JP6003616B2 - 冷凍装置 - Google Patents
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Description
(1)空気調和装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置である空気調和装置10の冷媒配管系統を示す図である。
(2−1)室内ユニット
室内ユニット12は、各室の天井或いは側壁に設置されており、冷媒連絡管13,14を介して室外ユニット11に接続されている。室内ユニット12は、主として、減圧器である室内膨張弁42と、利用側熱交換器としての室内熱交換器50とを有している。
室外ユニット11は、室内ユニット12が配備される各室が存在する建物の外或いは建物の地下室などに設置され、冷媒連絡管13,14を介して室内ユニット12に接続されている。室外ユニット11は、主として、圧縮機20と、四路切換弁15と、室外熱交換器30と、室外膨張弁41と、ブリッジ回路70と、高圧レシーバ80と、インジェクション用電動弁63と、インジェクション用熱交換器64と、中間インジェクション電動弁66と、吸入インジェクション開閉弁68と、各種のセンサと、液側閉鎖弁17と、ガス側閉鎖弁18と、圧縮機付属容器28と、を有している。
圧縮機20は、圧縮機用モータによって駆動され密閉式圧縮機である。圧縮機20は、本実施形態において1台のみであるが、これに限定されず、室内ユニット12の接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されていてもよい。圧縮機20は、圧縮機付属容器28を介して吸入流路27から低圧のガス冷媒を吸入し、冷媒の圧縮を行って高圧の冷媒を吐出する。なお、この圧縮機20は中間インジェクションポート23を備えるものであるが、中間インジェクションポート23については後述する。
四路切換弁15は、冷媒の流れ方向を切り換えるための機構である。冷房運転時には、室外熱交換器30を圧縮機20によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能させ、且つ、室内熱交換器50を室外熱交換器30において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、四路切換弁15は、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29と室外熱交換器30の一端とを接続するとともに、圧縮機20の吸入側の吸入流路27(圧縮機付属容器28を含む)とガス側閉鎖弁18とを接続する(図1の四路切換弁15の実線を参照)。また、暖房運転時には、室内熱交換器50を圧縮機20によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能させ、且つ、室外熱交換器30を室内熱交換器50において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、四路切換弁15は、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29とガス側閉鎖弁18とを接続するとともに、吸入流路27と室外熱交換器30の一端とを接続する(図1の四路切換弁15の破線を参照)。本実施形態において、四路切換弁15は、吸入流路27、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29、室外熱交換器30およびガス側閉鎖弁18に接続された四方弁である。
室外熱交換器30は、冷媒の凝縮器又は蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器30は、その一端が四路切換弁15に接続されており、その他端が室外膨張弁41に接続されている。室外熱交換器30は、冷房運転時に、圧縮機20から吐出された高圧の冷媒を凝縮させる凝縮器として機能し、暖房運転時に、室外膨張弁41で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
室外膨張弁41は、冷媒の凝縮器として機能する室外熱交換器30又は室内熱交換器50から出た高圧冷媒を膨張させる膨張機構であり、開度調整が可能な電動弁である。室外膨張弁41は、その一端が室外熱交換器30に接続され、その他端がブリッジ回路70に接続されている。
