以下に、本願の開示する会計データ生成装置、方法、プログラム、システム、サーバ装置、及び記録媒体の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、業務システムによって行われた取引に関するデータを業務データとし、その業務データを仕訳した仕訳データを会計データとして生成する場合の例について説明する。しかしながら、本願の開示する会計データ生成装置、方法、プログラム、システム、サーバ装置、及び記録媒体の実施例は、以下で説明するものに限られるわけではなく、仕訳データ以外の各種会計データを生成する場合にも同様に適用することが可能である。
最初に、本実施例に係る会計データ生成装置の概要について説明する。図1は、本実施例に係る会計データ生成装置の概要を示す図である。図1に示すように、本実施例に係る会計データ生成装置は、業務システムに入力された取引に関するデータを業務データとして取得し、その業務データを仕訳した仕訳データを会計データとして生成する。
具体的には、本実施例では、会計データ生成装置が有する会計データ生成部が、業務システムのデータから作成された業務データを取得する。そして、会計データ生成部は、複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成するための定義情報を業務データの種類ごとに記憶した定義情報記憶部から、取得した業務データの種類に対応する定義情報を読み出す。そして、会計データ生成部は、読み出した定義情報にしたがって、業務データから複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成する。
また、本実施例では、会計データ生成部は、業務データに対してそれぞれ異なる処理を行う複数のモジュール化されたデータ処理部を有する。具体的には、会計データ生成部は、データ処理部として、フィルタ処理部、分岐フィルタ処理部、集約処理部、配賦処理部、マッピング処理部、及び仕訳処理部を有する。なお、マッピング処理部は、コード変換処理部、補完処理部などを有する。そして、定義情報記憶部は、複数の会計データを生成するための複数の処理部の組み合わせ及び実行順序を定義した情報を定義情報として記憶する。
一般的に、通常の企業であれば、会社法の規定により複式簿記の原則で作成された貸借対照表の公表が義務付けられている。そのため、財務会計システムは、財務会計で必要となる財務諸表や貸借対象表、損益計算書といった会計帳票を作成するための機能を有する。ここで、複式簿記とは、取引の二面性に着目して行われる簿記の手法であり、仕訳科目(勘定科目ともいう)を用いて、全ての簿記的取引を借方と貸方の双方に記録する手法である。なお、各取引をどの勘定に記録するか、借方と貸方のどちらへ記録するか、金額をいくらで記録するかを決定することは仕訳と呼ばれる。
そして、例えば、典型的な財務会計業務であれば、人手により伝票上で取引データの仕訳作業が行われた後に、仕訳データが財務会計システムに入力されていた。このことから、従来、仕訳作業の効率化、正確性、迅速性を担保するために、業務システムによって行われた取引に関する取引データを入力し、入力された取引データをもとに自動的に仕訳処理を行う、いわゆる自動仕訳の機能を有する財務会計システムが数多く存在する。例えば、あらかじめ登録された仕訳パターンに基づいて、入力された取引データを自動仕訳する財務会計システムがある。
しかしながら、このような財務会計システムでは、仕訳パターンに基づいて自動仕訳が行われるため、同一の取引データから複数の会計基準に沿った仕訳データを容易に生成することができない場合があった。図2は、従来の財務会計システムにおける課題を説明するための図である。図2に示すように、例えば、従来の財務会計システムでは、基幹システムから取引データが入力され、仕訳パターンに基づいて仕訳処理を行う仕訳生成エンジンを用いて自動仕訳が行われる。
ここで、会計基準(仕訳基準)が異なる場合には、会計基準ごとに仕訳パターンが異なるため、同一の基幹システムから入力される取引データであっても同時に自動仕訳処理を行うことができない。そのため、従来は、仕訳パターンごとに取引データを用意して、それぞれの取引データを自動仕訳エンジンに入力することが行われていた。例えば、同一の取引データから日本基準に沿った仕訳データとIFRS基準に沿った仕訳データとをそれぞれ生成するためには、それぞれの仕訳パターンが用いられるため、日本基準用の取引データとIFRS基準用の取引データとをそれぞれ用意しておき、各取引データを別々に財務会計システムに入力することが行われていた。このように、従来の財務会計システムでは、会計基準ごとに取引データを用意することが行われるため、同一の取引データから複数の会計基準に沿った仕訳データを容易に生成することができない場合があった。
これに対し、本実施例に係る会計データ生成装置では、前述した構成によって、同一の業務データから複数の会計基準に沿った複数の会計データが生成される。したがって、本実施例に係る会計データ装置によれば、上述した従来の財務会計システムと比べて、複数の会計基準に沿った会計データを容易に生成することができる。また、本実施例に係る会計データ生成装置では、複数の会計データを生成するための複数のデータ処理部の組み合わせ及び実行順序を定義した定義情報にしたがって、会計データが生成される。このため、一部のデータ処理部を変更したり、データ処理部の組み合わせや実行順序を変えたりすることによって、会計データの生成方法を容易に変更することができる。したがって、本実施例に係る会計データ装置によれば、例えば、会計基準の内容が変更された場合でも、その変更に容易に対応することができる。
以下では、上述した会計データ生成装置について詳細に説明する。図3は、本実施例に係る会計データ生成装置10の構成を示す図である。図3に示すように、会計データ生成装置10は、仕訳フロー定義記憶部11と、配賦定義記憶部12と、補完項目定義記憶部13と、コード変換定義憶部14と、仕訳定義記憶部15と、仕訳データ記憶部16と、業務データ入力受付部17と、会計データ生成部18とを有する。
仕訳フロー定義記憶部11は、業務システムのデータから作成される業務データの種類ごとに、複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成するための定義情報を記憶する。例えば、仕訳フロー定義記憶部11は、複数の会計データを生成するための複数のデータ処理部の組み合わせ及び実行順序を定義した情報を定義情報として記憶する。なお、本実施例では、仕訳フロー定義記憶部11に記憶される情報を「仕訳フロー定義」と呼ぶ。また、ここでいう複数の会計データを生成するための複数のデータ処理部は、それぞれモジュール化されており、後述する会計データ生成部18に含まれる。
