以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る表面実装機は、実装機本体10と、この実装機本体10に並設される複数の部品供給部14とを備えている。実装機本体10は、プリント基板Wを搬送する搬送経路の途中に配置されている。前記搬送経路には、プリント基板Wを実装機本体10に搬入する図略の搬入コンベアと、実装機本体10からプリント基板Wを搬出する図略の搬出コンベアとが配置されている。実装機本体10には、両コンベアを接続するコンベア12が配置されている。コンベア12上には、部品実装位置(図1の仮想線で示すエリア)が設定される。プリント基板Wは、搬入コンベアからコンベア12に受け渡され、部品実装位置で停止される。実装機本体10は、この部品実装位置に停止したプリント基板Wに対し、電子部品を実装する。電子部品が実装されたプリント基板Wは、コンベア12から搬出コンベアに受け渡され、搬出される。
以下の説明では、プリント基板Wの搬送方向に沿う水平方向を仮にX軸方向とし、このX軸方向に直交する水平方向を仮にY軸方向とする。また、Y軸方向において、一方(図1の下側)を仮に前方とする。
実装機本体10には、ヘッドユニット18が設けられている。このヘッドユニット18は、部品供給部14のテープフィーダ15から部品を吸着してプリント基板W上に実装し得るように、XY平面上で移動可能とされている。実装機本体10には、基台10aと、この基台に立設された4本の柱体10bと、前後の柱体10bをそれぞれY軸方向に沿って一体化する梁体10cと備えている。基台10aは、平面視矩形の構造体である。柱体10bは、基台10aの四隅部に立設されている。梁体10cは、左右に対をなし、対応する柱体10bとともにゲート状の外観を呈する構造体である。
柱体10bには、Y軸方向に沿って延びるレール11がそれぞれ固定されている。レール11には、X軸方向に沿って延びる支持部材20の端部が連結されている。支持部材20は、レール11に沿って、実装機本体10の前後に往復移動可能に支持されている。この支持部材20には、図略のレールがX軸方向に沿って設けられている。このレールを介し、支持部材20は、ヘッドユニット18をX軸方向に沿って往復移動可能に支持している。また、右側前方の柱体10bには、Y軸サーボモータ22が取り付けられている。Y軸サーボモータ22には、Y軸方向に沿って回転自在に支持されたボールねじ23を駆動できるように、当該ボールねじ23と連結されている。ボールねじ23には、支持部材20に固定されるナット部材が螺合装着されている。よって、Y軸サーボモータ22の駆動により、支持部材20は、Y軸方向に沿って往復移動することが可能になっている。
また、支持部材20の右側端部には、X軸サーボモータ24が取り付けられている。X軸サーボモータ24は、X軸方向に沿って延びるボールねじ25を駆動できるように、当該ボールねじ25と連結されている。ボールねじ25には、ヘッドユニット18に固定されるナット部材が螺合装着されている。よって、X軸サーボモータ24の駆動により、ヘッドユニット18は、X軸方向に沿って往復移動することが可能になっている。
前記ヘッドユニット18には、複数のノズルユニット19が搭載されている。ノズルユニット19(吸着ノズル19a)の本数は、4本、6本、10本等、ニーズに応じて種々の本数に設定することが可能である。本実施形態では、8本のノズルユニット19がX軸方向に並んだ状態で搭載されている。各ノズルユニット19は、それぞれヘッドユニット18に対して昇降(Z軸方向の移動)およびノズル軸心(R軸)回りの回転が可能となっている。各Z軸サーボモータを駆動源とする昇降駆動手段およびR軸サーボモータを駆動源とする回転駆動手段によりそれぞれ駆動されるようになっている。また、各ノズルユニット19には、その先端(下端)に吸着ノズル19aが装着されており、この吸着ノズル19aの先端に負圧が供給されることにより、この負圧による吸引力で部品を吸着するようになっている。
ヘッドユニット18には、各吸着ノズル19aの動作を制御する制御ユニット26が設けられている。制御ユニット26は、マイクロプロセッサや不揮発性メモリで具体化されている。制御ユニット26の不揮発性メモリには、ヘッドユニット18や吸着ノズル19aに関する種々の情報が記憶されている。なお、以下の説明では、記憶装置に記憶されている情報の項目を指す場合には{}で表記し、値(インスタンス)を示す場合には「」で表記する。制御ユニット26の不揮発性メモリには、当該ヘッドユニット18の識別情報である{ヘッドユニットID}、ヘッドユニット18に装備されているノズルユニット19の本数を示す{ノズル数Sn}、各吸着ノズル19aを識別する情報である{ノズルID}、詳しくは後述する{実測ノズルピッチMA}を含む項目が設定されている。
さらにヘッドユニット18には、プリント基板Wのフィデューシャルマークを画像認識するための撮像ユニット27が設けられている。撮像ユニット27は、CCDカメラおよび照明装置等から構成されている。前記作業位置へのプリント基板Wの搬入後、ヘッドユニット18がプリント基板Wの上方に配置されることにより、撮像ユニット27は、前記マークを撮像するように構成されている。
一方、前記基台上には、ヘッドユニット18による部品の吸着状態を画像認識するための撮像ユニット28が設けられている。撮像ユニット28は、ヘッドユニット18側の撮像ユニット27と同様にCCDカメラおよび照明装置等から構成されている。部品吸着後、前記ヘッドユニット18が撮像ユニット28上方に配置されることにより、撮像ユニット28は、各吸着ノズル19aよる吸着部品をその下側から撮像するように構成されている。
各吸着ノズル19aに電子部品を供給するために、部品供給部14は、コンベア12の前後(図1では上下)両側に複数(図示の例では、4箇所)設けられている。各部品供給部14は、基台10aに固定されるフィーダ取付台14aを備えている。各フィーダ取付台14aには、多数のテープフィーダ15が着脱可能に装着されている。詳しくは、後述するように、テープフィーダ15は、それぞれがY軸方向に沿ってX軸方向に並列に配置されている。また、各フィーダ取付台14aには、それぞれがX軸方向の原点X座標Pxoを基点とする基準取付X座標PFが設定されている(図6参照)。テープフィーダ15は、フィーダ取付台14aごとに設定された基準取付X座標PFに、位置決めされた状態で着脱可能に装着される。なお、図示の例において、部品供給部14は、表面実装機の構成要素の一部であるが、表面実装機に対して着脱可能に併用される別個独立した装置(部品供給装置)であってもよい。
図3は、前記テープフィーダ15の構造を模式的に示す図であり、図4は、テープフィーダ15に装填されるキャリアテープ30の要部を示す図である。
