JP5997918B2 - 紫外線遮蔽材および紫外線遮蔽材の製造方法 - Google Patents

紫外線遮蔽材および紫外線遮蔽材の製造方法 Download PDF

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本発明は、紫外線遮蔽性能、特に長波長紫外線(UVA)の遮蔽性能に優れると共に、安定性、安全性に優れた紫外線遮蔽性部材に関する。
近年、地球環境の変化によりオゾン層が破壊されつつあることから、短波長領域の紫外線が地表にまで到達することによる生体への影響が懸念されている。紫外線は、一般に、波長が320〜400nmの長波長紫外線(UVA)、波長が290〜320nmの中波長紫外線(UVB)、波長が290nm以下の短波長紫外線(UVC)の3つに分類される。これらの紫外線のうち、短波長紫外線(UVC)は、大気圏上空のオゾン層や、空気中の酸素などにより吸収、散乱されて地上には到達せず、人体に及ぼす影響は小さい。中波長紫外線(UVB)も本来は地上にほとんど到達しなかったが、昨今オゾン層の破壊により地上に到達するようになり、長波長紫外線(UVA)は地上に到達する紫外線の多くを占めている。中波長紫外線(UVB)、長波長紫外線(UVA)とも、人体が直接浴びることにより障害を引き起こす恐れがあるので、注意を要する。
この長波長紫外線(UVA)及び中波長紫外線(UVB)のうち、中波長紫外線(UVB)は早期から注目されており、日焼けや炎症等の皮膚障害を引き起こすことが知られている。この日焼けや炎症等から皮膚を保護するために、既に各種の日焼け止め製品が提案され、実用化されている。この日焼け止め製品では、中波長紫外線(UVB)の防御能の指標としてSPF(Sun Protection Factor)値が用いられている。
一方、長波長紫外線(UVA)は、中波長紫外線(UVB)と比べて皮膚への影響が穏やかであるものの、太陽光中に多く含まれており、しかも皮膚の深部まで届くために、皮膚の老化に繋がるとして注目を集めている。この長波長紫外線(UVA)についても、防御能の指標としてPA(Protection Grade of UVA)値が用いられている。
また、食品や医療・医薬品包装等の分野においても、紫外線によって内容物が変質、劣化、変色することが知られている。特に食品の酸化に大きく影響を与えるのは、近紫外領域(320〜420nm)であり、またビタミンB2へ影響を与えるのは、400〜500nmの領域の光である。これらの光の対策として、従来様々な技術が提案されてきた。
これまで、長波長紫外線(UVA)を遮蔽する紫外線遮蔽剤としては、有機系紫外線遮蔽剤では、ジベンゾイルメタン誘導体、ベントリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アントラニル誘導体等が用いられており、無機系紫外線遮蔽剤では、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子等が用いられている。(特許文献1)
また、透明性に優れると共に紫外線を遮蔽する機能に優れ、且つ、包装体の内容物に接触しても酸化劣化を起こさず、特に食品包装の分野に用いられる包装材がある。この包装材は、紫外線遮蔽材として超微粉末金属酸化物を用いている。具体的には紫外線遮蔽材として酸化チタンや酸化亜鉛、酸化鉄とフェノール系酸化防止剤を含有するフィルム状部材が提案されている。(特許文献2)
また、塗料、ワニスあるいは皮膚を保護するローションまたはクリームのような液体、などの用途に、銅とハロゲン化物を含むUV吸収ガラスと、このUV吸収ガラスを用いた紫外線を吸収する液体などが提案されている。(特許文献3、特許文献4)
特開2010−275223 特開2004−225016 特開平4−18501 特開平4−275942
しかしながら、上記紫外線遮蔽剤、または紫外線遮蔽材を用いたフィルム等の部材においては、以下のような様々な問題がある。
有機系紫外線遮蔽剤は、長波長紫外線(UVA)を吸収するものがあるが、吸収波長域が狭い点、あるいは溶解性、安定性などの問題から配合量や配合の組み合わせに限界がある。加えて有機系化合物の紫外線吸収剤においては、毒性等の面で包装材等に用いた場合に溶出等の懸念があり、食品、医療品、医薬品等への使用については課題があった。
また、近年、無機系紫外線遮蔽剤で且つ長波長紫外線(UVA)に対する遮蔽能の高い酸化亜鉛が検討されているが、酸化亜鉛の紫外線遮蔽効果は、紫外線の吸収と散乱に基づくものであり、従来の酸化亜鉛は380nmまでの遮断範囲に留まっていた。
また、UV吸収ガラスは、UV遮蔽能を持つ物質であるハロゲン化銅をガラス中に析出させるためにハロゲン物質と銅化合物を別々にガラス成分に配合しなければならず、また、析出にはホウ素が必要である。さらには、ハロゲン化銅の粒子径を制御することは製法上難しい。ガラスの製造工程では、高温での処理が必要であったり、ガラスの曇りを少なくするための加熱工程が必要であったり、パウダーとして用いる為に板状のガラスを細かく粉砕する工程が必要となり、UV吸収ガラスは製造工程が複雑である。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、紫外線、特に長波長紫外線(UVA)の遮蔽機能に優れ、粒子の安定性や再分散性に優れ、また人体にも安全性の高い紫外線遮蔽材を提供することを目的とする。
すなわち第1の発明は、樹脂および/または無機多孔質材料と、一価の銅化合物および/またはヨウ化物を含む紫外線遮蔽材であって、前記一価の銅化合物および/またはヨウ化物が、CuI、CuBr、AgIのうち少なくともいずれかであり、前記一価の銅化合物および/またはヨウ化物を子粒子とし、前記樹脂および/または無機多孔質材料を前記子粒子よりも大きな粒径である母粒子とし、前記母粒子の表面に前記子粒子が埋め込まれていることを特徴とする紫外線遮蔽材
また、第2の発明は、樹脂および/または無機多孔質材料と、一価の銅化合物および/またはヨウ化物と、を含む紫外線遮蔽材の製造方法であって、前記一価の銅化合物および/またはヨウ化物が、CuI、CuBr、AgIのうち少なくともいずれかであり、前記一価の銅化合物および/またはヨウ化物を子粒子とし、前記樹脂および/または無機多孔質材料を前記子粒子よりも大きな粒径である母粒子とし、前記子粒子および前記母粒子の衝突または加圧により、前記母粒子の表面に前記子粒子を埋め込むことを特徴とする紫外線遮蔽材の製造方法。
本発明によれば、樹脂および/または無機多孔質材料に一価の銅化合物および/またはヨウ化物を含むことで、紫外線遮蔽性能、特に長波長紫外線(UVA)の遮蔽性能に優れた紫外線遮蔽材を提供するものである。樹脂および/または無機多孔質材料と組み合わせることで、高温での処理をする必要がなく、始めから合成された一価の銅化合物および/またはヨウ化物を使用できるため、粒子径を調整した粒子を使うことで、粒子径の制御が容易になる。粒径を制御することで透明性に優れた紫外線遮蔽材を提供するものである。
