以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
図1は、本発明の実施の形態にかかる無線通信システム10を示す。無線通信システム10は、複数(図示の例では2つ)の無線通信装置100を備え、各無線通信装置100の間の無線伝送路が冗長に構成されている。図示のように、無線通信装置100の間において、主回線となる無線伝送路Aと、予備回線となる無線伝送路Bが形成されている。
図2は、無線通信システム10における無線通信装置100を示す。無線通信装置100は、適応変調方式のものであり、送信回路200と受信回路300を備える。
送信回路200は、無線フレーム多重回路210、主回線TX(送信)ベースバンド処理回路(図中「主回線TXBB処理回路」で表記している)220、主回線変調回路230、送信用の予備回線TXベースバンド処理回路(図中「予備回線TXBB処理回路」で表記している)240、予備回線変調回路250を備える。
受信回路300は、主回線復調回路310、主回線RX(受信)ベースバンド処理回路(図中「主回線RXBB処理回路」で表記している)320、主回線変調方式制御回路330、予備回線復調回路340、予備回線RXベースバンド処理回路(図中「予備回線RXBB処理回路」で表記している)350、予備回線変調方式制御回路360、回線切替部410、受信変調方式検出部420、送信変調方式検出部430、判定変調方式選択部440、無線フレーム抽出回路450を備える。
送信回路200において、無線フレーム多重回路210は、イーサネット(登録商標)/PDH(Plesiochronous Digital Hierarchy)/SDH(Synchronous Digital Hierarchy)等の通信網より入力された入力データ信号202から、主回線TXベースバンド処理回路220に出力する主回線TXデータ信号212(第1の無線フレーム)と、予備回線TXベースバンド処理回路240に出力する予備回線TXデータ信号216(第2の無線フレーム)を生成するものであり、入力データ信号202に対して、後に詳細に説明する送信変調方式検出部430からの自方向変調方式情報432に対応した無線フレームフォーマットへの信号多重を行う。
自方向変調方式情報432は、無線通信装置100が自局から対向局の無線通信装置へ送信する際に使用する変調方式を示す情報である。無線フレーム多重回路210は、該自方向変調方式情報432を無線フレームフォーマットへの多重に際して、該自方向変調方式情報432を2つに分割し、片方を主回線TXデータ信号212の無線フレームフォーマット上に多重し、他方を予備回線TXデータ信号216の無線フレームフォーマット上に多重する。
また、無線フレーム多重回路210は、後に詳細に説明する判定変調方式選択部440からの転送用変調方式情報442も2つに分割し、それぞれを主回線TXデータ信号212と予備回線TXデータ信号216の無線フレームフォーマット上に多重する。
また、無線フレーム多重回路210は、後に詳細に説明する回線切替部410からのRX主回線品質劣化情報411とRX予備回線品質劣化情報412を、主回線TXデータ信号212と予備回線TXデータ信号216の両方の無線フレームフォーマット上に多重する。RX主回線品質劣化情報411とRX予備回線品質劣化情報412は、主回線と予備回線の品質の劣化の程度を夫々示すものであり、受信回路300の時に詳細に説明する。
なお、無線フレーム多重回路210は、TX主回線品質劣化情報413とTX予備回線品質劣化情報414をチェックして、送信方向の主回線と予備回線のうちどちらか一方の回線で品質劣化が発生したと判断した場合は、転送用変調方式情報442と自方向変調方式情報432の分割を停止する。
無線フレーム多重回路210は、上述した多重処理を施した後、主回線TXデータ信号212を主回線TXベースバンド処理回路220に、予備回線TXデータ信号216を予備回線TXベースバンド処理回路240に送出する。
また、無線フレーム多重回路210は、自方向変調方式情報432を主回線ベースバンド処理用送信変調方式情報214と予備回線ベースバンド処理用送信変調方式情報218として、主回線TXベースバンド処理回路220と予備回線TXベースバンド処理回路240に夫々出力する。
主回線TXベースバンド処理回路220は、無線フレーム多重回路210より入力された主回線TXデータ信号212に対して、スクランブル、誤り訂正符号化処理を行い、主回線TXベースバンド信号222を得て主回線変調回路230に送出する。この際、主回線TXベースバンド処理回路220は、主回線変調用送信変調方式情報224も主回線変調回路230に送出する。
同様に、予備回線TXベースバンド処理回路240は、無線フレーム多重回路210より入力された予備回線TXデータ信号216に対して、スクランブル、誤り訂正符号化処理を行い、予備回線TXベースバンド信号242を得て予備回線変調回路250に送出する。この際、主回線TXベースバンド処理回路240は、予備回線変調用送信変調方式情報244も予備回線変調回路250に送出する。
主回線変調回路230は、主回線TXベースバンド処理回路220からの主回線変調用送信変調方式情報224が示す変調方式に基づいて、主回線TXベースバンド処理回路220から入力された主回線TXベースバンド信号222に対して、波形整形、非線形歪補正等を含む変調処理を行い、主回線送信変調信号SAを無線伝送路へ送出する。
