JP6007021B2

JP6007021B2 - 電気雷管用の点火剤

Info

Publication number: JP6007021B2
Application number: JP2012170504A
Authority: JP
Inventors: 謙一郎高濱
Original assignee: 中国化薬株式会社
Priority date: 2012-07-31
Filing date: 2012-07-31
Publication date: 2016-10-12
Anticipated expiration: 2032-07-31
Also published as: JP2014028731A

Description

本発明は、電気雷管用の点火剤に関する。

従来の電気雷管用の点火剤には通常、着火性能を向上させるためにアジ化鉛やトリシネート鉛等の鉛化合物が配合されているが、鉛は人体や環境に悪影響を与えることから、鉛を含まない雷管用点火薬も提案されている。例えば特許文献１には、ジアゾジニトロフェノールＤＤＮＰと、硝酸塩、炭酸塩、過硫酸塩、塩素酸塩のいずれかからなる酸化剤と、ガラス粉末又は重金属を含まない珪化物又は該珪化物を主とする増感剤と、アルミニウム、マグネシウム又はテトラセンからなる可燃剤と、水溶性ゴムからなるバインダーよりなる鉛を含まない雷管用起爆剤組成物が開示されている。

特開２０１１−１２１８５８号

特許文献１に開示される起爆剤組成物は、ＤＤＮＰやテトラセンという鋭感な起爆薬を使用しており、僅かな摩擦、静電気、熱による刺激で発火するおそれがある。またこの文献１の実施例には、銃用撃発雷管が示されているが、電気雷管についての記述はない。

本発明は、鉛化合物はもとよりのこと、起爆薬を含まない安全性に富んだ電気雷管用の点火剤を提供することを目的とする。

請求項１に係る発明の電気雷管用の点火剤は、モリブデン、ホウ素よりなる還元剤と、塩素酸カリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム又は硝酸カリウムのいずれかよりなる酸化剤を含有することを特徴とし、
請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明の電気雷管用の点火剤において、ニトロセルロースよりなるバインダーを配合したことを特徴とする。

本発明の電気雷管用点火剤によると、鉛成分を有しないため、人体や環境への悪影響を与えないし、鋭感な起爆薬を使用しないため、原材料の取り扱い時には摩擦、静電気、熱による刺激で発火しにくく安全であり、配合時及び配合後においても摩擦による刺激で発火しにくく安全である。また鉛化合物を有する従来の電気雷管用点火剤と性能上ほぼ遜色のない点火剤を得ることができる。

本発明に係る点火剤が填薬される電気雷管の概略断面図。別の態様の電気雷管の概略断面図。発火遅れを測定する装置のブロック図。

本実施形態の点火剤は、モリブデン３０〜７０wt％、好ましくは４０〜６０wt％及び硼素０〜３０wt％よりなる還元剤と、過塩素カリウム３０〜７０wt％、好ましくは３０〜５０wt％よりなる酸化剤と、ニトロセルロースからなるバインダーを外割で０〜5wt％混合して作成される。ここでモリブデンは多く含有されると、電気雷管の製品抵抗値に影響を与えるため、抵抗値が変動しない程度にモリブデンの含有量を調整するか、或いは硼素の含有量を調整するのが望ましい。

前記実施形態の点火剤において、日本新金属株式会社製のモリブテン粉６０wt％、エイチ・シー・スタルク株式会社製の硼素１０wt％、関東化学株式会社製の過塩素カリウム３０wt％にエス・エヌ・ピー・イー・ジャパン株式会社製のニトロセルロースを関東化学株式会社製の酢酸ブチルよりなる溶媒に溶解させた溶液よりなるバインダーを外割で２wt％加えて混合した点火剤を作成した。この点火剤の起爆に要する発火エネルギーは１０mJであった。

実施例１と同じモリブデン粉を５０wt％、硼素を２０wt％、過塩素酸カリウム３０wt％にニトロセルロースよりなるバインダー溶液を外割で２wt％加えて混合した点火剤を作成した。この点火剤の発火エネルギーは実施例１と同様、１０mJであった。

実施例１と同じモリブデン粉を５０wt％、硼素を１０wt％、過塩素酸カリウム４０wt％に実施例2と同じニトロセルロースよりなるバインダー溶液を外割で２wt％加えて混合した点火剤を作成した。この点火剤の発火エネルギーは１．０mJであった

