JP6002212B2 - 分解能を向上させたクロマトグラフィの方法および装置 - Google Patents

分解能を向上させたクロマトグラフィの方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、カラムクロマトグラフィの分野に関する。
クロマトグラフィカラムは広範にわたり開発されてきており、分析クロマトグラフィおよび分取クロマトグラフィの両方で慣例的に使用されている。周知のように、成分の混合物を含む試料(分析物または溶質とも称される)の、クロマトグラフィカラム内における分離は、試料を溶離剤中に溶解して流体移動相を形成し、通常、管状カラム内に充填された固定相中に移動相を通し、それによって、異なる成分の移動相と固定相との間における分配の差(すなわち、成分は異なる分配係数を有する)により試料をその成分に分離することによって実現される。溶離剤流体は最も一般的には液体であるが、超臨界流体(SCF)などの別の流体であってもよい。本発明は、液体またはSCF移動相と共に使用されるカラムに関する。しかしながら、本発明は、ガスクロマトグラフィ(すなわち、流体はガスではない)に関するものではない。カラムクロマトグラフィにおいては、固定相は、通常、カラム内において充填された粒子のベッドまたは多孔質のモノリシックブロックの形態である。本発明は、特に、充填されたカラムに関するが、本発明は充填されたカラムのみに限定されるものではない。多くの場合、カラムは使い捨てのカートリッジを備えた再利用可能カラムを含み、それらの両方が通常円筒状である。本発明は、円筒状カラム(最も好ましくは円形の筒状カラム)または他の断面形状を有するカラムにおいて使用してもよい。つまり、カラムの壁は多くの断面形状を有してもよいが、最も好ましくはその横断面が円形断面を有する。
記載したように、移動相がカラム中に通され、カラムを出る溶離液が時間の関数として検出される。検出された時間に応じた信号変化であるクロマトグラムは、混合物内における異なる成分の存在を示す。異なる成分の分離の程度はカラムの分離効率または分解能に依存する。カラムの分解能は多くの要素に依存する。そのような要素には、移動相および固定相の性質を含み、これらについては広範にわたり調査および開発されてきた。
注入される試料の形状がカラムの分解能に影響を及ぼす要素であることも公知である。試料は、通常、カラム内にカラムの直径のほぼ全体にわたり導入される。フリットなどのヘッド取付具が、通常、カラムの注入口に使用される。カラムの全直径にわたり試料の均一な層を得るために試料の分配を補助するため、分配器を使用してもよい。米国特許第4,999,102号明細書では、大規模セパレータシステムのセルに液体を均一に分配する、および/または大規模セパレータシステムのセルから液体を均一に回収するためのマニホールドシステムについて記載している。注入口として使用される場合、マニホールドは分枝の階層を通じて単一のストリームを複数のストリームに分配し、最後の多種多様な流体移送デバイスはマニホールドとセルとの間の境界面のセル全体に液体を確実にほぼ均一に分配するパターンで配置される。流出口として使用される場合、マニホールドは、逆に、セル全体の均一な分配から回収するように配置され、分枝の階層を通じて、ストリームを単一の導管に結合する。同様に、米国特許第5,124,133号明細書では、充填されたベッドの頂面全体に均一に液体を分配することを含む、充填されたベッドを通過する液体の均一な流れプロファイルのためのシステムについて記載している。
しばしば異なる目的のための他の種類の注入口システムが公知である。例えば、欧州特許第371 648 A号明細書では、置換クロマトグラフィ用に設計された、入口分配マニホールドがある装置が開示されている。置換クロマトグラフィのシーケンス中のどの液体もカラムの同じ半径方向領域内を流れる。その一方で、特開昭62−063857A号公報では、カラムプレート全体にわたり2次元分離を提供するために入口流に対して直交方向に電界を印加することができ、複数の流出口も有する、可能な複数の試料のための複数の注入口を有するプレート形のカラムを記載している。
特開昭62−240857A号公報は、中心流ストリームを周辺流ストリームから隔離することができるようにカラムを出る流れの環状分離が提供される分取クロマトグラフィ用のクロマトグラフィカラムについて記載している。中心リングからの溶離帯のピーク形状は、顕著な帯の歪みを示した外側リングからの溶離帯のものと比較するとより良好であった。
欧州特許第257 582号明細書では、カラム流出口からベッド内に挿入された管を通じて試料がカラム内に充填される分取スケールクロマトグラフィカラムについて記載している。この管はカラム注入口の下約20%にあるベッド内の中央に配置される。つまり、管の上方に充填材がある。試料がカラム上に充填されると、カラム内において移動相が試料を溶出する(試料導入管の外側)。試料は、その後、流出口にある一連の穴または長穴を通じてカラムの流出口を出る。流出口は同軸位置に長穴を有するが、導入管がカラムの中心セクション内にあるため中心出口長穴を有しない。
より近時では、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)に関して、1990年代後半にShallikerらがカラム内における流体の流れの可視化を可能とした。同氏らは同じ屈折率を有する固定相および移動相をガラスカラム内において使用し、染色マーカの補助により流体の流れを可視化することができた。同氏らの結果は、クロマトグラフィカラムのベッドに試料を導入する手法が重要であることを示した。理想的には、注入プラグは円筒直角プラグとすべきであるが、種々の要因により最終的に放物線状の試料帯が生じる。例えば、フリットの空隙率が低下するにつれてプラグ流はより放物線状になる。Broyles,Shalliker and Guiochon,(‘Visualization of Solute Migration in Chromatographic Columns.Influence of the Frit Porosity’.J.Chromatography A.,917(2001)1−22)は、注入口フリットの空隙率が低下するにつれてプラグ流がより放物線状になることを示した。分配器の使用により、ベッドの半径方向断面全体における流速の均一性が向上したが、軸方向の分散の増加という犠牲を払うものであり、最終的には分離性能の大幅な低下に至った。フリットの空隙率や分配器が用いられたか否かに関係なく、試料の分布はカラムの半径方向断面全体にわたり均一ではなかった。Shalliker et.al.(J.Chromatography A,865(1999)83−95)は、カラム全体における均一な試料の分配に貢献するのはフリットでも分配器でもなく、試料はベッドの中心領域により集中する傾向が高くなる(逆に、ベッドの外周部領域においてより希釈する)ことを示した。さらに、フリットの直径はカラムの内径のものに一致すべきである(Broyles,Shalliker and Guiochon,J.Chromatography A,855(1999),367−382)。一致しない場合、カラムの直径よりも狭い直径を有するフリットにより、非常に大きな放物線状の流れが生じる。フリットの直径がカラム内径のものに等しくなければならないというのはクロマトグラフィを実施する者には直感的に分かるものであろうが、特に、ヘッド取付具がカラム自体の内部にある、軸方向圧縮により設けられたカラムの場合は常に実現が可能なわけではない。カラムのこれらタイプにおいては、カラム壁の漏洩および破損を防止するためにフリットをハウジングユニット内に収容しなければならないため、フリットの直径をカラムよりも小さくしなければならない。
別の調査において、Shallikerら(‘Physical Evidence of two Wall Effects in Liquid Chromatography’.J.Chromatography A.888(2000)1−12および‘Visualization of Solute Migration in Liquid Chromatography Columns’.J.Chromatography A.,826(1998)1−13)は、試料を中心点注入(CPI:central point injection)によりフリットの下約1cmの深さでベッド内に導入した場合、試料の移動はベッドの中心半径方向セクション内と一致することを実証した。CPI法を使用する場合の優れた分離効率がShallikerらによって認められたが、このような試料導入方法は冗長であり、カラムベッドを破壊する傾向にあることに留意すべきである。したがって、この技法は日常用途に適するものではない。さらに、中心点注入は、カラムに沿った溶質輸送の最も効率的な手段を可能にするが、それは、このような注入により、試料をカラムの最も効率的に充填された領域内の局所的な中心区域に集中することが可能になるためである。最新のカラムでは、バルブによる注入により、試料が入る際にカラムの上部にあるフリットおよび分配器によって試料をカラム全体に分散させるため、そのような注入法の使用は事実上回避されている。したがって、中心点注入法はほぼ廃止されている。
カラム壁および壁の近傍にあるカラムの充填物の存在が試料の流れにもたらす影響が論じられている。Knox,Laird and Raven,(J.Chromatography,122(1976),129−145)は、壁に非常に近い位置の流速がカラムの中心よりも幾分高いことを示した。同氏らは、また、カラム充填物の乱れた領域(disturbed region)がカラム内に突出すると大幅な帯の広がりとピークの歪みを生じさせることを示した。別の良好に充填されたLCカラムの壁領域では約30粒径カラム内に突出してもよい。Shalliker,Broyles and Guiochon,(J.Chromatography A,888(2000)1−12)は二壁効果(two walleffects)の存在について述べている。両壁効果(both wall effects)はカラム充填物の不均一性に起因するものである。粒子が充填されたクロマトグラフィカラムはカラムの中心(半径方向)セクションにより低いベッド密度を有し、中心セクションは比較的均一であるが、この区域を越えると充填密度は壁に向かって徐々に増加する。したがって、流速はカラムの中心セクションにおいて最大であり、壁の近傍において最小である。これが放物線状のプラグ流の一因となる。しかしながら、壁のすぐ近傍では充填密度は急激に低下する。この要因はカラムおよび粒子の幾何学的性質によるものである。粒子とカラムは双方とも剛体であり、そのいずれも他方に適応するために変形することはできない。したがって、壁のボイド空間が増加する。カラムの浸透率がその最大になるのはここである。このため、カラム壁に直に隣接する領域において流速は最大になる。これら両壁効果は移動の効率を大幅に低下させる一因となる。
Broyles,Shalliker and Guiochon,(J.Chromatography A,867(2000),71−92)は、中でも、所定の時間後の移動距離は半径方向位置に応じて著しく異なり、かつ出口取付具がポストカラムで検出されるピーク形状に影響を及ぼすことを実証した。
したがって、粒子が充填されたクロマトグラフィカラム中における試料の移動が円筒プラグ流モデル(cylindrical plug flow model)で描写されないことは公知である。フリットの性質、分配器の存在、注入プロセス自体、壁効果および充填密度の不均一性を含む多くの要素により放物線またはボウルのような形状の試料プラグまたは帯が生じる。この試料プラグまたは帯は、一般に、壁に近いより希釈された領域に比べて高速で移動する、より高い濃度の中心領域を有する。また、壁の非常に近傍に低濃度の速い流れの領域がある。略放物線形状の帯では、カラムに対して要求される効率が高くなる。放物線状に広がった区域を分離するには円筒状に広がった区域よりも多くのプレートが必要である。このため、分離の実施により長いカラムが必要となり、これにより時間が増加することとなり、また、おそらくは、より長いカラムへの適応のため潜在流速の低下も生じることとなる。カラム内のモノリシック固定相もまた壁効果を被るおそれがあり、そのようなカラムを通過するプラグ流は同様に円筒状ではない。
本発明はこの背景技術に対して構築されたものである。
本発明の態様に従い、クロマトグラフィカラムを含むカラムクロマトグラフィ用の装置を提供する。カラムは注入口と流出口とを有し、注入口は、試料を担持するカラム内に移動相の流れを導入するように構成されている。それにより、試料は、それが移動相により運ばれてカラム内の注入口から流出口まで長手方向に進む際に成分に分離する。注入口は、さらに、移動相の流れを独立して制御可能な少なくとも2つの別個の部分においてカラム内に導入するように構成されており、かつこの部分を、部分がカラム内を異なる半径方向領域において長手方向に流れるように、カラムの異なる半径方向領域内に導入するように構成されている。
好ましくは、各部分の試料濃度または各部分の流速もしくは両方は独立して制御可能である。
分離される試料は、好ましくは、部分の1つに、他の部分よりも高い濃度で含まれている。分離される試料は、少なくとも、部分がカラム内に導入される注入口において、好ましくは、部分の1つに、他の部分よりも高い濃度で含まれている。移動相部分の1つに、他の部分よりも高い濃度で含まれている試料は、好ましくは、少なくとも、部分がカラム内に導入される注入口において、およびより好ましくは、また、流出口において、試料の全て、すなわち実質的に全てが移動相部分の1つに含まれており、他の部分が試料を含まない、すなわち実質的に含まない(すなわち、他の部分は溶媒のみである)好適な場合を含む。
移動相は溶離液の流れとしてカラムを出るものであり、好ましくは、流出口は、溶離液の流れを、それが流出口からカラムを出る際に少なくとも2つの別個の溶離液部分に分割するように構成されている。別個の溶離液部分は、好ましくは、注入口においてカラムに導入される移動相の部分に対応する。したがって、2つ以上の部分に分離される流出口における溶離液は、比較的より多量の試料(または試料の実質的に全て)を含む、カラム内を流れた移動相の部分の少なくともいくらかまたは全てを含む溶離液部分を含んでもよい。したがって、2つ以上の部分に分離される流出口における溶離液は比較的より少量の試料(または試料を実質的に含まない)を含む、カラム内を流れた移動相の部分の少なくともいくらかまたは全てを含む溶離液部分を含んでもよい。好適な実施形態においては、装置が、溶離液部分を別個に処理するように構成されている。好ましくは、流出口が、溶離液の残部とは別個に処理される溶離液の流れの一部分を、それがカラムを出る際に案内するように構成されており、部分がカラムの制限半径方向領域から出る。
本発明の別の態様に従い、独立して制御可能な移動相の少なくとも2つの別個の部分をクロマトグラフィカラムの注入口に提供するステップであって、移動相の少なくとも2つの別個の部分の少なくとも1つが成分に分離される試料を含む、ステップと、移動相の少なくとも2つの別個の部分をカラムの異なる半径方向領域内に導入するステップと、試料を成分に分離するために、移動相の部分を、カラム内の異なる半径方向領域においてカラムの注入口からカラムの流出口まで長手方向に流すステップと、を含む、カラムクロマトグラフィの方法が提供される。好ましくは、方法は、より高い試料濃度を有する部分からの試料の横断方向の拡散を他の部分の流れによって制御するステップを含む。
好ましくは、移動相の別個の部分の少なくとも1つは試料を他の部分よりも高い濃度で含む。
移動相は溶離液として流出口からカラムを出るものであり、好ましくは、方法は、溶離液の流れを、それが流出口からカラムを出る際に少なくとも2つの別個の溶離液部分に分割するステップを含む。好適な実施形態においては、方法は、少なくとも2つの溶離液部分を別個に処理するステップを含む。
本発明は多くの利点を提供してもよい。本発明は、移動相の部分の1つの中に含まれる試料をカラムの注入口に優先的に導入することを可能にし、かつその部分が、カラムの制限半径方向領域、好ましくは、中心領域に導入され、かつそこを流れることを可能にする。そのようなより高い試料濃度を含む部分は本明細書中では試料流とも称される。好ましくは、カラムの壁または周辺領域(中心領域を環状に取り囲む)を流れる、試料の横断方向の移動(すなわち拡散)、例えば、壁への移動を制限するいわゆるカーテン流が、その後、移動相の他の部分の1つまたは複数によって提供されてもよい。特定の好適な実施形態においては、カーテン流は、移動相の中心帯の形態の試料流の周囲を流れる移動相の環状帯の形態である。特に、流出口において分割または区分化される流れと共に使用される場合、カラムを出る試料は、このため、特定の半径方向領域、好ましくは、中心領域に集中された状態で出る。このため、試料を、カラム内の制限領域、好ましくは、中心領域に含むおよび集中させることによって、試料の検出を強化することができる。これは、この領域が、通常、充填されたカラム内において最も均一に充填された領域であり、かつ試料の分離効率が、また、通常、最大であることが理由である。したがって、本質的には、本発明は、カラムから溶出する成分の検出を強化するために、クロマトグラフィカラムの定められた領域内、好ましくは、カラムベッドの中心円筒領域を流れる試料を含むように機能する。したがって、本発明は、試料がカラム内を長手方向に進む際の、カラム内における試料の横断方向の拡散を低減するように機能する。したがって、試料をより少量の溶離液に封じ込めることによりクロマトグラフピークの信号対雑音比(S/N)の向上を実現してもよい。
さらなる利点においては、異なる移動相部分の線形流速は、好ましくは、実質的に同じになるように制御することができる。流速は、部分に対して別個のポンプ(各部分に対して別個のポンプ)を使用するか、他の手段、例えば、(すなわち、各部分を運ぶチューブ間に、例えば、周辺流体ラインと中心流体ラインとの間に圧力差を提供するために)各部分を運ぶチューブ内に流量制限器を配置するかのいずれかによって制御することができる。単一入口ポートを有する従来のカラムにおいては、試料流は流速がいずれにしても自然に高くなるカラムベッドの中心領域に集中する。これにより、より速く移動する試料を中心領域内に、より遅く移動する試料を周辺または壁領域に有するボウル形の試料帯が生じる。本発明は、それらの流速が実質的に同じになるように配置することができる、中心を流れる部分および追加の周辺を流れる部分などの異なる移動相部分の流れを分離するように配置し、それによって、実質的に平らな、または少なくとも従来の場合よりもかなり平らな、横断面の流速プロファイルを提供することによってこの欠点を克服するか低減することができる。平らな流れプロファイルは、ピークをより狭い時間帯(すなわち、クロマトグラムのより狭いピーク幅)において流出口に送達することができるため分解能が向上する。
溶媒のみであるカーテン流が適用された場合、試料は壁に全く接触しなくてもよいことが判明している。試料の100%までをカラムの中心領域から溶出するように、以下0%までをこの領域の周辺から溶出するように配置することができることが判明している。したがって、カーテン流によって、中心領域からの試料の損失が実質的にない程まで低下してもよく、周辺カーテン流に使用された溶媒の回収率が実質的に100%までであってもよい。したがって、試料はカラムの中心を通るプラグとして溶出するように配置することができる。これがカーテン流の主な利点の1つである試料濃度の向上を提供し、これは、濃縮された試料を、中心領域から、より少量の流れの中心流出口を通じて、別個の処理手段、好ましくは、試料回収デバイスまたは検出器に流すことによって利用することができる。移動相のカーテン流部分において使用された溶媒の回収率の100%以下を再利用してもよく、多くの環境的利点につながる。
デバイスの流出口は、従来の配置と同様に、単一出口ポートを通じて溶離液を集めるように構成しても、以下にさらに詳細に記載されるように、デバイスの流出口は、例えば、2つ以上の出口ポートによって溶離液の流れを2つ以上の部分に区分化または分割するように構成してもよい。
さらに好適な実施形態においては、別個の処理タイプの少なくとも1つが、好ましくは、溶離液の検出を含む。本発明は、例えば、クロマトグラフィカラムからの試料の検出の強化および分析性能の向上を可能にしうる。種々の実施形態では本発明は、クロマトグラフ分析内における検出感度の向上および/またはピーク容量とピーク分解能の向上により、例えば、化学種の検出の下限のクロマトグラフィを可能にできる。理論段数を大幅に増加することができることが判明している。
所定のカラム長さのピーク分解能を向上させる代わりに、本発明では、類似の従来システムに匹敵する所定のピーク分解能を得るのにより短いカラムの使用を可能にしてもよいことは理解されよう。カラムが短いほどより迅速なクロマトグラフ分離の実施を可能にする。一層の利点は、例えば、検出において溶離液の一部分のみを使用すると、検出器内に導入される溶媒充填量の減少を意味することができ、質量分析器などの特定の検出器および真空環境において操作する他の検出器または医薬化合物の発見において使用される酸化防止剤検出器などの生物型反応検出器においては非常に有利となりうることである。したがって、本発明は、MS検出における従来サイズのカラムの使用をさらに可能にしてもよい。分取クロマトグラフィに関しては、本発明は分離効率の向上によって試料のより純度の高い画分の回収を可能にしてもよい。これらおよび他の利点については本発明の以下の記載においてより詳細に説明され、かつさらに明らかになろう。