ブリッジ回路70は、4つの逆止弁71、72、73、74を有している。入口逆止弁71は、室外熱交換器30から高圧レシーバ80へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。出口逆止弁72は、高圧レシーバ80から室内熱交換器50へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。入口逆止弁73は、室内熱交換器50から高圧レシーバ80へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。出口逆止弁74は、高圧レシーバ80から室外膨張弁41を経て室外熱交換器30へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。すなわち、入口逆止弁71,73は、室外熱交換器30および室内熱交換器50の一方から高圧レシーバ80に冷媒を流す機能を果たし、出口逆止弁72,74は、高圧レシーバ80から室外熱交換器30および室内熱交換器50の一方に冷媒を流す機能を果たす。
高圧レシーバ80は、冷媒貯留タンクとして機能する容器であり、室外膨張弁41と液側閉鎖弁17との間に設けられている。冷房運転時にも暖房運転時にも高圧の冷媒が流れ込む高圧レシーバ80は、そこに溜まる余剰冷媒の温度が比較的高く保たれるため、冷凍機油を含む余剰冷媒が二層分離して上部に冷凍機油が集まってしまうという不具合を生じないようにすることができる。
高圧レシーバ80の出口とブリッジ回路70の出口逆止弁72,74との間には、インジェクション用熱交換器64が設けられている。また、高圧レシーバ80の出口とインジェクション用熱交換器64とを結ぶメイン冷媒流路11aの一部分からは、分岐管62(分岐流路に相当)が分岐している。メイン冷媒流路11aは、室外熱交換器30と室内熱交換器50とを結ぶ液冷媒の主流路である。高圧レシーバ80は、メイン冷媒流路11aのうち、室外膨張弁41と液側閉鎖弁17との間に設けられていることになる。
液側閉鎖弁17は、室外ユニット11と室内ユニット12との間で冷媒をやりとりするための液冷媒連絡管13が接続される弁である。ガス側閉鎖弁18は、室外ユニット11と室内ユニット12との間で冷媒をやりとりするためのガス冷媒連絡管14が接続される弁であり、四路切換弁15に接続されている。ここで、液側閉鎖弁17およびガス側閉鎖弁18は、サービスポートを備えた三方弁である。
圧縮機付属容器28は、四路切換弁15と圧縮機20との間の吸入流路27に配置されており、過渡的に液成分を多く含む冷媒が流れ込んできたときに、圧縮機20に液冷媒が吸入されることを防止する役割を果たす。ここでは圧縮機付属容器28を設けているが、これに加えて圧縮機20への液バックを防止するためのアキュムレータを吸入流路27に配しても良い。
吸入流路27のうち、圧縮機付属容器28と圧縮機20とを結ぶ配管には、配管から構成される吸入インジェクション流路67が接続されている。吸入インジェクション流路67は、室外熱交換器30および室内熱交換器50の一方から他方に向かって流れる冷媒の一部を、吸入流路27へと導き、圧縮機20に吸入される低圧の冷媒に合流させる。具体的には、吸入インジェクション流路67は、上述の分岐管62のインジェクション用熱交換器64の下流側の部分と、吸入流路27とを結んでいる。
圧縮機20の吐出側の冷媒配管29には、圧縮機20から吐出された冷媒の圧力である吐出冷媒圧力を検知する吐出圧力センサ69と、圧縮機20から吐出された冷媒の温度である吐出冷媒温度を検知する吐出温度センサ95と、が装着されている。また、吸入流路27には、圧縮機20に吸入される冷媒の温度を検知する吸入温度センサが装着されている。また、分岐管62のインジェクション用熱交換器64の下流側には、インジェクション用熱交換器64での熱交換後の冷媒の温度を検知するインジェクション用温度センサ96が取り付けられている。
その他、室外ユニット11は、室外制御部91を有している。室外制御部91は、室外ユニット11の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット12の室内制御部92との間で伝送線93を介して制御信号等のやりとりを行う。
冷媒連絡管13,14は、室外ユニット11および室内ユニット12を設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管である。
空気調和装置10の各種の運転制御を行う制御手段としての制御部90は、図1に示すように伝送線93を介して結ばれる室外制御部91および室内制御部92によって構成されている。制御部90は、図2に示すように、上述の各種センサ69,95,96,・・・の検出信号を受け、これらの検出信号等に基づいて各種機器20,35,41,42,55,63,66,68,・・・を制御する。
次に、本実施形態に係る空気調和装置10の動作について説明する。なお、以下に説明する各種運転における制御は、運転制御手段として機能する制御部90によって行われる。
冷房運転時は、四路切換弁15が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機20からの吐出ガス冷媒が室外熱交換器30に流れ、且つ、吸入流路27がガス側閉鎖弁18に接続された状態となる。室外膨張弁41は全開状態に、室内膨張弁42は、開度調節されるようになる。なお、閉鎖弁17,18は開状態である。