同様に、予備回線変調回路250は、予備回線TXベースバンド処理回路240からの予備回線変調用送信変調方式情報244が示す変調方式に基づいて、予備回線TXベースバンド処理回路240から入力された予備回線TXベースバンド信号242に対して、波形整形、非線形歪補正等を含む変調処理を行い、予備回線送信変調信号SBを無線伝送路へ送出する。
次に、受信回路300を説明する。
主回線復調回路310は、無線伝送路から入力された主回線の受信信号(主回線受信変調信号RA)対して波形整形、波形等化、キャリア同期確立等を含む復調処理を行い、主回線RXベースバンド信号312を得て主回線RXベースバンド処理回路320に送出する。なお、主回線復調回路310による復調処理は、受信変調方式検出部420から入力された主回線復調用受信変調方式情報422が示す変調方式に基づいてなされる。
主回線復調回路310は、さらに、変調方式判定を行う指標となる、主回線の受信品質を示す情報(主回線受信品質値)314を主回線変調方式制御回路330へ送出する。
主回線受信品質値314は、主回線と予備回線の選択を判定する指標にも用いられるため、回線切替部410にも通知される。
同様に、予備回線復調回路340は、無線伝送路から入力された予備回線の受信信号(予備回線受信変調信号RB)に対して波形整形、波形等化、キャリア同期確立等を含む復調処理を行い、予備回線RXベースバンド信号342を予備回線RXベースバンド処理回路350に送出する。なお、予備回線復調回路340による復調処理は、受信変調方式検出部420から入力された予備回線復調用受信変調方式情報424が示す変調方式に基づいてなされる。
予備回線復調回路340は、さらに、変調方式判定を行う指標となる、予備回線の受信品質を示す情報(受信品質値344)を予備回線変調方式制御回路360へ送出する。
予備回線受信品質値344は、主回線と予備回線の選択を判定する指標にも用いられるため、回線切替部410にも通知される。
主回線RXベースバンド処理回路320は、受信変調方式検出部420から通知された、受信回路300で使用する受信変調方式情報である主回線ベースバンド処理用受信変調方式情報421を受信し、主回線復調回路310から入力された主回線RXベースバンド信号312に対してフレーム同期確立を行った後、誤り訂正復号化処理、デスクランブル処理を行い、主回線RXデータ信号322を得て回線切替部410に送出する。
同様に、予備回線RXベースバンド処理回路350は、受信変調方式検出部420から通知された、受信回路300で使用する受信変調方式情報である予備回線ベースバンド処理用受信変調方式情報423を受信し、予備回線復調回路340から入力された予備回線RXベースバンド信号342に対してフレーム同期確立を行った後、誤り訂正復号化処理、デスクランブル処理を行い、予備回線RXデータ信号352を得て回線切替部410に送出する。
回線切替部410は、主回線受信品質値314及び予備回線受信品質値344を受信し、主回線と予備回線の受信品質を判定する。そし、主回線RXベースバンド処理回路320から入力された主回線RXデータ信号322と、予備回線RXベースバンド処理回路350から入力された予備回線RXデータ信号352のうち、受信品質が良いと判定されたほうの信号を選択して、無線フレーム抽出回路450に出力すると共に、回線の選択結果(主回線か予備回線か)を示す信号を回線選択信号416として、受信変調方式検出部420、送信変調方式検出部430に通知する。回線切替部410により選択され無線フレーム抽出回路450に出力される信号を、以下「選択後RXデータ信号」(415)という。
また、回線切替部410は、主回線受信品質値314と予備回線受信品質値344から各回線の無線伝搬路の状態を推定し、推定の結果を夫々RX主回線品質劣化情報411とRX予備回線品質劣化情報412として無線フレーム多重回路210に送出する。
さらに、回線切替部410は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352の無線フレームフォーマット上から抽出した、対向局無線通信装置で判定した主回線と予備回線の品質情報であるTX主回線品質劣化情報413とTX予備回線品質劣化情報414も無線フレーム多重回路210へ通知する。
無線フレーム抽出回路450は、選択後RXデータ信号415と無線フレーム抽出用受信変調方式情報425を受信し、イーサネット/PDH/SDH等の各種データ信号を抽出した後、出力データ信号452を各々の通信網に送出する。
主回線変調方式制御回路330は、主回線受信品質値314に基づいて判定した変調方式情報を主回線判定変調方式情報332として、判定変調方式選択部440に送出する。
同様に、予備回線変調方式制御回路360は、予備回線受信品質値344に基づいて判定した変調方式情報を予備回線判定変調方式情報362として、判定変調方式選択部440に送出する。
受信変調方式検出部420は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352と回線選択信号416を受信し、受信回路300で使用する受信変調方式情報を抽出する。受信変調方式検出部420は、抽出した受信変調方式情報を主回線ベースバンド処理用受信変調方式情報421、主回線復調用受信変調方式情報422、予備回線ベースバンド処理用受信変調方式情報423、予備回線復調用受信変調方式情報424、無線フレーム抽出用受信変調方式情報425として、夫々、主回線RXベースバンド処理回路320、主回線復調回路310、予備回線RXベースバンド処理回路350、予備回線復調回路340、無線フレーム抽出回路450に通知する。