第1の実施形態に係る紫外線遮蔽材の模式図である。 第1の実施形態に係る紫外線遮蔽材の断面の模式図である。 第2の実施形態に係る紫外線遮蔽材の模式図である。 第3の実施形態に係る紫外線遮蔽材の模式図である。 第4の実施形態に係る紫外線遮蔽材のSEM画像である。 第6の実施形態に係る紫外線遮蔽材の模式図である。 第7の実施形態に係る紫外線遮蔽材の模式図である。 光の反射率の測定結果である。 光の反射率の測定結果である。 光の透過率の測定結果である。 光の透過率の測定結果である。
以下、実施形態により紫外線遮蔽材について詳述する。紫外線遮蔽材は、樹脂および/または無機多孔質材料によって形成される母材と、一価の銅化合物および/またはヨウ化物を有効成分とする紫外線遮蔽粒子とを含むことを特徴とする。
紫外線遮蔽材における紫外線遮蔽粒子として用いる一価の銅化合物としては、特に限定されないが具体的な一価の銅化合物としては、塩化物、酢酸化合物、硫化物、ヨウ化物、臭化物、過酸化物、酸化物、水酸化物、シアン化物、チオシアン酸塩またはこれらの混合物からなることが好ましく、中でもCuCl、Cu(CH3COO)、CuI、CuBr、Cu2O、CuOH、CuCN、CuSCN、Cu2Sからなる群から少なくとも1種以上選択されることが好適である。
また、紫外線遮蔽粒子として用いられるヨウ化物としては、CuI、AgI、SbI3、IrI4、GeI2、GeI4、SnI2、SnI4、TlI、PtI2、PtI4、PdI2、BiI3、AuI、AuI3、FeI2、CoI2、NiI2、ZnI2、HgIおよびInI3から少なくとも1種類選択されることが好適である。
(第1実施形態)
本実施形態の紫外線遮蔽材100は、一価の銅化合物および/またはヨウ化物である紫外線遮蔽粒子2が樹脂および/または無機多孔質材料である母材1中に充填されたものである。図1は、本実施形態における紫外線遮蔽材100の断面の一部を模式的に表した図である。なお、図1では、本実施形態の紫外線遮蔽材100の断面を部分的に(矩形の枠で囲まれた範囲のみ)示しており、実際の紫外線遮蔽材100の形態によって断面全体の形状は様々な形状となる。図1に示すように、本実施形態の紫外線遮蔽材100は、紫外線遮蔽粒子2が、母材1の内部や表層部に分散して含有される形態である。
まず、本実施形態の紫外線遮蔽粒子2は、上述の通り、一価の銅化合物とヨウ化物の少なくともいずれかであり、一価の銅化合物とヨウ化物のいずれか単独でもよいし、両者が混合されていてもよい。銅化合物およびヨウ化物として用いることができるものは、上述したとおりである。
本実施形態の母材1に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、EVA樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、セルロースアセテート、飽和ポリエステル、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレンエラストマーなどのスチレン系エラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーなどのオレフィン系エラストマー、ポリウレタンエラストマーなどのポリウレタン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ナイロン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
これらの中でも食品包装用として適した物性を備えているポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)の何れもが用いられるが、透明性、成形性、ヒートシール性が優れている点では低密度ポリエチレンが選択され、透明性やヒートシール性が低密度ポリエチレンよりは劣るが、引張強度や硬さが求められる包装材の場合は、高密度ポリエチレンが選択される。また、結晶化度と融点が高く、機械的強度に優れていることから、近年特に注目されてきた直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)も好ましく用いられる。また、ポリプロピレンは透明性や機械的性質が優れており、耐薬品性、防湿性、耐熱性、耐寒性にも優れていることから、食品用途の包装材料として優れている。
本実施形態の母材1に用いられる無機多孔質材料としては、特に限定されないが、例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、Fe2O3、Sb2O3、WO3、CeO2などの単一の無機酸化物が挙げられる。また、複合酸化物である、例えば、SiO2・Al2O3、SiO2・B2O3、SiO2・P2O5、SiO2・TiO2、SiO2・ZrO2・、Al2O3・TiO2、Al2O3・ZrO2、Al2O3・CaO、Al2O3・B2O3、Al2O3・P2O5、Al2O3・CeO2、Al2O3・Fe2O3、TiO2・CeO2、TiO2・ZrO2、SiO2・TiO2・ZrO2、Al2O3・TiO2・ZrO2、SiO2・Al2O3・TiO2、SiO2・TiO2・CeO2などを用いてもよい。さらに、吸着性を有するケイ酸塩として、ゼオライトA、ゼオライトP、ゼオライトX、ゼオライトYなどの合成ゼオライトや、クリノプチルライトやセピオラオライト、モルデナイトなどの天然ゼオライトなどや、カオリナイト、モンモリロナイト、酸性白土、珪藻土などの層状ケイ酸塩化合物や、オラストナイト、ネプツナイトなどの環状ケイ酸塩化合物を母材1の無機多孔質材料として用いてもよい。また、リン酸3カルシウム、リン酸水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなどのリン酸塩化合物や、さらには、活性炭などを用いてもよい。
また、本実施形態の紫外線遮蔽材100は、紫外線遮蔽性能を向上させたり、任意の機能を付与するために、その他の成分を機能性材料として含んでもよい。当該機能性材料としては、艶消剤として二酸化チタン、滑剤としてステアリン酸カルシウムや、シリカやアルミナなどの微粒子、抗酸化剤としてヒンダートフェノール誘導体、さらには顔料などの着色剤、安定剤、分散剤、赤外線吸収剤等の添加材料の他、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤、難燃剤、および各種触媒などの機能性材料が添加されてもよい。なお、この機能性材料は紫外線遮蔽粒子2とともに母材1中に分散したり、母材1の表面に付着してればよい。
続いて、本実施形態の紫外線遮蔽材の製造方法について説明する。
