワイヤ1に起因するバックシャドーの暗色画像を低減させることができる。尚、ここでいう「中間細径部25の長手方向の全長にわたって等径」とは、公差を含む意味である。具体的には例えば、基準外径寸法(外径D2)の±3%以内のことをいう。
次に、コイル体3と芯線先端径小部26との接合部の構成について説明する。
芯線中間細径部25の先端側の芯線先端径小部26は、後端外径が0.225mm(外径D2に相当)、先端外径D3が0.080mmで後端側から先端側へ徐変縮径し、断面二次極モーメントもこれに伴って低下する。
図3(ロ)に示すように、コイル体3は、後端が先端第1テーパ部26aの後端側の後端接合部4bで接合され(本実施形態では、後端接合部4bの先端第1テーパ部26aの外径は約0.171mm)、長手方向の長さが10mmで後端から先端側へ徐変拡径する密巻きの傾斜部3aと、長手方向の長さが25mm、外径0.3556mmで疎巻きの等径部3bから成るコイルである。等径部3bの疎巻きの線間間隙は、線直径t1の1.20倍以上1.90倍以下である。
そして、本発明のガイドワイヤ1の先端部1Cは、後端接合部4bで接合する芯線先端径小部26の芯線が、後端接合部4bを挟んで後端側から先端側へ徐変縮径するのに伴って、コイル体3の後端側に、後端接合部4bの後端側から先端側へ徐変拡径する密巻きの傾斜部3aを有する。この理由は、芯線先端径小部26の芯線が後端側から先端側へ徐変縮径するのに伴って、断面二次極モーメントは減少し、先端側のねじれ角はさらに増大する。この芯線先端径小部26の断面二次極モーメントの低下分を密巻きの傾斜部3aを有するコイル体3で補完する為である。
これにより、芯線先端径小部26のねじれ角のさらなる増大を防いで、先端側への回転伝達力をコイル体3で補完し、ねじり力による耐疲労特性を向上させることができる。又、断層画像撮影時にコイル体3の後端側の傾斜部3aがガイドワイヤ挿通部12の先端端面に位置する為、屈曲変形時にガイドワイヤ挿通部12との緊密嵌合を可能とし、ガイドワイヤ1の遊動を低減させることができる。
次に、画像診断用カテーテル10等について説明する。
前記した画像診断用カテーテル10は、血管内超音波画像診断装置に用いる超音波画像診断用カテーテルとして説明したが、ここでいう画像診断用カテーテルには、光干渉断層画像診断装置に用いる光干渉断層画像診断用カテーテルも含まれる。
超音波画像診断用カテーテルと光干渉断層画像診断用カテーテルとの主な差は、超音波画像診断用カテーテルが超音波振動子11eを内蔵したプローブ11bをラジアル方向へ走査させるのに対して、光干渉断層画像診断用カテーテルは、光学レンズ及び光学ミラーを内蔵したプローブをラジアル方向へ走査させる点であり、他の基本構造は同じである。
画像診断装置として、血管内超音波画像診断装置(IVUS)は、プローブを配置した超音波画像診断用カテーテルを血管内へ挿入し、超音波振動子を内蔵したプローブを回転させながら手元側へ後退させて生体組織で反射された反射波を同じ超音波振動子で受信し、反射波の強度に基づいて血管の断層画像を描出するように構成された装置である。
画像診断装置として、光干渉断層画像診断装置(OCT)は、光学レンズ及び光学ミラーを内蔵するプローブを配置した光干渉断層画像診断用カテーテルを血管内へ挿入し、光学レンズ及び光学ミラーを内蔵したプローブを回転させながら手元側へ後退させて生体組織で反射された反射光を受信し、反射光に基づいて血管の断層画像を描出するように構成された装置である。
ここでいう光干渉断層画像診断装置には、波長掃引利用の光干渉断層画像診断装置(SS−OCT)も含まれる。
光干渉断層画像診断装置と波長掃引利用の光干渉断層画像診断装置との主な差は、光干渉断層画像診断装置が低干渉光(数μmから数十μm)を用いるのに対して、波長掃引利用の光干渉断層画像診断装置は、波長の長い(4mmから10mm)光源を用い、波長の異なる光を連続して出射する点であり、他の基本構造は光干渉断層画像診断装置と同じである。
次に、本発明のガイドワイヤ1と画像診断用カテーテル10との組立体80について説明する。カテーテル10に備えられたプローブ11bが、低干渉光を送信・受信する光学レンズ及び光学ミラーを内蔵した光プローブであり、0.75μm以上1.4μm以下の波長を用いた光干渉断層画像診断用カテーテルである場合には、断層画像撮影時にプローブ11b(光プローブ)を回転させながら後退する実用範囲に少なくとも配置されるガイドワイヤ1の芯線中間細径部25の外周の潤滑性被膜6として、前記親水性物質による親水性被膜を形成することが好ましい。