これらの5つの変調方式情報は、すべて同一の受信変調方式情報であるが、送信タイミングが異なる。受信変調方式検出部420による受信変調方式情報の抽出は、後に詳細に説明する。
送信変調方式検出部430は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352と回線選択信号416を受信し、送信回路200で使用する送信変調方式情報(対向局の無線通信装置の受信回路で使用する変調方式情報)を生成する。送信変調方式検出部430は、生成した送信変調方式情報を自方向変調方式情報432として自局無線通信装置100の送信回路200に送出する。送信変調方式検出部430による送信変調方式情報の生成は、後に詳細に説明する。
判定変調方式選択部440は、主回線判定変調方式情報332と予備回線判定変調方式情報362を受信し、該2つの判定変調方式情報のうちの一方を選択して転送用変調方式情報442として送信回路200に送出する。判定変調方式選択部440による判定変調方式情報の選択は、後に詳細に説明する。
本実施の形態にかかる無線通信システム10において、無線通信装置100は、2つの無線フレームフォーマットのいずれか一方を使用する。図3を参照して、該2つの無線フレームフォーマットを説明する。
図3に示すように、無線通信装置100が使用する第1の無線フレームフォーマット500は、適応変調方式の無線通信装置が通常使用される無線フレームフォーマットと同様であり、オーバーヘッド領域510とペイロード領域520を有する。
オーバーヘッド領域510は、無線フレームの先頭の領域であり、フレーム同期確立や変調方式制御に必要な情報となるフレームパターン情報511、無線回線品質情報512、自方向変調方式情報513、転送用変調方式情報514が格納されている。
フレームパターン情報511は、主回線RXベースバンド処理回路320及び予備回線RXベースバンド処理回路350にてフレーム同期を確立するための固定データパターンである。
無線回線品質情報512は、主回線品質劣化情報512A、予備回線品質劣化情報512B、RX主回線品質劣化情報512C、RX予備回線品質劣化情報512Dを含む。
無線回線品質情報512のこれらの情報のうちに、RX主回線品質劣化情報512Cは、回線切替部410により無線フレーム多重回路210に送信されるRX主回線品質劣化情報411であり、RX予備回線品質劣化情報512Dは、回線切替部410により無線フレーム多重回路210に送信されるRX予備回線品質劣化情報412である。主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bについては、後に詳細に説明する。
なお、オーバーヘッド領域510に格納される各パターンやデータ長、及び多重の順序は、無線通信装置100の使用する環境に応じて任意に決定できる。
ペイロード領域520は、オーバーヘッド領域510に続く領域であり、主として伝送されるデータ信号(ペイロード521)が多重される。
無線通信装置100が使用する第2の無線フレームフォーマット600も、オーバーヘッド領域610とペイロード領域620を有する。
第2の無線フレームフォーマット600は、変調方式情報(自方向変調方式情報及び転送用変調方式情報)を2分割して主回線と予備回線で夫々伝送する場合に採用されるフォーマットである。図示のように、第2の無線フレームフォーマット600では、自方向変調方式情報613が第1の無線フレームフォーマット500における自方向変調方式情報513より量が少なく、転送用変調方式情報614も、第1の無線フレームフォーマット500における転送用変調方式情報514より量が少ない。なお、図3に示す第2の無線フレームフォーマット600は、変調方式情報を2等分にして主回線と予備回線で夫々伝送する場合の例であり、自方向変調方式情報613と転送用変調方式情報614は、夫々自方向変調方式情報513と転送用変調方式情報514の半分であるが、変調方式情報の分割は、必ずしも等分割とは限らない。
第2の無線フレームフォーマット600の場合、自方向変調方式情報613と転送用変調方式情報614の領域が夫々自方向変調方式情報513と転送用変調方式情報514の半分であるため、空いた領域をペイロード領域620に割り当てることができる。そのため、ペイロード521より量の多いペイロード621を伝送することができ、無線伝送帯域の利用効率を高めることができる。
図3に示す2つの無線フレームフォーマットは、無線通信装置100において切り替えて使用される。この切替えの制御に関しては、以下、無線通信装置100の詳細動作と共に説明する。
無線フレーム多重回路210は、イーサネット/PDH/SDH等の通信網より入力された入力データ信号202を図3に示す第1の無線フレームフォーマット500上のペイロード領域520、もしくは図3に示す第2の無線フレームフォーマット600上のペイロード領域620へ多重し、受信側(対向局の無線通信装置)でフレーム同期確立を行うためのフレームパターン情報511をオーバーヘッド領域510もしくは610へ多重する。
さらに、無線フレーム多重回路210は、自方向変調方式情報432と転送用変調方式情報442に対して、無線伝搬路の状態が悪化した場合の耐力を強めるために、図4に示すように、mビットの変調方式情報を(m+n)ビットに冗長し誤り訂正符号化を行う。
転送用変調方式情報442は、無線通信装置100の主回線変調方式制御回路330と予備回線変調方式制御回路360が判定した変調方式のうちの、判定変調方式選択部440により選択した変調方式を示す情報であり、対向局の無線通信装置の送信回路へ転送されるものである。