本実施形態の紫外線遮蔽材100の製造方法は、当業者が適宜選択することができ、特に限定されない。例えば、紫外線遮蔽材100の合理的かつ安価な製造方法として、紫外線遮蔽能を持つ一価の銅化合物および/またはヨウ化物を高濃度で含有した樹脂ペレットのマスターバッチペレットを予め製造し、マスターバッチペレットを樹脂ペレットに一定の割合で混合し、さらに溶融混練して紫外線遮蔽材100を製造する。
マスターバッチペレットの製造方法としては、まず、紫外線遮蔽粒子2となる一価の銅化合物および/またはヨウ化物をジェットミル、ハンマーミル、ボールミル、振動ミル、ビーズミルなどによりナノオーダーの粒子に粉砕する。粉砕方法に関しては特に限定されず、乾式、湿式の両方が利用可能である。なお、ナノオーダーの粒子を形成する場合には、粒径にもよるが、非常に小さい粒径(1〜数10nm程度)の粒子を作製する場合には、物理的な粉砕方法では難しいため、析出処理など化学的手法により作製する方法を用いてもよい。
次に、粒径の小さな一価の銅化合物および/またはヨウ化物を市販の樹脂ペレットと混合し、これを混練押出機にて混練することにより、一価の銅化合物および/またはヨウ化物を樹脂内部に均一に分散された樹脂を得る。得られた樹脂を冷却後、ペレタイザにて細かくカットし、一価の銅化合物および/またはヨウ化物を高濃度に含有したマスターバッチペレットを得る。
上記で得られたマスターバッチペレットを、上記樹脂ペレットと同じ樹脂ペレットに所定の割合になるように混合し、これを溶融混練し、成形機にて成形することで、紫外線遮蔽剤である紫外線遮蔽粒子2が母材1の樹脂中に均一に分散された紫外線遮蔽材100を得ることができる。
本実施形態の紫外線遮蔽材100において、紫外線遮蔽粒子2の大きさは特に限定されず、当業者が適宜設定することができるが、母材1の強度の低下を考慮すると平均粒子径は1μm以下であることが好ましい。さらに、紫外線遮蔽材100に透明性を持たせるなら150nm以下であることが好ましい。また10nm以上とすることで、紫外線遮蔽効果を安定して維持でき、さらに粒子の製造上、取扱上および化学的安定性の観点からも好ましい。なお本明細書において、平均粒子径とは体積平均粒子径をいう。
本実施形態において、紫外線遮蔽粒子2の紫外線遮蔽材100における含有量は特に限定されず、当業者が適宜設定することができるが、1質量%から10質量%の範囲が好ましい。1質量%以下であると紫外線遮蔽能が低くなり、10質量%以上になると母材1の強度が低下する。
本実施形態における紫外線遮蔽材100は、成形品として製造されてもよく、その他に粉末状、粒子状、フィルム状、繊維状、布状(シート状)、メッシュ状(網状構造)、ハニカム状、不織布状などの形態のものも含み、使用目的に合った様々な形態(形状、大きさ等)で製造することが可能である。
粉末状、粒子状として製造する場合には、ジェットミル、ハンマーミル、ボールミル、振動ミル、ビーズミルなどを用いて製造することができる。
シート、フィルムとして製造する場合にはTダイ法、インフレーション法などで形成することができる。成形品として製造する場合には射出成形、ブロー成形などの方法で形成することができる。
また、フィラメント(繊維)として製造する場合には溶融紡糸法などにより形成することができる。また、不織布として製造する場合にはスパンボンド法などの既存の製造方法により製造することができる。使用目的に合った様々な形態(形状、大きさ等)で製造することが可能である。
本実施形態において、紫外線遮蔽粒子2の含有量を高くするには、母材1を使用目的に合った形態で製造し、そこに紫外線遮蔽粒子2としての一価の銅化合物および/またはヨウ化物をイオンなどの状態で含浸させ、母材1の内部に析出させる。一価の銅化合物および/またはヨウ化物のイオンを含浸させる時間と含浸させる量によって紫外線遮蔽粒子2が存在する場所を制御できる。ここで、図2には、一価の銅化合物および/またはヨウ化物のイオンを含浸させる含浸時間と含浸させる量を変化させた場合の、紫外線遮蔽粒子2の析出状態が変化する様子を示した図を示す。なお、図2においては、母材1が粒状物であり、その断面を模式的に示している。図2では、含浸時間と含浸量を変化させることで得られる、(a)紫外線遮蔽粒子2が母材1の表面部に存在するもの、(b)表層部に存在するもの、(c)内部に存在するもの、の3種類を示している。
以上の本実施形態の紫外線遮蔽材によれば、一般に320〜400nmの波長である長波長紫外線を含む紫外線を確実に遮蔽することができるという優れた効果が得られる。特に、本実施形態の紫外線遮蔽材は従来遮蔽することが難しかった、380nm〜400nmの範囲の長波長紫外線も効果的に遮蔽することができる。
(第2実施形態)
本発明における紫外線遮蔽材の別の実施形態として、第1実施形態の紫外線遮蔽材100を粒子状にしたものである。図3は本実施形態における紫外線遮蔽材200を模式的に表した図である。紫外線遮蔽粒子2である一価の銅化合物微粒子および/またはヨウ化物微粒子が母材1である樹脂の内部に均一に分散し、さらに紫外線遮蔽粒子2表面が全て母材1で被覆されている形態とすることができる。
本実施形態の紫外線遮蔽材200は、スプレー、エマルジョン、ローション、固形、オイルなどの形態で用いられる。
(第3実施形態)
また、本発明における紫外線遮蔽材の別の実施形態として、樹脂および/または無機多孔質材料である母材1を繊維状とし、その繊維中に紫外線遮蔽材が含有される構成とすることもできる。図4は、本実施形態における紫外線遮蔽材300の断面の一部を模式的に表した図である。
本実施形態の紫外線遮蔽材において、一価の銅化合物および/またはヨウ化物である紫外線遮蔽粒子2の大きさは特に限定されず、当業者が適宜設定することができるが、平均の粒子径が10nm以上、3μm未満、好ましくは10nm以上、1μm未満であることが好ましい。10nm未満では、紫外線遮蔽効果を安定して維持できず、さらに粒子の製造プロセス上歩留まりが悪く、コストアップになることや、化学的安定性が低下したり取扱いが難しくなる場合がある。また、3μm以上になると、紡糸工程における安定性の低下や、得られた繊維の強度の低下が顕著になる。
本実施形態の紫外線遮蔽材300における繊維とは、細く長い形状を指し、一般的に言われる長繊維(フィラメント)であるモノフィラメントやマルチフィラメントであってもよく、短繊維(ステープル)であってもよく、あるいは電気植毛加工などに用いられる非常に短い、通常10mm以下の長さの繊維であってもよく、これらの繊維形状となしうる物質であれば繊維形成能を有すると認められる。
本実施形態における繊維(母材1)は、繊維形成能を有すれば、特に限定されるものではなく、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ナイロン、アクリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン四フッ化エチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ケブラー(登録商標)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、レーヨン、キュプラ、テンセル(登録商標)、ポリノジック、アセテート、トリアセテートなどの高分子材料を用いることができる。また、その他に金属、セラミックス、パルプ、炭素繊維などが挙げられる。