この理由は、光干渉断層画像診断用カテーテルの波長が0.75μm以上1.4μm以下の場合には、生体内における水による光吸収が極めて少なく、かつ、生体に対する光の侵襲性が極めて低いからである。又、動摩擦係数を低くして摺動性を飛躍的に向上させることができるからである。
従って、芯線中間細径部25の外周に湿潤時に高潤滑特性を示す親水性被膜を形成し、親水性被膜が水を吸収して膨潤率が500%近くまで膨潤して膜厚が増大しても水による光吸収が少ない為に、増大した膜厚分が加算されて暗色のバックシャドーが拡張することはない。
そして、膨潤率を高くして動摩擦係数をより低くして、摺動性を飛躍的に向上させることができる画像診断用カテーテルに用いられるガイドワイヤ1を提供することができる。尚、親水性被膜は、芯線中間細径部25の外周のみならず、芯線先端径小部26の先端第1テーパ部26aのコイル体3より露出している後端側、及びコイル体3の外周に形成してもよい。
本発明のガイドワイヤ1と画像診断用カテーテル10との組立体80は、少なくとも芯線中間細径部25の外周に親水性被膜が形成されたガイドワイヤ1と、0.75μm以上1.4μm以下の波長の低干渉光を送信・受信する光プローブ11bを備えた光干渉断層画像診断用カテーテルとからなり、ガイドワイヤ挿通部に医療用ガイドワイヤを挿入し、生体組織の断層画像を得る為のものである。
図6は、画像診断装置100を示し、基本構造が同じである為、画像診断装置100には、血管内超音波画像診断装置と光干渉断層画像診断装置とを含み、ここでは、画像診断装置100を光干渉断層画像診断装置(100)として説明する。
光干渉断層画像診断装置(100)は、操作制御装置101と、スキャナ及びプルバック部102とを備え、操作制御装置101は、測定データを処理する本体制御部101aと、測定値の入力を行う操作パネル101bと、画像を表示するLCDモニタ101cとを備えている。スキャナ及びプルバック部102は、プローブ11bを備えた光干渉断層画像診断用カテーテル(カテーテル10)と接続され、かつ、信号線101dを用いて操作制御装置101と接続されている。
本発明のガイドワイヤ1とカテーテル10と画像診断装置100との組立体において、画像診断用カテーテルに用いるガイドワイヤ1は、少なくとも芯線中間細径部25の外周に親水性被膜(潤滑性被膜6)が形成される。
画像診断用カテーテル10は、低干渉光を送信・受信する光プローブ(プローブ11b)を備え、0.75μm以上1.4μm以下の波長を用いた光干渉断層画像診断用カテーテル(カテーテル10)であって、カテーテルシース14の先端に備えられたガイドワイヤ挿通部12へガイドワイヤ1の後端から挿入して、ガイドワイヤ1に沿わせて血管内病変部へ配置する。
光干渉断層画像診断用カテーテル(カテーテル10)は、信号線101dで接続された操作制御装置101とスキャナ及びプルバック部102とを備えた光干渉断層画像診断装置(100)の、スキャナ及びプルバック部102と接続する。
操作制御装置101は、測定データを処理する本体制御部101aと、測定値の入力を行う操作パネル101bと、画像を表示するLCDモニタ101cとを備える。
これにより、水による光吸収の少ない波長を用いている為、生体組織の深部まで光が到達し易く、かつ、ガイドワイヤ1の芯線中間細径部25の外周に形成されている親水性被膜が水を吸収して膨潤し、膜厚が増大しても水による光吸収が少ない為、増大した膜厚分が加算されて暗色のバックシャドーが拡張することはなく、摺動性の高いガイドワイヤ1を提供することができる。その結果、術者は従来品よりも鮮明な断層画像を得て病変部を確認することができ、病変部の症状の見落とし、誤診等を低減させることができる。
次に、図7は本発明のガイドワイヤ1の変形例を示し、図示(イ)は変形例1のガイドワイヤ50を示し、図示(ロ)は変形例2のガイドワイヤ60を示す。
ガイドワイヤ50と60は、ガイドワイヤ1の芯線後端径大部21の後端に、ステンレス鋼線を用いた第2芯線(符号2B、2C)を接続部7にて接続して長手方向の長さを延長させた構成から成る。尚、ガイドワイヤ50、60の先端部1Cと中間部1Bとは、ガイドワイヤ1と同一構造である為、図示を省略し、又、後端部1Aと同一構造部材については、同一符号が付してある。