装置はクロマトグラフィカラムを含む。クロマトグラフィカラムは、通常、液体クロマトグラフィカラムであるが、超臨界流体クロマトグラフィカラムであってもよい。カラムは注入口と流出口とを有し、それにより、溶媒と、分離される試料を含む移動相とを、注入口を通じてカラムに導入し、カラムに沿って流出口まで長手方向に(すなわち軸方向に)流してもよい。
各部分が、例えば、それ自体の1つまたは複数の導入流路のセットを通じて好ましくは、別個に導入される少なくとも2つの別個の部分において移動相が提供されるように、注入口は、好ましくは、移動相の流れをカラム内に導入するように構成されている。特定の好適な実施形態においては、移動相の部分は、カラム内に流れ込み、カラムの別の部分とは異なる領域においてカラム内を通過し、より好ましくは、他の部分と別々に検出されるか回収される。カラム注入口の構成により、移動相流の分離をオンカラムで実施することが可能になる。これにより、さらには、1つの移動相部分のカーテン流を中心流から効果的に分離することが可能になる。
好ましくは、注入口は、移動相の流れを、少なくとも2つの別個の部分、少なくとも流れの第1の部分と流れの第2の部分とにおいてカラム内に導入するように構成されている。好ましくは、第1の移動相部分は、第2の部分よりも高い濃度の試料を含む。したがって、このような場合においては、各部分の試料濃度は独立して制御可能である。これは、簡単なケースでは、部分のうちの1つ(第1の部分)に制御可能な量で試料を注入するが、他の部分には注入しない試料注入バルブを配置することによって、例えば、部分のうちの1つのみが流れるライン上のカラム注入口の前に試料バルブを配置することによって実現してもよい。他の部分はそれぞれ、他の部分が溶媒のみを含むように、それらの部分が流れるライン上のカラム注入口の前に試料注入バルブを有しなくても、それらのライン上に第1の部分に注入されるものとは異なる量の試料(試料を含まない場合を含む)を導入するための別個の試料注入バルブを有してもよい。
移動相部分の組成は制御可能であってもよい。このため、移動相部分は同じ組成のものであっても異なる組成のものであってもよく、例えば、同じ溶媒であっても異なる溶媒であってもよい。半径方向周辺部分などの1つの部分は、さらには非溶媒であっても、少なくとも、分離される試料に対して低い溶解性を有する溶媒(例えば水)であってもよく、それによって、半径方向中心などの他の部分における試料の封じ込めを促進する。
好ましくは、移動相の少なくとも2つの別個の部分はカラムの異なる領域に導入される、例えば、第1の部分を第1の領域に導入してもよく、第2の部分をカラムの第2の領域、特に、カラムベッドに導入してもよい。より好ましくは、少なくとも2つの別個の部分をカラムの異なる半径方向領域に導入してもよい。例えば、第1の部分を第1の半径方向領域に導入してもよく、第2の部分を、第1の半径方向領域とは異なるカラムの第2の半径方向領域に導入してもよい。本明細書中において半径方向領域という用語は、カラムの横断面または平面の領域、すなわち、カラムの中心または長手方向の軸線に垂直な断面または平面を意味する。本明細書中における半径のまたは半径方向の、という用語は、したがって、カラムの中心または長手方向の軸線に垂直な方向を意味する。好ましくは、カラムの第1の領域は実質的にカラムの壁から離れて位置する半径方向領域である。好ましくは、カラムはその中にカラムベッドを有する充填されたカラムであり、充填されたカラムの第1の領域は、移動相がカラムベッドの最も均一に充填された部分を長手方向に通過する半径方向領域である。さらにより好ましくは、移動相の第1の部分がカラムの中心半径方向領域に導入され、かつそこを流れると共に、第2の部分が中心半径方向領域の半径方向外側に位置する半径方向領域、すなわち周辺領域に導入され、かつそこを流れる。最も好ましくは、カラムの中心半径方向領域はカラム内の注入口から流出口までを長手方向に貫通する中心軸線上に実質的に位置する領域である。このようにして、好ましくは、より高い試料濃度およびより良好に分解された成分を含む移動相流の中心コアを、1つの部分として検出器または他の処理手段に案内することができる一方で、流れの残部は、例えば、1つまたは複数の他の部分として、別の場所に、例えば、1つまたは複数の異なる処理手段に案内される。したがって、好ましくは、流れの第1の部分は流れの残部と別々にかつ別個に処理される。いくつかの実施形態では、注入口は、移動相の流れを、2つを超える部分においてカラム内に導入するように配置されている。例えば、そのような実施形態の注入口は流れを3つ以上の別個の部分においてカラムに導入するように配置してもよい。
上記のように、カラムの中心軸線からの距離が増加するにつれて、充填されたLCカラム内を移動する試料帯の濃度は低下する。これは、カラム直径内およびその全体の不均一な流れに一部起因し、充填されたベッド内および周囲における輸送に伴う拡散効果および関連する物質移動効果に一部起因するものである。充填されたベッド自体の密度および均質性はそれがカラムに充填される効率に応じて変化しうる。移動する試料帯もまた放物線形状を有する傾向にある。移動する試料帯もまた放物線形状を有する傾向にある。従来のカラム流出口はカラムの全直径から溶離液を集めるため、これら現象が、試料の分離効率、検出および分解能に不利益をもたらすおそれがある。しかしながら、本発明は、流れの部分が少なくとも別の部分から分離され、部分がカラムに沿って実質的に並列して流れることができるように、カラムに入る移動相の流れを区分化することを可能にする。検出の強化が提供され、ピークが、また、より良好に分解されるように、例えば、比較的高い濃度の試料を含む移動相の部分を、カラムの中心領域を通じて選択的に流し、検出器に有利に別個に案内することができる。つまり、クロマトグラフィが実施された試料の成分帯はカラムの中心コア内において軸方向にあまり広がらなくなる。このため、試料中の隣接する成分の検出によるクロマトグラムのピークがより良好に分離されるか分解されることになる。より好適な実施形態においては、検出はこのためカラムの中心コア、すなわち、中心半径方向領域から溶出する流れの部分のみに集中するが、これは、この部分がカラム壁により近い半径方向外側領域よりも比較的高い濃度の試料を有するためである。カラムの流出口は、したがって、好ましくは、カラムを出る溶離液の流れをカラムの異なる領域から出る異なる部分に分割するように構成される。異なる部分は別個に処理される。しかしながら、壁に移動する試料が減少するため、例えば、単一出口ポートを通じてカラム幅全体から溶離液を集めたとしても、従来の注入配置と比較して分離効率の向上がなお得られる。これは、本発明の場合においては、より多くの試料がカラムの効果的な中心領域を通過し、より少ない試料が、試料帯をより分散させ、分離効率を低下させる傾向にある壁領域を通過したことによるものである。したがって、いくつかの実施形態では、移動相は単一部分として処理される溶離液の流れとしてカラムを出る。すなわち、カラムの全半径方向領域からの移動相が単一部分として処理される。このような場合おいては、溶離液の流れは、溶離液を集め、それを単一部分として処理するために組み合わせるための単一出口ポートまたは複数の出口ポートを通じてカラムを出てもよい。
このため、本発明は、本明細書中においてはカーテン流と呼ばれる、好ましくは、(より好ましくは溶媒のみの)移動相の流れを提供する。この流れは、移動相の部分の1つによって提供され、カラムの半径方向外側領域に導入され、それによって、カラム内をカラムの半径方向外側領域において流れる。このカーテン流は、好ましくは、本明細書中においては試料流と呼ばれる比較的高い濃度の試料を含む(より好ましくは、試料の全てを含む)、好ましくは、カラムの半径方向中心領域内に導入され、それによって、カラム内をカラムの半径方向中心領域において流れる移動相の部分に、好ましくは、匹敵する、より好ましくは、実質的に同じ線速度で移動する。このため、この速度の整合は、カラム内における試料流からの試料の横断方向の拡散に対する抵抗を提供する。このようにして、中心を流れる移動相部分が周辺を流れる移動相部分から分離されたままとされる。
したがって、装置は、好ましくは、中心を流れる部分および追加の周辺を流れる部分などの、異なる移動相部分の流れを分離するように配置される。それらの流速は実質的に同じになるように配置することができ、それによって、実質的に平らな、または従来の場合よりもかなり平らな横断面における流速プロファイルを提供する。平らな流れプロファイルは、また、ピークをより狭い時間帯(すなわち、クロマトグラムのより狭いピーク幅)において流出口に送達する。特定の実施形態においては、周辺領域に対して中心領域により低い流速があってもよい。
移動相流がカラムの流出口に到達すると、溶離液は、好ましくは、移動相流の部分のかなりの混合が防止されるように分離される。カラムの流出口において、溶離液は、好ましくは、カーテン流が試料流から分離されたままとなるように分割される。このようにして、例えば、比較的高い試料濃度を含む中心流を検出器に案内することができる一方で、周辺流(カーテン流)が別の場所に案内される。これにより、クロマトグラフィが実施される成分の検出の下限を拡張し、クロマトグラフ分析内におけるピーク容量を向上させることができると共に、分析性能の向上が達成されるという利点も有する。
移動流の異なる部分の各々の容量の比率を変えてもよい。したがって、流れの区分化は調整可能であってもよい。最適な流量比は、通常、実施される特定の実験に依存する。さらに、わずかな試料を含むか試料を全く含まない周辺領域を通過する流れの量に対して、試料を含むカラムの中心領域を通過する流れの量を、プロセスの環境負荷を考慮に入れるように変化させてもよい。本発明は、経済的利点と環境的利点を平衡させることができる調整可能なシステムを有利に提供する。
以下にさらに詳細に記載されるように、流れの比率を種々の手段によって変えてもよい。好ましくは、移動相の1つの部分は、全移動相の70%以下(体積比)、または50%以下、より好ましくは、30%以下である。例えば、1つの部分は、全移動相の50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、または5%以下であってもよい。この1つの部分は、好ましくは、カラムの中心半径方向領域内を流れる部分である。
本明細書中の以下にさらに詳細に記載されるように、移動相流の異なる部分の各々の容量の比率は、異なるフリットセクションの面積の比を選択することによって、および/または入口ポートの数および/またはサイズを選択することによって変えてもよい。
注入口には、好ましくは、注入口フリットが設けられる。フリットは、カラムに入る移動相がフリット内を流れるように配置される。好ましくは、注入口フリットはカラムの注入口の内径内に配置される。
注入口フリットは、好ましくは、移動相の流れを、それがカラムに入る際に、少なくとも2つの別個の部分に分離するように構成された注入口フリットアセンブリ内にある。このようなフリットの構成はカラム内において別個の流れ部分を生成するために移動相流の分離をオンカラムで実施することを可能にする。流れを分割するために、好ましくは、注入口フリットアセンブリは、1つまたは複数の流れ障壁によって互いから分離された少なくとも2つの別個のフリットセクションを含む分割フリットアセンブリである(本明細書中においては、区分化フリットアセンブリとも称される)。例えば、非多孔質体が流れ障壁を提供してもよく、非多孔質コーティングが流れ障壁を提供してもよい。例えば、そのようなコーティングは別個のフリットセクションの少なくとも1つの1つまたは複数の表面上に提供され、1つまたは複数のコーティングされた表面は他の1つまたは複数のフリットセクションに当接する。したがって、第1のフリットセクションを流れる移動相は第2のフリットセクションを流れる移動相から非多孔質体の形態の流体障壁によって分離されるため、1つまたは複数の第1のフリットセクションを流れる移動相は移動相流の第1の部分を提供してもよく、1つまたは複数の第2のフリットセクションを流れる移動相は移動相流の第2の部分を提供してもよい。流れ障壁は、溶離液がフリットアセンブリ内を通過する際のフリットセクション間における溶離液の横すなわち半径方向の流れを妨げ、それによって、流れが別個の部分に分離することを可能にする。分割フリットのセクションがカラムの異なる領域、特に、異なる半径方向領域を占有するため、分割フリットは、移動相の少なくとも2つの別個の部分がカラムの異なる領域、好ましくは、記載したような異なる半径方向領域内に導入されることを決定する。その一方で、フリットを通過する移動相の流れがあまり整っておらず、したがって、移動相がフリット内を流れる際、その中で望ましくない程度まで混合されることになる場合があるため、従来の単一フリット部品は効率では劣る。
注入口分割フリットアセンブリの好適な形態は、少なくとも1つの中心フリットセクションと、少なくとも1つの中心フリットセクションを取り囲む非多孔質体と、少なくとも1つの中心フリットセクションを取り囲むが、そこから非多孔質体によって分離された少なくとも1つの外側フリットセクションと、を含む。より好ましくは、分割フリットは、半径方向中心の中心フリットセクションと、中心フリットセクションを環状に取り囲む非多孔質体と、非多孔質体を環状に取り囲む外側フリットセクションと、を含む。最も好ましくは、半径方向中心の中心フリットセクションはカラム内の注入口から流出口までを長手方向に貫通する中心軸線上に実質的に位置する。このような分割フリット構成により、中心フリットセクションがカラムの中心半径方向領域への流れの部分を生成し、外側フリットセクションが中心半径方向領域の半径方向外側(周辺に)に位置する半径方向領域への流れの部分を生成することが可能になる。
中心フリットセクションおよび外側フリットセクションは種々の相対面積のものであってもよく、それによって、移動相流を、異なる相対面積を有する中心領域および周辺領域から部分に分割する。このため、フリットセクションの面積の比率は移動相流の部分の各々の容量の比率を変えるための手段であってもよい。例えば、外側フリットセクションの面積と中心フリットセクションの面積の比率は、90%:10%〜50%:50%、より一般には、80%:20%〜50%:50%のように変えてもよいが、これら範囲外の比率も使用してもよい。外側フリットセクションの面積と中心フリットセクションの面積の好適な比率は、約6:1〜約1:1、より好ましくは、約3:1〜約1:1、さらにより好ましくは、約2.5:1〜約1.5:1、最も好ましくは、約2:1である。
フリットセクションは同じ密度を有しても異なる密度を有してもよい。例えば、中心フリットセクションは外側フリットセクションと異なる密度を有してもよい。あるタイプの実施形態においては、中心フリットセクションは外側フリットセクションよりも低い密度を有してもよい。したがって、移動相を、より高い密度のフリットセクションに対して、低い密度のフリットセクション内を優先的に流れるように制御してもよい。
注入口フリットアセンブリは、通常、例えば、フリットアセンブリがフリットキャップを形成するようにカラムの注入口端部に嵌合された、好ましくは、ポリマーで作製された外側非多孔質取付具を含む。例えば、スチール製フリットはスチール製カラム壁を良好に密封しないため、このような外側取付具が好適である。ポリマー製取付具は、PTFE、ETFE、PEEKまたはKel−Fのような種々のポリマー、より好ましくは、PEEKで作製してもよい。一般に、フリットアセンブリの任意の非多孔質部品は、PTFE、ETFE、PEEKまたはKel−Fなどのプラスチックまたはポリマー、より好ましくはPEEKで作製してもよい。
いくつかの他の実施形態においては、フリットアセンブリは多孔質フリットの単一部品を含んでもよい。すなわち、フリットのセクションではない。多孔質フリットの単一部品を、他の記載した実施形態と同様に、例えば、フリットアセンブリがフリットキャップを形成するようにカラムの流出口に嵌合された、外側非多孔質の、好ましくは、ポリマー製の取付具内に保持してもよい。
外側非多孔質取付具は、移動相の流れの別個の導入を可能にするための孔を有してもよい。例えば、外側非多孔質取付具は、フリットを通じてカラムの半径方向中心領域に移動相の部分の流れを通過させることを可能にするための半径方向中心孔を有してもよく、かつ中心孔の半径方向外側に、フリットを通じてカラムの周辺半径方向領域(半径方向中心領域を取り囲む)に移動相の部分の流れを通過させることを可能にするための1つまたは複数の周辺孔を有してもよい。カラムの周辺領域への移動相流の部分は、例えば、外側非多孔質取付具の側壁内に1つまたは複数の周辺孔を有することによってフリットの外側側部から導入してもよい。
注入口フリットアセンブリは、好ましくは、円形断面カラムに適合するために円形の外部形状のものであるが、例えば、カラム形状に応じて他の形状のフリットアセンブリを使用してもよい。
注入口フリットの材料は、スチールのような、LCにおいて使用される従来のフリット材料であってもよい。したがって、フリットは、その中を流れる溶離液流を分割するために本明細書中に記載される分割手法で簡便に構成してもよい。例えば、フリット材料、厚さ(深さ)および空隙率はLCシステムにおいて使用される従来のものであってもよい。例えば、0.25〜2mmの一般的な厚さのフリットを使用してもよい。例えば、2μmの公称空隙率を有するフリットを使用してもよい。しかしながら、例えば0.1〜20μmの公称範囲の、他の空隙率のフリットを使用することができる。分割フリット実施形態の非多孔質体は、好ましくは、PTFE、ETFE、PEEKまたはKel−Fなどのプラスチックまたはポリマー、より好ましくは、PEEKで作製されるが、ステンレス鋼などの金属で作製してもよい。このような非多孔質材料を、流れ障壁を提供するために、別のフリットセクションに当接する1つまたは複数のフリットセクションの1つまたは複数の表面上に薄層またはコーティングとしても設けてよい。あるいは、非多孔質の流れ障壁を金属で作製することができる。このような金属障壁を、別のフリットセクションに当接する1つまたは複数のフリットセクションの1つまたは複数の表面上に薄層またはコーティングとしてスパッタリングすることによって形成することができる。
流れ障壁または非多孔質体の幅(すなわち、半径方向に測定された)は、好ましくは、フリットセクションの幅と比べて狭く、すなわち、好ましくは、フリットセクションのそれぞれの幅よりも狭い。その幅は、好ましくは、可能な限り狭く、理想的にはミクロンサイズである。
好ましくは、カラム注入口および流出口はそれぞれ、カラムの端部、すなわちカラムの両端に位置する。カラムは、使用時、好ましくは、その注入口端部に、例えば、中心流の周囲にカーテン流領域を生成するための入口流分配器を有する。流分配器は、好ましくは、その中の別個の流路内において、移動相流の少なくとも第1の部分および第2の部分を運ぶように構成されている。すなわち、第1の部分は、1つまたは複数の、第2の部分とは別個の流路等において運ばれる。したがって、入口流分配器は、事実上、移動相流の分配器である。流分配器を、カラム端部取付具、すなわち、使用時、カラム流出口端部に着脱可能に取り付けられる着脱式端部取付具として提供してもよい。代わりとして、入口流分配器はカラムの注入口端部と一体的に作製してもよい。好適な配置は、使用時に、入口流分配器をカラムの端部に取り付けられる別個の端部取付具部品として有するものである。しかしながら、他の実施形態では、流分配器を、移動相流の少なくとも第1の部分および第2の部分を運ぶための複数の別個の流路を備えたカラムと一体的に作製することが可能であることは理解されよう。そのような一体型の実施形態においては、流分配器は別個の部品ではない。本明細書中においては、入口流分配器を示すために別個の端部取付具という好適な実施形態を主として使用するが、このような端部取付具の特徴は、一般に、流分配器がカラム端部と一体的に作製される場合にも適用される。
入口流分配器は、その中に、移動相流の少なくとも第1の部分および第2の部分を別個に運ぶための複数の別個の流路を有するように構成されている。例えば、標準的な(非分割)フリットが注入口において使用される場合、入口流分配器のみを、移動相流を別個の部分において導入するように構成してもよい。したがって、入口流分配器は、移動相の少なくとも第1の部分および第2の部分が流れ込むための複数の別個の流路を有する。それによって、移動相の別個の部分はカラムの異なる領域に分配されてもよい。上述のように、流分配器は、好ましくは、端部取付具として設けられ、端部取付具は複数の別個の流路を含む。