暖房運転時は、四路切換弁15が図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29がガス側閉鎖弁18に接続され、且つ、吸入流路27が室外熱交換器30に接続された状態となる。室外膨張弁41および室内膨張弁42は、開度調節されるようになっている。なお、閉鎖弁17,18は開状態である。
冷媒にR32を用いている空気調和装置10では、吐出冷媒温度が比較的高くなりやすい。そこで、本実施形態では、制御部90の機能部の1つであるインジェクション制御部90cが、冷房運転や暖房運転のときに、運転能力の向上や圧縮機20の吐出冷媒温度の低下を目的として、原則として中間インジェクション或いは吸入インジェクションを行う。
(4−1)
本実施形態では、上述したように、中間インジェクション流路65に、開度調整が可能な流量調整機構としての中間インジェクション電動弁66を接続している。そして、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要がない場合に、この中間インジェクション電動弁66の開度を、全閉状態に近い非中間インジェクション用開度の範囲内で制御している。よって、吸入インジェクション制御および非インジェクション制御において、圧縮機20における圧縮室の容積の実質的な増大を低減でき、圧縮機20における圧縮効率の低減を抑制できている。
本実施形態に係る空気調和装置10では、中間インジェクション流路65と、吸入インジェクション流路67とを設けるとともに、いずれによってインジェクションを行うのかを切り替える切替機構として、中間インジェクション電動弁66と、開閉機構としての吸入インジェクション開閉弁68と、を備えている。
本実施形態に係る空気調和装置10では、中間インジェクション流路65或いは吸入インジェクション流路67を介して圧縮機20へと流れることになるインジェクション用の冷媒が、分岐管62に設けられたインジェクション用電動弁63で減圧されインジェクション用熱交換器64で熱交換した冷媒となる。このため、インジェクション用電動弁63の開度を調整制御することで、圧縮機20の中間圧の冷媒或いは圧縮機20に吸入される低圧の冷媒に合流させるインジェクション用の冷媒を、ステップS22のように過熱ガスにしたり、ステップS23やステップS4のようにフラッシュガスにしたりすることが可能になっている。
本実施形態に係る空気調和装置10では、吐出温度センサ95が検知した吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高くなると、吐出冷媒温度Tdiが温度閾値としての第1上限値を下回るように、分岐管62を流れるインジェクション用の冷媒で圧縮機20の温度を下げることが好ましい。
本実施形態に係る空気調和装置10では、中間インジェクション制御をすることで、能力アップや効率アップを図っているが、運転継続が困難になるレベルまで圧縮機20の吐出冷媒温度Tdiが上がってしまうと、圧縮機20の回転数を強制的に下げる垂下制御や圧縮機20の停止を実施する必要が出てくる。
(5−1)変形例A
上記実施形態の空気調和装置10では、中間インジェクション流路65や吸入インジェクション流路67に、メイン冷媒流路11aから分岐させた分岐管62からインジェクション用の冷媒を供給する構成を採っている。これに代えて、図5に示すように、メイン冷媒流路111aに設けられた高圧レシーバ180に溜まる冷媒のガス成分をバイパス流路182で取り出し、そのバイパス流路182から中間インジェクション流路65や吸入インジェクション流路67にインジェクション用の冷媒を供給する構成を採ることもできる。
上記実施形態では、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要がない場合、すなわち、吸入インジェクション制御や非インジェクション制御を行う場合、中間インジェクション電動弁66の開度を、吐出冷媒圧力Pdiに基づいて、非中間インジェクション用開度の範囲内で制御すると説明したが、これに限られるものではない。例えば、予め、シミュレーション等により、中間インジェクション電動弁66の開度を決定しておき、制御部90のメモリに記憶させておいてもよい。つまり、中間インジェクション流路65に冷媒を流す必要がない場合、中間インジェクション電動弁66の開度を、所定の固定開度となるように制御してもよい。なお、この所定の固定開度は、上記実施形態の非中間インジェクション用開度の範囲内にある。