配賦定義記憶部12は、業務データのレコードを複数レコードに分解するための定義情報を記憶する。この配賦定義記憶部12に記憶された定義情報は、後述する配賦処理部18eによって用いられる。例えば、配賦定義記憶部12は、『「伝票区分」が”保険料”のレコードは、年間の12ヶ月分のレコードに均等に配賦する』旨の定義情報や、『「伝票区分」が”売上”で「部門名」が”東京営業本部”のレコードは、金額を1:2:3の割合で、東京第1営業部、東京第2営業部、東京第3営業部に配賦する』旨の定義情報などを記憶する。
補完項目定義記憶部13は、業務データにデータ項目を補完するための定義情報を記憶する。この補完項目定義記憶部13に記憶された定義情報は、後述する補完処理部18hによって用いられる。図4及び5は、本実施例に係る補完項目定義記憶部13により記憶される定義情報の例を示す図である。例えば、補完項目定義記憶部13は、仕訳科目をデータ項目として補完するための定義情報を記憶する。
ここで、補完項目定義記憶部13は、貸方科目及び借方科目をそれぞれ仕訳科目として記憶する。例えば、補完項目定義記憶部13は、図4に示すように、「伝票区分」と「貸方科目」と「借方科目」とを対応付けた情報を定義情報として記憶する。図4に示す定義情報は、『業務データに含まれる「伝票区分」に応じて、業務データに仕訳科目を補完する』ことを定義している。
具体的には、図4に示す定義情報は、『「伝票」が”売上伝票”の場合は、「貸方科目」を”売掛金”とし、「借方科目」を”売上”とする』ことを定義している。また、図4に示す定義情報は、『「伝票」が”入金伝票”の場合は、「貸方科目」を”仮払い金”とし、「借方科目」を”支払い”とし、「伝票」が”小切手”の場合は、「貸方科目」を”損失”とし、「借方科目」を”借入”とする』ことを定義している。
また、例えば、補完項目定義記憶部13は、複数の会計基準それぞれを識別する仕訳区分をデータ項目として業務データに補完するための定義情報を記憶する。例えば、補完項目定義記憶部13は、図5に示すように、「伝票日付」と「仕訳区分」とを対応付けた情報を定義情報として記憶する。図5に示す定義情報は、『業務データに含まれる「伝票日付」に応じて、業務データに仕訳区分を補完する』ことを定義している。
具体的には、図5に示す定義情報は、『「伝票日付」が”出荷日”の場合は「仕訳区分」を”日本基準”とし、「伝票日付」が”検収日”の場合は「仕訳区分」を”IFRS基準”とする』ことを定義している。
コード変換定義記憶部14は、業務データに含まれるコードのコード値を他のコードのコード値に変換するための定義情報を記憶する。このコード変換定義記憶部14に記憶された定義情報は、後述するコード変換処理部18iによって用いられる。
図6は、本実施例に係るコード変換定義記憶部14に記憶される定義情報の例を示す図である。例えば、コード変換定義記憶部14は、図6に示すように、「業務コード」と「会計コード」とを対応付けた情報を定義情報として記憶する。図6に示す定義情報は、『業務データに含まれるコード値を業務コードのコード値から会計コードのコード値に変換する』ことを定義している。
仕訳定義記憶部15は、複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成するための定義情報を記憶する。なお、本実施例では、仕訳定義記憶部15は、複数の会計基準それぞれに基づいて業務データを仕訳した複数の仕訳データを会計データとして生成するための定義情報を記憶する。この仕訳定義記憶部15は、後述する仕訳処理部18kによって用いられる。
図7は、本実施例に係る仕訳定義記憶部15に記憶される定義情報の例を示す図である。例えば、仕訳定義記憶部15は、図7に示すように、「仕訳区分」と「伝票区分」と「貸方科目」と「借方科目」とを対応付けた情報を定義情報として記憶する。図7に示す定義情報は、『業務データに含まれる「仕訳区分」及び「伝票区分」に応じて、業務データに「貸方科目」及び「借方科目」を追加する』ことを定義している。
仕訳データ記憶部16は、会計データ生成部18によって生成された会計データを記憶する。なお、本実施例では、仕訳データ記憶部16は、会計データ生成部によって生成された仕訳データを会計データとして記憶する。この仕訳データ記憶部16に記憶された会計データは、例えば、会計データ生成装置10や財務会計システムなどの他の情報処理装置が有する帳票作成機能に入力され、各種の会計帳票を作成するために用いられる。
なお、上述した仕訳フロー定義記憶部11、配賦定義記憶部12、補完項目定義記憶部13、コード変換定義憶部14、仕訳定義記憶部15、及び仕訳データ記憶部16は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。
業務データ入力受付部17は、業務システムのデータから作成された業務データ1を取得する。なお、本実施例では、業務データ入力受付部17は、取引に関するデータを業務データとして取得する。ここで、例えば、業務データ入力受付部17は、業務システムから出力された業務データをネットワーク経由で受信することで、業務データを取得する。または、業務データ入力受付部17は、業務データが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disk)などの記録媒体から業務データを読み込むことで、業務データを取得する。
会計データ生成部18は、業務データ入力受付部17により取得された業務データの種類に対応する仕訳フロー定義を仕訳フロー定義記憶部11から読み出し、読み出した仕訳フロー定義にしたがって、その業務データから複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成する。なお、本実施例では、会計データ生成部18は、複数の会計基準それぞれに基づいて業務データを仕訳した複数の仕訳データを会計データとして生成する。
具体的には、会計データ生成部18は、仕訳フロー制御部18aを有する。また、会計データ生成部18は、業務データに対してそれぞれ異なる処理を行う複数のモジュール化されたデータ処理部を有する。例えば、会計データ生成部18は、データ処理部として、フィルタ処理部18bと、分岐フィルタ処理部18cと、集約処理部18dと、配賦処理部18eと、マッピング処理部18fと、仕訳処理部18kとを有する。
仕訳フロー制御部18aは、業務データ入力受付部17により取得された業務データの種類に対応する仕訳フロー定義を仕訳フロー定義記憶部11から読み出し、読み出した仕訳フロー定義にしたがって各データ処理部を実行させることで、複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成する。
具体的には、仕訳フロー制御部18aは、業務データ入力受付部17によって業務データが取得されると、取得された業務データの種類を判定する。ここでいう業務データの種類とは、例えば、売上伝票データやポイント売上データなどである。これら業務データの種類は、例えば、業務データに含まれる「伝票区分」によって判別される。
フィルタ処理部18bは、仕訳フロー定義に基づいて、業務データのレコードに対してフィルタリング処理を行う。図8は、本実施例に係るフィルタ処理部18bによって行われるフィルタリング処理の例を示す図である。ここで、図8は、データ項目の「伝票区分」が「売上」のレコードのみを抽出する場合のフィルタリング処理の例を示している。
