JP2007046889A - 金属ヒドラジン硝酸塩を有する電気式火工品 - Google Patents

金属ヒドラジン硝酸塩を有する電気式火工品 Download PDF

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沖津敏洋
Hitoshi Miyazawa
仁 宮沢
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Abstract

【課題】鉛化合物を含まない点火薬、起爆薬および添装薬として、摩擦感度を低減した微
細な金属ヒドラジン硝酸塩を用いた電気式火工品を提供することにある。
【解決手段】本発明の電気式火工品は、点火薬、起爆薬および添装薬のいずれか1種以上
の装薬を収容する管体を有し前記管体内の装薬を電気的手段で発火させる電気式火工品で
、前記管体内に収容する装薬が金属ヒドラジン硝酸塩を有する。
前記金属ヒドラジン硝酸塩は平均粒子径30μm〜0.1μmである。前記金属ヒドラジ
ンに鈍化剤を添加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、産業用爆薬分野、防衛用爆薬分野に用いられる火工品において、例えば、イ
グナイター、イニシエーター、スクイブ、デトネーター、プライマー、プレッシャーカー
トリッジ、ブースター等と種々称される火工品(火器弾薬技術ハンドブック 改訂版:2
003年5月14日初版発行より)の管体内に填薬される点火薬、起爆薬および添装薬な
どの装薬成分を有する電気式火工品に関し、詳しくは、管体内の装薬成分に金属ヒドラジ
ン硝酸塩を有する電気式火工品、例えば、金属ヒドラジン硝酸塩を装填する雷管、火管、
イグナイター等に関するものである。
従来、前述の種々火工品において、例えば、イニシエーターに用いられる各種装薬とし
ては点火薬、起爆薬があり、点火薬としては例えば、モノニトロレゾルシン鉛と塩素酸カ
リウムの混合物、チオシアン酸鉛(ロダン鉛)と塩素酸カリウムの混合物、ジルコニウム
と過塩素酸カリウムの混合物、金属ホウ素と硝酸カリウムの混合物などが知られている。
起爆薬としては例えば、トリニトロレゾルシン鉛(通称、トリシネートと呼ばれている
。「スチフニン酸鉛」)、アジ化鉛、ジアゾニトロフェノール(通称、DDNPと呼ばれ
ている。)、テトラセン、雷酸銀などが知られている。
また、点火薬、起爆薬などからの爆発威力を受け、より威力の高い爆発で目的の爆薬や
装薬に伝爆させる添装薬として、シクロトリメチレントリニトラミン(RDX)、ペンタ
エリスリットテトラナイトレート(PETN)、テトリル、ペントライト等が有り、用い
られている。
イニシエーターは、スクイブ、プライマー、デトネーターの3グループに分けることが
出来、スクイブは、高熱源を発生するが威力の弱いもので爆燃性物質の発火に使用され、
プライマーは、威力が強く高熱源を発生するものであってスクイブとデトネーターの中間
に位置し、デトネーターは、瞬間に高爆速で衝撃波を発生するものである。
従来、例えば、電気的脚線と、一側に点火薬を有する点火部分と他側に起爆薬および添
装薬とを有しこれらが筒状の管体に区画収納されてなる、電気式雷管であって該起爆薬が
2次爆薬(添装薬)に酸化剤を添加した混合物からなる電気式雷管の技術が開示されてい
る。
ここでは、点火薬としてロダン鉛および塩素酸カリウムの混合物を用いているが、トリ
シネート(スチフニン酸鉛)点火薬を用いても良いことが開示されている。
また、従来の起爆薬の代わりに、ペンスリット、テトリール、ヘキソーゲン、オクトー
ゲン等に酸化剤として塩素酸カリウム、過塩素酸カリウム、硝石、過塩素酸アンモニウム
などを添加するが開示されている。(例えば、特許文献1参照)
これにより、点火薬の着火によって第2次爆薬(起爆薬)を誘爆させ、このエネルギー
で添装薬を爆発させるが、前記第2次爆薬(起爆薬)は強い拘束力を必要とせず起爆でき
ることと、製造上の取り扱いの安全性を有することが開示されている。
特開平6−221799号(頁2〜4,図1)
点火薬、起爆薬は感度が高く特殊な火薬類であり、点火薬は僅かな熱エネルギーで容易
に発火する混合物であり、一方、起爆薬は一度エネルギーを受け反応が開始すると容易に
燃焼から爆轟へと転移する性質を持つ化合爆薬(化合火薬類)であり、両者とも火薬類に
とってはなくてはならないものとして使用されてきた。
また、起爆薬以外の高性能爆薬は、起爆薬に比べて衝撃に対して鈍感であるが高爆速を
有する爆発物として使用されてきた。
ところが前述のように、従来の点火薬、起爆薬等(以下、ここでは「装薬」と呼ぶ。)
は、鉛化合物が含まれており、環境保護の観点から考えると取扱上や製造上に好ましい化
学物質とは言い難く、近年、鉛の含まない装薬が要求されるようになってきた。
そこで、本発明者らは、従来の鉛化合物装薬と同等或いはそれ以上の機能・性能を有す
る脱鉛化装薬の開発において、従来装薬の機能上の欠点を把握しながら各種試験法を用い
て、従来品との爆発性能を含めた物性比較を行いながら鋭意研究した。
その研究の一環に金属ヒドラジン硝酸塩化合物を見出し、詳細に研究した結果、点火薬
、起爆薬等の機能を併せ持つニッケルヒドラジン硝酸塩やコバルトヒドラジン硝酸塩等の
金属ヒドラジン硝酸塩が、アジ化鉛或はトリシネートに代わり得る同等の感度と爆発性能
を有することが判明した。特に30μm以下であれば発火感度の感度ばらつきが小さく発
火信頼性が向上することが分かった。
また、平均粒子径30μm以下の金属ヒドラジン硝酸塩は、非常に微細で極めて電流発
火感度が高く、且つ容易に燃焼から爆轟へと転移しやすいものであることが分かった。
