以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、電子部品実装装置10の概略平面図を示すもので、電子部品実装装置10は、基板搬送装置11と、トレイ型部品供給装置13と、フィーダ型部品供給装置14と、部品装着装置15を備えている。
基板搬送装置11は、基台20上に設けられ、回路基板21を搬送するベルトコンベア22を備え、回路基板21をベルトコンベア22に沿って搬送して基板保持装置12上に搬入するとともに、基板保持装置12より搬出するものである。基板保持装置12は、図示を省略するが、回路基板21を下方から支持する基板支持装置と、回路基板21を位置決め保持する位置決め保持装置とを含んでいる。図1においては、基板搬送方向をX軸方向とし、基板搬送方向と直交する方向をY軸方向としている。
トレイ型部品供給装置13とフィーダ型部品供給装置14は、Y軸方向に互いに隔たって、基板搬送装置11の両側に設けられている。トレイ型部品供給装置13は、電子部品を複数のトレイ23に収容して供給するものであり、トレイ23には、XY方向に多数の電子部品が配列されている。トレイ型部品供給装置13は、供給装置本体としての台車24を備え、台車24は電子部品実装装置10に対して連結可能かつ切り離し可能となっている。
一方、フィーダ型部品供給装置14は、電子部品を複数のフィーダ25に収容して供給するものであり、フィーダ支持テーブルとしての台車26を備え、台車26は電子部品実装装置10に対して連結可能かつ切り離し可能となっている。複数のフィーダ25は、フィーダ支持テーブル(台車)26にX軸方向に並設して着脱可能に装着されている。
各フィーダ25には、図示を省略したが、リールが取付けられ、リールに多数の電子部品を間隔を有して一列に収容したテープが巻回されている。テープはモータを駆動源とする送り出し手段によって送り出され、電子部品を部品供給位置に順次供給するようになっている。
部品装着装置15は、電子部品実装装置10の基台20の上方位置にX軸方向に移動可能に支持されたX軸スライド31と、X軸スライド31上にY軸方向に移動可能に支持されたY軸スライド32と、Y軸スライド32上に設けられた装着ヘッド33とを備えている。装着ヘッド33には、後述するように、電子部品を吸着保持する複数の吸着ノズルが設けられている。X軸スライド31およびY軸スライド32は、X軸モータ116(図10参照)およびY軸モータ117(図10参照)によってそれぞれ移動され、装着ヘッド33をXY平面内の任意の位置へ移動できるようにしている。
次に装着ヘッド33の具体的構成を図2、図3および図4に基づいて説明する。なお、図2は、装着ヘッド33を全体として下面から見た平面図であるが、主として、各部の平面的な配置関係を明らかにする概要図である。
図3および図4において、装着ヘッド33には、複数(実施の形態においては2つ)の第1吸着ノズル34A、34Bを備えた第1のノズルユニット35と、複数(実施の形態においては2つ)の第2吸着ノズル36A、36Bを備えた第2のノズルユニット37が具備されている。
第1のノズルユニット35は、装着ヘッド33のヘッド本体38に固定され、第2のノズルユニット37は、装着ヘッド33のヘッド本体38にX方向に移動可能に支持され、第2のノズルユニット37のX方向移動によって、図5に示すように、第1吸着ノズル34A、34Bと第2吸着ノズル36A、36Bとのノズル間ピッチX1が、XminとXmaxとの間で自在に変更できるようになっている。
図3において、第1のノズルユニット35側の装着ヘッド33のヘッド本体38の上部には、上部固定ブロック39a、39bが固定され、ヘッド本体38の下部には、下部固定ブロック40が固定されている。下部固定ブロック40には、複数(2つ)の第1ノズル保持軸41A、41BがY軸方向に所定距離Y1離間して鉛直軸線と平行に保持されている。第1ノズル保持軸41A、41Bは、下部固定ブロック40に、それぞれZ軸方向(上下方向)に移動可能に、かつZ軸回りに回転可能に支持されている。第1ノズル保持軸41A、41Bの外周には、スプラインがそれぞれ形成されている。