例えば、仕訳フロー定義において、フィルタリング処理の定義として、『「伝票区分」が「売上」以外のレコードをフィルタする』旨が設定されていたとする。この場合には、フィルタ処理部18bは、図8に示すように、複数の業務データのレコードから「伝票区分」が「売上」以外のレコードをフィルタする。このように、フィルタ処理部18bが業務データに対してフィルタリング処理を行うことによって、仕訳フロー定義によってフィルタ処理部18bの次に実行されるように定義されたデータ処理部に対して引き渡されるレコードを絞り込むことができる。
分岐フィルタ処理部18cは、仕訳フロー定義に基づいて、業務データのデータ項目に設定されている値に関する条件や数値に関する条件により、業務データのレコードを次に実行されるデータ処理部に引き渡すか否かを制御する分岐フィルタ処理を行う。また、分岐フィルタ処理部18cは、次に実行されるデータ処理部が2つ以上ある場合には、同一のレコードを複製して、次に実行されるデータ処理部それぞれにレコードを引き渡す。
図9は、本実施例に係る分岐フィルタ処理部18cによって行われる分岐フィルタ処理の例を示す図である。図9は、分岐条件(分岐1、分岐2)の定義にしたがってレコードを分岐する場合の分岐フィルタ処理の例を示している。例えば、仕訳フロー定義において、分岐フィルタ処理の定義として、『「伝票区分」が「ポイント売上」又は「ポイント利用」のレコードあるいは「ポイント」の金額が0より大きいレコードを分岐1に流し、「伝票区分」が「ポイント売上」及び「ポイント利用」以外のレコードを分岐2に流す』旨が設定されていたとする。
この場合には、分岐フィルタ処理部18cは、図9に示すように、複数の業務データのレコードを、「伝票区分」が「ポイント売上」又は「ポイント利用」あるいは「ポイント」の金額が0より大きいものと、「伝票区分」が「売上」のものとに分ける。そして、分岐フィルタ処理部18cは、「伝票区分」が「ポイント売上」又は「ポイント利用」のレコードについては分岐1のデータ処理部に引き渡し、「伝票区分」が「売上」のレコードについては分岐2のデータ処理部に引き渡す。
集約処理部18dは、仕訳フロー定義に基づいて、業務データのデータ項目に設定されている値に関する条件や数値に関する条件によって、業務データのレコードを集約する集約処理を行う。図10は、本実施例に係る集約処理部18dによって行われる集約処理の例を示す図である。図10は、伝票区分、顧客区分、売上日でレコードを集約して金額を合計する場合の集約処理の例を示している。
例えば、仕訳フロー定義において、集約処理の定義として、『「伝票区分」、「顧客名」及び「売上日」が一致するレコードを集約して金額を合計する』旨が設定されていたとする。この場合には、集約処理部18dは、図10に示すように、複数の業務データのレコードを、「伝票区分」、「顧客名」及び「売上日」が一致するものごとに集約し、かつ、金額を合計する。
配賦処理部18eは、配賦定義記憶部12に記憶された定義情報に基づいて、業務データの1つのレコードを複数のレコードに配賦する配賦処理を行う。図11及び12は、本実施例に係る配賦処理部18eによって行われる配賦処理の例を示す図である。図11は、年間の保険料を月別の保険料に配賦する場合の配賦処理の例を示している。また、図12は、本部の売上金額を各部門に配賦する場合の配賦処理の例を示している。
例えば、『「伝票区分」が”保険料”のレコードは、年間の12ヶ月分のレコードに均等に配賦する』旨の定義情報が配賦定義記憶部12に記憶されていたとする。この場合には、配賦処理部18eは、図11に示すように、「伝票区分」が「保険料」のレコードを複製して12個のレコードを作成し、それぞれの「支払日」に1月から12月の日付を設定し、それぞれの「金額」に元のレコードの金額を12で割った金額を設定する。このとき、例えば、「支払日」は月のみを変えて、日は全て同じとする。
また、例えば、『「伝票区分」が”売上”で「部門名」が”東京営業本部”のレコードは、金額を1:2:3の割合で、東京第1営業部、東京第2営業部、東京第3営業部に配賦する』旨の定義情報が配賦定義記憶部12に記憶されていたとする。この場合には、配賦処理部18eは、図12に示すように、「伝票区分」が「売上」のレコードを複製して3つのレコードを作成し、1つ目のレコードの「部門名」に「東京第1営業部」を、2つ目のレコードの「部門名」に「東京第2営業部」を、3つ目のレコードの「部門名」に「東京第3営業部」をそれぞれ設定する。また、配賦処理部18eは、元のレコードの金額(3,000円)を1:2:3の割合で配分して3つの金額を算出し、1の割合で算出した金額(500円)を「部門名」が「東京第1営業部」のレコードに設定し、2の割合で算出した金額(1,000円)を「部門名」が「東京第2営業部」のレコードに設定し、3の割合で算出した金額(1,500円)を「部門名」が「東京第3営業部」のレコードに設定する。
マッピング処理部18fは、業務データのデータ項目を別のデータ項目に変換したり、データ項目の値を別の値に置き換えたりするマッピング処理を行う。ここで、マッピング処理部18fは、各種のマッピング処理を行うための複数のデータ処理部を有する。例えば、マッピング処理部18fは、データ処理部として、I/F変換処理部18gと、補完処理部18hと、コード変換処理部18iと、分解処理部18jとを有する。
ここで、マッピング処理部18fが有する各データ処理部は、それぞれ、他のデータ処理部によって処理された複数又は単数のレコードをファイル単位で入力する。また、各データ処理部は、次に実行される他のデータ処理部に対して、自身が処理した複数又は単数のレコードをファイル単位で引き渡す。このように、各データ処理部が、他のデータ処理部との間で、ファイル単位でレコードをやり取りすることによって、データ処理部の組み合わせや実行順序を任意に変えることができるようになる。
I/F変換処理部18gは、仕訳フロー定義に基づいて、業務データのデータ項目を別のデータ項目に変換するデータ項目変換処理を行う。図13は、本実施例に係るI/F変換処理部18gによって行われるデータ項目変換処理の例を示す図である。例えば、仕訳フロー定義において、データ項目変換処理の定義として、『「売上日付」を「伝票日付」に、「商品コード」を「拡張コード」に変換する』旨が設定されていたとする。この場合には、I/F変換処理部18gは、図13に示すように、業務データのレコードの設定値は変えずに、データ項目の「売上日付」を「伝票日付」に置き換え、データ項目の「商品コード」を「拡張コード」に置き換える。
補完処理部18hは、補完項目定義記憶部13に記憶された定義情報に基づいて、業務データのレコードにデータ項目を補完する補完処理を行う。本実施例では、例えば、補完処理部18hは、複数の会計基準それぞれを識別する仕訳区分をデータ項目の業務データに補完する補完処理を行う。