端部取付具などの入口流分配器の別個の流路は、好ましくは、カラムの異なる領域、より好ましくは、記載したようなカラムの異なる半径方向領域に導入される移動相流の部分を運ぶために配置される。流分配器の別個の流路は、使用時、それがカラムの第1の領域、好ましくは、第1の半径方向領域内にあるように、分配器内に配置された少なくとも1つの流路(好ましくは、1つの第1の流路)の第1のセットを含んでもよい。例えば、端部取付具の形態の入口流分配器の場合、端部取付具の少なくとも1つの流路の第1のセットは、それがカラムの注入口端部に取り付けられる場合、第1のセットがカラムの第1の領域、好ましくは、第1の半径方向領域内にあるように取付具内に配置されている。第1の半径方向領域は、好ましくは、カラムの中心半径方向領域であり、より好ましくは、カラム内を長手方向に貫通する中心軸線上に実質的に位置する。この場合において、少なくとも1つの流路の第1のセットは本明細書中において中心注入口流路セットと称される。第1のまたは中心流路セットは移動相流の第1の部分を運ぶ。分割フリットアセンブリが用いられる場合、少なくとも1つの流路の第1のセット(例えば中心流路セット)は、好ましくは、分割注入口フリットアセンブリの中心フリットセクションと半径方向に整列される。入口流分配器の別個の流路は、使用時、それがカラムの第2の領域、好ましくは、第2の半径方向領域内にあるように、分配器内に配置された少なくとも1つの流路(好ましくは複数の流路)の第2のセットを含んでもよい。例えば、端部取付具の形態の流分配器の場合、端部取付具の少なくとも1つの流路(好ましくは複数の流路)の第2のセットは、それがカラムの注入口端部に取り付けられる場合、少なくとも1つの流路の第2のセットが、カラムの第2の領域、好ましくは、第2の半径方向領域内にあるように取付具内に配置されている。第2の半径方向領域は、好ましくは、中心半径方向領域の半径方向外側または周辺に位置する半径方向領域である。この場合において、少なくとも1つの流路の第2のセットは、本明細書中において、外側または周辺注入口流路セットと称される。第2のまたは外側または周辺流路セットは移動相流の第2の部分を運ぶ。分割フリットアセンブリが用いられる場合、少なくとも1つの流路の第2のセット(例えば、外側または周辺注入口流路セット)は、好ましくは、分割注入口フリットアセンブリの外側または周辺フリットセクションと半径方向に整列される。例えば、移動相の第3のおよび任意選択でさらに別個の部分がカラムに導入される他の実施形態では、第3のセット、および任意選択で、流路のさらなるセットを流分配器内に含んでもよい。好適な実施形態においては、移動相の第1の部分を導入するための第1の流路セットは半径方向中心流路を含み、第2のセットは中心流路の半径方向外側の複数の外側流路を含む。しかしながら、実施形態においては、第1のセットは、複数の中心、すなわち、中心半径方向領域内の流路と、流路の第1のセットの半径方向外側の複数の外側流路とを含んでもよいことは理解されよう。他の実施形態では、中心流路がなくてもよい。このような場合においては、一つに集められ、別個の、第2の部分として処理されてもよい複数の外側流路からの流れとは別個に、複数の中心流路を通る移動相流を一つに集めて、最終的に、第1の部分として処理してもよい。
好ましくは、入口流分配器内の流路の各々のセットを通過した移動相の部分がそれぞれ、カラムの異なる半径方向領域内の移動相の第1の部分および第2の部分としてフリットアセンブリを通過するように、入口流分配器は、注入口フリットアセンブリの非常に近傍に、または、最も好ましくは、注入口フリットアセンブリに接触して配置されている。流分配器をフリットアセンブリと直接接触させて配置することによって、ボイドが導入される可能性が低下する。入口流分配器は、使用時、フリット表面に対して面一で配置してもよい。1つまたは複数の非多孔質部品がフリット(例えばフリットセクション)と流分配器との間にシールを提供し、それによって、移動相流の隣接する部分を注入口において互いに密封するように、流分配器は、使用時、フリットアセンブリの非多孔質部品の1つまたは複数と接触させて配置してもよい。例えば、非多孔質の外側フリット取付具および/または非多孔質の流れ障壁(多孔質のフリットセクションを分離する)は、流分配器を密封し、それによって、移動相の部分を、それらが注入口フリットを通過する際、分離したままにしてもよい。
入口流分配器、好ましくは、端部取付具内の流路は、好ましくは、それぞれが、それらの上流側端部に、移動相をカラムに運ぶための入口配管を連結することができる注入口または入口ポートを有する。流路の数は入口ポートの数に等しくても等しくなくてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、入口流分配器内の任意の2つ以上の流路は入口ポートを共用することができる。好ましくは、しかしながら、流路の数は入口ポートの数に等しい。
好ましくは、入口流分配器の外側流路または周辺流路およびこれらのポートはカラムの中心軸線を中心として対称に配置されている。例えば、外側流路または周辺流路およびこれらのポートは中心軸線/中心流路およびポートから等間隔で離間するおよび/または等距離であってもよい。しかしながら、外側流路または周辺流路およびこれらのポートは非対称に配置することができる。
好ましくは、入口流分配器は、1つの中心流路および2〜12個の外側流路、すなわち、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個または12個の外側流路、より好ましくは、1つの中心流路および3〜6個の外側流路を含む。3個、4個、5個または6個の外側流路を有する入口流分配器が良い例である。しかしながら、これら数は本発明において限定されるものではない。
好適な例として、第1の好適な実施形態においては、入口流分配器、好ましくは、端部取付具は、1つの中心流路および3つの外側流路(すなわち4つの流路またはポート構成)を含む。第2の好適な実施形態においては、入口流分配器は1つの中心流路および6つの外側流路(すなわち7つの流路またはポート構成)を含む。流路の数およびポートの数は変えることができ、例えば、4ポート、5ポート、6ポート、7ポート、8ポート、9ポート、10ポート、11ポート、または12ポート構成を使用してもよい。または、実際、さらに多数のポートを備えた構成を使用してもよい。
周辺入口ポートの数に対する中心入口ポートの数に関して、入口流分配器、好ましくは、端部取付具は、上述の第1の好適な実施形態においては、中心に1つの中心入口ポートと、それを取り囲む3つの周辺入口ポートとを有してもよいが、本発明は、任意の数の周辺入口ポート、例えば、1つまたは複数の周辺入口ポートを企図することを理解すべきである。好適な例では、3〜12個、より好ましくは、3〜10個の周辺入口ポート、特に、3個、4個、5個、6個、7個または8個の周辺入口ポートを有してもよい。3個、4個、5個または6個の周辺出口ポートを備えた入口流分配器、好ましくは、端部取付具が良い例である。さらに、本発明は、任意の数の中心入口ポート、例えば、1つまたは複数の中心入口ポート(すなわち、流れを中心半径方向領域に送るポート)を企図する。好ましくは、1つの中心入口ポートがある。入口ポートは、一般に、流分配器の本体の端部または側部に配置してもよいが、好ましくは、端部に配置されている。1つまたは複数の外側入口ポートは流分配器の端部または側部に配置してもよい。1つまたは複数の中心入口ポートは、流分配器の端部または側部に配置してもよいが、好ましくは、端部に配置されている。
移動相の各部分を流す入口ポートの数およびサイズの選択は、移動相流の部分の各々の容量の比率(すなわち、注入口区分化の程度)を変えるための手段であってもよい。注入口における移動相流の部分の各々の容量の比率(区分化の程度)は、その代わりにまたは同様に、注入口流路内の圧力(すなわち、注入口圧力差)を調整することによって変えてもよい。
使用時、入口ポートの1つまたは複数は、移動相がそこの中を流れず、代わりに、残りの開放されたポート内に流されるように、閉じられてもよい、すなわち、遮断されてもよい。
注入口端部取付具は従来の端部取付具と類似の外形寸法のものであってもよい。注入口端部取付具は、カラム注入口のカラムの端部に手動で締められるか、必要であればツールの補助により締められるかのいずれかであってもよい。端部取付具は、好ましくは、カラムの注入口端部にねじ式連結によって取り付けられるか、押し嵌めされても、別のタイプの連結を使用して連結してもよい。HPLCなどの分析カラム用の多くの従来のタイプの端部取付具と同様に、カラムに対する端部取付具の一般的な連結には、カラムの注入口端部の外部ねじ山と、端部取付具内部の内部ねじ山と、を含む。したがって、このような配置においては、端部取付具はカラムの端部上にねじ止めされ、注入口をカバーする。他の実施形態では、例えば、特定タイプの自己充填式カラムおよび軸方向圧縮カラムにおいては、端部取付具はカラム端部の内部に嵌合されてもよい。このような実施形態においては、端部取付具は、カラム端部内に押し嵌め(摩擦嵌合)されてもよく、かつ任意選択で、その外部表面に、1つまたは複数の密封リングまたはO−リングなどの、カラム壁の内部表面に対して密封するための密封手段を担持してもよい。端部取付具を任意の適切な材料で作製してもよい。端部取付具は、特にそれが金属カラム、例えば、ステンレススチール製カラムに、好ましくは、ねじ山によって、またはSwagelok(商標)型取付具を使用することによって取り付けられる場合、金属、好ましくは、ステンレス鋼で作製してもよい。カラムがガラスである場合などの他の場合においては、端部取付具を他の適切な材料、例えば、PEEKなどのプラスチックから作製してもよい。本発明の主要な特徴は、移動相流の分離がさらなる上流側だけではなく、オンカラムに維持されることは理解されよう。これは分割フリットアセンブリおよび流分配器などの本明細書中に記載される本発明の特徴によって実現される。
流出口は、好ましくは、溶離液の流れ(すなわちカラムを出る移動相)を、それがカラムを出る際に分割するように構成されている。流出口は、好ましくは、カラム内の異なる領域を流れた移動相の部分が溶離液の別個の部分を提供するために流出口において互いから分割されるように構成されている。流出口は、好ましくは、溶離液流が少なくとも2つの別個の部分に分割され、各部分が別個に処理される、例えば、1つまたは(複数の)他の部分が案内される処理手段とは別個の、自身の処理手段に案内されるように構成されている。したがって、カラムを出る溶離液流の部分は別の部分から分離され、他の部分とは別個に処理される。特定の好適な実施形態においては、カラムを出る溶離液流の部分は別の部分から分離され、他の部分とは別個に検出される。特定の好適な実施形態においては、カラムを出る溶離液流の部分は別の部分から分離され、この部分の画分は他の部分とは別々に回収される。本発明の別の有利な特徴は、溶離液流の分離を、従来の方法のようにポストカラムでなく、オンカラムで実施してもよいことであることは理解されよう。これは流出口にある分割フリットアセンブリおよび流分配器などの本明細書中に記載される本発明の特徴によって実現される。
好ましくは、流出口は、溶離液の流れを、それが流出口からカラムを出る際に少なくとも2つの別個の部分、つまり、少なくとも流れの第1の部分と流れの第2の部分とに分割するように構成されている。溶離液流のこれら第1の部分および第2の部分は、好ましくは、カラム内を流れた移動相の第1の部分および第2の部分それぞれの流出物である。好ましくは、溶離液の流れの第1の部分は第1の処理手段に案内され、溶離液の流れの第2の部分は第2の処理手段に案内される。第2の処理手段は、第1の処理手段から独立しており、好ましくは、第1の処理手段とは異なる。例えば、好ましくは、第1の処理手段は、溶離液中に存在する試料を検出するための検出器を含み、第2の処理手段は廃液受器を含んでもよく、第2の部分に対して少なくとももう一回のクロマトグラフィが実施されるように、同じまたは別のクロマトグラフィカラムの注入口としてもよい。しかしながら、第2の処理手段は、また、溶離液中に存在する試料を検出するための検出器を含んでもよい。多くの他の処理手段およびそれらの組み合わせを使用することができ、これらについては本明細書内で以下により詳細に記載する。このようにして、例えば、本発明は、溶離液流の一部分を第1の処理手段、例えば検出器に選択的に案内する一方で、別の部分を第1の処理手段とは別個の別の処理手段に案内するように構成された流出口を備えたカラムを提供する。
好ましくは、溶離液の少なくとも2つの別個の部分はカラムの異なる領域から出る。例えば、第1の部分は第1の領域から出てもよく、第2の部分は、カラムの第2の領域、特に、充填されたカラムベッドから出てもよい。溶離液流の第1の部分および第2の部分が出るこれら第1の領域および第2の領域は、好ましくは、それぞれ、移動相の第1の部分および第2の部分が流れたカラムの第1の領域および第2の領域である。より好ましくは、少なくとも2つの別個の部分はカラムの異なる半径方向領域から出る。例えば、第1の部分は第1の半径方向領域から出てもよく、第2の部分は、第1の半径方向領域とは異なる、カラムの第2の半径方向領域から出てもよい。本明細書中における半径方向領域という用語は、カラムの横断面または平面の領域、すなわち、カラムの中心または長手方向の軸線に垂直な断面または平面を意味する。本明細書中における半径のまたは半径方向の、という用語は、したがって、カラムの中心または長手方向の軸線に垂直な方向を意味する。好ましくは、カラムの第1の領域はカラムの壁から実質的に離れて位置する半径方向領域である。好ましくは、カラムはその中にカラムベッドを有する充填されたカラムであり、充填されたカラムの第1の領域は、カラムベッドの最も均一に充填された部分を通過した溶離液がカラムを出る半径方向領域である。さらにより好ましくは、第1の部分はカラムの中心半径方向領域から出て、第2の部分は中心半径方向領域の半径方向外側に位置する半径方向領域から出る。最も好ましくは、カラムの中心半径方向領域はカラム内の注入口から流出口までを長手方向に貫通する中心軸線上に実質的に位置する領域である。このようにして、比較的高い試料濃度およびより良好に分解された成分を含む溶離液流の中心コアを1つの部分として検出器または他の処理手段に案内することができ、その一方で、溶離液流の残部は、例えば、1つまたは複数の他の部分として、別の場所に、例えば、1つまたは複数の異なる処理手段に案内される。したがって、好ましくは、溶離液流の第1の部分は溶離液流の残部と別々にかつ別個に処理される。本発明の範囲をいかようにも限定することなく、これは移動する試料帯の放物線形状が原因で制限半径方向領域から得られた溶離液の部分がカラムの全幅から得られた溶離液よりも小さな試料の軸方向の広がりを有することが理由であると考えられる。
いくつかの実施形態では、流出口は、溶離液の流れを、それがカラムを出る際に、3つ以上の部分に分割するように配置されている。例えば、そのような実施形態における流出口は、溶離液の流れを、それがカラムを出る際に3つ以上の別個の部分に分割するように配置してもよい。各部分は他の部分とは別個の処理手段に案内される。すなわちその場合には3つ以上の別個の処理手段がある。
上記のように、カラムの中心軸線からの距離が増加するにつれて、充填されたLCカラム内を移動する試料帯の濃度は低下する。これは、カラム直径内およびその全体の不均一な流れに一部起因し、充填されたベッド内および周囲における輸送に伴う拡散効果および関連する物質移動効果に一部起因するものである。充填されたベッド自体の密度および均質性はそれがカラムに充填される効率に応じて変化しうる。移動する試料帯もまた放物線形状を有する傾向にある。従来のカラム流出口はカラムの直径全体から溶離液を集めるため、これら現象が、試料の分離効率、検出および分解能に不利益をもたらすおそれがある。しかしながら、本発明は、溶離液流の一部分が少なくとも別の部分から分離され、この部分を別個に処理することができるように、カラムを出る溶離液の流れを分割または区分化することを可能にする。例えば、検出の強化が提供され、ピークもより良好に分解されるように、比較的高い濃度の試料を含み、さらに、より良好に分離された溶離液の部分を検出器に選択的に案内することができる。つまり、クロマトグラフィが実施されている試料の成分帯がカラムの中心コア内において軸方向にあまり広がらなくなる。このため、試料中の隣接する成分の検出によるクロマトグラムのピークがより良好に分離または分解されることになる。より好適な実施形態においては、このため、検出をカラムの中心コア、すなわち中心半径方向領域から溶出する流れの部分のみに集中させる。これは、この部分がカラム壁により近い半径方向外側領域よりも比較的高い濃度の試料を有するためである。換言すると、本発明の使用によって、溶離液流に存在する好ましくないエッジ効果を低減することも排除することもできる。分取クロマトグラフィの場合、より純度の高い試料画分を得るため、より良好に分離される比較的高い濃度の試料を含む溶離液の部分を分画のために選択することができる。カラムの壁または周辺半径方向領域における移動相の流れはカラムの中心半径方向領域内の移動相の流れ中の試料がカラム壁に移動することを防止するように有利に作用する。このようにして、試料が本発明の機能によって実質的に拘束されてもよい移動相の中心部分の溶離液のみの回収および/または検出により、試料の100%までの有効な使用につなげてもよい(すなわち、最低0%の試料が周辺部分において消費される)。このような実施形態においては、事実上、狭い直径のカラムが分離および分析のために用いられているが、より広い口径のカラムの圧力降下、より広い口径のベッドのより高い流速およびより大きな容量のベッドの追加の死容積の利点を有する。
上記から、装置は、特定の実施形態において、好ましくは、溶離液の少なくとも1つの部分を、1つまたは複数の他の部分と別個に検出するために配置された検出器を含むことがわかる。より好ましくは、検出器は、カラムの中心半径方向領域から出た溶離液の部分を別個に検出するように配置される。さらなる特定の実施形態においては、装置は、溶離液の少なくとも1つの部分の画分を、1つまたは複数の他の部分とは別個に回収するように配置されたフラクションコレクタを含む。このような実施形態においては、装置は、1つまたは複数の他の部分を廃液受器に送るように構成してもよい。いくつかの実施形態では、装置は、1つまたは複数の他の部分のさらなるクロマトグラフィのために1つまたは複数の他の部分をカラムの注入口に送るように構成してもよい。1つまたは複数の他の部分は、好ましくは、カラムの中心半径方向領域に対して外側半径方向領域から出る。
検出用に溶離液流の一部分のみを選択するため、例えば、検出器に入れるのに利用可能な流体の量を削減してもよいが、検出器流路内の試料の濃度は従来の場合と比較して増加させる。例えば、分析器に入れる溶離剤の量を理想的には少量にすべきである質量分析器などの特定の検出器のタイプにおいて、ならびに、例えば、流れ効果が関係するUV検出器などの特定の検出器の場合、これはプラスの利点である。質量分析(MS)検出システムの場合、本発明においては溶離液の一部分のみが検出のために利用されるため、これは本発明がMS検出における従来サイズのカラムの使用を一層可能にすることを意味しうる。例えば、従来の4.6mmHPLCカラムが、通常、約1.5ml/分の流量を有しうる一方で、本発明の分割流配置は、いくつかの実施形態では、MSシステムがより容易に処理することができるわずか約0.2ml/分の流量を有する検出用溶離液の部分を提供してもよい。これは、溶媒の充填量が大きくなれば蒸発させるのに必要な真空力が大きくなるためである。DPPH酸化防止剤検出器などのいくつかの生物検知器ではポストカラム試薬をフローストリームに入れる必要がある。最大感度は移動相とDPPH試薬の比率の求めるところに従う。カラムを出る流れを分割することができると、感度の損失なくDPPH試薬の消費が有利に低減される。同時に、最小死容積を有する複数の検出デバイスもまた使用することができる。さらなる分析のために試料の一部分がなお画分で回収されうることからこれら検出器は試料を破壊する可能性がある。
溶離液流の異なる部分の各々の容量の比率を変えてもよい。したがって、流れの区分化は調整可能であってもよい。最適な流量比は、通常、実施される特定の実験に依存する。中心セクションから回収される割合が低下するにつれて分離の効率は規則的に増加する。分離を得るにあたり伴う難しさ、またはさらには質量分析器などの試料充填量依存型検出器(sample load dependent detector)にどれほどの試料を流さねばならないかによって分離を調整することができるため、これはプラスの利点である。さらに、プロセスの環境負荷を考慮し、周辺領域から例えば廃液部への流れの量をカラムの中心領域から回収される流れの量に対して変えてもよい。本発明は、経済的利点と環境的利点を平衡させることができる調整可能なシステムを有利に提供する。
以下にさらに詳細に記載されるように、溶離の液流の比率は種々の手段によって変えてもよい。好ましくは、別個に処理される溶離液の1つの部分は、全溶離液の70%以下、または50%以下(体積比)、より好ましくは、30%以下である。例えば、1つの部分は、全溶離液の50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下であってもよい。この1つの部分は、好ましくは、カラムの中心半径方向領域から出る部分である。この1つの部分は、好ましくは、他の部分と別個に検出されるまたは別々に回収される部分である。
溶離液流の異なる部分の各々の容量の比率は、異なるフリットセクションの面積の比率を選択することによって、および/または出口ポートの数および/またはサイズを選択することによって変えてもよい。
流出口からの溶離液流の部分の各々の容量の比率(区分化の程度)を、出口ポートに連結された、出口ポートの下流側の流路の1つまたは複数の圧力および/または流量を調整することによって変えてもよい(例えば、出口圧力差(differential outlet pressure))。出口圧力差を、例えば、部分の1つを運ぶ少なくとも1つの下流側流路内の圧力または流れ調整器によって変えてもよい、および/または出口圧力差を、例えば、出口ポートに続くチューブの長さを変えることによって、または出口ポートに続くチューブの直径を変えることによって変えてもよい。