ヘッド本体38には、第1ノズル保持軸41A、41Bと平行に第1ボールねじ軸44A、44Bがそれぞれ回転可能に支持され、これら第1ボールねじ軸44A、44Bに送りナット45A、45Bがそれぞれ螺合されている。これら送りナット45A、45Bは、図略のガイドバーによってヘッド本体38に対して昇降のみ可能に回り止めされており、これによって送りナット45A、45Bは、第1ボールねじ軸44A、44Bの回転によってZ軸方向(上下方向)に移動されるようになっている。
各送りナット45A、45Bには、第1ノズル保持軸41A、41Bの上端部をそれぞれ回転のみ可能に支持する支持ブロック46A、46Bが固定され、送りナット45A、45BのZ軸方向移動により、支持ブロック46A、46Bを介して第1ノズル保持軸41A、41BがZ軸方向に一体的に昇降移動されるようになっている。
また、ヘッド本体38には、第1ボールねじ軸44A、44Bとそれぞれ平行に第1ノズル昇降用モータ47A、47Bが設置されている。第1ノズル昇降用モータ47A、47Bのモータ軸47A1、47B1には、駆動ギヤ48A、48Bがそれぞれ連結され、これら駆動ギヤ48A、48Bは、第1ボールねじ軸44A、44Bの各一端に連結された従動ギヤ49A、49Bに噛合されている。
これにより、ヘッド本体38に設置された第1ノズル昇降用モータ47A、47Bが駆動されると、第1ボールねじ軸44A、44Bが回転され、送りナット45A、45Bとともに第1ノズル保持軸41A、41Bが昇降される。
下部固定ブロック40には、第1ノズル保持軸41A、41Bの外周にスプライン係合された従動ギヤ50A、50Bがそれぞれ回転可能に支持され、これら従動ギヤ50A、50Bは、その間に配置された共通の駆動ギヤ51に常時噛合されている。ヘッド本体38には、第1ノズル保持軸41A、41Bと平行に第1ノズル回転用モータ52が設置されている。第1ノズル回転用モータ52のモータ軸には駆動ギヤ51が連結され、これにより、第1ノズル回転用モータ52の回転によって第1ノズル保持軸41A、41Bが互いに反対方向に回転される。
第1ノズル保持軸41A、41Bの各下端には、電子部品を吸着保持する第1吸着ノズル34A、34Bがそれぞれ取付けられている。第1ノズル保持軸41A、41Bの中心部には、図6に示すように、第1吸着ノズル34A、34Bに負圧あるいは正圧を導入するエア導入穴56A、56Bが形成されている。第1ノズル保持軸41A、41Bには、エア導入管路57A、57Bがそれぞれ相対摺動可能に嵌合され、これらエア導入管路57A、57Bの下端は、エア導入穴56A、56B内に開口されている。エア導入管路57A、57Bの上端部は、上部固定ブロック39aにそれぞれ一体的に連結されている。
上部固定ブロック39aには、エア導入管路57A、57Bに連通するエア供給路58A、58Bが形成され、これらエア供給路58A、58Bは図示してないが各々の切替弁を介してエア供給源に接続されている。これにより、エア供給源より切替弁を介してエア供給路58A、58Bに同時にあるいは個別にエア(負圧エアあるいは正圧エア)を供給できるようにしている。
エア供給路58A、58Bに供給されたエアは、エア導入管路57A、57Bおよびエア導入穴56A、56Bを介して第1吸着ノズル34A、34Bに導入され、第1吸着ノズル34A、34Bによって電子部品を吸着あるいは解放できるようになっている。
一方、第2のノズルユニット37側のヘッド本体38の上部には、図4に示すように、一対の上部ガイドレール75がX軸方向に沿って設置され、ヘッド本体38の下部には、一対の下部ガイドレール76がX軸方向に沿って設置されている。これらガイドレール75、76には、各一対のスライド部材77、78がそれぞれX軸方向に移動可能に案内支持されている。各スライド部材77、78には、上部可動ブロック61a、61bおよび下部可動ブロック62がそれぞれ固定されている。