図14は、本実施例に係る補完処理部18hによって行われる補完処理の例を示す図である。例えば、伝票区分と貸方科目と借方科目とを対応付けた定義情報が補完項目定義記憶部13に記憶されていたとする(図4を参照)。この場合には、補完処理部18hは、図14に示すように、業務データのレコードに含まれる伝票区分に応じて、業務データのレコードに仕訳科目(貸方科目及び借方科目)を補完する。また、伝票日付と仕訳区分とを対応付けた定義情報が補完項目定義記憶部13に記憶されていた場合には(図5を参照)、補完処理部18hは、業務データのレコードに含まれる伝票日付に応じて、業務データのレコードに仕訳区分を補完する。
コード変換処理部18iは、コード変換定義記憶部14に記憶された定義情報に基づいて、業務データのレコードに含まれるコードのコード値を変換するコード変換処理を行う。図15は、本実施例に係るコード変換処理部18iによって行われるコード変換処理の例を示す図である。例えば、業務コードと会計コードとを対応付けた定義情報がコード変換定義記憶部14に記憶されていたとする(図6を参照)。この場合には、コード変換処理部18iは、図15に示すように、業務データのレコードに含まれる「拡張コード」のコード値を「業務コード」のコード値から「会計コード」のコード値に変換する。
分解処理部18jは、仕訳フロー定義に基づいて、業務データのレコードを分解する分解処理を行う。本実施例では、例えば、分解処理部18jは、取引を仕訳する際の仕訳科目が複数の会計基準ごとに異なる場合に、各会計基準における仕訳科目ごとに業務データを分解する分解処理を行う。また、例えば、分解処理部18jは、取引を仕訳する際の発生日とすべき日付が複数の会計基準ごとに異なる場合に、各会計基準における発生日とすべき日付ごとに業務データを分解する分解処理を行う。
図16は、本実施例に係る分解処理部18jによって行われる分解処理の例を示す図である。例えば、仕訳フロー定義において、分解処理の定義として、「出荷日」と「検収日」とを分解して「伝票日付」にマッピングする旨が設定されていたとする。この場合には、分解処理部18jは、図16に示すように、業務データのレコードを複製して2つのレコードを作成し、それぞれのデータ項目の「出荷日」及び「検収日」を「伝票日付」に置き換える。その後、分解処理部18jは、一方のレコードについては「伝票日付」の設定値に元のレコードの「出荷日」の日付を設定し、他方のレコードについては「伝票日付」の設定値に元のレコードの「検収日」の日付を設定する。
なお、仕訳フロー定義において、分解処理部18jと補完処理部18hとを組み合わせて順番に実行するように定義することで、分解処理と補完処理とを組み合わせて行うことも可能である。図17は、本実施例に係る分解処理部18jと補完処理部18hとを組み合わせた場合の例を示す図である。例えば、仕訳フロー定義において、分解処理の定義として、「出荷日」と「検収日」とを分解して「伝票日付」にマッピングする旨が設定されていたとする。また、「伝票日付」が「出荷日」の場合は「仕訳区分」を”日本基準”とし、「伝票日付」が「検収日」の場合は「仕訳区分」を”IFRS基準”とすることを定義した定義情報が補完項目定義記憶部13に記憶されていたとする(図5を参照)。
この場合には、まず、分解処理部18jが、図17に示すように、業務データのレコードに対して分解処理を行い、分解処理により得られた全てのレコードを補完処理部18hに引き渡す。その後、補完処理部18hが、分解処理部18jから引き渡された各レコードに対して補完処理を行う。これにより、例えば、図16に示した例において、分解処理によって得られた2つのレコードそれぞれに「仕訳区分」が補完されたレコードが得られる。このとき、「伝票日付」が「出荷日」のレコードについては、「仕訳区分」に”日本基準”が補完され、「伝票日付」が「検収日」のレコードについては、「仕訳区分」に”IFRS基準”が補完される。
仕訳処理部18kは、仕訳定義記憶部15に記憶された定義情報に基づいて、複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成する。なお、本実施例では、仕訳処理部18kは、複数の会計基準それぞれに基づいて業務データを仕訳した複数の仕訳データを会計データとして生成する。また、仕訳処理部18kは、生成した会計データを仕訳データ記憶部16に保存する。図18は、本実施例に係る仕訳処理部18kによって行われる仕訳処理の例を示す図である。例えば、「仕訳区分」と「伝票区分」と「貸方科目」と「借方科目」とを対応付けた定義情報が仕訳定義記憶部15に記憶されていたとする(図7を参照)。
この場合には、仕訳処理部18kは、業務データに含まれる「仕訳区分」及び「伝票区分」に応じて、業務データに「貸方科目」及び「借方科目」を追加する。このように、仕訳処理部18kが、「仕訳区分」及び「伝票区分」に応じて「貸方科目」及び「借方科目」を設定することによって、複数の会計基準それぞれに沿って仕訳が行われることになる。この結果、複数の会計基準それぞれに対応する複数の仕訳データが生成される。
なお、仕訳フロー定義において、フィルタ処理部18b、分岐フィルタ処理部18c、集約処理部18d、配賦処理部18e、及び、マッピング処理部18fのI/F変換処理部18g、補完処理部18h、コード変換処理部18i、及び分解処理部18jを適宜に組み合わせて順番に実行するように定義することで、仕訳処理部18kを用いずに仕訳処理を行うことも可能である。
図19は、本実施例に係る仕訳処理部18kを用いずに仕訳処理を行う場合の例を示す図である。図19は、補完処理部18hと配賦処理部18eとを組み合わせた場合の例を示している。例えば、図14に示した例と同様に、「伝票区分」と「貸方科目」と「借方科目」とを対応付けた定義情報が補完項目定義記憶部13に記憶されていたとする(図4を参照)。また、例えば、『「借方科目」が”売上”のレコードは、金額を95:5の割合で、”売上”、”仮受消費税”に配賦する』旨の定義情報が配賦定義記憶部12に記憶されていたとする。
この場合には、まず、補完処理部18hが、図19に示すように、業務データのレコードに含まれる伝票区分に応じて、業務データのレコードに仕訳科目(貸方科目及び借方科目)を補完する。そして、補完処理部18hは、補完処理により得られたレコードを配賦処理部18eに引き渡す。その後、配賦処理部18eが、「借方科目」が「売上」のレコードを複製して2つのレコードを作成し、一方のレコードの「借方科目」に「売上」を、他方のレコードの「借方科目」に「仮受消費税」をそれぞれ設定する。また、配賦処理部18eは、元のレコードの金額(54,000円)を95:5の割合で配分して2つの金額を算出し、95の割合で算出した金額(51,300円)を「借方科目」が「売上」のレコードに設定し、5の割合で算出した金額(2,700円)を「借方科目」が「仮受消費税」のレコードに設定する。
このように、補完処理部18hと配賦処理部18eとを組み合わせた場合でも、「貸方科目」及び「借方科目」を設定された仕訳データを生成することができる。
なお、上述した業務データ入力受付部17及び会計データ生成部18は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
