JP6003616B2 - 冷凍装置 - Google Patents

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本発明は、冷凍装置に関する。
従来、特許文献1(特開2009−127902号公報)に開示の冷凍装置のように、R32冷媒を使用した冷凍装置が存在する。R32冷媒を使用する冷凍装置では、R410A冷媒を使用する場合と比べて、圧縮機の吐出温度が高くなる傾向がある。そこで、特許文献1に開示の冷凍装置では、凝縮器と蒸発器との間に配置される気液分離器を出た液冷媒の一部を、圧縮機へとバイパスさせている。ここで、この冷凍装置では、気液分離器と圧縮機との間に、膨張弁および内部熱交換器を配置しており、膨張弁によって気液分離器から出た液冷媒の一部を中間圧まで減圧し、中間圧まで減圧した冷媒を、内部熱交換器によってフラッシュガスの状態に変化させている。そして、この中間圧のフラッシュガスの状態の冷媒を圧縮機へ流入させている。
特許文献1に開示の冷凍装置では、圧縮機の吐出温度が所定温度以上となった場合に、上記膨張弁を開く。すなわち、バイパスを行わない場合は、膨張弁は閉状態をとることになる。
しかし、膨張弁が閉状態をとるとき、圧縮機における圧縮室への流入口となるポートから膨張弁までの空間も圧縮室の一部となり、圧縮室が実質的に大きくなると考えられる。このため、圧縮効率が低下することが懸念される。
そこで、本発明の課題は、圧縮機における圧縮効率の低下を抑制できる冷凍装置を提供することにある。
本発明の第1観点に係る冷凍装置は、冷媒としてR32を使う冷凍装置であって、圧縮機と、凝縮器と、膨張機構と、蒸発器と、中間インジェクション流路と、流量調整機構と、制御部と、を備える。圧縮機は、吸入流路から低圧の冷媒を吸入し、冷媒の圧縮を行って高圧の冷媒を吐出する。凝縮器は、圧縮機から吐出された高圧の冷媒を凝縮させる。膨張機構は、凝縮器を出た高圧冷媒を膨張させる。蒸発器は、膨張機構で膨張した冷媒を蒸発させる。中間インジェクション流路は、凝縮器から蒸発器に向かって流れる冷媒の一部を、圧縮機へと導き、圧縮機の中間圧の冷媒に合流させる。流量調整機構は、中間インジェクション流路に接続されて冷媒の流量を調整する。制御部は、膨張機構および流量調整機構を制御する。また、制御部は、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がある場合に、流量調整機構の開度を中間インジェクション用開度の範囲内で制御し、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合に、流量調整機構の開度を、全閉状態に近い非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する。
ここで、通常、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合、流量調整機構を全閉状態にすると考えられる。しかし、流量調整機構を全閉状態にしてしまうと、中間インジェクション流路において圧縮機から流量調整機構までの空間における冷媒圧力が、圧縮機の圧縮室における冷媒圧力よりも低くなる。このため、圧縮機の圧縮室と連通する中間インジェクション流路において、圧縮機から流量調整機構までの空間によって、圧縮機における圧縮室の容積が実質的に大きくなる。このため、圧縮機における圧縮効率が低下することが懸念される。
そこで、本発明では、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合であっても、流量調整機構の開度を非中間インジェクション用開度の範囲内で制御している。ここで、非中間インジェクション用開度とは、例えば、中間インジェクション流路(具体的には、流量調整機構から圧縮機までの空間)の冷媒圧力が、圧縮機の圧縮室から中間インジェクション流路に冷媒が逆流しないような冷媒圧力に保たれる開度である。また、中間インジェクション用開度とは、例えば、全開又は全開状態に近い開度である。
このように、本発明では、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合であっても、流量調整機構の開度を非中間インジェクション用開度の範囲内で制御することによって、中間インジェクション流路の冷媒圧力を、圧縮機の圧縮室の冷媒圧力よりも高い状態に維持できる。これにより、圧縮機の圧縮室における冷媒が中間インジェクション流路に逆流するのを回避できる。よって、圧縮機における圧縮室の容積の実質的な増大を低減できる。従って、圧縮機における圧縮効率の低減を抑制できる。
本発明の第2観点に係る冷凍装置は、本発明の第1観点に係る冷凍装置であって、吐出圧力センサ、をさらに備える。吐出圧力センサは、圧縮機から吐出された冷媒の圧力を検知するセンサである。制御部は、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合、流量調整機構の開度を、非中間インジェクション用開度の範囲内にある固定開度に制御する、或いは、吐出圧力センサによって検知される吐出冷媒圧力に基づいて非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する。
本発明では、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合は、吐出圧力に基づいて流量調整機構の開度を制御することによって、圧縮機手前の冷媒圧力を、圧縮機における冷媒が逆流しないような冷媒圧力に維持できる。
このように、本発明では、流量調整機構の開度を適切し、適切な能力向上を図ることができる。
本発明の第3観点に係る冷凍装置は、本発明の第2観点に係る冷凍装置であって、吸入インジェクション流路をさらに備える。吸入インジェクション流路は、凝縮器から蒸発器に向かって流れる冷媒の一部を、吸入流路へと導き、圧縮機に吸入される低圧の冷媒に合流させる。
本発明では、中間インジェクション流路と、吸入インジェクション流路とを備えている。よって、凝縮器から蒸発器に向かって流れる冷媒の一部を、中間インジェクション流路を使って圧縮機の中間圧の冷媒に合流させることも、吸入インジェクション流路を使って吸入流路において圧縮機に吸入される低圧の冷媒に合流させることも可能になる。よって、中間インジェクション流路を使うと運転効率が悪化する場合においても、吸入インジェクション流路を使って圧縮機の吐出冷媒温度を低下させることができる。
本発明の第4観点に係る冷凍装置は、本発明の第3観点に係る冷凍装置であって、開閉機構をさらに備える。開閉機構は、吸入インジェクション流路に冷媒を流す開状態と、吸入インジェクション流路に冷媒を流さない閉状態と、を切替可能である。制御部は、開閉機構を閉状態に制御するときに、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要があるとして流量調整機構の開度を中間インジェクション用開度の範囲内で制御する。他方、開閉機構を開状態に制御するときに、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がないとして流量調整機構の開度を非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する。
本発明では、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がある場合に、流量調整機構の開度を中間インジェクション用開度の範囲内で制御し且つ開閉機構を閉状態に制御することによって、凝縮器から蒸発器に向かって流れる冷媒の一部を、中間インジェクション流路を通って、圧縮機の中間圧の冷媒に合流させる。一方、中間インジェクションに冷媒を流す必要がない場合には、開閉機構を開状態に制御することによって、凝縮器から蒸発器に向かって流れる冷媒の一部が、主として吸入インジェクション流路に流れて吸入通路における低圧の冷媒に合流するようにしており、さらに、中間インジェクション流路の冷媒圧力を所定の冷媒圧力に維持するために、流量調整機構の開度を非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する。このように、本発明では、流量調整機構の開度を中間インジェクション用開度の範囲内で制御することによって、中間インジェクション流路に冷媒が流れる中間インジェクション状態を採ることができる。また、開閉機構を開状態に制御し流量調整機構の開度を非中間インジェクション用開度の範囲内で制御することによって、主として吸入インジェクション流路に冷媒が流れ、且つ、中間インジェクション流路にも多少冷媒が流れる吸入インジェクション状態を採ることができる。すなわち、中間インジェクション状態と吸入インジェクション状態とを切り替えることができる。よって、中間インジェクションでは運転効率が悪化する場合においても、中間インジェクション状態から吸入インジェクション状態に切り替えて圧縮機の吐出冷媒温度を低下させることができる。また、本発明では、吸入インジェクション状態において、流量調整機構を非中間インジェクション用開度の範囲内で制御することによって、中間インジェクション流路における冷媒圧力を所定の冷媒圧力に維持できる。よって、圧縮機から中間インジェクション流路への逆流を回避できる。
本発明の第5観点に係る冷凍装置は、本発明の第4観点に係る冷凍装置であって、分岐流路と、開度調整弁と、インジェクション用熱交換器とをさらに備える。分岐流路は、凝縮器と蒸発器とを結ぶメイン冷媒流路から分岐する流路である。開度調整弁は、分岐流路に設けられており、開度調整が可能である。インジェクション用熱交換器は、メイン冷媒流路を流れる冷媒と、分岐流路の開度調整弁の下流を流れる冷媒とを熱交換させる。そして、この冷凍装置では、インジェクション用熱交換器を出て分岐流路を流れる冷媒が、中間インジェクション流路又は吸入インジェクション流路に流れる。
本発明では、中間インジェクション流路或いは吸入インジェクション流路を介して圧縮機へと流れることになる冷媒が、分岐流路に設けられた開度調整弁で減圧されインジェクション用熱交換器で熱交換した冷媒となる。よって、開度調整弁の開度を調整制御することで、圧縮機の中間圧の冷媒或いは圧縮機に吸入される低圧の冷媒に合流させる冷媒を、過熱ガスにしたり、フラッシュガスにしたりすることが可能である。
これにより、例えば、通常は過熱を付けた冷媒ガスでインジェクションを行い、圧縮機の吐出冷媒温度が高くなったときに湿った気液二相のフラッシュガスで冷却重視のインジェクションを行うことが可能になる。
本発明の第6観点に係る冷凍装置は、本発明の第4観点に係る冷凍装置であって、冷媒貯留タンクと、バイパス流路と、を備える。冷媒貯留タンクは、凝縮器と蒸発器とを結ぶメイン冷媒流路に設けられている。バイパス流路は、冷媒貯留タンクの内部に溜まる冷媒のガス成分を、中間インジェクション流路および吸入インジェクション流路に導く。
本発明では、中間インジェクション流路或いは吸入インジェクション流路を介して圧縮機へと流れることになる冷媒が、冷媒貯留タンクの内部に溜まる冷媒のガス成分となる。すなわち、冷媒貯留タンクの中の冷媒の飽和ガスが、圧縮機へと流れることになる。このような構成を採る場合には、他にインジェクション用の液冷媒をフラッシュガスや過熱ガスに変換するための熱交換器などが不要になり、冷凍装置の製造コストを抑えることができる。
本発明の第7観点に係る冷凍装置は、本発明の第4観点〜第6観点のいずれかに係る冷凍装置であって、吐出温度センサをさらに備える。吐出温度センサは、圧縮機から吐出された冷媒の温度を検知する。制御部は、吐出温度センサによって検知される吐出冷媒温度が温度閾値よりも高く、且つ、圧縮機の回転数が回転数閾値よりも低いときに、開閉機構を開状態に制御し且つ流量調整機構の開度を非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する。
ここで、吐出温度センサが検知した吐出冷媒温度が温度閾値よりも高くなると、吐出冷媒温度が温度閾値を下回るように、凝縮器から蒸発器に向かって流れる冷媒の一部を直接或いは吸入流路を介して圧縮機にインジェクションすることが好ましい。但し、外気温が高いときの暖房運転など、熱負荷が小さく圧縮機の回転数を下げた運転を行っているときに、中間インジェクション制御を行うと、能力が上がって圧縮機が吐出する冷媒の圧力(高圧)が上がってしまう。よって、本発明の第7観点に係る冷凍装置では、吐出温度センサが検知した吐出冷媒温度が温度閾値よりも高く、且つ、圧縮機の回転数が回転数閾値よりも低いときに、吸入インジェクション制御を行っている。これにより、低負荷の場合であっても、無駄な能力アップを抑制して運転効率を確保しつつ、吸入インジェクション状態に制御することによって吐出冷媒温度を下げることができる。
本発明の第1観点に係る冷凍装置では、圧縮機における圧縮効率の低下を抑制できる。
本発明の第2観点に係る冷凍装置では、流量調整機構の開度を適切し、適切な能力向上を図ることができる。
本発明の第3観点に係る冷凍装置では、中間インジェクション流路を使うと運転効率が悪化する場合においても、吸入インジェクション流路を使って圧縮機の吐出冷媒温度を低下させることができる。
本発明の第4観点に係る冷凍装置では、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合であっても、流量調整機構の開度を非中間インジェクション用開度の範囲内で制御することによって、圧縮機から中間インジェクション流路への逆流を回避できる。
本発明の第5観点に係る冷凍装置では、開度調整弁の開度を調整制御することで、圧縮機の中間圧の冷媒或いは圧縮機に吸入される低圧の冷媒に合流させる冷媒を、過熱ガスにしたり、フラッシュガスにしたりすることが可能である。
本発明の第6観点に係る冷凍装置では、冷凍装置の製造コストを抑えることができる。
本発明の第7観点に係る冷凍装置では、低負荷の場合であっても、無駄な能力アップを抑制して運転効率を確保しつつ、吸入インジェクション制御によって温度閾値よりも高くなった吐出冷媒温度を下げることができる。