自方向変調方式情報432は、対向局の無線通信装置で判定及び選択した変調方式情報をフィードバックした情報であり、自局の無線通信装置100から対向局無線通信装置への通信に対する変復調処理に用いられる変調方式情報である。
無線フレーム多重回路210は、第1の無線フレームフォーマット500の場合には、誤り訂正符号化を施した転送用変調方式情報442と自方向変調方式情報432をそれぞれ自方向変調方式情報513と転送用変調方式情報514としてオーバーヘッド領域510へ多重する、
一方、第2の無線フレームフォーマット600の場合には、無線フレーム多重回路210は、誤り訂正符号化を施した転送用変調方式情報442の一部(ここでは半分)を主回線用の無線フレームのオーバーヘッド領域610に多重し、別の一部(半分)を予備回線用の無線フレームのオーバーヘッド領域610に多重する。同様に、誤り訂正符号化を施した自方向変調方式情報432についても、その一部(ここでは半分)をを主回線用の無線フレームのオーバーヘッド領域610に多重し、別の一部(半分)を予備回線用の無線フレームのオーバーヘッド領域610に多重する。
変調方式情報に対する誤り訂正符号化の方式は、適用される装置に応じて任意に決定できるが、本実施の形態では、第2の無線フレームフォーマット600の場合に1つの無線フレームにおける変調方式情報の情報量が少ないこと、回路規模を極力小さくしたいこと、そして変調方式の切り替え時間を極力短くしたいことから、誤り訂正符号化/復号が比較的簡単かつ短時間で行えるハミング符号を採用する。
例えば、図5に示すように、適用変調方式の変調モードとして、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)/16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)/32QAM/64QAM/128QAM/256QAM/512QAM/1024QAMの8種類を用いる場合、転送用変調方式情報442及び自方向変調方式情報432は3ビットで表現され、誤り訂正符号化を施した変調方式情報は31ビットで表現される。
さらに、無線フレーム多重回路210は、回線切替部410から通知されたTX主回線品質劣化情報413とTX予備回線品質劣化情報414を各々主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bとして第1の無線フレームフォーマット500のオーバーヘッド領域510または第2の無線フレームフォーマット600のオーバーヘッド領域610へ多重する。
無線フレーム多重回路210は、下記のように、第1の無線フレームフォーマット500と第2の無線フレームフォーマット600のいずれを採用するかを判断する。
まず、無線フレーム多重回路210は、回線切替部410からTX主回線品質劣化情報413とTX予備回線品質劣化情報414を受信する。TX主回線品質劣化情報413は、自局の無線通信装置100から対向局の無線通信装置へ通信する方向の主回線について無線伝送品質が「劣化した」ことを示す信号であり、対向局の無線通信装置の回線切替部で判定されやものである。TX予備回線品質劣化情報414は、自局の無線通信装置100から対向局無線通信装置へ通信する方向の予備回線について無線伝送品質が「劣化した」ことを示す信号であり、対向局の無線通信装置の回線切替部で判定されたものである。この「劣化した」を判断する手法については、後に、回線切替部410の説明で詳細に記述する。
なお、TX主回線品質劣化情報413とTX予備回線品質劣化情報414は、無線回線品質が「劣化した」もしくは「正常」のどちらか一方の状態を示す2値の情報である。
図6は、無線フレーム多重回路210による無線フレームフォーマットの選択を示すフローチャートである。図示のように、TX主回線品質劣化情報413とTX予備回線品質劣化情報414のいずれか一方が「劣化した」という状態を示す場合(S100:Yes)、無線フレーム多重回路210は、第1の無線フレームフォーマット500を採用する(S102)。この場合、無線フレーム多重回路210は、従来と同様に、誤り訂正符号化を施した自方向変調方式情報432と転送用変調方式情報442を分割せずに、そのまま自方向変調方式情報513と転送用変調方式情報514として、主回線TXベースバンド処理回路220に送出する主回線TXデータ信号212と、予備回線TXベースバンド処理回路240に送出する予備回線TXデータ信号216のオーバーヘッド領域510に多重する。つまり、この場合、主回線TXデータ信号212と予備回線TXデータ信号216には、同様の自方向変調方式情報432と転送用変調方式情報442が含まれている。
一方、TX主回線品質劣化情報413とTX予備回線品質劣化情報414のいずれも「正常」を示す場合(S100:No)、無線フレーム多重回路210は、第2の無線フレームフォーマット600を採用する(S104)。この場合、無線フレーム多重回路210は、自方向変調方式情報432を2分割し、片方を自方向変調方式情報613として主回線TXデータ信号212のオーバーヘッド領域610に多重し、他方を自方向変調方式情報613として予備回線TXデータ信号216のオーバーヘッド領域610に多重する。同様に、無線フレーム多重回路210は、転送用変調方式情報442を2分割し、片方を転送用変調方式情報614として主回線TXデータ信号212のオーバーヘッド領域610に多重し、他方を転送用変調方式情報614として予備回線TXデータ信号216のオーバーヘッド領域610に多重する。