次に、本実施例に係る会計データ生成装置10によって実行される会計データ生成方法の処理手順について説明する。図20は、本実施例に係る会計データ生成装置10によって実行される会計データ生成方法の処理手順を示すフローチャートである。図20に示すように、会計データ生成装置10では、まず、業務データ入力受付部17が、業務システムのデータから作成された業務データを取得する。
具体的には、業務データ入力受付部17は、他システムで作成された業務データを取り込んで仕訳フロー制御部18aに業務データを渡す(ステップS101)。続いて、仕訳フロー制御部18aが、業務データ入力受付部17から渡された業務データの種類に対応する仕訳フロー定義を仕訳フロー定義記憶部11から読み込む(ステップS102)。
その後、仕訳フロー制御部18aは、読込んだ仕訳フロー定義にしたがって業務データを処理する(ステップS103)。このとき、仕訳フロー制御部18aは、モジュール化された複数のデータ処理部を仕訳フロー定義にしたがって実行させることで、複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成する。
具体的には、仕訳フロー制御部18aは、業務データ入力受付部17から渡された業務データをレコード単位で処理する(ステップS104)。すなわち、仕訳フロー制御部18aは、仕訳フロー定義にしたがって、業務データのレコードに対して、フィルタ処理部18bによるフィルタ処理(ステップS105)、分岐フィルタ処理部18cによる分岐フィルタ処理(ステップS106)、集約処理部18dによる集約処理(ステップS107)、配賦処理部18eによる配賦処理(ステップS108)、マッピング処理部18fによるマッピング処理(ステップS109)のいずれかの処理を実行させるように制御する。そして、仕訳フロー制御部18aは、これらの処理が行われた後に、仕訳処理部18kによる仕訳処理(ステップS110)を実行させるように制御する。
このとき、仕訳フロー制御部18aは、業務データ入力受付部17から渡された業務データをレコード単位で処理するが、まずは、全レコードを同じデータ処理部で処理し、そのデータ処理部によって処理された全レコードを次のデータ処理部が処理するというように、データ処理部が仕訳フロー定義にしたがって、順番に処理されるように制御する。なお、仕訳フロー制御部18aは、各データ処理部の処理によってレコードが増えた場合には、増えたそれぞれのレコードを次のデータ処理部が処理するように制御する。
そして、仕訳フロー制御部18aは、1つのデータ処理部による処理が終った時点で、仕訳フロー定義の全ての処理を行ったかを判定する(ステップS111)。ここで、仕訳フロー定義の全ての処理が行われていない場合には(ステップS111,No)、仕訳フロー制御部18aは、ステップS104に戻って、次のレコードに対して、次のデータ処理部による処理を実行させるように制御する。一方、仕訳フロー定義の全ての処理が行われていた場合には(ステップS111,Yes)、仕訳フロー制御部18aは、仕訳処理部18kにより仕訳されたレコードを仕訳データ記憶部16に保存させて(ステップS112)、処理を終了する。
このように、本実施例に係る会計データ生成装置10では、複数の会計基準に基づいて複数の会計データを生成するための仕訳フロー定義にしたがって、各種のデータ処理部が業務データに対して処理を実行することで、複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データが生成される。
次に、本実施例に係る会計データ生成装置10による仕訳処理の例について説明する。ここでは、第1の例として、業務データとして売上伝票データが取得された場合の仕訳処理の例を説明する。また、第2の例として、業務データとしてポイント売上データが取得された場合の仕訳処理を説明する。
まず、第1の例について説明する。図21〜図24は、本実施例に係る会計データ生成装置10による仕訳処理の第1の例を説明するための図である。ここで、図21は、第1の例に係る仕訳フロー定義を示しており、図22は、第1の例において業務データとして用いられる売上伝票データを示している。また、図23は、第1の例におけるマッピング処理によって得られるレコードを示しており、図24は、第2の例における仕訳処理によって得られるレコードを示している。
第1の例では、業務データ入力受付部17は、図22に示す売上伝票データを業務データとして取得し、取得した売上伝票データを仕訳フロー制御部18aに引き渡す。仕訳フロー制御部18aは、売上伝票データを受け付けると、売上伝票データに対応する仕訳フロー定義を仕訳フロー定義記憶部11から読込む。第1の例では、仕訳フロー制御部18aは、図21に示す仕訳フロー定義を読込む。そして、仕訳フロー制御部18aは、読込んだ仕訳フロー定義にしたがって、各データ処理部を制御する。
まず、仕訳フロー制御部18aは、仕訳フロー定義において「処理1」として定義されたマッピング処理をマッピング処理部18fに実行させる。具体的には、マッピング処理部18fのI/F変換処理部18gが、「業務コード」、「伝票日付」、「仕訳区分」及び「金額」をデータ項目とする1つのレコードを作成する。そして、I/F変換処理部18gは、業務データ入力受付部17によって取得されたレコードを元データとして、作成したレコードの「業務コード」に元データの「伝票区分」をマッピングし、「金額」に元データの「金額」をマッピングする。
続いて、マッピング処理部18fの分解処理部18jが、マッピング処理部18fによって処理されたレコードを2つに分解し、一方のレコードの「伝票日付」に元データの「出荷日」をマッピングし、他方のレコードの「伝票日付」に元データの「検収日」をマッピングする。続いて、マッピング処理部18fの補完処理部18hが、分解処理部18jによって処理されたレコードのうち、「伝票日付」に「出荷日」がマッピングされたレコードについては、「仕訳区分」として”日本基準”を補完し、「伝票日付」に「検収日」がマッピングされたレコードについては、「仕訳区分」として”IFRS基準”を補完する。この結果、図23に示すように、「業務コード」、「伝票日付」、「仕訳区分」、「金額」がマッピングされた2つのレコードが得られる。
その後、仕訳フロー制御部18aは、仕訳フロー定義において「処理2」として定義された仕訳処理を仕訳処理部18kに実行させる。具体的には、仕訳処理部18kは、マッピング処理部18fによって処理された2つのレコードそれぞれについて、「業務コード」が”売上”のレコードに「借方」として”売掛”を、「貸方」として”売上”を追加する仕訳処理を行う。そして、仕訳処理部18kは、仕訳処理によって生成された仕訳データを仕訳データ記憶部16に保存する。この結果、図24に示すように、日本基準に沿った仕訳データのレコードとIFRS基準に沿った仕訳データのレコードとがそれぞれ得られる。
以上のように、第1の例では、図22に示した1レコードの売上伝票データから、図24に示すように、複数の会計基準(日本基準、IFRS基準)それぞれに対応する複数レコードの仕訳データが得られる。