本発明の第1実施形態に係る空気調和装置の冷媒配管系統を示す図。 空気調和装置の制御部の制御ブロック図。 インジェクション制御の制御フローチャート。 中間インジェクション制御の制御フローチャート。 変形例Aに係る空気調和装置の冷媒配管系統を示す図。 第2実施形態に係る空気調和装置の冷媒配管系統を示す図。 第2実施形態に係る空気調和装置のインジェクション制御フローチャート。 第2実施形態に係る空気調和装置のインジェクション制御フローチャート。 第2実施形態に係る空気調和装置のインジェクション制御フローチャート。 第2実施形態に係る空気調和装置のインジェクション制御フローチャート。 第3実施形態に係る空気調和装置の冷媒配管系統を示す図。
<第1実施形態>
(1)空気調和装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置である空気調和装置10の冷媒配管系統を示す図である。
空気調和装置10は、冷媒配管方式の分散型の空気調和装置であって、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって建物内の各室を冷暖房する。空気調和装置10は、熱源ユニットとしての室外ユニット11と、多数の利用ユニットとしての室内ユニット12と、室外ユニット11と室内ユニット12とを接続する冷媒連絡管としての液冷媒連絡管13およびガス冷媒連絡管14とを備えている。すなわち、図1に示す空気調和装置10の冷媒回路は、室外ユニット11と、室内ユニット12と、冷媒連絡管13,14とが接続されることによって構成されている。
そして、図1に示す冷媒回路内には、冷媒が封入されており、後述のように、冷媒が圧縮され、冷却・凝縮され、減圧され、加熱・蒸発された後に、再び圧縮されるという冷凍サイクル運転が行われるようになっている。冷媒としては、R32が用いられる。R32は、温暖化係数が小さい低GWP冷媒であって、HFC系冷媒の一種である。また、冷凍機油として、R32に対していくらかの相溶性を有するエーテル系合成油が用いられる。
(2)空気調和装置の詳細構成
(2−1)室内ユニット
室内ユニット12は、各室の天井或いは側壁に設置されており、冷媒連絡管13,14を介して室外ユニット11に接続されている。室内ユニット12は、主として、減圧器である室内膨張弁42と、利用側熱交換器としての室内熱交換器50とを有している。
室内膨張弁42は、冷媒を減圧するための膨張機構であり、開度調整が可能な電動弁である。室内膨張弁42は、その一端が液冷媒連絡管13に接続され、その他端が室内熱交換器50に接続されている。
室内熱交換器50は、冷媒の蒸発器又は凝縮器として機能する熱交換器である。室内熱交換器50は、その一端が室内膨張弁42に接続され、その他端がガス冷媒連絡管14に接続されている。室内熱交換器50は、暖房運転時に、後述する圧縮機20から吐出された高圧の冷媒を凝縮させる凝縮器として機能し、冷房運転時に、室内膨張弁42で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
室内ユニット12は、さらに室内ファン55を備えている。室内ファン55は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器50を流れる冷媒との間で熱交換をさせた後に、再び室内に供給する。
また、室内ユニット12は、各種のセンサや、室内ユニット12を構成する各部の動作を制御する室内制御部92を有している。室内制御部92は、室内ユニット12の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット12を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、後述する室外ユニット11の室外制御部91との間で伝送線93を介して制御信号等のやりとりを行ったりする。
(2−2)室外ユニット
室外ユニット11は、室内ユニット12が配備される各室が存在する建物の外或いは建物の地下室などに設置され、冷媒連絡管13,14を介して室内ユニット12に接続されている。室外ユニット11は、主として、圧縮機20と、四路切換弁15と、室外熱交換器30と、室外膨張弁41と、ブリッジ回路70と、高圧レシーバ80と、インジェクション用電動弁63と、インジェクション用熱交換器64と、中間インジェクション電動弁66と、吸入インジェクション開閉弁68と、各種のセンサと、液側閉鎖弁17と、ガス側閉鎖弁18と、圧縮機付属容器28と、を有している。
(2−2−1)圧縮機
圧縮機20は、圧縮機用モータによって駆動され密閉式圧縮機である。圧縮機20は、本実施形態において1台のみであるが、これに限定されず、室内ユニット12の接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されていてもよい。圧縮機20は、圧縮機付属容器28を介して吸入流路27から低圧のガス冷媒を吸入し、冷媒の圧縮を行って高圧の冷媒を吐出する。なお、この圧縮機20は中間インジェクションポート23を備えるものであるが、中間インジェクションポート23については後述する。
(2−2−2)四路切換弁
四路切換弁15は、冷媒の流れ方向を切り換えるための機構である。冷房運転時には、室外熱交換器30を圧縮機20によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能させ、且つ、室内熱交換器50を室外熱交換器30において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、四路切換弁15は、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29と室外熱交換器30の一端とを接続するとともに、圧縮機20の吸入側の吸入流路27(圧縮機付属容器28を含む)とガス側閉鎖弁18とを接続する(図1の四路切換弁15の実線を参照)。また、暖房運転時には、室内熱交換器50を圧縮機20によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能させ、且つ、室外熱交換器30を室内熱交換器50において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、四路切換弁15は、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29とガス側閉鎖弁18とを接続するとともに、吸入流路27と室外熱交換器30の一端とを接続する(図1の四路切換弁15の破線を参照)。本実施形態において、四路切換弁15は、吸入流路27、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29、室外熱交換器30およびガス側閉鎖弁18に接続された四方弁である。
(2−2−3)室外熱交換器
室外熱交換器30は、冷媒の凝縮器又は蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器30は、その一端が四路切換弁15に接続されており、その他端が室外膨張弁41に接続されている。室外熱交換器30は、冷房運転時に、圧縮機20から吐出された高圧の冷媒を凝縮させる凝縮器として機能し、暖房運転時に、室外膨張弁41で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
室外ユニット11は、ユニット内に室外空気を吸入して再び室外に排出するための室外ファン35を有している。室外ファン35は、室外空気と室外熱交換器30を流れる冷媒との間で熱交換をさせるもので、室外ファン用モータによって回転駆動される。なお、室外熱交換器30の熱源は、室外空気に限定されるものではなく、水などの別の熱媒体であってもよい。
(2−2−4)室外膨張弁
室外膨張弁41は、冷媒の凝縮器として機能する室外熱交換器30又は室内熱交換器50から出た高圧冷媒を膨張させる膨張機構であり、開度調整が可能な電動弁である。室外膨張弁41は、その一端が室外熱交換器30に接続され、その他端がブリッジ回路70に接続されている。
(2−2−5)ブリッジ回路
ブリッジ回路70は、4つの逆止弁71、72、73、74を有している。入口逆止弁71は、室外熱交換器30から高圧レシーバ80へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。出口逆止弁72は、高圧レシーバ80から室内熱交換器50へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。入口逆止弁73は、室内熱交換器50から高圧レシーバ80へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。出口逆止弁74は、高圧レシーバ80から室外膨張弁41を経て室外熱交換器30へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。すなわち、入口逆止弁71,73は、室外熱交換器30および室内熱交換器50の一方から高圧レシーバ80に冷媒を流す機能を果たし、出口逆止弁72,74は、高圧レシーバ80から室外熱交換器30および室内熱交換器50の一方に冷媒を流す機能を果たす。
(2−2−6)高圧レシーバ
高圧レシーバ80は、冷媒貯留タンクとして機能する容器であり、室外膨張弁41と液側閉鎖弁17との間に設けられている。冷房運転時にも暖房運転時にも高圧の冷媒が流れ込む高圧レシーバ80は、そこに溜まる余剰冷媒の温度が比較的高く保たれるため、冷凍機油を含む余剰冷媒が二層分離して上部に冷凍機油が集まってしまうという不具合を生じないようにすることができる。
(2−2−7)インジェクション用熱交換器および電動弁
高圧レシーバ80の出口とブリッジ回路70の出口逆止弁72,74との間には、インジェクション用熱交換器64が設けられている。また、高圧レシーバ80の出口とインジェクション用熱交換器64とを結ぶメイン冷媒流路11aの一部分からは、分岐管62(分岐流路に相当)が分岐している。メイン冷媒流路11aは、室外熱交換器30と室内熱交換器50とを結ぶ液冷媒の主流路である。高圧レシーバ80は、メイン冷媒流路11aのうち、室外膨張弁41と液側閉鎖弁17との間に設けられていることになる。
分岐管62には、開度調整可能な開度調整弁としてのインジェクション用電動弁63が設けられている。また、分岐管62は、インジェクション用熱交換器64の第2流路64bに接続されている。すなわち、インジェクション用電動弁63が開いているとき、メイン冷媒流路11aから分岐管62へと分岐した冷媒は、インジェクション用電動弁63で減圧され、インジェクション用熱交換器64の第2流路64bに流れる。なお、インジェクション用熱交換器64の第2流路64bは、分岐管62の一部を構成している。
インジェクション用電動弁63で減圧されてインジェクション用熱交換器64の第2流路64bに流れた冷媒は、インジェクション用熱交換器64の第1流路64aを流れる冷媒と熱交換する。インジェクション用熱交換器64の第1流路64aは、メイン冷媒流路11aの一部を構成している。このインジェクション用熱交換器64を出て分岐管62を流れる冷媒は、後述する中間インジェクション流路65或いは吸入インジェクション流路67に流れ込むことになる。
インジェクション用熱交換器64は、二重管構造を採る内部熱交換器であり、上述のように、主流路であるメイン冷媒流路11aを流れる冷媒と、インジェクションのためのメイン冷媒流路11aから分岐した分岐管62を流れるインジェクションのための冷媒との間で熱交換を行わせる。インジェクション用熱交換器64の第1流路64aの一端は高圧レシーバ80の出口に接続されており、他端はブリッジ回路70の出口逆止弁72,74に接続されている。
(2−2−8)液側閉鎖弁およびガス側閉鎖弁
液側閉鎖弁17は、室外ユニット11と室内ユニット12との間で冷媒をやりとりするための液冷媒連絡管13が接続される弁である。ガス側閉鎖弁18は、室外ユニット11と室内ユニット12との間で冷媒をやりとりするためのガス冷媒連絡管14が接続される弁であり、四路切換弁15に接続されている。ここで、液側閉鎖弁17およびガス側閉鎖弁18は、サービスポートを備えた三方弁である。
(2−2−9)圧縮機付属容器
圧縮機付属容器28は、四路切換弁15と圧縮機20との間の吸入流路27に配置されており、過渡的に液成分を多く含む冷媒が流れ込んできたときに、圧縮機20に液冷媒が吸入されることを防止する役割を果たす。ここでは圧縮機付属容器28を設けているが、これに加えて圧縮機20への液バックを防止するためのアキュムレータを吸入流路27に配しても良い。
(2−2−10)中間インジェクション電動弁および吸入インジェクション開閉弁
吸入流路27のうち、圧縮機付属容器28と圧縮機20とを結ぶ配管には、配管から構成される吸入インジェクション流路67が接続されている。吸入インジェクション流路67は、室外熱交換器30および室内熱交換器50の一方から他方に向かって流れる冷媒の一部を、吸入流路27へと導き、圧縮機20に吸入される低圧の冷媒に合流させる。具体的には、吸入インジェクション流路67は、上述の分岐管62のインジェクション用熱交換器64の下流側の部分と、吸入流路27とを結んでいる。
また、上述のように、圧縮機20には、中間インジェクションポート23が設けられている。中間インジェクションポート23は、圧縮機20における圧縮途中の中間圧の冷媒に対して外部から冷媒を流し込むための冷媒導入用ポートである。この中間インジェクションポート23には、配管から構成される中間インジェクション流路65が接続されている。中間インジェクション流路65は、室外熱交換器30および室内熱交換器50の一方から他方に向かって流れる冷媒の一部を、圧縮機20へと導き、中間インジェクションポート23を介して圧縮機20の中間圧の冷媒に合流させる。具体的には、中間インジェクション流路65は、上述の分岐管62のインジェクション用熱交換器64の下流側の部分と、中間インジェクションポート23とを結んでいる。
そして、吸入インジェクション流路67には、開閉機構としての吸入インジェクション開閉弁68が接続されている。吸入インジェクション開閉弁68は、開状態と閉状態とを切替可能な電磁弁である。開状態では、吸入インジェクション流路67に冷媒が流れる。他方、閉状態では、吸入インジェクション流路67に冷媒が流れない。