また、上述のように、本実施形態の紫外線遮蔽材300は、紫外線遮蔽粒子2と母材1に加えて、紫外線遮蔽性能を向上させたり、任意の機能を付与するために、その他の添加剤成分を機能性材料として含んでもよい。当該機能性材料としては、艶消剤として二酸化チタン、滑剤としてステアリン酸カルシウムや、シリカやアルミナなどの微粒子、抗酸化剤としてヒンダートフェノール誘導体、さらには顔料などの着色剤、安定剤、分散剤、赤外線吸収剤等の添加材料の他、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤、難燃剤、および各種触媒などの機能性材料を添加してもよい。
本発明の紫外線遮蔽材300において、紡糸原料(つまり、生成される紫外線遮蔽繊維)における一価の銅化合物微粒子および/またはヨウ化物微粒子である紫外線遮蔽粒子2の含有量は特に限定されず、当業者が適宜設定することができるが、1質量%から10質量%の範囲が好ましい。1質量%以下であると紫外線遮蔽能が充分に発現されず、10質量%以上になると紡糸時の安定性の低下や、繊維強度の低下といった物性面への影響が大きくなる。
本実施形態の紫外線遮蔽材300(繊維)の製造方法については、当業者が適宜選択することができ、特に限定されない。例えば樹脂材料に本発明の一価の銅化合物微粒子および/またはヨウ化物微粒子である紫外線遮蔽粒子2を添加後、溶融混練し、紡糸口金から吐出させて紡糸すればよい。
また、本実施形態の紫外線遮蔽材300(繊維)の平均直径は、好ましくは10μm以上500μm以下、より好ましくは20以上300nm以下とする。繊維径を10μm以上500μm以下とすることで、十分な機械的強度が得られる。繊維径が500μmより大きい場合は、紫外線遮蔽性能が低くなる。
本実施形態の紫外線遮蔽材300(繊維)は、織物、編物、不織布など使用目的に合った様々な形態(形状、大きさ等)で用いることが可能である。
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態の紫外線遮蔽材400について詳述する。図5は本実施形態の紫外線遮蔽材のSEM画像である。本実施形態の紫外線遮蔽材400は、樹脂および/または無機多孔質材料からなる母粒子である母材1と、該母材1の粒径よりも小さい粒径で紫外線遮蔽能を持つ一価の銅化合物微粒子および/またはヨウ化物からなる子粒子である紫外線遮蔽粒子2からなり、該子粒子である紫外線遮蔽粒子2は該母粒子である母材1の表面に埋め込まれて固定された複合粒子の形態である。なお、以下の説明において、母材1である母粒子を「母粒子1」、紫外線遮蔽粒子2である子粒子を「子粒子2」とも表記する。
本実施形態の紫外線遮蔽材400で用いられる母粒子1としては、樹脂および/または無機多孔質材料からなるものであれば特に限定されず、当業者が適宜設定可能であるが、具体的には、架橋アクリルや、PMMA、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン、セルロースなどが挙げられ、子粒子との密着性からナイロン6が好適に用いられる。
母粒子1を樹脂および/または無機多孔質材料とすることにより、粒子重量が軽くなるため、子粒子2との複合微粒子である紫外線遮蔽材400は、分散媒に分散させた場合に、沈降しにくく、分散しやすくなり好ましい。また母粒子を無機物とすると、母粒子の硬度が高いため、子粒子2や機能性材料を母粒子に埋め込む際に、深く埋め込むことができず、表面を平滑にすることが困難となる。
樹脂および/または無機多孔質材料からなる母粒子1の粒径は1〜5000μm、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜200μmのものが好適に用いられる。粒径がこの範囲であることが、一価の銅化合物微粒子および/またはヨウ化物からなる子粒子2や機能性材料を母粒子1の表面に配置するのに好適であり、粒径が1μmより小さいと母粒子1に子粒子2を配置するのが困難であり、5000μmより大きいと外観のなめらかさが消失してしまう。特に、エアゾールなどで使用する場合、吸い込みによる人の肺への影響を考えると、粒径5μm以上のものを用いると、より安全性の高い紫外線遮蔽材が提供できるので好適である。なお、母粒子1として樹脂を用いることで、このような好ましい範囲の粒径に制御することが容易であるという効果が得られる。
母粒子1に埋めこまれる、一価の銅化合物微粒子および/またはヨウ化物からなる子粒子2の大きさは、母粒子1の粒径にあわせて適宜決定できるが、母粒子1の粒径の1/10以下であることが好ましい。具体的には平均の粒子径が10nm以上、50μm以下であることが好ましい。粒子径は小さい方が、母粒子1に埋め込まれる(表に出ない)体積が少なくて済むため、少量で効率よく紫外線遮蔽効果を示すが、10nm未満では化学的に不安定となる上に、安定して紫外線遮蔽効果を維持できない。また、50μmより大きい場合は母粒子に埋め込んでも脱落する可能性が高くなるため好ましくない。
このように、紫外線遮蔽能を持つ一価の銅化合物微粒子および/またはヨウ化物からなる子粒子2を粒径の大きい母粒子1に埋め込むことで、子粒子2の表面積を高く保ちつつ凝集を防止し、さらに噴霧時に吸い込んでしまった時の安全性も確保できる。さらに、紫外線遮蔽材400の粒子が平滑な略球形になるように該子粒子2を母粒子1に埋め込むことで、子粒子2が直接、人体に接触する面積を減らすことができるため、さらに安全性の高い紫外線遮蔽材400が提供できる。
ここで、本実施形態において「平滑」とは、子粒子2(および後述の無機化合物粒子)が、母粒子1の表面からおおむね突出していない状態を示す。後述のように、母粒子1と子粒子2との複合化処理時の回転数や処理時間などの条件を調整することで、表面が平滑な紫外線遮蔽材400の粒子を形成することができる。
本実施形態の紫外線遮蔽材400は、様々な態様で用いることができる。例えば、本実施形態の紫外線遮蔽材400は、取り扱いの点から考えると粉体が最も好適に用いられるが、これに限られるものではない。例えば、当該紫外線遮蔽材400を水などの分散媒に分散させた状態で用いてもよい。ここで、本実施形態の紫外線遮蔽材400を分散媒に分散させた場合、有効成分であるヨウ化物や一価の銅化合物が、分散液中において0.2質量%以上含有されることがより十分な紫外線遮蔽能を得る上で好ましい。なお、本実施形態では特に限定されず、当業者が適宜設定できるが、例えばヨウ化物や一価の銅化合物の分散液中における含有量は30質量%以下とすることが、分散液の安定性や取扱性の点から好ましい。また、ジベンゾイルメタン誘導体、ベントリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アントラニル誘導体等や、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子など、公知の紫外線遮蔽材と併用することでより効果を上げることも考えられる。さらに、紫外線遮蔽材400を他の抗ウイルス剤、抗菌剤、防黴剤、抗アレルゲン剤、触媒、反射防止材料、遮熱特性を持つ材料などと混合して使用してもよい。