次に、第2の例について説明する。図25〜図31は、本実施例に係る会計データ生成装置10による仕訳処理の第2の例を説明するための図である。ここで、図25は、第2の例に係る仕訳フロー定義を示しており、図26は、第2の例において業務データとして用いられるポイント売上データを示している。また、図27は、第2の例における分岐フィルタ処理によって得られるレコードを示している。また、図28は、第2の例における分岐1のマッピング処理によって得られるレコードを示しており、図29は、第2の例における分岐1の仕訳処理によって得られるレコードを示している。また、図30は、第2の例における分岐2のマッピング処理によって得られるレコードを示しており、図31は、第2の例における分岐2の仕訳処理によって得られるレコードを示している。
第2の例では、業務データ入力受付部17は、図26に示すポイント売上データを業務データとして取得し、取得したポイント売上データを仕訳フロー制御部18aに引き渡す。仕訳フロー制御部18aは、ポイント売上データを受け付けると、ポイント売上データに対応する仕訳フロー定義を仕訳フロー定義記憶部11から読込む。第2の例では、仕訳フロー制御部18aは、図25に示す仕訳フロー定義を読込む。そして、仕訳フロー制御部18aは、読込んだ仕訳フロー定義にしたがって、各データ処理部を制御する。
まず、仕訳フロー制御部18aは、仕訳フロー定義において「処理1」として定義された分岐フィルタ処理を分岐フィルタ処理部18cに実行させる。具体的には、分岐フィルタ処理部18cは、仕訳フィルタ定義において定義された分岐フィルタ処理の条件にしたがって、ポイントが0より大きい、又は、「伝票区分」が”ポイント売上”のレコードを分岐1の処理に分岐させ、「伝票区分」が”ポイント利用”のレコードを分岐2の処理に分岐させる。この結果、図27に示すように、図26に示すポイント売上データが2つのレコードに分けられる。
そして、仕訳フロー制御部18aは、分岐1の処理に分岐されたレコード(ポイントが0より大きい、又は、「伝票区分」が”ポイント売上”のレコード)について、仕訳フロー定義において「分岐1−処理1」として定義されたマッピング処理と、「分岐1−処理2」として定義された仕訳処理とを順に実行する。
まず、仕訳フロー制御部18aは、分岐1の処理に分岐されたレコードについて、仕訳フロー定義において「分岐1−処理1」として定義されたマッピング処理をマッピング処理部18fに実行させる。具体的には、マッピング処理部18fの分解処理部18jが、「業務コード」、「伝票日付」、「仕訳区分」及び「金額」をデータ項目とする3つのレコードを作成する。そして、分解処理部18jは、分岐フィルタ処理部18cによって分岐1の処理に分岐されたレコードを元データとして、1つ目のレコードの「金額」に元データの「金額」をマッピングする。続いて、分解処理部18jは、2つ目のレコードの「金額」に元データの「金額」から「ポイント」を減算した値をマッピングし、3つ目のレコードの「金額」に元データの「ポイント」をマッピングする。
続いて、マッピング処理部18fの補完処理部18hが、「金額」に「金額」がマッピングされたレコードの「業務コード」に”現金売上”を設定する。また、補完処理部18hは、「金額」に「金額」から「ポイント」を減算した値がマッピングされたレコードの「業務コード」に”現金売上”を設定する。また、補完処理部18hは、「金額」に「ポイント」がマッピングされたレコードの「業務コード」に”ポイント前受”を設定する。
続いて、マッピング処理部18fのI/F変換処理部18gが、「金額」に「金額」がマッピングされたレコードの「伝票日付」に「出荷」をマッピングする。また、I/F変換処理部18gは、「金額」に「金額」から「ポイント」を減算した値がマッピングされたレコードの「伝票日付」に「検収」をマッピングする。また、I/F変換処理部18gは、「金額」に「ポイント」がマッピングされたレコードの「業務コード」に「検収」をマッピングする。
続いて、マッピング処理部18fの補完処理部18hが、「伝票日付」に「出荷」がマッピングされたレコードの「仕訳区分」に”日本基準”を設定する。また、補完処理部18hは、「伝票日付」に「検収」がマッピングされたレコードの「仕訳区分」に”IFRS基準”を設定する。この結果、図28に示すように、「業務コード」、「伝票日付」、「仕訳区分」、「金額」がマッピングされた3つのレコードが得られる。
その後、仕訳フロー制御部18aは、仕訳フロー定義において「分岐1−処理2」として定義された仕訳処理を仕訳処理部18kに実行させる。具体的には、仕訳処理部18kは、マッピング処理部18fによって処理されたレコードについて、「業務コード」が”現金売上”のレコードに「借方」として”現金”を、「貸方」として”売上”を追加する仕訳処理を行う。また、仕訳処理部18kは、「業務コード」が”ポイント前受”のレコードに「借方」として”現金”を、「貸方」として”前受”を追加する仕訳処理を行う。そして、仕訳処理部18kは、仕訳処理によって生成された仕訳データを仕訳データ記憶部16に保存する。この結果、図29に示すように、日本基準に沿った1レコードの仕訳データとIFRS基準に沿った2レコードの仕訳データとがそれぞれ得られる。
一方、仕訳フロー制御部18aは、分岐2の処理に分岐されたレコード(「伝票区分」が”ポイント利用”のレコード)については、仕訳フロー定義において「分岐2−処理1」として定義されたマッピング処理と、「分岐2−処理2」として定義された仕訳処理とを順に実行する。
まず、仕訳フロー制御部18aは、分岐2の処理に分岐されたレコードについて、仕訳フロー定義において「分岐2−処理1」として定義されたマッピング処理をマッピング処理部18fに実行させる。具体的には、マッピング処理部18fの補完処理部18hが、「業務コード」、「伝票日付」、「仕訳区分」及び「金額」をデータ項目とする1つのレコードを作成する。そして、補完処理部18hは、作成したレコードの「業務コード」に”ポイント利用”を設定し、「仕訳区分」に”IFRS基準”を設定する。
続いて、マッピング処理部18fのI/F変換処理部18gが、分岐フィルタ処理部18cによって分岐2の処理に分岐されたレコードを元データとして、補完処理部18hによって処理されたレコードの「伝票日付」に元データの「検収」をマッピングし、「金額」に元データの「金額」をマッピングする。この結果、図30に示すように、「業務コード」、「伝票日付」、「仕訳区分」、「金額」がマッピングされた1つのレコードが得られる。
その後、仕訳フロー制御部18aは、仕訳フロー定義において「分岐2−処理2」として定義された仕訳処理を仕訳処理部18kに実行させる。具体的には、仕訳処理部18kは、マッピング処理部18fによって処理されたレコードについて、「業務コード」が”ポイント利用”のレコードに「借方」として”前受”を、「貸方」として”売上”を追加する仕訳処理を行う。この結果、図31に示すように、IFRS基準に沿った1レコードの仕訳データが得られる。
