JP2006207868A - 金属ヒドラジン硝酸塩を有する衝撃式火工品 - Google Patents

金属ヒドラジン硝酸塩を有する衝撃式火工品 Download PDF

Info

Publication number
JP2006207868A
JP2006207868A JP2005017620A JP2005017620A JP2006207868A JP 2006207868 A JP2006207868 A JP 2006207868A JP 2005017620 A JP2005017620 A JP 2005017620A JP 2005017620 A JP2005017620 A JP 2005017620A JP 2006207868 A JP2006207868 A JP 2006207868A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
impact
sensitivity
hydrazine nitrate
detonator
nitrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005017620A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiro Okitsu
沖津敏洋
Hitoshi Miyazawa
仁 宮沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Koki Co Ltd
Original Assignee
Nippon Koki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Koki Co Ltd filed Critical Nippon Koki Co Ltd
Priority to JP2005017620A priority Critical patent/JP2006207868A/ja
Publication of JP2006207868A publication Critical patent/JP2006207868A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Air Bags (AREA)

Abstract

【課題】鉛化合物を含まない起爆薬および添装薬として、或は鉛化合物を含まず打撃感度を向上させた爆粉として微細な金属ヒドラジン硝酸塩を用いた衝撃式火工品を提供することにある。
【解決手段】爆粉、起爆薬および添装薬のいずれか1種以上の装薬6を収容する管体2を衝撃的手段で発火する衝撃式火工品1において、前記管体2内に収容される装薬6が金属ヒドラジン硝酸塩を有することを特徴とする衝撃式火工品1。金属ヒドラジン硝酸塩が平均粒子径30〜0.1μmである。金属ヒドラジン硝酸塩に増感剤を混合してなる起爆混合物を有する。金属ヒドラジン硝酸塩を有する起爆混合物に鈍化剤を添加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、産業用爆薬分野、防衛用爆薬分野に用いられる火工品、例えば、イニシエー
ター、スタブスクイブ、デトネーター、プレッシャーカートリッジ、プレッシャープライ
マー、パーカッションプライマー、フリクションプライマー等と種々称される火工品の点
火薬、爆粉、起爆薬或いは添装薬などの成分を有する衝撃式火工品に関し、詳しくは、成
分に金属ヒドラジン硝酸塩を有する衝撃式火工品で、例えば、金属ヒドラジン硝酸塩を有
する撃発式雷管や衝撃式信管に関するものである。
従来、前述の種々火工品において、例えば、イニシエーターに用いられる各種装薬とし
ては、例えば、点火薬として、モノニトロレゾルシン鉛と塩素酸カリウムの混合物、チオ
シアン酸鉛(ロダン鉛)と塩素酸カリウムの混合物、ジルコニウムと過塩素酸カリウムの
混合物、金属ホウ素と硝酸カリウムの混合物、或いはトリシネート(スチフニン酸鉛)等
が有り、また、衝撃により起爆する組成物(起爆混合物)として、爆粉と呼ばれアジ化鉛
と増感剤との混合物、或いはトリシネートとテトラセンとその他の酸化剤等との混合物等
が有り、また、燃焼から爆轟に容易に転移する起爆薬として、トリシネート、アジ化鉛、
或いはジアゾジニトロフェノール(通称、DDNP)等が有る。
また、爆粉、起爆薬などからの爆発威力を受け、より威力の高い爆発で目的の爆薬や装
薬に伝爆させる添装薬として、シクロトリメチレントリニトラミン(RDX)、ペンタエ
リスリットテトラナイトレート(PETN)、テトリル、ペントライト等が用いられてい
る。
また、イニシエーターは、スクイブ、プライマー、デトネーターの3グループに分ける
ことが出来、スクイブは、高熱源を発生するが威力の弱いもので爆燃性物質の発火に使用
され、プライマーは、威力が強く高熱源を発生するものであってスクイブとデトネーター
の中間に位置し、デトネーターは、瞬間に高爆速で衝撃波を発生するものである。
従来、油井掘削に用いる衝撃鋭感雷管に関し、一側が閉鎖され他側が解放された円筒状
ケーシングであって、前記閉鎖端部が丸い撃針に衝突した時に破裂することなく変形する
薄い衝突用表面を有し、さらに閉鎖端部に隣接し一次添装薬(起爆薬)であるアジ化鉛に
微細分割材料(例えば、炭化ケイ素、粉末金属、酸化アルミニウムなど)を配置すること
、また、出口装填体(他の添装薬)としてHNSやRDXを併用することが開示されてい
る。(例えば、特許文献1参照)
これにより、鈍角な撃針で閉鎖端部の衝突用表面に打撃が加わると装薬室内の容量を一
時的に圧縮し、該一次添装薬粒子が微細分割材料と摩擦するにつれて一次装填薬が急速に
分解(爆轟)していき、次の装薬(出口装填体)に伝播推進していく。
また、砲弾用の撃発式機械信管に関し、砲弾の頭部に延期信管が設けられ、この信管に
は、撃針部と撃針本体の穿突部分と対面して爆薬筒(「デトネータ」とも呼ぶ、以下同様
)が配置されていることが開示されている。(例えば、特許文献2参照)
この爆薬筒内の装薬について記載は無いが、出願時の昭和61年当時には起爆混合薬と
してトリシネート、硝酸バリウム、珪化カルシウム等からなる爆粉とアジ化鉛からなる中
部薬及びテトリルまたはRDXからなる下部薬が装填されていた。
これにより、砲より発射された該砲弾が前方より目標に撃突し、その反動で撃針が起爆
筒に刺突し、そのエネルギーで起爆筒内の起爆混合物が作動する。
特公平4−013640号(頁215;欄1、頁217;欄6、;Fig1) 特公平4−013639号(頁213;欄5〜6、第1図)
爆粉、起爆薬は、極めて感度が高く特殊な火薬類であり、爆粉は僅かな衝撃的エネルギ
ーで容易に発火する混合物である。一方、起爆薬は一度エネルギーを受け反応が開始する
と容易に燃焼から爆轟へと転移する性質を持つ化合爆薬であり、従来、両者とも火薬類に
とってはなくてはならないものとして使用されてきた。
また、起爆薬以外の高性能爆薬は、起爆薬に比べて衝撃に対して鈍感であるが高爆速を
有する爆発物として使用されてきた。
ところが前述のように、従来の点火薬、爆粉或いは起爆薬等(以下、ここでは「装薬」
と呼ぶ。)は、鉛化合物が含まれており、環境保護の観点から考えると取扱上や製造上に
好ましい化学物質とは言い難く、近年、鉛の含まない装薬が要求されるようになってきた
そこで、本発明者らは、従来の鉛化合物装薬と同等或いはそれ以上の機能・性能を有す
る脱鉛化装薬の開発において、従来装薬の機能上の欠点を把握しながら各種試験法を用い
て、従来品との爆発性能を含めた物性比較を行いながら鋭意研究した。
その研究の一環に金属ヒドラジン硝酸塩化合物を見出し、詳細に研究した結果、起爆薬
や点火薬等の機能を併せ持つニッケルヒドラジン硝酸塩やコバルトヒドラジン硝酸塩等の
金属ヒドラジン硝酸塩が、アジ化鉛或はトリシネートに代わり得る同等の感度と爆発性能
を有することが判明した。特に平均粒子径が30μm以下であれば発火感度の感度ばらつ
きが小さく発火信頼性が向上することが分かった。
平均粒子径30μm以下の微細な金属ヒドラジン硝酸塩は、極めて電流発火感度が高く
、且つ容易に燃焼から爆轟へと転移しやすいものであることが分かった。
そして、これら金属ヒドラジン硝酸塩は、衝撃式火工品、例えば、銃弾や砲弾のスタブ
スクイブやパーカッションプライマー或いはデトネータにおける爆粉の一成分として、従
来装薬であるアジ化鉛やトリシネート等の代替品の機能を十分に発揮することを確認し本
発明に至ったものである。
本発明の目的は、鉛化合物を含まない爆粉、起爆薬或いは添装薬として、金属ヒドラジ
ン硝酸塩を用いた衝撃式火工品を提供することであり、特に、平均粒子径30μm以下の
微細な金属ヒドラジン硝酸塩を用いて発火感度を向上させる衝撃式火工品を提供すること
にある。
また、他の目的は、爆粉として金属ヒドラジン硝酸塩に増感剤を混合して成る起爆混合
物を用いて打撃感度を高める衝撃式火工品を提供することにある。
また、他の目的は、前記起爆混合物に鈍化剤を混合して成る装薬を用いて摩擦感度を鈍
感化する衝撃式火工品を提供することにある。
請求項1に係る発明は、爆粉、起爆薬および添装薬のいずれか1種以上の装薬を収容す
る管体を有し前記管体内の装薬を衝撃的手段で発火させる衝撃式火工品において、前記管
体内に収容する装薬が金属ヒドラジン硝酸塩を有することを特徴とする。