まず、図4を参照して、キャリアテープ30は、本体テープ31と、カバーテープ32とを接合した長尺物である。
本体テープ31には、その一方側の側辺部に沿って複数のパイロット孔31aが一定間隔おきに設けられている。また、本体テープ31には、上方に開口する部品収納部31bが長手方向に一定間隔おきに設けられている。各部品収納部31bには、ICやトランジスタ等の小片状の部品tがそれぞれ収納されている。
カバーテープ32は、キャリアテープ30の上面に、接着剤等によって貼り付けられている。また、カバーテープ32は、本体テープ31のパイロット孔31aを開放している一方、前記各部品収納部31bに収納された部品tを上から覆っている。
以上のようなキャリアテープ30は、リール33の外周に巻回され、リール33ごとに管理されている(図3参照)。
次に、キャリアテープ30を繰り出して、部品tを部品供給Y座標Pyに送給するため、本実施形態には、フィーダ取付台14aごとに複数のテープフィーダ15が設けられている。
図3を参照して、本図に示されるテープフィーダ15は、フィーダベース15aを備えている。フィーダベース15aは、下面に一対の突起15bを備えており、この突起15bをフィーダ取付台14aの取付孔14bに嵌合させて、各フィーダ取付台14aに取り付けられるようになっている。突起15bと取付孔14bの嵌合構造により、各テープフィーダ15は、フィーダ取付台14aによってそれぞれ設定された基準取付X座標PFに精緻に位置決めされている。また、フィーダベース15aの前端部には、固定用のクランプ(図示せず)が設けられている。前記クランプは、フィーダベース15aの後部上端に設けられた図略のハンドルとリンクを介して連係されており、前記図略のハンドルの揺動操作によりクランプ状態と非クランプ状態とに切り換えられるようになっている。そして、前記フィーダ取付台14aの取付孔14bに前記フィーダベース15aの位置決めピン15bが挿入されるとともに、この状態で前記クランプ(図示せず)によるクランプ操作が行われることにより、前記テープフィーダ15がフィーダ取付台14aの基準取付X座標PFに対し、位置決めされた状態で固定されるようになっている。
フィーダベース15aには、内部にキャリアテープ30を後部から前部上端部分に送給するテープ送給路が形成されている。テープ送給路の上流端(すなわち、テープフィーダ15の後端)には、リール33を担持するリール保持板15cが取り付けられている。リール保持板15cには、キャリアテープ30のリール33が回転可能に保持されている。リール33上に保持されたキャリアテープ30の繰出し端は、フィーダベース15aの後部からテープ送給路内に導入される。テープ送給路の下流端には、詳しくは後述するテープガイド34が連設されている。フィーダベース15a内には、テープ送給路に供給されたキャリアテープ30をテープガイド34に送給する送り機構35と、テープガイド34の上流側でキャリアテープ30から剥離されるカバーテープ32を処理するための引き取り機構36とが設けられている。
送り機構35は、送りモータ35aと、送りモータ35aによって駆動されるスプロケット35bとを備えている。スプロケット35bは、キャリアテープ30のパイロット孔31aに係合している。よって、このスプロケット35bを駆動することにより、キャリアテープ30は、一定ピッチで間欠的に繰り出される。このスプロケット35bによる送り出し動作に伴い、リール33から繰り出されたキャリアテープ30は、テープフィーダ15の長手方向に沿って前方に送出されるようになっている。
また、引き取り機構36は、引き取りモータ36aと、この引き取りモータ36aに駆動される駆動ギア36bと、駆動ギア36bに駆動される引き取りギア対36cとを備えている。テープガイド34の上流側では、キャリアテープ30からカバーテープ32が剥離されるように構成されている。引き取り機構36は、引き取りギア対36cを駆動してこれら引き取りギア対36cの間に案内されているカバーテープ32を、当該引き取りギア対36cの回転に伴い引き取るように構成されている。なお、図示の実施形態において、フィーダベース15aの後部には、引き取ったカバーテープ32を収容する収容器37が設けられている。
次に、テープフィーダ15のテープガイド34について説明する。
図5を参照して、前記テープガイド34は、前記キャリアテープ30の上面を押さえつけて当該テープの飛び出しを規制している。テープガイド34には、前記カバーテープ32の引き剥がしが行われる位置のY成分の座標である剥離Y座標Dyと、この剥離Y座標DyからY軸方向に沿って所定距離下流に設定された位置のY成分の座標である部品供給Y座標Pyとが設定されている。剥離Y座標Dyでは、前記送り機構35により装置前方へと繰り出されることにより、前記キャリアテープ30の本体テープ31からカバーテープ32が引き剥がされる。また、引き取り機構36により、剥離されたカバーテープ32は、後ろ側の収容器37内に収容される。前記カバーテープ32の剥離に伴い、外部に露出した部品tは、本体テープ31とともに前記部品供給Y座標Pyまで供給され、送り機構35の間欠送給により、この部品供給Y座標Pyで停止する。吸着ノズル19aによる部品tのピックアップは、この部品供給Y座標Pyの上方に位置決めされた前記ノズルユニット19を昇降移動することにより、実行されるようになっている。
前記テープガイド34の前部には、前記部品供給Y座標Pyを含む前後方向の所定範囲に亘って開口した開口部34aが形成されている。吸着ノズル19aは、この開口部34aを通じて部品tの取り出しを行うようになっている。なお、図示の例では、開口部34aの後端寄りの位置に前記部品供給Y座標Pyが設定されている。
一方、前記テープガイド34の後部(剥離Y座標Dy)には切欠き34bが形成されており、本体テープ31から引き剥がされたカバーテープ32が、前記切欠き34bから引き出されて後方側に折り返されるようになっている。そして、前記剥離Y座標Dy(切欠き34bの設置部)でカバーテープ32が引き剥がされた後、本体テープ31は、さらに前方へと繰り出される。この繰出しにより、本体テープ31の部品収納部31bは、前記開口部34aの下方(部品供給Y座標Pyの下方)に達する。このタイミングで、前記ノズルユニット19は、前記部品収納部31bに収納された部品tに対し上方から接近する。次いで、ノズルユニット19の吸着ノズル19aにより、部品tは、ピックアップされ、前記部品収納部31bから取り出される。
なお、図示を省略するが、前記テープガイド34には、その開口部34aを開閉可能に覆うシャッター部材が設けられている。シャッター部材は、前記ノズルユニット19による部品tの取り出し時にのみ前記開口部34aを開放することにより、部品tの不用意な飛び出し等が防止されるようになっている。