下部可動ブロック62には、複数(2つ)の第2ノズル保持軸(可動ノズル保持軸)63A、63BがY軸方向に所定距離Y1離間して第1ノズル保持軸41A、41Bと平行に保持されている。これら第2ノズル保持軸63A、63Bは、第1ノズル保持軸41A、41Bに対してX軸方向に所定ピッチX1(図5参照)離間されており、可動ブロック61a、61b、62のX方向移動によって第1ノズル保持軸41A、41Bとの軸間ピッチを自由に変更できるようになっている。第2ノズル保持軸63A、63Bは、下部可動ブロック62に、それぞれZ軸方向(上下方向)に移動可能に、かつZ軸回りに回転可能に支持されている。第2ノズル保持軸63A、63Bの外周には、スプラインがそれぞれ形成されている。
ヘッド本体38には、第2ノズル保持軸63A、63Bと平行に第2ボールねじ軸64A、64Bがそれぞれ回転可能に支持され、これら第2ボールねじ軸64A、64Bに送りナット65A、65Bがそれぞれ螺合されている。これら送りナット65A、65Bは、図略のガイドバーによってヘッド本体38に対して昇降のみ可能に回り止めされており、これによって送りナット65A、65Bは、第2ボールねじ軸64A、64Bの回転によってZ軸方向に移動されるようになっている。
各送りナット65A、65Bには、図7に示すように、Y方向に沿って延在するガイド溝部95A、95Bを形成した断面コ字形をなすガイド部材96A、96Bが固定されている。これらガイド部材96A、96Bのガイド溝部95A、95Bには、スライド部材97A、97Bに支持されたフォロアローラ98A、98Bが、X方向に転動可能に係合されている。
スライド部材97A、97Bは、可動ブロック61a、61b、62に取付けられたガイドバー99A、99B(図2参照)により、可動ブロック61a、61b、62に対して昇降のみ可能に回り止めされており、これらスライド部材97A、97Bに、第2ノズル保持軸63A、63Bの上端部が回転のみ可能に支持されている。
これにより、第2のノズルユニット37のX方向移動は許容しながら、送りナット65A、65BのZ軸方向移動により、ガイド部材96A、96Bおよびスライド部材97A、97Bを介して、第2ノズル保持軸63A、63BをZ軸方向に一体的に昇降移動できるようになっている。
ヘッド本体38には、第2ボールねじ軸64A、64Bとそれぞれ平行に第2ノズル昇降用モータ66A、66Bが設置されている。第2ノズル昇降用モータ66A、66Bのモータ軸には、駆動ギヤ68A、68Bがそれぞれ連結され、これら駆動ギヤ68A、68Bは、第2ボールねじ軸64A、64Bの各一端に連結された従動ギヤ69A、69Bに噛合されている。これにより、ヘッド本体38に設置された第2ノズル昇降用モータ66A、66Bにより、第2ボールねじ軸64A、64Bが回転されると、これに螺合する送りナット65A、65Bとともに第2ノズル保持軸63A、63Bが一体的に昇降されるようになる。
上記した第1および第2ノズル昇降用モータ47A、47B、66A、66Bならびに第1および第2ボールねじ軸44A、44B、64A、64B等によって、第1および第2ノズル保持軸41A、44B、63A、63Bならびに第1および第2吸着ノズル34A、34B、36A、36BをZ軸方向に昇降する昇降駆動手段を構成している。
このように、第2のノズルユニット37側の昇降駆動手段(第2ボールねじ軸64A、64Bおよび第2ノズル昇降用モータ66A、66B)が、第2のノズルユニット37と切り離されて、ヘッド本体38に固定的に設置されているので、第2のノズルユニット37のX方向に移動する可動部分の重量を軽減することができる。
下部可動ブロック62には、第2ノズル保持軸63A、63Bの外周にスプライン係合された従動ギヤ70A、70Bがそれぞれ回転可能に支持され、これら従動ギヤ70A、70Bは、その間に配置された共通の駆動ギヤ71に常時噛合されている。