この金属ヒドラジン硝酸塩は、非鉛化合物であり、例えば、弾丸の撃発雷管など衝撃式
火工品の爆粉として僅かな衝撃(撃針等による打撃)エネルギーにより容易に着火する。
また、その威力を大きく向上する爆薬の一成分、すなわち起爆薬としてのほか、衝撃式
火工品の威力を向上するためのブースターあるいは伝爆薬・添装薬として用いることが出
来る。
また、金属ヒドラジン硝酸塩を含む組成物が安価に、効率よく、安全に大量製造できる
ならば、それ自身が種々の形態の高性能爆薬の用途として使用可能性を有する。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の衝撃式火工品において、前記金属ヒドラジン硝
酸塩が平均粒子径30μm〜0.1μmであることを特徴とする。
平均粒子径30μm以下の微細な金属ヒドラジン硝酸塩においては、衝撃感度、電気感
度共に粒子径が小さいほど発火感度が高く、更に感度ばらつきが小さくなる。感度ばらつ
きは製品の発火信頼性に大きく左右するので、粒子径が小さいことが必須要件となる。
また、平均粒子径30μmを超えると打撃感度が敏感となる傾向となり製造や取り扱い
での注意性が高くなる傾向があり、各種感度試験における試験ばらつきも多くなる傾向が
ある。また、平均粒子径0.1μm以下になると金属ヒドラジン硝酸塩を製造できる技術
上の困難性を伴い、コスト上の問題も発生する。
この平均粒子径30μm以下の微細な金属ヒドラジン硝酸塩は、超微細な結晶のため打
撃に対する増感剤を添加することによって、僅かな打撃エネルギーで確実に発火し、容易
に燃焼から爆轟へと転移しやすい性質を有し、その性能は、例えば、平均粒子径0.63
μmは平均粒子径3.20μmの1.3倍ほどの敏感な感度となる。
また、安全かつ効率良く平均粒子径30μm以下の微細な金属ヒドラジン硝酸塩を得る
には、例えば、金属硝酸塩の水溶液とヒドラジンの水溶液を流路0.5mm以下のチャン
ネルを有するマイクロリアクターへ、前記所定濃度を有する両溶液を所定比率の流速に調
節し、連続的に反応させる。
また、前記マイクロリアクターに25KHz〜1MHzの超音波振動を印加することで
、平均粒子径5μm以下の超微細な結晶からなる金属ヒドラジン硝酸塩が得られ、例えば
、弾丸の撃発雷管など衝撃式火工品に使われる爆粉の一成分として用いることが出来、弱
い打撃に対して容易に発火すると共に、いったん発火すると容易に爆轟にシフトし、高性
能爆薬の爆速である数1000m/sの反応を有することとなる。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2記載の衝撃式火工品において、前記金
属ヒドラジン硝酸塩がニッケルヒドラジン硝酸塩またはコバルトヒドラジン硝酸塩である
ことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の衝撃式火工品にお
いて、管体内の装薬が、金属ヒドラジン硝酸塩に衝撃発火感度を高める増感剤を混合して
成る起爆混合物(爆粉)を有することを特徴とする。
金属ヒドラジン硝酸塩は、本質的には、摩擦感度には敏感であるが落槌感度(打撃感度
)には比較的鈍感な物質なので、撃針などにより発火させる爆粉として用いる際は、僅か
な打撃(衝撃)エネルギーによっても敏感に反応するなど高感度にするため増感剤を混合
して相乗効果を得る。
請求項5に係る発明は、請求項4記載の衝撃式火工品において、前記増感剤が、ガラス
粉、三硫化アンチモン、テトラセン、ケイ化カルシウム、DDNP、硝酸塩、過塩素酸塩
、塩素酸カリウムおよび硫黄等の非鉛化合物から選ばれる少なくとも1種以上であること
を特徴とする。
増感剤は、例えば、硫黄1〜5重量%とガラス粉0.1〜12重量%、あるいはガラス
粉0.1〜12重量%と三硫化アンチモン15〜35重量%等であり、これを金属ヒドラ
ジン硝酸塩に加えて得られた爆粉(起爆混合物)は、刺突のような僅かな打撃によっても
容易に発火し爆轟反応に転移する。
ここで、硫黄は打撃による発火感度を向上するためのものであり、5重量%以上入れて
も大きな向上は望めないことから上限を5重量%とした。
一方、ガラス粉についてはガラスマイクロバルーンのような軽量材である場合は0.1
重量%程度でも大きく打撃感度を向上するが、中空球体を形成していないガラス粉ならば
所定の打撃感度を得るのに最大12重量%が必要である。
また、三硫化アンチモンは融点が低く燃焼熱も大きいことから混合する場合は15〜3
5重量%が妥当なところである。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の衝撃式火工品に有
する金属ヒドラジン硝酸塩に、摩擦感度を低減するため0.02〜0.20重量%の鈍化
剤を添加することを特徴とする。
鈍化剤は、超微細な結晶からなる金属ヒドラジン硝酸塩が製造工程中に感度が高く取扱
い性に難点がある場合、鈍化剤を添加することにより衝撃発火感度は低下させずに摩擦感
度だけを低下することが出来、より取扱を安全化した金属ヒドラジン硝酸塩を用いて所望
の衝撃式火工品が提供できる。
ここでの鈍化剤は、0.02重量%以下では鈍感化効果が得られなく、0.2重量%以
上では目的の摩擦感度以外の感度、例えば打撃感度も低下してしまい摩擦感度のみを選択
的に鈍感化する目的から外れてしまう。
請求項7に係る発明は、請求項6記載の衝撃式火工品において、前記鈍化剤が、ステア
リン酸金属塩、炭酸塩および蓚酸塩から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴と
する。
ステアリン酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネ
シウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウムなどを用
いることが出来る。この中で好ましくは、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マ
グネシウムが良い。
また、炭酸塩としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウムな
どを用いることが出来る。この中で好ましくは、炭酸マグネシウムが良い。
また、蓚酸塩としては、蓚酸ナトリウム、蓚酸カルシウム、蓚酸マグネシウムがあり、
蓚酸ナトリウムがより有効である。
また、鈍化剤の平均粒子径は5μm以下を用いると良い。これは、鈍化剤の比表面積が
大きくなり、少ない量の鈍化剤で金属ヒドラジン硝酸塩結晶の摩擦感度を十分に鈍感にす
ることが可能となる。
本発明の衝撃式火工品は、鉛化合物を含まない爆粉、起爆薬或いは添装薬として金属ヒ
ドラジン硝酸塩(混合物を含む)を装填することで、鉛化合物と同等若しくはそれ以上の
機能を有することが出来、また、基剤に金属ヒドラジン硝酸塩を用いるので環境に無害で
あり製造上および取扱い上においても安全性が高くなる。
また、本発明の衝撃式火工品は、平均粒子径30μm以下の微細な金属ヒドラジン硝酸
塩を装填することで、打撃による発火感度を向上させることが出来る。
また、本発明の衝撃式火工品は、基剤に金属ヒドラジン硝酸塩を用い、これに増感剤を
混合することにより起爆混合物として打撃感度を高めることが出来る。
また、本発明の衝撃式火工品は、前記起爆混合物に鈍化剤を添加することで、打撃エネ
ルギーに対する感度を下げずに摩擦感度を鈍感化することが出来、特に製造上においての
安全性を確保することが出来る。
本実施形態の衝撃式火工品は、例えば、銃弾に装着される弾薬で撃針の打撃により発火
する撃発雷管(第一実施形態)に係り、或いは砲弾に装着される弾薬で弾着(衝撃)によ
り作動する着発信管(第二実施形態)に係り、これらの管体に装填される装薬成分に金属
ヒドラジン硝酸塩を有するものである。金属ヒドラジン硝酸塩としては、例えば、ニッケ
ルヒドラジン硝酸塩またはコバルトヒドラジン硝酸塩等を用いる。
また、本実施形態に用いる金属ヒドラジン硝酸塩は、機械的粉砕によらない30μm以
下の微細化により、機械的粉砕による平均粒子径30μm以上のものよりも打撃感度は鈍
感で、しかも各種感度試験における試験ばらつきも少ない特徴を有する。
本実施形態に用いる30μm以下の微細な金属ヒドラジン硝酸塩は、次のように生成す
る。
金属硝酸塩の水溶液とヒドラジンの水溶液とを、爆轟限界径以下の流路を有するマイク
ロリアクターへ、前記両水溶液を所定比率の流量速度により流入接触させ、連続的に反応
させて微細な結晶を得ることである。
例えば、0.5mm以下のチャンネルを有するマイクロリアクター(山武株式会社製Y
M−1、或いはドイツIMM社製 SSIMM)を用いて、マイクロリアクター1個当た
りの各インレットの流量を5〜100ml/minの範囲に設定し、金属硝酸塩の水溶液
とヒドラジンの水溶液とを接触反応させて、微細な金属ヒドラジン硝酸塩を生成する。
さらに、具体的に説明すると、例えば、N24・H2O(濃度80%の水和ヒドラジン
)を一定量計量し、ビーカ(1)に入れ、このN24・H2Oを一定量に計量したHOで
希釈し、ヒドラジンの水溶液を調整する。その後、貯槽(A)に入れて蓋をする。
一方Ni(NO・6HO(硝酸ニッケル6水塩)を一定量計量して、ビーカ(
2)に入れ、一定量に計量したHO(水)で溶解させて硝酸ニッケル水溶液を調整する