図7を参照して、図6におけるステップS104における分割処理を詳細に説明する。
図7に示すように、無線フレーム多重回路210は、自方向変調方式情報432(w bits)を自方向変調方式情報432−A(p bits)(p≧1)と、自方向変調方式情報432−B(q bits)(q≧1)に分割する。自方向変調方式情報432−Aは、自方向変調方式情報613として主回線TXデータ信号212のオーバーヘッド領域610に多重され、自方向変調方式情報432−Bは、自方向変調方式情報613として予備回線TXデータ信号216のオーバーヘッド領域610に多重される。
また、無線フレーム多重回路210は、転送用変調方式情報442(w bits)を転送用変調方式情報442−A(p bits)(p≧1)と転送用変調方式情報442−B(q bits)(q≧1)に分割する。転送用変調方式情報442−Aは、転送用変調方式情報614としてを主回線TXデータ信号212のオーバーヘッド領域610に多重され、転送用変調方式情報442−Bは、転送用変調方式情報614として予備回線TXデータ信号216のオーバーヘッド領域610に多重される。
ここで、3つのパラメータw、p、qの値は「w=p+q」の関係を満たせば無線通信装置の使用環境によって任意に決定することができる。また、自方向変調方式情報432と転送用変調方式情報442間で、同一のwと同一のqを用いなくてもよい。
さらに、この場合、無線フレーム多重回路210は、入力データ信号202から抽出したデータ信号を主回線TXデータ信号212と予備回線TXデータ信号216に多重する際に、上記2つの変調方式情報を分割して主回線TXデータ信号212と予備回線TXデータ信号216に夫々多重することにより空いた領域(ペイロード領域620がペイロード領域520より多くなった部分)もペイロード領域として使用し、上記データ信号を該領域にも多重する。なお、該データ信号については、2つの変調方式情報のような分割をせず、主回線TXデータ信号212と予備回線TXデータ信号216のペイロード領域620に同一の信号を多重する。
主回線TXベースバンド処理回路220は、主回線TXデータ信号212に対してスクランブル処理や誤り訂正符号化処理等の無線ディジタル信号処理を施して主回線ベースバンド信号222を得て変調回路230へ送出する。
図3に示すように、主回線TXデータ信号212のペイロード領域(520または620)における列数mは変調方式によって異なるため、無線ディジタル信号処理を行うために変調方式情報が必要である。該変調方式情報に対応する主回線ベースバンド処理用送信変調方式情報214は、主回線ベースバンド信号222とのフレーム位相を揃える処理が施された後主回線変調用送信変調方式情報224として主回線変調回路230に送出される。予備回線TXベースバンド処理回路240は、予備回線TXデータ信号216と予備回線ベースバンド処理用送信変調方式情報218に対して主回線TXベースバンド処理回路220と同様の処理を行い、予備回線ベースバンド信号242と予備回線変調用送信変調方式情報244を予備回線変調回路250に送出する。
主回線変調回路230は、主回線変調用送信変調方式情報224から本回路で使用する変調方式を判断し、TXベースバンド処理回路220から入力された主回線ベースバンド信号222に対して、上記変調方式に対応したマッピング処理、波形整形、非線形歪補正、中間周波数への変調処理、さらに、高周波数帯への周波数変換、電力増幅を施した後、アンテナから無線伝搬路へ主回線送信変調信号SAを送出する。
予備回線変調回路250は、予備回線TXベースバンド処理回路240から入力された予備回線ベースバンド信号242と予備回線変調用送信変調方式情報244に対して主回線変調回路230と同様の処理を行い、アンテナから無線伝搬路へ予備回線送信変調信号SBを送出する。
次いで、受信回路300の各機能ブロックを詳細に説明する。
主回線復調回路310は、無線伝搬路を通過しアンテナより受信された主回線受信変調信号RAに対して、電力増幅、中間周波数帯への周波数変換を施した後、ベースバンド帯への復調処理、波形整形、波形等化、キャリア同期確立、デマッピング処理を行い、主回線RXベースバンド処理回路320へ主回線RXベースバンド信号312を送出する。
また、主回線復調回路310は、受信変調方式検出部420から入力された主回線復調用受信変調方式情報422から復調処理に用いる変調方式を決定する。そして、主回線復調回路310は、受信変調信号RAから無線伝搬路の状態を推定するための品質情報を計算し、主回線受信品質値314として主回線変調方式制御回路330と回線切替部410に送出する。主回線受信品質値314としては、例えば、搬送波対雑音比(CNR:Carrier to Noise Ratio)や受信レベル等が該当する。
予備回線復調回路340は、無線伝搬路を通過しアンテナより受信された予備回線受信変調信号RBと予備回線復調用受信変調方式情報424に対して、主回線復調回路310と同様の処理を行い、予備回線RXベースバンド処理回路350に予備回線RXベースバンド信号342を送出する。
同様に、予備回線復調回路340は、受信変調信号RBから無線伝搬路の状態を推定するための品質情報を計算し、予備回線受信品質値344を予備回線変調方式制御回路360と回線切替部410に送出する。
主回線RXベースバンド処理回路320は、主回線復調回路310から入力された主回線RXベースバンド信号312のフレームパターン情報511を抽出し、既知のフレームパターンとの照合を行い、所定の回数連続して該既知のフレームパターンに一致した場合にフレーム同期確立と判定する。なお、フレーム同期又は非同期と判定するフレームパターンの照合回数は、無線通信装置を使用する環境に応じて任意に設定できる。