変形例1に係るガイドワイヤ50の接続部7は、ガイドワイヤ1の第1芯線2Aの芯線後端径大部21の後端(後端接続径小凸部27を備えていない)と第2芯線2Bの第2芯線径大部21B先端とを接合した接合部71を有する。
第2芯線2Bは、外径D4が0.3556mm(芯線後端径大部21の外径D1と同じ)、長さL6が500mmで長手方向の長さを延長させ、後端は円弧状である。接続部7は金ろう、銀ろう等のろう材、又はレーザー溶接、電子ビーム溶接等を用いて接合部71を形成する。ふっ素樹脂被膜5は、第2芯線2Bの外周に形成され、又潤滑性被膜6は、ガイドワイヤ1と同様に少なくとも中間部1Bの芯線中間細径部25の外周に形成される。好ましくは、中間部1Bと先端部1Cの外周と、芯線後端径大部21の外周と、接続部7の外周に親水性被膜を用いた潤滑性被膜6を設ける。この理由は、ガイドワイヤ50の後端から挿入する画像診断用カテーテル10の、特に接続部7での摺動性を向上させる為である。
ガイドワイヤ50は、擬弾性特性を有する芯線2の芯線後端径大部21の後端に、芯線2よりも横弾性係数が大きな加工誘起マルテンサイト変態相を有するオーステナイト系ステンレス鋼線から成る第2芯線2Bを備える。この理由は、長手方向の長さを延長させた場合であっても、後端側から先端側への回転伝達性の低下を防いで、先端側への回転伝達性を補完する為である。詳しくは、前記関係式(1)、(2)でみられるように、ねじれ角は横弾性係数に反比例し、横断面係数の値が大きいほどねじれ角は小さくなるからである。
従って、芯線2の長さを延長させて用いるよりも、芯線2よりも大きな横弾性係数をもつ第2芯線2Bを用いて延長させることのほうが後端側から先端側への回転伝達性の低下を防いで、先端側への回転伝達性を補完することができるからである。尚、芯線2よりも大きな横弾性係数をもつ第2芯線2Bを得る為には、オーステナイト系ステンレス鋼線を用いて、加工によりマルテンサイト相への変態割合を多くする(例えば、マルテンサイト相20%を30%以上80%以下にする)ことにより可能となる。これは、化学成分のNiとCrの添加量がJIS規格の下限値近傍(例えば、SUS304のときNiが8.0%〜8.2%、Crが18.0%〜18.2%)であるオーステナイト系ステンレス鋼線を用いて高い減面率(例えば総減面率が80%以上99%以下)の縮径伸線加工により、マルテンサイト相への変態割合を多くして、横弾性係数を大きくすることができるからである。
変形例2に係るガイドワイヤ60は、ガイドワイヤ1の、第1芯線2Aの芯線後端径大部21の後端に後端接続径小凸部27を備えた芯線2と、第2芯線2Cの第2芯線径大部21Cの先端に先端接続径小凸部28を備えた後端芯線20と管状部材72とを備える。
後端接続径小凸部27と先端接続径小凸部28とを管状部材72の内側へ互いに向かい合うように挿入して接続した接続部7を備え、長手方向の長さを延長させた構成から成る。第2芯線2Cは、先端に先端接続径小凸部28を備えることを除き、ガイドワイヤ50の第2芯線2Bと寸法(外径D5とD4、長さL7とL6)、及び材質が同じであり、又、第2芯線2Cの第2芯線径大部21Cの外周にふっ素樹脂被膜5を形成する点についても同じである。
芯線2の後端接続径小凸部27と後端芯線20の先端接続径小凸部28とは共に、寸法と形状は同一で、外径d1、d2が約0.240mm、長さl1、l2は14mmである。
接続部7の管状部材72は、外径doが約0.350mm、内径do1が0.250mm、長さL8が30mmでステンレス鋼又はNiTi合金から成る。好ましくは、芯線2と同様に擬弾性特性を有するNiTi系合金を用いる。
管状部材72と後端接続径小凸部27と先端接続径小凸部28とは、ニトリルゴム系等の接着剤を用いて接着接合する。又は、後端接続径小凸部20の外周と先端接続径小凸部28の外周と管状部材72とをレーザー溶接等の手段を用いて溶接接合する。又接着接合と溶接接合との双方を用いて接続してもよい。尚、第2芯線2B、2Cの長手方向の長さL6、L7は治療部位に応じて長さを変更してもよい。
ガイドワイヤ60は、ガイドワイヤ50と同様に、擬弾性特性を有する芯線2の芯線後端径大部21の後端に、芯線後端径大部21よりも横弾性係数が大きく、加工誘起マルテンサイト変態相を有するオーステナイト系ステンレス鋼線から成る第2芯線2Cを備え、長手方向の長さを延長させた場合であっても、後端側から先端側への回転伝達性の低下を防いで、先端側への回転伝達性を補完する点において、前記ガイドワイヤ50と同様である。