その後、貯槽(B)に入れて蓋をする。
ここで、貯槽(A)内のヒドラジン水溶液を、例えば、デジタル式定量ポンプ(高圧ポ
ンプ)を用いて、所定の流量速度(一定量づつ)にコントロールして貯槽(A)からこの
貯槽(A)と接続する樹脂製パイプ(X)の中へ流し、この樹脂製パイプ(X)と接続す
るマイクロリアクターのインレット(入口a)に送り込む。
次に、貯槽(B)内の硝酸ニッケル水溶液を、前記デジタル式定量ポンプと同性能の定
量ポンプ(高圧ポンプ)を用いて、所定の流量速度(一定量づつ)にコントロールして貯
槽(B)からこの貯槽(B)と接続する樹脂製パイプ(Y)の中へ流し、この樹脂製パイ
プ(Y)と接続するマイクロリアクターのインレット(入口b)に送り込む。
前述の定量ポンプ(高圧ポンプ)は、例えば、日本精密科学機器株式会社製ミニケミカ
ルポンプ(NP−KX−700)を用いて、デジタル式に流量をコントロールするもので
ある。
これにより、マイクロリアクター内部の流路(例えば、径0.4mm)の中で、硝酸ニ
ッケル水溶液とヒドラジン水溶液を接触反応させて化成したニッケルヒドラジン硝酸塩の
混合液を、マイクロリアクターのアウトレット(出口b)からこのアウトレットと接続す
る樹脂パイプ(Z)の中に排出させ、容器に捕集する。
そして、捕集したニッケルヒドラジン硝酸塩の混合液を、例えば、吸引濾過器に連続的
に送り込んで濾過することで、ニッケルヒドラジン硝酸塩と溶液とを分離してニッケルヒ
ドラジン硝酸塩を回収する。
この回収したニッケルヒドラジン硝酸塩を水等で洗浄し、乾燥後、収函する。
これにより、平均粒子径30μm以下の微細な金属ヒドラジン硝酸塩を製造することが
できる。ここでは、収率が90%〜98%であった。
この金属ヒドラジン硝酸塩は、起爆薬として取り扱う場合、落槌感度は8級と鈍く、落
槌感度に関しては極めて安全性が高い。また、500μsecと極めて短い矩形パルス波
による50%電流発火感度は1.8〜2.8Aと電流に対する感度は鋭敏であるが、クル
ップ発火感度は250℃前後である。摩擦感度については1級と非常に高い。
また、ここでのマイクロリアクターは、金属硝酸塩の水溶液の入るインレット径をφ1
mm、ヒドラジンの水溶液の入るインレット径をφ1mmとしている。
さらに、マイクロリアクター内部で金属硝酸塩の水溶液とヒドラジンの水溶液が接触反
応しながら流れる流路の径を0.4mmとしている。
そして、金属硝酸塩の水溶液とヒドラジンの水溶液が接触反応による金属ヒドラジン硝
酸塩は30%以上の含水組成物にすると爆発性がなくなり、化成中においては75%以上
の含水比にて製造するため(無水物の爆発限界薬径は約0.3mm)、マイクロリアクタ
ー内で金属硝酸塩の水溶液とヒドラジンの水溶液の反応が異常発熱などを起こしても爆発
には至らないこととなる。また、仮に、局所的に高濃度の区域が生じて万一そこで爆発を
生じても爆発を伝達することができないので局部的な爆発被害で止まることとなる。
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態の衝撃式火工品に係り、一体構造型の撃発雷管を示す。
図2は、この撃発雷管を組み込んだ銃弾の薬きょうを示す。
本実施形態の衝撃式火工品に係る撃発雷管は、真鍮製からなり、一側に開口部3を有し
他側に底部4を有する有底円筒状の管体2と、この管体に収容する金属ヒドラジン硝酸塩
を基剤とする起爆混合物6と、起爆混合物上に載置する紙箔7と、この紙箔上から起爆混
合物の中に配設する発火金5(金属製アンビル)とで構成している。
前記起爆混合物は、金属ヒドラジン硝酸塩と増感剤を混合した組成物を用る。
前記増感剤としては、ガラス粉、三硫化アンチモン、テトラセン、ケイ化カルシウム、
硝酸塩、過塩素酸塩、塩素酸カリウムおよび硫黄等の非鉛化合物から選ばれる1種以上を
用いることができる。
また、増感剤は、粒子間の摩擦熱により、或いは粒子間に内在する気泡の断熱圧縮によ
り、熱的に敏感な金属ヒドラジン硝酸塩が反応を開始して爆轟に至る。
発火金5は、真鍮製からなり、一側が開口し他側に曲面状の底面部13を有する円錐体
であって、外側底面部の中央部が打撃面9を有すると共に、円錐体の傾斜面10でその周
面上に3カ所の火炎孔11を均等に形成している。そして、この発火金の開口する外径部
12は、管体2の内径部8より若干大きな径としている。
これにより、管体内に所定量の起爆混合物を装填し、その上に円盤形状の紙箔を載置密
着する。そして、前記発火金を管体内へ挿入し爆粉および紙箔上に載置密着する。その際
、発火金の外径部の周縁は、前記管体の開口部の内周縁上で圧入・固定される。これで、
発火金の火炎孔は前記紙箔で塞がれる。このようにして撃発式雷管が構成される。
前記撃発雷管1は、例えば、図2に示すように銃弾の薬きょう20の外側底部22の凹
部24に組み込まれる。
この薬きょう20は、外殻部21が黄銅製からなり、一側が開口し他側に外側底部22
を有すると共に内部に推進薬23と、図示しない弾丸を、配設する空洞部26を有するカ
ップ状であり、また、外側底部22の中央部に雷管を収容する円筒形状の凹部24が形成
され、この凹部24に雷管1を配設する。また、雷管を配設する凹部24と空洞部26と
を連通する火炎通路25を設けている。
本実施形態(第一実施形態)の撃発式火工品に係る撃発雷管の作用を説明する。
撃針が撃発雷管の底部を急速に打撃すると、発火金5と打撃面9との間にある金属ヒド
ラジン硝酸塩を基剤とする起爆混合物6が摩擦熱により発火起爆する。この起爆混合物の
起爆で爆轟波が発生し、発火金に形成された火炎孔から火炎通路を通って推進薬へ伝爆す
る。そして、この推進薬の燃焼ガスの圧力で弾丸が外殻から離脱し飛しょうする。
(第二実施形態)
図3は、第二実施形態の衝撃式火工品に係り、着発信管の起爆筒を示す。
図4は、この起爆筒を組み込んだ砲弾の信管部分を示す。