そして、これら金属ヒドラジン硝酸塩は電気式火工品、例えば、産業用(工業用)電気
雷管(含水等爆薬、破砕薬剤およびガス発生器などへの点火手段)、銃弾や砲弾等の発火
手段として電気雷管或いは信管に用いる一成分として、従来装薬であるアジ化鉛やトリシ
ネート等の代替品と同等の機能(感度、爆発性能)を十分に発揮することを確認し本発明
に至ったものである。
本発明の目的は、鉛化合物を含まない点火薬、起爆薬或いは添装薬として、金属ヒドラ
ジン硝酸塩を用いた電気式火工品を提供することであり、特に、平均粒子径30μm以下
(30μm〜0.1μm)の微細な金属ヒドラジン硝酸塩を用いて電流発火感度を向上さ
せる電気式火工品を提供することにある。
また、他の目的は、本発明の金属ヒドラジン硝酸塩に鈍化剤を混合して成る装薬を用い
て摩擦感度を鈍感化する電気式火工品を提供することにある。
請求項1に係る発明は、爆粉、起爆薬および添装薬のいずれか1種以上の装薬を収容す
る管体を電気的手段で発火する電気式火工品において、前記管体内に収容される装薬が、
金属ヒドラジン硝酸塩を有する電気式火工品である。
この金属ヒドラジン硝酸塩は、非鉛化合物であり、例えば、弾薬を電気雷管などの電気
式火工品で発火させ弾薬(弾丸、砲弾)を飛しょうさせるための、点火エネルギーとする
ことが出来る。
また、その威力を大きく向上する爆薬の一成分、すなわち起爆薬としてのほか、電気式
火工品の威力を向上するためのブースターあるいは伝爆薬・添装薬として用いることが出
来る。
また、金属ヒドラジン硝酸塩を含む組成物が安価に、効率よく、安全に大量製造できる
ならば、それ自身が種々の形態の高性能爆薬の用途として使用可能性を有する。
請求項2に係る発明は、前記電気式火工品が電気雷管あるいはイグナイタである請求項
1記載の電気式火工品である。
請求項3に係る発明は、前記金属ヒドラジン硝酸塩が平均粒子径30μm〜0.1μm
である請求項1または請求項2記載の電気式火工品である。
電流発火感度は粒子径が小さいほど発火感度が高く、更に感度ばらつきが小さくなる。
感度ばらつきは製品の発火信頼性に大きく左右するので、粒子径が小さいことが必須要件
となる。
例えば、平均粒子径17μmのニッケルヒドラジン硝酸塩における0.5ms矩形パル
スによる発火試験では50%電流発火感度は2.43Aであったが、平均粒子径2.1μ
mと微細になると同一条件での50%電流発火感度は1.88Aと敏感になる。
平均粒子径30μmを超えると発火点が上昇する傾向となり製品上の発火信頼性の確保
が難しくなる。また、平均粒子径0.1μmより微細になると金属ヒドラジン硝酸塩を製
造できる技術上の困難性を伴い、コスト上(コスト高)の問題も発生する。
また、本発明における平均粒子径30μm以下の金属ヒドラジン硝酸塩を安全かつ効率
良く得るには、例えば、金属硝酸塩の水溶液とヒドラジンの水和液を流路0.5mm以下
のチャンネルを有するマイクロリアクターへ、前記所定濃度を有する両溶液を所定比率の
流速に調節し連続的に反応させる。ただし、例えば、生成物の濃度で20%以下になるよ
うに設計した材料濃度以下にしたならば、反応時の両液の流速を流路0.5mm以下の雰
囲気での流速と同等に調節することにより流路0.5mm〜2mmであっても平均粒子径
5.0μm以下のより微細な金属ヒドラジン硝酸塩を製造することができる。
さらに、前記マイクロリアクターに25KHz〜1MHzの超音波振動を印加すること
で、平均粒子径5μm以下の超微細な結晶からなる金属ヒドラジン硝酸塩が得られる。
このような5μm以下のバラツキの少ない微細な丸みを帯びた金属ヒドラジン硝酸塩は
、弱い熱或いは電気エネルギーに対して容易に着火し、一旦着火すると容易に爆轟にシフ
トし、高性能爆薬と同等の約7000m/sで反応する爆発物となり得る。
請求項4に係る発明は、前記金属ヒドラジン硝酸塩が平均粒子径が20μm〜0.1μ
mである請求項1または請求項2記載の電気式火工品である。
請求項5に係る発明は、前記金属ヒドラジン硝酸塩がニッケルヒドラジン硝酸塩または
コバルトヒドラジン硝酸塩である請求項1ないし請求項4記載の電気式火工品である。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5いずれか1項記載の電気式火工品に有す
る金属ヒドラジン硝酸塩に、摩擦感度を低減するため0.02〜0.20重量%の鈍化剤
を添加する電気式火工品である。
鈍化剤は、超微細な結晶からなる金属ヒドラジン硝酸塩が製造工程中に感度が高く取扱
い性に難点がある場合、鈍化剤を添加することにより発火感度は低下させずに摩擦感度だ
けを低下することが出来、より取扱いを安全化した金属ヒドラジン硝酸塩を用いて所望の
電気式火工品が提供できる。
例えば、上記金属ヒドラジン硝酸塩に塩素酸カリウム或いは硝酸バリウムを混合した点
火薬組成物は必要とする電流発火感度を高め(鋭感)、摩擦感度を鈍感化することが望ま
しく製造上および取扱い上の安全性が向上する。
ここでの鈍化剤は、0.05重量%以下では鈍感化効果が得られなく、0.20重量%
を超えると目的の摩擦感度以外の感度、例えば発火感度も低下してしまい摩擦感度のみを
選択的に鈍感化する目的から外れてしまう。
請求項7に係る発明は、前記鈍化剤が、ステアリン酸金属塩、炭酸金属塩および蓚酸塩
から選ばれる少なくとも1種以上である請求項6記載の電気式火工品である。
ステアリン酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネ
シウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウムなどがあ
り、この中で好ましくは、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムが良
い。
また、炭酸金属塩としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウ
ムなどがあり、この中で好ましくは、炭酸マグネシウムが良い。
また、蓚酸塩としては、蓚酸ナトリウム、蓚酸カルシウム、蓚酸マグネシウムなどがあ
り、この中で好ましくは蓚酸ナトリウムが良い。
また、鈍化剤の平均粒子径は、最も好ましくは5μm以下を用いることである。これは
、平均粒子径5μm以下の金属ヒドラジン硝酸塩に対して鈍化剤を添加する際、鈍化剤の
比表面積が大きくなり、少ない量の鈍化剤で金属ヒドラジン硝酸塩結晶の表面を被覆する
ことができ、摩擦感度を十分に鈍感にすることが可能となる。
本発明の電気式火工品は、鉛化合物を含まない点火薬、起爆薬或いは添装薬として金属
ヒドラジン硝酸塩(混合物を含む)を装填することで、鉛化合物と同等若しくはそれ以上
の機能を有することが出来、また、基剤に金属ヒドラジン硝酸塩を用いるので環境に無害
であり製造上および取扱い上においても安全性が高くなる。
また、本発明の電気式火工品は、平均粒子径30μm以下(30μm〜0.1μm)の
金属ヒドラジン硝酸塩を装填することで、電流発火感度を向上させることが出来る。
また、本発明の電気式火工品は、金属ヒドラジン硝酸塩に鈍化剤を添加することで発火
感度を下げずに摩擦感度を鈍感化することが出来、特に製造上においての安全性を確保す
ることが出来る。
本発明に係る金属ヒドラジン硝酸塩を有する電気式火工品は、例えば、弾薬を飛しょう
、発火させる機能を有する電気雷管、火管、信管等の管体内に収容される装薬として用い
る。また、産業爆薬、自動車安全装置の分野で使用される雷管や点火器などにも用いる。
本実施形態では電気式火工品に用いる30μm以下の金属ヒドラジン硝酸塩を次のよう
に生成する。
金属硝酸塩の水溶液とヒドラジンの水溶液とを、爆轟限界径以下の流路を有するマイク
ロリアクターへ、前記両水溶液を所定比率の流量速度により流入接触させ、連続的に反応
させて微細な結晶を得ることである。
例えば、0.5mm以下のチャンネルを有するマイクロリアクター(山武株式会社製Y
M−1、或いはドイツIMM社製 SSIMM)を用いて、マイクロリアクター1個当た
りの各インレットの流量を5〜100ml/minの範囲に設定し、金属硝酸塩の水溶液
と水和ヒドラジンの水溶液とを接触反応させて、微細な金属ヒドラジン硝酸塩を生成する
さらに、具体的に説明すると、例えば、N24・H2O(濃度80%の水和ヒドラジン
)を一定量計量し、ビーカ1に入れ、このN24・H2Oを一定量に計量したHOで希
釈し、水和ヒドラジン希釈溶液を調整する。その後、貯槽Aに入れて蓋をする。
一方Ni(NO・6HO(硝酸ニッケル6水塩)を一定量計量して、ビーカ2
に入れ、一定量に計量したHO(水)で溶解させて硝酸ニッケル水溶液Yを調整する。
その後、貯槽Bに入れる。
ここで、貯槽A内の水和ヒドラジン希釈溶液を、例えば、デジタル式定量ポンプ(高圧
ポンプ)を用いて、所定の流量速度(一定量づつ)にコントロールして貯槽Aから樹脂製
パイプXの中へ流し、マイクロリアクターのインレット(入口a)に送り込む。
次に、貯槽B内の硝酸ニッケル水溶液を、前記デジタル式定量ポンプ(高圧ポンプ)を
用いて、所定の流量速度(一定量づつ)にコントロールして貯槽Bから樹脂製パイプYの
中へ流し、マイクロリアクターのインレット(入口b)に送り込む。
前述の定量ポンプ(高圧ポンプ)は、例えば、日本精密科学機器株式会社製 ミニケミ
カルポンプ(NP−KX−700)を用いて、デジタル式に流量をコントロールするもの
である。
これにより、マイクロリアクターの流路(例えば、径0.4mm)の中で、硝酸ニッケ
ル水溶液と水和ヒドラジン希釈溶液を接触反応させて化成したニッケルヒドラジン硝酸塩
の混合液を、アウトレットから樹脂パイプZの中に排出させ、容器に捕集する。
そして、捕集したニッケルヒドラジン硝酸塩の混合液を、例えば、吸引濾過器に連続的
に送り込んで濾過することで、ニッケルヒドラジン硝酸塩と溶液とを分離してニッケルヒ
ドラジン硝酸塩を回収する。
この回収したニッケルヒドラジン硝酸塩を水等で洗浄し、乾燥後、収函する。
これにより、平均粒子径30μm以下、例えば、平均粒子径30μm〜1μmの微細な
金属ヒドラジン硝酸塩を製造することができる。ここでは、収率が90%〜98%である
。・・・・・(1)マイクロリアクターを用い生成する方法
また、マイクロリアクターは、金属硝酸塩の水溶液の入るインレット径をφ1mm、水
和ヒドラジンの水溶液の入るインレット径をφ1mmとしている。
さらに、マイクロリアクター内で金属硝酸塩の水溶液と水和ヒドラジンの水溶液が接触
反応しながら流れる流路の径を0.4mmとしている。
そして、金属硝酸塩の水溶液と水和ヒドラジンの水溶液が接触反応による濃度90%の
金属ヒドラジン硝酸水溶液の爆発限界径は約0.7mmなので、マイクロリアクター内で
金属硝酸塩の水溶液と水和ヒドラジンの水溶液の反応が異常発熱などを起こしても爆発に
は至らないこととなる。仮に、万一の爆発を想定しても爆発を伝達することができないの
で局部的な爆発で止まることとなる。
上述したマイクロリアクターを超音波洗浄機(例えば、本多電子株式会社製3周波マル
チ超音波洗浄機−サンパW113,出力100W)の洗浄槽に水を張りこの洗浄槽に沈め
、超音波振動を掛けながら金属硝酸塩の水溶液と水和ヒドラジンとを接触反応させて超微
細な金属ヒドラジン硝酸塩を生成する方法を用いると、例えば、平均粒子径5μm〜0.