そして、本発明の変形例1、2は前記実施形態のガイドワイヤ1と同様に、画像診断用カテーテルに用いるガイドワイヤ50、60とした場合には、以下となる。尚、ガイドワイヤ1の芯線と延長する芯線とを区分する為、ガイドワイヤ50,60の先端側(ガイドワイヤ1)の芯線を第1芯線2Aとし、後端側の延長する芯線を第2芯線2B(ガイドワイヤ50)、2C(ガイドワイヤ60)として、他の主な構成部材を含めて( )内へ前記符号等を記載して表現する。
管腔内へ配置された医療用ガイドワイヤ(50、60)の後端を、画像診断用カテーテルの先端部に設けられた円筒状のガイドワイヤ挿通部へ挿入して、前記画像診断用カテーテルを前記医療用ガイドワイヤ(50、60)に沿わせて管腔内へ導入した後、前記ガイドワイヤ挿通部よりも後端側で、前記画像診断用カテーテルのシース内に備えられたプローブを回転させながら後端側へ後退させ、生体組織の断層画像を得る為の画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ(50、60)であって、
前記医療用ガイドワイヤ(50、60)は、芯線が擬弾性特性を有する第1芯線(2A)と、第1芯線(2A)の後端に、前記第1芯線(2A)よりも横弾性係数が大きく、加工誘起マルテンサイト変態相を有するオーステナイト系ステンレス鋼線の第2芯線(2B、2C)とを備え、
前記第1芯線(2A)の後端と前記第2芯線(2B、2C)の先端とを接続した接続部(7)とを備え、
前記第1芯線(2A)は、後端から先端へ、芯線後端径大部と芯線中間細径部と芯線先端径小部とを備え、後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有し、前記芯線先端径小部は、等径部を有するコイル体内に配置され、
前記コイル体の先端と前記芯線先端径小部の先端とを接合した先端接合部と、前記コイル体の後端と前記芯線先端径小部の後端側とを接合した後端接合部とを備え、
前記芯線後端径大部に対する前記芯線中間細径部のねじり角比(前記芯線中間細径部のねじり角/前記芯線後端径大部のねじれ角)が、
2.677以上15.232以下で、
前記コイル体の等径部の最大外径を仮想線で結んだ円筒体を仮想コイル円筒体とし、前記仮想コイル円筒体に対する前記芯線中間細径部の表面積比(前記芯線中間細径部の表面積/前記仮想コイル円筒体の表面積)が、
0.506以上0.781以下であることを特徴とする画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ(50、60)である。
そして変形例1の接続部(7)は、ろう接接合、又は溶接接合の接続であることから、「接続部(7)が、ろう材によるろう接接合、又は溶接接合から成ることを特徴とする画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ(50)」である。
そして又、変形例2の接続部(7)は、管状部材(72)を用いた接着接合、又は溶接接合のいずれか一つ、又は双方を用いた接続であることから、「接続部(7)が、擬弾性特性を有する管状部材(72)の内側に、一方の側から前記第1芯線(2A)の後端の後端接続径小凸部(20)を挿入し、他方の側から前記第2芯線(2C)の先端接続径小凸部(28)を挿入して、前記管状部材(72)と前記第1芯線(2A)の後端接続径小部(27)と前記第2芯線(2C)の先端接続径小凸部28とを接着剤を用いた接着接合、又は溶接を用いた溶接接合のいずれか一つ、又は双方用いた接続であることを特徴とする画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ(60)」である。
変形例1、2は共に接続部7の外周に親水性被膜の潤滑性被膜6を設けることが好ましいことから、「画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ(50、60)と画像診断用カテーテルとの組立体であって、
前記医療用ガイドワイヤ(50、60)の少なくとも第1芯線(2A)の前記芯線中間細径部と前記接続部7の外周に親水性被膜が形成され、
前記画像診断用カテーテル(50、60)が、0.75μm以上1.4μm以下の波長の低干渉光を送信・受信する光プローブを備えた光干渉断層画像診断用カテーテルであることを特徴とする画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ(50、60)と画像診断用カテーテルとの組立体」である。