次に、図6を参照して、テープフィーダ15と、吸着ノズル19aの位置関係について説明する。
まず、テープフィーダ15は、上述したように、基準取付X座標PFごとにテープフィーダ15を位置決めできるようになっている。なお、詳しくは後述するように、本実施形態において、各テープフィーダ15には、フィーダ取付台14aごとに一意な設置連番Nが設定されている。設置連番Nは、フィーダ取付台14aの原点X座標Pxoに最も近いものから順に番号が1つずつ増加するように設定されている。以下の説明では、必要に応じて、基準取付X座標PFを「PF(1)、PF(2)・・・PF(N)」という形で変数のように表記することとする。他の符号についても同様とする。
テープフィーダ15の部品供給Y座標Pyにおいて、基準取付X座標PFから部品収納部31bに収納された部品tの中心までのX軸方向の距離(以下、この距離を供給ピッチという)は、当該テープフィーダ15の仕様ごとに同一寸法に設定されている。しかしながら、現実には、供給ピッチは、製品の個体差により、ばらつきを有している。そこで、本実施形態では、個々のテープフィーダ15ごとに供給ピッチを実測し、その実測値(以下、「実測供給ピッチ」という)MPhをテープフィーダ15の識別番号(図10等に例示する「STK-FD-00A-001、STK-FD-00A-004、・・・」等の番号)ごとに記憶することとしている。また、本実施形態では、原点X座標Pxoから基準取付X座標PFまでの距離が基準取付間隔SXとして管理されている。なお、部品供給Y座標Pyに供給された部品tの中心を通るX成分の座標を部品供給X座標Pxという。
次に、吸着ノズル19aは、X軸方向において、それぞれ予め設定された間隔を隔てて等配されている。本実施形態では、このX軸方向の間隔をノズルピッチと呼称する。しかしながら、ノズルピッチもまた、現実には、製品の個体差により、ばらつきを有している。そこで、本実施形態では、個々のヘッドユニット18ごとに、吸着ノズル19a、19aの各ノズルピッチを実測し、その実測値(以下、「実測ノズルピッチ」という)MAを吸着ノズル19aの識別番号(図6、図9等に例示する「SN-0123-001、SN-0123-002・・・」等の番号)に対応させて記憶することとしている。ここで、ノズルピッチ(実測ノズルピッチMA)は、2本の吸着ノズル19a、19aの間隔であることから、ノズルピッチ(実測ノズルピッチMA)と吸着ノズル19aの関係は、ヘッドユニット18が部品取り出し対象としている部品供給部14の原点X座標Pxoに最も近い吸着ノズルが先頭として関連づけられ、先頭側の吸着ノズル19aを基準に記憶される。
すなわち、ある吸着ノズル19a(識別番号:SN-0123-001)と、この吸着ノズル19aに隣接する吸着ノズル19a(識別番号:SN-0123-002)がある場合、ある部品供給部14の原点X座標Pxoに対しては、識別番号がSN-0123-001の吸着ノズル19aの方が識別番号がSN-0123-002の吸着ノズル19aよりも近い関係にある。その場合には、識別番号がSN-0123-001の吸着ノズル19aが、先頭側になり、ノズルピッチ(実測ノズルピッチMA(1))は、識別番号がSN-0123-001の吸着ノズル19aに係るデータとして保存される。逆に、別の部品供給部14の原点X座標Pxoに対しては、識別番号がSN-0123-002の吸着ノズル19aの方が、識別番号がSN-0123-001の吸着ノズル19aよりも近い関係にある。その場合には、識別番号がSN-0123-002の吸着ノズル19aが、先頭側になり、ノズルピッチ(実測ノズルピッチMA(1))は、識別番号がSN-0123-002の吸着ノズル19aのデータとして保存される。
これらの関係は、識別番号がSN-0123-002以降の他の吸着ノズル19aとの関係も同様である。
次に、図3及び図7を参照して、上述した送り機構35の送りモータ35aや、引き取り機構36の引き取りモータ36a等を制御するため、テープフィーダ15の下部には、制御ボックス38が設けられている。制御ボックス38の前面には、コネクタ39が設けられており、このコネクタ39を介して、実装機本体10と電気的に接続されるようになっている。また、制御ボックス38には、コネクタ39に接続された制御基板40が収容されている。この制御基板40には、表示器41も接続されている。
制御基板40は、主制御部40a、記憶部40b、駆動部40c、並びに外部入出力ユニット(I/F)40dを備えている(図7参照)。主制御部40aは、マイクロプロセッサ等で具体化されており、記憶部40bに記憶されたプログラムを実行する。また、記憶部40bは、不揮発性メモリ等で具体化されており、主制御部40aが実行するプログラムや、各種データを記憶している。記憶部40bには、当該テープフィーダ15の型式(種類)を示す{フィーダ型番}、当該テープフィーダ15を個別に識別する識別番号としての{フィーダID}、前記{実測供給ピッチMPh}、並びに部品tに関する部品情報等が記憶されている。部品情報は、当該テープフィーダ15により供給する部品の種類等の情報であって、例えばテープフィーダ15に前記リール33が装着される際にオペレータの入力によって書き込まれる。
駆動部40cは、モータ駆動部や通信処理部等を含み、送りモータ35aや、引き取り機構36の引き取りモータ36a等の駆動信号を出力する。また、入出力ユニット40dは、表示器41や種々のセンサ類と接続されて、各種信号の入出力を制御する。
前記表示器41は、例えば、小型の液晶パネルで具体化されたものであり、表示器41は、前記制御基板40のメモリに記憶されている情報等、種々の情報を表示するものである。図示の例では、収容器37(図3参照)の上面に取り付けられている。
次に、実装機本体10には、制御ユニット60が設けられている。制御ユニット60には、バス61を介して、ヘッド用制御基板62と、フィーダ用制御基板63とが接続されている。また、制御ユニット60のバス61には、表示装置70と、入力装置80と、補助記憶装置90とが接続されている。
ヘッド用制御基板62は、マイクロプロセッサや不揮発性メモリを備えており、図略のハーネスを介してヘッドユニット18の制御ユニット26と通信可能に接続されている。
フィーダ用制御基板63は、部品供給部14のフィーダ取付台14aごとに設けられた複数(図示の例では、4枚)の中継装置である。各フィーダ用制御基板63は、マイクロプロセッサや、このマイクロプロセッサに接続された不揮発性メモリ等により具体化されている。フィーダ用制御基板63の不揮発性メモリには、フィーダ取付台14aを識別するための{フィーダID}と、{原点X座標Pxo}と、{部品供給Y座標Py}とを含む記憶項目が設定されている。