上記の第1実施形態の空気調和装置10では、中間インジェクション流路65や吸入インジェクション流路67に、メイン冷媒流路11aから分岐させた分岐管62からインジェクション用の冷媒を供給する構成を採っている。また、第1実施形態の変形例の空気調和装置110では、メイン冷媒流路111aに設けられた高圧レシーバ180に溜まる冷媒のガス成分をバイパス流路182で取り出し、そのバイパス流路182から中間インジェクション流路65や吸入インジェクション流路67にインジェクション用の冷媒を供給する構成を採っている。しかし、これらの構成に代えて、分岐管262によるインジェクションも、高圧レシーバ280から延びるバイパス流路282によるインジェクションも選べるように、空気調和装置を構成することも可能である。以下、第2実施形態の空気調和装置110について説明する。
図6は、第2実施形態に係る空気調和装置210の冷媒配管系統を示す図である。
次に、第2実施形態に係る空気調和装置の動作について説明する。なお、以下に説明する各種運転における制御は、運転制御手段として機能する室外ユニット211の制御部によって行われる。
冷房運転時は、四路切換弁15が図6の実線で示される状態、すなわち、圧縮機20からの吐出ガス冷媒が室外熱交換器30に流れ、且つ、吸入流路27がガス側閉鎖弁18に接続された状態となる。室外膨張弁41は全開状態に、室内膨張弁42は、開度調節されるようになる。なお、閉鎖弁17,18は開状態である。
暖房運転時は、四路切換弁15が図5の破線で示される状態、すなわち、圧縮機20の吐出側の冷媒配管29がガス側閉鎖弁18に接続され、且つ、吸入流路27が室外熱交換器30に接続された状態となる。室外膨張弁41および室内膨張弁42は、開度調節されるようになっている。なお、閉鎖弁17,18は開状態である。
制御部は、冷房運転や暖房運転のときに、運転能力の向上や圧縮機20の吐出冷媒温度の低下を目的として、原則として、中間インジェクション或いは吸入インジェクションを行う。中間インジェクションとは、インジェクション用熱交換器264および/又は高圧レシーバ280からインジェクション共通管202へ流れてきた冷媒を、中間インジェクション流路265によって圧縮機20の中間インジェクションポート23に注入することである。吸入インジェクションとは、インジェクション用熱交換器264および/又は高圧レシーバ280からインジェクション共通管202へ流れてきた冷媒を、吸入インジェクション流路267によって吸入流路27に注入して圧縮機20に吸入させることである。中間インジェクションも、吸入インジェクションも、圧縮機20の吐出冷媒温度を下げる効果を有する。また、中間インジェクションは、運転能力を上げる効果を更に有する。
ステップS201において圧縮機20の回転数が回転数閾値以上であると判断されると、ステップS202に移行し、冷房運転中か暖房運転中かが判断される。ここで暖房運転中であれば、主として高圧レシーバ280から取り出したガス冷媒を中間インジェクション流路265に流す中間インジェクションが実施される。
ステップS202で暖房運転中と判断されると、ステップS203に移行し、吐出温度センサ95が検知している圧縮機20の吐出冷媒の吐出冷媒温度Tdiが、温度閾値としての第1上限値よりも高いか否かが判断される。例えば、第1上限値は、95℃に設定される。ここで否であれば、ステップS204に移行し、中間インジェクション電動弁266の開度が中間インジェクション用開度に制御され、吸入インジェクション開閉弁268が閉状態に制御される。それらの状態に既になっているときは、それらの状態が維持される。ここで、中間インジェクション用開度とは、全開状態又は全開状態に近い開度である。なお、中間インジェクション用開度は、制御部のメモリに予め記憶されているものとする。また、ステップS204では、第1インジェクション用電動弁263および第2インジェクション用バイパス電動弁284それぞれの開度が調整される。吐出冷媒温度Tdiが平常範囲にあるため、第1インジェクション用電動弁263は、基本的な暖房運転の制御に従って、高圧レシーバ280を出てメイン冷媒流路211aを流れる液冷媒に所定の過冷却度がつくように、開度調整される。また、第2インジェクション用バイパス電動弁284は、高圧レシーバ280のガス冷媒が中間インジェクション流路265に流れるように、開度調整される。一方、ステップS203において、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いと判断されると、ステップS205に移行する。ここでは、吐出冷媒温度Tdiを下げる必要があるため、その吐出冷媒温度Tdiに基づいて、第1インジェクション用電動弁263および第2インジェクション用バイパス電動弁284それぞれの開度が調整される。具体的には、ステップS205では、早く吐出冷媒温度Tdiが第1上限値を下回るように、中間インジェクションさせるガス冷媒を湿らせる湿り制御が行われる。すなわち、中間インジェクションの冷却効果を高めるため、中間インジェクションされるガス冷媒が気液二相のフラッシュガスになるように、第1インジェクション用電動弁263などの開度が調整される。なお、ステップS205でも、ステップS204と同様に、中間インジェクション電動弁266の開度が中間インジェクション用開度に制御され、吸入インジェクション開閉弁268が閉状態に制御される。