実施例１と同じモリブデン粉を４０wt％、硼素を２０wt％、過塩素酸カリウム４０wt％に実施例２と同じニトロセルロースよりなるバインダー溶液を外割で２wt％加えて混合した点火剤を作成した。この点火剤の発火エネルギーは１０mJであった。

実施例１と同じモリブデン粉を４０wt％、硼素を１０wt％、過塩素酸カリウム５０wt％に実施例２と同じニトロセルロースよりなるバインダー溶液を外割で２wt％加えて混合した点火剤を作成した。この点火剤の発火エネルギーは１．０mJであった。

実施例１と同じモリブデン粉を５０wt％、硼素を０wt％、過塩素酸カリウム５０wt％に実施例２と同じニトロセルロースよりなるバインダー溶液を外割で２wt％加えて混合した点火剤を作成した。この点火剤の発火エネルギーは０．５mJであった。

比較例
起爆薬であるトリシネート鉛を１００wt%用いた点火剤の発火エネルギーは１．８mJであった。
以上の結果を以下の表１に示す。

次に前記各実施例１−６及び比較例の点火剤を用いて下記タイプ１−３の電気雷管を作成した。

タイプ１の電気雷管
図１に示すように、一端をアルミニウム合金製の板１で塞いだアルミニウム合金製の筒状のカップ２に前記各実施例１−６及び比較例の点火剤３をそれぞれカップ別に個別に填薬し、それぞれ４００kgf/cm^２の荷重を加えて圧填したのち、軟銅のリード線４に接続した２０mmφのニクロム線５（抵抗１．２Ω）を備えたＰＰＳ樹脂製のプラグ６をカップ内に押込み、ニクロム線５を点火剤３に押込んでなるものである。

タイプ２の電気雷管
図２に示すように、アルミニウム製の環状のスリーブ７に前記各実施例１−６及び比較例の点火剤３をそれぞれ酢酸ブチルを加えて湿状にしたのち、カップごとに個別に手作業でスリーブ７に一端が面一となるようにして填薬したのち、タイプ１の電気雷管と同様、ニクロム線５（抵抗１．５Ω）を備えたプラグ９をスリーブ７に押付けて接続し、ニクロム線５を点火剤３に押込んでなるものである。

タイプ３の電気雷管
ニクロム線５の線経を１１mmφ（抵抗４．９Ω）とした以外はタイプ２の電気雷管と同一である。

次に前記各タイプの電気雷管について、発火遅れを図３に示す測定装置を用いて測定した。この測定装置は、前記各タイプの電気雷管１０が入れられる木箱１１と、電源１２から並行ビニール線１３を経て電気雷管１０に供給される電気エネルギー量を制御する中国化薬株式会社製の制御ボックス１４と、電気雷管１０が発火したときの光を検出し、それを電気信号に変換する中国化薬株式会社製の光センサー１５と、電気エネルギーが供給されて、ニクロム線５に電気信号が発信されたときの発信時間と、光センサー１５で検出した検出信号の検出時間との差である発火遅れを測定する横河電機株式会社製の計測器１６とよりなっている。

以下の表２に、図２に示す測定装置を用いて測定した各タイプの電気雷管の発火遅れを示す。

表１及び表２に見られるように、実施例１−６の点火剤は、鉛化合物や起爆薬がなくても比較例のトリシネート鉛を配合した従来の点火剤に比べ、発火エネルギーに遜色はなく、発火遅れにも然程の差は認められない性能を有していた。

１・・板
２・・カップ
３・・点火剤
４・・リード線
５・・ニクロム線
６・・プラグ
７・・スリーブ
８・・点火剤
９・・プラグ
１０・・電気雷管
１１・・木箱
１２・・電源
１３・・並行ビニール線
１４・・制御ボックス
１５・・光センサー
１６・・計測器

Claims

モリブデン、ホウ素よりなる還元剤と、塩素酸カリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム又は硝酸カリウムのいずれかよりなる酸化剤を含有することを特徴とする電気雷管用の点火剤。
ニトロセルロースよりなるバインダーを配合したことを特徴とする請求項１記載の電気雷管用の点火剤。