ヘッド本体38には、第2ノズル保持軸63A、63Bと平行に第2ノズル回転用モータ72が設置されている。第2ノズル回転用モータ72のモータ軸には駆動ギヤ71が連結され、これにより、第2ノズル回転用モータ72の回転によって第2ノズル保持軸63A、63Bが互いに反対方向に回転されるようになっている。
第2ノズル保持軸63A、63Bの各下端には、電子部品を吸着保持する第2吸着ノズル36A、36Bがそれぞれ取付けられている。第2ノズル保持軸63A、63Bの中心部には、図7に示すように、第2吸着ノズル36A、36Bに負圧あるいは正圧を導入するエア導入穴87A、87Bが形成されている。第2ノズル保持軸63A、63Bには、エア導入管路88A、88Bがそれぞれ相対摺動可能に嵌合され、これらエア導入管路88A、88Bの下端は、エア導入穴87A、87B内に開口されている。エア導入管路88A、88Bの上端部は、上部可動ブロック61bにそれぞれ一体的に連結されている。
上部可動ブロック61bには、エア導入管路88A、88Bに連通するエア供給路89A、89Bが形成されている。エア供給路89A、89Bは、後述するエア流通手段を介してエアが供給されるようになっている。これらエア供給路89A、89Bは図略の切替弁を介してエア供給源に接続されている。これにより、エア供給源より各々の切替弁を介してエア供給路58A、58Bに同時にあるいは個別にエア(負圧エアあるいは正圧エア)を供給できるようになっている。
エア供給路89A、89Bに供給されたエアは、エア導入管路88A、88Bおよびエア導入穴87A、87Bを介して第2吸着ノズル36A、36Bに導入され、第2吸着ノズル36A、36Bによって電子部品を吸着あるいは解放できるようになっている。
ヘッド本体38には、図8に示すように、支持ブラケット79が固定され、この支持ブラケット79に第3ボールねじ軸80がX方向と平行な軸線の回りに回転可能に支持されている。第3ボールねじ軸80には、送りナット81が螺合され、送りナット81は図略のガイドバーによってX方向にのみ移動可能に回り止めされており、送りナット81は第3ボールねじ軸80の回転によってX方向に移動されるようになっている。送りナット81は、連結ブロック82を介して下部可動ブロック62に一体的に連結されている。
また、支持ブラケット79には、ピッチ変更用モータ83が第3ボールねじ軸80と平行に取付けられている。ピッチ変更用モータ83のモータ軸83aには、駆動ギヤ85が連結され、駆動ギヤ85は、第3ボールねじ軸80の一端に連結された従動ギヤ86に噛合されている。これにより、ピッチ変更用モータ83によって第3ボールねじ軸80が回転されると、これに螺合する送りナット81とともに下部可動ブロック62を介して第2のノズルユニット37が下部ガイドレール76に沿ってX方向に移動されるようになっている。
上記したピッチ変更用モータ83および第3ボールねじ軸80等によって、ノズル間ピッチ変更手段を構成し、当該ノズル間ピッチ変更手段と、第2のノズルユニット37により、第1のノズルユニット35に対してノズル間ピッチを変更可能なノズル間ピッチ可変機構を構成している。なお、ノズル間ピッチ可変機構の可動部は、第2のノズルユニット37のうち、上記した昇降駆動手段(第2ノズル昇降用モータ66A、66Bおよび第2ボールねじ軸64A、64B)を除いたものからなる。
上部可動ブロック61bと、ヘッド本体38に固定された上部固定ブロック39bとの間には、固定ブロック39b側から可動ブロック61b側に、すなわち、第1のノズルユニット35側から第2のノズルユニット37側にエアを流通するエア流通手段90が設けられている。エア流通手段90は、図2および図9に示すように、上部固定ブロック39bに形成された一対のエア供給路91A、91Bと、上部可動ブロック61bに形成された一対のエア導入路92A、92Bと、エア供給路91A、91Bとエア導入路92A、92Bとをそれぞれ連結する一対のエア管路93A、93Bを有している。