また、フィーダ用制御基板63は、フィーダ取付台14aに設けられたコネクタ64と接続されている。コネクタ64は、フィーダ取付台14aに装着されるテープフィーダ15ごとに設けられており、テープフィーダ15を上述の通り装着した際に、対応するテープフィーダ15のコネクタ39と電気的に接続されるようテープフィーダ15と1対1に対応づけられている。この結果、実装機本体10は、フィーダ用制御基板63を介してテープフィーダ15との間で情報の送受信がされるようになっている。そして、各フィーダ用制御基板63は、それぞれ対応するフィーダ取付台14aの各コネクタ64から送信される情報に基づいて、設置連番Nごとに、各テープフィーダ15のフィーダIDや、各テープフィーダ15の供給部品等を識別し、記憶するとともに、制御ユニット60に対し、テープフィーダ15側から送信される情報を中継し、テープフィーダ15の監視機能を奏することが可能になっている。
表示装置70は、液晶表示パネル等からなるモニタで具体化されたものである。
入力装置80は、キーボードやマウスなどのポインティングディバイスやバーコードリーダ等の総称である。
制御ユニット60は、実装機における実装動作を統括的に制御するものである。この制御ユニット60、表示装置70、入力装置80、補助記憶装置90等は、表面実装機に内蔵された本願発明のフィーダ選定ユニットの一例である。フィーダ選定ユニットは、ヘッドユニット18の吸着ノズル19aごとに、好適なテープフィーダ15を選定する機能を有する。以下、この機能について説明する。
まず、図8を参照して、補助記憶装置90には、テープフィーダ15の選定機能に必要なデータベースが構築されている。このデータベース100のデータは、制御ユニット60に実装(インストール)された図略のデータベースマネジメントシステム(DBMS)によって、制御ユニット60の制御に供されるようになっている。
データベース100は、フィーダ取付台テーブル101と、部品供給位置テーブル102と、ヘッドユニットテーブル103と、吸着ノズルテーブル104と、フィーダ型式テーブル105と、候補フィーダテーブル106と、フィーダ選定テーブル107とを備えている。これらのテーブル101〜107は、実体(エンティティ)と呼称されるデータの集まりである。テーブル101〜107は、一般にアトリビュートと呼称される列または項目(以下、アトリビュートは{}でくくって示す)と、タプルと呼称される行(以下、タプルの値は「」でくくって示す)とで構成されるマトリックス状に論理的に構成される。アトリビュートとは、テーブル101〜107に設定される項目(例えば、{設置連番N}{ノズルID}{ヘッドID}等)のことをいう。また、タプルとは、行ごとの情報(インスタンス)の集まりのことをいう。また、図において、(PK)は主キーを、(FK)は外部キーを、それぞれ表わしている。主キーは、テーブル101〜107内において、行を一意に識別する属性である。外部キーは、主キーと同じ値を持つことによって、当該主キーを有するテーブルのデータを参照するためのものである。さらに、図中の矢印は、テーブル間の関係(リレーションシップ)を表わしており、矢印の終点側のテーブルにある外部キーが矢印の起点側のテーブルにある主キーを参照していることを示している。
フィーダ取付台テーブル101は、フィーダ取付台14aに関するマスターテーブルである。フィーダ取付台テーブル101には、{取付台ID}を主キーとして、{原点X座標Pxo、部品供給Y座標Py}を含む項目が設定されている。{取付台ID}は、実装機本体10に設置されているフィーダ取付台14aを識別する識別情報を登録するための項目である。{原点X座標Pxo、部品供給Y座標Py}は、それぞれ、取付台IDごとに、原点X座標Pxo、部品供給Y座標Py(図6参照)を保存するための項目である。これらの項目の値を参照することにより、制御ユニット60は、取付台IDごとに、原点X座標Pxo、部品供給Y座標Py(図6参照)を識別することができるようになっている。なお、コネクタ64の識別子と、{取付台ID}に保存される識別情報とは、1対1で対応している。
部品供給位置テーブル102は、フィーダ取付台テーブル101の明細を示すマスターテーブルである。部品供給位置テーブル102には、{取付台ID、設置連番N}を主キーとして、{基準取付X座標PF、基準取付間隔SX、部品供給X座標Px}を含む項目が設定されている。また、{取付台ID}は、フィーダ取付台テーブル101の外部キーでもある。この外部キーを持たせて、部品供給位置テーブル102とフィーダ取付台テーブル101とを関連づけることにより、制御ユニット60は、取付台IDごと、設置連番Nごとに、図6で説明した種々の設置位置に関する情報(基準取付X座標PF、基準取付間隔SX、部品供給X座標Px)を取得することが可能になる。
ヘッドユニットテーブル103は、ヘッドユニット18に関するマスターテーブルである。ヘッドユニットテーブル103には、{ヘッドユニットID}を主キーとして、{ノズル数Sn}を含む項目が設定されている。{ヘッドユニットID}は、ヘッドユニット18を一意に識別する識別情報である。図示の例では、ヘッドユニット18は、1台のみ設置されているが、表面実装機の種類や構成によっては、複数のヘッドユニット18を備えた機種もあるので、ヘッドユニット18を一意に特定できるようにかかる設定がなされている。{ノズル数Sn}は、ノズルユニットの本数を表す数値を保存する項目である。
吸着ノズルテーブル104は、吸着ノズル19aに関するマスターテーブルである。吸着ノズルテーブル104には、{ノズルID}を主キーとして、{取付台ID、設置連番N、ヘッドユニットID、実測ノズルピッチMA}を含む項目が設定されている。このうち、{実測ノズルピッチMA}は、図6に示した実測ノズルピッチMAを保存するための項目である。また、{取付台ID、設置連番N}は、部品供給位置テーブル102のデータを参照するための外部キーである。この外部キーを持たせて、吸着ノズルテーブル104と部品供給位置テーブル102とを関連づけることにより、制御ユニット60は、取付台14a(取付台ID)ごと、設置連番Nごとに、吸着ノズル19aの実測ノズルピッチMAを対応させることが可能となる。また、{ヘッドユニットID}は、ヘッドユニットテーブル103を参照するための外部キーである。この外部キーを持たせて、吸着ノズルテーブル104とヘッドユニットテーブル103とを関連づけることにより、制御ユニット60は、ヘッドユニット18(ヘッドID)ごと、取付台14a(取付台ID)ごと、設置連番Nごとに、吸着ノズル19aの実測ノズルピッチMAを対応させることが可能となる。