ステップS202で冷房運転中と判断されると、ステップS206に移行し、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いか否かが判断される。ここで吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高ければ、ステップS207に移行し、中間インジェクションさせるガス冷媒を湿らせる湿り制御を行うために、主としてインジェクション用熱交換器264から中間インジェクション流路265へと冷媒を流す。具体的には、ステップS207において、中間インジェクション電動弁266の開度が中間インジェクション用開度に制御され、吸入インジェクション開閉弁268が閉状態に制御され、さらに、第1インジェクション用電動弁263の開度が吐出冷媒温度Tdiに基づいて制御される。また、ステップS207において、第2インジェクション用バイパス電動弁284は、必要に応じて開けられる。このステップS207では、インジェクション用熱交換器264から気液二相の湿りガス冷媒が圧縮機20に中間インジェクションされるため、高くなっている吐出冷媒温度Tdiが急激に低下することが期待できる。
上述のステップS202〜ステップS210までは、ステップS201において圧縮機20の回転数が閾値以上であると判断されたときの制御であるが、まだ圧縮機20の回転数を落として更に低能力にする余地があるため、基本的にはインジェクションによる運転能力の向上を図る。したがって、吸入インジェクションではなく中間インジェクションが選択されている。
ステップS201で圧縮機20の回転数が回転数閾値よりも小さいと判断されると、ステップS301に移行し、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いか否かが判断される。ここで吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高ければ、吐出冷媒温度Tdiを下げる必要があるため、ステップS302を経てステップS303或いはステップS304に移行し、吸入インジェクションが行われる。
ステップS301で吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いと判断され、さらにステップS302で暖房運転中であると判断されると、主として高圧レシーバ280からの冷媒を吸入インジェクション流路267から吸入流路27に流す吸入インジェクションが実施される。具体的には、ステップS303において、吐出圧力センサ69によって検知される、圧縮機20から吐出された吐出冷媒圧力Pdiに基づいて、中間インジェクション電動弁266の開度が非中間インジェクション用開度の範囲内で制御され、吸入インジェクション開閉弁68が開状態に制御される。ここで、非中間インジェクション用開度の範囲とは、全閉状態を除く全閉状態に近い開度の範囲であり、中間インジェクション流路265の冷媒圧力を、圧縮機20の圧縮室における冷媒が中間インジェクション流路265に逆流しないような冷媒圧力に保つことができる開度の範囲である。すなわち、中間インジェクション流路265の冷媒圧力を中間圧よりも高く維持できる開度の範囲である。この非中間インジェクション用開度の範囲は、予め、制御部のメモリに記憶されている。さらに、ここでは、吐出冷媒温度Tdiに基づいて、暖房運転で高圧レシーバ280に溜まるガス冷媒が多く吸入インジェクション流路267に流れるように第2インジェクション用バイパス電動弁284の開度が調整され、また、インジェクション用熱交換器264から吸入インジェクション流路267に流れる冷媒がフラッシュガスになるように、第1インジェクション用電動弁263の開度が調整される。
ステップS301で吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも高いと判断され、さらにステップS302で冷房運転中であると判断されると、主としてインジェクション用熱交換器264からの冷媒を吸入インジェクション流路267に流す吸入インジェクションが実施される。具体的には、ステップS304において、吐出圧力センサ69によって検知される、圧縮機20から吐出された吐出冷媒圧力Pdiに基づいて、中間インジェクション電動弁266の開度が非中間インジェクション用開度の範囲内で制御され、吸入インジェクション開閉弁268が開状態に制御される。そして、吐出冷媒温度Tdiに基づいて、インジェクション用熱交換器264から吸入インジェクション流路267に流れる冷媒がフラッシュガスになるように、第1インジェクション用電動弁263の開度が調整される。また、ステップS304において、第2インジェクション用バイパス電動弁284は、必要に応じて開けられる。