一対のエア供給路91A、91Bは、連通路100A、100B(100Bは図示省略)および各々の切替弁を介してエア供給源に接続され、エア供給源より各切替弁および連通路100A、100Bを介してエア供給路91A、91Bに同時にあるいは個別に負圧エアあるいは正圧エアが供給されるようになっている。
一対のエア供給路91A、91Bは、Y方向に所定距離離間され、X方向に延在されて一端が上部可動ブロック61bに向けて開口され、その開口端に嵌合ブッシュ94A、94Bが固定されている。一対のエア導入路92A、92Bは、Y方向に所定距離離間して形成され、各一端に一対のエア管路93A、93Bの基端部が固定されている。一対のエア管路93A、93Bは、嵌合ブッシュ94A、94BにそれぞれX方向に摺動可能に嵌合され、第2のノズルユニット37のX方向移動に拘らず、エア供給路91A、91Bに供給されたエアを、フレキシブルなエアホースを用いずにエア導入路92A、92Bに導入できるようにしている。
上記したように、エア流通手段90として、従来のようなエアホースを用いていないため、第1のノズルユニット35の吸着ノズル34A、34Bと、第2のノズルユニット37の吸着ノズル36A、36Bのノズル間ピッチを変更するために、ピッチ変更用モータ83によって第2のノズルユニット37がX方向に移動されても、従来のようにエアホースが振られることによる悪影響が生ずることがなく、吸着ノズル36A、36Bの先端位置が変位することがない。
さらに、上部固定ブロック39bと上部可動ブロック61bとの間には、図2に示すように、付勢手段としての圧縮スプリング101がガイドバー102の周りにX方向に沿って配設されている。圧縮スプリング101は、第1のノズルユニット35に対して第2のノズルユニット37を離間する方向に付勢し、第3ボールねじ軸80とこれに螺合する送りナット81との間に遊び(隙間)があっても、第2のノズルユニット37の停止位置のばらつきを小さくし、ノズル間ピッチの再現性を確保できるようにしている。
これによって、ノズル間ピッチを変更するために、第2のノズルユニット37がピッチ変更用モータ83によって所定量移動されても、ボールねじ軸80と送りナット81との遊び等に係らず、第2のノズルユニット37の停止位置のばらつきを小さくすることができる。この結果、ノズル間ピッチの再現性を確保でき、吸着ノズル36A、36Bの位置決め精度を向上することができる。
図1に示すように、Y軸スライド32上には、CCDカメラからなる基板撮像装置97が設けられており、基板撮像装置97は、部品装着装置15の所定位置に位置決めされた回路基板21上に設けられた図略の基板位置基準マークおよび基板IDマークを撮像し、基板位置基準情報および基板ID情報を取得するようになっている。そして、基板撮像装置97によって取得された基板位置基準情報に基づいて、装着ヘッド33を回路基板21に対してXY方向に位置補正するとともに、基板ID情報に基づいて、電子部品の実装作業を制御するようになっている。
また、基台20上には、部品供給装置13、14と部品装着装置15との各間に、CCDカメラからなる部品撮像装置98が設けられている。部品撮像装置98は、装着ヘッド33の吸着ノズル34A、34B、36A、36Bに吸着した電子部品を、部品供給装置13、14から回路基板21上に移動する途中で撮像して、吸着ノズル34A、34B、36A、36Bに吸着された電子部品の吸着状態や、吸着ノズル34A、34B、36A、36Bの中心に対する電子部品の芯ずれ等を検出し、芯ずれ等に基づいて装着ヘッド33のXY方向等の移動量を補正するとともに、吸着ノズル34A、34B、36A、36Bの角度を補正し、電子部品が回路基板21上の定められた座標位置に正確に装着できるようにしている。