1μmの金属ヒドラジン硝酸塩を製造することが出来る。ここでは、収率が90%〜98
%である。・・・・・(2)マイクロリアクターおよび超音波洗浄機を用い生成する方法
このように生成された金属ヒドラジン硝酸塩は、例えば、点火器の発熱抵抗体に接触す
る装薬として微粒子であるほど電流発火感度が鋭感になり、例えば、17μmのニッケル
ヒドラジンナイトレートの0.5ms矩形パルスによる発火試験では、50%電流発火感
度は2.43であったが、平均粒子径が2.1μmと小さくなると、同試験で1.88A
と鋭感になる。
前述の(1)マイクロリアクターを用いて生成した金属ヒドラジン硝酸塩の実施例を表
1(実施例1〜実施例8)に示し、(2)マイクロリアクターおよび超音波洗浄機を用い
て生成した金属ヒドラジン硝酸塩の実施例を表2(実施例9〜13)に示す。
また、表1および表2から選択した実施例に鈍化剤を添加し、摩擦感度を低減(鈍感化
)した実験例を表3(A〜H)に示す。
また、実施例1〜実施例13および比較例1における各種測定(電流発火感度、摩擦感
度、落槌感度、平均粒子径)は、次の方法(試験)または機器で行った。
ここでは、金属ヒドラジン硝酸塩にバインダーとしてニトロセルロース1%を混ぜ金属
ヒドラジン硝酸塩組成物として評価試験した。
(1)電流発火感度:白金線付脚線の白金線に、バインダー(ニトロセルロース)を混
合した金属ヒドラジン硝酸塩火薬組成物を10数mg付着させて点火具を作成し、この点
火具に500μsecの矩形パルスを通電して50%電流発火感度(実験試料数の半数が
爆発する確率を示す電流値)を調べた。
(2)摩擦感度:試料を磁製の板と杵の間に挟み、荷重を加えてモータにより板を水平
に移動させるBAM式摩擦感度試験器により同一条件で6回づつ試験をして、判定基準に
よりJIS等級を求める。
また、JIS等級の中でも更に差別化する場合、摩擦感度試験器で摩擦力を調整するた
めの錘の重さで判定する完爆重量の表示がある。
(3)落槌感度:試料を円筒コロに挟み、その上重錘(JISでは5kgと規定)を落
下させ、その衝撃で試料が爆発するか否かを判定基準によりJIS等級を求める。
(4)平均粒子径:セイシン株式会社製 LMS―300レーザーマイクロサイザー(
レーザー回折・散乱式粒度分布測定器)で測定。
(5)クルップ発火感度:所定温度まで昇温させた後、温度降下速度を2℃/min以
下に調整した「るつぼ」に試料約20mgを投入すると同時に、ストップウオッチにて試
料が発火するまでの時間を測定し、以下この操作を約5℃降下毎に繰り返す。このとき得
られたデータから温度(T℃+273)と発火待時間t(s)との関係を、logtと1
/(T+273)に関してグラフ化し、得られたデータの最小二乗法による近似直線より
t=4秒の時の、発火温度Tを求め発火点とする。
また、実施例1〜実施例13および比較例1における硝酸ヒドラジン金属塩等の各原料
成分は、次のものを用いた。
(1)水和ヒドラジン:日本ヒドラジン製 80%水和ヒドラジン
(2)硝酸ニッケル:関東化学製 試薬鹿1級 6水和物
(3)硝酸亜鉛:関東化学製 試薬鹿1級 6水和物
(4)硝酸コバルト:ナカライテスク製 EP級 6水和物
(実施例)
実施例1では、硝酸ニッケル6水塩11.2gを純水に溶かし300gの硝酸ニッケル
水溶液を調整し、一方、80%水和ヒドラジン7.2gを同じく純水にて希釈し150g
の水和ヒドラジン希釈溶液を調整した。
上記硝酸ニッケル水溶液を毎分約20ml、水和ヒドラジン希釈溶液を毎分約10ml
の割合でマイクロリアクター(ここでは、YM−1)のインレットに定量ポンプ(高圧ポ
ンプ)で同時に流し込み、このマイクロリアクター内の流路で両液を反応させた。
両液の反応により、ピンク色の微細なニッケルヒドラジン硝酸塩結晶の混ざった混合水
溶液が上記マイクロリアクターのアウトレットから連続的に排出された。
このニッケルヒドラジン硝酸塩の混合水溶液を容器の中に捕集した後、pH7.0に調
整した。
ここで、PH調整したニッケルヒドラジン硝酸塩混合水溶液をしばらく放置した後、吸
引濾過によりニッケルヒドラジン硝酸塩の結晶のみを採取した。この結晶を水で洗浄後、
乾燥して7.4gのニッケルヒドラジン硝酸塩を得た。この平均粒子径を測定すると9.