流出口には、好ましくは、フリットが提供される。フリットは、カラムを出る溶離液がフリット内を流れるように配置される。好ましくは、フリットはカラムの流出口の内径内に配置される。
流出口フリットは、好ましくは、溶離液の流れを、それがカラムを出る際に少なくとも2つの別個の部分に分割するように構成されたフリットアセンブリ内にある。流れを分割するため、好ましくは、流出口フリットアセンブリは、1つまたは複数の流れ障壁によって互いから分離された少なくとも2つの別個のフリットセクションを含む分割フリットアセンブリである(本明細書中においては、区分化フリットアセンブリとも称される)。例えば、非多孔質体が流れ障壁を提供してもよく、非多孔質コーティングが流れ障壁を提供してもよい。例えば、そのようなコーティングは別個のフリットセクションの少なくとも1つの1つまたは複数の表面上に提供され、1つまたは複数のコーティングされた表面は他の1つまたは複数のフリットセクションに当接する。したがって、1つまたは複数の第1のフリットセクション内を流れる溶離液は流れの第1の部分を提供してもよく、1つまたは複数の第2のフリットセクション内を流れる溶離液は流れの第2の部分を提供してもよい。これは、第1のフリットセクション内を流れる溶離液が第2のフリットセクション内を流れる溶離液から非多孔質体の形態の流体障壁によって分離されるためである。流れ障壁は、移動相がフリットアセンブリ内を通過する際のフリットセクション間における移動相の横すなわち半径方向の流れを妨げ、それによって、流れが別個の部分に分離することを可能にする。分割フリットのセクションがカラムの異なる領域、特に、異なる半径方向領域を占有するため、分割フリットは、溶離液の少なくとも2つの別個の部分が、カラムの異なる領域、好ましくは、記載したように、異なる半径方向領域から出ることを決定する。その一方で、従来の単一フリット部品は効率では劣る。その理由は、フリット内を通過する溶離液の流れがあまり整っていないため、カラムベッドの異なる領域内を流れた溶離液が、それがフリット内を流れる際、望ましくない程度まで混合されることになる可能性があるためである。分割フリットの使用により、カラムベッドの異なる領域内を流れた溶離液が、カラムの異なる領域に対応する異なる部分においてフリットを出ることが可能になる。
分割フリットアセンブリの好適な構成には、少なくとも1つの中心フリットセクションと、少なくとも1つの中心フリットセクションを取り囲む非多孔質体と、少なくとも1つの中心フリットセクションを取り囲むが、そこから非多孔質体によって分離された少なくとも1つの外側フリットセクションと、を含む。より好ましくは、分割フリットは、半径方向中心の中心フリットセクションと、中心フリットセクションを環状に取り囲む非多孔質体と、非多孔質体を環状に取り囲む外側フリットセクションと、を含む。最も好ましくは、半径方向中心の中心フリットセクションはカラム内の注入口から流出口までを長手方向に貫通する中心軸線上に実質的に位置する。このような流出口の分割フリット構成により、中心フリットセクションがカラムの中心半径方向領域から出る流れの部分を生成すること、および外側フリットセクションが中心半径方向領域の半径方向外側に(周辺に)位置する半径方向領域から出る流れの部分を生成することが可能になる。
中心フリットセクションおよび外側フリットセクションは種々の相対面積のものであってもよく、それによって、異なる相対面積を有する中心領域および周辺領域からの溶離液流を部分に分割する。したがって、フリットセクションの面積の比率は溶離液流の分割部分の各々の容量の比率を変化させるための手段であってもよい。例えば、外側フリットセクションの面積と中心フリットセクションの面積の比率は、90%:10%〜50%:50%、より一般には、80%:20%〜50%:50%のように変えてもよいが、これら範囲外の比率も使用してもよい。外側フリットセクションの面積と中心フリットセクションの面積の好適な比率は、約6:1〜約1:1、より好ましくは、約3:1〜約1:1、さらにより好ましくは、約2.5:1〜約1.5:1、最も好ましくは、約2:1である。
フリットセクションは同じ密度を有しても異なる密度を有してもよい。例えば、中心フリットセクションは外側フリットセクションと異なる密度を有してもよい。あるタイプの実施形態においては、中心フリットセクションは外側フリットセクションよりも低い密度を有してもよい。したがって、より高い密度のフリットセクションに対して低い密度のフリットセクション内を優先的に流れるように溶離液を制御してもよい。
流出口フリットアセンブリは、通常、例えば、フリットアセンブリがフリットキャップを形成するようにカラムの流出口端部に嵌合された、好ましくは、ポリマーで作製された外側非多孔質取付具を含む。例えば、スチール製フリットはスチール製カラム壁を良好に密封しないため、このような外側取付具が好適である。ポリマー製取付具は、PTFE、ETFE、PEEKまたはKel−Fのような種々のポリマー、より好ましくは、PEEKで作製してもよい。一般に、フリットアセンブリの任意の非多孔質部品は、PTFE、ETFE、PEEKまたはKel−Fなどのプラスチックまたはポリマー、より好ましくはPEEKで作製してもよい。またはステンレス鋼などの金属で作製してもよい。
流出口フリットアセンブリは、いくつかの他の実施形態においては、多孔質フリットの単一部品を含んでもよい。すなわち、フリットのセクションではない。フリットアセンブリがフリットキャップを形成するように、多孔質フリットの単一部品を、他の記載した実施形態と同様に、例えば、カラムの流出口に嵌合された外側非多孔質の、好ましくはポリマー製の取付具内に保持してもよい。
流出口フリットアセンブリの外側非多孔質取付具は溶離液の流れを分離するための孔を有してもよい。例えば、外側非多孔質取付具は、カラムの半径方向中心領域から出る、フリットからの溶離液の部分の流れを通過させることを可能にするための半径方向中心孔を有してもよく、かつ中心孔の半径方向外側に、カラムの周辺半径方向領域(半径方向中心領域を取り囲む)から出る、フリットからの溶離液の部分の流れを通過させることを可能にするための1つまたは複数の周辺孔を有してもよい。カラムの周辺領域から出る流れの部分は、例えば、外側非多孔質取付具の側壁内に1つまたは複数の周辺孔を有することによってフリットの外側側部から集めてもよい。
流出口フリットアセンブリは、好ましくは、円形断面カラムに適合させるために円形の外部形状のものであるが、例えば、カラム形状に応じて他の形状のフリットアセンブリを使用してもよい。
流出口フリットの材料は、スチールのような、LCにおいて使用される従来のフリット材料であってもよい。したがって、フリットは、その中を流れる溶離液流を分割するために本明細書中に記載される分割手法で簡便に構成してもよい。例えば、フリット材料、厚さ(深さ)および空隙率はLCシステムにおいて使用される従来のものであってもよい。例えば、0.25〜2mmの一般的な厚さのフリットを使用してもよい。例えば、2μmの空隙率を有するフリットを使用してもよい。分割フリット実施形態の非多孔質体は、好ましくは、PTFE、ETFE、PEEKまたはKel−Fなどのプラスチックまたはポリマー、より好ましくは、PEEKで作製されるか、ステンレス鋼などの金属で作製してもよい。このような非多孔質材料を、流れ障壁を提供するために、別のフリットセクションに当接する1つまたは複数のフリットセクションの1つまたは複数の表面上に薄層またはコーティングとしても設けてよい。あるいは、非多孔質の流れ障壁を金属で作製することができる。このような金属障壁を、別のフリットセクションに当接する1つまたは複数のフリットセクションの1つまたは複数の表面上に薄層またはコーティングとしてスパッタリングすることによって形成することができる。そのような薄層またはコーティングによる流れ障壁は、流れにかかる抵抗が低いという利点を有してもよい。
流れ障壁または非多孔質体の幅(すなわち、半径方向に測定された)は、好ましくは、フリットセクションの幅と比べて狭く、すなわち、好ましくは、フリットセクションの幅よりも狭い。したがって、流れ中の流れ障壁の存在または流れ障壁の背後の任意の不感帯効果に起因しうる、分離された成分の流れに対する任意の抵抗の可能性が、それによって、最小化されてもよい。しかしながら、別個の部分への流れの分離が効果的に実現されないほど障壁を薄くすべきではないことは理解されよう。
特定の実施形態においては、流出口に、溶離液流を流すための複数の毛管(出口毛管)を提供してもよい。1つまたは複数の毛管が流れの第1の部分を流すために配置されており、1つまたは複数の他の毛管が流れの第2の部分を流すために配置されている。したがって、第1の部分および第2の部分は別個の毛管内に流されるため、互いから分割される。出口毛管は、好ましくは、非多孔質材料、例えば、プラスチックによって互いから分離される。このようにして、流れは別個の毛管に沿ってのみ案内される。好ましくは、フリットは出口毛管内に設けられる。そのような出口毛管の好適な配置においては、半径方向中心の第1の毛管は取り囲まれてもよく、好ましくは、(例えば、束ねられた毛管であり、環状配置において束ねられた毛管であってもよい)複数の第2の毛管によって環状に取り囲まれてもよい。半径方向中心の第1の毛管は溶離液流の第1の部分を流し、複数の第2の毛管は第1の部分とは別に溶離液流の第2の部分を流す。
好ましくは、カラム注入口および流出口はそれぞれカラムの端部、すなわち、カラムの両端に位置する。カラムは、使用時、好ましくは、その流出口端部(出口流分配器)に流分配器を有する。出口流分配器は、好ましくは、その中の別個の流路内において溶離液流の少なくとも第1の部分および第2の部分を運ぶように構成されている。すなわち、第1の部分は、1つまたは複数の、第2の部分とは別個の流路等において運ばれる。したがって、流分配器は、事実上、溶離液流の分配器である。出口流分配器をカラム端部取付具、すなわち、使用時、カラム流出口端部に着脱可能に取り付けられる着脱式端部取付具として提供してもよい。代わりとして、出口流分配器はカラムの端部と一体的に作製してもよい。好適な配置は、出口流分配器を、使用時にカラムの端部に取り付けられる別個の端部取付具部品として有するものである。しかしながら、他の実施形態では、流分配器を、溶離液流の少なくとも第1の部分および第2の部分を運ぶための複数の別個の流路を備えたカラムと一体的に作製することが可能であることは理解されよう。そのような一体型の実施形態においては、流分配器は別個の部品ではない。本明細書中においては、流分配器を示すために別個の端部取付具という好適な実施形態を主として使用するが、このような端部取付具の特徴は、一般に、流分配器がカラム端部と一体的に作製される場合にも適用される。
流出口にある流分配器はその中に、例えば、流出口の上流側において、記載した分割フリットアセンブリ等によって分割されていたであろう溶離液流の少なくとも第1の部分および第2の部分を別個に運ぶための複数の別個の流路を有するように構成されている。または、例えば、流出口において標準的な(非分割)フリットが使用される場合、流分配器のみを、溶離液流を別個の部分に分割するように構成してもよい。したがって、流分配器は、溶離液の少なくとも第1の部分および第2の部分が流れ込むための複数の別個の流路を有する。溶離液は、それによって、異なる処理手段に分配される別個の部分に分割されてもよい。上述のように、流分配器は、好ましくは、端部取付具として設けられ、端部取付具は複数の別個の流路を含む。
端部取付具などの出口流分配器の別個の流路は、好ましくは、カラムの異なる領域、より好ましくは、記載したようなカラムの異なる半径方向領域から出る溶離液流の部分を運ぶために配置される。流分配器の別個の流路は少なくとも1つの流路(好ましくは1つの第1の流路)の第1のセットを含んでもよい。少なくとも1つの流路(好ましくは1つの第1の流路)の第1のセットは、使用時、それがカラムの第1の領域、好ましくは、第1の半径方向領域内にあるように分配器内に配置される。例えば、端部取付具の形態の流分配器の場合、端部取付具の少なくとも1つの流路の第1のセットは、それがカラムの流出口端部に取り付けられる場合、第1のセットがカラムの第1の領域、好ましくは、第1の半径方向領域内にあるように取付具内に配置されている。第1の半径方向領域は、好ましくは、カラムの中心半径方向領域であり、より好ましくは、カラム内を長手方向に貫通する中心軸線上に実質的に位置する。本明細書中においては、この場合、少なくとも1つの流路の第1のセットは中心流路セットと称される。第1のまたは中心流路セットは溶離液流の第1の部分を運ぶ。分割フリットアセンブリが用いられる場合、少なくとも1つの流路の第1のセット(例えば中心流路セット)は、好ましくは、分割フリットアセンブリの中心フリットセクションと半径方向に整列される。出口流分配器の別個の流路は少なくとも1つの流路(好ましくは複数の流路)の第2のセットを含んでもよい。少なくとも1つの流路(好ましくは複数の流路)の第2のセットは、使用時、それがカラムの第2の領域、好ましくは、第2の半径方向領域内にあるように分配器内に配置される。例えば、端部取付具の形態の端部の場合、端部取付具の少なくとも1つの流路(好ましくは複数の流路)の第2のセットは、それがカラムの流出口端部に取り付けられる場合、少なくとも1つの流路の第2のセットがカラムの第2の領域、好ましくは、第2の半径方向領域内にあるように、取付具内に配置されている。第2の半径方向領域は、好ましくは、中心半径方向領域の半径方向外側または周辺に位置する半径方向領域である。本明細書中においては、この場合、少なくとも1つの流路の第2のセットは外側または周辺流路セットと称される。第2のまたは外側または周辺流路セットは溶離液流の第2の部分を運ぶ。分割フリットアセンブリが用いられる場合、少なくとも1つの流路の第2のセット(例えば、外側または周辺流路セット)は、好ましくは、分割フリットアセンブリの外側または周辺フリットセクションと半径方向に整列される。例えば、第3の、および任意選択で、溶離液のさらなる部分が処理のために分離される他の実施形態では、第3のセット、および任意選択で、流路のさらなるセットを流分配器内に含んでもよい。好適な実施形態においては、溶離液の第1の部分を案内するための第1の流路セットは半径方向中心流路を含み、第2のセットは中心流路の半径方向外側の複数の外側流路を含む。しかしながら、実施形態においては、第1のセットは、複数の中心、すなわち、中心半径方向領域内の流路と、流路の第1のセットの半径方向外側の複数の外側流路と、を含んでもよいことは理解されよう。このような場合においては、複数の中心流路からの流れは、第2の部分として一つに集められ処理されてもよい複数の外側流路からの流れとは別に、第1の部分として一つに集められ処理されてもよい。
好ましくは、出口流分配器の流路は、カラムの注入口にある入口流分配器の流路と実質的に同じ半径方向位置にある。
カラムベッドの異なる半径方向領域から出てフリットアセンブリ(特に分割フリット)を通過した溶離液の部分が分配器内の流路の各々のセットに送られる、例えば、フリットアセンブリを通過した溶離液の第1の部分および第2の部分がそれぞれ流分配器内の流路の第1のセットおよび第2のセット内に送られるように、好ましくは、流分配器は、フリットアセンブリの非常に近傍に、または、最も好ましくは、フリットアセンブリに接触して配置される。流分配器をフリットアセンブリと直接接触させて配置することによって、ボイドが導入される可能性が低下する。流分配器は、使用時、フリット表面に対して面一で配置してもよい。流分配器は、使用時、1つまたは複数の非多孔質部品がフリット(例えばフリットセクション)と流分配器との間にシールを提供し、それによって溶離液流の隣接する部分を互いから密封するように、フリットアセンブリの非多孔質部品の1つまたは複数と接触させて配置してもよい。例えば、非多孔質の外側フリット取付具および/または非多孔質の流れ障壁(多孔質のフリットセクションを分離する)は流分配器を密封し、それによって溶離液の部分を分離されたままに維持してもよい。
出口流分配器、好ましくは、端部取付具内の流路は、好ましくは、それぞれが、それらの下流側端部に、処理手段などに溶離液を運ぶための出口配管を連結することができる流出口または出口ポートを有する。流路の数は出口ポートの数に等しくても等しくなくてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、出口ポートを共用するために任意の2つ以上の流路を流分配器内において結合することができる。しかしながら、好ましくは、流路の数は出口ポートの数に等しい。
好ましくは、外側流路または周辺流路およびこれらのポートは、カラムの中心軸線を中心として対称に配置されている。例えば、外側流路または周辺流路およびこれらのポートは中心軸/中心流路およびポートから等間隔で離間するおよび/または等距離であってもよい。しかしながら、外側流路または周辺流路およびこれらのポートは非対称に配置することができる。
好ましくは、出口流分配器は、1つの中心流路および2〜12個の外側流路、すなわち、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個または12個の外側流路、より好ましくは、1つの中心流路および3〜6個の外側流路を含む。3個、4個、5個または6個の外側流路を有する出口流分配器が良い例である。しかしながら、これら数は本発明において限定されるものではない。
出口流分配器は、好ましくは、本明細書中に記載される入口流分配器と同じ数の中心流路(特に1つの中心流路)および同じ数の外側流路を有する。
好適な例として、第1の好適な実施形態においては、出口流分配器、好ましくは、端部取付具は、1つの中心流路および3つの外側流路(すなわち、4つの流路またはポート構成)を含む。第2の好適な実施形態においては、出口流分配器は1つの中心流路および6つの外側流路(すなわち、7つの流路またはポート構成)を含む。流路の数およびポートの数は変えることができ、例えば、4ポート、5ポート、6ポート、7ポート、8ポート、9ポート、10ポート、11ポートまたは12ポート構成を使用してもよい。または、実際、さらに多数のポートを備えた構成を使用してもよい。
周辺出口ポートの数に対する中心出口ポートの数に関して、上述の第1の好適な実施形態における出口流分配器、好ましくは、端部取付具は、中心に1つの中心出口ポートと、それを取り囲む3つの周辺出口ポートとを有してもよいが、本発明では任意の数の周辺出口ポート、例えば、1つまたは複数の周辺出口ポートを企図することを理解すべきである。好適な例では、3〜12個、より好ましくは、3〜10個の周辺出口ポート、特に、3個、4個、5個、6個、7個または8個の周辺出口ポートを有してもよい。3個、4個、5個または6個の周辺出口ポートを備えた流分配器、好ましくは、端部取付具が良い例である。さらに、本発明では、任意の数の中心出口ポート、例えば、1つまたは複数の中心出口ポート(すなわち中心半径方向領域からの溶離液の流れを送るポート)を企図する。好ましくは、1つの中心出口ポートがある。出口ポートは、一般に、流分配器の本体の端部または側部に配置してもよいが、好ましくは、端部に配置される。1つまたは複数の外側出口ポートは流分配器の端部または側部に配置してもよい。1つまたは複数の中心出口ポート(は、流分配器の端部または側部に配置してもよいが、好ましくは、端部に配置される。いくつかの実施形態では、カラムの周辺領域から出る流れの部分はフリットの外側側部から集められてもよく、例えば、流分配器の側部に配置された1つまたは複数の外側出口ポートを通じて案内される。カラムの中心領域から出る流れの部分は、フリットの中心から集められてもよく、例えば、流分配器の端部に配置された1つまたは複数の中心出口ポートを通じて案内される。
溶離液の各部分を流す出口ポートの数およびサイズの選択は、溶離液流の部分の各々の容量の比率(すなわち、区分化の程度)を変えるための手段であってもよい。流出口からの溶離液流の部分の各々の容量の比率(区分化の程度)は、その代わりにまたは同様に、出口ポート後の下流側流路内の圧力(すなわち出口圧力差)を調整することによって変えてもよい。出口圧力差を、例えば、出口ポート後のチューブの長さまたはチューブの直径を変えることによって変えてもよい。
使用時、出口ポートの1つまたは複数は、溶離液がそこの中を流れず、その代わりに、残りの開放されたポート内に流されるように、閉じられてもよい、すなわち、遮断されてもよい。
溶離液の流れの部分は、流出口から集められ、特定のルートによって特定の処理手段に送られる溶離液の全てを含む。したがって、溶離液の部分は、1つまたは複数のポート、例えば、流分配器の複数の周辺ポートから集められ、集合的に特定の処理手段に送られる溶離液を含んでもよい。