また、中間インジェクション流路65には、中間インジェクション電動弁66が接続されている。中間インジェクション電動弁66は、開度調整が可能であり、中間インジェクション流路65を流れる冷媒の流量を調整する流量調整機構として機能する。この中間インジェクション電動弁66は、後述するが、中間インジェクションを行うときも中間インジェクションを行わないとき(すなわち、吸入インジェクションを行うときやインジェクションを行わないとき)も、開状態を採る。但し、中間インジェクションを行うときと、中間インジェクションを行わないときとで、その開度が異なるように制御される。
なお、圧縮機20を、2台の圧縮機が直列に配されたものに代えて、低段圧縮機の吐出ポートと高段圧縮機の吸入ポートとを結ぶ冷媒配管に中間インジェクション流路65を接続する構成とすることも可能である。
図1に示すように、インジェクション用熱交換器64を通って圧縮機20へと延びる分岐管62の先端は、二股管を介して、中間インジェクション流路65と吸入インジェクション流路67とに繋がっている。中間インジェクション電動弁66が開状態のときには、インジェクション用熱交換器64を通って分岐管62を流れてくる冷媒が中間インジェクション流路65から中間インジェクションポート23に注入される。一方、吸入インジェクション開閉弁68が開状態のときには、分岐管62を流れてくる冷媒が吸入インジェクション流路67から吸入流路27に注入されて圧縮機20に吸入される。このように、本実施形態では、原則として、中間インジェクション電動弁66と吸入インジェクション開閉弁68とが、一方が開状態且つ他方が閉状態に切り替わることにより、中間インジェクション流路65に冷媒が流れる状態と、吸入インジェクション流路67に主に冷媒が流れる状態と、を切り替えている。但し、吸入インジェクション流路67に主に冷媒が流れる状態においては、中間インジェクション流路65における冷媒圧力を所定圧力に維持するために、中間インジェクション電動弁66を少し開けている。これについては、後に説明する。
(2−2−11)センサ
圧縮機20の吐出側の冷媒配管29には、圧縮機20から吐出された冷媒の圧力である吐出冷媒圧力を検知する吐出圧力センサ69と、圧縮機20から吐出された冷媒の温度である吐出冷媒温度を検知する吐出温度センサ95と、が装着されている。また、吸入流路27には、圧縮機20に吸入される冷媒の温度を検知する吸入温度センサが装着されている。また、分岐管62のインジェクション用熱交換器64の下流側には、インジェクション用熱交換器64での熱交換後の冷媒の温度を検知するインジェクション用温度センサ96が取り付けられている。
(2−2−12)その他
その他、室外ユニット11は、室外制御部91を有している。室外制御部91は、室外ユニット11の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット12の室内制御部92との間で伝送線93を介して制御信号等のやりとりを行う。
(2−3)冷媒連絡管
冷媒連絡管13,14は、室外ユニット11および室内ユニット12を設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管である。
(2−4)制御部
空気調和装置10の各種の運転制御を行う制御手段としての制御部90は、図1に示すように伝送線93を介して結ばれる室外制御部91および室内制御部92によって構成されている。制御部90は、図2に示すように、上述の各種センサ69,95,96,・・・の検出信号を受け、これらの検出信号等に基づいて各種機器20,35,41,42,55,63,66,68,・・・を制御する。
制御部90は、機能部として、室内熱交換器50を蒸発器として使う冷房運転を行うための冷房運転制御部90a、室内熱交換器50を凝縮器として使う暖房運転を行うための暖房運転制御部90b、冷房運転や暖房運転においてインジェクション制御を行うためのインジェクション制御部90cなどを備えている。
(3)空気調和装置の動作
次に、本実施形態に係る空気調和装置10の動作について説明する。なお、以下に説明する各種運転における制御は、運転制御手段として機能する制御部90によって行われる。
(3−1)冷房運転の基本動作
冷房運転時は、四路切換弁15が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機20からの吐出ガス冷媒が室外熱交換器30に流れ、且つ、吸入流路27がガス側閉鎖弁18に接続された状態となる。室外膨張弁41は全開状態に、室内膨張弁42は、開度調節されるようになる。なお、閉鎖弁17,18は開状態である。
この冷媒回路の状態において、圧縮機20から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁15を経由して、冷媒の凝縮器として機能する室外熱交換器30に送られ、室外ファン35によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却される。室外熱交換器30において冷却されて液化した高圧の冷媒は、インジェクション用熱交換器64で過冷却状態となり、液冷媒連絡管13を経由して各室内ユニット12に送られる。各室内ユニット12に送られた冷媒は、室内膨張弁42によってそれぞれ減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器50において室内空気と熱交換をし、蒸発して低圧のガス冷媒となる。そして、室内熱交換器50において加熱された低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管14を経由して室外ユニット11に送られ、四路切換弁15を経由して再び圧縮機20に吸入される。このようにして、室内の冷房が行われる。
室内ユニット12のうち一部の室内ユニット12だけが運転されている場合は、停止している室内ユニット12については、その室内膨張弁42が停止開度(例えば、全閉状態)にされる。この場合、運転停止中の室内ユニット12内を冷媒が殆ど通過しないようになり、運転中の室内ユニット12のみについて冷房運転が行われることになる。
(3−2)暖房運転の基本動作
暖房運転時は、四路切換弁15が図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29がガス側閉鎖弁18に接続され、且つ、吸入流路27が室外熱交換器30に接続された状態となる。室外膨張弁41および室内膨張弁42は、開度調節されるようになっている。なお、閉鎖弁17,18は開状態である。
この冷媒回路の状態において、圧縮機20から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁15およびガス冷媒連絡管14を経由して、各室内ユニット12に送られる。そして、各室内ユニット12に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の凝縮器として機能する室内熱交換器50において、それぞれ室内空気と熱交換を行って冷却された後、室内膨張弁42を通過し、液冷媒連絡管13を経由して室外ユニット11に送られる。冷媒が室内空気と熱交換を行って冷却される際に、室内空気は加熱される。室外ユニット11に送られた高圧の冷媒は、インジェクション用熱交換器64で過冷却状態となり、室外膨張弁41によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器30に流入する。室外熱交換器30に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン35によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱され、蒸発して低圧の冷媒となる。室外熱交換器30を出た低圧のガス冷媒は、四路切換弁15を経由して再び圧縮機20に吸入される。このようにして、室内の暖房が行われる。
(3−3)各運転におけるインジェクション制御
冷媒にR32を用いている空気調和装置10では、吐出冷媒温度が比較的高くなりやすい。そこで、本実施形態では、制御部90の機能部の1つであるインジェクション制御部90cが、冷房運転や暖房運転のときに、運転能力の向上や圧縮機20の吐出冷媒温度の低下を目的として、原則として中間インジェクション或いは吸入インジェクションを行う。
中間インジェクションとは、凝縮器から蒸発器に向かってメイン冷媒流路11aを流れる冷媒の一部を分岐させ、冷媒ガスを中間インジェクション流路65によって圧縮機20の中間インジェクションポート23に注入することである。吸入インジェクションとは、具体的には、凝縮器から蒸発器に向かってメイン冷媒流路11aを流れる冷媒の一部を分岐させ、冷媒ガスを吸入インジェクション流路67によって吸入流路27に注入して圧縮機20に吸入させることである。
このように、中間インジェクションや吸入インジェクションを行うことによって、圧縮機20の吐出冷媒温度を下げることができる。また、中間インジェクションは、運転能力を上げる効果を更に有する。
インジェクション制御部90cは、インバータ制御される圧縮機20の回転数(或いは周波数)と、圧縮機20から吐出されて吐出温度センサ95により検知される冷媒の吐出冷媒温度Tdiとに応じて、中間インジェクションを行わせる中間インジェクション制御、又は、吸入インジェクションを行わせる吸入インジェクション制御を実行する。但し、いずれのインジェクション制御も必要でないときには、これらのインジェクション制御を止める。インジェクション制御部90cは、中間インジェクション制御では、中間インジェクション電動弁66の開度を中間インジェクション用開度に制御し且つ吸入インジェクション開閉弁68を閉状態に制御する。これにより、中間インジェクション流路65に冷媒が流れ、吸入インジェクション流路67に冷媒が流れない。吸入インジェクション制御では、中間インジェクション電動弁66を非中間インジェクション用開度の範囲内で開状態に制御し且つ吸入インジェクション開閉弁68を開状態に制御する。これにより、主に吸入インジェクション流路67に冷媒が流れる状態にできる。すなわち、インジェクション制御部90cは、中間インジェクション制御、吸入インジェクション制御およびインジェクションを全く実施しない非インジェクション制御、を選択的に行う。
図3に、インジェクション制御部90cによるインジェクション制御のフローチャートを示す。
まず、ステップS1では、圧縮機20の回転数が、回転数閾値よりも大きいか否かを判断する。回転数閾値は、例えば、かなり小さな回転数であって、それよりも小さな回転数に設定できない値、或いは、それよりも回転数を落とすと圧縮機用モータの効率が低下してしまう値に設定される。
ステップS1において圧縮機20の回転数が回転数閾値以上であると判断されたときには、ステップS2において中間インジェクション制御が行われる。中間インジェクション制御では、吸入インジェクション開閉弁68を閉状態にする。また、中間インジェクション制御では、中間インジェクション電動弁66の開度を、中間インジェクション用開度に制御する。ここで、中間インジェクション用開度とは、全開状態又は全開状態に近い開度である。なお、中間インジェクション用開度は、制御部90のメモリに予め記憶されているものとする。図4に、中間インジェクション制御のフローチャートを示す。
中間インジェクション制御では、図4に示すように、ステップS21において、吐出温度センサ95が検知している圧縮機20の吐出冷媒の吐出冷媒温度Tdiが、温度閾値としての第1上限値よりも高いか否かが判断される。例えば、第1上限値は、95℃に設定される。吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも低い場合には、ステップS22において、インジェクション用温度センサ96が検知しているインジェクション用熱交換器64の下流側のインジェクション用の冷媒の温度Tshに基づいて、インジェクション用電動弁63の開度調整が為される。インジェクション制御部90cは、中間インジェクションされるガス冷媒が過熱ガスになるように、すなわち数℃の過熱度が付いたガス冷媒が中間インジェクション流路65に流れていくように、インジェクション用電動弁63の開度を制御する。これにより、適切な能力向上が図られる。
一方、ステップS21で吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いと判断された場合には、ステップS23において、圧縮機20の吐出冷媒の吐出冷媒温度Tdiに基づいて、インジェクション用電動弁63の開度が制御される。ここでは、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値を下回るように、中間インジェクションさせるガス冷媒を湿らせる湿り制御が行われる。すなわち、インジェクション制御部90cは、中間インジェクションの冷却効果を高めるため、中間インジェクションされるガス冷媒が気液二相のフラッシュガスになるようにインジェクション用電動弁63の開度を制御する。
このように、インジェクション制御部90cは、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要がある場合、すなわち、圧縮機20の回転数が回転数閾値以上の場合(ステップS1でYesであってステップS21でNoの場合)、又は、圧縮機20の回転数が回転数閾値以上の場合且つ吐出冷媒温度Tdiが第1上限値より高い場合(ステップS1でYesであってステップS21でYesの場合)に、インジェクション用電動弁63で開度調整を行い、中間インジェクション電動弁66の開度を、中間インジェクション用開度に制御している。
ステップS1において圧縮機20の回転数が回転数閾値を下回っているときには、ステップS3に移行し、圧縮機20の吐出冷媒の吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いか否かが判断される。ここで、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも低い場合には、圧縮機20を冷却する必要もなく、また圧縮機20の回転数をさらに小さくすることのメリットもない(すなわち、中間インジェクションを含むインジェクションをする必要がない)ため、中間インジェクションも吸入インジェクションも行わせない非インジェクション状態にする(図3のフローチャートでは説明を省略)。但し、非インジェクション状態では、吸入インジェクション開閉弁68は閉状態にするが、中間インジェクション電動弁66に関しては、非中間インジェクション用開度の範囲内で制御されることになる。この中間インジェクション電動弁66の開度調整は、吐出圧力センサ69によって検知される、圧縮機20から吐出された吐出冷媒圧力Pdiに基づいて行われる。
