JP6006157B2 - 高圧鋳造における離型剤塗布方法および装置 - Google Patents
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Description
ところで、近年は環境保護の観点より工場廃液の廃棄処分量を削減することが求められている。この離型剤の再利用に関する処理技術として、金型へ塗布された離型剤を回収・再処理して再処理離型剤(以下、再処理液という)とし、これを循環再利用するものがある。
また、離型剤を回収する初期の段階で作動油や潤滑油の混入を最小限にして再処理し、高度な再処理液として離型剤の再使用率を高めるようにした、高度離型剤再生システムもある(特許文献1参照)。
選択された離型剤(新液又は再処理液もしくは双方の混合液)は、再処理液配管12を通してホースノズル装置13へ送られ、ここから固定型1及び可動型2の各成形面へ塗布される。
塗布後の両金型から落下した離型剤は、ドレンパン3に集められて回収され、以後再処理される。
また、離型剤が塗布された両金型は型閉めされ、金型のキャビティに鋳物材料を注入することにより高圧鋳造される。
すなわち一般に、新液は製品表面を形成する固定型1の成形面1aに対して塗布することが必要であり、再処理液は製品裏面を形成する可動型2の成形面2aに対して塗布することが適している。
このため、仮に、再処理液に対して離型剤原液を加えて濃度調整することにより純度を高めても、残留している水溶性の作動油などの不純物が鋳造鋳肌の色味や外観を低下させる場合があり、高い外観品質が求められる部分に対しては使用しにくいものであった。
その結果、再処理液の利用機会が限られ、結果的に長期間使用しない再処理液については使用せずに廃棄処分することもあり、環境的にはマイナスになった。したがって、再処理液の使用機会を多くして使用効率を高くすることが望まれている。
しかし、このシステム導入に際して専用の回収装置を設けなければならないので、既存の設備を移設して工事することが必要であり、多額の費用がかかってしまう。その結果、このような高価なシステムの導入を回避することも望まれている。
金型(1・2)の離型剤塗布部分について、新液のみを塗布する新液限定部分と、新液に限定されず再処理液の使用可能な非限定部分とに区分し、
これらの新液限定部分と非限定部分とに応じて、新液と再処理液の使用を使い分けることを特徴とする。
前記非限定部分は、通常時において前記新液限定部分ほどの高い外観品質を求められない部分を形成する非高品質部(B)であることを特徴とする。
前記非高品質部(B)には、前記新液、再処理液又は新液と再処理液の混合液からなる3種類の離型剤のいずれかを使い分けて塗布することを特徴とする。
前記非高品質部(B)には、霧よりも大きな液滴の離型剤を塗布することを特徴とする。
前記金型(1・2)は、製品表面の少なくとも一部で高い外観品質が求められる部分を形成する高品質部(A)と、
通常時において前記高品質部(A)ほどの高い外観品質を求められない部分を形成する非高品質部(B)とを備え、
前記高品質部(A)には、前記新液のみを供給する新液専用配管(15)を介して新液のみを塗布し、
前記非高品質部(B)には、前記再処理液を供給可能に構成された再処理液配管(12)を介して離型剤を塗布するとともに、
これら新液専用配管(15)と再処理液配管(12)とを独立に設けてあることを特徴とする。
前記再処理液配管(12)は、前記噴霧ノズル装置(16)よりも吐出量の大きなホースノズル(13)へ接続され、このホースノズル(13)は前記非高品質部(B)へ向かって前記再処理液、新液もしくはこれらの混合液からなる離型剤を塗布することを特徴とする。
その結果、廃液処理量を抑えて環境負荷を少なくすることができ、環境対策としても効果を上げることができる。
このため、製品の外観品質に応じて、新液と再処理液を適切に使い分けることができる。
しかも、高価な高度離型剤再利用システムの導入を回避できるので、コストを抑制できる。
また、再処理液配管をホースノズルへ接続したので、このホースノズルから非高品質部へ向かって比較的安価な再処理液を大量に塗布することができ、コストを抑えるとともに、離型剤によるクーラント効果を期待することができる。