流出口端部取付具は従来の端部取付具と類似の外形寸法のものであってもよい。端部取付具は、カラム流出口のカラムの端部に手動で締められるか、必要であればツールの補助により締められるかのいずれかであってもよい。流出口端部取付具は、好ましくは、カラムの流出口端部にねじ式連結によって取り付けられるか、押し嵌めされても、別のタイプの連結を使用して連結してもよい。HPLCなどの分析カラム用の多くの従来のタイプの端部取付具と同様に、カラムに対する端部取付具の一般的な連結には、カラムの流出口端部の外部ねじ山と、端部取付具内部の内部ねじ山と、を含む。したがって、このような配置においては、端部取付具はカラムの端部上にねじ止めされ流出口をカバーする。他の実施形態では、例えば、特定タイプの自己充填式カラムおよび軸方向または半径方向圧縮カラムにおいては、流出口端部取付具はカラム端部の内部に嵌合されてもよい。このような実施形態においては、端部取付具は、カラム端部内に押し嵌め(摩擦嵌合)されてもよく、かつ任意選択で、その外部表面に、1つまたは複数の密封リングまたはO−リングなどの、カラム壁の内部表面に対して密封するための密封手段を担持してもよい。流出口端部取付具は任意の適切な材料で作製してもよい。端部取付具は、特にそれが金属カラム、例えば、ステンレススチール製カラムに、好ましくは、ねじ山によって、またはSwagelok(商標)型取付具を使用することによって取り付けられる場合、金属、好ましくは、ステンレス鋼で作製してもよい。カラムがガラスである場合などの他の場合においては、端部取付具を他の適切な材料、例えば、PEEKなどのプラスチックから作製してもよい。
カラム流出口は、カラムを出る溶離液流を、3つ以上の部分、例えば、3つ、4つまたは5つ以上の部分に分割してもよい。好ましくは、流出口は溶離液流を2つの部分に分割するものであり、これは、本明細書中により詳細に示されるように、本発明の低コスト、秀逸かつ有利な実施形態を提供する。
流出口を出る、すなわち、流分配器の下流側における溶離液の分割部分を溶離液案内手段によって処理手段にさらに案内してもよい。好ましくは、溶離液の部分を処理手段に案内するための溶離液案内手段は、溶離液の流れを、それが流出口において分割された後、例えば、流分配器の後に受け取り、一般には、チューブなどの複数の導管を含む。使用時、溶離液が流される流分配器の各出口ポートは、好ましくは、それに取り付けられた導管を有する。好ましくは、溶離液の少なくとも2つの別個の部分は別個の流路または導管内においてそれらの各々の別個の処理手段に案内される。この目的のための適切なチューブは、プラスチックチューブ(好ましくは、PEEKチューブ)または金属管(好ましくは鋼管)などの、液体クロマトグラフィにおいて使用される任意の標準的なまたは従来のチューブを含んでもよい。溶離液流の各部分は、好ましくは、自身の1つまたは複数の導管のセットを通じて各々の処理手段に案内される。
本明細書中において、カラムという用語は、試料に対してクロマトグラフィを実施するための任意の管状構造を意味する。したがって、カラムは直線状カラムであってもコイル状カラムであってもよいが、好ましくは、直線状カラムである。好ましくは、カラムは適切な媒体を充填することができるカラムである。それは、例えば、産業規模の分取クロマトグラフィに使用される大規模カラムであっても、少量の試料に対するおよび/または実験室環境内における分取クロマトグラフィ用の小規模カラムであってもよい。それは分析クロマトグラフィ用のカラムであってもよい。通常、カラムは液体クロマトグラフィ用のカラムであるが、例えば、超臨界流体(SCF)クロマトグラフィ用のカラムであってもよい。この場合、装置全体におけるSCFのフローパスは適切に加圧される。カラムは、例えば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)、フラッシュカラムクロマトグラフィ、高速タンパク質液体クロマトグラフィ(FPLC)および他の形態のクロマトグラフィ用のカラムであってもよい。カラムは(毛管クロマトグラフィにおいて使用されるような)毛管を含んでもよい。有利には、特定の実施形態におけるカラムは、標準的な、すなわち、従来のHPLCカラムであってもよく、それによって、使用者が本発明を標準的なカラムにおいて利用することを可能にする。カラム流入口および任意選択でカラム注出口のみに改良を加える必要がある。例えば、本明細書中に記載されるような変更を加えたフリットアセンブリおよび/または流分配器が使用される。
公知のように、適切なカラムは、例えば、金属(好ましくはステンレス鋼)、ガラス、セラミック、ポリマー等を含む多様な材料で作製してもよい。カラムは微細加工または集積流体チップ構造として作製してもよい(集積チップカラム)。カラムは任意の適切な長さであってもよく、好ましくは、カラムは、特に、HPLCなどの分析用途においては、5mm〜1000mm(おそらくはより長い)の範囲内、例えば、50mm〜200mm、例えば、約100mmの長さのものである。カラムは任意の適切な直径のものであってもよく、好ましくは、カラム内径は300μm〜1000mmであり、例えば、4.6mm径などの、HPLCにおける標準的な内径である。カラムは好ましくは円形断面(すなわち横断面)のものであるが、他の形状の断面のカラムを使用してもよい。
本発明が有用であるクロマトグラフィは、異なる実施形態においては、分析クロマトグラフィ、例えば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)、多次元または二次元高速液体クロマトグラフィ(MDHPLCまたは2DHPLC)、フラッシュカラムクロマトグラフィ、高速タンパク質液体クロマトグラフィ(FPLC)、並列検出(parallel detection)クロマトグラフィ、SCFクロマトグラフィおよび他のクロマトグラフィ、特にHPLCであってもよい。
本発明が有用であるクロマトグラフィは、実施形態においては、分取クロマトグラフィ、例えば、分取高速液体クロマトグラフィ(PHPLC)、プロセスクロマトグラフィ、タンパク質精製、酵素精製、抗体精製、小分子精製、製薬精製または自然物精製であってもよい。
本発明が有用である液体クロマトグラフィは、実施形態においては、例えば、溶離液が分析目的のために検出されると共に、精製された画分において回収される、分析クロマトグラフィおよび分取クロマトグラフィの両方であってもよい。
使用される移動相および固定相の種類については、実施されるクロマトグラフィの種類に適した、任意の適切な種類の移動相および固定相、例えば、任意の適切なおよび/または公知の相を使用してもよく、例えば、HPLCを実施する場合は、任意の公知のHPLC移動相および固定相である。使用してもよい分離方法の種類については、任意の適切な従来の方法を使用してもよく、例えば、無勾配または勾配溶離のいずれか、もしくは置換溶離、順相または逆相のいずれか、もしくは親水性、もしくはイオン交換またはイオン排除、もしくは親和性またはキラルまたはサイズ排除LC等である。
クロマトグラフィが超臨界流体クロマトグラフィである場合、移動相は二酸化炭素などの従来のSCFであってもよいが、それに限定されるものではない。
本発明を用いる装置および本発明の方法は、例えば、分析規模、試験規模または産業規模の純度分析、成分分析、品質分析、定量分析および分離または精製を含む、多様な用途に使用してもよい。市場用途には、例えば、創薬、臨床分析、環境分析、および、例えば、タンパク質、糖タンパク質、リンタンパク質、代謝産物および核酸の分野における診断マーカ調査を含む。したがって、本発明は、例えば、製薬業界、化学業界、バイオテクノロジー業界、生物薬剤学業界および製造業界において適用可能である。
本発明は充填されたカラムに適用可能である。本明細書中において充填されたカラムとは、任意の適切な固定相のベッドを含むカラムを意味する。実施されるクロマトグラフィの種類に応じてカラム内部にカラムベッドとして任意の従来のベッド媒体を充填してもよい。ベッド媒体は、例えば、粒子または多孔質モノリシック材料(例えば、高分子またはセラミックモノリシックベッド)を含んでもよいが、好ましくは、粒子である。あるいは、ベッド媒体は、膜ベッドまたは任意の他のベッドを含んでもよい。本発明は、特に、不均一に分配されたベッドにおいて有用である。好適な粒子状媒体の粒径は、例えば、1μm〜150μmの範囲であってもよいが、本発明を限定する粒径の下限または上限はない。本発明において使用される多孔質媒体にはクロマトグラフィのタイプに応じて広範囲の細孔径を使用してもよく、好ましくは、細孔径は、30Å〜3000Å(3nm〜300nm)の範囲である。広範囲の空隙率を使用してもよく、好ましくは、空隙率は0%〜80%の範囲にある。充填媒体は、クロマトグラフィのタイプに応じて、例えば、アルキル結合相、一般的な極性結合相およびキラル固定相などの種々の化学的性質を含んでもよい。集積チップカラムには粒子または多孔質モノリシックベッドを使用してもよい。
処理手段に使用してもよい検出器のタイプには、例えば、紫外または可視検出器(UV/Vis)、質量分析検出器(MS)、蛍光検出器(FL)、化学発光検出器(CL)、屈折率検出器(RI)、伝導率検出器(CD)、蒸発光散乱検出器(ELSD)等の、カラムクロマトグラフィ用の任意の従来の検出器を含んでもよい。さらに、核磁気共鳴検出器(NMR)または赤外線検出器(IR)または酸化防止剤検出器または任意の他の生物型検出器などのカラムクロマトグラフィ用の任意の非従来の検出器を処理手段に使用してもよい。いくつかの場合においては、例えば、溶離液が単一出口ポートを通過する場合、インカラム検出を使用してもよく、例えば、検出器が特定の半径方向領域、特に中心領域から移動相のみを検出するように、検出器がカラムベッドに配置される。そのような検出器は伝導率検出器を含んでもよい。
好ましくは、溶離液の流れの第1の部分は第1の処理手段に案内され、溶離液の流れの第2の部分は第2の処理手段に案内される。部分は互いに別個に処理される。すなわち、第1の処理手段と第2の処理手段は別個のものである。このようにして、例えば、分離の比較的高い分解能を有する第1の部分は、分離の比較的低い分解能を有する第2の部分とは別個に検出することができる。しかしながら、分離の比較的低い分解能を有する部分であっても、カラムの全幅から単一中心出口ポートを通じて集められた溶離液を検出する、またはそうでなければカラムの全幅から集められた溶離液を集合的に処理する従来の配置よりもより良好に分解されたピークを示してもよい。このため、本発明は、例えば、第1の部分のクロマトグラムおよび/または第2の部分のクロマトグラムを、それぞれ、これら部分が一緒に検出される場合よりもピークの高い分解能を有して提供することができる。別の例では、分離のより高い分解能を有する第1の部分が分離のより低い分解能を有する第2の部分とは別個に画分で回収されうる。このため、これは、画分が部分から一緒に回収される場合よりも高い純度を有する、第1の部分から回収された画分を提供することができる。
したがって、本発明は、さらに別の態様において、クロマトグラフィカラムを含む、多重(multiplexed)クロマトグラフィ実施するための装置をさらに提供することは明らかであろう。カラムは注入口と流出口とを有し、流出口は、溶離液の流れを、それが流出口からカラムを出る際に少なくとも2つの別個の部分に分割するように構成されており、装置は、部分を別個に処理するように構成されている。同様に、本発明は、また、成分に分離される試料を含む移動相を用意するステップと、移動相を、クロマトグラフィカラム内においてカラムの注入口からカラムの流出口まで長手方向に流すステップであって、移動相が溶離液として流出口からカラムを出る、ステップと、溶離液の流れを、それが流出口からカラムを出る際に少なくとも2つの別個の部分に分割するステップと、少なくとも2つの別個の部分を別個に処理するステップと、を含む、多重クロマトグラフィの方法を提供する。別個の部分はそれぞれカラム内において成分のクロマトグラフ分離を経たものである。別個の処理には、部分を別個に、例えば、各部分を異なる検出器により検出するステップを含んでもよい。このようにして、同一の溶離液の部分を並行して分析するために、それぞれがその独自の検出利点を有する異なる検出器を使用することができる。多重化の利点は試料のスループットが増加することにあろう。多重液体クロマトグラフィを実施するための装置および方法の好適な特徴が本発明の他の態様とともに本明細書中に記載される。
最も好ましい実施形態においては、試料は、カラム内に導入される移動相の第1の部分内にほぼ全て含まれ、それによって、試料流部分を提供する。カラム内に導入される移動相の第2の部分は実質的に試料を含まず(すなわち移動相溶媒のみを含む)、それによって、試料を含まないカーテン流部分を提供する。このようにして、例えば、カラムに沿って成分に分離された試料を有する第1のまたは試料流部分を、試料を実質的に有しない第2のまたはカーテン流部分とは別個に検出することができる。第1のまたは試料流部分は、好ましくは、分離効率が最大であるカラムの中心領域を流れてきた部分である。カーテン流は、試料の横断方向の移動または拡散を抑制するように、および/または横断面における流速プロファイルを平らにするように機能する。試料を実質的に有しないカーテン流は、それをもう一回のクロマトグラフィにおいて再利用することによってカラムを出る溶離液の1つの部分として処理してもよい。このようにして、溶媒消費におけるコスト削減が付随する環境的利点と共に達成される。したがって、そのような実施形態においては、装置は、好ましくは、周辺半径方向領域から出る溶離液の部分またはカーテン流をさらなるクロマトグラフィにおいて再利用するように構成される。
好ましくは、第2の処理手段は第1の処理手段とは異なるタイプの処理手段である。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1の処理手段と第2の処理手段は、部分が別個に処理される限りは、1つの手段が第1の部分を処理し、他の手段が第2の部分を処理する、同じタイプの処理手段であってもよいと理解される(例えば、それらはそれぞれ同じタイプの検出器を含んでもよい)。しかしながら、好ましくは、第2の処理手段は第1の処理手段とは異なるタイプである。これは、部分が、通常、異なる分離の程度を有するため、それらを異なる手法で処理することが望ましいことが理由である。例として、第1の処理手段および第2の処理手段(および任意選択で、溶離液が第3のまたはさらなる部分に分離される場合はさらなる処理手段)は、それぞれ独立して、検出器と、廃液溜めと、画分受器またはコレクタと、カラム注入口と、の1つまたは複数を含んでもよい。したがって、各部分の処理は、好ましくは(独立して)、画分を検出するステップと、画分を回収するステップと、廃液部に送るステップと、カラム注入口に送るステップと、の1つまたは複数である。好ましくは、いくつかの実施形態では、第1の部分などの1つの部分の処理は、例えば、分析クロマトグラフィのために、この部分を他の部分とは別個に検出するステップを含む。好ましくは、いくつかの実施形態では、第1の部分などの1つの部分の処理は、例えば、分取クロマトグラフィまたは多次元HPLCのため、総合分析またはハートカット分析のいずれかにおいて、部分から、他の部分とは別個に画分を回収するステップを含む。好ましくは、いくつかの実施形態では、第2の部分などの1つの部分の処理は、部分をカラム注入口に他の部分とは別個に送るステップを含む。いくつかの実施形態では、部分は、分離および分析において異なる選択性を提供する目的で複数の別個のカラムに送られてもよい。好ましくは、いくつかの実施形態では、第2の部分などの1つの部分の処理は、部分を他の部分とは別個に廃液部に送るステップを含む。
好ましくは、第1の部分(例えば、通常、分離の比較的高い分解能を有する部分)は、第2の部分(例えば、通常、分離の比較的低い分解能を有する部分)とは別個に検出される。より好ましくは、そのような実施形態における第1の部分はカラムの中心半径方向領域から出る部分である。
いくつかの実施形態では、両領域が単一中心出口ポートを備えた従来の配置よりもより良好に分解されたピークを示す場合があるため、中心半径方向領域から出る部分と、また、外側半径方向領域からの部分との両方を検出することが望ましい場合がある。すなわち、流れを区分化する場合、溶離液の両ストリームを分析目的および/または分取目的で使用してもよい。本発明の範囲をいかようにも限定することなく、これは、制限半径方向領域から得られた溶離液の部分が、カラムの全幅から得られた溶離液よりも狭い試料の軸方向の広がりを有することに起因するものと考えられる。これは、移動相の各部分が検出に十分な量の試料を含む場合には該当してもよく、例えば、カーテン流部分が実質的に試料を含まず溶媒のみを含む場合には該当しなくてもよいことは理解されよう。
好ましくは、第1の処理手段は第1の検出器を含む。例として、第1の処理手段は、溶離液中に存在する試料を検出するための検出器を含んでもよく、第2の処理手段は、通常、第1の処理手段の検出器を通過することなく到達される廃液受器を含んでもよい。別の例として、第1の処理手段は上記のような検出器を含んでもよく、第2の部分に対して、例えば、移動相の再利用を含む、少なくとももう一回のクロマトグラフィが実施されるように、第2の処理手段は、同じまたは別のクロマトグラフィカラムの注入口を含んでもよい。第2の処理手段は、制御システムによって制御することができ、かつ第2の部分を同じまたは別のクロマトグラフィカラムの注入口に流すことを可能にする第1の位置と、第2の部分を、別の場所に、例えば、検出器、フラクションコレクタ、別のカラムまたは廃液部に流すことを可能にする第2の位置との間において切替可能なバルブを含んでもよい。さらに別の例として、第1の処理手段は前述のような検出器(第1の検出器)を含んでもよく、第2の処理手段は、任意選択で、第2の部分に対して少なくとももう一回のクロマトグラフィが実施されるように、第2の部分を同じまたは別のクロマトグラフィカラムの注入口に流すかどうかを判断するために(例えば制御システムによって)使用されてもよい測定値を第2の検出器が提供してもよい場合には検出器(第2の検出器)を含んでもよい。第1の処理手段および/または第2の処理手段に含まれる1つまたは複数の検出器から好ましくは信号を受信する制御システムが設けられることが好ましい。処理手段の1つまたは複数のために、溶離液の部分を、それが検出器を通過して廃液部またはカラム注入口などの所望の目的地に到達した後に案内するために、制御システムは処理手段内の検出器からの信号に基づき1つまたは複数のバルブの動作を制御してもよい。したがって、装置はデータ依存処理の形態を実行してもよい。
処理手段がクロマトグラフィカラムの注入口を含む場合、処理手段は、さらなるクロマトグラフィが実施される溶離液が集められ、さらなるクロマトグラフィ前に好ましくは再集中される容器または流れループをさらに含んでもよい。
これら種々の手法において、例えば、本発明は、溶離液流の部分を第1の処理手段、例えば検出器に選択的に案内する一方で、別の部分を、第1の処理手段とは異なる別の処理手段に案内するように構成されている流出口を備えたカラムを提供する。好ましくは、分析目的のため、第1の処理手段は、第1の部分が第2の部分とは別個に検出されるように配置された検出器を含む。好ましくは、分取目的のため、第1の処理手段は、第1の部分の画分を第2の部分とは別個に受け取るように配置された画分受器を含む(第1の処理手段が画分受器を含む場合、それは検出器も含んでもよい)。
多くの他の処理手段およびそれらの組み合わせを使用することもできることは理解されよう。これらのいくつかは本明細書において以下により詳細に記載される。本明細書中においては、処理手段は、溶離液の部分がカラムを出た後にとるルートを含む。このため、これら部分が、例えば、この場合は同時ではなく別個に検出される(処理される)ように、これら部分は、例えば、特定の実施形態においては同じ検出器に、異なるルートによって案内されてもよい。しかしながら、ほとんどの場合においては、カラム流出口において分割された後、別個の部分は完全に別個のルートをとることが好適である。
いくつかの実施形態では、流出口において分割された溶離液の異なる部分を流出口の下流側において再結合することができる。部分は、部分に別個の処理が施された後に再結合されてもよい。例えば、部分は、1つの部分、好ましくは、中心部分が他の部分と別個に検出された後に再結合されてもよい。再結合された部分には、例えば、その後、任意選択で、部分の再集中後に1回または複数回のさらなるクロマトグラフ分離を実施してもよい。
本発明による複数の装置は互いに連結させてもよい。つまり、カラムの流出口において分離された溶離液の部分の1つ(または複数)が追加のカラム、すなわち、本発明による追加の装置の注入口に供給されてもよい。したがって、本発明によるカラムのカスケードを互いに連結させてもよい。代わりとして、追加のカラムは、従来のカラムであっても、本発明によるカラムでない別のカラムであってもよい。したがって、一般に、本発明は、さらなるクロマトグラフ分離のために溶離液の部分の1つ(または複数)の流れを追加のカラムに案内するステップを含んでもよい。このようにして、試料の成分が適切に分離されていない、すなわち分解されていない溶離液の部分(または2つ以上の部分)を追加のカラムに供給し、成分をさらに分離するために、そこでクロマトグラフィを実施してもよい。このカスケード方式で連結させてもよいカラムの数は特に限定されない。例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ以上の数のカラムをこのような列において互いに連結させてもよい。溶離液は、各追加の1つまたは複数のカラム内に注入される前に再集中させてもよい。さらなるクロマトグラフ分離用の溶離液の部分は、好ましくは、カラムの外側または周辺半径方向領域から出る部分である。その理由は、多次元または二次元HPLCの場合に当てはまるように、その成分が、通常、それらが中心領域から出る部分にある場合よりもあまり良好に分離されておらず、中心部分から出る溶離液の部分を、任意選択で、さらなるクロマトグラフ分離のために案内することができるためである。