ステップS3で吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いと判断された場合には、ステップS4において吸入インジェクション制御が行われる。吸入インジェクション制御では、まず、圧縮機20の吐出冷媒の吐出冷媒温度Tdiに基づいて、インジェクション用電動弁63の開度を制御する。ここでは、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値を下回るように、吸入インジェクションさせるガス冷媒を湿らせる湿り制御が行われる。すなわち、インジェクション制御部90cは、吸入インジェクションの冷却効果を高めるため、吸入インジェクションされるガス冷媒が気液二相のフラッシュガスになるようにインジェクション用電動弁63の開度を制御する。また、吸入インジェクション制御では、吐出圧力センサ69によって検知される、圧縮機20から吐出された吐出冷媒圧力Pdiに基づいて、中間インジェクション電動弁66の開度を非中間インジェクション用開度の範囲内で制御し、吸入インジェクション開閉弁68を開状態に制御する。ここで、非中間インジェクション用開度の範囲とは、全閉状態を除く全閉状態に近い開度の範囲であり、中間インジェクション流路65の冷媒圧力を、圧縮機20の圧縮室における冷媒が中間インジェクション流路65に逆流しないような冷媒圧力に保つことができる開度の範囲である。すなわち、中間インジェクション流路65の冷媒圧力を中間圧よりも高く維持できる開度の範囲である。この非中間インジェクション用開度の範囲は、予め、制御部90のメモリに記憶されている。
なお、吐出温度センサ95で検知される圧縮機20の吐出冷媒の吐出冷媒温度Tdiが、第1上限値よりも高い温度閾値としての第2上限値を上回ると、圧縮機20の垂下制御が始まって回転数が強制的に下げられ、さらに第2上限値よりも高い温度閾値としての第3上限値を吐出冷媒温度Tdiが上回ると、制御部90が圧縮機20の停止指令を出すことになる。
ここで、ステップS4における吸入インジェクション制御やインジェクションを全く実施しない非インジェクション制御を行う場合(言い換えれば、中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合)、中間インジェクション電動弁を閉状態にすると、中間インジェクション電動弁から中間インジェクションポートまでの冷媒圧力が、圧縮機の圧縮室における冷媒圧力よりも低くなると考えられる。このとき、中間インジェクションポートを介して圧縮機の圧縮室と連通する中間インジェクション流路において、中間インジェクションポートから中間インジェクション電動弁までの空間によって、圧縮機における圧縮室の容積が実質的に大きくなる。このため、圧縮機における圧縮効率が低下することが懸念される。
そこで、本実施形態の空気調和装置10では、上述したように、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要がない場合であっても(すなわち、吸入インジェクション制御や非インジェクション制御を行う場合であっても)、中間インジェクション電動弁66の開度を閉状態にせず、非中間インジェクション用開度の範囲内で制御している。具体的には、吐出冷媒圧力Pdiに基づいて、中間インジェクション電動弁66の開度を、非中間インジェクション用開度の範囲内で制御している。
ここでは、中間インジェクション電動弁66の開度を、吐出冷媒圧力Pdiに基づいて制御することによって、圧縮機20手前の冷媒圧力を、圧縮機20の圧縮室から中間インジェクション流路65に冷媒が逆流しないような圧力に維持することができる。このように、本実施形態では、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要がない場合、すなわち、吸入インジェクション制御や非インジェクション制御を行う場合に、中間インジェクション流路65における冷媒圧力を、圧縮機20の圧縮室における中間圧の冷媒圧力よりも高く維持できる。よって、圧縮機20の圧縮室における冷媒が中間インジェクション流路65に逆流して中間インジェクション電動弁66まで流れるのを回避できる。よって、圧縮機20における圧縮室の容積の実質的な増大を低減できる。従って、圧縮機20における圧縮効率の低減を抑制できる。
(4)空気調和装置の特徴
(4−1)
本実施形態では、上述したように、中間インジェクション流路65に、開度調整が可能な流量調整機構としての中間インジェクション電動弁66を接続している。そして、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要がない場合に、この中間インジェクション電動弁66の開度を、全閉状態に近い非中間インジェクション用開度の範囲内で制御している。よって、吸入インジェクション制御および非インジェクション制御において、圧縮機20における圧縮室の容積の実質的な増大を低減でき、圧縮機20における圧縮効率の低減を抑制できている。
また、本実施形態では、吐出圧力センサ69によって検知された吐出冷媒圧力Pdiに基づいて、中間インジェクション電動弁66の開度を、非中間インジェクション用開度の範囲内で制御している。
これにより、圧縮機20手前の冷媒圧力(中間インジェクション流路65の冷媒圧力)を、圧縮機20の冷媒が逆流しないような圧力に適切に維持することができる。
(4−2)
本実施形態に係る空気調和装置10では、中間インジェクション流路65と、吸入インジェクション流路67とを設けるとともに、いずれによってインジェクションを行うのかを切り替える切替機構として、中間インジェクション電動弁66と、開閉機構としての吸入インジェクション開閉弁68と、を備えている。
そして、吸入インジェクション開閉弁68を閉状態に制御するときに、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要があるとして、中間インジェクション電動弁66の開度を中間インジェクション用開度に制御している。他方、吸入インジェクション開閉弁68を開状態に制御するときに、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要がないとして、中間インジェクション電動弁66の開度を、非中間インジェクション用開度の範囲内で制御している。
このように、空気調和装置10では、中間インジェクション制御と吸入インジェクション制御とを切り替えることができるため、圧縮機20の吐出冷媒温度を低減して運転を継続させながら、運転効率の確保ができている。
ちなみに、具体的には、制御部90のインジェクション制御部90cが、外気温が高いときの暖房運転など、低負荷で圧縮機の回転数を抑制しているときであって、中間インジェクション制御を行ったのでは運転効率が悪化してしまうような場合に、図3に示すステップS4のような吸入インジェクション制御を行わせ、圧縮機20の吐出冷媒温度を低下させている。
(4−3)
本実施形態に係る空気調和装置10では、中間インジェクション流路65或いは吸入インジェクション流路67を介して圧縮機20へと流れることになるインジェクション用の冷媒が、分岐管62に設けられたインジェクション用電動弁63で減圧されインジェクション用熱交換器64で熱交換した冷媒となる。このため、インジェクション用電動弁63の開度を調整制御することで、圧縮機20の中間圧の冷媒或いは圧縮機20に吸入される低圧の冷媒に合流させるインジェクション用の冷媒を、ステップS22のように過熱ガスにしたり、ステップS23やステップS4のようにフラッシュガスにしたりすることが可能になっている。
これにより、通常はステップS22のように過熱を付けた冷媒ガスで中間インジェクションを行い、圧縮機20の吐出冷媒温度が高くなったときに湿った気液二相のフラッシュガスで冷却重視の中間インジェクションを行う(ステップS23)ことが可能になっている。
(4−4)
本実施形態に係る空気調和装置10では、吐出温度センサ95が検知した吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高くなると、吐出冷媒温度Tdiが温度閾値としての第1上限値を下回るように、分岐管62を流れるインジェクション用の冷媒で圧縮機20の温度を下げることが好ましい。
但し、外気温が高いときの暖房運転など、熱負荷が小さく圧縮機20の回転数を小さく下げた運転を行っているときに、中間インジェクションを行うと、能力が上がって圧縮機20が吐出する冷媒の圧力(高圧)が上がってしまう。
これに鑑み、本実施形態に係る空気調和装置10では、圧縮機20の回転数が回転数閾値よりも低く(ステップS1のNo)、且つ、吐出温度センサ95が検知した吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高い(ステップS3のYes)ときに、それまで中間インジェクション制御を行っていたとしても、吸入インジェクション制御に切り替わる(ステップS4)ようにしている。これにより、低負荷の場合であっても、無駄な能力アップを抑制して運転効率を確保しつつ、吸入インジェクション制御によって吐出冷媒温度Tdiを下げることができている。
圧縮機20の回転数が回転数閾値よりも低い場合に中間インジェクション制御を行わない理由は、例えば、中間インジェクションを行えば圧縮機20の回転数を落とすことができるが、既に低回転になっている回転数を更に落としてしまうと圧縮機用モータの効率が悪化してしまうためである。また、そのような場合であっても、圧縮機20の吐出冷媒温度Tdiが第1上限値を超えて上昇していくと(より具体的には、第2上限値や第3上限値を超えると)圧縮機20の垂下制御や停止という事態に陥ってしまうため、吸入インジェクションを行っている。なお、吸入インジェクションは、中間インジェクションと同様に圧縮機20の吐出冷媒温度を下げる作用効果を奏する一方、中間インジェクションのように能力を上げる作用は殆どないため、低負荷時において無駄な能力アップを行わずに運転効率を確保することができる。特に、本実施形態に係る空気調和装置10では冷媒としてR32を使用しており、高低差圧が大きくなると高圧と低圧とのエンタルピ差も大きくなってしまうため、このような吸入インジェクションへと切り替えるインジェクション制御が有効である。
(4−5)
本実施形態に係る空気調和装置10では、中間インジェクション制御をすることで、能力アップや効率アップを図っているが、運転継続が困難になるレベルまで圧縮機20の吐出冷媒温度Tdiが上がってしまうと、圧縮機20の回転数を強制的に下げる垂下制御や圧縮機20の停止を実施する必要が出てくる。
これを抑えるため、空気調和装置10では、吐出温度センサ95の検知温度(吐出冷媒温度Tdi)が第1上限値よりも高いときに、インジェクション用温度センサ96の検知温度ではなく、吐出温度センサ95の検知温度に基づいてインジェクション用電動弁63の開度調整を行っている(ステップS23)。そして、ステップS23では、圧縮機20の吐出冷媒温度が下がるように、湿り冷媒ガスを圧縮機20に中間インジェクションして冷却効果を高めている。一方、吐出温度センサ95の検知温度(吐出冷媒温度Tdi)が第1上限値よりも低いときには、インジェクション用熱交換器64の下流側のインジェクション用温度センサ96の検知温度に基づいたインジェクション用電動弁63の開度調整が行われ(ステップS22)、運転効率の確保が図られている。
(5)変形例
(5−1)変形例A
上記実施形態の空気調和装置10では、中間インジェクション流路65や吸入インジェクション流路67に、メイン冷媒流路11aから分岐させた分岐管62からインジェクション用の冷媒を供給する構成を採っている。これに代えて、図5に示すように、メイン冷媒流路111aに設けられた高圧レシーバ180に溜まる冷媒のガス成分をバイパス流路182で取り出し、そのバイパス流路182から中間インジェクション流路65や吸入インジェクション流路67にインジェクション用の冷媒を供給する構成を採ることもできる。
変形例に係る空気調和装置110は、上記実施形態の空気調和装置10の室外ユニット11を、室外ユニット111に置き換えたものである。室外ユニット111は、上記の室外ユニット11から、ブリッジ回路70、高圧レシーバ80、分岐管62、インジェクション用電動弁63およびインジェクション用熱交換器64を外し、代わりに、高圧レシーバ180、バイパス流路182およびインジェクション用バイパス電動弁184を付けたものである。室外ユニット111において、室外ユニット11と同じ符号を付している機器については、上記実施形態の機器と同様であるため説明を省略する。
高圧レシーバ180は、室外膨張弁41と液側閉鎖弁17とを結ぶメイン冷媒流路111aの一部に設けられた容器である。メイン冷媒流路111aは、室外熱交換器30と室内熱交換器50とを結ぶ液冷媒の主流路である。冷房運転時にも暖房運転時にも高圧の冷媒が流れ込む高圧レシーバ180は、そこに溜まる余剰冷媒の温度が比較的高く保たれるため、冷凍機油を含む余剰冷媒が二層分離して上部に冷凍機油が集まってしまうという不具合が生じないようになっている。
高圧レシーバ180の内部空間のうち下部には液冷媒が上部にはガス冷媒が通常存在することになるが、その内部空間の上部から圧縮機20に向かって、配管から構成されるバイパス流路182が延びている。すなわち、バイパス流路182は、高圧レシーバ180の内部に溜まる冷媒のガス成分を、中間インジェクション流路65や吸入インジェクション流路67に流すことによって圧縮機20へと導く役割を果たしている。バイパス流路182には、開度調整が可能なインジェクション用バイパス電動弁184が設けられている。このインジェクション用バイパス電動弁184を開くことで、中間インジェクション制御(中間インジェクション電動弁66が中間インジェクション用開度に制御され且つ吸入インジェクション開閉弁68が閉状態に制御される)又は吸入インジェクション制御(中間インジェクション電動弁66が非中間インジェクション用開度の範囲内で制御され且つ吸入インジェクション開閉弁68が開状態に制御される)が行われる。