また本実施形態の紫外線遮蔽材400においては、紫外線遮蔽能を持つ子粒子2と共に、他の機能性微粒子を併用してもよい。つまり、母粒子1に子粒子2と機能性微粒子とを固定してもよい。機能性微粒子としては、他の紫外線遮蔽材、抗ウイルス剤、抗菌剤、防かび剤、抗アレルゲン剤、触媒、などが挙げられる。このような別の機能を持った機能性微粒子を母粒子1に固定することで、紫外線遮蔽材400に別の効果をさらに付与することができる。
機能性微粒子としては、さらに、母粒子1よりも粒径の小さい、非金属酸化物、金属酸化物、金属複合酸化物などの無機化合物の粒子を併用してもよい。無機化合物の粒子の結晶性は、非晶性あるいは結晶性のどちらでもよい。非金属酸化物としては、酸化珪素が挙げられる。また、金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化バリウム、過酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、過酸化チタン、過酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、水酸化鉄、酸化タングステンなどが挙げられる。また、金属複合酸化物としては、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデナイト、アナルサイト、エリナイトなどのゼオライト類、ハイドロキシアパタイトなどのアパタイト類、珪藻土、酸化チタンバリウム、酸化コバルトアルミニウム、TiO2−WO3、Al2O3−SiO2、WO3−ZrO2、WO3−SnO2などが挙げられ、特に、多孔質材料であるゼオライト類や、アパタイト類、珪藻土などを用いることで、これらの粒子が持つ消臭効果が期待できるため、紫外線遮蔽性能を持ち、殺菌性があり、消臭効果を持つ多機能な紫外線遮蔽材を提供することができる。その他に、無機化合物の粒子として、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機化合物の粒子を用いてもよい。
以上説明した子粒子2(および併用される他の機能性微粒子)は、前述の母粒子1表面に埋めこまれている。この母粒子1と子粒子2との複合粒子(他の機能性微粒子を併用する場合には母粒子1と子粒子2と他の機能性微粒子との複合粒子)の製造方法は、母粒子1と子粒子2とを複合化できれば特に限定されないが、例えば、乳鉢などで母粒子1と子粒子2とを混ぜ合わせることで子粒子2が母粒子1に埋め込まれた複合粒子を形成することができる。また、その他に例えば、母粒子1と子粒子2を衝突させるなどして機械的に母粒子1と子粒子2を結合させる高速気流衝撃法や、母粒子1と子粒子2に強い圧力を加えることにより生じるエネルギーによって母粒子1と子粒子2とを結合させる表面融合法などのメカノケミカル法によっても形成することができる。
具体的に、子粒子2を母粒子1に埋め込んで固定することにより複合微粒子を作成可能な装置としては、汎用的なボールミルの他、回転翼式では株式会社カワタのスーパーミキサー、震蕩式では浅田鉄工株式会社のペイントシェーカーなどが例示でき、この他にも株式会社奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム(登録商標)やホソカワミクロン株式会社のメカノフュージョン(登録商標)、媒体流動乾燥機などが例示されるが、特にこれらの装置には限定されない。
さらに、他の混合方法として、例えば転動式ボールミル、高速回転粉砕機、高速気流衝撃法粉砕機、媒体攪拌型ミル、機械的融合装置を用いることができる。これらの操作因子としては、例えば高速回転粉砕機にあっては、攪拌速度、メディア質量、攪拌時間などの調整などで子粒子2の母粒子1への埋め込み度(埋め込まれる深さ)を調節でき、高速気流衝撃法粉砕機にあっては、キャリアガスの圧力、滞留時間などの調整などで子粒子2の母粒子1への埋め込み度を調節できる。
複合化処理では、母粒子1に対する子粒子2の割合が、0.5質量%以上、40質量%未満となるように、上述したような複合微粒子を作成可能な複合装置に投入される。また、上述の装置による複合化処理において、攪拌時間などを調整することで、表面が平滑な紫外線遮蔽能の複合微粒子を形成することができる。つまり、複合化処理において、母粒子1に子粒子2が埋め込まれた後、さらにその複合微粒子が互いに衝突することにより、子粒子2が母粒子1により深く埋め込まれるため、子粒子2が母粒子1の表面から突出していない滑らかな表面が形成される。
以上のようにして作成した本実施形態の紫外線遮蔽材400は、そのまま粉体として用いる以外に、スプレー剤として用いることができる。スプレー剤として用いる際に、エアゾール化したり噴霧器などを用いて紫外線遮蔽材400を被処理物(噴霧対象物)に噴霧できるように構成する場合、ノズルからの良好な放出性を有していることが好ましい。上述のような点を考慮すると、本実施形態の紫外線遮蔽材(複合粒子)400の平均粒子径は、10μmから100μmであることが特に好ましい。
なお、本実施形態の紫外線遮蔽材400をスプレー剤として用いる場合は、紫外線遮蔽材400は分散媒に対する分散性に優れているが、さらに分散安定性を高めるための分散剤を用いてもよい。分散剤としては、例えば界面活性剤や高分子系分散剤を用いることができる。
界面活性剤としては、具体的には、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を使用できる。アニオン系界面活性剤としては、親水基としてカルボン酸、スルホン酸、あるいはリン酸構造を持つものとすることができる。また、カルボン酸系としては、例えば石鹸の主成分である脂肪酸塩やコール酸塩とすることができる。また、スルホン酸系としては合成洗剤に多く使われる直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。より具体的には、脂肪酸ソーダ石鹸、オレイン酸カリウム石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどの硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などのスルホン酸塩、アルキルリン酸カリウム塩、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸などがあげられる。これらは単独または複数を組み合わせて用いてもよい。