本実施形態の起爆筒30は、ステンレス製からなり両端が開口する一側開口部31と他
側開口部32を有すると共に内部に空洞部33を形成する管体34と、この管体34の空
洞部33に配設する金属ヒドラジン硝酸塩を基剤とする起爆混合物37、中間装薬38お
よび下部薬39と、前記両開口部の両端を塞ぐ前部塞板35と後部塞栓36とで構成して
いる。また、前記両塞栓板(35、36)は、真鍮製からなる所定板厚を有する円盤形状
の部材で構成している。
これにより、管体34の一側開口部31に破断可能な耐力を有する前部塞板35を配設
し一側開口部のかしめ部40でカシメ固定する。
そして、この管体内に起爆混合物37、中間装薬38および下部薬39を順次装填する
。次に管体34の他側開口部32に破断可能な耐力を有する後部塞板36を配設し他側開
口部32のカシメ部41でカシメ固定する。これにより起爆筒が作成される。
前記起爆筒30は、図4に示すように、起爆筒30の一側51が弾頭部50の撃針53
に近接し撃針通路54に当接するように配設し、また、起爆筒の他側52は、爆薬57に
隣接するように配設する。その際、起爆筒30を、中心部に貫通する収容部55を有する
球状体の保持部材56の、前記収容部55に嵌挿し保持固定する。
そして、飛しょう時のスピンにより図4のようなアーミング状態となって、撃針53、
起爆筒30の前部塞栓側および爆薬57が一線上に並び作動直前の状態となっている。
本実施形態(第二実施形態)に係る起爆筒の作用を説明する。
弾頭部(センサー部)が標的に衝突すると、撃針が作動し撃針通路から前部塞板を貫通
する。その衝撃で起爆混合物(爆粉)が発火爆轟し、次いで中間装薬が伝爆し、さらに威
力の強い下部薬が爆轟する。この爆轟で後部塞栓を破断し炸薬である爆薬に伝爆する。
その結果、標的の構造物を破壊することが出来る。
次に、第一実施形態の衝撃式火工品に係る衝撃雷管を作製し、落槌感度試験と摩擦感度
試験を行った。
落槌感度試験には、金属ヒドラジン硝酸塩に増感剤を混合した起爆混合物を装填した雷
管Xと、前記起爆混合物に鈍化剤を混合した装薬を装填した雷管Yを作製して行った。
また、摩擦感度試験には、試料として、金属ヒドラジン硝酸塩に増感剤を混合した起爆
混合物Aと、前記起爆混合物に鈍化剤を混合した起爆混合物Bを作製し行った。
(落球感度の試験方法)
前記撃発雷管(X,Y)の落槌感度を調べるため、図5に示すように、落球式撃発雷管
感度試験器を用いて落球感度試験(落球発火感度試験)を実施した。
この落球式撃発雷管感度試験器60は、雷管保持部61に雷管62を設置し、撃針台6
3に設けている撃針部64を雷管62に当接する。また、本試験器60には、上下方向へ
移動できる電磁石65を設置しており、この電磁石65の先端に所定重さの鋼球66を保
持する。また、この試験器には、鋼球の位置を計測するスケール67が設けられている。
これにより、電磁石の作動で鋼球が鋼球受部へ落下(落球)し、このときの落球エネル
ギーで雷管を発火させる。
この時の爆発、或いは不爆の判定基準により50%落球発火感度が決まる。また、鋼球
の位置(落高)がスケールにより分かり落球エネルギーが算出される。
ここでは、落球発火感度エネルギー(×10erg)を求めるため、次に示す式から
算出した。
落球発火感度エネルギーの算出は、E=mghより得た。
Eはエネルギーで単位がerg、mは質量で単位がgw、gは重力加速度で980cm/
、hは高さで単位がcmである。
ここで、計算式の例示を上げると、表1の実施例1に示す落球発火感度エネルギー(×
10erg)では、鋼球(質量)55g×落高(高さ)12.7cm×重力加速度98
0cm/Sで「684560」となり、単位が(×10erg)なので、約6.8と
なる。これにより、「落槌感度」が同じ1級でも「落球発火感度エネルギー」の差でより
詳細な感度の高低が分かる。
ここで、落槌感度と落球感度試験の違いについて次の通り説明する。
落球感度試験は上述の通りである。
一方、落槌感度は通常5Kgwの落槌をある位置から2個のローラベアリング中に挟ん
だ錫箔カップ入りの試料に少なくとも6回落下させ、爆/不爆の判定よりJIS落槌感度
等級を求めるものである。非常に感度の高い起爆薬等では前記落槌を2.0Kgwとする
こともあるが、撃発雷管に使用する爆粉にとっては打撃エネルギーが大きすぎ有意差をつ
け難いこと、また撃発雷管の感度にとっては実際の撃針と同一形状の雷管体及び打撃によ
って試験した方が実際の感度を把握しやすいこと等から前述のような落球発火感度試験を
する。
(摩擦感度の試験方法)
前記試料(A,B)の摩擦感度を調べるため、次に示す方法を用いて摩擦感度試験を実
施した。
先ず、試料を磁性の板と杵の間に挟み、荷重を加えてモータにより板を水平に移動させ
る摩擦感度試験器(BAM式)を用いて同条件で6回づつ試験をして、その結果、判定基
準によりJIS等級を求めた。
尚、JIS等級の中でも更に差別化する場合、摩擦感度試験器で摩擦力を調整するため
の錘の重さで判定する完爆重量の表示がある。
(比較例1)
起爆薬としてのアジ化鉛5重量部、トリシネート25重量部および三硫化アンチモン1
7重量部を添加し、アセトンを適宜加えて混ぜた後、これに塩素酸カリウム53重量部を
添加し、さらにアセトンを適宜加えながらよく混ぜた後、乾燥させて爆粉(起爆混合物)
とした。
この爆粉を用いて、第一実施形態に係る衝撃式火工品の衝撃雷管Xを作成した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、落球感度が、55g鋼球で11
5mmの落高で発火した。また、この爆粉による摩擦感度はJIS1級であった。
(実施例1)
ニッケルヒドラジン硝酸塩99重量部(平均粒子径12μm)にガラス粉末1重量部を
添加し、アセトンを適宜加えながら良く混ぜた後、乾燥させて起爆混合物(爆粉)を得た