以上のように、第2の例では、図26に示した2レコードのポイント売上データから、図29及び31に示すように、複数の会計基準(日本基準、IFRS基準)それぞれに対応する複数の仕訳データが得られる。
上述したように、本実施例では、仕訳フロー定義記憶部11は、業務システムのデータから作成される業務データの種類ごとに、複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成するための定義情報を記憶する。また、業務データ入力受付部17は、業務システムのデータから作成された業務データ1を取得する。また、会計データ生成部18は、業務データ入力受付部17により取得された業務データの種類に対応する仕訳フロー定義を仕訳フロー定義記憶部11から読み出し、読み出した仕訳フロー定義にしたがって、その業務データから複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成する。したがって、本実施例に係る会計データ生成装置10によれば、同一の業務データから複数の会計基準に沿った複数の会計データが生成されるので、複数の会計基準に沿った会計データを容易に生成することができる。また、複数の会計基準に基づく処理が同時に行われるので、複数の会計基準に沿った複数の会計データを効率よく生成することができる。
また、本実施例では、会計データ生成部18は、業務データに対してそれぞれ異なる処理を行う複数のモジュール化されたデータ処理部を有する。また、仕訳フロー定義記憶部11は、複数の会計データを生成するための複数のデータ処理部の組み合わせ及び実行順序を定義した情報を定義情報として記憶する。したがって、本実施例に係る会計データ生成装置10によれば、一部のデータ処理部を変更したり、データ処理部の組み合わせや実行順序を変えたりすることによって、会計データの生成方法を容易に変更することができるので、例えば、会計基準の内容が変更された場合でも、その変更に容易に対応することができる。
また、本実施例では、業務データ入力受付部17は、取引に関するデータを業務データとして取得する。また、会計データ生成部18は、複数の会計基準それぞれに基づいて業務データを仕訳した複数の仕訳データを会計データとして生成する。したがって、本実施例に係る会計データ生成装置10によれば、複数の会計基準に沿った仕訳データを容易に生成することができる。
また、本実施例では、会計データ生成部18は、取引を仕訳する際の仕訳科目が複数の会計基準ごとに異なる場合に、各会計基準における仕訳科目ごとに業務データを分解する分解処理を行って会計データを生成する。したがって、本実施例に係る会計データ生成装置10によれば、仕訳科目が複数の会計基準ごとに異なる場合でも、各会計基準に沿った仕訳データを容易に生成することができる。
また、本実施例では、会計データ生成部18は、取引を仕訳する際の発生日とすべき日付が複数の会計基準ごとに異なる場合に、各会計基準における発生日とすべき日付ごとに業務データを分解する分解処理を行って会計データを生成する。したがって、本実施例に係る会計データ生成装置10によれば、取引を仕訳する際の発生日とすべき日付が複数の会計基準ごとに異なる場合でも、各会計基準に沿った仕訳データを容易に生成することができる。
また、本実施例では、会計データ生成部18は、複数の会計基準それぞれを識別する仕訳区分をデータ項目として業務データに補完する補完処理を行って会計データを生成する。したがって、本実施例に係る会計データ生成装置10によれば、仕訳の基準となった会計基準を容易に判別可能な仕訳データを生成することができる。
なお、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
例えば、上記実施例で説明した会計データ生成方法は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することで実現することもできる。そこで、以下では、上記実施例で説明した会計データ生成方法を実現する会計データ生成プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
図32は、本実施例に係る会計データ生成プログラムを実行するコンピュータ20を示す図である。図32に示すように、コンピュータ20は、例えば、メモリ21と、CPU(Central Processing Unit)22と、ハードディスクドライブインタフェース23と、ディスクドライブインタフェース24と、シリアルポートインタフェース25と、ビデオアダプタ26と、ネットワークインタフェース27とを有する。これらの各部は、バス28によって接続される。
メモリ21は、ROM(Read Only Memory)21aおよびRAM(Random Access Memory)21bを含む。ROM21aは、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース23は、ハードディスクドライブ29に接続される。ディスクドライブインタフェース24は、ディスクドライブ24aに接続される。ディスクドライブ24aには、例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記録媒体が挿入される。シリアルポートインタフェース25には、例えば、マウス25aおよびキーボード25bが接続される。ビデオアダプタ26には、例えば、ディスプレイ26aが接続される。
ここで、図32に示すように、ハードディスクドライブ29は、例えば、OS(Operating System)29a、アプリケーションプログラム29b、プログラムモジュール29cおよびプログラムデータ29dを記憶する。本実施例に会計データ生成プログラムは、例えば、コンピュータ20によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ29に記録される。具体的には、上記実施例で説明した業務データ入力受付部17と同様の情報処理を実行するための業務データ取得手順、並びに、会計データ生成部18と同様の情報処理を実行するためのデータ読み出し手順及び会計データ生成手順が記述されたプログラムモジュールが、ハードディスクドライブ29に記憶される。
また、上記実施例で説明した仕訳フロー定義記憶部11などに記憶されるデータのように、会計データ生成プログラムによる情報処理に用いられるデータは、例えば、ハードディスクドライブ29に記憶される。そして、CPU22が、ハードディスクドライブ29に記憶されたプログラムモジュールやプログラムデータを必要に応じてRAM21bに読み出して、情報収集手順およびサービス決定手順を実行する。
なお、会計データ生成プログラムに係るプログラムモジュールやプログラムデータは、ハードディスクドライブ29に記憶される場合に限られず、例えば、着脱可能な記録媒体に記憶されて、ディスクドライブ24a等を介してCPU22によって読み出されてもよい。あるいは、会計データ生成プログラムに係るプログラムモジュールやプログラムデータは、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース27を介してCPU22によって読み出されてもよい。