また、ノニオン系界面活性剤としては、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物および高級アルコールエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸エチレンオキシド付加物およびポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物および脂肪酸アミドエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンアルキルアミンおよびポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、非イオン界面活性剤グリセリンおよびペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド脂肪酸、アルカノールアミドなどがあげられる。これらは単独または複数を組み合わせて用いてもよい。
さらに、高分子系分散剤としては、ポリウレタンプレポリマー、スチレン・ポリカルボン酸共重合体、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、ゼラチン、さらに、オリゴマーおよびプレポリマーとしては、不飽和ポリエステル、不飽和アクリル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート、マレイミド、ポリエン/ポリチオールや、アルコキシオリゴマーなどが用いられる。
また、スプレー剤などの用途で用いる場合における紫外線遮蔽材の分散媒としては、水
および/または低級アルコールを用いることができる。低級アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコールとすることができる。また、これらの分散媒は2種以上混合するようにしてもよい。なお、本実施形態において、含有される構成成分の比率は、用途や被処理物の種類等に応じて変更可能である。
本実施形態の紫外線遮蔽材400は、スプレー剤以外にも、エマルジョン、ローション、固形、オイルなどの形態で用いてもよい。
(第5実施形態)
また、本発明の紫外線遮蔽材の別の実施形態として、第2の実施形態である紫外線遮蔽材200を繊維構造体や樹脂および/または無機多孔質材料からなる基材に固定して用いることもできる。固定する方法としては、一般的なバインダーと混合してスラリーを作成し、紫外線遮蔽能を付与したい基材表面に、浸漬法、スプレー法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの方法で塗布する方法が用いられる。なお、紫外線遮蔽材200の代わりに第4の実施形態である紫外線遮蔽材400を用いてもよい。
上記バインダー成分としては、樹脂および/または無機多孔質材料からなる基材との密着性が良いものであれば特に限定はされないが、例えば合成樹脂では、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、水溶性樹脂、ビニル系樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、繊維素系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂を用いることができる。また、天然樹脂としては、ひまし油、亜麻仁油、桐油などの乾性油などを用いることができる。
(第6実施形態)
また、別の実施形態として、第2の実施形態である紫外線遮蔽材200の表面にシランモノマーを化学結合させたものを溶剤と混合してスラリーを作成し、紫外線遮蔽能を付与したい基材表面に塗布したのち、加熱乾燥によるグラフト重合や、赤外線、紫外線、電子線、γ線などの放射線照射によるグラフト重合により、基剤表面と化学結合させて固定してもよい。図6は、本実施形態の紫外線遮蔽材500の断面の一部を模式的に表した図である。シランモノマーやその重合体であるオリゴマー3(以下、「シランモノマーやその重合体であるオリゴマー3」を、「シラン系結合剤3」とも記載する。)は、紫外線遮蔽材200同士や紫外線遮蔽材200と基材5とを化学結合4にて強固に固定できるので、安定に基材5の表面に紫外線遮蔽材200を担持することができる。シランモノマーの他にさらにバインダーを添加して、より強固に基材5の表面に紫外線遮蔽材200を固定してもよい。なお、紫外線遮蔽材200の代わりに第4の実施形態に係る紫外線遮蔽材400を用いてもよい。
上記シラン系結合剤3であるシランモノマーの一例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、特殊アミノシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、加水分解性基含有シロキサン、フロロアルキル基含有オリゴマー、メチルハイドロジェンシロキサン、シリコーン第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
ここで、本実施形態の紫外線遮蔽材500に保持される紫外線遮蔽材200の量は、使用する目的や用途及び微粒子の大きさを考慮して当業者が適宜設定することが可能であるが、基材5に対して0.1質量%から80.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%から60.0質量%である。紫外線遮蔽材200が0.1質量%に満たない場合は、範囲内にある場合と比較して、紫外線遮蔽性能が低下する。また、80.0質量%より多くしても範囲内にある場合と比較して紫外線遮蔽性能に大差はないほか、バインダーのバインディング性(保持できる作用)が低下し、範囲内にある場合よりも紫外線遮蔽材200が基材5から離脱し易くなる。
含有される紫外線遮蔽材200の大きさは特に限定されないが、平均の粒子径が5000μm以下であることが好ましい。さらに、その使用環境や時間の経過により、基材5から紫外線遮蔽材200が脱落することを考慮すると、平均粒子径は300nm〜1000μmであることが特に好ましい。
(第7実施形態)
第2実施形態の紫外線遮蔽材200を繊維構造体等に固定する別の方法としては、例えば繊維を交絡させて製造される不織布や、パルプと結着剤を混抄して製造される混抄紙などを基材として製造する際に第2実施形態の紫外線遮蔽材200を混合することで、基材内部の空間内にて狭持させることができる。図7は、本実施形態の紫外線遮蔽材600の断面の一部を模式的に表した図である。なお、紫外線遮蔽材200の代わりに第4の実施形態である紫外線遮蔽材400を用いてもよい。