この起爆混合物を用いて、第一実施形態に係る衝撃式火工品の雷管Xを作成した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、落球感度が、55g鋼球で12
7mmの落高で発火し、比較例1(115mm)に比べやや鈍感であった。
また、この起爆混合物による摩擦感度は、JIS1級であった。
(実施例2)
ニッケルヒドラジン硝酸塩75重量部(平均粒子径12μm)にテトラセン3重量部、
ガラス粉末10重量部および三流化アンチモン12重量部を添加し、アセトンを適宜加え
ながら良く混ぜた後、乾燥させて起爆混合物を得た。
この起爆混合物を用いて、雷管Xを作成した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g落球で77mmの落高で
発火し、比較例1(115mm)と比べ非常に鋭感であった。
また、この起爆混合物による摩擦感度は、JIS1級であった。
(実施例3)
ニッケルヒドラジン硝酸塩60重量部(平均粒子径0.67μm)にDDNP30重量
部およびガラス粉10重部を添加し、アセトンを適宜加えよく混ぜた後、乾燥させて起爆
混合物を得た。
この起爆混合物を用いて、雷管Xを作成した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で74mmの落高で
発火し、比較例1(115mm)と比べ非常に鋭感であった。
また、この起爆混合物による摩擦感度は、JIS1級であった。
(実施例4)
ニッケルヒドラジン硝酸塩40重量部(平均粒子径12μm)に三硫化アンチモン5重
量部および珪化カルシウムを添加し、アセトンを適宜加えよく混ぜた後、硝酸バリウム4
0重量部および過酸化鉛5重量部を添加し、さらにアセトンを適宜加えてよく混ぜた後、
乾燥させて起爆混合物を得た。
この起爆混合物を用いて、雷管Xを作成した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で128mmの落高
で発火し、比較例1(115mm)と比べやや鈍感であった。
また、この起爆混合物による摩擦感度は、JIS3級であった。
(実施例5)
ニッケルヒドラジン硝酸塩30重量部(平均粒子径12μm)にガラスマイクロバルー
ン(東海工業株式会社製、SZ−25)1重量部および珪化カルシウム16重量部を添加
し、アセトンを適宜加えてよく混ぜた後、硝酸バリウム53重量部を添加し、さらにアセ
トンを適宜加えてよく混ぜた後、乾燥させて起爆混合物を得た。
この起爆混合物を用いて、雷管Xを作成した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で140mmの落高
で発火し、比較例1(115mm)に比べ鈍感であった。
また、この起爆混合物による摩擦感度は、JIS3級であった。
(実施例6)
コバルトヒドラジン硝酸塩90重量部(平均粒子径23μm)にガラス粉末10重量部
を添加し、アセトンを適宜加えてよく混ぜた後、乾燥させ起爆混合物を得た。
この起爆混合物を用いて、雷管Xを作成した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で135mmの落高
で発火し、比較例1(115mm)と比べ鈍感であった。
また、この起爆混合物による摩擦感度は、JIS1級であった。
(実施例7)
コバルトヒドラジン硝酸塩90重量部(平均粒子径23μm)にガラス粉10重量部お
よび硫黄1重量部を添加し、アセトンを適宜加えてよく混ぜた後、乾燥させて起爆混合物
を得た。
この起爆混合物を用いて、雷管Xを作製した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で135mmの落高
で発火し、比較例1(115mm)と比べ鈍感であった。
また、この起爆混合物による摩擦感度は、JIS1級であった。
(実施例8)
コバルトヒドラジン硝酸塩75重量部(平均粒子径17μm)にテトラセン3重量部、
ガラス粉末10重量部および三硫化アンチモン12重量部を添加し、アセトンを適宜加え
ながら良く混ぜた後、乾燥させて起爆混合物を得た。
この起爆混合物を用いて、雷管Xを作成した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で130mmの落高
で発火し、比較例1(115mm)と比べ鈍感であった。
また、この起爆混合物による摩擦感度は、JIS3級であった。
表1は、第一実施形態に係る撃発雷管Xを用いて行った実施例1乃至実施例8と、比較
例1を示す。
ここでは、金属ヒドラジン硝酸塩を基剤とし増感剤を混合した非鉛化装薬の起爆混合物
(爆粉)は、従来使用されている鉛化合物を含有する装薬(比較例1)と比べ、落槌感度
の性能がJIS1級と同等の性能であることが分かる。しかし、実施例8の落槌感度はJ
IS2級となったが、これは、基剤にコバルトヒドラジン硝酸塩を用いたためと考えられ
る。
摩擦感度については、実施例1〜3,6および7において、JIS1級と感度が高いこ
とが分かった。
また、実施例4と実施例5のJIS3級は、ニッケルヒドラジン硝酸塩の含有量が50
%未満であることが要因と考えられる。
また、実施例8の3級は、増感剤が実施例2と同成分であるが、金属ヒドラジン硝酸塩
としてコバルトヒドラジン硝酸塩を用いたことが要因と考えられる。
次に、起爆混合物に鈍化剤を混合した実施例9〜14について述べる。
(実施例9)
ニッケルヒドラジン硝酸塩99重量部(平均粒子径12μm)にガラス粉末1重量部と
炭酸マグネシウム0.1重量部を添加し、アセトンを適宜加えながらよく混ぜた後、乾燥
させて起爆混合物を得た。
この起爆混合物を用いて雷管Yを作製した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で127mmの高さ
で発火し、比較例1(115mm)と比べやや鈍感であった。
この起爆混合物の摩擦感度は、JIS3級であった。
(実施例10)
ニッケルヒドラジン硝酸塩90重量部にガラス粉末10重量部と炭酸マグネシウム0.
1重量部を添加し、アセトンを適宜加えながら良く混ぜた後、乾燥させて起爆混合物を得
た。
この起爆混合物を用いて、雷管Yを作製した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で105mmの高さ
で発火し、比較例1(115mm)に比べやや鋭感であった。
この起爆混合物の摩擦感度は、JIS2級であった。
(実施例11)
ニッケルヒドラジン硝酸塩90重量部にガラス粉末10重量部とステアリン酸亜鉛0.
1重量部を添加し、アセトンを適宜加えながら良く混ぜた後、乾燥させて起爆混合物を得
た。
この起爆混合物を用いて、雷管Yを作製した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で125mmの高さ
で発火し、比較例1(115mm)に比べやや鈍感であった。
この起爆混合物の摩擦感度は、JIS2級であった。
(実施例12)
ニッケルヒドラジン硝酸塩90重量部にガラス粉末10量部とステアリン酸マグネシウ
ム0.1重量部を添加し、アセトンを適宜加えながら良く混ぜた後、乾燥させて起爆混合
物を得た。
この起爆混合物を用いて、雷管Yを作製した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で107mmの高さ
で発火し、比較例1(115mm)に比べやや鋭感であった。
この起爆混合物の摩擦感度は、JIS2級〜3級であった。
(実施例13)
ニッケルヒドラジン硝酸塩75重量部にDDNP15重量部、ガラス粉末10量部およ
び炭酸マグネシウム0.1重量部を添加し、アセトンを適宜加えながら良く混ぜた後、乾
燥させて起爆混合物を得た。
この起爆混物を用いて、雷管Yを作製した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で84mmの高さで
発火し、比較例1(115mm)に比べ非常に鋭感であった。
この起爆混合物の摩擦感度は、JIS2級であった。
(実施例14)
ニッケルヒドラジン硝酸塩60重量部にDDNP30重量部、ガラス粉末10量部およ
びステアリン酸亜鉛0.1重量部を添加し、アセトンを適宜加えながら良く混ぜた後、乾
燥させて起爆混合物を得た。
この起爆混合物を用いて、雷管Yを作製した。
落球式撃発雷管感度試験器で発火試験を実施した結果、55g鋼球で80mmの高さで
発火し、比較例1(115mm)に比べ非常に鋭感であった。
この起爆混合物の摩擦感度は、JIS1級であった。
(表1)
Figure 2006207868
表2は、第二実施形態に係る撃発雷管Yを用いて行った実施例9乃至実施例14を示す