フィーダ型式テーブル105は、テープフィーダ15に関する情報を保存するマスターテーブルである。フィーダ型式テーブル105には、{フィーダ型番}を主キーとして、{ノズルID、基準供給ピッチSPh}を含む項目が設定されている。{フィーダ型番}は、テープフィーダ15の型番(型式、或いは種類)を識別するための識別情報を保存する項目である。ある吸着ノズル19aには、当該吸着ノズル19aに適合した型式のテープフィーダ15をセットする必要があるので、型番ごとにテープフィーダを識別することとしているのである。また、{基準供給ピッチSPh}は、図6に示した供給ピッチSPhの基準値(基準供給ピッチ)を型番ごとに保存するための項目である。本実施形態においては、フィーダ型式テーブル105に{基準供給ピッチSPh}を持たせているので、個々のテープフィーダ15の実測供給ピッチMPhと比較することにより、当該テープフィーダ15の個体差に基づく誤差を知ることも可能となる。また、{ノズルID}は、吸着ノズルテーブル104を参照するための外部キーである。この外部キーを持たせて、フィーダ型式テーブル105と吸着ノズルテーブル104とを関連づけることにより、制御ユニット60は、例えば、図9に示したように、ヘッドユニット18(ヘッドID)ごと、取付台14a(取付台ID)ごと、設置連番Nごと、吸着ノズル19a(ノズルID)ごとに、テープフィーダ15の型番や、基準供給ピッチSPhを対応させることが可能となる。
候補フィーダテーブル106は、個々のテープフィーダ15に関する情報を型番ごとに保存するマスターテーブルである。候補フィーダテーブル106には、{フィーダID}を主キーとして、{フィーダ型番、実測供給ピッチMPh}を含む項目が保存されている。{実測供給ピッチMPh}は、図6で説明した実測供給ピッチMPhを保存するための項目である。また、{フィーダ型番}は、フィーダ型式テーブル105を参照するための外部キーである。この外部キーを持たせて、候補フィーダテーブル106とフィーダ型式テーブル105とを関連づけることにより、制御ユニット60は、例えば、図10に示したように、フィーダ型式ごとに、実測供給ピッチMPhを取得することが可能となる。
フィーダ選定テーブル107は、吸着ノズル19aと個々のテープフィーダ15との関連づけに関する情報を保存するためのトランザクションテーブルである。フィーダ選定テーブル107には、{ノズルID、フィーダID}を主キーとして、{許容値Am}が保存されている。{ノズルID}{フィーダID}は、それぞれ、吸着ノズルテーブル104、候補フィーダテーブル106を参照するための外部キーである。これらの外部キーを持たせて、フィーダ選定テーブル107と、吸着ノズルテーブル104及び候補フィーダテーブル106とを関連づけることにより、制御ユニット60は、例えば、図11に示したように、例えば、ヘッドユニットIDがHD-0123のヘッドユニット18に設けられた、ノズルIDがSN-0123-001〜SN-0123-008の各吸着ノズル19aについて、個別に許容値Amとテープフィーダ15(図11(B)に示すフィーダIDを有するもの)を関連づけて記憶することが可能となる。
フィーダ選定テーブル107の{許容値Am}は、制御ユニット60が実行するフィーダ選定処理を実行する際に、演算に利用されるパラメータを保存する項目である。この項目には、実測ノズルピッチMAと、隣接する部品t、t間の距離(セットピッチ)Sとの差が許容範囲であるか否かのしきい値(許容値)Amが保存される。
フィーダ選定処理は、実装機本体10を稼動させるのに先立って、ヘッドユニット18の各吸着ノズル19aごとに、好適なテープフィーダ15を選定するための処理である。
図6を参照して、ヘッドユニット18を稼動させ、部品tを吸着ノズル19aでピックアップする際、複数(図示の例では、8本)の吸着ノズル19aが一斉に部品供給Y座標Pyに配置され、同時に昇降して部品tをピックアップすることが好ましい。かかる動作を実現するためには、現実のノズルピッチ、即ち、実測ノズルピッチMAと、セットピッチSとが一致していることが必要となる。しかしながら、上述したように、現実のノズルピッチ自身にばらつきがあるとともに、現実のセットピッチSにもばらつきがある。そこで、本実施形態では、候補フィーダテーブル106から順次、候補となるテープフィーダ15を選定し、候補となるテープフィーダ15に係る実測供給ピッチをMPh(CFn)とした場合に、
S(N)=(Sx(N+1)+MPh(CFn))−(Sx(N)+MPh(N))
・・・(1)
を演算し、
Am≧|MA(N)−S(N)| ・・・(2)
を判定することにより、候補となるテープフィーダ15が、吸着ノズル19aに適合しているか否かを判定するようにしているのである。
なお、上述した各テーブル101〜107は、論理的な構造を示したものであり、物理的には、同一のデータファイルに複数のテーブルを実装してもよく、或いは、1つのデータテーブルを複数のデータファイルに実装してもよい。
次に、フィーダ選定処理の詳細について、説明する。
図6、図8、並びに図12を参照して、このフィーダ選定処理が実行されると、制御ユニット60は、ヘッド用制御基板62から、制御対象となるヘッドユニット18のヘッドユニットIDを取得し(ステップS101)、さらに、取得したヘッドユニットIDに基づいて、当該ヘッドユニット18に取り付けられた吸着ノズル19aのノズル数Snを取得する(ステップS102)。
次いで、制御ユニット60は、カウンタ変数のひとつである連番変数mを0に設定し(ステップS103)、m番のノズルIDに対応する候補フィーダ数Fnをカウントする。このカウントは、テーブル101〜106を結合して、対象となるテープフィーダ15の型式等を絞り込んだ後、当該型式と同じ型式のテープフィーダに係るタプルを候補フィーダテーブル106から抽出することにより、実行される。
次いで、制御ユニット60は、カウンタ変数のひとつである候補番号CFnを1に設定する(ステップS105)。次いで、制御ユニット60は、候補フィーダテーブル106から、CFn番のタプルを読み取り、実測供給ピッチMPh(CFn)を取得する一方、部品供給位置テーブル102からm番のタプルを読み取って、当該タプルに係る基準取付間隔SX(m)と、基準取付間隔SX(m+1)と、実測供給ピッチMPh(m+1)とを取得する(ステップS106)。ここで、m=0の場合、部品供給位置テーブル102のタプルは、存在しないので、基準取付間隔SX(m)は0として処理される。
次いで、制御ユニット60は、セットピッチSを前記(1)式に基づいて演算する(ステップS107)。m=0の場合、S(0)の演算結果は、図6のSX(1)+MPh(1)となる。