不織布を形成する繊維6としては、前述の合成繊維や、綿、麻、絹等の天然繊維の他、金属、セラミックス、パルプ、炭素繊維などが挙げられる。不織布は、まずフリースと呼ばれる不織布の素となる集積層を製造し、そのフリースの繊維間を結合し、積層させる、という2つの工程により製造されるが、紫外線遮蔽材200は、フリース形成時に繊維6に混合してもよいし、フリースの積層時に混入してもよい。またフリースを積層する際には、紫外線遮蔽材200を含むフリースと含まないフリースとを積層することもできる。
フリースの製造方法としては、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法などの一般的な製法が用いられるが、紫外線遮蔽材200の安定性を考慮すると、水や、加熱を行わない乾式法が好適に用いられる。
またフリースの結合方法としては、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法、スチームジェット法などの一般的な製法が用いられる。
さらにフリース同士の結合力を向上させるために接着樹脂7を混合してもよい。接着樹脂7の具体例としては、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、澱粉のり等が挙げられる。
本実施形態の紫外線遮蔽材600の本体10を混抄紙とする場合、パルプを抄紙することにより得られる。パルプとしては、木材パルプ、ポリエチレンパルプ、レーヨンパルプ、ビニロンパルプなどの各種パルプとすることができる。また、各種パルプに加えて、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維などの有機合繊繊維を単独または複数組み合わせて用いてもよい。
抄紙は、例えば、パルプに、構造体としての強度を確保する目的で適量のガラス繊維やミルドファイバー等の補強剤を加え、これら混合物と水とを混合した希釈スラリーを丸網などの抄紙機で漉きあげて製造される。本実施形態の紫外線遮蔽材600は、漉きあげる前のスラリーに添加することで本体10中に固定される。
ここで、紫外線遮蔽材200が本実施形態の紫外線遮蔽材600に保持される量は、紫外線遮蔽材600の使用する目的や用途及び微粒子の大きさを考慮して当業者が適宜設定することが可能であるが、紫外線遮蔽材600において0.1質量%から80.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%から60.0質量%である。紫外線遮蔽材200が0.1質量%に満たない場合は、範囲内にある場合と比較して、紫外線遮蔽材600が有する紫外線遮蔽能が低下する。また、80.0質量%より多くしても範囲内にある場合と比較して紫外線遮蔽材600の紫外線遮蔽能に大差はないほか、接着樹脂7の接着性(保持できる作用)が低下し、範囲内にある場合よりも紫外線遮蔽材200が本体10から離脱し易くなる。
含有される紫外線遮蔽材200の大きさは特に限定されないが、平均の粒子径が5000μm以下であることが好ましい。さらに、その使用環境や時間の経過により、本体10から紫外線遮蔽材200が脱落することを考慮すると、平均粒子径は300nm〜1000μmであることが特に好ましい。
また熱可塑性樹脂や、反応性ホットメルト接着剤や、紫外線や電子線などの粒子線で反応硬化する樹脂をノズルより繊維状に吐出し、吐出して形成した繊維の表面が粘着性を有している間に、本発明の紫外線遮蔽材200を接触させた後、ホットメルト接着剤では室温に戻して固着させたり、反応性ホットメルト接着剤では空気中の水分で反応硬化させたり、紫外線や電子線で架橋する樹脂などでは紫外線や電子線を照射して反応硬化させることにより固定してもよい。
このように用いられる樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合樹脂などの樹脂を主成分とするホットメルト接着剤や、ウレタンプレポリマーを主体とする反応性ホットメルト接着剤や、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート樹脂などを主成分とする紫外線や電子線で架橋する樹脂などが挙げられる。
以上のようにして得られた本発明に係る紫外線遮蔽材は、カーテン、障子様フィルムなどのインテリア類、カーディガン等の衣類、寝装具等の布帛、食品、医療、医薬品の包装に用いられるフィルム状の包装材料や充填する容器など、窓ガラスへの貼り付けフィルム、ブラインド、壁紙などの建装材、車両用シート、防虫用シートシャッター、紫外線滅菌用部材、ビニールハウス、植物等の日焼け防止用カバーなどの農業資材、サンバイザー、サングラス、カラーコンタクト、日傘、書類保存用のファイル、クリアフォルダ、デスクマットなどの日用雑貨、日焼け止め化粧品、メーキャップ化粧品、スキンケア化粧品、プレメーキャップ化粧品、ボディー化粧品、リップクリームなどの化粧品など、様々な分野に利用できる。
次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(複合粒子型の紫外線遮蔽材の作成)
(実施例1)
子粒子である紫外線遮蔽粒子として、ヨウ化銅(I)粉末(日本化学産業株式会社製)をジェットミルで粉砕し、平均粒子径130nmのヨウ化銅(I)微粒子を得た。このヨウ化銅(I)微粒子600gと、母粒子として、平均粒子径10μmのポリエチレン(PE)粒子(住友精化株式会社製CL−2080)2000gとを十分に混合し、ノビルタNOB(ホソカワミクロン株式会社製 登録商標)にて、母粒子と子粒子とを複合化して紫外線遮蔽材複合粒子を得た。
(実施例2)
実施例1において、子粒子としてヨウ化銅(I)の代わりに、臭化銅(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で複合粒子型紫外線遮蔽材を作成した。
(実施例3)
実施例1において、子粒子としてヨウ化銅(I)の代わりに、ヨウ化銀を用いた以外は実施例1と同様の方法で複合粒子型紫外線遮蔽材を作成した。
(実施例4)
実施例1において、母粒子として、多孔質のSiO2である平均粒子径10μmのサイロスフェア(富士シリシア化学株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、子粒子と母粒子を十分に混合し、ノビルタNOB(ホソカワミクロン株式会社製 登録商標)にて、母粒子と子粒子とを複合化して紫外線遮蔽材複合粒子を得た。
(フィルム状の紫外線遮蔽部材の作成)
(実施例5)
紫外線遮蔽微粒子として、実施例1で用いたヨウ化銅(I)微粒子を二軸混練機を用いて樹脂と混練した。具体的には、二軸混練機においてフィルム用高分子材料であるポリエチレン樹脂ペレット(旭化成ケミカルズ株式会社製)を加熱溶融状態とした後、紫外線遮蔽性微粒子が40質量%となるように添加して混練し、高濃度に充填されたマスターバッチペレットを得た。