7μmであった。
実施例2〜実施例5では、実施例1と同成分同製法で行なった。異なるところは、流量
速度(供給速度)を変えて行ったことである。
水和ヒドラジン希釈溶液:硝酸ニッケル水溶液の流量速度は、実施例2は15:30、
実施例3は30:45、実施例4は10:15、実施例5は7:15であり、このときに
得られたニッケルヒドラジン硝酸塩の平均粒子径は、実施例2は7.4μm、実施例3は
7.1μm、実施例4は12μm、実施例5は17μmであった。
実施例6では、硝酸亜鉛6水塩11.4gを純水に溶かし300gの硝酸亜鉛水溶液を
調整した。一方、80%水和ヒドラジン7.2gを同じく純水に溶かし150gの水和ヒ
ドラジン希釈溶液を調整した。
上記硝酸亜鉛水溶液を毎分約30ml、水和ヒドラジン希釈溶液を毎分約15mlの割
合で前記マイクロリアクタ(ここではYM−1)のインレットに定量ポンプ(高圧ポンプ
)で同時に流し込み、このマイクロリアクター内の流路で両液を反応させた。
両液の反応により、白色透明の微細な亜鉛ヒドラジン硝酸塩結晶の混ざった混合水溶液
が上記マイクロリアクターのアウトレットから連続的に排出された。
この亜鉛ヒドラジン硝酸塩の混合水溶液を容器の中に捕集した後、pHを7.0に調整
した。
ここで、pH調整した亜鉛ヒドラジン硝酸塩結晶混合水溶液をしばらく放置した後、吸
引濾過により亜鉛ヒドラジン硝酸塩の結晶のみを採取した。この結晶を水で洗浄後、乾燥
して4.6gの亜鉛ヒドラジン硝酸塩を得た。この平均粒子径を測定すると7.3μmで
あった。
実施例7では、硝酸コバルト6水塩12.7gを純水に溶かし300gの硝酸コバルト
水溶液を調整し、一方、80%水和ヒドラジン6.4gを同じく純水に溶かし150gの
水和ヒドラジン希釈溶液を調整した。
上記硝酸コバルト水溶液を毎分約30ml、水和ヒドラジン希釈水溶液を毎分約15m
lの割合でマイクロリアクター(ここではYM−1)のインレットに定量ポンプ(高圧ポ
ンプ)で同時に流し込み、このマイクロリアクター内の流路で両液を反応させた。
両液の反応により、緑色の微細なコバルトヒドラジン硝酸塩結晶の混ざった混合水溶液
が上記マイクロリアクタのアウトレットから連続的に排出された。
このコバルトヒドラジン硝酸塩の混合水溶液を容器に捕集した後、pH7.0に調整し
た。
ここで、pH調整したコバルトヒドラジン硝酸塩結晶混合水溶液をしばらく放置した後
、吸引濾過によりコバルトヒドラジン硝酸塩の結晶のみを採取した。この結晶を水で洗浄
後、乾燥してコバルトヒドラジン硝酸塩7.7gを得た。この平均粒子径を測定すると5
.9μmであった。
実施例8では、硝酸ニッケル6水塩12.7gを純水に溶かし300gの硝酸ニッケル
水溶液を調整し、一方、80%水和ヒドラジン5.6gを同じく純水に溶かし150gの
水和ヒドラジン希釈溶液を調整した。
上記硝酸ニッケル水溶液を毎分約80ml、水和ヒドラジン希釈溶液を毎分約40ml
の割合でマイクロリアクター(ここでは、YM−1)のインレットに定量ポンプ(高圧ポ
ンプ)で同時に流し込み、このマイクロリアクター内の流路で両液を反応させた。
両液の反応により、ピンク色の微細なニッケルヒドラジン硝酸塩結晶の混ざった混合水
溶液が上記マイクロリアクターのアウトレット7から連続的に排出された。
このニッケルヒドラジン硝酸塩の混合水溶液を容器の中に捕集した後、pH6.95に
調整した。
ここで、pH調整したニッケルヒドラジン硝酸塩混合水溶液をしばらく放置した後、吸
引濾過によりニッケルヒドラジン硝酸塩の結晶のみを採取した。この結晶を水で洗浄後、
乾燥して7.4gのニッケルヒドラジン硝酸塩を得た。この平均粒子径を測定すると1.
6μmであった。
Figure 2007046889
実施例9〜実施例13は、第二実施形態に係り、超音波振動を印加して行った。その結
果を表2に示す。
実施例9では、実施例1と同成分であるが、異なるところは、マイクロリアクターをド
イツIMM社製(SSIMM)に替えて行ったことである。
ここで、硝酸ニッケル水溶液を毎分約20ml、水和ヒドラジン希釈溶液を毎分約10
mlの割合でマイクロリアクターのインレットに定量ポンプ(高圧ポンプ)で同時に流し
込み、このマイクロリアクター内の流路で両液を反応させた。
両液の反応により、ピンク色の微細なニッケルヒドラジン硝酸塩結晶の混ざった混合水
溶液が上記マイクロリアクタのアウトレットから得られたが、その内、微細なニッケルヒ
ドラジン硝酸塩結晶が流路に詰まって(閉塞して)しまった。
ここで、超音波洗浄機の洗浄槽に水を張り、マイクロリアクタを洗浄槽に沈め、洗浄槽
に超音波振動28kHzを掛けながら、再度両液を反応させたところ、前記微細な結晶生
成物がマイクロリアクターのアウトレットから連続的に排出された。
このニッケルヒドラジン硝酸塩の混合水溶液を容器に捕集した後、pHを7.0に調整
した。
pH調整したニッケルヒドラジン硝酸塩混合液をしばらく放置した後、吸引濾過により
ニッケルヒドラジン硝酸塩の結晶のみを採取した。この結晶を水で洗浄後、乾燥してニッ
ケルヒドラジン硝酸塩8.2gを得た。この平均粒子径を測定すると3.6μmであった
実施例10では、硝酸ニッケル6水塩12.7gを純水に溶かし300gの硝酸ニッケ
ル水溶液を調整し、80%水和ヒドラジン6.4gを同じく純水にて希釈し150gの水
和ヒドラジン希釈溶液を調整した。
上記硝酸ニッケル水溶液を毎分約45ml、水和ヒドラジン希釈水溶液を毎分約30m
lの割合でマイクロリアクター(ここではYM−1)のインレットに定量ポンプ(高圧ポ
ンプ)で同時に流し込み、このマイクロリアクター内の流路で両液を反応させた。