ここでは、摩擦感度において、実施例9〜実施例13で2級〜3級と鈍感化している。
実施例14は、ニッケルヒドラジン硝酸塩の平均粒子径0.67μmと超微細なためと
増感剤としてDDNPを30重量部と多めに混合しているので1級となった。
また、ここでは、鈍化剤としては、炭酸マグネシウムやステアリン酸マグネシウム等の
マグネシウム塩を用いることで鈍感化効果が上がることが分かった。
(表2)
Figure 2006207868
(a)第一実施形態の衝撃式火工品に係る、雷管の断面図である。 (b)図1aの上面からみた図である。 図1の雷管を組み込んだ薬きょうの断面図である。 第二実施形態の衝撃式火工品に係る、起爆筒の断面図である。 図3の起爆筒を組み込んだ砲弾の信管部分図である。 落球式撃発雷管感度試験器の概要断面図である。
符号の説明
1 雷管(撃発雷管)
2 管体
3 開口部
4 底部
5 発火金
6,37 起爆混合物
7 紙箔
9 打撃面
11 火炎孔
20 薬きょう
21 外殻部
22 外側底部
23 推進薬
24 凹部
25 火炎通路
26,33 空洞部
30 起爆筒
34 管体
35 前部塞板
36 後部塞板
40,41 カシメ部
50 弾頭部
53 撃針
54 撃針通路
55 収容部
56 保持部材
57 爆薬(炸薬)
60 落球撃発雷管感度試験器