電子部品実装装置10は、図10に示すように、制御装置110を有している。制御装置110は、CPU111,ROM112,RAM113およびそれらを接続するバス114を備え、バス114には入出力インターフェース115が接続されている。入出力インターフェース115には、装着ヘッド33をX軸およびY軸方向に移動するX軸モータ116およびY軸モータ117、第1および第2ノズル保持軸41A、41B、63A、63BをZ軸方向に移動するノズル昇降用モータ(Z軸モータ)47A、47B、66A、66B、第1および第2ノズル保持軸41A、41B、63A、63BをZ軸線の回りに回動するノズル回転用モータ(θ軸モータ)52、72、ならびにノズル間ピッチを変更するピッチ変更用モータ83をそれぞれ制御する制御ユニット118が接続されている。また、入出力インターフェース115には、基板撮像装置97および部品撮像装置98によって撮像された画像データを画像処理する画像処理装置119等が接続されている。
制御装置110のRAM113には、現在のノズル間ピッチが記憶されており、CPU111よりノズル間ピッチ変更指令が発せられると、ノズル間ピッチの目標値と現在値との差に応じてピッチ変更用モータ83が正逆転制御され、所望のノズル間ピッチに変更される。
次に、上記した実施の形態における電子部品実装装置10の動作について説明する。まず初めに、フィーダ型部品供給装置14の隣合うフィーダ25のピッチ間隔、あるいはトレイ型部品供給装置13のX方向に隣合う2つの電子部品のピッチ間隔に合うように、ノズル間ピッチを変更する動作について説明する。
ノズル間ピッチを変更する場合には、制御装置110からのピッチ変更指令に基づいて、ピッチ変更用モータ83が所定量駆動され、第3ボールねじ軸80によって送りナット81がX方向に移動され、連結部材82を介して下部可動ブロック62が下部ガイドレール76に沿ってX方向に移動される。これにより、第2のノズルユニット37が第1のノズルユニット35に対して、X方向に所定量移動され、第1のノズルユニット35と第2のノズルユニット37のノズル間ピッチが所望ピッチに変更される。
次いで、ノズル間ピッチを変更しながら、電子部品を部品供給装置13、14からピックアップし、回路基板21に実装する動作について説明する。
本実施の形態においては、X方向に離間した第1および第2吸着ノズル34A、34B、36A、36Bを有しているので、例えば、フィーダ型部品供給装置14の隣合う2つのフィーダ25によって各部品供給位置にそれぞれ供給された電子部品を、2つの吸着ノズル(第1吸着ノズル34A、第2吸着ノズル36A)によって同時に吸着し、これら電子部品を回路基板21に同時に実装することが可能である。
あるいは、トレイ型部品供給装置13上のX方向に隣合う2つの電子部品を第1および第2吸着ノズル34A、36Aによって同時に吸着し、これら電子部品を回路基板21に同時に実装することもできる。
さらにはまた、トレイ型部品供給装置13上のY方向に隣合う2列の電子部品が、第1吸着ノズル34A、34B(第2吸着ノズル36A、36B)のY方向の間隔に一致する場合には、4つの吸着ノズル(第1および第2吸着ノズル34A、34B、36A、36B)によって、トレイ23上の4つの電子部品を同時に吸着し、これら電子部品を回路基板21に同時に実装することもできる。
以下においては、所定のノズル間ピッチに設定された2つの吸着ノズル(第1および第2吸着ノズル34A、36A)によって、フィーダ型部品供給装置14の2つのフィーダ25より同時に電子部品をピックアップして、回路基板21に実装する例について説明する。
制御装置110からの実装指令に基づいて、基板搬送装置11が駆動され、回路基板21が所定の位置まで搬送され、基板保持装置12によって位置決め保持される。次いで、X軸モータ116およびY軸モータ117が駆動されることにより、X軸スライド31およびY軸スライド32がX軸方向およびY軸方向に移動され、装着ヘッド33がフィーダ型部品供給装置14の所定位置まで移動される。