次いで、制御ユニット60は、実測ノズルピッチMA(m)と許容値Am(m)をそれぞれヘッドユニットテーブル103、フィーダ選定テーブル107から取得する(ステップS108)。ここで、m=0の場合、実測ノズルピッチMA(0)、許容値Am(0)は、何れも存在しない。そこで、図12のフローチャートでは、省略されているが、m=0の場合には、プログラムを分岐して、
実測ノズルピッチMA(0)=SX(1)+MPh(1) ・・・(3)
許容値Am(0)=0 ・・・(4)
にそれぞれ設定されるようにする。
次いで、制御ユニット60は、
Am(m)≧|MA(m)−S(m)| ・・・(5)
を判定する(ステップS109)。この判定でYESの場合には、制御ユニット60は、CFn番のフィーダIDをm+1番のヘッドユニットIDに関連づけて、フィーダ選定テーブル107にタプルを追加する(ステップS110)。これにより、設置連番Nがm+1のテープフィーダ15が、フィーダID=CFnのテープフィーダに決定される。
ステップS109において、m=0の場合、左辺は0であるが、S(0)、MA(0)は、ともに、SX(1)+MPh(1)であるので、右辺も0となる。従って、図示の実施形態では、最初に候補として選定したテープフィーダ15がそのまま、採用されることになる。
ステップS110を実行した後、制御ユニット60は、連番変数mをインクリメントし(ステップS111)、残りの吸着ノズル19aが存在するか否かを判定する(ステップS112)。この判定では、インクリメントした連番変数mとステップS102で取得したノズル数Snに基づいて、
m>Sn−1 ・・・(6)
を判定する。(6)式で、Sn−1としているのは、ステップS103において、連番変数mの初期値を0にしているからである。
仮に、(6)式が成立した場合、処理を終了する。一方、(6)式が不成立の場合、制御ユニット60は、ステップS104に移行し、上述した処理を繰り返す。
連番変数mが1以上の処理においては、ヘッドユニットテーブル103には、Sx(m)、Sx(m+1)の値が存在する。また、フィーダ選定テーブル107には、Am(m)の値と、MPh(m)を候補フィーダテーブル106から参照するための外部キーが存在する。そのため、ステップS106、S108を実行する際には、ステップS110で関連づけられたテープフィーダ15の実測供給ピッチMPhを元に得られたセットピッチS(m−1)に基づいて、次のセットピッチS(m)が演算されることになる。
なお、ステップS109において、(5)式が不成立の場合、制御ユニット60は、候補番号CFnをインクリメントし(ステップS113)、候補フィーダテーブル106に別の候補があるか否かを判定する(ステップS114)。仮に、候補となるテープフィーダ15がない場合、制御ユニット60は、表示装置70にエラーを表示し(ステップS115)、処理を終了する。なお、エラー表示の際、表示装置70に、候補として検討したテープフィーダ15の検討結果を表示するようにしてもよい。具体的には、ステップS109においてなされた(5)式の右辺の演算結果を当該テープフィーダ15のフィーダIDとともに表示するようにしてもよい。オペレータは、表示装置70の表示に基づいて、エラーとなったm番目のテープフィーダ15を調達し、フィーダ選定処理を再開する処理を別のプログラムで実行する。フィーダ選定処理を再開するときは、連番変数mの値を記憶しておき、当該連番変数mに基づいて、ステップS111以降の処理を実行するようにしてもよい。或いは、フィーダ選定テーブル107を参照し、候補フィーダテーブル106の外部キーが設定されているものについては、処理を省略して外部キーが設定されていないものだけについて演算を実行するようにしてもよい。
図11を参照して、同図(A)に示すように、フィーダ選定テーブル107は、外部キーである{フィーダID}の値が全く設定されていない状態になっている。これに対し、図12の処理を実行することにより、同図(B)に示すように、フィーダ選定テーブル107の{フィーダID}には、「STK-FD-00A-001、STK-FD-00A-004、STK-FD-00A-008、STK-FD-00A-009・・・」といった値が入力され、候補フィーダテーブル106に登録されているテープフィーダ15を吸着ノズル19aと関連づけて特定することができるようになっている。
次に、フィーダチェック処理について説明する。このフィーダチェック処理では、テープフィーダ15からの情報と、制御ユニット60の補助記憶装置90に記憶されている情報とに基づき、既にフィーダ取付台14aに装着されたテープフィーダ15が、同時吸着のために好適なものであるか否かを判定する処理である。
図6、図8、並びに図13を参照して、このフィーダチェック処理が実行されると、制御ユニット60は、ヘッド用制御基板62から、制御対象となるヘッドユニット18のヘッドユニットIDを取得し(ステップS120)、さらに、取得したヘッドユニットIDに基づいて、当該ヘッドユニット18に取り付けられた吸着ノズル19aのノズル数Snを取得する(ステップS121)。次いで、制御ユニット60は、連番変数mを1に設定する(ステップS122)。
次いで、制御ユニット60は、連番変数mに対応する設置連番Nについて、テープフィーダ15の制御基板40の記憶部40bに記憶されているフィーダIDを取得し、その値をCKとする(ステップS123)。一方、制御ユニット60は、吸着ノズルテーブル104とフィーダ選定テーブル107を参照し、フィーダ選定テーブル107から設置連番N(=m)に対応するフィーダID(m)を取得する(ステップS124)。そして、制御ユニット60は、ステップS123の値CKとフィーダ選定テーブル107から取得したフィーダID(m)の値とを比較する(ステップS125)。
仮にCK=フィーダID(m)の場合、フィーダ取付台14aに取り付けられたテープフィーダ15は、フィーダ選定処理で選定したテープフィーダ15であると判断されるので、制御ユニット60は、表示装置70に正しいテープフィーダ15が装着されている旨、表示する(ステップS126)。その後、制御ユニット60は、連番変数mをインクリメントし(ステップS127)、残りの吸着ノズル19aが存在するか否かを判定する(ステップS128)。この判定では、インクリメントした連番変数mとステップS121で取得したノズル数Snに基づいて、
m>Sn ・・・(8)
を判定する。(8)式では、設置連番Nと連番変数mとを一致させる必要があるので、連番変数mとノズル数Snとを直接比較している。
仮に、(8)式が成立した場合、処理を終了する。一方、(8)式が不成立の場合、制御ユニット60は、ステップS123に移行し、上述した処理を繰り返す。
ステップS125の判定において、仮にCK≠フィーダID(m)の場合、制御ユニット60は、判定サブルーチンを実行する(ステップS130)。仮に、フィーダ選定処理で選定したテープフィーダ15と同一物でなくても、チェック対象に係る吸着ノズル19aに適合可能な等価のテープフィーダ15が設置されている場合があるからである。