Claims (7)

  1. 爆粉、起爆薬および添装薬のいずれか1種以上の装薬を収容する管体を有し前記管体内
    の装薬を衝撃的手段で発火させる衝撃式火工品において、
    前記管体内に収容する装薬が金属ヒドラジン硝酸塩を有することを特徴とする衝撃式火工
    品。
  2. 前記金属ヒドラジン硝酸塩は、平均粒子径が30μm〜0.1μmであることを特徴と
    する請求項1記載の衝撃式火工品。
  3. 前記金属ヒドラジン硝酸塩は、ニッケルヒドラジン硝酸塩またはコバルトヒドラジン硝
    酸塩であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の衝撃式火工品。
  4. 前記管体内の装薬は、金属ヒドラジン硝酸塩に衝撃発火感度を高める増感剤を混合して
    成る起爆混合物(爆粉)を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項
    記載の衝撃式火工品。
  5. 前記増感剤は、ガラス粉、三硫化アンチモン、テトラセン、ケイ化カルシウム、DDN
    P、硝酸塩、過塩素酸塩、塩素酸カリウムおよび硫黄等の非鉛化合物から選ばれる少なく
    とも1種以上であることを特徴とする請求項4記載の衝撃式火工品。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の衝撃式火工品に有する金属ヒドラジン硝酸
    塩に、摩擦感度を低減するため0.02〜0.20重量%の鈍化剤を添加することを特徴
    とする衝撃式火工品。
  7. 前記鈍化剤は、ステアリン酸金属塩、炭酸塩および蓚酸塩から選ばれる少なくとも1種
    以上であることを特徴とする請求項6記載の衝撃式火工品。
JP2005017620A 2005-01-26 2005-01-26 金属ヒドラジン硝酸塩を有する衝撃式火工品 Pending JP2006207868A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005017620A JP2006207868A (ja) 2005-01-26 2005-01-26 金属ヒドラジン硝酸塩を有する衝撃式火工品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005017620A JP2006207868A (ja) 2005-01-26 2005-01-26 金属ヒドラジン硝酸塩を有する衝撃式火工品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006207868A true JP2006207868A (ja) 2006-08-10