変形例に係る空気調和装置110では、中間インジェクション流路65や吸入インジェクション流路67を介して圧縮機20へと流れることになる冷媒が、高圧レシーバ180の内部に溜まる冷媒のガス成分となる。すなわち、高圧レシーバ180の中の冷媒の飽和ガスが、圧縮機20へと流れることになる。この空気調和装置110では、上記実施形態の空気調和装置10と同様に、中間インジェクション制御と吸入インジェクション制御との使い分けができることに加え、上記実施形態のインジェクション用熱交換器64が不要になり、空気調和装置110の製造コストが小さく抑えられるという特徴を持つ。一方、湿りガスをインジェクションさせることができず、基本的に飽和ガスによるインジェクションになるため、インジェクションの冷却効果を高める制御(上記実施形態のステップS23のような制御)を行うことはできない。
(5−2)変形例B
上記実施形態では、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要がない場合、すなわち、吸入インジェクション制御や非インジェクション制御を行う場合、中間インジェクション電動弁66の開度を、吐出冷媒圧力Pdiに基づいて、非中間インジェクション用開度の範囲内で制御すると説明したが、これに限られるものではない。例えば、予め、シミュレーション等により、中間インジェクション電動弁66の開度を決定しておき、制御部90のメモリに記憶させておいてもよい。つまり、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要がない場合、中間インジェクション電動弁66の開度を、所定の固定開度となるように制御してもよい。なお、この所定の固定開度は、上記実施形態の非中間インジェクション用開度の範囲内にある。
この場合であっても、中間インジェクション流路65の冷媒圧力を、圧縮機20の圧縮室における冷媒圧力よりも高く維持できるので、圧縮機20の圧縮室における冷媒が中間インジェクション流路65に逆流しないようにすることができる。よって、圧縮機20の圧縮効率の低減を抑制できる。
<第2実施形態>
上記の第1実施形態の空気調和装置10では、中間インジェクション流路65や吸入インジェクション流路67に、メイン冷媒流路11aから分岐させた分岐管62からインジェクション用の冷媒を供給する構成を採っている。また、第1実施形態の変形例の空気調和装置110では、メイン冷媒流路111aに設けられた高圧レシーバ180に溜まる冷媒のガス成分をバイパス流路182で取り出し、そのバイパス流路182から中間インジェクション流路65や吸入インジェクション流路67にインジェクション用の冷媒を供給する構成を採っている。しかし、これらの構成に代えて、分岐管262によるインジェクションも、高圧レシーバ280から延びるバイパス流路282によるインジェクションも選べるように、空気調和装置を構成することも可能である。以下、第2実施形態の空気調和装置110について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図6は、第2実施形態に係る空気調和装置210の冷媒配管系統を示す図である。
第2実施形態に係る空気調和装置210は、冷媒としてR32を用いる上記第1実施形態の空気調和装置10の室外ユニット11を、図6に示す室外ユニット211に置き換えたものである。以下の説明では、第1実施形態の室外ユニット11と重複する一部の部品については同じ符号を付して説明を省略する形で、室外ユニット211の説明を行う。
室外ユニット211は、主として、圧縮機20と、四路切換弁15と、室外熱交換器30と、室外膨張弁41と、ブリッジ回路70と、高圧レシーバ280と、第1インジェクション用電動弁263と、インジェクション用熱交換器264と、第2インジェクション用バイパス電動弁284と、中間インジェクション電動弁266と、吸入インジェクション開閉弁268と、各種のセンサと、液側閉鎖弁17と、ガス側閉鎖弁18、圧縮機付属容器28と、とを有している。
ここで、圧縮機20、圧縮機付属容器28、吸入流路27、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29、吐出温度センサ95、吐出圧力センサ69、中間インジェクションポート23、四路切換弁15、液側閉鎖弁17、ガス側閉鎖弁18、室外熱交換器30、室外膨張弁41、室外ファン35およびブリッジ回路70については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
高圧レシーバ280は、冷媒貯留タンクとして機能する容器であり、室外膨張弁41と液側閉鎖弁17との間に設けられている。冷房運転時にも暖房運転時にも高圧の冷媒が流れ込む高圧レシーバ280は、そこに溜まる余剰冷媒の温度が比較的高く保たれるため、冷凍機油を含む余剰冷媒が二層分離して上部に冷凍機油が集まってしまうという不具合が生じないようになっている。高圧レシーバ280の下部からインジェクション用熱交換器264へと延びるレシーバ出口配管には、レシーバ出口圧力センサ292が配備されている。レシーバ出口配管は、後述するメイン冷媒流路211aの一部分である。レシーバ出口圧力センサ292は、高圧の液冷媒の圧力値(高圧値)を検知するセンサである。
高圧レシーバ280の内部空間のうち下部には液冷媒が上部にはガス冷媒が通常存在することになるが、その内部空間の上部から圧縮機20に向かってバイパス流路282が延びている。バイパス流路282は、高圧レシーバ280の内部に溜まる冷媒のガス成分を、圧縮機20へと導く役割を果たす配管である。バイパス流路282には、開度調整が可能な第2インジェクション用バイパス電動弁284が設けられている。この第2インジェクション用バイパス電動弁284を開くと、インジェクション共通管202を介して、後述する中間インジェクション流路265や吸入インジェクション流路267にガス冷媒が流れる。
高圧レシーバ280の出口とブリッジ回路70の出口逆止弁72,74との間には、インジェクション用熱交換器264が設けられている。また、高圧レシーバ280の出口とインジェクション用熱交換器264とを結ぶメイン冷媒流路211aの一部分からは、分岐管262が分岐している。メイン冷媒流路211aは、室外熱交換器30と室内熱交換器50とを結ぶ液冷媒の主流路である。
分岐管262には、開度調整可能な第1インジェクション用電動弁263が設けられている。また、分岐管262は、インジェクション用熱交換器264の第2流路264bに接続されている。すなわち、インジェクション用電動弁263が開いているとき、メイン冷媒流路211aから分岐管262へと分岐した冷媒は、第1インジェクション用電動弁263で減圧され、インジェクション用熱交換器264の第2流路264bに流れる。
第1インジェクション用電動弁263で減圧されてインジェクション用熱交換器264の第2流路264bに流れた冷媒は、インジェクション用熱交換器264の第1流路264aを流れる冷媒と熱交換する。このインジェクション用熱交換器264での熱交換の後、分岐管262を流れていく冷媒は、インジェクション共通管202を経て、後述する中間インジェクション流路265或いは吸入インジェクション流路267に流れ込むことになる。また、分岐管262のインジェクション用熱交換器264の下流側には、インジェクション用熱交換器264での熱交換後の冷媒の温度を検知するインジェクション用温度センサ296が取り付けられている。
インジェクション用熱交換器264は、二重管構造を採る内部熱交換器であり、その第1流路264aの一端は高圧レシーバ280の出口に接続されており、第1流路264aの他端はブリッジ回路70の出口逆止弁72,74に接続されている。
インジェクション共通管202は、高圧レシーバ280から延びるバイパス流路282およびメイン冷媒流路211aからインジェクション用熱交換器264を経て延びる分岐管262の各先端と、中間インジェクション電動弁266および吸入インジェクション開閉弁268とを結ぶ配管である。第1インジェクション用電動弁263および第2インジェクション用バイパス電動弁284の少なくとも1つが開き、且つ、少なくとも中間インジェクション電動弁266および吸入インジェクション開閉弁268の一方が開くと、インジェクション共通管202に冷媒が流れ、中間インジェクション流路265に冷媒が流れる状態と、吸入インジェクション流路267に主に冷媒が流れる状態とが切り替えられる。
中間インジェクション流路265は、インジェクション共通管202に接続されている中間インジェクション電動弁266から、圧縮機20へと延びている。具体的には、中間インジェクション流路265の一端が中間インジェクション電動弁266に接続され、中間インジェクション流路265の他端が、圧縮機20の中間インジェクションポート23に接続されている。すなわち、中間インジェクション流路265は、室外熱交換器30および室内熱交換器50の一方から他方へ向かって流れる冷媒の一部を、圧縮機20へと導くことによって、圧縮機20の中間圧の冷媒に合流させる。
吸入インジェクション流路267は、インジェクション共通管202に接続されている吸入インジェクション開閉弁268から、吸入流路27へと延びている。具体的には、吸入インジェクション流路267の一端が吸入インジェクション開閉弁268に接続され、吸入インジェクション流路267の他端が、吸入流路27のうち圧縮機付属容器28と圧縮機20とを結ぶ配管に接続されている。すなわち、吸入インジェクション流路267は、室外熱交換器30および室内熱交換器50の一方から他方へ向かって流れる冷媒の一部を、吸入通路27へと導くことによって、圧縮機20に吸入される低圧の冷媒に合流させる。
そして、吸入インジェクション流路267には、開閉機構としての吸入インジェクション開閉弁268が接続されている。吸入インジェクション開閉弁268は、開状態と閉状態とを切替可能な電磁弁である。開状態では、吸入インジェクション流路267に冷媒が流れる。他方、閉状態では、吸入インジェクション流路267に冷媒が流れない。中間インジェクション電動弁266は、開度調整が可能であり、中間インジェクション流路265を流れる冷媒の流量を調整する流量調整機構として機能する。この中間インジェクション電動弁266は、後述するが、中間インジェクションを行うときも中間インジェクションを行わないとき(すなわち、吸入インジェクションを行うときやインジェクションを行わないとき)も、開状態を採る。但し、中間インジェクションを行うときと、中間インジェクションを行わないときとで、その開度が異なるように制御される。
なお、圧縮機20を、2台の圧縮機が直列に配されたものに代えて、低段圧縮機の吐出ポートと高段圧縮機の吸入ポートとを結ぶ冷媒配管に中間インジェクション流路265を接続する構成とすることも可能である。
第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、原則として、中間インジェクション電動弁266と吸入インジェクション開閉弁268とが、一方が開状態且つ他方が閉状態に切り替わることにより、中間インジェクション流路265に冷媒が流れる状態と、吸入インジェクション流路267に主に冷媒が流れる状態と、を切り替えている。但し、吸入インジェクション流路267に主に冷媒が流れる状態においては、中間インジェクション流路265における冷媒圧力を所定圧力に維持するために、中間インジェクション電動弁266を少し開けている。
(2)空気調和装置の動作
次に、第2実施形態に係る空気調和装置の動作について説明する。なお、以下に説明する各種運転における制御は、運転制御手段として機能する室外ユニット211の制御部によって行われる。
(2−1)冷房運転の基本動作
冷房運転時は、四路切換弁15が図6の実線で示される状態、すなわち、圧縮機20からの吐出ガス冷媒が室外熱交換器30に流れ、且つ、吸入流路27がガス側閉鎖弁18に接続された状態となる。室外膨張弁41は全開状態に、室内膨張弁42は、開度調節されるようになる。なお、閉鎖弁17,18は開状態である。
この冷媒回路の状態において、圧縮機20から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁15を経由して、冷媒の凝縮器として機能する室外熱交換器30に送られ、室外ファン35によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却される。室外熱交換器30において冷却されて液化した高圧の冷媒は、インジェクション用熱交換器264で過冷却状態となり、各室内ユニット12に送られる。各室内ユニット12での動作は、上記の第1実施形態と同様である。各室内ユニット12から室外ユニット11に戻ってくる低圧のガス冷媒は、四路切換弁15を経由して再び圧縮機20に吸入される。基本的には、このようにして室内の冷房が行われる。
(2−2)暖房運転の基本動作
暖房運転時は、四路切換弁15が図5の破線で示される状態、すなわち、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29がガス側閉鎖弁18に接続され、且つ、吸入流路27が室外熱交換器30に接続された状態となる。室外膨張弁41および室内膨張弁42は、開度調節されるようになっている。なお、閉鎖弁17,18は開状態である。
この冷媒回路の状態において、圧縮機20から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁15およびガス冷媒連絡管14を経由して、各室内ユニット12に送られる。各室内ユニット12での動作は、上記の第1実施形態と同様である。再び室外ユニット11に戻ってきた高圧の冷媒は、高圧レシーバ280を経て、インジェクション用熱交換器264で過冷却状態となり、室外膨張弁41へと流れる。室外膨張弁41で減圧されて低圧の気液二相状態となった冷媒は、蒸発器として機能する室外熱交換器30に流入する。室外熱交換器30に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン35によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱され、蒸発して低圧の冷媒となる。室外熱交換器30を出た低圧のガス冷媒は、四路切換弁15を経由して再び圧縮機20に吸入される。基本的には、このようにして室内の暖房が行われる。