フレーム同期確立後、主回線RXベースバンド処理回路320は、主回線RXベースバンド信号312に対して誤り訂正復号処理やデスクランブル処理等の無線ディジタル信号処理を施し、主回線RXデータ信号322を回線切替部410に送出する。
ここで、主回線RXベースバンド信号312におけるペイロード領域520/620のアサインは変調方式によって異なるため、上記無線ディジタル信号処理を行うために主回線ベースバンド処理用受信変調方式情報421が必要である。
予備回線RXベースバンド処理回路350は、予備回線RXベースバンド信号342に対して主回線RXベースバンド処理回路320と同様の処理を行い、予備回線RXデータ信号352を回線切替部410に通知する。予備回線ベースバンド処理用受信変調方式情報423は、主回線RXベースバンド処理回路320と同様の理由で予備回線RXベースバンド処理回路350に入力される。
回線切替部410は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352のうち、受信品質の良い信号を選択して選択後RXデータ信号415を無線フレーム抽出回路450に通知する。
また、回線切替部410は、主回線復調回路310より主回線受信品質値314を受信し、予備回線復調回路340より予備回線受信品質値344を受信する。該主回線受信品質値314と予備回線受信品質値344は、回線選択の判断に使用される。例えば、受信品質レベルに閾値を設けて、主回線受信品質値314の値が該閾値を下回った場合には、受信品質が劣化したと判断し選択する回線を主回線から予備回線に切り替える。
主回線と予備回線の切り替えは無瞬断で行う必要があるため、回線切替のための上記閾値は、無線区間で通信エラーが発生しないレベル(例えば、BER(Bit Error Rate)換算で10のマイナス12乗程度)に設定する必要がある。
回線切替部410は、主回線受信品質値314と予備回線受信品質値344に基づき主回線及び予備回線が「劣化した」か「正常」かを判断し、判断結果を夫々RX主回線品質劣化情報411と及びRX予備回線品質劣化情報412として無線フレーム多重回路210に送出する。
「劣化した」の判断基準は無線通信装置を使用する環境に応じて任意に決定することが出来るが、無線区間で極力通信エラーが発生しないレベルが良い。例えば、BER換算で10のマイナス10乗程度のレベルで受信品質が「劣化した」と判断する方が良い。「劣化した」もしくは「正常」の情報は、対向局の無線通信装置において、TX主回線品質劣化情報413及びTX予備回線品質劣化情報414として、無線フレーム多重回路210が変調方式情報の分割を実施する/しないの判断基準に用いられる。従って、通信エラーが発生した時点の受信品質を「劣化した」と判断すると、冗長構成本来の目的である回線障害に対する受信品質劣化を防ぐ効果が弱くなる。例えば、最低多値数(QPSK)で伝送している場合に、主回線のBERは0、予備回線のBERは10のマイナス5乗の無線伝搬環境において、変調方式情報の分割を実施すると、主回線側でペイロード信号の無線伝送が正常に行われているにも関わらず、変調方式情報が誤ることがあるので、結果としてペイロード信号が正しく受信出来ない状況が発生してしまう。
また、回線切替部410は、回線の選択結果を回線選択信号416として受信変調方式検出部420及び送信変調方式検出部430に送出する。
無線フレーム抽出回路450は、受信変調方式検出部420より受信した無線フレーム抽出用受信変調方式情報425から選択後RXデータ信号415のペイロード領域520/620に多重されているイーサネット/PDH/SDH等データ信号の多重位置を判断し、データ信号抽出した後に各種通信フォーマット上に多重して出力データ信号452を各々の通信網に送出する。
無線フレーム抽出回路450は、選択後RXデータ信号415が第1の無線フレームフォーマット500と第2の無線フレームフォーマット600のいずれの無線フレームフォーマットであるかという判断を、無線フレームフォーマット上の無線回線品質情報512から主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bを抽出し中身を確認することで行う。
具体的には、主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bの両方が「正常」を示す場合、無線フレーム抽出回路450は、選択後RXデータ信号415が第2の無線フレームフォーマット600(変調方式情報が分割されている)に従っていると判断する。
一方、主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bの少なくとも一方が「劣化した」を示していた場合、無線フレーム抽出回路450は、選択後RXデータ信号415が第1の無線フレームフォーマット500(変調方式情報が分割されていない)に従っていると判断する。なお、無線回線品質情報512は第1の無線フレームフォーマット500と第2の無線フレームフォーマット600いずれにおいても同じ位置にアサインされている。ここで、主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bは、対向局の無線通信装置の無線フレーム多重回路210で受信したTX主回線品質劣化情報413とTX予備回線品質劣化情報414のことを示す。