Family

ID=36964938

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005017620A Pending JP2006207868A (ja) 2005-01-26 2005-01-26 金属ヒドラジン硝酸塩を有する衝撃式火工品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006207868A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2448771A (en) * 2007-04-28 2008-10-29 S Rafi Ahmad Means for achieving low order detonation of a device filled with a metal oxyanion / bidentate fuel ligand complex by means of a low power diode laser
JP2010024065A (ja) * 2008-07-16 2010-02-04 Showa Kinzoku Kogyo Kk 無鉛爆粉
JP2011121858A (ja) * 2009-11-16 2011-06-23 Nippon Koki Co Ltd 雷管用起爆剤組成物
CN108398062A (zh) * 2018-03-21 2018-08-14 中国工程物理研究院电子工程研究所 可拆卸式防冲击引信

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2448771A (en) * 2007-04-28 2008-10-29 S Rafi Ahmad Means for achieving low order detonation of a device filled with a metal oxyanion / bidentate fuel ligand complex by means of a low power diode laser
JP2010024065A (ja) * 2008-07-16 2010-02-04 Showa Kinzoku Kogyo Kk 無鉛爆粉
JP2011121858A (ja) * 2009-11-16 2011-06-23 Nippon Koki Co Ltd 雷管用起爆剤組成物
CN108398062A (zh) * 2018-03-21 2018-08-14 中国工程物理研究院电子工程研究所 可拆卸式防冲击引信

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ahmad et al. Laser ignition of energetic materials
US8230789B1 (en) Method and apparatus for a projectile incorporating a metastable interstitial composite material
US8128766B2 (en) Bismuth oxide primer composition
JP2545161B2 (ja) 爆発信号伝達装置の信号遅延装置
JPH0725627B2 (ja) 非1次爆薬式起爆装置
EP0122012B1 (en) Impact sensitive high temperature detonator
JPH09506326A (ja) 撃発火管用鉛非含有起爆混合物
US3911823A (en) Pyrotechnic devices
US4480551A (en) Point-detonating variable time-delayed fuze
KR20100095314A (ko) 유탄의 자폭장치
JP2009527453A (ja) 点火剤組成物及び用途
US6253680B1 (en) Diversionary device
JP2006207868A (ja) 金属ヒドラジン硝酸塩を有する衝撃式火工品
KR102448409B1 (ko) 파이로테크닉 장약을 갖는 발사체
RU2083948C1 (ru) Детонирующее устройство механического взрывателя
JP2007046889A (ja) 金属ヒドラジン硝酸塩を有する電気式火工品
CA3031356A1 (en) A method of and a cartridge for disarming an unexploded blasting charge in a drill hole
RU2233428C1 (ru) Детонирующее устройство механического взрывателя
US4676163A (en) Double-path detonation tube inertia igniter
JPH028697A (ja) 爆薬の多方向性起爆方法及びこれに用いる装置
BR112017013554B1 (pt) Composição de espoleta
US10317182B1 (en) Foamed celluloid delay fuze
JPH06249594A (ja) 雷 管
AU2013346947B2 (en) Detonator-sensitive assembled booster charges for use in blasting engineering and the use thereof
RU2153147C1 (ru) Детонирующее устройство механического взрывателя