(2−3)各運転におけるインジェクション制御
制御部は、冷房運転や暖房運転のときに、運転能力の向上や圧縮機20の吐出冷媒温度の低下を目的として、原則として、中間インジェクション或いは吸入インジェクションを行う。中間インジェクションとは、インジェクション用熱交換器264および/又は高圧レシーバ280からインジェクション共通管202へ流れてきた冷媒を、中間インジェクション流路265によって圧縮機20の中間インジェクションポート23に注入することである。吸入インジェクションとは、インジェクション用熱交換器264および/又は高圧レシーバ280からインジェクション共通管202へ流れてきた冷媒を、吸入インジェクション流路267によって吸入流路27に注入して圧縮機20に吸入させることである。中間インジェクションも、吸入インジェクションも、圧縮機20の吐出冷媒温度を下げる効果を有する。また、中間インジェクションは、運転能力を上げる効果を更に有する。
制御部は、インバータ制御される圧縮機20の回転数(或いは周波数)、圧縮機20から吐出されて吐出温度センサ95により検知される冷媒の吐出冷媒温度Tdi、インジェクション用熱交換器264の下流側のインジェクション用温度センサ296により検知されるインジェクション冷媒温度などに基づいて、インジェクション制御を行う。具体的には、中間インジェクション制御では、中間インジェクション電動弁266の開度を中間インジェクション用開度に制御し且つ吸入インジェクション開閉弁268を閉状態に制御する。これにより、中間インジェクション流路265に冷媒が流れ、吸入インジェクション流路267に冷媒が流れない。吸入インジェクション制御では、中間インジェクション電動弁266を非中間インジェクション用開度の範囲内で開状態に制御し且つ吸入インジェクション開閉弁268を開状態に制御する。これにより、主に吸入インジェクション流路267に冷媒が流れる状態にできる。また、制御部は、中間インジェクションも吸入インジェクションも行うべきではない条件のときには、いずれのインジェクションも行わない非インジェクション状態で運転を行う。すなわち、制御部は、中間インジェクション流路265に冷媒を流す必要がある場合に、中間インジェクション制御を行い、中間インジェクション流路265に冷媒を流す必要がない場合に、吸入インジェクション制御又は非インジェクション制御を行う。言い換えれば、制御部は、中間インジェクション制御、吸入インジェクション制御およびインジェクションを全く実施しない非インジェクション制御、を選択的に行う。
次に、制御部によるインジェクション制御のフローチャートを、図7〜図10を参照して説明する。
まず、ステップS201では、圧縮機20の回転数が、回転数閾値よりも大きいか小さいかを判断する。回転数閾値は、例えば、かなり小さな回転数であって、それよりも小さな回転数に設定できない値、或いは、それよりも回転数を落とすと圧縮機用モータの効率が低下してしまう値に設定される。
(2−3−1)中間インジェクション制御
ステップS201において圧縮機20の回転数が回転数閾値以上であると判断されると、ステップS202に移行し、冷房運転中か暖房運転中かが判断される。ここで暖房運転中であれば、主として高圧レシーバ280から取り出したガス冷媒を中間インジェクション流路265に流す中間インジェクションが実施される。
(2−3−1−1)暖房時の中間インジェクション制御
ステップS202で暖房運転中と判断されると、ステップS203に移行し、吐出温度センサ95が検知している圧縮機20の吐出冷媒の吐出冷媒温度Tdiが、温度閾値としての第1上限値よりも高いか否かが判断される。例えば、第1上限値は、95℃に設定される。ここで否であれば、ステップS204に移行し、中間インジェクション電動弁266の開度が中間インジェクション用開度に制御され、吸入インジェクション開閉弁268が閉状態に制御される。それらの状態に既になっているときは、それらの状態が維持される。ここで、中間インジェクション用開度とは、全開状態又は全開状態に近い開度である。なお、中間インジェクション用開度は、制御部のメモリに予め記憶されているものとする。また、ステップS204では、第1インジェクション用電動弁263および第2インジェクション用バイパス電動弁284それぞれの開度が調整される。吐出冷媒温度Tdiが平常範囲にあるため、第1インジェクション用電動弁263は、基本的な暖房運転の制御に従って、高圧レシーバ280を出てメイン冷媒流路211aを流れる液冷媒に所定の過冷却度がつくように、開度調整される。また、第2インジェクション用バイパス電動弁284は、高圧レシーバ280のガス冷媒が中間インジェクション流路265に流れるように、開度調整される。一方、ステップS203において、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いと判断されると、ステップS205に移行する。ここでは、吐出冷媒温度Tdiを下げる必要があるため、その吐出冷媒温度Tdiに基づいて、第1インジェクション用電動弁263および第2インジェクション用バイパス電動弁284それぞれの開度が調整される。具体的には、ステップS205では、早く吐出冷媒温度Tdiが第1上限値を下回るように、中間インジェクションさせるガス冷媒を湿らせる湿り制御が行われる。すなわち、中間インジェクションの冷却効果を高めるため、中間インジェクションされるガス冷媒が気液二相のフラッシュガスになるように、第1インジェクション用電動弁263などの開度が調整される。なお、ステップS205でも、ステップS204と同様に、中間インジェクション電動弁266の開度が中間インジェクション用開度に制御され、吸入インジェクション開閉弁268が閉状態に制御される。
(2−3−1−2)冷房時の中間インジェクション制御
ステップS202で冷房運転中と判断されると、ステップS206に移行し、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いか否かが判断される。ここで吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高ければ、ステップS207に移行し、中間インジェクションさせるガス冷媒を湿らせる湿り制御を行うために、主としてインジェクション用熱交換器264から中間インジェクション流路265へと冷媒を流す。具体的には、ステップS207において、中間インジェクション電動弁266の開度が中間インジェクション用開度に制御され、吸入インジェクション開閉弁268が閉状態に制御され、さらに、第1インジェクション用電動弁263の開度が吐出冷媒温度Tdiに基づいて制御される。また、ステップS207において、第2インジェクション用バイパス電動弁284は、必要に応じて開けられる。このステップS207では、インジェクション用熱交換器264から気液二相の湿りガス冷媒が圧縮機20に中間インジェクションされるため、高くなっている吐出冷媒温度Tdiが急激に低下することが期待できる。
ステップS206で、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも低く、吐出冷媒温度Tdiを下げる必要がないと判断されると、高圧レシーバ280からの冷媒およびインジェクション用熱交換器264からの冷媒を両方とも使って中間インジェクションが行われる。具体的には、ステップS208やステップS209を経てステップS210に移行し、中間インジェクション電動弁266の開度が中間インジェクション用開度に制御され、吸入インジェクション開閉弁268が閉状態とされ、さらに、第1インジェクション用電動弁263の開度および第2インジェクション用バイパス電動弁284の開度が調整される。
ステップS208では、高圧レシーバ280の出口のレシーバ出口圧力センサ292が検知する液冷媒の高圧値が、閾値よりも低いか否かを判断する。この閾値は、空気調和装置の室外ユニット211と室内ユニット12との高低差(設置場所の高さの差)などに基づいて初期設定されている値であり、これよりも高圧値が低ければ室内ユニット12の室内膨張弁42を通過する前に冷媒がフラッシュガスの状態になって通過音が大きくなってしまう、という値に設定されている。ステップS208で高圧値が閾値よりも低いと判断されると、高圧値を上げる必要があるため、少し絞っている状態の室外膨張弁41の開度を増やし、室外膨張弁41での減圧度合いを緩める。これにより、高圧レシーバ280の冷媒ガス成分が減り、インジェクション冷媒量全体に占める高圧レシーバ280からのガス冷媒量が減少し、高圧レシーバ280からのインジェクション比率が小さくなる。一方、ステップS208で高圧値が閾値を上回っていれば、そのままのインジェクション比率でステップS210に移行する。ステップS210では、上述のように中間インジェクション電動弁266が開いて、高圧レシーバ280から流れてくる冷媒およびインジェクション用熱交換器264から流れてくる冷媒の両方が、中間インジェクション流路265から圧縮機20の中間インジェクションポート23に流れる。そして、ステップS210では、インジェクション用熱交換器264の下流側のインジェクション用の冷媒の温度Tshに基づいて、インジェクション用電動弁263の開度調整が為され、また、インジェクション比率に基づいて、室外膨張弁41の開度に連動して第2インジェクション用バイパス電動弁284の開度調整が為される。
(2−3−2)低能力を維持するための制御
上述のステップS202〜ステップS210までは、ステップS201において圧縮機20の回転数が閾値以上であると判断されたときの制御であるが、まだ圧縮機20の回転数を落として更に低能力にする余地があるため、基本的にはインジェクションによる運転能力の向上を図る。したがって、吸入インジェクションではなく中間インジェクションが選択されている。
しかし、ステップS201において圧縮機20の回転数が回転数閾値よりも小さくなっていると判断されると、それは既に圧縮機20が低能力に落とされていることを意味し、運転能力を上げてしまうことはユーザ要求に反することになるため、低能力状態の圧縮機20をそのままの能力で維持する制御が行われる。
(2−3−2−1)吸入インジェクション制御
ステップS201で圧縮機20の回転数が回転数閾値よりも小さいと判断されると、ステップS301に移行し、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いか否かが判断される。ここで吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高ければ、吐出冷媒温度Tdiを下げる必要があるため、ステップS302を経てステップS303或いはステップS304に移行し、吸入インジェクションが行われる。
(2−3−2−1−1)暖房時の吸入インジェクション制御
ステップS301で吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いと判断され、さらにステップS302で暖房運転中であると判断されると、主として高圧レシーバ280からの冷媒を吸入インジェクション流路267から吸入流路27に流す吸入インジェクションが実施される。具体的には、ステップS303において、吐出圧力センサ69によって検知される、圧縮機20から吐出された吐出冷媒圧力Pdiに基づいて、中間インジェクション電動弁266の開度が非中間インジェクション用開度の範囲内で制御され、吸入インジェクション開閉弁68が開状態に制御される。ここで、非中間インジェクション用開度の範囲とは、全閉状態を除く全閉状態に近い開度の範囲であり、中間インジェクション流路265の冷媒圧力を、圧縮機20の圧縮室における冷媒が中間インジェクション流路265に逆流しないような冷媒圧力に保つことができる開度の範囲である。すなわち、中間インジェクション流路265の冷媒圧力を中間圧よりも高く維持できる開度の範囲である。この非中間インジェクション用開度の範囲は、予め、制御部のメモリに記憶されている。さらに、ここでは、吐出冷媒温度Tdiに基づいて、暖房運転で高圧レシーバ280に溜まるガス冷媒が多く吸入インジェクション流路267に流れるように第2インジェクション用バイパス電動弁284の開度が調整され、また、インジェクション用熱交換器264から吸入インジェクション流路267に流れる冷媒がフラッシュガスになるように、第1インジェクション用電動弁263の開度が調整される。
(2−3−2−1−2)冷房時の吸入インジェクション制御
ステップS301で吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いと判断され、さらにステップS302で冷房運転中であると判断されると、主としてインジェクション用熱交換器264からの冷媒を吸入インジェクション流路267に流す吸入インジェクションが実施される。具体的には、ステップS304において、吐出圧力センサ69によって検知される、圧縮機20から吐出された吐出冷媒圧力Pdiに基づいて、中間インジェクション電動弁266の開度が非中間インジェクション用開度の範囲内で制御され、吸入インジェクション開閉弁268が開状態に制御される。そして、吐出冷媒温度Tdiに基づいて、インジェクション用熱交換器264から吸入インジェクション流路267に流れる冷媒がフラッシュガスになるように、第1インジェクション用電動弁263の開度が調整される。また、ステップS304において、第2インジェクション用バイパス電動弁284は、必要に応じて開けられる。
(2−3−2−2)非インジェクション制御