ステップS301で、吐出冷媒温度Tdiが第1上限値よりも低く、吐出冷媒温度Tdiを下げる必要がないと判断されると、非インジェクション状態を採る選択が為される。すなわち、吐出冷媒温度Tdiを低下させるための吸入インジェクションおよび中間インジェクションも、運転能力の向上のための中間インジェクションも不要であって、それらのインジェクションを止めることが望ましいため、非インジェクション状態が採られる。制御部は、ステップS305において、吸入インジェクション開閉弁268を閉状態にして、第1インジェクション用電動弁263の開度および第2インジェクション用バイパス電動弁284の開度を最小開度にする。最小開度がゼロであるときには、第1インジェクション用電動弁263の開度および第2インジェクション用バイパス電動弁284は全閉状態となる。但し、第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、中間インジェクション電動弁266に関しては、非中間インジェクション用開度の範囲内で制御されることになる。この中間インジェクション電動弁266の開度調整は、吐出圧力センサ69によって検知される、圧縮機20から吐出された吐出冷媒圧力Pdiに基づいて行われる。
上記の第1実施形態の空気調和装置10では、中間インジェクション電動弁66と吸入インジェクション開閉弁68とを配備し、中間インジェクション流路65に冷媒が流れる状態と、吸入インジェクション流路67に主に冷媒が流れる状態と、を切り替えている。
図11は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置である空気調和装置310の冷媒配管系統を示す図である。空気調和装置310は、室外ユニット311と、室内ユニット12と、室外ユニット311と室内ユニット12とを接続する液冷媒連絡管13およびガス冷媒連絡管14とを備えている。図11に示す冷媒回路内には、冷媒R32が封入されており、冷媒が圧縮され、冷却・凝縮され、減圧され、加熱・蒸発された後に、再び圧縮されるという冷凍サイクル運転が行われるようになっている。
(2−1)室内ユニット
室内ユニット12については、第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
室外ユニット311は、主として、圧縮機320と、四路切換弁315と、室外熱交換器330と、室外膨張弁341と、ブリッジ回路370と、高圧レシーバ380と、第1インジェクション用電動弁363と、インジェクション用熱交換器364と、第2インジェクション用電動弁384と、液側閉鎖弁317と、ガス側閉鎖弁318とを有している。
冷媒連絡管13,14は、室外ユニット311および室内ユニット12を設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管である。
空気調和装置310の各種運転制御を行う制御手段としての制御部390は、図11に示すように伝送線93を介して結ばれる室外制御部390aおよび室内制御部92によって構成されている。制御部390は、上述の各種センサの検出信号を受け、これらの検出信号等に基づいて各種機器を制御する。
次に、本実施形態に係る空気調和装置310の動作について説明する。なお、以下に説明する各種運転における制御は、運転制御手段として機能する制御部390によって行われる。
冷房運転時は、四路切換弁315が図11の実線で示される状態となる。室外膨張弁341は全開状態に、室内膨張弁42は、開度調節されるようになる。この冷媒回路の状態において、圧縮機320から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁315を経由して、冷媒の凝縮器として機能する室外熱交換器330に送られ、室外ファン335によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却される。室外熱交換器330において冷却されて液化した高圧の冷媒は、インジェクション用熱交換器364で過冷却状態となり、液冷媒連絡管13を経由して各室内ユニット12に送られる。各室内ユニット12に送られた冷媒は、室内膨張弁42によってそれぞれ減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器50において室内空気と熱交換をし、蒸発して低圧のガス冷媒となる。そして、室内熱交換器50において加熱された低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管14を経由して室外ユニット311に送られ、四路切換弁315を経由して再び圧縮機320に吸入される。このようにして、室内の冷房が行われる。