1 医療用ガイドワイヤ
2 芯線
2A 第1芯線
3 コイル体
3a 傾斜部
3b 等径部
4a 先端接合部
4b 後端接合部
5 ふっ素樹脂被膜
6 潤滑性被膜
10 画像診断用カテーテル
11b プローブ
11c 駆動シャフト
12 ガイドワイヤ挿通部
21 芯線後端径大部
25 芯線中間細径部
26 芯線先端径小部
100 画像診断装置
101 操作制御装置
102 スキャナ及びプルバック部

Claims (5)

  1. 管腔内へ配置された医療用ガイドワイヤの後端を、画像診断用カテーテルの先端部に設けられた円筒状のガイドワイヤ挿通部へ挿入して、前記画像診断用カテーテルを前記医療用ガイドワイヤに沿わせて管腔内へ導入した後、前記ガイドワイヤ挿通部よりも後端側で、前記画像診断用カテーテルのシース内に備えられたプローブを回転させながら後端側へ後退させ、生体組織の断層画像を得る為の画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤであって、
    前記医療用ガイドワイヤは、芯線が擬弾性特性を有し、
    前記芯線は、後端から先端へ、芯線後端径大部と芯線中間細径部と芯線先端径小部とを備え、後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有し、前記芯線先端径小部は、等径部を有するコイル体内に配置され、
    前記コイル体の先端と前記芯線先端径小部の先端とを接合した先端接合部と、前記コイル体の後端と前記芯線先端径小部の後端側とを接合した後端接合部とを備え、
    前記芯線後端径大部に対する前記芯線中間細径部のねじり角比(前記芯線中間細径部のねじれ角/前記芯線後端径大部のねじれ角)が、
    2.677以上15.232以下で、
    前記コイル体の等径部の最大外径を仮想線で結んだ円筒体を仮想コイル円筒体とし、前記仮想コイル円筒体に対する前記芯線中間細径部の表面積比(前記芯線中間細径部の表面積/前記仮想コイル円筒体の表面積)が、
    0.506以上0.781以下であることを特徴とする画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ。
  2. 前記芯線中間細径部は、横断面が円形で長手方向の全長にわたって等径で、前記先端接合部の先端から後端側へ、30mm以上200mm以下に位置していることを特徴とする請求項1に記載の画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ。
  3. 前記後端接合部で接合する前記芯線先端径小部が、前記後端接合部を挟んで後端側から先端側へ徐変縮径するのに伴って、前記コイル体の後端側に、前記後端接合部から先端側へ徐変拡径する密巻きの傾斜部を有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか一つに記載の画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤと画像診断用カテーテルとの組立体であって、
    前記医療用ガイドワイヤの少なくとも前記芯線中間細径部の外周に親水性被膜が形成され、前記画像診断用カテーテルが、0.75μm以上1.4μm以下の波長の低干渉光を送信・受信する光プローブを備えた光干渉断層画像診断用カテーテルであることを特徴とする画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤと画像診断用カテーテルとの組立体。
  5. 請求項4に記載の画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤと画像診断用カテーテルとの組立体と、
    前記光プローブを回転させながら後退させるスキャナ及びプルバック部と前記光プローブからの測定データを処理して画像を表示する操作制御装置とを有する光干渉断層画像診断装置とを備えたことを特徴とする画像診断用カテーテルに用いる医療用ガイドワイヤと画像診断用カテーテルと光干渉断層画像診断装置との組立体。
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