その際、前記マイクロリアクターは、超音波洗浄機の、水を張った洗浄槽に沈められて
おり、この洗浄槽に超音波振動100kHzをかけながら前記両液を反応させた。
両液の反応により、ピンク色の微細なニッケルヒドラジン硝酸塩結晶の混ざった混合水
溶液が上記マイクロリアクターのアウトレットから連続的に排出された。
このニッケルヒドラジン硝酸塩の混合水溶液を容器の中に捕集した後、pHを6.95
に調整した。
ここで、pH調整したニッケルヒドラジン硝酸塩混合水溶液をしばらく放置した後、吸
引濾過によりニッケルヒドラジン硝酸塩の結晶を採取した。この結晶を水で洗浄後、乾燥
してニッケルヒドラジン硝酸塩8.2gを得た。この平均粒子径を測定すると2.2μm
であった。
実施例11と実施例12では、実施例10と同じ成分で行うと共に同じ流量速度の比率
で行ったが、異なるところは、それぞれに超音波振動を変えて行ったことである。
実施例11の超音波振動は45kHzで、このときに得たニッケルヒドラジン硝酸塩8
.1gの平均粒子径を測定すると3.0μmであった。
また、実施例12の超音波振動は28kHzで、このときに得られたニッケルヒドラジ
ン硝酸塩7.7gの平均粒子径を測定すると3.6μmであった。
実施例13では、硝酸ニッケル6水塩12.7gを純水に溶かし300gの硝酸ニッケ
ル水溶液を調整し、80%水和ヒドラジン5.6gを同じく純水にて希釈し150gの水
和ヒドラジン希釈溶液を調整した。
上記硝酸ニッケル水溶液を毎分約80ml、水和ヒドラジン希釈水溶液を毎分約40m
lの割合でマイクロリアクター(ここではYM−1)のインレットに定量ポンプ(高圧ポ
ンプ)で同時に流し込み、このマイクロリアクター内の流路で両液を反応させた。
その際、前記マイクロリアクターは、超音波洗浄機の、水を張った洗浄槽に沈められて
おり、この洗浄槽に超音波振動100kHzをかけながら前記両液を反応させた。
両液の反応により、ピンク色の微細なニッケルヒドラジン硝酸塩結晶の混ざった混合水
溶液が上記マイクロリアクターのアウトレットから連続的に排出された。
このニッケルヒドラジン硝酸塩の混合水溶液を容器の中に捕集した後、pHを6.95
に調整した。
ここで、pH調整したニッケルヒドラジン硝酸塩混合水溶液をしばらく放置した後、吸
引濾過によりニッケルヒドラジン硝酸塩の結晶を採取した。この結晶を水で洗浄後、乾燥
してニッケルヒドラジン硝酸塩8.2gを得た。この平均粒子径を測定すると0.7μm
であった。
(比較例)
従来の液滴下による製造方法を用いて、ニッケルヒドラジン硝酸塩を製造した。
例えば、1Lのビーカに金属硝酸塩を溶かした溶液を入れる。そして、撹拌シャフトと
撹拌翼を有する攪拌機(例えば、スリーワンモーター)を用意し、前記金属硝酸塩水溶液
の中に前記撹拌翼を浸して、撹拌シャフトを回転させて撹拌する。
一方、滴定フラスコは、液注入口と液貯蔵部と液の流れを制御するコックと液出口部と
を有する。そして、前記液貯蔵部に、水和ヒドラジンを水で希釈した水和ヒドラジン希釈
液が入れる。
ここで、撹拌翼で、金属硝酸塩を溶かした水溶液をかき混ぜているところに、滴定フラ
スコのコックの調整により、液貯蔵部から水和ヒドラジン希釈溶液を液出口部から徐々に
雫状に落とし込みながら、前記金属硝酸塩水溶液と混合させて、金属ヒドラジン硝酸塩を
生成させる。
比較例1では、硝酸ニッケル6水塩12.7gを純水に溶かし100gの硝酸ニッケル
水溶液を調整し、80%水和ヒドラジン6.4gを同じく純水にて希釈し50gの水和ヒ
ドラジン希釈溶液を調整し用意した。
上記硝酸ニッケル水溶液を300mlビーカーに入れ、攪拌機で攪拌しなが65℃まで
加温する。これに、先の水和ヒドラジン希釈溶液を滴定フラスコから雫状に、徐々に滴下
し反応させた。そして、pH9.45に調整した。
前記反応により、ピンク色の微細なニッケルヒドラジン硝酸塩結晶水溶液が得られた。
この得られたニッケルヒドラジン硝酸塩混合水溶液をしばらく放置した後、吸引濾過によ
りニッケルヒドラジン硝酸塩結晶のみを採取した。この結晶を水で洗浄後、乾燥してニッ
ケルヒドラジン硝酸塩10.0gを得た。
この平均粒子径を測定すると38.0μmであった。
この平均粒子径が38.0μmのニッケルヒドラジン硝酸塩のクルップ発火感度を測定
すると171℃であった。これは、平均粒子径20μm以下のニッケルヒドラジン硝酸塩
のクルップ発火感度が約250℃であることに対して、鋭感であることがわかる。
また、摩擦感度はJIS1等級で、完爆重量は600gであった。
Figure 2007046889
(実験例)
実施例1〜実施例13の中から任意に選択した、実施例1〜実施例3、実施例6、実施
例7、実施例9、実施例10および実施例13から得られた金属ヒドラジン硝酸塩に鈍化
剤を混合して成る金属ヒドラジン硝酸塩組成物について、主に摩擦感度を測定し効果を確
認した。その内容および結果を表3に示す。
表3においては、実験例Aが実施例1のニッケルヒドラジン硝酸塩を、実験例Bが実施
例2のニッケルヒドラジン硝酸塩を、実験例Cが実施例3のニッケルヒドラジン硝酸塩を
、実験例Dが実施例6の亜鉛ヒドラジン硝酸塩を、実験例Eが実施例7のコバルトヒドラ
ジン硝酸塩を、実験例Fが実施例9のニッケルヒドラジン硝酸塩を、実験例Gが実施例1
0のニッケルヒドラジン硝酸塩を、実験例Hが実施例13のニッケルヒドラジン硝酸塩を
用いて、これらに各種鈍化剤を所定量混合し金属ヒドラジン硝酸塩組成物を調整した。
実験例A〜実験例Hにおける鈍化剤の各成分は、次のものを用いた。