暖房運転時は、四路切換弁315が図11の破線で示される状態となる。室外膨張弁341および室内膨張弁42は、開度調節されるようになっている。この冷媒回路の状態において、圧縮機320から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁315およびガス冷媒連絡管14を経由して、各室内ユニット12に送られる。そして、各室内ユニット12に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の凝縮器として機能する室内熱交換器50において、それぞれ室内空気と熱交換を行って冷却された後、室内膨張弁42を通過し、液冷媒連絡管13を経由して室外ユニット311に送られる。冷媒が室内空気と熱交換を行って冷却される際に、室内空気は加熱される。室外ユニット311に送られた高圧の冷媒は高圧レシーバ380で気液分離され、高圧の液冷媒が、インジェクション用熱交換器364で過冷却状態となり、室外膨張弁341によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器330に流入する。室外熱交換器330に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン335によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱され、蒸発して低圧の冷媒となる。室外熱交換器330を出た低圧のガス冷媒は、四路切換弁315を経由して再び圧縮機320に吸入される。このようにして、室内の暖房が行われる。
制御部390の機能部の1つである中間インジェクション制御部は、冷房運転や暖房運転のときに、主として第1インジェクション流路365に冷媒を流す第1中間インジェクション制御と、主として第2インジェクション流路382に冷媒を流す第2中間インジェクション制御と、いずれのインジェクション流路365,382にも冷媒を流さない非インジェクション制御と、の何れかを選択的に行う。第1および第2中間インジェクション制御は、R32を冷媒として使い圧縮機320の吐出温度が高くなる傾向にあることから吐出温度低減のために行われる制御であり、第1インジェクション流路365/第2インジェクション流路382を使って圧縮機320の中間インジェクションポート323に冷媒を送り、圧縮機320の吐出温度を下げる。圧縮機320内の圧縮途中の中間圧冷媒よりも、中間インジェクションポート323に送られてくる中間圧冷媒のほうが低温であるため、圧縮機320の吐出温度が下がる。
制御部390は、上述のように、通常は第1中間インジェクション制御を行い、室外液管圧力Ph2が閾値を下回ったときに第2中間インジェクション制御に切り替える。しかし、インジェクションが不要なときには、制御部390は非インジェクション制御を実行する。
この第3実施形態では、第1インジェクション流路365に第1インジェクション用電動弁363を接続し、第2インジェクション流路382に第2インジェクション用電動弁384を接続している。そして、圧縮機320の中間インジェクションポート323に冷媒を流す必要がない場合に、第1インジェクション用電動弁363および第2インジェクション用電動弁384の少なくとも一方の弁開度を、全閉状態に近い開度の範囲内で調整(制御)している。よって、非インジェクション制御において、圧縮機320における圧縮室の容積の実質的な増大による圧縮機挙動への悪影響を抑制することができる。
上記第3実施形態の空気調和装置310では、第1インジェクション流路365および第2インジェクション流路382の両方を設け、インジェクション用熱交換器364からの冷媒を圧縮機320の中間インジェクションポート323に送る第1中間インジェクションと、高圧レシーバ380から冷媒を圧縮機320の中間インジェクションポート323に送るに送る第2中間インジェクションとの両方が可能である。
11a,111a,311a メイン冷媒流路
20,320 圧縮機
27,327 吸入流路
30,330 室外熱交換器(凝縮器,蒸発器)
41,341 室外膨張弁(膨張機構)
42 室内膨張弁(膨張機構)
50 室内熱交換器(蒸発器,凝縮器)
62,262,362 分岐管(分岐流路)
63,263 インジェクション用電動弁(開度調整弁)
64,264,364 インジェクション用熱交換器
65,265 中間インジェクション流路
66,266 中間インジェクション電動弁(流量調整機構)
67,267 吸入インジェクション流路
68,268 吸入インジェクション開閉弁(開閉機構)
69,391 吐出圧力センサ
90,390 制御部
95,393 吐出温度センサ
180,280,380 高圧レシーバ(冷媒貯留タンク)