前述の実施形態のさらなる変形形態として、溶離液を、例えば、導管を通じて再利用してもよい。すなわち、同じカラム内を1回または複数回さらに通過させる(すなわち、1回または複数回のクロマトグラフィ)ために同じカラムの注入口に戻してもよい。特に、カラムの流出口において分離された溶離液の部分の1つ(または複数)は、カラムの注入口に戻されてもよい。このようにして、試料の成分が適切に分離されていない、すなわち、分解されていない溶離液の部分(または2つ以上の部分)をカラム内に再度供給し、成分をさらに分離するために、そこでさらなるクロマトグラフィを実施してもよい。溶離液は、好ましくは、完全なカラムの1回または複数回のさらなる通過のためにカラム内に戻され再注入される前に集中される。この手法で再利用される溶離液の部分は、好ましくは、カラムの外側または周辺半径方向領域から出る部分である。この理由は、その成分が、通常、それらが中心領域から出る部分にある場合よりもあまり良好に分離されていないためである。溶離液部分が実質的に試料を含まない(すなわち溶媒のみである)場合、例えば、溶媒のみのカーテン流部分がカラム内を流され、流出口において他の部分から分割される場合、さらなるクロマトグラフィにおいて溶媒のみの部分を移動相として再利用し、それによって、装置の全体的な移動相の消費を低減してもよい。
種々の実施形態においては、本発明はさらなるクロマトグラフィ装置の公知の構成要素を含んでもよい。例えば、本発明は、移動相をカラムの注入口に供給するための少なくとも1つの移動相リザーバをさらに含んでもよい。本発明は、移動相を少なくとも1つの移動相リザーバからカラム内に圧送するための少なくとも1つのポンプをさらに含んでもよい。例えば、移動相の2つ以上の別個の部分がマルチポートの注入口を通じて導入されるいくつかの実施形態では、2つ以上のポンプを使用してもよい(例えば、各部分に対して1つ)。しかしながら、単一ポンプを有するが、各ライン内の流れ制限の程度を個々に変化させるために、移動相を運ぶラインの圧力制限を有する機構などの流れ調整部を使用することによって、複数の移動相部分が注入口において導入される場合であっても単一ポンプを使用することが可能であってもよい。本発明は、カラム注入口の上流側において移動相に試料に注入するための、注入バルブなどの、少なくとも1つの試料注入器をさらに含んでもよい。本発明は、多数の出口ポートからの流れを所望のレベルにおいて平衡させるために1つまたは複数の圧力調整器または流量制限器をさらに含んでもよく、1つまたは複数の圧力調整器は、好ましくは、カラム流出口の下流側に配置される。装置は、好ましくは、制御およびデータ回収システムの制御下にある。このシステムは、例えば、コンピュータおよび制御用電子機器を含む。制御およびデータ回収システムは、好ましくは、移動相をカラム内に圧送するための1つまたは複数のポンプと、試料注入用の試料注入器と、出口ポートを通る流れを平衡させるための1つまたは複数の圧力調整器とを制御するためのものである(いずれの場合においても成分が存在する場合)。制御およびデータ回収システムは、好ましくは、処理手段の1つまたは複数の検出器からのデータを受信するための、および任意選択で、処理するためのものである。制御およびデータ回収システムは、また、必要に応じて、データの出力を、例えば、その処理ありまたは処理なしで提供してもよい。制御およびデータ回収システムは付加的に装置の他の構成要素を制御してもよい。
HPLCシステムの従来の構成を流れ図形態において概略的に示す。 単一試料成分を溶出する従来の充填されたクロマトグラフィカラムの軸方向断面側面図を概略的に示す。 4つの異なる試料成分を溶出する図2の図を示す。 流分配器の流入口および流出口における原理を示す、本発明による充填されたクロマトグラフィカラムの軸方向断面側面図を概略的に示す。 本発明によるフリットアセンブリの好適な実施形態の斜視図を示す。 矢印Aの方向から見た実施形態の下面図を示す。 線B−Bで切った実施形態の側部断面図を示す。 本発明によるフリットアセンブリの別の好適な実施形態の斜視図を示す。 同実施形態の下面図を示す。 本発明によるフリットアセンブリのさらなる実施形態をそれぞれ概略的に示す。 本発明によるフリットアセンブリのさらなる実施形態をそれぞれ概略的に示す。 本発明による、カラム流入口および流出口における毛管配置の実施形態を概略的に示す。 本発明による、カラム流入口および流出口における毛管配置の実施形態を概略的に示す。 分割セクションフリットおよび4ポート端部取付具を有する本発明の一実施形態を分解図で示す。 図6Aに類似するが単一部品フリットを有する実施形態を示す。 分割セクションフリットおよび4ポート端部取付具を有する本発明のさらなる実施形態を分解図で示す。 分割セクションフリットおよび7ポート端部取付具を有する本発明のまたさらなる実施形態を分解図で示す。 図8Aを組み立てた実施形態を切開図で示す。 組み立てられた形態および出口配管を取り付けた状態で示される、図7に示される実施形態の切開側面図を示す。 本発明による分析LCシステムの一実施形態を流れ図の形態で概略的に示す。 溶離液の一部の再利用を用いた本発明によるLCシステムのさらなる実施形態を流れ図の形態で概略的に示す。 本発明による1つの装置から本発明による別の装置に移動相を段階的に移すためのシステムを概略的に示す。 異なる条件の移動相区分化においてHPLCシステム内に到達した、3つの溶質、トルエン、プロピルベンゼンおよびブチルベンゼンからのピークの比較を示す。 異なる条件の移動相区分化におけるHPLCシステム内のプロピルベンゼンピークの溶出量によって比較した溶出プロファイルを示す。
本発明を、その範囲を限定することなくさらに理解するために、添付の図面を参照して種々の例示的な実施形態および実験についてここで説明する。
(図1に流れ図の形態で概略的に示される)HPLCシステムの従来の構成では、移動相溶媒2の1つまたは複数のボトルが、チューブを通じて、高圧または低圧で圧送するポンプを用いる溶媒送達システム6に送られるか、チューブを通じて重力の力によって送られる(低圧のみ)。溶媒送達システム6は、所望の移動相溶媒またはその混合物(本明細書中では単に溶媒と称する)を試料注入ポートまたはバルブ8を通じて送達する。そこで試料が溶媒流内に、その後、固定相またはベッドが充填されたまたはモノリシック固定相が提供されたクロマトグラフカラム15内に導入される。カラムは、通常、円形断面の円筒状カラムである。カラム15を通過する流れはヘッドまたは注入口フリット9によって、ならびにカラムベッド自体によってカラムベッドの断面の全幅にわたり半径方向に分散され、試料が移動相溶媒によってカラムの長さ全体に運ばれると、後のクロマトグラフ分離がそこで生じる。従来のHPLCカラムの出口または流出口においては、流出する移動相または溶離液は通常カラムの流出口端部に取り付けられた端部取付具により所定の位置に保持された第2のまたは流出口フリット11によって回収される。このため、流れの全断面がカラムの断面の中心に位置する小さな出口ポート40に送達される。つまり、壁の近傍の、カラムの外側半径方向領域の物質が、カラムの中心半径方向領域を通過した物質と共に単一中心出口ポート40を通過するように半径方向内側に押しやられる。試料の分離された成分は、その後、適切な連結チューブ内を、溶離液流のストリームによってクロマトグラフトレースを発生させる検出器16まで運ばれる。分析クロマトグラフィでは、分離された成分は検出後に廃液部18に送られるか検出時に破壊されるかのいずれかである。分取クロマトグラフィにおいては、溶離液流の一部が検出され、これがフローストリームからリザーバまたは画分回収デバイス19を使用して所望の成分を回収するための基準として使用される。システムは、制御およびデータ回収システム4、例えば、コンピュータおよび関連制御用電子機器の制御下にある。制御およびデータ回収システム4は、特に、溶媒送達システム6および注入器8を制御すると共に検出器16からのデータを制御および受信し、他の構成要素も制御する。制御およびデータ回収システム4は、また、出力用データを、例えば、クロマトグラムとして処理してもよい。
従来の充填されたクロマトグラフィカラム15の軸方向または長手方向の断面側面図を概略的に示す図2に示されるように、注入器から単一の中心入口ポート41を通じてカラムのヘッドに適用された試料成分は比較的薄い平らな帯10の形状においてそこに蓄積する。3次元では、帯10は、カラムケーシングまたは壁の内径によって境界を定められた薄い平らなディスクに類似する。カラムにおける分離中および試料の帯10がカラム内を移動相によって運ばれて下る際、20の帯によって示されるように、および上記の序文により詳細に説明したように、帯は形状を変え始める。簡潔には、カラムの中心または長手方向の軸線17上およびその周りに位置する帯の中心は壁により近い帯の外周部よりも速く移動し、25の帯によって明確に示されるように物質の帯を一種のボウルまたはカップ形状に引く。さらに、カラム壁近傍の試料は分散し(広がり)始めてより薄くなる。この現象は漸進的であり、流体がカラムの出口端部または流出口においてカラムを出る際に最も顕著となる。カラムの端部30において、物質の「ボウル」は、最小インピーダンスの側方流を有する薄いフリット層11を通過した後、中心軸線17上に位置する中心出口穴またはポート40を出始める。図2の右側に、中心ポート40を中央に備えたカラムの端部30の真向き図を示す。従来の配置の目的は、試料「帯」の全断面を中心ポート40に集め、それを可能な限り鋭いピークにおいて検出器に案内することである。
複数の成分が充填されたカラムに適用される場合、それらの、カラム内の移動相および固定相への異なる化学親和性により、それらがカラム内を互いに異なる速度で移動することとなる。これがLCカラム内における分離の基準である。図2に類似する図3は、カラム15の長さにわたり互いに部分的に溶解させた(すなわち分離させた)4つの異なる試料成分105、110、115、120を示す。図2Bに示される概略例では、カラムの中心、すなわち、中心軸線17上においてはピークが完全に分解されているが、カラム壁により近い外周部における広がりおよび希釈が、成分の重なりおよび分解されない原因となることを認識すべきである。幅全体からの液体がポートから押し出される状態でこの成分105、110、115、120のセットがクロマトグラフィカラム流出口の中心にある単一中心穴またはポート40を出るため、結果として得られるクロマトグラム135のピークは部分的または不完全な分解を示す。つまり、識別可能なピークはあるが、それらは各ピークの初めの部分および後の部分、例えば、ピーク間領域140においては互いに完全には分離されていない。
記載した従来の配置とは対照的に、本発明の好適な実施形態においては、カラムの注入口および任意選択で流出口は、図2および図3に示される従来の配置の単一出口ポート40とは対照的に、複数の入口ポートおよび複数の出口ポートを備えて構成される。以下により詳細に記載されるように、好適な実施形態では、従来のLC端部取付具と異なるように変更を加えた、カラムの注入口端部の端部または入口取付具(エンドキャップとも称される)と、カラムの流出口端部の端部または出口取付具(エンドキャップとも称される)とを使用してもよい。好適な変更態様では、注入口フリットおよび/または注入口端部取付具は、フリットおよび/または取付具が注入口に配置される場合、カラムの横(半径方向)断面の異なる箇所に配置される複数の流路を通じて移動相をカラムに導入するように設計されている。このようにして、複数の流路を通じて導入される移動相はカラムの異なる半径方向領域に到達する。好適な実施形態においては、より多くの試料を含む移動相の部分が半径方向中心領域などのカラムのより有利な領域に導入され、より少量の試料を含むか、試料を全く含まない移動相の別の部分が壁領域などのカラムのあまり有利でない領域に導入される。この注入口配置により、また、より集中された、より良好に分解された、より狭い成分帯を生成するためのカラムの直径全体にわたる流速の制御および試料濃度の制御が可能になる。さらに好適な変更態様では、流出口フリットおよび/または端部取付具は、フリットおよび/または取付具が流出口に配置される場合、カラムの横(半径方向)断面の異なる箇所に配置される複数の流路を通じてカラムから移動相を排出するように設計されている。このようにして、複数の流路を通じて排出された移動相はカラムの異なる領域、特に、カラムの異なる半径方向領域から出る。これにより、カラムの直径全体にわたる異なる流体成分の分離が可能になる。複数の流路からの流れを別個の部分として取り扱うことができると共に異なるように処理することができる。好適な実施形態においては、例えば、結果として得られるクロマトグラムの分解能または回収される画分の純度を向上させるために、中心半径方向領域などの、カラムのより有利な領域からの移動相は、あまり有利でない移動相とは別個に処理することができる。溶離液の部分をカラムの限られた半径方向領域に限定することによって、各部分は、カラム全体からの溶離液が一つに集められ1つのストリームとして検出される従来の場合と比較して分離効率の向上を示してもよい。
本発明の種々の例示的な実施形態がここで記載される。実施形態には3つの主な好適な態様がある。第1の主な好適な態様は、カラム断面の中心に来る移動相を、中心を取り囲む領域(すなわち外周部領域に)に来る移動相から分離するように変更を加えられるカラム注入口の区分化流取付具および/または注入口のフリットを使用し、それによって、カラムを通過する試料流を取り囲むカーテン流を生成するために区分化流注入を実施し、効率をさらに向上させるものである。第2の主な好適な態様は、流出口のフリットに、カラム断面の中心から来る移動相を、中心を取り囲む領域(すなわち外周部領域から)から来る移動相から分離および隔離するように変更を加えられるということである。したがって、溶離液の流れは、フリットによって、カラムの中心を移動した部分と、外周部領域を移動した部分とに分割される。第3の主な好適な態様は、したがって、中心流および外周部流が、通常、カラムの端部に嵌合される(例えば、ねじ止めされる)流分配器(例えば、スチール製端部取付具またはキャップ)内の異なる出口流路およびポート内に運ばれるものである。いくつかの実施形態では、例えば、フリットに面する流分配器の表面がフリットの表面の近傍にあり、好ましくは、フリットの表面に接触している場合、複数のポートを備えた流分配器が溶離液流の異なる部分への分割を独立して実施してもよいため、そのような溶離液を分割する分割フリットのない分配器を使用することが可能である。
図4は、図2および図3に類似するカラムの概略長手方向断面側面図を示す。図4は、例えば、HPLC用の充填されたカラムである、カラム15の注入口にある入口流分配器182の原理を概略的に示す。長手方向の断面側面図の左側にカラム注入口の真向き図(すなわち、カラムの端部における流分配器182の真向き図)が示される。入口流分配器は移動相をカラム内に送る、従来の配置の単一中心入口ポート41と同様に配置された中心入口ポート185を含む(すなわち、中心入口ポート185がカラムの中心軸線17上に位置する)。好ましくは、入口流分配器182の中心入口ポート185は、試料がより集中された、より好ましくは、試料の実質的に全てを含む移動相を送る。入口流分配器182は中心ポート185の周りに等しくかつ対称に間隔をおいて配置された6つの周辺入口ポート190をさらに含む。6つの周辺入口ポート190は、より少量の試料を含むか、好ましくは、試料を含まない(すなわち、試料がない溶媒のみである)移動相をカラムの内壁のより近傍の外周部領域に送る。この移動相の外周部における流れが中心試料流を環状に取り囲むカーテン流を提供する。試料の全てが中心ポートのみを通じて導入される場合、中心入口ポートに供給するフローラインは試料注入バルブを有している必要がある、すなわち、6つの周辺入口ポート190に供給するフローラインが試料注入バルブを有している必要はないことは理解されよう。
出口流分配器172がカラムの流出口15に設けられる。長手方向の断面側面図の右側にカラム流出口の真向き図(すなわち、カラムの端部における流分配器172の真向き図)が示される。流分配器は、従来の配置の単一中心ポート40と同様に配置される中心出口ポート175を含む。中心出口ポート175は、より集中されかつ分解された成分を含む、カラムの断面の中心半径方向領域(すなわち、カラムの中心軸線17上に位置する領域)から流れる溶離液を受け取りかつ送る。流分配器は、中心ポート175の周囲に等しくかつ対称に離間して配置された6つの周辺ポート180をさらに含む。6つの周辺ポート180は、より希釈された試料を含むか、試料を含まない、カラムの内壁のより近傍の、外周部領域内を流れる溶離液を受け取りかつ送る。
図3の従来の注入口配置によって生成されるボウル形状の部分的に分解された帯105、110、115、120とは対照的に、図4に示される本発明の注入口配置ではより平らな試料帯150、試料帯155および試料帯160が提供される。これら試料帯は、試料が注入口において中心の試料流にほとんどまたは完全に含まれる場合はカラム壁に全く接していなくてもよい。別個に導入される、周辺入口ポート190を通じて提供されるカーテン流により、カラムの周辺領域内の移動相の流速を中心領域内の移動相から独立して制御することが可能になり、中心領域内の流速によりぴったりと一致させることができるため、試料帯が平らになる。この目的のために流れの各々の部分を独立して圧送してもよい(例えば、別個のポンプによって圧送される)。代わりとして、流れの各々の部分を共通のポンプによって圧送してもよいが、それらの流速を制御するためにそれら自身の流れまたは圧力調整を有する。カーテン流は、また、中心領域内の試料が横断方向に、すなわち壁に向かって外側に移動または拡散する傾向を低下させるため、中心領域内の試料を集中させる。したがって、カラムの流出口に到達する試料帯150、試料帯155および試料帯160はより集中され、平らになり、狭くなり、より高いS/Nを有すると共に、より鋭くかつより良好に分解されたピークの検出につながる。移動相部分は同じ組成のものであっても異なる組成のものであってもよく、例えば、同じ溶媒であっても異なる溶媒であってもよい。半径方向周辺部分などの1つの部分は、さらには非溶媒であっても、少なくとも、分離される試料に対して低い溶解性を有する溶媒(例えば水)であってもよく、それによって、半径方向中心などの他の部分における試料の封じ込めをさらに促進する。
このカラム内を進む試料帯形状の向上は出口流分配器172によって最も効果的に使用することができる。試料の成分が最も集中しており、最も際立って分離された成分を有するため、カラムの中心を出る溶離液は最も望ましい物質を示す。したがって、出口流分配器172の中心ポート175の別個の使用により、この溶離液の最も望ましい部分が検出器および/またはフラクションコレクタ(図示せず)に選択的に案内されることが可能になる。6つの周辺ポート180からの溶離液は、一つに集められ、中心ポート175からの溶離液と共に処理されない溶離液の1つの部分を集合的に形成する。例えば、カーテン流がいくらかの試料を含み、中心ポート175からの溶離液が検出器を使用して検出される一実施形態において、周辺ポート180からのカーテン流溶離液は、その代わりに、もう1つの、別個の検出器を使用して検出されるか、別個に回収されるかのいずれかとしてもよく、もしくは、廃液部に送ることも、任意選択で、そのようなさらなるクロマトグラフ分離前に再集中された後、成分をより良好に分解するためのさらなるクロマトグラフ分離のためにそれを同じまたは別のカラムの注入口に送ることもできる。周辺溶離液は、通常、中心溶離液よりも望ましくない。なぜなら、それはより希釈され、かつあまり分解されないからである。周辺カーテン流溶離液が試料をわずかに含むか、試料を含まない場合、それは周辺出口ポート180から中心試料流とは別個に集められ、クロマトグラフィの後の回で移動相として再使用してもよく、これによって、移動相の消費が節減される。