(1)炭酸マグネシウム(a):トクヤマ製 炭麻TT 平均粒子径104μm
(2)炭酸マグネシウム(b):上記、トクヤマ製 炭麻TTを433meshで篩分
平均粒子径4.3μm
(3)ステアリン酸カルシウム(a):関東化学製 試薬鹿1級 平均粒子径9.0μ

(4)ステアリン酸カルシウム(b):日本油脂製 平均粒子径2.31μm MC−

(5)ステアリン酸亜鉛:日本油脂製 平均粒子径2.31μm MZ−1
(6)ステアリン酸マグネシウム:日本油脂製 平均粒子径2.69μm MM−1
実験結果、炭酸マグネシウム(a)0.10%を混合した実験例Aは摩擦感度3級、炭
酸マグネシウム(b)0.10%の実験例Bは摩擦感度4級、ステアリン酸マグネシウム
0.10%を混合した実験例Dは摩擦感度4級、ステアリン酸亜鉛0.10%を混合した
実験例Eは摩擦感度4級と、それぞれに大きく鈍感になり取り扱い上の安全が図れること
がわかった。
また、炭酸マグネシウム(a)および(b)の添加量を0.05%にした実験例Gと実
験例Hは、ともに摩擦感度2級であった。
また、ステアリン酸カルシウム(c)0.10%を混合した実験例Cと、ステアリン酸
カルシウム(d)0.10%の実験例Fでは、それぞれに摩擦感度は2級であった。
Figure 2007046889
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態の電気式火工品に係る金属ヒドラジン硝酸塩を有する電気雷管を
示す。
本実施形態の電気式火工品に係る電気雷管1は、一側が開口し他側が閉塞(底部2)す
る銅製円筒状の管体12と、この管体の一側開口部に挿入され管体12と固着する硬質ポ
リエチレン製塞栓部3と、この塞栓部に埋設し他側へ延伸する電気的脚線4と、この電気
的脚線4と導通する電橋線(白金線)5と、この電橋線(白金線)5に固着する点火薬(
点火玉)6と、前記管体内部において塞栓部3の小径部7と固着し電橋線5及び点火薬(
点火玉)6を囲繞し他側に孔部11を形成するカップ8とで構成し、前記管体内には、金
属ヒドラジン硝酸塩を有する点火薬(点火玉)6と、起爆薬9と、添装薬10とを配設し
ている。
本実施形態の電気式式火工品に係る電気雷管の作用を説明する。
先ず、脚線に電気が通電されると白金線が発熱し点火玉が燃焼する。そして、この燃焼
によりカップ先端の孔から火炎が起爆薬に伝火し、さらにこの起爆薬の燃焼−爆轟により
添装薬に伝火−起爆する。また、これら装薬(点火薬、起爆薬、添装薬)は金属ヒドラジ
ン硝酸塩を有し、鉛成分を含まない。
本実施形態の電気式火工品に係る電気雷管を作成(図1)し、図5に示す鉛板試験を実
施した実施例(実施例14〜実施例19)を表4に示す。
図5に示す鉛板試験は、図示しない台座上に判定用鉛板40を配置しその鉛板の中央付
近に当該電気雷管1を脚線部4を上になるように立設する。そして、判定用鉛板40より
も幅の狭い所定幅のガムテープ41を当該電気雷管の上方から被せながらガムテープの両
端42,42を判定用鉛板の両端外側に固定する。その際、脚線部4は、ガムテープの所
定幅から外側へ出るようにしている。また、前記脚線部は図示しない電気起動器に接続さ
れる。
(実施例14)
先ず、点火薬としてニッケルヒドラジンナイトレートにニトロセルロース8%濃度のア
セトン溶液を12.5%加え(正味1重量%のニトロセルロース)、点火薬を増粘する。
この増粘液に線径25μmφの日本油脂(株)製白金線付脚線の白金線部に数回塗布し
、薬量10数mgを付着させる。これを乾燥して点火玉とした。
次に、外径6.7mmの雷管用銅管体に点火薬と同じであるが平均粒子径17μmのニ
ッケルヒドラジンナイトレートを600mg圧装填し、薬長19mm(装填密度ρ=1.
08g/cc)とした。この電気雷管を判定用鉛板上に設置し脚線部から通電させて鉛板
試験で実施したところ、痕跡は10mmφであるが平均穿孔径は2mmφであった。
(実施例15)
実施例14と同様にして、点火玉を作成した。
次に、外径6.7mmの雷管用銅管体に点火薬と同じニッケルヒドラジンナイトレート
を600mg圧装填し、薬長12.4mm(装填密度ρ=1.65/cc)とした。
この電気雷管を鉛板試験で実施したところ、平均穿孔径は12.0mmφであった。
(実施例16)
実施例14と同様にして、点火玉を作成した。
次に、外径6.7mmの雷管用銅管体に点火薬と同じコバルトヒドラジンナイトレー
トを600mg圧装填し、薬長19mm(装填密度ρ=1.08g/cc)とした。
この電気雷管を鉛板試験で実施したところ、穿孔はしなかったが、その痕跡径は9.8
mmφであった。
(実施例17)
実施例14と同様にして、点火玉を作成した。
次に、外径6.7mmの雷管用銅管体に400mgのRDX(クラスA)を圧装填後、
起爆薬としてニッケルヒドラジンナイトレートを200mg装填し、薬長12.2mm(
装填密度ρ=1.68g/cc)とした。
この電気雷管を、鉛板試験で実施したところ、穿孔径は12.4mmφであった。
(実施例18)
点火薬としてコバルトヒドラジンナイトレートにニトロセルロース8%濃度の酢酸ブチ
ル溶液を12.5重量%加え(正味1重量%のニトロセルロース)、点火薬を増粘する。
この増粘液に線径25μmφの日本油脂(株)製白金線付脚線の白金線部に数回塗布し
、薬量10数mgを付着させる。これを乾燥して点火玉とした。
次に、外径6.7mmの雷管用銅管体に点火薬と同じニッケルヒドラジンナイトレート
を600mg圧装填し、薬長19mm(装填密度ρ=1.08g/cc)とした。
この電気雷管を、鉛板試験で実施したところ、穿孔はしなかったが、その痕跡径は9.