182,282 バイパス流路
323a 中間インジェクション配管
363 第1インジェクション用電動弁(流量調整機構)
365 第1インジェクション流路(中間インジェクション流路)
382 第2インジェクション流路(中間インジェクション流路)
384 第2インジェクション用電動弁(流量調整機構)
Claims (7)
- 冷媒としてR32を使う冷凍装置(10,110,210,310)において、
吸入流路(27,327)から低圧の冷媒を吸入し、冷媒の圧縮を行って高圧の冷媒を吐出する圧縮機(20,320)と、
前記圧縮機から吐出された高圧の冷媒を凝縮させる、凝縮器(30,330,50)と、
前記凝縮器を出た高圧冷媒を膨張させる、膨張機構(41,42,341)と、
前記膨張機構で膨張した冷媒を蒸発させる、蒸発器(50,30,330)と、
前記凝縮器から前記蒸発器に向かって流れる冷媒の一部を、前記圧縮機へと導き、前記圧縮機の中間圧の冷媒に合流させる、中間インジェクション流路(65,265,365,382)と、
前記中間インジェクション流路に接続されて冷媒の流量を調整する流量調整機構(66,266,363,384)と、
前記膨張機構および前記流量調整機構を制御する制御部(90,390)と、
を備え、
前記制御部は、前記中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がある場合に、前記流量調整機構の開度を中間インジェクション用開度の範囲内で制御し、前記中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合に、前記流量調整機構の開度を、全閉状態に近い非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する、
冷凍装置。 - 前記圧縮機から吐出された冷媒の圧力を検知する吐出圧力センサ(69,391)、をさらに備え、
前記制御部は、前記中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がない場合、前記流量調整機構の開度を、前記非中間インジェクション用開度の範囲内にある固定開度、に制御する、或いは、前記吐出圧力センサによって検知される吐出冷媒圧力に基づいて前記非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する、
請求項1に記載の冷凍装置。 - 前記凝縮器から前記蒸発器に向かって流れる冷媒の一部を、前記吸入流路へと導き、前記圧縮機に吸入される低圧の冷媒に合流させる、吸入インジェクション流路(67,267)、をさらに備える、
請求項2に記載の冷凍装置。 - 前記吸入インジェクション流路に冷媒を流す開状態と、前記吸入インジェクション流路に冷媒を流さない閉状態と、を切替可能な開閉機構(68,268)、をさらに備え、
前記制御部は、前記開閉機構を閉状態に制御するときに、前記中間インジェクション流路に冷媒を流す必要があるとして前記流量調整機構の開度を中間インジェクション用開度の範囲内で制御し、前記開閉機構を開状態に制御するときに、前記中間インジェクション流路に冷媒を流す必要がないとして前記流量調整機構の開度を前記非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する、
請求項3に記載の冷凍装置。 - 前記凝縮器と前記蒸発器とを結ぶメイン冷媒流路(11a,111a)から分岐する分岐流路(62)と、
前記分岐流路に設けられ、開度調整が可能な、開度調整弁(63,263)と、
前記メイン冷媒流路を流れる冷媒と、前記分岐流路の前記開度調整弁の下流を流れる冷媒とを熱交換させる、インジェクション用熱交換器(64,264)と、
をさらに備え、
前記インジェクション用熱交換器を出て前記分岐流路を流れる冷媒が、前記中間インジェクション流路又は前記吸入インジェクション流路に流れる、
請求項4に記載の冷凍装置。 - 前記凝縮器と前記蒸発器とを結ぶメイン冷媒流路(111a)に設けられた冷媒貯留タンク(180,280)と、
前記冷媒貯留タンクの内部に溜まる冷媒のガス成分を、前記中間インジェクション流路および前記吸入インジェクション流路に導くバイパス流路(182,282)と、をさらに備える、
請求項4に記載の冷凍装置。 - 前記圧縮機から吐出された冷媒の温度を検知する吐出温度センサ(95)、をさらに備え、
前記制御部は、前記吐出温度センサによって検知される吐出冷媒温度が温度閾値よりも高く、且つ、前記圧縮機の回転数が回転数閾値よりも低いときに、前記開閉機構を開状態に制御し且つ前記流量調整機構の開度を前記非中間インジェクション用開度の範囲内で制御する、
請求項4〜6のいずれか1項に記載の冷凍装置。
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