カラムの流入口および流出口からの移動相の流れを分離する目的に適した流入口および流出口フリット11を設計するための種々の可能な手法がある。図5Aは、フリットアセンブリ220の1つの好適な実施形態の斜視図を示し、図5Bは、矢印Aの方向から見た実施形態の下面図を示す。図5Cは、線B−Bで切った側部断面図を示す。示される実施形態では、フリットアセンブリはフリットのセクション、すなわち、中心円形フリットディスク235および取り囲む同軸のフリットリング245から組み立てられる。それらは、両方とも、例えば、PEEKなどのポリマーで作製された同軸のリング240の形態の、中実の非多孔質の流れ障壁によって互いに分離された、鋼などのフリット材料として従来使用される多孔質材料で作製される。非多孔質の介在リング240は、2つのフリットセクション235と245との間における移動相の側方流を防止し、したがって、中心移動相流と周辺移動相流とを分離したままに維持する。例えば、非多孔質リング240の幅はフリットセクションの幅よりも狭く、溶離液流中の分離された成分に対する抵抗を低減する。ディスクおよびリング235、240、245は共に固定され、以下に記載されるように、同じくPEEKなどの中実の非多孔質材料で作製された、カラムの端部への取付具としての役割を果たす、環状の、異形の外側取付具250の内部に保持されている。前述の部品235、240、245、250は、したがって、それらが嵌合されてフリットキャップとしての役割を果たすアセンブリ220を形成するように組み立てられる。外側リング250は、フリットキャップの下側222がカラムの端部上に押し嵌められる(すなわち摩擦嵌合される)ようにカラムの端部上に嵌合する、延在する周辺縁端224を有する寸法および形状にされる。使用時、端部取付具がカラムの端部上にねじ止めされるとフリットキャップ225の上側はスチール製端部取付具に接触する(以下により詳細に記載される)。アセンブリ220のような本発明において使用するためのフリットアセンブリは、通常、示されるように押し嵌められてもカラム端部上にねじ止めされてもよいが、好ましくは、押し嵌めまたは摩擦嵌合によって適用される。図5Dおよび図5Eは、フリットディスク235’およびリング240’および245’が異なる相対面積のものであり、それによって、異なる相対横断面積の中心領域および周辺領域からの移動相流を部分に分割することを除けば、図5A、図5Bおよび図5Cに示されるものと類似のフリットアセンブリ構造の図を示す。例として、外側フリットセクション245(245’)の面積と中心フリットディスク235(235’)の面積の比率は様々であってもよく、例えば、90%:10%〜50%:50%であるが、通常、80%:20%〜50%:50%である。この範囲外の比率もまた可能である。例として、前述の比率は約70%:30%または75%:25%であってもよい。好ましくは、前記比は約2:1である。フリットセクションの面積の比は移動相流の分割部分の各々の容量の比率を変えるための手段であってもよい。いくつかの実施形態では、フリットセクション245(245’)と比較してより低い等の異なる密度を有する中心フリットディスク235(235’)を使用することが可能であってもよい。
図5Fおよび図5Gは、本発明において使用することができる、カラム注入口の移動相流を分配するため、またはカラム流出口の溶離液流を分割するためのさらなるフリット設計を示す。この設計においては、中心多孔質フリットディスク535が複数の多孔質フリットディスク550によって取り囲まれ、フリットディスク535およびフリットディスク550のそれぞれが非多孔質体540内に配置され、それによって、2つのフリットセクション535と550との間の移動相の側方流を防止する。図5Fおよび図5Gのものに類似する他の配置では、示される6つの周辺フリットディスク550よりも多数または少数を有することができる。中心フリットディスク535と周辺フリットディスク550の相対面積は変えてもよく、異なる相対面積の例が図5Fおよび図5Gに示される。
図5Hおよび図5Iに示されるような特定の他の実施形態においては、移動相流を別個の部分においてカラムの端部で流し出すための複数の入口(出口)毛管585、590をカラム流入口(流出口)580に提供してもよい。半径方向中心毛管585はカラムの中心領域への(またはそこからの)流れの第1の部分を流すために配置され、中心毛管585の周辺に配置された10個の毛管590は流れの第2の部分を案内するために提供される。したがって、第1の部分および第2の部分は別個の毛管内に流されるため、互いから分割される。好ましくは、そのような実施形態においては、図5Iに示されるように、毛管の端部にフリット592が提供される。毛管の総数は、例えば、5、6、7、8、9、10、11または12に、または13以上の数の毛管に変えてもよい。
図6は、例えば、内径4.6mmの標準的な分析HPLCスチール製カラム270において使用することができる本発明の一実施形態を分解図で示す。図6Aの実施形態では、分割フリットアセンブリ278、279と、注入口および/または流出口において使用することができる、対応するポート281、282(注入口端部取付具として使用される場合は入口ポートであり、流出口端部取付具として使用される場合は出口ポートである)を備えた複数の流れ流路を有する端部取付具280の形態の流分配器とを使用する。分割セクションフリット278(図5A〜Eの部品235、240および245に対応する)の部品(挿入図285)は、組み立てられ、カラム流出口に配置される。フリット部品285は、非多孔質中間PEEKリング260内に保持された中心フリットディスクセクション255を含み、リング260がさらには外側周辺リングフリットセクション265内に保持されている。フリット部品285上には、フローアダプタとしての役割を果たし、かつ分割フリット278内の各々の分離されたフローパスを後述のスチール製端部取付具280の各々のポート281、282と位置合わせするための役割を果たす取付具279、すなわち、PEEKから作製された外側キャップがある。取付具279は、カラムの端部268上に(摩擦嵌合によって)密に嵌合し、カラム端部において分割セクションフリット278のフリット部品285を密閉する主要本体271を含む。別の配置においては、摩擦嵌合の代わりに、取付具279をねじ式連結によってカラムの端部に取り付けることができる(すなわち、取付具279の主要本体271内部の雌ねじをカラムの端部268の雄ねじ上にねじ止めすることができる)。取付具279は半径方向中心孔272を有する。半径方向中心孔272は分割フリットの中心フリットセクション255と整列し、それによって、注入口の場合は移動相が孔272を通過してカラムの中心半径方向領域に(または流出口の場合はカラムの中心半径方向領域から)送られることを可能にする。移動相は中心フリットセクション255も通過する。取付具279は、また、中心孔272の周囲に配置され、かつアダプタの端面277の環状凹部内にある複数の、好ましくは、等しく間隔をおいて配置された周辺孔273(この場合5つの孔)を有する。孔273は円形とすることも、スリットとすることも、何らかの他の形状のものとすることもできることは理解されよう。周辺孔273はこの場合分割フリットの周辺フリットセクション265と半径方向に整列されている。それによって、孔273は、移動相がカラムの周辺半径方向領域への(または周辺半径方向領域からの)通過を可能にする。移動相は周辺フリットセクション265も通過する。以下に説明される理由のため、この手法において孔273を通過した周辺移動相は取付具279の端面277に孔273がある環状凹部に連通している。
スチール製端部取付具またはエンドキャップ280が手動で締められるか、必要であればツールの補助により締められるかのいずれかにより、カラム端部の外側の外部ねじ山275上にねじ止めされる。端部取付具280は、カラムに、(すなわち、周辺フリットセクション265および周辺孔273を通じて)カラムの周辺半径方向領域に入る(入口取付具の場合)、またはカラムから、(すなわち、周辺フリットセクション265および周辺孔273を通じて)カラムの周辺半径方向領域から出る(出口取付具の場合)移動相のための1つまたは複数のポート、この場合は3つのポート281と、カラムに、(すなわち、中心フリットセクション255および孔272を通じて)カラムの中心半径方向領域に入る、またはカラムの中心半径方向領域から(すなわち、中心フリットセクション255および孔272を通じて)カラムを出る移動相のための中心ポート282と、を提供する。
組み立てられると、締められた端部取付具280の下面(図示せず)は取付具279の端面に接触する。孔273を含む取付具279の端部内に描かれた環状周辺凹部は周辺ポート281と整列しかつそれと流体連通している。このため、周辺孔273を通る移動相の周辺流はそれによって端部取付具280内の周辺ポート281と連通している。凹部の環状の性質は周辺ポート281の、周辺孔273との回転整列が必要ないことを意味する。周辺ポート281を通過した移動相(または周辺ポート281から受け取った溶離液)は同じ周辺半径方向領域に送られる(または同じ周辺半径方向領域から溶離液として出る)ため、カラム内において移動相の1つの部分を形成し、カラムを出る溶離液の場合、好ましくは、溶離液の1つの部分として一つに集められかつ処理される。例えば、検出されるか、廃液部に案内されるか、さらなるクロマトグラフ分離のためにクロマトグラフィカラムの注入口に送られる。最も一般的には、周辺ポート281からの流れは互いに組み合わされ1つの部分として処理される。しかしながら、1つまたは複数の周辺ポートからの流れを別個に処理することができることは理解されよう。実際、各周辺ポートからの流れは別個に処理することができる。
その一方で、取付具279の中心孔272は端部取付具の中心ポート282と流体連通している。端部取付具の中心ポート282を通過した移動相(または端部取付具の中心ポート282から受け取った溶離液)は、したがって、カラムの中心半径方向領域に送られ(またはカラムの中心半径方向領域から溶離液として出て)、カラムの中心に移動相の1つの部分を形成し、カラムを出る溶離液の場合は周辺ポートからの溶離液とは別々に処理される。中心ポート282からの溶離液は、試料の成分が集中されかつより良好に分解された移動相の部分を含み、したがって、分析クロマトグラフィの場合は増加したS/Nおよび分解能により検出されてもよく分取クロマトグラフィの場合はより良好な歩留りおよびより純度の高い画分において回収されてもよい。以下に記載されるように、ポート281、282は配管のねじ式取付具を受け入れるための、内部にねじ切りされた表面(雌ねじ山)を有する。代わりとして、ポートを、雄ねじ山を有するように、例えば、雄ねじ山を出口配管のための取付具がねじ止めされる突出部に配置することが可能である。
図6Bの実施形態は大部分が図6Aに示されるものと同じであるが、分割セクションフリット278の代わりに取付具279内部に単一フリット部品278’を有するフリットアセンブリが使用される。取付具279はその中心孔272および周辺孔273それぞれによって流れを分割する。
図7は、カラム293の一例の分解図を示す。カラム293はその流入口および/または流出口に、外部にねじ切りされた端部部分293’を有し、その上に、この連結のために内部にねじ切りされた表面を有する端部取付具289がねじ止めされる。示されるようなフリット部品を有する(挿入された分解図を参照のこと)分割フリットアセンブリ290は、ねじ切りされた部分293’よりも小さな外径を有するカラム端部の部分299上に押し嵌められる。分割フリットアセンブリ290は端部取付具289がカラムの端部上にねじ止めされると配置されて維持される。この実施形態における分割フリットアセンブリ290は、流れ障壁として、非多孔質のPEEKリング296によって互いに分離される中心フリットディスク295と周辺フリットリング294とを含む。分割フリットセクションはカラムの端部299上に嵌めるための押し込み嵌めキャップとして機能する外部PEEKリング取付具297内に保持される。取付具297はPEEK取付具297の周縁を把持する環状の鋼帯298を備えたカラム端部にさらに固定される。図7の実施形態においては、取付具297は図6のフローアダプタとして機能する取付具279とは異なる。この例では、端部取付具289の下面はフリットアセンブリ290の非多孔質部品(すなわち部品296、297)に対して密封され、それによって、フリットセクション295およびフリットセクション294から流れる移動相の部分を流体的に分離したままにする。端部取付具289は、その中心に1つの中心ポート292と、それを取り囲む3つの周辺ポート291とを有するが、本発明では、任意の数の周辺ポート291、例えば、1つまたは複数の周辺ポート291が企図されることを理解すべきである。好適な例では、3〜10個の周辺ポート、特に、3個、4個、5個、6個、7個または8個の周辺出口ポートを有してもよい。3個および6個の周辺ポートを備えた端部取付具が良い例である。さらに、本発明では、任意の数の中心ポート、例えば、1つまたは複数の中心ポート(すなわち、中心半径方向領域から流れを送るポート)を企図する。好ましくは、しかしながら、示される実施形態のように1つの中心ポートがある。端部取付具の中心ポート292はカラムの中心領域内の半径方向にあり、中心フリットセクション295と半径方向に整列され、それによって、溶離液流の部分を中心フリットセクションに通過させる。3つの周辺出口ポート291はカラムの周辺領域内の半径方向にあり、周辺フリットリング294と半径方向に整列され、それによって、周辺フリットリング内を流れる溶離液の部分を送る。以下に記載されるように、ポート291、292は、配管のねじ式取付具を受け入れるための内部にねじ切りされた表面を有するが、同様に、代替的に外部のねじ切りを使用することもできる。
図8Aは、図7に示されるものに実質的に類似する別のフリットアセンブリ303および端部取付具305の分解図を示す。しかし、この例では、端部取付具305は1つの中心ポート301の周りに6つの周辺ポート302を有する。組み立てられたフリットアセンブリ303と端部取付具305は、内部における組み立てられた部品の関係を示すために切り開かれた図8Bに示される。
図9は、図7に示されるものと同様の4ポート端部取付具の切開側面図を示すが、取り付けられた配管と共にカラム293上に組み付けられた状態で示す。ポート291およびポート292が、フリットアセンブリ290と流体連通しているその内部表面からポート291、292があるその外部表面まで端部取付具289内を通る流路291’および流路292’の各々の端部にあることをこの図でより明確に見ることができる。
HPLC用の汎用の配管チューブ331が雄ねじ式取付具341によって中心出口ポート292に取り付けられている。同様に汎用の配管チューブ332がねじ式取付具341と同じタイプのねじ式取付具342によって周辺ポート291に取り付けられる。ねじ式取付具341とねじ式取付具342は、ポート292およびポート291の流路292’および流路291’にそれぞれねじ止めされる。この目的のために流路は内部(雌)ねじ山を担持し、それによって、配管チューブ331、332は圧縮嵌合される。他の設計においては、配管を端部取付具の雄ポートに嵌合される雌ねじ式取付具によってポートに取り付けることができることは理解されよう。端部取付具289の内部表面または下面がフリットアセンブリ290の端面に接触し、それによって、フリットを通過する移動相の中心部分および周辺部分の各々が端部取付具の中心流路292’および周辺流路291’のそれぞれも通過するように、端部取付具289はカラム310の端部にきつくねじ嵌合される。端部取付具289の下面はフリットアセンブリ290の非多孔質部品(すなわち部品296、297)に対して密封され、それによって、フリットセクション295およびフリットセクション294内を流れる移動相の部分を流体的に分離したままにする。
カラム流出口における区分化流を提供するために本発明の多くのさらなる実施形態を考案してもよいことは理解されよう。
カラムの異なる領域からの溶離液が別々に処理されるように、例えば、複数のポートを有する注入口端部取付具を提供することにより注入口において移動相を区分化することによって、および好ましくは、例えば、複数のポートを有する端部取付具を提供することにより溶離液流を区分化することによって既存の従来の充填されたクロマトグラフィカラムを使用して本発明を実施することができるという優れた利点を本発明が有することは前述の記載から認識できる。有利には、溶離液流の区分化はオンカラムで実施されるものであり、すなわちポストカラムで実施されない。したがって、本発明は、例えば、溶離液流の1つの部分が検出器に案内され、他の部分が廃液部に送られるか、再利用されるか、別の手法で処理される従来のHPLCシステムを使用して実施してもよい。
図10は、本発明による分析LCシステムの一実施形態の流れ図の形態で概略的に示す。システムは大部分が図1に示される従来のシステムに類似するため、同様の構成要素を示すために同様の参照符号が使用される。カラムの注入口における違いは、溶媒2がチューブを通じて、この例では、2つのポンプを用いる溶媒送達システム6に送られることである。入ってくる溶媒は、2つの別個の部分の形態においてシステム6に既に提供されていない場合は2つの部分に分割される。溶媒の第1の部分は第1のポンプに案内され、それによって圧送される。溶媒の第2の部分は、システム6内において第2のポンプに案内され、それによって圧送される。独立式ポンプにより部分の流速を独立して制御することが可能になる。溶媒はチューブ6a、6bおよび6cの形態のフローラインを通じてカラム15に圧送される。溶媒の第1の部分はライン6a内を圧送されて試料注入バルブ8を通る。ここで試料はその部分の溶媒流に導入される。試料が充填された溶媒の第1の部分はカラムの中心軸線上にある中心入口ポート440’を通じてカラム15内に供給される。試料を含まない溶媒の第2の部分はライン6bを通じて中心入口ポート440’を環状に取り囲む外側または周辺入口ポート442’によりカラム15内に供給される。注入口は、また、溶媒の第1の部分がフリットの中心セクション内を流れ、溶媒の第2の部分が中心セクションを環状に取り囲むフリットの周辺セクション内を流れるように、分割フリットアセンブリ9’を有する。示される実施形態の変形形態を提供することができることは理解されよう。例えば、ライン6bは試料注入バルブ8を有することもでき、それによって、所望であれば、所定量の試料を供給することができる。
別の違いはカラムの流出口にあり、そこには、上述のように流れ出る溶離液が少なくとも2つの部分に分割されるように、参照符号411で集合的に示される分割フリットアセンブリおよびマルチポート端部取付具が取り付けられる。カラムの断面の中心に位置する小さな中心出口ポート440によりカラムの中心領域から出る溶離液を検出器16に流す。向上した分離の程度を有する試料の分離された成分は、それによって、中心溶離液流のストリームによって向上したクロマトグラフトレースを発生させる検出器16に運ばれる。分析クロマトグラフィにおいては、分離された成分は検出後に廃液受器18に送られるか、検出時に破壊されてもよい。端部取付具411内の複数の小さな周辺出口ポート442はカラムの周辺領域から出る溶離液を廃液受器18に流す。しかしながら、他の実施形態において、周辺流にもある量の試料が充填されている場合、周辺出口ポート442を通じて周辺領域から出る溶離液はそれ自体が分析目的のために使用されてもよく、したがって、また、例えば、別個の検出器によって検出されてもよい。周辺溶離液は、また、従来のカラムよりも高いピーク分解能を有することによって従来のシステムよりも良好な分析値を有してもよい。少量の試料を有するか、試料を全く有しない周辺流を使用する好適な実施形態では、周辺出口ポート442を通じて周辺領域から出る溶離液を移動相として後のクロマトグラフィの運転において再利用してもよい。図10に示されるものと類似する向上した分解能のシステムを、図1の回収システムと同様に、中心ポート440からの試料が好ましくは少なくともその一部分の検出後に画分で回収される分取クロマトグラフィにおいて使用してもよいことは理解されよう。図10に示される改良されたシステムにおいては、カラムの中心領域を移動する最大量の集中した物質を維持するために、中心出口ポート440と周辺出口ポート442との間における移動相の圧力を制御およびまたは平衡させるための手段を連結させることが好ましい。したがって、この目的のために、流量または圧力調整器450を、周辺ポート442および/または中心ポート440からの出口ラインに、好ましくは、示されるように、周辺ポート442からの出口ラインに連結させてもよい。特に、溶媒送達システム6および注入ポートまたはバルブ8を制御し、かつ検出器16からのデータを制御および受信する制御およびデータ回収システム4は、例えば、検出器および/または流速センサからの信号フィードバックに応じて流量または圧力調整器450も制御する。フローライン内の抵抗を能動的に管理することによって中心流路または周辺流路を通過する大方の流体を駆動することが可能である。
本発明は、また、分取用途において別のLCシステムを使用可能にしてもよい。概略図11Aに示す一実施形態では、中心出口ポート440から集められた溶離液は検出器16を通じて画分回収デバイス455に送られる。しかしながら、周辺出口ポート442から集められた溶離液は、検出器を通じて送られるわけでも画分回収デバイス455に送られるわけでもなく、バルブ446を通じて、溶媒の再利用のために溶媒送達システム6に送られるか、再利用のために一次カラム15の試料注入バルブ8と連通している1つまたは複数のリザーバ445(任意の適切なリザーバ、例えば、トラップまたは追加のカラムであってもよい)内に貯蔵されるかのいずれかとすることができる。適切な時に、したがって、一次カラム15は再度充填されてもよく、ここでは前回の運転からの、周辺に溶出した物質(試料がその中に収容されている場合)と共にリザーバ445内に回収され、試料注入バルブ8を通じて溶媒ストリーム内に注入される。中心において溶出する溶離液が再度検出され、画分回収デバイス455内に回収される。中心出口ポート440から毎回別個に物質を収集および回収することによる利用可能な最高レベルのクロマトグラフィ下において、原試料中の全物質の十分に高い、所望の割合が精製され、かつ分画されるまでクロマトグラフ処理のさらなるサイクルを使用してもよい。