この判定サブルーチンでは、ステップS123で取得したフィーダIDに係る実測供給ピッチをMPh(CK)とし、図12のステップS106〜S108中のMPh(CFn)をMPh(CK)に置き換えて、同ステップS106〜S108と原理的に同一の処理が実行される。この処理により、判定サブルーチンでは、ステップS123で取得したフィーダIDに係るセットピッチS(m)が演算される。その後、制御ユニット60は、図12のステップS109と同様に、ステップS123で取得したフィーダIDに基づくセットピッチS(m)の適否を判定し(ステップS131)、実測ノズルピッチMA(m)とセットピッチS(m)の差分が許容値Am(m)以下である場合には、ステップS126以下に移行する一方、実測ノズルピッチMA(m)とセットピッチS(m)の差分が許容値Am(m)を越えている場合には、当該テープフィーダ15について、不適合の表示を実行し(ステップS132)、ステップS127以下に移行する。
以上のような処理をフィーダ取付台14aごとに実行することにより、各フィーダ取付台14aに装着された各テープフィーダ15の適否を判定し、表示装置70に表示することが可能となる。この表示により、オペレータは、フィーダ取付台に装着されたテープフィーダ15が同時吸着に適しているか否かを知ることが可能となる。従って、仮に装着したテープフィーダ15が不適であった場合、オペレータは、同一種類のテープフィーダ15から異なるものに取り替えたり、或いは、データベースに設定されているフィーダIDを有するテープフィーダ15に取り替えたりする等として、同時吸着に好適なテープフィーダ15を用いて実装準備を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ヘッドユニット18の個体差に応じて、好適なテープフィーダ15を選定し、もって、同時吸着を可能とすることができる。すなわち、同一機種、同一品番のヘッドユニット18であっても、吸着ノズル19aのノズルピッチ(実測ノズルピッチMA)は、個体差によって、多少のばらつきを有している。一方、テープフィーダ15においても、個体差によって、供給ピッチ(実測供給ピッチMPh)は、多少のばらつきを有している。そこで、個々のノズルピッチの誤差を相殺するような供給ピッチを有するテープフィーダ15を選定することにより、現実のノズルピッチと現実のセットピッチSとが一致し、当該吸着ノズル19aは、対応するテープフィーダ15が供給した電子部品の真上に位置することが可能となる。かかるテープフィーダ15の選定が吸着ノズル19aごとになされることにより、特別な駆動装置を設けて寸法差を吸収することなく、各吸着ノズル19aを一斉に対応する部品供給位置(部品供給X座標Px、部品供給Y座標Py)で昇降させて電子部品を同時にピックアップすることが可能となる。
また、本実施形態では、実測ノズルピッチMAごとに部品供給位置のX成分である部品供給X座標Pxから許容されるずれ量を許容値Amとして記憶するフィーダ選定テーブル107をさらに備え、制御ユニット60は、吸着ノズル19aごとに、候補となるテープフィーダ15のフィーダIDを候補フィーダテーブル106に記憶されているものの中からひとつずつ選定する処理と、選定したフィーダIDに係るテープフィーダ15の実測供給ピッチMPhに基づいて、当該テープフィーダ15に対応する吸着ノズル19aに係る実測ノズルピッチMAに対応するセットピッチSを演算する処理と、演算されたセットピッチSとこのセットピッチSに対応する実測ノズルピッチMAとの差分を求める処理と、差分とフィーダ選定テーブル107に記憶されている許容値Amとを比較する処理とを実行し、差分が許容値Am以下の場合は、当該候補として選定したテープフィーダ15を当該テープフィーダ15に対応する吸着ノズル19aに適合するものとして選定する一方、差分が許容値Amを越える場合は、別のテープフィーダ15を候補フィーダテーブル106から選定して、上述した処理を繰り返すものである。このため本実施形態では、吸着ノズル19aに要求される精度に応じてノズルピッチごとに許容値Amを設定しておくことが可能になるので、ヘッドユニット18の個体差に応じて好適で精度の高い選定を実現することが可能となる。
また、本実施形態では、吸着ノズル19aの識別情報としてのノズルIDと、吸着ノズル19aに適合するテープフィーダ15のフィーダIDとを関連づけて記憶するフィーダ選定テーブル107をさらに備え、制御ユニット60は、候補フィーダテーブル106から選定されたフィーダIDをフィーダ選定テーブル107に登録するものである。このため本実施形態では、フィーダ選定テーブル107に、吸着ノズル19aごとに関連づけられたフィーダIDが保存されるので、そのフィーダIDに基づいて、表面実装機に現実に装着されたテープフィーダ15の適合性を判定することが可能となる。
また、本実施形態では、フィーダ取付台14aに設けられ、フィーダ取付台14aに装着されたテープフィーダ15から、当該テープフィーダ15のフィーダIDを読み取る読取手段(コネクタ64、制御基板63等)と、この読取手段(コネクタ64、制御基板63等)が読み取ったテープフィーダ15の識別情報としてのフィーダIDが、当該テープフィーダ15に対応する吸着ノズル19aについてフィーダ選定テーブル107に関連づけて記憶されているフィーダIDと適合しているか否かを判定する判定手段(制御ユニット60、または制御基板62若しくは制御基板63の主制御部)と、判定手段の判定結果を表示する表示装置70とをさらに備えている。このため本実施形態では、個々の吸着ノズル19aに適合した好適なテープフィーダ15を選定することができるばかりでなく、実際にフィーダ取付台14aに取り付けたテープフィーダ15が、当該吸着ノズル19aに適合したものであるか否かを識別することができる。従って、表面実装機を稼動する前に、テープフィーダ15の適合性を判定し、複数部品の同時吸着を阻害する要因を事前に検知、除去することが可能となる。
また、本実施形態の別の側面は、複数の吸着ノズル19aが並設されたヘッドユニット18と、ヘッドユニット18に部品を供給する複数のテープフィーダ15を設置するフィーダ取付台14aとを備えた表面実装機において、テープフィーダ15の選定ユニットと、テープフィーダ15の選定ユニットによって選定されたテープフィーダ15を表示する表示手段とを備えていることを特徴とする表面実装機である。このため本実施形態では、テープフィーダ15をフィーダ取付台14aに装着する際に、テープフィーダ15の選定ユニットの選定したテープフィーダ15を参照しながらテープフィーダ15をフィーダ取付台14aに装着することができる。従って、個々の吸着ノズル19aに対し、好適なテープフィーダ15を選定することができ、複数部品の同時吸着を可及的に可能ならしめることができる。