主回線変調方式制御回路330は、主回線復調回路310から入力された主回線受信品質値314に基づいて変調方式を決定し、主回線判定変調方式情報332として判定変調方式選択部440に送出する。
予備回線変調方式制御回路360は、予備回線復調回路340から入力された予備回線受信品質値344に基づいて変調方式を決定し、予備回線判定変調方式情報362として判定変調方式選択部440に送出する。
ここで、変調方式の判定や適用する区間は図3に示すフレームを単位として行う。上記判定及び適用区間となるフレーム数は、無線通信装置の使用する環境に応じて任意に設定できる。変調方式の判定方法としては、例えば特許文献1等により提案されている既存の方法を用いることが出来る。
受信変調方式検出部420は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352と回線選択信号416を受信し、回線選択信号416が「主回線選択」を示す場合は主回線RXデータ信号322の無線フレームフォーマット上における無線回線品質情報512から主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bを抽出する。一方、回線選択信号416が「予備回線選択」を示す場合には、受信変調方式検出部420は、予備回線RXデータ信号352の無線回線品質情報512から主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bを抽出する。
図8は、受信変調方式検出部420と送信変調方式検出部430の動作を示すフローチャートである。
主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bのいずれか一方が「劣化した」を示し、回線選択信号416が「主回線選択」を示す場合に(S110:Yes、S112:主回線)、受信変調方式検出部420は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352が第1の無線フレームフォーマット500に従っていると判断すると共に、主回線RXデータ信号322から、対向局の無線通信装置の自方向変調方式情報513を抽出する(S120)。ここで抽出された自方向変調方式情報513は、受信変調方式情報となる。
主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bのいずれか一方が「劣化した」を示し、回線選択信号416が「予備回線選択」を示す場合にも(S110:Yes、S112:予備回線)、受信変調方式検出部420は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352が第1の無線フレームフォーマット500に従っていると判断する。この場合、受信変調方式検出部420は、予備回線RXデータ信号352から、対向局の無線通信装置の自方向変調方式情報513を抽出する(S114)。ここで抽出された自方向変調方式情報513は、受信変調方式情報となる。
一方、主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bが共に「正常」を示す場合(S110:No)、受信変調方式検出部420は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352が第2の無線フレームフォーマット600に従っていると判断し、主回線RXデータ信号322から、対向局の無線通信装置の自方向変調方式情報613(自方向変調方式情報432−A(p bits)に該当する)を、予備回線RXデータ信号352から、対向局の無線通信装置の自方向変調方式情報613(自方向変調方式情報432−B(q bits)に該当する)を抽出すると共に、図9の上部に示すように、自方向変調方式情報432−Aと自方向変調方式情報432−Bを組立て、受信変調方式情報(w=p+q bits)を得る(S130)。
さらに、ステップS114、またはステップS120、またはステップS130で抽出した自方向変調方式情報513/613が、対向局の無線通信装置の無線フレーム多重回路210にてハミング符号による冗長化が施されているため、受信変調方式検出部420は、適応変調方式に用いる全変調モードの符号パターンをテーブルとして持っておき、該テーブル内の符号パターンと自方向変調方式情報513/613から抽出した符号パターンとを比較して、符号間距離が最も小さなパターンが示す値を受信変調方式情報であると判断する。
最後に、受信変調方式検出部420は、ステップS114、またはステップS120、またはステップS130で得た受信変調方式情報を主回線復調回路310、主回線RXベースバンド処理回路320、予備回線復調回路340、主回線RXベースバンド処理回路350、無線フレーム抽出回路450に送出するために、各送出先モジュールから本モジュールまでの主信号遅延量分だけ位相調整を行った後で、該5つの回路に対して夫々主回線復調用受信変調方式情報422、主回線ベースバンド処理用受信変調方式情報421、予備回線復調用受信変調方式情報424、予備回線ベースバンド処理用受信変調方式情報423、無線フレーム抽出用受信変調方式情報425を送出する。