図11Bは、移動相を本発明による1つの装置から本発明による別の装置等に矢印によって示される方向に段階的に移すためのシステム概略的に示す。示される実施形態では、それぞれがそれら注入口に自身の新規に供給された移動相606を有する3つのLCカラム615が直列で連結されている。他の実施形態では、LCカラムの数は3つより多くても少なくてもよいことは理解されよう。各カラム615はその流入口および流出口に、カラムに入るおよびカラムを出る移動相液の流れを2つの部分、つまり中心流部分600と周辺流部分602とに分割するための流分配器を有する。示される実施形態では、中心流部分600は各カラムの流出口において画分で検出および/または回収される。その一方で、最後のカラムが、その周辺流部分602を廃液部に送るか、それを連続して第1のカラムに戻して再利用するか、それを別の場所に送るかのいずれかとすることができることを除けば、周辺流部分602は下流側にある次のカラムの注入口に供給される。
本発明をさらなる実施例によってさらに説明するために種々の実験および結果の詳細を以下に記載する。
12μmのペンタフルオロフェニルシリカ固定相粒子を充填した100×21mmスチール製カラムにおいて実験を実施した。異なるカラムハードウェア構成を試験する全ての実験を同じカラムにおいてヘッド取付具を適宜交換して実施した。実施した実験では以下を使用した。(1)従来のカラム(単一入口ポートおよび単一流出口ポート)、(2)区分化流出口取付具(4ポート:1つの中心ポートおよび3つの周辺ポート)を備えた従来のカラム注入口取付具(単一入口ポート)および(3)区分化流出口取付具(4ポート:1つの中心ポートおよび3つの周辺ポート)を備えたカーテン流カラム注入口取付具(4ポート:1つの中心ポートおよび3つの周辺ポート)。これら3つの動作モードの性能を試験するために、30/70水/メタノール移動相(250μL)中におけるトルエン、プロピルベンゼンおよびブチルベンゼンの注入を使用した。この結果を以下に記載する。
従来のカラムを通過するプラグ流の放物線的性質の図は図2に示すと共に上記した。ここに記載される実験(2)および実験(3)では、流出口端部取付具は、カラム壁近傍の流れの領域から、充填されたベッドの中心セクション内の流れの領域を分離するように設計された。注入口端部取付具は、移動相の別個の流れをそれぞれカラム壁近傍の領域と充填されたベッドの中心セクション内の領域とに導入するように設計された。実験用のこれらの取付具の設計を図7および図9に示す。この端部取付具により、壁領域からの溶離液流はUV検出器を通じて廃液部に送られる一方で、中心領域は別個のUV検出器を使用して従来の手法で独立して分析された。
図12は、各動作モード(1)、(2)および(3)について得られた3つの成分の混合物のクロマトグラフ分離を示す。溶離順序は、トルエン、プロピルベンゼン、その後、ブチルベンゼンであった。従来のクロマトグラフィモード(1)を破線で示し、区分化された出口流モード(2)を点線で示し、カーテン流モード(3)を実線で示す。区分化された出口流の分離比率は、溶出する移動相の54%が周辺ポートを通じて廃液部に、中心ポートを通過する残りが検出されるか回収されるというものであった。カーテン流量比は1:3.5(中心区域:カーテン区域)であった。カラム注入口における全総流量は18mL/分であった。これら分離において最も重要なことは、実験(3)のカーテン流注入において155%の感度向上が認められたことであり、これについては、通常動作モード(1)と比較したものを、以下、表1に詳述する。
Figure 0006002212
この感度の向上は二重効果(two−fold effect)の結果によるものと考えられる。
(i)カーテン流モード(3)においては全試料が中心入口ポートを通じてカラム中心区域に直接充填され、その後、試料(その100%)を区分化された出口取付具の中心ポートを通じて溶出させたが、検出限界において周辺出口ポートを通じて廃液ストリーム内に溶出した試料成分は認められなかった。したがって、試料は通常動作モード(1)と同じ質量負荷であるが以下にさらに詳述するようにかなり小さな溶出量で溶出した。
(ii)溶媒の46%のみが検出器を通じて送られたため、検出器を通過する流れの量は低下した。つまり、通常動作モード(1)における18mL/分と比較すると動作モード(3)では検出器を通過する流量は8.3mL/分であった。したがって、検出器滞留時間の増加が感度の向上をもたらした。
また、区分化された流出口システム(2)が通常動作モード(1)およびカーテン流動作モード(3)の両方よりもかなり狭いクロマトグラフ形状をもたらしたことは図12において明らかである。プレートカウント(N)および効率を示す他の利点の数値も表1に含まれる。通常動作モードと比較して、区分化された動作モードでは16%の効率の増加があったが、カーテン流動作モードにおいては分離効率の変化はなかった。しかしながら、さらに記載されるように(後の文章を参照のこと)、Nのこれら測定法は使用した特定の設計における最良な測定法ではないことに留意されたい。しかしながら、通常動作モード(1)においてはわずかなテーリングが観察されたのに対してカーテン流モード(3)における分離では完全に対称なピークを生じた。また、表1のデータにおいて注目すべき点は、区分化された流出口動作モード(2)を使用し、周辺ポートを通じて廃液ストリームに溶出する試料は、通常動作モードよりも約12.5%効率的であったことである。
プレートカウントNの測定には、無勾配条件、定常状態条件を必要とする。異なる動作モード間における性能の比較を制限する、記載した実験の重要な側面の1つは、検出器を通過する流量が通常動作モードと検出器を通過する区分化された出口流を含む任意の他の動作モードとの間において異なることである。通常動作モード(1)、区分化された流出口動作モード(2)、または区分化された流出口を備えたカーテン流動作モード(3)の全ての動作モードにおいて、ベッドを通過する体積流量は一定のままであったが、区分化された動作モードでは、カラム流出口において分割するフローストリームで溶媒のわずか46%が検出器を通過する結果となった。したがって、モード(2)およびモード(3)の見掛けピーク幅は基本的には通常動作モード(1)の2倍広くなった。これは理論段数の見掛けの測定値を人為的に低下させるものである。したがって、区分化された動作モードにおいて分離性能をより良好に反映するものは、試料の回収容量中に溶出する溶質の量(すなわち溶質の濃度)を測定することにより得ることができる。したがって、これを測定するためにさらなる調査を実施した。調査では試料帯をその溶出量全体において5秒間隔で分画した。その後、溶出した溶質の量を求めるために各画分を分析した。その後、回収された溶質の量をカラムからの溶出量の関数としてプロットした。この結果を図13に示す。従来のモード(1)からはトレースAが得られ、中心ポートから溶出する試料を使用する区分化流モード(2)からはトレースBが得られ、壁領域(周辺ポート)から溶出する試料を使用する区分化流モード(2)からはトレースCが得られ、カーテン流モード(3)からはトレースDが得られた。
図13は、この分画の調査のために、通常動作モード(1)と、区分化流動作モード(2)およびカーテン流注入モード(3)のそれぞれとの間の(プロピルベンゼン帯の溶離について測定した)分離性能の比較を示す。区分化流動作モードおよびカーテン流のそれぞれについて、これら分離は高度なレベルの分離性能を明確に示す。区分化流動作モード(2)における、中心流ストリームから回収された試料の試料回収量(トレースB)は約4mLであり、壁領域から回収された試料の試料回収量は7mLであった(トレースC)。区分化された出口流を有するカーテン流注入(トレースD)の試料回収量は約5.5mLであった。従来の動作モードでは、試料回収量は11mLであった。したがって、少なくともピーク容量に関して、試料成分抽出の最も効率的なモードは、試料が中心流出口セクションを通じて回収される区分化流動作モードである。しかしながら、この動作モードでは、試料がその後約7mLの溶媒に含まれるとはいえ試料の約50%が廃液ストリームに送られた。カーテン流動作モードにおいては、試料の100%が中心流ストリームを通じて溶出するため、この動作モードが最も効率的な抽出プロセスをもたらした。この動作モードは少なくとも試料回収濃度(したがって検出感度)に関して従来の動作モードよりも100%効率的であることはもとより、ピーク容量に関して分離効率の向上を示した。カーテン流領域を有するカラムの壁領域からは溶出する試料が認められないため、溶媒の再利用に関するさらなる経済的効率性を得ることができた。したがって、この溶媒は、記載した動作モードにおいては溶媒消費全体の54%を占めるとされるエネルギ所要量なしで再利用することができる。本発明は、液体クロマトグラフィカラムからの試料の検出の強化および分析性能の向上という形態の顕著な向上を提供することができることは理解されよう。種々の実施形態では、本発明は、クロマトグラフ分析内における検出感度の向上および/またはピーク容量とピーク分解能の向上により、例えば、化学種の検出の下限のクロマトグラフィを可能にできる。特定のカラム長さのピーク分解能を向上させる代わりに、本発明では、類似する従来のシステムに匹敵する特定のピーク分解能を得るためにより短いカラムの使用を可能にしてもよいことは理解されよう。カラムが短いほどより迅速なクロマトグラフ分離の実施を可能にする。一層の利点は、例えば、検出において溶離液の部分のみ使用することは、検出器内に導入される溶媒充填量が減少することを意味しうるものであり、質量分析器などの特定の検出器および真空環境において操作する他の検出器には非常に有利となりうるということである。したがって、本発明はMS検出における従来サイズのカラムの使用をより可能にしてもよい。分取クロマトグラフィに関しては、本発明は、分離効率の向上により試料のより高い歩留りおよびより純度の高い画分の回収を可能にしてもよい。なお一層の利点は、例えば、流出口において分離される少量の試料を有するか試料を全く有しない移動相の部分を、再度、後のクロマトグラフィにおいて使用してもよく、それによって、移動相溶媒の消費が節減されることである。本発明は、フリット材料およびスチール製端部取付具などの安価な材料から便利に実施することができると共に、簡単な手法で、例えば、単一ポートの代わりにマルチポートを備えた端部取付具の形態で作製することができる。
特許請求の範囲を含む本明細書では、文脈で明記しない限り、本明細書中における用語の単数形は複数形を含むものと解釈されるものとし、逆もまた同様である。例えば、文脈で明記しない限り、「a」または「an」などの単数指示は「1つまたは複数」を意味する。
本明細書の記載および特許請求の範囲全体における、「含む(comprise)」、「含む(including)」、「有する(having)」および「含む(contain)」という語、ならびにこれら語の変化形、例えば、「含む(comprising)」および「含む(comprises)」等は「含むが、限定しない(includingbutnotlimitedto)」を意味するものであり、他の構成要素を排除することを意図するものではないない(および排除するものではない)。
前述の本発明の実施形態の変形形態を本発明の範囲内から逸脱せずに実施することができることは理解されよう。特に明記しない限り、本明細書に開示される各特徴の代わりに、同様、同等または類似の目的を果たす別の特徴を使用してもよい。したがって、特に明記しない限り、開示される各特徴は同等または類似の特徴の一般的羅列の一例にすぎない。
本明細書中に提供されるいずれの実施例または例示的な用語(「例えば(for instance)」、「などの(such as)」、「例えば(for example)」、「例えば(e.g.)」および同様の用語)の使用も、本発明を単により良好に示すことを目的とし、特に請求しない限り本発明の範囲を限定することを示すものではない。明細書内のいずれの用語も、本発明の実施に必須の任意の請求されない要素を示すものと解釈されるべきではない。
この明細書に記載される任意の工程は、特に明記しない限り、または文脈上他の意味に解すべき場合を除き、任意の順序で、または同時に実施してもよい。
本明細書に開示される全ての特徴はそのような特徴および/または工程の少なくともいくつかが相互排他的である組み合わせを除き任意の組み合わせで組み合わせてもよい。特に、本発明の好適な特徴は本発明の全ての態様に適用可能であり、かつ任意の組み合わせにおいて使用してもよい。同様に、必須ではない組み合わせにおいて説明した特徴を別個に(組み合わせずに)使用してもよい。

Claims (25)

  1. カラムクロマトグラフィ用の装置であって、
    円筒状のクロマトグラフィカラムを備え、前記カラムが注入口と流出口とを有し、
    前記注入口が、試料を担持する前記カラム内に移動相の流れを導入するように構成されており、それにより、前記試料が前記移動相により運ばれて前記カラム内を前記注入口から前記流出口まで長手方向に進む際に前記試料が成分に分離し、
    前記注入口が、前記移動相を区分化するため流れ障壁によって分離された少なくとも2つの別個のフリットセクションを有するフリットを含み、前記流れ障壁が前記少なくとも2つの別個のフリットセクション間での移動相の横方向流れを妨げる非多孔質体の形態であることにより、移動相の前記流れを独立して制御可能な少なくとも2つの別個の部分で前記カラム内に導入し、かつ前記部分が前記カラム内を異なる半径方向領域において長手方向に流れるように、前記部分を前記カラムの異なる半径方向領域内に導入する、装置。
  2. 各部分の試料濃度または各部分の流速もしくは両方が独立して制御可能である、請求項1に記載の装置。
  3. 分離される前記試料が、前記部分の1つに、他の部分よりも高い濃度で含まれる、請求項1または2に記載の装置。
  4. 移動相の第1の部分が、前記カラムの中心半径方向領域内に導入され、
    移動相の第2の部分が、前記中心半径方向領域の半径方向外側に位置しかつ前記中心半径方向領域を環状に取り囲む周辺半径方向領域内に導入され、
    前記カラムの前記中心半径方向領域が、前記カラム内を前記注入口から前記流出口までを貫通する中心軸線上に実質的に位置する領域である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
  5. 分離される前記試料が、移動相の前記第1の部分に実質的に含まれる、請求項4に記載の装置。
  6. 前記カラムが前記注入口に入口流分配器を有し、前記入口流分配器内の別個の流路において前記移動相の前記少なくとも2つの別個の部分を運ぶ、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
  7. 前記入口流分配器が、
    少なくとも1つの流路の第1のセットであって、使用時、前記第1のセットが前記カラムの第1の半径方向領域内にあり、移動相の第1の部分を前記カラムの第1の半径方向領域に運ぶように配置された少なくとも1つの流路の第1のセットと、
    少なくとも1つの流路の第2のセットであって、使用時、前記第2のセットが前記カラムの第2の半径方向領域内にあり、移動相の第2の部分を前記カラムの第2の半径方向領域に運ぶように配置された少なくとも1つの流路の第2のセットと、
    を含み、
    前記第1のセットがある前記カラムの前記第1の半径方向領域が中心半径方向領域であり、前記第2のセットがある前記カラムの前記第2の半径方向領域が前記中心半径方向領域の半径方向外側に位置する周辺半径方向領域である、請求項に記載の装置。
  8. 前記入口流分配器が、使用時、前記フリットの非多孔質の前記流れ障壁に接触しているため、前記フリットの非多孔質の前記流れ障壁が前記フリットと前記流分配器との間にシールを提供し、それによって移動相流の隣接する部分を互いに密封する、請求項又はに記載の装置。
  9. 前記移動相が単一部分として処理される溶離液の流れとして前記カラムを出て、
    溶離液の前記流れが単一出口ポートを通じて前記カラムを出る、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
  10. 前記移動相が溶離液の流れとして前記カラムを出て、前記流出口が、前記溶離液の流れを、前記溶離液の流れが前記流出口から前記カラムを出る際に少なくとも2つの別個の溶離液部分に分割するように構成されており、
    前記装置が前記溶離液部分を別個に処理するように構成されており、
    溶離液の前記少なくとも2つの別個の部分が前記カラムの異なる半径方向領域から出る、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
  11. 移動相の前記別個の部分が前記注入口によって導入されると、溶離液の前記少なくとも2つの別個の部分が前記カラムの実質的に同じ半径方向領域から出る、請求項10に記載の装置。
  12. 前記流出口に、溶離液の前記流れを前記少なくとも2つの別個の部分に分割するように構成されたフリットアセンブリが設けられ、
    前記フリットアセンブリが、流れ障壁によって分離された少なくとも2つの別個のフリットセクションを含む、請求項10又は11に記載の装置。
  13. 前記フリットが、少なくとも1つの半径方向中心フリットセクションと、前記少なくとも1つの中心フリットセクションを取り囲む流れ障壁と、前記少なくとも1つの中心フリットセクションを取り囲み、前記少なくとも1つの中心フリットセクションから前記流れ障壁によって分離された少なくとも1つの半径方向外側フリットセクションと、を含む、請求項12に記載の装置。
  14. 前記カラムが前記流出口に出口流分配器を有し、前記出口流分配器内の別個の流路内において前記溶離液流の前記少なくとも2つの別個の部分を運ぶ、請求項1013のいずれか一項に記載の装置。
  15. 前記溶離液の少なくとも1つの部分を、1つまたは複数の他の部分とは別個に検出するように配置された検出器を含む、請求項1014のいずれか一項に記載の装置。
  16. 前記カラムが、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)、多次元または二次元高速液体クロマトグラフィ(MDHPLCまたは2DHPLC)、フラッシュカラムクロマトグラフィ、高速タンパク質液体クロマトグラフィ(FPLC)および超臨界流体(SCF)クロマトグラフィから選択される分析クロマトグラフィ用のカラムである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
  17. 円筒状のクロマトグラフィカラムの注入口に独立して制御可能な移動相の少なくとも2つの別個の部分を提供するステップであって、前記移動相の少なくとも2つの別個の部分の少なくとも1つが成分に分離される試料を含む、ステップと、
    前記移動相の少なくとも2つの別個の部分を前記カラムの異なる半径方向領域内に導入するステップと、
    前記試料を成分に分離するために、移動相の前記部分を、前記カラム内を前記異なる半径方向領域において前記カラムの前記注入口から前記カラムの流出口まで長手方向に流すステップと、
    を含前記注入口が、流れ障壁によって分離された少なくとも2つの別個のフリットセクションを有するフリットを含み、前記流れ障壁が前記少なくとも2つの別個のフリットセクション間での移動相の横方向流れを妨げる非多孔質体の形態である、カラムクロマトグラフィの方法。
  18. 移動相の第1の部分を前記カラムの中心半径方向領域内に、および移動相の第2の部分を、前記中心半径方向領域の半径方向外側に位置しかつ前記中心半径方向領域を環状に取り囲む周辺半径方向領域内に導入するステップを含み、
    分離される前記試料が、移動相の前記第1の部分に実質的に含まれる、請求項17に記載の方法。
  19. 溶離液の前記流れが単一出口ポートを通じて前記カラムを出る、請求項17に記載の方法。
  20. 前記移動相が溶離液の流れとして前記カラムを出て、前記流出口が、前記溶離液の流れを、前記溶離液の流れが前記流出口から前記カラムを出る際に少なくとも2つの別個の溶離液部分に分割するように構成されており、
    装置が前記溶離液部分を別個に処理するように構成されており、
    溶離液の前記少なくとも2つの別個の部分が前記カラムの異なる半径方向領域から出る、請求項17または18に記載の方法。
  21. 移動相の前記別個の部分が前記注入口によって導入されると、溶離液の前記少なくとも2つの別個の部分が前記カラムの実質的に同じ半径方向領域から出る、請求項20に記載の方法。
  22. 溶離液の第1の部分が、前記カラムの中心半径方向領域から出て、溶離液の第2の部分が、前記中心半径方向領域の半径方向外側に位置する周辺半径方向領域から出る、請求項20または21に記載の方法。
  23. 前記流出口に、溶離液の前記流れを前記少なくとも2つの別個の部分に分割するように構成されたフリットアセンブリが設けられる、請求項2022のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記フリットアセンブリが、流れ障壁によって分離された少なくとも2つの別個のフリットセクションを含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記フリットが、少なくとも1つの半径方向中心フリットセクションと、前記少なくとも1つの中心フリットセクションを取り囲む流れ障壁と、前記少なくとも1つの中心フリットセクションを取り囲み、前記少なくとも1つの中心フリットセクションから前記流れ障壁によって分離された少なくとも1つの半径方向外側フリットセクションと、を含む、請求項24に記載の方法。
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