また、本実施形態のさらに別の側面は、複数の吸着ノズル19aで同時吸着を実行する表面実装機のフィーダ取付台14aに着脱可能に設置されるテープフィーダ15において、自機(テープフィーダ15自身)の識別情報と、フィーダ取付台14aに設定された基準取付X座標PFから自機に設定される部品供給位置(部品供給X座標Px)までの実測値である実測供給ピッチMPhとを含む情報とを通信可能に記憶する記憶部40bと、記憶部40bに記憶された情報を表面実装機の制御手段と通信可能に接続されるコネクタ39とを備えていることを特徴とするテープフィーダ15である。このため本実施形態では、テープフィーダ15ごとに当該テープフィーダ15の識別番号と実測供給ピッチMPhとが記憶部40bに記憶されているとともに、この記憶部40bに記憶された情報が表面実装機の制御ユニット60と通信可能に接続されるので、表面実装機は、記憶部40bに記憶されている情報に基づき、当該テープフィーダ15が対応する吸着ノズル19aに適合しているか否かを判定することが可能となる。
このように、本実施形態によれば、特別な駆動装置を設けて寸法差を吸収することなく、吸着ノズル19aを一斉に対応する部品供給位置(部品供給X座標Px)で昇降させて電子部品を同時にピックアップすることが可能になるという顕著な効果を奏する。
上述した実施形態は、本発明の好ましい具体例に過ぎず、本発明は、上述した実施形態に限定されない。
例えば、本発明の別の実施形態は、複数の吸着ノズル19aが並設されたヘッドユニット18と、ヘッドユニット18に部品を供給する複数のテープフィーダ15と、各テープフィーダ15を設置するフィーダ取付台14aとを備えた表面実装機において、テープフィーダ15に設けられ、当該テープフィーダ15のフィーダIDと、実測供給ピッチMPhとを含む情報とを通信可能に記憶する記憶部40bと、吸着ノズル19a同士の並設間隔の実測値である実測ノズルピッチMAに関する情報をヘッドユニット18ごとに記憶する吸着ノズルテーブル104と、フィーダ取付台14aに設けられ、フィーダ取付台に装着されたテープフィーダ15から、当該テープフィーダ15のフィーダIDと、実測供給ピッチMPhに関する情報とを読み取る読取手段(コネクタ64、制御基板63等)と、吸着ノズルテーブル104に記憶された情報と読取手段(コネクタ64、制御基板63等)が読み取った情報とに基づいて、使用されるヘッドユニット18の実測ノズルピッチMAと当該実測ノズルピッチMAに対応するセットピッチSとが適合しているか否かを判定する判定手段としての制御ユニット60と、この制御ユニット60の判定結果を表示する表示装置70とを備えている表面実装機である。
この態様は、具体的には、上述した表面実装機の制御ユニット60に、さらなるプログラムを追加して、図14のフローチャートに基づく処理を実行可能としたものである。
この態様に係る実施形態について、図14に基づき、詳述する。
図14では、図13で説明したフィーダ選定処理のうち、ステップS123以降が変更されている。
図14を参照して、同図に示す実施形態では、制御ユニット60は、連番変数mを1に設定した後(ステップS122)、テープフィーダ15の各制御基板40から、設置連番がm、m+1に係るテープフィーダ15の実測供給ピッチMPh(m)、MPh(m+1)を取得する(ステップS140)。次いで、制御ユニット60は、部品供給位置テーブル102からm番のタプルを読み取って、当該タプルに係る基準取付間隔SX(m)と、基準取付間隔SX(m+1)とを取得する(ステップS141)。その後、制御ユニット60は、前記(1)式に基づいて、セットピッチS(m)=(Sx(m+1)+MPh(m+1))−(Sx(m)+MPh(m))を演算する(ステップS142)。その後、制御ユニット60は、実測ノズルピッチMA(m)と許容値Am(m)をそれぞれヘッドユニットテーブル103、フィーダ選定テーブル107から取得する(ステップS143)。その後、制御ユニット60は、ステップS142で演算したS(m)とフィーダ選定テーブル107から取得したMA(m)の値とに基づいて、前記(5)式を判定する(ステップS144)。
ステップS144の判定結果が真である場合、制御ユニット60は、図12のステップS126以下と同様の処理を実行する。一方、ステップS144の判定結果が偽である場合、その後は、積算結果が狂うので、制御ユニット60は、当該テープフィーダ15について、不適合の表示を実行し(ステップS145)、処理を終了する。
以上のような処理をフィーダ取付台14aごとに実行することにより、各フィーダ取付台14aに装着された各テープフィーダ15の適否を判定し、表示装置70に表示することが可能となる。
ところで、上述した実施形態では、実装機本体10の制御ユニット60が選定手段や判定手段として機能していた。しかしながら、選定手段や判定手段は、他のユニットによっても実現可能である。例えば、上述したように、本実施形態に係る実装機本体10は、ヘッドユニット18の制御ユニット26と通信可能に接続されたヘッド用制御基板62を備えている。また、フィーダ取付台14aごとに、テープフィーダ15の監視機能を有するフィーダ用制御基板63を備えている。そこで、これらの制御基板62、63に、補助記憶装置90に記憶したデータベース100を共有させることにより、図12〜図14を実行することが可能となる。なお、データベース100の共有方法としては、制御ユニット60と通信して直接補助記憶装置90にアクセスさせる方法を採用してもよく、或いは、必要なテーブルをセミジョイン法等によって取得し、ミラーサイトを制御基板62または制御基板63の記憶部に構築する方法を採用してもよい。
また、補助記憶装置80のデータベース100は、実装機本体10に接続されるものに限らず、実装機本体10と通信可能な他のコンピュータの補助記憶装置に構築してもよい。また、その場合には、他のコンピュータをテープフィーダの選定ユニットとして具体化することも可能である。
さらに、上述した実施形態に係る選定手段、判定手段では、実測された値(実測ノズルピッチ、実測供給ピッチ)に基づいて、演算処理を実行しているが、本発明はこれに限らず、誤差(基準となるノズルピッチと実測ノズルピッチの差、或いは、基準供給ピッチと実測供給ピッチの差)に基づいて選定処理、またはチェック処理を実行する方法を採用してもよい。
さらに、データベース100についても、単一の記憶装置に持たせる必要はなく、物理的に分散されていてもよい。
その他、本願の特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることは、いうまでもない。