その状態で、第1および第2ノズル昇降用モータ47A、66Aが駆動され、第1および第2ボールねじ軸44A、64Aが回転される。第1および第2ボールねじ軸44A、64Aの回転により、送りナット45A、65AがZ軸方向に下降され、これら送りナット45A、65Aと一体的に第1および第2ノズル保持軸41A、63Aが下降される。
第1および第2ノズル保持軸41A、63Aが所定位置まで下降されると、図略の切替弁の切替えにより、エア供給源より負圧エアが第1および第2ノズル保持軸41A、63Aに供給され、これによって、隣合うフィーダ25の各部品供給位置に供給された2つの電子部品が第1および第2吸着ノズル34A、36Aによって同時に吸着される。
すなわち、切替弁の切替えによって、第1ノズル保持軸41A側には、エア供給路58A、58Bを介して負圧エアが供給されるとともに、第2ノズル保持軸63A側には、エア流通手段90およびエア供給路89A、89Bを介して負圧エアが供給され、第1および第2吸着ノズル34A、36Aによって、隣合うフィーダ25の各部品供給位置に供給された電子部品が同時に吸着される。
第1および第2吸着ノズル34A、36Aによって電子部品が吸着されると、第1および第2ノズル昇降用モータ47A、66Aによって、第1および第2ボールねじ軸44A、64Aが逆転駆動され、送りナット45A、65Aとともに第1および第2ノズル保持軸41A、63AがZ軸方向に上昇される。
次いで、装着ヘッド33がY方向に所定量移動され、もう一方の第1および第2吸着ノズル34B、36Bがフィーダ25の各部品供給位置上に位置決めされる。その状態で、前述したと同様にして、第1および第2吸着ノズル34B、36Bによって各部品供給位置に供給された2つの電子部品を同時に吸着する。
しかる後、X軸スライダ31およびY軸スライダ32の移動により、装着ヘッド33が回路基板21上の定められた座標位置まで移動されるが、その途中の部品撮像装置98の上方を通過する位置で、部品撮像装置98によって吸着ノズル34A、36Aおよび34B、36Bに吸着された電子部品を撮像することにより、吸着ノズル34A、36Aおよび34B、36Bに対する電子部品のずれ量や、電子部品の吸着姿勢を認識する。かかる認識結果に基づいて、装着ヘッド33のXY方向の移動量を補正するとともに、ノズル回転用モータ52、72を駆動して吸着ノズル34A、34B、36A、36Bを回転し、電子部品のずれ量や電子部品の吸着姿勢を補正する。
この場合、ノズル回転用モータ52、72によって、2つずつの吸着ノズル34A、34B、36A、36Bが同時に回転されるようになっているため、電子部品の吸着姿勢は、回路基板21に実装する際に、個別に補正される。
続いて、2つの電子部品の回路基板21への実装間隔に応じて、ピッチ変更用モータ83が制御され、第1のノズルユニット35と第2のノズルユニット37とのノズル間ピッチが定められたピッチに変更される。このようにして、装着ヘッド33が回路基板21上まで移動されると、第1および第2ノズル昇降用モータ47A、66Aによって、第1および第2ノズル保持軸41A、63Aとともに吸着ノズル34A、36Aが再びZ軸方向に下降され、2つの電子部品を回路基板21の所定位置に同時に実装する。
次いで、装着ヘッド33がXY方向に移動されるとともに、必要に応じてノズル間ピッチが変更され、吸着ノズル34B、36Bによって吸着した2つの電子部品を回路基板21の所定位置に同時に実装する。
図11は、ノズル間ピッチ変更機構を、吸着ノズル34A、34B、36A、36Bで吸着した電子部品の画像処理に応用したものである。すなわち、図11(A)に示すように、電子部品P1〜P4を吸着する際の第1のノズルユニット35と第2のノズルユニット37とのノズル間ピッチがX1aと大きいと、全ての電子部品P1〜P4を定められた領域Z1に収めることができず、画像処理を一度で行うことができなくなる。