固定型1の成形面1aは、製品の外観面すなわち製品表面を形成する部分であり、比較的凹凸が少なく平滑な面をなす。この製品表面は高い外観品質が求められる部分であり、この部分を形成する成形面1aは高品質部Aをなし、この部分に用いられる離型剤は高純度のもの、すなわち新液が要求され、本願における新液限定部分にも相当する。
また、この離型剤は液ダレによる製品表面の外観品質低下を防ぐため、少量塗布が求められる。但し、この部分に使用する離型剤には、クーラント効果(冷却効果)はあまり要求されていない。
さらに、可動型2側は、金型の特性上、比較的凹凸が大きく複雑な金型面を有するため、大量に離型剤を塗布することで離型剤により金型側を直接冷却するクーラント効果が要求される部分である。
すなわち、一般的に金型面を冷却するため金型内部に冷却管路等からなる冷却構造が設けられているが、金型面に大きな凹凸がある場合、冷却管等を凸部の先端まで設置できないから、凸部は冷却されにくくなる。その結果、この凸部に対しては大量の離型剤塗布により冷却することが必要になる。また、冷却構造を設けることにより、金型が複雑化することを回避したり、金型面が薄肉化することによる強度低下を防ぐ場合にも、冷却構造による冷却に代わり、もしくは冷却性能を補完するために、大量の離型剤塗布により冷却することが必要になる。
ホースノズル装置13は、分配管とこれに取付けられた複数のホースノズルで構成され、固定型1と可動型2の間へ進退自在に設けられている。また、可動型2専用として、可動型2の成形面2aに対面して配置され、クーラント効果を生じるように、比較的大量の離型剤(例えば、750cc/秒程度)を可動型2の成形面へ塗布できるようになっている。
なお、バルブ11をボリューム式とせず、一定割合の混合液のみを作成するようにしてもよい。また、混合液を作成せず、再処理液のみもしくは新液のみのいずれかを再処理液配管12へ送るようにしてもよい。
ポンプ14は新液専用コントロール装置17により駆動制御され、所定の吐出量で新液タンク9の新液が噴霧ノズル装置16へ圧送される。
これに対してホースノズル装置13は、例えば、霧状粒子よりも大きな液滴、もしくはホースから吐出される液滴化しない連続した液流で、金型面を塗布された液が流れる程に大量の離型剤を塗布するものであり、噴霧に対して塗布液量が桁違いに大きくなる。以下、噴霧ノズル装置16による霧状塗布(噴霧)に対して、ホースノズル装置13による塗布を液状塗布ということにする。
金型面に対する塗布後の現象においては、噴霧による液ダレはほとんど生じないが、液状塗布の場合は明確な液ダレを生じるという相違がある。
また、固定型1の成形面1aにおける高品質部Aには、高純度の新液のみが少量噴霧されているだけなので、液ダレがなく、製品表面は高い外観品質を形成できる。
その結果、廃液処理量を抑えて環境負荷を少なくすることができ、環境対策としても効果を上げることができる。
したがって、高品質部Aにのみ新液を塗布し、それ以外の部分である非高品質部Bには、通常時は再処理液もしくは混合液を使用することが可能になった。
このため、製品の外観品質に応じて、新液と再処理液を適切に使い分けることができる。
しかも、高価な高度離型剤再利用システムの導入を回避できるので、コストを抑制できる。
そのうえ、再処理液配管12をホースノズル装置13へ接続したので、このホースノズル装置13から可動型2の成形面2a(非高品質部B)へ向かって比較的安価な再処理液を大量に塗布することができ、コストを抑えるとともに、離型剤によるクーラント効果を期待することができる。
図2は、固定型1の成形面1aを示す。この成形面1aには、高品質部A及び非高品質部Bが混在する。
そこで、可動部20を固定型1の非高品質部Bへ向けた状態にして、可動部20より非高品質部Bへ向けて、再処理液又は混合液を塗布できる。さらに、新液を塗布することもできる。
また、成形面1aに対する新液の塗布は、高品質部Aに限定される霧状塗布であるから、新液の使用量をさらに抑制でき、しかも、再処理液の使用効率をより高くすることができる。
20:可動部
Claims (12)
- 高圧鋳造に用いる金型に離型剤を塗布するに際して、未使用である離型剤の新液とともに、既に塗布された離型剤を回収して再処理した再処理液を使用する方法において、
金型(1・2)の離型剤塗布部分について、新液のみを塗布する新液限定部分と、新液に限定されず再処理液の使用可能な非限定部分とに区分し、