送信変調方式検出部430は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352と回線選択信号416を受信し、前記回線選択信号416が「主回線選択」を示していた場合は主回線RXデータ信号322の無線フレームフォーマット上における無線回線品質情報512から主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bを抽出し、回線選択信号416が「予備回線選択」を示していた場合は予備回線RXデータ信号352の無線回線品質情報512から主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bを抽出する。
図8に示すように、主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bのいずれか一方が「劣化した」を示し、回線選択信号416が「主回線選択」を示す場合に(S110:Yes、S112:主回線)、送信変調方式検出部430は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352が第1の無線フレームフォーマット500に従っていると判断すると共に、主回線RXデータ信号322から、対向局の無線通信装置の転送用変調方式情報514を抽出する(S120)。ここで抽出された転送用変調方式情報514は、送信変調方式情報となる。
主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bのいずれか一方が「劣化した」を示し、回線選択信号416が「予備回線選択」を示す場合にも(S110:Yes、S112:予備回線)、送信変調方式検出部430は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352が第1の無線フレームフォーマット500に従っていると判断する。この場合、送信変調方式検出部430は、予備回線RXデータ信号352かた、対向局の無線通信装置のの転送用変調方式情報514を抽出する(S114)。ここで抽出された転送用変調方式情報514は、送信変調方式情報となる。
一方、主回線品質劣化情報512Aと予備回線品質劣化情報512Bが共に「正常」を示す場合(S110:No)、送信変調方式検出部430は、主回線RXデータ信号322と予備回線RXデータ信号352が第2の無線フレームフォーマット600に従っていると判断し、主回線RXデータ信号322から、対向局の無線通信装置の転送用変調方式情報614(転送用変調方式情報442−A(p bits)に該当する)を、予備回線RXデータ信号352から、対向局の無線通信装置の転送用変調方式情報614(転送用変調方式情報442−B(q bits)に該当する)を抽出すると共に、図9の下部に示すように、転送用変調方式情報442−Aと転送用変調方式情報442−Bを組立て、送信変調方式情報(w=p+q bits)を得る(S130)。
さらに、ステップS114、またはステップS120、またはステップS130で抽出した転送用変調方式情報514/614が、対向局の無線通信装置の無線フレーム多重回路210にてハミング符号による冗長化が施されているため、送信変調方式検出部430は、適応変調方式に用いる全変調モードの符号パターンをテーブルとして持っておき、該テーブル内の符号パターンと転送用変調方式情報514/614から抽出した符号パターンとを比較して、符号間距離が最も小さなパターンが示す値を送信変調方式情報であると判断する。
最後に、送信変調方式検出部430は、ステップS114、またはステップS120、またはステップS130で得た送信変調方式情報を自方向変調方式情報432として無線フレーム多重回路210に送出する。
判定変調方式選択部440は、主回線変調方式制御回路330から主回線判定変調方式情報332を受信し、予備回線変調方式制御回路360から予備回線判定変調方式情報362を受信し、該2つの変調方式情報のうちの変調多値数の小さい方を選択して、転送用変調方式情報442として無線フレーム多重回路210に送出する。変調多値数の小さい方を選択する理由は、冗長構成が回線障害を救うために設けられたシステムであり、変調多値数の小さな変調方式の方が回線劣化に対する耐力が強いためである。
なお、適応変調に使用する変調方式の多値数や種類は、無線通信装置の用途や無線伝搬環境に応じて決定される。
このように、本実施の形態の無線通信システム10において、各無線通信装置100は、自方向変調方式情報を2分割にし、片方を主回線の無線フレームに多重し、他方を予備回線の無線フレームに多重する。こうすることにより、夫々の無線フレームにおけるオーバーヘッド領域を小さくできるため、より大きくの無線伝送帯域をペイロード領域に割り当てることができ、無線伝送帯域の利用効率を改善することが出来る。
また、各無線通信装置100は、対向局の無線通信装置にフィードバックする転送用変調方式情報も2分割し、片方を主回線の無線フレームに多重し、他方を予備回線の無線フレームに多重することにより、無線伝送帯域の利用効率を一層高めることが出来る。
また、各無線通信装置100は、主回線と予備回線の受信品質劣化を検出する機能を備え、主回線と予備回線のいずれ一方に受信品質の劣化を検出した際に、自方向変調方式情報/転送用変調方式情報の分割を停止し、従来方式と同様に両方の回線に同一の変調方式情報を伝送することで、無線品質が劣化した場合でも適応変調方式の信頼度を維持できる。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述した各実施の形態に対してさまざまな変更、増減、組合せを行ってもよい。これらの変更、増減、組合せが行われた変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。