このような場合には第1および第2吸着ノズル34A、34B、36A、36Bによって電子部品P1〜P4を吸着した後に、ノズル間ピッチを、図11(B)に示すように、X1bに縮小することにより、全ての電子部品P1〜P4が領域Z1内に収まり、画像処理を一括して行えるようになる。これにより、部品実装作業の効率を向上することが可能となる。
図12は、本発明の別の実施の形態を示すもので、先に述べた実施の形態においては、装着ヘッド33に、それぞれ2つずつの吸着ノズル34A、34B、36A、36Bを備えた第1および第2のノズルユニット35、37を、ノズル間ピッチ変更可能に設けた例について述べたが、図12に示す実施の形態においては、装着ヘッド33に、回転割出し可能な第1および第2のロータリヘッド141、142を有する第1および第2のノズルユニット135、137を、ノズル間ピッチ変更可能に設けたものである。
これら第1および第2のロータリヘッド141、142の円周上には、多数の吸着ノズル134、136を保持したノズル保持軸(図示せず)がそれぞれ昇降可能に設けられている。
かかる実施の形態によれば、ロータリヘッド141、142の円周上に設けた多数の吸着ノズル134、136によって多数の電子部品を同時に吸着することができるので、電子部品の実装作業を効率的に行うことができるようになる。
上記した本実施の形態によれば、第2のノズルユニット37の吸着ノズル36A、36Bを昇降駆動するノズル昇降用モータ66A、66Bおよびボールねじ軸64A、64Bが、装着ヘッド33のヘッド本体38に固定的に支持されているので、ノズル間ピッチを変更する可動部の重量を軽減することができ、ノズル昇降用モータ66A、66Bを小型化することができるとともに、ノズル間ピッチの変更を迅速に行い得、部品実装作業を効率的に行うことができる。
上記した本実施の形態によれば、第2のノズルユニット37のX方向への移動により、第2ノズル保持軸63A、63B上のスライド部材97A、97Bのフォロアローラ98A、98Bが、ガイド部材96A、96Bの各ガイド溝部95A、95Bに沿って転動できる。これにより、第2吸着ノズル36A、36Bを昇降する駆動手段(ノズル昇降用モータ66A、66B等)に対して、第2のノズルユニット37のノズル間ピッチ変更方向の移動をスムーズに行うことができ、しかも、その移動位置のいかなる位置においても、昇降駆動手段によって第2吸着ノズル36A、36Bを昇降させることができる。
上記した実施の形態においては、第1および第2のノズルユニット35、37に、それぞれ2つずつの吸着ノズル34A、34B、36A、36Bを設けた例について述べたが、各ノズルユニット35、37に吸着ノズルをそれぞれ1つずつ設けたものでもよく、また、3つ以上の吸着ノズルを設けたものでもよい。
上記した実施の形態においては、第2のノズルユニット37を第1のノズルユニット35に対して、回路基板21の搬送方向のX方向にノズル間ピッチを変更可能とした例について述べたが、第2のノズルユニット37のノズル間ピッチ変更方向を回路基板21の搬送方向に対して直交するY方向としてもよい。
また、上記した実施の形態においては、第1および第2のノズルユニット35、37の一方を固定に、他方を可動にした例について述べたが、各ノズルユニット35、37をそれぞれ可動にしてもよい。
また、上記した実施の形態においては、吸着ノズル34A、36Aあるいは吸着ノズル34B、36Bによって、2つの電子部品を同時に吸着するとともに、回路基板21に同時に実装する例について述べたが、各吸着ノズル34A、36A(34B、36B)を順次作動させて、電子部品を1つずつ吸着するとともに、回路基板21に1つずつ実装することも可能である。
さらに、上記した実施の形態においては、各ノズルユニット35、37に設けた複数の吸着ノズル34A、34B、36A、36BのY方向のピッチを固定とした例について述べたが、これらのピッチも、ノズル間ピッチ変更方向と直交する方向に変更できるようにしてもよい。
斯様に、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。