ステップS301で、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも低く、吐出冷媒温度Tdiを下げる必要がないと判断されると、非インジェクション状態を採る選択が為される。すなわち、吐出冷媒温度Tdiを低下させるための吸入インジェクションおよび中間インジェクションも、運転能力の向上のための中間インジェクションも不要であって、それらのインジェクションを止めることが望ましいため、非インジェクション状態が採られる。制御部は、ステップS305において、吸入インジェクション開閉弁268を閉状態にして、第1インジェクション用電動弁263の開度および第2インジェクション用バイパス電動弁284の開度を最小開度にする。最小開度がゼロであるときには、第1インジェクション用電動弁263の開度および第2インジェクション用バイパス電動弁284は全閉状態となる。但し、第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、中間インジェクション電動弁266に関しては、非中間インジェクション用開度の範囲内で制御されることになる。この中間インジェクション電動弁266の開度調整は、吐出圧力センサ69によって検知される、圧縮機20から吐出された吐出冷媒圧力Pdiに基づいて行われる。
このように、第2実施形態に係る空気調和装置210では、吐出冷媒温度Tdiが低いため吸入インジェクションや中間インジェクションによって圧縮機20の温度を下げる必要がなく、且つ、低能力が要求されているために圧縮機20の回転数が小さくなっている場合に、非インジェクション制御を選択・実行させている。これにより、吸入インジェクション或いは中間インジェクションによる能力アップおよび運転効率の低下が生じてしまうことが抑制され、第2実施形態に係る空気調和装置では運転効率を確保しつつ低能力の要求を満たすことができている。
また、第2実施形態に係る空気調和装置210では、第1実施形態と同様に、吸入インジェクション制御や、インジェクションを全く実施しない非インジェクション制御において、中間インジェクション電動弁266の開度を、吐出冷媒圧力Pdiに基づいて、非中間インジェクション用開度の範囲内で制御している。
よって、中間インジェクション流路265に冷媒を流す必要がない場合、すなわち、吸入インジェクション制御や非インジェクション制御を行う場合に、中間インジェクション流路265における冷媒圧力を、圧縮機20の圧縮室における冷媒圧力よりも高く維持できる。よって、圧縮機20の圧縮室における冷媒が中間インジェクション流路265に逆流して中間インジェクション電動弁266まで流れるのを回避できる。よって、圧縮機20における圧縮室の容積の実質的な増大を低減できる。従って、圧縮機20における圧縮効率の低減を抑制できる。
<第3実施形態>
上記の第1実施形態の空気調和装置10では、中間インジェクション電動弁66と吸入インジェクション開閉弁68とを配備し、中間インジェクション流路65に冷媒が流れる状態と、吸入インジェクション流路67に主に冷媒が流れる状態と、を切り替えている。
しかし、本発明は、吸入インジェクション流路が存在しない冷凍装置に対しても適用することができる。以下、インジェクションとして中間インジェクションのみを行う、第3実施形態の空気調和装置310について説明する。
(1)空気調和装置の全体構成
図11は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置である空気調和装置310の冷媒配管系統を示す図である。空気調和装置310は、室外ユニット311と、室内ユニット12と、室外ユニット311と室内ユニット12とを接続する液冷媒連絡管13およびガス冷媒連絡管14とを備えている。図11に示す冷媒回路内には、冷媒R32が封入されており、冷媒が圧縮され、冷却・凝縮され、減圧され、加熱・蒸発された後に、再び圧縮されるという冷凍サイクル運転が行われるようになっている。
(2)空気調和装置の詳細構成
(2−1)室内ユニット
室内ユニット12については、第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
(2−2)室外ユニット
室外ユニット311は、主として、圧縮機320と、四路切換弁315と、室外熱交換器330と、室外膨張弁341と、ブリッジ回路370と、高圧レシーバ380と、第1インジェクション用電動弁363と、インジェクション用熱交換器364と、第2インジェクション用電動弁384と、液側閉鎖弁317と、ガス側閉鎖弁318とを有している。
圧縮機320は、圧縮機用モータによって駆動される密閉式圧縮機である。圧縮機320は、圧縮機付属容器328を介して吸入流路327からガス冷媒を吸入する。圧縮機320の吐出側の冷媒配管329には、吐出冷媒圧力を検出する吐出圧力センサ391と、吐出冷媒温度を検出する吐出温度センサ393とが装着されている。また、吸入流路327には、圧縮機320に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ394が装着されている。なお、この圧縮機320は中間インジェクションポート323を備える。
四路切換弁315は、冷媒の流れの方向を切り換えるための機構であり、吸入流路327、圧縮機320の吐出側の冷媒配管329、室外熱交換器330およびガス側閉鎖弁318に接続された四方弁である。
室外熱交換器330は、冷媒(R32)の凝縮器又は蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器330は、その一端が四路切換弁315に接続されており、その他端が室外膨張弁341に接続されている。室外熱交換器330と室外膨張弁341とを結ぶ冷媒配管には、そこを流れる冷媒の温度を検出する室外液管温度センサ395が装着されている。
室外ファン335は、室外ユニット311内に室外空気を吸入して、再び室外に排出する。この空気は、室外熱交換器330を通過する。
室外膨張弁341は、冷媒を減圧するための膨張機構であり、開度調整が可能な電動弁である。室外膨張弁341は、その一端が室外熱交換器330に接続され、その他端がブリッジ回路370に接続されている。
ブリッジ回路370は、4つの逆止弁371、372、373、374を有している。
高圧レシーバ380は、冷媒貯留タンクとして機能する容器であり、室外膨張弁341と液側閉鎖弁317との間に設けられている。高圧レシーバ380の内部空間のうち下部には液冷媒が上部にはガス冷媒が通常存在することになるが、その内部空間の上部から圧縮機320に向かって第2インジェクション流路382が延びている。第2インジェクション流路382は、高圧レシーバ380の内部に溜まる冷媒のガス成分を、圧縮機320へと導く役割を果たす。第2インジェクション流路382には、開度調整が可能な第2インジェクション用電動弁384が設けられている。
高圧レシーバ380の出口とブリッジ回路370の出口逆止弁372,374との間には、インジェクション用熱交換器364が設けられている。また、高圧レシーバ380の出口とインジェクション用熱交換器364とを結ぶメイン冷媒流路311aの一部分からは、分岐管362が分岐している。メイン冷媒流路311aは、室外熱交換器330と室内熱交換器50とを結ぶ液冷媒の主流路である。高圧レシーバ380は、メイン冷媒流路311aのうち、室外膨張弁341と液側閉鎖弁317との間に設けられていることになる。
分岐管362には、開度調整可能な第1インジェクション用電動弁363が設けられている。また、分岐管362は、インジェクション用熱交換器364の第2流路364bに接続されている。
第1インジェクション用電動弁363で減圧されてインジェクション用熱交換器364の第2流路364bに流れた冷媒は、インジェクション用熱交換器364の第1流路364aを流れる冷媒と熱交換する。インジェクション用熱交換器364の第1流路364aは、メイン冷媒流路311aの一部を構成している。このインジェクション用熱交換器364での熱交換の後、分岐管362および第2流路364bを流れてきた冷媒は、第1インジェクション流路365によって圧縮機320に向かって送られる。第1インジェクション流路365には、インジェクション用熱交換器364の第2流路364bを通った熱交換後の冷媒の温度を検出する第1インジェクション用温度センサ396が装着されている。
上述のように、圧縮機320には、中間インジェクションポート323が設けられている。中間インジェクションポート323は、圧縮機320における圧縮途中の中間圧の冷媒に対して外部から冷媒を流し込むための冷媒導入用ポートである。この中間インジェクションポート323に接続される中間インジェクション配管323aには、上述の第1インジェクション流路365および第2インジェクション流路382が接続されている。第1インジェクション用電動弁363が開いているときには、第1インジェクション流路365から中間インジェクションポート323へと冷媒が流れて中間インジェクションが行われ、第2インジェクション用電動弁384が開いているときには、第2インジェクション流路382から中間インジェクションポート323へと冷媒が流れて中間インジェクションが行われる。
また、室外ユニット311は、各種のセンサや、室外制御部390aを有している。室外制御部390aは、室外ユニット311の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット12の室内制御部92との間で伝送線93を介して制御信号等のやりとりを行う。各種のセンサとしては、上述の吐出圧力センサ391、吐出温度センサ393、吸入温度センサ394、室外液管温度センサ395、および第1インジェクション用温度センサ396の他に、レシーバ出口圧力センサ392や外気温を検出する室外空気温度センサ399が配備されている。
(2−3)冷媒連絡管
冷媒連絡管13,14は、室外ユニット311および室内ユニット12を設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管である。
(2−4)制御部
空気調和装置310の各種運転制御を行う制御手段としての制御部390は、図11に示すように伝送線93を介して結ばれる室外制御部390aおよび室内制御部92によって構成されている。制御部390は、上述の各種センサの検出信号を受け、これらの検出信号等に基づいて各種機器を制御する。
制御部390には、機能部として、室内熱交換器50を蒸発器として使う冷房運転を行うときの冷房運転制御部、室内熱交換器50を凝縮器として使う暖房運転を行うときの暖房運転制御部、冷房運転や暖房運転において中間インジェクション制御を行うための中間インジェクション制御部などを備えている。
(3)空気調和装置の動作
次に、本実施形態に係る空気調和装置310の動作について説明する。なお、以下に説明する各種運転における制御は、運転制御手段として機能する制御部390によって行われる。
(3−1)冷房運転の基本動作
冷房運転時は、四路切換弁315が図11の実線で示される状態となる。室外膨張弁341は全開状態に、室内膨張弁42は、開度調節されるようになる。この冷媒回路の状態において、圧縮機320から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁315を経由して、冷媒の凝縮器として機能する室外熱交換器330に送られ、室外ファン335によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却される。室外熱交換器330において冷却されて液化した高圧の冷媒は、インジェクション用熱交換器364で過冷却状態となり、液冷媒連絡管13を経由して各室内ユニット12に送られる。各室内ユニット12に送られた冷媒は、室内膨張弁42によってそれぞれ減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器50において室内空気と熱交換をし、蒸発して低圧のガス冷媒となる。そして、室内熱交換器50において加熱された低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管14を経由して室外ユニット311に送られ、四路切換弁315を経由して再び圧縮機320に吸入される。このようにして、室内の冷房が行われる。
(3−2)暖房運転の基本動作
暖房運転時は、四路切換弁315が図11の破線で示される状態となる。室外膨張弁341および室内膨張弁42は、開度調節されるようになっている。この冷媒回路の状態において、圧縮機320から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁315およびガス冷媒連絡管14を経由して、各室内ユニット12に送られる。そして、各室内ユニット12に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の凝縮器として機能する室内熱交換器50において、それぞれ室内空気と熱交換を行って冷却された後、室内膨張弁42を通過し、液冷媒連絡管13を経由して室外ユニット311に送られる。冷媒が室内空気と熱交換を行って冷却される際に、室内空気は加熱される。室外ユニット311に送られた高圧の冷媒は高圧レシーバ380で気液分離され、高圧の液冷媒が、インジェクション用熱交換器364で過冷却状態となり、室外膨張弁341によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器330に流入する。室外熱交換器330に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン335によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱され、蒸発して低圧の冷媒となる。室外熱交換器330を出た低圧のガス冷媒は、四路切換弁315を経由して再び圧縮機320に吸入される。このようにして、室内の暖房が行われる。
(3−3)各運転における中間インジェクション制御
制御部390の機能部の1つである中間インジェクション制御部は、冷房運転や暖房運転のときに、主として第1インジェクション流路365に冷媒を流す第1中間インジェクション制御と、主として第2インジェクション流路382に冷媒を流す第2中間インジェクション制御と、いずれのインジェクション流路365,382にも冷媒を流さない非インジェクション制御と、の何れかを選択的に行う。第1および第2中間インジェクション制御は、R32を冷媒として使い圧縮機320の吐出温度が高くなる傾向にあることから吐出温度低減のために行われる制御であり、第1インジェクション流路365/第2インジェクション流路382を使って圧縮機320の中間インジェクションポート323に冷媒を送り、圧縮機320の吐出温度を下げる。圧縮機320内の圧縮途中の中間圧冷媒よりも、中間インジェクションポート323に送られてくる中間圧冷媒のほうが低温であるため、圧縮機320の吐出温度が下がる。