次いで、フィルム用高分子材料であるポリエチレン樹脂ペレットを用い、原料中の紫外線遮蔽材料のヨウ化銅(I)微粒子が5質量%となるように、乾燥したポリエチレン樹脂(ポリエチレン樹脂ペレット)と、紫外線遮蔽材充填マスターバッチペレットとを混合した。その後、Tダイ押出成形機にて厚み100μmのフィルムを作成した。
(メッシュ状の紫外線遮蔽部材の作成)
(実施例6)
紫外線遮蔽材を導入するメッシュ基材は、ポリアミド製メッシュN−NO380T(株式会社NBCメッシュテック製、オープニングエリア23%)を用いた。ポリアミド製メッシュを、ヨウ素濃度0.015M、ヨウ化カリウム0.33Mの濃度で作成したヨウ素-ヨウ化カリウム(I−KI)水溶液に1時間浸漬し、ポリヨウ素コンプレックスをポリアミド繊維内に形成させた後、純水で洗浄し、直ちに、0.5M濃度の硝酸銀水溶液に4時間浸漬し、ヨウ化銀の微粒子をポリアミド繊維内に複合化したメッシュ状紫外線遮蔽部材を得た。
(比較例1)
実施例1において、子粒子としてヨウ化銅(I)の代わりに二酸化チタン(テイカ株式会社製、微粒子酸化チタンMT−100HD、平均粒子径15nm)を用いた以外は、同様の方法で紫外線遮蔽材複合粒子を得た。
(比較例2)
比較例1において、子粒子として二酸化チタンの代わりに酸化亜鉛(住友大阪セメント株式会社製、超微粒子酸化亜鉛ZnO−410、平均粒子径15nm)を用いた以外は、同様の方法で紫外線遮蔽材複合粒子を得た。
(比較例3)
比較例1において、子粒子として二酸化チタンの代わりに銅(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は、同様の方法で紫外線遮蔽材複合粒子を得た。
(比較例4)
比較例1において、子粒子として二酸化チタンの代わりに硫酸銅(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は、同様の方法で紫外線遮蔽材複合粒子を得た。
(比較例5)
実施例5のフィルムで、紫外線遮蔽材を含まない(つまり、紫外線遮蔽材がない状態のもの)こと以外は、実施例5と同様の条件で厚み100μmのポリエチレンフィルムを作成した。
(比較例6)
実施例6で用いたメッシュを、未処理の状態もの(つまり紫外線遮蔽材を含まない)を用いた。各実施例と比較例の構成を表1に示す。
(体積平均粒子径)
粒度分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA-EX150(日機装株式会社製)を用いて測定し、体積平均粒子径を採用した。
(光の吸収率の評価)
光の吸収率を評価するために、複合粒子型の紫外線遮蔽材を、紫外可視分光光度計U-3310(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、石英製粉末セルに紫外線遮蔽粉末を充填し、光の反射率を測定した。粒子状の場合、測定セルに粒子を充填し、光の反射率を測定し、透過はほとんどないため、反射以外は吸収と見なせる。
図8に、実施例1〜4と既存の紫外線遮蔽材である比較例1、比較例2の結果を示す。
既存の紫外線遮蔽材である比較例1、2は、光の波長が380nm以上になると反射率が高くなる、つまり吸収率が低下するが、実施例1〜4では光の波長が380nm以上400nm以下の光の反射率が低い、つまり吸収率が高い。従って、ヨウ化物を含む紫外線遮蔽材は効果的に長波長紫外線を遮蔽できることがわかる。
次に、実施例1と、紫外線遮蔽材が銅である比較例3と、紫外線遮蔽材が2価の銅化合物である比較例4との反射率を図9に示す。
銅粉末である比較例3は、光の波長が長くなっても反射率が低いまま、つまり吸収率が高いままである。従って、比較例3は可視光や、赤外線も吸収してしまう。
一方、2価の銅化合物である比較例4では光の波長が330nmを超えると反射率が高くなる、つまり紫外線の吸収率が低くなる。従って、一価の銅化合物は、金属の銅や二価の銅化合物に比べて効果的に長波長紫外線を遮蔽できることがわかる。
(紫外線遮蔽部材の透過率の評価)
フィルム状、メッシュ状の実施形態である紫外線遮蔽部材の紫外・可視光領域の透過率の測定は、紫外可視分光光度計U-3310(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、積分球ユニットに固定化し測定した。
なお、メッシュの場合、光の透過率はメッシュのオープニングエリアの影響も受け、オープニングエリア(開口率)の数値が高いほど透過率は高くなる。
図10に紫外線遮蔽材を含有したフィルムである実施例5と、紫外線遮蔽材を含有しない(未処理)フィルムである比較例5の透過率の結果を示す。未処理のフィルムでは紫外線の透過率が高く、光の波長が300nmを超えると透過率は約90%になる。一方、紫外線吸収材を含むフィルムは、光の波長が400nmまでは透過率は10%未満であり、紫外線を吸収し、特に長波長紫外線を効果的に吸収して遮蔽していることが確認された。
図11に紫外線遮蔽材を含有したメッシュである実施例6と、紫外線遮蔽材を含有しない(未処理)メッシュである比較例6の透過率の結果を示す。フィルムと同様、未処理のメッシュでは紫外線の透過率が高く、一方、紫外線吸収材を含むメッシュは、長波長紫外線も含む紫外線を効果的に吸収していることが確認された。
以上のように、1価の銅化合物あるいはヨウ素化合物を用いた紫外線遮蔽材は、長波長紫外線をも吸収することが確認された。
1 母材または母粒子
2 紫外線遮蔽粒子
3 シラン系結合剤
4 化学結合
5 基材
6 繊維
7 接着樹脂
10 紫外線遮蔽材の本体
100 紫外線遮蔽材
200 他の実施形態の紫外線遮蔽材
300 他の実施形態の紫外線遮蔽材
400 他の実施形態の紫外線遮蔽材
500 他の実施形態の紫外線遮蔽材
600 他の実施形態の紫外線遮蔽材

Claims (2)

  1. 樹脂および/または無機多孔質材料と、
    一価の銅化合物および/またはヨウ化物と、を含む紫外線遮蔽材であって、
    前記一価の銅化合物および/またはヨウ化物が、CuI、CuBr、AgIのうち少なくともいずれかであり、
    前記一価の銅化合物および/またはヨウ化物を子粒子とし、前記樹脂および/または無機多孔質材料を前記子粒子よりも大きな粒径である母粒子とし、前記母粒子の表面に前記子粒子が埋め込まれてることを特徴とする紫外線遮蔽材。
  2. 樹脂および/または無機多孔質材料と、一価の銅化合物および/またはヨウ化物と、を含む紫外線遮蔽材の製造方法であって、
    前記一価の銅化合物および/またはヨウ化物が、CuI、CuBr、AgIのうち少なくともいずれかであり、
    前記一価の銅化合物および/またはヨウ化物を子粒子とし、前記樹脂および/または無機多孔質材料を前記子粒子よりも大きな粒径である母粒子とし、
    前記子粒子および前記母粒子の衝突または加圧により、前記母粒子の表面に前記子粒子を埋め込むことを特徴とする紫外線遮蔽材の製造方法。
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