これらの新液限定部分と非限定部分とに応じて、新液と再処理液の使用を使い分けることを特徴とする高圧鋳造における離型剤塗布方法。 - 前記新液限定部分は、製品表面の少なくとも一部で高い外観品質が求められる部分を形成する高品質部(A)であり、
前記非限定部分は、通常時において前記新液限定部分ほどの高い外観品質を求められない部分を形成する非高品質部(B)であることを特徴とする請求項1に記載した高圧鋳造における離型剤塗布方法。 - 前記高品質部(A)には前記新液のみを塗布し、
前記非高品質部(B)には、前記新液、再処理液又は新液と再処理液の混合液からなる3種類の離型剤のいずれかを使い分けて塗布することを特徴とする請求項2に記載した高圧鋳造における離型剤塗布方法。 - 前記高品質部(A)には前記新液を霧状に塗布し、
前記非高品質部(B)には、霧よりも大きな液滴の離型剤を塗布することを特徴とする請求項2又は3に記載した高圧鋳造における離型剤塗布方法。 - 高圧鋳造に用いる金型(1・2)に離型剤を塗布するに際して、未使用である離型剤の新液とともに、既に塗布された離型剤を再処理した再処理液を使用する装置において、
前記金型(1・2)は、製品表面の少なくとも一部で高い外観品質が求められる部分を形成する高品質部(A)と、
通常時において前記高品質部(A)ほどの高い外観品質を求められない部分を形成する非高品質部(B)とを備え、
前記高品質部(A)には、前記新液のみを供給する新液専用配管(15)を介して新液のみを塗布し、
前記非高品質部(B)には、前記再処理液を供給可能に構成された再処理液配管(12)を介して離型剤を塗布するとともに、
これら新液専用配管(15)と再処理液配管(12)とを独立に設けてあることを特徴とする高圧鋳造における離型剤塗布装置。 - 前記再処理液配管(12)は、バルブ(11)を介して再処理液タンク(8)と新液タンク(9)に接続しており、このバルブ(11)を切り替えることにより、前記再処理液配管(12)へ送られる離型剤を、新液又は再処理液もしくはこれらの混合液のいずれかを選択できるようにしたことを特徴とする請求項5に記載した高圧鋳造における離型剤塗布装置。
- 前記バルブ(11)は前記混合液の調整に際して、前記新液と再処理液の混合比を調整自在であることを特徴とする請求項6に記載した高圧鋳造における離型剤塗布装置。
- 前記新液タンク(9)に接続する新液用の配管は、前記新液タンク(9)と前記バルブ(11)を接続する新液分岐管(9a)と、前記新液専用配管(15)とを備え、一つの新液タンク(9)に対して、これら新液分岐管(9a)と新液専用配管(15)とが2本設置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載した高圧鋳造における離型剤塗布装置。
- 前記新液専用配管(15)は噴霧ノズル装置(16)へ接続され、この噴霧ノズル装置(16)は前記高品質部(A)へ向かって前記新液を霧状に塗布し、
前記再処理液配管(12)は、前記噴霧ノズル装置(16)よりも吐出量の大きなホースノズル(13)へ接続され、このホースノズル(13)は前記非高品質部(B)へ向かって前記再処理液、新液もしくはこれらの混合液からなる離型剤を塗布することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載した高圧鋳造における離型剤塗布装置。 - 前記高品質部(A)は固定型(1)の成形面(1a)に形成され、前記非高品質部(B)は可動型(2)の成形面(2a)に形成されていることを特徴とする請求項9に記載した高圧鋳造における離型剤塗布装置。
- 前記固定型(1)の成形面(1a)には、前記高品質部(A)と前記非高品質部(B)とが設けられ、この非高品質部(B)には前記再処理液、新液もしくはこれらの混合液からなる離型剤が塗布されることを特徴とする請求項10に記載した高圧鋳造における離型剤塗布装置。
- 前記ホースノズル(13)は少なくとも一部に塗布方向を変える可動部(20)を備え、この可動部(20)を前記固定型(1)の前記非高品質部(B)へ向けて離型剤を塗布することを特徴とする請求項11に記載した高圧鋳造における離型剤塗布装置。
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