制御部390は、通常は、第1中間インジェクション制御を行う。第1中間インジェクション制御は、主として第1インジェクション流路365に冷媒を流すことで中間インジェクションを行う制御である。この第1中間インジェクション制御においては、第1インジェクション用電動弁363が膨張弁として機能するが、その開度は、通常、第1インジェクション用温度センサ396の検出温度Tshに基づいて調整される。このときには、第1インジェクション流路365を流れる冷媒が過熱ガスになるように、すなわち適度な過熱のついた冷媒ガスになるように、第1インジェクション用電動弁363の開度調整が為される。これにより、圧縮機320の吐出温度が下がって、空気調和装置310の運転効率が上がる。
制御部390は、第1中間インジェクション制御において、吐出温度センサ393が検知する圧縮機320の吐出温度Tdiを監視しており、この吐出温度Tdiが第1上限値を超えると、第1インジェクション用温度センサ396の検出温度Tshに基づく第1インジェクション用電動弁363の開度調整を止めて、吐出温度センサ393の検出温度Tdiに基づく第1インジェクション用電動弁363の開度調整に移行する。このときには、第1インジェクション流路365を流れる冷媒が湿りガス(フラッシュガス)になるように、第1インジェクション用電動弁363が開度調整される。吐出温度センサ393の検出温度Tdiが第1上限値を下回ると、再び第1インジェクション用温度センサ396の検出温度Tshに基づく第1インジェクション用電動弁363の開度調整に戻る。一方、吐出温度センサ393の検出温度Tdiが、第1上限値よりも高い第2上限値を上回ると、圧縮機320の垂下制御が始まって回転数が下げられ、さらに第2上限値よりも高い第3上限値を検出温度Tdiが上回ると、圧縮機320の停止指令が出される。
以上のように、基本的には第1中間インジェクション制御によって圧縮機320の吐出温度の低減や空気調和装置310の運転効率の向上が図られているが、制御部390は、レシーバ出口圧力センサ392によって、メイン冷媒流路311aの分岐管362との接続点付近の冷媒の圧力Ph2(室外液管圧力Ph2)を常時監視している。そして、制御部390は、メイン冷媒流路311aの室外液管圧力Ph2が閾値を下回ったときに、第1中間インジェクション制御から第2中間インジェクション制御に切り替える。これは、室外液管圧力Ph2が低くなると、第1インジェクション流路365を流れる冷媒を過熱ガスにするために第1インジェクション用電動弁363の開度をかなり小さくしなければならなくなって、インジェクション量(中間インジェクションポート323に流し込む冷媒量)が確保できなくなるためである。室外液管圧力Ph2が閾値を下回ったときに行われる第2中間インジェクション制御では、第1インジェクション用電動弁363が閉じられ、代わりに第2インジェクション用電動弁384が開き、高圧レシーバ380の内部に溜まっている冷媒のガス成分が、第2インジェクション流路382を通って中間インジェクションポート323から圧縮機320へと供給される。室外液管圧力Ph2が低いため、室内ユニット12から室外ユニット311に返ってくる冷媒がフラッシュしていることが多く、高圧レシーバ380には冷媒のガス成分が存在している。
この第2中間インジェクション制御において、第1インジェクション用電動弁363を閉めず、第1インジェクション用温度センサ396の検出温度Tshに基づく第1インジェクション用電動弁363の開度調整を続けてもよい。但し、室外液管圧力Ph2が閾値を下回っているため、第2中間インジェクション制御においては、第1インジェクション流路365を流れる冷媒の量よりも第2インジェクション流路382を流れる冷媒の量のほうが多くなる。また、第2中間インジェクション制御においては、第2インジェクション用電動弁384の開度が、吐出温度センサ393の検出温度Tdiに基づいて調整される。
なお、空気調和装置310の起動時にも、運転状態の室内ユニット12の数が少ないような場合には、圧縮機320の吐出温度が上昇することが想定されるため、所定条件のときには中間インジェクションが行われる。具体的には、外気温度の条件やサーモオン容量(室内膨張弁42を開けて冷媒を流す室内ユニット12の容量の合計)の条件によって、中間インジェクションの要否を判断する。この起動時に中間インジェクションを行う場合には、圧縮機320が液圧縮をしてしまわないように、第1インジェクション用電動弁363の開度を徐々に大きくしていく制御となる。
(3−4)非インジェクション制御のときの電動弁制御
制御部390は、上述のように、通常は第1中間インジェクション制御を行い、室外液管圧力Ph2が閾値を下回ったときに第2中間インジェクション制御に切り替える。しかし、インジェクションが不要なときには、制御部390は非インジェクション制御を実行する。
非インジェクション制御は、圧縮機320の回転数が閾値よりも小さくなっているとき、すなわち、圧縮機320が低能力に落とされているときに、圧縮機320の運転能力を上げてしまうことはユーザ要求に反することになることに鑑みて行われる制御であり、低能力状態の圧縮機320をそのままの能力で維持する制御である。第1中間インジェクション制御を行ってしまうと、圧縮機320の吐出温度が下がって、その圧縮機320の運転効率および能力が上がってしまうため、この非インジェクション制御が用意されている。具体的には、圧縮機20の回転数が閾値よりも小さく、且つ、吐出温度Tdiが第1上限値を下回っている場合に、非インジェクション制御が実行される。ここでは、第1インジェクション用電動弁363が閉められ、第2インジェクション用電動弁384も閉められる。
しかし、非インジェクション制御における第1インジェクション用電動弁363および第2インジェクション用電動弁384の少なくとも一方の弁開度は、全閉ではなく、全閉状態に近い開度範囲内で、制御部390によって調整される。制御部390は、吐出圧力センサ391が検知する吐出冷媒圧力の値に基づき、圧縮機320の中間インジェクションポート323に接続されている中間インジェクション配管323a内の圧力が、圧縮機320内の圧縮途中の中間圧冷媒の圧力よりも若干大きくなるように、例えば第2インジェクション用電動弁384の弁開度を全閉状態に近い開度範囲において調整する。
(4)空気調和装置の特徴
この第3実施形態では、第1インジェクション流路365に第1インジェクション用電動弁363を接続し、第2インジェクション流路382に第2インジェクション用電動弁384を接続している。そして、圧縮機320の中間インジェクションポート323に冷媒を流す必要がない場合に、第1インジェクション用電動弁363および第2インジェクション用電動弁384の少なくとも一方の弁開度を、全閉状態に近い開度の範囲内で調整(制御)している。よって、非インジェクション制御において、圧縮機320における圧縮室の容積の実質的な増大による圧縮機挙動への悪影響を抑制することができる。
(5)変形例
上記第3実施形態の空気調和装置310では、第1インジェクション流路365および第2インジェクション流路382の両方を設け、インジェクション用熱交換器364からの冷媒を圧縮機320の中間インジェクションポート323に送る第1中間インジェクションと、高圧レシーバ380から冷媒を圧縮機320の中間インジェクションポート323に送るに送る第2中間インジェクションとの両方が可能である。
しかし、第1インジェクション流路365あるいは第2インジェクション流路382の一方だけが配備され、第1中間インジェクションと第2中間インジェクションとのうち一方だけしか行うことができない冷凍装置に対しても、本発明は適用ができる。この場合にも、非インジェクション制御においては、中間インジェクション流路に接続される電動弁の弁開度を、吐出冷媒圧力の値に基づいて、全閉状態に近い開度範囲において調整すればよい。
10,110,210,310 空気調和装置(冷凍装置)
11a,111a,311a メイン冷媒流路
20,320 圧縮機
27,327 吸入流路
30,330 室外熱交換器(凝縮器,蒸発器)
41,341 室外膨張弁(膨張機構)
42 室内膨張弁(膨張機構)
50 室内熱交換器(蒸発器,凝縮器)
62,262,362 分岐管(分岐流路)
63,263 インジェクション用電動弁(開度調整弁)
64,264,364 インジェクション用熱交換器
65,265 中間インジェクション流路
66,266 中間インジェクション電動弁(流量調整機構)
67,267 吸入インジェクション流路
68,268 吸入インジェクション開閉弁(開閉機構)
69,391 吐出圧力センサ
90,390 制御部
95,393 吐出温度センサ
180,280,380 高圧レシーバ(冷媒貯留タンク)
182,282 バイパス流路
323a 中間インジェクション配管
363 第1インジェクション用電動弁(流量調整機構)
365 第1インジェクション流路(中間インジェクション流路)
382 第2インジェクション流路(中間インジェクション流路)
384 第2インジェクション用電動弁(流量調整機構)
特開2009−127902号公報

Claims (7)

  1. 冷媒としてR32を使う冷凍装置(10,110,210,310)において、
    吸入流路(27,327)から低圧の冷媒を吸入し、冷媒の圧縮を行って高圧の冷媒を吐出する圧縮機(20,320)と、
    前記圧縮機から吐出された高圧の冷媒を凝縮させる、凝縮器(30,330,50)と、
    前記凝縮器を出た高圧冷媒を膨張させる、膨張機構(41,42,341)と、
    前記膨張機構で膨張した冷媒を蒸発させる、蒸発器(50,30,330)と、
    前記凝縮器から前記蒸発器に向かって流れる冷媒の一部を、前記圧縮機へと導き、前記圧縮機の中間圧の冷媒に合流させる、中間インジェクション流路(65,265,365,382)と、
    前記中間インジェクション流路に接続されて冷媒の流量を調整する流量調整機構(66,266,363,384)と、
    前記膨張機構および前記流量調整機構を制御する制御部(90,390)と、
    を備え、
    前記制御部は、前記中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がある場合に、前記流量調整機構の開度を中間インジェクション用開度の範囲内で制御し、前記中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合に、前記流量調整機構の開度を、全閉状態に近い非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する、
    冷凍装置。
  2. 前記圧縮機から吐出された冷媒の圧力を検知する吐出圧力センサ(69,391)、をさらに備え、
    前記制御部は、前記中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合、前記流量調整機構の開度を、前記非中間インジェクション用開度の範囲内にある固定開度、に制御する、或いは、前記吐出圧力センサによって検知される吐出冷媒圧力に基づいて前記非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する、
    請求項1に記載の冷凍装置。
  3. 前記凝縮器から前記蒸発器に向かって流れる冷媒の一部を、前記吸入流路へと導き、前記圧縮機に吸入される低圧の冷媒に合流させる、吸入インジェクション流路(67,267)、をさらに備える、
    請求項2に記載の冷凍装置。
  4. 前記吸入インジェクション流路に冷媒を流す開状態と、前記吸入インジェクション流路に冷媒を流さない閉状態と、を切替可能な開閉機構(68,268)、をさらに備え、
    前記制御部は、前記開閉機構を閉状態に制御するときに、前記中間インジェクション流路に冷媒を流す必要があるとして前記流量調整機構の開度を中間インジェクション用開度の範囲内で制御し、前記開閉機構を開状態に制御するときに、前記中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がないとして前記流量調整機構の開度を前記非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する、
    請求項3に記載の冷凍装置。
  5. 前記凝縮器と前記蒸発器とを結ぶメイン冷媒流路(11a,111a)から分岐する分岐流路(62)と、
    前記分岐流路に設けられ、開度調整が可能な、開度調整弁(63,263)と、
    前記メイン冷媒流路を流れる冷媒と、前記分岐流路の前記開度調整弁の下流を流れる冷媒とを熱交換させる、インジェクション用熱交換器(64,264)と、
    をさらに備え、
    前記インジェクション用熱交換器を出て前記分岐流路を流れる冷媒が、前記中間インジェクション流路又は前記吸入インジェクション流路に流れる、
    請求項4に記載の冷凍装置。
  6. 前記凝縮器と前記蒸発器とを結ぶメイン冷媒流路(111a)に設けられた冷媒貯留タンク(180,280)と、
    前記冷媒貯留タンクの内部に溜まる冷媒のガス成分を、前記中間インジェクション流路および前記吸入インジェクション流路に導くバイパス流路(182,282)と、をさらに備える、
    請求項4に記載の冷凍装置。
  7. 前記圧縮機から吐出された冷媒の温度を検知する吐出温度センサ(95)、をさらに備え、
    前記制御部は、前記吐出温度センサによって検知される吐出冷媒温度が温度閾値よりも高く、且つ、前記圧縮機の回転数が回転数閾値よりも低いときに、前記開閉機構を開状態に制御し且つ前記流量調整機構の開度を前記非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する、
    請求項4〜6のいずれか1項に記載の冷凍装置。
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