また、上記実施例で説明した会計データ生成方法は、ネットワークを介して接続されたクライアント装置及びサーバ装置を含んだコンピュータシステムに適用することもできる。ここでいうコンピュータシステムには、例えば、サーバ装置が、インターネットを介して、ソフトウェア、ハードウェア、データベースなどの各種コンピュータ資源を利用するサービスをクライアント装置に提供するクラウドコンピューティングの仕組みを利用したものも含まれる。
以下では、上記実施例で説明した会計データ生成方法を適用した会計データ生成システムの一例を説明する。図33は、本実施例に係る会計データ生成システムの構成を示す図である。図33に示すように、本実施例に係る会計データ生成システム100は、クライアント装置30とサーバ装置40とを有する。ここで、クライアント装置30とサーバ装置40とは、ネットワーク2を介して接続される。
クライアント装置30は、サーバ装置40によって提供される会計データ生成サービスの利用者によって使用される端末装置である。このクライアント装置30は、例えば、通信制御部31と、仕訳データ記憶部32と、業務データ入力受付部33と、データ送信部34と、データ受信部35とを有する。通信制御部31は、サーバ装置40との間でやり取りされる各種情報の送受信を制御する。
仕訳データ記憶部32は、サーバ装置40から送信された会計データを記憶する。例えば、仕訳データ記憶部32は、サーバ装置40から送信された仕訳データを会計データとして記憶する。この仕訳データ記憶部32に記憶された会計データは、例えば、クライアント装置30や財務会計システムなどの他の情報処理装置が有する帳票作成機能に入力され、各種の会計帳票を作成するために用いられる。
業務データ入力受付部33は、業務システムのデータから作成された業務データ1を取得する。例えば、業務データ入力受付部33は、取引に関するデータを業務データ1として取得する。ここで、例えば、業務データ入力受付部33は、業務システムから出力された業務データをネットワーク2経由で受信することで、業務データを取得する。または、業務データ入力受付部33は、業務データが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disk)などの記録媒体から業務データを読み込むことで、業務データを取得する。
データ送信部34は、ネットワーク2を介して、業務システムのデータから作成された業務データをサーバ装置40に送信する。具体的には、データ送信部34は、クライアント装置30の利用者による操作に応じて、通信制御部31を介して、業務データ入力受付部33によって取得された業務データを含めた会計データ生成要求をサーバ装置40に送信する。
データ受信部35は、サーバ装置40から送信される会計データを受信する。具体的には、データ受信部35は、通信制御部31を介して、会計データ生成要求に応じてサーバ装置40から送信される会計データを受信する。そして、データ受信部35は、サーバ装置40から会計データを受信すると、受信した会計データを仕訳データ記憶部32に保存する。
サーバ装置40は、ネットワーク2を介してクライアント装置30の利用者に会計データ生成サービスを提供する。このサーバ装置40は、例えば、通信制御部41と、仕訳フロー定義記憶部42と、データ受信部43と、データ送信部44と、会計データ生成部45とを有する。通信制御部41は、クライアント装置30との間でやり取りされる各種情報の送受信を制御する。
仕訳フロー定義記憶部42は、クライアント装置30から送信される業務データの種類ごとに、複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成するための定義情報を記憶する。この仕訳フロー定義記憶部42は、上記実施例で説明した仕訳フロー定義記憶部11に記憶される定義情報と同様の定義情報を記憶する。
データ受信部43は、クライアント装置30から業務データを受信する。具体的には、データ受信部43は、通信制御部41を介して、クライアント装置30から送信された会計データ生成要求を受信する。そして、データ受信部43は、会計データ生成要求を受信すると、受信した会計データ生成要求に含まれる業務データを会計データ生成部45に引き渡す。
データ送信部44は、会計データ生成部45によって生成された会計データをクライアント装置30に送信する。具体的には、データ送信部44は、後述する会計データ生成部45によって会計データが生成されると、通信制御部41を介して、生成された会計データをクライアント装置30に送信する。
会計データ生成部45は、データ受信部43により受信された業務データの種類に対応する定義情報を仕訳フロー定義記憶部42から読み出し、読み出した定義情報にしたがって、業務データから複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成する。例えば、会計データ生成部45は、複数の会計基準それぞれに基づいて業務データを仕訳した複数の仕訳データを会計データとして生成する。
この会計データ生成部45は、上記実施例で説明した会計データ生成部18と同様の構成を有する。具体的には、会計データ生成部45は、上記実施例で説明した仕訳フロー制御部18a、フィルタ処理部18b、分岐フィルタ処理部18c、集約処理部18d、配賦処理部18e、マッピング処理部18f、I/F変換処理部18gと、補完処理部18hと、コード変換処理部18iと、分解処理部18j、仕訳処理部18kと同様の機能部を有する。
なお、図33では図示を省略したが、サーバ装置40は、上記実施例で説明した配賦定義記憶部12、補完項目定義記憶部13、コード変換定義憶部14、仕訳定義記憶部15と同様の情報を記憶する記憶部を有する。
このように、本実施例では、クライアント装置30において、業務データ入力受付部33が、業務システムのデータから作成された業務データ1を取得する。また、サーバ装置において、仕訳フロー定義記憶部42が、クライアント装置30から送信される業務データの種類ごとに、複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成するための定義情報を記憶する。また、データ受信部43が、クライアント装置30から業務データを受信する。また、会計データ生成部45は、データ受信部43により受信された業務データの種類に対応する定義情報を仕訳フロー定義記憶部42から読み出し、読み出した定義情報にしたがって、業務データ1から複数の会計基準それぞれに対応する複数の会計データを生成する。また、データ送信部44が、会計データ生成部45によって生成された会計データをクライアント装置30に送信する。したがって、本実施例に係る会計データ生成システム100によれば、クライアント装置30の利用者は、業務システムのデータから作成された業務データを含めた会計データ生成要求をサーバ装置40に送信することで、複数の会計基準に沿った会計データを容易に得ることができる。