1mmφであった。
(実施例19)
実施例18と同様にして、点火玉を作成した。
次に、外径6.7mmの雷管用銅管体に400mgのRDX(クラスA)を装填後、
起爆薬としてコバルトヒドラジンナイトレートを200mg装填し、薬長13.3mm(
装填密度ρ=1.55g/cc)とした。
この電気雷管を、鉛板試験で実施したところ、穿孔径は10.3mmφであった。
(比較例2)
市販の6号電気雷管を用いて鉛板試験を実施したところ、市販の電気雷管の穿孔径は平
均穿孔11.1mmφであった。
Figure 2007046889
(考察1)
実施例14〜実施例19においては、市販の6号電気雷管と同様の機能・性能を有する

(第二実施形態)
図2および図3は、第二実施形態の電気式火工品に係るイグナイター(電気点火具)を
示す。
本実施形態の電気式火工品に係るイグナイター(電気点火具)20は、樹脂プラグ21
と、この樹脂プラグにかたどられた(モールドされた)2本のリードピン22,22と、
この2本のリードピンの一側端と接続される発熱抵抗体23と、前記2本のリードピンお
よび発熱抵抗体を保持する塞栓部25とを有するコネクター部24と、前記コネクター部
24と対面する有底筒状体で底面部に脆弱部26を形成するキャップ(管体)27と、こ
のキャップ(管体)の内部に装填される金属ヒドラジン硝酸塩の点火薬28とを有するヘ
ッダー部29とで構成される。
そして、図3に示すように、前記コネクター部24の発熱抵抗体側の塞栓部25をヘッ
ダー部29のキャップ内部に装填している点火薬側へ振動圧入して一体的に構成する。
その際、コネクター部24の段部aにヘッダー部29の段部bを載置し固定する。
また、前記発熱抵抗体を、例えば、セミコンダクターブリッジ(SCB)のチップを用
いることで通電から点火薬を発火させる時間を高速安定化させることができる。
ここで、当該イグナイター(電気点火具)20を、例えば、図4に示すように、ガス発
生剤31を装填し底面に脆弱部32を形成するカップ(管体)33と固着し、自動車安全
装置用のガス発生器34として用いることも出来る。
本実施形態(第二実施形態)の電気式火工品に係るイグナイター(電気点火具)の作用
を説明する。
先ず、図示しないセンサーの電気的信号により2本のリードピンに通電すると発熱抵抗
体が発熱し、この発熱抵抗体と接触する点火薬が燃焼し脆弱部が破断し、この破断した火
炎放出口から点火薬の熱エネルギーが、例えば、図4に示すガス発生剤に伝火する。
本実施形態の電気式火工品のイグナイター(電気点火具)を作成(図3)し、パルス幅
2msecの矩形パルスからなる定電流を印加し、アップアンドダウン発火電流試験を実
施した。その結果を表5に示す。
(実施例20)
図2に示すように、イグナイター(電気点火具)のキャップ(プラスチック製)に平均
粒子径2.1μmのニッケルヒドラジンナイトレートを約25mg充填し、発熱抵抗体か
らなる塞栓部を圧着した。これに、パルス幅2msecの矩形パルスからなる定電流を印
加し、アップアンドダウン発火電流試験を実施した。
その結果、50%発火電流感度は0.578A(標準偏差0.013A)であった。
(実施例21)
実施例20と同様にして、イグナイター(電気点火具)のキャップ(プラスチック製)
に平均粒子径17.0μmのコバルトヒドラジンナイトレートを約25mg充填し、発熱
抵抗体からなる塞栓部を圧着した。これに、パルス幅2msecの矩形パルスからなる定
電流を印加し、アップアンドダウン発火電流試験を実施した。
その結果、50%発火電流感度は0.648A(標準偏差0.033A)であった。
(比較例3)
実施例20と同様にして、イグナイター(電気点火具)のキャップ(プラスチック製)
に、ニッケルヒドラジンナイトレートの代わりに、従来用いられているトリシネートを充
填し発熱抵抗体からなる塞栓部を圧着した。
その結果、50%発火電流感度は0.582A(標準偏差0.009A)であった。
Figure 2007046889
(考察2)
実施例20〜実施例21においては、従来用いられているトリシネートと同様の機能・
性能を有する。
第一実施形態の電気式火工品に係る電気雷管の断面図である。 第二実施形態の電気式火工品に係るイグナイター(電気点火具)の2分解断面図である。 図2を組込んだ断面図である。 図3のイグナイター(電気点火具)を組込んだガス発生器の断面図である。 鉛板試験に係る試験装置の模式図である。
符号の説明
1 電気雷管
2 底部
3,25 塞栓部
4,22 脚線部
5 電橋線
6 点火玉
7 小径部
8 カップ
9 起爆薬
10 添装薬
11 孔部
12 管体
20 イグナイター(電気点火具)
21 樹脂プラグ
23 発熱抵抗体
24 コネクター部
26,32 脆弱部
27 キャップ(管体)
33 カップ(管体)

34 ガス発生器
40 判定用鉛板
41 粘着テープ
42 端部

Claims (7)

  1. 点火薬、起爆薬および添装薬のいずれか1種以上の装薬を収容する管体を有し前記管体
    内の装薬を電気的手段で発火させる電気式火工品において、
    前記管体内に収容する装薬が金属ヒドラジン硝酸塩を有することを特徴とする電気式火工
    品。
  2. 前記電気式火工品は、電気雷管あるいはイグナイターであることを特徴とする請求項1
    記載の電気式火工品。
  3. 前記金属ヒドラジン硝酸塩は、平均粒子径が30μm〜0.10μmであることを特徴
    とする請求項2または請求項1記載の電気式火工品。
  4. 前記金属ヒドラジン硝酸塩は、平均粒子径が20μm〜0.1μmであることを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の電気式火工品。
  5. 前記金属ヒドラジン硝酸塩は、ニッケルヒドラジン硝酸塩またはコバルトヒドラジン硝
    酸塩であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の電気式火工品
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の電気式火工品に有する金属ヒドラジン硝酸
    塩に、摩擦感度を低減するため0.02〜0.20重量%の鈍化剤を添加することを特徴
    とする電気式火工品。
  7. 前記鈍化剤は、ステアリン酸金属塩、炭酸金属塩および蓚酸塩から選ばれる少なくとも
    1種以上であることを特徴とする請求項6記載の電気式火工品。
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JP2014028731A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Chugoku Kayaku Kk 電気雷管用の点火剤
CN110790319A (zh) * 2018-08-01 2020-02-14 西安雷晶新材料科技有限公司 一种硝酸肼镍的制备方法及其产品
WO2022071462A1 (ja) * 2020-10-01 2022-04-07 株式会社ダイセル ガス発生剤組成物

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